(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115064
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】砂蓄熱式風力発電装置
(51)【国際特許分類】
F03D 9/18 20160101AFI20240819BHJP
F03D 1/04 20060101ALI20240819BHJP
F03D 80/50 20160101ALI20240819BHJP
F03G 7/06 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
F03D9/18
F03D1/04 Z
F03D80/50
F03G7/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020527
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】304007455
【氏名又は名称】林 精一
(72)【発明者】
【氏名】林 精一
(72)【発明者】
【氏名】林 幸子
(72)【発明者】
【氏名】林 寿一
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA02
3H178AA12
3H178AA40
3H178AA54
3H178AA62
3H178AA66
3H178BB73
3H178BB79
3H178DD24X
3H178DD28X
(57)【要約】
【課題】砂容器内に砂ベース材と風洞を有し、風車と、風力発電機とを備え、風車と、風力発電機の設置又は保守点検を可能とし、前記風洞内の上昇気流によって風力発電を行う砂蓄熱式風力発電装置を提供することにある。
【解決手段】砂蓄熱式風力発電装置は、砂容器内に風洞の周囲に前記砂ベース材を配置し、前記風洞に接続され水平方向に延伸し設置した風洞前室と、前記風洞内又は前記風洞前室内に設置された風車を備え、前記風洞前室の蓋部において、前記風車又は前記風力発電機を設置又は保守点検を可能とし、太陽光照射加熱等により前記砂ベース材において蓄熱を可能とし、前記風洞内の空気の温度上昇により、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積とに関係する空気量の上昇気流が流れ、前記風車の駆動に作用し、前記風車により駆動される前記風力発電機にて発電を可能とすることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種砂類、各種砂利類、又は各種小石類を含む砂ベース材と、
垂直方向に設置した上部開口部と下部開口部を有する風洞と、前記風洞の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材を収納した砂容器と、風流入口を有すると共に、
前記風洞に接続され水平方向に延伸し設置した風洞前室と、
前記風洞内又は前記風洞前室内に設置された風車と、
前記風車に接続されて駆動される風力発電機と、を備え、
前記砂ベース材は、太陽光照射加熱、電力加熱、又は温水加熱のうち少なくともいずれかにより加熱されて熱エネルギーとして蓄熱され、前記風洞内の空気の温度上昇による、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車を駆動し、前記風車と連動し駆動される前記風力発電機により発電を行うことを特徴とする砂蓄熱式風力発電装置。
【請求項2】
前記風洞前室には蓋部を有し、前記風車又は前記風力発電機を設置又は保守点検を可能とし、又は当該風洞前室に設けられた風洞前室開口部と当該風洞前室開口部を覆い開閉可能に設けられた蓋部を有すると共に、前記風車又は前記風力発電機を設置又は保守点検するとき以外は、前記蓋部により閉められた状態とすることができ、
風流入口、風流入室、風流入口蓋、及び排水・除塵部を有すると共に、前記風流入口、前記風流入室は、水害、砂塵の防止する高さに設定を可能とし、
前記風流入口の前記風流入口蓋は、風流入量の調節、水害、又は砂塵の防止にて開閉を可能とし、前記排水・除塵部において、排水、除塵を可能とした、ことを特徴とする請求項1に記載の砂蓄熱式風力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砂容器内に熱エネルギーを蓄熱する砂ベース材と風洞を有し、
外部より前記砂容器内の前記砂ベース材に蓄熱を可能とし、前記風洞内の空気の温度上昇による上昇気流によって、風車の駆動に作用し、前記風車により駆動される風力発電機にて、発電を行うことと、前記風車又は前記風力発電機の設置又は保守点検と、及び水害防止、砂塵防止を可能とすることを特徴とする、砂蓄熱式風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載には、円形平板状の車板から複数の羽根平が延出した形状をなした回転羽根であり、回転羽根の厚さは全体が均一で、各羽根平の回転方向の前縁には、風下方向が開口し、断面が弧状に形成された曲板部材が取り付けられていることを特徴とする軸流タービン風車の回転羽根。と記載されている。
【0003】
また、特許文献2に記載には、翼への気流W2と翼の第9線分に対応する面との間に負角βをもたせるように翼を取付けることにより、ベルヌーイの定理により説明される揚力に、さらに負角βによる負の圧力を加えることができる。従って、大きなトルクを得ることができ、風車効率を増大できる。と記載されている。
【0004】
また、特許文献3に記載には、同心円軸上に回転軸を有する揚力型風車と抗力型風車を備えた垂直軸型風車に関する。さらに言えば、揚力型風車と抗力型風車を備えており、マグナス効果に加え、表面効果も利用することで高トルクを生み出すことができるため、小型であるにも拘わらず高い回転効率を実現することができる垂直軸型風車に関する。と記載されている。
【0005】
また、特許文献4に記載には、回転始動時又は微風時にはサボニウス翼の特性を利用し、且つ、風速の大小に拘わらずダリウス翼及びサボニウス翼の回転エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換させ得る風力発電装置。と記載されている。
【0006】
また、特許文献5に記載には、本発明に係る風力発電機は、風のエネルギーを回転に変換するプロペラと、励磁電流を流すことで磁石になる電磁石を有する電磁石型発電機と、励磁電流を制御する励磁電流制御部と、電磁石型発電機の電力を蓄える蓄電部とを備え、励磁電流制御部は、出力電圧が充電電圧未満になると、励磁電流を流すように制御する。と記載されている。
【0007】
また、特許文献6に記載には、基礎面から延直方向に設置した筒状部材にて構成された風洞と、前記筒状部材の周壁から法線方向に延出した複数の集風板と、前記集風板相互間及び筒状部材の上端開口を閉塞する天板と、前記筒状部材の周壁に設けられて前記集風板によって集約された風を前記風洞内に導く複数の風取込口と、前記風取込口に設けられて筒状部材外部から筒状部材内部への風の流通のみを許容し、内部から外部への流通を規制する逆流防止手段と、隣接する集風板間に設けられて集風板によって集約された風を下方に向けてガイドする複数のガイド板と、前記風洞の一端部から吹き出す風によって駆動されるタービンと、前記タービンにより駆動される発電機とを備えていることを特徴とする風力発電装置。と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012―241705公報
【特許文献2】特開平06-159922公報
【特許文献3】特開2018-021476公報
【特許文献4】特開2007―40239公報
【特許文献5】特開2018-207628公報
【特許文献6】再表2008/0756766公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5は、風車に関係する発明であり、風洞との流体の作用に基づく、風力発電方法の記述はありません。
【0010】
特許文献6は、延直方向に設置した風洞と、前記筒状部材の周壁に設けられて前記集風板によって集約された風を前記風洞内に導く複数の風取込口と、隣接する集風板間に設けられて集風板によって集約された風によって駆動されるタービンにより駆動される風力発電装置であって、複数の風取込口をもつ風洞の構成は複雑であり、外部の風の影響(風塵等)を直接受け、建設費・維持費は高く、メンテナンス作業も困難と想定される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、熱エネルギーを蓄熱する前記砂容器内の砂ベース材の砂利、砂類等に蓄熱し、前記風洞は前記砂容器内にあって、前記風洞内の流速は弱風から発電が可能であり、前記風車は砂容器設置部内にあるため損傷が少なく、交換頻度が少なく、落雷等の被害に遭いにくく、前記風洞前室の蓋部の開閉において前記風車と前記風力発電機の設置又は保守点検が可能であり、又風流入量の調節、水害防止、砂塵防止が可能であり、蓄熱材料費は安価であり、建設費・維持費が安く、設置場所は需要地に隣接して設置可能であり、送電コストの低減に役立つことが可能である。発電量に対して投資金額が少ない。これらを効果的に提供することを目的としている。
【0012】
本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
各種砂類、各種砂利類、又は各種小石類を含む砂ベース材と、
垂直方向に設置した上部開口部と下部開口部を有する風洞と、前記風洞の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材を収納した砂容器と、風流入口を有すると共に、
前記風洞に接続され水平方向に延伸し設置した風洞前室と、
前記風洞内又は前記風洞前室内に設置された風車と、
前記風車に接続されて駆動される風力発電機と、を備え、
前記砂ベース材は、太陽光照射加熱、電力加熱、又は温水加熱のうち少なくともいずれかにより加熱されて熱エネルギーとして蓄熱され、前記風洞内の空気の温度上昇による、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車を駆動し、前記風車と連動し駆動される前記風力発電機により発電を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
前記風洞前室には蓋部を有し、前記風車又は前記風力発電機を設置又は保守点検を可能とし、又は当該風洞前室に設けられた風洞前室開口部と当該風洞前室開口部を覆い開閉可能に設けられた蓋部を有すると共に、前記風車又は前記風力発電機を設置又は保守点検するとき以外は、前記蓋部により閉められた状態とすることができ、
風流入口、風流入室、風流入口蓋、及び排水・除塵部を有すると共に、前記風流入口、前記風流入室は、水害、砂塵の防止する高さに設定を可能とし、
前記風流入口の前記風流入口蓋は、風流入量の調節、水害、又は砂塵の防止にて開閉を可能とし、前記排水・除塵部において、排水、除塵を可能とした、ことを特徴とする。
また、複数の前記風洞前室を設け、前記風車に接続されて駆動される前記風力発電機を複数台設置可能でもある。
【0014】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、前記砂容器は、横断面外形形状が略円形、略楕円形、略半円形、略三日月形半円形、略三角形、略四角形、又は多角形の形状を有することを特徴とする。例えば、太陽光照射加熱を受ける面を大きくする略楕円形、略半円形、略三日月形半円形、略三角形、略四角形、略多角形、又は暴風に強くするために略円形の形状とすることができる。形状はこれ等に限定されるものではない。
【0015】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、前記風洞内又は前記風洞前室内には、主として、前記軸流風車、軸流タービン型風車等が設置されることを特徴とする。なお、前記軸流風車、前記軸流タービン型風車が設置される場合は、前記風洞の側壁の形状は略円筒形状とする。
【0016】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、前記風車は、ベルヌーイ定理式風車、プロペラ式風車、マグナス式風車、ダリウス式風車、又はサボニウス式風車のうち少なくともいずれかを有して、前記風車を駆動し、前記風車により駆動される前記風力発電機にて、発電を行うことを特徴としてもよい。
【0017】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、
外部より前記砂容器内の前記砂ベース材としての水成岩、火成岩、又は堆積岩による各種砂類、各種砂利類、又は各種小石類を含む砂ベース材とに蓄熱を可能とする手段として、
太陽光照射加熱の他、電力加熱として前記砂容器内の前記砂ベース材に加熱用電熱ヒータを配置して外部から加熱し蓄熱を行い、又は温水加熱として前記砂容器内の前記砂ベース材に加熱用温水パイプを配置して外部から加熱し蓄熱することを特徴としてもよい。
【0018】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、熱エネルギーを蓄熱する前記砂容器の外周は、太陽光照射加熱にて前記砂容器の外部周辺から蓄熱を行う場合は吸熱材(黒色スチール等)を設定し、太陽光非照射面、及び電力加熱、又は温水加熱等にて直接内部蓄熱を行う場合は断熱材(断熱スチール等)を設定することを特徴としてもよい。なお、放熱面当たりの重量と保熱のために断熱材をどのように入れるかなどで変わってくる。石を蓄熱、放熱させる場合、蓄熱した熱エネルギーは、かなりのピーク時タイムラグとピークエネルギー減衰を伴って放熱されている。
【0019】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、必要に応じて、太陽光照射加熱をしていない場合は、前記砂容器の周辺は断熱材を用いて開閉する構成とすることを特徴としてもよい。
【0020】
また、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置において、前記砂ベースは水成岩、火成岩、又は堆積岩による各種砂類、各種砂利類、又は各種小石類として、乾燥した前記砂ベース材を構成することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、前記砂蓄熱式風力発電装置として、前記砂容器内に熱エネルギーを蓄熱する前記砂ベース材と前記風洞を有し、前記風洞前室は、前記風車又は前期風力発電機を設置するための開閉可能な前記蓋部を有し、前記風車又は前記風力発電機の設置又は保守点検を可能とし、前記風流入口、前記風流入室は、水害、砂塵の防止する高さに設定を可能とし、前記風流入口の前記風流入口蓋は、風流入量の調節、水害、又は砂塵の防止にて開閉を可能とし、前記排水・除塵部において、排水、除塵を可能とし、太陽光照射加熱等により前記砂容器内の前記砂ベース材において蓄熱を可能とし、前記風洞内の空気の温度上昇による、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積とに関係する空気量の上昇気流が流れ、風車の駆動に作用し、前記風車により駆動される前記風力発電機にて発電を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態にかる砂蓄熱式風力発電装置Wの例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の各実施するための形態を説明する。
【0024】
砂ベース材を高温で加熱することで、大容量の熱エネルギーを貯蔵することが可能であること。さらに、熱エネルギーを再び熱として抽出されていることが分かっていた。例えば、摂氏500~600程度の加熱で8メガワット程度に該当する発電が可能な熱エネルギーとされていた。
【0025】
また、前記砂ベース材を蓄熱、放熱させる場合、蓄熱した熱エネルギーは、かなりのピーク時タイムラグとピークエネルギー減衰を伴って放熱されている。放熱面当たりの重量と保熱のために断熱材をどのように入れるかなどで変わる。例えば、無垢の大理石の例として、厚さ10cmに積んだものの片面を暖めると、大雑把に言って反対面から放熱のピークは凡そ7時間ぐらいのタイムラグを伴って表れる。この場合の減衰率は、断熱材なしの場合、ピーク入力熱エネルギーの50%弱程度になるとされている。
【0026】
以下に、本発明は、砂ベース材の大容量の熱エネルギーを貯蔵することが可能であることを利用した風力発電装置について詳しく説明する。
【0027】
本発明に係る熱エネルギーを蓄熱する前記砂ベース材は、
水成岩、火成岩、又は堆積岩による各種砂類、各種砂利類、又は各種小石類とし、乾燥した前記砂ベース材を構成する。
【0028】
本発明に係る、風洞の温度差による上昇気流量を[数1]に示す。
[数1] Qt = αA√{2gh(θi-θo)/Ti}×3600
但し、Qt:風洞内の温度差による上昇気流量[m3/h]、αA:風洞の開口部の実効面積[m2]、
θi:風洞内空気温度[℃]、θo:外気温度[℃]、θi―θo:風洞内の空気の内外温度差[℃]、h:風洞の開口部の位置の高低差[m]、g:重力加速度[m/s2]、Ti:室内絶対温度[K])である。
本発明の実施例として、前記砂ベース材は各種砂類、各種砂利類、又は各種小石類であって、前記砂ベース材に熱エネルギーとして蓄熱し、前記風洞内の空気の温度上昇による、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部の位置の高低差と、前記風洞の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車の駆動に作用し、前記風車と連動し駆動される前記風力発電機により、発電を行うことを特徴とする、砂蓄熱式風力発電装置である。
【0029】
本発明の一実施例として、前記砂蓄熱式風力発電装置Wは製品構成としての概念
図1を示す。
本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置Wにおいて、砂容器1と、砂容器設置部2があって、各種砂類、各種砂利類、又は各種小石類を含む砂ベース材3と、基礎面から垂直方向に設置した上部開口部4と下部開口部5を有する風洞6と、前記風洞6の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材3を収納した砂容器1と、風流入口71を有すると共に、前記風洞6に接続され基礎面から水平方向に延伸し設置した風洞前室9と、上側面又は側面に設けられた風洞前室開口部13、14と、この風洞前室開口部13,14にそれぞれ設けられた蓋部15、16と、前記風洞6内又は前記風洞前室9内に設置された風車8、81と、前記風車8、81に接続されて駆動される風力発電機10、11と、を備える。前記風洞前室9は、前記風車81又は前期風力発電機11を設置又は保守点検するための蓋部15、16を有し、蓋部15、16において前記風車81又は前記風力発電機11の設置又は保守点検を可能とし、前記砂ベース材は、太陽光照射加熱、電力加熱、又は温水加熱のうち少なくともいずれかにより加熱されて熱エネルギーとして蓄熱され、前記風洞6内の空気の温度上昇による、前記風洞6内の空気の内外温度差と、前記風洞6の開口部4、5の位置の高低差と、前記風洞6の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車8、81を駆動し、前記風車8、81と連動し駆動される前記風力発電機10、11により発電を行うことを特徴とする。
また、前記風洞6の周辺に複数の前記風洞前室9を設け(図示省略)、前記風車81に接続されて駆動される前記風力発電機11を複数台設置可能とすることが出来る。
【0030】
また、本発明の一実施例として、前記砂蓄熱式風力発電装置Wは製品構成としての概念
図1を示す。
本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置Wにおいて、砂容器1と、砂容器設置部2があって、
各種砂類、各種砂利類、各種小石類を含む砂ベース材3と、基礎面から垂直方向に設置した上部開口部4と下部開口部5を有する風洞6と、前記風洞6の側壁の周囲に配置され、前記砂ベース材3を収納した砂容器1と、前記風洞6に接続され基礎面から水平方向に延伸し設置した風洞前室9と、風流入口71と、風流入室72と、風流入口蓋73とを有すると共に、排水・除塵部12と、上側面又は側面に設けられた風洞前室開口部13、14と、この風洞前室開口部13,14にそれぞれ設けられた蓋部15、16と前記風洞6内又は前記風洞前室9内に設置された風車8、81と、前記風車8、81に接続されて駆動される風力発電機10、11と、を備える。前記風洞前室9は、例えば、前記風洞前室9の上側面又は側面に前記風車81又は前記風力発電機11を設置又は保守点検するための風洞前室開口部13、14と、当該風洞前室開口部13、14を覆う蓋部15,16を有することができる。前記風洞前室開口部13、14の蓋部15、16を開閉して、前記風車81又は前記風力発電機11の設置又は保守点検を可能とし、又は前記風洞前室9において、風洞前室開口部13、14は、当該風洞前室開口部13、14を覆い、開閉可能な蓋部15、16を有することができる。前記風車81又は前記風力発電機11を設置又は保守点検するとき以外は、風洞前室開口部13、14は、蓋部15、16により閉められた状態とすることができる。なお、風車81又は前記風力発電機11を設置するときは、風洞前室9の上側面全体を取り外し可能に構成することもできる。前記風流入口71、前記風流入室72は、水害、砂塵、雨水の防止する高さに設定を可能とし、前記風流入口71の前記風流入口蓋73は、風流入量の調節、水害、又は砂塵の防止にて開閉を可能とし、前記排水・除塵部12は、排水、除塵にて開閉を可能とし、前記砂ベース材は、太陽光照射加熱、電力加熱、又は温水加熱のうち少なくともいずれかにより加熱されて熱エネルギーとして蓄熱され、前記風洞内の空気の温度上昇による、前記風洞内の空気の内外温度差と、前記風洞の開口部4、5の位置の高低差と、前記風洞6の開口部の実効面積と、に関係する空気量の上昇気流によって、前記風車8、81を駆動し、前記風車8、81と連動し駆動される前記風力発電機10、11により発電を行うことを特徴とする。
また、前記風洞6の周辺に複数の前記風洞前室9を設け(図示省略)、前記風車81に接続されて駆動される前記風力発電機11を複数台設置可能とすることが出来る。
【0031】
本発明の一実施例として、本発明に係る砂蓄熱式風力発電装置Wにおいて、前記砂容器1は、横断面外形形状が略円形、略楕円形、略半円形、略三日月形半円形、略三角形、略四角形、又は多角形の形状を有することを特徴することができる。
【0032】
また、本発明の一実施例として、前記風車8、81は、ベルヌーイ定理式風車、又はプロペラ式風車等のうち少なくともいずれかを有して、前記風車8、81を駆動し、前記風車8、81により駆動される前記風力発電機10、11にて、発電を行うことを特徴とする、砂蓄熱式風力発電装置である。
【0033】
例えば、前記風車8の例として前記特許文献等には、前記風車の翼への気流と翼の線分に対応する面との間に負角をもたせるように翼を取付けることにより、ベルヌーイの定理により説明される揚力に、さらに負角による負の圧力を加えることができる。従って、大きなトルクを得ることができ、前記風車効率を増大できることが記載されている。
【0034】
また、本発明の一実施例として、前記垂直軸型風車の例として、マグナス式風車、ダリウス式風車、又はサボニウス式風車の、少なくともいずれかを有して、前記風車を回転し、前記風力発電機11にて発電を行うことを特徴とする、前記砂蓄熱式風力発電装置である。
【0035】
なお、特許文献に記載には、前記風車の前記垂直軸型風車の例として、同心円軸上に回転軸を有する揚力型風車と抗力型風車を備えた垂直軸型風車に関する。揚力型風車と抗力型風車を備えており、マグナス効果に加え、表面効果も利用することで高トルクを生み出すことができるため、小型であるにも拘わらず高い回転効率を実現することができる垂直軸型風車に関する。と記述されている。
【0036】
また、本発明の一実施例として、外部より前記砂容器内の前記砂ベース材としての砂利、砂類等に蓄熱を可能とする手段として、太陽光照射加熱の他、電力加熱として前記砂容器内の前記砂ベース材に加熱用電熱ヒータを配置して外部から加熱し蓄熱を行い、又は温水加熱として前記砂容器内の前記砂ベース材に加熱用温水パイプを配置して外部から加熱し蓄熱することを特徴とする、前記砂蓄熱式風力発電装置である。
【0037】
本発明は、熱エネルギーとして砂ベースの蓄熱であり、前記砂容器内に前記風洞があって、基本的には円筒であり、シンプルな構成であり、前記風洞、及び前記風車は砂塔装置内にあるため損傷が少なく、交換頻度が少なく、落雷等の被害に遭いにくく、また蓄熱する材料費は前記砂ベース材の水成岩、火成岩、又は堆積岩による各種砂類、各種砂利類、各種小石類として安価であり、建設費・維持費が安い。
前記風洞内の風速は弱風から発電が可能であり、設置場所は需要地に隣接して設置可能であり、送電コストの低減に役立つことが可能である。発電量に対して投資金額が少ない等の特徴を有し、効果的に実施し得ることが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 砂容器
2 砂容器設置部
3 砂ベース材
4 上部開口部
5 下部開口部
6 風洞
71 風流入口
72 風流入室
73 風流入口蓋
8、81、 風車
9 風洞前室
10、11 風力発電機
12 排水・除塵部
13、14 風洞前室開口部
15、16 蓋部