(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011501
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ガスタービン
(51)【国際特許分類】
F23R 3/04 20060101AFI20240118BHJP
F01D 25/12 20060101ALI20240118BHJP
F23R 3/42 20060101ALI20240118BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F23R3/04
F01D25/12 E
F23R3/42 E
F02C7/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113512
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 渉
(57)【要約】
【課題】燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつくことを抑制する。
【解決手段】ガスタービン1は、燃焼器20とタービン30とを接続するスクロール40と、スクロール40の外周面42を覆うケーシング50と、スクロール40の外周面42とケーシング50の内周面51との間に形成され、燃焼器20と連通する圧縮空気流路52と、圧縮空気流路52において、スクロール40の軸方向に延在し、スクロール40の周方向に互いに離隔して設けられる複数のリブ60と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼器とタービンとを接続するスクロールと、
前記スクロールの外周面を覆うケーシングと、
前記スクロールの外周面と前記ケーシングの内周面との間に形成され、前記燃焼器と連通する圧縮空気流路と、
前記圧縮空気流路において、前記スクロールの軸方向に延在し、前記スクロールの周方向に互いに離隔して設けられる複数のリブと、
を備える、
ガスタービン。
【請求項2】
前記リブは、前記ケーシングの内周面に設けられている、
請求項1に記載のガスタービン。
【請求項3】
前記リブは、前記スクロールの外周面に設けられている、
請求項1に記載のガスタービン。
【請求項4】
前記リブは、
前記ケーシングの内周面に設けられている第1リブと、
前記スクロールの外周面に設けられている第2リブと、
を含む、
請求項1に記載のガスタービン。
【請求項5】
前記燃焼器は、
前記スクロールの外周面と接続され、内部に燃焼室が形成されている内筒と、
前記ケーシングの外周面と接続され、前記内筒と同軸上に配置され、前記内筒の外周面を覆う外筒と、
前記内筒の外周面と前記外筒の内周面との間に形成され、前記燃焼室と前記圧縮空気流路とを連通する連通路と、
を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載のガスタービン。
【請求項6】
前記リブの下流端は、前記軸方向に前記圧縮空気流路の内壁と離隔している、
請求項5に記載のガスタービン。
【請求項7】
前記燃焼器の数は1つである、
請求項1~4のいずれか一項に記載のガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンでは、燃焼器において生成された燃焼ガスを用いてタービンを回すことによって回転エネルギが得られる。例えば、特許文献1に開示されているように、燃焼器とタービンとを接続するスクロールを備えるガスタービンがある。スクロールは、タービンと同軸上にタービンを覆うように配置され、環状に形成される。燃焼器からスクロールに送られた燃焼ガスは、スクロールの周方向に旋回しながらタービンに送られる。以下、スクロールの周方向(つまり、タービンの周方向)を、単に周方向とも呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スクロールとタービンとの接続部分であるタービン入口では、燃焼ガスの温度分布は周方向に均一であることが望ましい。燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラついていると、局所的な高温領域の発生に起因するタービン翼の損傷、タービン翼に作用する圧力の変動に起因するタービン翼の損傷、および、燃焼ガスの流速が周方向に不均一になることに起因する空力性能の低下等の問題が生じる。
【0005】
本開示の目的は、燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつくことを抑制することが可能なガスタービンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のガスタービンは、燃焼器とタービンとを接続するスクロールと、スクロールの外周面を覆うケーシングと、スクロールの外周面とケーシングの内周面との間に形成され、燃焼器と連通する圧縮空気流路と、圧縮空気流路において、スクロールの軸方向に延在し、スクロールの周方向に互いに離隔して設けられる複数のリブと、を備える。
【0007】
リブは、ケーシングの内周面に設けられていてもよい。
【0008】
リブは、スクロールの外周面に設けられていてもよい。
【0009】
リブは、ケーシングの内周面に設けられている第1リブと、スクロールの外周面に設けられている第2リブと、を含んでもよい。
【0010】
燃焼器は、スクロールの外周面と接続され、内部に燃焼室が形成されている内筒と、ケーシングの外周面と接続され、内筒と同軸上に配置され、内筒の外周面を覆う外筒と、内筒の外周面と外筒の内周面との間に形成され、燃焼室と圧縮空気流路とを連通する連通路と、を含んでもよい。
【0011】
リブの下流端は、軸方向に圧縮空気流路の内壁と離隔していてもよい。
【0012】
燃焼器の数は1つであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつくことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るガスタービンを示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係るガスタービンを示す
図1のA-A断面での模式断面図である。
【
図3】
図3は、第1変形例に係るガスタービンを示す
図1のA-A断面での模式断面図である。
【
図4】
図4は、第2変形例に係るガスタービンを示す
図1のA-A断面での模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態に係るガスタービン1を示す模式図である。
図2は、本実施形態に係るガスタービン1を示す
図1のA-A断面での模式断面図である。A-A断面は、後述する燃焼器20の中心軸を通り、後述するタービン回転軸32bに直交する断面である。
図2では、後述するタービン30の図示が省略されている。
図1および
図2では、破線矢印によって、圧縮空気の流れが示されており、実線矢印によって、燃焼ガスの流れが示されている。
【0017】
図1に示すように、ガスタービン1は、コンプレッサ10と、燃焼器20と、タービン30と、スクロール40と、ケーシング50と、リブ60とを備える。以下、タービン30およびスクロール40の周方向を、単に周方向とも呼ぶ。タービン30およびスクロール40の軸方向を、単に軸方向とも呼ぶ。
【0018】
なお、本実施形態のガスタービン1において、燃焼器20は周方向の1の方向に偏在して設けられており、
図1に示すように、鉛直方向の上方に、1つの燃焼器20が設けられている。
【0019】
コンプレッサ10は、圧縮空気を生成する。燃焼器20は、燃料を圧縮空気に供給して燃焼させ、高温の燃焼ガスを生成する。タービン30は、燃焼ガスによって駆動される。ガスタービン1では、コンプレッサ10から燃焼器20に送られる圧縮空気の流路、および、燃焼器20からタービン30に送られる燃焼ガスの流路を形成する部材として、スクロール40およびケーシング50が設けられている。
【0020】
コンプレッサ10は、コンプレッサハウジング11を備える。コンプレッサハウジング11には、不図示のコンプレッサインペラが回転自在に収容されている。コンプレッサインペラが回転することによって、コンプレッサハウジング11内に空気が吸気され、圧縮空気が生成される。
【0021】
タービン30は、タービンハウジング31を備える。タービンハウジング31には、タービン翼車32が回転自在に収容されている。タービン翼車32は、コンプレッサインペラと接続されており、コンプレッサインペラと一体的に回転する。タービン翼車32は、複数のタービン翼32aを含む。タービン翼32aが燃焼ガスを受けることによって、タービン翼車32が回転駆動される。タービン翼車32が回転駆動されると、タービン翼車32の回転力がコンプレッサインペラに伝達され、コンプレッサインペラも回転する。タービン翼車32の回転軸であるタービン回転軸32bは、コンプレッサ10とタービン30とが並ぶ方向(
図1中では、左右方向)に延在している。タービンハウジング31は、タービン回転軸32bを中心軸とする円筒形状を有する。
【0022】
スクロール40は、燃焼器20とタービン30とを接続する。スクロール40は、タービンハウジング31の外周面を覆う。スクロール40は、例えば、タービン30と同軸上に配置される。スクロール40とタービンハウジング31との間に、燃焼ガス流路41が形成される。燃焼ガス流路41は、タービン回転軸32bを中心軸とする環状の流路である。燃焼ガス流路41には、燃焼器20(具体的には、後述する燃焼室23)から燃焼ガスが送られる。燃焼ガス流路41において、燃焼ガスは、スクロール40の周方向に旋回しながらタービン入口33に送られる。タービン入口33は、燃焼ガス流路41とタービンハウジング31の内部空間とを連通する。燃焼ガス流路41を流れた燃焼ガスは、タービン入口33を介してタービンハウジング31の内部空間に送られる。
【0023】
ケーシング50は、スクロール40の外周面42を覆う。ケーシング50は、例えば、スクロール40と同軸上に配置される。スクロール40の外周面42とケーシング50の内周面51との間には、圧縮空気流路52が形成される。圧縮空気流路52は、タービン回転軸32bを中心軸とする環状の流路である。圧縮空気流路52は、燃焼器20(具体的には、後述する燃焼室23)と連通する。圧縮空気流路52には、コンプレッサ10のディフューザ流路12から圧縮空気が送られる。ディフューザ流路12は、コンプレッサハウジング11に形成される環状の流路である。コンプレッサ10のコンプレッサインペラを通過した圧縮空気は、ディフューザ流路12を介して、圧縮空気流路52に送られる。圧縮空気は、圧縮空気流路52内でスクロール40の軸方向に流れた後、燃焼器20に送られる。
【0024】
燃焼器20は、内筒21と、外筒22とを含む。このように、燃焼器20は、二重円筒構造を有する。
図1および
図2の例では、燃焼器20の中心軸は、タービン回転軸32bと直交している。ただし、燃焼器20の中心軸は、タービン回転軸32bと直交する方向に対して傾斜していてもよい。
図2に示す例では、燃焼器20の中心軸は、タービン回転軸32bに対して偏心している。つまり、燃焼器20の中心軸は、タービン回転軸32bを通らない直線上に配置されている。ただし、燃焼器20の中心軸は、タービン回転軸32bに対して偏心していなくてもよい。
【0025】
図2に示すように、内筒21は、スクロール40の外周面42と接続される。内筒21は、円筒形状を有する。内筒21の内部には燃焼室23が形成されている。燃焼室23において、燃焼が行われる。燃焼室23は、燃焼ガス流路41と連通している。それにより、燃焼室23において生じた燃焼ガスが、燃焼ガス流路41に送られる。
【0026】
図2に示すように、外筒22は、ケーシング50の外周面53と接続される。外筒22は、円筒形状を有する。外筒22は、内筒21と同軸上に配置され、内筒21の外周面を覆う。内筒21の外周面と外筒22の内周面との間には、連通路24が形成される。連通路24は、圧縮空気流路52と連通している。
【0027】
図1に示すように、内筒21は、スクロール40と逆側の端部に底部21aを有する。外筒22は、ケーシング50と逆側の端部に底部22aを有する。内筒21の底部21aは、外筒22の底部22aによって覆われている。内筒21の底部21aと外筒22の底部22aとの間の空間も、連通路24に含まれる。内筒21の底部21aには、貫通孔21bが形成されている。ゆえに、連通路24と燃焼室23とが、貫通孔21bを介して連通される。上記のように、連通路24は、燃焼室23と圧縮空気流路52とを連通する。それにより、圧縮空気流路52に送られた圧縮空気は、圧縮空気流路52から連通路24を介して燃焼室23に送られる。そして、燃焼室23内で圧縮空気に対して燃料が噴射されることによって、燃焼が生じる。
【0028】
図1および
図2に示すように、ガスタービン1では、圧縮空気流路52に複数のリブ60が設けられる。複数のリブ60は、スクロール40の軸方向に延在し、スクロール40の周方向に互いに離隔して設けられる。ガスタービン1では、複数のリブ60が設けられることによって、後述するように、燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつくことを抑制することが実現される。なお、軸方向に延在とは、本実施形態の複数のリブ60のように、軸方向と平行となっている場合のみを意味しない。軸方向に対し多少の傾き成分を持って延在する場合も排除はしていない。
【0029】
リブ60は、例えば、平板形状を有する。リブ60は、ケーシング50の内周面51に設けられている。リブ60は、スクロール40の外周面42と離隔している。リブ60は、ケーシング50の内周面51からタービン回転軸32bに向かってスクロール40の径方向に延在している。ただし、リブ60は、スクロール40の径方向に対して傾斜した方向に延在していてもよい。複数のリブ60は、スクロール40の周方向に等間隔に設けられている。ただし、複数のリブ60は、スクロール40の周方向に不等間隔に設けられていてもよい。
【0030】
仮に、ガスタービン1と異なり、圧縮空気流路52にリブ60が設けられない場合、圧縮空気流路52における圧縮空気の流れが位置によって不均一になる。例えば、圧縮空気流路52では、圧縮空気の流れが、燃焼器20との干渉に起因して、燃焼器20との接続部の近傍において淀みやすい。それにより、圧縮空気流路52における圧縮空気の流速および流れ方向が位置によってバラつきやすくなり、スクロール40の燃焼ガス流路41中の燃焼ガスを圧縮空気流路52中の圧縮空気により冷却する効果が位置によってバラつきやすくなる。ゆえに、燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつきやすくなる。燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラついていると、種々の問題が生じ得る。
【0031】
例えば、タービン30において、局所的な高温領域が発生することによって、タービン翼32aが損傷するおそれがある。また、タービン入口33からタービン30内に流入する燃焼ガスの流速が周方向に不均一になることに伴い、タービン翼32aに作用する圧力の変動が生じることによって、タービン翼32aが損傷するおそれがある。また、タービン入口33からタービン30内に流入する燃焼ガスの流速が周方向に不均一になることによって、タービン30の空力性能が低下するおそれがある。
【0032】
一方、ガスタービン1は、圧縮空気流路52において、スクロール40の軸方向に延在し、スクロール40の周方向に互いに離隔して設けられる複数のリブ60を備える。それにより、圧縮空気流路52では、圧縮空気が隣り合うリブ60によって案内され、スクロール40の軸方向に流れる。ゆえに、圧縮空気流路52において、圧縮空気の燃焼器20との干渉が抑制され、圧縮空気の流れが安定化される。それにより、圧縮空気流路52における圧縮空気の流速および流れ方向が位置によってバラつくことが抑制され、スクロール40の燃焼ガス流路41中の燃焼ガスを圧縮空気流路52中の圧縮空気により冷却する効果が位置によってバラつくことが抑制される。さらに、本実施形態においては、リブ60が軸方向に平行であることから、圧縮空気が周方向に旋回して燃焼器20に衝突することが抑制され、圧縮空気の流れが淀むことが抑制される。それにより、スクロール40の燃焼ガス流路41中の燃焼ガスを圧縮空気流路52中の圧縮空気により冷却する効果が位置によってバラつくことがさらに抑制される。
【0033】
特に、ガスタービン1では、リブ60は、ケーシング50の内周面51に設けられている。後述するように、圧縮空気流路52に設けられるリブとして、スクロール40の外周面42に設けられるリブ(後述する
図3のリブ70を参照)を用いることもできる。ただし、ケーシング50の温度は、スクロール40の温度よりも低い。ゆえに、圧縮空気流路52に設けられるリブとして、ケーシング50の内周面51に設けられるリブ60を用いることによって、耐熱性が低い材料によってリブ60を形成できる。
【0034】
特に、燃焼器20は、スクロール40の外周面42と接続され、内部に燃焼室23が形成されている内筒21と、ケーシング50の外周面53と接続され、内筒21と同軸上に配置され、内筒21の外周面を覆う外筒22と、内筒21の外周面と外筒22の内周面との間に形成され、燃焼室23と圧縮空気流路52とを連通する連通路24と、を含む。このように、燃焼器20が二重円筒構造を有する場合、圧縮空気流路52において、圧縮空気の燃焼器20との干渉に起因して、圧縮空気の流れが位置によって不均一になりやすい。ゆえに、圧縮空気流路52において、圧縮空気の流れを安定化させる必要性が高い。よって、圧縮空気流路52にリブ60を設けることにより、燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつくことを抑制することが特に有効となる。
【0035】
特に、ガスタービン1では、
図1に示すように、リブ60の下流端61は、スクロール40の軸方向に圧縮空気流路52の内壁52aと離隔している。リブ60の端部のうち、ディフューザ流路12側の端部が上流端である。リブ60の下流端61は、リブ60の端部のうち、ディフューザ流路12と逆側の端部である。リブ60の下流端61が軸方向に圧縮空気流路52の内壁52aと離隔していることによって、隣り合うリブ60の間を通過した圧縮空気が周方向に流動できる。それにより、隣り合うリブ60の間を通過した圧縮空気は、円滑に連通路24に送られる。ただし、リブ60の下流端61は、スクロール40の軸方向に圧縮空気流路52の内壁52aと離隔していなくてもよい。
【0036】
特に、ガスタービン1では、燃焼器20の数は1つである。特定の周方向位置に1つの燃焼器20のみが設けられている場合、スクロール40のうち特定の周方向位置に対して燃焼器20から燃焼ガスが送られる。ゆえに、スクロール40において、燃焼ガスが周方向に旋回するものの、燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつきやすくなる。ゆえに、燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつくことを抑制する必要性が高い。よって、圧縮空気流路52にリブ60を設けることにより、燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつくことを抑制することが特に有効となる。ただし、燃焼器20の数は2つ以上であってもよい。
【0037】
図3は、第1変形例に係るガスタービン1Aを示す
図1のA-A断面での模式断面図である。
図3では、
図2と同様に、タービン30の図示が省略されている。
図3では、
図1および
図2と同様に、破線矢印によって、圧縮空気の流れが示されており、実線矢印によって、燃焼ガスの流れが示されている。
【0038】
第1変形例に係るガスタービン1Aでは、上述したガスタービン1に対して、圧縮空気流路52に設けられるリブが、ケーシング50の内周面51に設けられるリブ60からスクロール40の外周面42に設けられるリブ70に置き換えられている。
【0039】
図3に示すように、ガスタービン1Aでは、圧縮空気流路52に複数のリブ70が設けられる。複数のリブ70は、スクロール40の軸方向に延在し、スクロール40の周方向に互いに離隔して設けられる。リブ70は、例えば、平板形状を有する。リブ70は、スクロール40の外周面42に設けられている。リブ70は、ケーシング50の内周面51と離隔している。リブ70は、タービン回転軸32bに対して離れるようにスクロール40の外周面42からスクロール40の径方向に延在している。ただし、リブ70は、スクロール40の径方向に対して傾斜した方向に延在していてもよい。複数のリブ70は、スクロール40の周方向に等間隔に設けられている。ただし、複数のリブ70は、スクロール40の周方向に不等間隔に設けられていてもよい。
【0040】
以上説明したように、ガスタービン1Aは、上述したガスタービン1と同様に、圧縮空気流路52において、スクロール40の軸方向に延在し、スクロール40の周方向に互いに離隔して設けられる複数のリブ70を備える。それにより、上述したガスタービン1と同様に、燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつくことを抑制する効果が奏される。
【0041】
特に、ガスタービン1Aでは、リブ70は、スクロール40の外周面42に設けられている。それにより、スクロール40から圧縮空気流路52中の圧縮空気への放熱が促進される。ゆえに、スクロール40の冷却が促進され、スクロール40の熱による損傷が抑制される。
【0042】
図4は、第2変形例に係るガスタービン1Bを示す
図1のA-A断面での模式断面図である。
図4では、
図2と同様に、タービン30の図示が省略されている。
図4では、
図1および
図2と同様に、破線矢印によって、圧縮空気の流れが示されており、実線矢印によって、燃焼ガスの流れが示されている。
【0043】
第2変形例に係るガスタービン1Bでは、上述したガスタービン1に対して、圧縮空気流路52に設けられるリブとして、ケーシング50の内周面51に設けられるリブ60に加えて、スクロール40の外周面42に設けられるリブ70が追加されている。
【0044】
図4に示すように、ガスタービン1Bでは、隣り合うリブ60の間にリブ70が配置される。つまり、スクロール40の周方向において、リブ60とリブ70とが交互に配置されている。また、リブ60の数とリブ70の数とは等しい。ただし、リブ60およびリブ70の配置は、
図4の例に限定されない。スクロール40の周方向の全域または一部の領域において、リブ60とリブ70とが交互に配置されていなくてもよい。また、リブ60の数とリブ70の数とは異なっていてもよい。
【0045】
以上説明したように、ガスタービン1Bは、上述したガスタービン1と同様に、圧縮空気流路52において、スクロール40の軸方向に延在し、スクロール40の周方向に互いに離隔して設けられる複数のリブ(具体的には、リブ60およびリブ70)を備える。それにより、上述したガスタービン1と同様に、燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつくことを抑制する効果が奏される。
【0046】
特に、ガスタービン1Bでは、圧縮空気流路52に設けられるリブは、ケーシング50の内周面51に設けられている第1リブ(上記の例では、リブ60)と、スクロール40の外周面42に設けられている第2リブ(上記の例では、リブ70)と、を含む。それにより、圧縮空気流路52に設けられるリブの総数を多くすることができるので、圧縮空気流路52において圧縮空気をスクロール40の軸方向に案内する効果が向上する。ゆえに、圧縮空気流路52における圧縮空気の流速および流れ方向が位置によってバラつくことがより効果的に抑制され、燃焼ガスの温度が周方向位置によってバラつくことをより効果的に抑制することができる。さらに、第2リブ(上記の例では、リブ70)によって、スクロール40から圧縮空気流路52中の圧縮空気への放熱が促進される。ゆえに、スクロール40の冷却が促進され、スクロール40の熱による損傷が抑制される。
【0047】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0048】
本開示は、ガスタービンにおけるタービン翼の損傷の抑制、および、空力性能の低下の抑制に資するので、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標11「都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 ガスタービン
1A ガスタービン
1B ガスタービン
20 燃焼器
21 内筒
22 外筒
23 燃焼室
24 連通路
30 タービン
40 スクロール
42 外周面
50 ケーシング
51 内周面
52 圧縮空気流路
52a 内壁
53 外周面
60 リブ(第1リブ)
61 下流端
70 リブ(第2リブ)