(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115022
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
B62B5/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020459
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】西村 翔馬
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB01
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050GG01
3D050KK12
(57)【要約】
【課題】固定用具等を収容する部位により走行が妨げられることがない台車を提供する。
【解決手段】本開示の台車10は、荷物載置面11Nから陥没し、不使用時の固定用具91を収容可能な収容凹部30を備えている。このように、本開示の台車10では、固定用具91等を収容する収容凹部30が荷物載置面11Nから陥没した状態に設けられているので、従来のように固定用具等を収容する部位が側方に張り出して走行が妨げられることがなくなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車の一部を構成しない物品を収容するための収容凹部が、台盤の荷物載置面から陥没した状態に備えられている台車。
【請求項2】
前記台盤には、荷物固定用の固定用具を台盤に固定又は係止するための固定・係止部が備えられ、
前記収容凹部に不使用時の前記固定用具を収容可能な請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記台盤の下面に形成され、前記収容凹部を内側に有する凹部側壁と、
前記台盤の下面に形成され、前記凹部側壁と交差する複数の補強壁とを備える請求項1に記載の台車。
【請求項4】
前記台盤の下面には、前記凹部側壁を包囲する包囲リブが設けられて、前記凹部側壁と前記包囲リブとが前記複数の補強壁によって接続され、
前記包囲リブの下端は、前記複数の補強壁の下端に対して面一か又は下方に位置している請求項3に記載の台車。
【請求項5】
前記台盤の下面には、ローラの支持部が旋回する自在キャスタが備えられ、
前記凹部側壁は、旋回する前記ローラと干渉しない位置に配置されている請求項3に記載の台車。
【請求項6】
前記収容凹部は、前記荷物載置面の略中央に配置されている請求項1に記載の台車。
【請求項7】
前記収容凹部の総開口面積は、前記台盤の荷物載置面の面積の1/10~1/4になっている特徴1から6の何れかに記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、台車の一部を構成しない物品を収容するための収容凹部を備える台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の台車として、収容凹部を内側に備える収容ボックスが側面に設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3030600号公報(
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の台車では、収容ボックスが側方に張り出して、走行の妨げになるという問題があり、そのようなことがない台車の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の台車は、台車の一部を構成しない物品を収容するための収容凹部が、台盤の荷物載置面から陥没した状態に備えられている台車である。
【発明の効果】
【0006】
本開示の台車によれば、収容凹部に書類や工具・用具等を収容することができる。そして、収容凹部が荷物載置面に陥没形成されているので、従来のように収容凹部を備える部位が側方に張り出して走行が妨げられることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】台盤の平面図半分と底面図半分とを合わせた複合図
【
図5】(A)係止部の斜視図、(B)係止部の正面図
【
図6】(A)係止部の斜視図、(B)突部受容部の内部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1から
図7を参照して、本開示に係る台車10の実施形態について説明する。
図1に示すように、台車10は、平面視略長方形の台盤11と、その台盤11の下面四隅に取り付けられたキャスタ70とを備える。以下、台盤11の平面形状である長方形の長手方向を第1水平方向H1、短手方向を第2水平方向H2と呼ぶこととする。
【0009】
台盤11は、樹脂の射出成形品であって、例えば、第1水平方向H1と第2水平方向H2の両方向で面対称形状をなしている。また、台盤11の全体には、第1水平方向H1に延びる複数の第1水平リブ13と、第2水平方向H2に延びる複数の第2水平リブ14とが備えられている。さらには、台盤11の上面の外縁部からは1対の第1のスライド規制突部18と1対の第2のスライド規制突部19とが上方に突出している。以下、第1水平リブ13と第2水平リブ14とを区別しない場合には「水平リブ13,14」と記載し、第1のスライド規制突部18と第2のスライド規制突部19とを区別しない場合には、「スライド規制突部18,19」と記載することとする。
【0010】
第1のスライド規制突部18は、台盤11の長辺側の1対の外縁部の全体から突出しかつ、両端部が直角曲げされて僅かに1対の短辺側の外縁部上に位置している。また、
図2に示すように、第1のスライド規制突部18は、下面開放の角溝構造をなし、第1のスライド規制突部18の外壁18Aは、最外の第1水平リブ13から上方に延長されてなる。また、第1のスライド規制突部18の内壁18Bは、最外の第1水平リブ13の隣りの第1水平リブ13より僅かに外寄りに位置し、内壁18Bの下端部は、後述する上面壁23の外縁部に接続されている。そして、外壁18Aと内壁18Bの上縁部同士が連絡壁18Cにて連絡されている。また、
図1に示すように、第1のスライド規制突部18の長手方向の中央部には、上面凹部18Sが形成されている。さらには、台盤11の1対の短辺側の外縁部上に位置する第1のスライド規制突部18の両端部は、上面が上下方向に対して傾斜した三角補強部18Dになっている。
【0011】
第2のスライド規制突部19は、台盤11の短辺側の1対の外縁部のうち両端部を除く全体から突出している。また、第2のスライド規制突部19は、その横方向の両端部19Xと、中央部19Yと、両端部19Xと中央部19Yとの間の1対の中間部19Zとで構造が異なる。
【0012】
第2のスライド規制突部19の1対の中間部19Zは、第1のスライド規制突部18と同様の下面開放の角溝構造をなし、外壁19Aと内壁19Bとそれらの上縁部同士を連絡する連絡壁19Cとを有する。また、第2のスライド規制突部19の両端部19Xは、中間部19Zの連絡壁19Cを横方向に延長してから下方に直角曲げして台盤11の上面まで延ばした角形リブ19Dと、中間部19Zと共通の内壁19Bとを有する。
【0013】
図5(A)に示すように、第2のスライド規制突部19の中央部19Yは、外面が中間部19Zの外面より凹んだ側面凹部19Vになっていると共に、上面が中間部19Zの上面より凹んだ上面凹部19Sになっている。また、中央部19Yの内面には、中間部19Zと共通の内壁19Bが備えられている。詳細には、中央部19Yの外面における横方向の両端部には、第1対の中間部19Zの外壁19Aから内側に屈曲した1対の外面傾斜壁19Eが備えられ、中央部19Yの上面における横方向の両端部には、1対の中間部19Zの連絡壁19Cから下側に屈曲した1対の上面傾斜壁19Fが備えられている。
【0014】
1対の上面傾斜壁19Fの下端部の間は、第2水平方向H2に延びる連絡壁40にて連絡されている。また、連絡壁40の下方には、前述の上面壁23から延長された水平リブ41が備えられ、それら連絡壁40と水平リブ41との間が複数の縦リブ42によって連絡されると共に、両端部の1対の縦リブ42によって1対の外面傾斜壁19Eと内壁19Bとの間も連絡されている。以下、第2のスライド規制突部19のうち連絡壁40,水平リブ41、縦リブ42で形成されている部分を格子構造部19Uという。
【0015】
台盤11のうち格子構造部19Uの下方には、突部受容部59が設けられている。
図6(A)に示されているように、突部受容部59は、下面開口と側面開口とを有し、その側面開口に対向する突部受容部59の奥壁59Aは、最外の第2水平リブ14の隣りの第2水平リブ14の一部になっている。また、突部受容部59の1対の側壁59Bは、奥壁59Aと直交しかつ奥壁59Aと1対の外面傾斜壁19Eとの間を連絡している。
【0016】
図6(A)に示すように、突部受容部59の天井面からは、係止部50が垂下している。係止部50は、下端部に横方向(第2水平方向H2)に突出する返し部52を有する。また、係止部50のうち返し部52を除く本体部51は、連絡壁40及び水平リブ41を長手方向で略三等分した横幅をなしている。
【0017】
詳細には、
図5(B)に示すように、係止部50には、側壁59Bと平行な複数の受容部内リブ53と、それら受容部内リブ53に直交する補強壁54とが含まれる。
図6(B)に示すように、複数の受容部内リブ53は、突部受容部59の天井面の奥行き方向の全体と奥壁59Aの上下方向の全体とに接続されている。また、複数の受容部内リブ53には、突部受容部59の奥行き方向の途中部分に、下端から上端寄り位置まで入り込んだ係合凹部53Aが備えられている。さらには、
図7に示すように、補強壁54は、突部受容部59の天井面における外寄り位置から斜め外側下方に向かって延び、複数の受容部内リブ53のうち係合凹部53Aより外側部分である外片部53Bと交差している。そして、複数の外片部53Bと補強壁54とによって係止部50が構成されている。
【0018】
図5(A)に示すように、係止部50の下端寄り位置では、複数の受容部内リブ53のうちの横方向の両端の1対の受容部内リブ53が、互いに離れるように両横方向に直角曲げされてから斜め下方に折り返され、直角曲げされた部分の真下位置まで延びてから水平になるように屈曲して互いに一体になっている。このようにして係止部50の下部には、両横方向に張り出す返し部52が形成されている。
【0019】
図5(A)に示すように、係止部50の外面50Gは、複数の受容部内リブ53(返し部52を含む)のうち補強壁54より外側に突出している部分の先端面によって形成されている。その係止部50の外面50Gの上端から上下方向の中間位置までは、第2のスライド規制突部19の格子構造部19Uの外面と面一をなし、係止部50の外面50Gの上下方向の中間位置から下端までは、補強壁54の内外面と平行になって、下方に向かうに従って外側に向かうように傾斜する傾斜部50Kになっている。
【0020】
図6(A)に示すように、突部受容部59の1対の側壁59Bからは、係止部50に向かって1対のガイド壁60が突出している。1対のガイド壁60は、突部受容部59の上端から下端寄り位置までの延び、1対のガイド壁60の下端は、返し部52より僅かに上方に位置する。
【0021】
次に、台盤11のうち
図1に示されたスライド規制突部18,19より内側の内側領域の構造について説明する。その内側領域では、第1水平リブ13と第2水平リブ14とに包囲された複数のセル12のうちの一部は、上面を上面壁23等によって覆われている。具体的には、内側領域の外縁に沿った枠状領域のうち、後述のキャスタ受容部21及び持手孔27と重なる部分を除いた部分に含まれる複数のセル12は、上面を上面壁23によって閉塞されている。また、上面壁23は、上記枠状領域から内側に延長され、台盤11における第1水平方向H1の両端部のうち第2水平方向H2の中央寄り位置の複数のセル12の上面も閉塞している。さらには、全体のうち半数以上を占める上面開放の複数のセル12には、水平リブ13,14の上端から各セル12内に僅かに突出する上面補強部24(
図2参照)が備えられている。そして、上面壁23、上面補強部24及び水平リブ13,14の上面等により、荷物90が載置される荷物載置面11N(
図4参照)が形成されている。
【0022】
図1に示すように、台盤11の四隅には、キャスタ受容部21が設けられている。キャスタ受容部21は、上面壁23の一部を陥没させた形状をなしている。また、キャスタ受容部21の平面形状はL字形になっていてL字の短辺は、台盤11の短辺側の外縁部のうち第1のスライド規制突部18の三角補強部18Dと第2のスライド規制突部19との間に挟まれた側方開放部19Wと同じ長さをなしている。また、キャスタ受容部21における側方開放部19W側の内側壁21Aの上端部と最外の第2水平リブ14との間が上面壁23と同一面内に位置する連絡壁29によって連絡されている。なお、連絡壁29の幅は、第2のスライド規制突部19の連絡壁19Cの幅より僅かに小さい。
【0023】
図4に示すように、各キャスタ70は、ローラ71を回転可能に支持する回転支持部72の上部が、ベース盤73に旋回可能に取り付けられた、所謂、自在キャスタである。図示しないが、ベース盤73の平面形状は、四角形になっている。そして、台盤11のうち各キャスタ受容部21の底壁20より下側部分に備えられた公知な構造のキャスタ装着部22にベース盤73が固定されている。そして、台車10同士が段積みされたときに上段側の台車10のキャスタ70のローラ71が、下段側の台車10のキャスタ受容部21に受容される。
【0024】
図1に示すように、スライド規制突部18,19の内側領域のうち1対の第1のスライド規制突部18の隣りの外縁部の中央には、1対の持手孔27が設けられている。持手孔27は、第1水平方向H1で隣り合う1対のセル12を統合した大きさより僅かに大きくなっていて、上下方向に貫通している。また、これと同様の1対の持手孔28が、第1水平方向H1の両端寄り位置における第2水平方向H2の中央にも設けられている。持手孔28は、第2水平方向H2で隣り合う1対のセル12を統合した大きさより僅かに大きくなっている。
【0025】
台盤11の中央には、略四角形の収容凹部30が設けられている。収容凹部30は、複数行複数列のセル12を統合しかつ下端部を底壁31で閉塞したものである。具体的には、
図2に示すように、台盤11には、その外縁部に沿った複数の水平リブ13,14に比べ、それらより内側の複数の水平リブ13,14の下方への突出量を小さくすることで下面凹部11Lが形成されている。そして、収容凹部30は、下面凹部11L内の複数の水平リブ13,14を除去してなる空間の下端開口を底壁31にて閉塞した構造をなし、平面形状は四角形になっている。また、収容凹部30の四隅には、第1水平リブ13と第2水平リブ14とに斜めに交差する傾斜リブ32が備えられている。そして、複数の傾斜リブ32と1対の第1水平リブ13と1対の第2水平リブ14とによって収容凹部30を内側に有する凹部側壁30Wが形成されている。
【0026】
凹部側壁30Wには、その凹部側壁30Wを構成する水平リブ13,14以外の複数の水平リブ13,14が接続され、それら水平リブ13,14の延長線上に、収容凹部30の底壁31の下面から突出する複数の補強突条31Kが備えられてる。なお、複数の補強突条31Kの下面は、複数の水平リブ13,14の下面と面一に配置されている。
【0027】
また、本実施形態の台盤11では、下面凹部11Lより外側の水平リブ13,14により凹部側壁30Wを包囲する枠形の包囲リブ30Hが形成されていると捉えることができる。そして、凹部側壁30Wと包囲リブ30Hとの間が複数の水平リブ13,14にて接続され、しかも、包囲リブ30Hは凹部側壁30Wより下方に突出していると捉えることもできる。なお、 包囲リブ30Hの下端は、複数の水平リブ13,14の下端に対して下方に位置しているが、複数の水平リブ13,14の下端に対して面一に位置していてもよい(同一平面上の位置でもよい)。さらに、凹部側壁30Wと包囲リブ30Hとの間の複数の水平リブ13,14が、凹部側壁30Wより下方に突出していてもよい。
【0028】
また、底壁31には、四角形の複数の孔31Aが行列状に並べて形成されている。即ち、底壁31は、メッシュ構造になっている。なお、複数の孔31Aは、底壁31のうち複数の補強突条31Kによって格子状に仕切られた升目に複数ずつ配置されている。
【0029】
なお、
図3に示すように、傾斜リブ32と第1水平リブ13と第2水平リブ14とに包囲された三角領域の上面は、上面壁23によって閉塞されている。また、収容凹部30は、第1水平方向H1及び第2水平方向H2の両方向で、荷物載置面11Nの全体に対して1/5~1/2程度の大きさをなして荷物載置面11Nの略中央(即ち、第1水平方向H1及び第2水平方向H2の両方向で荷物載置面11Nの略中央)に配置されている。また、収容凹部30の総開口面積は、荷物載置面11Nの全体の面積に対して、1/25~1/4程度になっている。なお、収容凹部30の総開口面積は、好ましくは、荷物載置面11Nの全体の面積に対して1/10~1/4である。
【0030】
本実施形態の台車10の構成に関する説明は以上である。以下、この台車10の作用効果について説明する。本実施形態の台車10では、荷物90を固定するには、例えば、
図4に示すように台盤11の荷物載置面11Nに荷物90を載置し、紐状又はベルト状の固定用具91を台盤11の各係止部50に掛け止め、荷物90の上に通して締め付ければよい。また、固定用具91を使用しない場合には、固定用具91を収容凹部30に収容しておくことができる。
【0031】
ここで、本実施形態の台車10では、収容凹部30が荷物載置面11Nに陥没形成されているので、従来のように収容凹部を備える部位が側方に張り出して走行の妨げになることがなくなる。しかも、収容凹部30は荷物載置面11Nの略中央に配置されているので、どの位置からでも収容凹部30にアクセスし易い。また、荷物90が樹脂製の運搬用容器である場合には、当該容器の段積み状態において最も荷重がかかり易い下面外縁部(側壁の下方)が、収容凹部30上に位置することを容易に避けることができる。またさらに、例えば、キャスタを制動する制動装置が台盤11に取り付けられている場合には、制動装置或いは制動装置の一部である操作ペダルとの干渉を避けることができる。また、収容凹部30を内側に有する凹部側壁30Wは、それより下方に突出する包囲リブ30Hで包囲されているので、走行中に凹部側壁30Wに異物が当接することが防がれる。しかも、包囲リブ30Hと凹部側壁30Wとの間は複数の水平リブ13,14で連絡されていることで、凹部側壁30Wが強固に補強される。また、収容凹部30の底壁31は、メッシュ構造になっているので、収容凹部30に水又は異物が溜まることを防ぐことができる。なお、「略中央」とは、厳密に中央に位置する構成のみを特定するものではなく、「略中央」等と言える構成も含む趣旨であって、「中央(略中央)」とすることによる機能や効果を達成可能な範囲で近似する構成を含むものである。
【0032】
[他の実施形態]
(1)固定用具91は、前記実施形態の形状に限定されるものではなく、係止部50に掛けることができる形状を有していれば、固定用具の全体の構成や先端形状などはどのようなものであってもよい。
【0033】
(2)前記実施形態の台車10は、本開示の「固定・係止部」として、固定用具91を掛け止め可能な係止部50を備えていたが、係止部50に代えて、係止部50とは異なる構造で、固定用具91を固定又は係止可能な固定・係止部を備えてもよい。具体的には、例えば、台盤11の最外の水平リブ13,14に横長のスリットを固定・係止部として設け、そのスリットに帯状の固定用具91の端部が通されて水平リブ13,14の下部に巻き付けた状態に固定されるようにしてもよい。また、固定用具91の端部にフックが備えられ、そのフックを掛け止めするための係止孔を固定・係止部として、水平リブ13,14或いはスライド規制突部18,19に設けてもよい。さらに、固定用具91の端部のフックを水平リブ13,14に掛けるだけの構造でもよい。
【0034】
(3)前記実施形態の収容凹部30は、荷物90を台盤11に固定するための固定用具91を不使用時に収容することを主目的としたものであるが、例えば、荷物90の伝票や工具等を収容するために使用してもよい。
【0035】
(4)前記実施形態の台車10はスライド規制突部18,19を備えていたが、それらを備えていなくてもよい。
【0036】
(5)前記実施形態の収容凹部30は、平面形状が四角形であったが、収容凹部30の平面形状は、円形、楕円形、菱形等どのような形状でもよく、また、収容凹部の数も1つに限定されるものではなく、複数でもよい。
【0037】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴を含んだ本開示に係る特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成の符号を括弧書きで示すが、これら特徴群は、この括弧書きで示した符号の構成に限定されるものではない。
【0038】
[特徴1]
台車(10)の一部を構成しない物品を収容するための収容凹部(30)が、台盤(11)の荷物載置面(11N)から陥没した状態に備えられている台車(10)。
【0039】
特徴1の台車では、収容凹部に書類や工具・用具等を収容することができる。そして、収容凹部が荷物載置面に陥没形成されているので、従来のように収容凹部を備える部位が側方に張り出して走行が妨げられることがなくなる。なお、台車には、固定用具を固定又は係止するための固定・係止部を備えていても、いなくてもよい。
【0040】
[特徴2]
前記台盤(11)には、荷物固定用の固定用具(91)を台盤(11)に固定又は係止するための固定・係止部(50)が備えられ、前記収容凹部(30)に不使用時の前記固定用具(91)を収容可能な特徴1に記載の台車(10)。
【0041】
特徴2の台車の構成によれば、荷物固定用の固定用具の紛失が防がれる。
【0042】
[特徴3]
前記台盤(11)の下面に形成され、前記収容凹部(30)を内側に有する凹部側壁(30W)と、前記台盤(11)の下面に形成され、前記凹部側壁(30W)と交差する複数の補強壁(13,14)とを備える特徴1又は2に記載の台車(10)。
【0043】
特徴3の台車によれば、収容凹部を内側に有する凹部側壁が補強されて耐久性が向上する。
【0044】
[特徴4]
前記台盤(11)の下面には、前記凹部側壁(30W)を包囲する包囲リブ(30H)が設けられて、前記凹部側壁(30W)と前記包囲リブ(30H)とが前記複数の補強壁(13,14)によって接続され、前記包囲リブ(30H)の下端は、前記複数の補強壁(13,14)の下端に対して面一か又は下方に位置している特徴3に記載の台車(10)。
【0045】
特徴4の台車によれば、凹部側壁とそれを包囲する包囲リブとが複数の補強壁によって接続された構造になっているので、凹部側壁がより強固に補強される。
【0046】
[特徴5]
前記台盤(11)の下面には、ローラ(71)の支持部(72)が旋回する自在キャスタ(70)が備えられ、前記凹部側壁(30W)は、旋回する前記ローラ(71)と干渉しない位置に配置されている特徴3又は4に記載の台車(10)。
【0047】
特徴5の台車によれば、凹部側壁によってローラの旋回範囲が制限されることがなくなる。
【0048】
[特徴6]
前記収容凹部(30)は、前記荷物載置面(11N)の略中央に配置されている特徴1ないし5の何れか1の特徴に記載の台車(10)。
【0049】
特徴6の台車によれば、収容凹部が荷物載置面の略中央に配置されているので、どの位置からでも収容凹部にアクセスし易くなる。
【0050】
[特徴7]
前記収容凹部(30)の総開口面積は、前記台盤(11)の荷物載置面(11N)の面積の1/10~1/4になっている特徴1から6の何れかに記載の台車(10)。
【0051】
特徴7の台車の構成によれば、小さい荷物であれば、荷物載置面のうち収容凹部を避けた場所に載置することができ、大きい荷物であれば、収容凹部を覆うように載置することができる。なお、収容凹部の深さは、どのような深さでもよいが、10mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがより好ましい。また、例えば、台車が平坦な床面上に置かれた状態で収容凹部の底壁が、床上10~20mm程度になるまで底壁を下げて、収容凹部の深さを可能な限り深くしてもよいし、例えば、深さ10~15mm程度にして書類や平坦な工具のみが収容されるものとしてもよい。
【0052】
[特徴8]
前記収容凹部を複数備える特徴1から7の何れか1の特徴に記載の台車。
【0053】
特徴8の台車によれば、収容凹部を複数備えるので、各収容凹部を小さくすることができ、収容凹部への荷物の落ち込みや、荷物の下面外縁部が収容凹部上に配置されることを容易に防ぐことができる。
【0054】
[特徴9]
前記収容凹部が細長い形状をなしている特徴1から8の何れか1の特徴に記載の台車。
【0055】
特徴9の台車によれば、収容凹部が細長い形状をなしているので、収容凹部への荷物の落ち込みや、荷物の下面外縁部が収容凹部上に配置されることを容易に防ぐことができる。なお、細長い形状の収容凹部は、直線状に延びていてもよいし、曲がっていてもよい。直線状の収容凹部は、荷物載置面の外縁部に沿って延びていてもよいが、そうでない方が好ましい。また、細長い形状の収容凹部の一端部又は両端部のみが、荷物載置面の外縁部に配置されて荷物に覆われ難くなるようにして、収容凹部内の収容物の有無を容易に確認したり、端部から収容凹部内の収容物を取り出せるようにしてもよい。
【0056】
[特徴10]
前記収容凹部は、荷物載置面の外縁部に配置されると共に、前記収容凹部内の側壁又は底壁に、荷物を固定する帯状又は紐状の固定用具を固定又は係止するための固定・係止部を備える特徴1から9の何れか1の特徴に記載の台車。
【0057】
特徴10の台車によれば、固定用具を収容凹部内の固定・係止部に固定又は係止した状態のまま収容凹部に収容することができ、利便性が向上する。この固定・係止部を有する収容凹部は、荷物載置面の対向する1対の外縁部に設けてもよいし、荷物載置面の外縁部の一箇所又は互いに対向しない複数箇所に設け、その又はそれらの反対側となる台盤の外縁部におけるスライド規制突部や下部に固定・係止部を備えてもよい。
【0058】
[特徴11]
前記収容凹部(30)の底壁(31)がメッシュ構造をなしている特徴1から10の何れか1の特徴に記載の台車(10)。
【0059】
特徴11の台車によれば、収容凹部に水又は異物が溜まることを防ぐことができる。
【0060】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0061】
10 台車
11 台盤
11L 下面凹部
11N 荷物載置面
13 第1水平リブ(補強壁)
14 第2水平リブ(補強壁)
30 収容凹部
30H 包囲リブ
30W 凹部側壁
31 底壁
50 係止部(固定・係止部)
70 キャスタ
71 ローラ
72 回転支持部
90 荷物
91 固定用具
【手続補正書】
【提出日】2023-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車の一部を構成しない物品を収容するための収容凹部が、台盤の荷物載置面から陥没した状態に備えられている台車。
【請求項2】
前記台盤には、荷物固定用の固定用具を台盤に固定又は係止するための固定・係止部が備えられ、
前記収容凹部に不使用時の前記固定用具を収容可能な請求項1に記載の台車。
【請求項3】
前記台盤の下面に形成され、前記収容凹部を内側に有する凹部側壁と、
前記台盤の下面に形成され、前記凹部側壁と交差する複数の補強壁とを備える請求項1に記載の台車。
【請求項4】
前記台盤の下面には、前記凹部側壁を包囲する包囲リブが設けられて、前記凹部側壁と前記包囲リブとが前記複数の補強壁によって接続され、
前記包囲リブの下端は、前記複数の補強壁の下端に対して面一か又は下方に位置している請求項3に記載の台車。
【請求項5】
前記台盤の下面には、ローラの支持部が旋回する自在キャスタが備えられ、
前記凹部側壁は、旋回する前記ローラと干渉しない位置に配置されている請求項3に記載の台車。
【請求項6】
前記収容凹部は、前記荷物載置面の略中央に配置されている請求項1に記載の台車。
【請求項7】
前記収容凹部の総開口面積は、前記台盤の荷物載置面の面積の1/10~1/4になっている請求項1から6の何れかに記載の台車。