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特開2024-115075情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115075
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240819BHJP
   H04N 1/21 20060101ALI20240819BHJP
   G06F 40/166 20200101ALI20240819BHJP
   G06F 3/0483 20130101ALI20240819BHJP
   G06F 3/04845 20220101ALI20240819BHJP
【FI】
H04N1/00 127A
H04N1/21
G06F40/166
G06F3/0483
G06F3/04845
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020541
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100216367
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 梨絵
(72)【発明者】
【氏名】橋本 勇太
(72)【発明者】
【氏名】屋敷 光宏
【テーマコード(参考)】
5B109
5C062
5E555
【Fターム(参考)】
5B109NE03
5B109QB11
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB33
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC23
5C062AC24
5C062AC38
5C062AE15
5C062AF13
5C062AF14
5E555AA04
5E555BA10
5E555BB10
5E555BC09
5E555CC11
5E555DB33
5E555DB52
5E555DC24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】読取ドキュメントについての編集操作を利用可能な機会を増やすことを課題とする。
【解決手段】読取ユニットに接続された情報処理システムに、ドキュメントに含まれる各ページに対応する複数のページデータを外部ストレージへ送信して保存させるデータ操作部22であって、全てのページの読み取りが完了する前にページデータの外部ストレージへの送信を開始するデータ操作部22と、外部ストレージへ送信済みのページデータに関する編集指示を受付可能な指示受付部26と、を備え、データ操作部22は、ページデータが外部ストレージから読み出されて表示される際の表示内容に編集指示の内容を反映させるための編集データを外部ストレージに送信することで、外部ストレージに、送信済みのページデータに関する編集指示に対応する処理を実行させることとした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページを有するドキュメントを読み取り可能な読取ユニットに接続された情報処理システムであって、
前記ドキュメントに含まれる各ページに対応する複数のページデータを外部ストレージへ送信することで、該複数のページデータを該外部ストレージに保存させるデータ操作手段であって、前記ドキュメントに含まれる全てのページの読み取りが完了する前に前記複数のページデータの前記外部ストレージへの送信を開始するデータ操作手段と、
前記複数のページデータに関する編集指示を受け付ける指示受付手段であって、前記複数のページデータのうち前記外部ストレージへ送信済みの前記ページデータに関する該編集指示を受付可能な指示受付手段と、を備え、
前記データ操作手段は、前記複数のページデータが前記外部ストレージから読み出されて表示される際の表示内容に前記編集指示の内容を反映させるための編集データを前記外部ストレージに送信することで、前記外部ストレージに、送信済みの前記ページデータに関する前記編集指示に対応する処理を実行させる、
情報処理システム。
【請求項2】
前記読取ユニットによって読み取られた前記ページに対応する前記ページデータを記憶する内部記憶手段と、
前記外部ストレージに送信されたページデータを、前記ドキュメントに含まれる全てのページの読み取りが完了する前に前記内部記憶手段から削除する削除手段と、を更に備え、
前記指示受付手段は、前記外部ストレージへ送信済みの前記ページデータに関する編集指示を、該編集指示によって影響を受けるページデータが前記内部記憶手段から削除された後にも受け付ける、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ドキュメントに含まれるページに係るサムネイルを表示させる表示手段を更に備え、
前記指示受付手段は、表示されたサムネイルに対応する前記ページデータに関する編集指示を受け付ける、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記外部ストレージに送信された前記ページデータ又は前記ドキュメントと、該外部ストレージに保存されたファイルとの対応関係を示す対応関係データを記憶する対応関係記憶手段を更に備え、
前記データ操作手段は、前記対応関係データに基づいて、編集対象である前記ファイルを指定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記データ操作手段は、前記ドキュメントに係るページデータが前記外部ストレージにおいて1ページあたり1ファイルとして保存されるか、又は1ドキュメントあたり1ファイルとして保存されるかに応じて、前記編集指示の内容を反映させるための編集データを決定する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記データ操作手段は、前記編集データとして、該編集指示に係るページの識別情報を含む編集データを送信する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記ドキュメントに係る複数のページデータが前記外部ストレージにおいて1ページあたり1ファイルとして保存される場合、前記データ操作手段は、該編集指示に係るページに対応するファイルを特定可能な情報を含む前記編集データを送信する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記編集指示がページの削除指示である場合、前記データ操作手段は、前記外部ストレージに該ページに対応する前記ファイルの削除指示及び前記ドキュメントに含まれる他のページに係るファイルのリネーム指示を含む前記編集データを送信することで、前記外部ストレージに前記編集指示に対応する処理を実行させる、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記編集指示がページの回転指示である場合、前記データ操作手段は、該回転指示に係るページに対応する前記ファイルに含まれる前記ページを所望の角度に回転させる編集を行い、該編集が行われた結果を含む前記編集データを前記外部ストレージに送信することで、前記外部ストレージに前記編集指示に対応する処理を実行させる、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記編集指示が、前記ドキュメントのうち前記読取ユニットによって補充的に読み取られた差込対象ページを所定の位置に差し込む指示である場合、前記データ操作手段は、前記差込対象ページに係るページデータを前記外部ストレージに保存させ、且つ、前記差込対象ページが前記ページの前又は後に差し込まれた状態で表示されるよう前記複数のページ及び前記差込対象ページの少なくともいずれかに係るファイルのリネーム指示を含む前記編集データを送信することで、前記外部ストレージに前記編集指示に対応する処理を実行させる、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記編集指示が前記ドキュメント内の2つのページを入れ替える指示である場合、前記データ操作手段は、前記2つのページが入れ替わって表示されるよう、前記外部ストレージに保存された前記2つのページに対応するファイルのリネーム指示を含む前記編集データを送信することで、前記外部ストレージに前記編集指示に対応する処理を実行させる、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記データ操作手段は、前記リネーム指示の少なくとも一部を含む前記編集データの送信を、該情報処理システムに代わって他の情報処理装置に行わせることで、前記外部ストレージに該リネーム指示に応じた処理を実行させる、
請求項8又は10に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記ドキュメントに係る複数のページデータが前記外部ストレージにおいて1ドキュメントあたり1ファイルとして保存される場合、前記データ操作手段は、該編集指示に係るページに対応するファイル及びページを特定可能な情報を含む前記編集データを送信する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記データ操作手段は、前記ドキュメントに係るページデータが前記外部ストレージにおいて1ドキュメントあたり1ファイルとして保存される場合、前記編集指示に応じて作成された前記ファイルに係るページ表示情報を含む前記編集データを前記外部ストレージに送信することで、前記外部ストレージに前記編集指示に対応する処理を実行させる、
請求項13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記編集指示がページの削除指示である場合、前記データ操作手段は、削除対象の前記ページが非表示となるよう作成された、前記ファイルに係るページ表示情報を含む前記編集データを前記外部ストレージに送信することで、前記外部ストレージに前記編集指示に対応する処理を実行させる、
請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記データ操作手段は、所定のタイミングで、前記ファイルから、非表示にされている前記削除対象のページに対応するページデータを削除するよう前記外部ストレージに対して要求する、
請求項15に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記編集指示がページの回転指示である場合、前記データ操作手段は、前記ページが所望の角度に回転されて表示されるよう作成されたページ表示情報を含む前記編集データを前記外部ストレージに送信することで、前記外部ストレージに前記編集指示に対応する処理を実行させる、
請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記データ操作手段は、回転対象のページと同一のページに係るページデータと、該同一のページを前記所望の角度に回転させて前記回転対象のページの代わりに表示させるよう作成された前記ページ表示情報とを含む前記編集データを、前記外部ストレージに送信する、
請求項17に記載の情報処理システム。
【請求項19】
前記データ操作手段は、回転対象のページと同一のページを前記所望の角度に回転させることで得られたページに係るページデータと、回転させることで得られた前記ページを前記回転対象のページの代わりに表示させるよう作成された前記ページ表示情報と、を含む前記編集データを前記外部ストレージに送信する、
請求項17に記載の情報処理システム。
【請求項20】
前記データ操作手段は、所定のタイミングで、前記回転対象のページと追加された前記ページとの入れ替えを行った上で、前記回転対象のページに対応するページデータを削除するよう前記外部ストレージに対して要求する、
請求項18又は19に記載の情報処理システム。
【請求項21】
前記編集指示が、前記ドキュメントのうち前記読取ユニットによって補充的に読み取られた差込対象ページを所定の位置に差し込む指示である場合、前記データ操作手段は、前記差込対象ページが前記所定の位置に表示されるよう作成された前記ファイルに係るページ表示情報と、前記差込対象ページのページデータと、を含む前記編集データを前記外部ストレージに送信することで、前記外部ストレージに前記編集指示に対応する処理を実行させる、
請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項22】
前記編集指示が前記ドキュメント内の2つのページを入れ替える指示である場合、前記データ操作手段は、前記2つのページが入れ替わって表示されるよう作成された前記ファイルに係るページ表示情報を含む前記編集データを前記外部ストレージに送信することで、前記外部ストレージに前記編集指示に対応する処理を実行させる、
請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項23】
前記データ操作手段は、前記所定のタイミングで実行される、前記外部ストレージに対してページデータの削除を要求する処理の少なくとも一部を、該情報処理システムに代わって他の情報処理装置に行わせる、
請求項16に記載の情報処理システム。
【請求項24】
前記データ操作手段は、前記所定のタイミングで実行される、前記外部ストレージに対してページデータの削除を要求する処理の少なくとも一部を、該情報処理システムに代わって他の情報処理装置に行わせる、
請求項20に記載の情報処理システム。
【請求項25】
複数のページを有するドキュメントを読み取り可能な読取ユニットに接続された情報処理システムのコンピューターが、
前記ドキュメントに含まれる各ページに対応する複数のページデータを外部ストレージへ送信することで、該複数のページデータを該外部ストレージに保存させるデータ操作ステップであって、前記ドキュメントに含まれる全てのページの読み取りが完了する前に前記複数のページデータの前記外部ストレージへの送信を開始するデータ操作ステップと、
前記複数のページデータに関する編集指示を受け付ける指示受付ステップであって、前記複数のページデータのうち前記外部ストレージへ送信済みの前記ページデータに関する該編集指示を受付可能な指示受付ステップと、を実行し、
前記データ操作ステップでは、前記複数のページデータが前記外部ストレージから読み出されて表示される際の表示内容に前記編集指示の内容を反映させるための編集データを前記外部ストレージに送信することで、前記外部ストレージに、送信済みの前記ページデータに関する前記編集指示に対応する処理を実行させる、
情報処理方法。
【請求項26】
複数のページを有するドキュメントを読み取り可能な読取ユニットに接続された情報処理システムのコンピューターに、
前記ドキュメントに含まれる各ページに対応する複数のページデータを外部ストレージへ送信することで、該複数のページデータを該外部ストレージに保存させるデータ操作ステップであって、前記ドキュメントに含まれる全てのページの読み取りが完了する前に前記複数のページデータの前記外部ストレージへの送信を開始するデータ操作ステップと、
前記複数のページデータに関する編集指示を受け付ける指示受付ステップであって、前記複数のページデータのうち前記外部ストレージへ送信済みの前記ページデータに関する該編集指示を受付可能な指示受付ステップと、を実行させ、
前記データ操作ステップでは、前記複数のページデータが前記外部ストレージから読み出されて表示される際の表示内容に前記編集指示の内容を反映させるための編集データを前記外部ストレージに送信することで、前記外部ストレージに、送信済みの前記ページデータに関する前記編集指示に対応する処理を実行させる、
情報処理プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、読取ドキュメントを編集するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、読取装置によって読み取られたドキュメントのデータを編集するための技術が種々提案されている(特許文献1から3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-148591号公報
【特許文献2】特開2001-352404号公報
【特許文献3】特開2009-124316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、読取ドキュメントを編集するための技術が種々提案されているが、読み取られたドキュメントのデータを外部ストレージに送信するシステムにおいては、ドキュメントの編集機会は、外部ストレージへの送信前に読取装置側で編集する機会、又は外部ストレージへの送信後に外部ストレージから読み出して編集する機会、に限定されていた。
【0005】
本開示は、上記した問題に鑑み、読取ドキュメントについての編集操作を利用可能な機会を増やすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例は、複数のページを有するドキュメントを読み取り可能な読取ユニットに接続された情報処理システムであって、前記ドキュメントに含まれる各ページに対応する複数のページデータを外部ストレージへ送信することで、該複数のページデータを該外部ストレージに保存させるデータ操作手段であって、前記ドキュメントに含まれる全てのページの読み取りが完了する前に前記複数のページデータの前記外部ストレージへの送信を開始するデータ操作手段と、前記複数のページデータに関する編集指示を受け付ける指示受付手段であって、前記複数のページデータのうち前記外部ストレージへ送信済みの前記ページデータに関する該編集指示を受付可能な指示受付手段と、前記データ操作手段は、前記複数のページデータが前記外部ストレージから読み出されて表示される際の表示内容に前記編集指示の内容を反映させるための編集データを前記外部ストレージに送信することで、前記外部ストレージに、送信済みの前記ページデータに関する前記編集指示に対応する処理を実行させる、情報処理システムである。
【0007】
本開示は、情報処理装置、システム、コンピューターによって実行される方法又はコンピューターに実行させるプログラムとして把握することが可能である。また、本開示は、そのようなプログラムをコンピューターその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものとしても把握できる。ここで、コンピューター等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積し、コンピューター等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、読取ドキュメントについての編集操作を利用可能な機会を増やすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。
図2】実施形態に係る情報処理装置の機能構成の概略を示す図である。
図3】実施形態におけるマルチページファイルの構造を示す図である。
図4】実施形態に係るドキュメント保存処理の流れの概要を示すフローチャートである。
図5】実施形態に係る対応関係データ(読取リスト)の一例を示す図である。
図6】実施形態に係るドキュメント編集処理の流れの概要を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係る編集画面の一例を示す図である。
図8】実施形態に係る削除準備処理の流れの概要を示すフローチャートである。
図9】実施形態に係る回転準備処理の流れの概要を示すフローチャートである。
図10】実施形態に係る差込準備処理の流れの概要を示すフローチャートである。
図11】実施形態に係る入替準備処理の流れの概要を示すフローチャートである。
図12】実施形態に係る編集実行処理の流れの概要を示すフローチャートである。
図13】実施形態に係るファイル更新処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る情報処理装置、システム、方法及びプログラムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る情報処理装置、システム、方法及びプログラムを以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施の態様に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。
【0011】
本実施形態では、本開示に係る情報処理装置、システム、方法及びプログラムを、スキャナ装置を用いて得られたドキュメントデータを外部ストレージに保存して管理するシステムにおいて実施した場合の実施の形態について説明する。但し、本開示に係る情報処理装置、システム、方法及びプログラムは、読取ドキュメントを編集するための技術について広く用いることが可能であり、本開示の適用対象は、実施形態において示した例に限定されない。
【0012】
従来、紙媒体のドキュメントを電子化することができる読取装置によって、ドキュメント管理業務の効率化が図られており、また、読み取り後に読取画像をサムネイルで確認する機能が提供されている読取装置が存在する。しかし、このような読取装置においても、不要なページが紛れ込んでいた場合や、ページの向きが間違っていた場合等には読み取りを再度最初からやり直さなければならず、加えて、外部ストレージに不要なデータが残ってしまったり、ドキュメント閲覧時に不要なページが表示されてしまいドキュメント管理業務の効率を妨げてしまったりといった課題が生じていた。
【0013】
また、従来、読み取ったドキュメントのファイルを、ネットワークを介して接続された外部ストレージに自動保存することが可能な読取装置が提供されており、このような読取装置は、所定の命名規則に従ってファイル名を生成し、読み取った電子データのファイルを外部ストレージに保存する。しかし、複数のユーザが1又は複数の読取装置を使って読取データを同一の外部ストレージに保存した場合、同一の共有フォルダ内に各ユーザのファイルが混在した状態となってしまい、ユーザが共有フォルダから所望のファイルを特定することは困難であった。加えて、送信したファイルがマルチページファイルだった場合、特定のページを削除や編集するためには、別途編集ツールを使わなければならず、多くの手間がかかっていた。
【0014】
このため、本実施形態において説明するシステムでは、不要なドキュメントデータを外部ストレージから削除することや表示しないようにすること、外部ストレージにアクセスすることなく読取後のドキュメントをユーザが編集可能な機能を加える事で、ドキュメント管理業務の効率を向上させることとした。但し、本開示に係る技術を実施する場合には、以下に説明する全ての構成を採用することで上記説明した全ての課題を解決しなくてもよい。本開示に係る技術を実施する場合には、以下に説明する構成の一部を採用することで、上記説明した課題の一部を解決することとしてもよい。
【0015】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。本実施形態に係るシステムは、スキャナ装置1が、ネットワーク又はその他の通信手段を介して、クラウドサーバやファイルサーバ、オンラインストレージ等の外部ストレージ9と互いに通信可能に接続されたシステムである。本実施形態では、読取ユニット及び通信機能を同一筐体内に備える所謂ネットワークスキャナにおいて本開示に係る技術を実施する態様を説明する。但し、本実施形態に係るシステムは、複数のページを有するドキュメントを読み取り可能な読取ユニットに接続された情報処理システムであればよく、例えば、読取ユニットを備えるスキャナ装置と、外部ストレージとの通信機能を備える情報処理装置とがネットワークや周辺機器接続用インターフェース等の通信手段を介して接続されたシステムにおいても、本開示に係る技術は適用可能である。
【0016】
スキャナ装置1は、読取ユニット3、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置14、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力デバイス15、ディスプレイ等の出力デバイス16、及び通信ユニット17、等を備えるコンピューター(情報処理装置)である。但し、スキャナ装置1の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、スキャナ装置1は、単一の筐体からなる装置に限定されない。スキャナ装置1は、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0017】
読取ユニット3は、ユーザがセットした、文書、名刺、レシート又は写真/イラスト等のドキュメントを撮像することで、画像データを取得する装置である。なお、本実施形態では、対象の画像を取得するための装置として、所謂シートフィーダ付きのスキャナである読取ユニット3を例示するが、画像を取得するために用いられる装置は所謂スキャナに限定されない。例えば、デジタルカメラや、スマートフォン/タブレットに内蔵されているカメラセンサを用いて対象を撮像し、画像を得ることとしてもよい。
【0018】
本実施形態に係るスキャナ装置1は、撮像によって得られたデータを、ネットワークを介して外部ストレージ9に送信する機能を有する。また、スキャナ装置1は、タッチパネルディスプレイやキーボード等の、文字入出力や項目選択を可能とするためのユーザインターフェース、及びWebブラウズ機能やサーバー機能を更に有していてもよい。本実施形態に係る方法を採用可能なスキャナの通信手段及びハードウェア構成等は、本実施形態における例示に限定されない。
【0019】
図2は、本実施形態に係るスキャナ装置1の機能構成の概略を示す図である。スキャナ装置1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、スキャナ装置1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、内部記憶部21、データ操作部22、対応関係記憶部23、削除部24、表示部25、及び指示受付部26を備える情報処理装置として機能する。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、スキャナ装置1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0020】
内部記憶部21は、読取ユニット3によって読み取られたページに対応するページデータを、スキャナ装置1のRAM13及び/又は記憶装置14に記憶する。
【0021】
データ操作部22は、ドキュメントに含まれる各ページに対応する複数のページデータを外部ストレージ9(本実施形態では、オンラインストレージを例に挙げて説明する)へ送信することで、当該複数のページデータを当該外部ストレージ9に保存させる。ページデータは、対応するページを表示させるためのデータであり、本実施形態において、ページデータは画像データを含む。但し、ページデータは、読取ユニット3によって読み取られたページに含まれるコンテンツを表示可能なデータであればよく、所謂画素情報を含む画像データに限定されない。ページデータは、例えば、OCRによって取得された文字コードやアウトライン化された描画情報、罫線情報等を含むデータ(即ち、画素情報に基づかない描画データ)に基づいてページに含まれるコンテンツを表示するためのデータであってもよい。
【0022】
本実施形態において、データ操作部22は、ドキュメントに含まれる全てのページの読み取りが完了する前に複数のページデータの外部ストレージ9への送信を開始する。なお、本実施形態では、各ページに対応する複数のページデータが読取順に送信される態様を説明するが、送信順序は読取順に限定されない。そして、データ操作部22は、複数のページデータが外部ストレージ9から読み出されて表示される際の表示内容に編集指示の内容を反映させるための編集データを外部ストレージ9に送信することで、外部ストレージ9に、送信済みのページデータに関する編集指示に対応する処理を実行させる。
【0023】
本実施形態に係るシステムでは、ドキュメントに係るページデータを外部ストレージ9に保存する方法として、1ドキュメントあたり1ファイル(以下、「マルチページファイル」と称する。)として保存する方法と、1ページあたり1ファイル(以下、「シングルページファイル」と称する。)として保存する方法とが、ユーザによる設定に応じて選択可能である。以下、ドキュメントに係るページデータを1ドキュメントあたり1ファイル(マルチページファイル)として外部ストレージ9に保存することを「マルチページ保存」と称し、ドキュメントに係るページデータを1ページあたり1ファイル(シングルページファイル)として外部ストレージ9に保存することを「シングルページ保存」と称する。データ操作部22は、保存設定がマルチページ保存であるか、又はシングルページ保存であるかに応じて、編集指示の内容を反映させるための編集データを決定する。編集データは、編集指示に係るページの識別情報を含む。ここで用いられる識別情報は、シングルページファイルの場合はファイル識別子であり、マルチページファイルの場合はファイル識別子及びページ識別子である。
【0024】
なお、本実施形態では、ユーザがひとまとまりとして管理したいコンテンツの単位を、「ドキュメント」として扱う。このため、本実施形態では、2つ以上のドキュメントが1つにまとめられた場合、まとめられたものを新たな1つのドキュメントとして扱う。上記した保存設定においてマルチページ保存が選択されている場合、1ドキュメントは1つのマルチページファイルで管理される。一方、上記した保存設定においてシングルページ保存が選択されている場合、1ドキュメントはドキュメントに含まれるページ数と同数のシングルページファイルで管理される。
【0025】
このため、保存設定がシングルページ保存である場合、データ操作部22は、編集指示に係るページに対応するファイルを特定可能な情報を含む編集データを送信する。また、保存設定がマルチページ保存である場合、データ操作部22は、編集指示に係るページに対応するファイル及びページを特定可能な情報、及び/又は編集指示に応じて作成されたファイルに係るページ表示情報を含む編集データを外部ストレージ9に送信することで、外部ストレージ9に編集指示に対応する処理を実行させる。
【0026】
図3は、本実施形態におけるマルチページファイルの構造を示す図である。本実施形態では、マルチページファイルとしてPortable Document Format(PDF)形式のファイルを用いる。PDFは、複数ページを有する1つのドキュメントを1つのファイルで管理することが可能であり、そのファイルは、先頭から順に、ヘッダー、各ページのページデータ、及びフッターを有する。また、フッターには、各ページに係るページ情報が含まれる。PDFファイルを表示する情報処理装置は、このページ情報を参照することで、PDFファイルに含まれる各ページの表示/非表示、表示順序、等を決定する。但し、マルチページファイルのために採用可能なファイル形式は、PDF形式に限定されない。
【0027】
また、保存設定がシングルページ保存である場合も、シングルページファイルのために採用可能なファイル形式は限定されない。シングルページファイルのために採用可能なファイル形式には、例えば、Joint Photographic Experts Group(JPEG)形式、Portable Network Graphics(PNG)形式、又はPDF形式等が挙げられる。
【0028】
対応関係記憶部23は、外部ストレージ9に送信されたページデータ又はドキュメントと、当該外部ストレージ9に保存されたファイルとの対応関係を示す対応関係データ(データ識別子を格納した読取リスト)を記憶する。そして、上記説明したデータ操作部22は、対応関係データに基づいて、編集対象であるファイルを指定する。
【0029】
削除部24は、外部ストレージ9に送信されたページデータを、ドキュメントに含まれる全てのページの読み取りが完了する前に内部記憶部21から削除する。削除のタイミングは限定されないが、削除部24は、読取ユニット3による読取中に内部記憶部21の記憶可能領域が不足しないように、外部ストレージ9に送信済みのページデータを適時削除する。
【0030】
表示部25は、ドキュメントに含まれるページに係るサムネイルを表示させる。表示部25は、読取ユニット3によって読み取られて内部記憶部21に記憶されたページデータに基づいてサムネイルのデータを作成し、対象のページの概要を示すためのサムネイルとして、スキャナ装置1のタッチパネルディスプレイ等の表示装置に出力させる。
【0031】
指示受付部26は、ページデータに関する編集指示を受け付ける。本実施形態において、指示受付部26は、表示されたサムネイルに対応する複数のページデータのうち、外部ストレージ9へ未送信のページデータのみならず、外部ストレージ9へ送信済みのページデータに関する当該編集指示を受付可能である。更に、本実施形態に係る指示受付部26は、外部ストレージ9へ送信済みのページデータに関する編集指示を、当該編集指示によって影響を受けるページデータが内部記憶部21から削除された後にも受け付け可能である。この際、指示受付部26は、ユーザにサムネイルを選択させることで編集対象のページを受け付け、サムネイルと併せて表示された編集指示ボタンを押下させることで編集指示を受け付ける。本実施形態において、編集指示の選択肢には、ページの削除指示、ページの回転指示、ページの差込指示、及びページの入替指示が含まれる。ここで、ページの差込指示とは、ドキュメントのうち読取ユニット3によって補充的に読み取られた差込対象ページを所定の位置に差し込む指示である。また、ページの入替指示とは、ドキュメント内の2つのページを入れ替える指示である。
【0032】
<処理の流れ>
次に、本実施形態に係るスキャナ装置1によって実行される処理の流れを説明する。なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
【0033】
図4は、本実施形態に係るドキュメント保存処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、スキャナ装置1においてユーザによる読取開始の指示が受け付けられたことを契機として実行される。
【0034】
ステップS101からステップS103では、ドキュメントに含まれるページのページデータが作成される。ユーザによる読取開始の指示が受け付けられると、データ操作部22は、外部ストレージ9との接続を確認し(ステップS101)、読取ユニット3は、シートフィーダにセットされたドキュメントの読み取りを開始する。本実施形態において、読取ユニット3は、シートフィーダにセットされたドキュメントに含まれるページを搬送しながら1ページずつ撮像することで、ページ毎の読取データを得る。読取ユニット3から1ページ分の読取データが得られると(ステップS102)、データ操作部22は、読取データに基づいて当該ページのページデータ(本実施形態では、対象ページの画像データを含む。)を作成し(ステップS103)、内部記憶部21に記憶させる。その後、処理はステップS104へ進む。
【0035】
ステップS104では、保存設定が確認される。データ操作部22は、スキャナ装置1の設定データを参照し、保存設定が、マルチページ保存であるか、又はシングルページ保存であるかを確認する。保存設定がマルチページ保存である場合、処理はステップS105へ進む。一方、保存設定がシングルページ保存である場合、処理はステップS106へ進む。
【0036】
ステップS105では、ドキュメントの1ページ目に係るページデータであるか否かが判定される。保存設定がマルチページ保存である場合、データ操作部22は、読み取られたページデータが、シートフィーダにセットされたドキュメントの1ページ目に係るページデータであるか否かを判定する。この判定は、読取ユニット3から取得されるカウンタを参照することで行うことができる。読み取られたページデータが、シートフィーダにセットされたドキュメントの1ページ目に係るページデータである場合、処理はステップS106へ進む。一方、読み取られたページデータが、シートフィーダにセットされたドキュメントの2ページ目以降に係るページデータである場合、処理はステップS109へ進む。
【0037】
ステップS106からステップS108では、ファイル名が決定される。保存設定がマルチページ保存であり、且つ読み取られたページデータが、シートフィーダにセットされたドキュメントの1ページ目に係るページデータである場合、又は、保存設定がシングルページ保存である場合、データ操作部22は、予め設定された命名規則に基づいて、ファイル名を決定する(ステップS106)。ファイル名は、例えば、読取に係る日時情報、読取に係る装置情報、読取に係るユーザ情報、及びページ内テキスト情報、の少なくとも1以上を含んでよい。ページ内テキスト情報は、1ページ目のページデータに光学文字認識(OCR)処理を施すことで得ることが可能であり、データ操作部22は、得られたテキスト情報のうち対象ドキュメントのタイトルとして推測される文字列をファイル名に設定することが出来る。読取に係る日時情報が採用される場合、例えば2020年8月13日9時00分に読み取られたドキュメントに係るファイルには、「202008130900」とのファイル名を含めることが出来る。更に、シングルページ保存である場合、ファイル名には、対象ページが含まれるドキュメント内における対象ページのページ番号(例えば、「_001」等)が末尾に付加される。即ち、保存設定がシングルページ保存である場合、1ページ毎にファイルが作成され、「(ドキュメント名)_(ページ番号)」のようなフォーマットのファイル名が付される。
【0038】
また、データ操作部22は、送信先の外部ストレージ9のフォルダに同名のファイルが既に存在するか否かを、フォルダパスを指定して外部ストレージ9に問い合わせることで確認し(ステップS107)、ファイル名が重複している場合には、これから送信する予定のファイルのファイル名を変更する(ステップS108)。具体的には、本実施形態ではファイル名の末尾に連番(例えば、「_001」等)を付加することでファイル名を変更し、重複を避けることとしているが、ファイル名の変更ルールにはその他のルールが採用されてよい。その後、処理はステップS109へ進む。
【0039】
ステップS109では、ドキュメントに係るデータが外部ストレージ9に送信される。ファイル名が決定されると、データ操作部22は、ステップS103で作成されたページデータを内部記憶部21から読み出して、外部ストレージ9に送信する(ステップS109)。ここで、保存設定がマルチページ保存である場合、データ操作部22は、1ページ目に係るページデータを送信する際にはファイルのヘッダ及び1ページ目のページデータを送信し、2ページ目以降に係るページデータを送信する際には当該ページのページデータを送信する。保存設定がシングルページ保存である場合、データ操作部22は、当該ページのページデータを含むファイル全体を送信する。また、外部ストレージ9に送信されたページデータは、削除部24によって適宜内部記憶部21から削除される。その後、処理はステップS110へ進む。
【0040】
ステップS110では、送信されたページデータに関する記録が、対応関係データに追加される。対応関係記憶部23は、ステップS109で外部ストレージ9に送信されたページデータ又はドキュメントと、外部ストレージ9に保存されたファイルとの対応関係を示す対応関係データとして、データ識別子が格納された対応関係データを記憶する。
【0041】
図5は、本実施形態に係る対応関係データ(読取リスト)の一例を示す図である。本図に示された例は、シングルページ保存における対応関係データの例であり、読み取られたドキュメントに含まれるページのページ番号と、対応するページデータが含まれるファイルのファイル名と、の対応関係が保存されている。なお、マルチページ保存における対応関係データでは、読み取られたドキュメントと、当該ドキュメントに係るページデータが含まれるファイルのファイル名と、の対応関係が保存される。対応関係データへの追加が行われると、処理はステップS111へ進む。
【0042】
ステップS111では、次の用紙の有無に応じて、処理の繰り返しの有無が決定される。スキャナ装置1は、シートフィーダに次の用紙があるか否かを確認し、次の用紙がある場合、処理はステップS102へ戻る。即ち、本実施形態では、複数ページを含むドキュメントがシートフィーダに載置された読取開始された場合、1ページ読み取られる毎に、ステップS102からステップS111までの処理が実行される。ここで、シートフィーダに次の用紙が無いと判定された場合、本フローチャートに示された処理は終了する。なお、上記説明した内容から把握されるように、シートフィーダにセットされた全ての用紙が読み取られ、ステップS111までの処理は終了した時点において、シングルページ保存の場合には、外部ストレージ9上にページ毎のファイルが作成されている。一方、マルチページ保存の場合には、シートフィーダにセットされた全ての用紙が読み取られ、ステップS111までの処理は終了した時点において、外部ストレージ9にはファイルのヘッダとページ毎のページデータが保存されているが、マルチページファイルの作成は完了していない。
【0043】
図6は、本実施形態に係るドキュメント編集処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図4を参照して説明したドキュメント保存処理が完了したことを契機として実行される。但し、ドキュメント保存処理とドキュメント編集処理とは、ドキュメント保存処理の途中(例えば、読み取られたページのサムネイル生成が完了したタイミング)でドキュメント編集処理が開始されること等により、一部が並行して実行されてもよい。
【0044】
ステップS201からステップS203では、編集画面が表示され、ユーザによる編集操作が受け付けられる。読み取りが完了すると、表示部25は、読み取られたページデータに係るサムネイルを含む編集画面を、スキャナ装置1に搭載されているタッチパネルディスプレイに表示し(ステップS201)、ユーザにスキャン結果を確認させる。また、指示受付部26は、タッチパネルディスプレイに表示された編集画面を介してユーザによる操作を受け付ける。
【0045】
図7は、本実施形態に係る編集画面の一例を示す図である。編集画面には、読み取られたドキュメントに含まれる各ページに係るサムネイル、「削除」、「回転」、「差込み」、「入替え」及び「完了」の操作要素が表示される。ユーザは、この編集画面に表示されたサムネイルを選択し、「削除」、「回転」、「差込み」及び「入替え」の操作要素(本実施形態では、タッチパネルディスプレイに表示されたボタン画像)のいずれかを操作することで、ページを指定して編集指示(ページの削除指示、ページの回転指示、ページの差込指示、ページの入替指示)を行うことができる。また、ユーザは、この編集画面に表示された「完了」の操作要素(本実施形態では、タッチパネルディスプレイに表示されたボタン画像)を操作することで、編集操作を完了させることができる。
【0046】
例えば、ユーザは、読み取られたドキュメントのうち5ページ目を不要と判断した場合、タッチパネルディスプレイに表示された編集画面中の5ページ目のサムネイル画像をタッチして選択状態にし(この時、対象のサムネイル画像は図の様に太い線で囲まれて表示されてもよいし、アニメーションやグレーアウト等の色のマスクがかけられて表示されてもよい。)、削除ボタンを押下することで、当該ページを削除対象とすることができる。
【0047】
編集対象ページの指定及び編集内容を含む編集指示が受け付けられた場合(ステップS202のYES)、データ操作部22は、受け付けられた編集指示の内容を判定する(ステップS203)。その後、処理はステップS204へ進む。
【0048】
ステップS204からステップS208では、編集指示の内容に応じた準備処理が実行される。ステップS203で受け付けられた編集指示がページの削除指示であった場合、削除準備処理(ステップS204)が実行される。受け付けられた編集指示がページの回転指示であった場合、回転準備処理(ステップS205)が実行される。受け付けられた編集指示がページの差込指示であった場合、差込準備処理(ステップS206)が実行される。受け付けられた編集指示がページの入替指示であった場合、入替準備処理(ステップS207)が実行される。これらの処理の詳細については、他のフローチャートを参照して後述する。その後、処理はステップS202へ戻る。
【0049】
ステップS202で編集指示が受け付けられていない場合(ステップS202のNO)、データ操作部22は、完了指示(本実施形態では、「完了」ボタンの押下)が受け付けられたか否かを判定する(ステップS208)。ここで、完了指示が受け付けられていないと判定された場合、処理はステップS202へ戻る。即ち、本フローチャートに示された処理では、完了指示が受け付けられるまで、ステップS202からステップS208の処理が繰り返し実行される。一方、完了指示が受け付けられたと判定された場合、処理はステップS209へ進む。
【0050】
ステップS209では、準備処理によって準備された編集が実行される。編集実行処理(ステップS209)が実行される。編集実行処理の詳細については、他のフローチャートを参照して後述する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0051】
図8は、本実施形態に係る削除準備処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図6を参照して説明したドキュメント編集処理のステップS204に相当する。
【0052】
ステップS301では、保存設定が確認される。データ操作部22は、スキャナ装置1の設定データを参照し、保存設定が、マルチページ保存であるか、又はシングルページ保存であるかを確認する。保存設定がマルチページ保存である場合、処理はステップS303へ進む。一方、保存設定がシングルページ保存である場合、処理はステップS302へ進む。
【0053】
ステップS302では、シングルページファイル用の削除フラグが設定される。保存設定がシングルページ保存である場合、データ操作部22は、対応関係データ中の、削除対象として指定されたページに対応する送信済みファイルに対して、シングルページファイル用の削除フラグを立てる。ここで、シングルページファイル用の削除フラグは、後述する編集実行処理において、削除対象ページのファイルを削除するための削除コマンド、及び削除対象ページより後ろのページのファイルのファイル名に付されたページ番号を変更するためのリネームコマンドを送信するためのフラグである。その後、処理はステップS304へ進む。
【0054】
ステップS303では、マルチページファイル用の削除フラグが設定される。保存設定がマルチページ保存である場合、データ操作部22は、対応関係データ中の、削除対象として指定されたページに対応する送信済みページデータに対して、マルチページファイル用の削除フラグを立てる。ここで、マルチページファイル用の削除フラグは、後述する編集実行処理において、削除対象ページを非表示設定とするためのマルチページファイル用のフッターデータを作成するためのフラグである。その後、処理はステップS304へ進む。
【0055】
ステップS304では、削除指示が受け付けられたことを示す表示が行われる。表示部25は、編集画面に表示されているサムネイルのうち、削除対象として指定されたページのサムネイルに、削除指示が受け付けられたことを示す表示(例えば、削除状態を示すマーク、又は削除対象サムネイルの色調を変化させる等)を付与し、ディスプレイに表示させる。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0056】
図9は、本実施形態に係る回転準備処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図6を参照して説明したドキュメント編集処理のステップS205に相当する。
【0057】
ステップS401では、保存設定が確認される。データ操作部22は、スキャナ装置1の設定データを参照し、保存設定が、マルチページ保存であるか、又はシングルページ保存であるかを確認する。保存設定がマルチページ保存である場合、処理はステップS403へ進む。一方、保存設定がシングルページ保存である場合、処理はステップS402へ進む。
【0058】
ステップS402では、シングルページファイル用の回転フラグが設定される。保存設定がシングルページ保存である場合、データ操作部22は、対応関係データ中の、回転対象として指定されたページに対応する送信済みファイルに対して、シングルページファイル用の回転フラグを立てる。ここで、シングルページファイル用の回転フラグは、後述する編集実行処理において、回転対象ページのファイルを外部ストレージ9から取得してこれを回転させる編集を加えることで回転済ページデータを含むファイルを作成し、当該回転済ページデータを含むファイルを外部ストレージ9に送信するためのフラグである。その後、処理はステップS404へ進む。
【0059】
ステップS403では、マルチページファイル用の回転フラグが設定される。保存設定がマルチページ保存である場合、データ操作部22は、対応関係データ中の、回転対象として指定されたページに対応する送信済みページデータに対して、マルチページファイル用の回転フラグを立てる。ここで、マルチページファイル用の回転フラグは、後述する編集実行処理において、回転対象ページに対応するページデータを外部ストレージ9から取得して回転済ページデータを作成し、当該回転済ページデータを外部ストレージ9に送信するためのフラグである。その後、処理はステップS404へ進む。
【0060】
ステップS404では、回転指示が受け付けられたことを示す表示が行われる。表示部25は、編集画面に表示されているサムネイルのうち、回転対象として指定されたページのサムネイルに、回転指示が受け付けられたことを示す表示(例えば、回転状態を示すマーク、又は実際に回転された状態のサムネイル等)を付与し、ディスプレイに表示させる。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0061】
図10は、本実施形態に係る差込準備処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図6を参照して説明したドキュメント編集処理のステップS206に相当する。
【0062】
ステップS501からステップS503では、差込対象ページのページデータが作成される。データ操作部22は、読取ユニット3を読取待機状態に移行させ(ステップS501)、表示部25は、スキャナ装置1のタッチパネルディスプレイに「スキャン開始」ボタンを提示し、指示受付部26は、ユーザによる差込みたい用紙のセット及び「スキャン開始」ボタンの押下を待つ。ユーザによって「スキャン開始」ボタンが押下されると、読取ユニット3は、ユーザによってシートフィーダにセットされた差込対象ページの読み取りを開始する。読取ユニット3から差込対象ページの読取データが得られると(ステップS502)、データ操作部22は、読取データに基づいて差込対象ページのページデータを作成する(ステップS503)。その後、処理はステップS504へ進む。
【0063】
ステップS504では、差込対象ページのファイル名が決定される。シングルページ保存である場合、データ操作部22は、対応関係データを参照して、差込対象ページのファイル名を決定する。上述の通り、ファイル名には、対象ページが含まれるドキュメント内における対象ページのページ番号(例えば、「_001」等)が末尾に付加されるが、差込対象ページのファイル名は、一時的に既存のいずれのページとも重複しないページ番号(例えば、「既存の最終ページ番号+1」のページ番号)が付加されてファイル名が決定される。例えば、10ページ読み取り済みであり、1ページを追加で読み取って差し込む場合には、11ページ目としてファイル名を付ける。その後、処理はステップS505へ進む。
【0064】
ステップS505では、差込位置が決定される。指示受付部26は、編集画面において、差込対象ページをいずれのページ間に差し込むかをユーザに問い合わせ、データ操作部22は、ユーザからの指示に従って、差込位置を決定する。ここで、差込対象ページの差込位置は、ユーザにサムネイルを選択させることで、選択されたサムネイルの直前や直後の位置を差込位置として指定させてもよいし、ページ番号を選択又は入力させることで、選択又は入力されたページ番号の直前や直後の位置を差込位置として指定させてもよい。その後、処理はステップS506へ進む。
【0065】
ステップS506では、差込指示が受け付けられたことを示す表示が行われる。表示部25は、編集画面に表示されているサムネイルのうち、差込位置として指定されたページのサムネイル間に、差込対象ページのサムネイルを表示させ、更に、差込対象ページのサムネイルに、差込対象であることを示す表示(例えば、差込対象であることを示すマーク等)を付与し、ディスプレイに表示させる。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0066】
図11は、本実施形態に係る入替準備処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図6を参照して説明したドキュメント編集処理のステップS207に相当する。
【0067】
ステップS601では、入替対象ページの指定が受け付けられる。1つ目の入替対象ページは、図6を参照して説明したドキュメント編集処理のステップS202でユーザに編集対象ページとして指定されていたページであるが、入替対象ページは2ページ選択される必要がある。このため、ここでは、2つ目の入替対象ページの指定が受け付けられる。指示受付部26は、編集画面において、いずれのページを2つ目の入替対象ページとするかをユーザに問い合わせ、データ操作部22は、ユーザからの指示に従って、2つ目の入替対象ページを決定する。ここで、入替対象ページは、ユーザにサムネイルを選択させることで、選択されたサムネイルに対応するページを入替対象ページとして決定させてよい。その後、処理はステップS602へ進む。
【0068】
ステップS602では、入替指示が受け付けられたことを示す表示が行われる。表示部25は、編集画面に表示されているサムネイルのうち、入替対象として指定された2つの入替対象ページのサムネイルに、入替対象であることを示す表示(例えば、入替対象であることを示すマークや、実際にサムネイルの順序を入れ替えた表示等)を付与し、ディスプレイに表示させる。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0069】
図12は、本実施形態に係る編集実行処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、図6を参照して説明したドキュメント編集処理のステップS209に相当する。
【0070】
ステップS701では、保存設定が確認される。データ操作部22は、スキャナ装置1の設定データを参照し、保存設定が、マルチページ保存であるか、又はシングルページ保存であるかを確認する。保存設定がマルチページ保存である場合、処理はステップS706へ進む。一方、保存設定がシングルページ保存である場合、処理はステップS702へ進む。
【0071】
ステップS702からステップS705は、シングルページ保存が設定されている場合の、削除準備処理、回転準備処理、差込準備処理、及び入替準備処理の夫々に対応する編集実行処理の内容を示す。なお、これらの処理は便宜上削除、回転、差込及び入替の順で記載されているが、実際の処理順序はこの順序に限定されない。
【0072】
ステップS702では、シングルページファイル用のページ削除処理が実行される。シングルページ保存設定において削除準備処理が行われていた場合(シングルページファイル用の削除フラグが立てられていた場合)、データ操作部22は、対応関係データを参照することで、外部ストレージ9において当該ページに対応するファイルが保存されているフォルダパスを特定する。そして、データ操作部22は、当該フォルダパスを指定して外部ストレージ9に保存されているファイルを削除する削除コマンド(ファイルの削除コマンドを含む編集データ)、及び外部ストレージ9に保存された、対象ドキュメントに含まれる削除対象ページより後ろのページに対応するファイルのリネームコマンドを含む編集データを生成して送信することで、外部ストレージ9に編集指示に対応する処理を実行させ、対象のページデータ(ファイル)を削除する。
【0073】
ここで、データ操作部22は、ファイル名に連番が付いていた場合の整合性を取るためのリネーム処理を行う。例えば、「(ドキュメント名)_(ページ番号)」のフォーマットでファイル名が付された10ページからなるドキュメントについては、ファイル名「(ドキュメント名)_001.pdf」から「(ドキュメント名)_010.pdf」のファイルが、外部ストレージ9に保存されている。ここで削除対象ページが3ページ目である場合、「(ドキュメント名)_003.pdf」を削除した後、「(ドキュメント名)_004.pdf」から「(ドキュメント名)_010.pdf」のファイルは、「(ドキュメント名)_003.pdf」から「(ドキュメント名)_009.pdf」にリネームされなければならない。このため、外部ストレージ9は、リネーム処理中にファイル名が重複しないようにリネーム順序を調整しながら、ドミノ倒しの様にリネームを行う。
【0074】
ステップS703では、シングルページファイル用のページ回転処理が実行される。シングルページ保存設定において回転準備処理が行われていた場合、はじめに、データ操作部22は、対応関係データを参照することで、外部ストレージ9において当該ページに対応するファイルが保存されているフォルダパスを特定し、当該フォルダパスを指定して外部ストレージ9に保存されているファイルを取得する。そして、データ操作部22は、取得された当該回転指示に係るページに対応するファイルに含まれるページを所望の角度に回転させる編集を行う。ここで、ページの回転は、ページデータを変換して新たなページデータを生成することによって行われてもよいし、メタデータによる回転角度の指定が可能な画像形式(例えば、JPEG)であれば、ファイルに回転タグ等のメタデータを付すことで行われてもよい。画像の回転が行われると、データ操作部22は、当該編集が行われた結果(回転済ページデータを含む編集後のファイル)を含む編集データ(編集後のファイル及びファイルの更新コマンド)を外部ストレージ9に送信することで、外部ストレージ9に編集指示に対応する処理を実行させ、外部ストレージ9における当該ページに対応する編集前のファイルを、編集後のファイルで更新する。
【0075】
ステップS704では、シングルページファイル用のページ差込処理が実行される。シングルページ保存設定において差込準備処理が行われていた場合、データ操作部22は、差込対象ページに係るページデータを外部ストレージ9に保存させ、且つ、差込対象ページがページの前又は後に差し込まれた状態で表示されるよう複数のページ及び差込対象ページの少なくともいずれかに係るファイルのリネームコマンドを含む編集データを生成して送信することで、外部ストレージ9に編集指示に対応する処理を実行させる。
【0076】
より具体的には、データ操作部22は、差込対象ページのページデータを含むファイルを一時的なファイル名(ステップS504において示した例で11ページ目として命名されたファイル名)で外部ストレージ9に送信し、外部ストレージ9に保存させる。そして、データ操作部22は、ファイル名に連番が付いていた場合の整合性を取るためのリネーム処理を行う。
【0077】
例えば、「(ドキュメント名)_(ページ番号)」のフォーマットでファイル名が付される場合、10ページ読み取った時点において、ファイル名「(ドキュメント名)_001.pdf」から「(ドキュメント名)_010.pdf」のファイルが、外部ストレージ9に保存される。そして、差込対象ページのファイル名は、「(ドキュメント名)_011.pdf」となる。ここで差込対象ページを5ページ目に差し込みたい場合、先に保存された「(ドキュメント名)_005.pdf」から「(ドキュメント名)_010.pdf」のファイルは、「(ドキュメント名)_006.pdf」から「(ドキュメント名)_011.pdf」にリネームされ、差込対象ページのファイル名は、「(ドキュメント名)_005.pdf」にリネームされなければならない。このため、外部ストレージ9は、リネーム処理中にファイル名が重複しないようにリネーム順序を調整しながら、ドミノ倒しの様にリネームを行う。
【0078】
上記説明した通り、シングルページ保存設定におけるページ削除及びページ差込においては、削除又は差込の対象となったファイル以外のファイルについてもリネーム処理が行われる。ここで、外部ストレージ9に対するリネーム処理の指示はスキャナ装置1自身が行ってよいが、リネーム対象ファイルの量が所定の基準よりも多い場合(例えば、リネーム対象ファイルが100ファイル以上存在する場合)には、同一ネットワーク上にある他の情報処理装置(スキャナ装置1と同機種の他のスキャナ装置であってもよいし、その他の情報処理装置であってもよい)と連携してリネーム処理を行ってもよい。
【0079】
ここで、連携には、ネットワークに繋がった状態であり、且つ待機状態(スキャン等のユーザオペレーションが行われていなアイドル状態)の他の情報処理装置が用いられることが好ましい。スキャナ装置1は、同一ネットワーク上にある待機状態の他の情報処理装置に対して連携要求を送信し、連携要求を受けた情報処理装置が連携要求を承諾すると、スキャナ装置1は、要求を承諾した情報処理装置に対して、リネーム処理依頼を送信する。リネーム処理依頼が完了すると、依頼を受けた夫々の情報処理装置は、担当する箇所のリネーム処理のために外部ストレージ9にアクセスし、リネーム処理を行う。即ち、データ操作部22は、リネームコマンドの少なくとも一部を含む編集データの送信を、当該情報処理システムに代わって他の情報処理装置に行わせることで、外部ストレージ9に当該リネームコマンドに応じた処理を実行させてよい。例えば、50ページ目に差込みがあった場合、自機は50ページ目から79ページ目、他の情報処理装置は80ページ目から101ページ目のリネーム処理を担当する等、連携による分担作業を行ってもよい。
【0080】
ステップS705では、シングルページファイル用のページ入替処理が実行される。シングルページ保存設定において入替準備処理が行われていた場合、データ操作部22は、2つのページが入れ替わって表示されるよう、外部ストレージ9に保存された2つのページに対応するファイルのリネームコマンドを含む編集データを生成して送信することで、外部ストレージ9に編集指示に対応する処理を実行させる。
【0081】
より具体的には、データ操作部22は、入替対象ファイルのファイル名が入れ替わるように、リネーム処理を行う。例えば、入替対象ファイルのファイル名が「(ドキュメント名)_006.pdf」と「(ドキュメント名)_013.pdf」の場合は、それぞれのファイル名を入れ替えて「(ドキュメント名)_013.pdf」と「(ドキュメント名)_006.pdf」とするように、外部ストレージ9に対してリネームコマンドを送信することで、外部ストレージ9に保存された送信済みファイルの入れ替えが行われる。
【0082】
ステップS706からステップS709は、マルチページ保存が設定されている場合の、削除準備処理、回転準備処理、差込準備処理、及び入替準備処理の夫々に対応する編集実行処理の内容を示す。なお、これらの処理は便宜上削除、回転、差込及び入替の順で記載されているが、実際の処理順序はこの順序に限定されない。
【0083】
ステップS706では、マルチページファイル用のページ削除処理が実行される。マルチページ保存設定において削除準備処理が行われていた場合、データ操作部22は、削除対象ページが非表示となるよう作成された、マルチページファイルに係るページ表示情報を含む編集データを外部ストレージ9に送信することで、外部ストレージ9に編集指示に対応する処理を実行させる。ここで、ページ表示情報を含む編集データとは、表示関連情報を含むマルチページファイルのフッターである。この処理の時点において、マルチページファイルのうちヘッダー及び読取済みのページデータは、外部ストレージ9に対して送信済みとなっているが、マルチページファイルのフッターは未送信であり、外部ストレージ9は、マルチページファイルのデータの続きがスキャナ装置1から受信されるのを待機している状態である。このため、データ操作部22は、ここでフッターに対して表示関連の指示を加えることが可能である。
【0084】
具体的には、マルチページファイル用の削除フラグが立てられていた場合、データ操作部22は、マルチページファイル(本実施形態では、PDFファイル)の構造を利用して、マルチページファイルのフッター(未送信)に削除対象ページを非表示とする指示を追加する。これによって、当該ファイルに係るドキュメントを表示しようとするコンピューターに、ファイル内にデータとしては含まれている削除対象ページを非表示として扱わせる(表示対象から除外させる)ことが可能である。より具体的には、データ操作部22は、マルチページファイルのフッターに含まれるページ表示オブジェクトから、表示しないこととする削除対象ページのページ情報を削除する。
【0085】
ステップS707では、マルチページファイル用のページ回転処理が実行される。マルチページ保存設定において回転準備処理が行われていた場合、データ操作部22は、回転対象ページが所望の角度に回転されて表示されるよう作成された、マルチページファイルに係るページ表示情報を含む編集データを外部ストレージ9に送信することで、外部ストレージ9に編集指示に対応する処理を実行させる。ここで、ページ表示情報を含む編集データとは、後述するコピーデータ、及び/又は表示関連情報を含むマルチページファイルの未送信のフッターであり、データ操作部22は、ここでフッターに対して表示関連の指示を加えることが可能である。
【0086】
具体的には、データ操作部22は、外部ストレージ9に保存済みの回転対象ページのコピーページデータ(回転対象のページと同一のページに係るページデータ)を作成する。なお、この際、回転対象ページのページデータがスキャナ装置1の内部記憶部21から削除済みである場合には、データ操作部22は、対応関係データを参照して得たファイルパスを指定して、外部ストレージ9から回転対象ページのページデータを取得する。
【0087】
そして、データ操作部22は、マルチページファイル(本実施形態では、PDFファイル)のフッター(未送信)に外部ストレージ9に保存済みの回転対象ページを非表示とする指示、及び外部ストレージ9に追加で送信するコピーページデータを保存済みの回転対象ページに代えて所望の角度で回転表示するための指示(表示ページ位置情報及び回転タグ等)を追加する。
【0088】
なお、上記では、コピーページデータと回転指示の組み合わせによって所望のページを回転表示させる方法を採用する例を説明したが、回転表示は、その他の方法によって実現されてもよい。例えば、データ操作部22は、外部ストレージ9に保存済みの回転対象ページのコピーページデータ(回転対象のページと同一のページに係るページデータ)を所望の角度に回転させることで得られた回転済ページに係るページデータと、回転済ページを回転対象のページの代わりに表示させるための指示を含むフッター(ページ表示情報)と、を含む編集データを外部ストレージ9に送信することで、所望のページを回転表示させてもよい。
【0089】
ステップS708では、マルチページファイル用のページ差込処理が実行される。マルチページ保存設定において差込準備処理が行われていた場合、データ操作部22は、差込対象ページが所定の位置に表示されるよう作成されたファイルに係るページ表示情報と、差込対象ページのページデータと、を含む編集データを外部ストレージ9に送信することで、外部ストレージ9に編集指示に対応する処理を実行させる。
【0090】
より具体的には、データ操作部22は、マルチページファイル(本実施形態では、PDFファイル)のフッター(未送信)に外部ストレージ9に追加で送信する差込対象ページを所定の位置に表示させるための指示(表示ページ位置情報)を追加する。この際、差込対象ページが差し込まれる位置より後ろのページはページ番号がずれるため、これらのページ番号がずれるページについても考慮された指示が追加される。
【0091】
ステップS709では、マルチページファイル用のページ入替処理が実行される。マルチページ保存設定において入替準備処理が行われていた場合、データ操作部22は、2つのページが入れ替わって表示されるよう作成されたファイルに係るページ表示情報を含む編集データを外部ストレージ9に送信することで、外部ストレージ9に編集指示に対応する処理を実行させる。
【0092】
より具体的には、データ操作部22は、マルチページファイル(本実施形態では、PDFファイル)のフッター(未送信)に入替対象ページを入れ替え後の位置に表示させるための指示(表示ページ位置情報)を追加する。
【0093】
ステップS710及びステップS711では、未送信データが送信され、マルチページファイルが完成する。ステップS706からステップS709の処理においてフッターの操作が終了すると、データ操作部22は、スキャナ装置1の内部記憶部21に残っている、フッターを含む未送信データを、外部ストレージ9に対して送信し、ファイル全体を外部ストレージ9に保存させる(ステップS710)。即ち、外部ストレージ9においては、フッターを含む未送信データが受信された時点において、マルチページファイルが完成する。
【0094】
ここで、フッターと併せて送信される未送信データには、回転対象ページのコピーページデータ(あれば)、及び/又は差込対象ページのページデータ(あれば)、が含まれる。このようにして未送信データ及びフッターが送信され、マルチページファイルが完成することで、ページの回転指示が受け付けられている場合、当該ファイルに係るドキュメントを表示しようとするコンピューターに、ファイル内にデータとしては含まれている回転対象ページを非表示として扱わせ、且つ、ファイル末尾に追加で保存されたコピーページデータを非表示となった回転対象ページに代えて回転表示させることが可能である。また、ページの差込指示が受け付けられている場合、当該ファイルに係るドキュメントを表示しようとするコンピューターに、ファイル末尾に追加で保存された差込対象ページのページデータを指定された差込位置に表示させることが可能である。また、ページの入替指示が受け付けられている場合、当該ファイルに係るドキュメントを表示しようとするコンピューターに、入替対象ページのページデータを入れ替え後の位置に表示させることが可能である。
【0095】
また、上記説明したステップS706からステップS710の処理においてマルチページファイルについてページの削除及び/又は回転が行われている場合、データ操作部22は、後述するファイル更新処理における処理の対象となるように、ページの削除及び/又は回転が施されたファイルを更新対象リストに記録する(ステップS711)。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0096】
図13は、本実施形態に係るファイル更新処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、スキャナ装置1がネットワークに接続された状態であり、且つスキャナ装置1が待機状態(スキャン等のユーザオペレーションを実行していないアイドル状態)である場合に、予め設定された指定時刻が到来したタイミングで、定期的に(例えば、毎日午前4時等の時刻が設定可能である。)実行される。また、本フローチャートに示された処理は、一部のページが非表示に設定されたマルチページファイルの非表示部分データを削除する自動削除機能が有効に設定されていることを条件として実行されることとしてもよい。
【0097】
ステップS801及びステップS802では、更新対象リストが参照され、外部ストレージ9との接続が確認される。データ操作部22は、スキャナ装置1又は外部ストレージ9に保存されている更新対象リストを参照することで、送信済みのマルチページファイル内に更新すべきファイルがあるか否かを判定する(ステップS801)。ここで、更新対象リストとは、外部ストレージ9に送信済みのマルチページファイルであって、本フローチャートに示されたファイル更新処理の対象となるマルチページファイルが記録されたリストである。更新対象リスト中に更新すべきファイルがあり、且つ当該ファイルが当該スキャナ装置1によって編集されてよいファイルである場合、データ操作部22は、外部ストレージ9との接続を確認する(ステップS802)。その後、処理はステップS803へ進む。
【0098】
ステップS803では、フッター内の設定によって制御されていた表示内容(ページの削除及び/又は回転)が実際のページデータに反映されるように、ファイルが更新される。外部ストレージ9と通信可能であることが確認されると、データ操作部22は、ファイルから、非表示にされている削除対象のページに対応するページデータを削除するよう外部ストレージ9に対して要求する。また、データ操作部22は、回転対象のページと追加されたページとの入れ替えを行った上で、回転対象のページに対応するページデータを削除するよう外部ストレージ9に対して要求する。
【0099】
具体的には、データ操作部22は、更新対象リストに基づいて、外部ストレージ9に保存されているマルチページデータを取得する。そして、ページ削除のファイル更新処理を行う場合、データ操作部22は、取得されたマルチページファイル内の、非表示に設定されているページデータを削除することで、マルチページファイルを更新する。
【0100】
また、ページ回転のファイル更新処理を行う場合、データ操作部22は、取得されたマルチページファイル内のページ情報を編集することで、非表示に設定されているために実際には表示されない回転対象ページと、ファイルの末尾に追加されて実際の回転表示に用いられているコピーページとの表示位置(ページ番号)を入れ替え、非表示に設定されている回転対象ページのページデータをファイルから削除する。例えば、回転対象ページが3ページ目であり、この回転対象ページに回転編集が施されたコピーページがファイルの末尾に追加されていた場合は、3ページ目と末尾ページとの表示位置を入れ替えて、3ページ目であったページデータを削除する。
【0101】
そして、データ操作部22は、更新されたマルチページファイルを外部ストレージ9に送信し、更新前のマルチページファイルと置き換えることで、外部ストレージ9上のマルチページファイルを更新する。これによって、フッターの設定によって非表示となっていたがファイル内にデータが残っていたページのデータを、ファイル内から削除することが出来る。なお、ここで外部ストレージ9上のマルチページファイルの更新は、一旦更新後のファイルを一時ファイルとして保存してから更新前のファイルを削除することによって行われてもよいし、更新後のファイルを更新前のファイルに上書きすることで行われてもよい。その後、処理はステップS804へ進む。
【0102】
ステップS804では、更新対象リストが更新される。ファイルの更新が完了すると、データ操作部22は、更新対象リストから、完了した更新対象を削除する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0103】
なお、図13を参照して説明したファイル更新処理は、対象となるマルチページファイルを外部ストレージ9に送信したスキャナ装置1以外の情報処理装置によっても実行可能である。即ち、スキャナ装置1のデータ操作部22は、所定のタイミングで実行される、外部ストレージ9に対してページデータの削除を要求する処理の少なくとも一部を、当該情報処理システムに代わって他の情報処理装置に行わせることが出来る。
【0104】
より詳細に説明すると、同じ外部ストレージ9に接続する他の情報処理装置(スキャナ装置1と同機種の他のスキャナ装置であってもよいし、その他の情報処理装置であってもよい)は、指定時刻に装置が待機状態であり且つ外部ストレージ9にアクセス可能であれば、当該外部ストレージ9に保存されている、スキャナ装置1又はその同機種のスキャナ装置によって保存されたマルチページファイルを検索し、索出されたマルチページファイルに非表示データや編集フラグデータが存在している場合、マルチページファイルから不要なデータの削除や編集を実行することが可能である。
【0105】
このような仕組みを備えることで、スキャナ装置1の電源が落とされている、又はスキャナ装置1がユーザによって使用されている(待機状態ではない)、等の理由で外部ストレージ9へのファイル保存を行ったスキャナ装置1自身がファイル更新処理を実行できないような場合であっても、他の情報処理装置がジョブの情報を参照し、ジョブの送信先に更新対象リストがある場合に、更新対象リストに基づいて対象のマルチページファイル内にある非表示のままのページデータを削除することが出来る。ファイル更新処理の流れは、他の情報処理装置が実行する場合であっても、図13を参照して説明したファイル更新処理と概略同様であるため、説明を省略する。
【0106】
<効果>
上記開示した技術によれば、読み取り後のサムネイル表示から編集したいページを指定し、削除や回転等の編集指示を行うことにより、ユーザの編集作業の手間を省き、ドキュメント管理業務の効率を向上させることが可能となる。更に、ページの編集作業の作業性が向上するため、気軽に読み取りを開始することができ、不要ページが紛れ込む等の失敗に対するリカバーも容易となる。結果として、読取作業の際にユーザに与える不快感を軽減し、ユーザエクスペリエンスが向上する。
【0107】
更に、上記開示した技術によれば、読み取り後のサムネイル表示において様々な編集操作が可能となり、ファイル保存の前に編集理を完了させる必要がなくなるため、結果的にスキャナによる読取処理を高速化することが可能となる。また、リネーム処理についても、他の情報処理装置と連携することで高速化を可能としている。
【0108】
<バリエーション>
上記説明した実施形態では、保存設定をシングルページ保存とマルチページ保存との間で選択可能なスキャナ装置1において本開示に係る技術を実施する例を説明したが、本開示に係る技術を適用可能な情報処理装置は、シングルページ保存とマルチページ保存とを選択可能な装置に限定されない。本開示に係る技術は、シングルページ保存のみ可能な情報処理装置、マルチページ保存のみ可能な情報処理装置のいずれにも適用可能である。
【0109】
上記説明した実施形態では、クラウドサーバやファイルサーバ、オンラインストレージ等の外部ストレージと、ファイル共有やFTP等のネットワークプロトコルを用いて連携を行う態様を説明した。しかし、外部ストレージの種類、及び外部ストレージとの連携に用いられるプロトコルの種類は、上記説明した例に限定されない。例えば、外部ストレージとして、USBインターフェース等の周辺機器接続インターフェースを介して接続されたUSBメモリや外付けドライブ、スキャナ装置1自身の記憶装置14等が採用されてもよい。
【0110】
上記説明した実施形態では、スキャナ装置1に備えられたタッチパネルディスプレイにサムネイルを含む編集画面を表示させ、ユーザ操作を受け付けることとしていたが、編集画面の表示及びユーザ操作の受付は、その他の手段によって行われてもよい。例えば、読取ユニットとしてのスキャナ装置に接続され、当該スキャナ装置を制御するコンピューター上で動作するアプリケーションを介して、当該コンピューターのディスプレイにサムネイルを含む編集画面を表示させ、当該コンピューターの入力装置を介してユーザ操作を受け付けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1 情報処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12
図13