(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114950
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】組織を後退させる為の装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/29 20060101AFI20240816BHJP
A61B 17/02 20060101ALI20240816BHJP
【FI】
A61B17/29
A61B17/02
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024105960
(22)【出願日】2024-07-01
(62)【分割の表示】P 2022136666の分割
【原出願日】2018-03-28
(31)【優先権主張番号】62/478,169
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ウェールズ、ライアン ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダニー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ブレッチビール、スコット イー.
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ジャリアン
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー、ショーン ピー.
(57)【要約】
【課題】組織後退システムを提供する。
【解決手段】組織後退システムは、1つ以上の組織締結具と、第1端、第2端、および第1端と第2端との間に配置される可撓性湾曲部を有する長尺状可撓性要素と、長尺状可撓性要素、および1つ以上の組織締結具のうちの少なくとも1つを標的組織部位に送達するように構成される送達カテーテルと、を備える。長尺状可撓性要素の第1端および第2端の少なくとも一方は、1つ以上の組織締結具のうちの少なくとも1つによって係合されるように構成されている。1つ以上の組織締結具の少なくとも1つは、長尺状可撓性要素の第1端および第2端の少なくとも一方を標的組織部位に係合して固定するように構成されている。長尺状可撓性要素の可撓性湾曲部は、送達カテーテル内における圧縮形態から、拘束されていないときにおける互いに離間して延びる拡張形態へと移動可能な一対の要素を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織締結具と、
長尺状可撓性要素であって、近位端及び遠位端と、前記組織締結具が前記近位端及び前記遠位端に係合されることと、内部を貫通して延びる管腔を画定する少なくとも1つのガイド部材と、前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内に摺動可能に受承される制御ワイヤと、を備える前記長尺状可撓性要素と、
前記長尺状可撓性要素及び前記組織締結具を標的組織へ送達するための少なくとも1つの搬送カテーテルと、を備え、
前記長尺状可撓性要素は、前記制御ワイヤが前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内に配置された時における第1の形態と、前記制御ワイヤが前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内から除去された時における第2の形態との間で移行する組織後退システム。
【請求項2】
前記長尺状可撓性要素の近位端及び遠位端はそれぞれ、組織締結具に係合されるループを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記近位端及び前記遠位端の前記ループは、前記組織締結具の組織把持部より大きい、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記長尺状可撓性要素の近位端は第1の組織締結具に係合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記長尺状可撓性要素の遠位端は、前記第1の組織締結具とは異なる第2の組
織締結具に係合される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記長尺状可撓性要素は、前記第2の形態において長手方向面で互いに離間して延びる可撓性の湾曲部を有する一対の平行をなす要素を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記可撓性の湾曲部は、拡張時形態で互いに離間する方向に延び、前記搬送カテーテル内に拘束された時、収縮時形態に移行する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1の形態は平坦状である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御ワイヤは、前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内に配置されている間、前記第1の形態で前記長尺状可撓性要素を拘束する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第2の形態は湾曲状である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第2の形態において、前記長尺状可撓性要素の近位端及び遠位端は、その近位端及び遠位端が固定された標的組織に後退力を付与する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第2の形態は湾曲状である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記長尺状可撓性要素の近位端は、第1の組織締結具によって係合され、前記長尺状可撓性要素の遠位端は、前記第1の組織締結具とは異なる第2の組織締結具によって係合され、前記第1及び前記第2の組織締結具が標的組織に固定され且つ前記長尺状可撓性要素が第2の形態にある時、前記長尺状可撓性要素の近位端及び遠位端は、前記標的組織に後退力を及ぼす、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御ワイヤは、前記長尺状可撓性要素から前記制御ワイヤを取り除くために把持されるように構成された拡張された形状を備えた可視化マーカーを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
組織締結具に係合される近位端及び遠位端を備える長尺状可撓性要素であって、
前記長尺状可撓性要素は、その内部に制御ワイヤを摺動可能に受承するための管腔を画定する少なくとも1つのガイド部材に取り付けられており、
前記長尺状可撓性要素は、前記制御ワイヤが前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内に配置された時における第1の形態と、前記制御ワイヤが前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内から除去された時における第2の形態との間で移行する長尺状可撓性要素。
【請求項16】
前記長尺状可撓性要素の近位端及び遠位端はそれぞれ、組織締結具に係合されるループを備える、請求項15に記載の長尺状可撓性要素。
【請求項17】
前記近位端及び前記遠位端のループはそれぞれ、前記組織締結具の組織把持部よりも大きい、請求項16に記載の長尺状可撓性要素。
【請求項18】
前記長尺状可撓性要素は、前記第2の形態において長手方向面で互いに離間して延びる可撓性の湾曲部を有する一対の平行をなす要素を備える、請求項15に記載の長尺状可撓性要素。
【請求項19】
前記可撓性の湾曲部は、拡張時形態で互いに離間する方向に延び、搬送カテーテル内に拘束された時、収縮時形態に移行する、請求項18に記載の長尺状可撓性要素。
【請求項20】
前記第1の形態は平坦状であり、前記第2の形態は湾曲状である、請求項15に記載の長尺状可撓性要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織切除分野に関する。具体的には、本発明は、標的組織の視認性を高め、かつ切除器具の妨害を軽減する為に、切除処置中に組織を持ち上げて後退させる医療装置に関する。特には、本発明は、切除処置中に、切除された標的組織の一部を動かないようにして後退させる為に、拘束時形態から非拘束時の湾曲形態へと移行する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消化器系等の狭い身体の通路内からの病変の外科的な切除は、切除処置中に標的組織の視認性がよくない為に、非効率的で時間のかかる可能性がある。この問題は、部分的に切除された標的組織が作業領域を塞いで視認性をさらに低下させて切除器具を妨害するために、処置中により深刻になる可能性がある。したがって、本発明にかかる組織の切除と後退の為の医療装置と方法とによって、様々な利点が実現される可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、様々な態様において、組織の視認性と操作性を高める為に切除処置中に標的組織を動かないようにして後退させる為の組織後退装置と方法とに関する。
本発明の実施形態は、内部を貫通して延びる管腔を備える内部管状要素を有する搬送カテーテルと、内部管状要素の外周に配置された外部シースと、外部シースと内部管状要素とが他方に対して摺動可能に配置されていることと、拘束時の第1の形態と、非拘束時の第2の湾曲形態との間で移行するように構成された長尺状可撓性要素とを備える組織後退システムを含む。長尺状可撓性要素は、内部管状要素の管腔内に配置され、長尺状可撓性要素と内部管状要素とは、互いに摺動可能にして且つ外部シースに対して摺動可能に配置され、長尺状可撓性要素は、端部幅を有する遠位端を備え、かつ第1の標的組織部に係合するように構成される。長尺状可撓性部材は、端部幅を有する近位端を備え、かつ第2の標的組織部に係合するように構成される。長尺状可撓性部材は、遠位端と近位端を連結する幅を有する本体部を備え、本体の幅は、遠位端と近位端の幅より広く、内部管状要素の管腔は、本体の幅と端部の幅とを収容する断面を有する。
【0004】
組織後退システムは、内部管状要素の管腔の本体部分の幅にほぼ一致する内部管状要素の管腔断面の第1の部分を備える。長尺状可撓性要素を備えるシステムは、長尺状可撓性要素の本体部分の遠位端と近位端の幅にほぼ一致する内部管状要素の管腔断面の第2の部分を備える。システムは、スロットを有する外部シースを備え、外部シースと内部管状要素の一方または双方を互いに対して回転させてスロットを内部管状要素の断面の第2の部分に位置合わせすることにより、長尺状可撓性要素の端部の少なくとも1つのアンカーは、外部シースから径方向外方に配備可能になる。システムは、スロットを有する外部シースを備え、外部シースと内部管状要素の一方または双方を互いに対して摺動移動させてスロットを内部管状要素の断面の第2の部分に位置合わせすることにより、長尺状可撓性要素の端部の少なくとも1つのアンカーは、外部シースから径方向外方に配備可能になる。システムは、シースの近位端よりも遠位端で幅がより広いスロットを含む。システムは、内部管状要素の長手軸線に沿って内部管状要素の外周縁に開口する断面の第2の部分を備える内部管状要素を含む。システムは、外部シースを含むことができ、外部シースは、遠位端に、その長さに沿って幅を有するスロットを備え、その幅は、長尺状可撓性要素の両端の幅にほぼ一致する。システムは、外部シースの長手軸線に沿って延びる幅を備えるスロットを有する外部シースを含むことができ、スロットの幅は、長尺状可撓性要素の両端の幅とほぼ一致する。システムは、ほぼT字形状の内部管状要素の断面を備えることができ、断面の第1の部分は、長尺状可撓性要素の本体部分を摺動可能に受承するように構成され、横断面の第2の部分は、長尺状可撓性要素の遠位端と近位端とを摺動可能に受承するように構成される。システムは、ほぼC字形状の内部管状要素の断面を含むことができ、断面の第1の部分は、長尺状可撓性要素の本体部分を摺動可能に受承するように構成され、断面の第2の部分は、長尺状可撓性要素の遠位端と近位端とを摺動可能に受承するように構成される。システムは、長尺状可撓性要素の近位に内部管状要素の管腔内に摺動可能に配置される押し部材を含むことができ、押し部材を遠位方向に移動することにより、長尺状可撓性要素は、遠位方向に延びて移動する。システムは、長尺状可撓性要素の遠位端と近位端とを含み、遠位端と近位端はそれぞれ、歯、フォーク、フック、フィンガー、かかり返し、ループ、およびクリップから選択される1つ以上の組織アンカーを備え得る。
【0005】
組織後退システムは、複数の組織締結具を備え得る。システムは、近位端と遠位端とを有する長尺状可撓性要素を含むことができ、両端はそれぞれ、組織締結具が係合するように構成される。システムは、長尺状可撓性要素に固定された少なくとも1つのガイド部材を含むことができ、少なくとも1つのガイド部材は、内部を貫通して延びる管腔を形成する。システムは、少なくとも1つのガイド部材の管腔内に摺動可能に受承されるように構成された制御ワイヤを備え得る。長尺状可撓性要素は、制御ワイヤが少なくとも1つのガイド部材の管腔内に配置された際の第1の形態と、制御ワイヤが少なくとも1つのガイドワイヤの管腔内から除去された際の第2の形態との間で移行し得る。システムは、長尺状可撓性要素と少なくとも1つの組織締結具とを搬送するように構成された少なくとも1つの搬送カテーテルを備え得る。
【0006】
システムは、複数の組織締結具の1つが係合するように構成された近位ループを備える長尺状可撓性要素の近位端と、複数の組織締結具のうちの別の1つが係合するように構成された遠位ループを備える長尺状可撓性要素の遠位端とを備える。システムは、複数の組織締結具それぞれの組織把持部よりも大きな長尺状可撓性要素の近位ループと遠位ループとを含み得る。システムは、複数の組織締結具のうちの1つが係合するように構成された近位アームを有する長尺状可撓性要素の近位端と、複数の組織締結具のうちの別の1つが係合するように構成された遠位アームを有する遠位端とを備え得る。システムは、第1の形態において一対のほぼ平行をなす要素を備え、一対の平行をなす要素はそれぞれ、第2の形態において長手方向面に互いに離間して延びる可撓性の湾曲部を備える。システムは、長尺状可撓性要素の近位端と遠位端の間で本体から延びる少なくとも1つのアームを備え得る。システムは、組織締結具が係合するように構成された少なくとも1つのアームを備え得る。
【0007】
長尺状可撓性要素は、組織締結具が係合するように構成されたループをそれぞれ備える近位端と遠位端とを備え得る。少なくとも1つのガイド部材は、長尺状可撓性要素に固定され、少なくとも1つのガイド部材は、内部を貫通して延びる管腔を形成する。制御ワイヤは、少なくとも1つのガイド部材の管腔内に摺動可能に受承されるように構成され得る。長尺状可撓性要素は、制御ワイヤが少なくとも1つのガイド部材の管腔内に配置された時の第1の形態と、制御ワイヤが少なくとも1つのガイド部材の管腔内から除去された時の第2の形態との間で移行する。長尺状可撓性要素は、第1の形態において一対のほぼ平行をなす要素を備え、一対のほぼ平行をなす要素はそれぞれ、第2の形態において長手方向面に互いに離間して延びる可撓性の湾曲部を備える。長尺状可撓性要素は、長尺状可撓性要素の近位端と遠位端との間で本体から延びる少なくとも1つのアームを備え得る。長尺状可撓性要素は、ガイド部材の端部に可視化マーカーを備えたガイド部材を備え得る。
【0008】
本発明の限定例ではない例を、添付の図面を参照して例示により説明する。図面は、模式図であり、縮尺通りに図示することを意図したものではない。図面では、図に示す同一またはほぼ同一の構成要素はそれぞれ、一般に単一の数字で表示されている。明確性の為に、図面が当業者が本発明を理解する為に必ずしも必要でない場合には、必ずしも全ての構成要素が全ての図面において標識されているわけではないし、また、本発明の各実施形態の全ての構成要素が図示されているわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る内視鏡から配備されるシステムを示す図。
【
図2A】本発明の実施形態に係る拘束時形態の長尺状可撓性要素を示す図。
【
図3A】本発明の実施形態に係るシステムの断面を示す側面図。
【
図3C】外部シースと共に、
図3A,3Bのシステムを配備時形態で示す図。
【
図3D】長尺状可撓性要素と共に、
図3A~3Cのシステムを示す図。
【
図3E】切除要素が切除すべき標的組織を除去する様子と共に、
図3A~3Dのシステムを示す図。
【
図4A】本発明の実施形態に係る、外部シースの遠位端のスロットと、T字形状をした第1の部分と第2の部分とを有する管腔断面を備える内部管状要素とを備えるシステムを示す図。
【
図4B】本発明の実施形態に係る、外部シースの遠位端のスロットと、C字形状の第1の部分と内部管状要素の外周縁に鉛直方向に開口した第2の部分とを含む管腔断面を備える内部管状要素とを含むシステムを示す図。
【
図5】本発明の実施形態に係る、近位端よりも遠位端でより広い幅を有するスロットを、外部シースに沿って備えるシステムを示す図。
【
図6A】本発明の実施形態に係る平坦形態の双安定スプリングとして、長尺状可撓性要素を、示す図。
【
図6C】搬送カテーテル内における
図6A,6Bの長尺状可撓性要素を示す図。
【
図7A】本発明の実施形態にかかる多様な断面を有する内部管状要素の断面を示す側面図。
【
図8A】本発明の実施形態に係るかかり返しを備える長尺状可撓性要素を示す図。
【
図8B】本発明の実施形態に係るフックを有する長尺状可撓性要素を示す図。
【
図8C】本発明の実施形態に係るフックを有する長尺状可撓性要素を示す図。
【
図8D】本発明の実施形態に係るフックを有する長尺状可撓性要素を示す図。
【
図9A】本発明の実施形態に係る配備されたシステムを示す図。
【
図9B】組織締結具が係合する長尺状可撓性要素の端部のループと共に、
図9Aのシステムを示す図。
【
図9C】長尺状可撓性要素と配備される組織締結具と共に、
図9A,9Bのシステムを示す図。
【
図9D】標的組織の上方の位置に移動された長尺状可撓性要素と共に、
図9A~9Cのシステムを示す図。
【
図9E】長尺状可撓性要素のループと標的組織に係合した第2の組織締結具と共に、
図9A~9Dのシステムを示す図。
【
図9F】除去される制御ワイヤと共に、
図9A~9Eのシステムを示す図。
【
図9G】切除すべき標的組織を除去される切除要素と共に、
図9A~9Fのシステムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は、本発明の典型的、または例示的な実施形態を示すことを意図していることに留意されたい。よって、図面が本発明の範囲を限定すると考えてはならない。
本発明は、説明する特定の実施形態に限定されず、したがって変更可能である。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、添付の請求項の範囲を制限することを意図していない。別途定義されていない限り、この明細書で使用する全ての技術用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。最後に、本発明の実施形態は、消化器系の組織を切除する為の医療装置と、医療システムと、医療施術とを特別に参照して説明するが、かかる医療装置や方法は、腹腔や、胃腸系や、胸腔や、泌尿器生殖器系等の組織を切除することにも使用することができると理解されたい。さらに、様々な医療施術、例えば、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、経口内視鏡的筋切除術(POEM:Peroral Endoscopic Myotomy)、胆嚢摘出術、およびビデオ補助胸腔鏡下施術(VATS)を含む医療施術が、本発明に係る医療装置と医療施術の恩恵を受け得る。安定化、操作、およびクリアな視界を設ける為の構造および構成、並びに配置方法は、切除分野を超えて有用性があると考えられる。
【0011】
本明細書で使用するように、「遠位」という用語は、装置が患者の体内に導入された際に、医師から最も遠い端部のことを指し、「近位」という用語は、装置が患者の体内に導入された際に、医師に最も近い端部のことを指す。
【0012】
この明細書で使用するように、「組織の後退」または「後退」という用語は、切除術において組織の位置を調節する能力のことを指す。例えば、「後退」は、標的組織以外の部分(つまり、切除されていない組織)の視認性を改善する為に標的組織の切除された部分を動かないようにして切除面から持ち上げるとともに、切除要素をより正確に操作する為に標的組織に張力を付与することができる。
【0013】
この明細書で使用するように、「標的組織」とは、病的、異常(つまり、癌性、前癌性)の組織、あるいは健康または病的な組織の望まれない部分を指す。「標的組織」には、病的または異常であると疑われて生検で異常状態を確認するために外科的な除去を必要とするものも含まれ得る。「標的組織」の外科的な切除には、一般に、取り残され、または除去された「標的組織」細胞が、体の別の部位に転移する可能性を完全に除去し、かつ最小限にすることを確実にする為に、「標的組織」の辺縁部に沿って周辺の健康な組織の一部を除去することが含まれると考えられる。
【0014】
この明細書に説明する実施形態は、米国仮特許出願第62/402,649号明細書に共通する工程または構成要素を備え得る。すなわち、工程または構成要素は、現在係属中であり且つ出願人が同一である米国仮特許出願第62/402,649号明細書に開示されており、その開示内容は、ここに参照することにより、その全体を援用する。
【0015】
一実施形態では、本発明は、内視鏡のワーキングチャネルを占有したり塞いだりすることがないようにするなど、切除された標的組織部分を後退させて動かないようにすることにより、切除術中に組織の視認性やアクセス性を高める組織後退装置を提供する。
図1に示すように、一実施形態では、内視鏡110は、本発明にかかる組織後退装置を標的組織部位114に搬送して配置する。実施形態は、搬送カテーテル112内に長尺状可撓性要素102を含む。長尺状可撓性要素102は、搬送カテーテル112内に予め搭載され、すなわち押し部材を用いて長尺状可撓性要素102を遠位方向に移動することにより内視鏡110内の搬送カテーテル112内に搭載される。
【0016】
図2A,2Bに、長尺状可撓性要素202の実施形態を示す。長尺状可撓性要素202は、端部206の端部幅210よりも広い本体幅208を有する本体部204を備える。本体部204は、充実状、または製造時の材料を節約すべく、本体部204の構造に基盤状部を設ける為に欠けている部分を有する。
図2Aは、拘束時の平面状形態の長尺状可撓性要素を示す。
図2Bは、緩和時であって非拘束時の湾曲状形態の長尺状可撓性要素を示す。製造時では、緩和時の湾曲状形態は、長尺状可撓性要素202の弾性または可塑的な変形によって形成されると考えられる。材料や形状記憶の製造方法によって、ほぼ平坦な形態は、拘束されることを必要としない場合もある。例えば、長尺状可撓性要素202は、いずれか一方または双方の形態で安定化するように熱処理され、一定の温度では、緩和時形態をとり、加熱されると第2の緩和時形態に移行する。長尺状可撓性要素は、使用される用途によって様々な長さを備え得る。例えば、胃腸管で用いる場合には、長尺状可撓性要素の長さは、拘束時において端から端まで、約7.11cm(約2.8インチ)であり、湾曲状の形態に移行する前に標的組織の中に配置された時には、約6.35cm(約2.5インチ)である。
【0017】
図3A~3Cに示す本発明の組織後退システムの実施形態は、外部シース316内に摺動および回転可能に配置された内部管状要素308を備える搬送カテーテルを含む。内部管状要素308は、管腔310を備える。管腔310は、長尺状可撓性要素302を摺動可能に収容する。管腔410は、内部管状要素408の一部または全体の長さに沿って延びる。管腔の断面は、第1の部分312と第2の部分314とを含む。第1の部分312は、本体部304の幅を収容またはその幅に一様に適合し得るが、第2の部分は、端部306の幅を収容、またはその幅に一様に適合し得る。長尺状可撓性要素302は、内部管状要素の管腔310内にある間には、ほぼ平面状形態に拘束される。長尺状可撓性要素302の本体部304は、管腔310の第1の部分312内にほぼ平面状に並びうる。端部306は、管腔310の第2の部分314内に少なくとも1つの組織アンカーを備え、少なくとも1つの組織アンカーは、外部シース316により径方向に拘束されている。長尺状可撓性要素302は、管腔310内で摺動可能に移動するが、本体部304は、管腔312の第1の部分312内でほぼ平面状形態で保持され、端部306は、
図3Bに示すように、外部シース316により径方向に拘束される。この実施形態では、外部シース316は、外部シース316の長手軸線に沿って延びるスロット318を備える。スロットの長さは、長尺状要素の全長を上限として様々であり得る。スロット318の幅は、スロットの遠位端に向かっていくつかの部位において端部よりも少なくとも大きいが、長尺状可撓性要素302の遠位端306の幅にほぼ類似する(例えば、僅かだけ大きい)。外部シース316は、端部306が径方向外方に延びることを制限する為、外部シース316は、
図3Cに示すように、スロット318が管腔310の第2の部分314にぴったりと一致するように軸方向に回転されると遠位部306から離脱し得る。
【0018】
医師は、後退させたい標的組織に近接して長尺状可撓性要素302を含む搬送カテーテル(つまり、外部シース316と内部管状要素308)を配置する。この配置によって、医師は、すでに切除を開始しているかまたは切除する予定の標的組織320の境界の近くに長尺状可撓性要素302の遠位端306を設置する。遠位端306が所望する部位に近接近して配置されると、医師は、内部管状要素308に対して外部シース316を摺動したり回転して、スロット318を管腔310の第2の部分314に一致させて、外部シース316の内部から標的組織320内に端部306を離脱させる。長尺状可撓性要素302の両端部306は、内部管状要素308に対して外部シース316を回転、或いは摺動すると管腔310の外側に離脱され、長尺状可撓性要素302は、管腔310内で押し部材を用いて管腔310内で長尺状可撓性要素302を遠位方向に動かすことによって離脱される。遠位端部306は、スロット318に露出されると、近位端と同時にまたは近位端部より前に標的組織320の中に離脱される。押し部材は、外部シース316のスロット318に露出させることによって遠位端部306を管腔310外に移動し、押し部材をさらに移動することによって(長尺状可撓性要素302を移動することによって)、近位端部は、遠位端306がスロット318に露出されて離脱されたのと類似する方法で、標的組織320の中に離脱される。
【0019】
代替的には、遠位端部306を露出させて標的組織320の遠位部に係合させるために、遠位端部306は、外部シース316のスロット318に遠位端部306を露出させたり押し部材を用いて長尺状可撓性要素302を遠位方向に移動させたりすることにより標的組織320の遠位部の中に離脱される。遠位部306が標的組織に320に係合して近位端部が管腔310の内部にまだある状況で、内部管状要素308や外部シース316は、長尺状可撓性要素302の近位端部がスロット318に露出されて標的組織320の中に離脱されるまで後退される。これは、両端部306が外部シース316の外部に移動して標的組織に係合するまで、外部シース316と内部管状要素308を互いに対して摺動することにより、スロット318を欠く別の外部シース316でも達成することができる。これは、押し部材を使用して管腔310の中を貫通して長尺状可撓性要素302を移動することによっても達成することができる。長尺状可撓性要素302の遠位端部306は、標的組織320の内部に埋め込まれたままで、管腔310内の長尺状管状要素302の残りの部分が管腔310外に移動するように内部管状要素308や外部シース316が後退されることにより、長尺状可撓性要素302の近位端部は、標的組織320の近位部に係合する。長尺状可撓性要素302が、部位に搬送されると、
図3Dに示すように、搬送カテーテルは、標的組織320から近位方向に後退される。医師は、次に、標的組織320を切除するが、
図3Eに示すように、長尺状可撓性要素302は、非拘束時の湾曲状の形態に移行して、標的組織は、それ以外の組織から切除される。
【0020】
図4A~4Bに示すように、本発明の組織後退システムの実施形態は、外部シース416の遠位端に、外部シース416の長手軸線に沿って短距離だけ延びるスロット418(例えば、長尺状可撓性要素の長さより短い)を備える。医師が、長尺状可撓性要素402の遠位端部406について標的組織の所望する部位に近接して搬送カテーテルの遠位端(つまり、外部シース416と内部管状要素408)を配置した場合には、スロット418が管腔410の第2の部分414と一致するように外部シース416を内部管状要素408に対して回転したり摺動したりすることによって長尺状可撓性要素402の遠位端406を標的組織の中に解放することができる。これは、両端部406が外部シース416の外側に移動して標的組織に係合するまで外部シース416と内部管状要素418とを互いに摺動することによって、スロット418を欠く別の外部シース416によっても達成することができる。これは、管腔410の中を貫通して長尺状可撓性要素402を移動する為に、押し部材を用いても達成することができる。
図4Aは、T字形状をなす第1の部分と第2の部分とを有する管腔410断面を備える内部管状要素408を示す。
図4Bは、C字形状の第1部分と内部管状要素の外周縁に直交して開口した第2の部分とを有する管腔410断面を備える内部管状要素408を示す。管腔410は、内部管状要素408の長さの一部または全部に沿って延びる。外部シース416の遠位端のスロット418によって、長尺状可撓性要素の近位端402は、管腔410内の外部シース416に拘束される。遠位端部406が標的組織の第1の部分に埋め込まれて長尺状可撓性要素402の近位端が管腔410内にある状態で、医師は、近位端部が内部管状要素408内にある状態で長尺状可撓性要素402の近位端部を標的組織の第2の部分の所望する部位に近接して配置する。医師は、次に長尺状可撓性要素402の近位端がスロット418に一致するように内部管状要素408に対して外部シース416を近位方向に移動する(内部管状要素408を外部シース416に対して遠位方向に移動する)ことによって、近位端を標的組織の第2の部分の中に離脱する。代替的にまたは追加的に、長尺状可撓性要素402は、押し部材で近位方向に移動しないように保持されつつ、各場合において近位端がスロット418に達して離脱されるまで押し部材で遠位方向に押されるが、任意に外部シース416または内部管状要素408が引き戻されるか、外部シース416、または内部管状要素408と外部シース416とが後退させられる。
【0021】
図5に示すように、本発明の組織後退システムの実施形態は、外部シース516の長手軸線に沿って延びるスロット518を含み、スロット518は、外部シース516の遠位端に、外部シースの近位部で幅の狭い方の端部522に向かって先細りする幅の広い方の端部を備える。スロット518の幅の広い方の端部520は、長尺状可撓性要素502の端部506(および、内部管状要素508の管腔510の第2の部分514)よりも幅が広いが、スロット518の幅の狭い方の端部522は、長尺状可撓性要素502の端部506を収容するのに十分なぴったりの幅である(管腔510の第2の部分514と同じ幅である)。医師は、内部管状要素508内部および外部シース516内に長尺状可撓性要素502を配置することができ、長尺状可撓性要素502の遠位端506が標的組織の第1の部分に近接近して、外部シース516を内部管状要素508に対して回転したり摺動したりできる。スロット518の遠位端520は、近位端522よりも幅が広い為、長尺状可撓性要素502の遠位端部506は、近位端部がスロット518の幅の狭い近位端522で離脱するよりも前に、スロット518の遠位端520から離脱する。この位置では、長尺状可撓性要素502の遠位端506は、標的組織の第1の部分に配備されて係合するが、長尺状可撓性要素502の近位端は、外部シース516にまだ拘束されている。この位置では、医師は、標的組織の第2の部分に近接近して長尺状可撓性要素502の近位端を配置し得る。医師は、次にスロット518の幅の狭い近位端部522が長尺状可撓性要素502の近位端に一致するように、すなわち近位端がスロット518の幅の広い方の端部520に到達して(摺動する場合)、近位端が標的組織の第2の部分で離脱するように、外部シース516を回転したり摺動したりする。
【0022】
図6A~6Cに示すように、組織後退システムの実施形態は、双安定のバネである長尺状可撓性要素602を備える。そのような長尺状可撓性要素602は、2つの形態をとり得る。
図6Aに、長尺状可撓性要素602の平面状の形態を示す。この形態は、第1の方向に径方向に湾曲する断面を備え、本体604の長手軸線に沿って直線状である。
図6Bに、長尺状可撓性要素602の湾曲状形態を示す。この形態は、第1の方向とは反対の第2の方向に径方向に湾曲する本体604の断面を備え、本体604は、長手軸方向に湾曲している。長尺状可撓性要素602の遠位端と近位端606とは、標的組織に係合するように構成されている。長尺状可撓性要素602の本体604は、両端606よりも幅が広い。この実施形態の本体604は、長手軸線から径方向に延びる湾曲した側部を有するが、
図6Aの平面状の形態に拘束される必要はない。長尺状可撓性要素602が、両端606が標的組織に係合した姿勢になると、長手軸方向に直交する力(つまり、径方向の力)が
図6Aの平面状形態の長尺状可撓性要素602に付与され、長尺状可撓性要素は、
図6Bの湾曲状の形態に移行する。
【0023】
図6Cでは、
図6A、6Bの長尺状可撓性要素602の実施形態は、
図6Aの平面状の形態で内部管状要素608の管腔610内に配置されている。長尺状可撓性要素602の本体604は、管腔の第1の部分612内に摺動可能に配置されるが、長尺状可撓性要素602の両端606は、第2の部分614内に摺動可能に配置されて外部シース616の内壁に拘束される。外部シース616のスロット618は、配備する長尺状可撓性要素602の両端606に対して管腔610の第2の部分614に少なくとも部分的に一致する通路を形成する目的で回転されたり摺動されたりする。第1の部分612の外形は、長尺状可撓性要素602の外形に一致する形状にされる。
【0024】
図7A~7Dに、本発明に係る組織後退装置の実施形態を示す。この実施形態は、内部を貫通して延びる管腔710を備え、本発明の長尺状可撓性要素を摺動可能に収容する管状要素700を備える。長尺状可撓性要素の本体部は、管腔710の幅の広い方の第1の部分712内に配置されるが、長尺状可撓性要素の両端は、管腔710の幅の狭い方の第2の部分714内に配置される。第1の部分712は、管腔710の全体に亘って一様の形状を有するが、第2の部分714は、管状要素700の近位端では、背の低い横断面(
図7B)を有し、横断面は、管状要素700の遠位端に向かってより背の高い横断面(
図7C)に移行する。管腔710の最も遠位部は、管状要素700の外周縁に開口する第2の部分714を備える横断面(
図7D)を有する。組織に係合するように構成された両端を備える長尺状可撓性要素は、管腔710内に摺動可能に配置されて第2の部分714内に拘束される。管腔710の中を貫通して長尺状可撓性要素を近位方向に移動すると(例えば、押し部材を用いて)、長尺状可撓性要素の遠位端は、管腔の移行する断面(例えば、
図7C)にさらされ、第2の部分714は、長尺状可撓性要素の両端の配備を開始する為により背が高くなっている。標的組織に係合するように構成された長尺状可撓性要素の端部が、管腔710の第2の部分714内で、例えば、
図7Bの背の低い横断面から、例えば、
図7Dの管状要素700の外周縁に開口した背の高い横断面に移動すると、長尺状要素は、拘束されなくなって管状要素700の遠位端で標的組織の第1の部分の中に配備される。長尺状可撓性要素は、長尺状管状要素が管腔700の近位端から遠位端に移動するのにしたがって、遠位端が拘束されなくなって管腔の第2の部分714から標的組織の中に配備されるように、管状要素700の外に遠位方向に押し続けられる。代替的には、管腔710は、
図7Cのように移行的な断面を有さず、
図7Bから
図7Dに突然変化することも考えられる。代替的には、
図7A~7Dでは、管腔710の横断面は、ほぼT字状であるが、横断面は、内部管状要素700の近位部の背の低いD字形状から内部管状要素700の遠位端のC字形状に変化する、
図4Bに示すようなほぼC字形状を取ってもよい。
【0025】
長尺状可撓性要素に係る実施形態は、組織に係合して、長尺状可撓性要素が、標的組織から離脱したりねじれて外れたりすることを防止する複数の機構を備える。
図8A~8Dは、いくつかの例を示す。これらの機構は、組織の係合を支援するために、長尺状可撓性要素802の端部806や本体804に沿って配置され得る。組織係合機構は、端部806が組織に係合する時や本体部804が組織の近位の中に入る時とは別にまたは一緒に組織に係合し得る。
図8Aは、一の方向に指向する端部806の先端にかかり返し808を含む、かかりかえし808を長尺状可撓性要素802に沿って示すが、端部806の先端ではない位置の別のかかり返し808は、対向する方向に指向する。加えて、かかり返し808は、本体804に沿っても示されている。
図8Bは、端部806と本体の長尺状可撓性要素802の片面に沿ってフック808を示す。フック808は、標的組織を容易に穿刺して、フック808が標的組織の中に深く押し込まれると鋭利な先端の幅の広い部分は標的組織に係合するが、幅の広い部分に対向する第2の鋭利な先端は、フック808が標的組織から離脱しにくくする。
図8Cは、標的組織を穿刺してその中に埋め込むことにより鋭利な端部を形成する長尺状可撓性要素802の端部806の両面フック808を示す。
図8Dは、
図8Bに示す長尺状可撓性要素802の端部806とは反対の面上のフック808を示す。これらのフックおよびかかり返しは、様々な組み合わせ、構成および方向において、本発明の任意の長尺状可撓性要素と共に、所望する組織効果に基づいて使用することができる。
【0026】
一実施形態では、本発明は、
図9Aに示すように、内視鏡910を用いて、長尺状可撓性要素902を標的組織920部位の方に搬送する少なくとも1つの組織締結具914を含む搬送カテーテル912を搬送しかつ配置する組織後退システムを提供する。
【0027】
長尺状可撓性要素902の実施形態は、
図9Bに示すように、組織締結具914が係合するように構成された端部を備える。
図9Bでは、これらの端部は、組織締結具914上のフック916が係合するループ904を含む。ループの長さは、組織締結具914がループ904に係合した状態で操作し易い(例えば、回転や反転)ようなものである。ループ904は、閉鎖ループとして示されているが、例えば、アームまたはフックなどの別の形状でもよい。両端部はそれぞれ、ループ904と共に示されているが、一端は、ループ904を有するが、他端は、ループを有さない予め結合された組織締結具914を有してもよい。
【0028】
図9Cを参照する。
図9A,9Bのシステムは、近位ループ904を組織アンカー914(この実施形態では、フック916に係合している)に係合して組織締結具914につながれた長尺状可撓性要素902を搬送カテーテル912に搭載することにより、標的組織部位に導入することができる。組織締結具914が、長尺状可撓性要素902を標的組織部位に係合して固定できさえすれば、ループ904は、異なる形状であってもよいし、フック916は、異なる様式で構成されてもよい。長尺状可撓性要素902は、非拘束時には、長手軸線に沿って湾曲形態を有する。直線状の制御ワイヤ908は、長尺状可撓性要素902に沿ってガイド部材922によって形成される管腔内に配置されると、制御ワイヤは、ガイド部材の管腔内に配置されている間、長尺状可撓性要素902をほぼ直線状の形態に拘束する。制御ワイヤ908は、長尺状可撓性要素902のそれ以外の部分の材料や厚みよりもより堅い材料やより大きな厚みを備え得る。制御ワイヤ908の為の管腔を備えるガイド部材922は、平坦かつ長方形状で示されているが、例えば、円形、半円形、楕円径、正方形、複数の形状のハイブリッドなど複数の形状を取ることができると理解されたい。また、長尺状可撓性要素902は、多様な拘束時形態の長さを備える(例えば、約6.0インチ(約152mm)、約5.0インチ(約127mm)、約4.0インチ(約101.6mm)、約3.0インチ(約76.2mm)、約2.75インチ(約69.85mm)、約2.0インチ(約50.8mm)、約1.5インチ(約38.1mm)、約1.0インチ(約25.4mm))。搬送用のシステムをセットする為に、組織締結具914が係合されていない長尺状可撓性要素902の遠位端は、遠位端が、近位端で長尺状可撓性要素に連結されている組織締結具914の遠位にくるように搬送カテーテル912の中に搭載される。したがって、近位端は、搬送カテーテル912内で長尺状可撓性要素902のその他の部分よりも後方になる。可撓性の湾曲部906(一対の要素は、本実施形態の展開時形態において、長手方向面で互いに離間して延びる)は、搬送カテーテル内に拘束されている間に収縮時形態に移行する。組織締結具914は、搬送時カテーテル912内にある間は、遠位方向に移動させることができ、また、搬送カテーテル912の中を貫通して遠位方向に長尺状可撓性要素902を押す。
【0029】
代替的には、組織締結具914は、長尺状可撓性要素902に対して遠位方向に搬送カテーテル912の中に搭載される場合もある。この代替的な実施形態のセットアップでは、組織締結具914は、組織締結具が遠位方向に移動されるにしたがって、長尺状可撓性要素902を遠位方向に押す。
図9Cの実施形態に示すように、組織締結具は、長尺状可撓性要素902を遠位方向に押すことによって長尺状可撓性要素902を搬送カテーテルの外に移動してもよい。湾曲部906が、搬送カテーテルから出ると、長尺状可撓性要素は、もはや収縮時形態に拘束されず、展開時形態に拡張し得る。長尺状可撓性要素902は、近位ループ904で組織締結具914のフック916によって係合されている為、組織締結具914を移動することによって、長尺状可撓性要素902の移動を調節することができる。長尺状可撓性要素902は、標的組織920の方に向かって操作される。
【0030】
図9Dを参照する。
図9Cに示す組織後退システムは、可撓性要素902の近位端に係合した組織締結具914を標的組織920の近位部に移動することにより、長尺状可撓性要素がカテーテルの外に出たあとに、長尺状可撓性要素902を標的組織上で移動することができる。長尺状可撓性要素902の近位端に係合する組織締結具914は、次に、標的組織920の近位部に締結される。締結具914は、締結具914を最もよい位置に配置して、標的組織920に係合して長尺状可撓性要素902を標的組織920を横断して配置する為に、長尺状可撓性要素902に結合されている場合でも自由に回転できる。組織締結具914が標的組織920に留めつけられると、長尺状可撓性要素902の遠位端は、組織を後退するために、自由ではあるが標的組織920上の所望する部位(例えば、標的組織の遠位)に近接して掛かっている。
【0031】
図9Eを参照する。
図9A~9Dの組織後退システムは、長尺状可撓性要素902の遠位ループ904に係合する為に、追加的な組織締結具914を導入し得る。医者は、内視鏡のワーキングチャネルを介して搬送カテーテル912を用いて追加的な組織締結具914を導入し得る。代替的には、同一の搬送カテーテルに新しい締結具914が再搭載されるか、別の搬送カテーテル912が用いられ得る。組織締結具914は、遠位ループ904に係合するフック916を備え得る。搬送カテーテル912と組織締結具914とは、例えば、ボストンサイエンティフィック社が販売するレゾルーション(RESOLUTION(登録商標))の品目に沿ってモデル化され得る。このような装置およびその他の装置、および本発明の装置や締結具に好適な対応する構成要素及び特徴のバリエーションは、米国特許出願公開第14/701,157号明細書(US2015023080A1)、米国特許出願公開第13/463,560号明細書(US20130123807A1)に開示されており、ここで参照することにより、その開示内容の全体を援用する。締結具は、標的組織920内の部位にロックされる前にフック916でループ904に係合するように配備される。組織締結具914は、搬送カテーテル912から離脱されて、長尺状可撓性要素902と共に留置することができる。長尺状可撓性要素902の操作を支援するために、ループ904は、医者が長尺状可撓性要素902を配置する際に、組織締結具914の反対面に反転できるように、組織締結具914の組織把持部915よりも大きくてもよい。
【0032】
制御ワイヤ908の位置と長尺状可撓性要素902の近位端部を表示する為に、制御ワイヤ908は、医師が容易に確認し得る可視化マーカーを含んでもよい。マーカーは、制御ワイヤ908に配置された着色された本体、またはフルオロスコープに表示される放射線不透過物質、または制御ワイヤ908の中に形成されたマークであってもよい(例えば、ひっかく、エッチングする、へこみをつける、レーザーエッチングする等して形成される)。制御ワイヤ908は、マーク918がさらに視認をよくする為に妨害されることがないように、長尺状可撓性要素902から離間する近位端の湾曲部を備えてもよい。制御ワイヤ908のこの湾曲は、除去するために制御ワイヤを把持することも支援する。マーカーは、長尺状要素から制御ワイヤを除去するために、カテーテルや内視鏡の中を貫通して挿入される器具でより簡単に把持できるように、制御ワイヤのそれ以外の部分と比較して拡張された形状、例えば、球形を有してもよい。
【0033】
第2の組織締結具914が遠位ループ904に係合されると、組織締結具914は、標的組織920に沿って所望に従って長尺状可撓性要素902を配置する為に操作される(例えば、回転、反転など)。長尺状可撓性要素902が配置されると、追加の組織締結具は、標的組織の第2の部分(例えば、遠位部)に係合して、長尺状可撓性要素902を標的組織に固定する。搬送カテーテル912は、次に第2の組織締結具914を離脱する。医者は、標的組織を切断する前に、長尺状可撓性要素902を長手軸線に沿って湾曲形態に移行し得る。これにより、切除工程で組織の一部を後退することができる。代替的には、長尺状可撓性要素902は、標的組織を切除する前や切除する間、平面状の形態で留置されてもよい。長尺状可撓性要素902を湾曲状の形態に移行するために、把持装置が、標的組織920の部位に導入され得る。把持装置は、制御ワイヤ908の湾曲部のマーカー918の方に向かって操作され得る。
図9Fを参照する。制御ワイヤ908は、把持されて、ガイド部材922の外に引っ張られる。制御ワイヤ908が無いと、長尺状可撓性要素902は、長手軸線に沿って平面状の形態から湾曲状の形態に移行して標的組織920に後退力を付与し始める。
【0034】
図9Gでは、長尺状可撓性要素902が湾曲状の形態になるように長尺状可撓性要素902の制御ワイヤ908が除去された
図9A~9Fのシステムを示す。この形態では、長尺状可撓性要素902は、各組織締結具914と標的組織920とに後退力を及ぼす。切除装置924は、標的組織920の外周縁を切除する為に、内視鏡910のワーキングチャネルの中を貫通して導入される。標的組織920の切除により、標的組織920は、周辺組織から離脱されるため、標的組織920は、湾曲状の形態の長尺状可撓性要素902の後退力に対して屈することができる。標的組織920の遠位端と近位端とは、締結具914とループ904とで持ち上げられているように示されているが、追加的なアームが長尺状可撓性要素902から標的組織920を横断して延びる方向に(例えば、長尺状可撓性要素に直交して)延びて、組織締結具914のフック916に係合されるループ904を備えてもよい。湾曲部906は、標的組織にほぼ平行する面に長手軸線から径方向外方に延び得る。標的組織920が、周辺組織から後退し始めると、湾曲部906は、追加的な表面領域を設けて、標的組織の側部が、長尺状可撓性要素902上を後退して巻き上がらないように耐性を付与し得る。標的組織920の外周縁で切除が終了すると、標的組織は、周辺組織から切除されるため、長尺状可撓性要素902は、切断された標的組織920を周辺組織から完全に持ち上げて後退させることができる。標的組織920と組織後退システムは、医師によって体内から除去されるか、胃腸管の中を通過させるために体内に留置される。
【0035】
本実施形態のいずれか1つの第1のほぼ平面状または平坦状の形態では、長尺状可撓性要素は、その本体の一部または全部が組織表面に接触して配置され得る。一実施形態では、長尺状可撓性要素は、幅と厚みとを備え、その幅は、長尺状可撓性要素が切除術中に巻回したりねじれたりすることを防止するために、その厚みより大きい。例えば、長尺状可撓性要素は、例えば、約0.040インチ(約1.016mm)、約0.035インチ(約0.889mm)、約0.030インチ(約0.762mm)、約0.025インチ(約0.635mm)、約0.020インチ(約0.508mm)の厚みよりも大きい約0.070インチ(約1.778mm)、約0.065インチ(約1.651mm)、約0.060インチ(約1.524mm)、約0.055インチ(約1.397mm)、約0.050インチ(約1.27mm)の幅を有し、いくつかの場合には、その幅は、その厚みよりも約2倍大きくてもよい。長尺状可撓性要素は、例えば、白金、タングステン、チタン、ステンレス鋼、ニッケル及びニッケル-チタン合金(例えばニチノール)などの金属及び金属合金、アクリレートをベースとするポリマー、ポリウレタンをベースとするポリマー、ポリノボルネンをベースとするポリマー、ポリラクチドをベースとするポリマー、およびそれらの組み合わせなどのポリマーを含む、弾性を有する、様々な生体適合性材料で形成され得る。
【0036】
拘束時形態にある時の上記材料内に蓄積された「力」によって、長尺状可撓性要素は、埋め込まれている組織に対して上向きに持ち上げる圧力または後退する圧力を付与して維持することができると理解しなければならない。長尺状可撓性要素が第1の形態である平坦状または平面状の形態から第2の形態である湾曲状の形態(例えば、丸みを帯びた、または半球状の)に移動(つまり、回復する)する性質により、切断面上に標的組織の切断された部分を持ち上げたり上昇させたりすることができるため、標的組織の切断されていない部分をより簡単に視認することができかつ効率的に切除することができる。長尺状可撓性要素の材料に、緩和時すなわち非拘束時形態である所望の記憶を付与または設定する為に、第2の形態の形状は、長尺状可撓性要素の製造過程で調節することができる。
【0037】
切除した組織を後退する方法は、搬送カテーテルの遠位端が標的組織の第1の部分の近接するように、医師が、標的組織に隣接する部位に内視鏡のワーキングチャネルの中を貫通して搬送カテーテルを前進させる工程を備える。医師は、長尺状可撓性要素の遠位端が、搬送カテーテルの遠位端を超えて標的組織の第1の部分に係合するように搬送カテーテルのワーキングチャネルの中を貫通して長尺状可撓性要素を前進させる。医師は、長尺状可撓性要素の近位端が搬送カテーテルの遠位端を超えて移動するように、搬送カテーテルを近位方向に後退させる。医師は、長尺状可撓性要素の近位端が、標的組織の第2の部分に係合するように、長尺状可撓性要素の近位端に対して搬送カテーテルの遠位端を押し付ける。医師は、搬送カテーテルの内部管状要素に対して搬送カテーテルの外部シースを回転したり摺動して長尺状可撓性要素の遠位端を標的組織の第1の部分の中に離脱した後、長尺状可撓性要素の近位端を組織の第2の部分の中に後退させる。医師は、内視鏡のワーキングチャネルの中を貫通して組織切断要素を移動して、長尺状可撓性要素が第1の形態から第2の形態に移行する間に、標的組織の辺縁に沿って切除し得る。
【0038】
説明した実施形態、および本願の別の実施形態に係る装置は、単独、または他の付属物と共にシステム、またはキット、または施術の一部として、体腔、体管腔、管腔、血管、および器官等で使用し得る。
【0039】
当業者であれば、本明細書で説明した実施形態に加えて本発明のバリエーション、変更形態、およびその他の実施形態は、明らかであろう。従って、本発明は、前記例示的な説明によってではなく、以下の請求項によって定義されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端および第2端を有する長尺状可撓性要素と、
第1端および第2端を有し、前記第2端から延びる第1のジョーおよび第2のジョーを含む組織締結具と、を備え、
前記長尺状可撓性要素の前記第1端または第2端の一方は、前記組織締結具の前記第2端に沿って前記第1のジョーまたは第2のジョーの一方に連結されている、組織後退システム。
【請求項2】
前記組織締結具および前記長尺状可撓性要素は、ループを介して一緒に結合されている、請求項1に記載の組織後退システム。
【請求項3】
前記長尺状可撓性要素の前記第1端または第2端の一方は、前記組織締結具の前記第1のジョーまたは第2のジョーの一方に枢動可能に連結されている、請求項1に記載の組織後退システム。
【請求項4】
前記組織締結具は、前記長尺状可撓性要素に係合したままで、前記長尺状可撓性要素に対して操作可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組織後退システム。
【請求項5】
前記組織締結具は、前記長尺状可撓性要素に係合したままで、前記長尺状可撓性要素に対して回転可能または反転可能である、請求項4に記載の組織後退システム。
【請求項6】
前記組織締結具は、前記長尺状可撓性要素の前記第1端または第2端の一方の上に搭載されている、請求項1に記載の組織後退システム。
【請求項7】
前記第1のジョーおよび第2のジョーは、組織に係合するように構成されている、請求項1に記載の組織後退システム。
【請求項8】
前記長尺状可撓性要素および前記組織締結具は、搬送カテーテル内で一緒に結合されて送達可能である、請求項1に記載の組織後退システム。
【請求項9】
前記組織締結具は、前記長尺状可撓性要素に連結されて、前記長尺状可撓性要素の近位で前記搬送カテーテル内に送達される、請求項8に記載の組織後退システム。
【請求項10】
前記組織締結具は、前記長尺状可撓性要素に連結されて、前記長尺状可撓性要素の遠位で前記搬送カテーテル内に送達される、請求項8に記載の組織後退システム。
【請求項11】
前記組織締結具の移動により、前記長尺状可撓性要素の移動が制御される、請求項10に記載の組織後退システム。
【請求項12】
前記長尺状可撓性要素は、前記組織締結具によって係合可能な少なくとも1つのループを含む、請求項1に記載の組織後退システム。
【請求項13】
前記長尺状可撓性要素は、前記長尺状可撓性要素の各端に、それぞれ前記組織締結具によって係合可能なループを含む、請求項1に記載の組織後退システム。
【請求項14】
前記第1のジョーまたは第2のジョーの一方は、前記長尺状可撓性要素に係合されるフックを含む、請求項1に記載の組織後退システム。
【請求項15】
前記長尺状可撓性要素は、前記組織締結具の前記第1のジョーまたは第2のジョーの一方の前記フックに係合されるループを含む、請求項14に記載の組織後退システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
当業者であれば、本明細書で説明した実施形態に加えて本発明のバリエーション、変更形態、およびその他の実施形態は、明らかであろう。従って、本発明は、前記例示的な説明によってではなく、以下の請求項によって定義されるものとする。
本開示に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
組織締結具と、
長尺状可撓性要素であって、近位端及び遠位端と、前記組織締結具が前記近位端及び前記遠位端に係合されることと、内部を貫通して延びる管腔を画定する少なくとも1つのガイド部材と、前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内に摺動可能に受承される制御ワイヤと、を備える前記長尺状可撓性要素と、
前記長尺状可撓性要素及び前記組織締結具を標的組織へ送達するための少なくとも1つの搬送カテーテルと、を備え、
前記長尺状可撓性要素は、前記制御ワイヤが前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内に配置された時における第1の形態と、前記制御ワイヤが前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内から除去された時における第2の形態との間で移行する組織後退システム。
(付記2)
前記長尺状可撓性要素の近位端及び遠位端はそれぞれ、組織締結具に係合されるループを備える、付記1に記載のシステム。
(付記3)
前記近位端及び前記遠位端の前記ループは、前記組織締結具の組織把持部より大きい、付記2に記載のシステム。
(付記4)
前記長尺状可撓性要素の近位端は第1の組織締結具に係合される、付記1に記載のシステム。
(付記5)
前記長尺状可撓性要素の遠位端は、前記第1の組織締結具とは異なる第2の組織締結具に係合される、付記4に記載のシステム。
(付記6)
前記長尺状可撓性要素は、前記第2の形態において長手方向面で互いに離間して延びる可撓性の湾曲部を有する一対の平行をなす要素を備える、付記1に記載のシステム。
(付記7)
前記可撓性の湾曲部は、拡張時形態で互いに離間する方向に延び、前記搬送カテーテル内に拘束された時、収縮時形態に移行する、付記6に記載のシステム。
(付記8)
前記第1の形態は平坦状である、付記1に記載のシステム。
(付記9)
前記制御ワイヤは、前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内に配置されている間、前記第1の形態で前記長尺状可撓性要素を拘束する、付記8に記載のシステム。
(付記10)
前記第2の形態は湾曲状である、付記9に記載のシステム。
(付記11)
前記第2の形態において、前記長尺状可撓性要素の近位端及び遠位端は、その近位端及び遠位端が固定された標的組織に後退力を付与する、付記10に記載のシステム。
(付記12)
前記第2の形態は湾曲状である、付記1に記載のシステム。
(付記13)
前記長尺状可撓性要素の近位端は、第1の組織締結具によって係合され、前記長尺状可撓性要素の遠位端は、前記第1の組織締結具とは異なる第2の組織締結具によって係合され、前記第1及び前記第2の組織締結具が標的組織に固定され且つ前記長尺状可撓性要素が第2の形態にある時、前記長尺状可撓性要素の近位端及び遠位端は、前記標的組織に後退力を及ぼす、付記12に記載のシステム。
(付記14)
前記制御ワイヤは、前記長尺状可撓性要素から前記制御ワイヤを取り除くために把持されるように構成された拡張された形状を備えた可視化マーカーを有する、付記1に記載のシステム。
(付記15)
組織締結具に係合される近位端及び遠位端を備える長尺状可撓性要素であって、
前記長尺状可撓性要素は、その内部に制御ワイヤを摺動可能に受承するための管腔を画定する少なくとも1つのガイド部材に取り付けられており、
前記長尺状可撓性要素は、前記制御ワイヤが前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内に配置された時における第1の形態と、前記制御ワイヤが前記少なくとも1つのガイド部材の管腔内から除去された時における第2の形態との間で移行する長尺状可撓性要素。
(付記16)
前記長尺状可撓性要素の近位端及び遠位端はそれぞれ、組織締結具に係合されるループを備える、付記15に記載の長尺状可撓性要素。
(付記17)
前記近位端及び前記遠位端のループはそれぞれ、前記組織締結具の組織把持部よりも大きい、付記16に記載の長尺状可撓性要素。
(付記18)
前記長尺状可撓性要素は、前記第2の形態において長手方向面で互いに離間して延びる可撓性の湾曲部を有する一対の平行をなす要素を備える、付記15に記載の長尺状可撓性要素。
(付記19)
前記可撓性の湾曲部は、拡張時形態で互いに離間する方向に延び、搬送カテーテル内に拘束された時、収縮時形態に移行する、付記18に記載の長尺状可撓性要素。
(付記20)
前記第1の形態は平坦状であり、前記第2の形態は湾曲状である、付記15に記載の長尺状可撓性要素。