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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115091
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】調整装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/24 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
B66B23/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020569
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 晃司
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321CF18
(57)【要約】
【課題】移動手摺を案内するレールの調整を簡単に行うことができる調整装置を提供する。
【解決手段】調整装置40は、ベース41、及び押付装置43を備える。ベース41は、レール21の端部23に着脱可能である。押付装置43は、本体部50、可動部51、及び押付部52を備える。ベース41が端部23に取り付けられると、押付部52が端部24に対向するように配置され、可動部51が本体部50に対して変位することによって押付部52がD方向とD方向とは反対の方向とに移動する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部を有する第1レールと、
第2端部を有し、前記第2端部が前記第1端部と間隔を空けて対向する第2レールと、
前記第1レール及び前記第2レールに案内され、前記第1端部と前記第2端部との間を第1方向に移動する移動手摺と、
を備えた乗客コンベアにおいて、前記第1端部と前記第2端部との間隔を調整するための調整装置であって、
前記第1端部に着脱可能なベースと、
前記ベースに設けられた押付装置と、
を備え、
前記押付装置は、
前記ベースに設けられた本体部と、
前記本体部に支持され、前記本体部に対して変位可能な可動部と、
前記可動部に設けられた押付部と、
を備え、
前記ベースが前記第1端部に取り付けられると、前記押付部が前記第2端部に対向するように配置され、前記可動部が前記本体部に対して変位することによって前記押付部が前記第1方向と前記第1方向とは反対の方向とに移動する調整装置。
【請求項2】
前記ベースに、前記ベースが前記第1端部に取り付けられると前記第1方向に沿うように配置される第1長孔が形成され、
前記押付部は、
前記可動部に設けられた支持部材と、
前記支持部材に設けられ、前記第1長孔を貫通する第1押付部材と、
を備え、
前記ベースが前記第1端部に取り付けられると、前記第1押付部材の下部が前記第2端部に対向する請求項1に記載の調整装置。
【請求項3】
前記第1端部と前記第2端部との間に連結体が設けられ、
前記ベースに、前記ベースが前記第1端部に取り付けられると前記第1方向に沿うように配置される第2長孔が形成され、
前記押付部は、第2押付部材を更に備え、
前記第2押付部材は、前記支持部材に設けられ、前記第2長孔を貫通し、
前記ベースが前記第1端部に取り付けられると、前記第2押付部材の下部が前記第2端部に対向し、前記第1押付部材の前記下部と前記第2押付部材の前記下部との間に前記連結体が配置される請求項2に記載の調整装置。
【請求項4】
前記ベースは、前記第1端部に取り付けられることによって前記第1端部と前記第2端部とに跨るように配置される請求項1から請求項3の何れか一項に記載の調整装置。
【請求項5】
前記ベースに設けられ、前記本体部及び前記可動部を覆うカバーを更に備え、
前記カバーに、前記ベースが前記第1端部に取り付けられると前記第1方向に沿うように配置される第3長孔が形成され、
前記押付部は、前記押付部の位置を前記カバーの外側に表示するための指標を更に備え、
前記指標は、前記第3長孔を貫通する請求項1から請求項3の何れか一項に記載の調整装置。
【請求項6】
前記可動部は、作動油から力を受けることによって前記本体部に対して変位し、
前記押付装置は、前記可動部が作動油から受ける力を調整するための操作部を更に備えた請求項1から請求項3の何れか一項に記載の調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動手摺を案内するレールを調整するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、移動手摺を案内するレールを調整するための方法が記載されている。特許文献1に記載された方法では、先ず、可撓性を有するレールが下方に押し付けられる。当該レールは、下方に押し付けられることによって変形する。レールを下方に押し付ける力が特定の値に達すると、ボルトを用いてレールの端部が固定板に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-204060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された方法では、作業者は、変形させるレールの上に調整装置を取り付け、当該調整装置を操作する。しかし、調整装置を操作する場所とレールを固定板に固定する場所とが離れているため、レールの調整作業を効率よく行うことができないといった問題があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、移動手摺を案内するレールの調整を効率よく行うことができる調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る調整装置は、第1端部を有する第1レールと、第2端部を有し、第2端部が第1端部と間隔を空けて対向する第2レールと、第1レール及び第2レールに案内され、第1端部と第2端部との間を第1方向に移動する移動手摺と、を備えた乗客コンベアにおいて、第1端部と第2端部との間隔を調整するための調整装置である。本調整装置は、第1端部に着脱可能なベースと、ベースに設けられた押付装置と、を備える。押付装置は、ベースに設けられた本体部と、本体部に支持され、本体部に対して変位可能な可動部と、可動部に設けられた押付部と、を備える。ベースが第1端部に取り付けられると、押付部が第2端部に対向するように配置され、可動部が本体部に対して変位することによって押付部が第1方向と第1方向とは反対の方向とに移動する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る調整装置を用いることにより、移動手摺を案内するレールの調整を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】乗客コンベアの例を示す図である。
図2図1のA部を矢印Bに示す方向から見た図である。
図3図2のC-C断面を示す図である。
図4】実施の形態1における調整装置を示す側面図である。
図5】実施の形態1における調整装置を示す平面図である。
図6図4に相当する側面図である。
図7図5に相当する平面図である。
図8】調整装置を案内レールに取り付けた状態を示す平面図である。
図9図8のF-F断面を示す図である。
図10図8に相当する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して詳細な説明を行う。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0010】
実施の形態1.
図1は、乗客コンベアの例を示す図である。図1は、乗客コンベアの一例としてエスカレーターを示す。乗客コンベアには、動く歩道も含まれる。
【0011】
エスカレーターは、トラス1、及びステップ2を備える。トラス1は、上下の階に架け渡される。乗客は、ステップ2に乗って乗り口3から降り口4に移動する。即ち、図1は、下りのエスカレーターを示す。
【0012】
乗り口3の下方に機械室5が設けられる。機械室5は、トラス1の内部に形成された空間である。機械室5に、電動機6及び制御装置7が設けられる。電動機6は、ステップ2を駆動する。制御装置7は、電動機6を制御する。例えば、電動機6は、減速機8を介して機械室5に設けられた軸9を回転させる。軸9にスプロケット10及びスプロケット11が設けられる。スプロケット10にステップチェーン12が巻き掛けられる。ステップチェーン12に多数のステップ軸13が設けられる。各ステップ軸13にステップ2が固定される。これにより、ステップチェーン12に多数のステップ2が連結される。
【0013】
ステップチェーン12に牽引されることにより、ステップ2は移動する。ステップチェーン12は無端状であるため、ステップ2は循環移動する。乗客は、乗り口3から降り口4に移動するステップ2に乗る。ステップ2に乗っている乗客は、安全のために移動手摺14を掴む。
【0014】
移動手摺14は無端状に形成される。移動手摺14は、駆動装置15によって駆動される。駆動装置15は、移動手摺14を上下から挟み込んだローラを回転させることによって移動手摺14を駆動する。スプロケット11に手摺チェーン16が巻き掛けられる。電動機6の駆動力は、手摺チェーン16によって駆動装置15に伝達される。
【0015】
移動手摺14の移動は、案内レール20(図1では図示せず)によって案内される。案内レール20には多数のレールが含まれる。理想的には、案内レール20によって形成される移動手摺14の移動経路は、移動手摺14の長さに一致することが好ましい。当該経路が移動手摺14の長さより長くても短くても、移動手摺14が移動する際の抵抗が増大する。
【0016】
図2は、図1のA部を矢印Bに示す方向から見た図である。図3は、図2のC-C断面を示す図である。レール21は、案内レール20に含まれるレールの1つである。レール21は、端部23を有する。レール22は、案内レール20に含まれるレールの1つである。レール22は、端部24を有する。レール22は、端部24の端面が端部23の端面に対向するように配置される。端部23と端部24とは一直線状に配置される。端部23と端部24との間に、距離Lの間隔が空けられている。本実施の形態に示す例では、レール22は、レール21より降り口4から遠い位置に配置される。
【0017】
移動手摺14は、A部において、レール21及びレール22によって案内され、端部23と端部24との間をD方向に移動する。案内レール20によって形成される経路は、距離Lを調整することによってその全体の距離を変更することができる。定期点検時或いは調整が必要と判断される時に、当該経路の全体の距離が移動手摺14の長さに一致するように距離Lが調整される。
【0018】
例えば、レール22は樹脂製であり、可撓性を有する。レール22は、図1に示すように、端部24より降り口4から遠い部分において、下方に湾曲する。距離Lを大きくすると、この湾曲する部分が更に下方に移動するようにレール22が変形する。距離Lを小さくすると、この湾曲する部分が上方に移動するようにレール22が変形する。
【0019】
レール21の端部23とレール22の端部24との間に、距離Lを一定に保持しておくための連結体25が設けられる。連結体25の一方の端部26は、レール21の端部23に設けられる。連結体25のもう一方の端部27は、レール22の端部24に設けられる。
【0020】
図2及び図3に示す例では、レール21の端部23の一部が、ボルト28によって連結体25の端部26とブラケット30とに挟まれる。ブラケット30は、トラス1に直接或いは他の部材を介して固定される。これにより、端部26が端部23に固定され、端部23がトラス1に固定される。また、レール22の端部24の一部が、ボルト29によって連結体25の端部27とブラケット31とに挟まれる。ブラケット31は、トラス1に直接或いは他の部材を介して固定される。これにより、端部27が端部24に固定され、端部24がトラス1に固定される。
【0021】
次に、距離Lを調整するための装置について説明する。図4は、実施の形態1における調整装置40を示す側面図である。図5は、実施の形態1における調整装置40を示す平面図である。調整装置40は、ベース41、カバー42、及び押付装置43を備える。図6は、図4に相当する側面図である。図7は、図5に相当する平面図である。図6は、図4に示す調整装置40からカバー42を外した状態を示す。図7は、図5に示す調整装置40からカバー42を外した状態を示す。
【0022】
ベース41は板状である。ベース41は、レール21の端部23に着脱可能である。ベース41の一方の端部に、レール21への取り付けのためのスリット44が形成される。スリット44の幅は、ボルト28のねじ部分の太さより大きい。ベース41のもう一方の端部に、スリット45が形成される。スリット45の幅は、ボルト29のヘッド部分の幅より大きい。更に、ベース41に、長孔46及び長孔47が形成される。長孔46及び長孔47は、互いに平行である。
【0023】
カバー42は、ベース41に設けられる。カバー42の上面に、長孔48が形成される。長孔48は、長孔46及び長孔47に対して平行である。また、カバー42に、長孔48に沿うように目盛り49が付される。
【0024】
押付装置43は、ベース41に設けられる。押付装置43の要部は、カバー42によって覆われる。押付装置43は、レール22の端部24を、端部23から離れる方向に押すための装置である。押付装置43は、本体部50、可動部51、押付部52、及び操作部53を備える。少なくとも本体部50及び可動部51は、カバー42によって覆われる。
【0025】
本体部50は、ベース41に設けられる。本実施の形態では、本体部50が取付部材54とボルト55とを用いてベース41に固定される例を示す。
【0026】
可動部51は、本体部50に支持される。可動部51は、本体部50に対して変位可能である。図6及び図7に示すように、可動部51は、本体部50に対してE方向及びE方向とは反対の方向に変位する。
【0027】
なお、スリット44は、E方向に沿うようにベース41に形成される。スリット44は、E方向とは反対の方向に開口する。スリット45は、E方向に沿うようにベース41に形成される。スリット45は、E方向に開口する。長孔46及び長孔47は、E方向に沿うようにベース41に形成される。長孔48は、E方向に沿うようにカバー42に形成される。
【0028】
本実施の形態では、本体部50と可動部51とが油圧ジャッキによって構成される例を示す。かかる場合、可動部51は、作動油から力を受けることによって本体部50に対して変位する。操作部53は、可動部51が作動油から受ける力を調整するために作業者が操作する装置である。例えば、操作部53は、レバー56、及びボタン57を備える。レバー56が操作されることにより、本体部50に作動油が送られる。これにより、可動部51は、本体部50に対してE方向に変位する。ボタン57が操作されることにより、本体部50から作動油が抜かれる。これにより、可動部51は、本体部50に対してE方向とは反対の方向に変位する。
【0029】
押付部52は、可動部51に設けられる。本実施の形態に示す例では、押付部52は、支持部材58、押付部材59、及び押付部材60を備える。支持部材58、押付部材59、及び押付部材60は、それぞれ板状である。押付部52は、平面視においてU字状に形成される。
【0030】
支持部材58は、可動部51に設けられる。押付部材59は、支持部材58に設けられる。押付部材59は、支持部材58から下方に延びる。押付部材59は、長孔46を貫通し、その下部がベース41から下方に突出する。押付部材60は、支持部材58に設けられる。押付部材59及び押付部材60は、互いに平行になるように配置される。押付部材60は、支持部材58から下方に延びる。押付部材60は、長孔47を貫通し、その下部がベース41から下方に突出する。
【0031】
上述したように、押付部52は可動部51に設けられる。このため、可動部51が本体部50に対して変位すると、押付部52も同様に本体部50に対して変位する。押付部52はベース41に対して水平に変位する。このため、可動部51が本体部50に対して変位しても、押付部材59の下部は、ベース41から下方に突出したままである。同様に、可動部51が本体部50に対して変位しても、押付部材60の下部は、ベース41から下方に突出したままである。即ち、押付部材59の下部及び押付部材60の下部は、常にベース41から下方に突出する。
【0032】
押付部52は、押付部52の位置をカバー42の外側に表示するための指標61を更に備えても良い。指標61は、押付部材59に設けられる。指標61は、押付部材59から上方に延びる。指標61は、長孔48を貫通し、上端部の矢印が目盛り49に隣接するように配置される。
【0033】
なお、押付装置43は、作動油の圧力を表示するための圧力計62を備えても良い。
【0034】
次に、図8から図10も参照し、調整装置40を用いて距離Lを調整する作業について説明する。図8は、調整装置40を案内レール20に取り付けた状態を示す平面図である。図9は、図8のF-F断面を示す図である。図10は、図8に相当する側面図である。図10は、図8に示す調整装置40からカバー42を外した状態を示す。なお、図8から図10では、記載の簡略化のために操作部53を省略している。また、図9において、調整装置40の断面部分にハッチングを付していない。
【0035】
距離Lの調整を行う作業者は、先ず、調整装置40を案内レール20に取り付けるために、ボルト28及びボルト29を緩める。次に、作業者は、ボルト28のねじ部分がスリット44に配置され、ボルト29のヘッド部分がスリット45に配置されるように、ベース41をレール21の端部23とレール22の端部24の上方に置く。作業者は、その状態でボルト28を締め付け、ベース41の一方の端部をレール21の端部23に固定する。
【0036】
なお、上述したように、スリット45の幅は、ボルト29のヘッド部分の幅より大きい。このため、ベース41の一方の端部が端部23に固定されても、ベース41のもう一方の端部は、レール22の端部24に固定されない。調整装置40の案内レール20への取り付けは、この状態で完了する。
【0037】
図8から図10に示すように、ベース41が端部23に取り付けられると、ベース41は、端部23と端部24とに跨るように配置される。また、ベース41が端部23に取り付けられると、E方向がD方向又はD方向とは反対の方向に一致する。即ち、ベース41が端部23に取り付けられると、長孔46から長孔48のそれぞれはD方向に沿うように配置される。
【0038】
上述したように、押付部材59は、ベース41から下方に突出する。押付部材60は、ベース41から下方に突出する。このため、ベース41が端部23に取り付けられると、押付部材59の下部と押付部材60の下部とは、レール21の端部23の端面とレール22の端部24の端面との間に形成された空間に配置される。また、ベース41が端部23に取り付けられると、押付部材59の下部が端部24の端面に対向し、押付部材60の下部が端部24の端面に対向するように配置される。更に、押付部材59の下部と押付部材60の下部との間に連結体25が配置される。
【0039】
図8から図10に示すように調整装置40をレール21に取り付けると、作業者は、押付部52がレール22に接近するように可動部51を移動させる。例えば、作業者は、操作部53のレバー56を操作し、押付部52をE方向に移動させる。これにより、押付部材59の下部と押付部材60の下部とが端部24の端面に接触する。その後もレバー56が操作されることにより、端部24が押付部材59の下部と押付部材60の下部とに押され、E方向に移動する。即ち、レール22が変形し、距離Lが広がる。
【0040】
従来、距離Lの調整は、レール22の中間部分を特定の力で押し付けて距離Lを広げ、端部24をダウンポジションと呼ばれる位置まで移動させた後、特定の距離L1だけ距離Lを狭めることによって行われていた。
【0041】
調整装置40を用いて距離Lを調整する場合は、例えば、端部24とブラケット31とに、端部24がダウンポジションに配置された際に一直線状になるケガキ線を予め付しておく。
作業者は、レバー56を操作することによって端部24をE方向に移動させ、このケガキ線を見ながら端部24をダウンポジションに配置する。
【0042】
作業者は、端部24をダウンポジションに配置すると、ボタン57を操作して、可動部51、即ち押付部52をE方向とは反対の方向に移動させる。この時、作業者は、指標61と目盛り49を見ながらボタン57の操作を行い、押付部52を距離L1だけ本体部50に接近するように移動させる。これにより、端部24がダウンポジションに配置された状態から、距離Lを距離L1だけ狭めることができる。このような作業によって距離Lを調整すると、作業者は、ボルト29を締め付け、連結体25の端部27とブラケット31とによってレール22の端部24を挟み込む。これにより、端部27が端部24に固定され、端部24がトラス1に固定される。
【0043】
本実施の形態に示す調整装置40を用いて距離Lの調整を行うことにより、当該調整に必要な作業をレール21の端部23及びレール22の端部24の近傍で行うことができる。例えば、調整装置40を用いれば、レール22の中間部分を下方に押し付ける作業を行う必要がない。このため、距離Lの調整、即ち案内レール20の調整を効率よく行うことができる。
【0044】
本実施の形態では、ボルト28を用いて調整装置40をレール21の端部23に取り付ける例について説明した。調整装置40を端部23に取り付ける際に、取付専用の他のボルト又はボルト以外の取付部材が用いられても良い。
【0045】
以下に、本開示に含まれ得る態様の例について、付記として明記する。
【0046】
[付記1]
第1端部を有する第1レールと、
第2端部を有し、前記第2端部が前記第1端部と間隔を空けて対向する第2レールと、
前記第1レール及び前記第2レールに案内され、前記第1端部と前記第2端部との間を第1方向に移動する移動手摺と、
を備えた乗客コンベアにおいて、前記第1端部と前記第2端部との間隔を調整するための調整装置であって、
前記第1端部に着脱可能なベースと、
前記ベースに設けられた押付装置と、
を備え、
前記押付装置は、
前記ベースに設けられた本体部と、
前記本体部に支持され、前記本体部に対して変位可能な可動部と、
前記可動部に設けられた押付部と、
を備え、
前記ベースが前記第1端部に取り付けられると、前記押付部が前記第2端部に対向するように配置され、前記可動部が前記本体部に対して変位することによって前記押付部が前記第1方向と前記第1方向とは反対の方向とに移動する調整装置。
[付記2]
前記ベースに、前記ベースが前記第1端部に取り付けられると前記第1方向に沿うように配置される第1長孔が形成され、
前記押付部は、
前記可動部に設けられた支持部材と、
前記支持部材に設けられ、前記第1長孔を貫通する第1押付部材と、
を備え、
前記ベースが前記第1端部に取り付けられると、前記第1押付部材の下部が前記第2端部に対向する付記1に記載の調整装置。
[付記3]
前記第1端部と前記第2端部との間に連結体が設けられ、
前記ベースに、前記ベースが前記第1端部に取り付けられると前記第1方向に沿うように配置される第2長孔が形成され、
前記押付部は、第2押付部材を更に備え、
前記第2押付部材は、前記支持部材に設けられ、前記第2長孔を貫通し、
前記ベースが前記第1端部に取り付けられると、前記第2押付部材の下部が前記第2端部に対向し、前記第1押付部材の前記下部と前記第2押付部材の前記下部との間に前記連結体が配置される付記2に記載の調整装置。
[付記4]
前記ベースは、前記第1端部に取り付けられることによって前記第1端部と前記第2端部とに跨るように配置される付記1から付記3の何れか一つに記載の調整装置。
[付記5]
前記ベースに設けられ、前記本体部及び前記可動部を覆うカバーを更に備え、
前記カバーに、前記ベースが前記第1端部に取り付けられると前記第1方向に沿うように配置される第3長孔が形成され、
前記押付部は、前記押付部の位置を前記カバーの外側に表示するための指標を更に備え、
前記指標は、前記第3長孔を貫通する付記1から付記4の何れか一つに記載の調整装置。
[付記6]
前記可動部は、作動油から力を受けることによって前記本体部に対して変位し、
前記押付装置は、前記可動部が作動油から受ける力を調整するための操作部を更に備えた付記1から付記5の何れか一つに記載の調整装置。
【符号の説明】
【0047】
1 トラス、 2 ステップ、 3 乗り口、 4 降り口、 5 機械室、 6 電動機、 7 制御装置、 8 減速機、 9 軸、 10~11 スプロケット、 12 ステップチェーン、 13 ステップ軸、 14 移動手摺、 15 駆動装置、 16 手摺チェーン、 20 案内レール、 21~22 レール、 23~24 端部、 25 連結体、 26~27 端部、 28~29 ボルト、 30~31 ブラケット、 40 調整装置、 41 ベース、 42 カバー、 43 押付装置、 44~45 スリット、 46~48 長孔、 49 目盛り、 50 本体部、 51 可動部、 52 押付部、 53 操作部、 54 取付部材、 55 ボルト、 56 レバー、 57 ボタン、 58 支持部材、 59~60 押付部材、 61 指標、 62 圧力計
図1
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図10