(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115068
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】マーケット運用システム、マーケット運用方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20240101AFI20240819BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020531
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】追木 浩二
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】SDGsのような所定のコンセプトに対して賛同する団体や個人のそのコンセプトに対する貢献度を向上することが可能なマーケット運用システム、マーケット運用方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】所定のコンセプトに対する商品デザイン案の募集について募集者によって作成された募集要項をマーケットに投稿する募集部と、前記募集要項に基づき応募者によって作成された前記商品デザイン案を前記マーケットに投稿する応募部と、前記マーケットに投稿された前記商品デザイン案に対する消費者による投票を受け付け、投票結果に基づき商品化する前記商品デザイン案を選ぶ投票部と、前記投票によって選ばれた前記商品デザイン案が商品化された商品を販売する販売部と、を備えるマーケット運用システム。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のコンセプトに対する商品デザイン案の募集について募集者によって作成された募集要項をマーケットに投稿する募集部と、
前記募集要項に基づき応募者によって作成された前記商品デザイン案を前記マーケットに投稿する応募部と、
前記マーケットに投稿された前記商品デザイン案に対する消費者による投票を受け付け、投票結果に基づき商品化する前記商品デザイン案を選ぶ投票部と、
前記投票によって選ばれた前記商品デザイン案が商品化された商品を販売する販売部と、
を備えるマーケット運用システム。
【請求項2】
前記マーケットを利用する前記消費者に対して、前記マーケットの利用度に応じたインセンティブを付与するインセンティブ付与部、
をさらに含む請求項1に記載のマーケット運用システム。
【請求項3】
前記所定のコンセプトは、持続可能な開発目標(SDGs)に対応するコンセプトであり、
前記インセンティブ付与部は、前記SDGsの17の目標ごとに発行されるトークンを購入した前記消費者に対して、前記トークンの購入状況から判定される前記利用度に基づき前記インセンティブを付与する、
請求項2に記載のマーケット運用システム。
【請求項4】
前記インセンティブ付与部は、前記消費者に対して、購入した前記トークンに対応する前記目標のために投稿された前記商品デザイン案に対する投票の権利を付与する、
請求項3に記載のマーケット運用システム。
【請求項5】
前記インセンティブ付与部は、前記消費者に対して、購入したトークンに対応する前記目標のために商品化された前記商品の購入において優遇を受けられる権利を付与する、
請求項3に記載のマーケット運用システム。
【請求項6】
前記商品の購入において優遇を受けられる権利は、前記トークンを有していない前記消費者よりも優先的に前記商品を購入することが可能な権利、又は、前記商品の割引を受けることができる権利である、
請求項5に記載のマーケット運用システム。
【請求項7】
前記インセンティブ付与部は、前記マーケットで前記商品を購入することによる前記SDGsへの貢献度に応じて、前記消費者に付与する前記インセンティブを変化させる、
請求項3に記載のマーケット運用システム。
【請求項8】
前記消費者によって購入された前記商品の売り上げの一部を前記SDGsに対応する寄付先へ寄付する寄付部、
をさらに備える請求項3に記載のマーケット運用システム。
【請求項9】
前記寄付部は、前記商品の売り上げから、前記マーケットの利用手数料、商品原価、及び前記商品デザイン案が採用された前記応募者への報酬を引いた金額を寄付額とする、
請求項8に記載のマーケット運用システム。
【請求項10】
前記募集者が自治体である場合、
前記インセンティブ付与部は、前記マーケットの外部での前記自治体に対する貢献度に応じて、前記消費者に付与する前記インセンティブを変化させる、
請求項2に記載のマーケット運用システム。
【請求項11】
コンピュータが、
所定のコンセプトに対する商品デザイン案の募集について募集者によって作成された募集要項をマーケットに投稿する募集過程と、
前記募集要項に基づき応募者によって作成された前記商品デザイン案を前記マーケットに投稿する応募過程と、
前記マーケットに投稿された前記商品デザイン案に対する消費者による投票を受け付け、投票結果に基づき商品化する前記商品デザイン案を選ぶ投票過程と、
前記投票によって選ばれた前記商品デザイン案が商品化された商品を販売する販売過程と、
を含むマーケット運用方法。
【請求項12】
コンピュータを、
所定のコンセプトに対する商品デザイン案の募集について募集者によって作成された募集要項をマーケットに投稿する募集手段と、
前記募集要項に基づき応募者によって作成された前記商品デザイン案を前記マーケットに投稿する応募手段と、
前記マーケットに投稿された前記商品デザイン案に対する消費者による投票を受け付け、投票結果に基づき商品化する前記商品デザイン案を選ぶ投票手段と、
前記投票によって選ばれた前記商品デザイン案が商品化された商品を販売する販売手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーケット運用システム、マーケット運用方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すために、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)のための取り組みが世界中で行われている。日本でも、様々な企業によるSDGsへの取り組みが活発化している。企業としては、自社だけでSDGsに対する取り組みを行うだけでなく、社会も巻き込んだ取り組みを行えると、よりSDGsに対して貢献することができる。
【0003】
SDGsへ貢献するための取り組みの1つに、SDGsの推進に取り組んでいる団体への寄付がある。例えば、企業では、自社製品の売り上げの一部を団体へ寄付する取り組みが行われている。この取り組みにおいて、例えば、自社製品の製造に関わるクリエイターや自社製品を購入してくれる消費者などを巻き込むことで、SDGsへの理解や行動変容を社会的に促し、社会的にSDGsへの貢献度を高めることができる。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、コンテンツを利用した利用者に対して報酬を提供し、利用者が当該報酬を用いてコンテンツやクリエイターを支援することが可能なシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、消費者は寄付する側であるが、クリエイターは寄付をされる側である。このため、当該システムでは、SDGsに対する取り組みにおいて、クリエイターも寄付する側、すなわちSDGsへの貢献に賛同する側に巻き込んだ取り組みを行うことはできなかった。そこで、消費者だけでなくクリエイターも巻き込んだSDGsに対する取り組みを可能とし、社会的にSDGsへの貢献度を向上できることが望まれる。
【0007】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、SDGsのような所定のコンセプトに対して賛同する団体や個人のそのコンセプトに対する貢献度を向上することが可能なマーケット運用システム、マーケット運用方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係るマーケット運用システムは、所定のコンセプトに対する商品デザイン案の募集について募集者によって作成された募集要項をマーケットに投稿する募集部と、前記募集要項に基づき応募者によって作成された前記商品デザイン案を前記マーケットに投稿する応募部と、前記マーケットに投稿された前記商品デザイン案に対する消費者による投票を受け付け、投票結果に基づき商品化する前記商品デザイン案を選ぶ投票部と、前記投票によって選ばれた前記商品デザイン案が商品化された商品を販売する販売部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係るマーケット運用方法は、コンピュータが、所定のコンセプトに対する商品デザイン案の募集について募集者によって作成された募集要項をマーケットに投稿する募集過程と、前記募集要項に基づき応募者によって作成された前記商品デザイン案を前記マーケットに投稿する応募過程と、前記マーケットに投稿された前記商品デザイン案に対する消費者による投票を受け付け、投票結果に基づき商品化する前記商品デザイン案を選ぶ投票過程と、前記投票によって選ばれた前記商品デザイン案が商品化された商品を販売する販売過程と、を含む。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、所定のコンセプトに対する商品デザイン案の募集について募集者によって作成された募集要項をマーケットに投稿する募集手段と、前記募集要項に基づき応募者によって作成された前記商品デザイン案を前記マーケットに投稿する応募手段と、前記マーケットに投稿された前記商品デザイン案に対する消費者による投票を受け付け、投票結果に基づき商品化する前記商品デザイン案を選ぶ投票手段と、前記投票によって選ばれた前記商品デザイン案が商品化された商品を販売する販売手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、SDGsのような所定のコンセプトに対して賛同する団体や個人のそのコンセプトに対する貢献度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係るマーケットの概要を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るマーケット運用システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係るマーケット管理サーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る募集者による募集(ステップS1)と応募者による応募(ステップS2)におけるマーケット運用システムでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図5】本実施形態に係る消費者によるトークン購入(ステップS3)と消費者による投票(ステップS4)におけるマーケット運用システムでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図6】本実施形態に係る消費者への商品販売(ステップS5・S7)と消費者による商品購入応募(ステップS6・S8)におけるマーケット運用システムでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図7】本実施形態に係るマーケットによる各種支払い(ステップS9からステップS11)におけるマーケット運用システムでの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図8】本実施形態の変形例に係る応募者がトークンを購入する場合における処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0014】
<1.マーケットの概要>
図1を参照して、本実施形態に係るマーケットの概要について説明する。
図1は、本実施形態に係るマーケットの概要を示す図である。
マーケットは、所定のコンセプトに対して賛同する者が集まり、当該コンセプトに対する取り組みを行う場として提供される。所定のコンセプトは、例えば、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に対応するコンセプトである。他にも、特定著作物に対するファンアート(2次創作)の分野や特定の商品開発(事業開発やコンテンツ開発などを含む)プロジェクトなどに対する賛同者による支援等のためのコンセプトが、所定のコンセプトの一例として挙げられる。
以下では、マーケットにて、SDGsに対応するコンセプトに賛同した企業又は自治体などの団体や、クリエイター又は消費者などの個人が参加者として集まり、SDGsに対応する取り組みを行う例を一例として、本実施形態について説明する。
【0015】
図1に示すマーケット1は、募集者2と、応募者3と、消費者4が参加者として参加し、これら参加者がSDGsに対応する寄付先5への寄付を目標として、SDGsに対応する取り組みを行う場として提供される。以下では、マーケット1にて商品を販売し、その売り上げの一部を寄付先5へ寄付する取り組みを一例として、本実施形態について説明する。
【0016】
募集者2は、マーケット1で販売する商品のデザイン案を募集し、選定されたデザイン案に基づき商品化した商品を販売する者であり、例えば、企業や自治体などである。募集者2は、例えば、SDGsに対応するコンセプトでの商品デザイン案を募集する。
応募者3は、募集者2によって募集された商品デザイン案を作成して応募する者であり、例えば、クリエイターである。応募者3は、例えば、SDGsに対応するコンセプトでの商品デザイン案を作成する。
消費者4は、一般の消費者であるが、トークンが有る者とトークンが無い者とに分類される。トークンは、マーケット1の運営者によって、SDGsの17の目標ごとに発行される。消費者4は、トークンを購入することで入手することができる。トークンの有無は、例えば消費者4がSDGsへの取り組みに積極的であるか否かの判定に用いられる。判定の結果に応じて、消費者4がマーケット1から付与されるインセンティブの内容やマーケット1で利用できるサービスの内容が変化する。例えば、消費者4は、保有するトークンの数が多いほどより積極的であると判定される。この場合、例えば消費者4がマーケット1から付与されるインセンティブの内容やマーケット1で利用できるサービスの内容が豊富になる。
寄付先5は、例えば、SDGsの推進に取り組んでいる団体である。寄付先5には、SDGsの17の目標(ゴール)ごとに、各目標の達成に結び付く団体がマーケット1の運営者によって予め選定される。選定された団体は、マーケット1における寄付先5として、対応する目標と対応付けて予め登録される。
【0017】
ここで、マーケット1での取り組みの流れについて説明する。まず、ステップS0では、寄付先5が、マーケット1にて寄付先5として選定された場合に、寄付金の振込先となる口座を予め登録する。
【0018】
次いで、ステップS1では、募集者2が、マーケット1で販売する商品のデザイン案を募集する。募集者2は、募集するにあたり、SDGsの17の目標(ゴール)からターゲットとする目標を選択する。募集者2が、目標を選択すると、選択した目標の達成に結び付く寄付先5が自動で選択される。また、募集者2は、選択した目標と寄付先5に応じた商品のコンセプトも設定し、デザイン案の募集要項を作成してマーケット1へ投稿する。募集者2が企業である場合、デザインの対象となる商品には、例えば、企業が有する自社の商品が提供される。募集者2が自治体である場合、デザインの対象となる商品には、例えばマーケット1の運営企業が有する商品が提供される。さらに、デザインに利用可能な素材として、企業のロゴや自治体のロゴなどが提供されてもよい。また、自治体は、商品のコンセプトの代わりに、自治体の活動理念を設定してもよい。
【0019】
次いで、ステップS2では、応募者3が、マーケット1に投稿されている募集要項に応募する。応募者3は、応募するにあたり、マーケット1に投稿されている募集要項を確認し、応募したい募集要項に沿った商品デザイン案を作成し、マーケット1に投稿する。なお、応募者3は、自身のデザイン案が採用されて商品化された場合には、その商品の売り上げの一部を報酬として受けることができる。売上に対する報酬の割合は、応募者3自身が設定することができる。
【0020】
次いで、ステップS3では、消費者4が、トークンを購入する。本実施形態では、トークンを購入した消費者4に対して、商品デザイン案に対する投票の権利と、商品の購入において優遇を受けられる権利がインセンティブとして付与される。商品の購入において優遇を受けられる権利は、例えば、トークンを有していない消費者4よりも優先的に商品を購入することが可能な権利、又は、商品の割引を受けることができる権利である。このため、これらのインセンティブを得たい消費者4は、トークンを購入する。
次いで、ステップS4では、トークンを有する消費者4が、マーケット1に投稿されている商品デザイン案に対する投票を行う。消費者4による投票により、商品化の対象として選ばれたデザイン案は、募集者2によって商品化され、マーケット1にて販売される。
【0021】
次いで、ステップS5では、マーケット1が、トークンを有する消費者4を対象に、商品化された商品の優先的な販売を開始する。
次いで、ステップS6では、トークンを有する消費者4が、商品を購入した場合には購入代金がマーケット1に対して支払われる。
【0022】
次いで、ステップS7では、マーケット1が、ステップS5の販売開始から所定の時間Tだけ経過後に、トークンを有していない消費者4も対象に、商品化された商品の販売を開始する。
次いで、ステップS8では、トークンを有していない消費者4が、商品を購入した場合には購入代金がマーケット1に対して支払われる。
【0023】
次いで、ステップS9からステップS11では、商品の売り上げに基づき各種の支払いが行われる。
ステップS9では、マーケット1が、募集者2に対して、売れた商品の原価を支払う。
ステップS10では、マーケット1が、応募者3に対して、売れた商品に採用されたデザインに対する報酬を支払う。
ステップS11では、マーケット1が、寄付先5に対して、寄付金を支払う。寄付金の額は、商品の売り上げから、マーケット1の手数料と、商品の原価と、応募者3への報酬とが引かれた額となる。
【0024】
<2.マーケット運用システムの構成>
以上、本実施形態に係るマーケットの概要について説明した。続いて、
図2を参照して、本実施形態に係るマーケット運用システムの構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るマーケット運用システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すマーケット運用システム1000は、
図1を参照して概要を説明したマーケット1を運用するためのシステムである。マーケット運用システム1000は、マーケット1を運用するためのプラットフォームとして機能する。
図2に示すように、マーケット運用システム1000は、マーケット管理サーバ10と、募集者端末20と、応募者端末30と、消費者端末40と、寄付先端末50とを備える。ネットワークNWには、情報の授受を行うための構成として、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、電話網(携帯電話網、固定電話網等)、地域IP(Internet Protocol)網、インターネット等が適用される。
【0026】
(1)マーケット管理サーバ10
マーケット管理サーバ10は、マーケット1を管理するためのサーバであり、マーケット管理装置の一例である。マーケット管理サーバ10は、1つ又は複数のサーバ(例えば、クラウドサーバ)で構成される。
【0027】
マーケット管理サーバ10は、ネットワークNWを介して、募集者端末20と、応募者端末30と、消費者端末40と、寄付先端末50と通信可能に接続されている。
マーケット管理サーバ10は、募集者端末20との通信において、例えば、募集要項とその投稿要求や商品化された商品の商品情報とその投稿要求などを受信する。
マーケット管理サーバ10は、応募者端末30との通信において、例えば、募集要項一覧の表示要求や商品デザイン案とその投稿要求などを受信し、募集要項一覧などを送信する。
マーケット管理サーバ10は、消費者端末40との通信において、例えば、商品一覧の表示要求や商品の購入要求などを受信し、商品一覧などを送信する。
マーケット管理サーバ10は、寄付先端末50との通信において、例えば、寄付金の振込先となる口座情報を受信する。
【0028】
(2)募集者端末20
募集者端末20は、募集者2が利用する端末である。募集者端末20は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はPC(Personal Computer)などの端末である。
【0029】
募集者端末20は、ネットワークNWを介して、マーケット管理サーバ10と通信可能に接続されている。募集者端末20は、マーケット管理サーバ10との通信において、例えば、募集要項とその投稿要求や商品化された商品の商品情報とその投稿要求などを送信する。
【0030】
募集者端末20には、マーケット1に参加するためのアプリケーション(以下、「マーケットアプリ」とも称される)によって、募集者2が募集作業を行うための画面(以下、「募集者用画面」とも称される)が表示される。募集者2は、マーケットアプリによって募集者端末20に表示される募集者用画面を操作して、例えば、目標の選択、コンセプトの設定、提供する商品やロゴなどの情報などを入力し、募集要項を作成してマーケット1へ投稿する。
マーケットアプリの機能は、募集者端末20にマーケットアプリをインストールすること(即ちネイティブアプリ)で提供されてもよいし、Webシステム(即ちWebアプリ)によって提供されてもよい。Webシステムの場合、マーケットアプリの機能はWebブラウザを介して提供される。
【0031】
(3)応募者端末30
応募者端末30は、応募者3が利用する端末である。応募者端末30は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はPCなどの端末である。
【0032】
応募者端末30は、ネットワークNWを介して、マーケット管理サーバ10と通信可能に接続されている。応募者端末30は、マーケット管理サーバ10との通信において、例えば、募集要項一覧の表示要求や商品デザイン案とその投稿要求などを送信し、募集要項一覧などを受信する。
【0033】
応募者端末30には、マーケットアプリによって、応募者3が応募作業を行うための画面(以下、「応募者用画面」とも称される)が表示される。応募者3は、マーケットアプリによって応募者端末30に表示される応募者用画面を操作して、例えば、報酬の割合の設定、応募先となる募集者2の選択、作成したデザイン案のマーケット1への投稿などを行う。
マーケットアプリの機能は、応募者端末30にマーケットアプリをインストールすること(即ちネイティブアプリ)で提供されてもよいし、Webシステム(即ちWebアプリ)によって提供されてもよい。Webシステムの場合、マーケットアプリの機能はWebブラウザを介して提供される。
【0034】
(4)消費者端末40
消費者端末40は、消費者4が利用する端末である。消費者端末40は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はPCなどの端末である。
【0035】
消費者端末40は、ネットワークNWを介して、マーケット管理サーバ10と通信可能に接続されている。消費者端末40は、マーケット管理サーバ10との通信において、例えば、商品一覧の表示要求や商品の購入要求などを送信し、商品一覧などを受信する。
【0036】
消費者端末40には、マーケットアプリによって、消費者4がトークンや商品の購入、デザイン案への投票などを行うための画面(以下、「消費者用画面」とも称される)が表示される。消費者4は、マーケットアプリによって消費者端末40に表示される消費者用画面を操作して、例えば、トークンの購入、デザイン案への投票、商品の購入、マイページの確認、保有トークンの確認、目標に対する達成度の確認などを行う。
マーケットアプリの機能は、消費者端末40にマーケットアプリをインストールすること(即ちネイティブアプリ)で提供されてもよいし、Webシステム(即ちWebアプリ)によって提供されてもよい。Webシステムの場合、マーケットアプリの機能はWebブラウザを介して提供される。
【0037】
(5)寄付先端末50
寄付先端末50は、寄付先5が利用する端末である。寄付先端末50は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はPCなどの端末である。
【0038】
寄付先端末50は、ネットワークNWを介して、マーケット管理サーバ10と通信可能に接続されている。寄付先端末50は、マーケット管理サーバ10との通信において、例えば、寄付金の振込先となる口座情報を送信する。
【0039】
寄付先端末50には、マーケットアプリによって、寄付先5が寄付に関する作業を行うための画面(以下、「寄付先用画面」とも称される)が表示される。寄付先5は、マーケットアプリによって寄付先端末50に表示される寄付先用画面を操作して、例えば、寄付先として必要な情報の入力や、寄付者に対する証明書の出力などを行う。
マーケットアプリの機能は、寄付先端末50にマーケットアプリをインストールすること(即ちネイティブアプリ)で提供されてもよいし、Webシステム(即ちWebアプリ)によって提供されてもよい。Webシステムの場合、マーケットアプリの機能はWebブラウザを介して提供される。
【0040】
マーケット運用システム1000は、
図2に示す構成により、マーケット1を介して、企業や自治体(募集者2)などの団体、クリエイター(応募者3)や消費者4などの個人のような、共通のコンセプトに賛同する複数のグループをつなぎ合わせることができる。即ち、マーケット運用システム1000は、マルチサイドプラットフォームとして機能する。
企業は、マーケット運用システム1000を活用することで、所得層化が進むミレニアル世代やZ世代などをクリエイターとして取り込み、これまで企業が培ってきたものづくりの強みを生かしつつ、これら世代が持つ感性も生かした商品を提供することができる。これにより、企業は、多様化する趣味嗜好などのコミュニケーション変化を踏まえた商品を消費者4へ提供し、ミレニアル世代やZ世代などの若い世代も巻き込んでSDGsに対応する取り組みを行うことができる。
自治体は、マーケット運用システム1000を活用することで、マーケット1をSDGs(社会課題)に関する啓蒙の場として利用することができる。この際に、企業の場合と同様にミレニアル世代やZ世代などをクリエイターとして取り込むことで、ミレニアル世代やZ世代などの若い世代にも広くSDGsを啓蒙することができる。
クリエイターは、マーケット運用システム1000を活用することで、マーケット1をクリエイターとして成長するための場として利用することができる。さらに、クリエイターは、自身のデザイン案が採用されて商品化された商品が売れることで、SDGsに貢献することができる。即ち、クリエイターは、自己のためにクリエイターとしての活動をしているだけで、SDGsに対して特別な取り組みを行わなくとも、SDGsに対して容易に貢献することができる。
消費者4は、マーケット運用システム1000を活用することで、マーケット1を商品購入の場として利用することができる。消費者4がマーケット1にて商品を購入するとその売り上げの一部が寄付先5へ寄付される。即ち、消費者4は、マーケット1にて商品を購入するだけで、SDGsに対して特別な取り組みを行わなくとも、SDGsに対して容易に貢献することができる。また、トークンの売り上げはトークンの発行元に応じてマーケットの運用資金や寄付先5への寄付金として利用される。このため、消費者4は、トークンを購入するだけでもSDGsに対して容易に貢献することができる。
以上より、マーケット運用システム1000は、SDGsのような所定のコンセプトに対して賛同する団体や個人などの参加者のそのコンセプトに対する貢献度を向上することができる。
また、マーケット1の運営者(企業)は、マーケット運用システム1000全体を管理することで、企業、自治体、クリエイター、消費者4などの参加者を束ねる幹事会社的にSDGsに対する取り組みを行っていることを社会に対してアピールでき、企業価値を押し上げることができる。
【0041】
<3.マーケット管理サーバの機能構成>
以上、本実施形態に係るマーケット運用システム1000の構成について説明した。続いて、
図3を参照して、本実施形態に係るマーケット管理サーバ10の機能構成について説明する。
図3は、本実施形態に係るマーケット管理サーバ10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、マーケット管理サーバ10は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0042】
(1)通信部110
通信部110は、各種情報を送受信する機能を有する。通信部110は、例えば、ネットワークNWを介して、募集者端末20と、応募者端末30と、消費者端末40と、寄付先端末50と通信を行い、各種情報を送受信する。
【0043】
(2)記憶部120
記憶部120は、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部120は、マーケット管理サーバ10がハードウェアとして備える記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、又はこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0044】
(3)制御部130
制御部130は、マーケット管理サーバ10の動作全般を制御する機能を有する。制御部130は、例えば、マーケット管理サーバ10がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
図3に示すように、制御部130は、募集部131と、応募部132と、投票部133と、販売部134と、寄付部135と、インセンティブ付与部136と、出力制御部137とを備える。
【0045】
(3-1)募集部131
募集部131は、募集に関する処理を行う機能を有する。例えば、募集部131は、募集者2が募集者端末20に入力する操作に応じた処理を行う。一例として、募集部131は、募集者2からの入力に基づき募集者2によって作成された、SDGsに対応するコンセプトでの商品デザイン案の募集についての募集要項をマーケット1に投稿する。これにより、マーケット1にて、応募者3が募集に対して応募可能となる。
【0046】
(3-2)応募部132
応募部132は、応募に関する処理を行う機能を有する。例えば、応募部132は、応募者3が応募者端末30に入力する操作に応じた処理を行う。一例として、応募部132は、募集要項に基づき応募者3によって作成された商品デザイン案をマーケット1に投稿する。これにより、マーケット1にて、消費者4が商品デザイン案に対して投票可能となる。
【0047】
(3-3)投票部133
投票部133は、投票に関する処理を行う機能を有する。例えば、投票部133は、消費者4が消費者端末40に入力する操作に応じた処理を行う。一例として、投票部133は、マーケット1に投稿された商品デザイン案に対する消費者4による投票を受け付け、投票結果に基づき商品化する商品デザイン案を選ぶ。商品化の対象として選ばれる基準は、例えば、募集者2によって任意に設定される。当該基準は、例えば、投票数が最も多いデザイン案、投票数が多い順に任意の数(例えば3案まで)のデザイン案、投票数が所定の数以上のデザイン案などである。
【0048】
(3-4)販売部134
販売部134は、販売に関する処理を行う機能を有する。例えば、販売部134は、投票によって選ばれた商品デザイン案が商品化された商品をマーケット1で販売する。マーケット1にて商品の販売を開始するにあたり、販売部134は、トークンの有無に応じて消費者端末40の消費者用画面に表示する商品一覧の内容を変更する。例えば、販売部134は、販売開始直後の商品について、トークンを有する消費者4の商品一覧には表示するが、トークンを有していない消費者4の商品一覧には表示しない。販売開始から所定の時間Tが経過後、販売部134は、トークンを有していない消費者4の商品一覧に、販売直後には表示しなかった商品を表示する。
【0049】
(3-5)寄付部135
寄付部135は、寄付に関する処理を行う機能を有する。例えば、寄付部135は、消費者4によって購入された商品の売り上げの一部をSDGsに対応する寄付先5へ寄付する。寄付部135は、商品の売り上げから、マーケット1の利用手数料、商品原価、及び商品デザイン案が採用された応募者3への報酬を引いた金額を寄付額として算出する。利用手数料は、募集者2がマーケットを利用するための手数料である。このため、利用手数料は、募集者2が販売した商品の売り上げから徴収される。
【0050】
(3-6)インセンティブ付与部136
インセンティブ付与部136は、インセンティブの付与に関する処理を行う機能を有する。例えば、インセンティブ付与部136は、マーケット1を利用する消費者4に対して、マーケット1の利用度に応じたインセンティブを付与する。一例として、インセンティブ付与部136は、SDGsの17の目標ごとに発行されるトークンを購入した消費者4に対して、トークンの購入状況から判定される利用度に基づきインセンティブを付与する。例えば、インセンティブ付与部136は、消費者4に対して、購入したトークンに対応する目標のために投稿された商品デザイン案に対する投票の権利や、購入したトークンに対応する目標のために商品化された商品の購入において優遇を受けられる権利などを付与する。この場合、利用度は、トークンを購入しているか否か、又はトークンを購入した数などに基づき判定される。例えば、インセンティブ付与部136は、トークンを購入しているか否かに基づき、トークンを購入している場合は利用度が高いと判定してインセンティブを消費者4へ付与し、トークンを購入していない場合は利用度が低いと判定してインセンティブを消費者4へ付与しない。また、例えば、インセンティブ付与部136は、トークンを購入した数に基づき、トークンを購入した数が多いほど利用度が高いと判定してより多くのインセンティブを消費者4へ付与し、トークンを購入した数が少ないほど利用度が低いと判定してより少ないインセンティブを消費者4へ付与する。
商品の購入において優遇を受けられる権利は、例えば、トークンを有していない消費者4よりも優先的に商品を購入することが可能な権利、又は、商品の割引を受けることができる権利である。
【0051】
インセンティブ付与部136は、マーケット1で商品を購入することによるSDGsへの貢献度に応じて、消費者4に付与するインセンティブを変化させてもよい。この場合、利用度は、貢献度の高さに応じて判定される。例えば、インセンティブ付与部136は、SDGsへの貢献度に応じて、消費者4のランクを変化させる。一例として、インセンティブ付与部136は、消費者4のSDGsへの貢献度が高いほど、消費者4のランクをアップグレードし、インセンティブの内容を手厚くする。
【0052】
また、募集者2が自治体である場合、インセンティブ付与部136は、マーケット1の外部での自治体に対する貢献度に応じて、消費者4に付与するインセンティブを変化させてもよい。例えば、インセンティブ付与部136は、消費者4の消費者端末40から得られるGPS(Global Positioning System)情報に基づき、消費者4が自治体の地域へ来訪したことが有る場合には、当該自治体に関するインセンティブを消費者4に付与する。一例として、インセンティブ付与部136は、来訪したことがある自治体の商品について、マーケット1にて利用可能な割引クーポンを発行する。また、インセンティブ付与部136は、自治体の地域へ再度来訪した際に地元で利用可能なクーポンを発行してもよい。
【0053】
(3-7)出力制御部137
出力制御部137は、各種情報の出力を制御する機能を有する。例えば、出力制御部137は、募集者端末20に募集者用画面を表示させ、応募者端末30に応募者用画面を表示させ、消費者端末40に消費者用画面を表示させ、寄付先端末50に寄付先用画面を表示させる。また、出力制御部137は、各端末に表示した各画面に対して入力される操作に応じて、各画面に表示する情報の内容を変更する。
【0054】
<4.処理の流れ>
以上、本実施形態に係るマーケット管理サーバ10の機能構成について説明した。続いて、
図4から
図7を参照して、本実施形態に係る処理の流れについて説明する。以下では、
図1に示すステップS1からステップS11によってマーケット運用システム1000で行われる処理について説明する。
【0055】
(1)ステップS1とステップS2における処理の流れ
図4を参照して、ステップS1とステップS2における処理の流れについて説明する。
図4は、本実施形態に係る募集者2による募集(ステップS1)と応募者3による応募(ステップS2)におけるマーケット運用システム1000での処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0056】
図4に示すように、まず、募集者2は、マーケット1で募集する商品のデザイン案の募集要項を検討する(ステップS101)。
検討後、募集者2は、募集者端末20に対して、募集要項をマーケット1へ投稿するための操作を入力する(ステップS102)。
募集者端末20は、募集者2からの操作を受けて、募集要項とその投稿要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS103)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が募集者端末20から募集要項とその投稿要求を受信すると、募集部131が募集要項をマーケット1へ投稿する(ステップS104)。
【0057】
応募者3は、応募者端末30に対して、募集要項を確認するための操作を入力する(ステップS105)。
応募者端末30は、応募者3からの操作を受けて、募集要項一覧の表示要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS106)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が応募者端末30から募集要項一覧の表示要求を受信すると、出力制御部137が通信部110から応募者端末30へ募集要項一覧を送信し、応募者用画面に募集要項一覧を表示させる(ステップS107)。
応募者3は、応募者端末30の応募者用画面に表示された募集要項一覧から各募集要項を確認する(ステップS108)。
【0058】
次いで、応募者3は、応募したい募集要項の内容に沿って、商品デザイン案を検討し、作成する(ステップS109)。
作成後、応募者3は、応募者端末30に対して、募集要項に応募するための操作を入力する(ステップS110)。
応募者端末30は、応募者3からの操作を受けて、商品デザイン案とその投稿要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS111)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が応募者端末30から商品デザイン案とその投稿要求を受信すると、応募部132が商品デザイン案をマーケット1へ投稿する(ステップS112)。
【0059】
(2)ステップS3とステップS4における処理の流れ
図5を参照して、ステップS3とステップS4における処理の流れについて説明する。
図5は、本実施形態に係る消費者4によるトークン購入(ステップS3)と消費者4による投票(ステップS4)におけるマーケット運用システム1000での処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0060】
図5に示すように、まず、消費者4は、消費者端末40に対して、トークンを購入するための操作を入力する(ステップS201)。
消費者端末40は、消費者4からの操作を受けて、トークンの購入要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS202)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が消費者端末40からトークンの購入要求を受信すると、販売部134が購入要求に応じてトークンを消費者4へ販売し、インセンティブ付与部136が購入されたトークンに応じたインセンティブを消費者4へ付与する(ステップS203)。
【0061】
次いで、消費者4は、消費者端末40に対して、商品デザイン案を確認するための操作を入力する(ステップS204)。
消費者端末40は、消費者4からの操作を受けて、商品デザイン案一覧の表示要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS205)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が消費者端末40から商品デザイン案一覧の表示要求を受信すると、出力制御部137が通信部110から消費者端末40へ商品デザイン案一覧を送信し、消費者用画面に商品デザイン案一覧を表示させる(ステップS206)。
消費者4は、消費者端末40の消費者用画面に表示された商品デザイン案一覧から各デザイン案を確認する(ステップS207)。
【0062】
次いで、消費者4は、消費者端末40に対して、デザイン案に投票するための操作を入力する(ステップS208)。
消費者端末40は、消費者4からの操作を受けて、商品デザイン案への投票要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS209)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が消費者端末40から商品デザイン案への投票要求を受信すると、投票部133がトークン認証により消費者4が投票の権利を有しているか否かを確認する(ステップS210)。
トークン認証により権利を有する消費者4であることが確認できた場合、投票部133は、指定されたデザイン案に対する投票を受け付ける(ステップS211)。
投票期間の終了後、投票部133は、各デザイン案に対する投票数と選定基準とに基づき、商品化の対象となるデザイン案を決定する(ステップS212)。
【0063】
(3)ステップS5からステップS8における処理の流れ
図6を参照して、ステップS5からステップS8における処理の流れについて説明する。
図6は、本実施形態に係る消費者4への商品販売(ステップS5・S7)と消費者4による商品購入応募(ステップS6・S8)におけるマーケット運用システム1000での処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0064】
図6に示すように、まず、募集者2は、投票によって選ばれたデザイン案に基づき商品化を行う(ステップS301)。
商品化後、募集者2は、募集者端末20に対して、商品化した商品の商品情報をマーケット1へ投稿するための操作を入力する(ステップS302)。
募集者端末20は、募集者2からの操作を受けて、商品情報とその投稿要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS303)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が募集者端末20から商品情報とその投稿要求を受信すると、販売部134が商品情報をマーケット1へ投稿する(ステップS304)。
【0065】
消費者4は、消費者端末40に対して、販売されている商品を確認するための操作を入力する(ステップS305)。
消費者端末40は、消費者4からの操作を受けて、商品一覧の表示要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS306)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が消費者端末40から商品一覧の表示要求を受信すると、販売部134がトークン認証により消費者4が商品の購入において優遇を受けられる権利を有しているか否かを確認する(ステップS307)。
次いで、出力制御部137は、通信部110から消費者端末40へトークン認証の結果に応じた商品一覧を送信し、消費者用画面に商品一覧を表示させる(ステップS308)。
消費者4は、消費者端末40の消費者用画面に表示された商品一覧から購入可能な商品を確認する(ステップS309)。
【0066】
次いで、消費者4は、消費者端末40に対して、商品を購入するための操作を入力する(ステップS310)。
消費者端末40は、消費者4からの操作を受けて、商品の購入要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS311)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が消費者端末40から商品の購入要求を受信すると、販売部134が商品の購入処理を実行する(ステップS312)。
【0067】
(4)ステップS9からステップS11における処理の流れ
図7を参照して、ステップS9からとステップS11における処理の流れについて説明する。
図7は、本実施形態に係るマーケットによる各種支払い(ステップS9からステップS11)におけるマーケット運用システム1000での処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0068】
図7に示すように、まず、マーケット管理サーバ10の寄付部135は、商品の売り上げから、マーケット1の利用手数料、商品原価、及び商品デザイン案が採用された応募者3への報酬を引いた金額を寄付額として算出する(ステップS401)。
次いで、販売部134は、売り上げ(消費者4からの購入代金)からマーケット1の利用手数料を徴収する(ステップS402)。
次いで、販売部134は、売り上げから商品原価を募集者2へ支払う(ステップS403)。
次いで、販売部134は、売り上げから商品デザイン案が採用された応募者3への報酬を支払う(ステップS404)。
次いで、寄付部135は、売り上げから寄付先5へ寄付金を支払う(ステップS405)。
【0069】
次いで、販売部134は、商品を購入した消費者4のSDGsに対する貢献度を確認し、今回の購入された商品に応じて貢献度を更新する(ステップS406)。
次いで、インセンティブ付与部136は、更新後の貢献度に応じたインセンティブを消費者4へ付与する(ステップS407)。
【0070】
以上説明したように、本実施形態に係るマーケット運用システム1000は、所定のコンセプトに対する商品デザイン案の募集について募集者2によって作成された募集要項をマーケット1に投稿する募集部131と、募集要項に基づき応募者3によって作成された商品デザイン案をマーケット1に投稿する応募部132と、マーケット1に投稿された商品デザイン案に対する消費者4による投票を受け付け、投票結果に基づき商品化する商品デザイン案を選ぶ投票部133と、投票によって選ばれた商品デザイン案が商品化された商品を販売する販売部134と、を備える。
【0071】
かかる構成により、マーケット運用システム1000は、SDGsに対する取り組みにおいて、企業や自治体は、自身のみでなく、消費者やクリエイターも巻き込んだ取り組みを行うことができ、社会的にSDGsへの取り組みを行うことができる。
よって、本実施形態に係るマーケット運用システム1000は、SDGsのような所定のコンセプトに対して賛同する団体や個人のそのコンセプトに対する貢献度を向上することを可能とする。
【0072】
<5.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明した。続いて、上述した実施形態の変形例について説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で各実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで各実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、各実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、各実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0073】
上述した実施形態では、マーケット1の運営者によってトークンが発行される例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、トークンは、募集者2や寄付先5によって発行されてもよいし、募集者2や寄付先5以外の第三者機関によって発行されてもよい。第三者機関は、例えば、企画実行者(製作委員会など)やクリエイター所属団体(学校・任意団体・一般社団法人など)である。
トークンがマーケット1の運営者によって発行される場合、消費者4によって購入された際のトークンの売り上げは、例えばマーケット1の運営資金として利用することができる。トークンが募集者2によって発行される場合、消費者4によって購入された際のトークンの売り上げは、例えば寄付先5への寄付金として利用することができる。トークンが寄付先5によって発行される場合、消費者4によって購入された際のトークンの売り上げは、例えば寄付先5の運営資金として利用することができる。トークンが第三者機関によって発行される場合、消費者4によって購入された際のトークンの売り上げは、例えば企画実行費用として利用することができる。
【0074】
また、上述した実施形態では、寄付部135が消費者4によって購入された商品の売り上げの一部を寄付先5へ寄付する例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、コンセプトに賛同した参加者である募集者2、応募者3、又は消費者4などは、商品の購入とは別に、寄付先5へ直接寄付を行ってもよい。この場合、寄付部135は、例えば参加者によって入金される寄付金を寄付先5の口座へ振り込む。
【0075】
また、上述した実施形態では、トークンの購入者が消費者4であり、トークンが消費者4にインセンティブを付与するために用いられるものとして説明したが、かかる例に限定されない。例えば、トークンは、その購入者に応募者3が含まれてもよく、応募者3に対して商品デザイン案を投稿する権利を付与するためのものとして用いられてもよい。この場合、マーケット1に商品デザイン案を投稿したい応募者3は、トークンを購入することになる。トークンの売り上げはトークンの発行元に応じてマーケットの運用資金や寄付先5への寄付金として利用される。このため、応募者3は、トークンを購入するだけでもSDGsに対する取り組みに貢献することができる。
【0076】
応募者3が商品デザイン案をマーケット1へ投稿するためにトークンを必要とする場合、商品デザイン案を投稿する権利は、マーケット管理サーバ10のインセンティブ付与部136によってトークンを購入した応募者3に付与される。そして、応募者3が商品デザイン案をマーケット1へ投稿する際には、マーケット管理サーバ10の応募部132がトークン認証を行い、応募者3が商品デザイン案を投稿する権利を有しているか否かが確認される。応募部132によるトークン認証の結果、権利が有ることが確認された場合には応募者3による商品デザイン案の投稿が受け付けられ、権利が無いことが確認された場合には応募者3による商品デザイン案の投稿が受け付けられない。
【0077】
ここで、
図8を参照して、応募者3がトークンを購入して商品デザイン案を投稿するまでのマーケット運用システム1000での処理の流れについて説明する。
図8は、本実施形態の変形例に係る応募者3がトークンを購入する場合における処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0078】
図8に示すように、まず、応募者3は、応募者端末30に対して、トークンを購入するための操作を入力する(ステップS501)。
応募者端末30は、応募者3からの操作を受けて、トークンの購入要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS502)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が応募者端末30からトークンの購入要求を受信すると、販売部134が購入要求に応じてトークンを応募者3へ販売し、インセンティブ付与部136が購入されたトークンに応じた商品デザイン案を投稿する権利を応募者3へ付与する(ステップS503)。
【0079】
次いで、応募者3は、応募者端末30に対して、商品デザイン案の投稿を確認するための操作を入力する(ステップS504)。
応募者端末30は、応募者3からの操作を受けて、商品デザイン案の投稿確認要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS505)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が応募者端末30から商品デザイン案の投稿確認要求を受信すると、応募部132がトークン認証により応募者3が投稿の権利を有しているか否かを確認する(ステップS506)。
トークン認証により権利を有する応募者3であることが確認できた場合、応募部132は、商品デザイン案の投稿を受け付け可能であることを示す画面を応募者端末30に表示させる(ステップS507)。
【0080】
応募者3は、商品デザイン案の投稿が受け付け可能であることを確認できた場合、応募者端末30に対して、商品デザイン案を投稿するための操作を入力する(ステップS508)。
応募者端末30は、応募者3からの操作を受けて、商品デザイン案とその投稿要求をマーケット管理サーバ10へ送信する(ステップS509)。
マーケット管理サーバ10では、通信部110が応募者端末30から商品デザイン案とその投稿要求を受信すると、応募部132が商品デザイン案をマーケット1へ投稿する(ステップS510)。
【0081】
以上、本実施形態について説明した。なお、上述した実施形態におけるマーケット運用システム1000、マーケット管理サーバ10、募集者端末20、応募者端末30、消費者端末40、及び寄付先端末50の機能の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0082】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…マーケット、2…募集者、3…応募者、4…消費者、5…寄付先、10…マーケット管理サーバ、20…募集者端末、30…応募者端末、40…消費者端末、50…寄付先端末、110…通信部、120…記憶部、130…制御部、131…募集部、132…応募部、133…投票部、134…販売部、135…寄付部、136…インセンティブ付与部、137…出力制御部、1000…マーケット運用システム、NW…ネットワーク