(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115023
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】廃棄物燃焼発電装置、および廃棄物燃焼発電方法
(51)【国際特許分類】
F23G 5/46 20060101AFI20240819BHJP
F22G 1/16 20060101ALI20240819BHJP
F23J 3/00 20060101ALI20240819BHJP
F01K 27/02 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
F23G5/46 A
F22G1/16
F23J3/00 101
F01K27/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020460
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】308024395
【氏名又は名称】荏原環境プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】石川 栄司
(72)【発明者】
【氏名】土屋 彰
(72)【発明者】
【氏名】梶原 洋和
(72)【発明者】
【氏名】藤原 昇悟
【テーマコード(参考)】
3G081
3K065
3K261
【Fターム(参考)】
3G081BA01
3G081BC11
3G081BC19
3K065JA03
3K065JA05
3K065JA18
3K261GA12
3K261GA17
(57)【要約】
【課題】高温熱交換器を流れる流体と燃焼排ガスとの熱交換効率を向上させて、所望の温度以上に加熱された気体を、過熱蒸気をさらに昇温するための独立過熱器に供給することが可能な廃棄物燃焼発電装置を提供する。
【解決手段】廃棄物燃焼発電装置は、燃焼炉11と、過熱蒸気を生成する過熱器21、および流体を加熱する高温熱交換器12を内蔵する廃熱ボイラ13と、過熱蒸気と加熱された流体との間で熱交換を行うことで、過熱蒸気を昇温する独立過熱器14と、高温熱交換器12と独立過熱器14との間で流体を循環させる循環ライン25と、独立過熱器14で昇温された過熱蒸気が供給される蒸気タービンを有する発電機15と、を備える。高温熱交換器12は、廃熱ボイラ13の側壁13a,13bを貫通して、燃焼排ガスの流路を横断して延びる複数の高温流体加熱管35を少なくとも有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を燃焼させる燃焼炉と、
前記燃焼炉からの燃焼排ガスと飽和蒸気との間で熱交換を行うことで前記飽和蒸気から過熱蒸気を生成する過熱器と、前記燃焼炉からの燃焼排ガスと流体との間で熱交換を行うことで前記流体を加熱する高温熱交換器と、を内蔵する廃熱ボイラと、
前記過熱蒸気と前記加熱された流体との間で熱交換を行うことで、前記過熱蒸気を昇温する独立過熱器と、
前記高温熱交換器と前記独立過熱器との間で前記流体を循環させる循環ラインと、
前記独立過熱器で昇温された過熱蒸気が供給される蒸気タービンを有する発電機と、を備え、
前記高温熱交換器は、前記廃熱ボイラの側壁を貫通して、前記燃焼排ガスの流路を横断して延びる複数の高温流体加熱管を少なくとも有している、廃棄物燃焼発電装置。
【請求項2】
前記廃熱ボイラは、前記高温熱交換器の高温流体加熱管が貫通する側壁の内面に取り付けられた耐熱パネルを有する、請求項1に記載の廃棄物燃焼発電装置。
【請求項3】
前記高温熱交換器は、前記高温流体加熱管に振動を与える圧力波式スートブロワを有する、請求項1に記載の廃棄物燃焼発電装置。
【請求項4】
前記循環ラインに接続され、前記循環ラインを流れる流体に三原子分子を供給する三原子分子供給ラインをさらに備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の廃棄物燃焼発電装置。
【請求項5】
廃棄物を燃焼させて燃焼排ガスを生成し、
廃熱ボイラに内蔵された過熱器で、前記燃焼排ガスと飽和蒸気との間で熱交換を行うことで前記飽和蒸気から過熱蒸気を生成し、
前記廃熱ボイラに内蔵された高温熱交換器で、前記燃焼排ガスと流体との間で熱交換を行うことで前記流体を加熱し、
前記流体を前記高温熱交換器と独立過熱器との間で循環させ、
前記独立過熱器に前記過熱蒸気を供給して、前記過熱蒸気と前記流体との間で熱交換を行うことで前記過熱蒸気を加熱し、
前記加熱された過熱蒸気を蒸気タービンに供給して発電し、
前記高温熱交換器は、前記廃熱ボイラの側壁を貫通して、前記燃焼排ガスの流路を横断して延びる複数の高温流体加熱管を少なくとも有している、廃棄物燃焼発電方法。
【請求項6】
前記廃熱ボイラの内面に取り付けられた耐熱パネルによって、前記高温流体加熱管を前記廃熱ボイラの側壁から断熱した状態で、前記流体と前記燃焼排ガスとの間で熱交換を行う、請求項5に記載の廃棄物燃焼発電方法。
【請求項7】
前記高温熱交換器に配置された圧力式スートブロワで、前記高温流体加熱管に振動を定期的に与える、請求項5に記載の廃棄物燃焼発電方法。
【請求項8】
前記流体に三原子分子を供給し、前記三原子分子を含有する流体を前記高温熱交換器で加熱する、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の廃棄物燃焼発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を燃焼することによって生じる燃焼排ガスの熱を利用して、高温高圧の過熱蒸気を得て、該過熱蒸気で蒸気タービンを駆動して発電する廃棄物燃焼発電装置、および廃棄物燃焼発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物(例えば、各種ごみ)の燃焼による熱エネルギを発電に利用するサーマルリサイクル方式が知られている。例えば、特許文献1に記載の廃棄物燃焼発電装置では、廃棄物の燃焼によって生じた高温の燃焼排ガスを高温熱交換器に導入して、高温熱交換器で気体を加熱し、加熱された気体を過熱蒸気過熱器(以下、「独立過熱器」と称する)に供給する。独立過熱器では、加熱された気体を熱源として過熱蒸気が昇温され、昇温された過熱蒸気は、蒸気タービンに供給される。蒸気タービンは発電機に連結されており、昇温された過熱蒸気を用いて蒸気タービンを駆動することにより発電機に発電させる。
【0003】
近年、廃棄物の燃焼処理では高効率のエネルギ回収が求められている。そのため、特許文献1に記載されるような廃棄物燃焼発電装置でも、過熱蒸気を昇温するための加熱気体の温度を安定して高温(例えば、700℃以上)に維持し、所望の温度(例えば、500℃以上)以上の過熱蒸気を蒸気タービンに供給することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の廃棄物燃焼発電装置の高温熱交換器では、高温の燃焼排ガスが流れる流路を形成する壁の表面から、二重管構造を有する多数の熱交換部を突出させている。加熱対象である気体は熱交換部の二重管を流れる。このような構造では、熱交換部の二重管を流れる気体が、流路を流れる高温の燃焼排ガスと効率的に熱交換できず、過熱蒸気を昇温するための加熱気体を安定して高温に維持することが困難な場合がある。さらに、熱交換部の二重管自体の温度も所望の温度まで昇温できない場合があり、熱交換部の二重管が、燃焼排ガスに含まれ、腐食性を有する塩類によって低温腐食してしまうことがあった。
【0006】
そこで、本発明では、高温熱交換器を流れる流体と燃焼排ガスとの熱交換効率を向上させて、所望の温度以上に加熱された気体を、過熱蒸気をさらに昇温するための独立過熱器に供給することが可能な廃棄物燃焼発電装置、および廃棄物燃焼発電方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、廃棄物を燃焼させる燃焼炉と、前記燃焼炉からの燃焼排ガスと飽和蒸気との間で熱交換を行うことで前記飽和蒸気から過熱蒸気を生成する過熱器と、前記燃焼炉からの燃焼排ガスと流体との間で熱交換を行うことで前記流体を加熱する高温熱交換器と、を内蔵する廃熱ボイラと、前記過熱蒸気と前記加熱された流体との間で熱交換を行うことで、前記過熱蒸気を昇温する独立過熱器と、前記高温熱交換器と前記独立過熱器との間で前記流体を循環させる循環ラインと、前記独立過熱器で昇温された過熱蒸気が供給される蒸気タービンを有する発電機と、を備え、前記高温熱交換器は、前記廃熱ボイラの側壁を貫通して、前記燃焼排ガスの流路を横断して延びる複数の高温流体加熱管を少なくとも有している、廃棄物燃焼発電装置が提供される。
【0008】
一態様では、前記廃熱ボイラは、前記高温熱交換器の高温流体加熱管が貫通する側壁の内面に取り付けられた耐熱パネルを有する。
一態様では、前記高温熱交換器は、前記高温流体加熱管に振動を与える圧力波式スートブロワを有する。
一態様では、前記廃棄物燃焼発電装置は、前記循環ラインに接続され、前記循環ラインを流れる流体に三原子分子を供給する三原子分子供給ラインをさらに備える。
【0009】
一態様では、廃棄物を燃焼させて燃焼排ガスを生成し、廃熱ボイラに内蔵された過熱器で、前記燃焼排ガスと飽和蒸気との間で熱交換を行うことで前記飽和蒸気から過熱蒸気を生成し、前記廃熱ボイラに内蔵された高温熱交換器で、前記燃焼排ガスと流体との間で熱交換を行うことで前記流体を加熱し、前記流体を前記高温熱交換器と独立過熱器との間で循環させ、前記独立過熱器に前記過熱蒸気を供給して、前記過熱蒸気と前記流体との間で熱交換を行うことで前記過熱蒸気を加熱し、前記加熱された過熱蒸気を蒸気タービンに供給して発電し、前記高温熱交換器は、前記廃熱ボイラの側壁を貫通して、前記燃焼排ガスの流路を横断して延びる複数の高温流体加熱管を少なくとも有している、廃棄物燃焼発電方法が提供される。
【0010】
一態様では、前記廃熱ボイラの内面に取り付けられた耐熱パネルによって、前記高温流体加熱管を前記廃熱ボイラの側壁から断熱した状態で、前記流体と前記燃焼排ガスとの間で熱交換を行う。
一態様では、前記高温熱交換器に配置された圧力式スートブロワで、前記高温流体加熱管に振動を定期的に与える。
一態様では、前記流体に三原子分子を供給し、前記三原子分子を含有する流体を前記高温熱交換器で加熱する。
【発明の効果】
【0011】
高温流体加熱管は、廃熱ボイラに形成された高温の燃焼排ガスの流路を完全に横切るように延びる。そのため、高温流体加熱管を流れる流体と、廃熱ボイラを流れる高温の燃焼排ガスとの間で熱交換を行う際に、燃焼排ガスが複数の高温流体加熱管の周囲を均等に流れるようになる。その結果、独立過熱器に供給される流体と燃焼排ガスとの熱交換効率が各段に向上し、所望の温度以上に加熱された流体を独立過熱器に安定して供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る廃棄物燃焼発電装置を示す模式図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る高温熱交換器の周辺を示す模式図である。
【
図3】
図3は、高温熱交換器の高温流体加熱管と廃熱ボイラの側壁とを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る廃棄物燃焼発電装置を示す模式図である。
図1に示す廃棄物燃焼発電装置は、廃棄物(例えば、各種ごみ)を燃焼処理する焼却炉11と、燃焼排ガスから熱エネルギを回収するための廃熱ボイラ13と、廃熱ボイラ13で熱交換されることにより生成される過熱蒸気を昇温させる独立過熱器(過熱蒸気過熱器)14と、独立過熱器14に連結される蒸気タービン発電機15と、を含んでいる。燃焼炉11は、廃棄物を燃焼処理するための設備であり、廃棄物を処理した際に高温の燃焼排ガス(例えば、850℃以上の温度を有する排ガス)を排出する。一実施形態では、廃棄物燃焼発電装置は、燃焼炉11に代えて、ガス化溶融炉を備えていてもよい。
【0014】
図1に示す廃棄物燃焼発電装置は、さらに、廃熱ボイラ13を通過した燃焼排ガスを大気に放出できるように無害化する排ガス処理装置16、および排ガス処理装置16を通過した燃焼排ガスを大気に放出するための煙突20を、含んでいる。排ガス処理装置16の構成および種類は、燃焼排ガスを無害化できる限り任意である。例えば、排ガス処理装置16は、燃焼炉11に供給される空気を予熱する空気予熱器、廃熱ボイラ13で過熱蒸気を生成するための水を予熱するエコノマイザ、および燃焼排ガスに含まれる灰燼を捕集するための集塵機(例えば、バグフィルタ)を備えていてもよい。空気予熱器およびエコノマイザは、燃焼排ガスの温度を低下させることができる。
【0015】
廃熱ボイラ13は、燃焼排ガスを利用して飽和蒸気から過熱蒸気を生成する過熱器21と、独立過熱器14に高温の流体(例えば、空気)を供給するための高温熱交換器12と、を内蔵している。廃熱ボイラ13の詳細な構成については後述する。
【0016】
図1に示す廃棄物燃焼発電機は、独立過熱器14と、廃熱ボイラ13の高温熱交換器12との間で、流体を循環させるための循環ライン25と、循環ライン25に配置された循環装置(例えば、循環ファン)31と、をさらに含んでいる。循環ライン25を流れる流体は、循環装置31によって、高温熱交換器12に送られ、高温熱交換器12で燃焼排ガスと熱交換を行って高温に加熱される。高温熱交換器12を通過した流体は、独立過熱器14に送られ、独立過熱器14で過熱蒸気と熱交換を行って冷やされ、その後、循環装置31によって高温熱交換器12に戻される。このようにして、循環ライン25を流れる流体は、独立過熱器14と高温熱交換器12との間で循環される。
【0017】
循環ライン25を介して高温熱交換器12と独立過熱器14との間を循環する流体は、これら機器12,14を循環しながら、燃焼排ガスから与えられる熱によって所望の温度(例えば、700℃)以上の高温に加熱される。循環ライン25を流れる流体の例としては、空気などの気体が挙げられる。しかしながら、流体の種類は、高温熱交換器12で所望の温度以上の高温まで昇温できる限り任意であり、複数種類の流体の混合流体であってもよい。
【0018】
図1に示す廃棄物燃焼発電装置は、以下のようにして運転される。廃棄物が図示しないフィーダから燃焼炉11に供給され、焼却炉11では、廃棄物が燃焼処理されて、高温の燃焼排ガスが生成される。燃焼排ガスは、廃熱ボイラ13に供給され、廃熱ボイラ13に内蔵された高温熱交換器12を通過する際に、循環ライン25を流れる流体と熱交換を行い、循環ライン25を流れる流体の温度を所望の温度(例えば、700℃)以上まで上昇させる。所望の温度まで昇温された流体は、循環ライン25を介して独立過熱器14に供給される。
【0019】
一方で、廃熱ボイラ13に内蔵された過熱器21に供給された飽和蒸気は、該過熱器21で燃焼排ガスと熱交換を行い、過熱蒸気として生成される。この過熱蒸気は、例えば、100kg/cm2程度の蒸気圧力と、400~450℃程度の温度を有する。過熱蒸気は、独立過熱器14に供給され循環ライン25を循環する上記流体と熱交換を行い、所望の温度(例えば、500℃)以上に加熱される。この過熱蒸気が蒸気タービン発電機15に供給され、発電される。廃熱ボイラ13を出た燃焼排ガスは、排ガス処理装置16で無害化され、クリーンガスとして、煙突20から排出される。
【0020】
図2は、一実施形態に係る高温熱交換器の周辺を示す模式図であり、
図3は、高温熱交換器の高温流体加熱管と廃熱ボイラの側壁とを示す模式図である。
図2に示すように、廃熱ボイラ13には、燃焼排ガスの流路を形成する複数の仕切壁30が設けられており、隣接する仕切壁30の間に高温熱交換器12が配置される。本実施形態では、仕切壁30は、燃焼排ガスの熱による仕切壁30の損傷を防ぐために、その内部にボイラ水が流れる複数のボイラ水管が配置された冷却パネルとして構成されている。
【0021】
高温熱交換器12は、加熱対象である流体が流れる複数の高温流体加熱管35を少なくとも含んでいる。
図3に示すように、各高温流体加熱管35は、廃熱ボイラ13の対向する側壁13a、13bを貫通して延びる。本実施形態では、各高温流体加熱管35は、水平方向に互いに平行に延びている。さらに、各高温流体加熱管35は、流体が各高温流体加熱管35を均等な流量で流れるように、図示しない管ヘッドから延びている。この管ヘッドは、循環ライン25に配置される。
【0022】
廃熱ボイラ13の側壁13a,13bのそれぞれには、ボイラ水が流れる複数のボイラ水管33が密集して配置されており、冷却水パネルとして構成される。このような構成によって、廃熱ボイラ13を流れる高温の燃焼排ガスによって、廃熱ボイラ13の側壁13a、13bが損傷することが防止される。一方で、ボイラ水管33を流れるボイラ水は、高温の燃焼排ガスによって加熱されることで飽和蒸気となり、この飽和蒸気が過熱器21に供給されて、過熱蒸気となる。
【0023】
このような構成によれば、高温流体加熱管35が廃熱ボイラ13に形成された高温の燃焼排ガスの流路を完全に横切るように延びるので、高温流体加熱管35を流れる流体と、廃熱ボイラ13を流れる高温の燃焼排ガスとの間で熱交換を行う際に、燃焼排ガスが複数の高温流体加熱管35の周囲を均等に流れるようになる。その結果、高温流体加熱管35を流れる流体(すなわち、独立過熱器14に供給される流体)と燃焼排ガスとの熱交換効率が各段に向上し、所望の温度以上に加熱された流体を独立過熱器14に安定して供給することができる。
【0024】
さらに、本実施形態によれば、高温流体加熱管35の腐食減肉を効果的に抑制することができ、廃熱ボイラ13、ひいては廃棄物燃焼発電装置のメンテナンス頻度を低減することができる。具体的には、廃棄物を燃焼処理した際に発生する灰燼には、配管を腐食させる塩類(以下、単に「腐食塩」と称する)が含まれる。一方で、高温流体加熱管35の温度は、その内部を流れる流体を700℃以上の高温に加熱できるほどに燃焼排ガスによって加熱されている。そのため、腐食塩を含む灰燼が高温流体加熱管35に付着したとしても、腐食塩を昇華させることができ、腐食塩が高温流体加熱管35に固着できない。その結果、腐食塩による高温流体加熱管35の損傷を効果的に抑制できる。さらに、高温流体加熱管35を溶接部分のない直管として構成することができるので、高温流体加熱管35から腐食に対して耐性の低い溶接部分をなくすことができる。この観点からも、腐食塩に起因する高温流体加熱管35の損傷を効果的に抑制できる。
【0025】
図3に示すように、廃熱ボイラ13の側壁13a,13bの内面には、耐熱パネル(または、耐火パネル)36が取り付けられている。耐熱パネル36によって、廃熱ボイラ13の側壁13a,13bに配置されたボイラ水管33を流れるボイラ水が高温流体加熱管35を冷却することが防止される。より具体的には、耐熱パネル36によって、高温加熱管35が廃熱ボイラ13の側壁13a,13bを貫通する部分が冷却されることが防止される。すなわち、耐熱パネル36によって、高温流体加熱管35およびその内部を流れる流体の温度が低下されることが効果的に防止され、その結果、流体の温度を所望の温度まで効率よく上昇させることができる。さらに、耐熱パネル36によって、高温流体加熱管35を高温の状態に安定して維持できるので、上記した腐食塩を含む灰燼の、高温流体加熱管35への固着をより効果的に防止することができる。
【0026】
一実施形態では、高温熱交換器12は、圧力波式スートブロワ38を有していてもよい(
図2参照)。圧力波式スートブロワ38は、天然ガス、およびメタンガスなどの可燃性ガスと酸素の混合気体を点火することで発生する圧力波(例えば、超音速を有する圧力波)を利用して、高温流体加熱管35の表面に付着した腐食塩を含む灰燼に微細な震動をもたらす装置である。圧力波式スートブロワ38を定期的(例えば、数時間毎に)に駆動することよって、腐食塩を含む灰燼を高温流体加熱管35の表面から効果的に取り除くことができる。その結果、高温流体加熱管35の腐食減肉をさらに効果的に抑制することができる。
【0027】
図1に示すように、廃棄物燃焼発電装置は、循環ラインに接続される三原子分子供給ライン40を備えていてもよい。三原子分子供給ライン40は、図示しない三原子分子供給源から延びており、循環ライン25を流れる流体に、三原子分子を適量且つ適宜なタイミニングで供給する。図示はしないが、三原子分子供給ライン40に、流量計、および開閉バルブを配置してもよい。
【0028】
三原子分子は、熱輻射による熱の伝達を効率よく行うことができる分子である。そのため、循環ライン25を流れる流体に、三原子分子供給ライン40を介して三原子分子を適量且つ適宜なタイミングで供給すると、供給された三原子分子によって、循環ライン25を流れる流体を輻射により効率的に加熱することができる。その結果、流体を所望の温度に効率よく且つ素早く昇温させることができる。
【0029】
三原子分子の例としては、水および二酸化炭素が挙げられる。三原子分子としては、入手のし易さ、および取扱いの容易さなどの観点から、水が好ましい。三原子分供給ライン40から循環ライン25に供給される三原子分子が水の場合は、三原子分子供給ラインの先端にスプレー(図示せず)を設け、ミスト状の水(または、水蒸気)を循環ライン25を流れる流体に供給する。水は、例えば、循環ライン25を流れる流体の飽和水蒸気量に達するまで供給される。
【0030】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0031】
11 燃焼炉
12 高温熱交換器
13 廃熱ボイラ
14 独立過熱器
15 蒸気タービン発電機
21 過熱器
25 循環ライン
35 高温流体加熱管
36 耐熱パネル
38 圧力波式スートブロワ
40 三原子分子供給ライン