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特開2024-114935放射線撮影システム、プログラム及び放射線照射装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114935
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】放射線撮影システム、プログラム及び放射線照射装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/50 20240101AFI20240816BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20240816BHJP
【FI】
A61B6/50 515
A61B6/46 502
A61B6/46 506B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024105853
(22)【出願日】2024-07-01
(62)【分割の表示】P 2019109144の分割
【原出願日】2019-06-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑田 正弘
(57)【要約】
【課題】複数の放射線画像撮影装置を用いて連続的に撮影を行う場合に、それぞれの放射線画像撮影装置が異なる同期元に連動して撮影を行うリスクを低減する。
【解決手段】コンソール4は、複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから、自装置が特定の同期元と接続していない第一の状態であるか又は特定の同期元と接続している第二の状態であるかを示す状態情報を受信し、複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから受信された状態情報に基づいて、複数の放射線画像撮影装置の少なくとも一つが第一の状態であるという第一の判定、又は複数の放射線画像撮影装置の全てが第二の状態であるという第二の判定を行う。そして、判定結果が第一の判定又は第二の判定のいずれであるかを出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の放射線画像撮影装置に接続された制御装置であって、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから、自装置が特定の同期元と接続していない第一の状態であるか又は前記特定の同期元と接続している第二の状態であるかを示す状態情報を受信する受信手段と、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから受信された状態情報に基づいて、前記複数の放射線画像撮影装置の少なくとも一つが前記第一の状態であるという第一の判定、又は前記複数の放射線画像撮影装置の全てが前記第二の状態であるという第二の判定を行う判定手段と、
前記判定手段による判定結果が前記第一の判定又は前記第二の判定のいずれであるかを出力する出力手段と、
を備える制御装置。
【請求項2】
複数の放射線画像撮影装置に接続された制御装置であって、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから、自装置が特定の同期元と連動していない第一の状態であるか又は前記特定の同期元と連動している第二の状態であるかを示す状態情報を受信する受信手段と、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから受信された状態情報に基づいて、前記複数の放射線画像撮影装置の少なくとも一つが前記第一の状態であるという第一の判定、又は前記複数の放射線画像撮影装置の全てが前記第二の状態であるという第二の判定を行う判定手段と、
前記判定手段による判定結果が前記第一の判定又は前記第二の判定のいずれであるかを出力する出力手段と、
を備える制御装置。
【請求項3】
前記判定手段による判定結果が前記第一の判定又は前記第二の判定のいずれであるかの出力に基づいて、前記複数の放射線画像撮影装置を用いた撮影が可能であるか否かを識別可能な態様で表示手段に表示を行わせるよう制御する表示制御手段を備える請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記判定手段による判定結果が前記第一の判定である場合には前記表示手段の特定の領域を第一の表示態様で表示させ、前記判定手段による判定結果が前記第二の判定である場合には前記特定の領域を前記第一の表示態様とは異なる第二の表示態様で表示させる請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記第一の表示態様として前記特定の領域を第一の色で表示させ、前記第二の表示態様として前記特定の領域を前記第一の色とは異なる第二の色で表示させる請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記表示手段の表示領域に前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれに対応する複数の領域を設け、前記複数の領域のそれぞれを、その領域に対応する前記放射線画像撮影装置が前記第一の状態であるか又は前記第二の状態であるかに応じた態様で表示させる請求項3~5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記表示制御手段は、撮影時に前記複数の放射線画像撮影装置を収納する複数の収納部により定められる前記複数の放射線画像撮影装置の配置関係と、前記表示手段の表示領域における前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれに対応する前記複数の領域の配置関係とが対応するように前記複数の領域を配置させる請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
長尺撮影を行うか否かを含む撮影オーダーを指定する指定手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記指定手段により指定された撮影オーダーが長尺撮影を行う撮影オーダーであるか否かに基づいて、前記制御を行うか否かを切り替える請求項3~7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記判定手段による判定結果が前記第一の判定又は前記第二の判定のいずれであるかの出力に基づいて、前記複数の放射線画像撮影装置を用いた撮影を許可又は禁止するためのインターロックの制御を行う制御手段を備える請求項1~8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
複数の放射線画像撮影装置を用いて連続的に長尺撮影を行う放射線撮影システムであって、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれは、自装置が特定の同期元と接続していない第一の状態であるか又は前記特定の同期元と接続している第二の状態であるかを示す状態情報を出力し、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから出力された状態情報に基づいて、前記複数の放射線画像撮影装置の少なくとも一つが前記第一の状態であるという第一の判定、又は前記複数の放射線画像撮影装置の全てが前記第二の状態であるという第二の判定を行う判定手段と、
前記判定手段による判定結果が前記第一の判定又は前記第二の判定のいずれであるかに基づいて、長尺撮影が可能であるか否かを識別可能な態様で表示手段に表示を行わせるよう制御する表示制御手段と、
を備える放射線撮影システム。
【請求項11】
複数の放射線画像撮影装置を用いて連続的に長尺撮影を行う放射線撮影システムであって、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれは、自装置が特定の同期元と連動していない第一の状態であるか又は前記特定の同期元と接続している第二の状態であるかを示す状態情報を出力し、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから出力された状態情報に基づいて、前記複数の放射線画像撮影装置の少なくとも一つが前記第一の状態であるという第一の判定、又は前記複数の放射線画像撮影装置の全てが前記第二の状態であるという第二の判定を行う判定手段と、
前記判定手段による判定結果が前記第一の判定又は前記第二の判定のいずれであるかに基づいて、長尺撮影が可能であるか否かを識別可能な態様で表示手段に表示を行わせるよう制御する表示制御手段と、
を備える放射線撮影システム。
【請求項12】
複数の放射線画像撮影装置に接続された制御装置における制御方法であって、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから、自装置が特定の同期元と接続していない第一の状態であるか又は前記特定の同期元と接続している第二の状態であるかを示す状態情報を受信する受信工程と、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから受信された状態情報に基づいて、前記複数の放射線画像撮影装置の少なくとも一つが前記第一の状態であるという第一の判定、又は前記複数の放射線画像撮影装置の全てが前記第二の状態であるという第二の判定を行う判定工程と、
前記判定工程における判定結果が前記第一の判定又は前記第二の判定のいずれであるかに基づいて、長尺撮影が可能であるか否かを識別可能な態様で表示手段に表示を行わせるよう制御する制御工程と、
を含む制御方法。
【請求項13】
複数の放射線画像撮影装置に接続された制御装置における制御方法であって、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから、自装置が特定の同期元と連動していない第一の状態であるか又は前記特定の同期元と接続している第二の状態であるかを示す状態情報を受信する受信工程と、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから受信された状態情報に基づいて、前記複数の放射線画像撮影装置の少なくとも一つが前記第一の状態であるという第一の判定、又は前記複数の放射線画像撮影装置の全てが前記第二の状態であるという第二の判定を行う判定工程と、
前記判定工程における判定結果が前記第一の判定又は前記第二の判定のいずれであるかに基づいて、長尺撮影が可能であるか否かを識別可能な態様で表示手段に表示を行わせるよう制御する制御工程と、
を含む制御方法。
【請求項14】
請求項12~13のいずれか一項に記載の制御方法を制御装置に用いられるコンピューターに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、放射線撮影システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、放射線フィルム、CRカセッテに続き、放射線検出素子を二次元状に配列し、放射線照射装置から照射され被写体を透過した放射線に応じて放射線検出素子内で発生した電荷を蓄積して読み出すことにより画像データを取得する放射線画像撮影装置(FPD:Flat Panel Detector)が種々開発されている。また、放射線画像撮影装置の画像読み取
り速度や画像転送速度が向上してきていることから、これらを用いて連続的に複数の放射線画像を取得することが可能となってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、コンソール及び電子カセッテ(放射線画像撮影装置)にそれぞれ時間を計時する計時部を設け、それらの時間を同期させることにより放射線照射と撮影のタイミングを合わせて撮影を行う技術が開示されている。また、時刻の同期は、電波時計、GPS衛星の電波、携帯電話の電波、テレビやラジオの電波等を用いて行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-81960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、複数の放射線画像撮影装置を並べて被写体の放射線撮影を行い、得られた放射線画像を結合して長尺画像を生成することが提案されている。さらに、複数の放射線画像撮影装置を並べて被写体に所定時間間隔で連続的に放射線を照射して、被写体の動態を表す複数の長尺画像を取得することも提案されている。このような撮影では、複数の放射線画像撮影装置がタイミングを合わせて放射線の蓄積及び読出しを行うことが必要となる。
【0006】
しかしながら、医療施設では屋内に機器を配置し撮影するため、常に外部からの電波を十分に受信できるとは言えない場合がある。特に放射線を用いた撮影を行う撮影室では、放射線防護のため撮影室を鉛で覆う構造とするため、外部からの電波の状態が悪い場合がある。また医療機関ではペースメーカなどのように電波に影響を受ける可能性がある機器を使用する場合があり、電波強度を上げることが難しい場合がある。そのため、特許文献1に記載のように、電波時計、GPS衛星の電波、携帯電話の電波、テレビやラジオの電波等を用いて時刻を同期する場合、電波強度不足による時刻調整の失敗に伴う同期不良のリスクがある。
【0007】
このような問題を解決するために、システム毎にローカルで持つ同期元(複数の機器が動作タイミングを合わせるための基準となるタイミング信号や時刻情報を出力する装置)からの信号によって複数の放射線画像撮影装置が動作タイミングや時刻を合わせて撮影を行うことが考えられる。しかし、この場合、ローカルに複数の同期元が存在する可能性があり、複数の放射線画像撮影装置がそれぞれ異なる同期元に連動して動作してしまい、適切に撮影を行うことができない場合があった。
【0008】
本発明の課題は、複数の放射線画像撮影装置を用いて連続的に撮影を行う場合に、それぞれの放射線画像撮影装置が異なる同期元に連動して撮影を行うリスクを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
複数の放射線画像撮影装置に接続された制御装置であって、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから、自装置が特定の同期元と接続していない第一の状態であるか又は前記特定の同期元と接続している第二の状態であるかを示す状態情報を受信する受信手段と、
前記複数の放射線画像撮影装置のそれぞれから受信された状態情報に基づいて、前記複数の放射線画像撮影装置の少なくとも一つが前記第一の状態であるという第一の判定、又は前記複数の放射線画像撮影装置の全てが前記第二の状態であるという第二の判定を行う判定手段と、
前記判定手段による判定結果が前記第一の判定又は前記第二の判定のいずれであるかを出力する出力手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の放射線画像撮影装置を用いて連続的に撮影を行う場合に、それぞれの放射線画像撮影装置が異なる同期元に連動して撮影を行うリスクを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来技術1-Aに係る放射線撮影システムを表すブロック図である。
図2】本発明の第1-A実施形態に係る放射線撮影システムを表すブロック図である。
図3図2の放射線撮影システムが備える放射線画像撮影装置のブロック図である。
図4図2の放射線撮影システムの動作の前半を表すラダーチャートである。
図5図2の放射線撮影システムの動作の後半を表すラダーチャートである。
図6】システム状態表示画面の一例を示す図である。
図7】撮影画面の一例を示す図である。
図8図2の放射線撮影システムの放射線照射動作と蓄積動作のタイミングを表す図である。
図9】従来技術1-Bに係る放射線撮影システムを表すブロック図である。
図10】本発明の第1-B実施形態に係る放射線撮影システムを表すブロック図である。
図11図10の放射線撮影システムの動作の前半を表すラダーチャートである。
図12図10の放射線撮影システムの動作の後半を表すラダーチャートである。
図13図2又は図10の放射線撮影システムの状態の遷移を説明する状態遷移図である。
図14図2又は図10の放射線撮影システムの動作を表すタイミングチャートである。
図15図2又は図10の放射線撮影システムの具体的なシステム構成例を表すブロック図である。
図16図2又は図10の放射線撮影システムの具体的なシステム構成例を表すブロック図である。
図17A図2又は図10の放射線撮影システムの具体的なシステム構成例を表すブロック図である。
図17B図2又は図10の放射線撮影システムの具体的なシステム構成例を表すブロック図である。
図18図2又は図10の放射線撮影システムの具体的なシステム構成例を表すブロック図である。
図19】本発明の第2実施形態に係る放射線撮影システムを表すブロック図である。
図20図19の放射線制御装置の機能的構成を表すブロック図である。
図21図19の撮影装置の機能的構成を表すブロック図である。
図22図19の無線通信装置の機能的構成を表すブロック図である。
図23図19の放射線撮影システムの放射線照射動作と蓄積動作のタイミングを表す図である。
図24図19の放射線撮影システムにおける無線通信装置の基準計時部の計時情報と放射線制御装置又は撮影装置の計時部の計時情報のずれを表す図である。
図25図19の放射線制御装置又は撮影装置の動作を表すタイミングチャートである。
図26図19の放射線制御装置又は撮影装置の動作を表すタイミングチャートである。
図27図19の放射線制御装置又は撮影装置の動作を表すタイミングチャートである。
図28】従来の放射線撮影システムの無線リンクを表す図である。
図29図19の放射線撮影システムにおける第二計時部と計時部のずれを表す図である。
図30図19の放射線撮影システムの変形例を示す図である。
図31図19の放射線撮影システムの変形例を示す図である。
図32図19の放射線撮影システムの変形例を示す図である。
図33図19の放射線撮影システムの変形例を示す図である。
図34A】放射線照射タイミングを高いフレームレートに合わせた場合の放射線照射と蓄積・読出しのタイミングチャートである。
図34B】放射線照射タイミングを低いフレームレートに合わせた場合の放射線照射と蓄積・読出しのタイミングチャートである。
図35】プレビュー画面の一例を示す図である。
図36】長尺撮影画像で得られた同一タイミングのフレーム画像同士の結合位置(画像処理値)を算出する手法を説明するための図である。
図37】長尺撮影画像で得られた同一タイミングのフレーム画像同士の結合位置(画像処理値)を算出する手法を説明するための図である。
図38】長尺撮影画像で得られた同一タイミングのフレーム画像同士の結合位置(画像処理値)を算出する手法を説明するための図である。
図39】長尺撮影画像で得られた同一タイミングのフレーム画像同士の結合位置(画像処理値)を算出する手法を説明するための図である。
図40】結合処理を説明するための図である。
図41】長尺撮影画像で得られた同一タイミングのフレーム画像同士の結合位置(画像処理値)を算出する手法を説明するための図である。
図42】長尺撮影画像で得られた同一タイミングのフレーム画像同士の結合位置(画像処理値)を算出する手法を説明するための図である。
図43】長尺動態画像の期間ごとに結合位置の算出手法を設定するためのユーザーインターフェースを示す図である。
図44】結合位置の探索範囲を示す図である。
図45】結合位置付近の空間方向の濃淡を説明するための図である。
図46】画像処理値を時間方向、空間方向の情報を加味した画像処理値を示す図である。
図47】結合により2つの画像が重なり合う結合部位における各画像の影響度を示す図である。
図48図19のコンソールにおける画像処理、保存、画像再生の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記実施形態の説明や図面に例示したものに限定されるものではない。
なお、ここでは、本発明の第1-A実施形態の元となる従来技術1-A、第1-A実施形態、第1-B実施形態の元となる従来技術1-B、第1-B実施形態、第2実施形態の順に説明する。
【0013】
<従来技術1-A>
まず、本発明の第1-A実施形態に係るシステム100(詳細後述)の元となる従来技術1-Aについて、図1を参照しながら説明する。
【0014】
[システム構成]
初めに、従来技術1-Aに係る放射線撮影システム(以下従来システム100A)の概略構成について説明する。図1は、従来システム100Aを表すブロック図である。
【0015】
従来システム100Aは、例えば図1に示したように、放射線制御部11と、高電圧発生部12と、放射線発生部2と、カセッテ3αと、放射線制御コンソール41と、照射指示スイッチ5と、を備え、放射線撮影フィルムやCR等、放射線照射タイミングと撮影タイミングが連動しない静止画の撮影を行うことが可能に構成されている。
なお、図1には、放射線制御部11及び高電圧発生部12が、共に放射線制御装置1を構成する(例えば1つの筐体に格納される)場合を例示したが、放射線制御部11と高電圧発生部12が、例えば異なる筐体に配置される等、それぞれ独立した構成とすることもできる。
【0016】
放射線制御部11は、放射線照射を制御するためのものであり、たとえば、図示しないCPU(Central Processing Unit)や、放射線制御部11を動作させるためのプログラ
ムが記憶されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。なお、専用の制御回路で構成されていてもよい。
具体的には、放射線制御部11は、放射線制御コンソール41からの照射準備信号がONになったことを検知したことに基づいて、その高電圧発生部12へ出力する照射準備信号をONにしたり他の外部機器へ向けて出力可能な状態としたりすることが可能となっている。
また、放射線制御部11は、放射線制御コンソール41からの放射線の照射を指示する照射指示信号がONになったことを検知したことに基づいて、この照射指示信号を外部機器へ向けて出力可能な状態とすることが可能であるとともに、放射線制御コンソール41により設定された撮影条件に応じた照射信号を高電圧発生部12へ送信することが可能となっている。
【0017】
この放射線制御部11から外部機器へ向けて出力可能な照射準備信号や照射指示信号は、例えば放射線制御部11に外部機器が接続されている場合に使用される。
この照射準備信号や照射指示信号により、放射線照射時に、カセッテ3α以外の外部機器の準備が必要な撮影において、外部機器は、放射線制御部11から出力される照射準備信号や照射指示信号に基づいて撮影準備を行うことが可能となる。
このような外部機器の例としては、カセッテ3αの放射線入射面に設けられ、撮影する際にグリッドを揺動させるのに用いられるグリッド揺動装置等がある。
【0018】
なお、上述した外部機器の中には、撮影準備の完了後、照射許可信号を放射線制御部11へ送信する構成となっているものがある。このため、放射線制御部11に、外部機器から照射許可信号を入力するための接続部を備え、放射線制御コンソール41からの照射指示信号と外部機器からの照射許可信号の両方がONになった場合のみ照射信号を高電圧発生部12へ送信するよう構成することもできる。
このようにすれば、外部機器の撮影準備が完了しないうちは照射許可信号が放射線制御部11に入力されないため、外部機器の撮影準備が完了する前に、放射線が照射されてしまうことを防止することが可能となる。
【0019】
例えば、外部機器が前述のグリッド揺動装置である場合には、グリッド揺動装置が揺動を開始し、指定された揺動速度に達した後に、グリッド揺動装置から放射線制御部11へ照射許可信号が入力されるよう構成することが出来る。このようにすれば、放射線制御部11は、撮影者の操作に基づく照射指示スイッチ5からの照射指示信号と、外部機器からの照射許可信号の両方が揃って初めて照射信号を出力するため、外部機器の準備が完了する前に放射線が照射されてしまうことを防止することが可能となる。
【0020】
一方、放射線制御部11において外部機器からの照射許可信号を用いたくない場合には、例えば照射許可信号を無効化する、あるいは照射許可信号を常にON又はOFFの状態にし続ける必要がある。
例えば、放射線制御部11が、外部機器からの照射許可信号を照射信号の出力可否の判断に用いるか否かを切り替えることが可能に構成されている場合には、判断に用いないよう切り替えることで無効化することもできる。
一方、こうした切り替えができない場合であって、例えば照射許可信号が2本の信号線のオープンあるいはクローズで指示されるよう構成されている場合には、2本の信号線を常にオープン又はクローズとすることにより、常に照射許可信号をON又はOFFの状態にし続ける。
【0021】
また、放射線制御部11を、照射準備信号がONになったことを検知してから所定の待機時間が経過するまで、照射指示信号がONになったことを検知しても照射信号を送信しない構成とすることができる。
このようにすれば、高電圧発生部12や放射線発生部2が、照射準備信号がONになったことを検知してからある程度準備に時間を要するような構成のものである場合に、照射準備が完了していないのに放射線を照射してしまうのを防ぐことができる。
【0022】
高電圧発生部12は、放射線制御部11からの照射準備信号がONになったことを検知したことに基づいて、照射準備出力を放射線発生部2へ出力することが可能に構成されている。
また、高電圧発生部12は、放射線制御部11から照射信号を受信したことに基づいて、放射線発生部2が放射線を発生するために必要な(入力された照射信号に応じた)高電圧を照射出力として放射線発生部2へ印加することが可能に構成されている。
なお、図1には、高電圧発生部12が放射線制御部11からの照射準備信号がONになったことを検知すると、高電圧発生部12が放射線発生部2へ照射準備出力を行う構成を例示したが、放射線制御部11が放射線発生部2へ照射準備信号を直接出力し、放射線発生部2において照射準備出力に変換し、照射準備を行う構成とすることもできる。
【0023】
放射線発生部2(放射線管球)は、例えば電子銃と陽極とを備え、高電圧発生部12から印加された高電圧に応じた放射線(例えばX線)を発生させることが可能に構成されている。
具体的には、高電圧を印加されると電子銃が電子ビームを陽極へ照射し、陽極が電子ビームを受けることで放射線を発生させるようになっている。
なお、放射線を発生させているときの陽極は、電子ビームを受けた部分が発熱して高温になるため、安定して放射線を照射するためには、陽極における電子ビームが照射される位置を絶えず変える必要がある。そこで、陽極を回転させながら電子ビームを照射する回転陽極を用いる構成とする場合がある。
上述した高電圧発生部12からの照射準備出力は、例えば回転陽極の回転開始の指示として使うことができる。
【0024】
カセッテ3αは、放射線フィルム又は蛍光板を格納しており、被検体を透過した放射線が入射すると、被検体の放射線画像を形成することが可能となっている。
【0025】
放射線制御コンソール41は、情報信号接続を用いて、被検体に関する情報や撮影条件(管電圧、管電流、照射時間等)を放射線制御部11に設定することが可能に構成されている。
なお、放射線制御コンソール41は、院内LAN等の通信ネットワークNを介して、上位システム7S(放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)等、図4,11参照)と通信可能となっていてもよい。通信ネットワークNは、複数の通信ネットワーク機器(親機)を中心として構成される複数の通信ネットワークを含む。
【0026】
照射指示スイッチ5は、撮影者が放射線照射を指示するためのものである。
本実施形態における照射指示スイッチ5は、二段階操作が可能に構成されている。具体的には、一段目が押下されると放射線制御コンソール41へ出力する照射準備信号をONにし、二段目が押下されると放射線制御コンソール41へ出力する照射指示信号をONすることが可能となっている。
なお、図1には、照射指示スイッチ5が放射線制御コンソール41に接続され、照射指示スイッチ5が出力した照射準備信号や照射指示信号が、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11へ入力される構成を例示したが、照射指示スイッチ5を放射線制御部11へ接続し、照射準備信号や照射指示信号が放射線制御部11へ直接入力されるようにしてもよい。
【0027】
[動作]
次に、上記従来システム100Aの動作について説明する。
【0028】
(照射準備動作)
撮影者により照射指示スイッチ5の一段目が押下されると、照射指示スイッチ5は、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11へ出力する照射準備信号をONにする。
放射線制御部11は、照射準備信号がONになったことを検知すると、高電圧発生部12へ出力する照射準備信号をONにするとともに、外部機器に向けて照射準備信号を出力可能な状態にする。
高電圧発生部12は、照射準備信号がONになったことを検知すると、照射準備出力を放射線発生部2へ出力する。
【0029】
放射線発生部2は、照射準備出力が入力されると、放射線を発生させるための準備を開始する。
この放射線を発生させるための準備は、陽極を回転陽極とした場合には、例えば回転陽極を回転させる等の動作を指す。
【0030】
(照射動作)
続いて、撮影者により照射指示スイッチの二段目が押下されると、照射指示スイッチ5は、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11へ出力する照射指示信号をONにする。
放射線制御部11は、照射指示信号がONになったことを検知すると、この照射指示信号を外部機器に向けて出力可能な状態にするとともに、照射信号を高電圧発生部12へ送信する。
なお、放射線制御部11が、外部機器からの照射許可信号に基づいて放射線照射の可否を判断するよう構成されている場合には、照射指示スイッチ5あるいは放射線制御コンソール41からの照射指示信号がONであり、かつ外部機器から照射許可信号を受信した場合に、高電圧発生部12へ照射信号を送信することとなる。
【0031】
高電圧発生部12は、照射信号を受信すると、放射線発生部2での放射線照射に必要な高電圧を放射線発生部2に印加する(照射出力を行う)。
放射線発生部2は、高電圧発生部12から高電圧が印加されると、印加された電圧に応じた放射線を発生させる。
発生した放射線は、図示しないコリメーター等の制御器により照射の方向、領域、線質等が調整され被検体及びその背後のカセッテ3αへ照射される。放射線は一部が被検体を透過してカセッテ3αへ入射する。
カセッテ3αに放射線が入射すると、格納されているフィルム又は蛍光板に放射線画像が形成される。
【0032】
ここで、上述した照射準備信号と照射指示信号をONにするタイミングが近接していると、例えば放射線発生部2の回転陽極の回転が十分な速度に達する前に照射が行われてしまい、回転陽極の局所部分が過剰に加熱され、回転陽極が損傷したり、照射される放射線量が不安定になったり(電子ビームの照射強度に対して不十分、あるいは過剰になる等)する場合がある。
しかし、放射線制御部11を、上述したような、照射準備信号がONになったことを検知してから所定の待機時間が経過するまで、照射指示信号がONになったことを検知しても照射信号を送信しない構成としておけば、こうした問題が生じるのを防ぐことができる。
【0033】
このように、従来システム100Aを用いた放射線撮影では、1回の撮影操作に基づいて、被検体の放射線画像(静止画)が一枚だけ撮影される。
【0034】
<第1-A実施形態>
次に、本発明の第1-A実施形態について、図2~8を参照しながら説明する。なお、上記従来技術1-Aと同等の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
[システム構成]
初めに、本実施形態に係る放射線撮影システム(以下、システム100)のシステム構成について説明する。図2はシステム100を表すブロック図、図3は放射線画像撮影装置3のブロック図である。
【0036】
本実施形態に係るシステム100は、例えば図2に示したように、従来システム100Aのカセッテ3αを複数の放射線画像撮影装置3(以下、撮影装置3)に置き換え、更に撮影装置制御コンソール42と、付加装置6と、を加えたものとなっている。このシステム100は、以下に説明するように、複数の撮影装置3を用いて所定時間間隔で連続的に複数回の長尺撮影を行い、被写体の動態を表す複数の長尺画像を取得可能なシステムである。複数の撮影装置3は、それぞれの重なりや位置が調整された状態で撮影することが望ましく、複数の撮影装置3を収納するための収納部を備える図示しないホルダーや撮影台を用いて撮影する場合がある。なお、以下の実施形態においては、3つの撮影装置3を用いて撮影を行う場合を例にとり説明するが、使用する撮影装置の台数は特に限定されない。また、撮影に使用される撮影装置3を撮影装置3A~3Cとして説明する。
【0037】
本実施形態において、放射線発生部2は、放射線制御装置1から連続的に電圧が印加されれば連続的に放射線を照射し、パルス状の電圧が印加されればパルス状の放射線を照射することができる。すなわち、放射線発生部2は、静止画撮影及びシリアル撮影に対応している。
静止画撮影は、一回の照射開始操作で、撮影条件で設定した時間幅の放射線を1回だけ照射し、被検体の1枚の放射線画像を生成する撮影である。
シリアル撮影は、一回の照射開始操作で、撮影条件で設定した時間幅のパルス状の放射線を連続的に複数回照射し、前記照射に応じて連続的に複数回撮影を行うことにより被検体の動態を示す複数枚の放射線画像を生成する撮影モードである。
以下、複数の撮影装置3A~3Cを用いて連続的に複数回撮影を行う長尺撮影をシリアル撮影モードで行う撮影を長尺シリアル撮影と称する。また、長尺シリアル撮影により得られる一連の長尺画像を長尺動態画像と称し、長尺動態画像を構成する個々の放射線画像(結合処理前後のものを含む)をフレーム画像又は撮影画像と称する。
【0038】
撮影装置3は、それぞれ図示しない筐体やシンチレーターの他、図3に示したように、撮影制御部31、放射線検出部32、走査駆動部33、読出し部34、記憶部35、通信部36等を備えている。そして、各部31~36は、バッテリー37から電力の供給を受けるようになっている。
【0039】
筐体には、図示しない電源スイッチや切替スイッチ、インジケーター、後述する通信部36のコネクター36b等が設けられている。
シンチレーターは、放射線を受けると可視光等の放射線よりも波長の長い電磁波を発するようになっている。
【0040】
撮影制御部31は、図示しないCPU(Central Processing Unit)や、撮影装置3を
動作させるためのプログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。なお、専用の制御回路で構成されていてもよい。
【0041】
放射線検出部32は、放射線を受けることで電荷を発生させるためのもので、基板32aや、複数の走査線32b、複数の信号線32c、複数の放射線検出素子32d、複数のスイッチ素子32e、複数のバイアス線32f、電源回路32g等で構成されている。
基板32aは、板状に形成され、シンチレーターと並行に対向するよう配置されている。
複数の走査線32bは、所定間隔を空けて互いに平行に延びるよう設けられている。
複数の信号線32cは、所定間隔を空けて互いに平行に延びるように、走査線32bと直交して延びるように、かつ各走査線と導通しないように設けられている。
すなわち、複数の走査線32b及び信号線32cは格子をなすように設けられている。
【0042】
放射線検出素子32dは、当該放射線検出素子に照射された放射線の線量(或いはシンチレーターで変換された電磁波の光量)に応じた電気信号(電流、電荷)をそれぞれ発生させるもので、例えばフォトダイオードや、フォトトランジスター等で構成されている。
複数の放射線検出素子32dは、基板32aの表面であって、複数の走査線32b及び信号線32cによって区画された複数の領域内にそれぞれ設けられている。すなわち、複数の放射線検出素子32dは、マトリクス状(行列状)に配列されている。このため、各放射線検出素子32dは、それぞれシンチレーターと対向することとなる。
各放射線検出素子32dの一方の端子には、スイッチ素子であるスイッチ素子32eのドレイン端子が、他方の端子にはバイアス線がそれぞれ接続されている。
【0043】
複数のスイッチ素子32eは、放射線検出素子32dと同様、複数の走査線32b及び信号線32cによって区画された複数の領域内にそれぞれ設けられている。
各スイッチ素子32eは、ゲート電極が近接する走査線32bに、ソース電極が近接する信号線32cに、ドレイン電極が同じ領域内の放射線検出素子32dの一方の端子にそれぞれ接続されている。
【0044】
複数のバイアス線32fは、各放射線検出素子32dの他方の端子に接続されている。
電源回路32gは、逆バイアス電圧を生成し、バイアス線32fを介して各放射線検出素子に逆バイアス電圧を印加するようになっている。
【0045】
走査駆動部33は、電源回路33aや、ゲートドライバー33b等で構成されている。
電源回路33aは、それぞれ電圧の異なるオン電圧とオフ電圧を生成し、ゲートドライバー33bに供給するようになっている。
ゲートドライバー33bは、各走査線32bに印加する電圧をオン電圧かオフ電圧に切り替えるようになっている。
【0046】
読出し部34は、複数の読出し回路34aや、アナログマルチプレクサー34b、A/D変換器34c等を備えている。
複数の読出し回路34aは、放射線検出部32の各信号線32cにそれぞれ接続されるとともに、各信号線32cに基準電圧を印加するようになっている。
また、各読出し回路34aは、積分回路34dと相関二重サンプリング回路(以下、CDS回路)34e等で構成されている。
【0047】
積分回路34dは、信号線32cに放出された電荷を積分し、積分された電荷量に応じた電圧値をCDS回路34eへ出力するようになっている。
CDS回路34eは、信号を読み出す対象の放射線検出素子32dが接続された走査線32bにオン電圧を印可する前(オフ電圧を印加している間)に、積分回路34dの出力電圧をサンプリングホールドし、該当の走査線32bにオン電圧を印可して放射線検出素子の信号電荷を読出し、該当の走査線32bにオフ電圧を印加した後の積分回路34dの出力電圧の差分を出力するようになっている。
【0048】
アナログマルチプレクサー34bは、CDS回路34eから出力された複数の差分信号を一つずつA/D変換器34cへ出力するようになっている。
A/D変換器34cは、入力されたアナログ電圧値の画像データをデジタル値の画像データに順次変換するようになっている。
【0049】
記憶部35は、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、
NAND型フラッシュメモリー、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。
【0050】
通信部36は、外部と通信するためのアンテナ36a及びコネクター36bを備えている。
また、通信部36は、外部からの制御信号に基づいて、無線通信と有線通信のどちらを行うかを選択することが可能となっている。すなわち、無線通信が選択された場合には、アンテナ36aを用いた無線通信を行い、有線通信が選択された場合には、有線LANや専用信号線等を用いることで情報の送受信を行うことができる。また、有線通信を用いて同期を行いたい場合には、例えばNTP(Network Time Protocol)等のプロトコルや、
国際標準規格IEEE1588に規定されているような方法を用いることで同期を行うことができる。
【0051】
このように構成された撮影装置3は、電源がオンにされると、「初期化状態」、「蓄積状態」、「読出し・転送状態」のうちのいずれかの状態を取る。状態を切り替えるタイミングについては後述する。
「初期化状態」は、各スイッチ素子32eにオン電圧が印加され、放射線検出素子32dが発生させた電荷が各画素に蓄積されない(電荷を信号線32cに放出する)状態である。
「蓄積状態」は、各スイッチ素子32eにオフ電圧が印加され、放射線検出素子32dが発生させた電荷が画素内に蓄積可能となる(電荷が信号線32cに放出されない)状態である。
「読出し・転送状態」は、各スイッチ素子32eにオン電圧が印加されるとともに、読出し部34が駆動して、流れ込んできた電荷に基づく画像データを読出し、それを他の装置へ送信することが可能な状態である。
なお、素子および装置の構成によっては、読出しにより蓄積された電荷がクリアされるため、「読出し」と「初期化」を別動作として区別せず、「読出し」と「初期化」が同じ動作として同時に行われる場合もある。
【0052】
なお、ここでは、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型のものを例にして説明するが、本発明は、放射線を検出素子で直接電気信号に変換する、いわゆる直接型の撮影装置であってもよい。
また、撮影装置3の他の構成についても、放射線画像の画像データを生成することが可能であれば、図3に例示したものに限る必要はない。
【0053】
撮影装置制御コンソール42は、図2に示したように、放射線制御コンソール41と情報信号を送受信し、被検体に関する情報や撮影条件等を撮影装置3A~3Cに設定することが可能に構成されている。
なお、放射線制御コンソール41は、放射線制御部11の設定を行い、撮影装置制御コンソール42は、撮影装置3A~3Cの設定を行っているが、これらはいずれも同一の撮影に関する設定を行うものであるため、以下の説明では、これらをまとめて広義にコンソール4と称することがある。
【0054】
例えば、コンソール4は、図示しないCPU(Central Processing Unit)や、コンソ
ール4を動作させるためのプログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、操作部(キーボートやマウス等)、表示部43(液晶ディスプレイ等)、入出力インターフェース、通信部等がバスに接続されたコンピューター等で構成される。放射線制御コンソール41、撮影装置制御コンソール42の機能は、それぞれROMやRAMに記憶されている放射線制御プログラムとCPUとの協働、撮影装置制御プログラムとCPUとの協働により実行される。あるいは、放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42は、それぞれが図示しないCPUやROM(Read Only Memory)、RAM、操作部、表示部43、入出力インターフェース、通信部等がバスに接続されたコンピューター等で構成されていることとしてもよい。
【0055】
ここで、入出力インターフェースは、コンソール4を放射線制御装置1、付加装置6のそれぞれに有線接続するためのコネクター等を備える。通信部は、コンソール4を院内LAN等の通信ネットワークに接続するためのコネクターやアンテナ等を備える。
なお、コンソール4と放射線制御装置1は、1:1で対応付けられている場合もあれば、1つのコンソール4と複数の放射線制御装置1とが接続され、撮影ごとにコンソール4がどの放射線制御装置1と接続するかを選択し制御する場合もある。あるいは1つの放射線制御装置1が複数のコンソール4と接続され、撮影者が使用するコンソール4を選択して操作する場合もある。
【0056】
図2には、撮影装置制御コンソール42で撮影条件等の設定を行った場合、放射線制御コンソール41を介して(放射線制御コンソール41と撮影装置制御コンソール42とが情報信号を送受信して)放射線制御部11に設定されることになる構成を例示したが、撮影装置制御コンソール42から直接放射線制御部11の設定を行う構成とすることも可能である。
また、放射線制御コンソール41から撮影装置3A~3Cの設定を行う構成とすることも可能である。
また、図2には、コンソール4を、付加装置6を介して撮影装置3A~3Cと接続した構成を例示したが、コンソール4は、撮影装置3A~3Cと直接接続することも、例えば図2に示したように、通信ネットワークを介して撮影装置3A~3Cと接続することも可能である。
【0057】
また、コンソール4は、付加装置6の動作を設定することが可能となっている。
具体的には、付加装置6が照射許可信号を出力するまでに、照射許可信号を出力する出力回数(最大撮影枚数)又は照射許可信号の出力を繰り返す出力時間を付加装置6に設定することが可能となっている。
【0058】
なお、コンソール4は、付加装置6に設定した出力回数又は出力時間を表示部43に表示するようにしてもよい。
また、コンソール4は、付加装置6に入力される撮影開始信号がONになると、照射可能である旨を表示部43に表示するようにしてもよい。
また、コンソール4は、付加装置6が照射許可信号を出力している間、放射線を照射中である旨を表示部43に表示するようにしてもよい。
本実施形態において、コンソール4は、制御装置として機能する。
【0059】
付加装置6は、第一取得部62と、第二取得部63と、第一接続部64と、第二接続部65と、を有する付加制御部61を備えて構成されている。長尺シリアル撮影では、撮影に用いる全ての撮影装置3の撮影タイミングと、放射線制御装置1による放射線照射タイミングを合わせる必要がある。付加装置6は、撮影タイミングと放射線照射タイミングを合わせるためのタイミング信号及び照射許可信号を発生させて出力する同期元である。
【0060】
付加制御部61は、CPU、RAM等で付加装置6の各部の動作を統括的に制御するように構成することができる。
この場合、図示しない記憶部に記憶されている各種処理プログラムを読出してRAMに展開し、当該処理プログラムに従って各種処理を実行することとなる。
【0061】
第一取得部62は、放射線制御部11との接点(例えばコネクター)をなすもので、本実施形態においては、照射指示スイッチ5が出力した照射準備信号を、放射線制御部11を介して取得するようになっている。
【0062】
第二取得部63は、放射線制御部11との接点(例えばコネクター)をなすもので、本実施形態においては、照射指示スイッチ5が出力した照射指示信号を、放射線制御部11を介して取得するようになっている。
ここで、図1図2に示した例では、照射指示スイッチ5からの照射準備信号及び照射指示信号はコンソール4を介して放射線制御部11に入力される例を用いて説明を行った。しかしながら、照射指示スイッチ5からの信号はコンソール4を介して放射線制御部11に入力される必要はなく、機器構成によってはコンソール4を介さず、照射指示スイッチ5から直接放射線制御部11に入力されるように構成しても構わない。
照射指示スイッチ5からの信号が、コンソール4を介して放射線制御部11に入力される場合には、コンソール4は放射線制御部11と同様に、撮影者から照射準備、照射指示がされたことを認識することが可能となり、それらの入力信号に応じて、コンソール4にて照射準備、照射指示に応じた動作や表示などの通知を行うことが可能となる。
一方で、照射指示スイッチ5からの信号が、コンソール4を介さずに放射線制御部11に入力される場合、放射線制御部11は他の機器の影響を受けることなく、照射準備、照射指示の信号を受けることが可能となり、より安定した確実な動作が可能となる。
【0063】
第一接続部64(64a~64c)は、撮影装置3A~3Cとの接点(例えばコネクター)をなすもので、照射開始許可信号を入力することが可能となっている。
なお、照射開始許可信号は、撮影装置3A~3Cが撮影可能な状態になるとONになり、撮影不可の状態になるとOFFになる信号であるため、本発明における撮影装置3A~3Cの駆動状態を示す信号ということになる。
【0064】
第二接続部65は、本実施形態においてはコネクターとなっており、一端部が放射線制御部11に接続されたケーブルの他端部を差し込むことで放射線制御部11と接続することが可能となっている。
そして、照射許可信号を放射線制御部11へ出力することが可能となっている。
【0065】
なお、図2には、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65が他の装置(第一,第二取得部63及び第二接続部65は放射線制御装置1、第一接続部64は撮影装置3A~3C)と情報や信号を直接送受信している構成を例示したが、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65の少なくともいずれかは、信号を中継可能な図示しない中継部を介して他の装置と接続可能としてもよい。
また、図2には、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65が別々に設けられた場合を例示したが、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65のうちの少なくとも2つは一体に構成されて(各部62~65が兼用となって)いてもよい。
【0066】
このように構成された付加装置6の付加制御部61は第二取得部63を介して放射線制御部11から取得した照射指示信号及び第一接続部64を介して撮影装置3A~3Cから入力された照射開始許可信号に基づいて、放射線の照射を指示するパルス状の照射許可信号を所定周期で繰り返し第二接続部65から放射線制御部11へ出力させることが可能となっている。
なお、付加制御部61を、照射開始許可信号がONになったことを検知してから所定の待機時間が経過するまで、撮影開始信号がONになったことを検知しても照射許可信号を出力しないように構成するようにしてもよい。
【0067】
また、付加制御部61は、放射線画像の撮影タイミングを指示するタイミング信号を、照射許可信号を出力するタイミングに基づいて第一接続部64から撮影装置3A~3Cへ出力させるようになっている。
撮影タイミングは、例えば放射線画像の電荷の蓄積動作を開始するタイミングとしている。すなわち、本実施形態に係る撮影装置3A~3Cは、タイミング信号に合わせて電荷の蓄積を開始し、撮影装置3A~3Cのそれぞれの計時手段により逐次的に蓄積の終了、各画素の電荷の読出し、各画素の電荷の画像化、画像の保存や転送の動作を行う。
このような制御とすることで、付加制御部61は、照射許可信号による放射線照射のタイミングと、タイミング信号による放射線照射時に電荷を蓄積する蓄積タイミングの両方を制御することが可能となる。その結果、放射線照射による電荷を確実に蓄積することができ、延いては放射線照射による画像を確実に取得することが可能となる。
【0068】
なお、このように電荷の蓄積動作開始を上記撮影タイミングとする場合、撮影装置3A~3Cが放射線照射による撮影動作にあたる蓄積タイミングに移行することが可能な状態で待機し、タイミング信号に合わせて蓄積動作を開始するようにしても良い。
このような制御とすることで、付加制御部61は上記の場合と同様に放射線照射による画像を確実に取得することが可能となる。
【0069】
また、このタイミング信号の入力を契機とする撮影タイミングは、上記電荷の蓄積動作以外に、撮影装置3A~3Cが繰り返し行う各種動作のいずれかを開始するタイミングとすることができる。
例えば蓄積動作前に各画素に蓄積された電荷をリセットする必要がある場合には、リセットを開始するタイミングを上記撮影タイミングとしても良い。
この場合、撮影装置3A~3Cを、リセット完了後に逐次的に蓄積動作に移行するようにしても良い。
このような制御とすることで、各画素に放射線照射による電荷の蓄積以前に経時的に蓄積されるノイズ成分である暗電荷をリセットにより放出した状態で、放射線照射による電荷蓄積を行う蓄積動作に入ることが可能となり、よりノイズの少ない画像を取得することが可能となる。
【0070】
あるいは、蓄積動作を終了させるタイミングを上記撮影タイミングとしても良い。あるいは、タイミング信号により蓄積された電荷の読出しを開始するタイミングを上記撮影タイミングとしても良い。
このような制御とすることで、付加制御部61は、照射許可信号による放射線照射のタイミングと、タイミング信号による放射線照射による電荷の蓄積を終了タイミングや、放射線照射により蓄積された電荷を読み出すタイミングの両方を制御することが可能となる。その結果、放射線照射による電荷を確実に蓄積することができ、延いては放射線照射による画像を確実に取得することが可能となる。
【0071】
なお、タイミング信号を各動作の開始ではなく、終了に使用しても良い。例えばタイミング信号のOFFからONに変わるタイミングに合わせて蓄積動作を開始し、ONからOFFに変わるタイミングに合わせて蓄積動作を終了させるようにしても良い。
このような制御とすることで、付加制御部61は上記の各場合と同様に放射線照射による画像を確実に取得することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態においては、タイミング信号を、照射許可信号と同じ周期で繰り返し出力するようになっている。
また、付加制御部61は、本実施形態においては、照射許可信号を、所定の出力回数となるまで、又は最初に出力してから所定の出力時間が経過するまで、繰り返し出力するようになっている。
【0073】
なお、タイミング信号を、照射許可信号が出力されてから所定時間遅れてあるいは早めて出力するようにしてもよい。
また、付加制御部61は、所定周期でタイミング信号や照射許可信号を繰り返し送信するため、タイミングを制御するための計時手段を有するように構成することができる。
また、付加制御部61は、タイミング信号や照射許可信号を所定の出力回数となるまで繰り返し出力するために、出力数をカウントするカウント手段を有するように構成することが出来る。あるいは、タイミング信号や照射許可信号を最初に出力してから所定の出力時間が経過するまで繰り返し出力するために、計時手段を有するように構成することが出来る。
【0074】
また、タイミング信号を、照射指示スイッチ5の二段目が押下される(照射指示信号を取得する)前の段階から出力するよう構成することもできる。
具体的には、例えばシーケンス開始信号を取得(ONになったことを検知)してから照射指示信号を取得するまでの間、あるいは照射準備信号を取得(ONになったことを検知)してから照射指示信号を取得するまでの間にも出力するような構成とすることができる。
【0075】
ここで、撮影装置3は通信ネットワークに接続されている場合もあれば、接続されていない場合もある。例えば、常に複数枚の撮影装置3が複数枚撮影用(長尺撮影用)のホルダーや撮影台に収納されているわけではなく、1枚で撮影するための撮影台や回診用移動撮影装置などに格納されている場合がある。このような状態でもコンソール4にて、どの撮影装置3が使用可能か表示するためには、コンソール4は各撮影装置3と情報信号の送受信を継続する必要がある。このような場合に通信ネットワークと各撮影装置3の情報信号の接続を利用することが可能である。このような接続として、例えば、通信ネットワークとして無線のアクセスポイントを用いることができ、通信ネットワークと各撮影装置3との間は無線通信を用いることができる。一方で、後述するように複数の撮影装置3A~3Cにて長尺シリアル撮影を行うためには、複数の各撮影装置3A~3Cは付加制御部61とタイミング信号の接続が必要である。このような場合、各撮影装置3A~3Cと付加制御部61はタイミング信号の接続だけでなく、情報信号の接続も接続する場合がある。このような場合、(1)通信ネットワークと各撮影装置3A~3Cとの接続は、接続を行わない、(2)あるいは接続していても、付加装置6と撮影装置3A~3Cとの接続を優先し、撮影装置3A~3Cは付加装置6と接続を行う、(3)あるいは通信ネットワークと各撮影装置3A~3Cは接続を継続するが、付加装置6と各撮影装置3A~3Cとの接続を優先し、通信ネットワークと撮影装置3A~3Cは通信セッションを終了、あるいは開始せず、付加装置6と撮影装置3A~3Cにて通信セッションを開始する、(4)あるいは通信ネットワークと撮影装置3A~3Cは通信セッションを継続するが、付加装置6と各撮影装置3A~3Cとの通信を優先する、という動作を行うことができる。
【0076】
[動作]
次に、上記システム100の動作について説明する。図4,5は、本実施形態に係るシステム100の動作を表すラダーチャートである。ここで、図4,5のラダーチャートの縦方向は動作順の一例を示したもので、実際の時間間隔を現したものではない。従って、間隔が大きい部分が、他の間隔が小さい部分より長い時間を要する場合もあるし、同じ時間あるいは短い時間で済む場合もある。また、紙面の関係上、撮影装置3A~3Cをまとめて示しているが、それぞれが図4、5に示す信号の送受信を行っている。また、撮影装置3A~3Cは、同タイミングで信号の送受信を行っているが、撮影装置3A~3Cそれぞれの性能や特定に合わせ、タイミングをずらしても良い。ここで前記性能や特性は、例えば撮影装置が撮影できる画素数や、画素サイズ、撮影フレームレート、起動時間、画素感度、画素応答速度、撮影サイズなどの撮影装置の性能や、同じ性能の撮影装置であっても個々の撮影装置毎に有するバラツキによる特性差であり、工場出荷時やメンテナンス時に個々の撮影装置に応じて特性を表す設定値を設定し、設定値に応じて処理を行うことで変えることが可能である。
図4,5に示すラダーチャートの放射線制御装置1の動作は、放射線制御部11の制御により実行される。撮影装置3A~3Cの動作は、撮影制御部31の制御により実行される。付加装置6の動作は、付加制御部61の制御により実行される。コンソール4の動作は、コンソール4のCPUとROMやRAMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0077】
(A:機器設置時、装置立ち上げ時、接続機器変更時、定期的な接続機器確認時)
まず、コンソール4、特に撮影装置制御コンソール42は、図4に示したように、機器設置時、撮影システム立ち上げ時、接続機器変更時、その他の定期的な接続機器確認時に、コンソール4が制御している撮影環境に接続されている機器(放射線制御装置1、撮影装置3、付加装置6、クレードル、撮影台等)や通信ネットワークを確認し(ステップS1)、コンソール4の表示部43に機器構成、接続構成を表示する(ステップS2)。
ここで、院内には、複数の放射線制御装置1、撮影装置3、付加装置6、クレードル、撮影台、通信ネットワーク(親機)等が備えられている場合があるため、撮影者は、コンソール4が制御している撮影環境に接続されている機器や接続構成を確認する必要がある。例えば、図6に示すようなシステム状態表示画面431を表示部43に表示することで、コンソール4が制御している撮影環境に接続されている機器構成、接続構成をユーザーが確認することができる。
コンソール4が制御している撮影環境に接続されている機器や接続構成の確認は、例えばコンソール4において、システム100内の構成要素となる機器の通信識別情報(ID)とアドレス情報の組み合わせを記憶しておき、コンソール4から各機器に接続の有無、IDをリクエストし、各機器が接続の有無、IDを返送することで確認することが可能である。ここで、各機器に他の機器がさらに接続されている場合(例えば、付加装置6に撮影装置3が接続されている場合等)、他の機器が接続されている機器は、他の機器のIDを取得し、その情報を併せてコンソール4に送信する。これにより、コンソール4は、各機器が直接接続されているのか、他の機器や通信ネットワークを介して接続されているのかを把握することができる。
IDとしては、例えば、機器固有に設定されたMACアドレスや、機器固有のBSSID、装置固有に設定されたシリアル番号等の機器毎に固有のIDを用いることもできるし、設定したIPアドレス、設定したESSID等、後から設定したIDを用いることもできる。
【0078】
なお、通信ネットワークの親機は、自身が通信している有線接続部に接続された撮影装置3を通信ネットワーク親機が無線接続する機器(子機)として設定し、IDを取得する構成とすることもできる。例えば、図6に示す構成では、通信ネットワークA(親機)は無線接続にて撮影装置3と接続することも可能であるが、また撮影装置3と有線接続可能なクレードルAとも接続している。この有線接続可能なクレードルAに撮影装置3を接続すると、接続された撮影装置3は通信ネットワークAと接続する、あるいは優先的に接続するように設定される。また、クレードルAは撮影装置3のIDを読み取り、クレードルAで読み取った情報として通信ネットワークA、コンソール4へと接続された撮影装置3のIDを送信する。クレードルAで読み取った情報であることを示すために、例えば、クレードルAや通信ネットワークAのIDと共に、コンソール4へ撮影装置3のIDを送付する構成としても良い。コンソール4は、予め記憶しているIDと機器の関係から、どの撮影装置3が、どの通信ネットワークを介して無線接続されているかを把握することが可能となり、例えば、図6に示すシステム状態表示画面431として表示部43に表示することが可能である。
【0079】
(B:撮影準備)
その後、コンソール4は、RISやHIS等の上位システム7Sから撮影オーダーを受信すると(ステップS3)、受け取った撮影オーダーをコンソール4の表示部43に表示する(ステップS4)。
その際、新しい撮影オーダーを受けたことを、光や音を用いて作業者に通知する構成としてもよい。
【0080】
撮影者は表示された撮影オーダーから、撮影順序を変える等の操作を行い、次に撮影する撮影オーダー及び使用する撮影装置3A~3C等を選択する(ステップS5)。
その際、接続されている複数の撮影装置3の中から使用する撮影装置3A~3Cを操作者が選択するようにしてもよい。例えば、コンソール4に表示される図6に示すようなシステム状態表示画面431から使用する撮影装置3A~3Cを選択することが出来る。
また、コンソール4により、接続されている複数の撮影装置3の中から、撮影者の撮影手技に応じて推奨される撮影装置3A~3Cが自動的に選択される構成としてもよい。
また、特に変更が無い場合に、前の撮影で使用した撮影装置3A~3Cが自動的に継続して選択される構成としてもよい。
あるいは、例えば長尺撮影の場合には、複数の撮影装置3A~3Cの相対位置を固定するための撮影用ホルダーや長尺撮影台が用いられる。そこで長尺撮影を選択した場合には、これら撮影用ホルダーや長尺撮影台に設置されている撮影装置3が撮影装置3A~3Cとして選択されるようにしても良い。
あるいは、例えば長尺シリアル撮影の場合には、使用する撮影装置3A~3Cは、撮影タイミングを合わせて撮影を行うために、同一の同期元に接続されている必要がある。そこで、長尺シリアル撮影の撮影オーダーを選択した場合には、同期元となる特定の付加装置6あるいは特定の通信ネットワークの親機に接続されている撮影装置3A~3Cが自動的に選択されるようにしても良い。同期元となる特定の付加装置6としては、放射線制御装置1に接続されている付加装置6を自動的に選択してもよいし、撮影者がシステム状態表示画面431から選択してもよい。本実施形態では、放射線制御装置1に有線接続されている付加装置6を自動的に選択することとする。
【0081】
ここで、選択した撮影オーダーによっては、接続する機器を、撮影オーダーの撮影を行うために必要な接続状態に変更する必要がある。特に複数の撮影装置3を並べ、それらに放射線を照射することで複数の撮影装置3で同時に透過放射線画像を撮影する長尺撮影では、複数の撮影装置3を必要とするため、一時的に他の撮影台などから撮影装置3を持ってきて撮影を行う場合がある。
このような機器の接続状態の変更後の確認は以下の仕組みにより行うことが可能である。
まず、各機器のIDを機器設置時に予めコンソール4のRAMへ記憶させておく。コンソール4が複数ある場合には、それぞれのコンソール4のRAMに記憶させても良いし、1つのコンソール4のRAMに記憶させた情報を他のコンソール4へ展開(送信)するように構成しても良い。
【0082】
本実施形態のように、撮影装置3A~3Cの接続を有線接続とする場合、撮影装置3A~3Cとの通信接続を確立し、撮影装置3A~3CのIDを取得することで、コンソール4にて撮影装置3A~3Cがどの機器に接続されているかを把握することが出来る。例えば、付加装置6に接続された有線ケーブルに撮影装置3Aを接続することで、付加装置6と撮影装置3Aは通信接続を確立する。その後、付加装置6は、確立した通信接続を用いて撮影装置3AのIDを取得し、その情報をコンソール4へ送付する。その際に付加装置6自身のIDも合わせて送付しても良い。前記情報を得たコンソール4は、付加装置6を介して撮影装置3Aが接続されたことを認識し、そのことを例えば図6のようなシステム状態表示画面431としてコンソール4の表示部43に表示することが可能である。このようなシステム状態表示画面431から、撮影者は、同期元となる特定の付加装置6に撮影装置3Aが確実に接続されていることを確認し、撮影を行うことができる。
【0083】
使用する撮影装置3A~3Cが選択されると、コンソール4は、撮影装置3A~3C及び付加装置6に通信接続要求をそれぞれ行う(ステップS6)。
撮影装置3A~3Cや付加装置6は、接続要求を受けると、コンソール4とそれぞれ接続する(ステップS7)。
なお、接続要求は、図4に示したように、コンソール4から付加装置6に対して行い、更に付加装置6から撮影装置3A~3Cに対して行う構成とすることができる。
撮影装置3A~3Cとコンソール4とは、図2に示したように通信ネットワークを介して接続したり、直接接続したりすることが可能であるが、コンソール4と撮影装置3A~3Cとが直接接続されると、付加装置6と接続していない撮影装置3を撮影に使用する撮影装置3A~3Cとしてコンソール4に接続してしまい、付加装置6と撮影装置3A~3Cとが連動した状態での接続構成を確立できない可能性がある。しかし、上述のように、通信ネットワークと撮影装置3A~3Cとの接続よりも付加装置6と撮影装置3A~3Cとの接続を優先し、付加装置6を介して撮影装置3A~3Cとコンソール4とを接続することにより、確実に付加装置6に接続された撮影装置3A~3Cと接続することが可能となる。
【0084】
あるいは、図示は省略するが、コンソール4より各撮影装置3A~3Cに接続要求を行い、その後各撮影装置3A~3Cから付加装置6に接続要求を行う構成としても良い。
撮影に使用する撮影装置3A~3Cの設定はコンソール4にて行われるため、このように構成すれば、使用する撮影装置3A~3Cを確実に選択し付加装置6と接続することができ、誤った撮影装置3を選択することなく、付加装置6と使用する撮影装置3A~3Cとが連携した状態を確立することが可能となる。
また、このような構成とすることで、前述のように付加装置6に接続された撮影装置3からのみではなく、使用可能な撮影装置3全体から撮影装置3A~3Cを選択し、接続することが可能となる。
また、ここで、撮影装置3A~3Cは、接続を開始するときに、自身の状態を、撮影準備、あるいは撮影が可能な前述の消費電力の低いモードから、当該消費電力の低いモードよりも消費電力が高いモードへ自動的に遷移する構成としても良い。
【0085】
コンソール4との接続が開始されると、撮影装置3A~3Cは、自装置の状態を通信部36によりコンソール4に通知する(ステップS8)。
例えば、撮影装置3A~3Cは、撮影準備、あるいは撮影が可能なモードに遷移していること、あるいは以降の撮影準備を開始できる状態であるか否かをコンソール4へ通知する。
また、撮影装置3A~3Cは、コンソール4に自装置のバッテリー残量(残電力量)、メモリー残量、通信安定性、通信速度などを通知することとしてもよい。
また、撮影装置3A~3Cは、付加装置6に接続されている場合、自装置のIDを、接続している付加装置6経由でコンソール4に通知し、コンソール4において、撮影装置3A~3Cの全てが同期元となる特定の付加装置6に接続されているか否かを確認できるようにしてもよい。あるいは、撮影装置3A~3Cは、自装置のIDを、接続されている付加装置6のIDと共にコンソール4に通知し、コンソール4にて、予め記憶しているIDと機器の関係から、各撮影装置3A~3Cが同期元となる特定の付加装置6に接続されているか否かを確認できるようにしても良い。
上述の、付加装置6経由で撮影装置3A~3Cがコンソール4に送信した自装置のIDや、当該ID及び付加装置6のIDは、各撮影装置3A~3Cが特定の同期元と接続していない第一の状態であるか又は特定の同期元と接続している第二の状態であるかを示す状態情報となる。
【0086】
コンソール4は、撮影装置3A~3Cから送信された状態通知を通信部により受信すると、受信した状態通知に基づいて、各撮影装置3A~3Cの状態が以降の撮影準備を開始することが可能な状態であるか(すなわち、撮影可能な状態であるか)否かを識別可能な態様で表示部43に表示する(ステップS9)。
【0087】
また、コンソール4は、撮影装置3A~3Cからのバッテリー残量、メモリー残量、通信安定性、通信速度などの通知を受け、撮影装置3A~3Cの状態が選択した撮影オーダーの撮影を実施するために十分であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、撮影が可能か否かを識別可能な態様で表示部43に表示する構成としても良い。これは、例えば、バッテリー残量、メモリー残量、通信安定性、通信速度等に対して、予め閾値を設定し、撮影装置3A~3Cから通知された値が閾値以上であるか否かによって撮影オーダーの撮影を実施するために十分であるか否かを判定することができる。上述の閾値は、撮影オーダーや撮影部位、使用する撮影装置3毎により撮影に必要となる状態が異なるため、個別に設定できるようにしても良い。
【0088】
また、コンソール4は、撮影装置3A~3Cから通知されたID及び通信経路、又は撮影装置3A~3Cから通知されたID及び付加装置6のIDに基づいて、撮影装置3A~3Cの少なくとも一つが同期元となる特定の付加装置6に接続されていない第一の状態であるか、撮影装置3A~3Cの全てが同期元となる特定の付加装置6に接続されている第二の状態であるかを判定し出力する機能を備え、その判定結果の出力に基づいて、撮影装置3A~3Cを用いた撮影を継続することが可能か否かを識別可能な態様で表示部43に表示させる構成としても良い。あるいは、上記[機器設置時、装置立ち上げ時、接続機器変更時、定期的な接続機器確認時]に記載した方法にて、撮影装置3A~3Cの少なくとも一つが同期元となる特定の付加装置6に接続されていない第一の状態であるか、撮影装置3A~3Cの全てが特定の付加装置6に接続されている第二の状態であるかを判定し出力する機能を備え、その判定結果の出力に基づいて、撮影装置3A~3Cを用いた撮影(長尺撮影)を継続することが可能か否かを識別可能な態様で表示部43に表示させる構成としても良い。具体的には、撮影装置3A~3Cの少なくとも一つが特定の付加装置6に接続されていない第一の状態であると判定した場合(第一の判定)、撮影が不可の態様で表示を行い、撮影装置3A~3Cの全てが特定の付加装置6に接続されている第二の状態であると判定した場合(第二の判定)、撮影可の態様で表示を行う。
【0089】
また、このタイミングにて、コンソール4は、撮影に使用する全ての撮影装置3A~3Cがシリアル撮影対応(シリアル対応)の撮影装置であるか、あるいは撮影に使用する全ての撮影装置3A~3Cが共通のフレームレートで撮影可能か、あるいは選択した撮影オーダーで必要な解像度やビニングに対応しているか等を判定する構成としても良い。例えば、予めコンソール4のRAMに各撮影装置3のIDに対応付けてその装置の特性情報(例えば、シリアル可/静止画のみ、フレームレート、解像度、ビニング数等)を記憶させておき、撮影装置3A~3Cから送信された各IDに基づいて撮影装置3A~3Cの特性情報を取得し、撮影オーダーの撮影に必要な条件と照合することにより判定することが可能である。そして、コンソール4は、判定結果に基づいて、撮影が可能であるか否かを識別可能な態様で表示部43に表示させる構成としても良い。
上記の判定は、いずれかのみを行ってもよいし、複数を組み合わせて行ってもよい。
【0090】
また、例えば、上記の判定にて撮影が不可である撮影装置3がある場合、コンソール4は、その撮影装置3が判別できる態様で表示部43に表示させる。例えば、図7に示すような撮影画面432を表示部43に表示させ、使用する各撮影装置3A~3Cについての情報を表示する使用パネル欄432aにおいて、各撮影装置3A~3Cの情報に対応付けて、その装置が撮影可能であれば「〇」、撮影不可であれば「×」を表示することで、撮影が否である撮影装置3を明示するよう表示することができる。また記号あるいは文字などにより、撮影が否である理由を表示することも可能である。また色により撮影が否であること、また撮影が否である理由を表示することも可能である。なお、撮影画面432においては、撮影時に撮影装置3A~3Cを収納する収納部(ホルダーや撮影台)により定められる撮影装置3A~3Cの配置関係に対応するように、撮影装置3A~3Cのそれぞれについての情報(撮影可であるか不可であるかを含む)表示するための領域が設けられている。例えば、撮影装置3Aがホルダーの上段、撮影装置3Bが中段、撮影装置3Cが下段に収納されている場合には、図7に示すように、撮影画面432において、撮影装置3Aについて表示する領域が上、撮影装置3Bについて表示する領域が中、撮影装置3Cについて表示する領域が下に配置される。
【0091】
あるいは、コンソール4は、撮影画面432の特定の領域、例えば、撮影可否/ステータス表示欄432bの色を、上記判定の結果、撮影が可であれば第一の色で表示させ、撮影が不可であれば第一の色とは異なる第二の色で表示させることとしてもよい。
【0092】
また、前記説明においては、撮影装置3A~3Cが自装置の状態を示す情報をコンソール4に送信し、コンソール4で各撮影装置3A~3Cの状態が以降の撮影準備を開始することが可能な状態であるか否かを判定する構成することとしたが、各撮影装置3A~3Cで上記の判定を行い、判定結果をコンソール4へ送付する構成としても良い。また、図4において、これらの通知は撮影装置3A~3Cからコンソール4に送信しているが、付加装置6を介してコンソール4に通知しても良い。
【0093】
また、ここで、コンソール4は、同期元となる特定の付加装置6に接続されている撮影装置3にのみ発光を指示する制御信号を送信し、特定の付加装置6に接続されている撮影装置3に配設されている発光部のみを発光させる構成としても良い。
あるいは、コンソール4は、同期元となる特定の付加装置6に接続されている各撮影装置3のみ、他と異なる発光様態で発光するように、接続されている各撮影装置3に発光を指示する制御信号を送信してもよい。他と異なる発光様態としては例えば色や、発光タイミング、発光モード(点灯、点滅など)などがある。
同期元となる特定の付加装置6に接続されている撮影装置3のみを発光させる、あるいは他と異なる発光様態で発光させることにより、撮影者が同期元となる特定の付加装置6に接続されている撮影装置3を容易に識別することが可能となり、意図しない撮影装置3を用いて撮影を行ってしまうことを確実に防止することが可能となる。
【0094】
さらに、コンソール4は、前記特定の付加装置6と接続した撮影装置3の内、撮影に使用するように指示された撮影装置3にのみ発光を指示する制御信号を送信し、該当する撮影装置3に配設されている発光部のみを発光させるようにする構成としても良い。あるいは前記説明にて同期元となる特定の付加装置6に接続されている撮影装置3の内、撮影に使用するように指示された撮影装置3のみ、他と異なる発光様態で発光するように、接続されている各撮影装置3に発光を指示する制御信号を送信してもよい。
これは、例えば長尺撮影台や長尺撮影ホルダーには一般的に3枚の撮影装置3が装填されているが(本実施形態においても撮影装置3A~3Cを撮影に使用するものとして説明しているが)、被検体のサイズ(体格)や撮影部位によっては、その中の2枚しか撮影に使用しない場合がある。このような場合、コンソール4で指示した2枚の撮影装置3(例えば、3A~3B)が、実際に長尺撮影台や長尺撮影ホルダーに装填された3枚の内どの2枚であるかが撮影者に直接的には分からないため、撮影者がコンソール4で指示した撮影装置3A~3Bと異なる撮影装置3を撮影対象だと誤認して撮影を行い、正しい撮影が行われない場合があるためである。例えば、図7に示す撮影画面432にて同期元となる付加装置6と接続された撮影可能な撮影装置3の内、撮影装置3A~3Bを使用する撮影装置3として指定すると、指定された撮影装置3A~3Bのみ発光する、あるいは他と異なる発光様態で発光させることで、撮影者が容易に指定した撮影装置3A~3Bを認識することが可能となる。
【0095】
さらに長尺撮影台やホルダーに収納された各撮影装置3A~3Cの位置関係、つまり上中下の順番が分かるように、コンソール4での表示と撮影装置3A~3Cに配設されている発光部の発光様態を関連させて表示させる構成としても良い。例えば、撮影装置3Aが上、撮影装置3Bが中、撮影装置3Cが下である場合、コンソール4上で(例えば、撮影画面432上で)撮影装置3A~3Cを色分けして表示し、コンソール4から撮影装置3A~3Cに発光指示と併せて表示色の情報を送信することにより、撮影装置3A~3Cに配設されている発光部も同じ色分けで発光させる構成とすることができる。あるいはコンソール4の表示と撮影装置3A~3Cの発光部の発光タイミングや発光間隔を関連付ける構成とすることもできる。
【0096】
なお、コンソール4によるステップS9における表示制御を行うか否かを、長尺撮影(長尺シリアル撮影を含む)の撮影オーダーが指定されたか否かに応じて切り替えることとしてもよい。すなわち、長尺撮影の撮影オーダーが指定された場合にのみ、上述の表示制御を行うこととしてもよい。
【0097】
続いて、撮影者が、コンソール4にて撮影条件等を設定し、撮影開始をコンソール4へ指示すると、コンソール4は、放射線制御装置1及び撮影装置3A~3Cに撮影条件を設定して撮影装置3A~3C及び付加装置6に対して撮影シーケンスの開始を指示するシーケンス開始信号をONにする。そして、シーケンス開始信号を撮影装置3A~3C及び付加装置6に送信する(ステップS10)。シーケンス開始信号は、例えばコンソール4と付加装置6の間で送受信される情報信号、付加装置6と撮影装置3A~3Cの間で送受信される情報信号を用いて送信することが可能である。
図4に示したシーケンスでは、コンソール4から撮影装置3A~3Cにシーケンス開始信号を送信し、撮影装置3A~3Cから付加装置6にシーケンス開始信号を送信する例を示したが、コンソール4より付加装置6及び撮影装置3A~3Cに直接シーケンス開始信号を送信する構成としてもよい。あるいはコンソール4より付加装置6に接続を行い、付加装置6から撮影装置3A~3Cにシーケンス開始信号を送信する構成としても良い。
撮影装置3A~3C及び付加装置6は、シーケンス開始信号がONになったことを検知すると、撮影準備を開始する。
【0098】
付加装置6は、シーケンス開始信号を受信すると、読出指示信号(図14参照)をONにして、撮影装置3A~3Cに対して読出指示信号を送信するとともにタイミング信号を所定時間間隔で繰り返し出力する(ステップS11)。
【0099】
撮影装置3A~3Cは、付加装置6から出力されるタイミング信号を受信する度に、読出し動作を行う。
ここで、撮影装置3は、読出し動作を行う際に電力を消費するため、撮影装置3内の回路内の温度が上昇する。またこの温度上昇により、撮影装置3の特に放射線検出素子32dの感度が変わり、同一の放射線透過量に対する画像(信号値)が変わる。1枚の撮影であればこの温度上昇による画像の変化は問題にならないが、本発明に係るシステム100のように、連続的に複数枚の静止画を撮影するシリアル撮影を行う場合には、撮影中の温度上昇による画像の変化が問題になる。そこで、撮影装置3において、シリアル撮影を行う前に読出し動作を繰り返し行うことにより、続いて撮影するシリアル撮影時の温度上昇による画像の変化が少なくなるように構成することが出来る。このように、撮影前の読出し動作は、撮影装置3のウォームアップとなる。
撮影装置3A~3Cは、読出し動作を繰り返す初期段階で、ウォームアップを開始した旨を通信部36によりコンソール4へ通知する(ステップS12)。
なお、ステップS12のウォームアップ通知は省略してもよい。
【0100】
また、撮影装置3A~3Cは、ウォームアップのための読出し動作の後半で読み取った画像を補正用データとしてコンソール4へ送信する(ステップS13)。
撮影装置3A~3Cが有する複数の画素はそれぞれ特性が異なっており、放射線が照射されていない状態であっても、画像の明るさに相当する電荷のレベルが画素毎に異なっている。そこで、ウォームアップの後半で読出した画像を補正用データとして取得しておき、例えば後に得られる撮影画像の各信号値から、補正用データの各信号値を差し引くことで、画素毎のばらつきが除去された撮影画像を得ることができる。
なお、ここでは、補正用データの使用方法として、撮影画像から単純に補正用データを差し引く場合を例に挙げたが、さまざまな演算を用いてノイズ成分を除去することも可能である。
ここで、補正用データなど画像が必要な場合は、読出した電荷を画像化するが、画像が必要でない場合には読出した電荷を画像化せずに捨てる、リセット動作としても良い。あるいは画像化し、画像を捨てるリセット動作としても良い。
【0101】
ここで、図4の説明では補正用データをコンソール4に送信し、コンソール4にて補正を行う場合について説明を行った。しかしながら、近年、撮影装置3の処理能力及び撮影装置3の記憶部の記憶容量が向上しており、コンソール4へ補正用データを送信せず、撮影装置3のメモリー内に補正用データを保存し、撮影装置3内で補正処理の全部、あるいは一部を行っても良い。また全部あるいは一部の補正処理をコンソール4でも行う場合には、補正用データを撮影装置3内のメモリーへ保存するとともに、コンソール4へ送信する構成としても良い。
【0102】
ウォームアップが完了すると、撮影装置3A~3Cは、撮影準備が完了したことをコンソール4に通知する(ステップS14)。ここで、コンソール4は、例えば、予め設定された読出し回数のウォームアップが終了するか、あるいは予め設定された読出し動作期間が経過した場合に、ウォームアップが完了したと判断することができる。コンソール4は全ての各撮影装置3A~3Cの全てからウォームアップ完了の通知を受信することで、撮影に使用する全ての撮影装置のウォームアップが完了したことを判断することができる。
ここで、ウォームアップ完了の通知は、各撮影装置3A~3Cからコンソール4へ直接送信しても良いし、各撮影装置3A~3Cから付加装置6に送信し、付加装置6からコンソール4へ送信してもよい。各撮影装置3A~3Cの全てからウォームアップ完了の通知を受信することで、撮影に使用する全ての撮影装置のウォームアップが完了したことを、付加装置6が判断し、判断結果をコンソール4へ送信してもよい。あるいは、付加装置6からコンソール4へ各撮影装置3A~3Cのウォームアップが完了したことを送信し、コンソール4が撮影に使用する全ての撮影装置のウォームアップが完了したことを判断してもよい。
コンソール4は、撮影準備完了通知を受信すると、コンソール4の表示部43に「撮影可能」と表示する(ステップS15)。
【0103】
なお、ウォームアップを行わず撮影を行う(例えば、ステップS12~S13を省略して撮影準備の完了通知に移行する)構成としても良い。あるいはウォームアップを行うか否かを撮影者が選択する構成としても良い。例えば、救急医療現場などで迅速に撮影を行う必要がある場合には、コンソール4におけるウォームアップを行わない旨の指示入力にてウォームアップを行わず撮影を行うことが出来る制御構成としても良い。あるいは複数の同様の撮影オーダーを継続して撮影する場合には、2回目以降の撮影では既に撮影装置3A~3Cはウォームアップが完了した状態に近い状態であるため、再度ウォームアップを行うことなく撮影を行うことが可能である。
このようなウォームアップの有無の切り替えは、撮影者によるコンソール4の操作部の操作入力により切り替える構成としても良い。あるいは撮影装置3に温度を測定する温度計測部を設け、撮影装置3の撮影制御部31が温度計測部により計測された温度、あるいは温度変化の状態からウォームアップの有無の切り替えを行う構成としても良い。あるいは、過去の特定期間の撮影枚数、撮影モード、過去の撮影の間隔等からコンソール4がウォームアップの有無を判断する構成としても良い。あるいはこれらを複合し判断する構成としても良い。コンソール4がウォームアップの有無の切り替えを行う場合には、例えば、撮影装置3A~3Cにウォームアップの有無を示す制御信号を送信して撮影装置3A~3Cにウォームアップの有無の切り替えを行わせる。
また、単にウォームアップの有無を判断するだけでなく、ウォームアップのための読出し動作を行う回数やウォームアップのための読出し動作を行う時間を変更する構成としても良い。
また、ウォームアップの有無の判断は、撮影に使用する撮影装置3A~3Cのそれぞれに対して異なる条件で行っても良いし、撮影に使用する撮影装置3A~3Cのうち最もウォームアップのための読出し動作が必要な装置の条件で撮影装置3A~3Cの全てに対して行うようにしても良い。
【0104】
(C:照射前処理)
付加装置6は、引き続きタイミング信号を撮影装置3A~3Cへ繰り返し送信し、撮影装置3A~3Cは、このタイミング信号を受信する度に、撮影装置3A~3Cの読出し動作を繰り返す。ここで、撮影装置3A~3Cは、補正用データなどの画像が必要な場合は読出した電荷を画像化するが、画像が必要でない場合には読出した電荷を画像化せずに捨てる、リセット動作としても良い。あるいは画像化し、画像を捨てるリセット動作としても良い。
【0105】
撮影者が被検体のポジショニングを終え、照射指示スイッチ5の一段目を押下すると(ステップS16)、照射指示スイッチ5は、コンソール4を介して放射線制御部11へ出力する照射準備信号をONにする(ステップS17)。
放射線制御装置1の放射線制御部11は、この照射準備信号がONになったことを検知すると、高電圧発生部12及び付加装置6へ出力する照射準備信号をONにする(ステップS18)。これにより、付加装置6の第一取得部62は、(照射指示信号よりも前であってシーケンス開始信号がONになるよりも後に出力される)照射準備信号を取得することとなる。
このように、放射線制御部11を含む放射線制御装置1は、照射準備信号に応じ、放射線の照射準備を開始する。
【0106】
付加装置6の付加制御部61は、放射線制御部11からの照射準備信号がONになったことを検知すると、撮影準備信号をコンソール4へ送信する(ステップS19)。
コンソール4は、撮影準備信号を受信すると、撮影準備を開始する。コンソール4での撮影準備は、例えばコンソール4を構成する撮影装置制御コンソール42と、放射線照射を制御する放射線制御コンソール41の設定が同じであることを確認したり、放射線制御装置1や撮影装置3A~3Cに指定した撮影条件等が設定されていることを確認したりする動作である。
また、コンソール4は、この段階にて、上述のように撮影装置3A~3Cに状態通知を依頼し、上述の撮影装置3A~3Cの状態確認の少なくとも1つを、最終確認として再度行ってもよい。
ここで、例えば、撮影者は、撮影装置3A~3Cが同期元となる特定の付加装置6と接続されているか否か、他の準備が整っているか否かが不明だと、どのタイミングから放射線照射を指示してよいかわからず、問題となる。そこで、コンソール4は、照射指示スイッチ5(一段目押し)に応じて、例えば、上述のように撮影装置3A~3Cに状態通知をリクエストし、同期元となる特定の付加装置6との接続判定等を行い、その判定結果に基づいて、撮影が可能な状態であるか否かを識別可能な態様で表示部43に表示してもよい。
これにより、撮影者は、撮影装置3A~3Cが特定の同期元と連動しているか否かを確認してから撮影を行うことが可能となる。
コンソール4は、撮影準備を完了させると、付加装置6へ出力する撮影準備完了信号をONにして出力する(ステップS20)。
そして、コンソール4の表示部43に「撮影中」と表示する(ステップS21)。
ここで、上記では付加装置6からの照射準備信号に応じて撮影準備を開始する場合にについて記載したが、照射指示スイッチ5からの照射準備信号に応じて撮影準備を開始しても良い。あるいは放射線制御部11との通信信号による照射準備情報に応じて撮影準備を開始しても良い。
【0107】
また、コンソール4は、この撮影準備が完了した段階にて、コンソール4への撮影条件変更等の入力をロックし、変更できないようにする構成としても良い。
静止画撮影の場合には、撮影は短時間で終了するため、撮影中に撮影条件の変更等が行われる危険性は少なく、このように構成する必要性は低いが、シリアル撮影の場合には、撮影期間が長いため、撮影者あるいは撮影者以外の第三者が故意あるいは無意識にコンソール画面を操作して撮影条件等を変更してしまう危険性がより高くなる。
そこで、この段階から撮影シーケンス終了までの間、コンソール4への撮影条件変更等の入力をロックすることで、このような撮影条件の変更を確実に防ぐことが可能となる。
【0108】
なお、図4には、撮影準備信号を付加装置6からコンソール4へ出力する場合を例示したが、撮影準備信号をコンソール4ではなく撮影装置3A~3Cへ出力し、撮影装置3A~3Cに撮影準備を行わせ、撮影装置3A~3Cの撮影準備が完了したら撮影装置3A~3Cから撮影準備完了信号を付加装置6へ出力する場合もある。
また、コンソール4と撮影装置3A~3Cの双方に撮影準備信号をそれぞれ出力し、双方にそれぞれ撮影準備をさせ、双方の撮影準備が完了したらコンソール4と撮影装置3A~3Cから撮影準備完了信号を付加装置6へそれぞれ送信し、付加装置6が双方の撮影準備完了信号を受信した段階で全体の撮影準備が完了したと判断する場合もある。
【0109】
また、図示は省略するが、放射線制御装置1の放射線制御部11が、外部機器の撮影準備が完了したことを入力することが可能な撮影準備完了信号を入力する接続部を有する場合、付加装置6が撮影準備完了信号を放射線制御部11へ出力する構成としてもよい。
放射線制御部11が、付加装置6からの撮影準備完了信号がONになったことを検知することで、撮影装置3A~3Cが撮影可能な状態であることを検知することが可能となる。ここで、放射線制御装置1が、撮影準備完了信号がONになったことを検知した後に放射線照射を行うように制御することで、撮影装置3A~3Cが撮影不可の状態で放射線を照射してしまい、被検体を無駄に被曝させてしまうという危険性を確実に排除することが可能となる。またこの場合、コンソール4は、放射線制御装置1が撮影準備完了信号を受信したことを、放射線制御装置1とコンソール4とを接続する情報信号などの通信経路を通じて受信することで、撮影準備完了を判断する構成としてもよい。
【0110】
また図示は省略するが、コンソール4、あるいは撮影装置3A~3C、あるいは付加制御部61、あるいはその少なくとも一部が外部機器の撮影準備が完了したことを入力することが可能な撮影準備完了信号を入力する接続部を有する場合、コンソール4、あるいは撮影装置3A~3C、あるいはその両方は外部機器から撮影準備が完了した信号が入力された場合に、撮影準備完了信号を送信する構成としても良い。
このようにすれば、付加装置6は撮影準備完了信号がONになったことを検知することで、コンソール4、撮影装置3A~3C、及び外部機器において撮影準備が完了した状態であることを知ることが可能となり、撮影準備完了信号を受信した以降に放射線照射を行うように制御することで、コンソール4、撮影装置3A~3C、外部機器の少なくとも一つが撮影不可の状態で放射線を照射してしまい、被検体に無駄な被ばくをさせる危険性を確実に排除することが可能となる。
【0111】
(D:撮影実行)
続いて、撮影者が照射指示スイッチ5の二段目を押下すると(ステップS22)、照射指示スイッチ5は、コンソール4を介して放射線制御装置1へ送信する照射指示信号をONにして出力する(ステップS23)。
このとき、付加装置6は、引き続きタイミング信号を撮影装置3A~3Cへ繰り返し送信し、撮影装置3A~3Cは、このタイミング信号を受信する度に、読出し動作を繰り返している。ここで、補正用データなど画像が必要な場合は、読出した電荷を画像化するが、画像が必要でない場合には読出した電荷を画像化せずに捨てる、リセット動作としても良い。あるいは画像化し、画像を捨てるリセット動作としても良い。
放射線制御装置1の放射線制御部11は、照射指示スイッチ5から照射指示信号が入力されても、付加装置6からの照射許可信号がこの時点ではOFFであるため、照射信号を高電圧発生部12へ送信しない。
【0112】
一方、放射線制御部11は、付加制御部61へ送信する照射指示信号をONにする(ステップS24)。
付加装置6は、照射指示信号を受信すると、撮影装置3A~3C及びコンソール4へ出力する、撮影の開始を許可するか否かを通知する撮影開始信号をONにする(ステップS25,S26)。
撮影装置3A~3Cは、撮影開始信号がONになったことを検知すると、その時点で自身が行っている読出し動作が終了したことを契機として、例えば図5に示したように、付加装置6へ出力する照射開始許可信号をONにする(ステップS27)。これは、撮影装置3A~3Cの読出し動作は、二次元状に配置された画素に蓄積された電荷を順次読み出すことで受光面全体の画像を取得するようになっており、読出しの途中で照射開始許可信号をONにし、放射線が照射されてしまうと、読出しが完了した画素と読出しが完了していない画素とで信号値に差が出てしまい、画像品質を著しく落としてしまうためである。
【0113】
一方、本実施形態においては、後述するように放射線照射と撮影装置3A~3Cの画像読出しが、付加装置6からの照射許可信号及びタイミング信号に基づいて行われるため、読出し動作の途中で放射線が照射されることは、通常のルーチンでは発生することは無い。このため、照射開始許可信号を前述の撮影装置3A~3Cの読出しタイミングを考慮せずONにする構成としてもよい。
【0114】
撮影装置3A~3Cは、照射開始許可信号がONになった後も付加装置6からのタイミング信号に応じて読出し動作を繰り返す。この照射開始許可信号がONになった後に読出した画像は、撮影画像として撮影装置3A~3Cのメモリーに保存、あるいはコンソール4へ転送するようにしてもよい。あるいは各放射線検出素子32dの電荷を読出した画像として、その一部あるいは全部をメモリーに記憶し、その一部あるいは全部をコンソール4へ送信する構成としても良い。
【0115】
後述するように、シリアル撮影では比較的短い時間間隔で撮影を繰り返すため、撮影画像をコンソール4へ送信することが、撮影間隔に間に合わない場合がある。特に撮影装置3A~3Cと付加制御部61、あるいは撮影装置3A~3Cとコンソール4とを無線通信により接続する場合、無線状況により通信速度が影響を受けるため、前述のように撮影装置3A~3C内のメモリーに撮影した画像データを格納しておき、その一部あるいは全部をコンソール4へ送信することにより、画像データの喪失や転送遅延による撮影エラーを生じさせることなく撮影を継続することが可能となる。
【0116】
また、コンソール4は、この段階にて、撮影装置3A~3Cに情報や状態の通知を依頼し、上述の撮影装置3A~3Cの情報や状態の確認のうち少なくとも1つを、最終確認として再度行っても良い。そして、再度確認を行った結果、撮影装置3A~3Cの全てが、撮影者が指定した撮影装置で、撮影を継続可能な状態であると判定した場合に、撮影装置3A~3Cが付加装置6に照射開始許可信号を出力するように、撮影装置3A~3Cに制御信号を送信しても良い。
また、確認を行う情報としては、自装置ID、特性情報(例えば、シリアル可/静止画のみ、フレームレート、解像度、ビニング数等)などである。情報を確認することで、撮影に使用する全ての撮影装置3A~3Cが、撮影者が指定した撮影装置となっていることを確認することが可能となる。
これにより、ノイズや、無線通信の障害や、付加装置6と撮影装置3A~3Cが有線接続の場合に撮影者が意図しない有線の外れや脱着などにより、撮影者が指定した撮影装置と異なる撮影装置が撮影に使用する撮影装置と認識されてしまった場合に、撮影者がそのことに気が付かずに撮影を継続してしまうことを確実に防止することが可能となる。
特にポジショニングを行う際には、撮影装置3A~3Cと被検体の位置を変えながら調整を行うため、前述のような問題が生じる場合がある。
確認を行う状態としては、撮影装置のバッテリー残量(残電力量)、メモリー残量、通信安定性、通信速度、制御状態(複数ある撮影装置の状態の内、撮影可能な状態に遷移しているか)などである。状態を確認することで、撮影に使用する全ての撮影装置3A~3Cが撮影可能な状態であることを確認することが可能となる。
これにより、撮影シーケンス開始時には撮影可能であったが、撮影直前までの間に状態が遷移し、撮影不可となった場合に、撮影者が撮影不可となったことを認識せず撮影を継続してしまうことを確実に防止することが可能となる。
特に撮影開始から撮影を開始するまでには、被検体の位置や姿勢を撮影に適した状態にポジショニングする必要があるが、被検体によっては、このポジショニングに時間を要する場合があり、この間に撮影装置の状態が変わる場合があるためである。
これらはコンソール4にて判断を行い、撮影継続が不可能の場合はコンソール4の表示画面や音声などで撮影者に通知するように制御してもよい。あるいは、付加装置6にて判断を行い、判断結果をコンソール4に通知するようにしてもよい。コンソール4は付加装置6からの通知を受け、撮影継続が不可能の場合はコンソール4の表示画面や音声などで撮影者に通知するように制御してもよい。
【0117】
付加装置6は、撮影装置3A~3Cからの照射開始許可信号を受けることで、各撮影装置3A~3Cが撮影可能状態であることを検知することが出来る。そこで、付加装置6は撮影に使用する全ての撮影装置3A~3Cから照射開始許可信号を受けとった際に、放射線制御部11へ放射線の照射を許可する照射許可信号を出力できるようにインターロックを解除する構成としても良い。これは後述するように状態遷移制御の遷移の一部として実装する構成としても良い。
このように全ての撮影装置3A~3Cからの照射開始許可信号を受けてから、放射線照射を許可する構成とすることで、撮影に使用する一部の撮影装置3の準備が整わないタイミング、あるいは一部の撮影装置3A~3Cがエラーなどで撮影できない状態で放射線を照射してしまい、被検体を無駄に被曝させてしまうことを防止することが可能となる。
【0118】
付加装置6は、全ての撮影装置3A~3Cから照射開始許可信号を受信すると、撮影装置3A~3Cが撮影可能状態であることを検知し、放射線制御部11へ放射線の照射を許可する照射許可信号を出力できるようにインターロックを解除し、タイミング信号を撮影装置3A~3Cへ送信するタイミングに応じて、照射許可信号を放射線制御部11へ繰り返し送信する(ステップS28)。付加制御部61は、一定の間隔でタイミング信号と照射許可信号を出力するためのタイミング生成部を有し、このタイミング生成部が生成するタイミングに応じて、付加制御部61はタイミング信号と照射許可信号の出力を繰り返し継続する。
【0119】
ここで、撮影装置3A~3Cへのタイミング信号および照射許可信号は同時に出力する構成としても良いし、撮影装置3A~3Cの撮影タイミング、放射線制御装置1の放射線照射タイミングに合わせて、それぞれ出力する構成としても良い。
撮影装置3A~3Cへのタイミング信号と照射許可信号を同時に出力する場合、信号出力時に出力遅延などでタイミングが変動するリスクを少なくすることができる。またタイミング信号と照射許可信号を同じ信号出力を分岐し使用することも可能となる。
一方で、付加装置6にて撮影装置3側の撮影タイミングと放射線制御装置1の放射線照射タイミングとを考慮し、それぞれが必要なタイミングにてタイミング信号と照射許可信号を出力するように構成しても良い。付加装置6は多種の撮影装置3A~3Cや放射線制御装置1と組み合わせて使用することを想定しており、組み合わせる撮影装置3A~3Cや放射線制御装置1によっては、タイミング信号や照射許可信号を受けてから実際に撮影シーケンスの一部や放射線照射を行うタイミングを調整することが出来ない装置もある。そこで付加装置6が撮影装置3A~3Cや放射線制御装置1の動作タイミングを勘案してタイミング信号や照射許可信号を出力することで、多種の撮影装置3A~3Cや放射線制御装置1と組み合わせて撮影を行うことが可能となる。付加装置はこれら多種の撮影装置3A~3Cや放射線制御装置1の特性に合わせるために、それぞれの信号出力のタイミングを個別に調整可能な構成としても良い。
さらに、照射許可信号の出力タイミングに対して、撮影装置3A~3Cそれぞれに出力するタイミング信号の出力タイミングを、撮影装置3A~3Cそれぞれに合わせて、それぞれのタイミングで出力するように、それぞれ調整可能な構成としてもよい。
それぞれの撮影装置3A~3Cに合わせてタイミング信号を出力することを可能にすることで、撮影動作が異なる撮影装置3A~3Cを組み合わせても安定したタイミングで連続的に撮影を行うことが可能となる。
【0120】
放射線制御装置1の放射線制御部11は、照射許可信号を受信する度に、照射指示信号と照射許可信号が揃うこととなるため、照射信号を高電圧発生部12へ繰り返し送信する。
高電圧発生部12は、照射信号を受信する度に、放射線照射に必要な高電圧を繰り返し発生させ、その高電圧を照射出力として放射線発生部2へ繰り返し出力する。
放射線発生部2は、照射出力が入力される度に、撮影装置3A~3Cに対して放射線を繰り返し照射する(ステップS29)。
照射された放射線は、撮影装置3A~3Cと放射線発生部2との間に配置された図示しない被検体を透過し、撮影装置3A~3Cに入射する。
【0121】
一方、撮影装置3A~3Cは、タイミング信号を受信したタイミングに応じて、入射した放射線の強度に応じた量の電荷を蓄積し(ステップS30)、それを撮影画像として読み出す(ステップS31)ことを繰り返す。
撮影装置3A~3Cは、読出した撮影画像を、コンソール4へ転送する(ステップS32)。
なお、撮影画像をコンソール4へ転送するよう構成した場合であって、データ量や通信環境の都合上、コンソール4への転送が間に合わない場合には、複数の撮影画像のうちの一部の撮影画像、あるいは一枚の撮影画像の一部をメモリーに保存し、残りをコンソール4へ転送するようにしてもよい。
【0122】
ここで図5では、付加装置6は、撮影装置3A~3Cの全てから照射開始許可信号を受信した後、照射許可信号を出力して撮影装置3A~3Cが放射線照射された画像を取得する前に、1回だけタイミング信号を撮影装置3A~3Cに照射し、撮影装置3A~3Cに放射線が照射される直前の画像を取得するシーケンスとしている。
このように、付加装置6にてタイミング信号と照射許可信号を出力するタイミングを調整し、放射線照射直前に放射線を照射しない状態での画像を取得するシーケンスとしても良い。このような画像は放射線を照射して撮影する直前の暗画像として、以降に放射線を照射して撮影する画像に対してオフセット補正を行う画像などとして使用することが出来る。
あるいは図5とは異なり、付加装置6は撮影装置3A~3Cから照射開始許可信号を受信すると、次のタイミング信号と照射許可信号を出力するタイミングで、タイミング信号と照射許可信号を出力し、放射線を照射して撮影を行う直前の暗画像は取得せずに、放射線撮影を行うようにしても良い。この場合、事前に取得した補正用データを用いてオフセット補正などの補正を行えば良く、撮影者の撮影指示後に迅速に撮影を行うことが可能となる。
あるいは、連続した放射線照射された撮影の後に、放射線照射タイミングの照射許可信号は出力せずに、撮影タイミングのタイミング信号のみを必要な回数出力し、事後に暗画像を取得し、これらの画像を用いてオフセット補正などの補正を行う構成としてもよい。
【0123】
以下、図8を参照して、タイミング信号に基づく放射線制御装置1及び撮影装置3A~3Cの動作の一例について説明する。ここでは、撮影装置3A~3Cにおいて、タイミング信号に合わせて電荷の蓄積を開始する場合について説明を行う。
撮影装置3A~3Cは、付加制御部61からタイミング信号を受信すると、各走査線32bへオフ電圧を印加することで、図8に示したように、放射線検出素子32dが発生させた電荷を画素内に蓄積可能な状態に遷移する(t1,t5,t9,・・・)。
付加制御部61は、タイミング信号を送信したタイミングに連動したタイミングで照射許可信号を出力し、放射線制御装置1は、照射許可信号に応じて放射線を撮影装置3A~3Cに照射する(t2,t6,t10,・・・)。
撮影装置3A~3Cは、自身が持つ計時手段により、所定時間電荷を蓄積するモードを継続する(t1~t3,t5~t7,t9~t11,・・・)。
【0124】
撮影装置3A~3Cは、上記電荷を蓄積するモードでいる間に放射線を受けると、放射線検出部32の各放射線検出素子32dで電荷を生成し、それを各画素に蓄積する(ステップS28)。
その後、撮影装置3A~3Cは、自身が持つ計時手段により、上記所定時間経過後に各スイッチ素子32eにオン電圧を印加することで、各画素に蓄積されていた電荷を信号線32cに放出する読出し動作を行う。読出し動作では、撮影装置3A~3Cは、読出し部34で流れ込んできた電荷に基づく画像データを読出して画像データ化する。また画像データ化した画像データは撮影装置3A~3Cのメモリーに記憶する、あるいは画像データの少なくとも一部をコンソール4へ転送する、あるいはその両方の行う(t3~t4,t7~t8,t11~t12,・・・)。その後、次のタイミングでの蓄積するモード時に、それ以前の蓄積するモード時に蓄積した電荷が影響しないように、各画素に蓄積された電荷を放出するなどの初期化を行う(t4~t5、t8~t9、t12~t13)。
ここで、図8では読出し動作と初期化を分けて記載し説明を行ったが、読出し動作にて各画素に蓄積されていた電荷を放出することで読出し動作を行うため、読出しと同時に初期化が行われることとなる。そこで読出し動作以外に別段の初期化動作を設けなくてもよい。あるいは読出し以外に、さらに再度電荷を放出させるなどの初期化動作を設けてもよい。
【0125】
(E:撮影終了)
付加装置6には、撮影開始時にコンソール4により、例えば、選択された撮影オーダーに応じた撮影枚数が設定されている。付加装置6は、照射許可信号を出力した回数をカウントし、上記設定された撮影枚数と比較を行い、照射許可信号の出力回数が撮影枚数に達すると、長尺シリアル撮影が完了したと判断する。
付加装置6は、長尺シリアル撮影が完了したと判断すると、撮影開始信号をOFFにして、コンソール4、あるいは撮影装置3A~3C、あるいは放射線制御装置1のうち、少なくとも撮影装置3A~3Cに撮影開始信号OFF信号を送信する(ステップS33)。また、付加装置6は、長尺シリアル撮影が完了したと判断すると、前述のタイミング信号と照射許可信号の少なくとも照射許可信号、または全ての出力を停止する。
【0126】
ここで前述の放射線を照射して撮影する前の暗画像取得と同様に、長尺シリアル撮影後に、付加装置6は、タイミング信号と照射許可信号を出力するタイミングで、タイミング信号のみを出力することで、放射線を照射して撮影した後に放射線を照射しない状態で撮影を行う暗画像取得を行うことも可能である。
放射線照射による撮影の前と、後の暗画像を用いることで、シリアル撮影期間中の暗画像を類推し、類推した暗画像を用いて撮影画像に対してオフセット補正などを行うことで、撮影期間中の変動も考慮した補正が可能となる。
あるいは、放射線を照射して撮影を行う前に暗画像を取得しなかった場合、これら事後の暗画像を用いて放射線を照射した撮影で取得した画像を補正することもできる。
【0127】
撮影装置3A~3Cは、撮影開始信号のOFFを検出すると、自装置のメモリーに保存された本撮影の未転送の撮影画像(残画像という)をコンソール4へ転送する(ステップS34)。撮影装置3A~3Cは、全ての残画像の転送が完了すると、残画像転送完了信号をコンソール4へ送信する(ステップS35)。
【0128】
コンソール4は、撮影装置3A~3Cの全てから残画像転送完了信号を受信すると、送信された画像の確認作業を開始する。
撮影装置3A~3Cは、残画像転送が完了すると、撮影待機状態からスタンバイ状態に状態を遷移させ、スタンバイ開始信号をコンソール4へ送信する(ステップS36)。
コンソール4は、撮影装置3A~3Cの全てからスタンバイ開始信号を受信すると、表示部43に「撮影終了」を表示する(ステップS37)。また、画像の削除を指示する画像削除信号を撮影装置3A~3Cへ送信する(ステップS38)。
なお、画像削除信号は、前記撮影画像の確認作業が完了し、転送されてきた全ての画像に問題がないことを確認した後に送信するように制御しても良い。
【0129】
撮影装置3A~3Cは、画像削除信号を受信すると、自装置のメモリーに保存された長尺シリアル撮影の画像を削除する(ステップS39)。これにより、次の撮影のためにメモリー領域を確保することが出来る。
【0130】
コンソール4の表示部43に表示された「撮影終了」の表示から、撮影者が照射指示スイッチ5の二段目を開放すると(ステップS40)、照射指示スイッチ5は、照射指示信号をOFFにし(ステップS41)、更に放射線制御部11も照射指示信号をOFFにする(ステップS42)。
その後、撮影者が照射指示スイッチ5の一段目を開放すると(ステップS43)、照射指示スイッチ5は、照射準備信号をOFFにし(ステップS44)、更に放射線制御部11も照射準備信号をOFFにする(ステップS45)。
【0131】
付加装置6は、照射指示信号及び照射準備信号がOFFになったことを検知すると、撮影が終了したことを示す撮影終了信号をコンソール4に送信する(ステップS46)。
コンソール4は、付加装置6から撮影終了信号を受信すると、付加装置6に接続解除要求を送信する(ステップS47)。
付加装置6は、コンソール4から撮影終了信号を受信すると、撮影装置3A~3Cとの接続を解除し(ステップS48)、シーケンス開始信号をOFFにして撮影シーケンスを終了し、撮影指示を待機する状態に遷移する。
本実施形態に係るシステム100は以上のように動作し、これにより複数のフレーム画像を短時間に繰り返し撮影する長尺シリアル撮影が行われる。
【0132】
[変形例1:撮影装置3A~3Cにて撮影済み枚数をカウント]
なお、上記実施形態では、付加装置6が照射許可信号を送信した回数をカウントし、カウントした照射許可信号の出力回数が最大撮影枚数に達した場合に、最大撮影枚数に到達したと判断する例を示したが、撮影装置3A~3Cが照射開始許可信号送信以降にタイミング信号を受信した回数、あるいはタイミング信号を受信し撮影装置3A~3Cの各画素の電荷読出しを行った回数、あるいは撮影装置3A~3Cの読出しを行い画像の保存、あるいはコンソール4への転送を行った回数をカウントし、それらが予め設定された最大撮影枚数に達したかで判断を行う装置構成としてもよい。
撮影に使用した撮影装置3A~3Cから、コンソール4、あるいは付加装置6に撮影枚数に達したことを通知する構成としても良い。コンソール4あるいは付加装置6は、撮影に使用した全ての撮影装置3A~3C、あるいはその一部から撮影枚数に達したと通知を受けることで撮影を終了する構成としても良い。
撮影装置3A~3Cにて実際に撮影を行った撮影枚数により撮影終了タイミングを制御することにより、より正確に撮影枚数による制御を行うことが可能となる。
このことにより、例えば意図しないノイズなどによる障害により、放射線照射回数と撮影回数が異なってしまう場合が生じた際にも、撮影枚数に基づいて撮影を制御することが可能となる。
【0133】
[変形例2:シリアル撮影時の放射線制御部の動作]
上記実施形態では、放射線制御部11が、照射指示スイッチ5から照射指示信号を受信するとともに、付加制御部61から照射許可信号を繰り返し受信するようになっていた。
この照射許可信号は、例えば長尺動態画像の個々のフレームを撮影するための放射線照射に対応したパルス信号として放射線制御部11に送信される。そして、放射線制御部11は、繰り返し受信する照射許可信号の各々に対して、1対1で照射信号を高電圧発生部12に送信し、放射線を照射する。
また、1枚の静止画を撮影する場合には、放射線制御部11が、1回の照射指示信号の受信に対して1回の照射許可信号の送信を行えば十分である。
【0134】
そこで、静止画を撮影するために、1回の照射指示信号に対して照射許可信号が複数回受信され、放射線が誤って複数回照射されないようにするため、放射線制御部11を、1回の照射指示信号に対して照射許可信号が複数回受信されても、初めの1回の照射許可信号の入力に対して照射信号を1回しか送信しないような構成とすることができる。例えば、これは1回の照射許可信号の入力に対して1回の照射信号出力後に、一定期間は照射許可信号の入力に対して照射信号出力を行わないように制御する構成を用いることができる。
【0135】
一方で、上述したように放射線制御部11が1回の照射許可信号に対して照射信号を一回しか送信しないようにすると、本実施形態に係るシステム100のように、1回の照射指示信号に対して放射線の照射を複数回繰り返すシリアル撮影を行うことができない。
そこで、放射線制御部11を、撮影者が照射指示スイッチ5を押下している期間である1回の照射指示信号入力期間に、照射許可信号を複数回受信した場合には、照射許可信号に応じて照射信号を高電圧発生部12へ複数回送信するような構成としてもよい。
このようにすることで、1回の照射指示信号に対して放射線の照射を複数回繰り返すシリアル撮影を行うことが可能となる。
【0136】
なお、上述した(1)1回の照射許可信号に対して照射信号を1回しか送信しない制御モードと、(2)照射指示信号入力期間に、照射許可信号が複数回入力された場合には、照射許可信号の入力に応じて、照射信号を高電圧発生部12へ複数回送信する制御モードは、撮影種類(静止画撮影か、シリアル撮影か)に応じて切り替えるようにしてもよい。
この撮影種類に応じた放射線制御部11の制御モードの切り替えは、コンソール4で行うことが可能とし、コンソール4から、撮影種類を示す信号を受信したことに基づいて変更するように構成してもよい。
このような構成とすることで、静止画を撮影する際に誤って複数回の放射線が照射され、被検体を無駄に被曝させる危険を確実に防止することが可能となる。
【0137】
[変形例3:シリアル撮影時の放射線制御部のタイミング制限]
ここで、放射線制御部11は、照射指示スイッチ5から撮影期間中に継続的に入力される照射指示信号と共に、付加制御部61から長尺シリアル撮影の各々のフレームに対する放射線照射に対応して照射許可信号が連続的に送信された場合に、連続した2つの照射許可信号の間隔が特定の間隔より短い場合には照射信号を高電圧発生部12に送信しないように制御することも可能である。
例えば、付加制御部61から放射線制御部11へ送信される照射許可信号に電気的なノイズが混入し、意図しないタイミングで照射許可信号と同様の信号を放射線制御部11が受信してしまうと、高電圧発生部12が、放射線照射に必要な高電圧を生成するのに間に合わないほど短い間隔で照射許可信号を繰り返し受信したのと同様の状況となる場合がある。このような場合に放射線制御部11が照射信号を無理に高電圧発生部12へ送信してしまうと、高電圧発生部12に過度の電流が流れ、高電圧発生部12が故障してしまう場合がある。
【0138】
そこで、上記実施形態において、放射線制御部11を、照射指示スイッチ5から入力される照射指示信号がONになっている間、付加制御部61から照射許可信号が繰り返し受信した場合に、連続した2つの照射許可信号の受信間隔の長さを、予め設定された最低受信間隔と比較し、最低受信間隔より短いと判定した場合には照射信号を高電圧発生部12に送信しないように構成することも可能である。最低時間間隔は、撮影のフレームレートから適切な最低時間間隔を設定するように構成しても良い。
このようにすれば、高電圧発生部12に過度の電流が流れ、高電圧発生部12が故障してしまうのを防ぐことができる。
【0139】
[変形例4:同期元との連動開始のタイミング]
上記実施形態においては、撮影シーケンスの開始から撮影装置3A~3Cの同期元との連動をスタートさせる(付加装置6から撮影装置3A~3Cにタイミング信号を送信する)こととして説明したが、照射指示スイッチ5の一段目が押下されてから撮影装置3A~3Cの同期元との連動をスタートさせることとしてもよい。あるいは、照射指示スイッチ5の二段目が押下されてから撮影装置3A~3Cの同期元との連動をスタートさせることとしてもよい。無駄に早い段階から同期元との連動を行うと、実際の撮影時に同期元との連動がずれてしまう可能性もあるが、撮影の前の準備段階で同期元との連動を開始することにより、同期元との連動がずれることを防止することが可能となる。
【0140】
[変形例5:同期元との連動開始のタイミング]
また、撮影装置3は、種類によって同期元と連動するのに必要な時間が異なるため、撮影に使用される撮影装置3A~3Cの種類に基づいて同期元との連動をスタートさせる時期を決定してもよい。例えば、撮影装置3A~3Cが必要とするリセット開始タイミングに応じて、同期元との連動をスタートさせることとしてもよい。例えば、撮影装置3A~3Cにおいて蓄積動作前に各画素に蓄積された電荷をリセットする必要がある場合には、リセット完了後に同期元との連動をスタートさせることとしてもよい。また、撮影装置3A~3Cの種類が異なる組み合わせの場合、最も時間がかかる撮影装置に合わせて同期元との連動を開始することとしてもよい。また、撮影装置3A~3Cの種類が異なる組み合わせの場合、それぞれの撮影装置3A~3Cは同期元との連動を完了させるのに必要な時間が異なる場合がある。そこで、各々の撮影装置3A~3Cが同期を完了させるために必要な時間から、必要とするタイミングで同期元との連動を開始することとしてもよい。
【0141】
[効果]
以上説明してきたように、本実施形態に係るシステム100は、図1に示した従来システム100Aにおける、1回の放射線の照射指示に対して放射線の照射を1回しか行うことができない放射線制御装置1に、付加制御部61を接続したことにより、放射線制御装置1が一回の照射指示信号の取得(ON検知)に対して照射信号を複数回出力できるようになっている。このため、撮影装置3A~3Cを用いた、静止画の撮影を短時間に複数回繰り返し行う撮影、すなわちシリアル撮影を行うことが可能となる。
また、図1に示した従来システム100Aは、単純な静止画を撮影する放射線装置として広く普及している。このため、従来システム100Aを使用している医療機関は、高価な放射線発生装置(放射線制御装置1、高電圧発生部12、放射線発生部2)を更新することなく、撮影装置3及び付加装置6を追加するだけで、既存の放射線発生装置を含む従来システム100Aをシリアル撮影に対応したものに容易に改造することができる。
【0142】
また、システム100において、コンソール4において撮影に使用する全ての撮影装置3(3A~3C)が、同期元である特定の付加装置6に接続されていることを確認してから撮影を行うので、撮影に使用する撮影装置3の一部が他の同期元に接続した状態で撮影を行ってしまい、撮影に使用する他の撮影装置3と異なるタイミングで撮影を実施してしまうために全ての撮影装置3(3A~3C)で正しく撮影を行うことが出来なくなるリスクを極力抑えることが可能となる。これにより、撮影が失敗となり、被検体を無駄に被曝させるリスクを極力抑えることが可能となる。
【0143】
<従来技術1-B>
次に、本発明の第1-B実施形態に係るシステム200(詳細後述)の元となる従来技術1-Bについて、図9を参照しながら説明する。なお、上記従来技術1-Aと同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0144】
[システム構成]
まず、従来技術1-Bに係る放射線撮影システム(以下、従来システム200A)の概略構成について説明する。図9は、従来システム200Aの概略構成を表すブロック図である。
【0145】
従来システム200Aは、例えば図9に示したように、放射線制御装置1Aが備える放射線制御部11Aの構成が上記従来システム100Aのものと異なる。
具体的には、従来システム100Aの放射線制御部11は、放射線制御コンソール41からの照射準備信号や照射指示信号がONになったことを検知したことに基づいて、それらを外部機器へ向けて出力することが可能に構成されていたが、従来システム200Aの放射線制御部11Aは、こうした構成を有していない。
また、従来システム100Aの放射線制御部11は、外部機器から照射許可信号を受信することが可能に構成されていたが、従来システム200Aの放射線制御部11Aは、こうした構成も有していない。
その他の従来システム200Aの各部の構成やその変形例については、従来システム100Aで説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0146】
[動作]
次に、上記従来システム200Aの動作について説明する。
【0147】
(照射準備動作)
撮影者により照射指示スイッチ5の一段目が押下されると、照射指示スイッチ5は、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11Aへ出力する照射準備信号をONにする。
放射線制御部11Aは、照射準備信号がONになったことを検知すると、高電圧発生部12へ出力する照射準備信号をONにする。
なお、図9においては、放射線制御部11Aから外部機器への照射準備信号の出力は図示していないが、外部機器と連携して動作する場合には、外部機器への照射準備信号を出力しても構わない。
高電圧発生部12は、照射準備信号がONになったことを検知すると、照射準備出力を放射線発生部2へ出力する。
【0148】
放射線発生部2は、照射準備出力が入力されると、放射線を発生させるための準備を始める。
陽極を回転陽極とした場合には、例えば回転陽極を回転させる等の動作を行う。
【0149】
(照射動作)
続いて、撮影者により照射指示スイッチの二段目が押下されると、照射指示スイッチ5は、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11Aへ出力する照射指示信号をONにする。
なお、図9においては、放射線制御部11Aから外部機器への照射指示信号の出力は図示していないが、外部機器と連携して動作する場合には、外部機器への照射指示信号を出力しても構わない。
【0150】
従来技術1-Bにおいては、外部機器からの照射許可信号を受信する構成となっていないため、照射指示信号と照射許可信号が揃った場合に照射信号を送信するという制御を行わない。このため、放射線制御部11Aは、照射指示信号がONになったことを検知するだけで、照射信号を高電圧発生部12へ送信する。
高電圧発生部12は、照射信号を受信すると、放射線発生部2での放射線照射に必要な高電圧を照射出力として放射線発生部2に印加する。
放射線発生部2は、高電圧発生部12から高電圧を印加されると、印加された電圧に応じた放射線を発生させる。
発生した放射線は、図示しないコリメーター等の制御器により照射の方向、領域、線質等が調整され被検体及びその背後のカセッテ3αへ照射される。放射線は一部が被検体を透過してカセッテ3αへ入射する。
カセッテ3αに放射線が入射すると、格納されているフィルム又は蛍光板に放射線画像が形成される。
【0151】
ここで、回転陽極の回転が十分な速度に達する前に照射が行われたりするのを防ぐため、上記従来技術1-Aと同様に、放射線制御部11Aを、上述したような、照射準備信号がONになったことを検知してから所定の待機時間が経過するまで、照射指示信号がONになったことを検知しても照射信号を送信しない構成としてもよい。
【0152】
このように、従来システム200Aを用いた放射線撮影では、上記従来システム100Aを用いた場合と同様、1回の撮影操作に基づいて、被検体の放射線画像(静止画)が一枚だけ撮影される。
【0153】
<第1-B実施形態>
次に、本発明の第1-B実施形態について、図10~12を参照しながら説明する。なお、上記第1-A実施形態と同等の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、第1-A実施形態において挙げた各種変形パターンは、本実施形態にも適用可能である。
【0154】
放射線撮影システムの中には、上記従来技術1-Aに示したような、放射線制御部11に外部から照射許可信号の入力部があり、撮影者からの照射指示と外部からの照射許可に応じて照射信号を送信する放射線制御部11もあるが、一方で、上記従来技術1-Bに示したような、放射線制御部11Aに外部からは照射指示信号の入力部のみを有し静止画を撮影する放射線制御部11Aもある。
本実施形態に係る放射線撮影システム(以下、システム200)は、このような放射線制御部11Aに対しても、付加装置6Aを付加することで、連続的な撮影を行えるようにするものである。
【0155】
[システム構成]
まず、システム200のシステム構成について説明する。図10は、第1-B実施形態に係るシステム200の概略構成を表すブロック図である。
【0156】
本発明に係るシステム200は、例えば図10に示したように、図9に示した従来システム200Aのカセッテ3αを複数の撮影装置3に置き換え、上記第1-A実施形態と同様の撮影装置制御コンソール42と、付加装置6Aと、を更に備えたものとなっている。このシステム200は、上述のシステム100と同様、以下に説明するように複数の撮影装置3を用いて長尺シリアル撮影を行い、被検体の動態を表す長尺動態画像を取得可能なシステムである。なお、以下の実施形態においては、3つの撮影装置3を用いて撮影を行う場合を例にとり説明するが、使用する撮影装置の台数は特に限定されない。また、撮影に使用される撮影装置3を撮影装置3A~3Cとして説明する。
【0157】
付加装置6Aは、付加制御部61Aと、インターフェース部(以下、I/F部67)と、を備えている。
なお、図10には、付加装置6Aとして、付加制御部61AとI/F部67とを分けて構成したものを例示したが、これらは一体に構成してもよい。
【0158】
付加制御部61Aは、上記第1-A実施形態と同様の第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64及び第二接続部65の他に、第三接続部66を有する。
また、I/F部67は、第一AND回路67aと、第二AND回路67bと、を有する。
第一取得部62は第一AND回路67aの一方の入力部と、第三接続部66は、第一AND回路67aの他方の入力部とそれぞれ接続されている。
また、第二取得部63は第二AND回路67bの一方の入力部と、第二接続部65は第二AND回路67bの他方の入力部とそれぞれ接続されている。
【0159】
また、第1-A実施形態に係るシステム100は、照射指示スイッチ5がコンソール4に接続され、照射指示スイッチ5が照射準備信号や照射指示信号を放射線制御装置1を介して付加装置6へ出力するようになっていたが、本実施形態に係るシステム200は、照射準備信号や照射指示信号を出力可能な照射指示スイッチ5が付加装置6Aに直接接続されている。
そして、付加装置6Aは、照射指示スイッチ5からの照射準備信号や照射指示信号を付加制御部61AとI/F部67の第一,第二AND回路67a,67bの一方の入力部とにそれぞれ入力することが可能となっている。すなわち、第一取得部62は照射準備信号を、また第二取得部63は照射指示信号を、照射指示スイッチ5から直接取得することが可能となっている。
なお、照射指示スイッチ5が設けられた、あるいは照射指示スイッチ5と接続された基板又は機器がI/F部67に接続された構成とし、第一,第二取得部62,63は、照射指示スイッチ5が出力した照射準備信号や照射指示信号を、基板又は機器を介して取得するよう構成してもよい。
【0160】
また、本実施形態に係る第三接続部66は撮影準備完了信号を、第二接続部65は照射許可信号を第一,第二AND回路67a,67bへそれぞれ出力し、第一,第二AND回路67a,67bにて照射指示スイッチ5からの照射準備信号、照射指示信号とAND条件が成立した場合に、照射準備信号、照射指示信号を、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11Aへそれぞれ出力することが可能となっている。
すなわち、本実施形態に係る第三接続部66および第二接続部65はそれぞれ、I/F部67を介して放射線制御装置1Aと接続可能となっている。
【0161】
なお、図10においては、照射指示スイッチ5からの照射準備信号もI/F部67にて付加制御部61Aと第一AND回路67aとに入力されるように分岐し、付加制御部61Aからの撮影準備完了信号とAND条件が成立した際にI/F部67より照射準備信号が出力される例を示した。しかしながら、照射準備信号についてはこのような構成とはせず、照射指示スイッチ5より放射線制御コンソール41や放射線制御部11Aに直接出力される構成としても良い。
【0162】
また、図10には、第一接続部64(64a、64b、64c)が撮影装置3A~3Cと情報や信号を直接送受信している構成を例示したが、第一接続部64(64a、64b、64c)は、信号を中継可能な図示しない中継部を介して他の装置と接続可能としてもよい。
また、図10には、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65が別々に設けられた場合を例示したが、第一取得部62、第二取得部63、第一接続部64、第二接続部65、第三接続部66のうちの少なくとも2つは一体に構成されて(各部62~66が兼用となって)いてもよい。
また、図示は省略するが、付加装置6Aが出力した照射準備信号及び照射指示信号を、放射線制御コンソール41を介さず、放射線制御部11Aに直接入力する構成としてもよい。
照射準備信号及び照射指示信号が、コンソール4を介して放射線制御部11Aに入力される場合には、コンソール4は放射線制御部11Aと同様に、撮影者から照射準備、照射指示がされたことを認識することが可能となり、それらの入力信号に応じて、コンソール4にて照射準備、照射指示に応じた動作や表示などの通知を行うことが可能となる。
一方で、照射準備信号及び照射指示信号が、コンソール4を介さずに放射線制御部11Aに入力される場合、放射線制御部11Aは他の機器の影響を受けることなく、照射準備、照射指示の信号を受けることが可能となり、より安定した確実な動作が可能となる。
【0163】
また、付加制御部61Aは、実行するプログラムが第1-A実施形態に係る付加制御部61と異なっているが、構造は第1-A実施形態に係る付加制御部61と同様のものとすることもできる。(図2では図示を省略しているが、第1-A実施形態に係る付加制御部61も第三接続部66を備えているが、プログラムにこれを使用するコマンドを含めていないことで、付加制御部61と同様のものを使用することも可能となる)。あるいは付加制御部61Aは付加制御部61とは別に、必要な機能に限定したものを用いても良い。
付加制御部61Aは、照射指示スイッチ5からの照射準備信号がONになったことを検知すると、撮影装置3A~3C及びコンソール4のうちの少なくとも一方の装置へ出力する撮影準備信号をONにするようになっている。
また、付加制御部61Aは、コンソール4及び撮影装置3A~3Cのうちの少なくとも一方の装置からの撮影準備完了信号がONになっていることを検知すると、I/F部67の第一AND回路67aの他方の入力部へ出力する撮影準備完了信号をONにするようになっている。
【0164】
また、付加制御部61Aは、照射指示スイッチ5からの照射指示信号がONになったことを検知すると、撮影装置3A~3C及びコンソール4のうちの少なくとも一方の装置へ出力する撮影開始信号をONにするようになっている。
また、付加制御部61Aは、コンソール4及び撮影装置3A~3Cのうちの少なくとも一方の装置からの照射開始許可信号がONになったことを検知すると、第1-A実施形態と同様の照射許可信号(例えばパルス状の信号)を、I/F部67の第二AND回路67bの他方の入力部へ所定周期で繰り返し出力するようになっている。
また、付加制御部61Aは、第1-A実施形態と同様のタイミング信号(例えばパルス状の信号)を撮影装置3A~3Cへ所定周期で繰り返し出力するようになっている。
このように、照射許可信号やタイミング信号の送信タイミングを制御するため、付加制御部61Aに、第1-A実施形態と同様の計時手段を有する構成とすることができる。
【0165】
[動作]
次に、上記システム200の動作について説明する。図11,12は、本実施形態に係るシステム200の動作を表すラダーチャートである。図11,12に示すラダーチャートの放射線制御装置1Aの動作は、放射線制御部11Aの制御により実行される。撮影装置3A~3Cの動作は、撮影制御部31の制御により実行される。付加装置6Aの動作は、付加制御部61Aの制御により実行される。コンソール4の動作は、コンソール4のCPUとROMやRAMに記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0166】
「A:機器設置時、装置立ち上げ時、接続機器変更時、定期的な接続機器確認時」の動作(ステップS1,S2)及び「B:撮影準備」における動作(ステップS3~S15)は、図11に示したように、上記第1-A実施形態と同様である。
【0167】
(C:照射前処理)
付加装置6Aは、引き続きタイミング信号を撮影装置3A~3Cへ繰り返し送信し、撮影装置3A~3Cは、このタイミング信号を受信する度に、撮影装置3A~3Cの読出し動作を繰り返す。ここで、撮影装置3A~3Cは、補正用データなどの画像が必要な場合は読出した電荷を画像化するが、画像が必要でない場合には読出した電荷を画像化せずに捨てる、リセット動作としても良い。あるいは画像化し、画像を捨てるリセット動作としても良い。
撮影者が被検体のポジショニングを終え、照射指示スイッチ5の一段目を押下すると(ステップS16)、照射指示スイッチ5は、付加装置6Aへ出力する照射準備信号をONにして出力する(ステップS17A)。
【0168】
照射準備信号は、付加制御部61AとI/F部67の第一AND回路67aの一方の入力部とにそれぞれ入力される。
このとき、第一AND回路67aの他方の入力部には、付加制御部61Aが接続されている。このため、照射指示スイッチ5から第一AND回路67aの一方の入力部に入力される照射準備信号がONになっていても、他方の入力部へ入力される撮影準備完了信号がONではない場合、第一AND回路67aから放射線制御コンソール41へ出力される照射準備信号はOFFのままである。
【0169】
付加制御部61Aは、照射指示スイッチ5からの照射準備信号がONになったことを検知すると、撮影準備を指示する撮影準備信号を、コンソール4へ送信する(ステップS19)。
コンソール4は、撮影準備信号を受信すると、撮影準備を行う。
【0170】
コンソール4での撮影準備は、例えばコンソール4を構成する撮影装置制御コンソール42と、放射線照射を制御する放射線制御コンソール41の設定が同じであることを確認したり、放射線制御装置1A及び撮影装置3A~3Cに指定した撮影条件等が設定されていることを確認したりする動作である。
また、コンソール4は、この段階にて、第1-A実施形態で説明したように、撮影装置3A~3Cに状態通知を依頼し、上述の撮影装置3A~3Cの状態確認の少なくとも1つを、最終確認として再度行ってもよい。
また、コンソール4は、この撮影準備が完了した段階にて、コンソール4への撮影条件変更等の入力をロックし、変更できないようにする構成としても良い。
【0171】
なお、図11には、撮影準備信号を付加装置6Aからコンソール4へ出力する場合を例示したが、撮影準備信号をコンソール4ではなく撮影装置3A~3Cへ出力し、撮影装置3A~3Cに撮影準備を行わせ、撮影装置3A~3Cの撮影準備が完了したら撮影装置3A~3Cから撮影準備完了信号を付加装置6Aへ出力する場合もある。
また、コンソール4と撮影装置3A~3Cの双方に撮影準備信号をそれぞれ出力し、双方にそれぞれ撮影準備をさせ、双方の撮影準備が完了したらコンソール4と撮影装置3A~3Cから撮影準備完了信号を付加装置6Aへそれぞれ送信し、付加装置6Aが双方の撮影準備完了信号を受信した段階で全体の撮影準備が完了したと判断する場合もある。
【0172】
また、図示は省略するが、コンソール4及び撮影装置3A~3Cのうちの少なくとも一方の装置が、外部機器から撮影準備が完了したか否かを示す撮影準備完了信号を入力する接続部を有する場合には、コンソール4及び撮影装置3A~3Cのうちの少なくとも一方の装置を、外部機器からの撮影準備完了信号がONになったことを検知した場合に、撮影準備完了信号をONにする構成としてもよい。
あるいは、図示は省略するが、付加装置6A又は付加制御部61Aに、外部機器へ撮影準備信号の出力を行う接続部、もしくは外部機器からの撮影準備完了信号を入力可能な接続部を設けてもよい。
これにより、付加装置6A又は付加制御部61Aより外部機器へ撮影準備を指示したり、あるいは外部機器の撮影準備完了を検知し、外部機器の撮影準備が完了したことにも応じてI/F部へ撮影準備完了信号を出力したりすることができるようになる。
【0173】
付加装置6Aは、撮影準備完了信号がONになったことを検知することで、コンソール4及び撮影装置3A~3Cにおいて撮影準備が完了した状態であることを知ることが可能となり、撮影準備完了信号がONになった後に放射線照射を行うように制御することで、コンソール4及び撮影装置3A~3Cのうちの少なくとも一つが撮影不可の状態で放射線を照射してしまい、被検体に無駄な被曝をさせる危険性を確実に排除することが可能となる。
【0174】
コンソール4は、撮影準備信号がONになったことを検知する、あるいは撮影準備動作に入る、あるいは撮影準備動作が完了した場合に、撮影準備信号を受信したか否かを示す信号、あるいは撮影準備動作に入ったか否かを示す信号、あるいは撮影準備動作が完了したか否かを示す撮影準備完了信号をONにする(ステップS20)。また、コンソール4の表示部43に「撮影中」と表示する(ステップS21)。
【0175】
付加装置6Aは、撮影準備完了信号がONになったことを検知すると、I/F部67の第一AND回路67aの2つの入力部の内、照射指示スイッチ5からの照射準備信号が入力された入力部と異なる入力部へ出力する撮影準備完了信号をONにする。
このとき、I/F部67の第一AND回路67aの2つの入力部に入力される、照射指示スイッチ5からの照射準備信号と、付加制御部61Aからの撮影準備完了信号が共にONになるため、第一AND回路67aは、放射線制御コンソール41へ出力する照射準備信号をONにする。
【0176】
放射線制御コンソール41は、照射準備信号がONになったことを検知すると、放射線制御部11Aへ出力する照射準備信号をONにする。すなわち、付加装置6Aは、放射線制御コンソール41を介して放射線制御装置1Aへ送信する照射準備信号をONにする(ステップS18A)。
放射線制御装置1A(放射線制御部11A,高電圧発生部12、放射線発生部2)は、照射準備信号がONになったことを検知すると、上記第1-A実施形態と同様の放射線照射のための準備を行う。
【0177】
なお、ここでは、付加装置6Aが、撮影装置3A~3Cやコンソール4の撮影準備が完了したのを確認(撮影準備完了信号を受信)してから放射線制御部11Aへ照射準備信号を送信する場合について説明したが、撮影装置3A~3Cやコンソール4の撮影準備完了を確認せずに、照射準備信号を撮影装置3A~3Cやコンソール4へ送信するのと同時に放射線制御部11Aへ送信する構成としてもよい。
この場合、I/F部67の第一AND回路67aは不要であり、照射指示スイッチ5から受信した照射準備信号を、コンソール4、撮影装置3A~3C、放射線制御コンソール41又は放射線制御部11Aへそれぞれ分配する構成としてもよい。
【0178】
(D:撮影実行)
続いて、撮影者が照射指示スイッチ5の二段目を押下すると(ステップS22)、照射指示スイッチ5は、付加装置6Aへ出力する照射指示信号をONにする(ステップS23A)。
このとき、付加装置6Aは、引き続きタイミング信号を撮影装置3A~3Cへ繰り返し送信し、撮影装置3A~3Cは、このタイミング信号を受信する度に、読出し動作を繰り返している。ここで、補正用データなど画像が必要な場合は、読出した電荷を画像化するが、画像が必要でない場合には読出した電荷を画像化せずに捨てる、リセット動作としても良い。あるいは画像化し、画像を捨てるリセット動作としても良い。
【0179】
照射指示信号は、付加制御部61AとI/F部67の第二AND回路67bの一方の入力部とにそれぞれ入力される。
このとき、第二AND回路67bの他方の入力部には、付加制御部61Aが接続されている。このため、照射指示スイッチ5から第二AND回路67bの一方の入力部に入力される照射指示信号がONになっていても、他方の入力部へ照射許可信号がONではない場合、第二AND回路67bから放射線制御コンソール41へ出力される照射指示信号はOFFのままである。
【0180】
付加装置6Aは、照射指示スイッチ5からの照射指示信号がONになったことを検知すると、コンソール4及び撮影装置3A~3Cのうちの少なくとも一方の装置へ出力する撮影開始信号をONにする(ステップS25,S26)。
【0181】
撮影装置3A~3Cは、撮影開始信号がONになったことを検知すると、その時点で自身が行っている読出し動作の特定の動作タイミングを契機として、例えば図12に示したように、付加装置6Aへ出力する照射開始許可信号をONにする(ステップS27)。特定の動作タイミングとしては、例えば撮影装置内の二次元状に配置された画素に蓄積された電荷の読出しが、二次元状全体にわたり完了したタイミングなどを用いることができる。
これは、撮影装置3A~3Cの読出し動作は、二次元状に配置された画素に蓄積された電荷を順次読み出すことで受光面全体の画像を取得するようになっており、読出しの途中で照射開始許可信号をONにし、放射線が照射されてしまうと、読出しが完了した画素と読出しが完了していない画素とで信号値に差が出てしまい、画像品質を著しく落としてしまうためである。
【0182】
一方、本実施形態においては、後述するように放射線照射と撮影装置3A~3Cの画像読出しが、それぞれ付加装置6Aからの照射指示信号及びタイミング信号に基づいて行われるため、読出し動作の途中で放射線が照射されることは、通常のルーチンでは発生することは無い。このため、照射開始許可信号を前述の撮影装置3A~3Cの読出しタイミングを考慮せずONにする構成としてもよい。
【0183】
撮影装置3A~3Cは、照射開始許可信号がONになった後も画像読出し動作を繰り返す。この照射開始許可信号がONになった後に読出した画像は、撮影画像として撮影装置3A~3Cのメモリーに保存、あるいはコンソール4へ転送するようにする。あるいは各放射線検出素子32dの電荷を読出した画像として、その一部あるいは全部をメモリーに記憶し、その一部あるいは全部をコンソール4へ送信する構成としても良い。
【0184】
後述するように、長尺シリアル撮影では比較的短い時間間隔で撮影を繰り返すため、撮影画像をコンソール4へ送信することが、撮影間隔に間に合わない場合がある。特に撮影装置3A~3Cと付加制御部61A、あるいは撮影装置3A~3Cとコンソール4とを無線通信により接続する場合、無線状況により通信速度が影響を受けるため、前述のように撮影装置3A~3C内のメモリーに撮影した画像データを格納しておき、撮影動作中は一部をコンソール4へ送信し、全ての撮影が完了した後に、その一部あるいは全部をコンソール4へ送信することにより、画像データの喪失や転送遅延による撮影エラーを生じさせることなく撮影を継続することが可能となるようにしてもよい。
【0185】
また、コンソール4は、この段階にて、第1-A実施形態で説明したように、撮影装置3A~3Cに状態通知を依頼し、上述の撮影装置3A~3Cの状態確認のうち少なくとも1つを、最終確認として再度行っても良い。そして、再度確認を行った結果、撮影装置3A~3Cの全てが撮影を継続可能な状態と判定した場合に、撮影装置3A~3Cが付加装置6Aに照射開始許可信号を出力するように、撮影装置3A~3Cに制御信号を送信しても良い。
【0186】
付加装置6Aは、撮影装置3A~3Cからの照射開始許可信号を受けることで、各撮影装置3A~3Cが撮影可能状態であることを検知することが出来る。そこで、付加装置6Aは撮影に使用する全ての撮影装置3A~3Cから照射開始許可信号を受けとった際に、放射線制御部11Aへ放射線の照射を許可する照射許可信号を出力できるようにインターロックを解除する構成としても良い。これは後述するように状態遷移制御の遷移の一部として実装する構成としても良い。
このように全ての撮影装置3A~3Cからの照射開始許可信号を受けてから、放射線照射を許可する構成とすることで、撮影に使用する一部の撮影装置3の準備が整わないタイミング、あるいは一部の撮影装置3がエラーなどで撮影できない状態で放射線を照射してしまい、被検体を無駄に被曝させてしまうことを防止することが可能となる。
付加制御部61Aは、撮影に使用する全ての撮影装置3A~3Cからの照射開始許可信号を受信すると、撮影に使用する全ての撮影装置3A~3Cが撮影可能状態であると判断し、放射線制御部11Aへ放射線の照射を許可する照射許可信号を出力できるようにインターロックを解除し、タイミング信号を撮影装置3A~3Cへ送信するタイミングに連動したタイミングにて、照射許可信号をI/F部67の第二AND回路67bの他方の入力部へ繰り返し入力する。
このとき、I/F部67の第二AND回路67bに入力される、照射指示スイッチ5からの照射指示信号と、付加制御部61Aからの照射許可信号が共にONになるため、第二AND回路67bは、照射指示信号を、放射線制御コンソール41を介して放射線制御部11Aへ繰り返し送信する(ステップS28A)。付加制御部61Aは、一定の間隔でタイミング信号と照射許可信号を出力するためのタイミング生成部を有し、このタイミング生成部が生成するタイミングに応じて、付加制御部61Aはタイミング信号と照射許可信号の出力を繰り返し継続する。
【0187】
ここで、撮影装置3A~3Cへのタイミング信号および照射許可信号は同時に出力する構成としても良いし、撮影装置3A~3Cの撮影タイミング、放射線制御装置1Aの放射線照射タイミングに合わせて、それぞれ出力する構成としても良い。
撮影装置3A~3Cへのタイミング信号と照射許可信号を同時に出力する場合、信号出力時に出力遅延などでタイミングが変動するリスクを少なくすることができる。またタイミング信号と照射許可信号を同じ信号出力を分岐し使用することも可能となる。
一方で、付加装置6Aにて撮影装置3側の撮影タイミングと放射線制御装置1Aの放射線照射タイミングとを考慮し、それぞれが必要なタイミングにてタイミング信号と照射許可信号を出力するように構成しても良い。付加装置6Aは多種の撮影装置3A~3Cや放射線制御装置1Aと組み合わせて使用することを想定しており、組み合わせる撮影装置3A~3Cや放射線制御装置1Aによっては、タイミング信号や照射許可信号を受けてから実際に撮影シーケンスの一部や放射線照射を行うタイミングを調整することが出来ない装置もある。そこで付加装置6Aが撮影装置3A~3Cや放射線制御装置1Aの動作タイミングを勘案してタイミング信号や照射許可信号を出力することで、多種の撮影装置3A~3Cや放射線制御装置1Aと組み合わせて撮影を行うことが可能となる。付加装置はこれら多種の撮影装置3A~3Cや放射線制御装置1Aの特性に合わせるために、それぞれの信号出力のタイミングを個別に調整可能な構成としても良い。
【0188】
「D:撮影実行」における後半の動作(ステップS29~S32)及び「E:撮影終了」における前半の動作(ステップS33~S39)は、上記第1-A実施形態と同様である。
【0189】
(E:撮影終了)
撮影が終了したことを確認した撮影者が、照射指示スイッチ5の二段目を開放すると(ステップS40)、照射指示スイッチ5は、照射指示信号をOFFにする(ステップS41A)。すると、撮影装置3A~3Cは、撮影開始信号をOFFにする。
【0190】
その後、撮影者が照射指示スイッチ5の一段目を開放すると(ステップS43)、照射指示スイッチ5は、照射準備信号をOFFにする(ステップS44A)。
ステップS46~S47は、上記第1-A実施形態と同様である。
こうして、一連の撮影動作が終了する。
本実施形態に係るシステム200は以上のように動作し、これにより第1-A実施形態に係るシステム100と同様、複数の静止画を短時間に繰り返し撮影するシリアル撮影が行われる。
【0191】
なお、第1-A実施形態で説明した[変形例1:撮影装置3にて撮影済み枚数をカウント]~[変形例5:同期元との連動開始のタイミング]は、第1-B実施形態の構成にも適用可能である。
【0192】
[効果]
以上説明してきたように、本実施形態に係るシステム200は、図9に示した従来システム200Aにおける、1回の放射線の照射指示に対して放射線の照射を1回しか行うことができない放射線制御装置1Aに、付加制御部61Aを接続したことにより、放射線制御装置1Aが一回の照射指示(照射指示スイッチ5の二段目押下)に対して照射信号を複数回出力できるようになっている。このため、複数の撮影装置3を用いた、静止画の撮影を短時間に複数回繰り返し行う撮影、すなわち複数のシリアル撮影を行うことが可能となる。
また、図9に示した従来システム200Aは、単純な静止画を撮影する放射線装置として広く普及している。このため、従来システム200Aを使用している医療機関は、高価な放射線発生装置を更新することなく、撮影装置3A~3C及び付加装置6Aを追加するだけで、既存の放射線発生装置を含む従来システム200Aをシリアル撮影に対応したものに容易に改造することができる。
【0193】
また、システム200において、コンソール4において撮影に使用する全ての撮影装置3(3A~3C)が、同期元である特定の付加装置6Aに接続されていることを確認してから撮影を行うので、撮影に使用する撮影装置3の一部が他の同期元に接続した状態で撮影を行ってしまい、撮影に使用する他の撮影装置3と異なるタイミングで撮影を実施してしまうために全ての撮影装置3(3A~3C)で正しく撮影を行うことが出来なくなるリスクを極力抑えることが可能となる。これにより、撮影が失敗となり、被検体を無駄に被曝させるリスクを極力抑えることが可能となる。
【0194】
<シーケンス状態遷移>
次に、上記第1-A,第1-B実施形態に係るシステム100,200のシーケンス状態の遷移動作について、図13,14を参照しながら説明する。
【0195】
[前提、背景、課題]
上記第1-A,第1-B実施形態に係るシステム100,200は、接続されている各機器が正しい順序で動作しなければ、撮影を正しく行うことができない。
また、信号線へのノイズや信号線の切断等、撮影者が意図しないエラーが生じた場合であっても、撮影を安全に終了させ、意図しない放射線照射等が発生しないようにする必要がある。
【0196】
[動作]
初めに、システム100,200の動作について説明する。図13はシステム100,200の状態遷移図、図14はシステム100,200の動作を表すタイミングチャート、である。
【0197】
本実施形態に係るシステム100,200は、図13に示したように、はじめ、撮影者からの撮影開始指示を受けていない状態である待機状態St1となっている。
その後、コンソール4が、RISやHIS等の上位システム7Sから撮影オーダーを受信し、撮影者が撮影オーダーを選択すると、図14に示したように、コンソール4が撮影装置3A~3C及び付加装置6,6Aへ出力するシーケンス開始信号をONにする(T1)。
すると、撮影装置3A~3C及び付加装置6,6Aは、撮影準備を開始する。これにより、システム100,200は、図13に示したように照射準備状態St2へ遷移する。
【0198】
照射準備状態St2では、図14に示したように、付加装置6,6Aが、タイミング信号を撮影装置3A~3Cへ所定間隔で繰り返し送信し、撮影装置3A~3Cは、このタイミング信号を受信する度に、読出し動作を繰り返すことにより、撮影装置3A~3Cに蓄積される電荷を除去するリセット動作を繰り返し行う。
ここで行われる読出し動作は、撮影画像を取得する際の動作と同じである。しかしながら、リセット動作により取得された画像は、放射線が照射されていない照射準備状態St2で生成されたものであるため、撮影装置3A~3Cのメモリーに保存したり、コンソール4へ転送したりしてもよいが、保存、転送をせずに削除してしまっても構わない。
【0199】
一方、このリセット動作により取得された画像の少なくとも一部は、撮影装置3A~3Cの個々の画素あるいは撮影装置3A~3Cの画像の特性を表すため、例えば撮影画像を補正するための補正用データ(補正用画像)として撮影装置3A~3C内に保存、あるいはコンソール4へ転送することも可能である。
補正用データは、リセット動作を繰り返すことで取得された複数のうちの少なくとも1枚を用いてもよいし、複数の画像における対応する画素の信号値の平均、あるいは時間方向の補間予想値を算出し、それを補正用データとしてもよい。
撮影画像を補正する方法としては、放射線を照射して得られた画像に対して、補正用データの各画素の信号値をそれぞれ差し引くといったものが挙げられる。
【0200】
なお、タイミング信号は照射準備状態St2以外の状態のときにも撮影装置3A~3Cへ送信可能に構成してもよい。さらに、照射準備状態St2へ遷移した場合に、撮影装置3A~3Cへリセット動作を指示するリセット動作指示信号をONにし、撮影装置3A~3Cはリセット動作指示信号がONとなる入力を受けた場合にリセット動作を行う構成としてもよい。
【0201】
撮影者は、撮影装置制御コンソール42あるいは放射線制御コンソール41を用いて撮影条件等を設定し、被検体のポジショニングを行ってから撮影動作に入る。
具体的には、図14に示したように、照射指示スイッチ5を操作し、コンソール4へ送信する照射準備信号をONにする(T2)。すると、システム100,200は、図13に示したように照射起動状態St3へ遷移する。
【0202】
照射起動状態St3では、コンソール4は、放射線制御装置1,1A、撮影装置3A~3C及び付加装置6,6Aの状態を確認し、撮影可能な状態であると判断すると、図13に示したように、付加装置6,6Aへ送信する撮影準備完了信号をONにする(T3)。
ここで、コンソール4が、放射線制御コンソール41に設定された撮影条件と、撮影装置制御コンソール42に設定された撮影条件と、が同じであるか否かを確認する構成としてもよい。また、放射線制御コンソール41に設定された撮影条件と、撮影装置制御コンソール4に設定された撮影条件が同じであれば、同じであるということを表示する構成としてもよい。あるいは、異なっていれば異なっていることを表示する構成としてもよい。
また、放射線制御コンソール41に設定された撮影条件と、撮影装置制御コンソール42に設定された撮影条件と、が異なっている場合には、以降の撮影シーケンスに進めないように制御する構成としてもよい。
また、撮影準備完了信号がONになっている間は、撮影装置制御コンソール42及び放射線制御コンソール41に設定された撮影条件を変更することができないように制御する構成としてもよい。
【0203】
一方、放射線制御装置1,1Aは、照射準備信号がONになっていることを検知すると、放射線の照射準備に入る(T2)。これは、例えば放射線発生部2の回転陽極の回転を開始させる動作等である。
【0204】
また、付加装置6,6Aは、照射準備信号がONになったことを検知すると、設定されたタイマーのカウントを開始する(T2)。
詳細は後述するが、これにより、撮影者が照射指示スイッチ5の二段目を押下(照射指示信号をONに)しても、このタイマーのカウントが所定の待機時間を経過しないうちは後述する照射待機状態St4に移行できないよう制御することが可能となる。
【0205】
この後、撮影者は、照射指示スイッチ5の二段目を押下して照射指示信号をONにする(T4)。なお、図14には、撮影準備完了信号がONになった後に照射指示信号がONとなる場合を例示したが、撮影準備完了信号がONになる前に、照射指示信号がONになるようにしても構わない。
付加制御部61,61Aが、照射指示信号がONとなっていること、撮影準備完了信号がONとなっていること、及びタイマーが所定の待機時間を経過していることを確認すると、システム100,200は、図13に示したように照射待機状態St4へ遷移する。
【0206】
照射待機状態St4では、付加制御部61,61Aは、撮影装置3A~3Cが撮影可能な状態であるか否かを確認する。撮影装置3A~3Cは、自身が撮影可能な状態であるか否かを確認し、撮影可能な状態であると判断した場合には、図14に示したように、照射開始許可信号を付加制御部61,61Aへ送信する(T5)。
撮影可能であるか否かの確認は、例えば所定のリセット動作が完了し、撮影装置3A~3Cの受光部の電荷が除去されているか否か、あるいは受光面上の全ての画素においてリセット動作を完了したか否か(リセット動作は受光面に行列状に広がるように配置された各画素を一行ずつ走査して行うため)を判断する。
付加制御部61,61Aが、撮影装置3A~3Cからの照射開始許可信号がONになっていることを検知すると、100,200は、図13に示したように、照射許可状態St5へ遷移する。
【0207】
照射許可状態St5では、付加制御部61,61Aは、撮影装置3A~3Cへタイミング信号の出力を継続し、タイミングに応じたタイミングで照射許可信号又は照射指示信号を繰り返し放射線制御部11,11Aへ送信する。
また、図14に示したように、付加制御部61、61Aが内部のインターロックである撮影開始信号をONにすると(T5)、タイミング信号の出力に応じたタイミングで、放射線発生装置へ照射許可信号又は照射指示信号を出力することが可能となる。放射線発生装置(放射線制御部11,11A、高電圧発生部12、放射線発生部2)は、照射許可信号又は照射指示信号を受信する度に放射線を発生させ、被検体を透過した放射線が撮影装置3A~3Cに繰り返し入射することが可能となる。
【0208】
照射許可状態St5では、照射開始許可信号がONになった後、付加制御部61,61Aが、タイミング信号、あるいは照射許可信号を送信する度に、撮影済み枚数をカウントするように制御する構成とすることができる。この場合、カウントした撮影済み枚数が、設定した最大撮影枚数に達した場合に撮影開始信号をOFFとし(T6)、システム100,200は、図13に示したように照射終了状態St6へ遷移する。
なお、照射許可信号をカウントすることで撮影済み枚数をカウントする場合には、最後の放射線照射による撮影画像を読み出す必要があるため、読出指示信号をOFFにするタイミングを遅らせるとともに、読出し動作のトリガとなるタイミング信号をさらに1フレーム分送信する構成とすることもできる。このような構成とすることで、設定した最大撮影枚数以上に撮影を継続し、被検体に必要のない放射線照射を行い、被検体を必要以上に被曝させてしまう危険性を排除することが可能となる。
【0209】
その後、撮影者が照射指示スイッチ5の二段目を開放すると、図14に示したように、照射指示信号がOFFになる(T7)。
その後、撮影者が照射指示スイッチ5の一段目を開放すると、照射準備信号がOFFになる(T8)。
そして、付加制御部61,61Aが、自身に入力される全てのシグナルが解除されたことを確認すると、システム100,200は、図13に示したように照射準備状態St2へ遷移する。
ここで、「全てのシグナル」とは、照射準備信号、照射指示信号、付加制御部61,61Aのインターロックである撮影開始信号、撮影装置3A~3Cの照射開始許可信号とすることができる。
【0210】
この後、撮影者が、更に他の撮影を行う、あるいは撮影画像を確認した結果、取得された撮影画像が所望の目的に対して十分なものではないために再撮影を行う必要があると判断した場合には、被検体の状態や撮影条件を変え、再度上述した流れで撮影を行う。
一方、撮影を行う必要が無いと判断した場合には、コンソール4がシーケンス開始信号をOFFにし(T9)、撮影シーケンスを終了する。すると、システム100,200は、図13に示したように待機状態St1へ遷移する。
なお、上記の場合(撮影者の判断)の他、一定時間に撮影者からの入力が無い場合に、待機状態St1へ遷移させる構成としても良い。
【0211】
[撮影を継続しない場合の動作]
なお、上述した状態遷移の流れは、撮影が最大撮影枚数に達するまで継続された場合であるが、種々の状況により最大撮影枚数達するまで撮影を継続できない場合もある。
【0212】
例えば、撮影者が、最大撮影枚数まで撮影する前に撮影を中断したくなった場合には、照射指示スイッチ5の二段目を開放することにより照射指示信号をOFFにする。すると、システム100,200が照射許可状態St5から照射終了状態St6へ遷移する。これは、図13に示した、照射許可状態St5から照射終了状態St6へ遷移する複数のOR条件(照射指示スイッチ5からの照射指示信号がOFFになる、撮影装置3A~3Cからの照射開始許可信号がOFFになる、付加装置6,6Aの撮影開始信号がOFFになる)のうちの一つが成立したことによるものである。
【0213】
照射終了状態St6では、放射線照射は停止され、以降は最大撮影枚数まで撮影された場合と同様に、撮影装置3A~3C内の残画像をコンソール4へ転送する処理や、転送後に撮影装置3A~3C内に保存された画像を削除する処理等を行う。これは、あらかじめ指定した枚数まで撮影を行わなかった場合でも、撮影画像を利用できる場合があり、そのような場合でも通常の画像と同様に撮影者が撮影画像を確認することが出来るようにするためである。
一方で、あらかじめ指定した枚数まで撮影を行わなかったことを撮影画像と紐付けて管理する必要があり、あらかじめ指定した枚数まで撮影を行わなかった場合には、個々の画像、あるいは画像の集合体に対して、あらかじめ指定した枚数まで撮影を行わなかったことを付記し管理する構成とすることが出来る。
またコンソール4は、前記あらかじめ指定した枚数まで撮影を行わなかった場合、付加装置6,6Aからのエラー信号送信等により、あらかじめ指定した枚数まで撮影を行わなかったことを表示する構成としても良い。
【0214】
[エラー発生時の動作]
また、撮影中に付加装置6,6Aと撮影装置3A~3Cとの接続が切断される場合もある。その原因としては、例えば付加装置6,6Aと撮影装置3A~3Cとが有線接続の場合には、ケーブルがコネクターから外れてしまうことが考えられるし、付加装置6,6Aと撮影装置3A~3Cとが無線接続の場合には、無線の混線や、無線機の故障、無線機への電力の切断等が考えられる。
【0215】
そこで、システム100,200に、各シーケンス状態St3~St6におけるエラー(エラー1、エラー2、エラー3、エラー4)発生の有無を監視する機能を持たせ、エラーを検知した場合には、図13の破線で示したようにエラー状態St7へ遷移させるようにしてもよい。
また、エラー状態St7へ遷移した場合には、コンソール4の表示部43等に、どのような内容のエラーでエラー状態St7へ遷移したのかを表示する構成としてもよい。
【0216】
このようなエラーの検知は、例えば図13に示した撮影シーケンスとは別の、各状態における信号を監視するエラー監視シーケンスを並行して進め、エラー監視シーケンスにおいてエラーを検知した場合に、撮影シーケンスを、現在のシーケンス状態St3~St6からエラー状態St7へ遷移させる構成としてもよい。
このようなエラー状態の監視は、例えば各状態St1~St6の状態の適切な間隔での検知を継続し、システム100、200がそれぞれの状態St1~St6の状態にて成立していなければならない状態と異なるかを判断することで実現することが出来る。
例えば、図13において、システム100、200は、照射待機状態St4では、照射指示信号がONであり、照射準備完了信号がONであり、タイマーが所定時間経過している必要があることが図示されているが、照射待機状態St4ではこの条件以外にも記載以外の条件を満たしている必要がある。例えば、撮影を行うためには撮影装置3A~3Cが付加装置6,6Aと接続されている必要があり、また撮影装置3A~3Cの電源がONとなっている必要がある。
そこで、エラー状態の監視では、これら図13に示した以外の状態についても、例えば、撮影装置3A~3Cが通信接続されていることを通知する通信接続状態信号がONであることや、撮影装置3A~3Cの電源がONであることを通知する電源状態信号がONであることを継続的に監視し、これらが状態St1~St6の状態にて成立していなければならない状態と異なるかを判断することで、これらの状態が意図しない操作やノイズなどにより撮影を継続することができない状態になった場合に、図13に示したエラー1~4にてエラーが発生した場合の処理を行うことが可能となる。 あるいは、図13に示した各シーケンス状態St3~St6に動作可能時間をそれぞれ設定するとともに、各シーケンス状態St3~St6へ遷移するときにタイマーによる計時を開始することにより各シーケンス状態における動作時間を測定し、タイマーの時間がそのシーケンス状態における動作可能時間を経過した場合にエラー状態St7へ遷移するように制御してもよい。
更に、エラーが発生した場合には、エラーを検知した付加装置6,6Aや撮影装置3A~3Cから、コンソール4へエラーを通知し、コンソール4においてエラーが発生したことを表示する構成としても良い。
【0217】
エラー状態St7へ遷移した後は、特定条件の成立(エラーの解除や全シグナルの解除等)を契機として照射準備状態St2あるいは待機状態St1へ遷移させる。
【0218】
[効果]
このようなエラー検知方式を用いることで、装置や動作の不具合を確実に検知してエラー状態へ遷移させ、必要に応じて撮影シーケンスの途中から待機状態St1あるいは照射準備状態St2に戻すことにより、装置や動作が不具合を有した状態で放射線照射がなされ、被検体を無駄に被曝させてしまう危険性を排除することが可能となる。
【0219】
[システム100、200の構成例]
次に、図15図18を参照して、上記システム100,200を実施する際の具体的なシステム構成例について説明する。図15図18においては、図2図10に示す構成要素を簡略化して示すとともに、追加する構成要素がある場合は、それを追加して示している。また、各装置を接続する接続線(実線、一点鎖線)は有線であることを示し、特に言及がなければ、図2図10に示す各種信号線(例えば、照射許可信号、照射信号等)、タイミング信号線及び情報信号線を含む。また、図15図18においては、システム100のシステム構成例を図示しているが、システム200のシステム構成例とする場合は、放射線制御装置1が放射線制御装置1A、付加装置6が付加装置6Aに置き換わり、付加装置6Aに照射指示スイッチ5が設けられた構成となる。
【0220】
(システム構成例1)
図15に示すシステム構成例1は、上述のシステム100、200を実施する際の基本的な構成であり、放射線制御装置1(1A)、撮影装置3A~3Cのそれぞれが、所定間隔でタイミング信号を発生する同期元である特定の付加装置6(6A)に有線(専用線)にて接続された構成である。付加装置6(6A)は、発生させたタイミング信号を撮影装置3A~3Cに出力し、撮影装置3A~3Cは、入力されたタイミング信号に連動して蓄積を行う。また、付加装置6(6A)は、発生したタイミング信号に連動して照射許可信号を放射線制御装置1(1A)に出力して放射線照射を行わせる。
なお、例えば、透視撮影用の放射線制御装置1(1A)のように、放射線制御装置1(1A)に所定間隔で放射線照射を繰り返すためのタイミング信号源がある場合は、放射線制御装置1(1A)から付加装置6(6A)にタイミング信号を送信し、付加装置6(6A)で受信したタイミング信号を複製して撮影装置3A~3Cにタイミング信号を送信してもよい。
【0221】
(システム構成例2)
図16に示すシステム構成例2は、図15のシステム構成例1に対し、付加装置6(6A)と撮影装置3A~3Cの間に分配器7を設け、付加装置6(6A)からの信号(タイミング信号及び情報信号)を分配器7で撮影装置3A~3Cに分配して撮影装置3A~3Cに入力させる構成である。
分配器7は、付加装置6(6A)と撮影装置3A~3Cとの間の各通信情報が、付加装置6(6A)と撮影装置3A~3Cの、いずれの撮影装置との間で通信される情報であるかを判断し、通信を切り替えて通信を行うよう構成されている。これは例えば通信情報をパケットに分割し、それぞれのパケット毎に、撮影装置3A~3Cのいずれの撮影装置との間で通信される情報であるかを判別できるタグを付け、このタグに応じて切り替えを行うことで実現できる。このような機能は例えばスイッチングハブなどの通信制御の手法を用いても良い。
また、分配器7は、付加装置6(6A)からのタイミング信号を撮影装置3A~3Cに分配して通信する構成とすることができる。これは例えばタイミングを示すパルス信号を、分配して撮影装置3A~3Cに接続する構成としてもよい。分配を行う際に、信号からノイズ除去、増幅を必要に応じて行ってもよい。
図16に示した構成とすることで、1つの付加装置6(6A)にて複数の撮影装置3A~3Cの撮影タイミングを制御することが可能となり、複数の撮影装置3を用いた、静止画の撮影を短時間に複数回繰り返し行う撮影、すなわち複数のシリアル撮影を行うことが可能となる。
【0222】
(システム構成例3)
図17Aに示すシステム構成例3は、撮影装置3A~3Cのそれぞれに有線接続された付加装置6a~6cが設けられている。付加装置6a~6cは、上述の付加装置6又は6Aの構成を有する。また、放射線制御装置1及びコンソール4は、ハブ等の分岐器8を介して付加装置6a~6cに接続されている。
システム構成例3では、分岐器8がタイミング信号を発生する機能を有し、付加装置6a~6cは、分岐器8により発生されるタイミング信号を複製して撮影装置3A~3Cに出力する。また、分岐器8は、タイミング信号に連動して照射許可信号を放射線制御装置1に出力する。放射線制御装置1は、照射許可信号に応じたタイミングで放射線発生部2に放射線照射を行わせる。
あるいは、システム構成例3では、複数の付加装置6a~6cのいずれか1つの付加装置6a~6cがタイミング信号、およびタイミング信号と連動した照射許可信号を出力するように構成してもよい。
タイミング信号は、分岐器8を介してあるいは図示しない配線にて、上記タイミング信号を出力する付加装置6a~6cから他の付加装置6a~6cへ入力され、それぞれの付加装置6a~6cから、撮影装置3A~3Cへ入力されるように構成してもよい。あるいはタイミング信号は、上記タイミング信号を出力する付加装置6a~6cから図示しない分配器を経て、撮影装置3A~3Cへ入力されるように構成してもよい。
照射許可信号は、分岐器8を介して、あるいは図示しない配線にて分岐器8を介さずに放射線制御装置1,1Aに入力されるように構成してもよい。
ここで、前述の第1-A実施形態、および第1-B実施形態に記載した付加装置6,6Aの外部機器へ撮影準備信号の出力や、照射指示スイッチ5からの照射準備信号、照射指示信号、放射線制御部11(11A)への照射許可信号の出力は、複数の付加装置6a~6cの中の、1つの付加装置にて行い、他の付加装置はそれらの信号に係る動作を行わないように制御しても構わない。
あるいは、複数の付加装置6a~6cに1つの照射指示スイッチ5からの照射準備信号、照射指示信号を分岐して入力させ、複数の付加装置6a~6cにて、これらの信号に係る動作を行うようにしてもよい。
また、複数の付加装置6a~6cからの照射許可信号出力を合流させ、放射線制御部11(11A)へ入力するようにしてもよい。照射許可信号出力を合流させる際に、複数の付加装置6a~6cからの照射許可信号のAND回路などを用いることで、複数の付加装置6a~6cからの照射許可信号の全てが出力された場合に、照射許可信号を放射線制御部11(11A)へ入力させるようにしてもよい。このような構成とすることで、全ての付加装置6a~6cが照射許可信号を出力した場合にのみ放射線を出力する構成とすることが可能となり、複数の撮影装置3A~3Cあるいは付加装置6a~6cが撮影できない状態にて放射線を照射してしまい、被検体を無駄に被ばくさせてしまうことを確実に防止することが可能となる。
図17A示すシステム構成例3では、個々の付加装置6a~6cから撮影装置3A~3Cまでの接続は、長尺撮影の場合も、1枚撮影の場合も同じ構成となる。1枚撮影の構成を複数準備し、その上段に同期元としてタイミング信号を生成する分岐器8を設け、この分岐器8が生成するタイミング信号に個々の付加装置6a~6cが同期することで、1枚撮影の構成を容易に複数枚撮影の構成に拡張することが可能となる。
あるいは、複数の付加装置6a~6cの中の1つの付加装置が同期元としてタイミング信号、撮影許可信号を生成し、そのタイミング信号に個々の付加装置6a~6cが同期することで、1枚撮影の構成を容易に複数枚撮影の構成に拡張することが可能となる。
【0223】
(システム構成例4)
図17Bに示すシステム構成例4は、撮影装置3A~3Cのそれぞれに対応する付加装置6a~6cが設けられている。付加装置6a~6cは、上述の付加装置6又は6Aの構成を有する。付加装置6a~6cのそれぞれからは、情報信号線とタイミング信号線が出ている。付加装置6a~6cの情報信号線は、それぞれ撮影装置3A~3Cに接続されている。タイミング信号線は、1つの付加装置(ここでは、付加装置6c)のタイミング信号線が分配器7により分配され、合流器9a~9cで情報信号線と合流されて撮影装置3A~3Cに接続されている。すなわち、撮影装置3A~3Cは、付加装置6cを同期元として、付加装置6cから入力されるタイミング信号に連動して蓄積や読出しを行う一方、その他の情報信号(画像データを含む)は、それぞれに対応する付加装置6a~6c又は付加装置6a~6cを介してコンソール4と送受信されるようになっている。また、放射線制御装置1及びコンソール4は、ハブ等の分岐器8を介して付加装置6cに接続されており、放射線制御装置1は、付加装置6cからタイミング信号に連動して入力される照射許可信号に応じたタイミングで放射線発生部2に放射線照射を行わせる。なお、合流器9a~9cは特に設けなくてもよい。
また、図17Aに示すシステム構成例3と同様に、前述の第1-A実施形態、および第1-B実施形態に記載した付加装置6,6Aの外部機器へ撮影準備信号の出力や、照射指示スイッチ5からの照射準備信号、照射指示信号、放射線制御部11,11Aへの照射許可信号の出力は、複数の付加装置6a~6cの中の、1つの付加装置にて行い、他の付加装置はそれらの信号に係る動作を行わないように制御しても構わない。
あるいは、複数の付加装置6a~6cに1つの照射指示スイッチ5からの照射準備信号、照射指示信号を分岐して入力させ、複数の付加装置6a~6cにて、これらの信号に係る動作を行うようにしてもよい。
また、複数の付加装置6a~6cからの照射許可信号出力を合流させ、放射線制御部11(11A)へ入力するようにしてもよい。照射許可信号出力を合流させる際に、複数の付加装置6,6Aからの照射許可信号のAND回路などを用いることで、複数の付加装置6,6Aからの照射許可信号の全てが出力された場合に、照射許可信号を放射線制御部11(11A)へ入力させるようにしてもよい。このような構成とすることで、全ての付加装置6a~6cが照射許可信号を出力した場合にのみ放射線を出力する構成とすることが可能となり、複数の撮影装置3A~3Cあるいは付加装置6a~6cが撮影できない状態にて放射線を照射してしまい、被検体を無駄に被ばくさせてしまうことを確実に防止することが可能となる。
また、付加装置6cから放射線制御装置1に入力する照射許可信号は、付加装置6cからハブ等を介さず、図示しない別配線にて放射線制御装置1に入力する構成としても構わない。照射許可信号は情報信号と異なり、接点信号やパルス信号である場合があるため、ハブ等を介さずに付加装置6cから直接放射線制御装置1に入力する必要がある場合がある。一方で情報信号はLAN等により通信可能な信号である場合があり、この場合には図17Aに示すようにハブなどの分岐器を用いて放射線制御装置1やコンソール4と接続することが可能である。
【0224】
図17Bに示すシステム構成例4においては、1台の撮影装置3で1枚を撮影する場合や、1台の撮影装置3でシリアル撮影を行う場合は、付加装置6cを使用することができる。1台の撮影装置3で1枚を撮影する場合は、情報信号線のみ使用し、1台の撮影装置3でシリアル撮影を行う場合は、情報信号線とタイミング信号線の両方を使用し、同期を行いながら一定タイミングでの複数撮影が可能となる。複数の撮影装置3で1枚を撮影する(長尺撮影)の場合や、上述のように複数の撮影装置3で複数枚をシリアル撮影する場合(長尺シリアル撮影)は、付加装置6a~6cを使用して撮影を行うことができる。複数の撮影装置3で1枚を撮影する(長尺撮影)の場合は、各付加装置6a~6cの情報信号線のみ使用する。複数の撮影装置3で複数枚をシリアル撮影する(長尺シリアル撮影)の場合は、各付加装置6a~6cの情報信号線と、1つの付加装置6cのタイミング信号線を分配器7で分配した信号を用いる。すなわち、システム構成例4では、1台の撮影装置3での静止画撮影、1台の撮影装置3でのシリアル撮影、長尺撮影、長尺シリアル撮影まで、同じ付加装置6cを用いて制御することが可能となる。
【0225】
(システム構成例5)
図18に示すシステム構成例5は、付加装置6(6A)が放射線制御装置1(1A)及びコンソール4に接続されるとともに、付加装置6(6A)、撮影装置3B、3Cがそれぞれ撮影装置3Aと接続された構成である。撮影装置3B、3Cは、撮影装置3Aにシリアル接続又はカスケード接続されている。
付加装置6(6A)から撮影装置3A~3Cに送信されたタイミング信号は、親機である撮影装置3Aに入力され、撮影装置3Aは、入力されたタイミング信号を撮影装置3B及び3Cに出力する。なお、例えば、透視撮影用の放射線制御装置1(1A)のように、放射線制御装置1に所定間隔で放射線照射を繰り返すためのタイミング信号源がある場合は、放射線制御装置1から付加装置6にタイミング信号を送信し、付加装置6(6A)で受信したタイミング信号を複製して撮影装置3A~3Cにタイミング信号を送信してもよい。また、撮影装置3Aにタイミング信号源を備える構成とし、撮影装置3Aから付加装置6(6A)、撮影装置3B及び3Cにタイミング信号を出力する構成としてもよい。
ここで、図4図5及び上記のシーケンス説明にて示した、状態通知の情報や、ウォームアップ通知(S12)、補正用データ送信(S13)、撮影準備完了通知(S14)及び撮影画像などを送受信する情報信号に関しては、図18において図示を省略した各撮影装置3A~3Cに接続された情報信号線により、各撮影装置3A~3Cからコンソール4へ出力されるように構成してもよい。
また、その際に、各撮影装置3A~3Cは、図15に示したように、図18において図示を省略した情報信号線により、付加装置6を介してコンソール4と接続されるように構成してもよい。
あるいは、各撮影装置3A~3Cは、図16に示したように、図18において図示を省略した情報信号線及び分配器7を介して付加装置6と接続し、付加装置6を介してコンソール4と接続されるように構成してもよい。
あるいは、各撮影装置3A~3Cは、図17Aに示したように、図18において図示を省略した情報信号線により、各撮影装置3A~3Cのそれぞれに対応した付加装置6a~6cと接続されるように構成してもよい。付加装置6a~6cは、直接コンソール4と接続されてもよいし、図17Aに示したように分岐器8を介してコンソール4と接続されてもよい。また、この場合、付加装置6a~6cのいずれかから出力されたタイミング信号を代表として撮影装置3Aに入力し、前述のようにシリアル接続またはカスケード接続により他の撮影装置3B、3Cに入力されるように構成とすることができる。
【0226】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0227】
[システム300の構成]
まず、本発明に係る第2実施形態の放射線撮影システム(以下システム300)の概略について説明する。図19は、システム300の概略構成を表すブロック図である。なお、第1-A実施形態と同等の構成には同様の符号を付し、その構成は、異なる部分のみ説明する。
【0228】
本実施形態のシステム300は、例えば図19に示したように、放射線制御装置1Bと、放射線発生部2と、撮影装置30(30A~30C)と、コンソール4と、照射指示スイッチ5と、無線通信装置6Bと、を備えて構成されている。放射線制御装置1Bと放射線発生部2、放射線制御装置1Bとコンソール4、コンソール4と照射指示スイッチ5、放射線制御装置1Bと無線通信装置6B、コンソール4と無線通信装置6Bは、それぞれ有線で通信可能に接続されている。また、無線通信装置6Bと撮影装置30(30A~30C)は、それぞれ無線で通信可能に接続されている。なお、図19において、各装置を接続する接続線は、実線で示したものは有線、点線で示したものは無線であることを示す。
また、このシステム300は、放射線科情報システム(Radiology Information System:RIS)や、画像保存通信システム(Picture Archiving and Communication System:PACS)等と、通信可能に接続することが可能となっている。
【0229】
システム300は、第1-A実施形態、第1-B実施形態と同様に、複数の撮影装置30を用いて長尺シリアル撮影を行うためのシステムである。ただし、撮影に用いる撮影装置30の撮影タイミングと放射線照射タイミングを合わせるための同期元を無線通信装置6Bとする点が上記実施形態と異なる。なお、以下の実施形態においては、3つの撮影装置30を用いて撮影を行う場合を例にとり説明するが、使用する撮影装置の台数は特に限定されない。また、撮影に使用される撮影装置30を撮影装置30A~30Cとして説明する。
【0230】
このシステム300は、例えば病院の撮影室等に設置して用いることも可能であるし、放射線制御装置1B、放射線発生部2、コンソール4、照射指示スイッチ5を備える放射線照射装置を車輪付きの回診車として構成することにより移動可能なシステムとして用いることも可能である。移動可能とすれば、移動が困難な被検体のもとへ出向いて放射線画像の撮影を行うことができる。
【0231】
例えば、病院の撮影室に設置されている撮影台を用いて撮影を行う場合、被検体を車椅子やベッドに乗せたままの状態で撮影を行わなければならない場合があり、そのような場合に撮影装置30A~30Cに有線ケーブルをつけたままの撮影では、
・ケーブルが邪魔になる
・ケーブルが抜けて通信不能になる危険性がある
・ケーブルが被検体に触れるので衛生面で問題がある
といった問題があり、有線ケーブルを用いない撮影を行いたい、といった要望があった。
【0232】
回診車で移動し撮影を行う場合には、被検体が療養している病棟にて撮影を行うこととなる。この場合には被検体が寝ているベッドにて撮影することとなり、被検体とベッドとの間に撮影装置30A~30Cを入れて撮影を行う必要がある。そこで、上記撮影室の場合以上に、ケーブルが邪魔になる、ケーブルが抜けて通信不能になる危険性がある、ケーブルが被検体に触れるので衛生面で問題がある、といった問題があり、有線ケーブルを用いない撮影を行いたいといった要望があった。
FPDを用いた撮影装置30以前のCRを用いた撮影では、撮影時に有線ケーブルが不要であり、CRと同等の操作の容易性を得るためには有線ケーブルを用いない撮影を行いたいといった要望があった。
しかし、本実施形態に係るシステム300を用いることで、こうした要望に沿った回診車を構成することができる。
【0233】
[放射線制御装置の構成]
次に、本実施形態における放射線制御装置1Bの構成について説明する。図20は、放射線制御装置1Bの機能的構成を表すブロック図である。本実施形態に係る放射線制御装置1Bは、図20に示したように、放射線制御部11B、高電圧発生部12、記憶部13、通信部14、計時部15、計時制御部16等を備えている。
【0234】
放射線制御部11Bは、CPU(Central Processing Unit)や、放射線制御部11を
動作させるためのプログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random
Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等で構成されている。なお、専用の制御回路
で構成されていてもよい。
放射線制御部11Bは、例えばコンソール4や撮影装置30A~30Cからの制御信号に基づいて、高電圧発生部12に対し電圧の印加(放射線の照射)開始を指示する制御情報を送信するよう構成されている。また、後述する「特定の無線通信装置6Bに接続されているか否かの判定」又は「特定の無線通信装置6Bに連動されているか否かの判定」に係る放射線制御装置1B側の機能を実行する。
【0235】
記憶部13は、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)、
NAND型フラッシュメモリー、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。
【0236】
通信部14は、外部装置と通信するためのコネクターを備え、外部装置との通信を制御する。通信部14は、有線通信を用いて他の機器と同期を行いたい場合には、例えばNTP(Network Time Protocol)等のプロトコルや、国際標準規格IEEE Std.15
58-2008(以下IEEE1588と略す)に規定されているような方法を用いることで同期を行うことができる。
【0237】
計時部15は、電源がオンにされたこと、あるいは外部から所定の制御信号を受信したこと等を契機として計時を開始し、計時情報を生成するよう構成されている。
計時部15からの出力は、一定間隔のパルス等のタイミング情報としてもよいし、年、月、日、時、分、秒等の時刻や、ある時点から一定間隔でカウントアップしたカウント数等の時刻情報としてもよい。なお、計時部15は、放射線制御装置1Bに内蔵するのではなく、放射線制御装置1Bの外部に設けるようにしてもよい。
また、近年では、後述するIEEE802.11の通信規格に規定された時刻同期機能(Timing Synchronization Function、以下TSF)を標準で搭載し、タイマー機能を有
する無線LANチップも存在する。そこで、こうした無線LANチップを計時部15として利用することも可能である。
【0238】
計時制御部16は、通信部14と接続されており、通信部14を介して無線通信装置6Bからの第一計時情報(時刻情報又はタイミング情報)を取得することが可能である。また、計時制御部16は、計時部15に接続されており、計時部15から第二計時情報を取得するようになっている。第二計時情報は、特定の無線通信装置6B(同期元)から第一計時情報を受信(取得)した時点における計時部15あるいは計時部38の計時情報である。そして、計時制御部16は、取得した第一計時情報及び第二計時情報に基づいて、計時部15の計時情報の修正を行い、計時部15の計時情報を無線通信装置6Bの基準計時部602の計時情報に連動させる。
このような計時制御部16は、個別の半導体や基板や装置で行う構成としてもよいし、CPUやFPGA等汎用処理部(放射線制御部11Bを含む)の機能の一部として組み込んでもよい。
また計時制御部16には、予め無線通信装置6Bのタイミング情報あるいは時刻情報の発信に関する設定情報を設定しておくことが可能である。無線通信装置6Bが出力する第一計時情報がタイミング情報の場合、例えば、無線通信装置6Bからタイミング情報(パルス等)が出力される間隔をx秒毎に設定した場合、外部から第一計時情報を取得できる間隔をx秒と設定することが可能となっている。一方、無線通信装置6Bが出力する第一計時情報が時刻情報の場合、例えば、無線通信装置6Bから時刻情報(時刻や、ある時点から無線通信装置6Bがカウントアップしたカウント数等)が出力される間隔をx秒毎に設定した場合、外部から第一計時情報を取得できる間隔をx秒と設定することが可能となっている。特に、時刻情報が無線通信装置6Bでのカウントアップ値の場合には、計時制御部16は、無線通信装置6Bのカウント間隔を取得し設定することが可能である。例えば無線通信装置6Bのカウント周波数がyHzである場合、カウント間隔が1/y秒であると取得し設定しておくことが可能である。
【0239】
なお、本実施形態においては、放射線制御装置1Bに高電圧発生部12も含む機器構成とした。このようにすることで、ユーザーが高電圧発生部12を意識せずに放射線を扱うことが可能となる。そのため、例えば機器間のマッチングによる意図しない不具合などの発生がより少ない機器構成で放射線を扱うことが可能となる。一方で、放射線制御装置1Bには高電圧発生部12を含まず、高電圧発生部12を放射線制御装置1Bの本体から独立した構成とすることも可能である。このようにすることで、ユーザーが放射線制御装置1Bとは独立した任意の高電圧発生部12を選択して機器を構成することが可能となり、機器選択の自由度を高めることができる。
【0240】
[撮影装置の構成]
次に、上記システム300が備える撮影装置30A~30Cの構成について説明する。図21は、撮影装置30(30A~30C)の具体的構成を表すブロック図である。図21に示すように、本実施形態の撮影装置30A~30Cは、撮影制御部31、撮影部32~34、記憶部35、通信部36、計時部38、計時制御部39を備えている。図21においては、第1-A実施形態で説明した放射線検出部32、走査駆動部33、読出し部34を、まとめて撮影部32~34と図示している。すなわち、本実施形態における撮影装置30A~30Cは、第1-A実施形態で図3を用いて説明した構成に、計時部38、計時制御部39が追加された構成である。
【0241】
計時部38は、電源がオンにされたこと、あるいは外部から所定の制御信号を受信したこと等を契機として計時し、計時情報を生成するよう構成されている。
計時部38からの出力は、一定間隔のパルス等のタイミング情報としてもよいし、年、月、日、時、分、秒等の時刻や、ある時点から一定間隔でカウントアップしたカウント数等の時刻情報としてもよい。計時部38は、撮影装置30に内蔵するのではなく、撮影装置30の外部に設けるようにしてもよい。また、近年では、後述するIEEE802.11の通信規格に規定された時刻同期機能(Timing Synchronization Function、以下TS
F)を標準で搭載し、タイマー機能を有する無線LANチップも存在する。そこで、こうした無線LANチップを計時部38として利用することも可能である。
【0242】
計時制御部39は、通信部36と接続されており、通信部36により無線通信装置6Bから受信した第一計時情報(時刻情報又はタイミング情報)を取得することが可能である。また、計時制御部39は、計時部38に接続されており、計時部38から第二計時情報を取得するようになっている。そして、取得した第一計時情報及び第二計時情報に基づいて、計時部38の計時情報の修正を行い、計時部38の計時情報を無線通信装置6Bの基準計時部602の計時情報に連動させる。
また、このような計時制御部39は、個別の半導体や基板や装置で行う構成としてもよいし、CPUやFPGA等汎用処理部(撮影制御部31を含む)の機能の一部として組み込んでもよい。
また計時制御部39には、計時制御部16と同様に、予め無線通信装置6Bのタイミング情報あるいは時刻情報の発信に関する設定情報を設定しておくことが可能である。
【0243】
[無線通信装置の構成]
無線通信装置6Bは、通信ネットワークの親機であり、無線通信のアクセスポイントとして機能するものとなっており、放射線制御装置1Bと撮影装置30A~30Cとの通信、及びコンソール4と撮影装置30A~30Cとの通信を中継するようになっている。
【0244】
図22は、無線通信装置6Bの機能的構成を表すブロック図である。
本実施形態の無線通信装置6Bは、図22に示したように、通信部601、基準計時部602、記憶部603等を備えている。
【0245】
通信部601は、有線通信インターフェース及び無線通信インターフェースを備え、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等の通信
ネットワークを介して接続された外部機器との間でデータの送受信を行うことが可能となっている。また、通信部601は、放射線制御装置1Bと有線通信を行うための(ケーブルを差し込むための)コネクター601bと、撮影装置30A~30Cとの間で電波の送受信を行うためのアンテナ601aと、を備えている。
【0246】
基準計時部602は、システム300の撮影動作において基準となる計時情報を生成する。
例えば、基準計時部602は、TSFタイマーにより構成され、IEEE802.11の通信規格が有する時刻同期機能(Timing Synchronization Function、以下TSF)で
用いられる時刻情報を計時情報として生成する。
ここで、「TSF」とは、機器同士の無線通信を行う際、アクセスポイントと機器との間で時刻を合わせる機能のことである。具体的には、アクセスポイントに、フリーランで周期的(1μs毎)にカウントアップする計時手段(TSFタイマー)を持たせ、周期的(標準では100ms毎)に送信されるビーコンに、送信時の時刻情報を含めて端末に送信する。一方、端末にも周期的(1μs毎)にカウントアップする計時手段を持たせ、ビーコン受信時に自身の計時部の時刻情報をビーコンに含まれる時刻情報に更新して、カウントアップを継続するというものである。計時方法は、例えば、0からカウントを開始し、時刻情報が所定の最大値に達したら0にリセットしてカウントを繰り返すようにする。このビーコンに含められる、すなわちビーコン送信時点におけるTSFタイマーの時刻情報が第一計時情報となる。
【0247】
または、基準計時部602は、上述のTSFタイマーとは異なる他の計時情報を出力するものであってもよい。例えば、基準計時部602は、一定間隔のパルス等のタイミング情報を出力するものとしてもよいし、年、月、日、時、分、秒等の時刻や、ある時点から一定間隔でカウントアップしたカウント数等の時刻情報を出力するものであってもよい。そして、通信部601により周期的(標準では100ms毎)に送信されるビーコン等に、送信時点の計時情報を第一計時情報として含めて送信することとしてもよい。
【0248】
記憶部603は、無線通信装置6Bを一意に特定することが可能な固有の特定情報(ID)を記憶している。特定情報としては、例えば、無線通信装置6BのBSSID(無線通信装置6Bの識別子、MACアドレス)等が挙げられる。
なお、無線通信装置6Bに固有のIDを予め付与しておき、それを用いるようにしてもよい。固有のIDは、電波(無線通信装置6Bが送信するビーコン等)や通信で通知してもよいし、事前設定で取り決めておいてもよい。
【0249】
また、無線通信装置6BのESSID、アクセスキーがユニークである場合、特定情報として無線通信装置6BのESSID、アクセスキーの組合せを用いることもできる。
ESSID及びアクセスキーがユニークであるか否かは、周辺の無線電波をスキャンして無線通信装置6Bの存在確認をすることで判断することができる。
ESSID、アクセスキーの組合せを用いれば、特定情報の確認手続きを無線接続で兼ねることができるため、手続きが簡便になる。
なお、無線チャネルを事前に特定しておく等、ユニークとなる確度を事前に上げておくようにしてもよい。
【0250】
このように構成された無線通信装置6Bは、所定期間(Td)毎に無線でビーコンを送信するようになっている。ビーコンには、当該ビーコン送信時の基準計時部602の計時情報である第一計時情報が載せられる。また、無線通信装置6Bは、第一計時情報を送信する際に、併せて有線により接続されている放射線制御部11Bに第一計時情報を送信する。
また、無線通信装置6Bは、特定情報を放射線制御装置1B及び撮影装置30A~30Cにそれぞれ送信することが可能となっている。特定情報は、ビーコンに載せて送信してもよいし、ビーコンとは別に送信するようにしてもよい。
【0251】
[システム300の撮影動作]
システム300における撮影動作は、図4~5(図11~12)に示したシーケンス、図13に示した状態遷移と略同様であるが、付加装置6(6A)が行っていた信号の入出力制御は、例えば、コンソール4等により行われる。また、放射線制御装置1Bが放射線発生部2に放射線照射を行わせるタイミングは、計時部15の計時情報に基づいて決定される。また、撮影装置30A~30Cにおける蓄積、読出し(転送)~リセット(初期化)のタイミングは、計時部38の計時情報に基づいて決定される。
例えば、撮影装置30A~30Cの撮影制御部31は、コンソール4からシーケンス開始信号を受信すると、その時点の計時部38の時刻(タイミング)から所定時間ごとに読出し動作(初期化を含む)を繰り返す。照射指示スイッチ5の二段目が押下され、コンソール4から撮影開始信号を受信すると、撮影装置30A~30Cは、その時点で自身が行っている読出し動作が終了したことを契機として照射開始許可信号をONにして放射線制御装置1Bに送信するとともに、図23に示すように、蓄積状態に遷移し、所定時間(C1)の蓄積と所定時間(C2)の読出しを交互に繰り返す。放射線制御装置1Bは、照射開始許可信号を受信すると、その時点の計時部15の時刻から所定時間(C3)経過後から所定時間(C1+C2)の間隔で放射線発生部2に放射線を照射させる(C1>C3)。蓄積・読出し動作及び放射線照射は、撮影する枚数分繰り返される。
【0252】
[計時部のずれ]
システム300が、上述したような動作をしている最中、例えば、放射線制御装置1Bの計時部15や撮影装置30A~30Cの計時部38が備える発振器の周波数の誤差等の影響により、同期元である無線通信装置6Bの基準計時部602の計時速度と、計時部15や計時部38の計時速度とに若干の差が生じる場合がある。このような場合、シリアル撮影のような比較的長時間の撮影を行うと、例えば図24に示したように、基準計時部602の計時情報と各計時部15、38の計時情報とのずれが次第に大きくなり同期しなくなるめ、放射線制御装置1B(放射線発生部2)の放射線照射タイミングと撮影装置30A~30Cの撮影タイミングとがずれてきてしまう。
そこで、本実施形態のシステム300は、こうした放射線制御装置1Bの放射線照射タイミングと撮影装置30A~30Cの撮影タイミングのずれが診断に影響する程度にまで大きくなってしまう前に、同期元である基準計時部602と各計時部15、39のずれを確認して修正するようになっている。
【0253】
ずれの程度を確認するためには、上述の第一計時情報と第二計時情報の比較に基づいて行われる。
【0254】
[ずれの確認方法の組合せ]
本実施形態においては、上述したように、無線通信装置6Bが生成する第一計時情報には時刻情報の場合とタイミング情報の場合とがあり、計時制御部16や計時制御部39が取得する第二計時情報にも、時刻情報の場合とタイミング情報の場合とがある。
このため、第一計時情報と第二計時情報とのずれを確認するための比較は、各装置の構成次第では、以下の4つの方法のいずれかで行われることとなる。
1.タイミング情報とタイミング情報の比較
2.タイミング情報と時刻情報の比較
3.時刻情報とタイミング情報の比較
4.時刻情報と時刻情報の比較
以下、それぞれの方法で第一計時情報と第二計時情報のズレ量を確認する方法を詳しく述べる。
【0255】
[タイミング情報とタイミング情報の比較による計時情報ズレ量の確認方法]
図25図26は、放射線制御装置1Bと撮影装置30A~30Cのうち、第一計時情報を受信する装置の動作を示している。
無線通信装置6Bが、第一計時情報としてタイミング情報を出力するように構成されるとともに、計時制御部16、39が、第二計時情報としてタイミング情報を取得するように構成されている場合、例えば図25、26に示した例では、計時制御部16、39が、無線通信装置6Bからタイミング情報が入力されてから次のタイミング情報が入力されるまでの期間((N-1)個目のパルスを受信してからN個目のパルスを受信するまでの期間)に、自身の計時部15、38のパルス数をカウントし、無線通信装置6Bの計時速度に対する、自身の計時部15、38の計時速度を判断することとなる。
【0256】
例えば、無線通信装置6Bからの第一計時情報の出力周期が1秒と設定され、自身の計時部15、38のクロックが10MHzと設定された場合、1秒間に10,000,000回パルスがカウントされる設定となる。
しかしながら、実際には無線通信装置6Bの基準計時部602の変動や、計時部15あるいは計時部38自体の精度や、温度の変化により、パルス発生速度が変動し、正確に10,000,000回とはならず、差が生じる。
この差が、無線通信装置6Bの基準計時部602と、放射線制御装置1Bあるいは撮影装置30A~30Cの計時部15、38との計時差となる。
【0257】
例えば図25に示した場合において、(N-1)個目のパルスを受信してからN個目のパルスを受信するまでの期間のパルス数が10,000,010回と設定値より10回多い場合、無線通信装置6Bに対して、10,000,000分の10だけ自身の計時部15、38が速いと認識することが可能となる。
一方、例えば図26に示した場合において、(N-1)個目のパルスを受信してからN個目のパルスを受信するまでの期間のパルス数が9,999,990回と設定値より10回少ない場合、無線通信装置6Bに対して、10,000,000分の10だけ自身の計時部15、38が遅いと認識することが可能となる。
【0258】
[タイミング情報と時刻情報の比較による計時情報ズレ量の確認方法]
無線通信装置6Bが、第一計時情報としてタイミング情報を出力するように構成されるとともに、計時制御部16、39が、第二計時情報として時刻情報を取得するように構成されている場合、例えば図25、26に示した例では、計時制御部16、39が、無線通信装置6Bからタイミング情報が入力されてから次のタイミング情報が入力されるまでの期間((N-1)個目のパルスを受信してからN個目のパルスを受信するまでの期間)に、自身の計時部15、38のパルス等のタイミング情報から、時刻情報を生成し、生成された時刻情報から無線通信装置6Bの計時速度に対する自身の計時部15、38の計時速度を判断することとなる。
【0259】
例えば、無線通信装置6Bからの第一計時情報の出力周期が1秒と設定され、自身の計時部15、38のクロックが10MHzと設定された場合、1秒間に10,000,000回パルスが生成されるため、0.0000001秒毎にパルスが生成されることとなる。そこで、パルス毎に0.0000001秒づつ時刻情報を修正することで各タイミングでの時刻情報を得ることが可能となる。
ここで、時刻情報に対する修正は各パルスで行ってもよいが、複数パルス毎にまとめてから時刻情報の修正を行ってもよい。また時刻情報の照会があった場合に時刻情報をまとめて修正する構成としてもよい。
上述したような設定で1秒間にわたって上記時刻情報の修正を繰り返すと、時刻情報は1秒となる。
しかしながら、実際には無線通信装置6Bの基準計時部602の変動や、計時部15あるいは計時部38自体の精度や、温度の変化により、パルス発生速度が変動し、正確に1秒とはならず、差が生じる。
この差が、無線通信装置6Bの基準計時部602と、計時部38あるいは計時部15との計時差となる。
【0260】
例えば図25に示した場合において、(N-1)個目のパルスを受信してからN個目のパルスを受信するまでの期間のパルス数が10,000,010回と設定値より10回多い場合、(N-1)個目のパルスを受信してからN個目のパルスを受信するまでの期間は1.000001秒となり、無線通信装置6Bの計時速度に対して、1秒あたり0.000001秒だけ自身の計時部15、38の計時速度が速いと認識することが可能となる。
一方、例えば図26にした場合において、(N-1)個目のパルスを受信してからN個目のパルスを受信するまでの期間のパルス数が9,999,990回と設定値より10回少ない場合、(N-1)個目のパルスを受信してからN個目のパルスを受信するまでの期間は0.999999秒となり、無線通信装置6Bの計時速度に対して1秒あたり0.000001秒だけ自身の計時部15、38の計時速度が遅いと認識することが可能となる。
【0261】
[時刻情報とタイミング情報の比較による計時情報ズレ量の確認方法]
図27は、放射線制御装置1Bと撮影装置30A~30Cのうち、第一計時情報を受信する装置の動作を示している。
無線通信装置6Bが、第一計時情報として時刻情報を出力するように構成されるとともに、計時制御部16、39が、第二計時情報としてタイミング情報を取得するように構成されている場合、例えば図27に示した例では、計時制御部16、39が、無線通信装置6Bから時刻情報が入力されてから次の時刻情報が入力されるまでの期間((N-1)個目の時刻情報を受信してからN個目の時刻情報を受信するまでの期間)に、自身の計時部15、38のパルス数をカウントし、無線通信装置6Bの計時速度に対する自身の計時部15、38の計時速度を判断することとなる。
【0262】
例えば、無線通信装置6Bからの時刻情報として(N-1)時点における時刻と、N時点の時刻をそれぞれ取得し、これらの差を算出することで、計時制御部16、39は(N-1)からNまでの期間の長さ(時間)を取得することができる。
一方、自身の計時部15、38からの時刻情報として(N-1)時点における計時情報と、N時点の計時情報を取得する場合には、(N-1)時点における計時情報と、N時点における計時情報の差に無線通信装置6Bのカウント間隔を乗算することで、計時制御部16、39は、(N-1)時点からN時点までの期間を取得することが可能となる。
そして、計時制御部16、39は、(N-1)時点からN時点までの期間と、この期間に自身の計時部15、38のパルスの計時情報に自身のパルス間隔を乗算した値を比較することで、無線通信装置6Bの計時速度に対する自身の計時部15、38の計時速度を判断することができる。
【0263】
[時刻情報と時刻情報の比較による計時情報ズレ量の確認方法]
無線通信装置6Bが、第一計時情報として時刻情報を生成するように構成されるとともに、計時制御部16、39が、第二計時情報として時刻情報を取得するように構成されている場合、例えば図27に示した例では、無線通信装置6Bからの時刻情報として(N-1)時点における時刻と、N時点の時刻をそれぞれ取得し、これらの差を算出することで、計時制御部16、39は、(N-1)時点からN時点までの期間の長さ(時間)を取得することができる。
一方、自身の計時部15、38からの時刻情報として(N-1)時点における時刻と、N時点における時刻をそれぞれ取得し、これらの差を算出することで、計時制御部16、39は、(N-1)時点からN時点までの期間を取得することができる。
そして、計時制御部16、39は、第一計時情報に基づく(N-1)時点からN時点までの期間と、第二計時情報に基づく(N-1)時点からN時点までの期間とを比較することで、無線通信装置6Bの計時速度に対する自身の計時部15、38の計時速度を判断することができる。
【0264】
以上の4つのいずれかの方法を用いて第一計時情報と第二計時情報とを比較することで、無線通信装置6Bの計時速度に対する自身の計時部15、38の計時速度を判断することができる。
【0265】
[計時精度の判断]
計時制御部16、39は、取得した第一計時情報及び第二計時情報に基づいて、計時精度が十分であるか否かを判断し、十分でないと判断した場合、計時部15、38の計時情報を修正する。
【0266】
(計時精度の判断方法1(差))
第一計時情報と第二計時情報とのずれ量(差)を計時精度の判断に用いる場合には、例えば、取得した第一計時情報と第二計時情報との差を算出し、それが特定値を超えたか否かを判断する。そして、差が特定値を超えた場合には、計時精度が十分でないと判断する。
【0267】
(計時精度の判断方法2(変化量))
また、ずれ量(差)の変化を判断に用いる場合には、例えば、第一計時情報及び第二計時情報を取得する毎に、第一計時情報と第二計時情報との差を算出し、それを記憶部13、35に記憶しておく。そして、記憶しておいた差とその前に算出した差との変化量を算出し、算出した変化量がその前に算出した変化量を超えたか否かを判断する。そして、算出した変化量が前の変化量を超えた場合には、計時精度が十分でないと判断する。
【0268】
なお、差の予想を判断に用いる場合には、例えば、取得した第一計時情報と第二計時情報との差やその変化量をそれぞれ算出し、それを記憶部13、35に記憶しておく。そして、記憶しておいた差及び変化量から、同様の変化が所定期間(例えば撮影期間)継続した場合に、特定値を超えるか否かを判断してもよい。
【0269】
なお、計時精度の判断に際しては、このような第一計時情報と第二計時情報の差、変化量の値をそのまま用いてもよいし、これらの値に対し、平均値を算出したり、線形補間やスプライン補間等の手法を用いて変化状態や今後の予想値を算出したりしてもよい。
平均値を算出する場合には、例えば、取得した第一計時情報と第二計時情報との差をそれぞれ算出し、それを記憶部13、35に記憶しておく。そして、記憶しておいた複数の差から平均値を算出する。差の変化量は急激に変化する場合があるため、平均値を算出することでそうした変化にも対応することができる。
線形補完やスプライン補間に必要なパラメーターは、例えば最小二乗法等を用いて求めることができる。このように判断を行うための手法は、他の分野でも用いられる内挿や外挿の手法を援用することでより高度な判断を行うことが可能となる。
【0270】
[計時情報の修正]
計時制御部16、39は、計時精度が十分ではないと判断した場合、無線通信装置6Bの計時情報と自身の計時部15、38の計時情報との差が小さくなるように、計時部15、38の動作を修正する。
修正の仕方としては、例えば、以下に挙げたような、タイミング情報の修正と時刻情報の修正がある。
【0271】
(タイミング情報の修正)
例えば図25、26に示した例において、計時制御部16、39は、(N-1)個目の第一計時情報からN個目の第一計時情報を受けるまでの期間に、上記方法により自身の計時部15、38の速度を確認した結果、計時精度が十分でないと判断した場合には、N個目のタイミング情報から(N+1)個目のタイミング情報を受けるまでの期間に、自身の計時部15、38のタイミング情報を修正する構成とすることができる。
修正を行う方法は、例えば図25に示すように、検知した速度差に応じて、一定期間に対してパルスを間引く、あるいは足すことで実現することができる。
【0272】
例えば、図25に示した例では、(N-1)個目のパルスを受信してからN個目のパルスを受信するまでの期間のパルス数が10,000,010回と設定値より10回多い場合、N個目のパルスを受信してから(N+1)個目のパルスを受信するまでの期間において、1,000,000回に1回パルスを間引く処理を行う構成とすることができる。あるいは1回パルスが少なくなるようにパルス発生を遅らせる構成とすることができる。
一方、例えば、図26に示した例では、(N-1)個目のパルスを受信してからN個目のパルスを受信するまでの期間のパルス数が9,999,990回と設定値より10回少ない場合、N個目のパルスを受信してから(N+1)個目のパルスを受信するまでの期間では、1,000,000回に1回パルスが多くなるように、パルスを2回カウントする構成とすることができる。あるいは1回パルスが多くなるようにパルス発生を速くする構成とすることができる。
【0273】
なお、計時制御部16、39は、パルスの間隔を修正する構成とすることもできる。
例えば、パルス源としてCR発振回路やLC発振回路を用いる場合、C(コンデンサ)、R(抵抗)、L(コイル)の値を変えることで容易にパルス間隔を調整することが可能となる。
【0274】
(時刻情報の修正)
計時制御部16、39は、(N-1)個目の第一計時情報からN個目の第一計時情報を受けるまでの期間に、上記方法により自身の計時部15、38の計時速度を確認した結果、計時精度が十分でないと判断した場合には、N個目の時刻情報から(N+1)個目の時刻情報を受けるまでの期間に、自身の計時部15、38の時刻情報を修正する構成とすることができる。
【0275】
以上の通り、無線通信装置6Bから送信される計時情報がタイミング情報である場合も、時刻情報である場合でも、一方、計時制御部16、39が修正する対象がタイミング情報である場合でも、時刻情報である場合でも、上述したような方法を用いることで、計時部15、38の計時速度を、無線通信装置6Bの計時速度との差に応じて適切に修正することが可能である。
【0276】
[特定の無線通信装置6Bと接続しているか否かの判定]
ところで、基準計時部602の計時情報は、無線通信装置6B毎に固有のものであるため、放射線制御装置1Bの放射線照射タイミングと撮影装置30A~30Cの蓄積タイミングを合わせるためには、計時部15及び38が同一の無線通信装置6Bから発信されるビーコンから第一計時情報を取得する必要がある。IEEE802.11のネットワークでは、無線通信装置6Bの識別としてESSID、パスワードにて無線リンクを行って無線通信装置6Bを特定する手段が一般的であるが、例えば、図28に示したような従来の放射線システム300Dでは、放射線制御装置1Bと撮影装置30A~30Cが、近傍にある同一設定の別のアクセスポイントにそれぞれ無線リンクしてしまったり、無線リンクを行わないと無線通信装置6Bが特定できなかったりする問題がある。
【0277】
そこで、本実施形態のシステム300においては、以下の(接続判定方法1)~(接続判定方法3)ようにして、撮影装置30A~30Cのそれぞれが、放射線制御装置1Bが接続されている特定の無線通信装置6Bに接続されているか否かを判定できるようにしている。
【0278】
(接続判定方法1)
撮影装置30A~30Cの撮影制御部31は、周囲の無線通信装置6Bから通信部36を介して上述の特定情報を受信し、それを放射線制御装置1Bへ転送する機能を有している。
このとき、撮影装置30A~30Cは、接続している無線通信装置6Bから特定情報を受信してもよいし、周辺に存在する未接続のアクセスポイントから受信するようにしてもよい。
このようにすれば、未接続のアクセスポイントを無線通信装置6Bとして使用することができる。また、これにより、撮影装置30A~30Cが無線電波送信機能を有していなくても(受信機能しか有していなくても)無線通信装置6Bを特定することができる。
【0279】
一方、放射線制御装置1Bの放射線制御部11Bは、有線接続されている無線通信装置6Bから特定情報を、通信部14を介して取得する機能を有している。
また、放射線制御部11Bは、撮影装置30A~30Cが転送した特定情報を、通信部14を介して受信する機能を有している。
【0280】
ここで、撮影装置30A~30Cが無線通信装置6Bから受信した特定情報は、それぞれが同期元となる特定の無線通信装置6Bに接続されていない第一の状態であるか、特定の無線通信装置6Bと接続されている第二の状態であるかを示す状態情報となる(接続判定方法2、3についても同じ)。
【0281】
また、放射線制御部11Bは、撮影装置30A~30Cが受信した(転送してきた)特定情報の全てが、自身が取得した特定情報と合致しているか否か(すなわち、撮影装置30A~30Cの全てが放射線制御装置1Bが接続されている特定の無線通信装置6Bと接続されているか否か)を判定し、判定結果を通信部14によりコンソール4へ出力する機能を有する。また、自身が取得した特定情報と、撮影装置30A~30Cが受信した(転送してきた)特定情報とが全て合致していると判定した場合に、放射線制御部11Bは、放射線発生部2のインターロックを解除してもよい。
コンソール4は、放射線制御装置1Bから判定結果を受信すると、その判定結果に基づいて、撮影装置30A~30Cを用いた撮影が可能であるか否かを識別可能な態様で表示部43に表示を行わせる。また、撮影時の撮影装置30A~30Cのそれぞれが上記の特定の無線通信装置6Bと接続された状態であるか否かを識別可能な態様で表示部43に表示を行わせる。ここでの表示部43の表示態様は、第1-A実施形態のステップS9で説明したものと同様であるので説明を援用する(接続判定方法2~3についても同様)。
【0282】
(接続判定方法2)
あるいは、撮影装置30A~30Cのいずれか(例えば、撮影装置30A)に、撮影装置30A~30Cの全てが放射線制御装置1Bと接続されている特定の無線通信装置6Bに接続されているか否かを判定する機能をもたせてもよい。
具体的には、放射線制御装置1Bの放射線制御部11Bは、有線接続されている無線通信装置6Bから特定情報を、通信部14を介して取得し、それを撮影装置30Aへ転送する機能を有している。
【0283】
一方、撮影装置30A~30Cの撮影制御部31は、周囲の無線通信装置6Bから特定情報を、通信部36を介して受信する機能を有している。
また、撮影装置30B~30Cの撮影制御部31は、受信した特定情報を通信部36を介して撮影装置30Aへ転送する機能を有している。
また、撮影装置30Aの撮影制御部31は、放射線制御装置1B及び撮影装置30B~30Cが転送した特定情報を、通信部36を介して受信し、放射線制御装置1Bが取得した(転送してきた)特定情報と、撮影装置30B~30Cが転送してきた特定情報と、自身が受信した特定情報の全てが合致しているか否か(すなわち、撮影装置30A~30Cの全てが放射線制御装置1Bと接続されている特定の無線通信装置6Bと接続されているか否か)を判定し、判定結果を通信部36によりコンソール4に出力する機能を有している。
コンソール4は、撮影装置30A~30Cの全てが放射線制御装置1Bが接続されている特定の無線通信装置6Bと接続されているか否かの判定結果を受信すると、その判定結果に基づいて、撮影装置30A~30Cを用いた撮影が可能であるか否かを識別可能な態様で表示部43に表示を行わせる。また、撮影時の撮影装置30A~30Cのそれぞれが上記の特定の無線通信装置6Bと接続された状態であるか否かを識別可能な態様で表示部43に表示を行わせる。また、コンソール4は、撮影装置30A~30Cの全てが放射線制御装置1Bに接続されている特定の無線通信装置6Bと接続されているとの判定結果を受信した場合に、放射線制御装置1Bに放射線発生部2のインターロックの解除を行わせる構成としてもよい。
【0284】
(接続判定方法3)
あるいは、放射線制御装置1Bの放射線制御部11B及び撮影装置30A~30Cの撮影制御部31は、無線通信装置6Bから特定情報を、通信部14、36を介して取得し、それをコンソール4へ転送する機能を有し、コンソール4は、放射線制御装置1B及び撮影装置30A~30Cのそれぞれから受信した特定情報が全て合致しているか否か(すなわち、撮影装置30A~30Cの全てが放射線制御装置1Bと接続されている特定の無線通信装置6Bと接続されているか否か)を判定し出力する機能を有している。また、コンソール4は、その判定結果の出力に基づいて、撮影装置30A~30Cを用いた撮影が可能であるか否かを識別可能な態様で表示部43に表示を行わせる。また、撮影時の撮影装置30A~30Cのそれぞれが上記の特定の無線通信装置6Bと接続された状態であるか否かを識別可能な態様で表示部43に表示を行わせる。また、コンソール4は、出力された判定結果が、撮影装置30A~30Cの全てが放射線制御装置1Bに接続されている特定の無線通信装置6Bと接続されているとの判定(第二の判定)である場合に、放射線制御装置1Bに放射線発生部2のインターロックの解除を行わせる構成としてもよい。
【0285】
上記の撮影装置30A~30Cの全てが特定の無線通信装置6Bと接続されているか否かの判定を行うタイミングは、撮影(放射線照射)を開始する直前(例えば、図4~5、図11~12に示すシーケンスのステップS8~9のタイミングや、照射指示スイッチ5の押下を契機とするタイミング)や、シリアル撮影を行っている最中等、放射線制御装置1Bと撮影装置30の同期がとれている必要があるときに行う。
【0286】
このように構成された本実施形態の放射線システム300を用いれば、複数の無線通信装置6Bが存在する、すなわち、周囲に同一のESSID、アクセスキーを持つ無線ネットワークが存在する場合であっても、撮影装置30A~30Cの全てが同期元である特定の無線通信装置6Bに接続されているか否かを判定し、判定結果に基づいて、撮影装置30A~30Cを用いた撮影が可能であるか否かを識別可能な態様で表示部43に表示させる。したがって、撮影装置30A~30Bが異なる同期元に連動して撮影を行うリスクを抑制することが可能となる。
【0287】
[特定の無線通信装置6Bと連動しているか否かの判定]
ここで、放射線制御装置1B及び撮影装置30A~30Cは、特定の無線通信装置6Bと接続されれば、上述の[タイミング情報の修正]により、ほぼその特定の無線通信装置6Bのタイミング信号又は時刻情報に合わせて動作している(すなわち、その特定の無線通信装置6Bに連動している)とみなすことができる。しかし、特定の無線通信装置6Bと接続されていても、何らかの原因(例えば、計時部が15、38が故障した等)により、実際にはその無線通信装置6Bと連動していない状態となっている可能性もある。撮影装置30A~30Cの少なくとも一つが放射線制御装置1Bに接続されている特定の(すなわち、同一の)無線通信装置6B(同期元)と連動していない場合、蓄積タイミングと放射線照射のタイミングを合わせて撮影を行うことができない。
そこで、上述した[特定の無線通信装置6Bから第一計時情報を受信できているか否かの判定]に代えて、撮影装置30A~30Cのそれぞれが同期元である特定の無線通信装置6Bと連動している状態であるか否かの判定を行うこととしてもよい。
【0288】
例えば、撮影(放射線照射)を開始する直前(例えば、図4~5、図11~12に示すシーケンスのステップS8~9のタイミングや、照射指示スイッチ5の押下を契機とするタイミング)や、長尺シリアル撮影を行っている最中等、放射線制御装置1Bと撮影装置30A~30Cが連動している必要があるときに、コンソール4は、撮影装置30A~30Cのそれぞれに、放射線制御装置1Bが接続されている特定の無線通信装置6Bと連動していない第一の状態であるか、連動している第二の状態であるかを示す状態情報の送信を要求して、状態情報を受信する。そして、受信した状態情報に基づいて、撮影装置30A~30Cの全てが放射線制御装置1Bと連動している特定の無線通信装置6Bと連動しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて、撮影装置30A~30Cを用いた撮影が可能であるか否かを識別可能な態様で表示部43に表示させる。
【0289】
ここで、撮影装置30A~30Cが放射線制御装置1Bと接続されている無線通信装置6Bと連動しているか否か判定する手法としては、例えば、下記の(連動判定方法1)~(連動判定方法2)が挙げられる。
【0290】
(連動判定方法1)
放射線制御装置1Bの放射線制御部11Bは、有線接続されている無線通信装置6Bから特定情報を、通信部14を介して取得し、それを撮影装置30A~30Cに転送する機能を有している。
撮影装置30A~30Cの撮影制御部31は、周囲の無線通信装置6Bから特定情報を、通信部36を介して受信するとともに、放射線制御装置1Bが転送した特定情報を通信部36を介して受信し、無線通信装置6Bから受信した特定情報が、放射線制御装置1Bから受信した特定情報と合致しているか否かを判断する。合致していない場合は、特定の無線通信装置6Bと連動していない第一の状態であると判断する。合致していると判断した場合は、無線通信装置6Bから受信した第一計時情報と、計時部38の第二計時情報との差を算出し、それが特定値を超えたか否かを判断する。そして、差が特定値を超えた場合には、特定の無線通信装置6Bと連動していない第一の状態であり、差が特定値以下である場合は、特定の無線通信装置6Bと連動している第二の状態であると判定する。
【0291】
(連動判定方法2)
撮影装置30A~30Cのそれぞれに、例えば電波時計、GPS、NTP等を用いて構成された第二計時部(図示せず)を備える構成とする。電波時計やGPS等を用いる場合には、電波を受信するためのアンテナを配置してもよい。
放射線制御装置1Bの放射線制御部11Bは、有線接続されている無線通信装置6Bから特定情報を、通信部14を介して取得し、それを撮影装置30A~30Cに転送する機能を有している。
撮影装置30A~30Cの撮影制御部31は、周囲の無線通信装置6Bから特定情報を、通信部36を介して受信するとともに、放射線制御装置1Bが転送した特定情報を通信部36を介して受信し、無線通信装置6Bから受信した特定情報が、放射線制御装置1Bから受信した特定情報と合致しているか否かを判断する。合致していないと判断した場合は、特定の無線通信装置6Bと連動していない第一の状態であると判断する。合致していると判断した場合は、計時部38の第二計時情報と、第二計時部の計時情報とを比較する。図29に示すように、計時部38が基準計時部602と連動しなくなると(同期失敗)、第二計時部の計時情報と計時部38の計時情報の差(ずれ量)が大きくなる。そこで、撮影制御部31は、計時部38の計時情報と、第二計時部の計測情報の差(ずれ量)を算出して所定値と比較し、ずれ量が所定値を超えた場合に、自装置が無線通信装置6Bと連動していない第一の状態であると判定し、所定値以下である場合に、撮影装置30A~30Cが無線通信装置6Bと連動している第二の状態と判定する。
【0292】
このように、撮影装置30A~30Cの全てが放射線制御装置1Bと接続されている特定の無線通信装置6Bと連動しているか否かを判定することで、複数の無線通信装置6Bが存在する場合であっても、撮影装置30A~30Cが特定の同期元(無線通信装置6B)に連動しているか否か精度よく判定することができる。したがって、撮影装置30A~30Bが異なる同期元に連動して撮影を行うリスクをより一層抑制することが可能となる。
【0293】
[システム300の変形例]
次に、図30図33を参照して、上記システム300のシステム構成の変形例について説明する。図30図33において、各装置を接続する接続線は、実線で示したものは有線、点線で示したものは無線であることを示す。破線は放射線を示す。また、図30図33において、第2実施形態で説明したシステム300を構成する各装置と同じ装置には同じ符号を付し、特段の言及がない場合は、上記第2実施形態で説明したものと同様の機能を有する。
【0294】
(システム変形例1)
図30に示すシステム変形例1は、図19のシステム300対し、放射線制御装置1B及びコンソール4が無線通信インターフェースを備え、それぞれが無線通信装置6Bと無線接続されている構成である。この構成では、回診者での撮影において、ケーブルを一切用いる必要がないため、利便性を向上させることができる。
【0295】
(システム変形例2)
図31に示すシステム変形例2は、図19のシステム300の構成に対し、さらに、中継器8b、分岐器8が新たに追加され、放射線制御装置1B及びコンソール4と撮影装置30A~30Cとが中継器8b及び分岐器8を介して有線接続された構成である。この構成では、無線通信装置6Bから撮影装置30A~30Cへの第一計時情報が無線により送信されるが、撮影装置30A~30Cからコンソール4への画像転送やその他の情報信号の送受信は有線で行うことができるため、画像データ等の転送を効率よく行うことができる。
【0296】
(システム変形例3)
図32に示すシステム変形例3は、撮影装置30Aに同期元となる(第一の計時情報を発信する)特定の無線通信装置6Bが内蔵された構成である。撮影装置30A内の無線通信装置6Bは、基準計時部602により計測された計時情報を第一計時情報として、例えばビーコンに乗せて所定時間間隔で出力する。撮影装置30A~30Cの通信部36は、無線通信装置6Bから送信された第一計時情報を受信する。また、撮影装置30Aの無線通信装置6Bは、中継器8bを介して放射線制御装置1B及びコンソール4に有線接続されており、第一計時情報を含むビーコンを送信するタイミングで放射線制御装置1Bに第一計時情報を送信する。さらに、撮影装置30Aの通信部36は、自装置で生成した画像データ及び無線通信により撮影装置30B及び30Cから送信された画像データを中継器8bを介してコンソール4に送信する。
システム変形例3においては、上述の[特定の無線通信装置6Bと接続しているか否かの判定]及び[特定の無線通信装置6Bと連動しているか否かの判定]において、放射線制御装置1Bが有線接続されている機器から特定情報を取得すると、中継器8bの特定情報を取得することになり、この特定情報は、撮影装置30A~30Cが取得する撮影装置30Aに内蔵された無線通信装置6Bの特定情報と合致しない。しかし、判定を行う機器(放射線制御装置1B、コンソール4、もしくは撮影装置30A(又は撮影装置30B、30C)において、予めシステム変形例3の機器構成及びこの機器構成で接続されているときの各構成要素の特定情報の組み合わせの情報を記憶しておくことにより、放射線制御装置1Bが接続されている無線通信装置6Bが、撮影装置30A内の無線通信装置6Bであることを認識して、上記判定を行うことができる。
なお、放射線制御装置1B又は中継器8bに同期元となる無線通信装置6Bを備える構成としてもよい。
【0297】
(システム変形例4)
図33に示すシステム変形例4において、撮影装置30Aは、無線親機としての機能を有し、同期元となる無線通信装置6Bが内蔵されている。撮影装置30B、30Cは、無線子機として機能する。また、放射線制御装置1B及びコンソール4は、無線通信インターフェースを備え、撮影装置30Aの無線通信装置6Bと無線接続されている。撮影装置30A内の無線通信装置6Bは、基準計時部602により計測された計時情報を第一計時情報として、例えばビーコンに乗せて所定時間間隔で出力する。放射線制御装置1B、撮影装置30A~30Cの通信部14,36は、無線通信装置6Bから送信された第一計時情報を受信する。さらに、撮影装置30Aは、通信部36により、自装置で生成した画像データ及び無線通信により撮影装置30B及び30Cから送信された画像データを無線通信装置6Bを介してコンソール4に送信する。
この構成では、ケーブルを一切用いる必要がないため、利便性を向上させることができる。
【0298】
<共通機能について>
次に、上述のシステム100~200及びこれらを適用した構成例、並びに、上述のシステム300及びその変形例について、共通に備えておくことが好ましい機能について説明する。なお、以下の説明において、撮影装置3、3A~3Cと記載した部分については撮影装置30、30A~30Cに置き換え可能である。
【0299】
[シリアル対応/フレームレートの表示]
撮影装置3には、静止画撮影のみに対応したものと、静止画撮影及びシリアル撮影に対応したものがある。また、シリアル撮影に対応した撮影装置3の中にも、対応できる撮影間隔(フレームレート)が異なるものがある。長尺シリアル撮影の場合、放射線の照射タイミングと合わせて複数の撮影装置3A~3Cが同時に蓄積を行うことを連続して複数回繰り返す必要がある。従来、使用する複数の放射線画像撮影装置3A~3Cがシリアル撮影に対応していることや、同じタイミングで撮影することが可能なフレームレートで撮影できることを確認せずに撮影を行ってしまうと、正しく撮影できず再撮影となり、被検体を無駄に被ばくさせてしまう危険性があった。
【0300】
そこで、例えば、上述のように、図4~5、図11~12のステップS8において、撮影装置3A~3Cは、シリアル撮影の可否及びフレームレートの情報をコンソール4に送信する。コンソール4は、図7に示すように、各撮影装置3A~3Cがシリアル撮影に対応しているか(シリアル可)、対応していないか(静止画のみ)の情報、及び各撮影装置3A~3Cのフレームレート(Fレート)を撮影画面432(図7参照)に表示する。これにより、撮影者は、選択された撮影装置3A~3Cで長尺シリアル撮影が可能であるか否かを確認することができる。そして、長尺シリアル撮影が不可能である場合、長尺シリアル撮影が不可能な撮影装置3を長尺シリアル撮影が可能な別の撮影装置3に入れ変える等の対処を行うことが可能となる。
【0301】
[シリアル非対応/フレームレート不一致の対応1]
また、例えば、コンソール4は、撮影に使用する撮影装置3A~3Cのシリアル撮影の可否及び/又はフレームレートの情報に基づいて、選択された撮影装置3A~3Cの組み合わせで長尺シリアル撮影が可能であるか否かを判断する。そして、選択された撮影装置3A~3Cの組み合わせでは長尺シリアル撮影ができないと判断した場合には、撮影不可の警告及びその理由をエラーメッセージとして、例えば撮影画面432の撮影可否/ステータス表示欄432bに表示する。例えば、選択された撮影装置3A~3Cにシリアル撮影不可のものが混在している場合には、撮影不可と判断し、撮影不可の警告を表示する。また、シリアル撮影不可の撮影装置3A~3Cの識別情報や装填されている位置を表示する(例えば、該当する撮影装置3A~3Cのシリアル撮影可否の情報の色を変えて表示する等)。
【0302】
また、選択された全ての撮影装置3A~3Cのフレームレートが一致しない場合には、撮影不可と判断し、撮影不可の警告及びフレームレートが一致していない旨を表示部43に表示する。
これにより、撮影者は、選択された撮影装置3A~3Cの組み合わせで長尺シリアル撮影が可能であるか否かを容易に確認することができる。また、長尺シリアル撮影が不可の組み合わせである場合、その理由を容易に知ることが可能となり、迅速に適切な対処(他の撮影装置3を選択して入れ替える等)を行うことが可能となる。
【0303】
また、シリアル撮影不可の撮影装置3が選択された撮影装置3A~3Cに含まれている場合、コンソール4は、照射指示スイッチ5の押下を無効化する等により撮影できないように制御することとしてもよい。これにより、シリアル撮影不可の撮影装置3が選択された撮影装置3A~3Cに含まれているにもかかわらず、誤って長尺シリアル撮影が行われないように確実に防止することができる。
【0304】
[シリアル非対応/フレームレート不一致の対応2]
フレームレートが異なる撮影装置3しかコンソール4の制御する撮影環境下にない場合、コンソール4は、撮影装置3A~3Cのいずれかのフレームレートを基準として、他の撮影装置3A~3Cのフレームレートが基準フレームレートのN倍(Nは整数)のフレームレートで撮影可能であるか否かを判断することとしてもよい。そして、撮影可能と判断した場合、コンソール4は、撮影装置3A~3Cのフレームレートで撮影可能な旨を、例えば撮影画面432に表示してもよい。また、コンソール4は、選択された撮影オーダー情報の撮影部位や撮影手技に基づいて関心領域を判断し、関心領域により高いフレームレートの撮影装置3A~3Cが配置されるように、撮影装置3A~3Cの推奨する配置を撮影画面432の撮影可否/ステータス表示欄432b等に表示することとしてもよい。このようにすれば、フレームレートが異なる撮影装置3A~3Cしかない場合であっても、長尺シリアル撮影を行うことが可能となる。また、関心領域のフレームレートが高くなるように撮影装置3A~3Cの推奨する配置を表示して促すことで、関心領域の画質を落とさずに撮影を行うことが可能となる。さらに、コンソール4は、関心領域に高フレームレートの撮影装置3が配置されていない場合、撮影を許可しないように設定してもよい。
【0305】
撮影装置3A~3Cのいずれかのフレームレートを基準として、他の撮影装置3A~3Cのフレームレートが基準フレームレートのN倍のフレームレートで撮影可能である場合、例えば、コンソール4は、最も高いフレームレートに合わせて放射線を照射するように、放射線制御装置1に撮影条件(照射条件)を設定する。この場合、図34Aに示すように、低いフレームレートの撮影装置3(図34Aでは撮影装置3B、3C)では読出し/初期化の途中で放射線が照射される可能性があるが、それらも次フレーム撮影に受光量として電荷が蓄積されるため、画像としては動作に対して若干の残像が生じる可能性があるが、遅い動態を撮影する場合には十分に使用できる可能性がある。
このように、最も高いフレームレートで撮影可能な撮影装置3に合わせて放射線照射を行うことで、最も高いフレームレートの撮影装置3を配置した領域を他の領域より詳細に撮影することが可能となる。すなわち、関心領域には、最も高いフレームレートの撮影装置3を配置することで、関心領域をより高いフレームレートで詳細に撮影することができ、関心領域について詳細な診断が可能となる。
【0306】
あるいは、撮影装置3A~3Cのいずれかのフレームレートを基準として、他の撮影装置3A~3Cのフレームレートが基準フレームレートのN倍のフレームレートで撮影可能である場合、例えば、コンソール4は、最も低いフレームレートに合わせて放射線を照射するように、放射線制御装置1に照射条件を設定する。この場合、図34Bに示すように、高いフレームレートの撮影装置3(図34Bでは撮影装置3A)では、放射線が照射されていないフレームでも、読出し/初期化を行うこととなるが、撮影制御部31では、この時の画像について撮影装置3内に保存しない、保存してもコンソール4等へ転送しない制御を行うことができる。このようにすれば、高フレームレートの撮影装置3において、放射線照射時の画像の読出し/初期化以外に、さらにもう一度読出し/初期化を行うことができるので、もう一度の読出/初期化をしない場合に比べ、放射線検出素子32dの状態がよりリフレッシュされた状態となり、画像品質を高めることが可能となる。あるいは、放射線が照射されていないタイミングのフレーム画像を暗画像(放射線が照射されていないノイズ画像)として取得し、撮影制御部31又はコンソール4において、前後のフレーム画像のいずれか、あるいは両方のノイズ成分として、前後のフレームの画像から引く構成としてもよい。このようにすれば、直近の暗画像でノイズ成分を除去した画像が得られるため、著しく画像品質を高めた画像を取得することが可能となる。
【0307】
ここで、上記の最も低いフレームレートに合わせて放射線を照射する設定とした場合の、高フレームレートの撮影装置3において放射線を照射しないタイミングで撮影される(電荷蓄積される)暗画像は、その撮影装置3が受ける圧力に影響を受ける場合がある。すなわち、被検体がその撮影装置3に寄り掛かることでその撮影装置3が受ける圧力により、その撮影装置3の放射線検出部32が歪むことで、内部の放射線検出素子32dの圧力がかかる部分に歪みが生じる。すなわち、高フレームレートの撮影装置3において放射線を照射しないタイミングで撮影される暗画像により、その撮影装置3が受ける圧力分布を知ることが可能となる。そこで、撮影中にコンソール4において暗画像を解析しながら撮影を行い、例えば、被検体が撮影装置3に与える圧力の変化、すなわち被検体の体動を検知する。そして、体動が大きい場合には、撮影に適さない体動が生じた可能性があるため、その旨を出力する。例えば、撮影に適さない体動が生じた可能性がある旨を表示部43に表示したり、音声を出力したりすることで、撮影者に被検体に体動があった可能性があることを警告することができる。これにより、撮影者は、許容できる範囲を超えた体動があったとみなし、撮影を中止することができる。あるいは、被検体が見える位置にモニターを設けておき、コンソール4は、そのモニターに被検体に体動を起こさないよう警告表示するよう制御してもよい。
このように、暗画像を解析することにより、撮影装置3が受ける圧力、あるいはその圧力分布を測定することが可能となるので、その測定した圧力、あるいはその圧力分布から、被検体の状態(体動等)の予測が可能となる。そして、その予測に基づき、適切に警告や撮影中止を行うことが可能となる。
【0308】
なお、上述の、最も低いフレームレートに合わせて放射線を照射するパターン、つまり、高フレームレートの撮影装置3に対して放射線照射を高フレームレートの1/Nのフレームレートで行うパターンは、複数枚の撮影装置3での撮影ではなく、1枚の撮影装置3での撮影でも使用することができる。すなわち、1枚の撮影装置3を用いた撮影でも、撮影制御部31又はコンソール4は、暗画像を解析して被検体の状態を知ることが可能となり、被検体の状態に応じた警告や撮影中止を行うことができる。また、撮影期間の暗画像だけではなく、撮影前の被検体の位置を調整するポジショニング時に取得した暗画像にも上記の解析を行うことができる。そして、暗画像の解析結果から被検体の状態を知ることが可能となり、被検体の状態に応じた警告や撮影中止を行うことができる。
【0309】
[残電力量の表示]
シリアル撮影では、複数のフレーム画像を連続的に撮影するため、撮影に使用する撮影装置3A~3Cは複数のフレーム画像を撮影するための電力が必要となる。しかし、従来、少なくとも自装置のバッテリーに蓄積された電力を用いて撮影の一部を行う撮影装置3A~3Cを用いてシリアル撮影を行う場合、上記複数のフレーム画像を撮影するのに必要な電力量が残っているか否かを確認せずに撮影を行ってしまい、途中で撮影ができなくなり、被検体を無駄に被曝させてしまう問題があった。また、使用する全ての撮影装置3A~3Cのバッテリー残量が撮影枚数分残っているか確認するのは煩雑な作業であった。
【0310】
そこで、例えば、上述のように、図4~5、図11~12のステップS8において、撮影装置3A~3Cは、自装置の残電力量の情報をコンソール4に送信する。コンソール4は、図7に示すように、撮影装置3A~3Cのそれぞれの残電力量を、例えば撮影画面432に表示する。また、全ての撮影装置3A~3Cにこれから行うシリアル撮影に十分なバッテリー量が残っているかを判断してその判断結果を表示することとしてもよい(例えば、図7の撮影可否/ステータス表示欄432bに表示する、該当する撮影装置3A~3Cの残電力量の文字等を色を変えて表示する等)。これにより、撮影者は、撮影に用いる撮影装置3A~3Cの残電力量を容易に確認し、撮影を行うことが可能となる。長尺シリアル撮影を撮影指示した場合には、撮影に使用する全ての撮影装置3A~3Cに対して確認を行う必要があるが、自動で各撮影装置3A~3Cの残電力量がコンソール4の表示部43に表示されるので、手間を省くことができ、迅速に撮影することが可能となる。
【0311】
[画像転送タイミングの表示]
また、長尺シリアル撮影を行うためには、複数の撮影画像(フレーム画像)を撮影後にどのように処理するかを適切に指定する必要がある。撮影後の画像の処理としては、例えば、撮影期間中は一旦画像を撮影装置3A~3C内のメモリーに保存し、撮影終了後にコンソール4等の画像処理部へ転送する場合と、撮影期間中に撮影毎に撮影画像をコンソール4等の画像処理部へ転送する方法がある。このような設定が全ての撮影装置3A~3Cに撮影者あるいは装置の意図する方法で設定されていない場合、撮影が失敗することで、被検体を無駄に被曝させてしまう問題があった。また、これらを個々の撮影装置3A~3Cの全てに行うのは煩雑な作業であり問題であった。
そこで、例えば、上述のように、図4~5、図11~12のステップS8において、撮影装置3A~3Cは、自装置に設定されている撮影画像の送信方法(撮影中/撮影後)の情報をコンソール4に送信する。コンソール4は、例えば、図7に示すように、撮影画面432において、各撮影装置3A~3Cに設定されている撮影画像の送信方法(撮影中/撮影後)を表示するとともに、撮影者の操作に応じて指定された撮影装置3A~3Cの撮影画像の送信方法の設定を変更する。これにより、使用する全ての撮影装置3A~3Cの撮影画像の送信方法を撮影者が容易に確認して適切に撮影画像の送信方法を設定することが可能となる。
【0312】
また、各撮影装置3A~3Cの複数の撮影画像を撮影後にどのように処理するかの設定については、撮影者が撮影画面432から指定することとしてもよいが、例えば、選択された撮影装置3A~3Cのメモリー残量等に基づいてコンソール4が自動的に設定してもよい。これにより、個々に設定する手間を省くことができる。また、撮影した画像がメモリーに保存できずに撮影が失敗となり、被検体を無駄に被曝させてしまうことを防止することができる。
【0313】
[メモリー残量の表示]
また、シリアル撮影を行い、撮影しながら画像を転送せずに、撮影装置3A~3C内のメモリーに画像を一旦保存する場合には、複数枚のフレーム画像を保存する必要がある。しかし、従来、撮影に使用する撮影装置3A~3Cの一部に、上記複数の画像を保存するのに必要なメモリーが残っていない場合、途中で画像保存ができなくなり、撮影が失敗することで、被検体を無駄に被曝させてしまう問題があった。また、撮影に使用する個々の撮影装置3A~3Cの全てのメモリー残量を個別に確認するのは煩雑な作業であり問題であった。
【0314】
そこで、例えば、上述のように、図4~5、図11~12のステップS8において、撮影装置3A~3Cは、メモリー残量の情報をコンソール4に送信する。コンソール4は、図7に示すように、撮影画面432において、撮影装置3A~3Cのそれぞれのメモリー残量を表示する。あるいは、全ての撮影装置3A~3Cにこれから行うシリアル撮影に十分なメモリー量が残っているかを判断してその判断結果を表示することとしてもよい(例えば、撮影可否/ステータス表示欄432bに表示する、該当する撮影装置3A~3Cのメモリー残量の文字等を色を変えて表示する等)。これにより、撮影者は、撮影に用いる撮影装置3A~3Cのメモリー残量を容易に確認し、撮影を行うことが可能となる。長尺シリアル撮影を撮影指示した場合には、撮影に使用する全ての撮影装置3A~3Cに対して確認を行う必要があるが、自動で各撮影装置3A~3Cのメモリー残量がコンソール4の表示部43に表示されるので、手間を省くことができ、迅速に撮影することが可能となる。
【0315】
[フレームレートの設定]
選択された撮影装置3A~3Cが複数のフレームレートでの撮影が可能な場合、その中から適切なフレームレートを設定する必要がある。そこで、コンソール4は、選択された全ての撮影装置3A~3Cのフレームレートを所定のフレームレートに自動的に設定し、設定されたことを表示する。例えば、図7に示す撮影画面432の撮影装置3A~3Cのフレームレートの表示を、設定されたフレームレートで表示する。又は、設定されたフレームレートを他のフレームレートとは異なる色で表示する。これにより、自動的に各撮影装置3A~3Cのフレームレートを適切なフレームレートに設定することが可能となる。
あるいは、全ての撮影装置3A~3Cのフレームレートを揃えずに、関心領域に高フレームレートを設定することとしてもよい。この場合、関心領域に最も高フレームレートの撮影装置3が配置されるように、撮影装置3A~3Cの推奨する配置を、例えば撮影画面432の撮影可否/ステータス表示欄432b等に表示する。あるいは、撮影手技ごとに、推奨フレームレートを初期設定として設定してもよい。あるいは、撮影手技ごとに、選択された撮影装置3(3A~3C)、又はコンソール4が現在認識している撮影装置3又はコンソール4が1週間以内などの特定期間に認識している撮影装置3、又はコンソール4にその撮影環境で使用すると設定された撮影装置3の中から、推奨の組み合わせとフレームレートを表示する、あるいは初期設定として設定することとしてもよい。これにより、撮影に用いる撮影装置3(3A~3C)のフレームレートを適切なフレームレートに設定することが可能となる。
【0316】
[解像度の設定]
同様に、選択された撮影装置3A~3Cが複数の解像度での撮影が可能な場合、その中から適切な解像度を設定する必要がある。そこで、コンソール4は、選択された全ての撮影装置3A~3Cの解像度を所定の解像度に設定し、設定されたことを表示する。例えば、撮影画面432の各撮影装置3A~3Cの解像度の表示を設定された解像度で表示する。又は、設定された解像度を他の解像度とは異なる色で表示する。これにより、自動的に各撮影装置3A~3Cの解像度を適切な解像度に設定することが可能となる。或いは、全ての撮影装置3A~3Cの解像度を揃えずに、関心領域に高解像度を設定することとしてもよい。この場合、関心領域に高解像度の撮影装置3A~3Cが配置されるように、撮影装置3A~3Cの推奨する配置を、例えば撮影画面432に表示する。或いは、撮影手技ごとに、推奨解像度を初期設定として設定してもよい。或いは、撮影手技ごとに、現在撮影に用いる長尺撮影台又はホルダーに装填されている撮影装置3A~3C、又はコンソール4が現在認識している撮影装置3A~3C、又はコンソール4が1週間以内などの特定期間に認識している撮影装置3A~3C、又はコンソール4にその撮影環境で使用すると設定された撮影装置3A~3Cの中から、推奨の組み合わせと解像度を表示する、あるいは初期設定として設定することとしてもよい。これにより、撮影に用いる各撮影装置3A~3Cの解像度を適切な解像度に設定することが可能となる。
【0317】
[自動モード変更1]
長尺シリアル撮影を行うためには、撮影に使用する撮影装置3A~3Cの全てを電力消費が少ない待機モードから電力消費が大きい撮影モードに切り替える必要がある。これらの操作を個々の撮影装置3A~3Cに手動で行うのは煩雑な作業であった。上記実施形態の撮影装置3A~3Cの撮影制御部31は、長尺シリアル撮影での撮影開始が指示されると自動的に撮影モードに切り替える。これにより、撮影モードへの切り替えを行う手間を省くことができ、迅速に撮影を行うことが可能となる。
【0318】
[自動モード変更2]
また、シリアル撮影可能な撮影装置3A~3Cは、シリアル撮影モードと静止画撮影モードの2つの動作モードを有する。複数の撮影装置3A~3Cを用いて長尺シリアル撮影を行うためには、撮影に使用する全ての撮影装置3A~3Cをシリアル撮影モードに変更する必要がある。これらを個々の撮影装置3A~3Cを全てに行うのは煩雑な作業であり問題であった。上記実施形態の撮影装置3A~3Cの撮影制御部31は、シリアル撮影を含む撮影条件下で撮影開始が指示されると自動的にシリアル撮影モードに切り替える。これにより、シリアル撮影モードへの切り替えを行う手間を省くことができ、迅速に撮影を行うことが可能となる。
【0319】
[撮影可能であるか否かの表示]
撮影者は、全ての撮影準備が整っているか否か及び全ての撮影装置3A~3Cが撮影可能状態であるかがわからないと、放射線照射指示を開始してよいかわからず、問題となる。また、全ての撮影装置3A~3Cが撮影可能でない状態で撮影を行うと、撮影が失敗することで、被検体を無駄に被曝させてしまう問題がある。
そこで、コンソール4は、全ての撮影装置3A~3Cが撮影可能(長尺撮影可能)であるか否かを表示部43にする。また、撮影可能ではない場合、その理由と、撮影装置3A~3Cのうちいずれが撮影不可であるかを表示部43に表示する。
【0320】
また、例えば、コンソール4は、前述の、
・シリアル撮影可能な撮影装置の組み合わせ
・メモリー残量、残電力量
・シリアル撮影モードへの遷移
・同期元との連動
などの撮影装置3A~3Cが撮影可能となるための条件が満たされていることを確認し、確認結果に基づいて撮影可能な状態であるか否かを判断し、その判断結果を表示部43に表示する。撮影可能ではない場合、その理由と、撮影装置3A~3Cのうちいずれが撮影不可であるかを表示部43に表示する。これにより、撮影者は、撮影可能であることを確認し、撮影を行うことが確実に可能となる。
【0321】
また、コンソール4は、撮影中も、長尺シリアル撮影の各フレーム画像の撮影毎などの途中タイミングで、撮影装置3A~3Cに上述の状態確認を行い、前述の撮影可能状態の条件が満たされているか、少なくとも1つを確認する。撮影可能状態の条件が満たされていない場合には、条件が満たされていないことを出力する。例えば、コンソール4は、表示部43に撮影者への警告を表示する、あるいは撮影を停止するよう制御する、撮影可能状態が満たされていない条件を表示する、などの対応を行うことが好ましい。これにより、確実に撮影可能な状態で各フレーム画像の撮影を行うことが可能となる。
【0322】
[長尺シリアル撮影中の異常時への対応1]
長尺シリアル撮影中に撮影装置3A~3Cの少なくとも一つで撮影が可能でない状態になった(撮影可能状態の条件を満たさなくなった)にもかかわらず撮影を継続した場合、撮影が失敗することで、被検体を無駄に被曝させてしまう問題があった。また、撮影者が撮影が可能でなくなった理由がわからないと、どの状態を直して再撮影を行えばよいかわからず、再び撮影可能な状態にするのに手間と時間がかかる問題があった。
そこで、コンソール4は、長尺シリアル撮影中に(例えば、フレーム画像の撮影毎に)撮影装置3A~3C上述の状態確認を行い、少なくとも1つで異常が発生した場合、撮影を停止するよう制御する、または、異常となった撮影装置3の識別情報、理由等を表示部43に表示する。
これにより、長尺シリアル撮影中に、撮影不可の状態になった場合に、確実にそのことを撮影者に伝える、あるいは撮影を停止することが可能となる。
【0323】
[長尺シリアル撮影中の異常時への対応2]
長尺シリアル撮影中に放射線制御装置1で撮影が可能でない状態になったにもかかわらず撮影を継続した場合、撮影が失敗することで、被検体を無駄に被曝させてしまう問題があった。また、撮影者が撮影が可能でなくなった理由がわからないと、どの状態を直して再撮影を行えばよいかわからず、再び撮影可能な状態にするのに手間と時間がかかる問題があった。
そこで、コンソール4は、長尺シリアル撮影中に(例えば、フレーム画像の撮影毎に)放射線制御装置1の状態確認を行い、放射線制御装置1で異常が発生した場合、撮影を停止するよう制御する、または、異常となった理由を表示部43に表示する。
これにより、長尺シリアル撮影中に、撮影不可の状態になった場合に、確実にそのことを撮影者に伝える、あるいは撮影を停止することが可能となる。
【0324】
[画像の結合処理]
長尺動態画像を生成するためには、上述の長尺シリアル撮影により取得された複数の撮影画像の結合位置をフレーム毎に算出し、算出された結合位置で結合処理を行う必要がある(結合位置の算出に関しては、例えば、特許第3888046号公報、特許第5644195号公報、特許第5834971号公報参照)。しかしながら、このような結合位置の算出には計算時間が必要なため、撮影により得られた長尺動態画像を迅速に表示することが困難であった。例えば、撮影後に撮影者が意図した撮影が行われたかを確認するプレビューでは、撮影者は撮影した長尺動態画像を迅速に確認したいが、フレームごとの結合位置の算出に時間がかかり、迅速な画像確認の妨げとなっていた。特に、医療機関での患者撮影では、プレビューの確認が終わるまで、再度撮影を行う必要がある可能性があるため、患者を撮影ポジションのまま待機させる必要があり、迅速に画像確認を行い撮影中に異常がなかったか否かを判断することが望まれていた。
【0325】
再度撮影が必要になる異常としては、撮影期間中に患者が意図しない動作(体動)を発生させ、診断時に重要となる部位(関心部位)が画像領域から出てしまうものであったり、画像が診断に用いるのに不適切なものであったりするものが多数であり、結合処理を行わなくても、再度の撮影が必要であるかを判断することは可能である場合が多い。また、関心部位は、一般的に、複数の撮影装置3に跨る結合領域には配置せず、特定の撮影装置3の中央付近に配置して撮影する場合が多い。そのため、撮影画像の撮影品質が診断に十分であるかを判断する場合も、画像を結合する必要はない場合が多い。
そこで、システム100~300のコンソール4は、撮影後の画像表示モードの一つとして、結合処理をせずに或いは結合処理を間引いて(一部のタイミングのフレーム画像を用いて)撮影画像を表示する簡易表示モードを有することが好ましい。
【0326】
図35は、簡易表示モードが設定されている場合に撮影完了後にコンソール4が表示部43に表示するプレビュー画面433の一例を示す図である。図35に示すように、プレビュー画面433には、撮影画像表示領域433a、処理済み画像表示領域433b、結合タブ433c、画像処理タブ433d等が設けられている。コンソール4は、プレビュー画面433からの操作に応じて、長尺シリアル撮影により得られた撮影画像(フレーム画像)に処理を施したり、プレビュー表示(再生)したりする。
【0327】
撮影画像表示領域433aは、撮影装置3A~3Cのそれぞれから取得された撮影画像を並べて表示する領域である。例えば、撮影装置3A~3Cのそれぞれから取得された撮影画像の代表フレーム画像(例えば、1枚目のフレーム画像)が表示される。処理済み画像表示領域433bは、撮影画像に結合処理及び/又は画像処理を施した処理済み画像をプレビュー表示する領域である。結合タブ433cは、撮影画像に対する結合位置算出方法を入力可能な操作画面の表示を指示するためのタブである。結合位置算出方法は、デフォルトでは、例えば「結合なし」が設定されている。画像処理タブ433dは、撮影画像に対する画像処理の処理条件を入力可能な操作画面を指示するためのタブである。図35は、結合タブ433cが押下された例を示している。
【0328】
結合タブ433cを操作部により押下することにより表示される操作画面4331には、巻き戻しボタン433e、再生ボタン433f、停止ボタン433g、早送りボタン433hが設けられており、これらの撮影者によるボタン操作に応じて、コンソール4は、長尺シリアル撮影において同じタイミングで撮影された一部の画像、複数の画像又は全ての画像を処理済み画像表示領域433bに再生表示したり、早送り、巻戻し、特定位置までのスキップ再生等を行ったりする。再生の対象となる一部の画像、複数の画像又は全ての画像の切り替えは、処理済み画像表示領域433bに表示された画像の再生したい画像を操作部のマウス等によりクリックし、アクティブに切り替えることで可能となる。
また、操作画面4331には、結合位置算出方法(デフォルトでは、例えば結合位置を算出しない「結合なし」)が表示された結合位置算出ボタン433i、時間軸433j、再生位置を示す点線433k等が表示されている。マウス等により点線433kを時間軸433jに沿って動かすと、コンソール4は、処理済み画像表示領域433bに表示する画像を変更する。
【0329】
上述のように、結合位置算出方法としてデフォルトでは「結合なし」が設定されており、コンソール4は、長尺シリアル撮影において同じタイミングで撮影されたフレーム画像同士の結合処理を行わずにプレビュー表示するので、迅速に長尺動態画像のプレビューを提供することが可能となる。また、表示されている撮影画像のうち一部の画像を操作することで、同じタイミングで撮影された撮影画像(フレーム画像)のうち一部の画像のみをプレビュー表示(再生)することもできる。
【0330】
なお、処理済み画像表示領域433bに画像を表示する際、コンソール4は、単に並べて表示するのではなく、撮影方向や撮影順に並べて表示する。例えば、撮影装置3A~3Cをこの順に上から並べて撮影した場合には、撮影装置3Aから得られた画像を上、撮影装置3Bから得られた画像を真ん中、撮影装置3Cから得られた画像を下、のようにそれぞれの相対位置を反映させて撮影順に並べた表示にする。また、撮影方向や撮影順に並べた画像を近づける、あるいは一部を重ねて表示させることで、疑似的に結合した動画のように表示させる構成としても良い。
【0331】
ここで、操作画面4331の結合位置算出ボタン433iは、マウス等で選択することにより、結合位置算出方法のプルダウンメニューを表示させることができ、プルダウンメニューから他の結合位置算出方法を選択すると、コンソール4は、選択された結合位置算出方法で撮影画像に対して結合処理を施して処理済み画像表示領域433bに表示を行う。プルダウンメニューから選択可能な結合位置算出方法としては、撮影された長尺動態画像の一部のタイミングのフレーム画像を用いて結合位置を算出して結合処理を実施するもの、全てのタイミングのフレーム画像で個別に結合位置を算出して結合処理を行うもの(個別位置)、が挙げられる。一部のタイミングのフレーム画像を用いて結合位置を算出する手法としては、例えば、下記の(1)~(4)の処理が挙げられる。
【0332】
(1)一連のフレーム画像の一定間隔毎に結合位置を算出し、結合位置を算出していないフレーム画像については補間処理で結合位置を求める(図36参照)。
(2)1枚目のフレーム画像で結合位置を計算し、他のフレーム画像は1枚目の結合位置とする(図37参照)。
長尺シリアル撮影中の撮影装置3A~3Cの位置は固定されているので結合位置はそれほど動かないと考えられる。そこで、(2)のように最初と最後のフレーム画像のみ結合位置を算出して他のフレーム画像は補間により結合位置を求めることで、迅速に長尺動態画像のプレビューを提供することが可能となる。
(3)1枚目のフレーム画像と最終のフレーム画像で結合位置を計算し、他のフレーム画像はその線形補間位置で結合(線形補間以外の補間方法でもよい)(図38参照)。
一般的に、変動の一つとして、撮影画像の位置が経過時間とともに単調に変動するオフセット成分を持つ。最初と最後の画像の位置を結合位置の算出に用いることで、このオフセット成分を除去することができる。
(4)特定期間のフレーム画像に対しては、個々に結合位置を計算し、他の期間のフレーム画像に対しては、それらを補間した補間式の値を結合位置とする(図39参照)。
長尺動態画像を構成する個々のタイミングのフレーム画像に対して結合位置を算出する処理を行うと、処理に時間がかかる。一方、診断で特に注力して確認を行う期間に関しては、他の期間より詳細な処理を行い、画像品質を向上させて診察を行いたいという要望がある。そこで、例えば、診断に重要な動態の写っている関心タイミング期間のフレーム画像に対しては、補間せずに、個々に対して結合位置を算出する。関心タイミング期間以外の期間のフレーム画像については、関心タイミング期間の値で作成した補間式を外挿した値を結合位置として結合処理を実施する。補間は線形補間以外の補間方法でもよい。例えば、多次関数補間やスプライン補間を用いることができる。
関心タイミング期間は、例えば、胸部の動態をシリアル撮影した場合、最初のうちは呼吸が整っていないため、所定時間経過後、少なくとも呼吸一周期の期間を関心タイミング期間とすることができる。
このように、画像品質を高くしたいタイミングに絞り、時間のかかる処理を行うことで、必要な部分の画像品質を高くし、かつ処理時間を短縮することが可能となる。
【0333】
ここで、図36~39、図41~42に示すグラフは、個々のフレーム画像で算出した場合に得られる値を点で示し、上述の又は以下に説明する一部のタイミングのフレーム画像を用いて算出した値を線で示している。
【0334】
なお、結合処理においては、図40に示すように、結合位置として各画像のXの移動量、Yの移動量を算出して各画像をX、Yだけ移動させて結合を行うが、各画像を回転させたり、拡大率を変更したりして結合を行ってもよい。これらの回転角度や拡大率に対しても、結合位置と同様に、一部のタイミングのフレーム画像で求めた回転角度や拡大率から、補間完処理により各タイミングでのフレーム画像を結合する際の回転角度や拡大率を求め、結合処理を行うようにしてもよい。
【0335】
また、個々のタイミングで撮影されたフレーム画像毎に(あるいは、間引いて)結合位置を算出し結合した場合、隣接するフレーム画像間で結合位置が異なる場合が生じ、動画像として再生した場合に結合位置がガタガタとずれる画像となり、好ましい動画像とならない場合があり、動画品質を著しく落とす場合がある。
そこで、図41に示すように、各フレーム画像で結合位置を計算した場合、それらの結合位置をスムージング化して結合することが好ましい。特に、例えば呼吸や血流など、一定の周期で変動する動態を撮影する場合には、その一定周期にあった周期関数で結合位置を近似してスムージング化することが好ましい。これにより、隣接フレーム画像間で結合位置がガタガタとずれることがなくなり、スムーズな動画像となり、診断がしやすくなる。
【0336】
また、特定期間の結合処理を、他の期間の結合処理と異なる処理としてもよい。
例えば、肺の換気機能をシリアル撮影した場合、息を止めている期間は、体動も少ないため、結合位置の変動も少なく、フレーム毎に、画像を考慮して結合位置を決める必要が少ない。一方で、吸う、吐くといった動作をしている期間は、吸う、吐くという動作に伴って結合位置も変化する可能性が高く、各画像を考慮して結合位置を決める必要がある。
そこで、肺の換気機能を長尺シリアル撮影した場合、図42に示すように、吸うタイミング(期間)のフレーム画像と吐くタイミング(期間)のフレーム画像にはフレームごとに結合位置の算出を行い、息止め期間は、フレームごとに結合位置の算出は行わず、一部のフレーム画像で求めた値から、上述の補間処理により結合のパラメーターである位置、回転角度、拡大率などを算出して結合処理を行うことにより処理を高速化することができる。または、吸うタイミング(期間)のフレーム画像と吐くタイミング(期間)のフレーム画像にはフレームごとに結合位置算出を行い、息止め期間は、結合位置算出を少なくし、残りは補間により結合位置を決定してもよい。
【0337】
あるいは、上述の関心タイミング(関心度が高い期間)に結合位置の算出を行い、それ以外の期間には結合位置を算出しない(結合処理を施さない、あるいは、補間する)こととしてもよい。
関心タイミング(どのタイミングが相対的に関心度が高いか、低いか)は、撮影の手技や診断対象の種類により異なる。例えば、胸部動態画像において、肺の換気機能が診断対象である場合には、息を止めるタイミングは関心が低く、吸う、吐くといった変動が大きいタイミングが関心タイミングとなる。血流機能が診断対象の場合には、心臓が脈動を打つタイミングが関心タイミングとなる。そこで、撮影手技ごと(診断対象の種類ごと)に処理の初期設定をコンソール4に記憶しておき、それを用いる構成としても良い。また、撮影手技ごと(診断対象の種類ごと)に定められたタイミングを関心タイミングとして、例えば、オートボイスなどの指示器具を用いてタイミング指示する構成とすることとしてもよい。
このようにすることで、撮影手技(診断対象の種類)に応じて関心度が比較的高い期間に、より高精度で処理時間のかかる結合処理を行い、画像品質を高めるとともに、その他の期間では省略すことで、全体の処理時間を短縮することが可能となる。
【0338】
また、結合位置の算出方法には、前述のように、比較的処理時間はかかるが個々の画像から算出される値に近い値を算出可能な方法(個別位置)と、比較的処理時間は短縮されるが個々の画像から算出される値ではなく、補間値を用いる方法(補間)、または他のフレーム画像から算出された結合位置を流用する方法(一定位置)がある。そこで、例えば、図35に示すプレビュー画面433の追加ボタン433mを押下する等して、結合位置の算出方法を追加して、各結合位置の算出方法を適用する期間を時間軸上で指定することで、図43に示すように、長尺動態画像の期間ごとに、結合位置の算出手法を設定することとしてもよい。これにより、撮影者が意図した長尺動態画像を得ることができる。
【0339】
また、結合位置の算出は、例えば、特許第3888046号公報、特許第5644195号公報、特許第5834971号公報などに記載のように種々の方法が提案されているが、結合位置の探索時に探索対象領域が大きいと、処理時間が長くなる方法が多い。一方で、比較的短時間に連続的に撮影した長尺動態画像に対する結合位置の算出では、時間的に隣接するフレーム画像間で結合位置が大きく異なる可能性は少ない。そこで、図44に示すように、結合位置の探索対象領域を、前のフレーム画像の結合位置の近傍に絞ることが好ましい。そして、探索範囲を狭めた探索で、結合位置が算出されなかった、あるいは結合位置が前の画像や周囲の画像と大きく異なる位置になっている場合には、探索範囲を広げて再探索を行うことが好ましい。これにより、結合位置の算出に要する時間を短縮し、迅速に長尺動態画像を得ることができる。
【0340】
ところで、結合処理の後工程で実施される画像処理時に問題があった場合、画像が消失する危険性がある。また、処理によっては、再び元の画像に戻すことができない不可逆な処理があり、処理を取り消したい場合に問題がある。また、処理を取り消せる場合であっても、結合領域では複数の画像が影響するため、画像が不鮮明になる場合があり、結合前の画像を確認したい場合に問題がある。
そこで、コンソール4は、結合前の各撮影装置3A~3Cから取得されたフレーム画像をRAM等に記憶して保持しておく。また、画像処理が複数ある場合は、処理毎に処理前の画像をRAM等に記憶して保持しておく。なお、処理前の画像を保持するかはユーザーが操作部の操作により選択可能としてもよい。
このようにすれば、画像処理時に問題があった場合や、画像処理を取り消したい場合に、処理前の画像を確認することが可能となる。
【0341】
[画像処理値の算出]
撮影された画像を診断に用いる場合、画像のコントラスト調整処理や、強調処理など、撮影画像に対して様々な画像処理を施すことにより、より診断者が見やすい画像にすることができ、正しい診断を行う助けとすることができる。しかしながら、このような画像処理には計算が必要であり、計算時間がかかる問題があった。さらに、長尺動態画像による診断を行うためには、複数のフレーム画像に対して画像処理を行わなければならないため、その処理時間は、静止画での処理時間に比べて非常に大きく、処理にかかる時間が問題となる。
【0342】
ここで、画像処理では、画像の濃淡情報を解析し、画像処理値(画像処理の強弱やレベルを調整する調整値)を算出する処理と、算出された画像処理値を用いて画像の濃淡情報を補正処理する処理とに分かれる。画像処理の種類によっては、画像処理値の算出に多くの計算処理が必要で、処理に時間がかかるものがある。
また別の観点では、長尺動態画像による診断では、時間方向に隣接するフレーム画像間での変化を診断に用いる場合がある。例えば肺の換気解析では、画像の濃淡情報から肺の領域を解析し、肺の領域が時間方向に対して大きくなったり小さくなったりする変化量から換気量を解析することが可能となる。しかしながら、このような濃淡情報の前提となるコントラスト調整処理の調整量が、時間方向で隣接するフレーム画像間で大きく異なる場合、その調整量でコントラスト処理された濃淡情報からでは時間方向に肺の領域が異なって解析されるため、正しく換気量を解析することができなくなる。
また、前述のように肺の領域の解析まで行わなくても、時間方向に隣接するフレーム画像間でコントラストなどの画質、あるいはコントラストなどの画質を調整する調整量が大きく異なる場合、各フレーム画像間の例えば濃淡が大きく異なる場合には、フレーム画像を順次表示した場合にガタガタとした動画となってしまい、画像品質が著しく悪くなる問題があった。
そこで、コンソール4は、図36に示すように、長尺動態画像のすべてのフレーム画像で画像処理値を算出するのではなく、一部のフレーム画像(一部のタイミングのフレーム画像)を用いて画像処理値を算出し、個々の画像は算出された画像処理値を補間した画像処理値で画像処理を実施する。
これにより、画像処理値の算出にかかる処理時間を短縮し、迅速に画像処理された長尺動態画像を提供することが可能となる。
【0343】
一部のフレーム画像を用いて画像処理値を算出する手法としては、例えば、下記の(1)~(4)の処理が挙げられる。
(1)1枚目のフレーム画像で画像処理値を計算し、他のフレーム画像は1枚目の画像処理値で画像処理を行う(図37参照)。
(2)1枚目と最終フレームで画像処理値を計算し、他のフレーム画像はその線形補間の画像処理値で画像処理を実施する(図38参照)。
(3)特定間隔のフレーム画像で画像処理値を計算し、それらを線形補間した画像処理値で画像処理を実施する(図39参照)。
画像品質を高くしたいタイミングに絞って時間のかかる画像処理値の算出を行うことで、必要な部分の画像品質を高くし、かつ処理時間を短縮することが可能となる。
【0344】
また、長尺動態画像を構成する個々のフレーム画像に、それぞれ画像処理値を算出し処理を行うと、時間方向に隣接したフレーム画像間で画像処理値が大幅に異なる場合があり、動画像として再生した場合にガタガタとした動画像となり、画像品質が著しく落ちる問題がある。
そこで、図41に示すように、各フレーム画像で画像処理値を計算した場合、それらの画像処理値をスムージング化した画像処理値で画像処理を実施することが好ましい。特に、例えば呼吸や血流など、一定の周期で変動する動態を撮影する場合には、その一定周期にあった周期関数で画像処理値を近似してスムージング化することが好ましい。これにより、隣接フレーム画像間で画像処理値が大幅に異なりガタガタした動画像となることがなくなり、スムーズな動画となり、診断がしやすくなる。
【0345】
また、特定期間の画像処理を、他の期間の画像処理と異なる処理としてもよい。
例えば、肺の換気機能をシリアル撮影した場合、図42に示すように、吸うタイミング(期間)のフレーム画像と吐くタイミング(期間)のフレーム画像に処理時間がかかる高精度な画像処理を行い、息止め期間は処理時間が短い画像処理を行って処理を高速化する。
これにより、撮影手技や診断対象の種類に応じて関心度が比較的高い期間に、より高精度で処理時間のかかる処理を行って画像品質を高めるとともに、全体の処理時間を短縮することが可能となる。
【0346】
また、撮影の時間方向だけでなく、結合された空間方向にも画像がスムーズにつながるように画像処理値を算出し処理することが好ましい。例えば、濃淡情報の前提となるコントラスト調整処理後のコントラスト、あるいは処理のための調整値が空間方向に隣接する画像間で大きく異なる場合、例えば図45に示すAの画像とBの画像を、Bの画像をAの画像の上に結合させるように結合した場合、A1とB1の部分で濃淡が大きく変わると、不自然な長尺画像となる。そこで、図46に示すように、撮影の時間方向だけではなく、結合の空間方向にもなるべく近い濃淡となるように、コントラスト調整処理後のコントラスト、あるいは処理のための調整値を時間方向、空間方向の情報も加味して算出する。
これにより、空間方向にもスムーズな長尺動態画像となり、診断がしやすくなる。
上記はこのような時間方向、空間方向をスムーズに連結する例としてコントラストを例に説明を行ったが、このような時間方向、空間方向をスムーズに連結するように処理を行う画像処理は、コントラストに限らない。例えば、ノイズ抑制処理や、画像先鋭化処理、ダイナミックレンジ圧縮処理、グリッド除去処理など、他の画像処理にたいしても同様に時間方向、空間方向をスムーズに連結するように処理を行っても構わない。
【0347】
あるいは、2枚の画像の結合部の影響度をそれぞれ他の画像に向かって少なくするようにして結合することとしてもよい。例えば、図47に示すように、結合部の領域は、Aの画像の影響度をBの画像に近づくにつれて100%から0%へ変化させ、逆にBの画像の影響度をAの画像に近づくにつれて0%から100%へ変化させることで、結合部位を滑らかに結合する。
また、空間方向にではなく、時間方向にも、過去の画像の影響度を徐々に減らすように長尺動態画像を構成するようにしてもよい。これにより、隣接フレーム画像間でガタガタと画像がずれることがなくなり、スムーズな動画となり、診断がしやすくなる。
【0348】
また、1つの画像処理値だけでなく、複数の画像処理値が必要な画像処理の場合に、前述の処理を行うことができなかったが、値だけでなく、ベクトルやマトリクス、テンソルに対しても同様の上記考え方で補間して処理を行うことで、複数の画像処理値を持つ処理に対しても、前述の処理を行うことが可能となる。
【0349】
また、複数の画像処理を行う場合、長尺動態画像の各フレーム画像に全ての画像処理が終わるまで、長尺動態画像を確認することができず、長尺動態画像の確認までに時間を要するため、迅速な画像確認、再撮影の必要性有無の判断に問題があった。
そこで、コンソール4は、特定の画像処理のみを先に実施して表示部43に表示し、後から別の画像処理を行って画像を再表示する。例えば、図48に示すように、例えばコンソール4の画像処理部において、長尺動態画像の各フレーム画像に対して画像処理Aを開始して終了した後(ステップStp1、Stp2)、画像処理Aの処理済み画像を画像保存部(RAM等)に転送する(Stp3)。画像保存部は転送されてきた画像処理Aの処理済み画像を保存する(ステップStp4)そして、操作部により画像再生が指示されると(Stp5)、画像再生処理部において、画像保存部に保存されている画像処理Aの処理済み画像を再生する(Stp6)。また、画像処理部では、画像処理Aの処理済み画像の転送が終了すると、画像処理Aの処理済みの各フレーム画像に対して画像処理Bを開始し(Stp7)、画像処理Bが終了すると(Stp8)、画像処理Bの処理済み画像(画像処理A、Bの処理済み画像)を画像保存部に転送する(Stp9)。画像保存部は転送されてきた画像処理Bの処理済み画像を保存する(ステップStp10)そして、操作部により画像再生が指示されると(Stp11)、画像再生処理部において、画像保存部に保存されている画像処理Bの処理済み画像を再生する(Stp12)。これを画像処理の数だけ繰り返す。なお、画像処理部、画像再生処理部は、コンソール4のCPUとプログラムとの協働により実行される機能部である。
【0350】
すなわち、画像処理部は、1つのフレーム画像に全ての処理を行ってから次のフレーム画像の処理に移るのでは無く、時間方向に連続するフレーム画像の全てに1つの処理を行い、1つの処理が完了した後に、時間方向に連続するフレーム画像の全てに対して、次の処理を行う。1の処理が完了した段階で、画像保存部に処理済み画像を格納し、再生指示が来た場合には、そこまでに処理した画像の長尺動態画像を表示することを可能とする。
あるいは、時間方向に全てのフレーム画像に画像処理を行うのではなく、一定間隔、あるいは特定時間帯のフレーム画像を抜き取って画像処理を行い、抜き取った画像のみで表示を行う。
このようにすれば、迅速に長尺動態画像の表示が可能となるので、画像の確認、再撮影判断を迅速に行うことが可能となる。
【0351】
ところで、画像処理時に問題があった場合、画像が消失する危険性がある。また、画像処理によっては、再び元の画像に戻すことができない不可逆な処理があり、処理を取り消したい場合に問題がある。
そこで、コンソール4は、実施すべき画像処理が複数ある場合は、処理毎に処理前のフレーム画像をRAM等に記憶して保持しておく。なお、処理前の画像を保持するかはユーザーが操作部の操作により選択可能としてもよい。
このようにすれば、画像処理時に問題があった場合や、画像処理を取り消したい場合に、処理前の画像を確認することが可能となる。
【0352】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明してきたが、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。上記実施形態で説明したシステムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0353】
100,200,300 放射線撮影システム
100A,200A 従来の放射線撮影システム
1,1A,1B 放射線制御装置
11,11A 放射線制御部
12 高電圧発生部
13 記憶部
14 通信部
15 計時部
16 計時制御部
2 放射線発生部
3 撮影装置
3A~3C 撮影装置
30A~30C 撮影装置
31 撮影制御部
32 放射線検出部
32a 基板
32b 走査線
32c 信号線
32d 放射線検出素子
32e スイッチ素子
32f バイアス線
32g 電源回路
33 走査駆動部
33a 電源回路
33b ゲートドライバー
34 読出し部
34a 回路
34b アナログマルチプレクサー
34c 変換器
34d 積分回路
34e 回路
35 記憶部
36 通信部
36a アンテナ
36b コネクター
37 バッテリー
38 計時部
39 計時制御部
3α カセッテ
4 コンソール
41 放射線制御コンソール
42 撮影装置制御コンソール
5 照射指示スイッチ
6,6A 付加装置
61,61A 付加制御部
62 第一取得部
63 第二取得部
64 第一接続部
65 第二接続部
66 第三接続部
67 インターフェース部
67a 第一AND回路
67b 第二AND回路
6B 無線通信装置
601 通信部
602 基準計時部
603 記憶部
7 分配器
7S 上位システム
8 分岐器
8b 中継器
9a,9b,9c 合流器
N 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18
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図21
図22
図23
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図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34A
図34B
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフレーム画像を有する動態画像を生成する複数の放射線画像撮影装置と、被写体に対して放射線を連続的に複数回照射するための制御を行う放射線制御装置との間で、前記複数の放射線画像撮影装置による撮影と前記放射線制御装置による放射線の照射を同期させる同期部と、
前記複数の放射線画像撮影装置それぞれが、前記放射線制御装置が接続されている前記同期部と接続または連動しているか否かを判定し、前記放射線制御装置と同期されている放射線画像撮影装置を特定する特定部と、
を備える放射線撮影システム。
【請求項2】
前記特定部により特定された前記放射線画像撮影装置に、前記動態画像の生成を指示する放射線撮影制御部を備える請求項1に記載の放射線撮影システム。
【請求項3】
前記複数の放射線画像撮影装置の同期状態を表示する表示部を備える請求項1または2に記載の放射線撮影システム。
【請求項4】
前記放射線制御装置と前記複数の放射線画像撮影装置とは、無線接続された状態で前記動態画像を生成する請求項1から3のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【請求項5】
前記放射線制御装置は回診車に備えられている請求項1から4のいずれか一項に記載の放射線撮影システム。
【請求項6】
放射線撮影システムのコンピューターを、
複数のフレーム画像を有する動態画像を生成する複数の放射線画像撮影装置と、被写体に対して放射線を連続的に複数回照射するための制御を行う放射線制御装置との間で、前記複数の放射線画像撮影装置による撮影と前記放射線制御装置による放射線の照射を同期させる同期部、
前記複数の放射線画像撮影装置それぞれが、前記放射線制御装置が接続されている前記同期部と接続または連動しているか否かを判定し、前記放射線制御装置と同期されている放射線画像撮影装置を特定する特定部、
として機能させるプログラム。
【請求項7】
複数のフレーム画像を有する動態画像を生成する複数の放射線画像撮影装置と、被写体に対して放射線を連続的に複数回照射するための制御を行う放射線制御装置との間で、前記複数の放射線画像撮影装置による撮影と前記放射線制御装置による放射線の照射を同期させる同期部と、
前記複数の放射線画像撮影装置それぞれが、前記放射線制御装置が接続されている前記同期部と接続または連動しているか否かを判定し、前記放射線制御装置と同期されている放射線画像撮影装置を特定する特定部と、
を備える放射線照射装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、放射線撮影システム、プログラム及び放射線照射装置に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係る放射線撮影システムは、
複数のフレーム画像を有する動態画像を生成する複数の放射線画像撮影装置と、被写体に対して放射線を連続的に複数回照射するための制御を行う放射線制御装置との間で、前記複数の放射線画像撮影装置による撮影と前記放射線制御装置による放射線の照射を同期させる同期部と、
前記複数の放射線画像撮影装置それぞれが、前記放射線制御装置が接続されている前記同期部と接続または連動しているか否かを判定し、前記放射線制御装置と同期されている放射線画像撮影装置を特定する特定部と、
を備える。