(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115076
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】メールアーカイブシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/107 20230101AFI20240819BHJP
【FI】
G06Q10/107
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020542
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧 純一郎
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】送受信された大量のメールについて、目的のメールを探しやすく、かつ、共有しやすくできる簡便なメールアーカイブ機能を実現する。
【解決手段】メールアーカイブサーバ10は、アーカイブ用アドレスを生成してユーザ端末30に送信するアーカイブ用アドレス生成部12と、ユーザ端末30から送信されたアーカイブ用アドレス宛のアーカイブ対象メールをメールサーバ40から受信するアーカイブ対象メール受信部13と、受信されたアーカイブ対象メールをアーカイブ用アドレス毎にメールアーカイブDB20に振り分けて蓄積する受信メールアーカイブ部14と、蓄積されたアーカイブ対象メールのうち、所定のアーカイブ対象メールを抽出してユーザ端末30に送信するアーカイブ対象メール抽出部15と、ユーザ端末30に送信されたアーカイブ対象メールに対して所定の検索処理を実行するアーカイブ対象メール検索処理部16を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は二以上の送信先アドレスに送信されるメールをアーカイブするためのシステムであって、
前記アーカイブを利用するユーザが使用するユーザ端末と、前記ユーザ端末から送信されるメールを受信して送信先アドレスに送信するメールサーバと、前記ユーザ端末及びメールサーバと通信可能に接続されるメールアーカイブサーバと、を備え、
前記メールアーカイブサーバは、
アーカイブ用アドレス宛のアーカイブ対象メールを前記メールサーバから受信するアーカイブ対象メール受信部と、
受信されたアーカイブ対象メールを、前記アーカイブ用アドレス毎に所定の記憶領域に振り分けて蓄積する受信メールアーカイブ部と、
前記ユーザ端末からの入力操作に応じて、蓄積された前記アーカイブ対象メールのうち、所定のアーカイブ対象メールを抽出し、当該ユーザ端末に送信するアーカイブ対象メール抽出部と、を備える
ことを特徴とするメールアーカイブシステム。
【請求項2】
前記ユーザ端末からの入力操作に応じて、当該ユーザ端末に送信された前記アーカイブ対象メールに対して所定の検索処理を実行し、検索結果を当該ユーザ端末において表示可能に送信するアーカイブ対象メール検索処理部を備える
ことを特徴とする請求項1記載のメールアーカイブシステム。
【請求項3】
前記ユーザ端末から送信される前記アーカイブ対象メールが、複数の送信先アドレスに送信された同報メールである場合に、
前記受信メールアーカイブ部は、
前記アーカイブ用アドレスに代えて、前記複数の送信先アドレスが一致する送信先アドレス毎に、前記アーカイブ対象メールを、前記所定の記憶領域に振り分けて蓄積する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のメールアーカイブシステム。
【請求項4】
前記ユーザ端末から送信される前記アーカイブ対象メールが、複数の送信先アドレスに送信された同報メールである場合に、
前記アーカイブ対象メール抽出部は、
前記ユーザ端末からの入力操作に応じて、蓄積された前記アーカイブ対象メールのうち、前記同報メールの送信先アドレスに対応するアーカイブ対象メールのみを抽出する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のメールアーカイブシステム。
【請求項5】
前記アーカイブ対象メール抽出部は、
前記ユーザ端末からの入力操作に応じて、蓄積された前記アーカイブ対象メールのうち、当該ユーザ端末から送信されたメールの送信元アドレスに対応するアーカイブ対象メールのみを抽出する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のメールアーカイブシステム。
【請求項6】
前記アーカイブ対象メール抽出部は、
前記ユーザ端末に送信されたアーカイブ対象メールを抽出可能な所定の識別情報を生成し、当該ユーザ端末に送信する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のメールアーカイブシステム。
【請求項7】
前記アーカイブ対象メール検索処理部は、
前記ユーザ端末において、前記検索結果に含まれるアーカイブ対象メールの所定部分のみを表示させ、所定部分以外の部分を表示させない
ことを特徴とする請求項1又は2記載のメールアーカイブシステム。
【請求項8】
前記ユーザ端末との通信を行わせるための所定の認証処理を実行するユーザ認証処理部を備える
ことを特徴とする請求項1又は2記載のメールアーカイブシステム。
【請求項9】
一又は二以上の送信先アドレスに送信されるメールをアーカイブするための装置を構成するメールアーカイブサーバであって、
前記アーカイブを利用するユーザが使用するユーザ端末、及び前記ユーザ端末から送信されるメールを受信して送信先アドレスに送信するメールサーバと通信可能に接続され、
アーカイブ用アドレス宛のアーカイブ対象メールを前記メールサーバから受信するアーカイブ対象メール受信部と、
受信されたアーカイブ対象メールを、前記アーカイブ用アドレス毎に所定の記憶領域に振り分けて蓄積する受信メールアーカイブ部と、
前記ユーザ端末からの入力操作に応じて、蓄積された前記アーカイブ対象メールのうち、所定のアーカイブ対象メールを抽出し、当該ユーザ端末に送信するアーカイブ対象メール抽出部と、を備える
ことを特徴とするメールアーカイブサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば企業や団体,組織等において社員や従業員等が使用・送受信するメール、例えば複数の送信先に一斉送信される同報メール等をアーカイブするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、企業や団体,組織等では、そこに所属する社員や従業員等の業務遂行のためのコミュニケーションツールとしてメール(電子メール・Eメール)が使用されている。
例えば、複数の送信先に同一内容の文面等を一斉送信できる同報メール(同報システム)は、企業の同一部署の所属メンバーや、共通のプロジェクトに携わる複数の構成員など、登録されたメンバーのみの間で送受信・参照等ができる便利な情報共有ツールとして広く活用されている。
【0003】
ところで、一般に送受信されたメールは、同報メールを含めて、その管理や保存等は、メールを送受信した個人が、自身の判断においてPCやスマートフォン,メールソフト(メーラー)等で行っており、過去のメールを参照したり、必要なメールを検索したりすることも、各人がメールアプリ等の機能を使用して行っていた。
このため、例えば必要なメールを保存せず削除してしまった、大量の保存メールによって必要なメールを探し出すのに時間がかかる、といった不利不便があった。
【0004】
ここで、上記のような多数のメールを適切に保存・管理することを目的として、例えば、特許文献1には、複数のグループ会社で同一のメールドメインを用いている大企業等の組織形態に対応したアーカイブ方法として、グループ会社ごと(テナントごと)や、グループ会社内の特定の部署ごと、特定の個人ごとといった単位ごとにアーカイブすることを目的とした「メール加工サーバ、メールアーカイブ方法、及びメールアーカイブシステム」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術を含めて、これまでのメールアーカイブの支援技術には、更なる改良の余地があった。
例えば、特許文献1のメールアーカイブ方法は、単に同一のメールドメインを用いる組織において、指定したグループ会社ごと・テナントごと・会社内の特定の部署ごとに、メールを格納するというものに過ぎず、同報メールを含む多数のメールが送受信される場合の上述した課題を解決できるものではなかった。
【0007】
例えば、クラウド型メーラーであればメールは個人別で蓄積されているものの、同報メールと通常メールが混在している状態では、ユーザは同報メールのみを対象として所望の同報メールを抽出するようなことは、メーラーのフォルダ機能やフィルタ機能等を用いて仕分ける必要があり、つまりユーザ個人の努力によって利便性を補う必要があった。
また、内容としても、同報メールはリプライの形で何重にも引用形式でコンテキストが蓄積されることから、一読しても内容を把握できず、視認性も良くないという問題があった。
【0008】
また、メーラー(メールソフト)の検索機能に関して、検索キーワードが適切に機能しないとか、逆に引用文・宛名・署名などの不要な情報までヒットしてしまうといった問題があった。
また、複数の送信先に一斉送信される同報メールの場合、同報から個人に配付されるメールは、各自が保管・検索するしかなく、利便性が低く、管理も煩雑となるといった問題があった。また、同報のグループに所属する前のメールは、そもそも受信していないため、過去のメールを参照したり遡ったりということ自体ができなかった。
【0009】
また、自分が受信したメールでも、そのメールを削除・消失してしまうと、もはやその情報にアクセスすることができなくなり、証跡管理上の脆弱性という問題もあった。
また、異動や離職等に伴い同報の登録メンバーが変化する過程で、過去の同報宛メールが現有の登録メンバーでは遡り切れない状況が生じることがあり、場合によっては必要な情報へのアクセスが永久に不可能になる、といった問題もあった。
さらに、複数人の間で特定のメールの話を共有するような場合に、そのメール自体が探しづらければ、情報の共有自体が困難になるという問題もあった。また、仮に目的のメールを探し出せたとしても、当該メール本文を業務用チャット等に転載するか、または当該メールを再転送する形で共有することが一般的だが、それだけでは当該メールの前後の返信のやりとりを含めて共有することができない、という問題もあった。
このため、目的のメールへのアクセスがWebアプリケーションを通じて関係者向けに開放されていれば、例えばURLを共有するだけで複数の人間がそれぞれメール情報を参照することが可能となり、また、それぞれが当該ページを起点に前後の返信メールへのアクセスすることも容易となるため、きわめて便利な情報共有ツールとなり得るが、そのような簡便な情報共有を実現するための技術等の提案はなされていない。
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するために提案されたものであり、個人間やグループ内などで送受信される大量のメールについて、目的のメールを探しやすく、かつ、共有しやすくできる簡便なメールアーカイブ機能を実現することができる、特に複数人の間で大量のメールが繰り返し送受信される同報メールの管理・運用に好適なメールアーカイブシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、一又は二以上の送信先アドレスに送信されるメールをアーカイブするためのシステムであって、前記アーカイブを利用するユーザが使用するユーザ端末と、前記ユーザ端末から送信されるメールを受信して送信先アドレスに送信するメールサーバと、前記ユーザ端末及びメールサーバと通信可能に接続されるメールアーカイブサーバと、を備え、前記メールアーカイブサーバは、前記ユーザ端末からの入力操作に応じて、所定のアーカイブ用アドレスを生成し、当該ユーザ端末に送信するアーカイブ用アドレス生成部と、前記ユーザ端末から送信された前記アーカイブ用アドレス宛のアーカイブ対象メールを前記メールサーバから受信するアーカイブ対象メール受信部と、受信されたアーカイブ対象メールを、前記アーカイブ用アドレス毎に所定の記憶領域に振り分けて蓄積する受信メールアーカイブ部と、前記ユーザ端末からの入力操作に応じて、蓄積された前記アーカイブ対象メールのうち、所定のアーカイブ対象メールを抽出し、当該ユーザ端末に送信するアーカイブ対象メール抽出部と、前記ユーザ端末からの入力操作に応じて、当該ユーザ端末に送信された前記アーカイブ対象メールに対して所定の検索処理を実行し、検索結果を当該ユーザ端末において表示可能に送信するアーカイブ対象メール検索処理部と、を備える構成としてある。
【0012】
また、本発明は、上記のような本発明に係るメールアーカイブシステムで実行されるプログラムとして構成することができる。
さらに、本発明は、上記のような本発明に係るメールアーカイブシステム及びプログラムによって実施可能な方法として実施することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば企業や団体等においてビジネスツール、コミュニケーションツールとして使用される、個人間やグループ内などで送受信される大量のメールについて、目的のメールを探しやすく、かつ、共有しやすくできる簡便なメールアーカイブ機能を実現することができる。
これによって、特に複数人の間で大量のメールが繰り返し送受信される同報メールの管理・運用に好適なメールアーカイブシステムを提供することができるメールアーカイブシステム及びプログラム・方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るメールアーカイブシステムの全体構成を模式的に示す説明図である。
【
図2】メールアーカイブシステムにおける各部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】メールアーカイブシステムにおけるメールアーカイブのイメージを模式的に示す説明図であり、(a)はアーカイブ用アドレスの設定イメージ、(b)はアーカイブ対象メールをアーカイブするメールの振り分けのイメージ、(c)は蓄積されたアーカイブ対象メールを複数のユーザが参照・閲覧・検索等するイメージを示している。
【
図4】メールアーカイブシステムにおけるアーカイブ用アドレスの生成処理における処理動作を示すフローチャートである。
【
図5】メールアーカイブシステムにおける同報メールの送信・アーカイブ処理における処理動作を示すフローチャートである。
【
図6】メールアーカイブシステムにおけるアーカイブされたアーカイブ対象メールの抽出・検索処理における処理動作を示すフローチャートである。
【
図7】メールアーカイブシステムにおいて抽出されたアーカイブ対象メールの表示・検索画面の一例を示す説明図である。
【
図8】メールアーカイブシステムにおけるサーバ・ユーザ端末・システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るメールアーカイブシステムの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
ここで、以下に示す本発明のメールアーカイブシステム(本システム)は、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される処理,手段,機能によって実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示す本発明に係る所定の処理や機能等を行わせることができる。すなわち、本発明における各処理や手段,機能は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
【0016】
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
また、本システムは、単一の情報処理装置(例えば一台のパーソナルコンピュータ等)で構成することもでき、複数の情報処理装置(例えば複数台のサーバコンピュータ群等)で構成することもできる。
【0017】
また、本システムを構成する装置群に含まれる各情報処理装置は、例えば
図8に示すように、CPU301、RAM302、ROM303、HDD304、入力装置305、表示装置(ディスプレイ)306、通信IF307等を含むハードウェアによって構成される。これらの構成要素はシステムバスで接続され、システムバスを介してデータのやり取りが行われる。CPU(Central Processing Unit)301は、中央処理装置とも呼ばれ、コンピュータの中心的な処理を行う部位であり、各装置の制御やデータの計算や加工を行う。RAM(Random Access Memory)302は、メモリ装置の一種で、データの消去や書き換えが可能なものである。ROM(Read Only Memory)303は、半導体などを用いたメモリ装置の一種で、データ書き込みは製造時1回のみで、利用時には記録されたデータの読み出しのみできるものである。HDD(Hard Disk Drive)304は、磁性体の性質を利用し、情報を記録し読み出す補助記憶装置である。入力装置305は、ユーザがコンピュータに対して操作指示を行うため、あるいは、文字等を入力するために使用され、具体的には、キーボード、マウス等で構成される。表示装置306は、例えば液晶ディスプレイ等で構成される。本システムにおける各装置は、入力装置305及び表示装置306が一体となったタッチパネル機能を有する装置を備えていてもよい。また、他の端末や情報処理装置等との通信が可能となる通信機能(通信IF307)を備えることもできる。通信IF(Inter Face)は、所定の通信規格に従って他の装置と通信するための装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)を含む。
【0018】
[システム構成]
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るメールアーカイブシステム1(以下「本システム1」という)は、メールアーカイブサーバ10と、一又は二以上のユーザ端末30(30a~30n)と、メールサーバ40、同報システム50とを備えて構成されている。
これらメールアーカイブサーバ10・ユーザ端末30・メールサーバ40・同報システム50は、LAN・WAN等のネットワークを含むインターネット100を介して接続され、それぞれ相互にデータ通信が可能となっている。
【0019】
これによって、ユーザ端末30で生成され一又は二以上の送信先に送信されたメールが、メールサーバ40や同報システム50を介して、送信先アドレスのユーザ端末30に送信されるとともに、アーカイブ用アドレス宛のメールがメールアーカイブサーバ10に送信され、所定のアーカイブ処理の対象となるアーカイブ対象メールとして受信・蓄積されるようになる。
また、メールアーカイブサーバ10は、インターネット100を介して、例えば外部(国内外)に設置されている図示しない所定の外部システムとも通信可能に接続されるようになっている。
【0020】
ここで、メールアーカイブサーバ10とユーザ端末30は、例えば同一の組織・企業等に設置される情報処理装置によって構成することができる。この場合には、本システム1はメールアーカイブサーバ10及びユーザ端末30によって構成されることになり、本システム1を、例えば同一の組織・企業単位で運用される社内システムとして機能させることができる。
また、メールアーカイブサーバ10とユーザ端末30は、それぞれ異なる組織・企業等に設置される情報処理装置によって構成することができる。この場合には、例えば、メールアーカイブサーバ10は、本システム1をサービスとして顧客に提供する企業が運用する情報処理装置、ユーザ端末30は、本システム1を介してメールアーカイブのサービス提供を受ける一又は二以の各企業や組織・団体等に備えられる情報処理装置によって構成することもできる。この場合には、ユーザ端末30は、本システム1にネットワークを介して接続される外部装置として機能することになり、本システム1はメールアーカイブサーバ10のみによって構成されることになる。
【0021】
さらに、メールアーカイブサーバ10と、メールサーバ40と、同報システム50とは、本実施形態では、それぞれ独立した別々の構成としてあるが(
図1参照)、本発明の機能を果たす限り、特にそのような構成に限定されることはない。
例えば、メールアーカイブサーバ10は、メールサーバ40に含まれる構成とすることができ、また、同報システム50がメールサーバ40やメールアーカイブサーバ10に含まれる構成とすることも可能である。
【0022】
[メールアーカイブサーバ]
メールアーカイブサーバ10は、例えば各企業や組織等において、社員・従業員等が使用・送受信するメール、例えば複数の送信先に一斉送信される同報メール等を含む、メールサーバ40や同報システム50を介して一又は二以上の送信先アドレスに送信されるメールをアーカイブするためのサーバ装置であり、本システム1の中核となる情報処理装置であり、本発明のメールアーカイブシステムを構成している。なお、メールアーカイブサーバ10は受信されるメールをアーカイブする他、メーラーからのメールのエクスポートデータをインポートしてそのメールをアーカイブする機能を有していてもよい。
このメールアーカイブサーバ10は、例えば、1又は2以上のサーバコンピュータやパーソナルコンピュータ、クラウドコンピューティングサービス上に構築された1又は2以上の仮想サーバからなるサーバシステム等、所定のプログラム(ソフトウェア)が実装された情報処理装置によって構成することができる。
【0023】
また、メールアーカイブサーバ10には、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)などが備えられ、サーバコンピュータとして運用されるようになっている。なお、ここでは、サーバコンピュータでの構成にて説明するが、クラウドサービスを組み合わせた所謂サーバレス構成で同一機能を実装することも可能である。
そして、メールアーカイブサーバ10には、Webサーバプログラムなどのミドルウェア上で稼働するソフトウェアが実装されるようになっている。
このソフトウェアは、1又は2以上のユーザ端末30に対して、インターネット100等のネットワークを介して、例えばAPI(Application Programming Interface)という形で利用可能なアプリケーションを公開、提供する。
これにより、各ユーザ端末30では、メールアーカイブサーバ10から提供・提案される、例えばメールのアーカイブ機能・検索機能・転送機能・URL生成機能など、本システム1で提供・実行されるメールアーカイブのために運用される専用のアプリケーションプログラムやウェブブラウザ等を呼び出してログインすることにより、本発明に係るメールアーカイブシステムの機能を実行させ使用することができるようになる(
図7参照)。
なお、APIを利用することなく、Webアプリケーションの構成にて実装することも可能である。また、検索機能を提供するために、メールアーカイブサーバ10内に「検索エンジン」と「検索インデックス」の機能を内包することもできるし、メールアーカイブサーバ10外にある「検索エンジン」と「検索インデックス」の機能を利用して検索機能を提供してもよい。
【0024】
また、メールアーカイブサーバ10には、データベース等として実装される後述する所定のメールアーカイブDB(データベース)20を備えるとともに、本発明に係るメールアーカイブシステムの運用に必要となる所定の情報を取得・蓄積する記憶手段が備えられる。
記憶手段には、各種の情報リソースとして、本システム1における管理対象となるメールのアーカイブ機能を実行するための所定情報、例えば本システム1のアーカイブ機能を利用可能なユーザの識別情報(ユーザ名・ID・PW・メールアドレス等),アーカイブ用アドレス,メール送信先/送信元アドレス,メールのアーカイブ先となる記憶領域の識別情報(IPアドレス・URL等)などが記憶されるとともに、後述する各ユーザ端末30から送信されるアーカイブ用アドレス宛のアーカイブ対象メールを、アーカイブ用アドレス毎や複数の送信先アドレスが一致する送信先アドレス毎に設定された記憶領域(メールアーカイブDB20)に蓄積・記憶し、本システム1の運用に伴って随時必要な情報が読み出されて、記憶され更新されるようになっている。
【0025】
そして、本実施形態に係るメールアーカイブサーバ10は、
図2に示すように、ユーザ認証処理部11,アーカイブ用アドレス生成部12,アーカイブ対象メール受信部13,受信メールアーカイブ部14,アーカイブ対象メール抽出部15,アーカイブ対象メール検索処理部16の各部として機能するように構成される。
また、メールアーカイブサーバ10には、上述した記憶手段によって構成される所定のアーカイブメール情報が蓄積・管理されるメールアーカイブDB20が構築されている。
【0026】
メールアーカイブDB20は、本システム1が所定のアーカイブ用アドレス宛のメール(アーカイブ対象メール)を受信すると、アーカイブ用アドレス毎、あるいは複数の送信先アドレスが一致する同報メールの送信先アドレス毎に、所定の記憶領域に振り分けて蓄積して、メールアーカイブ用のデータベースとして管理・運用されるようになっている。
本実施形態では、
図2に示すように、archive-1:21a,archive-2:21b,archive-3:21c,archive-4:21d,・・・archive-n:21nのように、アーカイブ用アドレス毎、あるいは同報メールの送信先アドレス毎に、アーカイブ対象メールが振り分けて蓄積・アーカイブされるようになる。
【0027】
これによって、メールアーカイブDB20にアーカイブされたアーカイブ対象メールは、後述するように、ユーザ端末30からの入力操作に応じて、本システム1の抽出・検索処理の対象として閲覧・検索・転送等が行えるようになる。
図3に、本システム1におけるアーカイブメールのイメージを模式的に示す。
図3(a)に示すように、例えば複数のユーザに一斉送信される同報メールの送信先アドレスとして、本システム1を宛先とする専用メールアドレス(アーカイブ用アドレス)を設定・登録することができる。
これにより、
図3(b)に示すように、送信先アドレスとしてアーカイブ用アドレスが設定された同報メールは、各送信先アドレスのユーザに受信されるとともに、本システム1においてアーカイブ対象メールとして受信され、メールアーカイブDB20の所定の記憶領域に蓄積され、自動でアーカイブ化されるようになる。
【0028】
そして、
図3(c)に示すように、メールアーカイブDB20にアーカイブされたアーカイブ対象メールは、インターネット100を介して本システム1にアクセス・ログインしたユーザのユーザ端末30からの入力操作に応じて、本システム1の抽出・検索処理の対象として、必要な閲覧・検索・転送等が行えるようになる。これにより、ユーザは、Webシステム上で、所望のアーカイブ対象メールについて閲覧・検索等の必要な処理ができるようになる。
具体的には、以下のようなユーザ認証処理部11,アーカイブ用アドレス生成部12,アーカイブ対象メール受信部13,受信メールアーカイブ部14,アーカイブ対象メール抽出部15,アーカイブ対象メール検索処理部16の各部における各処理動作が実行されることにより、メールアーカイブDB20へのアーカイブ対象メールのアーカイブ処理や、アーカイブされたメールの抽出・検索処理等、本発明に係るメールアーカイブが実現できるになっている。
【0029】
[ユーザ認証処理部]
ユーザ認証処理部11は、本システム1とユーザ端末30との通信を行わせるための所定の認証処理を実行する。
具体的には、ユーザ認証処理部11は、本システム1へのログインを要求するユーザ端末30から送信された当該ユーザの識別情報、例えばID及びPWを受信すると、当該ID・PWについてメールアーカイブDB20の情報を参照して認証処理を実行し、本システム1へのログインの可否を決定し、認証結果をログイン要求に係る当該ユーザ端末30に送信する。
認証処理の結果、ログインが許可されたユーザ端末30は、本システム1にアクセスして、アーカイブ用アドレスの発行要求や、アーカイブ対象メールの抽出要求,検索要求等を行えるようになる。
【0030】
このように、ユーザ認証処理部11は、ユーザ端末30からのログイン要求があると、所定の認証処理を自動で実行するものである。
このようなユーザ認証処理部11の具体的な処理動作については、
図4~
図6を参照しつつ後述する。
【0031】
なお、本システム1では、SSO(IDaaS)によって、本システム1のメールアーカイブサーバ10にログインするための認証処理(ユーザ認証処理部11)と、後述する同報システム50にログインするための認証処理を、共通のIDやPWで行うことができる。
ここで、SSO(シングルサインオン)とは、一度のユーザ認証処理によって独立した複数のソフトウェアシステム上のリソースが利用可能になる特性である。この特性によって、ユーザはシステムごとにユーザIDとパスワードの組を入力する必要がなくなる。また、IDaaSとは「Identity as a Service」の略であり、クラウド経由でID認証及びIDパスワード管理,SSO,アクセス制御などを提供するサービスである。このようなSSO,IDaaSのサービスは、インターネット100等のネットワークを介して、図示しない外部システムから提供されるようになっている。
本システム1では、これらの機能を活用して、メールアーカイブサーバ10へのログインと、同報システム50へのログインを共通のIDやPWで行えるようにすることで、ユーザの利便性を向上させることができるようになる。
【0032】
[アーカイブ用アドレス生成部]
アーカイブ用アドレス生成部12は、ユーザ端末30からの入力操作に応じて、所定のアーカイブ用アドレスを生成し、当該ユーザ端末30に送信する。
具体的には、アーカイブ用アドレス生成部12は、アーカイブ用の専用のアドレス発行を要求するユーザ端末30からのアドレス発行要求情報を受信すると、発行要求毎に異なる専用のアーカイブ用アドレスを生成し、当該アドレスを要求に係るユーザ端末30に送信する。
【0033】
これによって、専用のアーカイブ用アドレスを受信したユーザ端末30では、その専用アドレスを使用して個人向けのメールや複数向けの同報メールを生成・送信することにより、当該メールを本システム1に送信して、アーカイブメールとして蓄積・登録することができ、その後、必要に応じてアーカイブされたメールを閲覧・参照・検索等することができるようになる。
【0034】
このように、アーカイブ用アドレス生成部12は、ユーザ端末30からの専用のアーカイブ用アドレスの発行要求があると、所定のアドレス生成・発行処理を自動で実行するものである。
このようなアーカイブ用アドレス生成部12の具体的な処理動作についても、
図4~
図6を参照しつつ後述する。
【0035】
[アーカイブ対象メール受信部]
アーカイブ対象メール受信部13は、ユーザ端末30又はユーザ端末30以外の端末から送信されたアーカイブ用アドレス宛のアーカイブ対象メールをメールサーバ40から受信する。
具体的には、アーカイブ対象メール受信部13は、上述した専用のアーカイブ用アドレス宛のメールを受信し、その受信したメールをアーカイブ対象メールとして、受信メールアーカイブ部14に出力し、所定のアーカイブ処理の対象とする。
【0036】
このように、アーカイブ対象メール受信部13は、アーカイブ対象メールの受信処理を自動で実行するものである。
このようなアーカイブ対象メール受信部13の具体的な処理動作についても、
図4~
図6を参照しつつ後述する。
【0037】
[受信メールアーカイブ部]
受信メールアーカイブ部14は、受信されたアーカイブ対象メールを、アーカイブ用アドレス毎に所定の記憶領域に振り分けて蓄積するアーカイブ処理を実行する。
具体的には、受信メールアーカイブ部14は、上述したアーカイブ対象メール受信部13で受信されたアーカイブ対象メールを、そのアーカイブ対象メールのアーカイブ用アドレス毎に、メールアーカイブDB20に設定した専用の記憶領域、例えば、
図2に示すようなarchive-1:21a,archive-2:21b,archive-3:21c,archive-4:21d,・・・archive-n:21nのような各記憶領域に振り分けて記憶・蓄積させるようになっている。
【0038】
また、受信メールアーカイブ部14は、アーカイブ対象メールの蓄積時に、後述するアーカイブ対象メールの抽出・表示処理の際に省略可能な情報、例えば該当メールに含まれる引用や署名をマーキング付けする情報等を付加することができる。これによって、後述するアーカイブ対象メール抽出部15において該当するメールが抽出・表示されユーザ端末30で参照される際に、マーキングされた部分(引用,署名等)を省略表示することができるようになる。
なお、別例として、アーカイブ対象メールの蓄積時にはマーキング処理することなく、参照表示に引用、署名部分を特定して表示する処理を行うこともできる。但し、この場合、特定処理にAI等が必要となることもあり、相応の処理負担が生じることから、上述したメールアーカイブDB20への蓄積時のマーキング情報等の付加処理を行うことが好ましい。
【0039】
以上のように、受信メールアーカイブ部14は、受信されたアーカイブ対象メールのアーカイブ処理を自動で実行するものである。
このような受信メールアーカイブ部14の具体的な処理動作についても、
図4~
図6を参照しつつ後述する。
【0040】
[アーカイブ対象メール抽出部]
アーカイブ対象メール抽出部15は、ユーザ端末30からの入力操作に応じて、蓄積されたアーカイブ対象メールのうち、所定のアーカイブ対象メールを抽出し、当該ユーザ端末30に送信する。
具体的には、アーカイブ対象メール抽出部15は、メール抽出を要求するユーザ端末30から、例えば特定のアーカイブ用アドレスを指定したメール抽出要求情報を受信すると、メールアーカイブDB20を参照して、蓄積されているアーカイブ対象メールのうち、要求されたアーカイブ用アドレスに係るアーカイブ対象メールを全て抽出して、要求されたユーザ端末に閲覧可能に送信する(
図7参照)。
【0041】
具体的には、ユーザ端末30からのメール抽出要求として、いずれかの同報メールアドレスが選択されると、アーカイブ対象メール抽出部15は、メールアーカイブDB20に蓄積されている同報メールを抽出し、例えば一覧表示の形式(
図7参照)でユーザ端末30に表示されるように抽出メールの情報を送信する。
【0042】
これによって、同報メールに無関係なユーザから抽出要求があってもメール抽出は行われず、所定のユーザにのみに、アーカイブされている同報メールが抽出され、閲覧・参照等できるようになり、メール内容の秘匿性を確保しつつ、該当する参照権限のあるユーザにのみ必要なメールが提供されることになる。
このとき、同報メールの参照権限は、同報に所属するユーザに自動で与えられることになるので、権限管理の手間がかからない、簡易かつ確実なセキュリティ機能として実現できるようになる。
【0043】
また、アーカイブ対象メール抽出部15は、ユーザ端末30に送信されたアーカイブ対象メールを抽出可能な所定の識別情報を生成し、当該ユーザ端末に送信することができる。
具体的には、アーカイブ対象メール抽出部15は、ユーザ端末30からメール抽出要求に応じて抽出されユーザ端末30に送信されたメールが蓄積されたメールアーカイブDB20の所在地を示す識別情報を、例えばURLとして生成・出力し、当該URLを要求されたユーザ端末30に送信することができる。
このようにすると、URLを受信したユーザ端末30のユーザは、当該URLを他のユーザ端末30に送信・転送することで、当該URLで示されるメールを複数のユーザ間において参照・閲覧等することができ、例えば同報メールのように複数のユーザ間でやり取りされるメールや添付ファイル等を、URLを介して簡易かつ迅速に情報共有することが可能となる。
【0044】
なお、メールアーカイブDBの対象メールが蓄積された所在情報をURLとして生成する構成として説明したが、URL要求を受けた場合に、対象メールをメールアーカイブDBの一時記憶用の記憶領域に複製し、その複製された所在地を示す識別情報をURLとして生成する構成であってもよい。
また、メールアーカイブDBの対象メールが蓄積された所在情報をURLとして生成し、このURLにアクセスするユーザ端末は認証の如何を問わず対象メールを表示する構成とすることもできるし、対象メールを同報メールアドレスとして受信できないユーザであっても、本システム1にはログイン可能なユーザのみに対象メールを表示する構成であってもよい。
【0045】
特に、本システム1にログインできないユーザや、自分の在職時期の同報メールしか閲覧できないユーザなど、アーカイブ対象メールに直接アクセスできないユーザであっても、上記のようなURLの転送を受けることで、有用な情報を簡易・迅速に共有することができるようになる。
これによって、各メールにパーマリンクが発行されることになり、例えばURLを転送・共有して、複数のユーザ間で「あのメール」,「例のメール」といった情報の共有が可能となり、添付ファイルも保存することで、URLを介してファイル共有もできるようになる。
【0046】
例えば、ユーザ端末30に一覧表示やフィルタリング表示の形式で表示されている一のメール又は複数メールが選択されることで、アーカイブ対象メール抽出部15は、選択されたメールの参照用のURLを生成・発行する。
これによって、対象ユーザは、ユーザ端末30に送信・表示されたURLを他のユーザに転送して、該当メールを共有情報としてシェアすることが可能となる。
なお、URLの表示方法としては、例えば、Web表示のアンカー機能(Webページで対象ページのどの位置にジャンプ表示する機能)を用いることができる。これにより、ある同報メールアドレスのメールが連続表示され、指定された対象のメールをジャンプ表示させることが可能となる。
【0047】
また、スレッド型のメール表示のように、対象のメールとそれと関連するメールをひとまとまりに表示する機能(関連するかどうかは例えば件名の同一性やメールヘッダに挿入されたスレッドID等から判別するもの等ある)を用いることもできる。このとき、対象メール及び前後のメール以外は、折り畳み表示して見せないようにするようにしてもよい。
また、このような折り畳み表示を使用することで、例えば飛び飛びに複数のメールを指定して、それらのみを表示するURLを生成・発行することもできる。
【0048】
また、URLを転送された他のユーザについて、当該URLにアクセスすることで、認証処理を経てアーカイブシステムの該当ページへアクセスし、参照できるようにすることもできる。但し、原則としては、他のユーザが対象の同報メールにメンバーとして登録されていないと参照することができないようにすることが望ましい。なお、認証を経ることなくオープンにしてもよいし、同報メール毎にオープンにするのか、メンバクローズにするのかを選択・設定できる構成とすることもできる。
さらに、URLを他のユーザに転送することで、転送したメールを特定・共有できるだけでなく、例えばURL介した参照数が多いメールをランキング表示させたり検索結果の上位にしたり、あるいはブックマーク化するようなこともできるようになる。
【0049】
以上のように、アーカイブ対象メール抽出部15は、ユーザ端末30からのアクセス・抽出要求に応じて、特定のユーザに対して、特定のアーカイブ対象メールの抽出・アクセスを認める認証処理手段として機能することなる。
これによって、本システム1にログインする際の認証処理(ユーザ認証処理部11)に加えて、アーカイブ対象メールへのアクセスにも、各ユーザに対する認証・可否を判定することができ、例えば、各ユーザには自分が所属している同報メールのアーカイブのみ参照可能とし、また、自分の在職時期のメールしか見られないようにするなど、本システム1のログインに認証成功したユーザであっても、どのアーカイブメールを参照させてよいか、どのアーカイブメールは参照させないか、などを判断・決定することができる。つまり、各ユーザの各メールアーカイブに対する参照権限を実現しており、ユーザに参照権限のないメールアーカイブDBを閲覧させないための機構として働いている。また、前記したSSOを用いて、自分の所属する同報のメールアーカイブに自動的に参照権限をつけることも可能である。
【0050】
以上のように、アーカイブ対象メール抽出部15は、アーカイブ対象メールのメールアーカイブDB20からの抽出処理を自動で実行するものである。
このようなアーカイブ対象メール抽出部15の具体的な処理動作についても、
図4~
図6を参照しつつ後述する。
【0051】
[アーカイブ対象メール検索処理部]
アーカイブ対象メール検索処理部16は、ユーザ端末30からの入力操作に応じて、当該ユーザ端末30に送信されたアーカイブ対象メールに対して所定の検索処理を実行し、検索結果を要求に係る当該ユーザ端末30において表示可能に送信する。
具体的には、アーカイブ対象メール検索処理部16は、メール検索を要求するユーザ端末30からの検索要求情報を受信すると、当該ユーザ端末30に送信された前記アーカイブ対象メールについて、ユーザの検索要求に対応する所定の検索処理を実行する。
そして、その検索結果を、検索要求に係るユーザ端末30に送信し、閲覧可能に表示させる(
図6参照)。
【0052】
ここで、アーカイブ対象メール検索処理部16としては、例えば、以下のような検索処理を実行することができる(
図6参照)。
[バックエンド]
・メールソフト(メーラー)のエクスポートデータからのデータ抽出。
・メールに含まれる「To」,「From」,「Subject」,「Contents」等のメタ情報の抽出。
・メールのReplyツリーの抽出(スレッド化)。
・上記各データの検索エンジン「Elasticsearch(登録商標)」等へのインデックス登録。
・メールに含まれる挨拶,署名,引用文の判定・除去又は文字列検索対象からの除外。
・類似文の検索。
・要約・簡易スレッドの表示。
[フロントエンド]
・スレッド表示UI。
・検索UI。
【0053】
具体的には、アーカイブ対象メール検索処理部16は、ユーザ端末30において、検索結果に含まれるアーカイブ対象メールの所定部分のみ(例えば本文のみ)を表示させ、所定部分以外の部分(例えば署名・引用文など)を表示させないようにすることができる。
このようにすることで、アーカイブ対象メール検索処理部16による検索処理結果を受信したユーザは、例えば所望の同報メールをアーカイブから抽出し、さらに、例えば複数の同報メールをスレッド表示させ、また、各同報メールのメール本文のみを表示させることが可能となり、必要かつ有用な情報のみを、簡易かつ迅速に抽出し、表示・閲覧・参照等することが可能となる。
【0054】
例えば、上述のとおり、アーカイブ対象メール抽出部15は、ユーザ端末30の入力操作に応じていずれかの同報メールアドレスが選択されると、メールアーカイブDB20に蓄積されている同報メールを抽出して、例えば
図7に示すような一覧表示の形式で抽出したメールをユーザ端末30に表示させる。
これによりユーザは、ユーザ端末30に表示される上述した検索UI(
図7参照)を使用して、例えばキーワード,日時等でフィルタリングして所望のメールのみ表示させることができる。また、複数の同報アドレスを横断検索してもよい。
【0055】
また、一覧表示または検索抽出された複数メールが本文表示される場合には、各メールに付加されているマーキング情報を用いて引用メールや署名を省略して表示させることができる。
さらに、ユーザ端末30の入力操作に応じて、フィルタリング表示されている一のメール又は複数メールが選択されることで、上述したアーカイブ対象メール抽出部15により、参照用のURLが生成・発行させることもでき、これによって、対象ユーザは、発行されたURLを他のユーザに転送することが可能となる。
【0056】
以上のように、アーカイブ対象メール検索処理部16は、メールアーカイブDB20から抽出されたアーカイブ対象メールの検索処理を自動で実行するものである。
このようなアーカイブ対象メール検索処理部16の具体的な処理動作についても、
図4~
図6を参照しつつ後述する。
【0057】
[ユーザ端末]
ユーザ端末30(30a~30n)は、社内のLANやWAN等のネットワークやインターネット100を介してメールアーカイブサーバ10・メールサーバ40・同報システム50に接続可能な、本システム1のアーカイブ対象となるメールの生成・送受信等に使用される例えばPC,タブレット端末,スマートフォンなど、一又は二以上の情報処理装置によって構成することができる。
【0058】
そして、このようなユーザ端末30を介して、ユーザ端末30を使用する例えば当該企業や組織に所属する社員,従業員,スタッフ等は、インターネット100を介して、メールサーバ40から必要なメールの送受信が行えるとともに、メールアーカイブサーバ10にアクセスして、アーカイブされた所望のアーカイブメールにアクセスし、必要な情報を抽出し、閲覧・参照・検索等できるようになる(
図7参照)。
【0059】
[メールサーバ/同報システム]
メールサーバ40は、本システム1においてメールの送受信を行うためのメールサーバとして機能するPCやサーバ群等によって構成される情報処理装置である。
同報システム50は、本システム1において同報メールの送受信を行うための同報システムとして機能するPCやサーバ群等によって構成される情報処理装置である。
【0060】
具体的には、メールサーバ40は、例えばメールを送信・配送するSMTPサーバ,送信先のIPアドレスを調べるDNSサーバ,受信のために使われるPOPサーバ等の複数のサーバを備え、各ユーザ端末30から送信されたメールを、送信先アドレスの他のユーザ端末30や本システムにおいて受信させるためのメールサーバシステムである。
また、同報システム50は、一つの同報アドレスに対して送信されたメールを、予め同報メールの送信先アドレスとして登録された一又は二以上の送信先アドレスに送信するためのシステムであり、一つの同報アドレスに対してメールを送信すると、登録された一又は二以上の同報メールの送信先アドレスに対して、同じメールが一斉送信され、同報メールを受信したユーザが、受信した同報メールに対して返信すると、他の登録された同報メールの送信先アドレス全員にメールを送信できるものである。
【0061】
本システム1では、上述したアーカイブ用アドレス生成部12で生成されたアーカイブ用アドレスを送信先アドレスとする、あるいは送信先アドレスとして含む、一又は二以上のメール/同報メールが各ユーザ端末30から送信されると、メールサーバ40/同報システム50を介して、当該メール/同報メールが、本システム1において受信され、上述したアーカイブ対象メール受信部13,受信メールアーカイブ部14,アーカイブ対象メール抽出部15,アーカイブ対象メール検索処理部16及びメールアーカイブDB20の各部により、所定のメールアーカイブ処理が実行されることになる。
なお、これらメールサーバ40/同報システム50は、本システム1と通信可能に接続される限り、既存のメールサーバ/同報システムを利用して実現することができるので、これ以上の詳細な説明については割愛する。
【0062】
[動作]
次に、以上のような本システム1における具体的な処理・動作(メールアーカイブ方法の実施)について、
図4~
図7を参照して説明する。
本システム1では、上述したメールアーカイブサーバ10のユーザ認証処理部11,アーカイブ用アドレス生成部12,アーカイブ対象メール受信部13,受信メールアーカイブ部14,アーカイブ対象メール抽出部15,アーカイブ対象メール検索処理部16及びメールアーカイブDB20の各部による一連の処理動作を自動実行することにより、複数のユーザ端末30の間で送受信されるメールについて、目的のメールを探しやすく、かつ、情報を共有しやすくできるメールアーカイブ機能を実現するものである。
【0063】
[アーカイブ用アドレスの生成処理]
まず、
図4を参照しつつ、本システム1におけるアーカイブ用アドレスの生成処理の処理動作について説明する。
図4に、本システム1におけるアーカイブ用アドレスの生成処理における処理動作のフローチャートを示す。
同図に示すように、アーカイブ用アドレスの生成処理は、ユーザ端末30を介した本システム1へのログイン・認証処理によって開始する。
なお、上述のとおり、本システム1では、SSO(IDaaS)によって、以下に示す本システム1のメールアーカイブサーバ10にログインするための認証処理(
図4)と、後述する同報システム50にログインするための認証処理(
図5)を、共通のIDやPWで行えるようにすることができる。
【0064】
具体的には、ユーザの入力操作に応じて、ユーザ端末30において所定のID/PWが入力され、本システム1に送信されることで、ログイン・認証処理が開始する(ステップ401)。
本システム1では、ユーザ端末30から送信されたID/PWが受信されると(ステップ402)、当該ID/PWに基づいて認証処理が実行される(ステップ403:ユーザ認証処理部11)。
具体的には、ユーザ端末30から送信されたID/PWが、本システム1のメールアーカイブDB20に登録されている該当ユーザのID/PWと一致する場合には認証成功(ステップ404:Yes)となり、当該ユーザ端末30の本システム1へのログインが完了となる(ステップ405)。
【0065】
次に、ユーザは、本システム1からアーカイブ専用のアーカイブ用アドレスの生成・送信を受けることができる。
具体的には、アーカイブ用アドレスの生成処理は、本システム1にログインしたユーザは、ユーザ端末30からアーカイブ対象メールの本システム1への送信先アドレスとなるアーカイブ用アドレス要求を送信することで開始する(ステップ406)。
本システム1では、ユーザ端末30から送信されたアーカイブ用アドレス要求が受信されると(ステップ407)、当該ユーザ専用のアーカイブ用アドレスを生成し(ステップ408)、生成したアーカイブ用アドレスを、当該ユーザのユーザ端末30に送信する(ステップ409:アーカイブ用アドレス生成部12)。
アーカイブ用アドレスを要求したユーザは、ユーザ端末30でアーカイブ用アドレスを受信すると(ステップ410)、以後、ユーザ端末30から送信するメール/同報メールの送信先アドレスとして、アーカイブ用アドレスを使用することができ、アーカイブ用アドレスを送信先とされたメールは、本システム1において受信され、アーカイブメールとして処理されるようになる。
【0066】
[同報メールの送信・アーカイブ処理]
次に、
図5を参照して、本システム1における同報メールの送信・アーカイブ処理の処理動作について説明する。
図5に、本システム1における同報メールの送信・アーカイブ処理における処理動作のフローチャートを示す。
同図に示すように、同報メールの送信・アーカイブ処理は、ユーザ端末30を介した同報システム50へのログイン・認証処理によって開始する。
【0067】
具体的には、ユーザの入力操作に応じて、ユーザ端末30において所定のID/PWが入力され、同報システム50に送信されることで、同報システム50におけるログイン・認証処理が開始する(ステップ501)。
同報システム50では、ユーザ端末30から送信されたID/PWが受信されると(ステップ502)、当該ID/PWに基づいて認証処理が実行される(ステップ503)。
具体的には、ユーザ端末30から送信されたID/PWが、同報システム50に登録されている該当ユーザのID/PWと一致する場合には認証成功(ステップ504:Yes)となり、当該ユーザ端末30の同報システム50へのログインが完了となる(ステップ505)。
【0068】
次に、同報システム50にログインしたユーザは、本システム1から発行・取得したアーカイブ用アドレスを、同報メールの送信先アドレスに追加することができる(ステップ506)。具体的には、ユーザ端末30から同報システム50にアーカイブ用アドレスを含む所定の情報が送信される(ステップ506)。
同報システム50では、ユーザ端末30から送信されたアーカイブ用アドレスが受信されると、そのアーカイブ用アドレスが、当該ユーザの識別情報,同報メールアドレス等とともに、同報メールの送信先アドレスとして登録される(ステップ507)。
これによってユーザは、以後、ユーザ端末30から送信するメールとして、アーカイブ用アドレスを送信先に含む同報メールを作成・送信することができ、アーカイブ用アドレスを送信先とされた同報メールは、本システム1において受信され、アーカイブメールとして処理されるようになる。
【0069】
次に、同報システム50にアーカイブ用アドレスを登録したユーザは、本システム1から発行・取得したアーカイブ用アドレスを送信先に含む同報メールを送受信する。なお、当然であるが、同報アドレスを知っている不特定のユーザが同報アドレス向けにメールを送信することが可能であり、同報アドレスにより同報されるユーザの全てが同報アドレス宛てのメールを受信することが可能である。
具体的には、一例として、ユーザの入力操作に応じて、ユーザ端末30においてアーカイブ用アドレスを送信先に含む同報アドレスを指定した同報メールが作成され(ステップ508)、送信されると(ステップ509)、当該同報メールが、まず同報システム50で受信される(ステップ510)。
【0070】
同報システム50では、受信された同報メールの同報アドレスに登録されている一又は二以上の送信先として、アーカイブ用アドレスを含む送信先アドレス向けに送信される(ステップ511)。
同報システム50から送信された同報メールは、メールサーバ40で受信され(ステップ512)、メールサーバ40からアーカイブ用アドレスを含む送信先アドレス向けに送信される(ステップ513)。
【0071】
メールサーバ40から送信された同報メールは、アーカイブ用アドレスを送信先とするアーカイブ対象メールとして本システム1において受信され(ステップ514:アーカイブ対象メール受信部13)、メールアーカイブDB20の所定の記憶領域に蓄積・アーカイブされる(ステップ515:受信メールアーカイブ部14)。
これによって、メールアーカイブDB20にアーカイブされた同報メールは、本システム1のアーカイブメールとして、ユーザ端末30からのアクセスに応じて、抽出・閲覧・参照・検索・転送等のアーカイブ処理の対象として保持・管理されることになる。
【0072】
[アーカイブ対象メールの抽出・検索処理]
さらに、
図6を参照して、本システム1におけるアーカイブ対象メールの抽出・検索処理の処理動作について説明する。
図6に、本システム1におけるアーカイブされたアーカイブ対象メールの抽出・検索処理における処理動作のフローチャートを示す。
同図に示すように、アーカイブ対象メールの抽出・検索処理は、本システム1にログインしているユーザ端末30からのアクセスによって開始する。
【0073】
具体的には、まず、本システム1にログインしたユーザは、ユーザ端末30から本システムに対して、所望のアーカイブ用アドレスを指定したアーカイブ対象メールの表示要求を送信することができる(ステップ601)。
本システム1では、ユーザ端末30から送信されたアーカイブ表示要求が受信されると(ステップ602)、メールアーカイブDB20を参照して、表示要求にかかるアーカイブ用アドレスを含むアーカイブ対象メールを抽出し(ステップ604)、抽出されたアーカイブ対象メールを、表示要求に係るユーザのユーザ端末30に送信する(ステップ604:アーカイブ対象メール抽出部15)。
【0074】
本システム1から送信されたアーカイブ対象メールは、ユーザ端末30で受信され(ステップ606)、閲覧・参照可能な形式で表示される。
例えば、
図7に示すような一覧表示形式やスレッド表示形式で、抽出されたアーカイブ対象メールが表示されるようになり、ユーザは、ユーザ端末30への入力操作に応じて、所望のメールを閲覧・参照し、目的のメールの検索処理を行うことができる。
【0075】
アーカイブ対象メールの検索処理は、本システム1にログインしたユーザは、ユーザ端末30から本システムに対して、例えば所望のキーワードや日時,メールアドレス等を指定したアーカイブ検索要求を送信することにより開始する(ステップ607)。
本システム1では、ユーザ端末30から送信されたアーカイブ検索要求が受信されると(ステップ608)、検索要求で指定されたキーワード等に基づいてメールアーカイブDB20を参照・検索する検索処理を実行し(ステップ609)、該当するアーカイブ対象メールを抽出した検索結果を、検索要求に係るユーザのユーザ端末30に送信する(ステップ610:アーカイブ対象メール検索処理部16)。
【0076】
本システム1から送信された検索結果は、ユーザ端末30で受信され(ステップ606)、閲覧・参照可能な形式で表示される。
例えば、
図7に示すような一覧表示形式やスレッド表示形式で、検索されたアーカイブ対象メールが表示されるようになり、ユーザは、ユーザ端末30への入力操作に応じて、目的のメールを閲覧・参照し、特定のメールの共有処理を行うことができる。
【0077】
アーカイブ対象メールの共有処理(転送処理とも言える)は、本システム1にログインしたユーザは、ユーザ端末30から本システムに対して、アーカイブ対象メールの中から転送対象となる所望のメールを選択・指定した該当メールのURL要求を送信することにより開始する(ステップ612)。
本システム1では、ユーザ端末30から送信された該当メールのURL要求が受信されると(ステップ613)、URL要求で指定されたアーカイブ対象メールに基づいてメールアーカイブDB20を参照・検索して、該当するアーカイブ対象メールの記憶領域の所在地を示すURLを生成し、URL要求を送信したユーザのユーザ端末30に送信する(ステップ614:アーカイブ対象メール抽出部15)。
【0078】
本システム1から送信されたURLは、ユーザ端末30で受信され(ステップ615)、当該ユーザ端末30から他のユーザのユーザ端末30などに共有できるようになる。
これによって、URLで示されるメールを複数のユーザ間において共有することができ、メール本文の情報や添付ファイル等を、URLを介して容易かつ確実に情報共有できるようになる。
【0079】
以上説明したように、本システム1によれば、個人間でやり取りされるメール、グループ内や特定の構成メンバー間で利用される同報メールなど、多数のユーザ間で送受信される大量のメールについて、アーカイブ専用のメールアドレス(アーカイブ用アドレス)を登録し、送信先アドレスに追加して通常のメールと同様に送受信を行うだけで、該当するアーカイブ対象メールが自動的にアーカイブ化されるので、ユーザは、例えばWebシステム上で自由に閲覧・検索等することができ、また、所望のメールを、例えばURL等を介して簡単に転送・情報共有することができるようになる。
【0080】
例えば、既存のメーラー(メールソフト)には備えられていない検索性能・精度・UIなどが利用可能となり、検索キーワードに適切な検索結果を得ることができ、また、引用文・宛名・署名など不要な情報を削除・折り畳み等によって非表示にすることが可能となる。
また、アーカイブ用アドレスを送信先として指定するだけで、送信されたメールは本システム1において自動的にアーカイブ処理されるので、通常の一般メールであっても、複数の送信先に一斉送信される同報メールであっても、送受信したメールを個人に保管・管理することも、検索・捜索することも必要がなく、きわめて利便性・管理性の高いメール管理ツールとして利用できるようになる。
【0081】
また、同報メールのグループに所属する前に送受信された過去の同報メールについても、検索やURL等による転送・特定することで、参照したり遡ったりすることも容易に行えるようになる。
また、自分が受信したメールを誤って削除・消失した場合でも、アーカイブ対象メールとして本システム1に送信されたメールであれば、アーカイブメールとしてアクセスし閲覧・参照等することができる。
さらに、複数人の間でメールの話を共有するような場合には、目的のメールを、URL等を介して共有することができ、例えばメール本文をチャットに転載したり、メールを再転送したりするオペレーションと代替することができる。
【0082】
このようにして、本システム1によれば、例えば企業や団体等においてビジネスツール、コミュニケーションツールとして使用される一般メール/同報メールについて、目的のメールを探しやすく、かつ、共有しやすくできる簡便なメールアーカイブ機能を実現することができるようになる。
したがって、特に複数人の間で大量のメールが繰り返し送受信される同報メールの管理・運用に好適なメールアーカイブシステムを提供することができる。
【0083】
以上、本発明について好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明のアーカイブ対象となるメールとして、主に同報メールを例にとって説明したが、本発明の適用対象となるメールは、特に同報メールに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、通常のメール(一般メール)であると、複数の同報メンバーに一斉送信される同報メールであるとに関わらず、どのような形態・方式のメールであっても、アーカイブ機能が必要とされるものであれば、本発明の適用対象とすることができる。
【0084】
また、上述した実施形態では、アーカイブメールの検索機能として、キーワード,日時等を使用したフィルタリングや、複数の同報アドレスの横断検索、署名・引用文等の削除表示などを示したが、本発明に係るアーカイブメールの検索機能としては、例えば以下のような応用的な発展形態も実現可能である。
・テキストマイニングによる分析。
・本文を元にしたAI/機械学習による分類,タグ付け,担当先アサイン。
・AIによるリマインド(返信の放置やポテンヒットの検知)。
・自動FAQ化,ナレッジ化。
【0085】
また、上述した実施形態では、同報システム50とメールサーバ40を上述した機能をそれぞれ保有する構成で説明したが、同報システム50とメールサーバ40を一つのものとして機能を統合して実装することも可能であり、また、一方の機能を他方に移した構成であっても実装することは可能である。例えば、(ユーザ端末を通じたアーカイブアドレス作成の過程を省いて)、同報メールアドレスの作成と同時に専用アーカイブ用アドレスを自動生成して同報システムに登録する構成、又は、同報メールアドレスに送られるメールを(アーカイブ用アドレスを経由せず)直接メールアーカイブシステムに連携する構成であってもよい。
【0086】
また、本実施形態においてはアーカイブ用アドレスを個別に生成し、このアーカイブ用アドレスを同報メールの宛先に加えることで同報メールの蓄積とその参照を可能とするものであったが、アーカイブ用アドレスは個別に生成するのではなく、統一的な同一のアーカイブ用アドレスを用いることもでき、このような統一的なアーカイブ用アドレスを同報メールの宛先に加えることで複数種類の同報メールを同じ宛先のメールとして受信することになるが、同報メールアドレスによりメールアーカイブサーバはいずれの同報メールかを識別して蓄積し、ユーザからの参照要求においてもいずれかの同報メールかの指定を受けることで対応する同報メールのアーカイブされたメールをユーザに参照させることが可能となる。
【0087】
また、本実施形態においては、アーカイブ対象メール抽出部15は、ユーザ端末30からの入力操作に応じて、蓄積されたアーカイブ対象メールのうち、当該ユーザ端末30から送信されたメールの送信元アドレスに対応するアーカイブ対象メールのみを抽出する構成とすることもできる。これによって、アーカイブ対象メールが、一般メール・同報メールのいずれの場合にも、当該メールに無関係なユーザから抽出要求があってもメール抽出は行われず、該当するメールの送信者のみに、アーカイブされているメールが抽出され、閲覧・参照等できるようになり、メール内容のセキュリティを確保しつつ、該当する参照権限のあるユーザにのみ必要なメールが提供されることになる。このとき、該当するメールの参照権限は、当該メールの送信ユーザに自動で与えられることになるので、権限管理の手間がかからない、簡易かつ確実なセキュリティ機能として実現できるようになる。
【0088】
また、本実施形態において、受信メールアーカイブ部14は、アーカイブ対象メールが、複数の送信先アドレスに送信された同報メールである場合には、受信したメールのアーカイブ用アドレスに代えて、同報メールアドレス毎に、アーカイブ対象メールを、所定の記憶領域に振り分けて蓄積する構成とすることもできる。同報メールの場合には、専用のアーカイブ用アドレスだけでなく、同報メールアドレスによっても、その同報メールの属性を一意(ユニーク)に特定・識別することができるので、その場合には、当該メールをアーカイブ処理する識別情報として、専用のアーカイブ用アドレスと同報メールアドレスのいずれかを使用することもできる(両方であってもよい)。このような受信メールアーカイブ部14に対し、アーカイブ対象メール抽出部15でも、送信されたアーカイブ対象メールが、ユーザ端末30からメール抽出要求に応じて、メールアーカイブDB20に蓄積されたアーカイブ対象メールのうち、同報メールアドレスに対応するアーカイブ対象メールのみを抽出する構成とすることもできる。
【0089】
また、本実施形態においては、同報システムとメールアーカイブサーバの認証を連動させ、メールアーカイブサーバでアーカイブされているメールを参照する際に、対象ユーザがどの同報メールに所属しているかを確認し、参照する場合には対象ユーザが所属する同報メールに関するアーカイブされているメールのみを参照可能とする構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、例えば企業や団体,組織等において社員や従業員等が使用・送受信するメール、特に、複数の送信先に一斉送信される同報メール等をアーカイブするためのメールアーカイブシステムとして好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 メールアーカイブシステム
10 メールアーカイブサーバ
11 ユーザ認証処理部
12 アーカイブ用アドレス生成部
13 アーカイブ対象メール受信部
14 受信メールアーカイブ部
15 アーカイブ対象メール抽出部
16 アーカイブ対象メール検索処理部
20 メールアーカイブデータベース
30 ユーザ端末
40 メールサーバ
50 同報システム