(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115087
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】建具及び建具の製造方法
(51)【国際特許分類】
E06B 3/22 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
E06B3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020565
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 武久
(72)【発明者】
【氏名】西塔 都志雄
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
2E014BA08
2E014BB07
(57)【要約】
【課題】障子の重量や製造コストを増大させることなく障子の良好な開閉操作性を確保すること。
【解決手段】パネル25と、パネル25の四周に設けられた左右の縦框21、上框22及び下框23とを備え、下框23は中空部26を有し、かつ中空部26に補強材30が配設された障子20を備える建具であって、補強材30は、外周側となる表面30cの両端部にスペーサプレート31が設けられ、下框23は、外周壁部26bから補強材30の表面30cに矯正用ネジ33を螺合することによって補強材30と連結されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具であって、
前記補強材の外周側となる表面には、両端部に突出部が設けられ、前記下框の外周側となる見込み面から前記補強材の中央部にネジ部材を螺合することによって前記下框と連結されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具であって、
前記補強材の内周側となる表面には、中央部に突出部が設けられ、前記下框の内周側となる見込み面から前記補強材の両端部にネジ部材を螺合することによって前記下框と連結されていることを特徴とする建具。
【請求項3】
前記突出部は、前記補強材に一体成形されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記突出部は、前記補強材と別体に成形されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建具。
【請求項5】
パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具の製造方法であって、
外周側となる表面の両端部に突出部が設けられた補強材を前記下框の中空部に挿入する工程と、
前記下框の外周側となる見込み面から前記補強材の中央部にネジ部材を螺合することにより、前記下框と前記補強材との間の隙間を減少させる工程と
を含むことを特徴とする建具の製造方法。
【請求項6】
パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具の製造方法であって、
内周側となる表面の中央部に突出部が設けられた補強材を前記下框の中空部に挿入する工程と、
前記下框の内周側となる見込み面から前記補強材の両端部にそれぞれネジ部材を螺合することにより、前記下框と前記補強材との間の隙間を減少させる工程と
を含むことを特徴とする建具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具及び建具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建具の障子には、框の中空部に補強材を設けることにより、障子の変形を防止するようにしたものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、障子の下框には、パネルの重量が加えられた状態となる。このため、例えば、日射に晒されて高温状態となった場合には、補強材を設けたものであっても中央部が外周側に向けて凸となるように湾曲状に変形を来す懸念がある。下框に変形が生じた場合には、下枠に干渉することに起因して障子の開閉に支障を来すおそれがある。上述の問題を防止するには、下框に設ける補強材の数を増やすことが考えられる。しかしながら、補強材の数を増やした場合には、障子の重量が増大するとともに、製造コストが増大する等の新たな問題を生じる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、障子の重量や製造コストを増大させることなく障子の良好な開閉操作性を確保することのできる建具及び建具の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具であって、前記補強材の外周側となる表面には、両端部に突出部が設けられ、前記下框の外周側となる見込み面から前記補強材の中央部にネジ部材を螺合することによって前記下框と連結されていることを特徴とする。
【0007】
また本発明に係る建具は、パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具であって、前記補強材の内周側となる表面には、中央部に突出部が設けられ、前記下框の内周側となる見込み面から前記補強材の両端部にネジ部材を螺合することによって前記下框と連結されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明に係る建具の製造方法は、パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具の製造方法であって、外周側となる表面の両端部に突出部が設けられた補強材を前記下框の中空部に挿入する工程と、前記下框の外周側となる見込み面から前記補強材の中央部にネジ部材を螺合することにより、前記下框と前記補強材との間の隙間を減少させる工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
また本発明に係る建具の製造方法は、パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具の製造方法であって、内周側となる表面の中央部に突出部が設けられた補強材を前記下框の中空部に挿入する工程と、前記下框の内周側となる見込み面から前記補強材の両端部にそれぞれネジ部材を螺合することにより、前記下框と前記補強材との間の隙間を減少させる工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、補強材と下框とを連結させた際に、下框が補強材に沿って中央部が内周側となるように付勢された状態となる。従って、パネルの重量が加えられた場合にも外周側に突出するような変形が抑えられ、枠体と干渉するおそれがなくなり、補強材の数を増やすことなく障子の開閉操作性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1である建具を室内側から見た姿図である。
【
図4】
図1に示した建具の障子に適用する下框の拡大断面図である。
【
図5】
図1に示した障子の要部を示すもので、(a)は下框の中空部に補強材を挿入した状態の断面図、(b)は下框と補強材との間をネジ部材によって連結した状態の断面図である。
【
図6】本発明の変形例1を示すもので、(a)は障子の下框の縦断面図、(b)は障子の要部断面図である。
【
図7】本発明の変形例2を示すもので、(a)は障子の下框の縦断面図、(b)は障子の要部断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態2である建具の要部縦断面図である。
【
図9】
図8に示した障子の要部を示すもので、(a)は下框の中空部に補強材を挿入した状態の断面図、(b)は下框と補強材との間をネジ部材によって連結した状態の断面図である。
【
図10】本発明の変形例3を示すもので、(a)は障子の下框の縦断面図、(b)は障子の要部断面図である。
【
図11】本発明の変形例4を示すもので、(a)は障子の下框の縦断面図、(b)は障子の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具及び建具の製造方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0013】
(実施の形態1)
図1~
図4は、本発明の実施の形態1である建具を示すものである。ここで例示する建具は、横すべり出し窓と称されるもので、枠体10及び障子20を備えている。枠体10は、左右の縦枠11、上枠12、下枠13を四周組することによって構成したものである。縦枠11、上枠12、下枠13は、それぞれ樹脂によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。図示の例では特に、同一の断面形状を有する縦枠11、上枠12、下枠13を適用しており、個々の端部を45°に切断して互いに溶着することにより枠体10を構成している。障子20は、左右の縦框21、上框22、下框23を四周組することによって構成した框体24の内部にパネル25を配設することによって構成したものである。縦框21、上框22、下框23は、それぞれ樹脂によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたってほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。図示の例では特に、同一の断面形状を有する縦框21、上框22、下框23を適用しており、個々の端部を45°に切断して互いに溶着することにより框体24を構成している。パネル25は、複数のガラス板25aを積層することによって構成した四角形状を成す複層ガラスであり、個々の縁部が縦框21、上框22、下框23によって支持してある。図示の例ではガラスを3層積層したものを例示している。
【0014】
より具体的に説明すると、各框21,22,23には、内周側となる見込み面の室内側となる縁部にパネル支持部20aが内周に向けて突出してあるとともに、室外側となる縁部に押縁装着部20bを介して押縁20cが装着してある。パネル支持部20a及び押縁20cの互いに対向する縁部には、それぞれ軟質のヒレ部20dが一体に成形してあり、これらヒレ部20dを介してパネル支持部20aと押縁20cとの間にパネル25の縁部が挟持してある。
【0015】
また、各框21,22,23には、パネル25の外周端面に対向する部分に中空部26が設けてある。中空部26は、内周壁部26a、外周壁部26b、室内側壁部26c、室外側壁部26dによって囲まれた断面が長方形状のものであり、内部に補強材30が配設してある。補強材30は、アルミニウム合金や鋼材等の金属によって直線状に延在するように構成したものである。図示の例では、平板状を成す基壁部30aの両側にそれぞれ側壁部30bを有した補強材30を適用し、側壁部30bが内周側に向けて突出する状態で補強材30が中空部26に挿入してある。縦框21及び上框22に配設した補強材30は、適宜箇所にネジを螺合することにより、基壁部30aの表面全面を中空部26の外周壁部26bに当接させた状態で縦框21及び上框22に連結してある。
【0016】
一方、下框23に配設した補強材30には、
図5に示すように、基壁部30aの外周側となる表面30cにおいて両端となる部分にそれぞれスペーサプレート31が設けてある。スペーサプレート31は、長方形の平板状を成すもので、基壁部30aの表面30cから突出した状態にある。換言すれば、スペーサプレート31を取り付けた補強材30は、外周側となる部分が基壁部30aの表面30c及び両端に取り付けたスペーサプレート31により、中央部が両端部に比べて内周側となるように構成される。
【0017】
この補強材30は、
図5(a)に示すように、スペーサプレート31が外周壁部26bに当接する状態で中空部26に挿入した後、外周壁部26bの外周側となる見込み面からスペーサプレート31を介して基壁部30aの両端部に連結用ネジ32を螺合することにより、下框23との相対移動が阻止された状態となる。上記のように両端部に連結用ネジ32を螺合した時点では、下框23及び補強材30がそれぞれ直線状に延在した状態にあり、外周壁部26bと基壁部30aの中央部との間にスペーサプレート31の板厚に相当する隙間dが確保されている。
【0018】
次いで、
図5(b)に示すように、外周壁部26bの外周側となる見込み面から基壁部30aの中央部に矯正用ネジ(ネジ部材)33を螺合すると、補強材30に比べて剛性の低い下框23が変形することより上述の隙間dが漸次減少する。その後、矯正用ネジ33の螺合を進行すると、外周壁部26bが補強材30の中央部に当接し、下框23が内周側に向けて凸となるように湾曲した状態に維持される。
【0019】
上記のようにして下框23が予め湾曲するように変形した障子20では、外形寸法が増大することがないため、そのままの状態で枠体10に配設した場合にも、開閉操作に影響を及ぼすおそれはない。しかも、パネル25の重量が加えられた場合にも中央部が外周側に向けて凸となるように湾曲状に変形する事態が抑えられ、仮に下框23に変形を来した場合にも、下枠13との隙間dが減少するだけとなるため、下枠13に干渉する事態を防止することができ、開閉操作性を確保することが可能となる。
【0020】
なお、上述した実施の形態1では、補強材30にスペーサプレート31を取り付けることによって突出部を設けるようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図6に示す変形例1のように、補強材30の基壁部30aにおいて両端となる部分にそれぞれ突出部用ネジ34を螺合することにより、突出部を構成することも可能である。また、
図7に示す変形例2のように、補強材30の基壁部30aにおいて両端部となる部分に切り起こし部30dを形成することにより、基壁部30aと一体の突出部を構成しても良い。変形例1及び変形例2において実施の形態1と同様の構成については同一の符号が付してある。
【0021】
これらの変形例においても、実施の形態1と同様、外周壁部26bの外周側となる見込み面から基壁部30aの中央部に矯正用ネジ33を螺合すると、補強材30に比べて剛性の低い下框23が変形することより上述の隙間dが漸次減少し、その後、外周壁部26bが補強材30の中央部に当接すれば下框23が内周側に向けて凸となるように湾曲した状態に維持される。従って、パネル25の重量が加えられた場合にも中央部が外周側に向けて凸となるように湾曲状に変形する事態が抑えられ、仮に下框23に変形を来した場合にも、下枠13との隙間dが減少するだけとなるため、下枠13に干渉する事態を防止することができ、開閉操作性を確保することが可能となる。
【0022】
なお、実施の形態1及び変形例1、2では、いずれも補強材30の両端部に連結用ネジ32を螺合しているが、少なくとも補強材30の中央部に矯正用ネジ33を螺合すれば十分である。
【0023】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2である建具を示すものである。ここで例示する建具は、実施の形態1と同様、横すべり出し窓と称されるもので、実施の形態1とは補強材30の形状及び下框23に対する補強材30の取り付け状態のみが異なっている。以下、実施の形態1と異なる点について主に説明し、共通部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0024】
すなわち、実施の形態2の建具では、
図9に示すように、側壁部30bが外周側に向けて突出する状態で補強材30が下框23の中空部26に挿入してあるとともに、基壁部30aの内周側となる表面30eにおいて中央となる部分にスペーサプレート31が設けてある。スペーサプレート31は、長方形の平板状を成すもので、基壁部30aの表面30eから突出した状態にある。つまり、スペーサプレート31を取り付けた補強材30は、内周側となる部分が基壁部30aの表面30e及び中央部に取り付けたスペーサプレート31により、中央部が両端部に比べて内周側となるように構成される。
【0025】
この補強材30は、
図9(a)に示すように、スペーサプレート31が内周壁部26aに当接する状態で中空部26に挿入した後、内周壁部26aの内周側となる見込み面からスペーサプレート31を介して基壁部30aの中央部に連結用ネジ32を螺合することにより、下框23との相対移動が阻止された状態となる。上記のように中央部に連結用ネジ32を螺合した時点では、内周壁部26aと基壁部30aの両端部との間にスペーサプレート31の板厚に相当する隙間dが確保されている。
【0026】
次いで、
図9(b)に示すように、内周壁部26aの内周側となる見込み面から基壁部30aの両端部にそれぞれ矯正用ネジ(ネジ部材)33を螺合すると、補強材30に比べて剛性の低い下框23が変形することより上述の隙間dが漸次減少する。その後、矯正用ネジ33の螺合を進行すると、外周壁部26bが補強材30の両端部に当接し、下框23が内周側に向けて凸となるように湾曲した状態に維持される。
【0027】
上記のようにして下框23が予め湾曲するように変形した障子20によれば、外形寸法が増大することがないため、そのままの状態で枠体10に配設した場合にも、開閉操作に影響を及ぼすおそれはない。しかも、パネル25の重量が加えられた場合にも中央部が外周側に向けて凸となるように湾曲状に変形する事態が抑えられ、仮に下框23に変形を来した場合にも、下枠13との隙間dが減少するだけとなるため、下枠13に干渉する事態を防止することができ、開閉操作性を確保することが可能となる。
【0028】
なお、上述した実施の形態2では、補強材30にスペーサプレート31を取り付けることによって突出部を設けるようにしているが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図10に示す変形例3のように、補強材30の基壁部30aにおいて中央となる部分に突出部用ネジ34を螺合することにより、突出部を構成することも可能である。また、
図11に示す変形例4のように、補強部30の基壁部30aにおいて中央となる部分に切り起こし部30dを形成することにより、基壁部30aと一体の突出部を構成しても良い。変形例3及び変形例4において実施の形態2と同様の構成については同一の符号が付してある。
【0029】
これらの変形例においても、実施の形態2と同様、内周壁部26aの内周側となる見込み面から基壁部30aの両端部に矯正用ネジ33を螺合すると、補強材30に比べて剛性の低い下框23が変形することより上述の隙間dが漸次減少し、その後、内周壁部26aが補強材30の両端部に当接すれば下框23が内周側に向けて凸となるように湾曲した状態に維持される。従って、パネル25の重量が加えられた場合にも中央部が外周側に向けて凸となるように湾曲状に変形する事態が抑えられ、仮に下框23に変形を来した場合にも、下枠13との隙間dが減少するだけとなるため、下枠13に干渉する事態を防止することができ、開閉操作性を確保することが可能となる。
【0030】
なお、実施の形態2及び変形例3、4では、いずれも補強材30の中央部に連結用ネジ32を螺合しているが、少なくとも補強材30の両端部に矯正用ネジ33を螺合すれば十分である。
【0031】
また、上述した実施の形態1、2では、横すべり出し窓を例示しているが、枠体10に対して障子20が移動可能に配設されたものであれば、縦すべり出し窓や引き違い窓等、その他の建具にも同様に適用することが可能である。なお、補強材30が配設される中空部26は、必ずしも周囲が完全に閉じている必要はなく、一部が開放されていても構わない。また、障子20を構成する框21,22,23は、必ずしも樹脂である必要はなく、框に対して補強材30の剛性が高い組み合わせであれば、アルミニウム合金等の金属によって成形されたものでも構わない。同様に、パネル25として複層ガラスを例示しているが、必ずしも複層ガラスである必要はなく、またガラスである必要もない。複層ガラスを適用する場合には2層であっても良いし、4層以上であっても構わない。
【0032】
さらに、上述した実施の形態1、2では、補強材30に突出部を設けるようにしているが、下框23との取付面が予め湾曲状に構成されている補強材を適用しても良い。補強材30に突出部を一体に設ける場合に切り起こすようにしているが、その他の方法によって突出部を一体成形しても良い。
【0033】
以上のように、本発明に係る建具は、パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具であって、前記補強材の外周側となる表面には、両端部に突出部が設けられ、前記下框の外周側となる見込み面から前記補強材の中央部にネジ部材を螺合することによって前記下框と連結されていることを特徴としている。
この発明によれば、補強材と下框とを連結させた際に、下框が補強材に沿って中央部が内周側となるように付勢された状態となる。従って、パネルの重量が加えられた場合にも外周側に突出するような変形が抑えられ、枠体と干渉するおそれがなくなり、補強材の数を増やすことなく障子の開閉操作性を確保することが可能となる。
【0034】
また、本発明に係る建具は、パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具であって、前記補強材の内周側となる表面には、中央部に突出部が設けられ、前記下框の内周側となる見込み面から前記補強材の両端部にネジ部材を螺合することによって前記下框と連結されていることを特徴としている。
この発明によれば、補強材と下框とを連結させた際に、下框が補強材に沿って中央部が内周側となるように付勢された状態となる。従って、パネルの重量が加えられた場合にも外周側に突出するような変形が抑えられ、枠体と干渉するおそれがなくなり、補強材の数を増やすことなく障子の開閉操作性を確保することが可能となる。
【0035】
また本発明は、上述した建具において、前記突出部は、前記補強材に一体成形されていることを特徴としている。
この発明によれば、補強材と突出部とを一体に取り扱うことができる。
【0036】
また本発明は、上述した建具において、前記突出部は、前記補強材と別体に成形されていることを特徴としている。
この発明によれば、補強材に対する突出部の位置を容易に調整することができる。
【0037】
また本発明に係る建具の製造方法は、パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具の製造方法であって、外周側となる表面の両端部に突出部が設けられた補強材を前記下框の中空部に挿入する工程と、前記下框の外周側となる見込み面から前記補強材の中央部にネジ部材を螺合することにより、前記下框と前記補強材との間の隙間を減少させる工程とを含むことを特徴としている。
この発明によれば、補強材と下框とを連結させた際に、下框が補強材に沿って中央部が内周側となるように付勢された状態となる。従って、パネルの重量が加えられた場合にも外周側に突出するような変形が抑えられ、枠体と干渉するおそれがなくなり、補強材の数を増やすことなく障子の開閉操作性を確保することが可能となる。
【0038】
また本発明に係る建具の製造方法は、パネルと、前記パネルの四周に設けられた左右の縦框、上框及び下框とを備え、前記下框は中空部を有し、かつ前記中空部に補強材が配設された障子を備える建具の製造方法であって、内周側となる表面の中央部に突出部が設けられた補強材を前記下框の中空部に挿入する工程と、前記下框の内周側となる見込み面から前記補強材の両端部にそれぞれネジ部材を螺合することにより、前記下框と前記補強材との間の隙間を減少させる工程とを含むことを特徴としている。
この発明によれば、補強材と下框とを連結させた際に、下框が補強材に沿って中央部が内周側となるように付勢された状態となる。従って、パネルの重量が加えられた場合にも外周側に突出するような変形が抑えられ、枠体と干渉するおそれがなくなり、補強材の数を増やすことなく障子の開閉操作性を確保することが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
20 障子、21 縦框、22 上框、23 下框、25 パネル、25a ガラス板、26 中空部、30 補強材、30a 基壁部、30b 側壁部、30c 表面、30d 切り起こし部、30e 表面、31 スペーサプレート、33 矯正用ネジ、34 突出部用ネジ、d 隙間