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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115090
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】電磁石電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/18 20060101AFI20240819BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240819BHJP
【FI】
H01F7/18 B
H02M7/48 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020568
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】久保田 健介
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA20
5H770CA02
5H770CA08
5H770DA01
5H770DA27
5H770DA41
5H770EA00
5H770EA01
5H770HA02Y
(57)【要約】
【課題】電流パターンが高速に変化する際にも、電磁石に供給する電流をより高精度に制御できる電磁石電源装置を提供する。
【解決手段】電磁石と接続され、ステップ状に変化する電流パターンに応じた電流を電磁石に供給する主回路部と、電磁石に流れる電流を検出する電流検出器と、電流パターンと電流検出器の検出結果とを基に、主回路部の動作を制御する制御部と、を備え、主回路部は、電流パターンがステップ状に変化する期間に動作するフォーシング回路と、フォーシング回路と直列に接続され、電流パターンが一定の期間に動作するフラット維持回路と、を有し、フラット維持回路は、フルブリッジ接続された4つのスイッチング素子を有し、制御部は、フラット維持回路に対して2象限制御を行う電磁石電源装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁石と接続され、ステップ状に変化する電流パターンに応じた電流を前記電磁石に供給する主回路部と、
前記電磁石に流れる電流を検出する電流検出器と、
前記電流パターンの入力を受け、入力された前記電流パターンと、前記電流検出器の検出結果と、を基に、前記主回路部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記電流パターンは、前記電磁石に供給する電流の最大値と最小値との間のステップ状の変化を繰り返す周期的なパターンであり、
前記主回路部は、
前記電流パターンがステップ状に変化する期間に動作するフォーシング回路と、
前記フォーシング回路と直列に接続され、前記電流パターンが一定の期間に動作するフラット維持回路と、
を有し、
前記フラット維持回路は、フルブリッジ接続された4つのスイッチング素子を有し、前記4つのスイッチング素子のうちの2つのスイッチング素子により、正の極性の電流を前記電磁石に供給可能であるとともに、前記4つのスイッチング素子のうちの残りの2つのスイッチング素子により、負の極性の電流を前記電磁石に供給可能であり、
前記制御部は、前記フラット維持回路から前記電磁石に対して正の極性の電流を供給する場合に、前記電磁石に対して正の極性の電流を供給するための前記2つのスイッチング素子のオン状態及びオフ状態を所定の周期で切り替えるとともに、前記電流検出器の検出結果及び前記電流パターンを基に、オン状態及びオフ状態の比率を変化させ、かつ前記電磁石に対して負の極性の電流を供給するための前記2つのスイッチング素子を前記所定の周期の全ての期間においてオフ状態に設定することにより、前記電流パターンに応じた一定の正の極性の電流が前記電磁石に供給されるようにし、前記フラット維持回路から前記電磁石に対して負の極性の電流を供給する場合に、前記電磁石に対して負の極性の電流を供給するための前記2つのスイッチング素子のオン状態及びオフ状態を所定の周期で切り替えるとともに、前記電流検出器の検出結果及び電流パターンを基に、オン状態及びオフ状態の比率を変化させ、かつ前記電磁石に対して正の極性の電流を供給するための前記2つのスイッチング素子を前記所定の周期の全ての期間においてオフ状態に設定することにより、前記電流パターンに応じた一定の負の極性の電流が前記電磁石に供給されるようにする2象限制御を行う電磁石電源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記電流パターンの全ての期間において、前記フラット維持回路に対し、前記2象限制御を行う請求項1記載の電磁石電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記電流パターンの絶対値が所定値以上の期間において、前記フラット維持回路に対し、前記2象限制御を行い、前記電流パターンの絶対値が前記所定値未満の期間において、前記フラット維持回路に対し、前記4つのスイッチング素子のそれぞれのオン状態及びオフ状態を所定の周期で切り替えるPWM制御を行う請求項1記載の電磁石電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電磁石電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステップ状に変化する電流パターンに応じた電流を電磁石に供給する電圧形電力変換装置の電磁石電源装置が知られている。こうした電磁石電源装置において、2つのチョッパ回路を直列に接続することが行われている。一方のチョッパ回路は、電流指令値がステップ状に変化する期間に動作する。このチョッパ回路は、例えば、フォーシング回路などと呼ばれる。他方のチョッパ回路は、電流指令値が一定の期間に動作する。このチョッパ回路は、例えば、フラット維持回路などと呼ばれる。
【0003】
このように、直列に接続された2つのチョッパ回路を設けることにより、電流指令値の変化に対する負荷電流の高い応答性を得ることができるとともに、一定の電流指令値に対して負荷電流を高精度に制御することができる。こうした電磁石電源装置は、例えば、医療用のスキャニング電磁石などに用いられる。
【0004】
フォーシング回路及びフラット維持回路は、例えば、4つのスイッチング素子をフルブリッジ接続したフルブリッジ構成の変換器である。フォーシング回路及びフラット維持回路は、各スイッチング素子のスイッチングにより、正の極性の電流及び負の極性の電流を電磁石に対して供給可能とする。負の極性の電流は、正の極性の電流に対して逆向きに流れる電流である。
【0005】
フラット維持回路の各スイッチング素子のスイッチングの制御には、例えば、各スイッチング素子のオン状態及びオフ状態を周期的に変化させる、いわゆるPWM(Pulse Width Modulation)制御が用いられる。フラット維持回路は、各スイッチング素子のオン状態及びオフ状態の比率(デューティ比)を変化させることにより、電磁石に供給する電流が電流指令値に応じた一定の大きさとなるようにする。
【0006】
上記のような電磁石電源装置において、フォーシング回路とフラット維持回路との切り替わりの周波数を数十kHzとするなど、比較的高速な動作を求められる場合がある。換言すれば、電流パターンの比較的高速な変化が求められる場合がある。こうした高速動作においては、特に、フォーシング回路からフラット維持回路への移行を高速かつ安定して行い、フラット維持回路での高精度な電流制御が重要となる。このため、高速動作を行うためには、フラット維持回路の各スイッチング素子のスイッチング周波数を高くする必要がある。
【0007】
しかしながら、PWM制御を行う場合に、フラット維持回路の各スイッチング素子のスイッチング周波数を高くすると、各スイッチング素子の最小オン時間及びデッドタイムの影響が大きくなり、出力電流の制御性が低下してしまう可能性がある。例えば、出力電流の正側の最大値付近及び出力電流の負側の最大値付近において制御量の裕度がなくなり、電流指令値に応じた大きさの電流を電磁石に対して適切に供給することができなくなる可能性が生じてしまう。
【0008】
このため、電磁石電源装置では、電流パターンが高速に変化する際にも、電磁石に供給する電流をより高精度に制御できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平1-279311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の実施形態は、電流パターンが高速に変化する際にも、電磁石に供給する電流をより高精度に制御できる電磁石電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態によれば、電磁石と接続され、ステップ状に変化する電流パターンに応じた電流を前記電磁石に供給する主回路部と、前記電磁石に流れる電流を検出する電流検出器と、前記電流パターンの入力を受け、入力された前記電流パターンと、前記電流検出器の検出結果と、を基に、前記主回路部の動作を制御する制御部と、を備え、前記電流パターンは、前記電磁石に供給する電流の最大値と最小値との間のステップ状の変化を繰り返す周期的なパターンであり、前記主回路部は、前記電流パターンがステップ状に変化する期間に動作するフォーシング回路と、前記フォーシング回路と直列に接続され、前記電流パターンが一定の期間に動作するフラット維持回路と、を有し、前記フラット維持回路は、フルブリッジ接続された4つのスイッチング素子を有し、前記4つのスイッチング素子のうちの2つのスイッチング素子により、正の極性の電流を前記電磁石に供給可能であるとともに、前記4つのスイッチング素子のうちの残りの2つのスイッチング素子により、負の極性の電流を前記電磁石に供給可能であり、前記制御部は、前記フラット維持回路から前記電磁石に対して正の極性の電流を供給する場合に、前記電磁石に対して正の極性の電流を供給するための前記2つのスイッチング素子のオン状態及びオフ状態を所定の周期で切り替えるとともに、前記電流検出器の検出結果及び前記電流パターンを基に、オン状態及びオフ状態の比率を変化させ、かつ前記電磁石に対して負の極性の電流を供給するための前記2つのスイッチング素子を前記所定の周期の全ての期間においてオフ状態に設定することにより、前記電流パターンに応じた一定の正の極性の電流が前記電磁石に供給されるようにし、前記フラット維持回路から前記電磁石に対して負の極性の電流を供給する場合に、前記電磁石に対して負の極性の電流を供給するための前記2つのスイッチング素子のオン状態及びオフ状態を所定の周期で切り替えるとともに、前記電流検出器の検出結果及び電流パターンを基に、オン状態及びオフ状態の比率を変化させ、かつ前記電磁石に対して正の極性の電流を供給するための前記2つのスイッチング素子を前記所定の周期の全ての期間においてオフ状態に設定することにより、前記電流パターンに応じた一定の負の極性の電流が前記電磁石に供給されるようにする2象限制御を行う電磁石電源装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、電流パターンが高速に変化する際にも、電磁石に供給する電流をより高精度に制御できる電磁石電源装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る電磁石電源装置を模式的に表すブロック図である。
図2】主回路部を模式的に表す回路図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図4】制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図5図5(a)~図5(d)は、主回路部及び制御部の動作の一例を模式的に表すタイミングチャートである。
図6図6(a)~図6(d)は、主回路部及び制御部の参考の動作を模式的に表すタイミングチャートである。
【0014】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0015】
図1は、実施形態に係る電磁石電源装置を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、電磁石電源装置10は、主回路部12と、制御部14と、を備える。主回路部12は、負荷である電磁石2と接続され、ステップ状に変化する電流パターンに応じた電流を電磁石2に供給する。主回路部12は、電流の供給により、電磁石2を動作させる。主回路部12は、例えば、電圧形の電力変換装置である。制御部14は、主回路部12の動作を制御する。制御部14は、より詳しくは、主回路部12による電磁石2への電流の供給の動作を制御する。
【0016】
主回路部12は、フォーシング回路16と、フラット維持回路18と、を有する。フラット維持回路18は、フォーシング回路16と直列に接続されている。フォーシング回路16は、電流パターン(電流指令値)がステップ状に変化する期間に動作する。フラット維持回路18は、電流パターン(電流指令値)が一定の期間に動作する。
【0017】
フォーシング回路16の出力側には、例えば、リアクトル21、22が設けられる。フラット維持回路18の出力側には、例えば、リアクトル23、24が設けられる。リアクトル21~24は、例えば、リプル平滑用のリアクトルである。フラット維持回路18は、例えば、リアクトル22、23を介してフォーシング回路16と直列に接続される。フォーシング回路16及びフラット維持回路18(主回路部12)は、リアクトル21、24を介して電磁石2と接続される。
【0018】
電磁石電源装置10は、例えば、直流電源30と、直流電源40と、をさらに備える。フォーシング回路16は、負荷である電磁石2と接続されるとともに、直流電源30と接続されている。フォーシング回路16は、直流電源30から供給された直流電圧の電磁石2への供給、及び供給の停止を切り替えることにより、電磁石2に供給する電流をステップ状に変化させる動作を行う。主回路部12から電磁石2に供給する電流は、フォーシング回路16が直流電圧を出力している状態の時に、ステップ状に変化する。
【0019】
直流電源30は、例えば、変圧器31と、整流器32と、リアクトル33と、コンデンサ34と、を有する。整流器32は、変圧器31を介して交流電源4と接続されている。整流器32は、交流電源4から供給された交流電力を整流し、整流電力に変換する。リアクトル33及びコンデンサ34は、整流器32によって変換された整流電力を平滑化し、直流電力に変換する。これにより、直流電源30は、直流電力をフォーシング回路16に供給する。
【0020】
フラット維持回路18は、負荷である電磁石2と接続されるとともに、直流電源40と接続されている。フラット維持回路18は、直流電源40から供給された直流電圧の電磁石2への供給、及び供給の停止を切り替えることにより、電磁石2に供給する電流を電流パターンの表す電流指令値に応じた一定の電流となるように制御する。
【0021】
直流電源40は、例えば、変圧器41と、整流器42と、リアクトル43と、コンデンサ44と、を有する。直流電源40の構成は、直流電源30の構成と同様であるから、詳細な説明は省略する。これにより、直流電源40は、直流電力をフラット維持回路18に供給する。
【0022】
なお、直流電源30、40の構成は、上記に限ることなく、フォーシング回路16及びフラット維持回路18に直流電力を供給可能な任意の構成でよい。また、電磁石電源装置10は、必ずしも直流電源30、40を備えなくてもよい。フォーシング回路16及びフラット維持回路18は、外部の直流電源から直流電力の供給を受けてもよい。
【0023】
図2は、主回路部を模式的に表す回路図である。
図2に表したように、フォーシング回路16は、フルブリッジ接続された4つのスイッチング素子50a~50dと、4つのスイッチング素子50a~50dのそれぞれに逆並列に接続された4つの整流素子52a~52dと、を有する。
【0024】
同様に、フラット維持回路18は、フルブリッジ接続された4つのスイッチング素子54a~54dと、4つのスイッチング素子54a~54dのそれぞれに逆並列に接続された4つの整流素子56a~56dと、を有する。
【0025】
フォーシング回路16及びフラット維持回路18は、換言すれば、チョッパ回路である。フォーシング回路16は、換言すれば、第1チョッパ回路であり、フラット維持回路18は、換言すれば、第2チョッパ回路である。
【0026】
フォーシング回路16では、上側(ハイサイド側)のスイッチング素子50aと、下側(ローサイド側)のスイッチング素子50cと、の接続点、及び上側のスイッチング素子50bと、下側のスイッチング素子50dと、の接続点が、それぞれ一対の出力点16a、16bとなる。同様に、フラット維持回路18では、上側のスイッチング素子54aと、下側のスイッチング素子54cと、の接続点、及び上側のスイッチング素子54bと、下側のスイッチング素子54dと、の接続点が、それぞれ一対の出力点18a、18bとなる。
【0027】
フラット維持回路18の出力点18aは、リアクトル22、23を介してフォーシング回路16の出力点16bと接続される。これにより、フラット維持回路18の出力側が、フォーシング回路16の出力側と直列に接続される。フォーシング回路16の出力点16aは、リアクトル21を介して電磁石2の一端と接続される。フラット維持回路18の出力点18bは、リアクトル24を介して電磁石2の他端と接続される。これにより、直列に接続されたフォーシング回路16及びフラット維持回路18の出力側が、電磁石2と接続され、フォーシング回路16及びフラット維持回路18から出力された電力が、電磁石2に供給される。
【0028】
各スイッチング素子50a~50d、54a~54dは、一対の主端子と、制御端子と、を有する。各スイッチング素子50a~50d、54a~54dは、制御端子に入力された電圧に応じて、一対の主端子間に電流を流すオン状態と、一対の主端子間に流れる電流を遮断するオフ状態と、を切り替える。なお、オフ状態は、主端子間に流れる電流を完全に遮断する状態に限ることなく、主回路部12の動作に影響が無い範囲の微弱な電流が主端子間に流れる状態でもよい。オン状態は、換言すれば、主端子間に電流が流れる第1状態であり、オフ状態は、換言すれば、主端子間に電流が流れる第1状態よりも小さい第2状態である。
【0029】
各スイッチング素子50a~50d、54a~54dには、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの自励式の半導体スイッチング素子が用いられる。但し、各スイッチング素子50a~50d、54a~54dは、これに限ることなく、オン状態及びオフ状態の切り替えを制御可能な任意のスイッチング素子でよい。
【0030】
フルブリッジ回路のフォーシング回路16及びフラット維持回路18では、各スイッチング素子50a~50d、54a~54dのスイッチングにより、電磁石2に供給する電流の向きを制御することができる。フォーシング回路16及びフラット維持回路18は、各スイッチング素子50a~50d、54a~54dのスイッチングにより、正の極性の電流及び負の極性の電流を電磁石2に対して供給可能とする。
【0031】
フラット維持回路18において、スイッチング素子54aは、換言すれば、第1上側スイッチング素子である。スイッチング素子54bは、換言すれば、第1下側スイッチング素子である。スイッチング素子54cは、換言すれば、第2上側スイッチング素子である。スイッチング素子54dは、換言すれば、第2下側スイッチング素子である。例えば、スイッチング素子54aは、U相のスイッチング素子、スイッチング素子54bは、X相のスイッチング素子、スイッチング素子54cは、V相のスイッチング素子、スイッチング素子54dは、Y相のスイッチング素子などと呼ばれる場合もある。
【0032】
スイッチング素子54aの一方の主端子は、直流電源40(コンデンサ44)の高電位側の端子と接続されている。スイッチング素子54aの他方の主端子は、スイッチング素子54bの一方の主端子と接続されている。スイッチング素子54bの他方の主端子は、直流電源40(コンデンサ44)の低電位側の端子と接続されている。スイッチング素子54cの一方の主端子は、直流電源40(コンデンサ44)の高電位側の端子と接続されている。スイッチング素子54cの他方の主端子は、スイッチング素子54dの一方の主端子と接続されている。スイッチング素子54dの他方の主端子は、直流電源40(コンデンサ44)の低電位側の端子と接続されている。
【0033】
スイッチング素子54a、54bは、直列に接続され、フルブリッジ回路の一方のレグを構成する。スイッチング素子54c、54dは、直列に接続されるとともに、スイッチング素子54a、54bと並列に接続され、フルブリッジ回路の他方のレグを構成する。
【0034】
これにより、フラット維持回路18では、スイッチング素子54aとスイッチング素子54dとをオン状態とし、スイッチング素子54bとスイッチング素子54cとをオフ状態とすることで、正の極性の電流を電磁石2に対して供給することができる。そして、スイッチング素子54bとスイッチング素子54cとをオン状態とし、スイッチング素子54aとスイッチング素子54dとをオフ状態とすることで、負の極性の電流を電磁石2に対して供給することができる。
【0035】
このように、フラット維持回路18は、フルブリッジ接続された4つのスイッチング素子54a~54dのうちの2つのスイッチング素子54a、54dにより、正の極性の電流を電磁石2に供給可能であるとともに、4つのスイッチング素子54a~54dのうちの残りの2つのスイッチング素子54b、54cにより、負の極性の電流を電磁石2に供給可能である。
【0036】
フォーシング回路16の構成は、フラット維持回路18の構成と同様である。但し、フォーシング回路16及びフラット維持回路18の構成は、上記に限ることなく、フルブリッジ接続された4つのスイッチング素子を少なくとも有し、電磁石2に対してステップ状に変化する電流パターンに応じた電流を適切に供給することが可能な任意の構成でよい。フォーシング回路16及びフラット維持回路18は、例えば、直列又は並列に接続された複数のスイッチング素子によって各アームを構成することにより、高い電圧や大きな電流に対応できるようにしてもよい。フォーシング回路16の構成は、必ずしもフラット維持回路18の構成と同じでなくてもよい。
【0037】
制御部14は、例えば、各スイッチング素子50a~50d、54a~54dのそれぞれの制御端子と接続され、各スイッチング素子50a~50d、54a~54dのそれぞれのオン状態及びオフ状態の切り替えを制御することにより、フォーシング回路16及びフラット維持回路18の動作を制御する。
【0038】
制御部14は、フォーシング回路16の各スイッチング素子50a~50dのそれぞれのオン状態及びオフ状態の切り替えを制御することにより、電磁石2に供給する電流をステップ状に変化させる動作を制御する。
【0039】
また、制御部14は、電流パターンがステップ状に変化する期間の時に、電圧を出力する出力動作をフォーシング回路16に行わせるとともに、電流パターンが一定の期間の時に、出力側を導通(バイパス)させて電圧の出力を停止する停止動作をフォーシング回路16に行わせる。出力動作は、換言すれば、フォーシング動作である。
【0040】
この例では、上側のスイッチング素子50a、50cをオン状態とし、下側のスイッチング素子50b、50dをオフ状態とするか、反対に、上側のスイッチング素子50a、50cをオフ状態とし、下側のスイッチング素子50b、50dをオン状態とすることにより、一対の出力点16a、16bの間を導通させた状態とすることができる。
【0041】
制御部14は、フラット維持回路18の各スイッチング素子54a~54dのそれぞれのオン状態及びオフ状態の切り替えを制御することにより、電流パターンが一定の期間の時に、電磁石2に供給する電流を電流パターンに応じた一定の電流となるように制御する。制御部14は、例えば、各スイッチング素子54a~54dのそれぞれのオン状態及びオフ状態を高速に切り替えることにより、電磁石2に供給する電流を電流パターンに応じた一定の電流となるように制御する。制御部14は、例えば、フラット維持回路18に対してACR(Auto Current Regulator)制御を行うことにより、電磁石2に供給する電流を電流パターンに応じた一定の電流となるように制御する。
【0042】
図1に表したように、電磁石電源装置10は、例えば、電流検出器60をさらに備える。電流検出器60は、電磁石2に流れる電流を検出し、検出結果を制御部14に入力する。
【0043】
図3(a)及び図3(b)は、制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図3(a)は、制御部14に入力される電流パターンの一例、及び主回路部12から電磁石2に供給される出力電流の一例を模式的に表している。図3(b)は、図3(a)の破線で囲んだ部分を拡大して表している。
【0044】
図3(a)及び図3(b)に表したように、制御部14には、ステップ状に変化する電流パターンが入力される。電流パターンは、電磁石2に供給する電流の最大値と最小値との間のステップ状の変化を繰り返す周期的なパターンである。電流パターンは、例えば、電磁石2に供給する電流の最小値から最大値に向かってステップ状に変化し、最大値から最小値に向かってステップ状に変化することを繰り返す。また、電流パターンは、例えば、電磁石2に供給する電流の向きを正側及び負側に変化させる。電磁石2に供給する電流の最大値は、換言すれば、正側の最大値であり、電磁石2に供給する電流の最小値は、換言すれば、負側の最大値である。電流パターンの周波数は、例えば、数kHz(1kHz以上)である。電流パターンの周波数は、換言すれば、最大値から次の最大値までの周期の逆数である。
【0045】
電流パターンは、例えば、上位のコントローラなどから通信を介して制御部14に随時入力される。換言すれば、制御部14は、上位のコントローラなどの外部機器と通信を行うことにより、外部機器から電流パターンの入力を受ける。電流パターンは、換言すれば、電磁石2に供給する電流の大きさを表す電流指令値である。制御部14は、換言すれば、外部機器と通信を行うことにより、外部機器から電流指令値の入力を受ける。
【0046】
電流パターン(電流指令値)は、例えば、制御部14に予め入力しておき、制御部14の記憶部や、制御部14に接続された別の記憶部などに記憶させておいてもよい。制御部14への電流パターンの入力方法は、上記に限ることなく、制御部14に対して電流パターンを適切に入力可能な任意の方法でよい。
【0047】
制御部14は、入力された電流パターンと、電流検出器60の検出結果と、を基に、主回路部12(フォーシング回路16及びフラット維持回路18)の動作を制御する。
【0048】
制御部14は、電流パターンが一定の期間においては、出力側を導通させる停止動作をフォーシング回路16に行わせるとともに、電流検出器60の検出結果を基に、電磁石2に供給する電流が電流パターンに応じた一定の電流となるように、フラット維持回路18の動作を制御する。
【0049】
図3(a)に表したように、電磁石2に供給する電流の極性を変化させる場合、制御部14は、電磁石2に対して正の極性の電流を供給する場合と、電磁石2に対して負の極性の電流を供給する場合と、で、フラット維持回路18から出力する電圧の極性を変化させる。
【0050】
図4は、制御部の動作の一例を模式的に表すグラフである。
図3(a)、図3(b)、及び図4に表したように、制御部14は、電流パターンがステップ状に変化した際に、電圧を出力する出力動作をフォーシング回路16に行わせる。制御部14は、電磁石2に供給する電流が電流パターンよりも低い場合と、電磁石2に供給する電流が電流パターンよりも高い場合と、で、フォーシング回路16から出力する電圧の極性を変化させる。制御部14は、例えば、電磁石2に対して供給している電流が電流パターンよりも低く、電磁石2に供給する電流を目標電流値に向けて上昇させる場合に、フォーシング回路16から正の極性の電圧を出力させる。そして、制御部14は、例えば、電磁石2に対して供給している電流が電流パターンよりも高く、電磁石2に供給する電流を目標電流値に向けて低下させる場合に、フォーシング回路16から負の極性の電圧を出力させる。
【0051】
なお、フォーシング回路16に出力動作を行わせる場合、フラット維持回路18は、電磁石2に供給する電流を一定に制御する動作を継続させてもよいし、出力側を導通させる停止動作を行わせてもよい。
【0052】
図3(b)及び図4では、フォーシング回路16に出力動作を行わせるフォーシングオン期間を矢線の(1)の期間、フラット維持回路18に電流を一定に制御する動作を行わせるフラット動作期間を矢線の(2)の期間で表している。なお、図3(b)では、電流パターンの変化のタイミングからフォーシング回路16を動作させるタイミングまでの応答遅れを考慮し、フォーシングオン期間の開始のタイミングを電流パターンの変化のタイミングよりも少し遅らせた状態で図示している。
【0053】
制御部14は、フォーシング回路16に出力動作を行わせた後、電流パターンの表す目標電流値と電流検出器60によって検出された現在の出力電流値との差分を表す電流偏差が、所定の閾値に到達するタイミングで、フォーシング回路16を出力動作から停止動作に切り替える。換言すれば、制御部14は、電流偏差が所定の閾値に到達するタイミングで、フォーシングオン期間からフラット動作期間に切り替える。制御部14は、換言すれば、電磁石2に供給される電流が目標電流値に到達するタイミングで、フォーシング回路16を出力動作から停止動作に切り替える。
【0054】
閾値は、目標電流値に応じて偏差0に設定してもよいし、フォーシング回路16の動作の遅れなどにともなう電流偏差のオーバーシュート(アンダーシュート)などを考慮し、早めに停止動作に切り替えるように設定してもよい。例えば、図4に表したように、フォーシング回路16を出力動作から停止動作に切り替える際に、電流偏差を所定の範囲内に収めることが求められる場合がある。所定の範囲は、例えば、定格電流値の±0.1%以内の範囲である。定格電流値とは、フォーシング回路16が出力動作を行った時に電磁石2に供給される電流である。このような場合には、電流偏差のオーバーシュートなどを考慮し、電流偏差が所定の範囲内に収まるように、閾値を適宜設定すればよい。
【0055】
図5(a)~図5(d)は、主回路部及び制御部の動作の一例を模式的に表すタイミングチャートである。
図5(a)は、フラット維持回路18のスイッチング素子54aの動作の一例を表す。
図5(b)は、フラット維持回路18のスイッチング素子54bの動作の一例を表す。
図5(c)は、フラット維持回路18のスイッチング素子54cの動作の一例を表す。
図5(d)は、フラット維持回路18のスイッチング素子54dの動作の一例を表す。
【0056】
図5(a)~図5(d)では、各スイッチング素子54a~54dのオン状態を電圧の高い状態、各スイッチング素子54a~54dのオフ状態を電圧の低い状態として示している。図5(a)~図5(d)は、換言すれば、制御部14から各スイッチング素子54a~54dのそれぞれの制御端子に入力する制御信号の一例を模式的に表す。各スイッチング素子54a~54dは、例えば、制御端子に入力された制御信号の電圧の高い状態の時にオン状態となり、制御端子に入力された制御信号の電圧の低い状態の時にオフ状態となる。
【0057】
図5(a)~図5(d)は、フラット維持回路18から電磁石2に対して正の極性の電流を供給する場合の動作の一例を模式的に表す。図5(a)~図5(d)に表したように、フラット維持回路18から電磁石2に対して正の極性の電流を供給する場合、制御部14は、電磁石2に対して正の極性の電流を供給するための2つのスイッチング素子54a、54dのオン状態及びオフ状態を所定の周期Tで切り替えるとともに、電流検出器60の検出結果及び電流パターンを基に、オン状態及びオフ状態の比率(デューティ比)を変化させることにより、電流パターンに応じた一定の正の極性の電流が電磁石2に供給されるようにする。また、フラット維持回路18から電磁石2に対して正の極性の電流を供給する場合、制御部14は、電磁石2に対して負の極性の電流を供給するための2つのスイッチング素子54b、54cを所定の周期Tの全ての期間においてオフ状態に設定する。
【0058】
フラット維持回路18から電磁石2に対して負の極性の電流を供給する場合、制御部14は、上記と反対に、電磁石2に対して負の極性の電流を供給するための2つのスイッチング素子54b、54cのオン状態及びオフ状態を所定の周期Tで切り替えるとともに、電流検出器60の検出結果及び電流パターンを基に、オン状態及びオフ状態の比率を変化させることにより、電流パターンに応じた一定の負の極性の電流が電磁石2に供給されるようにする。そして、フラット維持回路18から電磁石2に対して負の極性の電流を供給する場合、制御部14は、電磁石2に対して正の極性の電流を供給するための2つのスイッチング素子54a、54dを所定の周期Tの全ての期間においてオフ状態に設定する。
【0059】
このように、制御部14は、電磁石2に供給する電流の極性に応じて、フラット維持回路18のフルブリッジ接続された4つのスイッチング素子54a~54dのうちの2つのスイッチング素子のオン状態及びオフ状態の切り替えを行い、残り2つのスイッチング素子をオフ状態のままとする。このような制御は、例えば、2象限制御方式(2象限ゲート方式)などと呼ばれる場合がある。制御部14は、フラット維持回路18に対して2象限制御を行う。
【0060】
上記のフラット維持回路18の制御において、各スイッチング素子54a~54dのスイッチング周波数は、電流パターンの周波数よりも高い。例えば、電流パターンの周波数が、数kHzである場合、各スイッチング素子54a~54dのスイッチング周波数は、数十kHzに設定される。各スイッチング素子54a~54dのスイッチング周波数は、例えば、電流パターンの周波数の10倍以上に設定される。これにより、各スイッチング素子54a~54dのスイッチングにより、電流パターンに応じた実質的に一定の大きさの電流を電磁石2に供給するように、フラット維持回路18の動作を制御することができる。
【0061】
図6(a)~図6(d)は、主回路部及び制御部の参考の動作を模式的に表すタイミングチャートである。
図6(a)~図6(d)の内容は、図5(a)~図5(d)の内容と同様であるので、詳細な説明は、省略する。
【0062】
図6(a)~図6(d)に表したように、参考の動作では、フラット維持回路18から電磁石2に対して正の極性の電流を供給する場合に、電磁石2に対して正の極性の電流を供給するためのスイッチング素子54a、54dのオン状態及びオフ状態を所定の周期Tで切り替えるとともに、電流検出器60の検出結果及び電流パターンを基に、オン状態及びオフ状態の比率を変化させることにより、電流パターンに応じた一定の正の極性の電流が電磁石2に供給されるようにする。また、参考の動作では、フラット維持回路18から電磁石2に対して正の極性の電流を供給する場合に、電磁石2に対して負の極性の電流を供給するためのスイッチング素子54b、54cのオン状態及びオフ状態も所定の周期Tで切り替える。
【0063】
この際、参考の動作では、スイッチング素子54a、54dのオフ状態の期間においてスイッチング素子54b、54cをオン状態とし、スイッチング素子54b、54cのオフ状態の期間においてスイッチング素子54a、54dをオン状態とすることにより、上下アームの短絡を抑制する。参考の動作において、フラット維持回路18から電磁石2に対して負の極性の電流を供給する場合には、上記と反対の動作を行う。
【0064】
このように、参考の動作では、フラット維持回路18のフルブリッジ接続された4つのスイッチング素子54a~54dのそれぞれのオン状態及びオフ状態の切り替えを行い、各スイッチング素子54a~54dのデューティ比を変化させることにより、電流パターンに応じた一定の大きさの電流を電磁石2に供給するようにする。このような制御は、例えば、PWM制御などと呼ばれている。
【0065】
電磁石電源装置10において、フォーシング回路16とフラット維持回路18との切り替わりの周波数を数十kHzとするなど、比較的高速な動作を求められる場合がある。換言すれば、電流パターンの比較的高速な変化が求められる場合がある。こうした高速動作においては、特に、フォーシング回路16からフラット維持回路18への移行を高速かつ安定して行い、フラット維持回路18での高精度な電流制御が重要となる。このため、高速動作を行うためには、フラット維持回路18の各スイッチング素子54a~54dのスイッチング周波数を高くする必要がある。
【0066】
図6(a)~図6(d)に表した参考の動作のようにPWM制御を行う場合に、フラット維持回路18の各スイッチング素子54a~54dのスイッチング周波数を高くすると、各スイッチング素子54a~54dの最小オン時間(図6のt1、t3の期間)及びデッドタイム(図6のt2の期間)の影響が大きくなり、出力電流の制御性が低下してしまう可能性がある。例えば、出力電流の正側の最大値付近及び出力電流の負側の最大値付近において制御量の裕度がなくなり、電流指令値に応じた大きさの電流を電磁石2に対して適切に供給することができなくなる可能性が生じてしまう。
【0067】
最小オン時間は、より詳しくは、各スイッチング素子54a~54dを適切にオン状態にするために必要な最小限の時間である。デッドタイムは、より詳しくは、上下アームの短絡を抑制するために、上側のスイッチング素子のオン状態からオフ状態への切り替わりのタイミングから下側のスイッチング素子のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングまで、及び下側のスイッチング素子のオン状態からオフ状態への切り替わりのタイミングから上側のスイッチング素子のオフ状態からオン状態への切り替わりのタイミングまでに設定される時間である。
【0068】
PWM制御では、所定の周期Tの全期間にわたって各スイッチング素子54a~54dをオン状態に設定することが認められておらず、所定の周期T内において少なくとも最小オフ時間はオフ状態とする必要がある。このため、各スイッチング素子54a~54dの周波数が高くなると、所定の周期Tに対する最小オン時間及びデッドタイムの影響が大きくなり、出力電流の制御性の低下の要因となってしまうことが懸念される。
【0069】
例えば、各スイッチング素子54a~54dのスイッチング周波数が40kHz(周期Tが25μs)である場合に、最小オン時間t1、t3及びデッドタイムt2のそれぞれが1.5μsであるとすると、各スイッチング素子54a~54dの最大制御量は、(25μs-1.5μs-1.5μs-1.5μs)/25μs=0.82である。
【0070】
これに対し、本実施形態に係る電磁石電源装置10では、制御部14が、電磁石2に供給する電流の極性に応じて、フラット維持回路18のフルブリッジ接続された4つのスイッチング素子54a~54dのうちの2つのスイッチング素子のオン状態及びオフ状態の切り替えを行い、残り2つのスイッチング素子をオフ状態のままとする。
【0071】
本実施形態に係る電磁石電源装置10では、図5に表したように、上側のスイッチング素子及び下側のスイッチング素子の反対側のスイッチング素子のオン状態への切り替えにともなうデッドタイムを設定する必要を無くすことができる。
【0072】
例えば、本実施形態に係る電磁石電源装置10において、各スイッチング素子54a~54dのスイッチング周波数が40kHz、各スイッチング素子54a~54dの最小オフ時間が1.5μsである場合、各スイッチング素子54a~54dの最大制御量は、(25μs-1.5μs)/25μs=0.94とすることができる。
【0073】
このように、本実施形態に係る電磁石電源装置10では、PWM制御を行う場合と比べて、電流パターンが高速に変化する際にも、電磁石2に供給する電流をより高精度に制御することができる。
【0074】
制御部14は、例えば、電流パターンの全ての期間において、フラット維持回路18に対し、2象限制御を行う。制御部14は、例えば、電流パターンの絶対値が所定値以上の期間において、フラット維持回路18に対し、2象限制御を行い、電流パターンの絶対値が所定値未満の期間において、フラット維持回路18に対し、PWM制御を行ってもよい。
【0075】
制御部14は、例えば、電流パターンの絶対値が90%以上の期間において、フラット維持回路18に対し、2象限制御を行う。換言すれば、制御部14は、電流パターンの正側の最大値付近及び負側の最大値付近において、フラット維持回路18に対し、2象限制御を行う。
【0076】
このように、電流パターンの絶対値が所定値未満の期間においては、各スイッチング素子54a~54dのそれぞれのオン状態及びオフ状態を切り替えるPWM制御を行うことにより、例えば、電流パターンの絶対値が低い期間における出力電流の制御性を高めることができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
2…電磁石、 4…交流電源、 10…電磁石電源装置、 12…主回路部、 14…制御部、 16…フォーシング回路、 18…フラット維持回路、 21~24…リアクトル、 30、40…直流電源、 31、41…変圧器、 32、42…整流器、 33、43…リアクトル、 34、44…コンデンサ、 50a~50d、54a~54d…スイッチング素子、 52a~52d、56a~56d…整流素子、 60…電流検出器
図1
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図6