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特開2024-115060支柱の立設構造及びその構造を有する立ち上がり動作補助具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115060
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】支柱の立設構造及びその構造を有する立ち上がり動作補助具
(51)【国際特許分類】
   F16M 13/00 20060101AFI20240819BHJP
   A61G 7/053 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
F16M13/00 R
A61G7/053
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020518
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000245830
【氏名又は名称】矢崎化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】古澤 繁
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA06
4C040GG14
4C040GG19
(57)【要約】
【課題】、支柱を構成するパイプ同士の位置決めが簡単で且つ確実に連結し、また分解時には容易に取り外すことができ、更には保管し易くした支柱の立設構造及びその構造を有する立ち上がり動作補助具を創出することを課題とする。
【解決手段】支柱10を立設させるベース部材20と、内周面に縮径部46を有する締付け部材40と、先端に向かって先細るテーパー面54を有してフレームパイプ11と締付け部材40との間に配置されるパイプ止め部材50と、内部にフレームパイプ11を挿通した状態で締付け部材40の上端に螺着される抑えキャップ60と、を有し、抑えキャップ60を締め付けるとパイプ止め部材50のテーパー面54が締付け部材40の縮径部46を径方向に押圧することで、スタンドパイプ12に対するフレームパイプ11の位置決め固定が行われ、抑えキャップ60の締め付けを緩めるとフレームパイプ11の位置決め固定が解除される構成とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細径のフレームパイプ(11)と太径のスタンドパイプ(12)とを連結して成る支柱の立設構造であって、
前記支柱(10)を立設させるベース部材(20)と、
内周面に縮径部(46)を有すると共に前記スタンドパイプ(12)の回転及び締付け部材自体の回転を規制する回り止め機構(C)を有する締付け部材(40)と、
先端に向かって先細るテーパー面(54)を有して前記フレームパイプ(11)と前記締付け部材(40)との間に配置されるパイプ止め部材(50)と、
内部に前記フレームパイプ(11)を挿通した状態で前記締付け部材(40)の上端に螺着される抑えキャップ(60)と、を有し、
該抑えキャップ(60)を締め付けると前記パイプ止め部材(50)の前記テーパー面(54)が前記締付け部材(40)の前記縮径部(46)を径方向に押圧することで、前記スタンドパイプ(12)に対するフレームパイプ(11)の位置決め固定が行われ、前記抑えキャップ(60)の締め付けを緩めると前記フレームパイプ(11)の位置決め固定が解除されることを特徴とする支柱の立設構造。
【請求項2】
前記フレームパイプ(11)の外周面にパイプの全長方向に沿って所定の間隔を有して穿設された複数の調整孔(11a)が配置され、前記パイプ止め部材(50)の内周面に前記調整孔(11a)に嵌入可能な調節突起(53)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の支柱の立設構造。
【請求項3】
前記パイプ止め部材(50)は、円筒の一部を全長方向に切欠き形成して成る開口部(52)とそれ以外の半円筒部(51)を有し、前記調節突起(53)が前記半円筒部(51)の内周面で且つ前記開口部(52)と対向する位置に突設されていることを特徴とする請求項2に記載の支柱の立設構造。
【請求項4】
前記締付け部材(40)に径方向に撓み変形可能な可撓片(44)が形成されており、該可撓片(44)の先端に前記スタンドパイプ(12)の内周面に当接可能な当接部(44c)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の支柱の立設構造。
【請求項5】
前記回り止め機構(C)は、前記締付け部材(40)を前記スタンドパイプ(12)に挿入したときに、前記締付け部材(40)の外周面に突設された固定突起(43)が、前記スタンドパイプ(12)に設けた固定穴(12a)に入り込むことで前記締付け部材(40)自体の回転を止めることを特徴とする請求項1に記載の支柱の立設構造。
【請求項6】
前記スタンドパイプ(12)の底板(13)の中心に雄ネジ部(13a)を突設すると共に、前記ベース部材(20)に前記雄ネジ部(13a)を螺着させるネジ穴(21)を形成したことを特徴とする請求項1に記載の支柱の立設構造。
【請求項7】
前記スタンドパイプ(12)の下部に目隠しキャップ(70)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の支柱の立設構造。
【請求項8】
ネジの締め付け時には隠れているが、ネジの締め付けが緩むと出現するネジ緩みサイン(81、82)を、前記スタンドパイプ(12)の外周面に設けたことを特徴とする請求項6に記載の支柱の立設構造。
【請求項9】
前記ネジ緩みサイン(81、82)が、穴、文字、図形、色彩又は記号のいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の支柱の立設構造。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の支柱の立設構造と、一対のフレームパイプ(11)の上端に設けた手摺本体(30)と、を有することを特徴とする立ち上がり動作補助具。
【請求項11】
所定の間隔を有して穿設された複数の調整孔(11a)が、一対のフレームパイプ(11)の各外周面上で且つ前後方向と直交する左右方向の位置に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の立ち上がり動作補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱をベース部材に立設するための支柱の立設構造及びその構造を有する立ち上がり動作補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
ベース部材に立設した支柱に手摺本体を組み付けると共に転倒防止機構を取り付けて構成し、立ち上がることに不安定な病弱者等が使用した際の横荷重によっても転倒し難くした立ち上がり動作補助具が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3127542号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、垂直に立設したベース部の受部に、手摺本体の支柱部を挿入してパイプ同士を連結すると共に、その連結部分を外部からビス止めすることにより固定する構造であったことから手摺本体の高さ調整を行うことが簡単には出来ないという問題があった。
【0005】
また受部がベース部上に突き出しているので、ベース部を積み重ねての保管が難しいという問題もあった。
【0006】
更に、メンテナンス時の分解作業においては、パイプの連結部である手摺本体の支柱部とベース部の受部とを取り外すと容易に位置決めすることが困難であり、工具を用いて取り外す必要があることから、作業に時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、支柱を構成するパイプ同士の位置決めが簡単で且つ確実に連結することができ、また分解時には容易に取り外すことができ、更には保管し易くした支柱の立設構造及びその構造を有する立ち上がり動作補助具を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の第1の手段は、
細径のフレームパイプと太径のスタンドパイプとを連結して成る支柱の立設構造であって、
前記支柱を立設させるベース部材と、内周面に縮径部を有すると共に前記スタンドパイプの回転及び締付け部材自体の回転を規制する回り止め機構を有する締付け部材と、先端に向かって先細るテーパー面を有して前記フレームパイプと前記締付け部材との間に配置されるパイプ止め部材と、内部に前記フレームパイプを挿通した状態で前記締付け部材の上端に螺着される抑えキャップと、を有し、
該抑えキャップを締め付けると前記パイプ止め部材の前記テーパー面が前記締付け部材の前記縮径部を径方向に押圧することで、前記スタンドパイプに対するフレームパイプの位置決め固定が行われ、前記抑えキャップの締め付けを緩めると前記フレームパイプの位置決め固定が解除されることを特徴とする、と云うものである。
【0009】
本発明の第2の手段は、上記第1の手段に、前記フレームパイプの外周面にパイプの全長方向に沿って所定の間隔を有して穿設された複数の調整孔が配置され、前記パイプ止め部材の内周面に前記調整孔に嵌入可能な調節突起が形成されている、との手段を加えたものである。
【0010】
本発明の第3の手段は、上記第2の手段に、前記パイプ止め部材は、円筒の一部を全長方向に切欠き形成して成る開口部とそれ以外の半円筒部を有し、前記調節突起が前記半円筒部の内周面で且つ前記開口部と対向する位置に突設されている、との手段を加えたものである。
【0011】
本発明の第4の手段は、上記第1の手段に、前記締付け部材に径方向に撓み変形可能な可撓片が形成されており、該可撓片の先端に前記スタンドパイプの内周面に当接可能な当接部が形成されている、との手段を加えたものである。
【0012】
本発明の第5の手段は、上記第1の手段に、前記回り止め機構は、前記締付け部材を前記スタンドパイプに挿入したときに、前記締付け部材の外周面に突設された固定突起が、前記スタンドパイプに設けた固定穴に入り込むことで前記締付け部材自体の回転を止める、との手段を加えたものである。
【0013】
本発明の第6の手段は、上記第1の手段に、前記スタンドパイプの底板の中心に雄ネジ部を突設すると共に、前記ベース部材に前記雄ネジ部を螺着させるネジ穴を形成した、との手段を加えたものである。
【0014】
本発明の第7の手段は、上記第1の手段に、前記スタンドパイプの下部に目隠しキャップを設けた、との手段を加えたものである。
【0015】
本発明の第8の手段は、上記第6の手段に、ネジの締め付け時には隠れているが、ネジの締め付けが緩むと出現するネジ緩みサインを、前記スタンドパイプの外周面に設けた、との手段を加えたものである。
【0016】
本発明の第9の手段は、上記第8の手段に、前記ネジ緩みサインが、穴、文字、図形、色彩又は記号のいずれかである、との手段を加えたものである。
【0017】
本発明の第10の手段は、上記いずれかの手段に記載の支柱の立設構造と、一対のフレームパイプの上端に設けた手摺本体と、を有することを特徴とする、と云うものである。
【0018】
本発明の第11の手段は、上記手段に、所定の間隔を有して穿設された複数の調整孔が、一対のフレームパイプの各外周面上で且つ前後方向と直交する左右方向の位置に形成されている、との手段を加えたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の支柱の立設構造では、支柱を構成するフレームパイプとスタンドパイプとを容易且つ確実に連結することができると共に、分解時には容易に取り外すことができるため、組み立て作業及びメンテナンス作業を容易化できる。
またベース部材上にスタンドパイプを立設するための受部を設ける必要がないので、ベース部材の保管を容易とすることができる。
更に本発明の支柱の立設構造を有する立ち上がり動作補助具では、手摺本体に横荷重が作用したときのガタツキを軽減した構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の支柱の立設構造の第1実施例としての立ち上がり動作補助具を示す斜視図である。
図2】立ち上がり動作補助具の分解斜視図である。
図3】(a)は締付け部材の正面図、(b)は締付け部材の側面図、(c)は締付け部材の底面図、(d)は締付け部材の斜視図である。
図4】(a)は組み付け前におけるスタンドパイプと締付け部材との関係を示す正面図、(b)は組み付け後における締付け部材とスタンドパイプとの関係を示す縦断面図である。
図5】(a)はパイプ止めの斜視図、(b)はパイプ止めの平面図、(c)はパイプ止めの正面図である。
図6】(a)はフレームパイプとスタンドパイプとの連結部を示す断面図、(b)は(a)も部分拡大図である。
図7】(a)ベース部から取り外した状態を示す斜視図、(b)はベース部を拡大して示す平面図(拡大した部分は図6中のX-X線における矢視方向断面図)である。
図8】ネジ緩みサインの実施例を示し、(a)は抑えキャップ側の場合、(b)は目隠しキャップ側の場合である。
図9】本発明の支柱の立設構造の第2実施例としての立ち上がり動作補助具を示す斜視図である。
図10】本発明の支柱の立設構造の第3実施例としての陳列棚を示す斜視図である。
図11】本発明の支柱の立設構造の第4実施例としての旗立てを示す斜視図である。
図12】本発明の支柱の立設構造の第5実施例としての看板立てを示す斜視図である。
図13】本発明の支柱の立設構造の第6実施例としての伸縮棒(突っ張り棒)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
尚、以下の説明においては、支柱10をベース部材20に立設させた状態においてパイプの全長方向の沿う方向を上下方向、後述する手摺本体30の枠体31に対して直交する方向を前後方向とし、上下方向及び前後方向の双方に直交する方向を左右方向(幅方向ともいう)とする。また支柱10を軸としてその周りを周回する方向を周方向とし、支柱10に対して直交する方向を径方向とする。
【0022】
図1に示すように、本発明の第1実施例として示す立ち上がり動作補助具Aは、所定の間隔を有して立設された一対の支柱10と、一対の支柱10を立設するための平板状のベース部材20と、一対の支柱10の上端に跨って架設された手摺本体30とを有して構成されている。
【0023】
図2に示すように、支柱10は、主として手摺本体30に延設されたフレームパイプ11と、ベース部材20に立設されるスタンドパイプ12と、これらを連結する連結手段Bを有して構成されている。
【0024】
フレームパイプ11及びスタンドパイプ12は、例えばAAS樹脂や発泡した樹脂等を鋼管表面に被覆した樹脂被覆鋼管で形成されている。フレームパイプ11の外径寸法はスタンドパイプ12の内径寸法よりも細径で形成されており、太径から成るスタンドパイプ12内に挿入可能に構成されている。
【0025】
フレームパイプ11の外周面には、その全長方向に沿って所定の間隔を有して穿設された複数の調整孔11aが並んで配置されている(図1参照)。
【0026】
図2に示すように、第1実施例では、手摺本体30が四角形状に形成された枠体31の間に二本の平行棒32が等間隔で一体に形成された部材であり、身体が接触しても身体を損傷させない材料、例えば発泡した樹脂を被覆して成る樹脂被覆鋼管を用いて形成されている。枠体31の最下段の下面には幅方向(左右方向ともいう)に所定の間隔を有して並ぶ短筒状の受部33が一対形成されており、これらの受部33に対してフレームパイプ11の上端が連結されている。尚、受部33とフレームパイプ11との間を連結は、例えば溶接等で固定された構成でも良いし、その他例えば内周面に雌ネジを形成した受部33に対し外周面に雌ネジを形成したフレームパイプ11の上端を螺合させて分離可能とした構成であってもよい。
【0027】
図2及び図4(a)(b)に示すように、スタンドパイプ12の上部側の外周面には径方向に貫通する固定穴12aが穿設されている。またスタンドパイプ12の下端面には円板状からなる底板13が固定されており、この底板13の中心には下方に突出する雄ネジ部13aが設けられている。
【0028】
連結手段Bは、締付け部材40、パイプ止め部材50及び抑えキャップ60を有して構成されている。締付け部材40は、図3(a)乃至(d)に示すように所定の合成樹脂材料を射出成形することにより略円筒状に形成された部材であり、薄肉で形成された円筒状の本体部41の最上端の外周面には雄ネジ42が形成され、本体部41の外周面の中間高さ位置には径方向に撓み変形可能な切欠き片43a上に位置し径方向外側に向かって突出すると共に、上記スタンドパイプ12の固定穴12aに嵌入可能な固定突起43が突設されている。また部品間の嵌め合いに対する射出成形の長さ方向の抜き勾配の影響を減少させる構造として、本体部41の下端には下方に延びる複数(本実施例では4つ)の可撓片44が周方向に所定の間隔を有して一体に連設されている。可撓片44は本体部41の下端を基端部44aすると共に図示下方の先端部44bが片持ち支持された構成であり、基端部44aを支点として先端部44bが径方向に撓み変形可能に構成されている。また先端部44bの外面には径方向外側に向かって突出する当接部44cが形成されている。また雄ネジ42と本体部41との間には、径方向外側に向かって環状に突出する外側フランジ45が形成されている。更に、固定突起43の裏側となる本体部41の内周面の位置には、上端から下方に向かって細径状に形成された縮径部46が形成されている(図4(b)参照)。
【0029】
パイプ止め部材50は、図5(a)乃至(c)に示すように所定の合成樹脂材料を射出成形することにより略半円筒状に形成されて成る部材である。すなわち、パイプ止め部材50は、円筒の一部を全長方向に切欠き形成して成る開口部52と、それ以外の半円筒部51とを有して形成されている。半円筒部51の内周面で、且つ開口部52と対向する位置には径方向内側に向かって突出する調節突起53が突設されている。調節突起53はパイプ止め部材50の下方の位置に形成するのが好ましい。また半円筒部51の下端には、外周面が下方である先端に向かって先細るように形成されたテーパー面54が周設されている。
【0030】
図6(a)(b)に示すように、パイプ止め部材50の内径寸法はフレームパイプ11の外径寸法と同じか、それよりも僅かに大きな寸法で形成されており、パイプ止め部材50の内部にフレームパイプ11を挿入させることが可能となっている。またパイプ止め部材50の外径寸法は、締付け部材40の内径寸法と同じか、それよりも僅かに小さな寸法で形成されており、パイプ止め部材50は締付け部材40の内部に挿入可能となっている。
【0031】
抑えキャップ60は、図1図2図6(a)(b)及び図8(a)(b)に示すように、所定の合成樹脂材料を射出成形することにより略円筒状に形成されて成る部材である。図6(b)に示すように、円筒状のキャップ本体61と、キャップ本体61の上端に一体に設けられた内側フランジ62とを有し、内側フランジ62の中央にはフレームパイプ11が挿通される開口部63が形成されている。またキャップ本体61の内周面の上端側には雌ネジ64が形成されており、締付け部材40の外周面に形成された雄ネジ42に螺合可能とされている。尚、キャップ本体61の外周面には滑り止め用のローレット部65が形成されている(図8(a)参照)。
【0032】
ベース部材20は、図1図2及び図7(a)(b)に示すように床面に対し広く面接触可能な平面視方形又は長方形の部材であるが、その他の形状で形成してもよい。またベース部材20には所定の間隔をして配置された雌ネジ部から成る一対のネジ穴21が形成されており、スタンドパイプ12の底板13に突設されている雄ネジ部13aを螺着させることが可能となっている。尚、ベース部材20の縁部には、ゴム又は合成樹脂製の滑り止め機能を有する保護部材22を嵌め込み、人の体がベース部材20に接触しても怪我が回避可能に安全な加工が施されている。
【0033】
次に、支柱の立設構造及び立ち上がり動作補助具Aの組み立ての一例について説明する。
尚、以下においては手摺本体30を省略して説明するが、手摺本体30は、あらかじめフレームパイプ11に連結した構成であってもよいし、連結完了後の一対の支柱10の各フレームパイプ11に対して手摺本体30を組み付ける構成でもよい。更には支柱10をベース部材20に取り付けた後の各フレームパイプ11に対して手摺本体30を組み付ける構成であってもよい。
【0034】
フレームパイプ11とスタンドパイプ12との連結について説明する。
図2のようにあらかじめ抑えキャップ60を外挿させたフレームパイプ11の所望する高さ位置に合う調整孔11aに、パイプ止め部材50の上部を手で掴み、パイプ止め部材50の下方に位置する調節突起53が嵌入するように合わせて半円筒部51をフレームパイプ11上にパチンとかぶせる。続いて、先にスタンドパイプ12上に入れ込んである締付け部材40の上端からフレームパイプ11の下端を挿入する。
【0035】
更に詳しく言うと、スタンドパイプ12の上部から締付け部材40を挿入する際、切欠き片43a上の固定突起43により切欠き片43aが径方向に撓み変形した状態でスタンドパイプ12へ入り、スタンドパイプ12側の固定穴12aに位置合わせをして固定穴12aに合うと固定突起43がパチンと嵌入する。これにより、締付け部材40自体の回転が規制され、周方向に回転しなくなるので、下記の抑えキャップ60の締め込みが可能となる。すなわち、固定突起43と固定穴12aとは回り止め機構Cを構成している。
そして、抑えキャップ60を締め付け方向に回転させ、抑えキャップ60の雌ネジ64を締付け部材40の雄ネジ42に螺着させることにより、支柱10を構成するフレームパイプ11とスタンドパイプ12とを連結手段Bを介して連結させる(連結状態)。
【0036】
この際、抑えキャップ60を締め付け方向に回転させて締付け部材40に螺着させて行くと、抑えキャップ60が下方にネジ送りされることに伴い、抑えキャップ60の内側フランジ62がパイプ止め部材50の上端面に当接し、フレームパイプ11の外周面と締付け部材40の内周面との間に配置されるパイプ止め部材50を更に下方に向けて押し込む。すると、パイプ止め部材50の下端に形成されているテーパー面54が、締付け部材40の縮径部46に当接して縮径部46を径方向外側に向かって押圧するため、フレームパイプ11をスタンドパイプ12に位置決め固定することができる。
【0037】
そして、図6(a)(b)に示すように、連結状態では、締付け部材40の外側フランジ45がスタンドパイプ12の上端面に当接すると共に、抑えキャップ60の内側フランジ62がパイプ止め部材50の上端面に当接している。更にはパイプ止め部材50側の調節突起53がフレームパイプ11側の調整孔11a内に嵌入している。このため、フレームパイプ11及びスタンドパイプ12を互いにパイプの全長方向及び周方向に移動できないように固定することができる。
【0038】
また、前記パイプ止め部材50の前記テーパー面54が、前記締付け部材40の縮径部46に当接して縮径部46を径方向外側に向かって押圧することに加えて、縮径部46を押し込む事で常に下方へ力がかかることもあり、ベース部材20に対してスタンドパイプ12自体の周方向の回転を規制している。つまり締付け部材40の縮径部46は、スタンドパイプ12の周方向の回転を規制するもう一つの回り止め機構Cを構成している。
【0039】
また連結状態では、締付け部材40の各可撓片44の先端に形成されている各当接部44cがスタンドパイプ12の内周面に夫々当接するため、各可撓片44が径方向内側に向かって押圧されている。このため、締付け部材40の内周面とフレームパイプ11の外周面と間に形成されやすい隙間Sを小さくすることができ、両者の間に生じるガタツキを軽減することが可能となっている。
【0040】
抑えキャップ60を締め付け解除方向に回転させ、抑えキャップ60の雌ネジ64を締付け部材40の雄ネジ42から螺脱させると、スタンドパイプ12に対するフレームパイプ11の位置決め固定が解除されるため、フレームパイプ11、パイプ止め部材50をスタンドパイプ12内から引き抜くことができる。このため、調節突起53をフレームパイプ11側の他の調整孔11aに嵌入させることが可能となることから、支柱10の高さを容易に調整することができる。
【0041】
また、抑えキャップ60を締め付け解除方向に半回転程戻してフレームパイプ11の位置決め固定を緩めると、フレームパイプ11に対してスタンドパイプ12自体を外す方向に回すことが可能になり、図7(a)のようにスタンドパイプ12から手すり本体30まで付いた状態とベース部材20とに分離ができ、組み立て作業及びメンテナンス作業を容易化できる。
【0042】
最後に、連結後の支柱10をベース部材20に取り付けて立設させることにより、すなわちスタンドパイプ12側の雄ネジ部13aをベース部材20側のネジ穴21に螺着させることにより、立ち上がり動作補助具Aの組み立てが完成する。
【0043】
支柱10をベース部材20に取り付ける際には、フレームパイプ11の向きを調整し、複数の調整孔11aが左右方向に向くようにして立設させる。また支柱10をベース部材20に取り付ける際には、フレームパイプ11の下端に目隠しキャップ70を装着し、目隠しキャップ70の下に底板13を隠すようにする。
【0044】
複数の調整孔11aが左右方向に向くように立設させる構成にすると、連結手段Bを構成するパイプ止め部材50の開口部52がフレームパイプ11の左右方向のうちの一方の外周面と対向し、その他の方向については半円筒部51をフレームパイプ11のその他の外周面と対向させることができる。立ち上がることに不安定な病弱者等が立ち上がり動作補助具Aを使用した際に生じる横荷重は特に前後方向に作用しやすい。しかし、上記構成とすることにより、開口部52を除くパイプ止め部材50の半円筒部51の肉厚で埋まりフレームパイプ11を補強することが可能となるため、横荷重が前後方向に作用した際に生じやすい支柱10のガタツキを防止することが可能となる
【0045】
ここで、図8(a)(b)に示すように、スタンドパイプ12の外周面の上下の位置にネジ緩みサイン81、82が設けられている。
図8(a)に示すネジ緩みサイン81は、抑えキャップ60の雌ネジ64と締付け部材40の雄ネジ42との間のネジ緩みを視覚的に知らせるためのものであり、ネジ緩みのない通常時は抑えキャップ60の下に隠れて見えない状態にある。そして、ネジ緩みが発生すると、抑えキャップ60がネジ送りされて上昇するため、抑えキャップ60の下に隠れているネジ緩みサイン81が出現するようになる。これにより、抑えキャップ60の雌ネジ64と締付け部材40の雄ネジ42との間にネジ緩みが発生していることを知ることができる。
【0046】
また図8(b)に示すネジ緩みサイン82は、ベース部材20に形成したネジ穴21とスタンドパイプ12の底板13に突設した雄ネジ部13aとの間のネジ緩みを視覚的に知らせるためのものであり、ネジ緩みのない通常時は目隠しキャップ70で隠されて見えない状態にある。そして、ネジ緩みが発生すると、スタンドパイプ12がネジ送りされて上昇するため、目隠しキャップ70の上端から緩みサイン82が出現するようになる。これにより、抑えキャップ60の雌ネジ64と締付け部材40の雄ネジ42との間にネジ緩みが発生していることを知ることができる。
【0047】
ネジ緩みサイン81、82としては、スタンドパイプ12に形成した穴、文字、図形、色彩又は記号のいずれかを採用することができる。尚、スタンドパイプ12の上部外周面に形成するネジ緩みサイン81の場合には、回り止め機構Cを構成する固定穴12aを利用することも可能であり、特に固定穴12aを通して視認される締付け部材40の色彩は一層際立つことからネジ緩みを確実に知らしめることが可能となる。
尚、スタンドパイプ12の下端に設けるネジ緩みサイン82を穴で形成しておくと、スタンドパイプ12側の雄ネジ部13aをベース部材20側のネジ穴21に螺着させる際に、この穴にネジドライバーを挿入しながらスタンドパイプ12を回すことが可能となり、より強固に支柱10をベース部材20に取り付けることができるようになる点で好ましい。
【0048】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば上記第1実施例では、手摺本体30として、四角形状の枠体31の間に二本の平行棒32が等間隔で一体に形成された場合を示して説明したが、図9に第2実施例として示すように、複数の横桟91と複数の継手92とで組み立てた構成であってもよい。
【0049】
また上記第1実施例では、支柱の立設構造を有する実施の形態として立ち上がり動作補助具Aを示して説明したが、図10に第3実施例として示すように一対の支柱の間に棚93を取り付けた陳列棚とすることもできるし、図11に第4実施例として示すように支柱10の上端に旗竿94を連結した旗立てとすることもできる。また図12に第5実施例として示すように一対の支柱10の間に板95を設けた看板立て、間仕切りや掲示板とすることもできるし、図13に第6実施例として示すように支柱10自体を伸縮棒(突っ張り棒)とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、支柱の立設構造を有する分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 :支柱
11 :フレームパイプ
11a :調整孔
12 :スタンドパイプ
12a :固定穴
13 :底板
13a :雄ネジ部
20 :ベース部材
21 :ネジ穴
22 :保護部材
30 :手摺本体
31 :枠体
32 :平行棒
33 :受部
40 :締付け部材
41 :本体部
42 :雄ネジ
43 :固定突起
43a :切欠き片
44 :可撓片
44a :基端部
44b :先端部
44c :当接部
45 :外側フランジ
46 :縮径部
50 :パイプ止め部材
51 :半円筒部
52 :開口部
53 :調節突起
54 :テーパー面
60 :抑えキャップ
61 :キャップ本体
62 :内側フランジ
63 :開口部
64 :雌ネジ
65 :ローレット部
70 :目隠しキャップ
81 :ネジ緩みサイン
82 :ネジ緩みサイン
91 :横桟
92 :継手
93 :棚
94 :旗竿
95 :板
A :立ち上がり動作補助具
B :連結手段
C :回り止め機構
S :隙間
図1
図2
図3
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図13