(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115003
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 5/00 20060101AFI20240819BHJP
E05B 5/02 20060101ALI20240819BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
E05B5/00 B
E05B5/02 D
E05B47/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020429
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中塩 賀雄
(72)【発明者】
【氏名】村田 聡
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 貴俊
(57)【要約】
【課題】ハンドル本体部よりも厚みのあるパーツの取り付けによるハンドル装置の機能の変更が可能であるにもかかわらず、扉体にハンドル装置を取り付けた状態で扉体のおもて面側から見た外観をすっきりとさせることが可能なハンドル装置を提供できるようにすること。
【解決手段】電気電子機器収納用箱の扉体82に取り付けられるハンドル装置であって、取手を支持するハンドル本体部11と、取手の動作を規制可能な係止部材を動作可能に備えた錠ユニット13と、を備え、ハンドル本体部の背面に設けた取付部を用いて、ハンドル本体部と錠ユニットが取付部の深さ方向に並ぶように連結される構成とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気電子機器収納用箱の扉体に取り付けられるハンドル装置であって、
取手を支持するハンドル本体部と、
取手の動作を規制可能な係止部材を動作可能に備えた錠ユニットと、を備え、
ハンドル本体部の背面に設けた取付部を用いて、ハンドル本体部と錠ユニットが取付部の深さ方向に並ぶように連結されるハンドル装置。
【請求項2】
ハンドル本体部に対して、
取手の動作を規制可能な係止部材と、鍵の操作により係止部材を動作させることが可能なシリンダ錠と、を備えた錠ユニットであるシリンダ錠ユニットと、
取手の動作を規制可能な係止部材と、ハンドル装置の外部にある外部機器から送られた信号の受信内容を基に動作して係止部材を動作させるモータと、を備えた錠ユニットである電気錠ユニットと、
を選択して装着可能である請求項1に記載のハンドル装置。
【請求項3】
ハンドル本体部に対して、
取手の動作を規制可能な係止部材と、係止部材を動作させる錠部材と、を備えハンドル本体部に装着される錠ユニットを装着可能であり、
扉体のおもて側に位置するハンドル本体部の取手を、扉体の裏側から配置した錠ユニットを用いて規制可能とした請求項1に記載のハンドル装置。
【請求項4】
錠ユニットに、シリンダ錠又は係止部材を動作させることが可能なモータを収納する錠収納部と、シリンダ錠の前面又はモータの前面を覆うカバーを備えた請求項1に記載のハンドル装置。
【請求項5】
錠ユニットは電気錠ユニットであり、電気錠ユニットの係止部材はモータの軸方向に揺動可能である請求項4に記載のハンドル装置。
【請求項6】
錠ユニットは、モータを収納する錠収納部とカバーを固定するために用いる軸部を備え、軸部を、係止部材から見てカバー側とは反対側に位置させる請求項5に記載のハンドル装置。
【請求項7】
錠ユニットに、係止部材を動作させる錠部材を収納する錠収納部と、ハンドル本体部を扉体に装着するために用いる固定部と、を一体に形成した錠ユニットケースを備えた請求項1に記載のハンドル装置。
【請求項8】
錠収納部と、固定部とを連結する連結部に段差部を備え、
連結部に設けた段差部を用いて、錠ユニットに対するハンドル本体部の移動の規制を可能とした請求項7に記載のハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱の扉体に取り付けられるハンドル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気電子機器収納用箱の扉体にハンドル装置を設ける構造が従来から使用されている。一般的にハンドル装置は取手を引き起こすことで、または、取手を引き起こして回動することでベロやフックを操作することができるように構成されている。また、ベロやフックを操作することによって、扉体と箱体の係合を解除し、扉体を開放することが可能となるように構成している。例えば、特許文献1に開示のハンドル装置は、ハンドル本体部にシリンダ錠や取手といったロック部材を備えており、取手を引き起こして回動することでベロを動作させることができる。また、取手がハンドル本体部に収納されると、ロック部材が取手の係止部材に係止される。なお、シリンダ錠の動作によって、ロック部材の動作を規制することで、取手の引き起こしを規制することが可能である。また、特許文献2に開示されたハンドル装置は、ハンドル本体部の内部に電気錠を形成可能とし、機械式ハンドルと電気錠ハンドルを切り替えることができる。なお、この例では、筐体のおもて面側に電気錠やシリンダ錠が位置するように形成されており、取手を引き起こすことで、フックを回動させる構造である。また、機械式ハンドルは、シリンダ錠の動作によって動作機構部を動作させ、ロック部材を取手の係止部材に係止することができる。一方、電気錠ハンドルは、電気錠の動作によってロック部材が動作し、ロック部材を取手の係止部材に係止させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-2531号公報
【特許文献2】特開2011-157739号公報
【0004】
ところで、ハンドル装置は機械式ハンドルを電気錠ハンドルにすることができるようにしたり、機械式ハンドルの錠部材の種類を変更することができるようにしたりするなど、異なる機能を付与できるようにすることが求められている。しかし、特許文献1に開示のような構造では、異なる機能を付加させるための新たなパーツを取り付けにくい。また、異なる機能を付加するために新たなパーツを取り付けようとしようとしても、新たに取り付けられるパーツの厚みがハンドル本体部よりも大きいとハンドル本体部の前側に突出するような形態となり、不格好であった。また、そのような形態はハンドル装置の操作をし難くする要因になる場合もあった。特許文献2に開示のハンドル装置は、錠の種類を変更することができる構造ではあるが、変更を想定したパーツをハンドル本体部内に収納できるようにスペースを確保しておくと、ハンドル本体部が大型になる。
【0005】
なお、特許文献1に開示のような構造では、シリンダ錠を交換する場合には、ロック部材をハンドル本体部から取り外したうえでハンドル本体部に収納されたシリンダ錠の交換を行う必要がある。また、特許文献2に開示のハンドル装置は、電気錠とシリンダ錠を交換する際には、筐体からハンドル装置を取り外したうえで、機構部を取り外して錠部材を交換する必要があり、作業性が悪い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより解決を試みた。それにより、ハンドル本体部の背面側を有効に利用すれば、ハンドル本体部の大型化を抑制しつつ、また、扉体にハンドル装置を取り付けた状態で扉体のおもて面側から見た外観をすっきりとさせつつ、機能の変更が可能となることに思い至った。本発明が解決しようとする課題は、ハンドル本体部よりも厚みのあるパーツの取り付けによるハンドル装置の機能の変更が可能であるにもかかわらず、扉体にハンドル装置を取り付けた状態で扉体のおもて面側から見た外観をすっきりとさせることが可能なハンドル装置を提供できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、電気電子機器収納用箱の扉体に取り付けられるハンドル装置であって、取手を支持するハンドル本体部と、取手の動作を規制可能な係止部材を動作可能に備えた錠ユニットと、を備え、ハンドル本体部の背面に設けた取付部を用いて、ハンドル本体部と錠ユニットが取付部の深さ方向に並ぶように連結されるハンドル装置とする。
【0008】
また、ハンドル本体部に対して、取手の動作を規制可能な係止部材と、鍵の操作により係止部材を動作させることが可能なシリンダ錠と、を備えた錠ユニットであるシリンダ錠ユニットと、取手の動作を規制可能な係止部材と、ハンドル装置の外部にある外部機器から送られた信号の受信内容を基に動作して係止部材を動作させるモータと、を備えた錠ユニットである電気錠ユニットと、を選択して装着可能である構成とすることが好ましい。
【0009】
また、ハンドル本体部に対して、取手の動作を規制可能な係止部材と、係止部材を動作させる錠部材と、を備えハンドル本体部に装着される錠ユニットを装着可能であり、扉体のおもて側に位置するハンドル本体部の取手を、扉体の裏側から配置した錠ユニットを用いて規制可能とした構成とすることが好ましい。
【0010】
また、錠ユニットに、シリンダ錠又は係止部材を動作させることが可能なモータを収納する錠収納部と、シリンダ錠の前面又はモータの前面を覆うカバーを備えた構成とすることが好ましい。
【0011】
また、錠ユニットは電気錠ユニットであり、電気錠ユニットの係止部材はモータの軸方向に揺動可能である構成とすることが好ましい。
【0012】
また、錠ユニットは、モータを収納する錠収納部とカバーを固定するために用いる軸部を備え、軸部を、係止部材から見てカバー側とは反対側に位置させる構成とすることが好ましい。
【0013】
また、錠ユニットに、係止部材を動作させる錠部材を収納する錠収納部と、ハンドル本体部を扉体に装着するために用いる固定部と、を一体に形成した錠ユニットケースを備えた構成とすることが好ましい。
【0014】
また、錠収納部と、固定部とを連結する連結部に段差部を備え、連結部に設けた段差部を用いて、錠ユニットに対するハンドル本体部の移動の規制を可能とした構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、ハンドル本体部よりも厚みのあるパーツの取り付けによるハンドル装置の機能の変更が可能であるにもかかわらず、扉体にハンドル装置を取り付けた状態で扉体のおもて面側から見た外観をすっきりとさせることが可能なハンドル装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態における電気電子機器収納用箱の斜視図である。
【
図2】
図1に示す電気電子機器収納用箱の扉体を開いた状態を示す斜視図である。
【
図3】実施形態におけるハンドル装置の斜視図である。ただし、取手を引き起こした状態である。また、ベロを動かすための取手の動きを矢印で表している。
【
図4】
図3に示すハンドル装置を異なる角度から見た斜視図である。
【
図5】
図3に示すハンドル装置の分解斜視図である。ただし、取手は収納した状態である。
【
図6】実施形態におけるハンドル装置を扉体に装着する前の状態を表した図である。
【
図7】扉体に取り付けたハンドル装置の断面図である。ただし、扉体は破線で示している。
【
図8】
図3に示すハンドル装置を
図5よりもさらに分解した分解斜視図である。
【
図9】実施形態のハンドル装置の錠収納部周りの背面側を示した図である。
【
図10】実施形態のハンドル装置の錠収納部周りの分解斜視図である。
【
図11】錠ユニットケースに軸部を取り付ける前の状態を示す図である。
【
図12】モータの軸方向に揺動可能な係止部材が取手に引っ張られて動く例を示す図である。
【
図13】実施形態における錠ユニットケースの錠収納部周りを示す図である。
【
図14】実施形態のハンドル本体部を背面側から見た斜視図である。
【
図15】実施形態にハンドル本体部と錠ユニットを連結する前の状態を示す斜視図である。
【
図16】錠装置としてシリンダ錠を備えた錠ユニットとハンドル本体部を備えたハンドル装置の例における分解斜視図である。
【
図17】錠装置としてシリンダ錠を備えたハンドル装置の例を
図16よりもさらに分解した分解斜視図である。
【
図18】錠ユニットを交換することでハンドル装置の機能を変更させる例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図6に示されていることから理解されるように、実施形態のハンドル装置1は、電気電子機器収納用箱8の扉体82に取り付けられるものである。このハンドル装置1は、取手12を支持するハンドル本体部11と、取手12の動作を規制可能な係止部材13bを動作可能に備えた錠ユニット13と、を備え、ハンドル本体部11の背面に設けた取付部として固定穴11cを用いて、ハンドル本体部11と錠ユニット13が固定穴11cの深さ方向に並ぶように連結される。このため、ハンドル本体部11よりも厚みのあるパーツの取り付けによるハンドル装置1の機能の変更が可能であるにもかかわらず、扉体82にハンドル装置1を取り付けた状態で扉体82のおもて面側から見た外観をすっきりとさせることが可能なハンドル装置1を提供できる。また、ハンドル装置1の機能の変更が容易となる。
【0018】
ここで、電気電子機器収納用箱8について説明をする。電気電子機器収納用箱8は、典型的には分電盤や配電盤などである。
図1及び
図2に示すことから理解されるように、電気電子機器収納用箱8は電気機器や電子機器を収納する箱体81と、箱体81の開口部81aを覆うことが可能な扉体82を備えている。この扉体82にハンドル装置1が取り付けられており、ハンドル装置1に備える取手12の動作に伴って、ベロ14を操作し、扉体82が箱体81に対して移動できない施錠状態と、扉体82が箱体81に対して移動できる解錠状態を切り替えることができる。なお、取手12とベロ14の間にはベロ回動機構15が存在する。
【0019】
図2、
図3及び
図4に示す例では、扉体82に取り付けられたハンドル装置1の取手12を引き起こしてから回動することでベロ14を操作することができる構成であるが、ハンドル装置1は、このような構成である必要はない。例えば、扉体82に取り付けられたハンドル装置1の取手12を引き起こすだけでベロ14を操作することができる構成であっても良い。
【0020】
実施形態のハンドル装置1は錠部材を変更できる構成となっているが、この錠部材は取手12を支持するハンドル本体部11とは別に設けられた錠ユニット13に備えられている(
図5参照)。この錠ユニット13をハンドル本体部11の背面側に取り付けるため、ハンドル本体部11の背面には固定穴11cを備えている(
図6参照)。ハンドル本体部11と錠ユニット13が固定穴11cを用いて連結されると、ハンドル本体部11と錠ユニット13が固定穴11cの深さ方向(前後方向)に並ぶようになる。
【0021】
また、実施形態のハンドル装置1は、ハンドル本体部11に錠ユニット13の一部を挿入可能な貫通部11aを備えており、ハンドル本体部11と錠ユニット13が並んだ状態において、貫通部11aに錠ユニット13の一部が挿入される(
図3及び
図5参照)。このため、扉体82に装着した状態におけるハンドル装置1の前後方向の厚みを抑制することが可能となる。
【0022】
実施形態の錠ユニット13は、ハンドル本体部11とともに扉体82を挟むことができるように構成しており、扉体82のおもて面側(前面側)からは着脱できないようにしている。詳しくは、ハンドル本体部11の縁に扉体82のおもて面側に当接可能な部分として形成したフランジ部11bと、錠ユニット13のうち扉体82の裏面側に当接可能な部分として構成した押さえ部13acで扉体82を挟むことができるように構成している。より具体的には、扉体82に設けた開口82aの縁部を錠ユニット13とハンドル本体部11で挟むことができるように構成している。
【0023】
実施形態のハンドル装置1を扉体82に装着するには、扉体82に設けた開口82aを挟むようにハンドル本体部11と錠ユニット13を配置し、ハンドル本体部11と錠ユニット13を錠ユニット取付ねじ31を用いて固定する。このため、ハンドル本体部11への錠ユニット13の装着と、ハンドル装置1の扉体82への取り付けを一度に行うことができる。なお、実施形態ではハンドル本体部11に備えられたベロ回動機構15とベロ14をベロ取付ねじ32を用いて固定する(
図6参照)。
【0024】
実施形態のハンドル装置1は、ハンドル本体部11と錠ユニット13が並んだ状態において、ハンドル本体部11に備えられる取手12に対して、錠ユニット13に備えられる係止部材13bを係止させることができる(
図7参照)。係止部材13bは錠ユニット13に移動可能に備えられているため、取手12と係止部材13bが係止した状態と、係止が解除された状態を切り替えることができる。なお、係止部材13bは通常、回動可能に構成されている。
【0025】
このようなことを可能とするため、取手12には被係止部12aが備えられている。実施形態では、ハンドル本体部11に対して回動可能な取手12の開放端側に被係止部12aが設けられており、取手12を寝かせてハンドル本体部11に沿うようにした状態にすれば、被係止部12aがハンドル本体部11の内側に位置することになる。この状態を維持できるように係止部材13bが被係止部12aに対して係止する。
【0026】
この例から理解されるように、ハンドル装置1は、ハンドル本体部11に対して、「取手12の動作を規制可能な係止部材13bと、係止部材13bを動作させる錠部材と、を備えハンドル本体部11に装着される錠ユニット13」を装着可能であり、扉体82のおもて側に位置するハンドル本体部11の取手12を、扉体82の裏側から配置した錠ユニット13を用いて規制可能な構成とするのが好ましい。
【0027】
実施形態では、錠ユニット13に、係止部材13bを動作させる錠部材を収納する錠収納部13abと、ハンドル本体部11を扉体82に装着するために用いる固定部13aaと、を一体に形成した錠ユニットケース13aを備えている。この錠収納部13abと固定部13aaにより錠ユニット13の外郭が概ね形成されている。錠収納部13abに収納する錠部材は、シリンダ錠41であっても、モータ51であってもよいが、以下では、モータ51を錠収納部13abに収納した電気錠ユニットの例を用いて説明をする。
【0028】
図8に示すことから理解されるように、実施形態の電気錠ユニットは、モータ51と、モータ51の動作によって回動させる回動部材52と、回動部材52に連動する係止部材13bと、係止部材13bの前面側を覆うことが可能なカバー13cを備えている。なお、カバー13cは扉体82のおもて面から、モータ51、回動部材52及び係止部材13bを外部から操作されないように保護することができる。また、実施形態の係止部材13bは変形が困難な剛性度の高い部材とすることが可能である。
【0029】
カバー13cは電気錠ユニットであるか、シリンダ錠ユニットであるかに関わらず、採用でき、錠ユニット13に、シリンダ錠41又はモータ51を収納する錠収納部13abと、シリンダ錠41の前面又はモータ51の前面を覆うカバー13cを備えた構成とすれば、扉体82の前側から係止部材13bに触れることを抑制することができる。
【0030】
また、実施形態ではモータ51の電源は箱体81の内部に取り付けられた電気機器などから電源を取得するように構成されている。また、箱体81側には、外部機器からの信号の受信によりモータ51を動作させることが可能な制御部を備えている。ただし、電源の取り方や制御部の配置はこの例に限る必要はない。
【0031】
実施形態では、モータ51の一部が錠収納部13abからはみ出すことができるように錠ユニットケース13aに貫通部13adを備えている。このため、錠ユニットケース13aにモータ51を固定する場合に、モータ51の一部が錠収納部13abから貫通するように配置して固定することができる(
図7及び
図9参照)。モータ51を全て覆うような形状とすると錠ユニットケース13aを大きくしなければならないが、モータ51の一部が錠ユニットケース13aの外側に位置するようにすることで錠ユニットケース13aが大きくなることを抑制することが可能となる。なお、実施形態においては、貫通部13adとモータ51ケースの間に生じる隙間が微小となるようにしているため、モータ固定部13aeを用いてモータ51を錠ユニットケース13aに固定する場合の配置を容易にすることができる。また、モータ51の左右上下方向への移動を規制することができる。
【0032】
モータ51を錠ユニットケース13aに固定した後、カバー13cに備えられた係止片13caを錠ユニットケース13aに備えた係止穴13afに係止させ、カバー13cを錠ユニットケース13aに対して適切な位置に配置し、軸部13dを錠ユニットケース13aに備えた軸受部13agとカバー13cの軸受部13cbに通過させて軸部13dが抜けないようにすることで、カバー13cを錠ユニットケース13aに固定する(
図10及び
図11参照)。
【0033】
係止部材13bはモータ51の軸51aを回転させることで回動させることができるが、モータ51の軸51aを支えるモータ本体51bとカバー13cの間に係止部材13bが位置することになるように配置され、モータ本体51bとカバー13cとの間は、係止解除状態における係止部材13bの全体を収納可能な係止部材13b収納空間とすることができる。このため、係止解除状態において、係止部材13bが取手12の一部に当たることなどが回避でき、係止部材13bの前後に負荷がかかることを抑制することができる。
【0034】
また、実施形態では、電気錠ユニットの係止部材13bはモータ51の軸方向に揺動可能である(
図12参照)。係止部材13bをモータ51の軸51aに対してしっかりと固定している場合、取手12を無理に引き起こそうとする力が掛かると、モータ51の軸51aが破損する虞がある。このようなことを回避するため、電気錠ユニットの係止部材13bはモータ51の軸方向に揺動可能としている。
【0035】
また、取手12を無理に押し込もうとした場合などに、係止部材13bが揺動しすぎることもあり得る。このため、実施形態では、錠ユニット13は、モータ51を収納する錠収納部13abとカバー13cを固定するために用いる軸部13dを備え、軸部13dを、係止部材13bから見てカバー13c側とは反対側に位置させる構成としている。このようにすることにより、係止部材13bの前側に位置するカバー13cが係止部材13bの過剰な揺動を抑制できるようにしつつ、カバー13cを錠ユニットケース13aに固定する際に用いる軸部13dも係止部材13bの過剰な揺動を抑制できるようにしている。
【0036】
実施形態においては、モータ51の軸部13dに対して回動部材52を取り付け、その回動部材52に対して移動可能に係止部材13bを取り付けている。より詳しくは、係止部材13bを、回動部材52に対して移動可能に被せるように取り付けている。
【0037】
ところで、実施形態の錠ユニット13は錠ユニット取付ねじ31を用いてハンドル本体部11に連結するように扉体82に固定させる。より詳しくは、扉体82を挟むように配置したハンドル本体部11と錠ユニット13に対して、ハンドル本体部11の背面に設けた固定穴11cと錠ユニットケース13aの固定部13aaに設けた取付穴13ahに錠ユニット取付ねじ31を挿入し、締め付けることで、扉体82とハンドル本体部11と錠ユニット13を接続する。
【0038】
ハンドル本体部11と錠ユニット13を繋ぐ場合に、取り扱いやすいように、錠収納部13abと固定部13aaの連結部13amに段差部13akを形成している(
図13参照)。この段差部13akを利用して、錠ユニット13がハンドル本体部11の横幅方向にずれているか否かを把握しやすいようにしている。実施形態のハンドル本体部11は、カバー13cを挿入可能な貫通部11aの外側に錠ユニット13方向(後方)へ延びる壁部11dを設けており(
図14及び
図15参照)、壁部11dが錠ユニット13のカバー13cと段差部13akの間に位置させることができるように構成されている。この場合、錠ユニット13のカバー13cと段差部13akの隙間を壁部11dの横幅と同様にし、壁部11dが錠ユニット13のカバー13cと段差部13akの双方に接することができるようにするのが好ましい。なお、実施形態では、段差部13akは錠ユニット13の右側と左側の双方に形成されている。
【0039】
上記したことから理解されるように、錠収納部13abと、固定部13aaとを連結する連結部13amに段差部13akを備え、連結部13amに設けた段差部13akを用いて、錠ユニット13に対するハンドル本体部11の移動の規制を可能とするのが好ましい。
【0040】
ここまでは、錠ユニット13を電気錠ユニットとした例を主に説明してきたが、錠ユニット13をシリンダ錠ユニットとする例についても簡単に説明をする。シリンダ錠ユニットは、シリンダ錠41を搭載しているものである。シリンダ錠41は鍵を差し込んで操作するものであるため、錠ユニットケース13aに取り付けられるカバー13cには、シリンダ錠41へのアクセスを可能とする開口13ccを備えている。
図16及び
図17に示す例では、シリンダ錠ユニットの錠ユニットケース13aは、電気錠ユニットの錠ユニットケース13aと同じものを用いているため、カバー13cの錠ユニットケース13aへの取り付けは電気錠ユニットの場合と同様にすればよい。
【0041】
錠ユニット13の錠ユニットケース13aは、必ずしも共通化する必要はないが、錠ユニットケース13aに複数種類のシリンダ錠41を入れることができるようにしたり、シリンダ錠41とモータ51などを入れ替えることができるようにしたりすれば、錠ユニットケース13aに収納する部品を交換することで、錠ユニット13の機能を変更することができる。
【0042】
また、複数種類の錠ユニット13をあらかじめ用意しておけば、錠ユニット13ごと取り替えることでハンドル装置1の仕様や機能などを変更することができる(
図18参照)。実施形態のハンドル装置1は錠ユニット13を交換することで、異なる錠部材に変更できる構造となっている。例えば、取り付けたシリンダ錠41が互いに異なる錠ユニット13を用意しておき、それらを交換することで、今まで使用していた鍵ではハンドル装置1を操作できないようにすることができる。また、シリンダ錠41を備えた錠ユニット13であるシリンダ錠ユニットと、受信した信号を基に動作可能な錠ユニット13である電気錠ユニットを用意しておき、それらを交換すれば、扉体82の開け方などを変更することができる。
【0043】
この例から理解されるように、ハンドル装置1は、ハンドル本体部11に対して、取手12の動作を規制可能な係止部材13bと、鍵の操作により係止部材13bを動作させることが可能なシリンダ錠41と、を備えた錠ユニット13であるシリンダ錠ユニットと、取手12の動作を規制可能な係止部材13bと、ハンドル装置1の外部にある外部機器から送られた信号の受信内容を基に動作して係止部材13bを動作させるモータ51と、を備えた錠ユニット13である電気錠ユニットと、を選択して装着可能である構成とするのが好ましい。
【0044】
なお、錠ユニット13の種類ごとに、錠ユニットケース13aの形状や大きさなどが異なっていてもよい。扉体82を閉じた状態では、主に、ハンドル本体部11が視認されることになり、錠ユニット13はあまり視認されることはない。このため、錠ユニットケース13aが異なる形状であっても、扉体82を閉めた状態の電気電子機器収納用箱8としては、統一感を持たせることが可能となる。
【0045】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 ハンドル装置
8 電気電子機器収納用箱
11 ハンドル本体部
11c 固定穴
12 取手
13 錠ユニット
13a 錠ユニットケース
13aa 固定部
13ab 錠収納部
13ak 段差部
13am 連結部
13b 係止部材
13c カバー
13d 軸部
41 シリンダ錠
51 モータ
82 扉体