IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東日本メディコム株式会社の特許一覧

特開2024-114933情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図5
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図6
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図7
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図8
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図9
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図10
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図11
  • 特開-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114933
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20240816BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024105829
(22)【出願日】2024-06-30
(62)【分割の表示】P 2022192522の分割
【原出願日】2014-07-07
(31)【優先権主張番号】P 2013142641
(32)【優先日】2013-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596079138
【氏名又は名称】東日本メディコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127384
【弁理士】
【氏名又は名称】坊野 康博
(72)【発明者】
【氏名】野本 禎
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 崇
(57)【要約】
【課題】患者に処方された処方せんに対する処方監査に必要な情報を効率的に把握することができる臨床検査値を表示する表示装置を提供すること。
【解決手段】臨床検査値を表示する表示装置は、処方せんに記載された薬剤及び臨床検査値を受け付け、当該臨床検査値を薬剤と臨床検査値との関係に基づいてグループ化するグループ化手段と、グループ化した臨床検査値を区別可能に表示部に表示する表示手段とを備える臨床検査値を表示する表示装置である。そして、臨床検査値を表示する表示装置は、グループ化は、臨床検査値が薬剤毎に異なったグループに分類される臨床検査値を表示する表示装置である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の処方せんに関する情報を記憶する処方せんデータベースと、
患者の臨床検査値に関する情報を記憶する患者検査値データベースと、
処方せんを受け付けた患者の前記処方せんに関する情報に基づいて、前記患者検査値データベースに記憶された情報のうち、特定の条件に適合する前記臨床検査値に関する情報を抽出する抽出手段と、
前記患者の処方せんに関する情報を、前記抽出手段によって抽出された臨床検査値及び当該臨床検査値の変化の少なくともいずれかと共に出力する出力手段と、
を備え、
前記出力手段は、受け付けた処方せんに記載された各薬剤について、前記抽出手段によって抽出された臨床検査値及び当該臨床検査値の変化の少なくともいずれかを、当該薬剤それぞれと前記抽出手段によって抽出された臨床検査値との薬剤の効果及び薬剤の副作用を含む複数種類の関係性の少なくともいずれかを区別可能な出力形態で出力する情報処理装置。
【請求項2】
前記臨床検査値を前記薬剤との前記関係性の種類に基づいてグループ化するグループ化手段を備え、
前記出力手段は、グループ化した前記臨床検査値をグループ毎に区別可能に出力する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記グループ化では、一の前記臨床検査値が前記薬剤毎に異なったグループに分類される場合がある、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記グループ化は、前記薬剤の効果及び前記薬剤の副作用毎に行われる、
請求項2または3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記グループ化では、前記臨床検査値の値が所定の値である場合に薬剤の副作用のグループに分類される場合がある、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力手段は、表示された複数の薬剤のうちのいずれかの薬剤の選択を受け付けたことに応じて、選択された薬剤と前記関係性を有する前記臨床検査値と、当該選択された薬剤と前記関係性を有さない前記臨床検査値とを表示する、
請求項2から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力手段は、前記臨床検査値を、当該臨床検査値が取得された場所で区別して表示する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
患者の処方せんに関する情報を記憶する処方せんデータベースと、患者の臨床検査値に関する情報を記憶する患者検査値データベースと、を参照可能な情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
処方せんを受け付けた患者の前記処方せんに関する情報に基づいて、前記患者検査値データベースに記憶された情報のうち、特定の条件に適合する前記臨床検査値に関する情報を抽出する抽出ステップと、
前記患者の処方せんに関する情報を、前記抽出ステップにおいて抽出された臨床検査値及び当該臨床検査値の変化の少なくともいずれかと共に出力する出力ステップと、
を含み、
前記出力ステップでは、受け付けた処方せんに記載された各薬剤について、前記抽出ステップにおいて抽出された臨床検査値及び当該臨床検査値の変化の少なくともいずれかを、当該薬剤それぞれと前記抽出ステップにおいて抽出された臨床検査値との薬剤の効果及び薬剤の副作用を含む複数種類の関係性の少なくともいずれかを区別可能な出力形態で出力する情報処理方法。
【請求項9】
患者の処方せんに関する情報を記憶する処方せんデータベースと、患者の臨床検査値に関する情報を記憶する患者検査値データベースと、を参照可能なコンピュータに、
処方せんを受け付けた患者の前記処方せんに関する情報に基づいて、前記患者検査値データベースに記憶された情報のうち、特定の条件に適合する前記臨床検査値に関する情報を抽出する抽出機能と、
前記患者の処方せんに関する情報を、前記抽出機能によって抽出された臨床検査値及び当該臨床検査値の変化の少なくともいずれかと共に出力する出力機能と、
を実現させ、
前記出力機能は、受け付けた処方せんに記載された各薬剤について、前記抽出機能によって抽出された臨床検査値及び当該臨床検査値の変化の少なくともいずれかを、当該薬剤それぞれと前記抽出機能によって抽出された臨床検査値との薬剤の効果及び薬剤の副作用を含む複数種類の関係性の少なくともいずれかを区別可能な出力形態で出力するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術の発展は、薬剤を調剤し提供する薬局等の医療機関にも広く浸透し、利便性を高めている。例えば、従来から医療機関においては、レセプト(診療報酬明細書)の作成を支援するレセコンといったコンピュータが知られており、高度な専門知識や複雑な計算を必要とすることなくレセプトの作成を可能にしている。また、近年では、薬歴等の患者の情報も電子的に管理するシステムが普及している。
【0003】
なお、従来ではレセコンと薬歴を管理するシステムとがハード的に独立したコンピュータであったため、例えば特許文献1には、レセコン機能と薬歴管理機能とを備えた薬局用コンピュータにおいて、両機能を有効に連携した薬局用コンピュータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-118535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、患者への調剤を行う際に、処方せんの記載事項及び患者情報・薬歴等をふまえてそのまま薬剤を交付することに疑わしい点があるかを確認する処方監査を行われている。このような処方監査では、患者の傷病の状態・服用している薬剤の影響を把握できる臨床検査値を参照することがある。しかしながら、臨床検査値は数多くのものがあり、入力されている数多くの臨床検査値を漫然と表示したとしても、目的とする傷病・薬剤に関する情報を効率的に把握することができなかった。その結果、処方監査のために臨床検査値等の情報を表示したとしても、必要な臨床検査値の情報を効率的に探せないため、適切な処方監査を迅速に行うことができなくなっていた。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、患者に処方された処方せんに対する処方監査に必要な情報を効率的に把握できる臨床検査値を表示する表示装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 処方せんに記載された薬剤及び臨床検査値を受け付け、当該臨床検査値を薬剤と臨床検査値との関係性に基づいてグループ化するグループ化手段と、グループ化した臨床検査値をグループ毎に区別可能に表示部に表示する表示手段と、を備える臨床検査値を表示する表示装置。
【0008】
(2) 前記グループ化は、一の臨床検査値が薬剤毎に異なったグループに分類される場合がある、(1)に記載の臨床検査値を表示する表示装置。
【0009】
(3) 前記グループ化は、薬剤の効果及び薬剤の副作用毎に行われる、(1)又は(2)に記載の臨床検査値を表示する表示装置。
【0010】
(4) 前記グループ化は、臨床検査値の値が所定の値である場合に薬剤の副作用部に分類される場合がある、(3)に記載の臨床検査値を表示する表示装置。
【0011】
(5) 前記表示手段は、薬剤の選択を受け付けたことに応じて、当該薬剤と前記関係性を有する臨床検査値と、当該薬剤と前記関係性を有さない臨床検査値とを表示する、(1)乃至(4)のいずれかに記載の臨床検査値を表示する表示装置。
【0012】
(6) 前記表示手段は、臨床検査値を、該臨床検査値の取得した場所で区別して表示する、(1)乃至(5)のいずれかに記載の臨床検査値を表示する表示装置。
【0013】
(7) 処方せんに記載された薬剤及び臨床検査値を受け付け、当該臨床検査値を薬剤と臨床検査値との関係性に基づいてグループ化するグループ化ステップと、グループ化した臨床検査値をグループ毎に区別可能に表示部に表示する表示ステップと、をコンピュータに実行させる、プログラム。
【0014】
なお、薬剤欄、処方監査関連情報欄及び交差欄の選択は、いずれかの一の欄の選択を受け付けて具体的な情報の表示を行えばよく、薬剤欄のみの選択、処方監査関連情報のみの選択、交差欄のみの選択、薬剤欄及び処方監査関連情報欄の選択、薬剤欄及び処方監査関連情報欄の選択、処方監査関連情報欄及び交差欄の選択、又は、薬剤欄と処方監査関連情報欄と交差欄との選択によって具体的な情報を表示するものでもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、患者に処方された処方せんに対する処方監査に必要な情報を効率的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】臨床検査値を表示する表示システムの構成を示す図である。
図2】薬剤提供業務の概要を示す図である。
図3】臨床検査値を表示する表示装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】記憶部の患者DBを示す図である。
図5】記憶部の臨床検査値DBを示す図である。
図6】記憶部の添付文書DBを示す図である。
図7】臨床検査値を表示する表示装置に表示される表示画面の一例を示す図である。
図8】臨床検査値を表示する表示装置に表示される表示画面の一例を示す図である。
図9】臨床検査値を表示する表示システムの処理の流れを示すフローチャートである。
図10】臨床検査値を表示する表示装置の機能構成を示すブロック図である。
図11】記憶部の患者DBを示す図である。
図12】臨床検査値を表示する表示装置に表示される表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一の実施形態について説明する。
【0018】
[第1実施形態]
[臨床検査値を表示する表示システム100の構成]
図1を参照して、本発明の臨床検査値を表示する表示システム100は、管理者装置1と薬局側の担当者により用いられる臨床検査値を表示する表示装置2a・・・2n及び、患者に薬剤提供業務の進捗状況を知らせるディスプレイ3と、を含んで構成される。
【0019】
臨床検査値を表示する表示装置2a・・・2nは、薬剤提供業務を構成する各作業の担当者により用いられる端末装置である。
ここで、図2(1)を参照して、薬剤提供業務は、窓口において患者から処方せんを受け付けた後に、処方せんに従い薬剤を調剤し、調剤が適切であると最終監査において認められた場合に、窓口において患者に当該薬剤を提供するといった一連の流れにより構成される。このような薬剤提供業務は、一例として図2(2)に示す各作業、即ち「受付」「薬歴確認」「処方監査」「患者情報収集」「調剤設計」「服薬に関する説明」「調剤決定」「調剤」「最終監査」「薬剤交付会計」により構成することができる。これら各作業は、互いに独立して進行できるものもあり、本実施形態では、これら各作業を複数の担当者により分業することとしている。例えば、薬剤提供業務を構成する各作業のうち、「受付」「患者情報収集」「調剤」「薬剤交付会計」を薬剤師Aが担当し、「薬歴確認」「処方監査」「調剤設計」「服薬に関する説明」「調剤決定」を薬剤師Bが担当し、「最終監査」を薬剤師Cが担当することとしている。
このような本実施形態では、例えば、臨床検査値を表示する表示装置2aは薬剤師Aにより用いられ、臨床検査値を表示する表示装置2bは薬剤師Bにより用いられ、臨床検査値を表示する表示装置2cは薬剤師Cにより用いられることになる。もちろん臨床検査値を表示する表示装置2a・・・2nは、一人の担当者により用いられるだけでなく、複数の担当者が共有して用いることとしてもよい。なお、臨床検査値を表示する表示装置2a・・・2nの構成は、基本的に同一であるため、以下単に「臨床検査値を表示する表示装置2」と呼ぶことがある。
【0020】
管理者装置1は、各担当者を管理する管理者により用いられ、臨床検査値を表示する表示装置2の機能の拡張、変更、制限等の管理者権限を有する端末装置であり、各種演算処理を行う制御部や各種情報を記憶する記憶部に加え、キーボードやタッチパネル等により実現される入力部及びディスプレイによる表示部を備えた汎用パーソナルコンピュータである。
【0021】
臨床検査値を表示する表示装置2は、薬局においてその業務を多面的に支援することを目的としたものであり、管理者装置1と同様に汎用パーソナルコンピュータにより実現される。このような臨床検査値を表示する表示装置2は、各種プログラムがインストールされており、制御部がこれらプログラムに従い動作することで、レセコン機能、薬歴管理機能及び業務分担機能のほか、「処方監査」において、臨床検査値の表示機能を発揮する。なお、臨床検査値とは、患者の傷病の状態、薬剤の影響度を把握する際に参照するものであって、患者に含まれる成分や細胞等を定性的又は定量的に測定した値をいい、薬局においては、薬剤の効果が十分にあるか、薬剤の副作用が発生していないかを「処方監査」で把握するために参照する。
これら管理者装置1及び臨床検査値を表示する表示装置2は、所定のネットワーク回線により接続され、互いに協働して患者に対する薬剤の提供業務を支援する。
【0022】
ディスプレイ3は、薬局を訪れた患者側に向けられて配置され、患者に対して薬剤提供業務の進み具合を示す進捗状況を表示する。ディスプレイ3は、管理者装置1及び/又は臨床検査値を表示する表示装置2と通信可能に接続され、管理者装置1及び/又は臨床検査値を表示する表示装置2からの指示に従い、進捗状況を表示する。
【0023】
[臨床検査値を表示する表示装置2の機能的構成]
続いて、図3を参照して、臨床検査値を表示する表示装置2の構成について説明する。臨床検査値を表示する表示装置2は、制御部21において、受付手段211、抽出手段212と、グループ化手段213と、表示手段214とを有し、記憶部22の一領域において、患者DB221と、臨床検査値DB222と、添付文書DB223とを有している。
【0024】
受付手段211は、患者の特定の来院時の処方せんの内容及び患者の臨床検査値を受け付けて、患者IDと関連付けて処方せん内容及び臨床検査値を患者DB221に記憶する。
ここで、処方せん内容とは、処方せんに記載された内容についての情報及び処方せんの受付に付随して生じる情報であって、例えば、患者氏名等の患者の特定情報、処方された薬剤を示す処方薬剤及び処方せんを薬局が受け付けた日を示す受付日、処方せんに記載された薬剤が当該患者に初めて処方されたかを示す初回投与等をいう。
また、臨床検査値は、例えば、血圧や脈拍等の患者の状態に関する生体検査並びに血糖値、赤血球数、尿蛋白及びγ―GTP等の患者から採取した検体を分析して患者が有する成分・細胞の検体検査を含んで記憶される。
受付手段211が受け付けた処方せん内容及び臨床検査値は、後述するように、抽出手段212が患者の過去の処方せん内容及び臨床検査値を抽出する場合や、グループ化手段213が臨床検査値をグループ化する場合等に利用される。
【0025】
抽出手段212は、処方せんを受け付けた患者の患者IDと関連付けられた過去の処方せん内容及び臨床検査値の種類と値を患者DBから抽出する。また、抽出手段212は、受け付けた処方せん内容と臨床検査値の種類及び値とに基づいて、受け付けた処方せん内容に含まれる薬剤と臨床検査値との関係性を臨床検査値DB222より抽出する。
【0026】
また、図4を参照して、患者DB221について説明する。患者DB221は、薬局において受け付けた処方せん内容及び臨床検査値を記憶するDBであって、受付手段211が受け付けた処方せん内容及び臨床検査値を患者IDと関連付けて記憶するようになっている。患者DB221は、患者を識別する情報が記憶される「患者ID」、患者の氏名を記憶する「患者氏名」、処方せんを受け付けた日が記憶される「受付日」、受け付けた処方せん内容である処方された薬剤が記憶される「薬剤」、受け付けた臨床検査値の種類が記憶される「臨床検査値項目」及び受け付けた臨床検査値の値が記憶される「臨床検査値」を有するように構成されている。「臨床検査値」の値には、具体的な数字等の定量的な値のほかにその臨床検査値の有無を示す定性的な値が記憶される。例えば、最高血圧という臨床検査値には、95mgHGという具体的な数字である定量的な値が記憶され、尿蛋白という臨床検査値には、あり・なしというようにその臨床検査値が検出されたことを示す定性的な値が記憶される。なお、患者DB221は、このような情報の他、その他患者の個人情報、薬剤の情報及び臨床検査値の情報に関する情報を含んで構成してもよい。
【0027】
また、図5を参照して、臨床検査値DB222について説明する。臨床検査値DB222は、薬剤と臨床検査値の種類と値との関係性を記憶する関係性テーブルと臨床検査値の正常値を記憶する正常値テーブルを有するDBである。関係性テーブルには、薬剤の情報である「薬剤」、臨床検査値の種類を記憶する「臨床検査値項目」、臨床検査値の値を記憶する「臨床検査値」及び薬剤と臨床検査値の種類及び値との関係性である「関係性」が記憶されている。正常値テーブルには、臨床検査値とその正常値が記憶されている。
なお、臨床検査値DB222は、このような情報のほか、薬剤と臨床検査値との関係性に関するその他の情報を含んで構成してもよい。正常値テーブルは、性別や年齢等によって異なる正常値となるように構成されてもよい。
ここで「関係性」とは具体的に、薬剤にとってその臨床検査値がどのような関係性を有するかを示す情報であり、例えば、降圧剤Aという薬剤にとって最高血圧という臨床検査値は、「薬剤の効果」という関係性であるという情報が記憶される。また、例えば、降圧剤Aという薬剤にとってγ-GTPという臨床検査値は、「薬剤の副作用」という関係性であるという情報が記憶される。また、このような関係性は薬剤の効果及び副作用に限られず3つ以上の関係性があってよく、例えば、降圧剤Aという薬剤にとって脈拍という臨床検査値は、「薬剤の効果(適応外)」のような関係性を設けてもよい。なお、ここで、適応外とは、薬剤の承認内容に含まれない症状を目的に使用することをいう。
また、「関係性」は、同一の薬剤及び臨床検査値の種類であっても、値によって関係性が変化するように構成してもよい。例えば、降圧剤Aという薬剤にとって最高血圧という臨床検査値は、「薬剤の効果」という関係性であるという情報が記憶されている一方で、最高血圧の値が「100mgHG以下」であれば「薬剤の副作用」という関係性であるという情報も記憶されている。この場合に、降圧剤Aについて、最高血圧が100mgHGを超えていれば最高血圧は「薬剤の効果」のみに分類されるが、最高血圧が100mgHG以下であれば最高血圧は「薬剤の効果」及び「薬剤の副作用」に分類される。
【0028】
また、図6を参照して、添付文書DB223について説明する。添付文書DB223は、薬剤の添付文書のデータが項目ごとに薬剤と関連付けて記憶されている。添付文書とは、薬剤において、薬剤名、使用上の注意、品目仕様その他の重要事項を記載した、医師・医療機関関係者向けの製品情報記載書面である。添付文書DB223には、添付文書の項目に対応して、薬剤名のほか、適応症と用法用量を示す効能効果、使用上の注意、副作用等の情報等が記憶されている。また、特に図示はしないが、添付文書に記載された情報の他、長期投与チェック薬、ハイリスク薬等の添付文書外の項目を設けてもよい。
【0029】
グループ化手段213は、抽出手段212が抽出した、薬剤と臨床検査値の関係性に基づいて、薬剤毎に臨床検査値をグループ化する。
ここで、グループ化手段213が薬剤毎に臨床検査値をグループ化する理由について説明する。患者への調剤を行う際に、処方せんの記載事項及び患者情報・薬歴等をふまえてそのまま薬剤を交付することに疑わしい点があるかを確認する処方監査を行うために、患者の傷病の状態・服用している薬剤の影響を把握できる臨床検査値を参照することが行われることがある。しかし、臨床検査値は数多くのものがあり、処方監査の際に、情報が得られた臨床検査値を全て表示したとしても、処方されている薬剤が影響を及ぼさない臨床検査値も含まれている。このように、薬剤の服用が影響を及ぼさない臨床検査値が表示されていると、処方監査の際に把握すべき臨床検査値を把握できないおそれや、把握するまでに時間を要するおそれがある。また、薬剤の服用が影響を及ぼす臨床検査値であっても、薬剤の効果に関する臨床検査値や薬剤の副作用に関する臨床検査値が混在していると処方監査を行う際に薬剤師が臨床検査値を直感的に把握することができない。
そこで、臨床検査値を表示する表示装置2は、薬剤が影響を及ぼす臨床検査値を表示し、それぞれの薬剤毎に薬剤と臨床検査値の関係性に基づいて臨床検査値をグループ化して表示を行う。
【0030】
具体的に、グループ化手段213が薬剤と臨床検査値の関係性に基づいて、薬剤毎に臨床検査値をグループ化する処理について例示して説明する。本実施形態において例えば、グループ化手段213は、抽出した患者甲の臨床検査値である、最高血圧、脈拍、γ―GTP及び血糖値について、薬剤Aでは、最高血圧、最低血圧及び脈拍を「薬剤の効果」としてグループ化する。また、患者甲は、最高血圧が90mgHGであるため、薬剤Aでは、最高血圧及びγ-GTPを「薬剤の副作用」としてグループ化する。
なお、ここで、最高血圧、最低血圧及び脈拍を「薬剤の効果」として同一のグループとしたが、薬剤Aと脈拍の関係性は、「薬剤の効果(適応外)」であるため、最高血圧及び最低血圧を「薬剤の効果」とし、脈拍を「薬剤の効果(適応外)」として「薬剤の効果」とは異なるグループとしてもよい。
【0031】
表示手段214は、受付手段211が受け付けた処方せん内容及び臨床検査値並びに抽出手段212が抽出した臨床検査値及び関係性に基づいて、臨床検査値をグループ化してそれぞれの臨床検査値が薬剤と臨床検査値との関係性ごとに区別可能なように構成された表示画面のデータを生成し表示部24に表示する。また、表示手段214は、受け付けた処方せん内容及び抽出手段212が抽出した過去の処方せん内容に基づいて、薬剤の服用期間の表示を行う。また、表示手段214は、入力部23から表示した薬剤の選択を受け付けたことに応じて、その薬剤に関する臨床検査値に限定し、当該臨床検査値をグループ化してそれぞれの臨床検査値が薬剤と臨床検査値との関係性ごとに区別可能なように構成された表示画面のデータを生成し表示部24に表示する。
【0032】
ここで、表示手段214が表示部24に表示する表示画面データについて図7を参照して説明する。図7は、表示手段214が生成した表示画面データが表示部24に表示されたことを示す図であって、表示された画面は、薬剤師「東 太郎」が患者「甲」に対する処方せんの処方監査を行う際に、薬剤師「東 太郎」が「薬剤A」を選択した場合に表示される表示画面例である。薬剤師は、この画面を参照して、処方監査を行い、処方せんの記載事項、患者情報・薬歴及び臨床検査値に基づく処方内容の確認を行う。
【0033】
表示領域V1は、処方された薬剤の服薬期間を図示する画面である。表示領域V1は、横軸に日付が表示され、縦軸に受付手段211が受け付けた処方せんの内容及び過去に処方された薬剤が表示される。そして、中央部に薬剤が処方された期間を示すバーが表示される。例えば、B1のように、5月1日から7日間薬剤Bが処方されていることを示す。また、所定の処方せんの薬剤の服用期間とその前後の処方せんの薬剤の服用期間とが重複する場合には、バーは上下にずれてバーが重ならないように表示されるようになり、服用期間が重複する期間の下にそれを示すバーが表示されるようになっている。例えば、B2のように、4月16日に処方された21日分の薬剤Aを示すバーが上にずれて、5月1日に処方された30日分の薬剤Aを示すバーが下にずれるようになり、5月1日から5月6日までの期間に重複を示すバーが表示されるようになっている。
表示領域V1に表示された薬剤は、それぞれ選択を受け付けたことに応じて、後述の表示領域V2に、選択された薬剤に関する臨床検査値を表示するようになっている。
【0034】
表示領域V2、V3及びV4には、処方された薬剤の臨床検査値が区別可能に表示される。図7のV2、V3及びV4は、薬剤Aの選択を受け付けて、薬剤Aに関する臨床検査値がそれぞれ関係性ごとに区別可能に表示されている。
表示領域V2には、薬剤Aとの関係性が「薬剤の効果」である臨床検査値が表示されている。例えば、表示領域V2には、薬剤Aとの関係性が「薬剤の効果」である最高血圧、最低血圧、脈拍数が同一グループとして表示されている。また、表示領域V3には、薬剤Aとの関係性が「薬剤の副作用」である臨床検査値が表示されている。例えば、薬剤Aとの関係性が「薬剤の副作用」である最高血圧、γ-GTP及び尿蛋白が同一グループとして表示されている。なお、「薬剤の副作用」に表示されている最高血圧は、5月1日の値が100以下であるために「薬剤の副作用」に表示されているが、最高血圧の値が100以下の時がなければ、「薬剤の副作用」には最高血圧は表示されない。
【0035】
表示領域V4は、薬剤Aの選択を受け付けて、薬剤Aと関係性を有さない臨床検査値が表示されている。例えば、薬剤Aが影響を及ぼさない空腹時血糖、HbA1Cが同一グループとして表示されている。
【0036】
表示領域V2、V3及びV4にはそれぞれの臨床検査値の変化を示すグラフが表示されている。グラフの横軸には月日が表示され、グラフの縦軸には臨床検査値の値が表示されている。また、グラフの中央には、臨床検査値の正常値を示す正常値範囲が示されるようになっており、定量的な臨床検査値は、臨床検査値の値が線図として表示されるようになっている。また、定性的な臨床検査値は、その有無がわかるように+-と表示されるようになっている。
ここで、横軸の月日は、スケールの拡大又は縮小ボタンを押すことにより変化可能になっており、日単位から週単位・月単位等に変化させることが可能になっている。また、縦軸の臨床検査値は、臨床検査値DB222から表示する臨床検査値の正常値を抽出して、それぞれの臨床検査値の正常値の範囲が同一になるように、縦軸の目盛単位を調整して表示するようになっている。例えば、V3に表示する最高血圧、最低血圧及び脈拍は、それぞれ、100-129、60-79、50-90であるところ、それぞれの正常値範囲がグラフ中の正常値範囲表示になるように縦軸の目盛(目盛の下限、目盛の間隔及び目盛の上限)の値が臨床検査値ごとに異なるように調整されている。
【0037】
このように、正常値範囲表示がそれぞれ同一になるように縦軸の必要性を、簡略化した図8を参照して説明する。
図8のV5には、最高血圧及び最低血圧が表示されているが、それぞれの臨床検査値の目盛は同一となるように表示され、正常値範囲表示は異なって表示されている。しかし、このように表示すると、正常値範囲がどの臨床検査値の値を示す線図に対応しているかが直感的にわかり難くいという問題点が生じ、このような問題は臨床検査値の種類が増えれば増えるほど直感的にわかり難くなる。
そこで、臨床検査値を表示する表示装置2では、正常値範囲が異なる種類の臨床検査値において同一範囲となるように、目盛の値を調整するようになっている。
なお、図7の表示と図8の表示とは、ユーザの選択を受け付けて相互に切り替えるようにしてもよい。
【0038】
[臨床検査値を表示する表示装置2の動作]
続いて、図8を参照して、臨床検査値を表示する表示装置2の動作について説明する。
初めに、受付手段211は、処方せん内容又は/及び臨床検査値を受け付ける(ステップS1)。その後、受付手段211は、受け付けた処方せん内容又は/及び臨床検査値を患者IDと関連付けて、患者DB221に記憶する(ステップS2)。その後、抽出手段212は、表示画像データを生成するために必要な過去の処方せん内容及び臨床検査値並びに薬剤と臨床検査値との関係性等に関する情報を抽出する(ステップS3)。その後、グループ化手段213は、抽出手段212が抽出した、薬剤と臨床検査値の関係性に基づいて、薬剤毎に臨床検査値をグループ化する(ステップS4)。その後、表示手段214は、受付手段211が受け付けた処方せん内容及び臨床検査値並びに抽出手段212が抽出した臨床検査値及び関係性に基づいて、臨床検査値をグループ化してそれぞれの臨床検査値が薬剤と臨床検査値との関係性ごとに区別可能なように構成された表示画面のデータを生成する(ステップS5)。その後、表示手段214は、生成した表示画面のデータを表示部24に出力する(ステップS6)。
【0039】
その後、受付手段211は、薬剤の選択を受け付ける(ステップS7)。その後、表示手段214は、受付手段211が薬剤の選択を受け付けたことに応じて、選択した薬剤に関する臨床検査値に限定した表示画面のデータを生成する(ステップS8)。その後、表示手段214は、生成した表示画面データを表示部24に出力する(ステップS9)。
【0040】
以上のように、本実施形態では、処方された薬剤が影響を与えることのない臨床検査値は表示されずに、処方された薬剤と関する臨床検査値のみが表示されるため、薬剤師は処方された薬剤による有効性や副作用について適切に把握することができ、患者に処方された処方せんに対する処方監査に必要な情報を効率的に把握することができる。
【0041】
また、本実施形態では、処方された薬剤が影響を与えることのない臨床検査値は表示されずに、処方された薬剤と関する臨床検査値のみが表示されるため、薬剤師は処方された薬剤による有効性や副作用について適切に把握することができ、患者に処方された処方せんに対する処方監査に必要な情報を効率的に把握することができる。
【0042】
また、本実施形態では、処方された薬剤のうち、薬剤師が選択した薬剤が影響を与えることのない臨床検査値は表示されずに、薬剤師が選択した薬剤と関する臨床検査値のみが表示されるため、薬剤師は処方された薬剤のうち、何れの薬剤が臨床検査値に影響を与えて有効性や副作用が生じているかについて適切に把握することができ、患者に処方された処方せんに対する処方監査に必要な情報を効率的に把握することができる。
【0043】
また、本実施形態では、処方された薬剤が影響を与えることのない臨床検査値は表示されずに、処方された薬剤と関する臨床検査値のみが表示され、そのうち臨床検査値の値によって関係性が異なって表示されるため、薬剤師は処方された薬剤のうち、表示された臨床検査値の意味を直感的に把握することができ、患者に処方された処方せんに対する処方監査に必要な情報を効率的に把握することができる。
【0044】
[第2実施形態]
第1実施形態において、表示装置2は、制御部21において、受付手段211、抽出手段212と、グループ化手段213と、表示手段214とを有し、記憶部22の一領域において、患者DB221と、臨床検査値DB222と、添付文書DB223とを有していた。
他方、本実施形態においては、図10で示すように、制御部21において、受付手段211a、抽出手段212と、グループ化手段213と、表示手段214aと、表示切り替え受付手段215とを有し、記憶部22の一領域において、患者DB221aと、臨床検査値DB222と、添付文書DB223とを有する。
以下で、本実施形態の機能的構成について説明する。なお、第1実施形態と同様の機能についてはその説明は省略する。
【0045】
受付手段211aは、患者の特定の来院時の処方せんの内容、患者の臨床検査値及び臨床検査値の取得場所を受け付けて、患者IDと関連付けて処方せん内容、臨床検査値及び臨床検査値の取得場所を患者DB221aに記憶する。
受付手段211aは、臨床検査値の取得場所を、臨床検査値を取得した主体が医療機関又は患者等か、臨床検査値を取得した主体が医療機関であれば医療機関の種別は何か等を区別可能に受け付ける。
【0046】
また、図11を参照して、患者DB221aについて説明する。患者DB221aは、薬局において受け付けた処方せん内容及び臨床検査値を記憶するDBであって、受付手段211が受け付けた処方せん内容及び臨床検査値を患者IDと関連付けて記憶するようになっている。患者DB221aは、患者を識別する情報が記憶される「患者ID」、患者の氏名を記憶する「患者氏名」、処方せんを受け付けた日が記憶される「受付日」、受け付けた処方せん内容である処方された薬剤が記憶される「薬剤」、受け付けた臨床検査値の種類が記憶される「臨床検査値項目」及び受け付けた臨床検査値の値が記憶される「臨床検査値」に加え、「臨床検査の取得場所」を有するように構成されている。
【0047】
図10に戻り、表示切り替え受付手段215は、臨床検査値の表示方法を受け付けて、受け付けた表示方法に応じた臨床検査値の表示を表示部24に表示する。
具体的に、表示切り替え受付手段215は、臨床検査値の表示方法を受け付ける。臨床検査値の表示方法は、臨床検査値の取得場所によって区別して表示するか否かについての表示方法である。臨床検査値の表示方法は、区別して表示する場合に、その区別の仕方を選択する。臨床検査値の表示方法は、例えば、「区別しない」、「区別する・場所によって表示を変える」、「区別する・医療機関のみ表示」、「区別する・自宅のみ表示」の何れかの選択を受け付ける。
【0048】
表示手段214aは、受付手段211が受け付けた処方せん内容及び臨床検査値並びに抽出手段212が抽出した臨床検査値及び関係性に基づいて、臨床検査値をグループ化してそれぞれの臨床検査値が薬剤と臨床検査値との関係性ごとに区別可能なように構成された表示画面のデータを生成し表示部24に表示する。表示手段214aは、表示切り替え受付手段215において受け付けた表示方法に応じて、臨床検査値を表示する。
【0049】
ここで、表示手段214aが表示部24に表示する表示画面データについて図12を参照して説明する。図12は、表示手段214aが生成した表示画面データが表示部24に表示されたことを示す図ある。なお、第1実施形態と共通する点については簡略して記載する。
【0050】
図12(1)は、表示切り替え受付手段215において「区別しない」と受け付けた場合に、表示手段214aにおいて生成される表示データである。
表示領域V2aにおいて、「区別しない」が選択されたため、最高血圧の臨床検査値が取得した場所の区別なく線図L1として表示されている。
図12(2)は、表示切り替え受付手段215において「区別する・場所によって表示を変える」と受け付けた場合に、表示手段214aにおいて生成される表示データである。
表示領域V2aにおいて、「区別する・場所によって表示を変える」が選択されたため、取得した場所がα医院である最高血圧の臨床検査値は、線図L2として表示され、取得した場所が自宅である最高血圧の臨床検査値は、線図L3として表示される。
図12(3)は、表示切り替え受付手段215において「区別する・医療機関のみ表示」と受け付けた場合に、表示手段214aにおいて生成される表示データである。
表示領域V2aにおいて、「区別する・医療機関のみ表示」が選択されたため、取得した場所がα医院である最高血圧の臨床検査値は、線図L4として表示される。なお、取得した場所が自宅である最高血圧の臨床検査値は、線図L4からは除外されているが、マークのみ表示される。
【0051】
このように、臨床検査値を、臨床検査値の取得した場所を区別して表示することにより、処方された薬剤による有効性や副作用について適切に把握することができる。
例えば、最高血圧は、医療従事者に計測されることにより患者が緊張して本来の血圧よりも高い血圧が表示されることがある。そのため、薬剤師は、最高血圧を取得した場所を区別して表示することにより、本来の最高血圧を把握することができる。
【0052】
以上のように、本実施形態では、臨床検査値を、臨床検査値の取得した場所を区別して表示することができるため、薬剤師は、処方された薬剤による有効性や副作用について適切に把握することができ、患者に処方された処方せんに対する処方監査に必要な情報を効率的に把握することができる。
【0053】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0054】
また、本願発明は、図3に示す機能的構成を備える端末装置に対して適用することができる。このとき、図3に示す機能的構成を備えるとは、当該機能的構成を実現するソフトウェアを端末装置にインストールすることに加え、所定のサーバにインストールされたソフトウェアを端末装置がネットワークを介して利用可能な状態も含む。即ち、インターネットを通じて顧客にビジネス用アプリケーションを提供する、所謂ASPサービスについても本願発明を適用することができる。
【0055】
また、本実施形態においては、薬剤を選択することにより表示される臨床検査値が選択した薬剤との関係性に基づくグループに基づいて臨床検査値が表示されるが、選択を受け付ける前には、全ての薬剤との関係性に基づいて臨床検査値が表示されてよい。また、臨床検査値の項目又はグラフ上の線図を選択することにより、選択された臨床検査値と関係性を有する薬剤が明確になる表示がされてもよい。ここで、薬剤が明確になる表示とは、例えば、関係性を有する薬剤のみが表示部に表示されてもよいし、関係性を有する薬剤の表示色が他の薬剤とは異なる等のように強調される表示がされてもよい。
【0056】
また、本実施形態においては、表示領域V4に薬剤と関係性を有さない臨床検査値を表示したが、これに限られず、例えば、表示領域V4を設けずに、関係性を有さない臨床検査値を表示させないようにしてもよい。
【0057】
また、本発明においては、受付手段211が受け付ける臨床検査値は、取得された医療機関が何れかであるかにおいて限定されるものではない。例えば、表示装置2が設置された薬局において取得された臨床検査値であってよいし、表示装置2が設置された薬局以外の医療機関において取得された臨床検査値であってよい。
受付手段211が受け付ける他の医療機関において取得された臨床検査値は、患者から担当者が聞き取り入力する臨床検査値に限られず、他の医療機関からネットワーク回線を経由して受け付けてもよい。
【0058】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能がコンピュータに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図3の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0059】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 管理者装置
2 臨床検査値を表示する表示装置
3 ディスプレイ
21 制御部
22 記憶部
23 入力部
24 表示部
211 受付手段
212 抽出手段
213 グループ化手段
214 表示手段
221 患者DB
222 臨床検査値DB
223 添付文書DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-07-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の処方せんに関する情報を記憶する処方せんデータベースと、
患者の臨床検査値に関する情報を記憶する患者検査値データベースと、
前記患者の臨床検査値を前記患者の処方せんに含まれる薬剤との関係で特定される種別を判定する種別判定手段と、
判定された前記種別毎に前記患者の臨床検査値をグループ化するグループ化手段と、
前記グループ化された前記患者の臨床検査値を前記種別と対応付けて、前記処方せんに含まれる薬剤と共に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記種別には、前記薬剤の効果を表す種別及び処方に対する注意を表す種別を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力手段は、表示された複数の薬剤のうちのいずれかの薬剤の選択を受け付けたことに応じて、選択された薬剤との前記種別毎に前記患者の臨床検査値を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記グループ化では、一の前記臨床検査値が前記薬剤毎に異なる種別にグループ化され得ることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
患者の処方せんに関する情報を記憶する処方せんデータベースと、患者の臨床検査値に関する情報を記憶する患者検査値データベースと、を参照可能な情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
前記患者の臨床検査値を前記患者の処方せんに含まれる薬剤との関係で特定される種別を判定する種別判定ステップと、
判定された前記種別毎に前記患者の臨床検査値をグループ化するグループ化ステップと、
前記グループ化された前記患者の臨床検査値を前記種別と対応付けて、前記処方せんに含まれる薬剤と共に出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
患者の処方せんに関する情報を記憶する処方せんデータベースと、患者の臨床検査値に関する情報を記憶する患者検査値データベースと、を参照可能なコンピュータに、
前記患者の臨床検査値を前記患者の処方せんに含まれる薬剤との関係で特定される種別を判定する種別判定機能と、
判定された前記種別毎に前記患者の臨床検査値をグループ化するグループ化機能と、
前記グループ化された前記患者の臨床検査値を前記種別と対応付けて、前記処方せんに含まれる薬剤と共に出力する出力機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。