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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115062
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】アンテナ装置及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 13/08 20060101AFI20240819BHJP
   H01Q 5/378 20150101ALI20240819BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
H01Q13/08
H01Q5/378
H01Q1/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020524
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】524066085
【氏名又は名称】FCNT合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 雅朋
【テーマコード(参考)】
5J045
5J047
【Fターム(参考)】
5J045AA03
5J045DA10
5J045LA01
5J045NA03
5J047AB13
5J047FD01
(57)【要約】
【課題】より広帯域の周波数帯に使用できるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】本アンテナ装置は、第1の周波数の電波の1/2波長に一辺の長さが形成され、給電点からの給電を受けて上記第1の周波数の上記電波を放射する矩形のパッチアンテナと、上記パッチアンテナによる上記電波の放射方向に配置され、上記パッチアンテナよりも小さい板状に形成される無給電素子と、第2の周波数の電波の1/4波長の長さを有する線状に形成され、長手方向の一端が上記無給電素子に接続され、上記長手方向の他端が開放される線状素子と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の周波数の電波の1/2波長に一辺の長さが形成され、給電点からの給電を受けて前記第1の周波数の前記電波を放射する矩形のパッチアンテナと、
前記パッチアンテナによる前記電波の放射方向に配置され、前記パッチアンテナよりも小さい板状に形成される無給電素子と、
第2の周波数の電波の1/4波長の長さを有する線状に形成され、長手方向の一端が前記無給電素子に接続され、前記長手方向の他端が開放される線状素子と、を備える、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記無給電素子と前記パッチアンテナとの前記放射方向における距離は、前記第2の周波数の前記電波の波長の0.01倍以上、かつ、0.1倍未満である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記線状素子の幅は、前記第1の周波数の前記電波の波長の0.025倍以下である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ装置を実装した、
無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より高速な無線通信システムである第5世代移動通信システム(5G)の普及が進められている。このような状況に鑑みて、様々なアンテナ装置も検討されている(特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2019/116941号
【特許文献2】特開2004-328067号公報
【特許文献3】特開2017-092588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッチアンテナは帯域が狭いため、例えば、5Gで使用されるSub6帯(3~5GHz)とUltra Wide Band(UWB)帯(7~9GHz)をひとつのパッチアンテナでカバーすることは困難であった。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、より広帯域の周波数帯に使用できるアンテナ装置及び無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のようなアンテナ装置によって例示される。本アンテナ装置は、第1の周波数の電波の1/2波長に一辺の長さが形成され、給電点からの給電を受けて上記第1の周波数の上記電波を放射する矩形のパッチアンテナと、上記パッチアンテナによる上記電波の放射方向に配置され、上記パッチアンテナよりも小さい板状に形成される無給電素子と、第2の周波数の電波の1/4波長の長さを有する線状に形成され、長手方向の一端が上記無給電素子に接続され、上記長手方向の他端が開放される線状素子と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、より広帯域の周波数帯に使用できるアンテナ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るアンテナ装置の一例を示す第1の図である。
図2図2は、実施形態に係るアンテナ装置の一例を示す第2の図である。
図3図3は、第1比較例に係るアンテナ装置の一例を示す第1の図である。
図4図4は、第1比較例に係るアンテナ装置の一例を示す第2の図である。
図5図5は、第2比較例に係るアンテナ装置の一例を示す第1の図である。
図6図6は、第2比較例に係るアンテナ装置の一例を示す第2の図である。
図7図7は、第1シミュレーションの結果を例示する第1の図である。
図8図8は、第1シミュレーションの結果を例示する第2の図である。
図9図9は、第1シミュレーションの結果を例示する第3の図である。
図10図10は、第2シミュレーションの結果を例示する第1の図である。
図11図11は、第2シミュレーションの結果を例示する第2の図である。
図12図12は、第2シミュレーションの結果を例示する第3の図である。
図13図13は、第2シミュレーションの結果を例示する第4の図である。
図14図14は、第2シミュレーションの結果を例示する第5の図である。
図15図15は、第2シミュレーションの結果を例示する第6の図である。
図16図16は、第3シミュレーションの結果を例示する図である。
図17図17は、第4シミュレーションの結果を例示する図である。
図18図18は、第5シミュレーションの結果を例示する第1の図である。
図19図19は、第5シミュレーションの結果を例示する第2の図である。
図20図20は、第5シミュレーションの結果を例示する第3の図である。
図21図21は、第5シミュレーションの結果を例示する第4の図である。
図22図22は、第5シミュレーションの結果を例示する第5の図である。
図23図23は、第5シミュレーションの結果を例示する第6の図である。
図24図24は、第5シミュレーションの結果を例示する第7の図である。
図25図25は、第5シミュレーションの結果を例示する第8の図である。
図26図26は、第6シミュレーションの結果を例示する図である。
図27図27は、実装例に係るスマートフォンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、図面を参照して実施形態についてさらに説明する。図1及び図2は、実施形態に係るアンテナ装置1の一例を示す図である。図1はアンテナ装置1を正面から見た状態を例示し、図2はアンテナ装置1を側方から見た状態を例示する。アンテナ装置1は、基板2、給電点3、給電線31、パッチアンテナ4、無給電素子5及び導電ライン6を備える。以下、本明細書において、パッチアンテナ4が電波を放射する方向をZ方向、Z方向と直交する2方向を夫々X方向、Y方向とする。
【0010】
基板2は、各種電子部品を実装するプリント基板である。基板2は、硬質なリジッド基板であっても屈曲可能なフレキシブル基板であってもよい。
【0011】
給電点3は、基板2上に配置され、給電線31を介してパッチアンテナ4に電力を給電する。パッチアンテナ4は、例えば、アンテナ装置1のZ方向視(正面視)において正方形(パッチ形状)に形成される放射素子である。パッチアンテナ4は、給電点3からの給電を受けてZ方向に第1の周波数の電波を放射する。パッチアンテナ4と基板2とのZ方向における距離H1は、例えば、2mmである。パッチアンテナ4の一辺の長さW1は、パッチアンテナ4が放射する第1の周波数の電波の波長をλとすると、λ/2(λの半波長)に相当する長さである。
【0012】
無給電素子5は、パッチアンテナ4による電波の放射方向に配置される無給電の素子である。無給電素子5とパッチアンテナ4とのZ方向における距離H2は、0.01λ以上、かつ、0.1λ未満の範囲内である。距離H2は、例えば、2mmである。無給電素子5は、例えば、正方形に形成される。無給電素子5の一辺の長さW2は、例えば、λ/2より短く形成される。すなわち、無給電素子5は、パッチアンテナ4よりも小さく形成される。無給電素子5は、Z方向視においてパッチアンテナ4と重なるように配置される。例えばZ方向視において、無給電素子5の中心とパッチアンテナ4の中心とは一致する。
【0013】
導電ライン6は、線状に形成される無給電の素子である。導電ライン6は、その長手方向の一端61が無給電素子5に接続され、他端62が開放される。導電ライン6の幅W3は、0.025λよりも短く形成される。また、導電ライン6の長さL1は、第1の周波数とは異なる第2の周波数の電波の波長をλとすると、λ/4である。導電ライン
6は、「線状素子」の一例である。
【0014】
<第1比較例>
図3及び図4は、第1比較例に係るアンテナ装置500の一例を示す図である。アンテナ装置500は、基板502、給電点503、給電線531及びパッチアンテナ504を備える。基板502、給電点503、給電線531及びパッチアンテナ504は、実施形態に係る基板2、給電点3、給電線31及びパッチアンテナ4と同一であるため、その説明を省略する。すなわち、第1比較例に係るアンテナ装置500は、実施形態に係るアンテナ装置1から無給電素子5及び導電ライン6を省略した構成を有する。
【0015】
<第2比較例>
図5及び図6は、第2比較例に係るアンテナ装置600の一例を示す図である。アンテナ装置600は、基板602、給電点603、給電線631、パッチアンテナ604及び導電ライン606を備える。基板602、給電点603、給電線631及びパッチアンテナ604は、実施形態に係るアンテナ装置1の基板2、給電点3、給電線31及びパッチアンテナ4と同一であるため、その説明を省略する。導電ライン606は、その一端がパッチアンテナ604に接続され、他端が開放される。すなわち、第2比較例に係るアンテナ装置600は、実施形態に係るアンテナ装置1から無給電素子5を省略し、導電ライン606をパッチアンテナ604に接続した構成を有する。
【0016】
<シミュレーション>
以上の構成を有するアンテナ装置1の特性を検証するシミュレーションを行ったので、以下説明する。なお、以下のシミュレーションでは、第1の周波数を7.6GHzとし、第2の周波数を3.6GHzとした。
【0017】
(第1シミュレーション)
第1シミュレーションでは、実施形態に係るアンテナ装置1、第1比較例に係るアンテナ装置500及び第2比較例に係るアンテナ装置600の特性を比較した。第1シミュレーションでは、アンテナ装置1のパッチアンテナ4の一辺の長さW1は18mmとした。無給電素子5の一辺の長さW2は、14mmとした。導電ライン6の長さL1は20mmとした。導電ライン6の幅W3は、1mmとした。また、パッチアンテナ4と基板2とのZ方向における距離H1は、2mmとした。無給電素子5とパッチアンテナ4とのZ方向における距離H2は、2mmとした。
【0018】
また、アンテナ装置500のパッチアンテナ504の一辺の長さW11は、18mmとした。パッチアンテナ504と基板502とのZ方向における距離H11は、4mmとした。アンテナ装置600のパッチアンテナ604の一辺の長さW21は、16mmとした。パッチアンテナ604と基板602とのZ方向における距離H21は、4mmとした。導電ライン606の長さL21は21mmとした。導電ライン606の幅W23は、1mmとした。
【0019】
ここで、第1シミュレーションにおいてパッチアンテナ4の一辺の長さW1、パッチアンテナ504の一辺の長さW11、及び、パッチアンテナ604の一辺の長さW21に設定された長さは、λ/2に相当する。また、第1シミュレーションにおいて導電ライン6の長さL1、及び、導電ライン606の長さL21に設定された長さは、λ/4に相当する。
【0020】
図7から図9は、第1シミュレーションの結果を例示する図である。図7から図9では、縦軸が反射損失(db)を例示し、横軸が周波数(MHz)を例示する。図7では、第1比較例に係るアンテナ装置500についてのシミュレーションの結果が例示される。図
8では、第2比較例に係るアンテナ装置600についてのシミュレーション結果が例示される。図9では、実施形態に係るアンテナ装置1についてのシミュレーション結果が例示される。
【0021】
図7を参照すると、第1比較例に係るアンテナ装置500では、第1の周波数である7.6GHzで共振が得られるものの、第2の周波数である3.6GHzでは共振が略得られないことが理解できる。また、図8を参照すると、第2比較例に係るアンテナ装置600では、第1の周波数である7.6GHz及び第2の周波数である3.6GHzの双方で共振が得られるものの、第1の周波数における共振は第1比較例よりも弱いものとなっている。一方、図9を参照すると、実施形態に係るアンテナ装置1では、第1の周波数である7.6GHz及び第2の周波数である3.6GHzの双方で強い共振が得られることが理解できる。すなわち、アンテナ装置1は、アンテナ装置500及びアンテナ装置600よりも、より広帯域の周波数帯に使用できる。
【0022】
(第2シミュレーション)
第2シミュレーションでは、電流分布及び放射パターンが確認される。第2シミュレーションにおいて、アンテナ装置1に設定する各パラメータ(W1、W2、W3、L1、H1、H2)は、第1シミュレーションと同様である。図10から図15は、第2シミュレーションの結果を例示する図である。
【0023】
図10では、第1の周波数である7.6GHzの電波をアンテナ装置1が放射する場合におけるアンテナ装置1の電流分布が例示される。図11では、第1の周波数である7.6GHzの電波をアンテナ装置1が放射する場合における放射パターンが例示される。図10を参照すると、第1の周波数である7.6GHzの電波を放射する場合には、給電点3からの給電を受ける領域に強い電流が多い一方で、導電ライン6では電流が少ないことが理解できる。また、図11を参照すると、アンテナ装置1の主放射方向である0度方向に強い電波が放射されていることが理解できる。
【0024】
図12では、第2の周波数である3.6GHzの電波をアンテナ装置1が放射する場合におけるアンテナ装置1の電流分布が例示される。図13では、第2の周波数である3.6GHzの電波をアンテナ装置1が放射する場合における放射パターンが例示される。図12を参照すると、第2の周波数である3.6GHzの電波を放射する場合には、パッチアンテナ4においては電流が少ない一方で、無給電素子5と導電ライン6とが接続されている箇所では電流が多いことが理解できる。すなわち、第2の周波数をアンテナ装置1が放射する場合には、無給電素子5と導電ライン6とが接続されている箇所に給電が行われているとみなすことができる。また、図13を参照すると、アンテナ装置1の主放射方向である0度方向に強い電波が放射されていることが理解できる。
【0025】
図14では、第1の周波数である7.6GHzの電波をアンテナ装置500が放射する場合におけるアンテナ装置500の電流分布が例示される。また、図15では、第1の周波数である7.6GHzの電波をアンテナ装置500が放射する場合における放射パターンが例示される。アンテナ装置500においては、第1の周波数である7.6GHzを放射する場合には、給電点503からの給電を受ける領域に強い電流が多いことが理解できる。また、図15を参照すると、0度方向に強い電波が放射されていることが理解できる。
【0026】
(第3シミュレーション)
第3シミュレーションでは、無給電素子5の一辺の長さW2を変えながら、アンテナ装置1のゲインの変動を確認する。第3シミュレーションにおいて、アンテナ装置1に設定するW2以外の各パラメータ(W1、W3、L1、H1、H2)は、第1シミュレーショ
ンと同様である。
【0027】
図16は、第3シミュレーションの結果を例示する図である。図16の縦軸はゲイン(dBi)を例示し、横軸は無給電素子5の一辺の長さW2(mm)を例示する。図16では、参考として、無給電素子5及び導電ライン6を有しないパッチアンテナに周波数7.6GHzの電波を放射させた場合のゲインと、3.6GHzの周波数の電波を放射させた場合のゲインも「無給電素子無し」として例示される。図16を参照すると、無給電素子5の一辺の長さW2を18mm(λ/2)より短くすることで、周波数7.6GHzの電波を放射する場合におけるゲインを、アンテナ装置1から無給電素子5及び導電ライン6を除いた状態よりも改善できることが理解できる。
【0028】
(第4シミュレーション)
第4シミュレーションでは、無給電素子5とパッチアンテナ4との間の距離H2を変えながら、アンテナ装置1のゲインの変動を確認する。第4シミュレーションにおいて、アンテナ装置1に設定するH2以外の各パラメータ(W1、W2、W3、L1、H1)は、第1シミュレーションと同様である。
【0029】
図17は、第4シミュレーションの結果を例示する図である。図17の縦軸はゲイン(dBi)を例示し、横軸は無給電素子5とパッチアンテナ4との間の距離H2(mm)を例示する。図17では、参考として、無給電素子5及び導電ライン6を有しないパッチアンテナに周波数7.6GHzの電波を放射させた場合のゲインと、3.6GHzの周波数の電波を放射させた場合のゲインも「無給電素子無し」として例示される。図17を参照すると、無給電素子5とパッチアンテナ4との間の距離H2を1mm以上8mm未満(0.01λ以上0.1λ未満)に設定することで、周波数3.6GHzの電波を放射する場合におけるゲインを、第1比較例に係るアンテナ装置500よりも改善できることが理解できる。
【0030】
(第5シミュレーション)
第5シミュレーションでは、導電ライン6の幅W3を変えながら、アンテナ装置1の放射パターンの変化を確認する。第5シミュレーションにおいて、アンテナ装置1に設定するW3以外の各パラメータ(W1、W2、L1、H1、H2)は、第1シミュレーションと同様である。
【0031】
図18から図25は、第5シミュレーションの結果を例示する図である。図18では、導電ライン6の幅W3が1mmに設定された場合における周波数7.6GHzの電波をアンテナ装置1に放射させた場合の放射パターンが例示される。図19では、導電ライン6の幅W3が1mmに設定された場合における周波数3.6GHzの電波をアンテナ装置1に放射させた場合の放射パターンが例示される。
【0032】
図20では、導電ライン6の幅W3が4mmに設定された場合における周波数7.6GHzの電波をアンテナ装置1に放射させた場合の放射パターンが例示される。図21では、導電ライン6の幅W3が4mmに設定された場合における周波数3.6GHzの電波をアンテナ装置1に放射させた場合の放射パターンが例示される。
【0033】
図22では、導電ライン6の幅W3が8mmに設定された場合における周波数7.6GHzの電波をアンテナ装置1に放射させた場合の放射パターンが例示される。図23では、導電ライン6の幅W3が8mmに設定された場合における周波数3.6GHzの電波をアンテナ装置1に放射させた場合の放射パターンが例示される。
【0034】
図24では、導電ライン6の幅W3が14mmに設定された場合における周波数7.6
GHzの電波をアンテナ装置1に放射させた場合の放射パターンが例示される。図25では、導電ライン6の幅W3が14mmに設定された場合における周波数3.6GHzの電波をアンテナ装置1に放射させた場合の放射パターンが例示される。
【0035】
図18から図25を参照すると、導電ライン6の幅W3を太くしていくと周波数7.6GHzの主放射方向(0度方向)のビームが割れてしまい、放射効率も低下していくことが理解できる。
【0036】
(第6シミュレーション)
第6シミュレーションでは、導電ライン6の幅W3を変えながら、ゲインの変化を確認する。第6シミュレーションにおいて、アンテナ装置1に設定するW3以外の各パラメータ(W1、W2、L1、H1、H2)は、第1シミュレーションと同様である。
【0037】
図26は、第6シミュレーションの結果を例示する図である。図26の縦軸はゲイン(dBi)を例示し、横軸は導電ライン6の幅W3(mm)を例示する。図17を参照すると、導電ライン6の幅W3を1mm以下(0.025λ以下)に設定することで、7.6GHzの周波数の電波をアンテナ装置1が放射する際における0度方向のゲイン低下が抑制されることが理解できる。
【0038】
<実施形態の作用効果>
本実施形態に係るアンテナ装置1は、パッチアンテナ4に加えて、無給電素子5及び導電ライン6を備える。そして、パッチアンテナ4の一辺の長さはλ/2、導電ライン6の長さL1はλ/2に設定される。さらに、無給電素子5の一辺の長さはλ/2よりも短く形成される。すなわち、無給電素子5はパッチアンテナ4よりも小さく形成される。このような構成を備えるアンテナ装置1は、第1周波数λの電波及び第2の周波数λの電波を第1比較例に係るアンテナ装置500及び第2比較例に係るアンテナ装置600よりも高い効率で放射できる。そのため、本実施形態によれば、第1の周波数及び第2の周波数の双方の周波数の電波について高効率で放射できるアンテナ装置1を実現できる。換言すれば、本実施形態によれば、より広帯域の周波数帯に使用できるアンテナ装置1を提供できる。
【0039】
本実施形態に係るアンテナ装置1では、無給電素子5とパッチアンテナ4とのZ方向における距離H2は、例えば、0.01λ以上、かつ、0.1λ未満の範囲内に設定される。このように無給電素子5とパッチアンテナ4とのZ方向における距離H2が設定されることで、第2の周波数の電波を放射する場合におけるゲインを改善できる。
【0040】
本実施形態に係るアンテナ装置1では、例えば、導電ライン6の幅W3を0.025λ以下とすることで、主放射方向である0度方向における第1の周波数の電波を放射する際のゲイン低下が抑制される。
【0041】
<実装例>
図27は、実装例に係るスマートフォン100の一例を示す図である。図27では、スマートフォン100に実装されるアンテナ装置1が点線で模式的に示される。図27では、3つのアンテナ装置1がスマートフォン100に実装されているが、スマートフォン100が実装するアンテナ装置1の数は2つ以下でもよいし、4つ以上であってもよい。スマートフォン100では、アンテナ装置1を用いて無線通信を行う。アンテナ装置1は、例えば、スマートフォン100、タブレット端末、ノートブック型パーソナルコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、ドローン等の各種無線通信装置に実装できる。
【0042】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0043】
1・・アンテナ装置
2・・基板
3・・給電点
31・・給電線
4・・パッチアンテナ
5・・無給電素子
6・・導電ライン
61・・一端
62・・他端
100・・スマートフォン
500・・アンテナ装置
502・・基板
503・・給電点
504・・パッチアンテナ
531・・給電線
600・・アンテナ装置
602・・基板
603・・給電点
604・・パッチアンテナ
606・・導電ライン
631・・給電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27