(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114951
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/00 20200101AFI20240816BHJP
【FI】
D06F58/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024106000
(22)【出願日】2024-07-01
(62)【分割の表示】P 2020010434の分割
【原出願日】2020-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2019168349
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517164556
【氏名又は名称】株式会社TOSEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 謙治
(72)【発明者】
【氏名】久保井 涼太
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 利隆
(57)【要約】
【課題】薬剤を散布可能な乾燥機を提供する。
【解決手段】実施形態の乾燥機は、乾燥したい対象物が収容可能な乾燥空間Dが形成される筐体20と、マット状部材Fを載置面に載置可能、且つ前記乾燥空間Dに収容可能に構成されると共に内部空間を有し、前記内部空間と前記乾燥空間Dとを連通する通気孔が前記載置面に設けられている載置部31と、前記乾燥空間内に空気を供給するためのファン22と、前記乾燥空間内に供給される空気を加熱する加熱部21と、を備え、前記ファン22を動作させて、前記加熱部21により加熱された空気を吸気流路202を介して前記乾燥空間Dに流入させて前記載置面に載置された前記マット状部材Fを乾燥する乾燥機1であって、薬剤を散布する散布部23を前記吸気流路202に接続するように設け、前記散布部23により生成された霧を含んだ前記空気が、前記吸気流路202を介して前記乾燥空間Dの前記マット状部材Fに散布されることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥したい対象物が収容可能な乾燥空間が形成される筐体と、
マット状部材を載置面に載置可能、且つ前記乾燥空間に収容可能に構成されると共に内部空間を有し、前記内部空間と前記乾燥空間とを連通する通気孔が前記載置面に設けられている載置部と、
前記乾燥空間内に空気を供給するためのファンと、
前記乾燥空間内に供給される空気を加熱する加熱部と、
を備え、
前記ファンを動作させて、前記加熱部により加熱された空気を吸気流路を介して前記乾燥空間に流入させて前記載置面に載置された前記マット状部材を乾燥する乾燥機であって、
薬剤を散布する散布部を前記吸気流路に接続するように設け、
前記散布部により生成された霧を含んだ前記空気が、前記吸気流路を介して前記乾燥空間の前記マット状部材に散布されることを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
乾燥したい対象物が収容可能な乾燥空間が形成される筐体と、
マット状部材を載置面に載置可能、且つ前記乾燥空間に収容可能に構成されると共に内部空間を有し、該内部空間と前記乾燥空間とを連通する通気孔が前記載置面に設けられている載置部と、
前記乾燥空間内に空気を供給するためのファンと、
前記乾燥空間内に供給される空気を加熱する加熱部と、
を備え、
前記ファンを動作させて、前記加熱部により加熱された空気を前記乾燥空間に流入させて前記載置面に載置された前記マット状部材を乾燥する乾燥機であって、
前記乾燥空間に向けて薬剤を散布する散布部を設け、
前記散布部から散布された霧が、前記乾燥空間に流入した前記空気により拡散して前記乾燥空間の前記マット状部材に散布されることを特徴とする乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄などによって水分を含んだ衣類や寝具などの対象物を乾燥させる乾燥機が知られている。また、衣類、寝具としての布団やマットレスには、悪臭の抑制や菌の繁殖を防止することを目的として、消臭剤や除菌剤が用いられており、布団やマットレスに対しては、ダニの繁殖を防止することを目的として、防ダニ剤が用いられる。これらの薬剤は、スプレーノズルが設けられた容器内に貯液されて販売され、乾燥された状態の対象物に人手で散布されることが行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-157795号公報
【特許文献2】特開2000-288297号公報
【特許文献3】実用新案登録第3086128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明が解決しようとする課題は、薬剤を散布可能な乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の乾燥機は、乾燥したい対象物が収容可能な乾燥空間が形成される筐体と、マット状部材を載置面に載置可能、且つ前記乾燥空間に収容可能に構成されると共に内部空間を有し、前記内部空間と前記乾燥空間とを連通する通気孔が前記載置面に設けられている載置部と、前記乾燥空間内に空気を供給するためのファンと、前記乾燥空間内に供給される空気を加熱する加熱部と、を備え、前記ファンを動作させて、前記加熱部により加熱された空気を吸気流路を介して前記乾燥空間に流入させて前記載置面に載置された前記マット状部材を乾燥する乾燥機であって、薬剤を散布する散布部を前記吸気流路に接続するように設け、前記散布部により生成された霧を含んだ前記空気が、前記吸気流路を介して前記乾燥空間の前記マット状部材に散布されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態に係る乾燥機の構成を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態に係る乾燥機の構成を示す正面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る乾燥機の構成を示す平面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る乾燥機の構成を示す背面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る可動載置部の構成を示す斜視図である。
【
図6】第1の実施形態に係る可動載置部の構成を示す側面図である。
【
図7】第1の実施形態に係る可動載置部の構成を示す背面図である。
【
図8】第1の実施形態に係る布団が載置された可動載置部を示す正面図である。
【
図9】第1の実施形態に係る布団が載置された可動載置部を示す側面図である。
【
図12】第1の実施形態に係る一部の構成を透過させた乾燥機を示す平面図である。
【
図13】第1の実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【
図14】第1の実施形態に係る制御部の動作を示すフローチャートである。
【
図15】第2の実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
【
図16】第2の実施形態に係る制御部の動作を示すフローチャートである。
【
図17】第3の実施形態に係る霧生成部の構成を示すブロック図である。
【
図18】第4の実施形態に係る乾燥機を説明するための図である。
【
図19】第4の実施形態に係る霧生成部の筐体内部を説明するための図である。
【
図20】第4の実施形態に係る乾燥機の構成を示す背面図である。
【
図21】第5の実施形態に係る乾燥機を説明するための図である。
【
図22】第5の実施形態に係る乾燥機の構成を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0008】
<第1の実施形態>
(全体構成)
まず、本実施形態に係る乾燥機の全体構成について説明する。
図1~
図4は、それぞれ、乾燥機の構成を示す斜視図、正面図、平面図、背面図である。
【0009】
図1~
図4に示すように、本実施形態に係る乾燥機1は、本体部2と、本体部2内に収容され、乾燥機1による乾燥対象である布団を載置するための可動載置部3とを備える。本体部2は、筐体20と、ガスヒータ21と、排気ファン22と、霧生成部23と、流路切替部24(
図3,4参照)と、制御部25と、底面部26(
図6、
図10参照)と、扉部29とを備える。
【0010】
筐体20は、全体として略直方体状に形成され、底面部26、扉部29と協働して、内部に乾燥空間Dが画成される。この乾燥空間D内には可動載置部3が収容される。ガスヒータ21は、ガスバーナにより空気を加熱する。排気ファン22は、空気の逆流を防止するためのチャッキダンパ221を有し、乾燥空間D内の空気を吸気し、チャッキダンパ221を介して外部へ排出する。なお、ガスヒータ21は、他の方式により空気を加熱する他の装置により代替されても良い。
【0011】
霧生成部23は、消臭剤、除菌剤、防ダニ剤などの薬剤を含む液体が貯留される貯液槽と、この貯液槽の底部に設けられて貯液槽に貯留された液体に超音波を発生させる超音波振動子とを有する超音波霧化装置として構成され、貯液槽は、接続パイプ231により後述する吸気流路202(
図10~
図12参照)と流体的に接続される。流路切替部24は、乾燥機1により乾燥させる布団のサイズに応じて、後述するように空気の流路を切り替える。なお、本実施形態において、霧とは、超音波により生成可能な極めて微細な液滴である微粒子(例えば中心粒径が3μm前後)の群を示すものとする。このような霧を生成可能な超音波霧化装置としては、例えば中心粒径約3μmを実現する本田電機株式会社製:超音波霧化ユニットHMC-2400,2401を用いることができる。
【0012】
ガスヒータ21、排気ファン22、霧生成部23は、筐体20において、乾燥空間Dよりも上方に位置するように設けられる。霧生成部23が最前方に位置付けられ、ガスヒータ21が最後方に位置付けられ、排気ファン22が前後方向において霧生成部23とガスヒータ21との間に位置付けられる。また、流路切替部24は、筐体20の背面に設けられる。
【0013】
制御部25は、使用者が乾燥機1の動作に関する指示操作をするための操作パネル251を有し、霧生成部23よりも前方、且つ乾燥空間Dよりも上方に位置付けられるとともに、操作パネル251が前方を向くように設けられる。制御部25は、操作パネル251になされた操作に基づいて、ガスヒータ21、排気ファン22、霧生成部23、流路切替部24の動作を制御する。
【0014】
扉部29は、乾燥空間Dを前方から閉塞するように開閉可能に設けられ、その一部が例えばガラスなどの透明性を有する窓部291として形成されるとともに、使用者が扉部29を開閉させるための把持部292を有する。
【0015】
可動載置部3は、後に詳述するように前後に可動に構成されており、使用者は、扉部29を開けて乾燥空間Dに収容された可動載置部3を前方に移動させてこの可動載置部3上に布団を載置し、可動載置部3を後方に移動させて再度乾燥空間Dに収容して扉部29を閉める。その後、使用者は、操作パネル251を操作して乾燥機1に所望の乾燥動作をさせることができる。
【0016】
底面部26は、筐体20の底面を成し、可動載置部3が前後に移動される際に、可動載置部3の走路として機能する。なお、底面部26については、可動載置部3の説明と併せて後に詳述する。
【0017】
(可動載置部)
可動載置部の構成について説明する。
図5~
図7は、それぞれ、可動載置部の構成を示す斜視図、側面図、背面図である。
図8、
図9は、それぞれ、布団が載置された可動載置部を示す正面図、側面図である。なお、
図8、
図9は、シングルサイズの布団が載置された状態を示す。
【0018】
可動載置部3は、
図5~
図7に示すように、載置部31と台座部32とを備える。載置部31は、全体として、上面及び底面が前後方向に向くように横たえ、最も鋭角に形成された頂点に対向する一側面を下方に向けた中空の略三角柱状に形成される。以降の説明においては、三角柱としての上面及び底面の前方側を載置部31の前面とし、他方を載置部31の背面とし、下方に向けられた三角柱としての一側面を載置部31の底面とし、三角柱としての他の二側面を載置部31の側面とする。台座部32は、全体として中空の略直方体状に形成され、その上面に載置部31の底面が接続される。
【0019】
使用者は、乾燥対象とする布団を、
図8、
図9に示すように、布団Fの短手幅方向を載置部31の前後方向に向けて、載置部31の側面を載置面として載置し、この際、布団Fは、その平面部が載置部31の側面に沿うように折り曲げられた状態となる。
【0020】
載置部31の前面には、2つの抑制部33a,33bが左右対称に設けられるとともに、使用者が可動載置部3を前後に可動させるための把持部34が設けられる。2つの抑制部33a,33bのそれぞれは、載置部31の2つの側面のそれぞれに対応して設けられる。2つの抑制部33a,33bのそれぞれは、長尺な平板状に形成された基部330と、基部330の端部から基部330の面外方向における後方側に突出する平板として形成された突出部331とを有する。2つの抑制部33a,33bのそれぞれは、突出部331の平面と対応する載置部31の側面とが所定の距離だけ離間して平行して対向するように、基部330が載置部31の前面に設けられる。なお、これら2つの抑制部33a,33bの効果について後に詳述する。また、以降の説明において、2つの抑制部33a,33bを区別しない場合は、単に抑制部33と呼称する。
【0021】
載置部31は、側面を成す平板状部材を前後方向を向く折り曲げ線が上端に位置付けられるように折り曲げた形状に形成されることによって、上述したように中空の略三角柱状に形成されており、その内部空間は、区画部35によって前方の第1空間P1と後方の第2空間P2とに区画される。区画部35の前後方向の位置は、シングルサイズの布団の短手幅に合わせたものとなっており、載置部31全体の前後方向の長さはダブルサイズの布団の短手幅に合わせたものとなっている。これによって、後に詳述するように、異なるサイズの布団の乾燥に対応することができる。また、布団に限らず、カーペット、ラグ、マットレスなど繊維素材がマット状に形成された他のマット状部材の乾燥を行うことも可能である。
【0022】
また、載置部31の両側面には、
図6に示すように、第1空間P1、第2空間P2のそれぞれと載置部31外部とを連通させるパンチング孔群311a,311bが設けられる。これらパンチング孔群311a,311bは、載置部31の最上端から所定距離に亘って設けられ、この所定距離は、布団の長手幅の半分以上とする。パンチング孔群311aは、その前後方向において、第1空間P1の略全域に亘るように設けられており、同様に、パンチング孔群311bは、その前後方向において、第2空間P2の略全域に亘るように設けられる。なお、以降の説明において、パンチング孔群311a,311bを区別しない場合は、単にパンチング孔群311と呼称する。
【0023】
台座部32は、上述したように中空の略直方体状に形成されており、後述する垂直流路203(
図10~
図12参照)と第1空間P1とを接続する接続流路T1(
図6参照)がその内部に画成され、台座部32の背面には接続流路T1と垂直流路203とを連通させる連通孔329(
図5、
図7参照)が設けられる。載置部31の底面には、第1空間P1と接続流路T1とを連通させる連通孔318(
図5参照)が設けられ、載置部31の背面には、第2空間P2と排気流路とを連通させる連通孔319(
図5、
図7参照)が設けられる。
【0024】
台座部32には、その底面において前端一部が左右方向略全域に亘って下方に突出する突出部320が設けられる。台座部32は、前方側、具体的には突出部320において左右両側に設けられる2つの前輪キャスタ321a,321bと、後方側において左右両側に設けられる2つの後輪キャスタ322a,322とを有する。
【0025】
図6に示すように、筐体20の底面を成す底面部26は、全体として平板状に形成され、底面部26の前端一部には左右方向略全域に亘って上方に突出する突出部260が設けられ、この突出部260にはその上端が台座部32の底面に当接するように補助キャスタ261が設けられる。2つの前輪キャスタ321a,321bは、乾燥機1の設置面を走行するように設けられ、これに対して、2つの後輪キャスタ322a,322bは底面部26上を走行するように設けられる。このため、2つの後輪キャスタ322a,322bは、その下端が2つの前輪キャスタ321a,321bの下端よりも底面部26の厚さ分だけ上方に位置するように設けられる。
【0026】
底面部26に設けられた突出部260によれば、2つの後輪キャスタ322a,322bが、突出部260より前方にすることが規制されるため、使用者が可動載置部3を前方に移動させた際に、可動載置部3全体が乾燥空間Dから出てしまうことが防止される。
【0027】
(乾燥機における流路)
乾燥機における流路について説明する。
図10、
図11は、それぞれ、
図2のA-A’線断面図、B-B’線断面図である。
図12は、一部の構成を透過させた乾燥機を示す平面図である。なお、
図12においては、ガスヒータ、排気ファン、霧生成部を透過させた乾燥機が示される。
【0028】
図10~
図12に示すように、筐体20には、ガスヒータ21、排気ファン22及び霧生成部23が載置される平板部と、この平板部と平行するように、且つ乾燥空間Dを上方から閉鎖するように設けられる平板部との間において、乾燥空間Dとは異なる水平空間が画成される。更に、この水平空間は、2つの空間に分割され、排気流路201、吸気流路202として用いられる。
【0029】
また、乾燥空間D内には、乾燥空間D内の背面に沿って、上下方向即ち垂直方向に延び、排気流路201と連通されることで実質的に排気流路201の一部を成す垂直流路203が形成される。この垂直流路203は、筐体20の背面を構成する平板部と、この平板部に平行する平板部との間隙であり、上方から見て左右方向に長尺な矩形断面が上下方向に延在する空間として形成される。
【0030】
垂直流路203は、その上端において排気流路201と連通するように、且つ吸気流路202とは連通しないように形成される。また、垂直流路203には、可動載置部3の台座部32に形成された接続流路T1と垂直流路203とを連通させる連通孔203aと、可動載置部3の載置部31に形成された第2空間P2と垂直流路203とを連通させる連通孔203bとが形成される。
【0031】
扉部29を閉状態とすることができるように可動載置部3が乾燥空間Dに完全に収容されると、台座部32の背面に形成された連通孔329と垂直流路203に形成された連通孔203aとが上下左右方向において少なくとも一部が重複するように近接するとともに、載置部31の背面に形成された連通孔319と垂直流路203に形成された連通孔203bとが上下左右方向において少なくとも一部が重複するように近接する。これによって、
図10に示すように、接続流路T1、第2空間P2のそれぞれと、垂直流路203とが連通される。
【0032】
図12に示すように、筐体20におけるガスヒータ21、排気ファン22及び霧生成部23が載置される平板部には、連通孔21a、22a,231aが形成される。連通孔21aは、ガスヒータ21に対応して形成され、ガスヒータ21に加熱された空気を吸気流路202に吸気可能に形成される。連通孔22aは、排気ファン22に対応して形成され、排気ファン22により排気流路201の空気を吸気可能に形成される。連通孔231aは、接続パイプ231に対応して形成され、接続パイプ231は、その一端が霧生成部23の貯液槽に接続されるとともに、その他端が連通孔231aを介して吸気流路202に流体的に接続される。
【0033】
吸気流路202には、吸気流路202と乾燥空間Dとを連通させ、ガスヒータ21により加熱された空気を乾燥空間に流入させる流入孔群202aが形成される。この流入孔群202aは、乾燥空間Dを上方から閉鎖するように、且つ水平空間を下方から閉鎖するように設けられる平板部に形成される複数のパンチング孔であり、これらのパンチング孔は、乾燥空間Dの左右方向略全域に亘って形成される。これによって、例えば、パンチング孔を左右方向片側に寄せて形成した場合と比較して、乾燥空間D内の温度のバラつきを低減させることができる。
【0034】
なお、流入孔群202aは、前後方向に異なる位置に複数形成されても良い。また、流入孔群202aを複数形成する場合、流入孔群202aの開口率やパンチング孔を形成する領域が後方側よりも前面側の方が大きくなるようにすることが望ましい。これによって、送風元、即ち垂直流路203に近い側の熱風の吹き出し量を小さくし、前後方向において乾燥空間D内の温度分布をより均等とすることができる。
【0035】
乾燥機1において、排気ファン22が動作されると、排気流路201、垂直流路203を介して、可動載置部3内の空間が負圧となり、載置部31の両側面に設けられたパンチング孔群311a,311bを介して乾燥空間D内の空気が可動載置部3内に吸気される。これによって、乾燥空間D内が負圧となり、流入孔群202aにより乾燥空間Dと連通された吸気流路202を介して、ガスヒータ21を通過する乾燥機1外部の空気が乾燥空間D内に吸気される。
【0036】
乾燥空間D内に空気が流入する状態において、ガスヒータ21が動作している場合、ガスヒータ21により加熱された空気が熱風として乾燥空間D内に流入することとなり、この熱風が可動載置部3に載置された布団Fを通過して可動載置部3内へ流入した後に乾燥機1の外部へ排出されることによって、布団Fの乾燥が行われる。
【0037】
乾燥空間D内に空気が流入する状態において、霧生成部23が動作している場合、霧生成部23により生成された霧を含んだ空気が吸気流路202を介して乾燥空間D内に流入することとなり、この霧を含んだ空気が布団Fを通過することによって、消臭剤、除菌剤、防ダニ剤などの薬剤を布団Fの内部まで浸透させることができるとともに、薬剤の散布を自動化することができる。
【0038】
なお、霧生成部23を超音波霧化装置とすることによれば、より微細な霧を生成することができ、これによって、霧化した薬剤が布団Fの表面に水滴化した状態で付着することを防止でき、延いてはより効率よく薬剤を布団Fに浸透させることができる。また、霧生成部23による薬剤の散布については、衣類などを対象とした乾燥においても適用可能である。また、霧生成部23により生成された霧の吸気流路202への流入位置、即ち接続パイプ231の接続位置を、吸気流路202における上流側に位置付けても良く、これによって、生成された霧を乾燥空間D内においてより均等に拡散させることができる。
【0039】
(抑制部による効果)
可動載置部に設けられた抑制部により得られる効果について説明する。
【0040】
上述したように、乾燥空間D内の熱風がパンチング孔群311を介して可動載置部3内の空間に流入する際に布団Fを通過することによって、布団Fの乾燥がなされる。つまり、布団Fを乾燥する際には、熱風が流入するパンチング孔群311を布団Fが閉塞するように載置部31上に布団Fを載置することが望ましい。
【0041】
布団Fによるパンチング孔群311の閉塞においては、載置された布団Fの前後方向端部が布団Fの端部の膨らみや歪みなどに起因して浮き上がる、即ち、載置部31の側面から離間して隙間が生じる傾向がある。この場合、布団Fの前後端部においては、乾燥空間D内の熱風が布団Fを通過せずにパンチング孔群311の一部から可動載置部3内の空間に流入することとなり、これによって、布団Fの乾燥率が低下することとなる。
【0042】
抑制部33によれば、
図8、
図9に示すように、突出部331により、布団Fの前方端部が載置部31の側面から離間しないように案内されるため、乾燥率の低下を低減することができる。ここで、突出部331は、載置部31の側面からの離間距離が布団Fの平均的な厚み以下となるように形成される。また、抑制部33は、載置部31の後方端部に設けられても良く、載置部31からの突出部331の離間距離を布団Fの厚みに応じて使用者が調整可能に抑制部33を構成しても良い。また、抑制部33は、載置部31において折り曲げ線により分割される2つの側面のうち一方のみに設けられても良い。
【0043】
また、抑制部33 は、布団Fの前後方向端部が載置部31の側縁から離間することを防止することができるものであれば良く、例えば、載置部31の前後端に両端部が連結された帯状部材や、載置部31の前後方向端部において上下方向に異なる位置に両端部が連結された帯状部材としても良い。
【0044】
(流路切替部の構成及び動作)
流路切替部の構成及び動作について説明する。
【0045】
流路切替部24は、
図4、
図10~
図12に示すように、筐体20の背面側に固定される取付基部240と、取付基部240に設けられる駆動部241と、駆動部241に一端が接続されるシャフト243と、シャフト243の他端に接続される閉鎖部242とを有する。
【0046】
駆動部241は、回転軸方向を左右方向に向けた状態で取付基部240に設けられるモータであり、駆動部241とシャフト243は、回転運動を直線運動に変換する変換機構244(
図10参照)を介して接続される。シャフト243は、取付基部240により前後方向に移動可能に支持される。閉鎖部242は、垂直流路203に設けられた連通孔203bを後方から閉鎖可能に形成される。
【0047】
流路切替部24は、駆動部241によりシャフト243を前後に移動させることによって、連通孔203bを閉鎖する閉鎖状態と、連通孔203bを開放する開放状態とに切り替えることができる。また、流路切替部24は、閉鎖状態と開放状態とに切り替えることによって、空気が第1空間P1のみを通過して乾燥機1の外部に排出される第1流路と、空気が第1空間P1及び第2空間P2を通過して乾燥機1の外部に排出される第2流路とに切り替えることができる。
【0048】
使用者は、操作パネル251への操作によって、シングルサイズである布団Fが第1空間P1の前後幅と重なるように可動載置部3上に載置される場合には第1流路に切り替え、ダブルサイズである布団Fが第1空間P1のみでなく第2空間P2の前後幅の少なくとも一部と重なるように可動載置部3上に載置される場合には第2流路に切り替えることができる。これによって、空気が可動載置部3内の空間を通過する際の流路を布団Fのサイズに応じたものとすることができる。
【0049】
また、筐体20に設けられる流路切替部24によれば、可動載置部3内の空間を通過する際の流路を切り替える機構を可動載置部3側に設けた場合と比較して、乾燥空間Dをより有効に使用することができ、また、電源の確保がより容易であるため電動化も容易である。なお、流路切替部24は、筐体20に設けられ、連通孔203a,203bのいずれか一方を開閉可能に構成されたものであれば良い。
【0050】
(制御部の構成及び動作)
制御部の構成及び動作について説明する。
図13は、制御部の構成を示すブロック図である。
図14は、制御部の動作を示すフローチャートである。
【0051】
図13に示すように、制御部25は、操作パネル251に加えて、更にCPU(Central Processing Unit)252、RAM(Random Access Memory)253、記憶装置254、入出力IF(Interface)255を備える。
【0052】
CPU252は、RAM253と協働して、後述する動作を実行する。記憶装置254は、後述する動作の実行に係るデータを記憶する。入出力IF255は、入出力装置としての操作パネル251を接続するためのインターフェイスである。
【0053】
操作パネル251は、後述する換気動作を指示するための換気ボタンと、乾燥する布団のサイズを設定するサイズボタンと、後述する散布動作を行うか否かを設定するための散布ボタンと、これらのボタンによる指示状態を示すランプまたは7セグメントディスプレイとを備えるものとする。また、制御部25は、図示しない精算機を備えるものとし、制御部25は、所定の硬貨が投入されることで乾燥機1を稼働させるとともに、稼働に先立って、1回の換気動作が実行可能に設定されるものとする。
【0054】
図14に示すように、制御部25は、まず、換気動作の残回数が1回以上であるか否かを判定する(S101)。
【0055】
残回数が1回以上である場合(S101,YES)、制御部25は、操作パネル251において換気ボタンが押下されたか否かを判定する(S102)。
【0056】
換気ボタンが押下された場合(S102,YES)、制御部25は、乾燥機1に換気動作を実行させる(S103)。ここで、換気動作によれば、前回の布団Fの乾燥、特に薬剤の散布によって乾燥空間Dに残留した匂いを低減するために、排気ファン22のみを所定時間、例えば15秒程度だけ動作される。また、換気動作に伴って、残回数は1だけ低減される。
【0057】
次に、制御部25は、稼働開始のトリガとして、精算機に硬貨が投入されたか否かを判定する(S104)。
【0058】
精算機に硬貨が投入された場合(S104,YES)、制御部25は、サイズボタンによって乾燥すべき布団Fのサイズとしてシングルサイズが選択されているか否かを判定する(S105)。
【0059】
シングルサイズが選択されている場合(S105,YES)、制御部25は、乾燥機1に第1乾燥動作を実行させる(S106)。ここで、第1乾燥動作によれば、流路切替部24を閉鎖状態に切り替えた上で、ガスヒータ21と排気ファン22とが動作される。
【0060】
次に、制御部25は、散布動作を行う設定がなされているか否かを判定する(S107)。
【0061】
散布動作を行う設定がなされている場合(S107,YES)、制御部25は、乾燥機1に散布動作を実行させる(S108)。ここで、散布動作によれば、排気ファン22と霧生成部23とが動作される。次に、制御部25は、残回数をリセットして1に設定する(S109)。
【0062】
一方、散布動作を行う設定がなされていない場合(S107,NO)、制御部25は、排気ファン22のみを動作させる冷却動作を乾燥機1に実行させ(S110)、残回数をリセットして1に設定する(S109)。
【0063】
また、ステップS105において、シングルサイズが選択されていない場合、即ち、ダブルサイズが選択されている場合(S105,NO)、制御部25は、乾燥機1に第2乾燥動作を実行させる(S111)。ここで、第2乾燥動作によれば、流路切替部24を開放状態に切り替えた上で、ガスヒータ21と排気ファン22とが動作される。
【0064】
また、ステップS104において、精算機に硬貨が投入されない場合(S104,NO)、制御部25は、再度、換気動作の残回数が1以上であるか否かを判定する(S101)。
【0065】
また、ステップS102において、換気ボタンが押下されない場合(S102,NO)、制御部25は、精算機に硬貨が投入されたか否かを判定する(S104)。
【0066】
また、ステップS101において、換気動作の残回数が1未満、即ち0である場合(S101,NO)、制御部25は、精算機に硬貨が投入されたか否かを判定する(S104)。
【0067】
このように、乾燥動作後において、ガスヒータ21を動作させず、排気ファン22及び霧生成部23のみを動作させる散布動作を乾燥機1に行わせることによって、霧化された薬剤が熱により化学変化を起こすことを防止することができる。なお、本実施形態において、散布動作は、上述する冷却動作を兼ねているものとするが、冷却動作後に別途実行されるようにしても良い。
【0068】
また、乾燥動作に先立って、排気ファン22のみを動作させる換気動作を、使用者の操作に応じて実行可能とすることによって、前回の布団Fの乾燥または布団Fへの薬剤散布により生じた乾燥空間D内の匂いが使用者の布団Fへ付着することを低減することができる。
【0069】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、超音波霧化装置として構成される霧生成部23が、消臭剤、除菌剤、防ダニ剤などの薬剤を含む液体を第1または第2乾燥動作後に散布すると説明したが、薬剤をこれら乾燥動作に先立って散布するようにしてもよい。本実施形態においては、乾燥動作に先立って薬剤の散布動作を行う乾燥機について説明する。
【0070】
図15は本実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図である。
図15に示すように、本実施形態に係る乾燥機は、第1の実施形態に係る乾燥機1と比較して、制御部25に代わり、操作パネル251’を有する制御部25’を備える点で異なる。操作パネル251’は、第1の実施形態の操作パネル251と同様に、換気ボタン、サイズボタン、及びランプ(または7セグメントディスプレイ)を備えると共に、散布ボタンに代わり取消ボタンを備える。
【0071】
取消ボタンは、散布動作を行う設定(以後、散布設定と称する)をONからOFFへと切り替えるものであり、当該取消ボタンが押下されると、散布動作が行われずに乾燥動作が行われることとなる。したがって、本実施形態においてはデフォルトで散布設定がONとされている。なお、散布設定がONとなっている場合は操作パネル251’のランプが点灯し、散布設定がOFFとなっている場合は当該ランプが消灯し、散布動作中は当該ランプが点滅するようにして使用者が薬剤散布の状態を容易に把握できるようにすることが好ましい。
【0072】
本実施形態に係る乾燥機は、硬貨の投入に応じて乾燥動作を行うものである。したがって取消ボタンは、硬貨を投入せずとも押下することができ、押下された際には散布設定が一定時間(例えば10秒)OFFに切り替わり、その切り替わっている時間内において硬貨が投入されると、散布動作が行われずに乾燥動作が行われることとなる。
【0073】
本実施形態において用いられる薬剤は、例えば防ダニ剤に消臭剤及び除菌剤を添加してなるものであり、特に防ダニ、消臭、除菌の効果を有し、花粉やハウスダストの働きを抑える効果をも有するものとすることが好ましい。また、薬剤は、乾燥動作より先に散布されるものであるため、乾燥時の熱により変性し難い、換言すればその効果が消失するまでの変性が生じないものが好ましい。
【0074】
制御部25’の動作について説明する。
図16は、制御部の動作を示すフローチャートである。なお、
図16に示すステップS201~ステップS203の処理のみ説明を行い、その他のステップS101~S106、S111の処理については、第1の実施形態に係る制御部25と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0075】
図16に示すように、精算機に硬貨が投入されたか否かを判定するステップS104の処理において、硬貨が投入されたと判定された場合(S104,YES)、制御部25’は、取消ボタンが押下され散布設定がOFFとなっているか否かを判定する(S201)。
【0076】
散布設定がOFFとなっていない場合(S201,NO)、制御部25’は、排気ファン22と霧生成部23とを動作して散布動作を実行し(S202)、布団Fのサイズとしてシングルサイズが選択されているか否かを判定するステップS105の処理へ移行する。
【0077】
一方、散布設定がOFFとなっている場合(S201,YES)、制御部25’は、散布動作を実行せずに、布団Fのサイズとしてシングルサイズが選択されているか否かを判定するステップS105の処理へ移行する。
【0078】
ステップS105の処理を経て第1または第2乾燥動作(S106またはS111)がなされた後、制御部25’は、排気ファン22のみを動作させる冷却動作を乾燥機に実行させると共に、残回数をリセットして1に設定し(S203)、本フローは終了となる。
【0079】
乾燥動作後に薬剤を散布する場合、布団Fの表面に薬剤が付着し、取り出し直後には僅かな湿り気が生じる可能性があるが、以上に説明した本実施形態によれば、散布された薬剤による防ダニ、消臭、及び除菌等の効果を維持しつつも、乾燥後における布団Fの湿り気を確実に除去することが可能となる。
【0080】
なお、第1及び第2実施形態においては、薬剤が防ダニ剤、消臭剤、及び除菌剤の混合溶液であると説明したが、使用者がこれら薬剤を個別に選定するようにしてもよい。この場合、各薬剤別に複数の霧生成部23を設け、操作パネル251,251’において、各薬剤を散布するか否かを示す「防ダニボタン」、「消臭ボタン」、及び「除菌ボタン」等を設ける、またはこれら薬剤の散布動作をデフォルトとして、「防ダニ取消ボタン」、「消臭取消ボタン」、及び「除菌取消ボタン」等を設けるようにする。制御部25,25’は、押下されたボタンを判定すると共に動作する霧生成部23を選定し、選定された霧生成部23と排気ファン22とを動作させて散布動作を乾燥機に行わせる。このようにすることで、使用者所望の薬剤を布団Fに散布することができる。なお、薬剤の散布を別料金として、押下されたボタンに応じた料金が投入されたか否かの判定を更に制御部25,25’が行うようにし、投入されたと判定した場合にのみ散布動作を行うようにしてもよい。
【0081】
<第3の実施形態>
第1の実施形態では、霧生成部23が貯液槽と超音波振動子とを備えて超音波により薬剤を霧化すると説明したが、当該霧に含まれる微粒子を超音波で生成せずにスプレーノズル等のノズルを用いて生成することで、より粒径が大きい微粒子からなる霧(以後、ミストと称する)を生成するようにしてもよい。本実施形態においては、薬剤をミスト化して散布する乾燥機について説明する。
【0082】
図17は、本実施形態に係る霧生成部の構成を示すブロック図である。
図17に示すように、本実施形態に係る乾燥機は、第1の実施形態に係る乾燥機1と比較して、貯液槽と超音波振動子とを有する霧生成部23に代わり、貯液槽232、供給部233、及びノズル234を有し、散布動作時にミストを散布することができる霧生成部23’を備える点で異なる。
【0083】
貯液槽232は、消臭剤、除菌剤、防ダニ剤などの薬剤を含む液体を貯液する。供給部233は、制御部25により駆動制御され、ノズル234に対して圧縮空気を供給する所謂コンプレッサである。なお、供給部233の圧力を調節することにより液体の噴霧量や粒径を調節するようにしてもよく、減圧弁を用いた圧力の調節を行うようにしてもよい。ノズル234は、貯液槽232及び供給部233のそれぞれとチューブを介して流体的に接続されており、供給部233による圧縮空気の供給に応じて貯液槽232の薬剤を吸い上げ、ミスト化して散布する所謂二流体ノズルである。ここで散布されるミストは、超音波により生成される微粒子より中心粒径が大きい微粒子(例えば中心粒径が12μm前後)の群を含む。二流体ノズルとしては、例えば中心粒径約12μmを実現するアネスト岩田コーティングソリューションズ株式会社製:エコノズル(登録商標)EN-2を用いることができる。
【0084】
以上に説明した本実施形態によれば、超音波により生成される霧と比較して含まれる微粒子の粒径が大きいミストを散布することができるため、布団Fに確実に付着すると共に、布団Fに付与する薬剤の効果をより高めることができる。また、防ダニ剤は、種類によっては超音波による霧化ができない場合があるが、本実施形態によれば、防ダニ剤を含む薬剤をミスト化することができるため、液体散布のように布団Fに散布することが可能となる。
【0085】
なお、本実施形態においてはノズル234が二流体ノズルであると説明したが、供給部233に代わり液体ポンプ等を用いて液圧をかけることにより液体を好ましくはフルコーン状に散布する一流体ノズルを用いるようにしてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態1~3においては、排気ファン22を用いて乾燥空間D内を負圧にして乾燥機1内の空気を流動させると説明したが、これに限定されるものではない。排気ファン22に代わり供給ファンを用い、乾燥空間D内に空気を送り込むことで加圧し、乾燥機内の空気の流動を生じさせてもよい。この場合、ガスヒータ21の上流に供給ファンを設けることにより、ガスヒータ21、連通孔21a、吸気流路202を介して熱風を乾燥空間Dへ供給することができる。一方、逆に可動載置部3から乾燥空間Dへ熱風を供給するように、排気ファン22の位置にガスヒータ21及び供給ファンを設けるようにしてもよい。
【0087】
<第4の実施形態>
第1~3の実施形態では、霧化した薬剤を接続パイプ231と吸気流路202とを介して上方から乾燥空間D内に散布すると説明したが、これに限定されるものではなく、下方から散布するようにしてもよい。本実施形態においては、薬剤を下方から散布する乾燥機について説明する。
【0088】
図18は、本実施形態に係る乾燥機を説明するための図であり、
図19は、本実施形態に係る霧生成部の筐体内部を説明するための図である。
図20は、本実施形態に係る乾燥機の構成を示す背面図である。なお、
図18には、本実施形態に係る乾燥機1’の下方側背面の一部が縦断面で示されている。
図18及び
図19に示すように、本実施形態に係る乾燥機1’は、第3の実施形態に係る乾燥機と比較して、霧生成部23’が排気ファン22前方に設けられておらず、乾燥機1’の下方側背面に設けられている点で異なる。
【0089】
霧生成部23’は、
図18~
図20に示すように、乾燥機1’背面から垂直流路203を貫通して乾燥空間D内へ達する筐体236を備えており、当該筐体236内にノズル234が収納されている。なお、本実施形態においては、筐体236は流路切替部24の左右方向一方側に隣接して設けられる(
図20参照)。ノズル234は、その噴出口234aが上方を向くように設置されており、チューブ235aとチューブ235bとが個別に連結されている。チューブ235aは供給部233に連結されており、圧縮空気をノズル234へ供給する。一方、チューブ235bは貯液槽232に連結されており、液状の薬剤をノズル234へ供給する。なお、本実施形態では貯液槽232と供給部233とを乾燥機1’外に設置したが、乾燥機1’内に設ける、または背面に付設する等してもよい。
【0090】
以上に説明した本実施形態によれば、チューブ235a,235bから供給される圧縮空気を用いて噴出口234aからミスト化した薬剤を上方に向けて散布することができる。上方に向けて散布された薬剤は、乾燥空間D上方にまで達し、流入孔群202aからの熱風の流動(例えば可動載置部3周りを回転する気流)により乾燥空間D全域に拡散され布団F全体に均一に付着することができる。
【0091】
なお、薬剤の均一散布の観点から、筐体236を乾燥機1’の左右方向略中央に設けることが好ましい。しかしながら、本実施形態においては乾燥機1’の背面に流路切替部24があるために筐体236と共にノズル234は当該流路切替部24の横に位置付けられている。このような場合は、ノズル234の角度を、噴出口234aが上方に且つ左右方向略中央に向くように設定してもよい。
【0092】
<第5の実施形態>
第4の実施形態では、乾燥機1’の背面に流路切替部24があるために筐体236を当該流路切替部24の横に位置付けたが、流路切替部24が無い場合は、乾燥機1’の左右方向略中央に設けてもよい。本実施形態においては、流路切替部24が無く、筐体236をその左右方向略中央に設けた乾燥機について説明する。
【0093】
図21は、本実施形態に係る乾燥機を説明するための図であり、
図22は、本実施形態に係る乾燥機の構成を示す背面図である。
図21に示すように、乾燥機1’’は、可動載置部3の台座部32の下面に連通孔323が設けられ、本体部2の底面部26に連通孔262、下方排気流路263、及び開口部264が設けられ、これらを通って可動載置部3の第1空間P1が垂直流路203と連通する点で第4の実施形態に係る乾燥機1’と異なる。このような場合、前後方向において可動載置部3と本体部2の背面内壁部との間に間隙を画成することができる。したがって、
図22に示すように、筐体236を乾燥機の左右方向略中央に位置付けたとしても、
図21に示すように、可動載置部3に接触することなく、確実に薬剤を上方に散布することができる。なお、本実施形態に係る乾燥機1’’は、垂直流路203に流入した熱風が、吸気流路202上方に形成された排気流路201及び連通孔22aを介して外部へ排出される。一方、ガスヒータ21からの熱風が排気流路201を貫通する吸気流路204を介して、排気流路201下方に形成された吸気流路202に流入し、流入孔群202aから乾燥空間D内に流入することとなる。なお、吸気流路204は、
図21においては切断面より左右方向に異なる位置に配設されているため、説明上、一点鎖線により仮想的に示されている。
【0094】
本発明の5つの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1,1’,1’’…乾燥機
20…筐体
21…加熱部(ガスヒータ)
22…排気ファン
23,23’…霧生成部