(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115014
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】消火栓装置
(51)【国際特許分類】
A62C 35/20 20060101AFI20240819BHJP
A62C 3/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A62C35/20
A62C3/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020449
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189EB04
2E189EB09
(57)【要約】
【課題】ローラとホースを確実に接触させてローラの回転数から正確に消火用ホースの引出長を検出することを可能にする。
【解決手段】消火栓装置は、筐体内のホース収納部に収納された消火用ホース58が消火活動により引き出されるときの引出長を検出して防災受信盤へ伝送するホース長検出部70を備える。ホース長検出部70は、例えば、湾曲した板ばね82により消火用ホース58をローラ80に押し付け、消火用ホース58の引出に伴うローラ80の回転を回転検出器84で検出し、ローラ80の回転数に基づいて消火用ホース58の引出長を検出する。板ばね82は片側が固定され、反対側はリンクアーム96を介して連結され、消火用ホース58の引出しにより板ばね82が上下に変位した場合の長手方向の変位をリンクアーム96の動きで吸収し、消火用ホース58に加えるばね荷重を安定させる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内のホース収納部に収納された消火用ホースが消火活動により引き出されるときの引出長を検出して防災受信盤へ伝送するホース長検出部を備えた消火栓装置であって、
前記ホース長検出部は、
前記消火用ホースの引出側に配置され、前記消火用ホースの引出しに伴う接触を受けて回転するローラと、
前記ローラとの接触を保つように前記消火用ホースと前記ローラとを押付け合うホース押付部と、
前記ローラの回転に基づいて前記消火用ホースの引出長を検出する回転検出部と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置において、
前記ホース押付部は、板ばねを用いて前記消火用ホースを前記ローラに押し付ける板ばね押付機構を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記板ばね押付機構は、
所定間隔離れて基台上に起立した一対の門柱部の間に前記ローラを回転自在に軸支する門型状の支持枠と、
前記門柱部に回転自在に支持された前記ローラの上側に、前記消火用ホースを通過させる所定の間隔を介して配置された板ばねと、
前記板ばねの一端を前記門柱部の一方に固定する板ばね固定部と、
前記板ばねの他端を前記門柱部の他方に、前記板ばねの板面に直交する方向の変位に伴う長手方向の変位を吸収可能に連結するリンクアームと、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
請求項2記載の消火栓装置において、
前記板ばね押付機構は、
所定間隔離れて基台上に起立した一対の門柱部の間に前記ローラを回転自在に軸支する門型状の支持枠と、
前記門柱部に回転自在に支持された前記ローラの上側に、前記消火用ホースを通過させる所定の間隔を介して両端が前記門柱部の各々に固定された板ばねと、
前記板ばねの前記消火用ホースと接触しない位置に形成され、前記板ばねの板面に直交する方向の変位に伴う長手方向の変位を吸収する屈曲部と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載の消火栓装置において、
前記板ばねは、中央で前記ローラとの間隔が最大となるように湾曲したことを特徴とする消火栓装置。
【請求項6】
請求項1記載の消火栓装置において、
前記ホース押付部は、固定側部材との間を通過する前記消火用ホースに前記ローラを押し付けるローラ押付機構を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項7】
請求項6記載の消火栓装置において、
前記ローラ押付機構は、
所定間隔離れて起立した一対の門柱部の間に前記固定側部材を支持した門形状の支持枠と、
前記固定側部材との間に前記消火用ホースが通過する間隔を空けて前記ローラを回転自在に軸支し、前記門柱部に沿って移動自在に配置された移動台と、
前記固定側部材との間を通過する前記消火用ホースに前記ローラを押し付ける力を前記移動台に加える押付力発生部と、
前記ローラの回転を前記移動台に配置された前記回転検出部に伝達する回転伝達部と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項8】
請求項7記載の消火栓装置において、
前記ローラ押付機構は、前記消火用ホースが通過する前記固定側部材と前記ローラとの間隔が所定値以下とならないように前記移動台の移動を規制するストッパ部を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項9】
請求項7記載の消火栓装置において、
前記ローラ押付機構は、前記消火用ホースが前記ローラの両端側からはみ出さない接触範囲を当該ローラの中央側の所定範囲に規制するはみ出し防止部を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項10】
請求項7記載の消火栓装置において、
前記固定側部材は、両端が前記門柱部に回転自在に支持された受けローラであることを特徴とする消火栓装置。
【請求項11】
請求項7記載の消火栓装置において、
前記固定側部材は、両端が前記門柱部に回転自在に支持され、前記ローラとの間隔が中央部で最大となる湾曲受けローラであることを特徴とする消火栓装置。
【請求項12】
請求項7記載の消火栓装置において、
前記ローラ押付機構は、
前記移動台の前記ローラの両端側に回転自在に軸支されたガイドローラと、
前記門柱部に配置され、前記ガイドローラの移動を案内するローラガイド部と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項13】
請求項7記載の消火栓装置において、
前記ローラ押付機構は、
前記移動台の前記ローラの両端側に固定されたスライドベアリングと、
前記門柱部に配置され、前記スライドベアリングの移動を案内するガイド軸と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項14】
請求項7記載の消火栓装置において、
前記押付力発生部は、
前記移動台にロッドを介して連結されたピストンと、
基台に固定され、前記ピストンを摺動自在に収納したシリンダと、
前記ピストンを前記移動台側へ押圧するばね部材と、
を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項15】
請求項7記載の消火栓装置において、
前記押付力発生部は、
前記門柱部に移動自在に支持された前記移動台の前記ローラの両端側に配置され、前記ローラと前記固定側部材との間を通過する前記消火用ホースを当該固定側部材に押し付ける力を加える引張ばねを備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項16】
請求項15記載の消火栓装置において、
前記ローラ押付機構は、
前記移動台にロッドを介して連結されたピストンと、
基台に固定され、前記ピストンを摺動自在に収納したシリンダと、
を備え、前記移動台の前記ローラの回転軸を中心とした前後方向の揺動を規制するとともに上下方向の移動を案内することを特徴とする消火栓装置。
【請求項17】
請求項1記載の消火栓装置において、
前記ホース長検出部は、消火栓扉の内側にホースガイドとして配置されるか、又は、ホース収納部の前部を仕切るフレームにホース取出口として配置されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項18】
請求項1記載の消火栓装置において、
前記消火用ホースの先端に装着された放水用ノズルと、
前記放水用ノズルを着脱自在に保持するノズル保持部と、
前記放水用ノズルの前記ノズル保持部からの取出しを検出するノズル取出検出器と、
を備え、
前記ホース長検出部は、前記ノズル取出検出器により前記放水用ノズルの取出しが検出された場合に、前記回転検出部の動作を開始させることを特徴とする消火栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放水用ノズルが装着された消火用ホース等を収納してトンネル内に設置された消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネル内には、トンネル非常用設備として消火栓装置が設置されている。消火栓装置は、消火栓扉を備えた筐体の消火栓収納部に、先端に放水用ノズルを装着した消火用ホースと消火栓弁を含むバルブ類が収納され、また、消火器扉を備えた消火器収納部に、例えば、2本の消火器が収納されている。また、消火栓装置は、一般的に、トンネル長手方向に、例えば、50メートル間隔でトンネル壁面を箱抜きして埋込み設置されている。
【0003】
また、消火栓装置には非常通報装置が設けられている。非常通報装置は、消火栓収納部と消火器収納部の間に配置された通報装置扉に赤色表示灯、発信機、応答ランプ、電話ジャックが設けられている。
【0004】
赤色表示灯は常時点灯し、消火栓装置の設置場所が遠方から確認できるようになっている。火災が発生し、発信機が押されて押釦スイッチがオンすると、火災通報信号が電気室等に設置された防災受信盤へ送信されて火災警報が出力される。火災警報を出力した防災受信盤は非常通報装置へ応答信号を送信し、赤色表示灯が点滅し、応答ランプが点灯し、防災受信盤側で火災通報信号が受信されたことが確認可能となっている(特許文献1)。
【0005】
ところで、トンネル内で事故などにより車両火災が発生した場合、道路利用者は発信機を操作して火災通報を行い、続いて、消火栓装置を使用して消火活動を行うことになる。
【0006】
道路利用者が消火栓装置を使用する場合、消火栓扉を開くことで、消火栓扉の裏面側に設置されたノズル保持部に保持された放水用ノズルが取り出し自在に露出すると共に、同じく消火栓扉の裏面側に設置された消火栓弁開閉レバーが操作可能に露出する(特許文献1、2)。
【0007】
このため、道路利用者はノズル保持部から放水用ノズルを取り出し、続いて消火栓弁開閉レバーを開位置に操作し、放水用ノズルから放水された状態で火源に向けて消火用ホースを引き出して消火することになる。また、消火栓弁開閉レバーが開位置に操作されると、ポンプ連動起動スイッチがオンしてポンプ起動信号が防災受信盤に送信され、消火ポンプ設備が起動することで、消火用水が消火用ホースに連続して供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003-310785号公報
【特許文献2】特開2021-145911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の消火栓装置にあっては、発信機の操作による消火栓装置からの火災通報信号の受信に基づき火災警報が出力されるが、その後に、道路利用者が消火栓装置を使用して消火活動を行っていることを防災受信盤側で確認することができず、監視カメラが設置されていないトンネルでは、特に道路管理者による現場確認が必要となり、消火栓装置の使用状況の確認に手間と時間がかかる問題がある。
【0010】
この問題を解決するため、本願出願人は、ホース収納部から引き出される消火用ホースの引出長を検出して防災受信盤へ伝送するホース長検出部を備えた消火栓装置を提案している(特願2022-192666号)。このため、消火栓装置には、例えば、30メートルの保形ホースを用いた消火用ホースが収納されており、防災受信盤側で消火栓装置から引き出されている消火用ホースの引出長が確認できれば、トンネル内の火災現場でどの程度の長さに消火用ホースが引き出されて放水を行っているといった、現場状況を把握することが可能となる。
【0011】
ホース引出長の検出は、消火用ホースに引出しに伴いホースに接触して回転するローラが消火栓装置に設けられ、ローラの回転数の検出に基づいてホース引出長を検出することが可能となっている。しかしながら、消火栓装置に内巻き状態で収納されている消火用ホースが引き出された場合には、内巻き状態の解放に伴いホースの引出し部分が振り回される動きが発生し、ホース引出長を検出するために設けられたローラとの接触が不安定となり、引出長を正確に検出できなくなる問題がある。
【0012】
本発明は、引き出される消火用ホースをローラに確実に接触させてローラの回転数から正確に消火用ホースの引出長を検出することを可能にする消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(消火栓装置)
本発明は、筐体内のホース収納部に収納された消火用ホースが消火活動により引き出されるときの引出長を検出して防災受信盤へ伝送するホース長検出部を備えた消火栓装置であって、
ホース長検出部は、
消火用ホースの引出側に配置され、消火用ホースの引出しに伴う接触を受けて回転するローラと、
ローラとの接触を保つように消火用ホースとローラとを押付け合うホース押付部と、
ローラの回転に基づいて消火用ホースの引出長を検出する回転検出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
(ばね板部材によるホース押付)
ホース押付部は、板ばねを用いて消火用ホースをローラに押し付ける板ばね押付機構を備える。
【0015】
(第1の板ばね押付機構)
第1の板ばね押付機構は、
所定間隔離れて基台上に起立した一対の門柱部の間にローラを回転自在に軸支する門型状の支持枠と、
門柱部に回転自在に支持されたローラの上側に、消火用ホースを通過させる所定の間隔を介して配置された板ばねと、
板ばねの一端を門柱部の一方に固定する板ばね固定部と、
板ばねの他端を門柱部の他方に、板ばねの板面に直交する方向の変位に伴う長手方向の変位を吸収可能に連結するリンクアームと、
を備える。
【0016】
(第2の板ばね押付機構)
第2の板ばね押付機構は、
所定間隔離れて基台上に起立した一対の門柱部の間にローラを回転自在に軸支する門型状の支持枠と、
門柱部に回転自在に支持されたローラの上側に、消火用ホースを通過させる所定の間隔を介して両端が門柱部の各々に固定された板ばねと、
板ばねの消火用ホースと接触しない位置に形成され、板ばねの板面に直交する方向の変位に伴う長手方向の変位を吸収する屈曲部と、
を備える。
【0017】
(板ばねの湾曲形状)
板ばねは、中央でローラとの間隔が最大となるように湾曲している。
【0018】
(ローラ押付機構)
ホース押付部は、固定側部材との間を通過する消火用ホースにローラを押し付けるローラ押付機構を備える。
【0019】
(ローラ押付機構)
ローラ押付機構は、
所定間隔離れて起立した門柱部の間に固定側部材を支持した門型状の支持枠と、
固定側部材との間に消火用ホースが通過する間隔を空けてローラを回転自在に軸支し、門柱部に沿って移動自在に配置された移動台と、
固定側部材との間を通過する消火用ホースにローラを押し付ける力を移動台に加える押付力発生部と、
ローラの回転を移動台に配置された回転検出部に伝達する回転伝達部と、
を備える。
【0020】
(ストッパ部)
ローラ押付機構は、消火用ホースが通過する固定側部材とローラとの間隔が所定値以下とならないように移動台の移動を規制するストッパ部を備える。
【0021】
(はみ出し防止部)
ローラ押付機構は、消火用ホースがローラの両端側からはみ出さない接触範囲を当該ローラの中央側の所定範囲に規制するはみ出し防止部を備える。
【0022】
(固定側部材となる受けローラ)
固定側部材は、門柱部に両端が回転自在に支持された受けローラである。
【0023】
(湾曲面ローラ)
あるいは、固定側部材は、両端が門柱部に回転自在に支持され、ローラとの間隔が中央部で最大となる湾曲受けローラである。
【0024】
(移動台のガイドローラ移動機構)
ローラ押付機構は、
移動台のローラの両端側に回転自在に軸支されたガイドローラと、
門柱部に配置され、ガイドローラの移動を案内するローラガイド部と、
を備える。
【0025】
(移動台のスライドベアリング移動機構)
あるいは、ローラ押付機構は、
移動台のローラの両端側に固定されたスライドベアリングと、
門柱部に配置され、スライドベアリングの移動を案内するガイド軸と、
を備える。
【0026】
(第1の押付力発生部)
第1の押付力発生部は、
移動台にロッドを介して連結されたピストンと、
基台に固定され、ピストンを摺動自在に収納したシリンダと、
ピストンを移動台側へ押圧するばね部材と、
を備える。
【0027】
(第2の押付力発生部)
第2の押付力発生部は、
門柱部に移動自在に支持された移動台のローラの両端側に配置され、ローラと固定側部材との間を通過する消火用ホースを当該固定側部材に押し付ける力を加える引張ばねを備える。
【0028】
(移動台の移動方向以外の動きを規制)
ローラ押付機構は、押付力発生部に前述する引張ばねを設けた場合、
移動台にロッドを介して連結されたピストンと、
基台に固定され、ピストンを摺動自在に収納したシリンダと、
を備え、移動台のローラの回転軸を中心とした前後方向(消火用ホースの移動方向)の揺動を規制するとともに上下方向の移動を案内する。
【0029】
(ホースガイド又はホース取出口としてのホース長検出部の配置)
ホース長検出部は、消火栓扉の内側にホースガイドとして配置されるか、又は、ホース収納部の前部を仕切るフレームにホース取出口として配置される。
ノズル取出検出によるホース検出部の動作開始)
消火用ホースの引出長を検出する引出長検出部を備えた消火栓装置は、
消火用ホースの先端に装着された放水用ノズルと、
放水用ノズルを着脱自在に保持するノズル保持部と、
放水用ノズルの前記ノズル保持部からの取出しを検出するノズル取出検出部と、
を備え、
ホース長検出部は、ノズル取出検出部により放水用ノズルの取出しが検出された場合に、回転検出部の動作を開始させる。
【発明の効果】
【0030】
(消火栓装置の効果)
本発明は、筐体内のホース収納部に収納された消火用ホースが消火活動により引き出されるときの引出長を検出して防災受信盤へ伝送するホース長検出部を備えた消火栓装置であって、ホース長検出部は、消火用ホースの引出側に配置され、消火用ホースの引出しに伴う接触を受けて回転するローラと、ローラとの接触を保つように消火用ホースとローラとを押付け合うホース押付部と、ローラの回転に基づいて消火用ホースの引出長を検出する回転検出部と、を備えたため、ホース収納部から引き出される消火用ホースは、ホース押付部によってローラと消火用ホースが押付け合うことで、消火用ホースの引出しに伴う内巻き状態の解放によってホース引出し部分が振り回される運動を発生しても、消火用ホースとローラとの接触が維持され、消火用ホースの引出しに伴いローラを確実に回転し、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0031】
(ばね板部材によるホース押付の効果)
また、ホース押付部の第1実施形態は、板ばねを用いて消火用ホースをローラに押し付ける板ばね押付機構を備えるものであり、第1の板ばね押付機構として、所定間隔離れて基台上に起立した一対の門柱部の間にローラを回転自在に軸支する門型状の支持枠と、門柱部に回転自在に支持されたローラの上側に、消火用ホースを通過させる所定の間隔を介して配置された板ばねと、板ばねの一端を門柱部の一方に固定する板ばね固定部と、板ばねの他端を門柱部の他方に、板ばねの板面に直交する方向(上下方向)の変位に伴う長手方向(左右方向)の変位を吸収可能に連結するリンクアームと、を備えたため、板ばねを用いて消火用ホースをローラに押し付ける簡単な構造により、消火用ホースのローラに対する接触を維持してホース引出長を正確に検出することが可能となる。また、板ばねの一端は固定され、板ばねの他端はリンクアームを介して固定されることで、消火用ホースの動きによる板ばねの上下方向に伴う左右方向の変位がリンクアームが回動する動きで吸収され、板ばねが上下に動いても消火用ホースをローラに押し付ける力(ばね荷重)を安定させることが可能となる。
【0032】
また、第2の板ばね押付機構として、所定間隔離れて基台上に起立した一対の門柱部の間にローラを回転自在に軸支する門型状の支持枠と、門柱部に回転自在に支持されたローラの上側に、消火用ホースを通過させる所定の間隔を介して両端が門柱部の各々に固定された板ばねと、板ばねの消火用ホースと接触しない位置に形成され、板ばねの板面に直交する方向の変位に伴う長手方向の変位を吸収する屈曲部と、を備えたため、第1の板ばね押付機構が板ばねの上下方向に伴う左右方向の変位をリンクアームが回動する動きで吸収しているのに対し、第2の板ばね押付機構の場合は、板ばねの上下方向に伴う左右方向の変位を板ばね両端の固定側に高い位置に設けた屈曲部が伸縮して吸収し、板ばねに屈曲部を形成するといった簡単な構造で、板ばねが上下に動いても消火用ホースをローラに押し付ける力(ばね荷重)を安定させることが可能となる。
【0033】
(板ばねの湾曲形状の効果)
また、板ばねは、中央でローラとの間隔が最大となるように湾曲したため、板ばねとローラとの間を通過している消火用ホースは、板ばねの湾曲した中央部にセンタリングするように押し付けられ、消火用ホースを常にローラの中央付近に押し付けた状態を維持し、消火用ホースに接触するローラの回転が安定し、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0034】
(ローラ押付機構の効果)
また、ホース押付部の第2実施形態として、固定側部材との間を通過する消火用ホースにローラを押し付けるローラ押付機構を備えるものであり、ローラ押付機構は、所定間隔離れて起立した一対の門柱部の間に固定側部材を支持した門型状の支持枠と、固定側部材との間に消火用ホースが通過する間隔を空けてローラを回転自在に軸支し、門柱部に沿って移動自在に配置された移動台と、固定側部材との間を通過する消火用ホースにローラを押し付ける力を移動台に加える押付力発生部と、ローラの回転を移動台に配置された回転検出部に伝達する回転伝達部と、を備えたため、押付力発生部により移動台に押付力を加え、固定側部材との間を通過する消火用ホースに移動台に回転自在に軸支したローラを押し付けることで、消火用ホースの引出しに伴う内巻き状態の解放によってホース引出し部分が振り回される運動を発生しても、消火用ホースとローラとの接触が維持され、消火用ホースの引出に伴いローラを確実に回転し、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0035】
(ストッパ部の効果)
また、ローラ押付機構は、消火用ホースが通過する固定側部材とローラとの間隔が所定値以下とならないように移動台の移動を規制するストッパ部を備えたため、固定側部材との間をを通過する消火用ホースにローラを押し付けても、消火用ホースが通過する間隔が所定値以下とならず、消火用ホースが押し潰されることなく、ローラとの接触を保つことが可能となる。
【0036】
(はみ出し防止部の効果)
また、ローラ押付機構は、消火用ホースがローラの両端側からはみ出さない接触範囲を当該ローラの中央側の所定範囲に規制するはみ出し防止部を備えたため、消火用ホースがローラの両端側からから外れることなく接触を維持し、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。なお、はみ出し防止部とストッパ部は個別に設けても良いが、はみ出し防止部の一部をストッパ部とする場合を含む。
【0037】
(固定側部材となる受けローラの効果)
また、固定側部材は、門柱部に両端が回転自在に支持された受けローラであるため、固定側の受けローラと移動台により押し付けられるローラとの間を通過するホースとの接触により、ローラ及び受けローラの両方が回転し、消火用ホースの引出し抵抗が低減され、軽い力で消火用ホースを引き出すことが可能となる。
【0038】
(湾曲面ローラの効果)
あるいは、固定側部材は、両端が門柱部に回転自在に支持され、ローラとの間隔が中央部で最大となる湾曲受けローラであるため、湾曲受けローラと移動台のローラとの間を通過している消火用ホースは、湾曲受けローラの湾曲した中央部にセンタリングするように押し付けられ、消火用ホースが常にローラの中央付近に押し付けられた状態を維持し、消火用ホースに接触するローラの回転が安定し、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0039】
(移動台のガイドローラ移動機構の効果)
また、ローラ押付機構は、移動台のローラの両端側に回転自在に軸支されたガイドローラと、門柱部に配置され、ガイドローラの移動を案内するローラガイド部と、を備えたため、移動台を、姿勢を保ったまま上下方向に平行移動し、ガイドローラの回転による移動であることから移動抵抗も少ない。このように、移動台の滑らかな平行移動によりローラが消火用ホースに確実に接触することで、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0040】
(移動台のスライドベアリング移動機構の効果)
あるいは、ローラ押付機構は、移動台のローラの両端側に固定されたスライドベアリングと、門柱部に配置され、スライドベアリングの移動を案内するガイド軸と、を備えたため、ガイド軸に沿ったスライドベアリンクの移動で移動台を、姿勢を保ったまま上下方向に平行移動し、スライドベアリングの摺動による移動であることから移動抵抗も少ない。このように、移動台の滑らかな平行移動によりローラが消火用ホースに確実に接触することで、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0041】
(第1の押付力発生部の効果)
また、第1の押付力発生部は、移動台にロッドを介して連結されたピストンと、基台に固定され、ピストンを摺動自在に収納したシリンダと、ピストンを移動台側へ押圧するばね部材と、を備えたため、移動台の押上げによって、消火用ホースにローラを接触させるために必要な押付力が確実に発生可能となる。
【0042】
(第2の押付力発生部の効果)
また、第2の押付力発生部は、門柱部に移動自在に支持された移動台のローラの両端側に配置され、ローラと固定側部材との間を通過する消火用ホースを当該固定側部材に押し付ける力を加える引張ばねを備えたため、例えば、移動台のローラの両端側に軸支したガイドローラの部分に引張ばねの下端を固定して引き上げることで、移動台の移動でローラを消火用ホースに確実に接触させて、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0043】
(移動台の移動方向以外の動きを規制する効果)
また、ローラ押付機構は、押付力発生部に前述する引張ばねを設けた場合、移動台にロッドを介して連結されたピストンと、基台に固定され、ピストンを摺動自在に収納したシリンダと、を備え、移動台のローラの回転軸を中心とした前後方向(消火用ホースの移動方向)の揺動を規制するとともに上下方向の移動を案内するため、シリンダ内を摺動するピストンによって移動台のローラの回転軸を中心とした前後方向の揺動が規制されるとともに、ローラを軸支した移動台の姿勢を維持したまま上下方向となる移動方向に平行移動するように案内してローラを消火用ホースに押し付けることが可能となる。
【0044】
(ホースガイド又はホース取出口としてのホース長検出部の配置の効果)
また、ホース長検出部は、消火栓扉の内側にホースガイドとして配置されるか、又は、ホース収納部の前部を仕切るフレームにホース取出口として配置されるため、消火用ホースの引出長検出部を、消火栓扉の内側に配置するホースガイドとしての機能を兼用可能とし、また、ホース収納部のホース取出口としての機能を兼用可能とする。
【0045】
(ノズル取出検出によるホース検出部の動作開始)
また、消火用ホースの引出長を検出する引出長検出部を備えた消火栓装置は、消火用ホースの先端に装着された放水用ノズルと、放水用ノズルを着脱自在に保持するノズル保持部と、放水用ノズルの前記ノズル保持部からの取出しを検出するノズル取出検出部と、
を備え、ホース長検出部は、ノズル取出検出部により放水用ノズルの取出しが検出された場合に、回転検出部の動作を開始させるため、回転検出部の動作が開始するのは、道路利用者が消火用ホースを引き出すために放水用ノズルを取り出した場合であり、運用中(通常時の消火活動が行われていない状態)は動作が停止していることで、消費電力の節減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】消火栓装置が備わるトンネル非常用設備の概要を示した説明図である。
【
図3】消火栓扉及び保守扉が開いた状態での消火栓装置の内部構造を正面から示した説明図である。
【
図4】消火栓扉が開いた状態での消火栓装置の内部構造を平面からの断面で示した説明図である。
【
図5】消火栓扉が開いた状態での消火栓装置の内部構造を側面からの断面で示した説明図である。
【
図6】板ばね押付機構を備えたホース長検出部の第1実施形態を示した説明図である。
【
図7】
図6のホース長検出部の内部構造を断面で示した説明図である。
【
図8】屈曲部を形成した板ばねの変形例を示した説明図である。
【
図9】ホース長検出部に設けられた板ばねの一部を取出して示した説明図である。
【
図10】ホース長検出部の第1実施形態に対応した端末制御装置の構成を示した説明図である。
【
図11】ホース取出口にホース長検出部が配置された消火栓装置を示した説明図である。
【
図12】消火栓扉が開いた状態での
図11の消火栓装置の内部構造を側面からの断面で示した説明図である。
【
図13】ローラ押付機構を備えたホース長検出部の第2実施形態を示した説明図である。
【
図14】
図13のホース長検出部の内部構造を断面で示した説明図である。
【
図15】湾曲受けローラを備えたホース長検出部の第2実施形態の変形例を示した説明図である。
【
図16】移動台がスライドベアリングにより移動するホース長検出部の第2実施形態の変形例を示した説明図である。
【
図17】移動台が引張ばねにより移動するホース長検出部の第2実施形態の変形例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に、本発明に係る消火栓装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0048】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に、筐体内のホース収納部に収納された消火用ホースが消火活動により引き出される消火栓装置に関するものである。
【0049】
ここで、「消火栓装置」とは、消火対象領域となる、例えば、高速道路や自動車専用道路のトンネル内等に設置される非常用設備の一種であり、内部に消火用ホース等の消火栓機器が収納又は設置されたものであり、その他にも、赤色表示灯や発信機等の非常通報機器が設置されたり、消火器が収納されたりするものも含む。
【0050】
また、「消火栓機器」には、内部に引き出し自在に収納され、先端に放水用ノズルが装着された消火用ホース、放水用ノズルを着脱自在に保持するノズル保持部、消火栓弁を含むバルブ類、消火栓弁の開閉操作を行う消火栓弁開閉操作部等が含まれる。
【0051】
また、実施形態の「消火栓装置」にあっては、ホース収納部からの消火用ホースの引出長を検出して防災受信盤へ伝送する「ホース長検出部」を備える。
【0052】
ここで、「消火用ホースの引出長」とは、道路利用者が消火栓を使用するために、消火栓装置の消火栓扉を開き、筐体内のホース収納部に内巻きで収納されている、例えば、30メートルの消火用ホースの先端に装着されている放水用ノズルが、ノズル保持部から取り出されて外部に引き出された場合の消火用ホースの引出された長さであり、メートル単位の長さに加え、1/3引出し、1/2引出しといったホース全長に対する引き出された割合を示す概念を含むものである。なお、ホースが引き出されている状態を「ホースの引出し」と記すことがある。
【0053】
このため、防災受信盤側で消火栓装置から引き出されている消火用ホースの引出長が確認できるので、トンネル内の火災現場でどの程度の長さに消火用ホースが引き出されて放水を行っているか、といった現場状況を把握することが可能となる。また、引き出された消火用ホースの引出長から、防災受信盤側で火災現場が消火栓装置の設置場所に近い場所か離れた場所かが分かり、火災発生場所の推定も可能となる。
【0054】
実施形態の「ホース長検出部」は、ローラ、ホース押付部および回転検出部で構成されるものである。ここで、「ローラ」とは、消火用ホースの引出側に配置され、消火用ホースの引出しに伴う接触を受けて回転するものである。また「ホース押付部」とは、消火用ホースとローラとの接触を保つように消火用ホースとローラを押付け合うものである。なお、「消火用ホースとローラとを押付け合う」とは、消火用ホースをローラに押し付ける場合と、ローラを消火用ホースに押し付ける場合とを含むものである。また、「回転検出部」とは、ローラの回転に基づいて消火用ホースの引出長を検出するものである。
【0055】
「ホース押付部」は、第1実施形態となる「板ばね押付機構」と、第2実施形態となる「ローラ押付機構」とを含むものである。
【0056】
ここで、「板ばね押付機構」とは、板ばねを用いて消火用ホースをローラに押し付ける機構である。また、「板ばね押付機構」には「第1の板ばね押付機構」と「第2の板ばね押付機構」がある。
【0057】
「第1の板ばね押付機構」は、支持枠、板ばね、ばね固定部及びリンクアームで構成される。ここで、「支持枠」とは、所定間隔離れて基台上に起立した一対の門柱部の間にローラを回転自在に軸支する門型状の枠部材である。また、「板ばね」とは、門柱部に回転自在に支持されたローラの上側に、消火用ホースを通過させる所定の間隔を空けて配置されたプレート状のばねである。また、「板ばね固定部」とは、板ばねの一端を門柱部の一方に固定する固定部材である。さらに、「リンクアーム」とは、板ばねの他端を門柱部の他方に、板ばねの板面に直交する方向の変位に伴う長手方向の変位を吸収可能に連結するものである。
【0058】
このため、「第1の板ばね押付機構」によれば、板ばねを用いて消火用ホースをローラに押し付ける簡単な構造により、消火用ホースのローラに対する接触を維持してホース引出長を正確に検出することが可能となる。
【0059】
また、板ばねの一端は門柱部に固定されるが、板ばねの他端はリンクアームを介して門柱部に連結されることで、消火用ホースの動きによる板ばねの上下方向の変位に伴う左右方向の変位をリンクアームが回動する動きで吸収し、板ばねが上下に動いても消火用ホースをローラに押し付ける力(ばね荷重)を安定させることが可能となる。ここで、「リンクアーム」は、例えば、公知の車両リアサスペンションに用いられる重ね板ばね(リーフスプリング)の片側の連結に使用される「シャックル(リーフスプリングのスパンの変化を吸収するリンク)」に相当するものである。
【0060】
また、「第2の板ばね押付機構」は、支持枠、板ばね、及び板ばねの屈曲部で構成されるものである。ここで、「支持枠」は「第1の板ばね押付機構と同様であるが、「板ばね」は、門柱部に回転自在に支持されたローラの上側に、消火用ホースを通過させる所定の間隔を空けて両端が門柱部の各々に固定されるように配置されるものである。
【0061】
また、「板ばねの屈曲部」とは、消火用ホースと接触しない位置に形成され、板ばねの板面に直交する方向の変位に伴う長手方向の変位を吸収するように折り曲げられた構造である。「板ばねの屈曲部」は、屈曲部の伸縮により第1の板ばね押付機構のリンクアームと同様に、板ばねの上下方向の変位に伴う左右方向の変位を吸収する機能を果たすものであり、板ばねに屈曲部を形成するといった簡単な構造で実現可能とするものである。
【0062】
また、「板ばね」は、中央でローラとの間隔が最大となるように湾曲されている。このため、板ばねとローラとの間を通過する消火用ホースは、板ばねの湾曲した中央部にセンタリングするように押し付けられ、消火用ホースを常にローラの中央付近に押し付けた状態を維持することで、消火用ホースに接触するローラの回転が安定し、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0063】
また、「ホース押付部」の第2実施形態となる「ローラ押付機構」は、固定側部材との間を通過する消火用ホースにローラを押し付ける機構であり、その構成は任意であるが、例えば、支持枠、移動台、押付力発生部及び回転伝達部で構成される。
【0064】
ここで、「支持枠」とは、第1実施形態の「板ばね押付機構」の場合と同様である。また、「移動台」とは、固定側部材との間に消火用ホースが通過する間隔を空けてローラを回転自在に軸支し、門柱部に沿って移動自在に配置されるものである。また、「押付力発生部」とは、固定側部材との間を通過する消火用ホースにローラを押し付ける力を移動台に加えるものである。さらに、「回転伝達部」とは、ローラの回転を移動台に配置された回転検出部に伝達するものである。
【0065】
このため、「ローラ押付機構」によれば、押付力発生部により移動台に押付力を加え、移動台に回転自在に軸支されたローラを、固定側部材との間を通過している消火用ホースに押し付けることで、消火用ホースとローラとの接触が維持され、消火用ホースの引出しに伴いローラが確実に回転し、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0066】
また、「ローラ押付機構」には、消火用ホースが通過する固定側部材とローラとの間隔が所定値以下とならないように移動台の移動を規制する「ストッパ部」が設けられている。このため、固定側部材との間を通過している消火用ホースにローラを押し付けても、ストッパ部により消火用ホースが通過する間隔が所定値以下とならず、消火用ホースを押し潰すことなく、ローラとの接触を保つことが可能となる。
【0067】
また、「ローラ押付機構」には、消火用ホースがローラの両端側からはみ出さない接触範囲を当該ローラの中央側の所定範囲に規制する「はみ出し防止部」が設けられている。このため、「はみ出し防止部」により消火用ホースがローラの両端側から外れることなく消火用ホースとローラとの接触が維持され、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。なお、「はみ出し防止部」と「ストッパ部」は個別に設けられてもよいし、「はみ出し防止部」の一部が「ストッパ部」となっていてもよい。
【0068】
また、消火用ホースが通過した状態で移動台のローラと押付け合う「固定側部材」は、門柱部に両端が回転自在に支持された受けローラである。このため、固定側の受けローラと移動台により押し付けられるローラとの間を通過するホースとの接触により、ローラ及び受けローラの両方が回転し、消火用ホースの引出し抵抗が低減され、軽い力で消火用ホースを引き出すことが可能となる。
【0069】
また、「固定側部材」は、ローラとの間隔が中央部で最大となる「湾曲受けローラ」とする場合を含むものである。このため、湾曲受けローラと移動台のローラとの間を通過している消火用ホースは、湾曲受けローラの湾曲した中央部にセンタリングするように押し付けられ、ローラに加わる力のバランスが保たれて消火用ホースに接触するローラの回転が安定し、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0070】
また、「ローラ押付機構」は、移動台のローラの両端側に回転自在に軸支された「ガイドローラ」と、門柱部に配置され、ガイドローラの移動を案内する「ローラガイド部」とを備える。このため、ガイドローラとローラガイド部により移動台が上下方向に姿勢を保ったまま平行移動し、ガイドローラの回転による移動であることから移動抵抗も少ない。このように、移動台の滑らかな平行移動によりローラが消火用ホースに確実に接触することで、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0071】
あるいは、「ローラ押付機構」は、移動台のローラの両端側に固定された「スライドベアリング」と、門柱部に配置され、スライドベアリングの移動を案内する「ガイド軸」とを備える。このため、ガイド軸に沿ったスライドベアリンクの移動で移動台が上下方向に姿勢を保ったまま平行移動し、スライドベアリングの摺動による移動であることから移動抵抗も少ない。このように、移動台の滑らかな平行移動によりローラが消火用ホースに確実に接触することで、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0072】
また、ローラ押付機構の「押付力発生部」には、「第1の押付力発生部」と「第2の押し圧力発生部」がある。
【0073】
ここで、「第1の押付力発生部」は、移動台にロッドを介して連結されたピストンと、基台に固定され、ピストンを摺動自在に収納したシリンダと、ピストンを移動台側へ押圧するばね部材とで構成され、移動台の押上げによって、消火用ホースにローラを接触させるために必要な押付力が確実に発生可能となる。
【0074】
また、「第2の押付力発生部」は、門柱部に移動自在に支持された移動台のローラの両端側に配置され、ローラと固定側部材との間を通過する消火用ホースを当該固定部材に押し付ける力を加える引張ばねを備える。このため、例えば、移動台のローラの両端側に軸支されたガイドローラの部分に引張ばねの下端が固定され、この引張ばねにより引き上げられて移動台が上方へ移動し、ローラを消火用ホースに確実に接触させることで、ローラの回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0075】
また、引張ばねを備えた第2の押付力発生部の場合、移動台にロッドを介して連結されたピストンと、基台に固定され、ピストンを摺動自在に収納して移動台の移動方向を規制するシリンダを設けた案内構造が設けられる。このため、シリンダ内を摺動するピストンによって、移動台のローラの回転軸を中心とした前後方向の揺動が規制され、また、移動体の上下方向となる移動方向の動きが案内され、ローラを軸支した移動台の姿勢を維持したまま平行移動してローラを消火用ホースに押し付けることが可能となる。
【0076】
また、実施形態のホース長検出部は、消火栓扉の内側にホースガイドとして配置されるものであり、消火栓扉の内側に配置されるホースガイドとしての機能が兼用可能である。ここで、「ホースガイド」とは、消火栓扉の裏面側に起立した門型状の部材であり、ホース収納部から引き出された消火用ホースが通過することで、消火用ホースをホース引出し方向に案内する部材である。また、実施形態のホース長検出部は、ホース収納部の前部を仕切るフレームにホース取出口として配置されてもよく、この場合には、ホース収納部のホース取出口としての機能が兼用可能である。
【0077】
また、消火用ホースの引出長を検出するホース長検出部を備えた消火栓装置は、消火用ホースの先端に装着された放水用ノズルと、放水用ノズルを着脱自在に保持するノズル保持部と、放水用ノズルの前記ノズル保持部からの取出しを検出するノズル取出検出部と、
を備える。
【0078】
このため、ノズル取出検出部により放水用ノズルの取出しが検出された場合に、回転検出部の動作を開始させるため、回転検出部の動作が開始するのは、道路利用者が消火用ホースを引き出すために放水用ノズルを取り出した場合であり、運用中(通常時の消火活動が行われていない状態)は動作が停止していることで、消費電力の節減が可能となる。
【0079】
以下、具体的な実施形態を説明する。実施形態は、「ホース長検出部」を「板ばね押付機構を備えた第1実施形態」と「ローラ押付機構を備えた第2実施形態」に分けて説明するものであり、また、ホース収納部に内巻きで収納された消火用ホースが「消火栓扉の裏面側にホースガイドとして配置されたホース長検出部」を通って外部に引き出されか、又は、「ホース収納部のフレームにホース取出口として配置されたホース長検出部」を通って外部に引き出される場合について説明するものである。
【0080】
[実施形態の具体的内容]
実施形態の消火栓装置について、次のように分けて詳細に説明する。
a.消火栓装置
a1.トンネル非常用設備の概要
a2.消火栓装置の構造
a3.消火栓装置の内部構造
b.ホース長検出部の第1実施形態
b1.ホース長検出部の構造
b2.端末制御装置の構成
b3:ホース収納部のホース取出口への配置
c.ホース長検出部の第2実施形態
c1.ホース長検出部の構造
c2.湾曲受けローラの固定側部材
c3.スライドベアリングの移動機構
c4.引張ばねによる押付力発生部
d.本発明の変形例
【0081】
[a.消火栓装置]
本実施形態の消火栓装置について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、消火栓装置が備わるトンネル非常用設備の概要を示した
図1、消火栓装置を正面から示した
図2、消火栓扉及び保守扉が開いた状態での消火栓装置の内部構造を正面から示した
図3、消火栓扉が開いた状態での消火栓装置の内部構造を平面からの断面で示した
図4、及び、消火栓扉が開いた状態での消火栓装置の内部構造を側面からの断面で示した
図5を参照する。
【0082】
ここで、
図2乃至
図5の説明では、X-Y-Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、各種扉を備えた消火栓装置の前面を正面に見て、X方向を左右方向とし、Y方向を上下方向とし、Z方向を前後方向とする。また、X方向における+X側を右側、-X側を左側とし、Y方向における+Y側を上側、-Y側を下側とし、Z方向における+Z側を前側、-Z側を後側とする。この点は、
図6乃至
図8、
図11乃至
図17においても同様となる。
【0083】
(a1.トンネル非常用設備の概要)
トンネル非常用設備の概要について説明する。
図1に示すように、トンネル非常用設備は、トンネル施設の電気室等に設置された防災受信盤12からの配線ケーブル14が、トンネル内の長手方向に敷設され、道路の片側に沿った監視員通路のトンネル壁面に、例えば、50メートル間隔で埋込設置された消火栓装置10が接続されている。また、トンネル内には、消火栓装置10と同様に、例えば、50メートル間隔で火災検知器を含む端末機器が設置されているが、図示を省略している。
【0084】
配線ケーブル14には、商用交流電源を対象とする強電用の配線ケーブルと所定の直流電圧電源を対象とする弱電用の配線ケーブル等が含まれ、弱電用の配線ケーブルは、1又は複数の信号線とコモン線で構成されるものを含む。
【0085】
防災受信盤12と端末機器との間で行われる信号の伝送には、消火栓装置10や火災検知器を含む端末機器に固有のアドレスを設定して信号の送受信を行う「R型(Recorded -type)の伝送」と、端末機器を回線単位に接続して信号を送受信する「P型(Proprietary-type)の伝送」があるが、本実施形態は、R型の伝送を例にとっている。
【0086】
また、図示を省略しているが、トンネル非常用設備として、その他に、消火ポンプ設備、IG子局設備(インテリジェント子局設備)、換気設備、警報表示板設備、ラジオ再放送設備、テレビ監視設備及び照明設備等が設置され、これらの設備は防災受信盤12に接続されて相互に信号授受を行っている。
【0087】
ここで、IG子局設備は、防災受信盤12を含むトンネル内に設置された設備とトンネル外部の遠方に設置された遠隔管理設備とを結ぶ通信設備である。また、換気設備は、トンネル内の天井側に設置されているジェットファンの運転による高い吹き出し風速によってトンネル内の空気にエネルギーを与えて、トンネル長手方向に換気の流れを起こす設備である。また、警報表示板設備は、トンネル内外の道路利用者に対してトンネル内の異常を電光表示板に表示して知らせる設備である。また、ラジオ再放送設備は、トンネル内で道路利用者等が道路管理者からの情報を受信できるようにするための設備である。また、テレビ監視設備は、道路管理者が火災の規模や位置を確認したり、水噴霧設備の作動、避難誘導を行う場合等のトンネル内の状況を把握したりするための設備である。また、照明設備は、トンネル内の照明機器を駆動する設備である。
【0088】
(a2.消火栓装置の構造)
次に、消火栓装置の構造について説明する。
図2に示すように、消火栓装置10は、内部が消火栓収納部となる第1筐体10aと、内部が消火器収納部となる第2筐体10bとに分割された構造であり、筐体10a,10bの前面に化粧枠11a,11bが装着されている。
【0089】
筐体10aの化粧枠11aの扉開口部は上下に分割され、扉開口部の下側にヒンジ16aにより下向きに開く前傾式の消火栓扉16が、扉開口部の上側にヒンジ18aにより上向きに開く保守扉18が設けられ、その内部である消火栓収納部に消火栓機器として消火用ホースと消火栓弁を含むバルブ類が収納されている。消火栓扉16には扉ハンドル1610が設けられ、道路利用者は、扉ハンドル1610に手を入れて手前に引く操作を行うことで、ロックが解除されて消火栓扉16を開くことができる。
【0090】
筐体10bの化粧枠11bの扉開口部の左側には、ヒンジ22aにより左向きに横開きする消火器扉22が設けられ、内部である消火器収納部に、例えば、2本の消火器が収納可能となっている。消火器扉22には扉ハンドル2210が設けられ、道路利用者は、扉ハンドル2210に手を入れて手前に引く操作を行うことで、ロックが解除されて消火器扉22を開くことができる。また、消火器扉22の下側には覗き窓2220が設けられ、外部から消火器の有無が確認可能となっている。
【0091】
化粧枠11bの扉開口部の右側には、ヒンジ24aにより右向きに横開きする電装扉24が設けられている。電装扉24の表側には電装機器として、例えば、赤色表示灯26、発信機28及び応答ランプ30が設けられ、電装扉24の裏側の筐体10b内には電話ジャックが設けられている。このように電装扉24の表裏に設けられた赤色表示灯26、発信機28、応答ランプ30及び電装扉24の裏側の電話ジャックにより非常通報装置が構成されている。
【0092】
赤色表示灯26は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から確認できるようになっている。火災が発生した場合には、発信機28が押されて押釦スイッチがオンすると、火災通報信号(発信信号)が電気室等に設置された防災受信盤12に送信され、これを受信した防災受信盤12から火災警報が出力される。これに伴い、防災受信盤12から応答信号が消火栓装置10側に送信され、これを受信した非常通報装置は、赤色表示灯26が点滅し、応答ランプ30が点灯する。
【0093】
(a3.消火栓装置の内部構造)
次に、
図3に示した消火栓装置10の内部構造について説明する。
図3に示すように、消火栓収納部20となる筐体10aの内部は、バルブ類収納部2010とホース収納部2020に分けられている。
【0094】
バルブ類収納部2010には、外部から引き込まれた給水配管48に給水栓50が接続されると共に、給水配管48が下向きに分岐して消火栓弁52及び自動調圧弁54を介して消火用ホース58に接続されている。
【0095】
ホース収納部2020には、ホース収納フレーム64が設けられ、下側から引き込まれた消火用ホース58が右回り又は左回の内巻きで収納されている。消火栓扉16の裏面側には、
図3乃至
図5に示すように、ホースガイドとして機能するホース長検出部70が配置されている。ホース収納部2020からホース長検出部70を通って引き出された消火用ホース58の先端には放水用ノズル60が装着され、放水用ノズル60は、消火栓扉16の裏面側に設置されたノズルホルダー62に着脱自在に保持されている。
【0096】
道路利用者が消火活動を行う場合には、消火栓扉16を開いてノズルホルダー62から放水用ノズル60を取出して消火用ホース58を引き出す。この場合に、
図5に示すように、消火用ホース58がホース長検出部70を通って引き出されることで、ホース長検出部70は消火用ホース58のホース引出長を検出して防災受信盤へ伝送する。ホース長検出部70の詳細は後の説明で明らかにされる。
【0097】
消火栓弁52は、消火栓扉16の裏面側に設置された操作ボックス55に設けられた消火栓弁開閉レバー56により開閉操作されるものであり、消火栓弁52に設けられた連動ボックス68と操作ボックス55との間に設けられた公知のワイヤーリンク機構とにより、消火栓弁開閉レバー56の開閉操作に連動して開閉する。
【0098】
また、消火栓弁52の開閉に対応してオン、オフするポンプ起動連動スイッチ43が連動ボックス68に内蔵され、給水栓50の右上には消防隊が使用するポンプ起動スイッチ42が設けられている。
【0099】
また、ノズルホルダー62にはノズル取出検出スイッチ44が設けられている。ノズル取出検出スイッチ44は、道路利用者がノズルホルダー62から放水用ノズル60を取り出した場合に作動するスイッチであり、その構造や種類は任意であるが、例えば、ノズルホルダー62に対する放水用ノズル60の着脱に応じて作動する、スイッチノブやスイッチレバーを備えたリミットスイッチが使用される。実施形態では、ノズルホルダー62に放水用ノズル60が保持された状態でスイッチ接点をオフし、ノズルホルダー62から放水用ノズル60が取り出されるとスイッチ接点をオンするノズル取出検出スイッチ44となっている。
【0100】
筐体10bの内部(消火器扉22側)は消火器収納部23であり、2本の消火器40が収納されている。消火器収納部23の後面には端子箱34,36が設置されている。端子箱34には、電装扉24に設けられた赤色表示灯26が配線用ケーブルを介して接続され、端子箱36には、電装扉24に設けられた発信機28、応答ランプ30、電話ジャック32、バルブ類収納部2010に設けられたポンプ起動スイッチ42、及び、操作ボックス55に内蔵されたポンプ起動連動スイッチが配線用ケーブルを介して接続されている。
【0101】
また、筐体10a内のバルブ類収納部2010の中央付近からホース収納部2020にかけて上部にケーブルラック69が設置されている。ケ-ブルラック69には、外部からバルブ類収納部2010に引き込まれた強電用ケーブルを端子箱34に接続するために強電用ケーブルと、外部からバルブ類収納部2010に引き込まれた弱電用ケーブルを端子箱36に接続するために弱電用ケーブルが挿通され、更に、ポンプ起動スイッチ42と操作ボックス55に内蔵されたポンプ起動連動スイッチからの配線用ケーブルを端子箱34に接続するために配線用ケーブルが挿通されている。
【0102】
また、消火器収納部23の後面の端子箱34,36の下側には端末制御装置46が設置され、
図1に示した防災受信盤12との間でR伝送方式により信号が送受信可能となっている。
【0103】
[b.ホース長検出部の第1実施形態]
次に、消火栓装置に設けられたホース長検出部の第1実施形態について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、板ばね押付機構により消火用ホースをローラに押し付けるホース長検出部の第1実施形態を示した
図6、
図6のホース長検出部の内部構造を断面で示した
図7、屈曲部を形成した板ばねの変形例を示した
図8、ホース長検出部に設けられた板ばねの一部を取出して示した
図9、及びホース長検出部の第1実施形態に対応した端末制御装置の構成を示した
図10を参照する。なお、
図6(A)は正面を示し、
図6(B)は左側面を示し、
図6(C)は平面を示し、
図6(D)は上枠板を外した状態の平面を示す。また、
図7(A)は正面から見た断面を示し、
図7(B)は右側面を示し、
図7(C)は
図7(A)の切断線a-aの断面を示す。
【0104】
(b1.ホース長検出部の構造)
第1実施形態のホース長検出部は、
図6及び
図7に示すように、板ばね82を用いて消火用ホース58をローラ80に押し付ける板ばね押付機構を備えるものである。
【0105】
本実施形態の板ばね押付機構は、基台72、支持枠74、ローラ80、板ばね82及び回転検出器84で構成されている。基台72はフラットな板部材であり、
図3乃至
図5に示したように、消火栓扉16の裏面側にホース長検出部70を取付け固定するために使用される。
【0106】
支持枠74は、所定間隔離れて基台72上に一対の門柱部76が起立し、門柱部76の上部に上枠板78を固定した門型状の枠部材であり、門柱部76の下側にローラ80を回転自在に軸支している。
【0107】
ここで、ローラ80の材質は任意であるが、軽量化を図るため、例えば、合成樹脂で形成され両端が塞がれた円筒体であり、円筒面には消火用ホース58との接触による摩擦回転を確実にするため、例えば、ゴム等の軟質層が被覆されている。
【0108】
また、ローラ80を軸支する構造も任意であるが、例えば、
図7に示すように、ローラ80の両端のローラ軸86を、左右の門柱部76の下側の所定位置に配置された軸受88で支持し、左端のローラ軸86の外部に取り出されたねじ部をナット90により固定することで、回転自在にローラ80を軸支する。
【0109】
また、右側の門柱部76に設けられた軸受88には、門柱部76の外側に取付け固定しされた回転検出器84の回転検出軸92が連結され、ローラ80の回転を回転検出器84で検出可能となっている。回転検出器84の構造や種類は任意であるが、例えば、ローラ80の1回転でパルス信号を1つ出力する回転パルス検出構造が設けられる。この回転パルス検出構造も任意であるが、例えば、回転する円板の半径方向の一か所にスリット開口が形成されると共に、スリット開口を挟む位置に発光素子と受光素子が配置され、円板の1回転ごとに受光部から受光パルス信号を出力するように構成されている。なお、回転検出器84は、1回転で1パルス信号を出力する構造に限定されず、1回転で所定数のパルス信号を出力する構造であってもよく、また、このような光学式に限定されず、例えば、磁気抵抗素子を使用する磁気式等の他の形式であってもよい。
【0110】
門柱部76に回転自在に支持されたローラ80の上側には、消火用ホース58を通過させる所定の間隔を空けて板ばね82が配置されている。本実施形態の板ばね82は、中央でローラ80との間隔が最大となるように湾曲した形状であり、板ばね80の左端はばね固定部94により門柱部76の内側に固定され、板ばね82の右端はリンクアーム96により門柱部76の内部に連結されている。即ち、板ばね80の右端は門柱部76の開口を介して挿入された後に、可動支点98によりリンクアーム96の一端に連結され、リンクアーム96の他端は固定支点100により門柱部76の内部に固定されている。
【0111】
ローラ80と湾曲した板ばね82の間隔は、ローラ80と板ばね82の間隔が最大となる中央部に消火用ホース58が通過した場合に、板ばね82のばね荷重を受けて消火用ホース58が潰れることなく僅かに変形する程度の間隔となっている。板ばね82による押付けを受けて消火用ホース58が上下方向に変形する度合は任意であるが、例えば、ホース径を40mmとすると数mm程度以下の所定値とすればよい。
【0112】
ここで、板ばね82が湾曲形状であることで、板ばね82とローラ80との間を通過している消火用ホース58は、板ばね80の湾曲した中央部にセンタリングするように押し付けられる。このため、消火用ホース58はローラ80の中央付近に接触してローラ80を回転させることから、ローラ80に加わる力が左右方向でバランスして回転が安定し、ローラ80の回転に基づく消火用ホース58の引出長の正確な検出が可能となる。
【0113】
また、消火用ホース58が板ばね82によりローラ80に押し付けられた状態で板ばね82とローラ80との間を通過している場合、ホース収納部からの引出しによる消火用ホース58の内巻きの解放に伴い、引出し部分で消火用ホース58が大きく旋回する動きを起こし、旋回する消火用ホース58の動きを受けて板ばね82は上下に変位する動きを起こす。
【0114】
板ばね82が上下方向に変位した場合、板ばね82が図示の位置から上側に変位すると左右の長さ(スパン)が低下し、一方、下側に変位すると左右の長さ(スパン)が増加する変位を生ずる。このような板ばね82の左右方向の変位(スパン変位)は、リンクアーム96の固定支点100を中心とした揺動による可動支点98の動きで吸収され、消火用ホース58をローラ80に押し付ける力の変動を一定範囲に抑え、押付力を安定させる。
板ばね82の上下の変位に伴う左右の変位を吸収する他の構造として、
図8に示すように、板ばね82の消火用ホース58と接触しない位置に上下方向の変位に伴う左右方向の変位を吸収する屈曲部8218が形成され、板ばね82の両端が左右の門柱部76の内側にばね固定部94で固定された構造であってもよい。ここで、本実施形態の屈曲部8218は1サイクルの波形に屈曲しているが、左右方向に変位すればよいことから、半サイクルの波形や1サイクルを超える波形としてもよい。
【0115】
このため、消火用ホース58の引出しに伴う板ばね82の上下方向の変位に伴う左右方向の変位を、板ばね82の両端の固定側の高い位置に設けられた屈曲部8218が伸縮して吸収し、板ばね82に屈曲部8218を形成するといった簡単な構造で、板ばね82が上下に動いても消火用ホース58をローラ80に押し付ける力(ばね荷重)を安定させることが可能となる。
【0116】
また、消火用ホース58がローラ80と板ばね82の間を通過する場合、ホース入口側となる板ばね82の端部のエッジ部分にホース外周面が接触することで、消火用ホース58に損耗が発生する。これを防止するため、本実施形態の板ばね82は、ホース入口側のエッジに丸みが付けられている。板ばね82のエッジ丸み付けの構造は任意であるが、例えば、
図9(A)に示すように、板ばね82の平面部となるばね本体8210のホース入り口側となる端部に曲げ部8212が形成され、また、ばね本体8210の上下方向の変位が阻害されないように、曲げ部8212に所定間隔で切欠8214を備えた構造となっている。
【0117】
また、
図9(B)に示すように、板ばね82の平面部となるばね本体8210のホース入口側となる端部に、エッジを湾曲面で包むように、例えば、軟質の合成樹脂やゴムなどで作られたホース保護カバー8216が装着又は被覆された構造であってもよい。
【0118】
このような、板ばね押付機構を備えた第1実施形態のホース長検出部70は、板ばね82を用いて消火用ホース58をローラ80に押し付ける簡単な構造により、消火用ホース58のローラ80に対する接触を維持してホース引出長を正確に検出することが可能となる。
【0119】
(b2.端末制御装置の構成)
消火栓装置に設けられる端末制御装置について、より詳細に接雌する。当該説明にあっては、ホース長検出部の第1実施形態に対応した端末制御装置の構成を示した
図10を参照する。
【0120】
ホース長検出部70に設けられた回転検出器84からの信号線は、
図10に示す端末制御装置46に接続されている。端末制御装置46は、制御部140、伝送部142及び定電圧回路144を備え、定電圧回路144からの電源ラインが ホース長検出部70の回転検出器84に給電スイッチ146を介して接続されている。
【0121】
また、制御部140にはノズル取出検出スイッチ44からの信号線が接続されている。ノズルホルダー62に放水用ノズル60が保持された運用中は、ノズル取出検出スイッチ44がオフしているため、制御部140は制御待ちのスタンバイ状態となっている。スタンバイ状態では給電スイッチ146もオフとなり、回転検出器84に対する電源供給を停止することで、消費電力の節減が図られている。
【0122】
道路利用者が消火栓装置10を使用するために消火栓扉16を開いて放水用ノズル60を取り出すと、ノズル取出検出スイッチ44がオンし、制御部140による消火用ホース58のホース引出長の検出動作が開始される。
【0123】
消火用ホース58の引出しが開始されると、
図6(A)に示したホース長検出部70のローラ80が、板ばね82に押付けられて通過する消火用ホース58の接触により回転し、回転検出器84から、例えば、1回転当り1パルスの回転パルス信号が出力される。制御部140は回転パルス信号をカウントし、ローラ80の回転数Nを検出する。ここで、ローラ80の円周ΔLは予め決まっていることから、制御部140は、ローラ80の回転数Nにローラ80の円周ΔLを乗ずることで、消火用ホース58の引出長Lをリアルタイムで検出する。
【0124】
制御部140で検出された消火用ホース58の引出長Lは、伝送部142を介して
図1に示した防災受信盤12へ伝送され、例えば、防災受信盤12のディスプレイに消火栓装置10の使用とともに、消火用ホース58の引出長Lがリアルタイムで表示され、道路利用者が消火栓装置10を使用して消火を行っている現場状況を防災受信盤12側で確認することが可能となる。
【0125】
(b3:ホース収納部のホース取出口への配置)
次に、ホース長検出部70がホース収納部のホース取出口2020に配置された実施形態について説明する。当該説明にあっては、ホース取出口にホース長検出部が配置された消火栓装置を示した
図11、及び、消火栓扉が開いた状態での
図11の消火栓装置の内部構造を側面からの断面で示した
図12を参照する。
【0126】
図11及び
図12に示すように、本実施形態にあっては、ホース収納部2020の前側に格子状に配置されたホース収納フレーム64にホース取出口が形成された消火栓装置10に対応し、ホース取出口の位置にホース長検出部70が配置されている。ホース長検出部70は、例えば、
図6乃至
図9に示したのと同様な構成であることから、その説明は省略する。また、バルブ類収納部2010に設けられた消火栓弁52を開閉操作する消火栓弁開閉レバー56は、化粧枠11aの右側面の扉開口に配置されている。
【0127】
このため本実施形態にあっては、消火栓扉16の裏面側に、
図3及び
図4に示したような、ホースガイドとして機能するホース長検出部70や消火栓弁開閉レバー56等が設けられておらず、消火栓扉16の構造が簡単になって軽量化されている。また、ホース長検出部70は、ホース収納部2020から引き出される消火用ホース58の引出長を検出するとともに、ホース収納部2020のホース取出口としての機能を兼用するものである。
【0128】
[c.ホース長検出部の第2実施形態]
次に、消火栓装置に設けられたホース長検出部の第2実施形態について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、ローラ押付機構を備えたホース長検出部の第2実施形態を示した
図13、及び、
図13のホース長検出部の内部構造を断面で示した
図14を参照する。なお、
図13(A)は正面を示し、
図13(B)は右側面を示し、
図13(C)は平面を示す。また、
図14(A)は正面から見た断面を示し、
図14(B)は
図14(A)の切断線b-bの断面を示す。
【0129】
(c1.ホース長検出部の構造)
第2実施形態のホース長検出部の構造について、より詳細に説明する。
図13及び
図14に示すように、第2実施形態のホース長検出部70は、固定側部材との間を通過する消火用ホース58にローラ80を押し付けるローラ押付機構を備える。
【0130】
本実施形態のローラ押付機構の構造は任意であるが、例えば、基台72、支持枠74、ローラ80、固定側部材となる受けローラ104、移動台102、ローラ80の回転を回転検出器84に伝達する回転伝達部で構成されている。
【0131】
基台72はフラットな板部材であり、
図3乃至
図5に示した第1実施形態の場合と同様に、消火栓扉16の裏面側にホース長検出部70を取付け固定するために使用される。支持枠74は、第1実施形態と同様であり、所定間隔離れて基台72上に一対の門柱部76が起立し、門柱部76の上端に上枠板78を固定した門型状の枠部材であり、門柱部76の上側に受けローラ104を回転自在に軸支し、下側にローラ80を回転自在に軸支した移動台102を上下方向に移動自在に支持している。
【0132】
ここで、ローラ80の材質は任意であるが、軽量化を図るため、例えば、合成樹脂で形成され両端が塞がれた円筒体であり、円筒面には消火用ホース58との接触による摩擦回転を確実にするため、例えば、ゴム等の軟質層が被覆されている。この点は、受けローラ104も同様である。
【0133】
移動台102は、例えば、上向きに開いたコ字形の部材であり、固定側部材となる受けローラ104との間に消火用ホース58が通過する間隔を空けてローラ80を回転自在に軸支している。また、移動台102は門柱部76に沿って上下方向に移動自在に配置されており、そのための移動機構の構造は任意であるが、例えば、
図14(A)の断面に示すように、ローラ80の回転軸と同軸にガイドローラ116の回転軸を分離して回転自在に軸支し、円柱部76の内側面にガイドローラ116の回転軸が貫通して上下方向に移動可能とする縦長の開口が形成され、ガイドローラ116が門柱部76の内部上下方向に形成されたローラガイド部118に転動自在に配置されている。このため、移動台102は、ガイドローラ116により、その姿勢を保ったままローラガイド部118に沿って上下方向に平行に移動可能となっている。
【0134】
押付力発生部112は、受けローラ104との間を通過する消火用ホース58にローラ80を押し付ける力を移動台102に加えるものであり、その機能や構造は任意であるが、例えば、ピストン120、ロッド122、シリンダ124及びばね126を備えたピストンシリンダ機構で構成されている。シリンダ124に摺動自在に挿入されたピストン120は、ロッド122により移動台102の底部中央に連結され、ピストン120の下側のシリンダ124の内部に配置されたばね126による押付力を移動台102に加えている。
【0135】
回転検出器84にローラ80の回転を伝達する回転伝達部は、ギア106,108,110で構成されている。ギア106はローラ80の右側の回転軸に固定され、ギア110は回転検出器84の回転検出軸に固定される。ギア108は移動台102の内側面に軸支され、ギア106の回転をギア110に伝達する。ギア106,108,110のギア比は任意であるが、例えば、ギア106,108,110の歯数を同じとしたギア比1により、ローラ80と同じ回転が回転検出器84へ伝達される。
【0136】
また、移動台102の両側上端には、ストッパ部114が配置されている。ストッパ部114は、例えば、L形の部材であり、図示のローラ80と受けローラ104との間に外径Dの消火用ホース58が通過する場合、ストッパ部114と受けローラ104との間に所定の移動許容間隔ΔDが設定される。移動許容間隔ΔDは、移動台102の移動によりローラ80を消火用ホース58に押し付けた場合の許容可能な変形量を設定するものであり、例えば、ホース径Dを40mmとすると、ホースを押しつぶすことのない、例えば、数mm以下の所定値に設定される。
【0137】
このように、移動台102にストッパ部114が設けられたことで、受けローラ104との間を通過する消火用ホース58にローラ80を押し付けても、消火用ホース58が通過する間隔が移動許容間隔ΔDの設定により所定値(D-ΔD)以下とならず、消火用ホース58を必要以上に押し潰すことなく、ローラ58との接触を保つことが可能となる。
【0138】
また、本実施形態のストッパ部114は、消火用ホース58がローラ80の左右方向(両端側)にはみ出さないように、接触範囲を中央側の所定範囲に規制するはみ出し防止部としての機能を兼ね備えている。このため、ストッパ部114により消火用ホース58がローラ80から外れることなく接触を維持することが可能となる。
【0139】
ここで、回転検出器84からの信号線は、
図10に示した端末制御装置46に接続され、同様にして、ホース引出長が検出されて防災受信盤へ伝送される。また、第2実施形態のホース長検出部70は、
図11及び
図12に示したのと同様に、ホース収納部2020のホース取出口として配置された場合を含むものである。
【0140】
このような、
図13及び
図14に示すローラ押付機構を備えたホース長検出部70の第2実施形態によれば、押付力発生部112により移動台102に押付力を加え、固定側部材として機能する受けローラ104に対し移動台102に回転自在に軸支したローラ80を、受けローラ104との間を通過する消火用ホース58に押し付けることで、消火用ホース58の引出しに伴う内巻き状態の解放によってホース引出し部分が振り回される運動が発生しても、消火用ホース58とローラ80との接触が維持され、消火用ホース58の引出しに伴いローラ80を確実に回転し、ローラ80の回転を回転検出器84で検出し、消火用ホース58の引出長の正確な検出が可能となる。
【0141】
(c2.湾曲受けローラの固定側部材)
第2実施形態によるホース長収納部70の変形例として、
図15に示すように、受けローラは、中央でローラ80との間隔が最大となる湾曲受けローラ128であってもよい。それ以外の構造は、
図13及び
図14の場合と同様であることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0142】
本実施形態では、湾曲受けローラ128と移動台102のローラ80との間を通過する消火用ホース58は、湾曲受けローラ128の湾曲した中央部にセンタリングするように押し付けられる動きを生ずる。このため、消火用ホース58は常にローラ80の中央付近に押し付けられた状態を維持し、ローラ80に加わる力が左右でバランスすることで、消火用ホース58に接触するローラ80の回転が安定し、ローラ80の回転に基づく消火用ホース58の引出長の正確な検出が可能となる。
【0143】
(c3.スライドベアリングの移動機構)
次に、ホース長検出部の第2実施形態による変形例として、移動台の移動機構にスライドベアリングを用いた実施形態を説明する。当該説明にあっては、移動台がスライドベアリングにより移動するホース長検出部の第2実施形態の変形例を示した
図16を参照する。
【0144】
図16に示すように、本実施形態にあっては、支持枠74の両側に配置された門柱部76の内部に起立したガイド軸132にスライドベアリング130が上下方向に移動自在に嵌入され、スライドベアリング130の外環には、移動台102に回転自在に軸支されたローラ80のローラ軸と同軸に、分離配置された連結軸134の外側が連結固定された構造となっている。それ以外の構造は、
図13及び
図14の場合と同様であることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0145】
本実施形態では、移動台102は、ガイド軸132に沿ったスライドベアリング130の移動により姿勢を保ったまま上下方向に平行移動し、スライドベアリング130による移動であることから移動抵抗も少ない。このように、移動台102の滑らかな平行移動によりローラ80が消火用ホースに押付けられて確実に接触することで、ローラ80の回転に基づく消火用ホース58の引出長の正確な検出が可能となる。
【0146】
(c4.引張ばねによる押付力発生部)
次に、ホース長検出部の第2実施形態による変形例として、移動台を引張ばねにより移動する実施形態を説明する。当該説明にあっては、移動台が引張ばねにより移動するホース長検出部の第2実施形態の変形例を示した
図17を参照する。
【0147】
図17に示すように、本実施形態にあっては、移動台102に押付力を加える押付力発生部として、引張ばね135を備えている。移動台102の移動機構は、
図14の場合と同様であり、ローラ80と同軸に分離配置されたガイドローラ116が門柱部76内のローラガイド部118に転動自在に配置されている。ガイドローラ116には回転軸の両端を軸支する下向きのコ字形に開いたばね連結部136が装着され、門柱部76の内部上端とばね連結部136との間に引張ばね135が配置されている。
【0148】
また、移動台102の下側に移動規制部138が配置されている。移動規制部138は、ピストン120、ロッド122及びシリンダ124で構成され、
図14に示した押付力発生部112からばね126を除いたのと同じピストンシリンダ機構である。それ以外の構造は、
図13及び
図14の場合と同様であることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0149】
本実施形態では、移動台102のローラの両端側に軸支されたガイドローラ116のばね連結部136に引張ばね135の下端が固定され、この引張ばね135により引き上げられて移動台102が上方へ移動し、ローラ80を消火用ホース58に確実に接触させることで、ローラ80の回転に基づく消火用ホースの引出長の正確な検出が可能となる。
【0150】
また、移動台102の下側に設けられた移動規制部138により、ローラ80の回転軸を中心とした移動台102の前後方向(消火用ホース58の移動方向)の揺動(振り子運動)が規制される。また、移動台102の上下方向の動きがシリンダ124内を摺動するピストン120によって案内され、ローラ80を軸支した移動台102をその姿勢を維持したまま平行移動してローラ80を消火用ホース58に押し付けることが可能となる。
【0151】
[d.本発明の変形例]
本発明による消火栓装置の変形例について説明する。本発明の消火栓装置は、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
【0152】
(板ばね押付機構)
上記の第1実施形態のホース長検出部70に設けられた板ばね押付機構にあっては、湾曲した板ばね82が使用されているが、これに限定されず、フラットな板ばねであってもよい。なお、フラットな板ばねが使用された場合には、消火用ホース58がローラ80の左右方向にはみ出さないように接触範囲を中央側の所定範囲に規制するはみ出し防止部が設けられる。はみ出し防止部としては、例えば、
図8に示した屈曲部8218がフラットな板ばねに設けられてもよい。
【0153】
(ストッパ部とはみ出し防止部)
上記の第2実施形態のホース長検出部70に設けられたローラ押付機構にあっては、ストッパ部114がはみ出し防止部としての機能を兼用しているが、これに限定されず、ストッパ部とはみ出し防止部が別々に設けられてもよい。このための構造は任意であるが、例えば、
図14に示したストッパ部114の上端が受けロール104から十分に離間したはみ出し防止部であってもよい。この場合ストッパ部は、両側の門柱部76内のローラガイド部118内を転動するガイドローラ116の動きを規制する構造であってもよい。例えば、門柱部76の内側のガイドローラ116が移動するローラガイド部118に、ローラ80の上方への移動を、消火用ホース58をつぶすことのない所定の移動許容間隔ΔDの移動位置で停止させるストッパ部が配置される。
【0154】
(固定側部材)
上記の第2実施形態のホース長検出部70に設けられたローラ押付機構にあっては、ローラ80の押付けを受ける固定側部材として受けローラ104が回転自在に軸支されているが、これに限定されず、円筒や円柱などが両側の門柱部76に回転しないように固定された構造であってもよい。
【0155】
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0156】
10:消火栓装置
10a:第1筐体
10b:第2筐体
11a,11b:化粧枠
12:防災受信盤
14:配線ケーブル
16:消火栓扉
18:開く保守扉
20:消火栓収納部
22:消火器扉
23:消火器収納部
24:電装扉
26:赤色表示灯
28:発信機
30:応答ランプ
32:電話ジャック
34,36:端子箱
40:消火器
42:ポンプ起動スイッチ
43:ポンプ起動連動スイッチ
44:ノズル取出検出スイッチ(ノズル取出検出部)
46:端末制御装置
48:給水配管
50:給水栓
52:消火栓弁
54:自動調圧弁
55:操作ボックス
56:消火栓弁開閉レバー
58:消火用ホース
60:放水用ノズル
62:ノズルホルダー
64:ホース収納フレーム
68:連動ボックス
69:ケーブルラック
70:ホース長検出部
72:基台
74:支持枠
76:門柱部
78:上枠板
80:ローラ
82:板ばね
84:回転検出器(回転検出部)
86:ローラ軸
88:軸受
90:ナット
92:回転検出軸
94:ばね固定部
96:リンクアーム
98:可動支点
100:固定支点
102:移動台
104:受けローラ
106,108,110:ギア
112:押付力発生部
114:ストッパ部
116:ガイドローラ
118:ローラガイド部
120:ピストン
122:ロッド
124:シリンダ
126:ばね
128:湾曲受けローラ
130:スライドベアリング
132:ガイド軸
134:連結軸
135:引張ばね
136:ばね連結部
138:移動規制部
140:制御部
142:伝送部
144:定電圧回路
146:給電スイッチ