(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115046
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】空調温度制御方法および空調温度制御システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/80 20180101AFI20240819BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240819BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20240819BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20240819BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20240819BHJP
F24F 120/00 20180101ALN20240819BHJP
【FI】
F24F11/80
G06Q50/10
F24F11/89
F24F11/64
F24F110:10
F24F120:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020493
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】大橋 信博
【テーマコード(参考)】
3L260
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3L260AA09
3L260BA02
3L260BA23
3L260BA61
3L260CA01
3L260CA12
3L260CB70
3L260EA07
3L260EA09
3L260EA13
3L260EA19
3L260EA22
3L260EA26
3L260FA03
3L260HA01
3L260JA23
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】施設内の温度と施設利用者の服装とのバランスをとり、多くの施設利用者に対して快適な温度環境を提供する。
【解決手段】空調温度制御方法は、設定温度に基づいて施設内の空調温度を制御する方法であって、施設内に設置された少なくとも1つの温度センサの検出値から、各日の施設内の温度を示す温度情報を取得するステップと、施設内に設置された少なくとも1つのカメラの撮像画像から、各日の複数の施設利用者の服装を示す服装情報を取得するステップと、前日の温度情報および当日の温度情報から、前日に対する当日の温度変化を数値化した温度変化データを生成するステップと、前日の服装情報および当日の服装情報から、前日に対する当日の服装の変化を数値化した服装変化データを生成するステップと、温度変化データおよび服装変化データに基づいて、設定温度を変更するステップとを含む。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定温度に基づいて施設内の空調温度を制御する方法であって、
前記施設内に設置された少なくとも1つの温度センサの検出値から、各日の前記施設内の温度を示す温度情報を取得するステップと、
前記施設内に設置された少なくとも1つのカメラの撮像画像から、各日の複数の施設利用者の服装を示す服装情報を取得するステップと、
前日の前記温度情報および当日の前記温度情報から、前日に対する当日の温度変化を数値化した温度変化データを生成するステップと、
前日の前記服装情報および当日の前記服装情報から、前日に対する当日の服装の変化を数値化した服装変化データを生成するステップと、
前記温度変化データおよび前記服装変化データに基づいて、前記設定温度を変更するステップとを含む、空調温度制御方法。
【請求項2】
前記温度変化データを生成するステップは、
前日の前記施設内の温度に対する当日の前記施設内の温度の差分から前記温度変化データを生成するステップを含み、
前記服装情報を取得するステップは、
前記撮像画像から、各施設利用者の服装が厚着、普通、および薄着の何れかであるかを推定するステップと、
複数の施設利用者における厚着の割合および薄着の割合の差分を表す服装バランスを、前記服装情報として取得するステップとを含み、
前記服装変化データを生成するステップは、
前日の前記服装バランスに対する当日の前記服装バランスの差分から前記服装変化データを生成するステップを含む、請求項1に記載の空調温度制御方法。
【請求項3】
前記設定温度を変更するステップは、
当日が前日に比べて、前記施設内の温度が高く、かつ、複数の施設利用者における厚着の割合が多い場合には、前記設定温度を上昇させるステップと、
当日が前日に比べて、前記施設内の温度が低く、かつ、複数の施設利用者における薄着の割合が多い場合には、前記設定温度を低下させるステップとを含む、請求項2に記載の空調温度制御方法。
【請求項4】
前記設定温度を変更するステップは、
当日が前日に比べて、前記施設内の温度が高く、かつ、複数の施設利用者における薄着の割合が多い場合には、前記設定温度を変更しないステップと、
当日が前日に比べて、前記施設内の温度が低く、かつ、複数の施設利用者における厚着の割合が多い場合には、前記設定温度を変更しないステップとをさらに含む、請求項2または3に記載の空調温度制御方法。
【請求項5】
前記設定温度を変更するステップは、
当日と前日とで前記施設内の温度が等しい場合、または、当日と前日とで複数の施設利用者における前記服装バランスが等しい場合には、前記設定温度を変更しないステップをさらに含む、請求項2または3に記載の空調温度制御方法。
【請求項6】
設定温度に基づいて施設内の空調温度を制御するシステムであって、
前記施設内に設置された少なくとも1つの温度センサの検出値から、各日の前記施設内の温度を示す温度情報を取得する手段と、
前記施設内に設置された少なくとも1つのカメラの撮像画像から、各日の複数の施設利用者の服装を示す服装情報を取得する手段と、
前日の前記温度情報および当日の前記温度情報から、前日に対する当日の温度変化を数値化した温度変化データを生成する手段と、
前日の前記服装情報および当日の前記服装情報から、前日に対する当日の服装の変化を数値化した服装変化データを生成する手段と、
前記温度変化データおよび前記服装変化データに基づいて、前記設定温度を変更する手段とを備える、空調温度制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調温度制御方法および空調温度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2017-44515号公報(特許文献1)には、対象人物としての乗員が含まれる熱画像から当該乗員の着衣量が薄着であるか厚着であるかを推定し、その推定結果に応じて空調装置の動作を調整する車両用空調システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の利用者が滞在する施設においては、施設内を複数の利用者にとって快適な温度環境に保つために、設定温度に従って空調設備の運転を制御している。しかしながら、空調温度を設定温度に保っていても、利用者の服装は、季節、当日の天候および気温などによって変化するため、空調温度と服装とが釣り合っていない利用者を不快にさせてしまう場合がある。
【0005】
そのため、従来では、施設管理者が施設内を巡回して利用者の服装を監視したり、一部の利用者からのクレームを受けて、空調設備の設定温度を変更することが行われていた。しかしながら、この手法は施設管理者にとって手間がかかることに加えて、多くの利用者の要望に応えることが難しいことが懸念される。また、商業施設などの大型施設には、一般に、車両とは異なり、不特定多数の利用者が滞在し、その構成も日によって変動することから、上記特許文献1に記載される技術を利用して各人の着衣量を考慮することは容易でないと考えられる。
【0006】
それゆえ、本開示の主たる目的は、施設内の温度と施設利用者の服装とのバランスをとり、多くの施設利用者にとって快適な温度環境を実現することが可能な空調温度制御システムおよび空調温度制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従う空調温度制御方法は、設定温度に基づいて施設内の空調温度を制御する方法であって、施設内に設置された少なくとも1つの温度センサの検出値から、各日の施設内の温度を示す温度情報を取得するステップと、施設内に設置された少なくとも1つのカメラの撮像画像から、各日の複数の施設利用者の服装を示す服装情報を取得するステップと、前日の温度情報および当日の温度情報から、前日に対する当日の温度変化を数値化した温度変化データを生成するステップと、前日の服装情報および当日の服装情報から、前日に対する当日の服装の変化を数値化した服装変化データを生成するステップと、温度変化データおよび服装変化データに基づいて、設定温度を変更するステップとを含む。
【0008】
本開示の別の局面に従う空調温度制御システムは、設定温度に基づいて施設内の空調温度を制御する。空調温度制御システムは、施設内に設置された少なくとも1つの温度センサの検出値から、各日の施設内の温度を示す温度情報を取得する手段と、施設内に設置された少なくとも1つのカメラの撮像画像から、各日の複数の施設利用者の服装を示す服装情報を取得する手段と、前日の温度情報および当日の温度情報から、前日に対する当日の温度変化を数値化した温度変化データを生成する手段と、前日の服装情報および当日の服装情報から、前日に対する当日の服装の変化を数値化した服装変化データを生成する手段と、温度変化データおよび服装変化データに基づいて、設定温度を変更する手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、施設内の温度と施設利用者の服装とのバランスをとり、多くの施設利用者に対して快適な温度環境を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施の形態に係る空調制御システムの全体構成図である。
【
図2】空調制御システムのハードウェア構成を示す図である。
【
図3】空調制御システムにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】センサ個別温度データおよびセンサ平均温度データの一例を示す図である。
【
図5】服装推定結果テーブルおよび服装集計結果テーブルの一例を示す図である。
【
図6】前日温度比較テーブルの一例を示す図である。
【
図7】S22にて実行される処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】温度変更判定テーブルの一例を示す図である。
【
図9】温度変更の考え方を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
<空調制御システムの構成>
図1は、本開示の実施の形態に係る空調制御システムの全体構成図である。本実施の形態に係る空調制御システム100は、施設内の空調温度を管理し、施設利用者にとって快適な温度環境を提供するためのシステムである。
【0013】
図1に示すように、空調制御システム100は、空調管理システム10と、温度管理システム20と、服装推定システム30と、温度変更推奨システム40とを備える。空調管理システム10、温度管理システム20、服装推定システム30、および温度変更推奨システム40は、通信バス102を通じて各種信号およびデータを遣り取りする。これらのシステムのうち少なくとも空調管理システム10は、施設内に設けられている。また、温度管理システム20における複数の温度センサ24_1~24_n、および服装推定システム30における複数のカメラ34_1~34_mは、施設内に設けられている。
【0014】
(空調管理システム10)
空調管理システム10は、施設内に設置された複数の空調機14による空調を管理するためのシステムである。空調管理システム10は、コントローラ12と、複数の空調機14とを含んで構成される。コントローラ12は、通信バス102に接続されるとともに、複数の空調機14に接続されている。空調機14の台数は単数であってもよい。
【0015】
コントローラ12は、温度変更推奨システム40から与えられる温度変更指令に応答して、複数の空調機14における設定温度を調整する。具体的には、コントローラ12は、設定温度を上げるための温度変更指令を受けた場合には、各空調機14の現在の設定温度を予め定められた所定温度(例えば1℃)上昇させる。一方、設定温度を下げるための温度変更指令を受けた場合には、コントローラ12は、各空調機14の現在の設定温度を所定温度(例えば1℃)低下させる。
【0016】
(温度管理システム20)
温度管理システム20は、施設内の温度を管理するためのシステムである。温度管理システム20は、サーバ22と、複数の温度センサ24_1,24_2,・・・24_nとを含んで構成される。nは2以上の整数である。以下、複数の温度センサ24_1,24_2,・・・24_nを包括的に「温度センサ24」と称する場合がある。複数の温度センサ24は、施設内に適当な距離をおいて設置されており、施設内の温度を検出する。
【0017】
サーバ22は、通信バス102に接続されるとともに、複数の温度センサ24に接続されている。サーバ22は、予め定められた制御周期で、複数の温度センサ24から施設内の温度の検出値を示す信号を受信する。サーバ22は、複数の温度センサ24からの信号を統計処理することにより、施設内の温度を示す温度情報を生成する。統計処理は、典型的には、平均化処理である。サーバ22は、生成した温度情報を温度変更推奨システム40に送信する。
【0018】
(服装推定システム30)
服装推定システム30は、施設に滞在する複数の利用者の服装を推定するためのシステムである。服装推定システム30は、サーバ32と、複数のカメラ34_1,34_2,・・・34_mとを含んで構成される。mは2以上の整数である。以下、複数のカメラ34_1,34_2,・・・34_mを包括的に「カメラ34」と称する場合がある。複数のカメラ34は、施設内に適当な距離をおいて配置されており、施設内を歩行する利用者を撮像範囲に収めることができる。
【0019】
サーバ32は、通信バス102に接続されるとともに、複数のカメラ34に接続されている。サーバ32は、制御周期で、複数のカメラ34から撮像画像データを受信する。サーバ32は、複数のカメラ34による撮像画像を解析することにより、各利用者の服装を推定する。なお、撮像画像の画像解析には公知の技術を用いることができる。例えば、機械学習などのAI(Artificial Intelligence)等を利用することができる。
【0020】
サーバ32は、推定された複数の利用者の服装を集計し、その集計結果を、施設利用者の服装を表す服装情報として、温度変更推奨システム40に送信する。
【0021】
(温度変更推奨システム40)
温度変更推奨システム40は、空調管理システム10による空調温度を管理するためのシステムである。温度変更推奨システム40は、サーバ42を含んで構成される。サーバ42は、温度管理システム20のサーバ22から温度情報を受信するとともに、服装推定システム30のサーバ32から服装情報を受信する。サーバ42は、受信した温度情報および服装情報に基づいて、施設内の空調温度を変更すべきか否かを判定する。
【0022】
空調温度を変更すべきであると判定した場合には、サーバ42は、空調管理システム10のコントローラ12に対して、複数の空調機14の設定温度の変更を指示するための温度変更指令を送信する。この温度変更指令は、現在の設定温度を所定温度(例えば1℃)上げるための温度変更指令と、現在の設定温度を所定温度(例えば1℃)下げるための温度変更指令とを含む。この所定温度は適宜設定可能である。
【0023】
<空調制御システムのハードウェア構成>
図2は、空調制御システム100のハードウェア構成を示す図である。
【0024】
図2に示すように、温度管理システム20において、サーバ22は、CPU(Central Processing Unit)220と、RAM(Random Access Memory)222と、ROM(Read Only Memory)224と、I/F(Interface)装置226と、記憶装置228とを含んで構成される。CPU220、RAM222、ROM224、I/F装置226、および記憶装置228は、通信バス230を通じて各種データを遣り取りする。
【0025】
CPU220は、ROM224に格納されているプログラムをRAM222に展開して実行する。ROM224に格納されているプログラムには、サーバ22によって実行される処理が記述されている。
【0026】
I/F装置226は、サーバ32およびサーバ42と信号およびデータを遣り取りするための入出力装置である。I/F装置226は、施設内の温度を示す温度情報をサーバ42へ送信する。
【0027】
記憶装置228は、各種情報を記憶するストレージであって、複数の温度センサ24の情報、および複数の温度センサ24の位置情報等を記憶する。また、記憶装置228は、制御周期で複数の温度センサ24から送信される検出値を記録したセンサ個別温度データと、複数の温度センサ24の検出値を統計処理(平均化処理)して得られたセンサ平均温度データとを記憶している。記憶装置228に記憶されている各種データについては、後ほど詳しく説明する。記憶装置228は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)またはソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)等である。
【0028】
服装推定システム30において、サーバ32は、CPU320と、RAM322と、ROM324と、I/F装置326と、記憶装置328とを含んで構成される。CPU320、RAM322、ROM324、I/F装置326、および記憶装置328は、通信バス330を通じて各種データを遣り取りする。
【0029】
CPU320は、ROM324に格納されているプログラムをRAM322に展開して実行する。ROM324に格納されているプログラムには、サーバ32によって実行される処理が記述されている。
【0030】
I/F装置326は、サーバ22およびサーバ42と信号およびデータを遣り取りするための入出力装置である。I/F装置326は、施設利用者の服装を表す服装情報をサーバ42へ送信する。
【0031】
記憶装置328は、各種情報を記憶するストレージであって、複数のカメラ34の情報、および複数のカメラ34の位置情報等を記憶する。また、記憶装置328は、制御周期で複数のカメラ34から送信される撮像画像データから推定される各利用者の服装を記録した服装推定結果テーブルと、服装推定結果を集計した結果を記録した服装集計結果テーブルとを記憶している。記憶装置228に記憶されている各種テーブルについては、後ほど詳しく説明する。記憶装置328は、例えば、HDDまたはSSD等である。
【0032】
温度変更推奨システム40において、サーバ42は、CPU420と、RAM422と、ROM424と、I/F装置426と、記憶装置428とを含んで構成される。CPU420、RAM422、ROM424、I/F装置426、および記憶装置428は、通信バス430を通じて各種データを遣り取りする。
【0033】
CPU420は、ROM424に格納されているプログラムをRAM422に展開して実行する。ROM424に格納されているプログラムには、サーバ42によって実行される処理が記述されている。
【0034】
I/F装置426は、サーバ22およびサーバ32と信号およびデータを遣り取りするための入出力装置である。I/F装置426は、制御周期で温度情報をサーバ22から受信するとともに、服装情報をサーバ32から受信する。また、I/F装置426は、温度変更指令を空調管理システム10のコントローラ12へ送信する。
【0035】
<空調制御システムの動作>
次に、空調制御システム100の動作について説明する。
【0036】
図3は、温度管理システム20のサーバ22、服装推定システム30のサーバ32、温度変更推奨システム40のサーバ42、および空調管理システム10のコントローラ12により実行される処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、制御周期毎に実行される。以下の説明では、制御周期を例えば10分とする。
図3では、サーバ22およびサーバ32に実行される一連の処理を左側に示し、サーバ42に実行される一連の処理を中央に示し、コントローラ12に実行される一連の処理を側に示している。以下、ステップをSと略す。
【0037】
(温度管理システム20の動作)
S01において、サーバ22は、施設内に設置されている複数の温度センサ24から、施設内の温度の検出値を収集する。サーバ22は、収集した検出値を記憶装置228のセンサ個別温度データに記録する。
【0038】
S02において、サーバ22は、センサ個別温度データに記録されている検出値を統計処理することにより、施設内の温度を示す温度情報を生成する。S02では、サーバ22は、複数の温度センサ24の検出値を平均化処理することにより、温度平均値を算出する。サーバ22は、算出された温度平均値を記憶装置228のセンサ平均値データに記録する。
【0039】
図4は、センサ個別温度データおよびセンサ平均温度データの一例を示す図である。
図4(A)はセンサ個別温度データを示し、
図4(B)はセンサ平均温度データを示している。
【0040】
図4(A)に示すように、センサ個別温度データは、複数の温度センサ24_1,・・・24_nの検出値のデータを含む。例えば、センサ個別温度データの一行目について代表的に説明すると、センサ番号「1」の温度センサ24は、「10月20日10時10分」に施設内の温度を検出したこと、およびその検出値が「22.5℃」であることが示されている。
図4(A)の例では、サーバ22は、制御周期である10分毎に複数の温度センサ24_1~24_nの検出値を収集し、センサ個別温度データに記録する。
【0041】
図4(B)に示すように、センサ平均温度データは、各制御時刻における複数の温度センサ24_1~24_nの検出値の平均値のデータを含む。例えば、センサ平均値データの二行目について代表的に説明すると、「10月20日10時10分」における複数の温度センサ24の検出値の平均値が「23.9℃」であることが示されている。当該平均値は、センサ個別温度データ(
図4(A))に含まれている、「10月20日10時10分」における複数の温度センサ24_1~24_nの検出値(22.5℃,24.2℃,・・・25.2℃)を平均化処理したものである。このようにセンサ平均温度データには、各制御時刻の施設内の平均温度のデータが記録される。
【0042】
図3に戻って、S03において、サーバ22は、記憶装置228に記憶されているセンサ平均温度データから今回の制御時刻におけるセンサ平均温度データを読み出し、読み出したセンサ平均温度データを温度情報として温度変更推奨システム40へ送信する。
【0043】
(服装推定システム30の動作)
S11において、サーバ32は、施設内に設置されている複数のカメラ34から撮像画像のデータを受信する。サーバ32は、各カメラ34の撮像画像を解析することにより、各利用者の服装を推定する。具体的には、サーバ32は、撮像画像から利用者の画像を抽出し、抽出した画像を解析することにより、当該利用者の服装が「厚着」、「普通」および「薄着」の何れに該当するかを推定する。
【0044】
なお、厚着、普通および薄着の定義については、施設管理者等が季節毎に任意に設定することができる。例えば、利用者が所定枚数以上の衣服を重ねて着ている場合に、当該利用者の服装が「厚着」と推定することができる。反対に、利用者が単一の衣服を着ている場合または半袖シャツ等の露出が多い衣服を着ている場合に、当該利用者の服装が「薄着」と推定することができる。
【0045】
画像解析には公知の技術を用いることができる。例えば、機械学習などのAI等を利用することができる。サーバ32は、各利用者の衣服の推定結果を記憶装置328の服装推定結果テーブルに記録する。
【0046】
S12において、サーバ32は、服装推定結果テーブルに記録されている推定結果を集計し、その集計結果を記憶装置328の服装集計結果テーブルに記録する。サーバ32は、服装集計結果に基づいて、施設利用者の服装を表す服装情報を生成する。
【0047】
図5は、服装推定結果テーブルおよび服装集計結果テーブルの一例を示す図である。
図5(A)は服装推定結果テーブルを示し、
図5(B)は服装集計結果テーブルを示している。
【0048】
図5(A)に示すように、服装推定結果テーブルは、複数のカメラ34_1~34_mの撮像画像から推定された、利用者の服装のデータを含む。例えば、服装推定結果テーブルの一行目について代表的に説明すると、カメラ番号「1」のカメラ34により「10時10分」に撮像された画像に含まれる、利用者番号「1」の利用者の服装は「厚着」と推定されることを示している。服装推定結果テーブルの二行目には、当該画像に含まれる、利用者番号「2」の利用者の服装は「普通」と推定されることを示している。また、服装推定結果テーブルの三行目には、当該画像に含まれる、利用者番号「3」の利用者の服装は「薄着」と推定されることを示している。
【0049】
服装推定結果テーブルには、制御時刻毎に、複数のカメラ34_1~34_mの撮像画像に含まれる複数の利用者の服装の推定結果が記録される。なお、利用者番号とは、例えば、撮像画像に含まれている複数の利用者に対して一続きに付けられた通し番号である。
【0050】
図5(B)に示すように、服装集計結果テーブルは、制御時刻毎の利用者の服装の集計結果を示すデータを含む。例えば、服装集計結果テーブルの一行目について代表的に説明すると、「10時10分」にて施設内に存在する複数の利用者の「25%」が「厚着」であり、当該複数の利用者の「50%」が「普通」であり、当該複数の利用者の「25%」が「薄着」であることを示している。この集計結果は、服装推定結果テーブル(
図5(A))に記録されている「10時10分」における服装推定結果を集計したものである。
【0051】
服装集計結果テーブルの二行目には、「10時20分」にて施設内に存在する複数の利用者の「25%」が「厚着」であり、当該複数の利用者の「55%」が「普通」であり、当該複数の利用者の「20%」が「薄着」であることを示している。
【0052】
サーバ32は、今回の制御時刻の服装集計結果から、当該制御時刻における服装バランスを算出する。本明細書において「服装バランス」とは、複数の利用者の服装の均衡度を表している。ある局面では、服装バランスは、厚着の割合から薄着の割合を減算することにより求めることができる。例えば、「10時10分」における服装バランスは、厚着の割合である25%から薄着の割合である25%を減算することにより「±0」となる(25-25=0)。また、「10時20分」における服装バランスは、厚着の割合である25%から薄着の割合である20%を減算することにより「+5」となる(25-20=5)。
【0053】
これによると、服装バランスは、厚着の割合が薄着の割合よりも多い場合に正の値を示し、厚着の割合と薄着の割合とが等しい場合に±0を示し、厚着の割合が薄着の割合よりも少ない場合に負の値を示すことになる。服装バランスは、季節、当日の天気および気温などによって左右される。
【0054】
図3に戻って、S13において、サーバ32は、記憶装置328に記憶されている服装集計結果テーブルから今回の制御時刻の服装バランスを示すデータを読み出し、読み出したデータを服装情報として温度変更推奨システム40へ送信する。
【0055】
(温度変更推奨システム40の動作)
S21において、サーバ42は、温度情報をサーバ22から受信するとともに、服装情報をサーバ32から受信する。
【0056】
S22において、サーバ42は、受信した温度情報および服装情報を、記憶装置428内の前日温度比較テーブルに保存する。
図6は、前日温度比較テーブルの一例を示す図である。
図6に示すように、前日温度比較テーブルは、前日の温度情報および服装情報と、当日の温度情報および服装情報とに基づいて作成される。
【0057】
前日温度比較テーブルにおいて、「当日温度」は、当日の各制御時刻における施設内の平均温度を示しており、当日に温度管理システム20のサーバ22から受信した温度情報が記録される。「前日温度」は、前日の各制御時刻における施設内の平均温度を示しており、前日の制御時刻毎に温度管理システム20のサーバ22から受信した温度情報が記録される。「温度差」は、各制御時刻における当日温度と前日温度との温度差を示している。温度差は、同制御時刻における当日温度から前日温度を減算することにより求められる(温度差=当日温度―前日温度)。
【0058】
前日温度比較テーブルにおいて、「当日服装」は、当日の各制御時刻における利用者の服装バランスを示しており、当日に服装推定システム30のサーバ32から受信した服装情報が記録される。「前日服装」は、前日の各制御時刻における利用者の服装バランスを示しており、前日に服装推定システム30のサーバ32から受信した服装情報が記録される。服装バランスは、上述したように、複数の利用者の服装の均衡度を数値化したものである。「服装差」は、各制御時刻における当日服装と前日服装との差を示している。服装差は、同制御時刻における当日服装から前日服装を減算することにより求められる(服装差=当日服装―前日服装)。
【0059】
前日温度比較テーブルにおいて、「温度変化」は、上述した「温度差」を符号化したものである。具体的には、温度差が正の値である場合には、温度変化は正(+)の符号で表される。温度差が0である場合には、温度変化は0で表される。温度差が負の値である場合には、温度変化は負(-)の符号で表される。すなわち、温度変化が正(+)であることは、当日温度が前日温度よりも高いことを示している。温度変化が0であることは、当日温度と前日温度とが等しいことを示している。温度変化が負(-)であることは、当日温度が前日温度よりも低いことを示している。
【0060】
前日温度比較テーブルにおいて、「服装変化」は、上述した「服装差」を符号化したものである。具体的には、服装差が正の値である場合には、服装変化は正(+)の符号で表される。服装差が0である場合には、服装変化は0で表される。服装差が負の値である場合には、服装変化が負(-)の符号で表される。
【0061】
服装変化が正(+)であることは、当日の服装バランスが前日の服装バランスよりも高いこと、すなわち、当日は前日よりも厚着の割合が多い(薄着の割合が少ない)ことを示している。服装変化が0であることは、当日の服装バランスと前日の服装バランスとが等しいことを示している。服装変化が負(-)であることは、当日の服装バランスが前日の服装バランスよりも低いこと、すなわち、当日は前日よりも厚着の割合が少ない(薄着の割合が多い)ことを示している。
【0062】
前日温度比較テーブルにおいて、「温度変更」欄には、設定温度を変更すべきか否かを判定した判定結果が記録される。設定温度の変更の要否は、前日温度比較テーブルに記録された「温度変化」のデータおよび「服装変化」のデータに基づいて判定される。設定温度の変更要否の判定方法については後述する。
【0063】
図7は、S22にて実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図7に示すように、S221において、サーバ42は、サーバ22から受信した温度情報を、前日温度比較テーブルの「当日温度」欄に保存する。
【0064】
S222において、サーバ42は、S221で保存した当日温度から同制御時刻における前日温度を減算することにより、温度差を求める。サーバ42は、求めた温度差を、前日温度比較テーブルの「温度差」欄に記録する。
【0065】
次に、S223において、サーバ42は、「温度差」欄に記録した温度差を符号化することにより、温度変化を求める。温度変化は、温度差に応じて、正(+)、0、負(-)の何れかで表される。サーバ42は、求めた温度変化を、前日温度比較テーブルの「温度変化」欄に記録する。
【0066】
S224において、サーバ42は、サーバ32から受信した服装情報を、前日温度比較テーブルの「当日服装」欄に保存する。服装情報は、当日の制御時刻毎の服装バランスを示している。
【0067】
S225において、サーバ42は、S224で保存した当日服装から同制御時刻における前日服装を減算することにより、服装差を求める。サーバ42は、求めた服装差を、前日温度比較テーブルの「服装差」欄に記録する。
【0068】
次に、S226において、サーバ42は、「服装差」欄に記録した服装差を符号化することにより、服装変化を求める。服装変化は、服装差に応じて、正(+)、0、負(-)の何れかで表される。サーバ42は、求めた服装変化を、前日温度比較テーブルの「服装変化」欄に記録する。
【0069】
例えば、前日温度比較テーブルの二行目について代表的に説明すると、「10時10分」における当日温度(当日の施設内の平均温度)が「23.9℃」であり、前日温度(前日の施設内の平均温度)が「23.6℃」であり、「温度差」は23.9-23.6=+0.3℃であることを示している。この温度差が正の値であるため、「温度変化」は正(+)であることを示している。
【0070】
また、「10時10分」における当日服装(当日の利用者の服装バランス)が「±0」であり、前日服装(前日の利用者の服装バランス)が「±0」であり、「服装差」は±0-±0=0であることを示している。この服装差が0であるため、「服装変化」は0であることを示している。
【0071】
図3に戻って、S23において、サーバ42は、前日温度比較テーブルを用いて、複数の空調機14の設定温度を変更すべきか否かを判定する。S23では、サーバ42は、記憶装置428に保存されている温度変更判定テーブルを参照することにより、今回の制御時刻の温度変化のデータと服装変化のデータとに基づいて、今回の制御時刻にて設定温度を変更すべきか否かを判定する。
【0072】
図8は、温度変更判定テーブルの一例を示す図である。
図8に示すように、温度変更判定テーブルでは、温度変化のデータおよび服装変化のデータの組み合わせに対応付けて、温度変更のデータが設定されている。
図9は、温度変更の考え方を説明するための図である。
【0073】
上述したように、温度変化のデータは、正(+)、0、負(-)の3つの値を有する。服装変化のデータは、正(+)、0、負(-)の3つの値を有する。これに対して、温度変更のデータは、「下げる」、「上昇傾向」、「0」、「下降傾向」、「上げる」の5パターンを有する。
【0074】
「下げる」は、現在の設定温度を低下させることを意味する。なお、現在の設定温度は、前回の制御周期にて調整された設定温度に相当する。「上昇傾向」は、施設内の温度が上昇傾向にあることを意味する。「0」は、現在の設定温度を変更させないことを意味する。「下降傾向」は、施設内の温度が下降傾向にあることを意味する。「上げる」は、現在の設定温度を上昇させることを意味する。これら5パターンのうち「下げる」および「上げる」は、現在の設定温度を変更(上昇/下降)する必要があることを意味している。一方、「上昇傾向」、「0」および「下降傾向」は、現在の設定温度を変更する必要がないことを意味している。
【0075】
温度変更判定テーブルでは、温度変化が正(+)であり、かつ、服装変化が正(+)である場合(
図9の(1)に相当)には、温度変更は「下げる」に設定されている。
【0076】
温度変化が正(+)とは、当日温度が前日温度よりも高いことを示している。また、服装変化が正(+)とは、当日が前日に比べて厚着の割合が多い(薄着の割合が少ない)ことを示している。当日温度が前日温度よりも高く、かつ、当日が前日よりも厚着の割合が多い場合には、設定温度を「下げる」ように設定される。当日の施設内の温度が前日に比べて高いにもかかわらず、当日の利用者の服装が前日に比べて厚着の割合が多い場合には、多くの利用者が施設内を暑いと感じることが予想される。そこで、設定温度を下げることによって、多くの利用者が暑いと感じることを抑制する。
【0077】
温度変化が正(+)であり、かつ、服装変化が0である場合(
図9の(2)に相当)には、温度変更は「上昇傾向」に設定されている。温度変化が正(+)とは、当日温度が前日温度よりも高いことを示している。服装変化が0とは、当日の服装バランスと前日の服装バランスとが等しいことを示している。このような場合には、施設内の温度が上昇傾向にあるものの、利用者を不快にさせる可能性が低いと判断して、設定温度の変更は行わないこととする。
【0078】
温度変化が正(+)であり、かつ、服装変化が負(-)である場合(
図9の(3)に相当)には、温度変更は「0」に設定されている。温度変化が正(+)とは、当日温度が前日温度よりも高いことを示している。服装変化が負(-)とは、当日が前日に比べて厚着の割合が少ない(薄着の割合が多い)ことを示している。当日温度が前日温度よりも高く、かつ、当日が前日よりも薄着の割合が多い場合には、設定温度の変更を行わないこととする。これは、当日の施設内の温度が前日に比べて高いが、当日の利用者の服装が前日に比べて薄着の割合が多い場合には、多くの利用者が施設内を暑いと感じないことが予想されるためである。
【0079】
温度変化が0であり、かつ、服装変化が正(+)である場合(
図9の(4)に相当)には、温度変更は「上昇傾向」に設定されている。温度変化が0とは、当日温度と前日温度とが一致していることを示している。服装変化が正(+)とは、当日が前日に比べて厚着の割合が多い(薄着の割合が少ない)ことを示している。当日温度が前日温度と等しいが、当日が前日よりも厚着の割合が多い場合には、利用者が感じる施設内の温度が上昇傾向にあると判定するにとどまり、設定温度の変更が行わないこととする。なお、次回の制御時刻以降において当日温度が前日温度を超えた場合には、
図9の(4)から(1)に移行するため、設定温度が下げられることになる。
【0080】
温度変化が0であり、かつ、服装変化が0である場合(
図9の(5)に相当)には、温度変更は「0」に設定されている。温度変化が0とは、当日温度と前日温度とが一致していることを示している。服装変化が0とは、当日の服装バランスと前日の服装バランスとが等しいことを示している。このような場合には、施設内の温度を変更させる必要性が低いと判断して、設定温度を変更しないこととする。
【0081】
温度変化が0であり、かつ、服装変化が負(-)である場合(
図9の(6)に相当)には、温度変更は「下降傾向」に設定されている。温度変化が0とは、当日温度と前日温度とが一致していることを示している。服装変化が負(-)とは、当日が前日に比べて厚着の割合が少ない(薄着の割合が多い)ことを示している。すなわち、当日温度が前日温度と等しいが、当日が前日よりも薄着の割合が多い場合には、利用者が感じる施設内の温度が下降傾向にあると判定するにとどまり、設定温度の変更が行わないこととする。なお、次回の制御時刻以降において当日温度が前日温度を下回った場合には、
図9の(6)から(9)に移行するため、設定温度が上げられることになる。
【0082】
温度変化が負(-)であり、かつ、服装変化が正(+)である場合(
図9の(7)に相当)には、温度変更は「0」に設定されている。温度変化が負(-)とは、当日温度が前日温度よりも低いことを示している。服装変化が正(+)とは、当日が前日に比べて厚着の割合が多い(薄着の割合が少ない)ことを示している。当日温度が前日温度よりも低く、かつ、当日が前日よりも厚着の割合が多い場合には、設定温度を変更しないこととする。これは、当日の施設内の温度が前日に比べて低いが、当日の利用者の服装が前日に比べて厚着の割合が多い場合には、多くの利用者が施設内を寒いと感じないことが予想されるためである。
【0083】
温度変化が負(-)であり、かつ、服装変化が0である場合(
図9の(8)に相当)には、温度変更は「下降傾向」に設定されている。温度変化が負(-)とは、当日温度が前日温度よりも低いことを示している。服装変化が0とは、当日の服装バランスと前日の服装バランスとが等しいことを示している。このような場合には、利用者が感じる施設内の温度が下降傾向にあるものの、利用者を不快にさせる可能性が低いと判断して、設定温度の変更は行わないこととする。
【0084】
温度変化が負(-)であり、かつ、服装変化が負(-)である場合(
図9の(9)に相当)には、温度変更は「上げる」に設定されている。温度変化が負(-)とは、当日温度が前日温度よりも低いことを示している。服装変化が負(-)とは、当日が前日に比べて厚着の割合が少ない(薄着の割合が多い)ことを示している。すなわち、当日温度が前日温度よりも低く、かつ、当日が前日よりも薄着の割合が多い場合には、設定温度を「上げる」ように設定される。当日の施設内の温度が前日に比べて低いにもかかわらず、当日の利用者の服装が前日に比べて薄着の割合が多い場合には、多くの利用者が施設内を寒いと感じることが予想される。そこで、設定温度を上げることによって、多くの利用者が寒いと感じることを回避する。
【0085】
サーバ42は、温度変化のデータおよび服装変化のデータを、温度変更判定テーブルに照らし合わせることによって、設定温度を変更すべきか否かを判定する。そして、サーバ42は、判定結果を
図6に示した当日温度比較テーブルの「温度変更」欄に記録する。例えば、前日温度比較テーブルの二行目について代表的に説明すると、「10時10分」における「温度変化」が正(+)であり、「服装変化」が0であることから、「温度変更」欄には「上昇傾向」が記録される。
【0086】
図3に戻って、S24において、サーバ42は、S23による判定結果に基づいて温度変更指令を生成し、生成した温度変更指令を空調管理システム10のコントローラ12へ送信する。S24では、「温度変更」欄に「下げる」が記録されている場合には、サーバ42は、設定温度を低下させるための温度変更指令を生成してコントローラ12へ送信する。「温度変更」欄に「上げる」が記録されている場合には、サーバ42は、設定温度を上昇させるための温度変更指令を生成してコントローラ12へ送信する。これに対して、「温度変更」欄に「上昇傾向」、「0」、および「下降傾向」の何れかが記録されている場合には、サーバ42は温度変更指令を生成しない。
【0087】
空調管理システム10において、コントローラ12は、S31において、温度変更指令をサーバ42から受信すると、S32において、複数の空調機14の設定温度を変更する。S32では、設定温度を上昇させるための温度変更指令を受信した場合には、コントローラ12は、現在の設定温度を所定温度(例えば、1℃)だけ上昇させる。一方、設定温度を下降させるための温度変更指令を受信した場合には、コントローラ12は、現在の設定温度を所定温度(例えば、1℃)だけ低下させる。変更後の設定温度に従って複数の空調機14の運転が制御されることにより、施設内の温度が上昇または下降する。
【0088】
<実施の形態の効果>
以上説明したように、本実施の形態に係る空調制御システム100は、施設内の温度および施設利用者の服装の各々について、前日に対する当日の変化を数値化し、その数値化した変化に基づいて、空調の設定温度を変更するように構成される。この構成では、前日に対する当日の温度変化と、前日に対する当日の服装の変化とが均衡するように、設定温度が変更される。ある局面では、当日の施設内の温度が前日に比べて高いにもかかわらず、当日の利用者の服装が前日に比べて厚着の割合が多い場合には、設定温度を低下させる。別の局面では、当日の施設内の温度が前日に比べて低いにもかかわらず、当日の利用者の服装が前日に比べて薄着の割合が多い場合には、設定温度を上昇させる。
【0089】
これによると、多くの施設利用者に対して、快適な温度環境を安定的に提供することが可能となる。また、温度変化の数値データおよび服装変化の数値データに応じて設定温度が自動的に変更されるため、施設内の空調を管理する施設管理者の手間を削減することができる。
【0090】
なお、上述した実施の形態では、複数のサーバ22,32,42が協働して設定温度を変更する構成例について説明したが、これらサーバのうちの少なくとも2つを一体化してもよい。例えば、1体のサーバがCPU220,320,420のうちの少なくとも2つを有する構成としてもよい。
【0091】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきです。本開示は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0092】
10 空調管理システム、12 コントローラ、14 空調機、20 温度管理システム、22,32,42 サーバ、24 温度センサ、30 温度推定システム、34 カメラ、40 温度変更推奨システム、100 空調制御システム、102、230,330,430 通信バス、220,320,420 CPU、222,322,422 RAM、224,324,424 ROM、226,326,426 IF装置、228,328,428 記憶装置。