(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024114960
(43)【公開日】2024-08-23
(54)【発明の名称】リール保持装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240816BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024106134
(22)【出願日】2024-07-01
(62)【分割の表示】P 2023002866の分割
【原出願日】2015-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 正隆
(72)【発明者】
【氏名】高木 貴規
(57)【要約】
【課題】2個のテープリールを上下方向に並べて保持することにより保持リール数の倍増および省スペース化を実現したリール保持装置を提供する。
【解決手段】キャリアテープを繰り出して供給位置で電子部品を採取可能とするフィーダと組み合わせて用いられ、キャリアテープが巻回されたテープリールを保持するとともに電子部品装着機にフィーダとは別体に設けられたリール保持装置であって、装置基部と、装置基部の上下に配置され、それぞれがテープリールを回転可能かつ交換可能に保持する上側リールホルダおよび下側リールホルダと、保持されたテープリールからキャリアテープをフィーダに送給可能な使用位置と、使用位置よりもフィーダから離れた退避位置との間で、上側リールホルダを移動可能とするホルダ移動機構と、を備え、使用位置の上側リールホルダは、フィーダとテープリールが高さ方向において重なる位置にテープリールを保持する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品収納部にそれぞれ電子部品を収納したキャリアテープを繰り出して供給位置で前記電子部品を採取可能とするフィーダと組み合わせて電子部品装着機に用いられ、前記キャリアテープが巻回されたテープリールを保持するとともに前記電子部品装着機に前記フィーダとは別体に設けられたリール保持装置であって、
装置基部と、
前記装置基部の上下に配置され、それぞれが前記テープリールを回転可能かつ交換可能に保持する上側リールホルダおよび下側リールホルダと、
保持された前記テープリールから前記キャリアテープを前記フィーダに送給可能な使用位置と、前記使用位置よりも前記フィーダから離れた退避位置との間で、前記上側リールホルダを移動可能とするホルダ移動機構と、を備え、
前記使用位置の前記上側リールホルダは、前記フィーダと前記テープリールが高さ方向において重なる位置に前記テープリールを保持する、
リール保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、電子部品装着機に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の電子部品が実装された基板を生産する設備として、はんだ印刷機、電子部品装着機、リフロー機、基板検査機などがある。これらの設備を連結して基板生産ラインを構成することが一般的になっている。このうち電子部品装着機は、基板搬送装置、部品供給装置、部品移載装置、および制御装置を備える。部品供給装置の代表例として、複数の部品収納部にそれぞれ電子部品を収納したキャリアテープを繰り出す方式のフィーダがある。このフィーダと組み合わせて、キャリアテープが巻回されたテープリールを回転可能かつ交換可能に保持するリール保持装置が使用される。従来、リール保持装置は、フィーダの台数と同じ個数のテープリールを保持できればよかった。
【0003】
近年、従来よりも多くの部品種に対応できるようにした新型のフィーダが開発されている。例えば、本願出願人が特許文献1に開示した電子回路部品供給装置は、ヘキサフィーダと呼称され、従来型のフィーダの3台分の配設スペースで6種類の電子部品を供給できる。また、特許文献2の部品テープ・フィーダは、マルチフィーダと呼称され、2本のキャリアテープを交互に進退させて2種類の電子部品を供給できる。さらに、1本目のキャリアテープの後端に続いて第2のキャリアテープを自動的に繰り出す機能を備え、スプライシング作業を省略するようにした新型のオートローディングフィーダも広まりつつある。上記した各種の新型フィーダに対応するために、リール保持装置は、従来の2倍の個数のテープリールを保持する必要が生じる。この種のリール保持構造に関する技術例が特許文献3に開示されている。
【0004】
特許文献3の部品供給装置は、リールスタンドをフレームに対して回動可能に取り付け、リールスタンドを回動して上位置、下位置、上位置よりも高い逃げ位置に位置変換できるようにしている。これによれば、複数台の部品供給装置を並べて取り付ける際に、リールスタンドを上位置と下位置とに交互に配置して、リールの幅寸法よりも小さな取り付けピッチにできる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-138834号公報
【特許文献2】特許第4856761号公報
【特許文献3】特開平8-204385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献3の技術例では、従来よりも多数のテープリールを保持できるが、2倍までの増加は困難である。従来の2倍の個数のテープリールを確保するためには、2個のテープリールを前後方向や上下方向に並べて保持する必要がある。しかしながら、リール保持装置が大型化するため、設置スペースが大きくなりがちであり、また、オペレータの各種作業を阻害する懸念もある。
【0007】
また、フィーダは、その種類や構造に関係なく列設されるように互換性を有している場合が多い。ところが、特許文献3の技術例では、複数種類のフィーダを併用する場合が考慮されていない。
【0008】
本明細書は、2個のテープリールを上下方向に並べて保持することにより、保持されるテープリールの個数を従来よりも増加させることができる電子部品装着機を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書は、複数の部品収納部にそれぞれ電子部品を収納したキャリアテープを繰り出して供給位置で前記電子部品を採取可能とするフィーダが列設されるデバイスパレットと、前記フィーダに対応して前記キャリアテープが巻回されたテープリールを保持可能なバケット部材と、前記テープリールを回転可能かつ交換可能に保持する上側リールホルダおよび下側リールホルダを有し、前記バケット部材に対して着脱可能に保持されるリール保持装置と、を備える電子部品装着機を開示する。
【発明の効果】
【0010】
本明細書で開示する電子部品装着機は、上側リールホルダおよび下側リールホルダを有するリール保持装置を備えるので、2個のテープリールが上下方向に並んで保持される。これにより、保持されるテープリールの個数は、従来と比較して増加する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の部品供給装置を備える電子部品装着機の全体構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】部品供給装置を構成するデバイスパレットおよびバケット部材の詳細な構造を示す斜視図である。
【
図4】上側ホルダ旋回機構の構成を説明する斜視図である。
【
図5】下側ホルダ旋回機構の構成を説明する斜視図であり、下側リールホルダの使用位置が示されている。
【
図6】下側ホルダ旋回機構の構成を説明する斜視図であり、下側リールホルダの退避位置が示されている。
【
図7】装置基部の位置決めブラケットの構成を示す部分拡大斜視図である。
【
図8】リール保持装置の使用方法を説明する側面図である。
【
図9】上側リールホルダの退避位置への旋回動作を説明する側面図である。
【
図10】下側リールホルダの退避位置への旋回動作を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.電子部品装着機9の全体構成
実施形態の部品供給装置93およびリール保持装置1について、
図1~
図10を参考にして説明する。まず、部品供給装置93を備える電子部品装着機9の全体構成について説明する。
図1は、実施形態の部品供給装置93を備える電子部品装着機9の全体構成を模式的に示す平面図である。
図1の紙面左側から右側に向かう方向が基板Kを搬入出するX軸方向、紙面下側の後方から紙面上側の前方に向かう方向がY軸方向である。電子部品装着機9は、基板搬送装置92、部品供給装置93、部品移載装置94、部品カメラ95、および制御装置96などが機台91に組み付けられて構成されている。基板搬送装置92、部品供給装置93、部品移載装置94、および部品カメラ95は、制御装置96から制御され、それぞれが所定の作業を行うようになっている。
【0013】
基板搬送装置92は、基板搬送部925およびバックアップ部926などで構成されている。基板搬送部925は、一対のガイドレール921、922や一対のコンベアベルトなどからなり、基板Kを装着実施位置に搬入出する。バックアップ部926は、装着実施位置の下側に配設されており、基板Kを押し上げて位置決めする。
【0014】
部品供給装置93は、デバイスパレット98およびバケット部材2を基にして構成されている。デバイスパレット98は、略矩形状の部材であり、上面に複数台のフィーダ8が列設される。デバイスパレット98は、機台91の後方に着脱可能に装備される。デバイスパレット98の後側に、バケット部材2が配設されている。デバイスパレット98およびバケット部材2の詳細な構成については後述する。
【0015】
部品移載装置94は、複数のフィーダ8から電子部品を吸着採取し、位置決めされた基板Kまで搬送して装着する。部品移載装置94は、X軸方向およびY軸方向に水平移動可能なXYロボットタイプの装置である。部品移載装置94は、ヘッド駆動機構を構成する一対のY軸レール941、942およびY軸スライダ943、X軸方向およびY軸方向に駆動される実装ヘッド944、ノズルツール945、吸着ノズル946、ならびに基板カメラ947などで構成されている。ノズルツール945は、実装ヘッド944に交換可能に保持される一方で、下側に吸着ノズル946を保持している。吸着ノズル946は、電子部品を吸着して、基板Kに装着する。基板カメラ947は、実装ヘッド944に設けられており、基板Kに付設された位置基準マークを撮像して、基板Kの正確な位置を検出する。
【0016】
部品カメラ95は、基板搬送装置92と部品供給装置93との間の機台91の上面に、上向きに設けられている。部品カメラ95は、実装ヘッド944がフィーダ8から基板K上に移動する途中で、吸着ノズル946に吸着されている電子部品の状態を撮像する。制御装置96は、機台91に組み付けられており、その配設位置は特に限定されない。制御装置96は、予め保持した装着シーケンスにしたがって部品装着動作を制御する。
【0017】
次に、デバイスパレット98およびバケット部材2の詳細な構造について説明する。
図2は、部品供給装置93を構成するデバイスパレット98およびバケット部材2の詳細な構造を示す斜視図である。デバイスパレット98は、略矩形の平面部981の前端に直立部983が立設されて形成されている。平面部981には、前後方向(Y軸方向)に延びるスロット982が幅方向(X軸方向)に並んで刻設されている。直立部983の各スロット982に対応する位置に、それぞれ位置決め孔およびコネクタが設けられている。
【0018】
フィーダ8は、それぞれデバイスパレット98のスロット982の後側から前方へと挿入され、幅方向(X軸方向)に並んで装着される。
図2は、従来型のフィーダ8の1台が装着された状態を例示している。実際には、最大で20台のフィーダ8がデバイスパレット98に列設される。フィーダ8の前面に設けられた位置決めピンは、直立部983の位置決め孔に嵌入する。これにより、フィーダ8は、デバイスパレット98に対する装着位置が決められる。同時に、フィーダ8の前面に設けられたコネクタは、直立部983のコネクタに嵌合する。これにより、フィーダ8は、制御装置96に通信接続されるとともに、電源が供給される。機台91側に配設されたテープ排出ダクト985は、フィーダ8から出てくる使用済みのキャリアテープ89を下方へと排出する。使用済みのキャリアテープ89は、機台91の下部のテープ回収箱97(
図8~
図10に示す)に回収される。
【0019】
フィーダ8は、後部の中間高さ付近にテープ挿入口81を有している。フィーダ8のテープ挿入口81から前端上部に向けて繰り出しレール82が配設されている。繰り出しレール82の前端付近の上面に、部品供給位置83が設定されている。繰り出しレール82の部品供給位置83よりも後ろの下側に、スプロケット84が回転可能に支承されている。スプロケット84の歯は、繰り出しレール82に形成された溝から突出して、キャリアテープのスプロケット孔に嵌入する。スプロケット84は、図略のモータにより間欠的に回転駆動され、テープリール88からキャリアテープ89を引き出して、所定ピッチずつ部品供給位置83へ繰り出す。繰り出しレール82の上面のスプロケット84に近い位置に、図略のテープ剥離機構が設けられている。
【0020】
デバイスパレット98上に列設されるフィーダは、上述した従来型のフィーダ8に限定されない。例えば、背景技術で説明した新型のヘキサフィーダ8H(
図8~
図10に示す)やマルチフィーダ、オートローディングフィーダ(以降これらを新型フィーダと総称する)も列設可能である。新型フィーダでは、従来の2倍の個数のテープリール88が必要になる。
【0021】
バケット部材2は、電子部品装着機9の幅方向に列設される従来型のフィーダ8に対応してテープリール88を保持できる。つまり、フィーダ8の1台につき1個のテープリール88を供給するためにバケット部材2を用い、実施形態のリール保持装置1を使用せずに部品供給装置93を構成することができる。バケット部材2は、既設の電子部品装着機9に設けられた既存の部材であってもよく、新規に製造される電子部品装着機9の一部であってもよい。バケット部材2は、2本のアーム部材21、2枚の側板22、4本のローラ軸231~234、2本の仕切り板保持軸251、252、および複数の仕切り板26などで構成されている。
【0022】
2本のアーム部材21は、デバイスパレット98の平面部981の幅方向の両側の後部に固定されている。アーム部材21は、初めは水平後方に延び、続いて後下方向へと傾斜して延び、最後は水平後方に延びるように形成されている。2本のアーム部材21の後部を連結して把手28が設けられている。把手28を引くことにより、部品供給装置93の全体を電子部品装着機9から後方へ取り外せる。
【0023】
2本のアーム部材21の傾斜部分および後部の水平部分の上側にかけて、それぞれ側板22が配設されている。2枚の側板22は、デバイスパレット98の幅寸法よりも広めの離隔距離で平行配置されている。側板22は、前側の高さが大きく、後側の高さが小さく形成されている。2枚の側板22の間に、4本のローラ軸231~234および2本の仕切り板保持軸251、252が架け渡されている。
【0024】
下側の3本のローラ軸231~233は、側板22の下部の前側寄り、中央付近、および後側寄りに配置されている。上側の1本のローラ軸234は、側板22の上部の前側寄りに配置されている。各ローラ軸231~234は、それぞれ外周に複数の支持ローラを回転可能に軸承している。各支持ローラの幅寸法は、テープリール88の幅寸法よりもわずかに大きめとされている。なお、ローラ軸231~234および支持ローラに代えて、外周面を滑らかに仕上げた支持軸を用いることも可能である。
【0025】
テープリール88は、前側寄りのローラ軸231と中央付近のローラ軸232との間、または、中央付近のローラ軸232と後側寄りのローラ軸233との間に載置されて保持される。これにより、前後の支持ローラは、対になってテープリール88の下側外周を回転可能に支持する。また、上側のローラ軸234の支持ローラ244は、テープリール88から繰り出されたキャリアテープ89をフィーダ8のテープ挿入口81に案内する。
【0026】
仕切り板保持軸251、252は、側板22の前側の上部寄り、および側板22の後端付近に配置されている。前後2本の仕切り板保持軸251、252は、複数の仕切り板26を着脱可能に保持する。仕切り板26は、テープリール88の間に挿入可能とされ、側板22に概ね平行に保持される。
図2の構成例で、仕切り板26は、テープリール88の2個ごとに挿入される。
【0027】
2.リール保持装置1の構成
デバイスパレット98に新型フィーダが列設されると、バケット部材2に保持されるテープリール88の個数が不足する。そこで、本発明の実施形態のリール保持装置1を用いる。
図3は、実施形態のリール保持装置1の斜視図である。リール保持装置1は、1台のヘキサフィーダ、または3台のマルチフィーダ、または3台のオートローディングフィーダに対応して6個のテープリール88(881~883)を保持できるようになっている。リール保持装置1は、装置基部3、上側リールホルダ4および下側リールホルダ5、上側ホルダ旋回機構6および下側ホルダ旋回機構7などで構成されている。なお、リール保持装置1の構成要素に、バケット部材2を加えてもよい。
【0028】
装置基部3は、2枚の側板31を主部材にして形成されている。側板31は、前後方向に長い板材であり、相互に離隔して平行配置される。側板31の上縁は、概ね4段階の段差を有している。これにより、装置基部3は、前側ほど高く形成される。側板31の下縁は、前端から長さ方向の1/3程度まで緩やかに下降し、以降は後端まで概ね水平に延びている。2枚の側板31は、第1~第3ローラ軸341~343、および符号略の複数本の連結軸を用いて連結されている。これにより、装置基部3の機械的強度が確保される。
【0029】
装置基部3の前端上部に、前後方向に延びる上側装着溝321が形成されている。装置基部3の前端下部に、前後方向に延びる下側装着溝322が形成されている。さらに、装置基部3の水平な底部335に、鉤型の底部装着溝323が形成されている。上側装着溝321および底部装着溝323は、リール保持装置1をバケット部材2に装着するときに使用される。下側装着溝322は、別の用途、例えばリール保持装置1を保管場所に留め置く場合などに、上側装着溝321と併せて使用される。
【0030】
装置基部3の最も高い上側前部331には、位置決めブラケット36が設けられている(詳細後述)。装置基部3の2番目に高い上側中央部332から3番目に高い上側後部333にかけて、側板31間にリール保持空間が形成される。装置基部3の4番目に高い上側後端部334に、上側リールホルダ4が上向きに立設されている。装置基部3の底部335の後方寄りに、下側リールホルダ5が下向きに立設されている。
【0031】
3本の第1~第3ローラ軸341~343は、前記したリール保持空間の周りに配置される。第1ローラ軸341は、上側前部331の後端の最上部に配置されている。第2ローラ軸342は、底部装着溝323の斜め上方の前側に配置されている。第3ローラ軸343は、上側後端部334の少し下側に配置されている。第1~第3ローラ軸341~343は、それぞれ外周に3個の支持ローラ344を回転可能に軸承している。各支持ローラ344の幅寸法は、テープリール881の幅寸法よりもわずかに大きめとされている。支持ローラ344は、リール保持空間内にセットされたテープリール881の外周を回転可能に支承する。なお、第1~第3ローラ軸341~343および支持ローラ344に代えて、外周面を滑らかに仕上げた支持軸を用いることも可能である。
【0032】
上側リールホルダ4は、2枚の側板41、連結板42、および第1~第6ローラ軸431~436などで構成されている。側板41は、上下方向に長く、中央の2箇所が切欠かれた板材である。2枚の側板41は、装置基部3の2枚の側板31と同じ離隔距離で相互に離隔して平行配置される。側板41の下縁411の形状は、装置基部3の上側後部333および上側後端部334の形状に類似している。2枚の側板41は、後縁412の下部が連結板42によって連結されている。側板41間に形成されるリール保持空間は、装置基部3の側板31間に形成されるリール保持空間と一体的につながっている。リール保持空間は、3個のテープリールを幅方向に並べて回転可能かつ交換可能に保持できる。
図3は、リール保持空間が1個の大径のテープリール881を保持した状態を例示している。
【0033】
第1~第3ローラ軸431~433は、2枚の側板41の後縁412の上下方向に離れた3箇所に架け渡されている。第4~第6ローラ軸434~436は、2枚の側板41の上縁413の前後方向に接近した3箇所に架け渡されている。第1~第6ローラ軸431~436は、それぞれ外周に3個のローラを回転可能に軸承している。各ローラの幅寸法は、テープリール88の幅寸法よりもわずかに大きめとされている。第1~第6ローラ軸431~436は、リール保持空間にセットされたテープリール881の逸脱を防止する。なお、第1~第6ローラ軸431~436およびローラに代えて、外周面を滑らかに仕上げた支持軸を用いることも可能である。
【0034】
上側ホルダ旋回機構6は、装置基部3の後部と上側リールホルダ4の下部との間に設けられている。上側ホルダ旋回機構6は、上側リールホルダ4を
図3に示される使用位置と、使用位置よりもフィーダ8から離れた退避位置との間で旋回可能に支持している。上側ホルダ旋回機構6は、本発明のホルダ移動機構の一実施形態である。
図4は、上側ホルダ旋回機構6の構成を説明する斜視図である。
図4において、上側リールホルダ4は、使用位置から概ね90°だけ図中の反時計回りに旋回された後方の退避位置にある。また、
図4において、上側リールホルダ4の手前側の側板41は透視されている。
【0035】
上側ホルダ旋回機構6は、装置基部3側に旋回支軸61、一対の使用位置決め部材62、使用位置ロックバー63、および退避位置決め部材64を有する。装置基部3の後部の側板31の間には、上方に向かって後板35が立設されている。旋回支軸61は、後板35の後方に配置され、幅方向に延在している。一対の使用位置決め部材62、は、後板35の上部後方側の幅方向に離隔して配設されている。使用位置ロックバー63は、線状の部材であり、後板35の上部から上方に延在し、幅方向に傾斜して張り渡されている。退避位置決め部材64は、例えば合成ゴム製の円板形状とされ、後板35の略中間高さの前側に配設されている。
【0036】
上側ホルダ旋回機構6は、上側リールホルダ4側に旋回筒65、一対の使用位置当接部材66、使用位置ロックねじ67、および退避位置ストッパ68を有する。旋回筒65は、上側リールホルダ4の連結板42の下端に配設されて、幅方向に延在している。旋回筒65は、旋回支軸61の外周を囲んで回転可能に配置されている。これにより、上側リールホルダ4は、旋回支軸61を旋回中心にして旋回可能となっている。
【0037】
一対の使用位置当接部材66は、2枚の側板41の向かい合う内側に配設されている。使用位置ロックねじ67は、連結板42を貫いて配設されている。使用位置ロックねじ67のホルダ外側に突出した蝶形状の頭部671は、オペレータの指で回動操作が可能となっている。使用位置ロックねじ67のホルダ内側に突出したねじ部672は、使用位置ロックバー63を係止および解放する。退避位置ストッパ68は、
図4の紙面奥側の使用位置当接部材66に接して設けられ、後板35の側方から前側に回り込んで配置されている。
【0038】
図4に示された上側リールホルダ4の退避位置において、退避位置ストッパ68の先端は、退避位置決め部材64の前面に当接している。これにより、上側リールホルダ4のさらなる反時計回りの旋回が規制される。この状態で、オペレータは、装置基部3および上側リールホルダ4のリール保持空間にテープリール881をセットできる。上側リールホルダ4を退避位置から使用位置まで旋回させる場合、オペレータは、上側リールホルダ4を時計回りに旋回操作する。上側リールホルダ4は、概ね90°の旋回によって
図3に示される使用位置に到達する。
【0039】
上側リールホルダ4が退避位置から使用位置まで旋回すると、破線矢印M1に示されるように、一対の使用位置当接部材66も旋回して、それぞれ使用位置決め部材62に当接する。これにより、上側リールホルダ4のさらなる時計回りの旋回が規制される。ここで、オペレータが使用位置ロックねじ67の頭部671を回動操作すると、ねじ部672は使用位置ロックバー63を係止する。これにより、上側リールホルダ4は、両方向の旋回が規制される。この状態で、テープリール881は安定的に保持されており、上側リールホルダ4は、キャリアテープ891(
図8、
図10に示す)の送給動作を安定して行える。
【0040】
上側リールホルダ4を使用位置から退避位置まで旋回させる場合、オペレータは、まず、使用位置ロックねじ67の頭部671を逆回転方向に回動操作して、ねじ部672による使用位置ロックバー63の係止を解除する。オペレータは、次に、上側リールホルダ4をテープリール881とともに旋回操作する。概ね90°の旋回によって退避位置ストッパ68の先端は、退避位置決め部材64に当接し、上側リールホルダ4は、
図4に示される退避位置に到達する。
【0041】
図3に戻り、下側リールホルダ5は、2枚の側板51、第1~第4ローラ軸521~524、および着脱ローラ54などで構成されている。側板51は、基幹板部510および4つの第1~第4分岐板部511~514からなる。基幹板部510は、装置基部3の下側から下方に延び、途中で屈曲して前下方向に延在している。第1~第4分岐板部511~514は、基幹板部510の下端から概ね60°の角度ピッチで分岐して延びている。第1~第4分岐板部511~514は、相互に長さが等しく、基幹板部510と比較して板幅が狭い。
【0042】
第1~第4ローラ軸521~524は、2枚の側板51の第1~第4分岐板部511~514の先端同士を連結して架け渡されている。第1~第4ローラ軸521~524は、それぞれ外周に3個のローラを回転可能に軸承している。各ローラの幅寸法は、テープリール882、883の幅寸法よりもわずかに大きめとされている。幅方向に並ぶローラの間に、仕切り板53が挿入されている。仕切り板53の形状は、4つの分岐板部511~514を合わせた形状に類似する。2枚の側板51の基幹板部510の後縁の屈曲部分より少し上側の位置を連結して、着脱可能な着脱ローラ54が架け渡されている。
【0043】
2枚の側板51の間には、3個のテープリール882、883を幅方向に並べて回転可能かつ交換可能に保持できるリール保持空間が形成されている。リール保持空間は、2枚の仕切り板53によって幅方向に概ね3等分されている。着脱ローラ54を取り外すことにより、オペレータは、リール保持空間にテープリール882、883をセットできる。
図3は、リール保持空間が中央に大径のテープリール882を保持し、紙面奥側に小径のテープリール883を保持した状態を例示している。
【0044】
図3の状態において、大径のテープリール882は、第1~第4ローラ軸521~524の各ローラおよび着脱ローラ54に接触するか、または至近距離に位置して、回転可能に支承される。一方、小径のテープリール883は、第1および第2ローラ軸521、522の2つのローラに回転可能に支承される。この状態で、テープリール882、883は安定的に保持されており、下側リールホルダ5は、キャリアテープ892、893(
図8、
図10に示す)の送給動作を安定して行える。
【0045】
下側ホルダ旋回機構7は、装置基部3の底部335の後部と下側リールホルダ5の上部との間に設けられている。下側ホルダ旋回機構7は、下側リールホルダ5を使用位置と、使用位置よりもフィーダ8から離れた退避位置との間で旋回可能に支持している。下側ホルダ旋回機構7は、本発明のホルダ移動機構の一実施形態である。
図5は、下側ホルダ旋回機構7の構成を説明する斜視図であり、下側リールホルダ5の使用位置が示されている。また、
図6は、下側ホルダ旋回機構7の構成を説明する斜視図であり、下側リールホルダ5の退避位置が示されている。
図6において、下側リールホルダ5は、
図5に示される使用位置から略90°だけ時計回りに旋回された退避位置にある。また、
図5および
図6において、下側リールホルダ5の手前側の側板51は透視されている。
【0046】
下側ホルダ旋回機構7は、装置基部3側に旋回支持部71、および位置決めレバー72を有する。旋回支持部71は、ブロック形状の部材であり、装置基部3の底部335の後部に設けられている。旋回支持部71は、幅方向に穿孔された軸受け孔711を有している。また、旋回支持部71の下面には、位置決めレバー72を支承するレバー支承部材712が設けられている。
【0047】
位置決めレバー72は、操作部721、退避位置決め部722、被支承部723、使用位置決め部724、および使用位置誘導部725からなる。位置決めレバー72は、板材の曲げ加工および切り込み加工によって形成されている。位置決めレバー72の後端となる操作部721は、板材が上下方向に延びて形成されている。操作部721は、オペレータの指で前方への押し込み操作が可能となっている。退避位置決め部722は、操作部721の下端から板材が前方に延び、途中で屈折して下方に延びる形状に形成されている。さらに、退避位置決め部722は、下方に延びる板材が切り込まれて、幅方向の中間部分が傾斜している。これにより、退避位置決め部722は、側面視で水平形状の上部とV字形状の下部との間に、位置決めスペースをもつ。
【0048】
被支承部723は、退避位置決め部722の下端から板材が前方に延びて形成されている。被支承部723は、旋回支持部71およびレバー支承部材712によって上下に挟み込まれて支持され、前後方向に移動可能に支承される。使用位置決め部724は、被支承部723の前側から板材が後方に開いたU字形状に屈曲されて形成されている。これにより、使用位置決め部724は、U字形状の内部に位置決めスペースをもつ。使用位置誘導部725は、使用位置決め部724のU字形状の下側の後端から下方向に延びて形成されている。また、退避位置決め部722と旋回支持部71との間に付勢ばね726が設けられており、位置決めレバー72は、常に後方に付勢される。このため、位置決めレバー72は、操作時以外は後方側に位置する。
【0049】
下側ホルダ旋回機構7は、下側リールホルダ5側に、旋回軸75、停止位置決めローラ76、および退避位置決めローラ77を有する。旋回軸75は、2枚の側板51の上部の後端を連結して幅方向に延在している。旋回軸75は、旋回支持部71の軸受け孔711に旋回可能に軸承されている。これにより、下側リールホルダ5は、旋回軸75を旋回中心にして旋回可能になっている。使用位置決めローラ76は、2枚の側板51の前縁の上部寄りを連結して幅方向に延在している。退避位置決めローラ77は、2枚の側板51の後縁の上部寄りを連結して幅方向に延在している。
【0050】
図5に示された下側リールホルダ5の使用位置において、使用位置決めローラ76は、使用位置決め部724の位置決めスペースに入り込んで係止されている。これにより、下側リールホルダ5の旋回は規制される。下側リールホルダ5を使用位置から退避位置まで旋回させる場合、オペレータは、まず、位置決めレバー72の操作部721を前方に押し込む(破線矢印M2参照)。すると、使用位置決め部724は、前進して(破線矢印M3参照)使用位置決めローラ76を解放する。これにより、下側リールホルダ5の旋回が可能になる。オペレータが下側リールホルダ5を
図5の時計回りに旋回し始めてから操作部721を離すと、付勢ばね726の作用によって位置決めレバー72は後方側に戻る。
【0051】
下側リールホルダ5の時計回りの旋回角度が90°に近付くと、退避位置決めローラ77は、退避位置決め部722のV字形状の後側を押動し、付勢ばね726に抗して位置決めレバー72を前方に駆動する。下側リールホルダ5の旋回角度が概ね90°に達すると、退避位置決めローラ77は、退避位置決め部722の位置決めスペースに入り込んで係止され、位置決めレバー72は後方側に戻る。これにより、
図6に示された下側リールホルダ5の退避位置となり、下側リールホルダ5の旋回は規制される。
【0052】
下側リールホルダ5を退避位置から使用位置まで旋回させる場合、オペレータは、まず、位置決めレバー72の操作部721を前方に押し込む(破線矢印M2参照)。すると、退避位置決め部722は、前進して退避位置決めローラ77を解放する。これにより、下側リールホルダ5の旋回が可能になる。オペレータが下側リールホルダ5を
図6の反時計回りに旋回し始めてから操作部721を離すと、付勢ばね726の作用によって位置決めレバー72は後方側に戻る。
【0053】
下側リールホルダ5の反時計回りの旋回角度が90°に近付くと、使用位置決めローラ76は、使用位置誘導部725を前方に押動しながら上昇する。これにより、使用位置決めローラ76は、付勢ばね726に抗して位置決めレバー72を前方に駆動する。下側リールホルダ5の旋回角度が概ね90°に達すると、使用位置決めローラ76は、使用位置決め部724の位置決めスペースに入り込んで係止され、位置決めレバー72は後方側に戻る。これにより、
図5に示された下側リールホルダ5の使用位置となり、下側リールホルダ5の旋回は規制される。
【0054】
図7は、装置基部3の位置決めブラケット36の構成を示す部分拡大斜視図である。図示されるように、位置決めブラケット36は、2枚の側板31にそれぞれ設けられたブラケット部材361、362からなる。2個のブラケット部材361、362は、相互に向かい合い、前側で大きく離間するとともに、後側で小さな一定の離間距離を有する。位置決めブラケット36は、後述するヘキサフィーダ8Hの後端下部に設けられた位置決めピン85を受容して、リール保持装置1の幅方向の位置を合わせる。
【0055】
3.リール保持装置1の使用方法および作用
次に、リール保持装置1の使用方法について、ヘキサフィーダ8Hと組み合わせて使用する場合を例にして説明する。
図8は、実施形態のリール保持装置1の使用方法を説明する側面図である。オペレータは、デバイスパレット98の所望する幅方向位置に、ヘキサフィーダ8Hを装着する。ヘキサフィーダ8Hは、従来型のフィーダ8の3個分の配設スペースを必要とするので、3条のスロット982を用いて装着される。オペレータは、ヘキサフィーダ8Hの後方に位置する仕切り板26をバケット部材2から取り外し、代わりにリール保持装置1を装着する。
【0056】
リール保持装置1の装着動作について詳述すると、オペレータは、まず、リール保持装置1を後方からバケット部材2に向けて前進させる。このとき、リール保持装置1とヘキサフィーダ8Hの後端下部の位置決めピン85とが正対するように、リール保持装置1の幅方向の位置を合わせる。リール保持装置1を前進させてゆくと、位置決めピン85は、位置決めブラケット36の2個のブラケット部材361、362の間に係入してゆく。これにより、リール保持装置1の幅方向の位置が自動的に定まる。
【0057】
位置決めピン85の位置決めブラケット36への係入と並行して、バケット部材2の前側の親仕切り板保持軸251は、リール保持装置1の上側装着溝311へと係入してゆく。オペレータは、次に、リール保持装置1をさらに前進させながら下方に押しつける。これにより、バケット部材2の後側の親仕切り板保持軸252は、リール保持装置1の鉤型の底部装着溝313の奥まで嵌入し、装着が終了する。
【0058】
テープリール881~883のセット作業は、リール保持装置1の単独状態、および、リール保持装置1がバケット部材2に装着された状態のどちらでも実施できる。
図3には省略されているが、上側リールホルダ4および下側リールホルダ5には、それぞれ3個のテープリール88(881~883を含む)が幅方向に並んで保持される。上側リールホルダ4に保持されたテープリール881のキャリアテープ891は、概ね直線的にヘキサフィーダ8Hの挿入口81Hに送給される。一方、下側リールホルダ5に保持されたテープリール882、883のキャリアテープ892、893は、上側リールホルダ4の後方および上方を通って挿入口81Hまで送給される。このとき、上側リールホルダ4の第1~第6ローラ軸431~436のローラは、キャリアテープ892、893を案内する。
【0059】
図8に示される使用状態において、ヘキサフィーダ8Hは、キャリアテープ891~893を繰り出して部品供給動作を行い、電子部品装着機9が稼動する。このとき、下側リールホルダ5は、機台91の下部に臨んでいる。機台91の下部には、テープ回収箱97が後方への出し入れ可能に配設されている。テープ回収箱97は、デバイスパレット98上の全てのフィーダ8、8Hから出てくる使用済のキャリアテープ89、891~893に対して共通に1個設けられる。
【0060】
次に、上側リールホルダ4および下側リールホルダ5の旋回動作について説明する。
図9は、上側リールホルダ4の退避位置への旋回動作を説明する側面図である。ヘキサフィーダ8Hの後側は、フィーダ本体部86に対して交換可能なカセット部87となっている。カセット部87は、図示されるようにフィーダ本体部86から後方に引き出されて交換される。このため、使用位置の上側リールホルダ4は、カセット部87の交換作業を邪魔する。しかしながら、オペレータは、上側リールホルダ4を図示される退避位置に容易に旋回させることができる。したがって、上側リールホルダ4は、カセット部87の交換作業を阻害しない。
【0061】
また、
図10は、下側リールホルダ5の退避位置への旋回動作を説明する側面図である。テープ回収箱97は、図示されるように機台91の後方へ引き出される。このため、使用位置の下側リールホルダ5は、テープ回収箱97の引き出し作業を邪魔する。しかしながら、オペレータは、下側リールホルダ5を図示される退避位置に容易に旋回させることができる。したがって、下側リールホルダ5は、テープ回収箱97の引き出し作業を阻害しない。なお、小径のテープリール883は、保持される位置が移動して、第2および第3ローラ軸522、523の2つのローラに回転可能に支承される。
【0062】
図9に示されるように上側リールホルダ4が退避位置に旋回されてカセット部87が引き出されると、ヘキサフィーダ8Hの稼動は中断される。一方、
図10に示されるように下側リールホルダ5が退避位置に旋回されても、キャリアテープ892、893は、上側リールホルダ4の第3~第6ローラ軸433~436に案内されて送給される。したがって、ヘキサフィーダ8Hの稼動は継続可能である。
【0063】
また、ヘキサフィーダ8Hを装着した以外のスロット982には、任意のフィーダを装着できる。例えば、2台目のヘキサフィーダ8Hを装着して、その後方に2台目のリール保持装置1を配置できる。また例えば、1~3台のマルチフィーダやオートローディングフィーダを装着して、その後方に2台目のリール保持装置1を配置できる。あるいは、ヘキサフィーダ8Hに隣接して従来型のフィーダ8を装着し、バケット部材2のリール保持装置1に隣接して単独のテープリール88を配置できる。上記した例に示す如く、デバイスパレット98に複数種類のフィーダを自由に組み合わせて列設し、対応してバケット部材2の幅方向にリール保持装置1やテープリール88を並べて配置できる。
【0064】
4.リール保持装置1の態様および効果
リール保持装置1は、複数の部品収納部にそれぞれ電子部品を収納したキャリアテープ89、891~893を繰り出して供給位置で電子部品を採取可能とするフィーダ8、8Hと組み合わせて電子部品装着機9に用いられ、キャリアテープ891~893が巻回されたテープリール881~883を保持するリール保持装置1であって、装置基部3と、装置基部3の上下に配置され、それぞれがテープリール881~883を回転可能かつ交換可能に保持する上側リールホルダ4および下側リールホルダ5と、保持されたテープリール881~883からキャリアテープ891~893をヘキサフィーダ8Hに送給可能な使用位置と、使用位置よりもヘキサフィーダ8Hから離れた退避位置との間で、上側リールホルダ4および下側リールホルダ5の少なくとも一方を移動可能とするホルダ移動機構(上側ホルダ旋回機構6、下側ホルダ旋回機構7)と、を備えた。
【0065】
リール保持装置1において、装置基部3の上下に上側リールホルダ4および下側リールホルダ5が配置されており、2個のテープリール88は、上下方向に並んで保持される。これにより、保持されるテープリール88の個数は、従来と比較して倍増する。また、リール保持装置1の配設スペースは、2個のテープリール88を前後方向に並べて保持する構成と比較して省スペース化される。さらに、上側リールホルダ4および下側リールホルダ5の少なくとも一方は、使用位置と退避位置との間で移動可能となっている。したがって、オペレータは、各種作業を行う際に上側リールホルダ4や下側リールホルダ5を作業の邪魔にならない退避位置に移動でき、各種作業は阻害されない。
【0066】
さらに、ホルダ移動機構は、使用位置と退避位置との間で、上側リールホルダ4および下側リールホルダ5をそれぞれ旋回可能とする上側ホルダ旋回機構6および下側ホルダ旋回機構7とされている。これによれば、コンパクトな機構を用いて上側リールホルダ4および下側リールホルダ5を退避位置に移動できるので、省スペース化の効果が顕著になる。
【0067】
さらに、上側リールホルダ4および下側リールホルダ5は、それぞれ複数個のテープリール88を保持可能である。これによれば、ヘキサフィーダ8Hや複数台のマルチフィーダ、複数台のオートローディングフィーダなど多種類の新型フィーダに対応できるので、適用範囲が広い。
【0068】
さらに、電子部品装着機9の幅方向に列設される複数のフィーダ8に対応してテープリール88を保持可能なバケット部材2をさらに備え、装置基部3は、バケット部材2に対して着脱可能に保持される。これによれば、既設の電子部品装着機9に対して、リール保持装置1を用いることができる。
【0069】
さらに、バケット部材2は、装置基部3と、複数のテープリール88とを幅方向に並べて保持可能であるとともに、幅方向に延在して複数のテープリール88の下側外周を回転可能に支持する支持ローラ(ローラ軸231~233の支持ローラ)または支持軸と、複数のテープリール88の間の所望するリール間位置に挿入可能な仕切り板26と、幅方向に延在して仕切り板26を着脱可能に保持する仕切り板保持軸251、252と、を有し、装置基部3は、仕切り板保持軸251、252に保持される。
【0070】
これによれば、バケット部材2に直接的に保持されるテープリール88と、バケット部材2に装着されたリール保持装置1に保持される上下2個のテープリール88とを併用できる。したがって、複数種類のフィーダを併用する場合、例えば、従来型のフィーダ8および新型フィーダを併用する場合に柔軟に対応できる。また、バケット部材2に元から設けられていた仕切り板保持軸251、252を利用してリール保持装置1を装着できる。したがって、既設の電子部品装着機9にリール保持装置1を用いるとき、既存のバケット部材2に大きな改造を加える必要がない。
【0071】
さらに、装置基部3は、電子部品装着機9の幅方向に列設される複数のフィーダのいずれかに対して、幅方向の位置を合わせる位置決めブラケット36を有する。これによれば、リール保持装置1の幅方向の位置が自動的に定まるので、オペレータによる位置調整作業は不要である。
【0072】
さらに、上側ホルダ旋回機構6は、上側リールホルダ4を使用位置から退避位置に移動させることにより、ヘキサフィーダ8Hのカセット部87(フィーダの少なくとも一部)の着脱を可能にする。これによれば、上側リールホルダ4は、カセット部87の交換作業を阻害しない。
【0073】
さらに、下側ホルダ旋回機構7は、下側リールホルダ5を使用位置から退避位置に移動させることにより、電子部品装着機9の下部に出し入れ可能に配設されて使用済のキャリアテープ89を回収するテープ回収箱97の出し入れを可能にする。これによれば、下側リールホルダ5は、テープ回収箱97の引き出し作業を阻害しない。
【0074】
5.実施形態の応用および変形
なお、上側リールホルダ4および下側リールホルダ5が幅方向に並べて保持するテープリール88の個数は、実施形態で説明した3個に限定されない。例えば、上側リールホルダ4および下側リールホルダ5が各1個のテープリール88を保持して、リール保持装置1が1台のマルチフィーダまたはオートローディングフィーダに対応する構成とすることができる。また、上側リールホルダ4および下側リールホルダ5の一方が固定式で、他方のみが上側ホルダ旋回機構6または下側ホルダ旋回機構7によって旋回されてもよい。さらに、上側ホルダ旋回機構6および下側ホルダ旋回機構7に代え、上側リールホルダ4および下側リールホルダ5を後方に水平移動させるスライド式のホルダ移動機構を用いてもよい。実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1:リール保持装置 2:バケット部材 21:アーム部材
22:側板 231~234:ローラ軸
251、252:仕切り板保持軸 26:仕切り板
3:装置基部 31:側板 341~343:第1~第3ローラ軸
4:上側リールホルダ 41:側板 42:連結板
431~436:第1~第6ローラ軸
5:下側リールホルダ 51:側板
521~524:第1~第4ローラ軸 54:着脱ローラ
6:上側ホルダ旋回機構 7:下側ホルダ旋回機構
8:従来型のフィーダ 8H:ヘキサフィーダ
85:位置決めピン 86:フィーダ本体部 87:カセット部
88、881~883:テープリール
89、891~893:キャリアテープ
9:電子部品装着機 93:部品供給装置
97:テープ回収箱 98:デバイスパレット