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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115002
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20240819BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240819BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
B05C11/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020427
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】福井 慎也
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AA12
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA12
4F041BA54
4F041CA02
4F041CA13
4F041CA16
4F041CA22
4F042AA02
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA25
4F042BA27
4F042CB08
4F042DD32
4F042DF19
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】 塗布用ノズル先端のスリット状吐出口から被塗布体の表面に塗液を吐出するの停止させた際に、被塗布体における塗工部分の終端部に、塗布不良が発生するのを簡単に防止する。
【解決手段】 塗布用ノズル10の塗液収容部12に収容された塗液Pをスリット状吐出口11から被塗布体1に吐出させると共に、塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、スリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出・停止を制御する制御装置30を設けると共に、スリット状吐出口よりも塗布方向下流側の位置に気体吹き付けノズル31を設け、制御装置により、スリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、気体吹き付けノズルにより塗液の終端部分に向けて気体を吹き付ける。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出・停止を制御する制御装置を設けると共に、前記の塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口よりも塗液の塗布方向下流側の位置に気体を吹き付ける気体吹き付けノズルを設け、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、帯状の被塗布体をバックロールの外周に沿って走行させると共に、前記の塗布用ノズルを、被塗布体を介してバックロールと対向する位置に設け、前記の塗布用ノズルから被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けることを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項2に記載の塗布装置において、帯状の被塗布体をバックロールの外周に沿って上方に向けて走行させると共に、前記の塗布用ノズルを、被塗布体を介してバックロールと対向する水平位置に設け、前記の塗布用ノズルから被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を上方に吹き付けることを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項1に記載の塗布装置において、テーブルに載置された被塗布体の上方に塗布用ノズルを設け、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けることを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
請求項1に記載の塗布装置において、被塗布体の表面に先に塗液が塗布された塗工部分の終端部分の状態を観察装置により観察し、この結果を前記の制御装置に出力し、この制御装置により、前記の気体吹き付けノズルから塗液の終端部分に吹き付ける気体の吹き付け条件を調整することを特徴とする塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置に関するものである。特に、前記のような塗布装置において、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口から被塗布体の表面に間欠的に塗工させる場合等において、スリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の塗布を停止させる際に、スリット状吐出口から被塗布体の表面に供給される塗液の液切れをよくして、塗液を塗布させた被塗布体における塗工部分の終端部に、塗布不良が発生するのを簡単に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたっては、特許文献1に示されるように、スリット状吐出口を備えた塗布用ノズルを用い、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布するようにした塗布装置が使用されている。
【0003】
また、前記のような塗布装置として、特許文献2においては、帯状の被塗布体をバックロールの外周に沿って走行させると共に、前記の被塗布体を介してバックロールと対向する位置に塗布用ノズルを設け、この塗布用ノズルを待機位置から被塗布体に近付けた塗布位置に導いて、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から走行する被塗布体に塗液を吐出させて、被塗布体の表面に塗液を塗布させる一方、塗布停止時には、前記の塗布用ノズルを塗布位置から待機位置に導いて被塗布体の表面から離隔させると共に、塗布用ノズルよりも塗布方向上流側における上方の位置に気体吹き付けノズルを設け、塗布用ノズルを塗布位置と待機位置との間で移動している間に、前記の気体吹き付けノズルから気体を塗布用ノズルに吹き付けて、塗布用ノズルのスリット状吐出口に存在する塗液を、塗布用ノズルの下方に設けた液受けパンに回収させるようにしたものが示されている。
【0004】
また、前記のような塗布装置として、特許文献3、4においては、塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させながら、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させて被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、スリット状吐出口から塗液を間欠的に吐出させて、被塗布体の表面に塗液を間欠的に塗工させるようにした間欠塗布装置が示されている。
【0005】
ここで、前記のような各塗布装置において、塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させながら、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させるのを停止させた場合、スリット状吐出口から被塗布体の表面に供給される塗液の液切れが悪く、スリット状吐出口と被塗布体の表面との間にある塗液が、相対的に移動する塗布用ノズルと被塗布体との間で引っ張られ、被塗布体における塗工部分の終端部において、被塗布体の表面に塗布される塗液の状態がばらつき、例えば、図1に示すように、被塗布体1に対する塗工部分の終端部分Peが塗布方向xと直交するスリット状吐出口の長手方向に直線状になるように、被塗布体1に対して塗液Pを塗布しようとした場合においても、実際には、塗布方向xと直交するスリット状吐出口の長手方向の中央部において、塗工部分の終端部分Peが塗布方向に突出するようにして、塗液Pが被塗布体1に塗布されるなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-140738号公報
【特許文献2】特開2002-301417号公報
【特許文献3】特開2014-188449号公報
【特許文献4】特開2019-130513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布させる塗布装置における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0008】
すなわち、本発明においては、前記のような塗布装置において、塗液収容部内における塗液を、スリット状吐出口から被塗布体の表面に間欠的に塗工させる場合等において、スリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の塗布を停止させる際に、スリット状吐出口から被塗布体の表面に供給される塗液の液切れをよくして、塗液を塗布させた被塗布体における塗工部分の終端部に、塗布不良が発生するのを簡単に防止できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る塗布装置においては、前記のような課題を解決するため、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出・停止を制御する制御装置を設けると共に、前記の塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口よりも塗液の塗布方向下流側の位置に気体を吹き付ける気体吹き付けノズルを設け、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けるようにした。
【0010】
そして、本発明に係る塗布装置のように、制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けると、スリット状吐出口から被塗布体の表面に供給される塗液の液切れがよくなって、被塗布体の表面に塗布された塗液の終端が直線状に整うようになり、被塗布体における塗工部分の終端部に塗布不良が発生するのを簡単に防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る塗布装置において、塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、帯状の被塗布体をバックロールの外周に沿って走行させると共に、前記の塗布用ノズルを、被塗布体を介してバックロールと対向する位置に設け、前記の塗布用ノズルから被塗布体の表面に塗液を塗布させる場合には、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けるようにすることができる。
【0012】
また、前記の塗布装置においては、帯状の被塗布体をバックロールの外周に沿って上方に向けて走行させると共に、前記の塗布用ノズルを、被塗布体を介してバックロールと対向する水平位置に設け、前記の塗布用ノズルから被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を上方に吹き付けるようにすることができる。
【0013】
また、本発明に係る塗布装置においては、塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、テーブルに載置された被塗布体の上方に塗布用ノズルを設け、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布させる場合には、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けるようにすることができる。
【0014】
また、本発明に係る塗布装置においては、被塗布体の表面に先に塗液が塗布された塗工部分の終端部分の状態を観察装置により観察し、この結果を前記の制御装置に出力し、この制御装置により、前記の気体吹き付けノズルから塗液の終端部分に吹き付ける気体の吹き付け条件を調整することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明における塗布装置においては、前記のように制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けるようにしたため、スリット状吐出口から被塗布体の表面に供給される塗液の液切れがよくなって、被塗布体の表面に塗布された塗液の終端が直線状に整うようになった。
【0016】
この結果、本発明における塗布装置においては、被塗布体における塗工部分の終端部に塗布不良が発生するのを簡単に防止できるようになり、被塗布体に対して塗工部分の終端部の状態が優れた塗工が簡単に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来の塗布装置により被塗布体に塗液を塗布した場合において、塗液が塗布された被塗布体における塗工部分の終端部に塗布不良が発生した状態を示した概略平面図である。
図2】本発明の実施形態1に係る塗布装置において、帯状の被塗布体をバックロールの外周に沿って走行させながら、被塗布体を介してバックロールと対向する位置に設けた塗布用ノズルのスリット状吐出口から塗液を被塗布体の表面に吐出させて、塗液を被塗布体の表面に塗布する状態を示した概略説明図である。
図3】前記の実施形態1に係る塗布装置において、塗布用ノズルのスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させると共に、被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体吹き付けノズルから気体を吹き付ける状態を示した概略説明図である。
図4】前記の実施形態1に係る塗布装置によって塗液が塗布された被塗布体における塗工部分の終端部の状態を示した概略平面図である。
図5】本発明の実施形態2に係る塗布装置において、板状の被塗布体に対して塗布用ノズルを塗布方向に移動させながら、塗布用ノズルのスリット状吐出口から塗液を被塗布体の表面に吐出させて、塗液を被塗布体の表面に塗布する状態を示した概略説明図である。
図6】前記の実施形態2に係る塗布装置において、塗布用ノズルのスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させると共に、被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体吹き付けノズルから気体を吹き付ける状態を示した概略説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る塗布装置を、添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明における塗布装置は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0019】
[実施形態1]
実施形態1の塗布装置においては、図2及び図3に示すように、帯状の被塗布体1をバックロール2の外周に沿って走行させるようにし、前記の被塗布体1を介してバックロール2と対向するようにして、塗液Pを吐出させるスリット状吐出口11が被塗布体1の走行方向と直交するように塗布用ノズル10を配置させている。
【0020】
また、実施形態1の塗布装置においては、前記の塗布用ノズル10に塗液Pを供給する塗液供給管21に開閉バルブ22を設け、この開閉バルブ22を開けて、塗液Pを塗液供給管21から塗布用ノズル10の内部における塗液収容部12内に供給するようにしている。
【0021】
そして、前記のようにバックロール2の外周に沿って走行する帯状の被塗布体1の表面に、塗布用ノズル10のスリット状吐出口11から塗液Pを塗布するあたっては、図2に示すように、制御装置30によって前記の開閉バルブ22を開け、前記の塗液供給管21を通して、塗液Pを塗布用ノズル10の内部における塗液収容部12内に供給し、この塗液収容部12内における塗液Pを前記のスリット状吐出口11から走行する被塗布体1の表面に吐出させて、被塗布体1の表面に塗液Pを塗布させるようにしている。
【0022】
また、このように走行する被塗布体1の表面に塗布用ノズル10のスリット状吐出口11から塗液Pを吐出させて、被塗布体1の表面に塗液Pを所定長さ塗布させるにあたり、実施形態1の塗布装置においては、塗布用ノズル10の先端部におけるスリット状吐出口11よりも塗液Pの塗布方向下流側、すなわち被塗布体1の走行方向上流側である下方の位置に、被塗布体1の表面に吐出された塗液Pの終端部分に向けて気体を吹き付ける気体吹き付けノズル31を設け、前記の制御装置30により、前記の気体吹き付けノズル31による気体の吹き付けを制御するようにしている。ここで、前記の気体吹き付けノズル31から吹き付ける気体としては、空気、窒素ガス等の不活性ガスを用いることができる。
【0023】
そして、実施形態1の塗布装置において、前記のように走行する被塗布体1の表面に、塗布用ノズル10のスリット状吐出口11から塗液Pを吐出させて、被塗布体1の表面に塗液Pを所定長さ塗布させた場合には、図3に示すように、前記の制御装置30により開閉バルブ22を閉じて、前記の塗液供給管21を通して塗液Pを塗布用ノズル10の内部における塗液収容部12内に供給するのを停止させて、前記のスリット状吐出口11から塗液Pを被塗布体1の表面に吐出させるのを停止させると共に、前記の制御装置30により、前記の気体吹き付けノズル31から被塗布体1の表面に吐出された塗液Pの終端部分Peに向けて気体を吹き付けるようにしている。なお、前記のようにスリット状吐出口11から塗液Pを被塗布体1の表面に吐出させるのを停止させると共に、前記の気体吹き付けノズル31から被塗布体1の表面に吐出された塗液Pの終端部分Peに向けて気体を吹き付けるタイミングは、必ずしも同時である必要はなく、塗布に支障のないタイミングの範囲であればよい。
【0024】
このように、気体吹き付けノズル31から被塗布体1の表面に吐出された塗液Pの終端部分Peに向けて気体を吹き付けると、吹き付けられた気体により、スリット状吐出口11から被塗布体1の表面に供給される塗液Pの液切れがよくなって、被塗布体1の表面に塗布された塗液Pの終端が直線状に整うようになり、特に、塗布用ノズル10を被塗布体1から離れるように離隔させなくても、図4に示すように、塗工部分の終端部分Peが直線状になり、塗工部分の終端部分Peに塗布不良が発生するのを簡単に防止できるようになる。なお、前記の塗布用ノズル10を、塗工部分の終端部分Peにおいて被塗布体1から離れるように離隔させるようにすることも可能である。
【0025】
また、実施形態1の塗布装置においては、走行する被塗布体1の表面に先に塗液Pが塗布された塗工部分の終端部分Peの状態を観察装置32により観察し、この結果を前記の制御装置30に出力し、この制御装置30により、前記の気体吹き付けノズル31から塗液Pの終端部分Peに吹き付ける気体の量やタイミングなどを調整できるようにしている。
【0026】
[実施形態2]
実施形態2の塗布装置においては、図5及び図6に示すように、基板3の上に板状の被塗布体1をセットし、このようにセットされた被塗布体1の上に、塗液Pを吐出させるスリット状吐出口11が対向するようにして塗布用ノズル10を配置させ、この塗布用ノズル10を塗布方向xに移動させるようにしている。
ている。
【0027】
また、実施形態2の塗布装置においても、前記の実施形態1の塗布装置と同様に、塗布用ノズル10に塗液Pを供給する塗液供給管21に開閉バルブ22を設け、この開閉バルブ22を開けて、塗液Pを塗液供給管21から塗布用ノズル10の内部における塗液収容部12内に供給するようにしている。
【0028】
そして、実施形態2の塗布装置において、基板3の上にセットされた板状の被塗布体1の表面に、塗布用ノズル10のスリット状吐出口11から塗液Pを塗布させるあたっては、図5に示すように、塗布用ノズル10を塗布方向xに移動させると共に、制御装置30によって前記の開閉バルブ22を開け、前記の塗液供給管21を通して、塗液Pを塗布用ノズル10の内部における塗液収容部12内に供給し、この塗液収容部12内における塗液Pを前記のスリット状吐出口11から被塗布体1の表面に吐出させて、被塗布体1の表面に塗液Pを、塗布用ノズル10の移動方向に沿って塗布させるようにしている。なお、前記のように塗布用ノズル10を塗布方向xに移動させると共に、塗液収容部12内における塗液Pを前記のスリット状吐出口11から被塗布体1の表面に吐出させて、被塗布体1の表面に塗液Pを、塗布用ノズル10の移動方向に沿って塗布させるタイミングは、必ずしも同時である必要はなく、塗布に支障のないタイミングの範囲であればよい。
【0029】
また、このように走行する塗布用ノズル10のスリット状吐出口11から被塗布体1の表面に塗液Pを吐出させて、被塗布体1の表面に塗液Pを所定長さに塗布させるにあたり、実施形態2の塗布装置においては、塗布用ノズル10の先端部におけるスリット状吐出口11よりも塗液Pの塗布方向下流側、すなわち塗布用ノズル10の移動方向上流側の位置に、被塗布体1の表面に吐出された塗液Pの終端部分に向けて気体を吹き付ける気体吹き付けノズル31を設け、前記の制御装置30により、前記の気体吹き付けノズル31による気体の吹き付けを制御するようにしている。
【0030】
そして、実施形態2の塗布装置においては、基板3の上にセットされた板状の被塗布体1の上で、前記の塗布用ノズル10を塗布方向xに移動させながら、被塗布体1の表面に塗布用ノズル10のスリット状吐出口11から塗液Pを吐出させて、被塗布体1の表面に塗液Pを所定長さに塗布させた場合には、図6に示すように、前記の制御装置30により開閉バルブ22を閉じて、前記の塗液供給管21を通して塗液Pを塗布用ノズル10の内部における塗液収容部12内に供給するのを停止させて、前記のスリット状吐出口11から被塗布体1の表面に塗液Pを吐出させるのを停止させると共に、前記の制御装置30により、前記の気体吹き付けノズル31から被塗布体1の表面に吐出された塗液Pの終端部分Peに向けて気体を吹き付けるようにしている。
【0031】
このように、気体吹き付けノズル31から気体を、被塗布体1の表面に吐出された塗液Pの終端部分Peに向けて吹き付けると、吹き付けられた気体により、スリット状吐出口11から被塗布体1の表面に供給される塗液Pの液切れがよくなって、塗液Pが速やかに被塗布体1に付与されるようになり、塗布用ノズル10を被塗布体1から離れるように離隔させなくても、前記の実施形態1の場合と同様に、塗工部分の終端部分Peが直線状になり、塗工部分の終端部分Peに塗布不良が発生するのを簡単に防止できるようになる。なお、前記の塗布用ノズル10を塗工部分の終端部分Peにおいて被塗布体1から離れるように離隔させることも可能である。
【0032】
また、この実施形態2の塗布装置においては、基板3の上にセットされた板状の被塗布体1の上において、塗布用ノズル10を塗布方向xに移動させるようにしたが、塗布用ノズル10を、基板3の上にセットされた板状の被塗布体1の上に固定させた状態で、基板3の上にセットされた板状の被塗布体1を、塗布方向xと反対方向に移動させて、被塗布体1の表面に塗液Pを塗布させるようにすることもできる。
【0033】
また、前記の実施形態1、2における塗布装置においては、被塗布体1の表面に塗布された塗液Pの塗工部分の終端部分Peに、気体吹き付けノズル31から気体を塗工方向と直交する方向に吹き付けて、塗工部分の終端部分Peが直線状になるようにしたが、気体を塗工部分の終端部分Peに吹き付ける気体吹き付けノズル31の端部の形状を変更させて、塗工部分の終端部分Peの形状を半円状などの様々な形状にすることも可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 :被塗布体
2 :バックロール
3 :基板
10 :塗布用ノズル
11 :スリット状吐出口
12 :塗液収容部
21 :塗液供給管
22 :開閉バルブ
30 :制御装置
31 :気体吹き付けノズル
32 :観察装置
P :塗液
Pe :終端部分
x :塗布方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出・停止を制御する制御装置を設けると共に、前記の塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口よりも塗液の塗布方向下流側の位置に気体を吹き付ける気体吹き付けノズルを設け、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けるにあたり、被塗布体の表面に先に塗液が塗布された塗工部分の終端部分の状態を観察装置により観察し、この結果を前記の制御装置に出力し、この制御装置により、前記の気体吹き付けノズルから塗液の終端部分に吹き付ける気体の吹き付け条件を調整することを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、帯状の被塗布体をバックロールの外周に沿って走行させると共に、前記の塗布用ノズルを、被塗布体を介してバックロールと対向する位置に設け、前記の塗布用ノズルから被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けることを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項2に記載の塗布装置において、帯状の被塗布体をバックロールの外周に沿って上方に向けて走行させると共に、前記の塗布用ノズルを、被塗布体を介してバックロールと対向する水平位置に設け、前記の塗布用ノズルから被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を上方に吹き付けることを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項1に記載の塗布装置において、テーブルに載置された被塗布体の上方に塗布用ノズルを設け、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布するにあたり、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けることを特徴とする塗布装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係る塗布装置においては、前記のような課題を解決するため、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出・停止を制御する制御装置を設けると共に、前記の塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口よりも塗液の塗布方向下流側の位置に気体を吹き付ける気体吹き付けノズルを設け、少なくとも、前記の制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、前記の気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けるにあたり、被塗布体の表面に先に塗液が塗布された塗工部分の終端部分の状態を観察装置により観察し、この結果を前記の制御装置に出力し、この制御装置により、前記の気体吹き付けノズルから塗液の終端部分に吹き付ける気体の吹き付け条件を調整するようにした。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、本発明に係る塗布装置においては、前記のように被塗布体の表面に先に塗液が塗布された塗工部分の終端部分の状態を観察装置により観察し、この結果を前記の制御装置に出力し、この制御装置により、前記の気体吹き付けノズルから塗液の終端部分に吹き付ける気体の吹き付け条件を調整するようにしている
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明における塗布装置においては、前記のように制御装置によりスリット状吐出口から被塗布体の表面への塗液の吐出を停止させる動作に合わせて、気体吹き付けノズルにより、前記の被塗布体の表面に吐出された塗液の終端部分に向けて気体を吹き付けるにあたり、被塗布体の表面に先に塗液が塗布された塗工部分の終端部分の状態を観察装置により観察し、この結果を前記の制御装置に出力し、この制御装置により、前記の気体吹き付けノズルから塗液の終端部分に吹き付ける気体の吹き付け条件を調整するようにしたため、スリット状吐出口から被塗布体の表面に供給される塗液の液切れがよくなって、被塗布体の表面に塗布された塗液の終端が直線状に整うようになった。