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特開2024-11507車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法
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  • 特開-車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011507
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G01C21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113522
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】糠野 友彦
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 達哉
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD53
2F129EE02
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF21
2F129FF59
2F129GG17
2F129HH20
2F129HH21
(57)【要約】
【課題】豪雨の発生を精度良く検知し、豪雨の状況に適した情報を提供することができる車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法を提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る車載装置においては、コントローラを備える。コントローラは、車体において発生した音を示す音データを取得し、取得した音データに基づいて車外における豪雨を検知する。コントローラは、豪雨を検知した場合、車両の周辺が撮像された画像データを取得する。また、コントローラは、取得した画像データに基づいて生成された豪雨に関する豪雨情報を取得し、取得した豪雨情報に応じた走行経路をユーザへ提案する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラを備えた車載装置であって、
前記コントローラは、
車体において発生した音を示す音データを取得し、
取得した前記音データに基づいて車外における豪雨を検知し、
前記豪雨を検知した場合、車両の周辺が撮像された画像データを取得し、
取得した前記画像データに基づいて生成された前記豪雨に関する豪雨情報を取得し、
取得した前記豪雨情報に応じた走行経路をユーザへ提案する、
車載装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記画像データに基づいて前記車両の周辺に存在する水溜まりを検出し、
前記豪雨情報は、
検出された前記水溜まりに関する水溜まり情報に基づいて生成される、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記コントローラは
外部装置の周辺の状況を示す周辺状況情報を前記外部装置から取得し、
前記豪雨情報は、
取得された前記周辺状況情報に基づいて生成される、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記車両の駐車中に前記音データを取得する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
コントローラを備えたデータ収集装置であって、
前記コントローラは、
車体において発生した音を示す音データに基づいて車外における豪雨を検知した車載装置から車両の周辺が撮像された画像データを収集し、
収集した前記画像データに基づいて前記豪雨に関する豪雨情報を生成し、
生成した前記豪雨情報を前記車載装置に送信する、
データ収集装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記豪雨を検知した前記車載装置から前記画像データを収集した場合、前記車両の周辺に存在する他車両に搭載された他車載装置から前記他車両の周辺が撮像された他車両画像データを収集する、
請求項5に記載のデータ収集装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記画像データに基づいて前記車両の周辺に存在する水溜まりが検出された場合、前記水溜まりが検出された地点の周辺に存在する他車両に搭載された他車載装置から前記他車両の周辺が撮像された他車両画像データを収集し、
収集した前記画像データおよび前記他車両画像データの少なくともいずれかに基づいて、前記水溜まりの大きさおよび深さの少なくともいずれかを含む、前記水溜まりに関する水溜まり情報を生成し、
生成した前記水溜まり情報に基づいて前記豪雨情報を生成する、
請求項5に記載のデータ収集装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
外部装置の周辺の状況を示す周辺状況情報を前記車載装置から収集し、
収集した前記周辺状況情報に基づいて前記豪雨情報を生成する、
請求項5に記載のデータ収集装置。
【請求項9】
車載装置と、前記車載装置からデータを収集するデータ収集装置とを含むデータ収集システムであって、
前記車載装置は、
車体において発生した音を示す音データを取得し、
取得した前記音データに基づいて車外における豪雨を検知し、
前記豪雨を検知した場合、車両の周辺が撮像された画像データを取得して前記データ収集装置へ送信し、
前記データ収集装置は、
前記車載装置から収集した前記画像データに基づいて前記豪雨に関する豪雨情報を生成し、
生成した前記豪雨情報を前記車載装置に送信し、
前記車載装置は、
前記データ収集装置から取得した前記豪雨情報に応じた走行経路をユーザへ提案する、
データ収集システム。
【請求項10】
車載装置と、前記車載装置からデータを収集するデータ収集装置とを含むデータ収集システムにおいて用いられるデータ収集方法であって、
前記車載装置が、
車体において発生した音を示す音データを取得し、
取得した前記音データに基づいて車外における豪雨を検知し、
前記豪雨を検知した場合、車両の周辺が撮像された画像データを取得して前記データ収集装置へ送信し、
前記データ収集装置が、
前記車載装置から収集した前記画像データに基づいて前記豪雨に関する豪雨情報を生成し、
生成した前記豪雨情報を前記車載装置に送信し、
前記車載装置が、
前記データ収集装置から取得した前記豪雨情報に応じた走行経路をユーザへ提案する、
データ収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気象情報に基づいて、降雨を回避するための情報をユーザに提供する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-144035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、例えばゲリラ豪雨など局所的な豪雨の発生を精度良く検知し、豪雨の状況に適した情報を提供する、という点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、豪雨の発生を精度良く検知し、豪雨の状況に適した情報を提供することができる車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車載装置において、コントローラを備える。コントローラは、車体において発生した音を示す音データを取得し、取得した前記音データに基づいて車外における豪雨を検知する。コントローラは、前記豪雨を検知した場合、車両の周辺が撮像された画像データを取得する。また、コントローラは、取得した前記画像データに基づいて生成された前記豪雨に関する豪雨情報を取得し、取得した前記豪雨情報に応じた走行経路をユーザへ提案する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、豪雨の発生を精度良く検知し、豪雨の状況に適した情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
図1B図1Bは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るデータ収集システムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、車載装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、水害リスクマップの一例を示す図である。
図5図5は、水溜まり情報の一例を示す図である。
図6図6は、ナビゲーション装置のディスプレイの一例を示す図である。
図7図7は、データ収集装置の構成例を示すブロック図である。
図8図8は、収集情報の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャート(その1)である。
図10図10は、実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャート(その2)である。
図11図11は、実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャート(その3)である。
図12図12は、実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャート(その4)である。
図13図13は、実施形態に係るデータ収集装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<データ収集システムの概要>
まず、実施形態に係るデータ収集システムの概要について、図1Aおよび図1Bを用いて説明する。図1Aおよび図1Bは、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【0011】
図1Aに示すように、実施形態に係るデータ収集システム1は、車両V-1,V-2,V-3…にそれぞれ搭載された車載装置10-1,10-2,10-3…と、データ収集装置100とを含む。なお、以下では、車両全般を指す場合には「車両V」と、また、車載装置全般を指す場合には「車載装置10」と、それぞれ記載する。
【0012】
車載装置10は、例えばカメラ、マイク(マイクロフォン)、GPS(Global Positioning System)センサといった各種センサ、記憶デバイス、マイクロコンピュータなどを有する装置であって、データ収集装置100と通信可能に接続される。
【0013】
上記したカメラは、例えば車両Vの周辺を撮像して画像データを出力する。画像データは、動画データであるが、これに限られず、静止画データなどであってもよい。マイクは、車両Vにおいて集音し、集音した音データを出力する。具体的には、マイクは、車両Vの車室内に設置され、車室内の音を集音して音データを出力する。GPSセンサは、車両Vの位置を検出する。車載装置10としては、ドライブレコーダを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0014】
データ収集装置100は、例えばインターネットや携帯電話回線網等のネットワークN(図2参照)を介したクラウドサービスを提供するクラウドサーバとして構成され、各種の処理を実行する。なお、データ収集装置100は、複数のサーバを用いて分散処理を行う構成であってもよい。
【0015】
ところで、車両Vのユーザは、豪雨(例えば局所的な豪雨(ゲリラ豪雨))の発生など豪雨の状況について、天気予報等の気象情報ではリアルタイムで把握することが難しい。
【0016】
そこで、本実施形態に係る車載装置10にあっては、豪雨の発生を精度良く検知し、豪雨の状況に適した情報を提供することができるようにした。なお、本実施形態においては、比較的強い雨を「豪雨」と総称している。
【0017】
具体的に説明すると、車載装置10(正確には車載装置10-1)は、マイクを用いて音データを取得する(ステップS1)。ここでは、車載装置10-1は、車室内の音を示す音データ、詳しくは車両Vの車体において発生した音を示す音データを取得する。そして、車載装置10-1は、取得した音データに基づいて豪雨を検知する(ステップS2)。
【0018】
詳説すると、上記した豪雨の場合、雨が車両Vの車体(例えばボンネットやルーフ、フロントガラスなど)に激しく当たるため、車体において比較的大きな音が発生して車室内に響く。従って、車載装置10-1は、取得した音データを解析して、音データに豪雨時に車体において発生する音を示す周波数成分が含まれる場合、車外における豪雨を検知することができる。
【0019】
なお、ステップS1における音データの取得は、車両Vの駐車時において定期的に行われる。すなわち、車載装置10は、車両Vの駐車中にマイクを定期的に動作させて音データを取得する。これにより、例えばマイクを常時動作させる場合に比べて、駐車中におけるマイクの消費電力を低減させることができる。
【0020】
車載装置10-1は、豪雨を検知すると、カメラを動作させ、車両Vの周辺が撮像された画像データをデータ収集装置100へ送信(アップロード)する(ステップS3)。このとき、車載装置10-1は、GPSセンサで検出された車両Vの位置情報(別言すれば、画像データの撮像位置情報)を、豪雨が検知された豪雨検知地点の位置情報として画像データとともにデータ収集装置100へ送信する。
【0021】
データ収集装置100は、車載装置10-1から画像データ等を収集すると、言い換えると、豪雨の発生が検知されたことを示す情報を収集すると、豪雨発生の検知精度の向上等を図るため、他の車載装置10から各種データの収集を行う。
【0022】
具体的には、データ収集装置100は、豪雨検知地点(すなわち車載装置10-1を備えた車両V-1の駐車位置)の周辺に存在する他の車両Vの車載装置(他車載装置)10に対してマイクおよびカメラを動作させる動作指示を送信する(ステップS4)。なお、図1Aの例では、データ収集装置100は、車載装置10-2,10-3に対して動作指示を送信する。
【0023】
これにより、例えば駐車中の車両V-2,V-3の車載装置10-2,10-3は、マイクおよびカメラを動作させる、詳しくは常時動作させる。言い換えると、車載装置10-2,10-3を備えた車両V-2,V-3が駐車中であっても、マイクが動作して音データの取得が開始されるともに、カメラが動作して画像データの取得が開始される。なお、車両Vが走行中の場合、動作指示にかかわらず、マイクおよびカメラは既に動作している。
【0024】
また、データ収集装置100は、豪雨が発生したことを示す豪雨発生通知を、豪雨検知地点の周辺に存在する車両Vの車載装置10に対して送信する(ステップS5)。
【0025】
次いで、図1Bに示すように、音データの取得を開始した車載装置10-2,10-3は、音データに基づいて豪雨が検知されると、車両Vの周辺が撮像された画像データおよび当該画像データの撮像位置情報をデータ収集装置100に送信する(ステップS6)。
【0026】
このように、本実施形態にあっては、車両V-1の車載装置10-1のみならず、車両V-1の周辺に存在する車両V-2,V-3の車載装置10-2,10-3から、豪雨が検知されたときの画像データ等が収集される。これにより、車載装置10における豪雨検知の信頼性を確保することができ、よって豪雨発生の検知精度を向上させることができる。
【0027】
なお、車載装置10は、取得した画像データを解析して水溜まりの検出なども行うが、これについては後述する。
【0028】
データ収集装置100は、車載装置10から収集した画像データなどに基づいて、豪雨に関する豪雨情報を生成する(ステップS7)。豪雨情報には、水害リスクマップや水溜まりの情報などが含まれる。なお、水害リスクマップは、例えば豪雨時に浸水などの水害が発生するリスクがあるエリアを地図上に示した情報である(後述する図4参照)。
【0029】
上記した豪雨発生通知を受信した車載装置10は、データ収集装置100から、画像データなどに基づいて生成された豪雨情報を取得する(ステップS8)。そして、車載装置10は、取得した豪雨情報に応じた走行経路をユーザに提供する(ステップS9)。なお、かかる走行経路は、豪雨情報の水害リスクマップにおいてリスクがあるエリアを回避する走行経路や、リスクがあるエリアについて注意喚起するようにした走行経路などであるが、これらは例示であって限定されるものではない。
【0030】
このように、本実施形態に係る車載装置10にあっては、車体において発生した音を示す音データを取得し、取得した音データに基づいて豪雨を検知するようにしたので、例えば天気予報などの気象情報によらず、豪雨の発生を精度良く検知することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る車載装置10にあっては、豪雨を検知した場合、車両の周辺が撮像された画像データをデータ収集装置100に送信する。そして、車載装置10は、画像データに基づいて生成された豪雨情報をデータ収集装置100から取得し、取得した豪雨情報に応じた走行経路をユーザへ提案する。このように、本実施形態にあっては、画像データ等に基づいて生成された豪雨情報を用いることで、豪雨の状況に適した情報を提供することができる。
【0032】
<データ収集システムの全体構成>
図2は、実施形態に係るデータ収集システム1の構成例を示すブロック図である。なお、図2等のブロック図では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0033】
換言すれば、図2等のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0034】
また、図2以降の説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0035】
図2に示すように、実施形態に係るデータ収集システム1は、上記した車載装置10と、データ収集装置100と、ナビゲーション装置200と、外部装置300とを含む。車載装置10とデータ収集装置100とは、通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。なお、図2では、図示の簡略化のため、車載装置10やナビゲーション装置200を1つ示しているが、複数であってもよい。
【0036】
<ナビゲーション装置>
ナビゲーション装置200は、車載装置10に通信可能に接続される。ナビゲーション装置200は、例えば車両Vのユーザ(乗員)によって設定された車両Vの目的地までの走行経路を設定し、設定した走行経路をディスプレイに表示する装置である。
【0037】
なお、ナビゲーション装置200は、車両Vに搭載されるが、これに限られず、車両Vのユーザの所有するスマートフォン等の携帯端末がナビゲーション装置200として機能してもよい。また、図2では、ナビゲーション装置200と車載装置10とが別体である例を示したが、これに限られず、車載装置10がナビゲーション装置200の機能を有するように構成してもよい。
【0038】
<外部装置>
外部装置300は、車両Vの外部に設けられる装置であり、外部装置300の周辺の状況を示す周辺状況情報を取得する。具体的には、外部装置300は、監視カメラ301や水位センサ302などを含む。
【0039】
監視カメラ301は、例えば河川に設置され、河川を撮像する。監視カメラ301は、河川が撮像された河川画像データ(周辺状況情報の一例)を監視カメラ301の記憶装置に記憶する。なお、監視カメラ301によって撮像される河川画像データは、河川における水面部分と護岸部分とが含まれる画像データや、河川に架けられた橋の橋脚部分が含まれる画像データなどであるが、これらは例示であって限定されるものではない。
【0040】
水位センサ302は、例えば河川に設置され、河川の水位を計測する。水位センサ302は、計測した河川の水位情報(周辺状況情報の一例)を水位センサ302の記憶装置に記憶する。
【0041】
外部装置300は、例えば車両Vが外部装置300付近を通過した場合に、車載装置10との間で無線通信接続し、周辺状況情報の送受信を行うことができる。すなわち、車載装置10は、車両Vが監視カメラ301付近を通過するとき、監視カメラ301と無線通信接続し、河川画像データを周辺状況情報として取得する。また、車載装置10は、車両Vが水位センサ302付近を通過するとき、水位センサ302と無線通信接続し、水位情報を周辺状況情報として取得する。
【0042】
なお、車載装置10と外部装置300との間の無線通信の通信規格としては、LPWA(Low Power Wide Area)を用いることができるが、これに限定されるものではなく、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などその他の種類の通信規格を用いてもよい。
【0043】
また、上記では、外部装置300が、監視カメラ301および水位センサ302を含む例を示したが、これに限定されるものではなく、監視カメラ301および水位センサ302のいずれかを含む構成であってもよい。また、外部装置300は、上記した監視カメラ301等に加えてあるいは代えて、例えば雨量を計測する雨量計などその他の種類の装置を含んでもよい。
【0044】
<車載装置>
次いで、車載装置10の構成について図3を参照して説明する。図3は、車載装置10の構成例を示すブロック図である。図3に示すように、車載装置10は、通信部11と、カメラ12と、マイク13と、GPSセンサ14と、車載コントローラ(制御部)20と、記憶部30とを備える。
【0045】
通信部11は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、データ収集装置100などとの間で情報の送受信を行う。また、通信部11は、監視カメラ301や水位センサ302などの外部装置300が無線通信可能な範囲(以下「通信可能範囲」と記載する場合がある)に存在する場合、外部装置300と無線通信で接続され、外部装置300との間で周辺状況情報の送受信を行う。
【0046】
カメラ12は、車両Vの周辺(例えば前方や後方、左右方向など)を撮像し、撮像された画像データを車載コントローラ20へ出力する。マイク13は、車室内の音を集音して音データを車載コントローラ20へ出力する。詳しくは、マイク13は、車両Vの車体において発生した音を含む車室内の音を集音し、集音した音を示す音データを車載コントローラ20へ出力する。GPSセンサ14は、車両Vの位置を検出し、検出した車両Vの位置を示す位置情報を車載コントローラ20へ出力する。
【0047】
記憶部30は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30には、音データ31、画像データ32、検知モデル33、豪雨情報34および各種プログラムなどが記憶される。
【0048】
音データ31は、車室内の音を示すデータである。また、降雨時に、雨が車両Vの車体に当たって音が発生する場合、音データ31には、車体において発生した音を含むデータとなる。画像データ32は、車両Vの周辺が撮像された画像データである。
【0049】
検知モデル33は、音データ内における雨の音(詳しくは豪雨時の雨音)を検知するためのモデルである。具体的には、検知モデル33は、音データ内における、豪雨時に車体において発生する音を示す周波数成分を検知するためのモデルである。
【0050】
検知モデル33は、例えば、ディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)等の機械学習のアルゴリズムにより学習を行うことで得られる。検知モデル33は、例えば、教師あり学習により得られてよい。検知モデル33は、HOG(Histogram Of Gradient)特徴量を利用したSVM(Support Vector Machine)等の機械学習のアルゴリズムを用いる構成であってもよい。
【0051】
豪雨情報34は、豪雨に関する情報である。なお、車載装置10の記憶部30に記憶される豪雨情報34は、上記したようにデータ収集装置100で生成され、データ収集装置100から取得した情報である。なお、豪雨情報34はデータ収集装置100によって生成されるが、これに限定されるものではなく、車載装置10によって生成されてもよい。
【0052】
豪雨情報34には、水害リスクマップ34aと、水溜まり情報34bとが含まれる。ここで、水害リスクマップ34aについて図4を参照して説明する。図4は、水害リスクマップ34aの一例を示す図である。
【0053】
図4に示すように、水害リスクマップ34aは、例えば豪雨時に浸水などの水害が発生するリスクがあるエリアA1,A2を地図上に示した情報である。なお、図4の例では、エリアA1が水害発生のリスクが高いエリアであり、エリアA2がエリアA1に比べて水害発生のリスクが低いエリアである。なお、図4では、エリアA1,A2において、リスクが高くなるにつれてドットの密度が高くなるように表示される。また、後述する検出部25によって検出された水溜まりの位置が黒丸で表示される。
【0054】
なお、図4の例では、リスクの度合いを「高」、「低」の2段階としたが、これに限定されるものではなく、3段階以上であってもよい。また、リスクの度合い(高低)は、例えば標高や地形、河川との距離など各種情報に基づいて予め設定される。
【0055】
また、リスクの度合いは、検出された水溜まりの状態(詳しくは水溜まりの大きさや深さなど)、外部装置300から取得された周辺状況情報の内容などに応じて変更(更新)されるが、これについては後述する。なお、図4では、地点Bにおいて水溜まりが検出され、かかる水溜まりの大きさや深さが増大したため、地点Bが高リスク地点となり、高リスク地点の周辺が水害発生のリスクが高いエリアA1に変更された例を示している。
【0056】
続いて、図5を参照して水溜まり情報34bについて説明する。図5は、水溜まり情報34bの一例を示す図である。
【0057】
図5に示すように、水溜まり情報34bには、「水溜まり情報ID」、「水溜まりの位置」、「水溜まりの画像データ」、「水溜まりの大きさ」、「水溜まりの深さ」および「リスク」等の項目が含まれ、各項目のデータは互いに関連付けられている(紐付けられている)。
【0058】
「水溜まり情報ID」は、水溜まり情報を識別する識別情報である。「水溜まりの位置」は、検出された水溜まりの位置を示す情報である。なお、図5に示す例では、便宜上、「水溜まりの位置」を「D1」といったように抽象的な記載とするが、「D1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0059】
「水溜まりの画像データ」は、対応する水溜まりが撮像された画像データである。「水溜まりの画像データ」には、水溜まりが検出されたときの画像データや、後述する水溜まりの監視処理に用いられる画像データであって水溜まりを含む画像データなどが登録される。
【0060】
「水溜まりの大きさ」は、対応する水溜まりの大きさを示す情報である。「水溜まりの大きさ」には、例えば「大きい」、「小さい」、「中程度」など水溜まりの大きさを段階的に示す情報が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0061】
「水溜まりの深さ」は、対応する水溜まりの深さを示す情報である。「水溜まりの深さ」には、例えば「深い」、「浅い」、「中程度」など水溜まりの深さを段階的に示す情報が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0062】
「リスク」は、対応する水溜まりのある地点における水害発生のリスクの度合いを示す情報である。「リスク」には、例えば「高」、「低」、「中」など水溜まり地点における水害発生のリスクの度合いを段階的に示す情報が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0063】
図5に示す例では、水溜まり情報ID「C1」で識別される水溜まり情報は、水溜まりの位置が「D1」、水溜まりの画像データが「E01,E02…」、水溜まりの大きさが「大きい」、水溜まりの深さが「深い」、リスクが「高」であることを示している。
【0064】
図3の説明に戻ると、車載コントローラ20は、取得部21と、検知部22と、アップロード部23と、受付部24と、検出部25と、提案部26とを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、車載コントローラ20の取得部21、検知部22、アップロード部23、受付部24、検出部25および提案部26として機能する。なお、車載コントローラ20は、コントローラの一例である。
【0065】
また、車載コントローラ20の取得部21、検知部22、アップロード部23、受付部24、検出部25および提案部26の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0066】
取得部21は、マイク13から音データを取得する。具体的には、取得部21は、車体において発生した音を示す音データを取得し、取得したデータを記憶部30に音データ31として記憶させる。
【0067】
詳しくは、取得部21は、車両Vの駐車時において定期的に音データを取得する。すなわち、駐車時においては通常、マイク13は停止しているが、取得部21は、駐車中にマイク13を定期的に動作させて音データを取得する、言い換えると所定の時間間隔で動作させて音データを取得する。
【0068】
これにより、マイク13の消費電力を低減させることができる。すなわち、マイク13を常時動作させた場合、マイク13の消費電力が増大するが、上記のように定期的に動作させることで、駐車中におけるマイク13の消費電力を、常時動作させる場合に比べて低減させることができる。
【0069】
また、本実施形態にあっては、車両Vの駐車時に音データを取得するようにしたので、例えば比較的広い範囲(エリア)にわたって豪雨の発生の有無を検知することが可能になる。すなわち、車両Vは、例えば自宅や勤務地、市街地、山間部、海岸部など比較的広い範囲にわたって駐車されている。そのため、駐車時の車両Vにおいて取得される音データを用いることで、比較的広い範囲にわたって豪雨の発生の有無を検知することが可能になる。
【0070】
なお、上記した所定の時間間隔は、任意に設定可能である。また、所定の時間間隔は可変に設定されてもよい。例えば、気象情報などに基づいて豪雨の発生確率が比較的高いと推定される場合、発生確率が比較的低いと推定される場合に比べて所定の時間間隔が短くなるように設定されてもよい。これにより、短い時間間隔で音データが取得されることとなり、豪雨の発生を早期に検知することが可能になる。
【0071】
なお、上記では、定期的に音データが取得される例を示したが、これに限定されるものではなく、不定期に音データが取得されてもよい。
【0072】
また、取得部21は、後述する検知部22によって豪雨が検知された場合、カメラ12を動作させる。そして、取得部21は、カメラ12から車両Vの周辺が撮像された画像データを取得し、取得したデータを記憶部30に画像データ32として記憶させる。このとき、取得部21は、GPSセンサ14から車両Vの位置を検出し、検出した位置情報を画像データ32の撮像位置情報として画像データ32に対応付けて記憶させる。この撮像位置情報は、豪雨が検知された豪雨検知地点の位置情報でもある。
【0073】
また、取得部21は、データ収集装置100から豪雨発生通知を受信した場合、外部装置300から周辺状況情報を取得することができる。具体的には、取得部21は、豪雨発生通知を受信し、かつ車両Vの走行中に、外部装置300との通信可能範囲を走行する場合、通信部11を介して外部装置300と無線通信接続し、外部装置300から周辺状況情報を取得する。より具体的には、取得部21は、車両Vが監視カメラ301との通信可能範囲を走行する場合、監視カメラ301から河川画像データを取得する。また、取得部21は、車両Vが水位センサ302との通信可能範囲を走行する場合、水位センサ302から河川の水位情報を取得する。なお、取得部21によって取得された周辺状況情報(例えば河川画像データや河川の水位情報)は、後述するアップロード部23によってデータ収集装置100へアップロード(送信)される。このとき、カメラ12によって撮像された画像データもアップロードされてもよい。
【0074】
検知部22は、取得した音データに基づいて車外における豪雨を検知する。具体的には、検知部22は、上記した検知モデル33を用いて、音データ内に、豪雨時に車体において発生する音を示す周波数成分が含まれるか否かを判定し、当該周波数成分が含まれると判定された場合に、車外における豪雨を検知する。
【0075】
このように、本実施形態にあっては、車体において発生した音を示す音データを用いて豪雨を検知するようにしたので、例えば天気予報などの気象情報によらず、豪雨の発生を精度良く検知することができる。
【0076】
アップロード部23は、検知部22によって豪雨を検知した場合、車両Vの周辺が撮像された画像データや、画像データの撮像位置情報(すなわち豪雨検知地点の位置情報)などをデータ収集装置100へアップロードする(送信する)。
【0077】
なお、データ収集装置100では、かかる画像データ等を収集し、豪雨の発生が検知されたことを示す情報を収集すると、豪雨検知地点の周辺に存在する他の車両(他車両)Vの車載装置(他車載装置)10に対してマイク13およびカメラ12の動作指示が送信される(図1AのステップS4参照)。
【0078】
受付部24は、かかるマイク13およびカメラ12の動作指示を受け付ける。詳しくは、豪雨検知地点の周辺に存在する車両Vの車載装置10である場合、言い換えると、検知部22において豪雨を未だ検知していない他車両の他車載装置である場合、受付部24は、マイク13およびカメラ12の動作指示を受け付け、マイク13およびカメラ12を動作させる。そして、音データの取得が開始され、検知部22において音データに基づいて豪雨が検知されると、アップロード部23は、車両Vの周辺が撮像された画像データ(他車両画像データ)および当該画像データの撮像位置情報をデータ収集装置100へアップロードする(図1BのステップS6参照)。
【0079】
検出部25は、画像データに基づいて車両Vの周辺に存在する水溜まりを検出する。具体的には、検出部25は、データ収集装置100から豪雨発生通知を受信した場合、カメラ12から車両Vの周辺が撮像された画像データを取得する。そして、検出部25は、画像データに基づいて水溜まりを検出する。例えば、検出部25は、画像データを解析し、画像データ内の路面において水しぶきが発生している、あるいは、路面において波模様が発生しているなど、水溜まりが存在することを示す条件が満たされた場合に、水溜まりを検出することができる。
【0080】
なお、上記した水溜まりとして検出する条件は、あくまでも例示であって限定されるものではない。また、検出部25は、例えばテンプレートマッチング等を用いて画像データ内の水しぶきや波模様の発生を検出して水溜まりを検出する構成であってもよいし、機械学習を行った検出モデルなどを用いた構成であってもよく、任意の検出手法を適用することができる。
【0081】
検出部25によって水溜まりが検出されると、アップロード部23によって、検出された水溜まりを含む画像データ、および、当該画像データの撮像位置情報(すなわち検出された水溜まりの水溜まり位置情報)がデータ収集装置100へアップロードされる。
【0082】
なお、データ収集装置100では、水溜まりを含む画像データ等を収集し、水溜まりが検出されたことを示す情報を収集すると、かかる水溜まりを監視する処理が実行される。具体的には、データ収集装置100は、水溜まりが検出された地点の周辺に存在する他の車両(他車両)Vの車載装置(他車載装置)10に対して、カメラ12を動作させる動作指示および水溜まり位置情報を送信し、他の車両(他車両)Vが水溜まり地点を通過する場合に、水溜まりを含む画像データのアップロードを要求する。
【0083】
上記した受付部24は、かかるカメラ12の動作指示および水溜まり位置情報を受け付ける。詳しくは、水溜まりが検出された地点の周辺に存在する車両Vの車載装置10である場合、言い換えると、検出部25において水溜まりを未だ検出していない他車両の他車載装置である場合、受付部24は、車両Vの位置が水溜まり位置情報に含まれる水溜まり地点であるか否かを判定する。そして、受付部24は、車両Vの位置が水溜まり地点であると判定された場合に、カメラ12の動作指示に従ってカメラ12を動作させ、カメラ12から水溜まりを含む画像データ(他車両画像データ)を取得する。続いて、アップロード部23は、水溜まりを含む画像データ(他車両画像データ)をデータ収集装置100へアップロードする。なお、データ収集装置100は、この水溜まりを含む画像データなどに基づいて水溜まりの監視処理を行うが、これについては後述する。
【0084】
提案部26は、豪雨情報に応じた走行経路をユーザへ提案する。具体的には、提案部26は、データ収集装置100から豪雨発生通知を受信した場合、データ収集装置100に対して豪雨情報の送信を要求する。提案部26は、データ収集装置100から豪雨情報を取得すると、取得した豪雨情報に応じた走行経路をナビゲーション装置200と連携してユーザへ提案する。
【0085】
ここで、豪雨情報に応じた走行経路の提案について図6を参照して説明する。図6は、走行経路が表示されたナビゲーション装置200のディスプレイ210の一例を示す図である。なお、図6では、車両Vの現在位置を符号Pで示している。
【0086】
図6に示すように、提案部26は、例えば豪雨情報に、豪雨時に浸水などの水害が発生するリスクがあるエリアA1,A2の情報が含まれる場合、エリアA1,A2を回避する走行経路Qをディスプレイ210に表示して提案する。
【0087】
また、例えば豪雨情報において、水溜まりの大きさや深さが増大したため高リスク地点となった地点Bが含まれる場合、提案部26は、地点Bが高リスク地点であることを表示欄221に表示してユーザに通知する。
【0088】
このように、本実施形態に係る提案部26は、画像データ等に基づいて生成された豪雨情報を用いることで、例えば走行経路Qや高リスク地点の情報など、豪雨の状況に適した情報をユーザに提供することができる。また、本実施形態にあっては、豪雨情報によって得られた高リスク地点の情報を提供することで、地点B付近についてユーザへ注意喚起を行うことが可能になる。
【0089】
また、提案部26は、豪雨情報に含まれる、地点Bが撮像された画像データ(すなわち地点Bの現地画像)を、マップ上の表示欄222に表示してユーザに通知してもよい。このように、本実施形態にあっては、豪雨情報によって得られた地点Bの現地画像の情報を提供することで、地点B付近についてユーザへ効果的に注意喚起を行うことが可能になるとともに、ユーザは地点Bの状況を容易に把握することが可能になる。
【0090】
また、提案部26は、データ収集装置100から避難通知を受信した場合、豪雨情報に応じた走行経路をユーザへ提案する。なお、避難通知は、例えば高リスク地点および高リスク地点の周辺地域に存在する車両Vの車載装置10に対し、データ収集装置100から送信される通知である。
【0091】
具体的には、提案部26は、データ収集装置100から避難通知を受信すると、データ収集装置100に対して豪雨情報の送信を要求する。提案部26は、データ収集装置100から豪雨情報を取得すると、取得した豪雨情報に応じた走行経路を提案する。このとき、提案部26は、図6に二点鎖線で示すように、避難通知を受信したことをディスプレイ210の表示欄223に表示して通知してもよい。
【0092】
このように、本実施形態に係る提案部26は、避難通知を受信する場合に、画像データ等に基づいて生成された豪雨情報を用いることで、例えば走行経路Qや高リスク地点の情報など、豪雨の状況に適した情報をユーザに提供することができる。また、ユーザは、豪雨情報に応じた走行経路Qが提供されることで、適切な経路を走行して避難することが可能になる。
【0093】
<データ収集装置>
次に、データ収集装置100の構成について図7を参照して説明する。図7は、データ収集装置100の構成例を示すブロック図である。図7に示すように、データ収集装置100は、通信部101と、コントローラ(制御部)110と、記憶部120とを備える。
【0094】
通信部101は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、車載装置10などとの間で情報の送受信を行う。
【0095】
記憶部120は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部120には、地図情報121、収集情報122、車両管理情報123、豪雨情報124および各種プログラムなどが記憶される。
【0096】
地図情報121は、車両Vが走行する道路や車両Vが駐車される場所などを含む地図を示す情報である。
【0097】
収集情報122は、後述する収集部111によって車載装置10や他車載装置(図示せず)、外部装置300などから収集された情報である。ここで、図8を用いて収集情報122について説明する。
【0098】
図8は、収集情報122の一例を示す図である。図8に示すように、収集情報122には、「収集情報ID」、「豪雨検知地点の位置」、「画像データ」、「他車両画像データ」、「水溜まり位置」、「水溜まりの画像データ」および「周辺状況情報」等の項目が含まれ、各項目のデータは互いに関連付けられている(紐付けられている)。
【0099】
「収集情報ID」は、収集情報を識別する識別情報である。「豪雨検知地点の位置」は、豪雨が検知された豪雨検知地点の位置を示す情報である。「画像データ」は、豪雨が検知されたときの画像データであり、詳しくは豪雨が最初に検知されたときの画像データである。
【0100】
「他車両画像データ」は、豪雨が他車両によって検知されたときの画像データであり、詳しくは豪雨検知地点の周辺に存在する他車両において豪雨が検知されたときの画像データである。なお、他車両が複数存在する場合、「他車両画像データ」には、複数の画像データが登録される。
【0101】
「水溜まり位置」は、水溜まり情報34b(図5参照)と同様であるため、ここでの説明は省略する。「水溜まりの画像データ」は、水溜まり情報34bと同様であるが、詳しくは、水溜まりが検出されたときの画像データや、水溜まり地点を通過した他車両によって撮像された、水溜まりを含む画像データ(監視処理に用いられる画像データ)が登録される。
【0102】
「周辺状況情報」は、外部装置300の周辺の状況を示す周辺状況情報である。「周辺状況情報」には、例えば監視カメラ301によって撮像される河川画像データや、水位センサ302によって計測された河川の水位情報などが含まれる。この「周辺状況情報」は、上記したように、外部装置300から車載装置10を介して収集される情報である。
【0103】
図8に示す例では、収集情報ID「F1」で識別される収集情報は、豪雨検知地点の位置が「G1」、画像データが「H1」、他車両画像データが「K01,K02…」、水溜まり位置が「D1」、水溜まりの画像データが「E01,E02…」、周辺状況情報が「L1」であることを示している。
【0104】
図7の説明に戻ると、車両管理情報123は、車両Vの管理に関する情報である。車両管理情報123には、例えば車両Vの現在位置情報、走行中あるいは駐車中などの運転状況情報、ナビゲーション装置の経路情報などが含まれる。なお、車両管理情報123には、上記した現在位置情報等のうちの一部が含まれてもよいし、現在位置情報等に加えてあるいは代えて、車両Vの管理に関するその他の情報が含まれてもよい。
【0105】
豪雨情報124は、豪雨に関する情報である。豪雨情報124は、水害リスクマップ124aと、水溜まり情報124bとが含まれる。豪雨情報124、水害リスクマップ124aおよび水溜まり情報124bは、上記した豪雨情報34、水害リスクマップ34aおよび水溜まり情報34b(図3図5参照)と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0106】
コントローラ110は、収集部111と、生成部112と、送信部113とを備え、例えば、CPU、RAM、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、コントローラ110の収集部111、生成部112および送信部113として機能する。
【0107】
また、コントローラ110の収集部111、生成部112および送信部113との少なくともいずれか一部または全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0108】
収集部111は、車載装置10や他車載装置(図示せず)などから各種の情報を収集する。例えば、車載装置10から、車載装置10の周辺が撮像された画像データを収集する。なお、かかる画像データは、上記したように、車載装置10において豪雨が検知された場合に収集される。また、収集部111は、かかる画像データの撮像位置情報を、豪雨が検知された豪雨検知地点の位置情報として画像データとともに収集する。そして、収集部111は、収集した情報を記憶部120に収集情報122として記憶させる。
【0109】
また、収集部111は、豪雨を検知した車載装置10から画像データを収集した場合、豪雨検知地点の周辺に存在する他車両の他車載装置から他車両画像データ等を収集する。具体的には、収集部111は、地図情報121や車両管理情報123における車両Vの現在位置情報などに基づいて、豪雨検知地点の周辺(例えば半径1km圏内)に存在する他車両の他車載装置から当該他車両の周辺が撮像された他車両画像データを収集する。詳しくは、収集部111は、豪雨検知地点の周辺に存在する他車両の他車載装置に対し、マイク13およびカメラ12の動作指示を送信する。収集部111は、かかる動作指示によって取得が開始された音データに基づいて豪雨が検知された他車載装置から、他車両画像データを収集する。収集部111は、収集した情報を記憶部120に収集情報122として記憶させる。
【0110】
このように、本実施形態にあっては、車載装置10のみならず、車両Vの周辺に存在する他車載装置から、豪雨が検知されたときの画像データ等が収集される。これにより、車載装置10における豪雨検知の信頼性を確保することができ、よって豪雨発生の検知精度を向上させることができる。
【0111】
また、収集部111は、水溜まりを含む画像データ等を収集する。例えば、収集部111は、画像データに基づいて水溜まりを検出した車載装置10から、水溜まりを含む画像データ、および、当該画像データの撮像位置情報(すなわち検出された水溜まりの水溜まり位置情報)を収集する。そして、収集部111は、収集した情報を記憶部120に収集情報122として記憶させる。
【0112】
また、収集部111は、水溜まりが検出された場合、水溜まり地点の周辺に存在する他車両の他車載装置から他車両画像データを収集する。具体的には、収集部111は、地図情報121や車両管理情報123における車両Vの現在位置情報などに基づいて、水溜まりが検出された地点の周辺に存在する他車両の他車載装置から、他車両の周辺が撮像され、水溜まりを含む画像データ(他車両画像データ)を収集する。詳しくは、収集部111は、水溜まり地点の周辺に存在する他車両の他車載装置に対し、カメラ12の動作指示および水溜まり位置情報を送信する。そして、収集部111は、他車両が水溜まり地点を通過する場合に、カメラ12によって撮像された水溜まりを含む画像データ(他車両画像データ)を収集する。そして、収集部111は、収集した情報を記憶部120に収集情報122として記憶させる。
【0113】
また、収集部111は、外部装置300から車載装置10を介して周辺状況情報を収集する。例えば、収集部111は、監視カメラ301から車載装置10を介して河川画像データを収集する。また、収集部111は、水位センサ302から車載装置10を介して河川の水位情報を収集する。そして、収集部111は、収集した情報を記憶部120に収集情報122として記憶させる。
【0114】
なお、車載装置10が外部装置300から周辺状況情報を取得できなかった場合、収集部111は、周辺状況情報を収集できないが、外部装置300から周辺状況情報を直接収集するように構成してもよい。
【0115】
生成部112は、収集した画像データ等に基づいて豪雨に関する豪雨情報を生成する。例えば、生成部112は、豪雨が検知された画像データおよび当該画像データの撮像位置情報に基づいて豪雨検知地点の位置を特定し、特定した豪雨検知地点の位置を含む周囲のエリアについて、水害リスクマップ124a(図4参照)を生成する。
【0116】
また、生成部112は、水溜まりが検出された場合、水溜まりが検出された画像データ等に基づいて水溜まりに関する水溜まり情報を生成し、水溜まり情報に基づいて豪雨情報を生成する。例えば、生成部112は、水溜まりが検出された画像データおよび当該画像データの撮像位置情報に基づいて水溜まり位置を特定し、特定した水溜まり位置を水害リスクマップ124aに登録する(図4参照)。
【0117】
また、生成部112は、水溜まりを監視する監視処理を実行する。例えば、生成部112は、水溜まりが検出された画像データや、水溜まり地点を通過した他車両の他車載装置において撮像された水溜まりを含む画像データ(他車両画像データ)等を用いて監視処理を実行する。
【0118】
なお、以下では、水溜まりが検出された画像データを「検出画像データ」と記載する場合がある。また、他車載装置において撮像された他車両画像データは、検出画像データが撮像された時点から時間経過したときに撮像された画像データであることから、他車両画像データを「経過画像データ」と記載する場合がある。
【0119】
生成部112は、検出画像データおよび経過画像データを解析して水溜まりの大きさおよび深さを推定し、推定した水溜まりの大きさおよび深さを含む水溜まり情報(図5参照)を用いて監視処理を行う。具体的には、生成部112は、検出画像データおよび経過画像データを画像解析し、例えば水溜まりにおける波模様の大きさ、水しぶきの量や高さ、水溜まりに入った周辺車両において水溜まりによって隠れたタイヤの高さなどから、水溜まりの大きさおよび深さを推定する。
【0120】
なお、生成部112は、例えばテンプレートマッチング等を用いて検出画像データおよび経過画像データ内の波模様の大きさ、水しぶきの量や高さ、隠れたタイヤの高さなどを検出して水溜まりの大きさおよび深さを推定する構成であってもよいし、機械学習を行った推定モデルなどを用いた構成であってもよく、任意の推定手法を適用することができる。
【0121】
生成部112は、推定された水溜まりの大きさおよび深さの推移を監視する。そして、生成部112は、水溜まりの大きさおよび深さの推移に基づいて、水溜まりのある地点における水害発生のリスクの度合いを決定する。
【0122】
一例として、生成部112は、水溜まりの大きさおよび深さが増大する推移であった場合、当該水溜まりの地点におけるリスク(水溜まり情報124bの「リスク」。図5参照)を「高」に決定する(変更する)。また、生成部112は、水害リスクマップ124a(図4参照)において、かかる水溜まりの地点(図4の例では地点B)を高リスク地点として設定し、高リスク地点の周辺も水害発生のリスクが高いエリアA1に変更する。
【0123】
このように、本実施形態にあっては、水溜まりが検出された検出画像データや経過画像データ等に基づいて水溜まり情報を生成し、水溜まり情報に基づいて豪雨情報(例えば水害リスクマップ124a)を生成するようにした。これにより、豪雨情報には、豪雨によって発生した水溜まりの情報(例えば水溜まりの大きさおよび深さ)が含まれることとなり、よって豪雨情報を精度良く生成することができる。
【0124】
なお、上記では、生成部112は、検出画像データおよび経過画像データの両方に基づいて水溜まり情報を生成したが、これに限定されるものではなく、例えば検出画像データおよび経過画像データの少なくともいずれかに基づいて水溜まり情報を生成してもよい。また、上記では、水溜まり情報が水溜まりの大きさおよび深さの両方を含む例を示したが、これに限定されるものではなく、水溜まりの大きさおよび深さの少なくともいずれかを含むようにしてもよい。
【0125】
また、生成部112は、収集した周辺状況情報に基づいて豪雨情報を生成する。例えば、生成部112は、収集した河川の水位情報に含まれる河川の水位が、予め設定された基準水位以上である場合、豪雨情報(例えば水害リスクマップ124a)において、河川の周辺エリアを水害発生のリスクが高いエリアA1に変更する(設定する)。なお、上記した基準水位は、河川の周辺エリアにおいて水害発生のリスクが高くなると推定される水位に設定されるが、これに限定されるものではない。
【0126】
生成部112は、収集した河川画像データに基づいて河川の水位を推定してもよい。一例として、河川画像データに河川における水面部分と護岸部分とが含まれる場合、生成部112は、河川画像データを画像分析して水面部分と護岸部分とに分離し、河川画像データにおける水面部分の面積を算出する。そして、生成部112は、算出された豪雨時の水面部分の面積と、晴天時の河川画像データから予め算出された水面部分の面積とを比較して河川の水位を推定する。すなわち、生成部112は、晴天時の水面部分の面積を基準として、豪雨時の水面部分の面積が増加するにつれて、水位が高くなるように推定する。
【0127】
また、他の例として、河川画像データに、河川に架けられた橋の橋脚部分が含まれる場合、生成部112は、河川画像データを画像分析し、水面から見えている橋脚の長さを算出する。そして、生成部112は、算出された豪雨時の橋脚の長さと、晴天時の河川画像データから予め算出された橋脚の長さとを比較して河川の水位を推定する。すなわち、生成部112は、晴天時の橋脚の長さを基準として、豪雨時の橋脚の長さが短くなるにつれて、水位が高くなるように推定する。
【0128】
そして、生成部112は、河川画像データから推定された河川の水位が基準水位以上である場合、豪雨情報において、河川の周辺エリアを水害発生のリスクが高いエリアA1に変更する(設定する)。
【0129】
なお、上記した河川画像データから河川の水位を推定する手法は、あくまでも例示であって限定されるものではない。また、生成部112は、河川の水位情報および河川画像データの両方が収集されている場合、いずれか一方を優先的に用いるようにしてもよい。一例として、生成部112は、河川の水位情報および河川画像データの両方が収集されている場合、河川の水位情報を優先的に用いて豪雨情報を生成する。
【0130】
このように、本実施形態にあっては、外部装置300から収集した周辺状況情報(例えば河川の水位情報や河川画像データ)に基づいて豪雨情報(例えば水害リスクマップ124a)を生成するようにした。これにより、豪雨情報には、例えば豪雨によって変化する周辺状況情報(例えば河川の水位)が含まれることとなり、よって豪雨情報を精度良く生成することができる。
【0131】
送信部113は、豪雨発生通知を車載装置10に送信する。例えば、送信部113は、車載装置10から検出画像データ等が収集され、豪雨の発生が検知されたことを示す情報が収集されると、車両管理情報123における車両Vの現在位置情報などに基づいて、豪雨検知地点の周辺(例えば半径1km圏内)に存在する車両Vの車載装置10に対して豪雨発生通知を送信する。
【0132】
また、送信部113は、豪雨情報を車載装置10に送信する。例えば、送信部113は、車載装置10から豪雨情報の送信要求を受け付けた場合、送信要求を受け付けた車載装置10に対して豪雨情報を送信する。
【0133】
また、送信部113は、避難通知を車載装置10に送信する。例えば、送信部113は、豪雨により水害が発生するリスクが高い地域に存在する車両Vの車載装置10に対して避難通知を送信する。具体的には、送信部113は、豪雨情報および車両管理情報123における車両Vの現在位置情報などに基づいて、高リスク地点および高リスク地点の周辺地域に存在する車両Vの車載装置10に対して避難通知を送信する。
【0134】
<車載装置の制御処理>
次に、実施形態に係る車載装置10が実行する処理手順について、図9図12を用いて説明する。図9図12は、実施形態に係る車載装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0135】
なお、図9は、車載装置10が豪雨を検知する処理の手順を示すフローチャートである。図10は、車載装置10が各種の動作指示を受信したときの処理の手順を示すフローチャートである。図11は、車載装置10が豪雨発生通知を受信したときの処理の手順を示すフローチャートである。図12は、車載装置10が避難通知を受信したときの処理の手順を示すフローチャートである。
【0136】
まず、図9から説明すると、車載装置10の車載コントローラ20は、駐車時において定期的にマイク13を動作させて音データを取得する(ステップS100)。次いで、車載コントローラ20は、取得した音データに基づいて豪雨を検知したか否かを判定する(ステップS101)。
【0137】
車載コントローラ20は、豪雨を検知したと判定された場合(ステップS101,Yes)、カメラ12を動作させて、車両Vの周辺が撮像された画像データを取得する(ステップS102)。
【0138】
そして、車載コントローラ20は、取得した画像データ(すなわち豪雨が検知された画像データ)や当該画像データの撮像位置情報(すなわち豪雨検知地点の位置情報)などをアップロードする(ステップS103)。一方、車載コントローラ20は、豪雨を検知していないと判定された場合(ステップS101,No)、そのまま処理を終了する。
【0139】
次に、図10について説明すると、車載コントローラ20は、データ収集装置100から動作指示を受信したか否かを判定する(ステップS200)。車載コントローラ20は、動作指示を受信していないと判定された場合(ステップS200,No)、そのまま処理を終了する。
【0140】
一方、車載コントローラ20は、動作指示を受信したと判定された場合(ステップS200,Yes)、受信した動作指示においてマイク13の動作指示があるか否かを判定する(ステップS201)。言い換えると、ステップS201の処理は、車載コントローラ20を備えた車両Vが、豪雨検知地点の周辺に存在する他車両の場合であり、他車両の他車載装置10がマイク13およびカメラ12の両方の動作指示を受信したか否かを判定する処理である。
【0141】
車載コントローラ20は、マイク13の動作指示があると判定された場合(ステップS201,Yes)、言い換えると、車両Vが豪雨検知地点周辺の他車両の場合で、マイク13およびカメラ12の両方の動作指示を受信したと判定された場合、マイク13およびカメラ12を常時動作させる(ステップS202)。これにより、マイク13による音データの取得、および、カメラ12による画像データの取得が開始され、音データに基づいて豪雨が検知された場合に、画像データ等がアップロードされることとなる。
【0142】
車載コントローラ20は、マイク13の動作指示がないと判定された場合(ステップS201,No)、受信した動作指示はカメラ12のみの動作指示であり、カメラ12の動作指示とともに水溜まり位置情報を受信したことを示している。別言すると、データ収集装置100が車載コントローラ20に対して、水溜まりを含む画像データのアップロードを要求していることを示している。
【0143】
従って、車載コントローラ20は、車両Vの位置が水溜まり位置情報に含まれる水溜まり地点であるか否かを判定する(ステップS203)。車載コントローラ20は、車両Vの位置が水溜まり地点ではないと判定された場合(ステップS203,No)、ステップS203の処理を繰り返す。
【0144】
車載コントローラ20は、車両Vの位置が水溜まり地点であると判定された場合(ステップS203,Yes)、カメラ12の動作指示に従ってカメラ12を動作させ、水溜まりを含む画像データを取得する(ステップS204)。続いて、車載コントローラ20は、水溜まりを含む画像データや当該画像データの撮像位置情報(すなわち水溜まり地点の位置情報)などをアップロードする(ステップS205)。
【0145】
次に、図11について説明すると、車載コントローラ20は、データ収集装置100から豪雨発生通知を受信したか否かを判定する(ステップS300)。車載コントローラ20は、豪雨発生通知を受信していないと判定された場合(ステップS300,No)、そのまま処理を終了する。
【0146】
一方、車載コントローラ20は、豪雨発生通知を受信したと判定された場合(ステップS300,Yes)、データ収集装置100から豪雨情報を取得する(ステップS301)。次いで、車載コントローラ20は、取得した豪雨情報に応じた走行経路をユーザへ提案する(ステップS302)。
【0147】
豪雨発生通知を受信している車載コントローラ20は、カメラ12から車両Vの周辺が撮像された画像データを取得する(ステップS303)。次いで、車載コントローラ20は、取得した画像データに基づいて水溜まりを検出したか否かを判定する(ステップS304)。
【0148】
車載コントローラ20は、画像データに基づいて水溜まりを検出したと判定された場合(ステップS304,Yes)、検出された水溜まりを含む画像データや当該画像データの撮像位置情報(すなわち検出された水溜まりの水溜まり位置情報)をアップロードする(ステップS305)。一方、車載コントローラ20は、水溜まりを検出していないと判定された場合(ステップS304,No)、ステップS305の処理をスキップする。
【0149】
なお、図示は省略するが、豪雨発生通知を受信している車載コントローラ20は、車両Vが外部装置300付近を通過して外部装置300との間で無線通信接続できた場合、外部装置300から周辺状況情報を取得してアップロードすることができる。
【0150】
次に、図12について説明すると、車載コントローラ20は、データ収集装置100から避難通知を受信したか否かを判定する(ステップS400)。車載コントローラ20は、避難通知を受信していないと判定された場合(ステップS400,No)、そのまま処理を終了する。
【0151】
一方、車載コントローラ20は、避難通知を受信したと判定された場合(ステップS400,Yes)、避難通知を受信したことをナビゲーション装置200等を通じてユーザに通知する(ステップS401)。
【0152】
次いで、車載コントローラ20は、データ収集装置100から豪雨情報を取得する(ステップS402)。次いで、車載コントローラ20は、取得した豪雨情報に応じた走行経路をユーザへ提案する(ステップS403)。
【0153】
<データ収集装置の制御処理>
次に、実施形態に係るデータ収集装置100が実行する処理手順について、図13を用いて説明する。図13は、実施形態に係るデータ収集装置100が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0154】
図13に示すように、データ収集装置100のコントローラ110は、豪雨が検知されたときの画像および当該画像データの撮像位置情報(すなわち豪雨検知地点の位置情報)などを車載装置10から収集したか否かを判定する(ステップS500)。コントローラ110は、豪雨検知時の画像データ等を収集していないと判定された場合(ステップS500,No)、そのまま処理を終了する。
【0155】
一方、コントローラ110は、豪雨検知時の画像データ等を収集したと判定された場合(ステップS500,Yes)、豪雨発生通知と、マイク13およびカメラ12の動作指示とを、豪雨検知地点の周辺に存在する他車両の車載装置(他車載装置)に対して送信する(ステップS501)。
【0156】
次いで、コントローラ110は、車載装置10や他車載装置などから収集した画像データ等に基づいて豪雨情報(水害リスクマップ124a等)を生成する(ステップS502)。そして、コントローラ110は、車載装置10等からの要求に応じて、生成した豪雨情報を送信する(ステップS503)。
【0157】
次いで、コントローラ110は、水溜まりを含む画像データ等を収集したか否かを判定する(ステップS504)、言い換えると、車載装置10において水溜まりが検出されたか否かを判定する。
【0158】
コントローラ110は、水溜まりを含む画像データ等を収集していないと判定された場合(ステップS504,No)、豪雨情報に応じて避難通知を送信する(ステップS505)。例えば、コントローラ110は、豪雨情報において、豪雨により水害が発生するリスクが高い地域に存在する車両Vの車載装置10に対して避難通知を送信する。
【0159】
一方、コントローラ110は、水溜まりを含む画像データ等を収集したと判定された場合(ステップS504,Yes)、水溜まりを含む画像データ等に基づいて水溜まり情報を生成し、水溜まり情報に基づいて豪雨情報を生成する(ステップS506)。一例としては、コントローラ110は、水溜まりを含む画像データおよび当該画像データの撮像位置情報に基づいて水溜まり位置を特定し、特定した水溜まり位置を豪雨情報の水害リスクマップ124aに登録する。
【0160】
次いで、コントローラ110は、水溜まりの監視処理を実行するため、水溜まり地点の周辺に存在する他車両の車載装置(他車載装置)に対し、カメラ12の動作指示および水溜まり位置情報を送信する(ステップS507)。
【0161】
次いで、コントローラ110は、他車載装置などから収集した水溜まりを含む画像データ(経過画像データ)に基づいて、水溜まりの大きさや深さの推移を監視し、監視結果に応じて水溜まり情報や豪雨情報(例えば水害リスクマップ124a)などを更新する(ステップS508)。例えば、コントローラ110は、水溜まりの大きさおよび深さの推移に基づいて、水溜まりのある地点における水害発生のリスクの度合いを決定し、水害リスクマップ124a等の情報を更新する。
【0162】
なお、図示は省略するが、コントローラ110は、周辺状況情報を収集している場合、収集した周辺状況情報に基づいて豪雨情報を生成できることは、既に述べた通りである。
【0163】
上述してきたように、実施形態に係る車載装置10は、車載コントローラ(コントローラの一例)20を備える。車載コントローラ20は、車載コントローラ20は、車体において発生した音を示す音データを取得し、取得した音データに基づいて車外における豪雨を検知する。車載コントローラ20は、豪雨を検知した場合、車両Vの周辺が撮像された画像データを取得する。また、車載コントローラ20は、取得した画像データに基づいて生成された豪雨に関する豪雨情報を取得し、取得した豪雨情報に応じた走行経路をユーザへ提案する。これにより、豪雨の発生を精度良く検知し、豪雨の状況に適した情報を提供することができる。
【0164】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0165】
1 データ収集システム
10 車載装置
20 車載コントローラ
100 データ収集装置
110 コントローラ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13