(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115017
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/04 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
B62B3/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020452
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】西村 翔馬
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB01
3D050DD03
3D050EE15
3D050GG01
3D050KK12
(57)【要約】
【課題】掛止突部の位置を特定し易い台車を提供する。
【解決手段】本開示の台車10には、台盤11上に荷物90を固定する固定用具91を掛けるための掛止突部50が、台盤11の外縁部に備えられている。また、掛止突部50の外面50Gには、下方に向かうに従って外側に向かうように傾斜する傾斜部50Kが備えられている。このように、本開示の台車10では、掛止突部50に傾斜部50Kが備えられているので、台盤11を構成する他の壁部と掛止突部50との識別が容易になり、目視にて掛止突部50の位置を特定することが容易になる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台盤上に荷物を固定する固定用具を掛けるための掛止突部を備える台車において、
前記掛止突部の外面には、下方に向かうに従って外側に向かうように傾斜する傾斜部が備えられている台車。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記掛止突部の下端部に位置すると共に、真上から見て前記台盤全体から側方に突出していない請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記台盤の外縁部には、真上から見て前記掛止突部の少なくとも一部を視認可能とする側面凹部が形成されている請求項1に記載の台車。
【請求項4】
前記台盤の外縁部から上方に突出して前記台盤上の荷物のスライドを規制するスライド規制突部を備え、
前記掛止突部は、前記スライド規制突部の一部の下方に位置し、
前記スライド規制突部の上面には、前記掛止突部の真上位置に上面凹部が形成されている請求項1に記載の台車。
【請求項5】
前記掛止突部の下端部から両横に張り出す返し部を備える請求項1から4の何れか1の請求項に記載の台車。
【請求項6】
前記掛止突部の両横に配置され、上方に向かうに従って前記掛止突部に徐々に接近する1対のガイド壁を備える請求項1から4の何れか1の請求項に記載の台車。
【請求項7】
台盤上に荷物を固定する固定用具を掛けるための掛止突部を備える台車において、
前記台盤には、前記掛止突部を受容する突部受容部が備えられ、
前記突部受容部は、前記台盤の側壁に形成される側面開口と、前記側面開口の1対の側縁部から内側に張り出して互いに対向する1対の内部側壁と、前記側面開口に内側から対向し、前記1対の内部側壁の間を連絡する奥壁と、上面を閉塞する天井壁とが備えられ、前記掛止突部は、前記天井壁から垂下している台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、台盤上に荷物を固定する固定用具を掛けるための掛止突部が、台盤の外縁部に備えられている台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の台車として、台盤の下面の外縁部から複数の掛止突部が垂下しているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭52-147355号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の台車は、目視にて掛止突部の位置を特定することが困難であった。これに対し、掛止突部の位置を特定し易い台車の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の台車は、台盤上に荷物を固定する固定用具を掛けるための掛止突部が、前記台盤の外縁部に備えられている台車において、前記掛止突部の外面には、下方に向かうに従って外側に向かうように傾斜する傾斜部が備えられている台車である。
【発明の効果】
【0006】
本開示の台車によれば、掛止突部の外面に傾斜部が備えられているので、台盤を構成する他の壁部と掛止突部との識別が容易になり、目視にて掛止突部の位置を特定することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】台盤の平面図半分と底面図半分とを合わせた複合図
【
図5】(A)掛止突部の斜視図、(B)掛止突部の正面図
【
図6】(A)掛止突部の斜視図、(B)突部受容部の内部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1から
図8を参照して、本開示に係る台車10の実施形態について説明する。
図1に示すように、台車10は、平面視略長方形の台盤11と、その台盤11の下面四隅に取り付けられたキャスタ70とを備える。以下、台盤11の平面形状である長方形の長手方向を第1水平方向H1、短手方向を第2水平方向H2と呼ぶこととする。
【0009】
台盤11は、樹脂の射出成形品であって、例えば、第1水平方向H1と第2水平方向H2の両方向で面対称形状をなしている。また、台盤11の全体には、第1水平方向H1に延びる複数の第1水平リブ13と、第2水平方向H2に延びる複数の第2水平リブ14とが備えられている。
【0010】
台盤11の上面の外縁部からは1対の第1のスライド規制突部18と1対の第2のスライド規制突部19とが上方に突出している。第1のスライド規制突部18は、台盤11の長辺側の1対の外縁部の全体から突出しかつ、両端部が直角曲げされて僅かに1対の短辺側の外縁部上に位置している。また、
図2に示すように、第1のスライド規制突部18は、下面開放の角溝構造をなし、第1のスライド規制突部18の外壁18Aは、最外の第1水平リブ13から上方に延長されてなる。また、第1のスライド規制突部18の内壁18Bは、最外の第1水平リブ13の隣りの第1水平リブ13より僅かに外寄りに位置し、内壁18Bの下端部は、後述する上面壁23の外縁部に接続されている。そして、外壁18Aと内壁18Bの上縁部同士が連絡壁18Cにて連絡されている。また、
図1に示すように、第1のスライド規制突部18の長手方向の中央部には、後述する持手孔27より長い範囲に亘って段付き状に凹んだ上面凹部18Sが形成されている。また、台盤11の1対の短辺側の外縁部上に位置する第1のスライド規制突部18の両端部は、上面が上下方向に対して傾斜した三角補強部18Dになっている。
【0011】
第2のスライド規制突部19は、台盤11の短辺側の1対の外縁部のうち両端部を除く全体から突出している。また、第2のスライド規制突部19は、その横方向の両端部19Xと、中央部19Yと、両端部19Xと中央部19Yとの間の1対の中間部19Zとで構造が異なる。
【0012】
第2のスライド規制突部19の1対の中間部19Zは、第1のスライド規制突部18と同様の構造をなしている。即ち、第2のスライド規制突部19の中間部19Zは、下面開放の角溝構造をなし、最外の第2水平リブ14の一部を上方に延長されてなる外壁19Aと、外壁19Aに対向する内壁19Bと、外壁19Aと内壁19Bの上縁部同士を連絡する連絡壁19Cとを有する。
【0013】
第2のスライド規制突部19の両端部19Xは、中間部19Zの上面の連絡壁19Cを横方向に延長してから下方に直角曲げして台盤11の上面まで延ばした角形リブ19Dと、中間部19Zと共通の内壁19Bとを有する。そして、中間部19Zと角形リブ19Dとに包囲された空間のうち第2のスライド規制突部19の内面側の開口が内壁19Bによって閉塞された構造をなしている。
【0014】
第2のスライド規制突部19の横方向の中央部19Yに関しては、後に詳説する。
【0015】
第1水平リブ13と第2水平リブ14とに包囲された複数のセル12のうちの一部は、上面を上面壁23等によって覆われている。具体的には、第1及び第2のスライド規制突部18,19より内側領域の外縁に沿った枠状領域のうち、後述のキャスタ受容部21及び持手孔27と重なる部分を除いた部分に含まれる複数のセル12は、上面を上面壁23によって閉塞されている。また、上面壁23は、上記枠状領域から内側に延長され、台盤11における第1水平方向H1の両端部のうち第2水平方向H2の中央寄り位置の複数のセル12の上面も閉塞している。さらには、全体のうち半数以上を占める上面開放の複数のセル12には、第1水平リブ13及び第2水平リブ14の上端から各セル12内に僅かに突出する上面補強部24(
図2参照)が備えられている。そして、上面壁23、上面補強部24及び第1水平リブ13及び第2水平リブ14の上面等により、荷物90が載置される荷物載置面11N(
図4参照)が形成されている。
【0016】
図1に示すように、台盤11の四隅には、キャスタ受容部21が設けられている。キャスタ受容部21は、上面壁23の一部を陥没させた形状をなしている。また、キャスタ受容部21の平面形状はL字形になっていてL字の短辺は、台盤11の短辺側の外縁部のうち第1のスライド規制突部18の三角補強部18Dと第2のスライド規制突部19との間に挟まれた側方開放部19Wと同じ長さをなしている。また、キャスタ受容部21における側方開放部19W側の内側壁21Aの上端部と最外の第2水平リブ14との間が上面壁23と同一面内に位置する連絡壁29によって連絡されている。なお、連絡壁29の幅は、第2のスライド規制突部19の連絡壁19Cの幅より僅かに小さい。
【0017】
図4に示すように、各キャスタ70は、ローラ71を回転可能に支持する回転支持部72の上部が、ベース盤73に旋回可能に取り付けられた、所謂、自在キャスタである。図示しないが、ベース盤73の平面形状は、四角形になっている。そして、台盤11のうち各キャスタ受容部21の底壁20より下側部分に備えられた公知な構造のキャスタ装着部22にベース盤73が固定されている。そして、台車10同士が段積みされたときに上段側の台車10のキャスタ70のローラ71が、下段側の台車10のキャスタ受容部21に受容される。
【0018】
図1に示すように、第1及び第2のスライド規制突部18,19の内側領域のうち1対の第1のスライド規制突部18の隣りの外縁部の中央には、1対の持手孔27が設けられている。持手孔27は、第1水平方向H1で隣り合う1対のセル12を統合した大きさより僅かに大きくなっていて、上下方向に貫通している。また、これと同様の1対の持手孔28が、第1水平方向H1の両端寄り位置における第2水平方向H2の中央にも設けられている。持手孔28は、第2水平方向H2で隣り合う1対のセル12を統合した大きさより僅かに大きくなっている。
【0019】
台盤11の中央には、略四角形の収容凹部30が設けられている。収容凹部30は、複数行複数列のセル12を統合しかつ下端部を底壁31で閉塞したものである。また、底壁31の全体には、四角形の複数の孔31Aが行列状に並べて形成されている。さらには、収容凹部30の四隅には、第1水平リブ13と第2水平リブ14とに斜めに交差する傾斜リブ32が備えられ、これにより、収容凹部30の平面形状は、四隅を面取りされた四角形になっている。なお、傾斜リブ32と第1水平リブ13と第2水平リブ14とに包囲された三角領域の上面は、上面壁23によって閉塞されている。この収容凹部30は、荷物90を台盤11に固定するための固定用具91を不使用時に収容することを主目的としたものであるが、例えば、荷物90の伝票や工具等を収容するために使用してもよい。
【0020】
以下、前述の第2のスライド規制突部19の中央部19Yについて詳説する。
図1に示すように、第2のスライド規制突部19の中央部19Yは、両端部19X、中間部19Zと共通の内壁19Bを有する。即ち、第2のスライド規制突部19の内面は、両端部19X,中間部19Z、中央部19Yの全体に亘って面一の平坦面になっている。これに対し、中央部19Yの外面は、中間部19Zの外面より凹んだ側面凹部19Vになっている。また、中央部19Yの上面も、1対の中間部19Zの上面に対して凹んだ上面凹部19Sになっている。
【0021】
具体的には、
図5(A)に示すように、中央部19Yの外面における横方向の両端部には、1対の外面傾斜壁19Eが備えられている。1対の外面傾斜壁19Eは、最外の第2水平リブ14及びそれから上方に延長されている第1対の中間部19Zの外壁19Aから内側に屈曲していて、縦長の短冊状をなしている。また、中央部19Yの上面における横方向の両端部には、1対の上面傾斜壁19Fが備えられている。1対の上面傾斜壁19Fは、1対の中間部19Zの連絡壁19Cから下側に屈曲し、内壁19Bと外面傾斜壁19Eの上端部同士の間を連絡している。
【0022】
1対の上面傾斜壁19Fの下端部の間は、第2水平方向H2に延びる連絡壁40にて連絡されている。連絡壁40は、断面形状が蒲鉾状をなし、内側縁部及び外側縁部とにR面取り面を有する。また、上面傾斜壁19Fの内側縁部と外側縁部は、連絡壁40から離れるに従って面取り半径が徐々に小さくなるようにR面取りされている。また、連絡壁40の下方には、前述の上面壁23から延長された水平リブ41が備えられ、それら連絡壁40と水平リブ41との間が複数の縦リブ42によって連絡されると共に、両端部の1対の縦リブ42によって1対の外面傾斜壁19Eと内壁19Bとの間も連絡されている。
【0023】
なお、連絡壁40,水平リブ41、縦リブ42の各最外の面は、面一でかつ上下方向と平行になっている。また、複数の縦リブ42は、連絡壁40及び水平リブ41を長手方向で略三等分するように配置されている。以下、第2のスライド規制突部19のうち連絡壁40,水平リブ41、縦リブ42で形成されている部分を格子構造部19Uという。
【0024】
台盤11のうち格子構造部19Uの下方には、突部受容部59が設けられている。
図6(A)に示されているように、突部受容部59は、下面開口と側面開口とを有し、その側面開口に対向する突部受容部59の奥壁59Aは、最外の第2水平リブ14の隣りの第2水平リブ14の一部になっている。また、突部受容部59の1対の側壁59Bは、奥壁59Aと直交しかつ奥壁59Aと1対の外面傾斜壁19Eとの間を連絡している。さらに、突部受容部59の上面は、
図6(B)に示すように、上面壁23と水平リブ41とによって閉塞されている。また、突部受容部59の側面開口の外縁側上面全体を横切るようにして、第2のスライド規制突部19が形成されている。
【0025】
図6(A)に示すように、突部受容部59の天井面からは、掛止突部50が垂下している。掛止突部50は、下端部に横方向(第2水平方向H2)に突出する返し部52を有する。また、掛止突部50のうち返し部52を除く本体部51は、連絡壁40及び水平リブ41を長手方向で略三等分した横幅をなし、突部受容部59の横方向(第2水平方向H2)の中央でかつ突部受容部59の奥行き方向(第1水平方向H1)の外寄り位置に配置されている。
【0026】
詳細には、
図5(B)に示すように、掛止突部50には、側壁59Bと平行な複数の受容部内リブ53と、それら受容部内リブ53に直交する補強壁54とが含まれる。
図6(B)に示すように、複数の受容部内リブ53は、突部受容部59の天井面の奥行き方向の全体と奥壁59Aの上下方向の全体とに接続されている。また、複数の受容部内リブ53には、突部受容部59の奥行き方向の途中部分に、下端から上端寄り位置まで入り込んだ係合凹部53Aが備えられている。さらには、
図7に示すように、補強壁54は、突部受容部59の天井面における外寄り位置から斜め外側下方に向かって延び、複数の受容部内リブ53のうち係合凹部53Aより外側部分である外片部53Bと交差している。そして、複数の外片部53Bと補強壁54とによって掛止突部50が構成されている。
【0027】
図5(A)に示すように、掛止突部50の下端寄り位置では、複数の受容部内リブ53のうちの横方向の両端の1対の受容部内リブ53が、互いに離れるように両横方向に直角曲げされてから斜め下方に折り返され、直角曲げされた部分の真下位置まで延びてから水平になるように屈曲して互いに一体になっている。このようにして掛止突部50の下部には、両横方向に張り出す返し部52が形成されている。また、返し部52の下端の水平部52Aには、両端の1対の受容部内リブ53以外の受容部内リブ53の下端部が接続され、水平部52Aの奥側縁部には、
図7に示すように、補強壁54の下端部が接続されている。そして、掛止突部50において、複数の受容部内リブ53(返し部52を含む)は補強壁54の表裏の両側に突出している。
【0028】
図5(A)に示すように、掛止突部50の外面50Gは、複数の受容部内リブ53(返し部52を含む)のうち補強壁54より外側に突出している部分の先端面によって形成されている。その掛止突部50の外面50Gの上端から上下方向の中間位置までは、第2のスライド規制突部19の格子構造部19Uの外面と面一をなし、掛止突部50の外面50Gの上下方向の中間位置から下端までは、補強壁54の内外面と平行になって、下方に向かうに従って外側に向かうように傾斜する傾斜部50Kになっている。これにより、
図8に示すように、台盤11を真上から見ると、掛止突部50が、第2のスライド規制突部19における側面凹部19Vの奥面から突出している。また、掛止突部50は、台盤11全体の側面11Sからは突出しておらず、側面凹部19V内に収まっている。
【0029】
上述した掛止突部50の外面50Gの形状を、補強壁54の表面(補強壁54のうち突部受容部59の外側を向く面)からの複数の受容部内リブ53の突出量の観点から説明すると、
図7に示すように、受容部内リブ53の補強壁54の表面からの突出量は、下端から上下方向の途中位置までは一定で、途中位置から上端までは上方に向かうに従って大きくなっている。また、補強壁54の裏面(補強壁54のうち突部受容部59の奥側を向く面)からの受容部内リブ53の突出量は、下端から上端に向かうに従って徐々に大きくなっている。これらにより、掛止突部50の突部受容部59の奥行き方向における幅である奥行き幅は、上方に向かうに従って徐々に大きくなっている、即ち、掛止突部50は、上方に向かうに従って太くなっている。
【0030】
なお、
図5(B)に示すように、掛止突部50の下面は、突部受容部59の奥壁59A及び側壁59Bの下面と同一平面内に位置する。また、
図2に示すように、台盤11の下面全体では、四隅が他の部分より大きく下方に突出している。
【0031】
図6(A)に示すように、突部受容部59の1対の側壁59Bからは、掛止突部50に向かって1対のガイド壁60が突出している。1対のガイド壁60は、突部受容部59の上端から下端寄り位置まで延び、1対のガイド壁60の下端は、返し部52より僅かに上方に位置する。また、1対のガイド壁60は、掛止突部50の真横に位置し、
図7に示すように、掛止突部50と1対のガイド壁60とは第1水平方向H1で重なるように配置されている。さらには、
図5(B)に示すように、1対のガイド壁60は、上方に向かうに従って側壁59Bからの張り出し量が徐々に大きくなっている。そして、ガイド壁60の上端は、掛止突部50の本体部51から返し部52の張り出し量と同程度に本体部51から離れている。
【0032】
本実施形態の台車10の構成に関する説明は以上である。以下、この台車10の作用効果について説明する。
図4に示すように、台車10の荷物載置面11N上に荷物90が搭載されると、第1及び第2のスライド規制突部18,19(
図1参照)によって荷物90のスライド移動が規制されて安定する。さらに荷物90を安定させるためには、例えば、帯状又は紐状の固定用具91を、1対の掛止突部50に掛けて荷物90の上に架け渡し、締め付ければよい。
【0033】
ここで、掛止突部50の外面50Gには、傾斜部50Kが備えられているので、台盤11を構成する他の壁部と掛止突部50との識別が容易になり、目視にて掛止突部50の位置を容易に特定することができる。また、台盤11に備えた上面凹部19S、側面凹部19V、突部受容部59を目印にしても、掛止突部50の位置を容易に特定することができる。
【0034】
また、掛止突部50には、下端部から両横に張り出す返し部52が備えられているので、固定用具91が自重により掛止突部50から外れることが防がれ、台盤11への固定用具91の装着作業を容易に行うことができる。
【0035】
また、掛止突部50の先端部は、基端部より奥行き幅方向で細いので(
図7参照)、固定用具91を掛止突部50に容易に掛けることができる。しかも、
図5(A)に示すように、掛止突部50の基端部には、両横から1対のガイド壁60が対向しているので、掛止突部50の基端部が先端部より太い構造ではあっても、固定用具91がスムーズに掛止突部50の基端部に案内される。
【0036】
また、
図6(B)に示すように、掛止突部50に含まれる複数の受容部内リブ53は、突部受容部59の天井面と奥面とに接続されてかつ湾曲した係合凹部53Aを備えた構造をなし、その係合凹部53Aに固定用具91が係合するので、固定用具91の強く引っ張られたときの掛止突部50における応力集中が防がれる。
【0037】
また、掛止突部50は突部受容部59に受容されているので、台車10の走行中に掛止突部50が異物と衝突することが防がれる。より詳細には、掛止突部50は、一部が突部受容部59から突出しているものの、
図8に示すように、掛止突部50は真上から見て台盤11全体から側方に突出していないので、掛止突部50に対して荷物や人や異物が引っ掛かることが防がれる。さらには、
図5(B)に示すように、掛止突部50は、台盤11の下面から下方にも突出していないので、このことによっても掛止突部50と異物との衝突が防がれる。これに加えて、台盤11に対してキャスタ70を交換する際に、台盤11が床面上に置かれる場合に、掛止突部50と床面との当接が防がれるという効果も奏する。
【0038】
また、
図1に示すように、第1及び第2のスライド規制突部18,19を備えたことで台盤11の側面11Sの実質的な高さが高くなり、スライド規制突部を備えていないものに比べて、掛止突部50及び突部受容部59を大きくすることができ、掛止突部50の強度アップが図られる。しかも、
図6(B)に示すように、掛止突部50を受容している突部受容部59の天井面は、台盤11のうち上面が荷物載置面11Nをなす上面壁23の一部で形成されているので、
図4に示すように、荷物載置面11Nのうち突部受容部59の真上に凹部や突部が形成されることが防がれる。
【0039】
また、掛止突部50に掛けられた固定用具91の一部は、第2のスライド規制突部19の上面凹部19Sに収まるので安定する。その上面凹部19Sの上面は、台盤11における他の部分に比べて大きくR面取りされているので固定用具91への負担が軽減される。
【0040】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態の掛止突部50は、外面50Gの下端部が傾斜部50Kになっていたが、掛止突部50の外面50Gにおける途中位置より上側が下方に向かうに従って外側に向かうように傾斜する傾斜部50Kになっていて、途中位置より下側部分が鉛直に垂下していたり、下方に向かうに従って外側に向かうように傾斜する第2傾斜部になっていてもよい。
【0041】
(2)また、傾斜部50Kを備えずに、例えば、返し部52を備えることで掛止突部50の位置を確認容易にしてもよいし、傾斜部50Kを備えずに、例えば、側面凹部19V、上面凹部19S、又は突部受容部59の何れかを備えることで掛止突部50の位置を確認容易にしてもよい。
【0042】
(3)前記実施形態の台車10は、第1及び第2のスライド規制突部18,19を備えていたが、それらを備えていなくてもよく、また、突部受容部59も備えていなくてもよい。
【0043】
(4)前記実施形態の台車10の掛止突部50は、真上から見て傾斜部50Kが見えるようになっていたが(
図8参照)、掛止突部50全体が台盤11の下方に隠れて、真上から傾斜部50Kが見えない構造になっていてもよい。
【0044】
(5)固定用具91は、前記実施形態の形状に限定されるものではなく、掛止突部50に掛けることができる形状を有していれば、固定用具の全体の構成や先端形状などはどのようなものであってもよい。
【0045】
(6)前記実施形態の掛止突部50は、補強壁54と複数の受容部内リブ53とを含んだ構造であったが、補強壁54又は複数の受容部内リブ53の一方のみを有する構造であってもよい。
【0046】
(7)前記実施形態の掛止突部50の補強壁54は、全体が下方に向かうに従って外側に向かうように傾斜していたが、全体が鉛直に垂下していてもよいし、途中位置より上側と下側との一方側が鉛直に垂下し、他方側が傾斜した構造であってもよい。
【0047】
(8)掛止突部50の外面50Gの傾斜部50Kは、掛止突部50の本体部51及び返し部52の両外面に形成されているが、一方のみの外面に形成されて、他方の外面の全体が垂直面になっていてもよい。
【0048】
(9)前記実施形態では、掛止突部50は、台盤11に2つ設けられていたが、1つでもよいし3つ以上でもよい。また、掛止突部50は、台盤11の1対の短辺側の外縁部の中央に配置されていたが、それ以外の場所に配置されていてもよい。具体的には、掛止突部50は、台盤11の1対の短辺側の外縁部と長辺側の外縁部との両方に設けられていてもよい。
【0049】
(10)前記実施形態の掛止突部50は、外面50Gの裏側となる内面にも、下方に向かうに従って外側に向かうように傾斜する傾斜部が備えられていたが、内面には傾斜部を備えていなくてもよい。ただし、内面に傾斜部を備えれば、固定用具を容易に掛止突部50に引っかけることができる。
【0050】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成の符号を括弧書きで示すが、これら特徴群は、この括弧書きで示した符号の構成に限定されるものではない。
【0051】
[特徴1]
台盤(11)上に荷物(90)を固定する固定用具(91)を掛けるための掛止突部(50)を備える台車(10)において、前記掛止突部(50)の外面には、下方に向かうに従って外側に向かうように傾斜する傾斜部(50K)が備えられている台車(10)。
【0052】
特徴1の台車によれば、掛止突部の外面に傾斜部が備えられているので、台盤を構成する他の壁部と掛止突部との識別が容易になり、目視にて掛止突部の位置を特定することが容易になる。
【0053】
[特徴2]
前記傾斜部(50K)は、前記掛止突部(50)の下端部に位置すると共に、真上から見て前記台盤(11)全体から側方に突出していない特徴1に記載の台車(10)。
【0054】
特徴2の台車では、掛止突部は下端部に傾斜部を備え、下端部(傾斜部)が最も外側に突出している。そして、傾斜部が、真上から見て台盤全体から側方に突出していないので、掛止突部に対して荷物や人や異物が引っ掛かることが防がれる。
【0055】
[特徴3]
前記台盤(11)の外縁部には、真上から見て前記掛止突部(50)の少なくとも一部を視認可能とする側面凹部(19V)が形成されている特徴1又は2に記載の台車(10)。
【0056】
特徴3の台車では、側面凹部を目印にして掛止突部の位置を容易に確認することができる。
【0057】
[特徴4]
前記台盤(11)の外縁部から上方に突出して前記台盤(11)上の荷物(90)のスライドを規制するスライド規制突部(18,19)を備え、前記掛止突部(50)は、前記スライド規制突部(18,19)の一部の下方に位置し、前記スライド規制突部(18,19)の上面には、前記掛止突部(50)の真上位置に上面凹部(19S)が形成されている特徴1から3の何れか1の特徴に記載の台車(10)。
【0058】
特徴4の台車では、掛止突部に掛けた固定用具の一部が、スライド規制突部の上面凹部に収まって安定する。また、上面凹部を目印にして掛止突部の位置を容易に確認することができる。
【0059】
[特徴5]
前記掛止突部(50)の下端部から両横に張り出す返し部(52)を備える特徴1から4の何れか1の特徴に特徴の台車(10)。
【0060】
特徴5の台車によれば、掛止突部の下端部に備えた返し部により、固定用具が自重により掛止突部から外れることが防がれる。
【0061】
[特徴6]
前記掛止突部(50)の両横に配置され、上方に向かうに従って前記掛止突部(50)に徐々に接近する1対のガイド壁を備える特徴1から5の何れか1の特徴に記載の台車(10)。
【0062】
特徴6の台車では、1対のガイド部により固定用具が掛止突部の基端部にフィットするように案内される。
【0063】
[特徴7]
台盤(11)上に荷物(90)を固定する固定用具(91)を掛けるための掛止突部(50)を備える台車(10)において、前記台盤(11)には、前記掛止突部(50)を受容する突部受容部(59)が備えられ、前記突部受容部(59)は、前記台盤(11)の側壁(14)に形成される側面開口と、前記側面開口の1対の側縁部から内側に張り出して互いに対向する1対の内部側壁(59B)と、前記側面開口に内側から対向し、前記1対の内部側壁(59B)の間を連絡する奥壁(59A)と、上面を閉塞する天井壁(23,41)とが備えられ、前記掛止突部(50)は、前記天井壁(23,41)から垂下している台車(10)。
【0064】
特徴7の台車では、台盤の側面に開口する突部受容部を目印にして掛止突部の位置を容易に確認することができる。
【0065】
[特徴8]
前記掛止突部(50)は、基端部が先端部より太く、前記1対のガイド壁(60)は、前記掛止突部(50)の基端部に対して水平方向で対向している特徴6に記載の台車(10)。
【0066】
特徴8の台車では、掛止突部の基端部は先端部より太いので(換言すれば、掛止突部の先端部は基端部より細いので)、固定用具を掛止突部に容易に掛けることができる。しかも、掛止突部の基端部に対して1対のガイド壁が水平方向から対向しているので、掛止突部の基端部が先端部より太くても、固定用具がスムーズに掛止突部の基端部に案内される。
【0067】
[特徴9]
台盤(11)上に荷物(90)を固定する固定用具(91)を掛けるための掛止突部(50)を備える台車(10)において、前記台盤(11)には、その側面と下面とに開口し、上面を閉塞された突部受容部(59)が備えられ、前記掛止突部(50)は、前記突部受容部(59)の天井面から垂下している台車(10)。
【0068】
特徴9の台車では、台盤の側面に開口する突部受容部を目印にして掛止突部の位置を容易に確認することができる。なお、突部受容部は、側面開口と対向する奥側が開口していても閉じられていてもよい。また、突部受容部の下面は閉塞されていてもよいが、特徴8のように開放していれば、固定用具の掛止突部への装着が容易になる。一方、突部受容部の下面が閉塞された構造とすれば、掛止突部に対する異物との衝突からの保護が厚くなる。
【0069】
[特徴10]
前記掛止突部(50)は、前記台盤(11)の下面から下方に突出していない特徴9に記載の台車(10)。
【0070】
特徴10の台車では、掛止突部が、台盤の下面から下方に突出していないので、台車の走行中に掛止突部が異物と衝突することが防がれる。また、台盤に対してキャスタを交換する際に、台盤が床面上に置かれる場合に、掛止突部と床面との当接が防がれる。
【0071】
[特徴11]
前記台盤(11)の外縁部から上方に突出して前記台盤(11)上の荷物(90)のスライドを規制するスライド規制突部(18,19)を備え、前記突部受容部(59)の少なくとも一部は、前記スライド規制突部(18,19)の下方に位置している特徴9又は10に記載の台車(10)。
【0072】
特徴11の構成によれば、スライド規制突部を備えたことで台盤の側面の実質的な高さが高くなり、スライド規制突部を備えていないものに比べて、突部受容部及び掛止突部を大きくすることができ、掛止突部の強度アップが図られる。
【0073】
[特徴12]
前記台盤(11)のうち上面が荷物載置面(11N)をなす上面壁(23)の一部で、前記突部受容部(59)の前記天井面が形成されている特徴9から11の何れか1の特徴に記載の台車(10)。
【0074】
特徴12の台車の構成によれば、荷物載置面のうち突部受容部の真上に凹部や突部が形成されることが防がれる。
【0075】
[特徴13]
前記突部受容部(59)には、その側面開口と対向する奥壁(59A)と、前記天井面から垂下しかつ前記奥壁(59A)に接続され、前記突部受容部(59)の横方向で対向する複数の受容部内リブ(53)と、が備えられ、前記複数の受容部内リブ(53)には、前記突部受容部(59)への水平奥行方向における途中位置を下端から上端寄り位置まで除去してなる複数の係合凹部(53A)が備えられ、前記掛止突部(50)の主部には、前記複数の受容部内リブ(53)のうち前記複数の係合凹部(53A)より外側の外片部(53B)と、それら外片部(53B)同士の間を連絡する連絡壁(54)とが含まれている特徴9から12の何れか1の特徴に記載の台車(10)。
【0076】
特徴13の台車の構造によれば、掛止突部の基端部における応力集中が防がれ、掛止突部の耐久性を高くすることができる。
【0077】
[特徴14]
前記掛止突部(50)の下端部に返し部(52)を備える特徴9から13の何れか1の特徴に記載の台車(10)。
【0078】
特徴14の台車によれば、上記特徴5と同様の効果を奏する。
【0079】
[特徴15]
前記掛止突部(50)の両横に配置され、上方に向かうに従って前記掛止突部(50)に徐々に接近する1対のガイド壁(60)を備える特徴9から14の何れか1の特徴に記載の台車(10)。
【0080】
特徴15の台車によれば、上記特徴6と同様の効果を奏する。
【0081】
[特徴16]
台盤(11)上に荷物(90)を固定する固定用具(91)を掛けるための掛止突部(50)を備える台車(10)において、前記台盤(11)の側面に凹部(19V)が形成され、前記凹部(19V)の奥側に前記掛止突部(50)が配置されている台車(10)。
【0082】
特徴16の台車によれば、上記特徴3と同様の効果を奏する。
【0083】
[特徴17]
台盤(11)上に荷物(90)を固定する固定用具(91)を掛けるための掛止突部(50)を備える台車(10)において、前記台盤(11)の外縁部から上方に突出して前記台盤(11)上の荷物(90)のスライドを規制するスライド規制突部(18,19)が備えられると共に、前記掛止突部(50)の上面に凹部(19S)が形成され、前記凹部(19S)の真下に前記掛止突部(50)が配置されている台車(10)。
【0084】
特徴17の台車によれば、上記特徴4と同様の効果を奏する。
【0085】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0086】
10 台車
11 台盤
11S 側面
18 第1のスライド規制突部
19S 上面凹部
19 第2のスライド規制突部
19V 側面凹部
23 上面壁
50 掛止突部
50G 外面
50K 傾斜部
52 返し部
60 ガイド壁
90 荷物
91 固定用具