(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115085
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ポリエチレン系樹脂組成物および中空成形体
(51)【国際特許分類】
C08L 23/04 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
C08L23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020560
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】505130112
【氏名又は名称】株式会社プライムポリマー
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 喬
(72)【発明者】
【氏名】根本 美喜雄
(72)【発明者】
【氏名】柳田 憲吾
(72)【発明者】
【氏名】竹下 巧馬
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB02W
4J002BB05X
(57)【要約】
【課題】リサイクル材の使用量を高めつつ、従来品と同程度以上の機械強度や耐環境応力破壊性等の物理的性質を有する中空成形体を製造することが可能な樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】特定の要件を満たす再生ポリエチレン系樹脂(A)と、特定の要件を満たし、かつ、少なくとも1種の炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位を含有するエチレン系重合体(B)とを含み、成分(A)および(B)の含有量の合計を100質量%した場合、成分(A)の含有量が10質量%以上90質量%以下の範囲にあり、成分(B)の含有量が10質量%以上90質量%以下の範囲にあり、特定の要件を満たすポリエチレン系樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記要件(a1)~(a3)を満たす再生ポリエチレン系樹脂(A)と、
下記要件(b1)および(b2)を満たし、かつ、少なくとも1種の炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位を含有するエチレン系重合体(B)と
を含み、
前記成分(A)および(B)の含有量の合計を100質量%した場合、前記成分(A)の含有量が10質量%以上90質量%以下の範囲にあり、前記成分(B)の含有量が10質量%以上90質量%以下の範囲にあり、
下記要件(1)~(4)を満たす、ポリエチレン系樹脂組成物:
(a1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイトが0.1~3.0g/10minの範囲にある;
(a2)密度が930kg/m3以上950kg/m3以下の範囲にある;
(a3)再生ポリエチレン系樹脂が樹脂用包装袋由来である;
(b1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイトが0.01~1.0g/10minの範囲にある;
(b2)密度が940kg/m3以上970kg/m3以下の範囲にある;
(1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイトが0.02~3.0g/10minの範囲にある;
(2)190℃における21.6kg荷重でのメルトフローレイトが25g/10minを超え50g/10min以下の範囲にある;
(3)密度が930kg/m3以上965kg/m3以下の範囲にある;
(4)190℃におけるメルトテンションの値が50mNを超え100mN以下の範囲にある。
【請求項2】
請求項1に記載のポリエチレン系樹脂組成物を含む中空成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生ポリエチレン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂組成物および該組成物を含む中空成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロー成形(中空成形)、特にダイレクトブロー成形は、容器の成形方法の一つとして、広く用いられている。高密度ポリエチレンからなる容器は、耐衝撃性、耐候性、耐寒性などに優れるので、灯油などの燃料油、食料油、水、洗剤などをはじめ広く用いられている。
【0003】
一方、高密度ポリエチレンは、剛性がやや劣ることから、高密度ポリエチレンに比べて剛性があるポリプロピレンを高密度ポリエチレンに配合すること(例えば、特許文献1)、高密度ポリエチレンにポリプロピレンと無機充填剤を配合すること(例えば、特許文献2)が提案されている。
【0004】
また、近年、地球環境問題に対する意識の高まりから、各産業界において環境への負荷を低減させた製品の開発が望まれている。このような要望は、中空成形体の分野においても例外ではなく、再生ポリエチレン系樹脂等の種々のリサイクル材を用いることが提案されている(例えば、特許文献3および4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-112854号公報
【特許文献2】特開2016-128570号公報
【特許文献3】特許第3299331号公報
【特許文献4】特許第5792834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
環境問題に配慮するとリサイクル材の使用量を高くすることが望ましいが、リサイクル材を多く用いると、中空成形体の機械強度や外観、成形性に問題が生じることがあった。
そこで、本発明は、リサイクル材の使用量を高めつつ、従来品と同程度以上の機械強度や耐環境応力破壊性等の物理的性質を有する中空成形体を製造することが可能な樹脂組成物を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、例えば、以下の態様により上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
[1]
下記要件(a1)~(a3)を満たす再生ポリエチレン系樹脂(A)と、
下記要件(b1)および(b2)を満たし、かつ、少なくとも1種の炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位を含有するエチレン系重合体(B)と
を含み、
前記成分(A)および(B)の含有量の合計を100質量%した場合、前記成分(A)の含有量が10質量%以上90質量%以下の範囲にあり、前記成分(B)の含有量が10質量%以上90質量%以下の範囲にあり、
下記要件(1)~(4)を満たす、ポリエチレン系樹脂組成物:
(a1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイトが0.1~3.0g/10minの範囲にある;
(a2)密度が930kg/m3以上950kg/m3以下の範囲にある;
(a3)再生ポリエチレン系樹脂が樹脂用包装袋由来である;
(b1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイトが0.01~1.0g/10minの範囲にある;
(b2)密度が940kg/m3以上970kg/m3以下の範囲にある;
(1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイトが0.02~3.0g/10minの範囲にある;
(2)190℃における21.6kg荷重でのメルトフローレイトが25g/10minを超え50g/10min以下の範囲にある;
(3)密度が930kg/m3以上965kg/m3以下の範囲にある;
(4)190℃におけるメルトテンションの値が50mNを超え100mN以下の範囲にある。
【0009】
[2]
項[1]に記載のポリエチレン系樹脂組成物を含む中空成形体。
【発明の効果】
【0010】
本発明の樹脂組成物を用いれば、リサイクル材の使用量を高めても、従来品と同程度以上の機械強度や耐環境亀裂応力等の物理的性質を有する中空成形体を製造することができ、しかも環境循環型社会にも貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)は、後述する特定の再生ポリエチレン系樹脂(A)およびエチレン系重合体(B)を含む。
[再生ポリエチレン系樹脂(A)]
本発明の組成物は、下記要件(a1)~(a3)を満たす再生ポリエチレン系樹脂(A)を含む。
【0012】
<要件(a1)>
(a1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR2.16)が0.1~3.0g/10minの範囲にある。前記MFR2.16の下限は、好ましくは0.2g/10min、より好ましくは0.3g/10minであり、上限は、好ましくは2.5g/10min、より好ましくは2.0g/10minである。
【0013】
成分(A)のMFR2.16が上記範囲内であることにより、本発明の組成物は成形性に優れるとともに、機械強度が良好な中空成形体を得ることができる。
【0014】
メルトフローレイト(MFR)は分子量に強く依存しており、MFRが小さいほど分子量は大きく、MFRが大きいほど分子量は小さくなる。また、エチレン系重合体の分子量は、重合系内における水素とエチレンとの組成比(水素/エチレン)により決定されることが知られている(例えば、曽我和雄他編、「Catalytic Olefin Polymerization」、講談社サイエンティフィク、1990年、p.376)。このため、水素/エチレンを増減させることで、エチレン系重合体のMFRを増減させることが可能である。
【0015】
前記メルトフローレイト(MFR2.16)は、JIS K 7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定される。
【0016】
<要件(a2)>
(a2)密度が930kg/m3以上950kg/m3以下の範囲にある。前記密度の下限は、好ましくは932kg/m3、より好ましくは935kg/m3であり、上限は、好ましくは948kg/m3、より好ましくは946kg/m3である。前記密度は、JIS K 7112に準拠して測定される。
【0017】
成分(A)の密度が上記範囲内であることにより、得られる中空成形体の剛性や衝撃強度、物理的性質が良好となり、例えば、耐環境応力破壊性(ESCR)や中空成形体の落下強度などの機械的強度が良好となる。
【0018】
再生ポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂からなる各種製品の製造において発生した不良品や、使用済みで廃棄されるポリエチレン系樹脂からなる各種製品から公知の方法で再生された再生ポリエチレン系樹脂を用いることができる。ポリエチレン系樹脂の再生方法については特に限定されない。このような再生ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等を挙げることができる。これらの再生ポリエチレン系樹脂の1種、あるいは2種以上のブレンドから、上記のMFR及び密度を満たすものを選択して用いる。
【0019】
好ましい再生ポリエチレン系樹脂としては、エチレンと炭素原子数3以上、好ましくは炭素原子数3~20のα-オレフィンの共重合体(エチレン・α-オレフィン共重合体)を挙げることができる。エチレン・α-オレフィン共重合体におけるα-オレフィンの具体例としては、プロピレン、ブテン、1-オクテン、1-ヘキセンが挙げられる。
【0020】
<要件(a3)>
(a3)再生ポリエチレン系樹脂が樹脂用包装袋由来である。前記樹脂用包装袋は、樹脂ペレットなどの製品樹脂を包装するための袋であり、一般的な包装袋の製造法(インフレーション成形)で製造されたものであり、ポリエチレンやポリプロピレンが使用されている。樹脂用包装袋由来の再生ポリエチレンは、一般的な再生ポリエチレンよりも臭気成分や内部汚染が少なく、MFRや密度といった品質安定性も高い。
【0021】
樹脂用包装袋由来の再生ポリエチレン樹脂は、使用後に回収された樹脂用包装袋を公知の方法で粉砕等してペレットにしたものを用いることができる。
【0022】
[エチレン系重合体(B)]
本発明の組成物は、下記要件(b1)および(b2)を満たし、かつ、少なくとも1種の炭素数4~10のα-オレフィンに由来する構成単位を含有するエチレン系重合体(B)を含む。
【0023】
<要件(b1)>
(b1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR2.16)が0.01~1.0g/10minの範囲にある。前記MFR2.16の下限は、好ましくは0.02g/10min、より好ましくは0.1g/10minであり、上限は、好ましくは0.8g/10min、より好ましくは0.6g/10minである。
【0024】
成分(B)のMFR2.16が上記範囲内であることにより、本発明の組成物は成形性に優れる。なお、前記メルトフローレイト(MFR2.16)は、JIS K 7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定される。
【0025】
<要件(b2)>
(b2)密度が940kg/m3以上970kg/m3以下の範囲にある。前記密度の下限は、好ましくは945kg/m3、より好ましくは948kg/m3であり、上限は、好ましくは965kg/m3である。前記密度は、JIS K 7112に準拠して測定される。
【0026】
成分(B)の密度が上記範囲内であることにより、得られる中空成形体の機械強度が良好となる。
【0027】
成分(B)は、エチレンと少なくとも1種の炭素数4~10のα-オレフィンとの共重合体であり、具体的には1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセンなどが挙げられる。
【0028】
前記エチレン系重合体(B)は、バイオマス由来モノマー(エチレン、α-オレフィン)を含んでいてもよい。重合体を構成するモノマーがバイオマス由来モノマーのみでもよいし、バイオマス由来モノマーと化石燃料由来モノマーの両方を含んでもよい。
【0029】
バイオマス由来モノマーとは、菌類、酵母、藻類および細菌類を含む、植物由来または動物由来などの、あらゆる再生可能な天然原料およびその残渣を原料としてなるモノマーで、炭素として14C同位体を10-12程度の割合で含有し、ASTM D 6866に準拠して測定したバイオマス炭素濃度(pMC)が100(pMC)程度である。バイオマス由来モノマーは、従来から知られている方法により得られる。
【0030】
前記エチレン系重合体(B)がバイオマス由来モノマーを含むことは、環境負荷低減(主に温室効果ガス削減)の観点から好ましい。重合用触媒、重合プロセス重合温度、などの重合体製造条件が同等であれば、原料モノマーがバイオマス由来モノマーを含んでいても、14C同位体を10-12~10-14程度の割合で含む以外の分子構造は、化石燃料由来モノマーからなるエチレン・α-オレフィン共重合体と同等である。従って、性能も変わらないとされる。
【0031】
前記エチレン系重合体(B)は、ケミカルリサイクル由来モノマー(エチレン、α-オレフィン)を含んでいてもよい。重合体を構成するモノマーがケミカルリサイクル由来モノマーのみでもよいし、ケミカルリサイクル由来モノマーと化石燃料由来モノマーおよび/またはバイオマス由来モノマーを含んでもよい。ケミカルリサイクルス由来モノマーは、従来から知られている方法により得られる。
【0032】
前記エチレン系重合体(B)がケミカルリサイクル由来モノマーを含むことは、環境負荷低減(主に廃棄物削減)の観点から好ましい。原料モノマーがケミカルリサイクル由来モノマーを含んでいても、ケミカルリサイクル由来モノマーは廃プラスチックなどの重合体を解重合、熱分解等でエチレンなどのモノマー単位にまで戻したモノマー、ならびに該モノマーを原料にして製造したモノマーであるので、重合用触媒、重合プロセス、重合温度などの重合体製造条件が同等であれば、分子構造は化石燃料由来モノマーからなるエチレン・α-オレフィン共重合体と同等である。従って、性能も変わらないとされる。
【0033】
本発明の組成物における成分(A)および(B)の含有割合は、成分(A)および(B)の含有量の合計を100質量%した場合、
成分(A)の含有量が10質量%以上90質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは25質量%以上75質量%以下の範囲にあり、
成分(B)の含有量が10質量%以上90質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、より好ましくは25質量%以上75質量%以下の範囲にある。
【0034】
成分(A)および(B)の含有割合が上記範囲内にあることにより、リサイクル材の使用量を高めつつ、従来品と同程度以上の機械強度や耐環境応力破壊性等の物理的性質を有する中空成形体を製造することができる。
【0035】
[その他の成分]
本発明の組成物は、必要に応じてその他の添加剤、例えば耐熱安定剤、耐候安定剤、耐光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、脂肪酸金属塩、軟化剤、分散剤、着色剤、顔料、紫外線吸収剤、核剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含んでもよい。
【0036】
[ポリエチレン系樹脂組成物の物性]
本発明の組成物は、下記要件(1)~(4)を満たす。
<要件(1)>
(1)190℃における2.16kg荷重でのメルトフローレイト(MFR2.16)が0.02~3.0g/10minの範囲にある。前記MFR2.16の下限は、好ましくは0.05g/10min、より好ましくは0.1g/10minであり、上限は、好ましくは1.0g/10min、より好ましくは0.8g/10minである。
【0037】
本発明の組成物のMFR2.16が上記範囲内であることにより、成形性に優れるとともに、機械強度が良好な中空成形体を得ることができる。なお、前記メルトフローレイト(MFR2.16)は、JIS K 7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定される。
【0038】
<要件(2)>
(2)190℃における21.6kg荷重でのメルトフローレイト(MFR21.6)が25g/10minを超え50g/10min以下の範囲にある。前記MFR21.6の下限は、好ましくは27g/10min(以上)であり、上限は、好ましくは45g/10minである。
【0039】
本発明の組成物のMFR21.6が上記範囲内であることにより、成形性に優れる中空成形体を得ることができる。なお、前記メルトフローレイト(MFR21.6)は、JIS K 7210に準拠し、190℃、21.6kg荷重(kgf)の条件下で測定される。
【0040】
<要件(3)>
(3)密度が930kg/m3以上965kg/m3以下の範囲にある。前記密度の下限は、好ましくは935kg/m3、より好ましくは940kg/m3であり、上限は、好ましくは962kg/m3、より好ましくは960kg/m3である。前記密度は、JIS K 7112に準拠して測定される。
【0041】
<要件(4)>
(4)190℃におけるメルトテンションの値が50mNを超え100mN以下の範囲にある。前記メルトテンションの下限は、好ましくは52mN(以上)、より好ましくは54mN(以上)であり、上限は、好ましくは90mN、より好ましくは85mNである。前記メルトテンションは後述する方法に従って測定される。
【0042】
本発明の組成物の密度が上記範囲内であることにより、得られる中空成形体の剛性や衝撃強度、物理的性質が良好となり、例えば、耐環境応力破壊性(ESCR)や中空成形体の落下強度などの機械的強度が良好となる。また、本発明の組成物のMFRやメルトテンションが上記範囲内にあることにより、成形性が良好となり、ダイレクトブローによる中空成形体の作製が可能となる。
【0043】
[ポリエチレン系樹脂組成物の製造方法]
本発明の組成物は、上述した各成分をドライブレンド、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサーなどで混合、あるいは混合後、単軸押出機、2軸押出機、高速2軸押出機などで溶融混練することにより得られる。
【0044】
[成形体]
本発明の組成物は、成形性に優れているので、様々な成形法に使用できる。本発明の成形体の具体例としては、射出成形体、発泡成形体、射出発泡成形体、押出成形体、中空成形体、真空・圧空成形体、カレンダー成形体、延伸フィルム、インフレーションフィルムが挙げられ、特に中空成形体が好ましい。また、中空成形体で本発明の組成物を中間層に用いた多層中空成形体にも使用できる。成形体を製造する場合の成形条件は特に制限されず、公知の条件を採用できる。
【実施例0045】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0046】
[材料]
実施例および比較例で使用した各重合体を以下に示す。
<再生ポリエチレン系樹脂(A)>
(A-1)樹脂用包装袋由来の再生ポリエチレン(MFR2.16:0.92g/10min、密度:945kg/m3)
(A-2)一般的な再生ポリエチレン(MFR2.16:1.5g/10min、密度:965kg/m3)
【0047】
<エチレン系重合体(B)>
(B-1)高密度ポリエチレン((株)プライムポリマー製「ハイゼックス6008B」、MFR2.16:0.45g/10min、密度:956kg/m3)
(B-2)高密度ポリエチレン((株)プライムポリマー製「ハイゼックス8000F」、MFR2.16:0.03g/10min、密度:948kg/m3)
【0048】
[測定および評価方法]
実施例および比較例で用いた各重合体およびエチレン系樹脂組成物等の物性等は、下記の方法で測定および評価した。
【0049】
(1)メルトフローレイト(MFR2.16)(g/10min)
メルトフローレイト(MFR2.16)は、JIS K 7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定した。
【0050】
(2)メルトフローレイト(MFR21.6)(g/10min)
メルトフローレイト(MFR21.6)は、JIS K 7210に準拠し、230℃、21.6kg荷重(kgf)の条件下で測定した。
【0051】
(3)密度(kg/m3)
密度は、JIS K 7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
【0052】
(4)メルトテンション(mN)
メルトテンション(190℃における溶融張力)は、一定速度で延伸したときの応力を測定することにより決定した。測定には東洋精機製作所社製キャピラリーレオメーター:キャピログラフ1Bを用いた。条件は樹脂温度190℃、溶融時間6分、バレル径9.5mmφ、押し出し速度15mm/分、巻取り速度15m/分、ノズル径2.1mmφ、ノズル長さ8mmとした。
【0053】
(5)引張降伏応力
実施例および比較例で得られたペレットを用いてJIS K7151に基づき試験片を作製し、JIS K7161の方法に従い測定した。
【0054】
(6)引張破壊呼びひずみ
実施例および比較例で得られたペレットを用いてJIS K7151に基づき試験片を作製し、JIS K7161の方法に従い測定した。
【0055】
(7)曲げ弾性率
実施例および比較例で得られたペレットを用いて、JIS K7151に基づき試験片を作製し、JIS K7171の方法に従い測定した。
【0056】
(8)シャルピー衝撃強さ
前記試験片のシャルピー衝撃強度は、JIS K 7111-1に準拠して、0℃の条件下で測定した。測定は、ノッチありの試験片で測定した。
【0057】
(9)ESCR
実施例および比較例で得られたペレットを用いてJIS K7151に基づき試験片を作製し、ASTM‐D‐1693に準拠して、2mm厚みプレスシートにて、50℃、試験液にノニオン系界面活性剤10%水溶液(和光純薬製「アンタロックス Co630」)を用いて測定を行った。
【0058】
(10)ボトル落下強度
単層ダイレクトブロー成形機(株式会社タハラ製ブロー成形機 MSE-50E)を使用し、25/23mmφのダイ/コアを用いて、成形温度200℃、吐出量6.7kg/時間とし、ボトル重量を50gに調整後、25分経過してから1000ml丸ボトルをショット成形した。得られた丸ボトルを用いて、以下のようにしてボトル落下強度を求めた。
【0059】
ボトルを満水状態にして氷温に冷却した後、落下試験を実施した。落下試験は、例えば7mの高さから割れが発生するまで繰り返し落下試験を行い、合計10本落下させて割れた際の7m落下回数の加重平均を算出しボトル落下強度として評価した。
【0060】
(11)ボトル外観
上記ボトル落下強度を測定する際に作成した1000mlの丸ボトルを輪切りにし、ボトル内面を目視にて観察し、ボトル内面にブツやメルトフラクチャー由来の肌荒れがみられる場合は「×」、見られない場合は「〇」とした。
【0061】
(12)環境対応
材料としてリサイクル材を用いているものを「○」とし、リサイクル材を用いていないものを「×」とした。
【0062】
[実施例1]
表1に示すように再生ポリエチレン系樹脂(A-1)およびエチレン系重合体(B-1)を30/70(=A-1/B-1)の比率(質量比)でドライブレンドしたものを中空成形し、エチレン系樹脂組成物からなる中空成形体を得た。得られたエチレン系樹脂組成物および中空成形体の物性等を測定および評価した。結果を表1に示す。
【0063】
なお、エチレン系樹脂組成物の物性は、各成分をドライブレンドした後、(株)ジーエム三正製 GM40-28押出機を用い、設定温度200℃、スクリュー回転数80rpmの条件で溶融混練、ストランド状に押し出し、カットして得られたペレットを用いて測定した。
【0064】
[実施例2~3および比較例1~3]
表1に示す組成(各成分の種類およびブレンド比)としたこと以外は実施例1と同様にして中空成形体を作製し、得られたエチレン系樹脂組成物および中空成形体の物性等を測定および評価した。結果を表1に示す。
【0065】