(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114954
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】病変横断衝撃波カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
A61B17/22
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024106084
(22)【出願日】2024-07-01
(62)【分割の表示】P 2022518253の分割
【原出願日】2020-09-15
(31)【優先権主張番号】62/904,847
(32)【優先日】2019-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515000292
【氏名又は名称】ショックウェーブ メディカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フイ ファン
(72)【発明者】
【氏名】チー ロン
(72)【発明者】
【氏名】ホア グエン
(72)【発明者】
【氏名】トッド ジェンキンス
(57)【要約】
【課題】好適な病変横断衝撃波カテーテルを提供する。
【解決手段】本発明は血管内の閉塞を治療するカテーテルを提供する。カテーテルは、カテーテルの遠位端(200)に可撓性血管形成バルーン(280)の内側に位置付けられる少なくとも1つの電極対(222、243)を含む。いくつかの設計では、電極対は、薄型または同一平面上構成において配置され、デバイスの遠位端の直径を縮小し、きつく横断しにくい閉塞の治療を可能にする。可撓性血管形成バルーン(280)は、極端な薄型を有し、心血管系の中へのカテーテルの挿入の前に折り畳まれる必要がない。治療中、バルーンは、閉塞を治療するため電極を横断して衝撃波を発生させる前に、伝導性流体中に電極対を浸漬させるのに十分な比較的少量だけ拡張され得る。バルーンは、これが治療に続いて収縮させられるとき、これが、その元の薄型構成に戻るようにエラストマ特性を有する材料から作製され得る。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2019年9月24日に出願され、「LESION CROSSING CATHETER WITH LOW PROFILE SHOCK WAVE GENERATOR」と題された米国仮特許出願第62/904,847号の優先権を主張する。
(開示の分野)
【0002】
本開示は、概して、石灰化病変を横断するために使用され得るカテーテルデバイスに関する。カテーテルは、狭い血管構造を通した前進を可能にするために、非常に薄型で構成される遠位衝撃波発生器を含む。
【背景技術】
【0003】
多種多様なカテーテルが、動脈疾患を治療するために開発されている。例えば、経皮的冠動脈形成術または末梢血管形成術のための治療システムは、病変(例えば、石灰化病変)を広げ、動脈内の正常な血流を回復させるために、血管形成バルーンを使用する。これらのタイプの手技では、バルーンを運ぶカテーテルが、バルーンが石灰化プラークと整列させられるまで、ガイドワイヤに沿って脈管の中に前進させられる。バルーンは、次いで、加圧され、石灰化プラークを減らし、または破壊し、それらを血管壁に押し戻す。バルーンは、平滑な壁を有するか、または、血管内の病変を物理的に掻爬する構造を具備することができる。粥腫切除デバイスとして公知の他のカテーテルは、病変を穿孔して除くための回転部材を有する。
【0004】
より最近では、血管形成バルーンの内側に位置付けられた1つ以上の電極対を含むカテーテルが、開発されている。これらのデバイスでは、カテーテルは、それが病変の近位に来るまで、患者の脈管内でガイドワイヤの上を前進させられる。バルーンは、病変に接触するように伝導性流体を用いて膨張させられ、次いで、衝撃波発生器が、音響波を病変の中に方向づける衝撃波を生成するように発射される。衝撃波デバイスは、音響波が、周辺脈管に害を及ぼすことなく病変を砕くことができるので、石灰化病変を治療するために特に効果的である。病変が、砕かれると、バルーンは、改良された血流管腔を作成するために、血管内でさらに拡張されることができる。
【0005】
衝撃波発生器は、典型的に、高電圧パルスの印加によって励起される電極対である。電極対のサイズを縮小し、よりきつく横断しにくい石灰化病変へのアクセスを可能にする試みが、行われている。そのような薄型設計の例が、米国特許第8,747,416号(特許文献1)および第10,555,744号および米国公開第2019/0150960号(その全ては、参照することによって本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。
【0006】
上で議論される薄型設計は、冠動脈および末梢血管用途の両方において展開されているが、それらの設計でさえ、脈管内の部分的または完全閉塞を横断するのに困難を有する。その問題に対処するための1つのアプローチは、遠位先端において衝撃波発生器を有するガイドワイヤを使用することである。その場合、カテーテルの近位および遠位シャフト部分は、閉塞の中へのガイドワイヤの前進を支援するために強化される。1つ以上の衝撃波が、妨害物を部分的に開放するために発生させられる。ガイドワイヤは、次いで、閉塞の中にさらに前進させられることができ、そこで、追加の衝撃波が、発生させられる。このシーケンスは、閉塞を通してガイドワイヤを移動させ、バルーンカテーテルがここで挿入されることができる十分に大きいチャネルを提供するために継続されることができる。そのような衝撃波ガイドワイヤ設計の例が、米国特許第9,730,715号(特許文献2)(参照することによって本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。
【0007】
ガイドワイヤの先端上に衝撃波電極を設置することは、極端な薄型構造につながることができるが、そのようなアプローチは、膨張可能バルーンを含む薄型設計と比較して、いくつかの不利点を有する。例えば、ガイドワイヤは、必然的に、軟質先端を有し、それは、妨害物を通して容易に押されることができない。加えて、ガイドワイヤ設計は、単極であり、ガイドワイヤの先端における1つの電極および患者の身体に貼り付けられるパッドによって画定される第2の電極を伴う。これは、患者が電気回路の一部であることを意味する。加えて、ガイドワイヤ設計は、先端においてバルーンを有していない。バルーンは、それが衝撃波作成の間に発生させられるプラズマとの直接接触から組織を防護し得る点において有利である。バルーンは、伝導性流体が衝撃波発生中に電極を包囲することも確実にする。
【0008】
故に、血管形成バルーンを組み込み、バルーンの内側に衝撃波を発生させるための二極電気回路を含む以前のアプローチより薄型を伴うカテーテル設計を提供する必要性が、存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第8,747,416号明細書
【特許文献2】米国特許第9,730,715号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、カテーテルの遠位端における可撓性血管形成バルーンの内側に少なくとも1つの電極対を有する血管内の閉塞を治療するためのカテーテルにおいて実現される。いくつかの設計では、電極は、同一平面上であり、デバイスの直径を縮小する。加えて、心血管系の中への挿入の前に折り畳まれる必要がない、薄型バルーンが、使用される。そのようなバルーンは、閉塞を治療するために電極において衝撃波を発生させる前に、伝導性流体中に電極を浸漬させるために十分な比較的に少量だけ拡張されることができる。バルーンは、これが、治療に続いて収縮させられるとき、これが、その元の薄型構成に戻るように、エラストマ特性を有する材料から作製されることができる。
【0011】
本発明は、血管内の閉塞を治療するためのカテーテルを提供する。血管内の閉塞を治療するための例示的カテーテルは、ガイドワイヤを受け取るための第1の管腔および第1のワイヤを運ぶための第2の管腔を画定する管状ガイドワイヤシースと、カテーテルの遠位端の近傍に位置している衝撃波発生器であって、該衝撃波発生器は、少なくとも1つの電極対を含み、各対の電極は、間隔を置かれ、少なくとも1つの間隙を画定する、衝撃波発生器と、第2の管腔内で延びている第1のワイヤであって、第1のワイヤの近位端は、パルス電圧源に接続可能であり、第1のワイヤの遠位端は、少なくとも1つの電極対に接続されている、第1のワイヤと、ガイドワイヤシースの全周に巻きつけられる、強化シースであって、高電圧パルスが強化ワイヤシースおよび第1のワイヤを横断して印加されると、電流が、少なくとも1つの間隙を横断して流動し、閉塞を治療するための衝撃波を作成するように、強化シースの近位端は、パルス電圧源に接続可能であり、強化ワイヤシースの遠位端は、少なくとも1つの電極対に接続される、強化シースと、カテーテルの遠位端にシール可能に取り付けられ、少なくとも1つの電極対を包囲する、キャップであって、該キャップは、伝導性流体で充填可能である、キャップとを備えている。キャップは、可撓性であり得、拡張され、それによって、キャップの内壁と少なくとも1つの電極対との間に空間を提供することができる。
【0012】
血管内の閉塞を治療するための第2の例示的カテーテルは、複数の管腔を画定する管状ガイドワイヤシースであって、複数の管腔は、ガイドワイヤを運ぶための第1の管腔を備えている、管状ガイドワイヤシースと、カテーテルの遠位端の近傍に位置している衝撃波発生器であって、該衝撃波発生器は、少なくとも1つの遠位電極対を含み、各対の電極は、間隔を置かれ、少なくとも1つの間隙を画定する、衝撃波発生器と、第1のワイヤおよび第2のワイヤであって、高電圧パルスが第1のワイヤおよび第2のワイヤを横断して印加されると、電流が、少なくとも1つの間隙を横断して流動し、閉塞を治療するための衝撃波を作成するように、第1のワイヤおよび第2のワイヤの近位端は、パルス電圧源に接続可能であり、第1のワイヤおよび第2のワイヤの遠位端は、少なくとも1つの遠位電極対に接続される第1のワイヤおよび第2のワイヤと、カテーテルの遠位端にシール可能に取り付けられ、少なくとも1つの電極対を包囲する、可撓性キャップであって、該可撓性キャップは、キャップが、キャップの内壁と少なくとも1つの電極対との間に空間を提供するように拡張するように、伝導性流体を用いて膨張可能である、可撓性キャップとを備えている。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
血管内の閉塞を治療するためのカテーテルであって、前記カテーテルは、
ガイドワイヤを受け取るための第1の管腔および第1のワイヤを運ぶための第2の管腔を画定する管状ガイドワイヤシースと、
前記カテーテルの遠位端の近傍に位置している衝撃波発生器であって、前記衝撃波発生器は、少なくとも1つの電極対を含み、各対の電極は、間隔を置かれ、少なくとも1つの間隙を画定する、衝撃波発生器と、
前記第2の管腔内で延びている第1のワイヤであって、前記第1のワイヤの近位端は、パルス電圧源に接続可能であり、前記第1のワイヤの遠位端は、前記少なくとも1つの電極対に接続されている、第1のワイヤと、
前記ガイドワイヤシースの全周に巻きつけられた強化ワイヤシースであって、前記強化ワイヤシースの近位端は、前記パルス電圧源に接続可能であり、前記強化ワイヤシースの遠位端は、前記少なくとも1つの電極対に接続され、それによって、高電圧パルスが前記強化ワイヤシースおよび前記第1のワイヤを横断して印加されると、電流が、前記少なくとも1つの間隙を横断して流動し、閉塞を治療するための衝撃波を作成する、強化ワイヤシースと、
前記カテーテルの遠位端にシール可能に取り付けられたキャップと
を備え、
前記キャップは、前記少なくとも1つの電極対を包囲し、前記キャップは、伝導性流体で充填可能である、カテーテル。
(項目2)
前記キャップは、可撓性であり、前記伝導性流体を用いた膨張によって拡張されることができ、前記可撓性キャップの最大膨張直径は、前記可撓性キャップの収縮直径より15%以下だけ大きい、項目1に記載のカテーテル。
(項目3)
前記可撓性キャップは、膨張させられた後、前記キャップが収縮させられたときに薄型構成に戻るように、エラストマ特性を有する材料から作製される、項目1に記載のカテーテル。
(項目4)
前記少なくとも1つの電極対は、第1の電極対を備え、前記第1の電極対は、
前記第1のワイヤの絶縁体除去部分と、
前記ガイドワイヤシースの全周に巻きつけられた伝導性シースにおける切り抜きと
を備えている、項目1に記載のカテーテル。
(項目5)
前記切り抜きは、前記伝導性シースにおける孔によって画定される、項目4に記載のカテーテル。
(項目6)
前記管状ガイドワイヤシースは、前記ガイドワイヤシースの外面と前記第2の管腔との間に延びている開口を備え、前記開口は、高電圧パルスが前記強化ワイヤシースおよび前記第1のワイヤを横断して印加されると、電流が前記開口を通して流動するように、前記第1のワイヤの絶縁体除去部分の上に位置付けられている、項目4に記載のカテーテル。(項目7)
前記少なくとも1つの電極対は、第2の電極対を備え、前記第2の電極対は、
前記伝導性シースの縁と、
前記伝導性シースと同一平面上の伝導性エミッタ部分と
を備え、
前記エミッタ部分は、前記強化ワイヤシースに電気的に結合されている、項目4に記載のカテーテル。
(項目8)
前記伝導性シースの縁は、溝を備え、前記エミッタ部分は、前記溝の中に延びている同一平面上舌部を備え、それによって、前記舌部と溝とは、前記エミッタ部分と第2の側縁との間にU形間隙を画定する、項目7に記載のカテーテル。
(項目9)
前記第1の電極対および前記第2の電極対は、前記伝導性シースの周りで円周方向に約180度離れて位置している、項目7に記載のカテーテル。
(項目10)
前記管状ガイドワイヤシースは、前記カテーテルの近位端とバルーンとの間で伝導性流体を運ぶための1つ以上の流体管腔をさらに画定する、項目1に記載のカテーテル。
(項目11)
前記管状ガイドワイヤシースは、バルーンの中に伝導性流体を流動させるための流体入口と、前記バルーンから外に伝導性流体を流動させるための流体出口とを備え、前記少なくとも1つの電極対は、前記バルーンを通して流動させられた伝導性流体が前記少なくとも1つの電極対を横断して流動するように、前記流体入口と前記流体出口との間に位置付けられている、項目1に記載のカテーテル。
(項目12)
前記強化ワイヤシースは、ポリマー内にカプセル化された少なくとも1本の編組またはコイル状金属ワイヤを備えている、項目1に記載のカテーテル。
(項目13)
前記金属ワイヤは、前記強化ワイヤシースの外形を縮小するために平坦化されている、項目12に記載のカテーテル。
(項目14)
前記金属ワイヤは、銅およびステンレス鋼のうちの少なくとも1つを備えている、項目12に記載のカテーテル。
(項目15)
前記ガイドワイヤシースは、前記カテーテルの前記遠位端に向かって細くなる軟質先端を備えている、項目1に記載のカテーテル。
(項目16)
血管内の閉塞を治療するためのカテーテルであって、前記カテーテルは、
複数の管腔を画定する管状ガイドワイヤシースであって、前記複数の管腔は、ガイドワイヤを運ぶための第1の管腔を備えている、管状ガイドワイヤシースと、
前記カテーテルの遠位端の近傍に位置している衝撃波発生器であって、前記衝撃波発生器は、少なくとも1つの遠位電極対を含み、各対の電極は、間隔を置かれ、少なくとも1つの間隙を画定する、衝撃波発生器と、
第1のワイヤおよび第2のワイヤであって、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤの近位端は、パルス電圧源に接続可能であり、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤの遠位端は、前記少なくとも1つの遠位電極対に接続され、それによって、高電圧パルスが前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤを横断して印加されると、電流が、前記少なくとも1つの間隙を横断して流動し、閉塞を治療するための衝撃波を作成する、第1のワイヤおよび第2のワイヤと、
前記カテーテルの遠位端にシール可能に取り付けられた可撓性キャップと
を備え、
前記可撓性キャップは、前記少なくとも1つの電極対を包囲し、前記可撓性キャップは、伝導性流体を用いて膨張可能であり、それによって、前記キャップは、拡張し、前記キャップの内壁と前記少なくとも1つの電極対との間に空間を提供する、カテーテル。
(項目17)
前記可撓性キャップが膨張状態にあるとき、前記可撓性キャップの直径は、収縮状態における前記可撓性キャップの直径より10~15%大きい、項目16に記載のカテーテル。
(項目18)
前記可撓性キャップは、血管形成バルーンを備え、前記バルーンが収縮状態にあるとき、前記バルーンの表面積が十分に小さいので、前記カテーテルが血管の中に前進させられているとき、前記バルーンは、折り畳まれない、項目16に記載のカテーテル。
(項目19)
前記可撓性キャップは、押し出しポリマー管を備えている、項目16に記載のカテーテル。
(項目20)
前記可撓性キャップは、収縮させられた後、収縮させられたときに薄型構成に戻るように、エラストマ特性を有する材料から作製される、項目16に記載のカテーテル。
(項目21)
前記少なくとも1つの遠位電極対は、第1の電極対と第2の電極対とを備え、前記第1の電極対は、
前記第1のワイヤの伝導性部分と、
前記ガイドワイヤシースの全周に巻きつけられた伝導性シースと
を備え、
前記第2の電極対は、
前記伝導性シースと、
前記第2のワイヤの伝導性部分と
を備えている、項目16に記載のカテーテル。
(項目22)
前記管状ガイドワイヤシースの1つ以上の管腔内に延びている第3のワイヤおよび第4のワイヤをさらに備え、前記第3のワイヤおよび第4のワイヤの近位端は、前記パルス電圧源に接続可能であり、前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤの遠位端は、少なくとも1つの近位電極対に接続されている、項目16に記載のカテーテル。
(項目23)
前記少なくとも1つの近位電極対は、第3の電極対と第4の電極対とを備え、前記第3の電極対は、
前記第3のワイヤの絶縁体除去部分と、
前記ガイドワイヤシースの全周に巻きつけられたさらなる伝導性シースと
を備え、
前記第4の電極対は、
前記さらなる伝導性シースと、
前記第4のワイヤの絶縁体除去部分と
を備えている、項目22に記載のカテーテル。
(項目24)
前記パルス電圧源は、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤまたは前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤのいずれかを横断して高電圧パルスを印加し、前記少なくとも1つの遠位電極対または前記少なくとも1つの近位電極対のいずれかにおいて衝撃波を作成するように制御可能である、項目22に記載のカテーテル。
(項目25)
前記管状ガイドワイヤシースは、前記カテーテルの近位端とバルーンとの間で伝導性流体を運ぶための1つ以上の流体管腔を画定する、項目16に記載のカテーテル。
(項目26)
前記管状ガイドワイヤシースの少なくとも一部は、前記ガイドワイヤシースの外面から突出している間隔特徴を備え、前記間隔特徴は、前記バルーンの内壁を前記ガイドワイヤシースの外面から制御された距離だけ離して維持するように構成されている、項目16に記載のカテーテル。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】
図1Aは、本主題の発明の一実施形態による、血管内の閉塞を治療するために使用される衝撃波血管形成カテーテルの図示である。
【0014】
【
図1B】
図1Bは、本主題の発明のいくつかの実施形態による、収縮状態における薄型非折り畳み式バルーンを有するカテーテルの遠位端の図示である。
【0015】
【
図1C】
図1Cは、膨張状態における薄型非折り畳み式バルーンを示す
図1Bのカテーテルの遠位端の図示である。
【0016】
【
図1D】
図1Dは、冠動脈完全閉塞(CTO)を治療するために使用される本主題の発明のカテーテルの図示である。
【0017】
【
図1E】
図1Eは、部分的閉塞によって非常に狭められた血管内で使用される本主題の発明のカテーテルの図示である。
【0018】
【
図2A】
図2Aは、本主題の発明の一実施形態による、カテーテルの遠位区分の分解斜視図である。
【0019】
【
図2B】
図2Bは、第1の電極対と、電極対を覆う非折り畳み式バルーンとを含む
図2Aのカテーテルの遠位端の側面図図示である。
【0020】
【
図2C】
図2Cは、第2の電極対を示すために180度回転させられた
図2Bの実施形態の図示である。
【0021】
【0022】
【
図2E】
図2Eは、カテーテルのより近位の領域において得られる
図2B-2Cの実施形態の断面図である。
【0023】
【0024】
【
図2G】
図2Gは、カテーテルを通した電流流動を示す
図2Aのカテーテルの縦方向切断図である。
【0025】
【
図3A】
図3Aは、本主題の発明の別の実施形態による、カテーテルの遠位区分の斜視図である。
【0026】
【
図3B】
図3Bは、第1の遠位電極対と、第1の近位電極対と、電極対を覆う非折り畳み式バルーンとを含む
図3Aのカテーテルの遠位端の側面図図示である。
【0027】
【
図3C】
図3Cは、第2の遠位電極対および第2の近位電極対を示すために180度回転させられた
図3Bの実施形態の図示である。
【0028】
【
図3D】
図3Dは、伝導性流体のための流体経路を示す
図3Aのカテーテルの遠位端の縦方向断面である。
【0029】
【
図3E】
図3Eは、カテーテルのより近位の領域において得られる
図3B-3Cの実施形態の断面図である。
【0030】
【0031】
【
図3G】
図3Gは、近位エミッタにおいて衝撃波を発生させるために使用される
図3Aのカテーテルの断面図を提供する。
【0032】
【
図3H】
図3Hは、遠位エミッタにおいて衝撃波を発生させるために使用される
図3Gのカテーテルの垂直断面図を提供する。
【0033】
【
図4A】
図4Aは、本主題の発明のいくつかの実施形態による、リング電極構成の上面図を図示する。
【0034】
【0035】
【
図5A】
図5Aは、本主題の発明のいくつかの実施形態による、舌部および溝電極構成の上面図を図示する。
【0036】
【0037】
【
図5C】
図5Cは、本主題の発明のいくつかの実施形態による、2つの電極対を生成するように配置された代替舌部および溝電極構成の分解図を図示する。
【0038】
【
図6A】
図6Aは、本主題の発明のいくつかの実施形態による、螺旋電極構成を図示する。
【0039】
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の説明は、当業者が本明細書に開示される種々の実施形態を作製および使用することを可能にするために提示される。具体的デバイス、技法、および用途の説明は、例としてのみ提供される。本明細書に説明される例の種々の修正が、当業者に容易に明白となり、本明細書に定義される一般的原理は、種々の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、他の例および用途に適用され得る。したがって、種々の実施形態は、本明細書に説明され、示される例に限定されることを意図しておらず、請求項と一貫する範囲を与えられるものである。
【0041】
本明細書の譲受人は、血管形成術および/または弁形成術手技における使用のために好適であり得るいくつかの薄型衝撃波電極を開発した。例えば、米国公開第2019/0150960号において、譲受人は、外側電極が、伝導性シースによって形成され、内側電極が、絶縁ワイヤの導電性部分を露出させるように絶縁ワイヤの一部を除去する(例えば、ワイヤの端部の近傍の絶縁層において孔を切断する)ことによって形成される、薄型電極アセンブリを開示している。内側電極は、所与の電流および電圧に関して再現可能なアークを可能にするために、伝導性シースの側縁から制御された距離だけ離れて設置される。
【0042】
より最近では、譲受人は、衝撃波カテーテルにおける使用のためのいくつかの同一平面上電極アセンブリを開発した。これらの設計は、例えば、電極アセンブリの全体的厚さを限定するために、同じ側方平面上にそれぞれの電極を伴う、螺旋構造および舌部および溝設計を有する電極対の新規の構成を提供する。これらのアセンブリは、特に、きつく通過しにくい病変または完全に閉塞された脈管内に衝撃波を発生させるために有利である。例えば、米国特許第9,993,292号および米国公開第2018/0098779号(参照することによって本明細書に組み込まれる)において、譲受人は、管状構造の全周に位置付けられる種々の間隙において衝撃波を発生させるために、螺旋状に巻着されたワイヤから電極対を形成することを開示している。米国特許第10,555,744号(同様に参照することによって本明細書に組み込まれる)において、譲受人は、電極対が、伝導性シースにおける溝形切り抜きおよび溝形切り抜きの中に延びている同一平面上舌形突出部から形成される、舌部および溝電極アセンブリを開示している。
【0043】
本明細書に説明されるものは、よりきつく横断しにくい石灰性病変および冠動脈完全閉塞における血管内砕石(IVL)治療を可能にする、薄型設計要素を組み込むカテーテルである。本発明は、これが、閉塞に衝撃波を送達するために、患者の脈管の中に進入される、カテーテル上の砕石エミッタ(例えば、電極対)のアレイを備え得る点において、既存のIVLシステムに類似する。しかしながら、本発明は、加えて、折り畳むことなく患者の脈管内に位置付けられ得るカテーテルの遠位端に取り付けられる、薄型血管形成バルーンを含む。収縮させられるとき、バルーンの表面積が十分に小さいので、バルーンは、血管を通してカテーテルを前進させる間に折り畳まれる必要がない。非折り畳み式バルーンの薄型は、有利なこととして、カテーテルが、部分的または完全に閉塞されているもの等の脈管のさらによりきつい領域の中に前進することを可能にする。バルーンが、位置付けられると、薄型バルーンのエラストマ材料性質は、バルーンの外形を増加させるために、すなわち、閉塞に接触し、伝導性流体が電極を浸漬させるためのバルーン内の空間を提供するために、バルーンが伝導性流体を用いて膨張することを可能にする。
【0044】
いくつかの実施形態において、本明細書に説明されるカテーテルは、カテーテルの遠位端の直径をさらに縮小する、同一平面上電極等の追加の薄型要素を含む。加えて、または代替として、カテーテルは、カテーテルシャフトの全周に巻きつけられた強化ワイヤシースを用いて電極への電気接続を提供し得る。強化ワイヤシースは、患者の脈管内でデバイスをより容易に操縦するために、改良された耐キンク性、トルク性、および押込性をカテーテルに提供する。強化ワイヤシースに統合される少なくとも1つの電気接続を含むことはまた、カテーテル内の別の場所に担持されなければならないワイヤまたは他の導体の数を減少させることによって、デバイスの薄型側面を改良する。
【0045】
図1Aは、本主題の発明のある実施形態による、血管内の閉塞を治療するための例示的カテーテル10を図示する。カテーテル10は、ガイドワイヤシース内に担持されるガイドワイヤ20をわたって、
図1Aに描写される狭窄病変等の患者の脈管内の閉塞の中に前進させられる。カテーテル10の遠位端14は、石灰化病変を粉砕するために、複数のエミッタ(例えば、電極対)において衝撃波を生成する、衝撃波発生器16を含む。本明細書に使用されるように、複数のエミッタは、間隙によって分離される第1および第2の電極を有する電極対を含み、それにおいて、電流が対の電極間の間隙を横断して流動するとき(すなわち、電圧が、第1および第2の電極を横断して印加されるとき)、衝撃波が、形成される。電極対は、カテーテル10の遠位端14の直径を縮小し、きつく横断しにくい病変の治療を可能にする、薄型構成において配置される。いくつかの実施形態において、衝撃波発生器16は、1つ以上の同一平面上電極対を含む、またはカテーテル10の中に少なくとも部分的に後退させられる、1つ以上の電極を含む。
【0046】
可撓性キャップ18(例えば、薄型可撓性血管形成バルーン)が、カテーテル10の遠位端14にシール可能に取り付けられ、カテーテルのシャフト12の周囲に環状チャネルを形成する。可撓性キャップ18は、衝撃波が、キャップの壁によって画定される閉鎖系において生成されるように、衝撃波発生器16を包囲する。キャップ18は、生理食塩水等の伝導性流体で充填される。伝導性流体は、音響衝撃波が、衝撃波発生器16の電極対から、キャップ18の壁を通して、次いで、標的病変の中に伝搬することを可能にする。いくつかの実施形態において、伝導性流体はまた、使用中にカテーテル10の蛍光透視視認を可能にするためのX線造影剤を含み得る。いくつかの実施形態において、キャップは、剛体であり、可撓性ではない。
【0047】
図1B-1Cは、衝撃波発生器16にわたって可撓性キャップ18を形成する例示的非折り畳み式血管形成バルーンを含む
図1Aのカテーテル10の遠位端14のより詳細な図を提供する。バルーン18は、十分に小さい直径および表面積を有するそで、それは、患者の脈管を通して前進させられるとき、従来の血管形成バルーンのように折り畳まれる必要はない。バルーン18の極端な薄型は、カテーテルの遠位端14が、脈管のきつく閉塞された領域にアクセスすることを可能にする。いくつかの例では、バルーン18の領域内のカテーテルの遠位端14の直径は、1ミリメートルまたはそれ未満である。その薄型形状を維持するために、バルーン18は、好ましくは、バルーンが、閉塞の治療中に膨張させられ得、次いで、治療後に収縮させられるとき、薄型状態に戻るように、エラストマ特性を有する材料から形成される。いくつかの例では、可撓性キャップ18は、ポリマー管が、血管形成バルーンと同様に膨張および収縮させられ得るように、半応従性材料性質を有する押し出しポリマー管である。本明細書に使用されるように、可撓性キャップおよびバルーンは、電極対を包囲し、治療中に伝導性流体を用いて膨張させられる可撓性環状構造を説明するために、同義的に使用される。
【0048】
図1Bは、例えば、血管内のバルーンの進入、前進、および位置付けの間の収縮状態における例示的可撓性バルーン18を示す。バルーン18が、収縮状態にあるとき、バルーンの表面積が十分に小さいので、カテーテル10が、血管を通して前進させられるとき、バルーンは、折り畳まれない。バルーン18が、ガイドカテーテルまたはある他の外側シース(例えば、カテーテル10の管状外側ジャケット)の内側で患者の血管を通して操縦される場合、収縮させられたバルーンの表面積が十分に小さいので、バルーンは、ガイドカテーテルまたは外側ジャケットの内側で折り畳まれない。そのような例では、バルーンの直径は、ガイドカテーテルまたは外側ジャケットの直径より小さい。
【0049】
バルーン18が、患者の脈管内に位置付けられると、追加の伝導性流体が、バルーンを膨張させ、バルーンの外面を病変に優しく固定するために、バルーンの中に流動させられることができる。
図1Cは、膨張状態における同じバルーン18を示す。バルーン18は、バルーンが、約1気圧~約6気圧の膨張圧力を受け入れ得るように、エラストマ特性を有する材料から形成される。バルーン18は、治療中に伝導性流体を用いて膨張させられるとき、わずかにのみ拡張するように構成されている。例えば、バルーン18の最大膨張直径は、バルーンの元の直径(すなわち、収縮状態におけるバルーンの直径)より10%~15%以下だけ大きくあり得る。収縮状態におけるバルーンの最大直径は、バルーン18の材料デュロメータ硬さ、その壁厚、および/またはバルーンの内側の膨張圧力によって決定されることができる。バルーンが、伝導性流体を用いて膨張させられるとき、バルーン18は、バルーンの内面と電極対16との間に空間を提供するように拡張する。いくつかの例では、ガイドワイヤシースの外径は、約0.028インチであり、膨張させられたバルーン18の内径は、約0.039インチであり、ガイドワイヤシースとバルーンの内面との間に約0.011インチの空間を提供する。空間は、電極対16が、衝撃波発生中に伝導性流体中に浸漬され、バルーン18の内面が、電極対から十分に遠く、バルーン材料が、衝撃波によって損傷を受けないことを確実にする。いくつかの実施形態において、膨張させられたバルーン18の直径は、1ミリメートルまたはそれ未満である。随意に、バルーン18の外面は、バルーンと標的病変との間の接触を促進するために、親水性コーティングを含む。
【0050】
病変が、治療された後、バルーン18は、その元の薄型収縮構成まで収縮させられることができる。バルーン18が、膨張させられた後に収縮状態に戻るとき、バルーンは、患者の脈管からカテーテル10を除去するとき、バルーンが折り畳まれないように、その元の薄型構成(すなわち、小さい表面積および直径を有する構成)に戻るべきである。
【0051】
図1Aに再び目を向けると、例示的カテーテル10はまた、治療中に患者の脈管の外側に留まる、近位端またはハンドル22を含む。近位端22は、ガイドワイヤ20を受け取るための進入ポートを含む。近位端22はまた、治療中に可撓性キャップ18を膨張および収縮させるための伝導性流体を受け取るための流体ポート26を含む。電気接続ポート24もまた、遠位衝撃波発生器16と
図1Aに示される血管内砕石(IVL)発生器等の外部パルス高電圧源28との間の電気接続を提供するために、近位端22上に位置する。
【0052】
カテーテル10はまた、近位ハンドル22からカテーテルの遠位端14まで延びている、可撓性シャフト12を含む。シャフト12は、遠位端14の要素をカテーテルのハンドル22と接続する、種々の内部導管を提供する(例えば、例示的シャフトの領域の断面に関して
図2E-2Fおよび
図3E-3F参照)。シャフト12は、ガイドワイヤ20を受け取るための管腔を含むガイドワイヤシースを含む。ガイドワイヤシースはまた、シャフト12を通して縦方向に延びている、いくつかのさらなる管腔を画定する。例えば、1つ以上のワイヤ管腔が、パルス電圧源28を遠位衝撃波発生器16の電極と電気的に接続する伝導性ワイヤを運ぶために含まれることができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の流体管腔(例えば、流体入口管腔および流体出口管腔)が、流体ポート26からキャップ18の中に伝導性流体を運ぶために、ガイドワイヤシース内に提供される。随意に、可撓性シャフト12は、ガイドワイヤシースの全周に巻きつけられた強化ワイヤシースを含む。強化ワイヤシースは、患者の血管を通したカテーテル10のトルク付与、押動、および操縦を促進するために、機械的支持を可撓性シャフト12に提供する。いくつかの実施形態において、強化ワイヤシースはまた、強化ワイヤシースが、衝撃波発生器16の遠位電極対のうちの1つ以上のものをパルス電圧源28と(すなわち、伝導性ワイヤのうちの1つ以上のものに代わって)接続するために使用され得るように、電流を運ぶために構成されている。いくつかの実施形態において、管状外側ジャケットが、ガイドワイヤシースおよび強化ワイヤシースを被覆し、カテーテル10の能動要素と原位置環境との間の障壁を提供する。
【0053】
図1Aに示されるように、カテーテル10は、脈管内の閉塞、例えば、狭窄病変、動脈の石灰化部分、または血管内のある他の閉塞を治療するために使用されることができる。動作時、医師は、ガイドワイヤ20を患者上の進入部位(例えば、脚の鼠径部エリアにおける動脈)から血管の標的領域(例えば、粉砕される必要がある閉塞を有する領域)まで前進させる。カテーテル10は、次いで、ガイドワイヤ20にわたって血管の標的領域まで前進させられる。いくつかの例では、遠位端14にシールされる可撓性キャップ18は、デバイスが、脈管を通して前進させられている間、バルーンが、折り畳まれる必要がないように、収縮させられるときに薄型を有する非折り畳み式バルーンである。治療の位置付け段階中、ガイドカテーテルまたは外側ジャケットが、脈管内のカテーテル10の進入および操縦を補助するために使用され得る。外側ジャケットは、管状線形支持をカテーテルシャフト12に提供し、カテーテル10の押動、横断、および設置の間に可撓性キャップ18の収縮状態を保持する。カテーテル10の遠位端14の原位置の場所は、X線撮像および/または蛍光透視によって決定され得る。
【0054】
カテーテル10の遠位端14は、きつい病変の内側に可能な限り前進させられる。可撓性キャップ18は、次いで、流体ポート26を介して導入される伝導性流体(例えば、生理食塩水および/または画像造影剤と混合された生理食塩水)によって膨張させられ、キャップの外面が標的病変に接触するように、伝導性流体がキャップを拡張させることを可能にする。キャップは、約1気圧~約6気圧である、IVL圧力まで膨張させられる。膨張状態における可撓性キャップの直径は、収縮状態における可撓性キャップの直径を約10~15%上回り得る。しかしながら、いくつかの例では、膨張状態におけるキャップの直径は、収縮状態におけるキャップの直径を10%未満だけ上回る。電圧パルスが、次いで、パルス高電圧源28によって、1つ以上の電極対(すなわち、衝撃波発生器16のエミッタ)を横断して印加される。各パルスは、最初に、可撓性キャップ18内の伝導性流体をイオン化し、電極を絶縁する、小さいガス気泡を衝撃波発生器16の周囲に作成する。流体が、電極から気泡および破片を一掃するために、一定の率において治療中にキャップ18を通して連続的に流動させられることができる。流体流率は、治療全体を通して制御され得るが、概して、約1ml/分~約3ml/分の範囲内である。ある時点で、プラズマアークが、電極対を横断して形成され、電流が自由に流動する低インピーダンス経路を作成する。プラズマアークからの熱は、伝導性流体を加熱し、急速に拡張する蒸気気泡を作成する。蒸気気泡の拡張は、流体を通して、可撓性キャップ18の壁を通して、閉塞の中に伝導される衝撃波を作成し、そこで、エネルギーは、硬化した病変を粉砕する。
【0055】
血管内の閉塞の治療に関して、電圧パルス発生器28によって印加される電圧パルスは、典型的に、約2,000ボルト~約3,000ボルト、好ましくは、2,300~3,000ボルトの範囲内である。印加される電圧パルスのパルス幅は、2マイクロ秒~6マイクロ秒に及ぶ。印加される電圧パルスの繰り返し率または周波数は、約1Hz~約10Hzであり得る。しかしながら、好ましい電圧および繰り返し率は、例えば、病変のサイズ、石灰化の程度、血管のサイズ、患者の属性、または治療の段階に応じて変動し得る。例えば、医師は、低エネルギーの衝撃波から開始し、手技の間に必要に応じてエネルギーを増加させ得る。衝撃波の大きさは、パルス電圧源28からのパルス電圧の電圧、電流、持続時間、および繰り返し率を制御することによって制御されることができる。衝撃波発生の物理学およびそれらの制御についてのさらなる情報が、米国特許第8,956,371号、第8,728,091号、第9,522,012号、および第10,226,265号(それらの各々は、参照することによって組み込まれる)に見出されることができる。
【0056】
IVL治療中、衝撃波の1つ以上のサイクルが、より応従性の血管を作成するために印加されることができる。例えば、狭窄が、衝撃波の第1のサイクルによって十分に軟化されると、可撓性キャップ18は、収縮させられることができ、カテーテル10の遠位端14は、閉塞の中にさらに前進させられることができる。可撓性キャップ18は、次いで、再膨張させられ、衝撃波の別のサイクルが、印加されることができる。キャップ18のさらなる前進は、連続するサイクルの完了後に試行されることができる。
【0057】
電極対の設置および間隔は、より効果的な衝撃波治療を提供するために制御されることができる。例えば、衝撃波発生器16の電極対は、カテーテルの周囲により均一に衝撃波を発生させるために、一貫した増分において、例えば、180度離れて、または90度離れて、カテーテル10の遠位端14の全周に間隔を置かれ得る。いくつかの実施形態において、衝撃波発生器16は、可撓性キャップ18内でカテーテル10に沿って縦方向に間隔を置かれる種々の群化において位置付けられる電極対を含む。例えば、衝撃波発生器16は、少なくとも1つの遠位電極対と、少なくとも1つの近位電極対とを含み得る。そのような例では、パルス電圧源28は、例えば、それぞれの対につながるワイヤまたは他の導体の異なるセットを横断して電圧パルスを印加することによって、近位または遠位電極対のいずれにおいて高電圧パルスを選択的に発生させるように制御されることができる。治療の第1の段階では(すなわち、きつい、または完全に閉塞する病変の初期治療中)、遠位電極対のみが、衝撃波を発生させるようにアクティブにされる。きつい病変が、修正され、キャップ18のより近位の部分が、病変を横断することが可能になった後、キャップは、再び膨張させられ、より近位の電極対が、より近位の衝撃波を発生させるようにアクティブにされる。
【0058】
手技の進行は、X線および/または蛍光透視によって監視され得る。衝撃波サイクルは、閉塞が一掃されるまで、またはより大きい外形を有する第2の治療デバイスを受け取るために十分な直径を有するチャネルが病変内に形成されるまで、繰り返されることができる。例えば、拡大されたチャネルは、より一般的な血管形成バルーンまたは異なるように配向された衝撃波源を有する異なるカテーテルを受け取ることができる。このタイプのカテーテルは、上記に引用される米国特許第8,747,416号および米国公開第2019/0150960号に説明されている。病変が、十分に治療されると、可撓性キャップ18は、さらに膨張させられ得、次いで、収縮させられ、カテーテル10およびガイドワイヤ20は、患者から引き出されることができる。
【0059】
図1Dは、血管内の完全閉塞、例えば、冠動脈完全閉塞(CTO)を治療するために使用されるカテーテル10を描写する。完全閉塞を治療するとき、ガイドワイヤは、狭窄病変の中に少なくとも部分的に前進させられる。カテーテルは、次いで、患者の脈管を通して、ガイドワイヤの上を、少なくとも部分的に病変の中に前進させられる。可撓性キャップは、次いで、キャップが病変に優しく接触するまで、伝導性流体を用いて膨張させられる。電圧パルスが、次いで、パルス電圧源によって、カテーテルの先端における電極対に印加され、病変を粉砕する、または弛緩させる衝撃波を発生させる。ガイドワイヤおよびカテーテルは、次いで、病変の中にさらに前進させられることができ、衝撃波治療は、完全閉塞が一掃されるまで、または血管の直径がより大きいより一般的な血管形成デバイスの設置を可能にするまで、繰り返されることができる。
【0060】
図1Eは、狭窄病変によって部分的に遮断される小さい血管内の発明的カテーテル10の使用を図示する。この状況では、ガイドワイヤは、病変の中にもっとさらに、ある場合に、病変全体を通して前進させられることができる。ガイドワイヤを位置付けた後、カテーテルは、増分段階において病変を通して前進させられる。各段階において、可撓性キャップは、膨張させられ、衝撃波が、閉塞を粉砕し、血管の直径を増加させるために発生させられる。上記のように、血管の直径が、十分に大きくなると、より大きい直径のカテーテルが、治療を完了させるために血管を通して前進させられ得る。
【0061】
図2A-2Gおよび3A-3Hは、
図1A-1Eの本明細書に説明されるカテーテルのうちのいずれか等の衝撃波血管形成デバイス内に含まれ得るカテーテルの遠位端のより詳細な図を提供する。
図2Aは、ガイドワイヤシース(「多管腔内側部材」)の全周に巻きつけられた伝導性シース(「エミッタバンド」、例えば、リング電極)から形成される、2つの薄型電極対を含む例示的カテーテルの遠位区分の分解斜視図を図示する。電極対は、伝導性ワイヤ(例えば、ポリイミド絶縁銅ワイヤ)と、ガイドワイヤシースの全周に巻きつけられた伝導性強化ワイヤシース(「平坦ワイヤ編組」)とを用いて外部パルス電圧源に電気的に接続される。キャップ(例えば、薄型血管形成バルーンまたは管状ポリマー)が、カテーテルの遠位先端にシールされ、電極対およびガイドワイヤシースの一部を覆う。カテーテルはまた、カテーテルの遠位区分の直径を上回る直径を有する外側ジャケットを含む。外側ジャケットは、円周保護および機械的支持をデバイスに提供することによって、カテーテルの進入および位置付けを補助する。
【0062】
図2Bは、点円構成における第1の電極対を示す例示的カテーテルの遠位端200の第1の側面図を描写する。
図2Cは、第1の電極対の反対の第2の電極対を示すために180度回転させられ、第2の電極対は、舌部および溝構成を有する
図2Bのカテーテルの遠位端200の第2の図を提供する。
図2B-2Cに示されるように、カテーテルの遠位端200は、ガイドワイヤシース210と、第1の電極対および第2の電極対を含む衝撃波発生器と、電極対を包囲する、可撓性キャップ280とを含む。可撓性キャップ280は、ガイドワイヤシース210の全周に巻きつけられ、例えば、接着シールまたは熱ボンドを使用して、カテーテルの遠位端200にシールされ、ガイドワイヤシース210の一部の周囲に閉鎖された環状チャネルを形成する。いくつかの実施形態において、可撓性キャップ280は、折り畳むことなく患者の脈管内に位置付けられ得る非折り畳み式血管形成バルーン(すなわち、薄型血管形成バルーン)である。バルーン280が、収縮状態(例えば、
図1B参照)にあるとき、バルーンの表面積が十分に小さいので、カテーテルが血管の中に前進させられているとき、バルーンは、折り畳まれない。いくつかの例では、可撓性キャップ280は、半応従性ポリマー材料から形成される、押し出し管状構造(すなわち、押し出しポリマー管)である。半応従性ポリマー材料は、可撓性キャップ280が、可撓性キャップの内側の流体圧力に応答して、わずかに膨張し、次いで、いかなる圧力下にもないとき、その元のサイズに戻ることを可能にする。
【0063】
可撓性キャップ280は、キャップが、キャップの内壁と電極対(例えば、
図1C参照)との間に空間を提供するように拡張するように、伝導性流体、例えば、生理食塩水を用いて膨張可能である。いくつかの実施形態において、可撓性キャップ280は、これが膨張状態にあるとき、キャップが、薄型を保持する(例えば、1ミリメートルを下回る直径を有する)ように、比較的に少量だけ拡張する。例えば、可撓性キャップ280の最大膨張直径は、キャップの元の直径より10%~15%以下だけ大きくあり得、したがって、膨張状態における可撓性キャップの直径は、収縮状態におけるキャップの直径を10~15%上回る。しかしながら、膨張させられるとき、可撓性キャップ280は、衝撃波発生中にキャップへの損傷を回避するために、伝導性流体が電極対を包囲し、浸漬させることを可能にするために十分な空間を提供するべきである。膨張させられるとき、伝導性流体は、電極対からの音響衝撃波が、キャップ280の壁を通して、キャップの外面と接触する病変の中に伝搬することを可能にする。いくつかの実施形態において、伝導性流体はまた、IVL治療中のカテーテルの蛍光透視視認を可能にするためのX線造影剤を含有する。
【0064】
伝導性流体は、ガイドワイヤシース210内の流体入口217を介してキャップ280の中に入れられ、ガイドワイヤシース内の流体出口219を介してキャップから除去される。流体入口217および流体出口219は、ガイドワイヤシース210の表面から、ガイドワイヤシース内のそれぞれの流体入口管腔216および流体出口管腔218まで延びている、チャネルを提供する(かつより近位では、キャップが、
図1Aに示される流体ポートによって供給される流体にアクセスすることを可能にする)。閉塞を治療するとき、流体は、入口217および出口219を介して可撓性キャップ280を通して断続的に洗い流され、電極を横断する高電圧パルスがキャップ280内に衝撃波を作成するときに生成される気泡および破片を一掃することができる。流体入口217および流体出口219は、入口および出口を介してキャップ280を通して流動させられた流体が、電極対のうちの少なくとも1つを横断して流動するように、電極対を横断する流体流動を最大化するように位置付けられる。例えば、
図2Bに描写されるように、流体入口217および流体出口219は、電極対のうちの1つ以上のものが、流体入口と流体出口との間に位置付けられるように、伝導性シース220を横断して対角線上に位置付けられることができる。
図2Dは、電極対を横断して流体を流動させるように位置付けられる流体入口および流体出口を有するIVLカテーテル実施形態の分解斜視図を提供する。
【0065】
図2B-2Cに再び目を向けると、ガイドワイヤシース210は、ガイドワイヤを受け取るためのガイドワイヤ管腔211と、絶縁ワイヤ242を運ぶためのワイヤ管腔212と、カテーテルの近位端からキャップ280に流体、例えば、伝導性流体を運ぶための1つ以上の流体管腔216、218とを含む遠位端200の要素をカテーテル(描写せず)の近位端と接続する、種々の内部導管を提供する。ガイドワイヤシース210の内部構造は、
図2E-2Fにより明確に示される。
図2Eは、
図2B-2Cのカテーテルのシャフトのより近位の区分の断面を提供する。
図2Fは、カテーテル200の外側ジャケットの内側の
図2Eの断面の斜視図を提供する。
【0066】
図2Eに示されるように、カテーテルは、複数の管腔を画定する、中心管状ガイドワイヤシース210を含む。複数の管腔は、ガイドワイヤを受け取るための第1の管腔(すなわち、ガイドワイヤ管腔211)と、伝導性ワイヤ242を運ぶための第2の管腔(すなわち、ワイヤ管腔212)とを含む。ガイドワイヤ管腔211は、ガイドワイヤシース210の中心を通して延び得る、または
図2Eに示されるように、中心からわずかにオフセットされ得る。ガイドワイヤ管腔211は、約0.014インチ~約0.035インチの直径を有するガイドワイヤを緩く受け取るように成形される。ワイヤ管腔212は、電流をパルス電圧源(
図1Aのパルス電圧源等)からカテーテルの遠位端200における電極対に流動させるための少なくとも1本のワイヤ242を運ぶように成形される。いくつかの例では、ワイヤは、約0.003インチ~約0.007インチの直径を有するポリイミド絶縁銅ワイヤである。ワイヤは、カテーテルの外形を縮小するために、平坦化され、平坦化ワイヤは、約0.003インチの厚さおよび約0.010インチの幅である断面を有し得る。複数の管腔はまた、キャップ280の中に流体を流動させるための流体入口管腔216と、キャップ280から外に流体を流動させるための流体出口管腔218とを含む。管腔は、略円形断面を有するものとして
図2Eに描写されるが、ガイドワイヤシース210内の管腔は、任意の所望の形状を有し得る。例えば、ワイヤ242は、平坦化形状を有し得、第2の管腔212は、平坦化ワイヤを収容するために、平坦化または楕円形形状を有し得る。同様に、流体入口管腔216または流体出口管腔218は、ガイドワイヤシースの円周の周囲に(例えば、シースと強化ワイヤシース230との間の環状空間内に)配置され得る。管腔のうちのいずれかの場所、サイズ、および形状は、カテーテルの外形を縮小するために、またはある他の利益を提供するために、修正されることができる。さらに、種々の管腔は、本発明の範囲から逸脱することなく、組み合わせられる(例えば、同じ管腔内に2本以上の絶縁ワイヤを提供することによって)、または排除され得る。
【0067】
ガイドワイヤシース210を包囲するものは、少なくとも1つの伝導性強化ワイヤ材料(例えば、編組、コイル状、または両方であるワイヤ)、例えば、強化銅またはステンレス鋼から形成される、管状強化ワイヤシース230である。
図1Aを参照して前述で説明されるように、強化ワイヤシース230は、カテーテルの近位端におけるパルス電圧源からカテーテルの遠位端200に電流を搬送し、電流を1つ以上の電極対に提供するために使用されることができる。強化ワイヤシース230の近位端は、パルス電圧源に接続可能である一方、強化ワイヤシースの遠位端は、電極対のうちの1つ以上のものに接続される。いくつかの実施形態において、強化ワイヤシース230は、電極を形成するように成形される金属の伝導性部分(例えば、
図2Cに描写される伝導性エミッタ部分234)を介して電極対に接続される。電流を遠位端200の電極対に提供することに加えて、強化ワイヤシース230はまた、好都合な機械的性質をカテーテルのシャフトに提供し得る。例えば、強化ワイヤシース230の材料組成は、増加されたトルク性、押込性、または増強された剛性をカテーテルシャフトに提供し、患者の脈管を通したカテーテルの操縦を促進し得る。いくつかの実施形態において、強化シース230は、ポリマー内に少なくとも部分的にカプセル化される、1つ以上の編組またはコイル状金属(例えば、金属ワイヤ)を含む。ポリマーカプセル化は、シース230の伝導性金属要素を絶縁する、および/または改良された機械的性質を提供する。シース230の強化金属は、シース230の外形を縮小し、カテーテルがきつく閉塞された血管の中により容易に嵌合することを可能にするために、平坦化され得る。
【0068】
図2B-2Cに再び目を向けると、カテーテルの遠位端200はまた、カテーテルの遠位先端に向かって細くなる軟質先端290を含む。軟質先端290は、ポリマーまたは任意の他の好適な生体適合性材料から形成されることができる。好ましい実施形態において、先端290は、使用中にカテーテルの蛍光透視視認を可能にするために、少なくとも部分的に白金、イリジウム、またはステンレス鋼等の放射線不透過性材料から形成される。軟質先端はまた、動作の間、カテーテルが、軟質先端を先頭にしてガイドワイヤに沿って患者の脈管を通して前進させられるように、ガイドワイヤ管腔を含む。軟質先端290を提供することは、脈管内のきつい病変との接触およびその中への進入を促進しながら、血管壁への物理的損傷を防止し得る。
【0069】
遠位端200はまた、
図2Bに示される第1の電極対と、
図2Cに示される第2の電極対とを含むカテーテルの衝撃波発生器を含む。電極対は、遠位端200の直径を縮小するために、薄型構成を有する(例えば、同一平面上であるか、または、ガイドワイヤシース210の中に少なくとも部分的に後退させられる)。第1の電極対および第2の電極対は、ガイドワイヤシース210の周りで円周方向に約180度離れて位置する。各対の電極は、電流が可撓性キャップ280の内側の伝導性流体中に衝撃波を生成するために流動し得る間隙を画定するように間隔を置かれる。
【0070】
電極対が、譲受人の先行出願の米国公開第2019/0150960号に説明されるように、伝導性シース(例えば、リング電極)の側縁およびワイヤの伝導性部分によって形成されることができる。ワイヤの伝導性部分は、ワイヤの導電性部分を露出させるように、ワイヤの遠位端の近傍の絶縁ワイヤの絶縁層の一部を除去することによって形成されることができる。除去される部分の場所、サイズ、および形状は、衝撃波の場所、方向、および/または大きさを制御するために、変動し得る。いくつかの実施形態において、電極が、導電性断面を露出させるように絶縁ワイヤの端部を切断することによって形成され得る。いくつかの実施形態において、丸形ワイヤではなく平坦なワイヤが、電極アセンブリの横断外形をさらに縮小するために使用される。
【0071】
図2Bを参照すると、第1の電極対は、ガイドワイヤシース210の管腔212を通して延びているワイヤ、例えば、伝導性ワイヤ242の絶縁体除去部分243から形成される第1の電極を含む。第1の電極対はまた、ガイドワイヤシースの全周に巻きつけられた伝導性シース220における切り抜き222から形成される第2の電極を含む。伝導性シース220における切り抜き222は、伝導性シースにおける略円形孔によって画定される。切り抜き222の場所、サイズ、および形状は、衝撃波の場所、方向、および/または大きさを制御するために変動させられることができる。いくつかの例では、伝導性シース220は、電極アセンブリの外形およびカテーテルの遠位端200の直径を縮小するために、ガイドワイヤシース210の中に少なくとも部分的に後退させられる。
【0072】
ワイヤ242の絶縁体除去部分243および伝導性シース220の切り抜き222は、第1の電極対の第1の電極と第2の電極との間に間隙を画定するように間隔を置かれる。間隙の間隔は、電極の間の伝導性流体中に再現可能な電気アークを発生させるように制御されることができる。電極の間隔は、パルス電圧源から出力される所与の電圧および電流に関して所望の大きさを有する衝撃波を生成するために、修正され得る。管腔内のワイヤ242の絶縁体除去部分243と外側伝導性シース220の切り抜き222との間の電流流動を可能にするために、ガイドワイヤシース210は、ガイドワイヤシースの外面とワイヤ管腔212との間に延びている開口を含む。開口は、高電圧パルスが強化ワイヤシース230およびワイヤ242を横断して印加されると、電流が開口を通して流動するように、ワイヤ242の絶縁体除去部分243にわたって、かつ切り抜き222の下に位置付けられる。開口のサイズは、ワイヤ242の絶縁体除去部分243のサイズ、伝導性シース220における切り抜き222のサイズ、またはある他の所望のサイズまたは形状に対応し得る。
【0073】
図2Cは、衝撃波発生器の第2の電極対を示すために180度回転させられた
図2Bのカテーテルの遠位端200の断面を提供する。第2の電極対は、伝導性シース220の縁224から形成される第1の電極と、伝導性シース220と同一平面上の伝導性エミッタ部分234から形成される第2の電極とを含む。
図2Cに示されるように、第2の電極対の第1および第2の電極は、舌部および溝構成において形成される。伝導性シース220の縁224は、伝導性シースの側面における縦方向切断によって画定され、「溝」を形成する。「舌部」は、舌部および溝が、エミッタ部分234と伝導性シース220の縁224との間にU形間隙を画定するように、溝の中に延びている、伝導性エミッタ部分234から形成される。間隙の形状は、対の電極間の伝導性流体中に再現可能な電気アークを発生させ、所望の大きさを有する衝撃波を生成するように制御されることができる。伝導性シース220およびエミッタ部分234は、電極対の外形およびカテーテルの遠位端200の直径を縮小するために、同一平面上である。いくつかの実施形態において、伝導性エミッタ部分234は、加えて、PET熱収縮管類を含む。舌部および溝電極構成についてのさらなる情報が、出願人の米国特許第10,555,744号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に含まれている。
【0074】
図2Cに示されるように、エミッタ部分234は、強化ワイヤシース230の遠位端に結合され、それは、第2の電極対をパルス電圧源(描写せず)と電気的に接続する。しかしながら、代替実施形態において、エミッタ部分234は、例えば、カテーテルに沿って延びている、さらなるワイヤに結合され得、それは、第2の電極対をパルス電圧源と電気的に接続する。
図2Bに再び目を向けると、第1の電極対は、ガイドワイヤシース210の管腔212内に延びているワイヤ242を介して、パルス電圧源に電気的に接続される。ワイヤ242の近位端は、パルス電圧源に接続可能である一方、ワイヤ242の遠位端は、第1の電極対に接続される(すなわち、その一部を形成する、または別様にそれと電気的に接続される)。
【0075】
ワイヤ242および強化ワイヤシース230は、高電圧パルスが強化ワイヤシース230およびワイヤ242を横断して印加されると、電流が第1の電極対および第2の電極対の電極間の間隙を横断して流動し、閉塞を治療するための衝撃波を作成するように、電極対とパルス電圧源との間の回路を完成させる。
図2Gは、ポリイミド絶縁銅ワイヤおよび平坦銅クラッドステンレス鋼ワイヤから形成される強化ワイヤシースを用いて電圧源に接続される、1つの舌部および溝電極対と、1つの点円電極対とを有するカテーテルを通した例示的電流流動を示す。
【0076】
動作時、医師は、同時に、ワイヤ242を電圧パルス発生器の正の導線に接続し、強化ワイヤシース230(またはシースの近位端に電気的に接続されるワイヤ)を負の導線または接地に接続し得る。そのような例では、電流は、電圧源から、ワイヤ242を辿って、ワイヤの絶縁体除去部分243と伝導性シース220における切り抜き222との間の第1の間隙を横断して流動し、第1の電極対において衝撃波を発生させるプラズマアークを作成するであろう。電流は、次いで、伝導性シース220を横断して、かつ伝導性シース220の縁224と伝導性エミッタ部分234との間の第2の間隙を横断して流動し、第2の電極対において衝撃波を発生させる別のプラズマアークを作成する。電流は、次いで、伝導性エミッタ部分234から、強化ワイヤシース230まで流動し、強化ワイヤシースを辿って負の導線または接地に到達する。代替として(
図1Gに見られるように)、医師は、電流が第1および第2の電極対を横断して反対の経路を進行するように、強化ワイヤシース230(または強化ワイヤシースに電気的に接続されるワイヤ)をパルス発生器の正の導線に接続し、ワイヤ242を負の導線または接地に接続し得る。
【0077】
図3A-3Hは、
図1A-1Eの本明細書に説明されるカテーテルのうちのいずれか等の衝撃波血管形成デバイス内に含まれ得る代替カテーテルの遠位端の詳細図を提供する。
図2A-2Gと異なり、
図3A-3Hのカテーテルの衝撃波発生器の遠位端300は、少なくとも1つの遠位エミッタ(例えば、1つ以上の遠位電極対)と、少なくとも1つの近位エミッタ(例えば、1つ以上の近位電極対)とを含む。
図3Aは、遠位エミッタと、近位エミッタとを含む例示的カテーテルの斜視図を提供する。
図3Aに図示されるように、遠位エミッタおよび近位エミッタは、ガイドワイヤシースの全周に巻きつけられる、それぞれの近位伝導性シース(例えば、近位電極リング)および遠位伝導性シース(例えば、遠位電極リング)から形成される。遠位エミッタは、1つ以上の遠位電極対を含む一方、近位エミッタは、1つ以上の近位電極対を含む。電極対は、薄型構成を有し、ガイドワイヤシースの管腔を通して延びているいくつかの伝導性ワイヤを用いて外部パルス電圧源に電気的に接続される。
【0078】
図3Bは、第1の遠位電極対および第1の近位電極対を示す例示的カテーテルの遠位端300の第1の側を描写する。
図3Cは、第2の遠位電極対および第2の近位電極対を示すために180度回転させられた
図3Bのカテーテルの遠位端300の第2の図を提供する。
図3B-3Cに示されるように、カテーテルの遠位端300は、ガイドワイヤシース310と、2つの遠位電極対および2つの近位電極対を含む衝撃波発生器と、電極対を包囲する、可撓性キャップ380とを含む。可撓性キャップ380は、ガイドワイヤシース310の全周に巻きつけられ、例えば、接着シールまたは熱シールを使用して、カテーテルの遠位端300にシールされ、ガイドワイヤシース310の周囲に閉鎖された環状チャネルを形成する。いくつかの実施形態において、可撓性キャップ380は、折り畳むことなく患者の脈管内に位置付けられ得る非折り畳み式血管形成バルーン(すなわち、薄型血管形成バルーン)である。バルーン380が、収縮状態(例えば、
図1B参照)にあるとき、バルーンの表面積が十分に小さいので、カテーテルが血管の中に前進させられているとき、バルーンは、折り畳まれない。いくつかの例では、可撓性キャップ380は、半応従性ポリマー材料から形成される、押し出し管状構造(すなわち、押し出しポリマー管)である。半応従性ポリマー材料は、可撓性キャップ380が、可撓性キャップの内側の流体圧力に応答して、わずかに膨張し、次いで、いかなる圧力下にもないとき、その元のサイズに戻ることを可能にする。
【0079】
可撓性キャップ380は、キャップが、キャップの内壁と近位および遠位電極対(例えば、
図1C参照)との間に空間を提供するように拡張するように、伝導性流体、例えば、生理食塩水を用いて膨張可能である。いくつかの実施形態において、可撓性キャップ380は、膨張させられたキャップが、薄型を保持する(例えば、1ミリメートルを下回る直径を有する)ように、比較的に少量だけ拡張する。例えば、可撓性キャップ380の最大膨張直径は、キャップの元の(すなわち、収縮)直径より10%~15%以下だけ大きくあり得る。しかしながら、膨張させられるとき、可撓性キャップ380は、衝撃波発生中にキャップへの損傷を回避するために、伝導性流体が電極対を包囲し、浸漬させることを可能にするために十分な空間を提供するべきである。膨張させられるとき、伝導性流体は、近位および遠位電極対からの音響衝撃波が、可撓性キャップ380の壁を通して、キャップの外面と接触する病変の中に伝搬することを可能にする。いくつかの実施形態において、伝導性流体はまた、IVL治療中のカテーテルの蛍光透視視認を可能にするためのX線造影剤を含有する。
【0080】
伝導性流体は、ガイドワイヤシース310内の流体入口317を介してキャップ380の中に入れられ、ガイドワイヤシース内の流体出口319を介してキャップから除去される。流体入口317および流体出口319は、ガイドワイヤシース310の表面から、ガイドワイヤシース内のそれぞれの流体入口管腔316および流体出口管腔318まで延びている、チャネルを提供する(かつより近位では、可撓性キャップが、
図1Aに示される流体ポートによって供給される流体にアクセスすることを可能にする)。閉塞を治療するとき、流体は、入口317および出口319を介してキャップ380を通して断続的に洗い流され、電極を横断する高電圧パルスがキャップ内に衝撃波を作成するときに生成される気泡および破片を一掃することができる。流体入口317および流体出口3219は、入口および出口を介してキャップ380を通して流動させられた流体が、電極対のうちの少なくとも1つを横断して流動するように、電極対を横断する流体流動を最大化するように位置付けられる。例えば、
図3Aに描写されるように、流体入口317および流体出口319は、電極対のうちの1つ以上のものが、流体入口と流体出口との間に位置付けられるように、伝導性シース330、336のうちの1つ以上のものを横断して対角線上に位置付けられることができる。
図3Dは、ガイドワイヤシース内の流体入口および流体出口を介したカテーテルの内部管腔および可撓性キャップを通した流体の流動を描写する、例示的カテーテルの遠位区分の断面図を提供する。
【0081】
図3A-3Dに図示されるように、ガイドワイヤシース310は、ガイドワイヤ管腔と、伝導性ワイヤを運ぶための管腔と、1つ以上の流体管腔とを含む遠位端の要素をカテーテルの近位端と接続する、種々の内部導管を提供する。ガイドワイヤシース310の内部構造は、カテーテルのシャフトのより近位の区分の断面を提供する、
図3Eにより明確に示される。
図3Fは、カテーテル300の可撓性キャップ380の内側の
図3Eの断面の斜視図を提供する。
【0082】
図3Eに示されるように、カテーテルは、複数の管腔を画定する、中心管状ガイドワイヤシース310を含む。複数の管腔は、ガイドワイヤを受け取るためのガイドワイヤ管腔311を含む。ガイドワイヤ管腔311は、
図3E-3Fに示されるように、ガイドワイヤシース310の中心を通して延び得る、または中心からわずかにオフセットされ得る。ガイドワイヤ管腔311は、約0.014インチ~約0.035インチの直径を有するガイドワイヤを緩く受け取るように成形される。ガイドワイヤシース310はまた、電流をパルス電圧源(
図1Aのパルス電圧源等)から近位および遠位電極対に流動させるためのそれぞれの伝導性ワイヤ342、344、346、348を運ぶための4つのワイヤ管腔を含む。いくつかの例では、ワイヤ342、344、346、348は、約0.003インチ~約0.007インチの直径を有するポリイミド絶縁銅ワイヤである。ワイヤ342、344、346、348は、カテーテルの外形を縮小するために、平坦化され、平坦化ワイヤは、約0.003インチの厚さおよび約0.010インチの幅である断面を有し得る。複数の管腔はまた、キャップ380の中に流体を流動させるための流体入口管腔316と、キャップ380から外に流体を流動させるための流体出口管腔318とを含む。管腔は、略円形断面を有するものとして
図3E-3Fに描写されるが、ガイドワイヤシース310内の管腔は、任意の所望の形状を有し得る。例えば、ワイヤ342、344、346、348のうちの1本以上のものは、平坦化形状を有し得、関連付けられる管腔は、平坦化ワイヤを収容するために、平坦化または楕円形形状を有し得る。同様に、流体入口管腔316または流体出口管腔318は、ガイドワイヤシース310の円周の周囲に(例えば、シースと強化ワイヤシース330との間の環状空間内に)配置され得る。管腔のうちのいずれかの場所、サイズ、および形状は、カテーテルの外形を縮小するために、またはある他の利益を提供するために、修正されることができる。さらに、種々の管腔は、本発明の範囲から逸脱することなく、組み合わせられる(例えば、同じ管腔内に2本以上の絶縁ワイヤを提供することによって)、または排除され得る。
【0083】
図3E-3Fに示されるように、ガイドワイヤシース310の少なくとも一部は、ガイドワイヤシースの外面から突出している間隔特徴312を含む。間隔特徴312は、例えば、電極対において生成される衝撃波によって引き起こされるキャップへの損傷を防止するために、キャップ380の内面をガイドワイヤシース310の外面から制御された距離だけ離して維持するように構成されている。いくつかの実施形態において、間隔特徴312は、伝導性シース320、326のうちの1つ以上のものを包囲するか、または、各々は、近位伝導性シース320と遠位伝導性シース326との間に延びている。
【0084】
図3B-3Cに再び目を向けると、カテーテルの遠位端300はまた、カテーテルの遠位先端に向かって細くなる軟質先端390を含む。軟質先端390は、ポリマーまたは任意の他の好適な生体適合性材料から形成されることができる。好ましい実施形態において、先端390は、使用中にカテーテルの蛍光透視視認を可能にするために、少なくとも部分的に白金、イリジウム、またはステンレス鋼等の放射線不透過性材料から形成される。軟質先端はまた、動作の間、カテーテルが、軟質先端を先頭にしてガイドワイヤに沿って患者の脈管を通して前進させられるように、ガイドワイヤ管腔を含む。軟質先端390を提供することは、脈管内のきつい病変との接触およびその中への進入を促進しながら、血管壁への物理的損傷を防止し得る。
【0085】
遠位端300はまた、
図3Bに示される第1の遠位電極対および第1の近位電極対と、
図3Cに示される第2の遠位電極対および第2の近位電極対とを含むカテーテルの衝撃波発生器を含む。第1および第2の遠位電極は、第1のワイヤ342および第2のワイヤ344のそれぞれの伝導性部分343、355および遠位伝導性シース326(例えば、遠位リング電極)から形成される一方、第1および第2の近位電極対は、第3のワイヤ346および第4のワイヤ348の絶縁体除去部分および近位伝導性シース320から形成される、点円電極対である。電極対は、遠位端300の直径を縮小するために、薄型構成を有する。例えば、近位伝導性シース320および/または遠位伝導性シース326は、カテーテルの遠位端300の直径を縮小するために、ガイドワイヤシース310の中に少なくとも部分的に後退させられ得る。
【0086】
上で言及されるように、電極対が、伝導性シースの側縁およびワイヤの一部によって形成されることができる。ワイヤの部分は、ワイヤの導電性部分を露出させるように、ワイヤの遠位端の近傍のワイヤの絶縁層の一部を除去することによって形成されることができる。除去される部分の場所、サイズ、および形状は、衝撃波の場所、方向、および/または大きさを制御するために、変動し得る。いくつかの実施形態において、電極が、導電性断面を露出させるように絶縁ワイヤの端部を切断することによって形成され得る。いくつかの実施形態において、丸形ワイヤではなく平坦なワイヤが、電極アセンブリの横断外形をさらに縮小するために使用される。
【0087】
図3Bを参照すると、第1の遠位電極対は、ガイドワイヤシース310の管腔を通して延びている第1のワイヤ342の伝導性部分343から形成される第1の電極を含む。第1の遠位電極対はまた、ガイドワイヤシース310の全周に巻きつけられる、遠位伝導性シース326の側縁328から形成される第2の電極を含む。
図3Cを参照すると、第2の遠位電極対は、遠位伝導性シース326の側縁328から形成される第1の電極を含む。第2の遠位電極対はまた、ガイドワイヤシース310の管腔を通して延びている第2のワイヤ344の伝導性部分345から形成される第2の電極を含む。第1の遠位電極対および第2の遠位電極対は、遠位伝導性シース326の周りで円周方向に約180度離れて位置する。
【0088】
第1のワイヤ342の伝導性部分343は、遠位伝導性シース326の側縁328から間隔を置かれ、第1の遠位対の電極間に第1の間隙を画定する。同様に、第2のワイヤ344の伝導性部分345は、遠位伝導性シース326の側縁328から間隔を置かれ、第2の遠位対の電極間に第2の間隙を画定する。間隙の間隔は、それぞれの対の電極間の伝導性流体中に再現可能な電気アークを発生させ、パルス電圧源から出力される所与の電圧および電流に関して所望の大きさを有する衝撃波を生成するように制御されることができる。ワイヤ342、344の伝導性部分343、345と遠位伝導性シース326との間の電流流動を可能にするために、ガイドワイヤシース310は、ガイドワイヤシース310の外面と第1のワイヤ342および第2のワイヤ344を含有する管腔との間に延びている、遠位開口を含む。開口は、高電圧パルスが第1のワイヤ342および第2のワイヤ344を横断して印加されると、電流がそれぞれの開口を通して流動するように、ワイヤ342、344の伝導性部分343、345と遠位伝導性シース326の側縁328との間に位置付けられる。
【0089】
図3Bに再び目を向けると、第1の近位電極対は、ガイドワイヤシース310の管腔を通して延びている第3のワイヤ346の絶縁体除去部分347から形成される第1の電極を含む。第1の近位電極対はまた、近位伝導性シース320における第1の切り抜き322から形成される第2の電極を含む。
図3Cを参照すると、第2の近位電極対は、ガイドワイヤシース310の管腔を通して延びている第4のワイヤ348の絶縁体除去部分349から形成される第1の電極を含む。第2の近位電極対はまた、近位伝導性シース320における第2の切り抜き324から形成される第2の電極を含む。第1の近位電極対および第2の近位電極対は、近位伝導性シース320の周りで円周方向に約180度離れて位置する。
【0090】
第3のワイヤ346の絶縁体除去部分347は、近位伝導性シース320の第1の切り抜き322から間隔を置かれ、第1の近位対の電極間に第1の間隙を画定する。同様に、第4のワイヤ348の絶縁体除去部分349は、近位伝導性シース320の第2の切り抜き324から間隔を置かれ、第2の近位対の電極間に第2の間隙を画定する。間隙の間隔は、それぞれの対の電極間の伝導性流体中に再現可能な電気アークを発生させ、パルス電圧源から出力される所与の電圧および電流に関して所望の大きさを有する衝撃波を生成するように制御されることができる。管腔内のワイヤ346、348の絶縁体除去部分347、349と近位伝導性シース320における外部切り抜き322、324との間の電流流動を可能にするために、ガイドワイヤシース310は、ガイドワイヤシース310の外面と第3のワイヤ346および第4のワイヤ348を含有する管腔との間に延びている、近位開口を含む。開口は、高電圧パルスが第3のワイヤ346および第4のワイヤ348を横断して印加されると、電流がそれぞれの開口を通して流動するように、ワイヤ346、348の絶縁体除去部分347、349と近位伝導性シース320における切り抜き322、324との間に位置付けられる。
【0091】
図3B-3Cに示されるように、高電圧パルスが第1のワイヤ342および第2のワイヤ344を横断して印加されると、電流が第1の間隙および第2の間隙を横断して流動し、遠位電極の近傍の閉塞を治療するための衝撃波を作成するように、第1のワイヤ342および第2のワイヤ344の遠位端は、遠位電極対に接続され(すなわち、その一部を形成し、またはそれと電気的に接続され)、第1のワイヤ342および第2のワイヤ344(図示せず)の近位端は、パルス電圧源に接続可能である。同様に、高電圧パルスが第3のワイヤ346および第4のワイヤ348を横断して印加されると、電流が第1の間隙および第2の間隙を横断して流動し、近位電極の近傍の閉塞を治療するための衝撃波を作成するように、第3のワイヤ346および第4のワイヤ348の遠位端は、近位電極対に接続され、第3のワイヤ346および第4のワイヤ348の近位端は、パルス電圧源に接続可能である。
【0092】
動作時、医師は、遠位および近位電極対を独立して制御し、キャップ380の異なる部分において衝撃波を選択的に発生させることを所望し得る。
図3Gは、電流を近位エミッタワイヤに印加することによる近位エミッタの選択的発射を図示する。
図3Hは、電流を遠位エミッタワイヤに印加することによる遠位エミッタの選択的発射を図示する。近位および遠位電極対の別個の配線は、有利なこととして、近位または遠位電極に対応するワイヤのみを横断して高電圧パルスを印加することによって、遠位または近位のいずれかの衝撃波の発生を可能にする。言い換えると、パルス電圧源は、遠位電極対において衝撃波を作成するために、第1のワイヤ342および第2のワイヤ344を横断して、または近位電極対において衝撃波を作成するために、第3のワイヤ346および第4のワイヤ348を横断してのいずれかで高電圧パルスを印加するように制御可能であり得る。
【0093】
図2A-2Gおよび
図3A-3Hに図示される例示的カテーテルの要素および特徴が、本発明から逸脱することなく、再配置され、再び組み合わせられ、修正され得ることに留意されたい。例えば、
図2A-2Gは、強化ワイヤシースを含むカテーテルを提供するが、強化ワイヤシースは、
図3A-3Hのカテーテルに見られるように、1本以上の伝導性ワイヤによって置換され得る。関連して、
図3A-3Hのワイヤのうちの1本以上のものは、強化ワイヤシースによって置換され得る。同様に、
図3A-3Hの実施形態の特徴、例えば、間隔特徴、さらなる近位伝導性シース、追加の電極対、および/または独立して制御される遠位および近位電極対は、本主題の発明から逸脱することなく、
図2A-2Gのカテーテルと組み合わせられ得る。
【0094】
さらに、
図2A-2Gおよび3A-3Hは、衝撃波発生器の2つの例を図示するが、本主題の発明は、種々の電極構成を有するカテーテルを含むことを意図している。例えば、例示的カテーテルの衝撃波発生器は、2つの舌部および溝電極対(
図2Bおよび5A-5C参照)、2つの点および円電極対(
図2Cおよび
図3B-3Cの近位電極対参照)、またはワイヤの遠位伝導性部分および伝導性シースから形成される2つの電極対(例えば、
図3B-3Cの遠位電極対参照)、または任意の他の所望の構成を含み得る。さらに、電極対の設置および間隔は、本主題の発明から逸脱することなく、修正されることができる。例えば、電極対は、カテーテルの周囲により均一に衝撃波を発生させるために、一貫した増分において、例えば、180度離れて、90度離れて、または60度離れてカテーテルの全周に間隔を置かれ得る。
図3A-3Hに示される実施形態等のいくつかの例では、衝撃波発生器は、カテーテルに沿って縦方向に間隔を置かれる種々の群化において位置付けられる電極対を含む。例えば、衝撃波発生器は、カテーテルに沿って縦方向に間隔を置かれる複数の伝導性シースによって画定される、複数の電極対を含み得る。
【0095】
図4A-4B、5A-5C、および6A-6Bは、
図1A-1C、2A-2G、および3A-3Hに図示され、本明細書に説明されるカテーテルのうちのいずれか等の衝撃波血管形成デバイス内に含まれ得るいくつかの例示的衝撃波電極アセンブリを描写する。
【0096】
図4Aおよび4Bは、電極対の一例示的変形例を図示する。本実施形態は、カテーテルのシャフトの全周に巻きつけられる第1の伝導性シース52bおよび第2の伝導性シース58cとして提供される間隔を置かれたリング電極の対を含む。シース58c、52bのうちの1つ以上のものは、衝撃波発生器の直径を縮小し、よりきつい病変の中へのカテーテルの進入を可能にするために、シャフトの中に後退させられ得る。この例では、電極対が、第1の伝導性シース52bおよび第2の伝導性シース58cのそれぞれの側縁から形成される。2つの伝導性シースの側縁の間の間隔は、電極の間のスパーク間隙64を画定する。
図4Bは、
図4Aの電極の異なる図を図示し、間隙64は、明確化のためにより大きく示される。第1のワイヤ「A」36が、第1の伝導性シース52bに接続され、第2のワイヤ「B」は、リング電極58cに接続される。高電圧パルスが第1のワイヤ「A」36および第2のワイヤ「B」を横断して印加されると、プラズマアークが、リング電極の間のスパーク間隙64を横断して作成される。プラズマアークは、閉塞を治療するための衝撃波を作成する。
【0097】
図5A、5B、および5Cは、伝導性シース(例えば、リング電極)および伝導性シースの中に延びている伝導性エミッタ部分から形成された例示的舌部および溝電極対構成を図示する。これらの例では、対の第1の電極は、伝導性シースの側面に切り込まれる溝によって画定された伝導性シースの縁から形成される。対の第2の電極は、溝の中に延びている伝導性舌形エミッタ部分から形成される。伝導性エミッタ部分の「舌部」は、ワイヤの伝導性部分(例えば、ワイヤの絶縁体除去部分または伝導性端部)または溝内に嵌合するように成形されるある他の伝導性金属部分から形成され得る。舌部および溝は、対の電極間のU形スパーク間隙を画定する。
図5Bに図示されるように、第1のワイヤ36が、伝導性エミッタ部分の「舌部」52に接続され、第2のワイヤ38が、リング電極伝導性シース58に接続される。高電圧パルスが第1のワイヤ36および第2のワイヤ38を横断して印加されると、プラズマアークが、舌部52と溝60との間のスパーク間隙64を横断して作成される。プラズマアークは、狭窄を治療するための衝撃波を作成する。
【0098】
図5Cは、ガイドワイヤシースの全周に巻きつけられる、単一の伝導性シース58a(例えば、単一のリング電極)から形成される2つの電極対を提供する、関連する例示的舌部および溝電極実施形態を図示する。
図5Cに示されるように、第1の溝60aおよび第2の溝60bが、同じ伝導性シース58aの縁に切り込まれる。第1および第2の溝は、伝導性シースの全周に180度離れて位置し得る。対応する伝導性舌形エミッタ部分が、第1の溝および第2の溝の中に延び、第1および第2の電極対を作成する。第1の電極対が、第1の溝60aおよび第1の溝の中に延びている第1の舌形エミッタ部分68によって画定された伝導性シースの縁から形成される。第2の電極対は、第2の溝60bおよび第2の溝の中に延びている第2の舌形エミッタ部分52によって画定された伝導性シースの縁から形成される。各電極対は、第1および第2の電極対のそれぞれの舌部および溝の間にU形間隙を画定する。そのような例では、第1のワイヤ38が、第1のエミッタ部分の「舌部」68に接続され、第2のワイヤ36が、第2のエミッタ部分の「舌部」52に接続される。高電圧パルスが第1のワイヤ38および第2のワイヤ36を横断して印加されると、電流が、第1のワイヤ38を辿って流動し、第1のU形間隙を飛び越え、第1のプラズマアークを作成する。電流は、次いで、伝導性シース58aに沿って進行し、第2のU形間隙を飛び越え、第2のプラズマアークを作成した後、第2のワイヤ36に沿って電圧源に戻るように進行する。第1のおよび第2のプラズマアークは、ガイドワイヤシースの周囲の2つの場所において衝撃波を作成し、脈管内の病変のより完全な円周治療を提供する。舌部および溝電極構成のさらなる情報および例が、米国特許第10,555,744号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。
【0099】
図6Aおよび6Bは、本主題の発明の電極対の別の変形例を図示する。この場合、第1のワイヤ36および第2のワイヤ38は、カテーテルのシャフトの周囲に螺旋状に巻きつけられる。1つ以上の電極対が、電極を画定するようにワイヤから絶縁体を選択的に除去することによって作成される。例えば、第1の電極対が、第1のワイヤ36の第1の絶縁体除去部分と、第2のワイヤ38の第1の絶縁体除去部分とを備えている。さらなる電極対が、ワイヤから絶縁体の追加の部分を除去することによって(すなわち、第2の電極対が、第1のワイヤの第2の絶縁体除去部分と、第2のワイヤの第2の絶縁体除去部分とを備えているように等)作成されることができる。螺旋状に巻きつけられた第1のワイヤ36および第2のワイヤ38は、2本のワイヤの絶縁体除去部分の間のスパーク形成を可能にするために、十分に近接して間隔を置かれる。絶縁体除去部分の間の空間は、それぞれの電極対の間にスパーク間隙を画定する。電極対を作成するための螺旋状に巻着されるワイヤの例およびさらなる情報が、米国特許第9,993,292号および米国公開第2018/0098779号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に見出されることができる。
【0100】
図4A-4B、5A-5C、および6A-6Bを参照して上で説明される設計において、電極が、同じ平面(すなわち、同一平面上)において配置され、それによって、カテーテルの遠位端の直径を最小化することに留意されたい。他の好適な同一平面上電極設計が、米国第2017/0135709号(参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されている。
【0101】
前述が、本発明の原理の例証にすぎず、種々の修正、改変、および組み合わせが、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者によって行われ得ることを理解されたい。本明細書に開示される種々の衝撃波カテーテルの変形例のうちのいずれかは、本明細書の任意の他の衝撃波カテーテルまたは衝撃波カテーテルの組み合わせによって説明される特徴を含むことができる。さらに、方法のうちのいずれかは、開示される衝撃波デバイスのうちのいずれかと共に使用されることができる。故に、添付される請求項による場合を除いて、本発明が限定されることを意図していない。
【外国語明細書】