(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115078
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】減圧液体注入装置及びこの減圧液体注入装置を用いたワークの移送方法
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20240819BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20240819BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
B05C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020548
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】524043835
【氏名又は名称】株式会社エイ・エム・ケイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000501
【氏名又は名称】翠弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 三郎
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA34
4F042AB00
4F042BA06
4F042BA08
4F042BA12
4F042CB07
4F042CB19
4F042DE01
4F042DE06
4F042DF16
4F042DF29
4F042ED03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】減圧下でのワークへの液体注入作業を短時間で効率的に行う、減圧液体注入装置およびワークの移送方法を提供する。
【解決手段】減圧液体注入装置は、内部を減圧可能とする減圧機構とワークへの液体吐出を可能とする吐出ノズル6,7とを各々備えるとともに互いに並列に配置した一対のチャンバー1,2のうち、一方のチャンバー内にワークを配置した後、上記減圧機構により当該一方のチャンバー内を減圧し、当該減圧した一方のチャンバー内にて、上記吐出ノズル6,7から上記ワークへの液体注入作業を行うと同時に、他方のチャンバー内へのワークの移送作業及び/または当該他方のチャンバー内から外方へのワークの排出作業を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に設けられた一対の開口部を気密的に密閉可能とする一対の端部シャッターと内部を減圧可能とする減圧機構とを備えるとともに、互いに並列に配置された第一及び第二チャンバーと、当該第一及び第二チャンバーに各々組付けられるとともに当該第一及び第二チャンバー内に配置されたワークに液体を吐出可能とする第一及び第二吐出ノズルと、当該第一及び第二吐出ノズルに、第一及び第二連通管を介して液体を交互に供給可能とする液体供給装置と、上記第一及び第二チャンバーを各々貫通して当該第一及び第二チャンバー内外にワークを移送可能とする第一及び第二移送路を備えたことを特徴とする減圧液体注入装置。
【請求項2】
内部を減圧可能とする減圧機構とワークへの液体吐出を可能とする吐出ノズルとを各々備えるとともに互いに並列に配置した一対のチャンバーのうち、一方のチャンバー内にワークを配置した後、上記減圧機構により当該一方のチャンバー内を減圧し、当該減圧した一方のチャンバー内にて、上記吐出ノズルから上記ワークへの液体注入作業を行うと同時に、他方のチャンバー内へのワークの移送作業及び/または当該他方のチャンバー内から外方へのワークの排出作業を行うことを特徴とするワークの移送方法。
【請求項3】
上記第一及び第二吐出ノズルには、当該第一及び第二吐出ノズルからの液体の吐出及び吐出の停止を行う第一弁及び第二弁を各々備えたことを特徴とする請求項1に記載の減圧液体注入装置。
【請求項4】
上記一方又は他方のチャンバー内外へのワークの移送作業及びワークの排出作業は、上記第一及び第二移送路に設けたコンベアーにて行うことを特徴とする請求項1に記載の減圧液体注入装置。
【請求項5】
上記第一又は第二移送路には、上記第一及び第二チャンバーの両端外方位置に、当該第一移送路と上記第二移送路との間に一対の摺動レールを各々架設し、当該摺動レール上に上記ワークを配置することにより、当該ワークを上記第一移送路又は第二移送路のいずれかに選択的に配置可能としたことを特徴とする請求項1の減圧液体注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の第一及び第二発明は、比較的粘性の高い液体のワークへの充填作業を行うための減圧液体注入装置及びこの減圧液体注入装置を用いたワークの移送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
接着剤、塗料、半導体封止剤などの比較的粘性の高い液体をワークに充填する際には、ワーク内部の細かな隙間に空気が混入しやすいものとなる。そのため、このような粘性の高い液体のワークへの充填を行う場合は、液体への空気の混入を防ぐ目的で特許文献1に示す如く内部を減圧したチャンバー内で行う方法が公知となっている。
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の如き従来のチャンバーを用いる場合には、ワークをチャンバー内に移送する際に当該チャンバー内を常圧にしておく必要がある。そして常圧にしたチャンバー内にワークを設置した後、当該ワークへの液体の吐出作業を行う前に上記チャンバー内を減圧する必要があるため、ワークの移送を完了した後に減圧作業を行わなければならない。
【0005】
更に上記ワークへの液体の吐出作業が完了した後には、上記チャンバーからワークを外方に取り出すために、当該チャンバーを減圧状態から常圧に戻す作業が必要となる。そのため、一度のワークへの液体注入作業において、上記の如くチャンバー内を減圧から常圧状態に、あるいは常圧から減圧状態にする作業に多くの時間を費やされるものとなる。よって、全てのワークへの液体注入作業を完了するまでに時間がかかるため、効率が悪いものとなっていた。
【0006】
そこで、本願発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、減圧下でのワークへの液体注入作業を短時間で効率的に行うことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第一発明は、下記本願の第二発明の減圧チャンバー内の圧力調整方法に使用する減圧液体注入装置であって、両端に設けられた一対の開口部を気密的に密閉可能とする一対の端部シャッターと内部を減圧可能とする減圧機構とを備えるとともに、互いに並列に配置された第一及び第二チャンバーと、当該第一及び第二チャンバーに各々組付けられるとともに当該第一及び第二チャンバー内に配置されたワークに液体を吐出可能とする第一及び第二吐出ノズルと、当該第一及び第二吐出ノズルに、第一及び第二連通管を介して液体を交互に供給可能とする液体供給装置と、上記第一及び第二チャンバーを各々貫通して当該第一及び第二チャンバー内外にワークを移送可能とする第一及び第二移送路を備えたものである。
【0008】
また本願の第二発明は上記第一発明の減圧液体注入装置を用いたワークの移送方法であって、内部を減圧可能とする減圧機構とワークへの液体吐出を可能とする吐出ノズルとを各々備えるとともに互いに並列に配置した一対のチャンバーのうち、一方のチャンバー内にワークを配置した後、上記減圧機構により当該一方のチャンバーを減圧し、当該減圧した一方のチャンバー内にて、上記吐出ノズルから上記ワークへの液体注入作業を行うと同時に、他方のチャンバー内へのワークの移送作業及び/または他方のチャンバー内から外方へのワークの排出作業を行うものである。
【0009】
また、上記第一及び第二吐出ノズルには、当該第一及び第二吐出ノズルからの液体の吐出及び吐出の停止を行う第一弁及び第二弁を各々備えたものであってもよい。
【0010】
また上記一方又は他方のチャンバー内外へのワークの移送作業及びワークの排出作業は、上記第一及び第二移送路に設けたコンベアーにて行うものであってもよい。
【0011】
また、上記第一又は第二移送路には、上記第一及び第二チャンバーの両端外方位置に、当該第一移送路と上記第二移送路との間に一対の摺動レールを各々架設し、当該摺動レール上に上記ワークを配置することにより、当該ワークを上記第一移送路又は第二移送路のいずれかに選択的に配置可能としたものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本願の第一、第二発明は上述の如く、第一及び第二吐出ノズル及び第一及び第二移送路を各々組付けた第一及び第二チャンバーを備えることにより、当該第一チャンバー又は第二チャンバー内外へのワークの移送及び排出作業と、第一又は第二チャンバー内における液体注入作業とを交互に行うことができる。
【0013】
即ち本願の第一及び第二発明は、上記第一チャンバー又は第二チャンバーのうちの一方のチャンバー内でのワークの移送及び排出作業と同時に、他方のチャンバー内での液体注入作業を行い、両チャンバーにおいて上記の一連の作業が終了した後、一方のチャンバー内での液体注入作業と同時に他方のチャンバー内外へのワークの移送及び排出作業を行う、という一連の作業を交互に繰り返し行うことができるものである。
【0014】
このような一連の液体注入作業を行うことにより、一方又は他方のチャンバーの間で時間を空けることなく交互且つ連続的にワークへの液体注入作業を行うことができるため、チャンバー内での減圧及び減圧解除作業に要する時間の無駄をなくすことが可能となる。よって、簡易な構成にて効率の良いワークへの液体注入作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願の第1、2発明の実施例1を示す平面図。
【
図3】実施例1において第三コンベアーにトレーを配置した状態を示す概念図。
【
図4】実施例1の液体供給装置と第一吐出ノズル及び第二吐出ノズルとの関係を示す概念図。
【
図5】実施例1において摺動体にトレーを配置した状態を示す概念図。
【実施例0016】
本願の第一、第二発明である実施例1について以下に説明する。まず、
図1に示す如く(1)、(2)は略直方体状の一対の第一チャンバー及び第二チャンバーであって、当該第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)は、
図2に示す水平方向に長尺な載置台(3)上に互いに並列に配置されている。
【0017】
そしてこの第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)は、
図3に示す如く第一チャンバー(1)本体及び第二チャンバー(2)本体の両端に、各々一対の開口部(4)と、当該開口部(4)を気密的に密閉可能とする一対の端部シャッター(5)を備えている。また上記第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)には、当該第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)内を減圧可能とする減圧機構(図示せず。)を備えている。
【0018】
またこの第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)には、
図1、2に示す如くワーク(8)に液体を吐出するための第一吐出ノズル(6)及び第二吐出ノズル(7)をそれぞれ備えている。そして当該第一吐出ノズル(6)及び第二吐出ノズル(7)の内部には、当該第一吐出ノズル(6)及び第二吐出ノズル(7)からの液体の吐出及び吐出の停止を行うための第一弁及び第二弁(図示せず。)をそれぞれ備えている。
【0019】
また上記第一吐出ノズル(6)及び第二吐出ノズル(7)は、その先端側を上記第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)の天板から当該第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)の内方に臨ませて配置している。
【0020】
また当該第一吐出ノズル(6)及び第二吐出ノズル(7)は、ワーク(8)に液体を吐出する際に、トレー(10)に載置された複数のワーク(8)のうち所望のワーク(8)に液体を吐出することができるよう、第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)に各々設けた第一吐出体(11)及び第二吐出体(12)に、移動可能にそれぞれ組付けられている。そのため、必要に応じて当該第一吐出ノズル(6)及び第二吐出ノズル(7)を水平方向、及び上下方向に適宜移動可能としている。
【0021】
また上記第一吐出ノズル(6)及び第二吐出ノズル(7)は、
図4に示す如く第一連通管(13)及び第二連通管(14)を通じて液体供給装置(15)に連通可能としている。この液体供給装置(15)は
図1、
図2に示す如く、第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)の上方にて、載置台(3)に軸支部(16)を支点として水平方向に回動可能に軸支されている。そして、液体供給装置(15)に収納された液体を、第一連通管(13)及び第二連通管(14)を通じて第一吐出ノズル(6)及び第二吐出ノズル(7)にそれぞれ交互に供給可能としている。
【0022】
また
図1に示す如く、上記第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)には、当該第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)の内外へのワーク(8)の移送を可能とする第一移送路(17)及び第二移送路(18)を、当該第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)にそれぞれ貫通して敷設している。
【0023】
この第一移送路(17)及び第二移送路(18)は
図1に示す如く、ワーク(8)の移送元である第一コンベアー(20)と、当該第一コンベアー(20)と第一、第二チャンバー(1)(2)との間に備えた一対の第二コンベアー(21)と、第一、第二チャンバー(1) (2)内に配置された一対の第三コンベアー(22)と、当該第三コンベアー(22)に隣接するとともに第一、第二チャンバー(1) (2)の外方に配置された第四コンベアー(23)とで構成されている。
【0024】
そして上記第一~第四コンベアー(20)(21)(22)(23)は、
図1に示す如くいずれも間隔を介して平行に配置された一対の第一コンベアーレール(24)、第二コンベアーレール(25)、第三コンベアーレール(26)、第四コンベアーレール(27)にて構成されている。そして
図1に示す如く、上記一対の第二コンベアーレール(25)及び第三コンベアーレール(26)の間の幅方向中央部には、それぞれスライドレール(28)が当該第二及び第三コンベアーレール(25)(26)と平行に配置されている。
【0025】
またこのスライドレール(28)は、
図2に示す如く上記コンベアーレールの高さより低い位置に水平方向に配置されている。そしてこのスライドレール(28)には、当該スライドレール(28)に沿って摺動可能な摺動体(30)を係合配置している。この摺動体(30)は、その上端に平板状の支持板(31)を備えており、この支持板(31)を駆動機構(図示せず。)によって適宜上下方向に摺動可能なものとしている。
【0026】
また
図1に示す如く、上記第一コンベアー(20)及び第四コンベアー(23)の位置には、上記第一移送路(17)と第二移送路(18)との間に、当該第一移送路(17)及び第二移送路(18)とは垂直方向に延びる一対の摺動レール(32)を架設している。そしてこの一対の摺動レール(32)のうち、第一摺動レール(36)上には第一コンベアー(20)を、第二摺動レール(37)上には第四コンベアー(23)をそれぞれ上記第一摺動レール(36)及び第二摺動レール(37)に沿って摺動可能に組み付けている。
【0027】
これにより、第一コンベアー(20)にワーク(8)を載置した後、当該第一コンベアー(20)を上記第一摺動レール(36)に沿って摺動させることにより、上記ワーク(8)を上記第一移送路(17)又は第二移送路(18)のいずれかの位置に選択的に配置可能とするとともに、上記第一移送路(17)又は第二移送路(18)に配置したワーク(8)を、上記第二摺動レール(37)に沿って上記第四コンベアー(23)を摺動させることにより、第一移送路(17)又は第二移送路(18)のいずれかで移送されたワーク(8)を、適宜第四コンベアー(23)に移送配置可能としている。
【0028】
上記の如き構成の減圧液体注入装置を用いたワーク(8)の移送方法およびワーク(8)への液体注入作業について、以下に説明する。まず、
図1に示す如く第二移送路(18)に配置された第一コンベアー(20)に、複数のワーク(8)を乗せたトレー(10)を載置する。その後、当該第一コンベアー(20)を第一摺動レール(36)に沿って第一移送路(17)に移送する。
【0029】
その後、上記第一移送路(17)側の第一コンベアー(20)及び第二コンベアー(21)を作動させることにより、上記第一コンベアー(20)上のトレー(10)を第二コンベアー(21)上まで移動させる。その後、上記第一チャンバー(1)の一対の端部シャッター(5)のうち、第二コンベアー(21)側の一方端部シャッター(34)を開放する。そして、第三コンベアー(22)を作動させて
図3に示す如く上記トレー(10)を第一チャンバー(1)内の第三コンベアー(22)上に移送配置する。これにより、第一チャンバー(1)内へのワーク(8)の移送作業が終了する。
【0030】
次に、ワーク(8)への液体注入作業を行う。まず、第一チャンバー(1)の一対の端部シャッター(5)を閉止するとともに、上記減圧機構により当該第一チャンバー(1)内を1500Paに減圧する。尚、作業室内におけるワーク(8)への液体吐出の際には、当該作業室内を1000Pa~3000Paの範囲内で行う。
【0031】
その後、
図3に示す第一吐出ノズル(6)を下方に移動させるとともに、上記トレー(10)の下方に位置する摺動体(30)の上記支持板(31)を上記第三コンベアー(22)よりも上方に摺動させる。これにより、
図5に示す如く上記トレー(10)が上記第三コンベアー(22)よりも上方に配置されるものとなる。また、上記液体供給装置(15)を回動させて、
図1、2の一点鎖線に示す如く第一チャンバー(1)の上方に配置する。そして、上記第一吐出ノズル(6)の第一弁を開弁し、第一吐出ノズル(6)から上記ワーク(8)への液体注入作業が行われる。
【0032】
ここで、上記摺動体(30)を上記スライドレール(28)に沿って駆動機構(図示せず。)により所望の距離だけ少しずつ摺動させることにより、上記第一吐出ノズル(6)位置に吐出対象となるワーク(8)をピンポイントで配置することができる。よって上記トレー(10)上の各ワーク(8)に対応させて、順次各ワーク(8)内への液体注入作業を行うことができる。
【0033】
このように、摺動体(30)の支持板(31)にてトレー(10)を支持した状態でワーク(8)への液体注入作業を行うことにより、当該トレー(10)の移動を細かく調整することができるため、上記第一吐出ノズル(6)と液体注入を行うワーク(8)との位置ずれが生じにくいものとなり、上記第一吐出ノズル(6)による当該ワーク(8)への液体の吐出を正確に行うことが可能となる。
【0034】
そして上記トレー(10)上の全てのワーク(8)内への液体注入作業が終了した後、上記第一吐出ノズル(6)の第一弁を閉止し、当該第一吐出ノズル(6)を元位置に復元する。また、上記摺動体(30)の支持板(31)を元位置に復元し、上記トレー(10)を第三コンベアー(22)上に載置した状態とする。その後、上記第一チャンバー(1)内の減圧状態を解除し常圧とすることにより、本発明の液体注入作業を終了する。
【0035】
また上記の如き第一チャンバー(1)での液体注入作業を行うと同時に、上記第二チャンバー(2)内にて以下の通りワーク(8)の移送作業を行う。まず、第一コンベアー(20)に、複数のワーク(8)を乗せたトレー(10)を載置する。その後、上記の如く第一移送路(17)に移動させた第一摺動レール(36)上の当該第一コンベアー(20)を、第一摺動レール(36)に沿って第二移送路(18)に摺動させる。
【0036】
その後、上記第二移送路(18)側の第一コンベアー(20)及び第二コンベアー(21)を作動させることにより、上記第一コンベアー(20)上のトレー(10)を第二コンベアー(21)の位置まで移動させる。その後、上記第二チャンバー(2)の第二コンベアー(21)側の一方端部シャッター(34)を開放するとともに、第三コンベアー(22)を作動させて、
図3に示す如く上記トレー(10)を第二チャンバー(2)内の第三コンベアー(22)上に移送配置する。これにより、第二チャンバー(2)へのワーク(8)の移送作業が終了する。その後、当該第二チャンバー(2)内において上記第一チャンバー(1)での液体注入作業と同様の液体注入作業が行われる。
【0037】
上記第二チャンバー(2)でのワーク(8)の移送作業が終了した時点で、上記第一チャンバー(1)での液体注入作業も終了するものとなる。そのため、上記液体供給装置(15)からの液体の第一吐出ノズル(6)側への移送を第二吐出ノズル(7)側に即座に切り替えることが可能となる。この切り替えによって、上記の如く第二チャンバー(2)における液体注入作業を速やかに開始することが可能となる。
【0038】
また、上記の如く第二チャンバー(2)における液体注入作業が行われると同時に、上記の如く第一チャンバー(1)内にて液体注入作業が終了したワーク(8)の排出作業が行われる。まず、上記第四コンベアー(23)を、上記第二摺動レール(37)に沿って第一移送路(17)側に配置しておく。
【0039】
その後、上記第一チャンバー(1)の第四コンベアー(23)側の他方端部シャッター(35)を上方にスライドさせて開口部(4)を開口した後、上記第三コンベアー(22)及び第四コンベアー(23)を作動させる。これにより、上記第三コンベアー(22)上のトレー(10)が上記開口部(4)を通じて第四コンベアー(23)に移動し、当該第一チャンバー(1)の外方に排出され、第一チャンバー(1)からのワーク(8)の排出作業が終了する。
【0040】
また上記ワーク(8)の排出作業と同時に、上記第一チャンバー(1)内へのワーク(8)の移送作業と同じ方法により、当該第一チャンバー(1)内への次のワーク(8)の移送作業が行われる。上述の如く、本実施例では当該第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)内外へのワーク(8)の移送及び排出作業と、第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)における液体注入作業とを交互且つ連続的に行うことができる。
【0041】
即ち、第一チャンバー(1)内でのワーク(8)の移送及び排出作業と同時に第二チャンバー(2)内での液体注入作業を行い、両チャンバーにて上記一連の作業が終了した後、第一チャンバー(1)内での液体注入作業と同時に第二チャンバー(2)内外へのワーク(8)の移送及び排出作業を行う、という同時作業を第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)にて交互に繰り返し行うことができる。
【0042】
このような一連の作業を行うことにより、第一チャンバー(1)と第二チャンバー(2)とで交互且つ連続的に減圧又は減圧解除のための待機時間を要することなくワーク(8)への液体注入作業を行うことができる。そのため、第一チャンバー(1)及び第二チャンバー(2)内での減圧及び減圧解除作業に要する時間の無駄をなくすことが可能となり、簡易な構成にて効率の良いワーク(8)への液体注入作業を行うことができる。