(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115102
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】光源制御装置、光源装置、プロジェクター及び光源制御方法
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240819BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240819BHJP
G03B 21/16 20060101ALI20240819BHJP
F21V 9/35 20180101ALI20240819BHJP
F21V 29/54 20150101ALI20240819BHJP
F21V 29/502 20150101ALI20240819BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20240819BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
G03B21/16
F21V9/35
F21V29/54
F21V29/502 100
F21V29/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020583
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】田林 孝介
(72)【発明者】
【氏名】門谷 典和
【テーマコード(参考)】
2K203
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA23
2K203FA34
2K203FA44
2K203FA54
2K203GA35
2K203GA44
2K203GA52
2K203GA59
2K203HA28
2K203LA02
2K203LA12
2K203LA18
2K203LA22
2K203LA37
2K203LA39
2K203LA42
2K203LA56
2K203LA57
2K203MA06
(57)【要約】
【課題】波長変換素子の波長変換効率を維持でき、出射光のホワイトバランスを調節できる光源制御装置、光源装置、プロジェクター及び光源制御方法を提供する。
【解決手段】照明光を出力する光源制御装置は、青色光を出力する第1発光素子と、赤色光を出力する第2発光素子と、入射する青色光を波長変換光に変換する波長変換素子と、波長変換素子と熱的に接続される第1熱電変換素子と、第1熱電変換素子と熱的に接続される第1放熱部材と、第2発光素子と熱的に接続される第2熱電変換素子と、第2熱電変換素子と熱的に接続される第2放熱部材と、第1熱電変換素子及び第2熱電変換素子のそれぞれの駆動を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を出力する光源制御装置であって、
青色光を出力する第1発光素子と、
赤色光を出力する第2発光素子と、
入射する前記青色光を波長変換光に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子と熱的に接続される第1熱電変換素子と、
前記第1熱電変換素子と熱的に接続される第1放熱部材と、
前記第2発光素子と熱的に接続される第2熱電変換素子と、
前記第2熱電変換素子と熱的に接続される第2放熱部材と、
前記第1熱電変換素子及び前記第2熱電変換素子のそれぞれの駆動を制御する制御部と、を備える、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記第1熱電変換素子による前記波長変換素子の冷却を前記第2熱電変換素子による前記第2発光素子の冷却に優先して行う、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光源制御装置において、
前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材のそれぞれに気流を流通させるファンを備え、
前記制御部は、前記ファンの駆動を制御する、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記波長変換素子の冷却を、前記ファンに優先して前記第1熱電変換素子によって実行する、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光源制御装置において、
前記第1熱電変換素子による前記波長変換素子の冷却と、前記ファンによる前記波長変換素子の冷却とを実行した後、前記波長変換素子の温度が波長変換素子用閾値を超えている場合、前記制御部は、前記第1発光素子及び前記第2発光素子のそれぞれの出力を低下させる、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記第2発光素子の冷却を、前記ファンに優先して前記第2熱電変換素子によって実行する、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光源制御装置において、
前記第2熱電変換素子による前記第2発光素子の冷却と、前記ファンによる前記第2発光素子の冷却とを実行した後、前記第2発光素子の温度が第2発光素子用閾値を超えている場合、前記制御部は、前記第1発光素子及び前記第2発光素子のそれぞれの出力を低下させる、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項8】
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記照明光に含まれる前記赤色光の光量に対する、前記照明光に含まれる前記青色光の光量の比率を、前記第1熱電変換素子、前記第2熱電変換素子及び前記ファンによって調節する、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記比率を低下させる場合には、前記第2熱電変換素子及び前記ファンを用いて前記第2発光素子の冷却を実行する、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光源制御装置において、
前記第2熱電変換素子による前記第2発光素子の冷却と、前記ファンによる前記第2発光素子の冷却とを実行した後、前記比率が上限値に達しない場合、前記制御部は、前記第1発光素子の前記青色光の出力を低下させる、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項11】
請求項8に記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記比率を上昇させる場合には、前記第2熱電変換素子及び前記ファンを用いて前記第2発光素子を加温する、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の光源制御装置において、
前記第2熱電変換素子による前記第2発光素子に対する加温と、前記ファンによる前記第2発光素子に対する加温とを実行した後、前記比率が下限値に達しない場合、前記制御部は、前記第2発光素子による前記赤色光の出力を低下させる、ことを特徴とする光源制御装置。
【請求項13】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光源制御装置と、
前記光源制御装置から出射された光から画像光を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、を備える、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項14】
青色光を出力する第1光源と、
赤色光を出力する第2光源と、
入射する前記青色光を波長変換光に変換する波長変換装置と、
前記青色光、前記波長変換光及び前記赤色光を合成する色合成素子と、
前記波長変換装置と熱的に接続される第1放熱部材と、
前記第2光源と熱的に接続される第2放熱部材と、を備え、
前記波長変換装置は、
前記青色光を前記波長変換光に変換する波長変換素子と、
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第1面にて前記波長変換素子を支持する熱伝導性の第1ベースと、
前記第2面と熱的に接続される第1熱電変換素子と、を有し、
前記第2光源は、
発光素子と、
第3面と、前記第3面とは反対側の第4面とを有し、前記第3面にて前記発光素子を支持する熱伝導性の第2ベースと、
前記第4面と熱的に接続される第2熱電変換素子と、を有し、
前記第1放熱部材は、前記第1熱電変換素子に対して前記第1ベースとは反対側に配置されて、前記第1熱電変換素子と熱的に接続され、
前記第2放熱部材は、前記第2熱電変換素子に対して前記第2ベースとは反対側に配置されて、前記第2熱電変換素子と熱的に接続される、ことを特徴とする光源装置。
【請求項15】
請求項14に記載の光源装置において、
前記第1熱電変換素子から伝達される熱を前記第1放熱部材に輸送する第1受熱部材と、
前記第2熱電変換素子から伝達される熱を前記第2放熱部材に輸送する第2受熱部材と、を備える、ことを特徴とする光源装置。
【請求項16】
請求項15に記載の光源装置において、
前記第1受熱部材及び前記第2受熱部材は、1つの受熱部材によって構成されている、ことを特徴とする光源装置。
【請求項17】
請求項15に記載の光源装置において、
前記第1受熱部材及び前記第2受熱部材のうち少なくとも一方の受熱部材は、ベイパーチャンバーによって構成されている、ことを特徴とする光源装置。
【請求項18】
請求項14から請求項17のいずれか一項に記載の光源装置において、
前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材に気流を流通させるファンを備える、ことを特徴とする光源装置。
【請求項19】
請求項14から請求項17のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から出射された光から画像光を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、を備える、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項20】
第1発光素子と、前記第1発光素子から入力する青色光の波長を変換した波長変換光を出力する波長変換素子と、前記青色光及び前記波長変換光と合成される赤色光を出力する第2発光素子と、を備える光源装置に対して実施される光源制御方法であって、
前記波長変換素子を冷却する第1冷却手順と、
前記第2発光素子を冷却する第2冷却手順と、
前記光源装置から出力される光に含まれる前記青色光の光量と前記赤色光の光量との比率に基づいて、前記第2発光素子の温度を調節する調節手順と、を含むことを特徴とする光源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源制御装置、光源装置、プロジェクター及び光源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像光を投射するプロジェクターに適用される光源装置が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。
特許文献1に記載の光源装置では、アレイ光源から出射されて光学素子に入射する青色の光線束のうち、s偏光の青色光は、波長変換素子に入射し、p偏光の青色光は、第2の位相差板に入射する。波長変換素子は、青色光を緑色光及び赤色光を含む蛍光に変換して出射し、蛍光は、光学素子を通過して光源装置から出射される。第2の位相差板に入射したp偏光の青色光は、円偏光の青色光に変換された後、拡散反射素子にて拡散反射される。拡散反射素子にて反射された青色光は、第2の位相差板を通過する際にs偏光の青色光に変換され、光学素子にて反射されて、光源装置から出射される。
【0003】
特許文献2に記載の光源装置では、励起光源から出射されて第1ダイクロイックミラーに入射した青色光のうち、s偏光の青色光は、蛍光体に入射する。蛍光体は、入射する青色光を緑色光に変換し、変換された緑色光は、第1ダイクロイックミラーを通過する。第1ダイクロイックミラーに入射した青色光のうち、p偏光の青色光は、1/4波長板を通過して第2ダイクロイックミラーにて反射され、1/4波長板を再度通過する過程にてs偏光の青色光に変換される。変換されたs偏光の青色光は、第1ダイクロイックミラーにて、緑色光が第1ダイクロイックミラーを通過する方向に反射される。赤色レーザー光源からの赤色光は、第2ダイクロイックミラー及び1/4波長板を通過し、第1ダイクロイックミラーにて、緑色光が第1ダイクロイックミラーを通過する方向に反射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-45620号公報
【特許文献2】特開2012-234161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、波長変換素子による入射光の波長変換効率を維持するためには、波長変換素子の温度管理が重要である。しかしながら、特許文献1に記載の波長変換素子は、基板上に蛍光体層が固定された構成を有することから、蛍光体層の放熱効率が低く、蛍光体層の温度が上昇して波長変換素子の波長変換効率が低下しやすいという問題がある。
これに対し、特許文献2に記載の蛍光体は、回転する基板に設けられていることから、蛍光体の放熱性を高めることができ、蛍光体の波長変換効率の低下を抑制できる。
しかしながら、特許文献2に記載の光源装置では、励起光源から出射された青色光と、蛍光体にて変換された緑色光とに合成される赤色光を出射する赤色レーザー光源は、環境温度に応じて赤色光の出力が増減する。このため、光源装置から出射される光のホワイトバランスを維持することが難しいという問題がある。
これらのことから、波長変換素子の波長変換効率を維持でき、出射光のホワイトバランスを調節できる構成が要望されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る光源制御装置は、照明光を出力する光源制御装置であって、青色光を出力する第1発光素子と、赤色光を出力する第2発光素子と、入射する前記青色光を波長変換光に変換する波長変換素子と、前記波長変換素子と熱的に接続される第1熱電変換素子と、前記第1熱電変換素子と熱的に接続される第1放熱部材と、前記第2発光素子と熱的に接続される第2熱電変換素子と、前記第2熱電変換素子と熱的に接続される第2放熱部材と、前記第1熱電変換素子及び前記第2熱電変換素子のそれぞれの駆動を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本開示の第2態様に係るプロジェクターは、上記第1態様に係る光源制御装置と、前記光源制御装置から出射された光から画像光を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置によって形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、を備える。
【0008】
本開示の第3態様に係る光源装置は、青色光を出力する第1光源と、赤色光を出力する第2光源と、入射する前記青色光を波長変換光に変換する波長変換装置と、前記青色光、前記波長変換光及び前記赤色光を合成する色合成素子と、前記波長変換装置と熱的に接続される第1放熱部材と、前記第2光源と熱的に接続される第2放熱部材と、を備え、前記波長変換装置は、前記青色光を前記波長変換光に変換する波長変換素子と、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第1面にて前記波長変換素子を支持する熱伝導性の第1ベースと、前記第2面と熱的に接続される第1熱電変換素子と、を有し、前記第2光源は、発光素子と、第3面と、前記第3面とは反対側の第4面とを有し、前記第3面にて前記発光素子を支持する熱伝導性の第2ベースと、前記第4面と熱的に接続される第2熱電変換素子と、を有し、前記第1放熱部材は、前記第1熱電変換素子に対して前記第1ベースとは反対側に配置されて、前記第1熱電変換素子と熱的に接続され、前記第2放熱部材は、前記第2熱電変換素子に対して前記第2ベースとは反対側に配置されて、前記第2熱電変換素子と熱的に接続される。
【0009】
本開示の第4態様に係るプロジェクターは、上記第3態様に係る光源装置と、前記光源装置から出射された光から画像光を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置によって形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、を備える。
【0010】
本開示の第5態様に係る光源制御方法は、第1発光素子と、前記第1発光素子から入力する青色光の波長を変換した波長変換光を出力する波長変換素子と、前記青色光及び前記波長変換光と合成される赤色光を出力する第2発光素子と、を備える光源装置に対して実施される光源制御方法であって、前記波長変換素子を冷却する第1冷却手順と、前記第2発光素子を冷却する第2冷却手順と、前記光源装置から出力される光に含まれる前記青色光の光量と前記赤色光の光量との比率に基づいて、前記第2発光素子の温度を調節する調節手順と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態におけるプロジェクターの構成を示す模式図。
【
図2】第1実施形態における光源装置の構成を示す模式図。
【
図3】第1実施形態における制御処理を示すフローチャート。
【
図4】第1実施形態における制御処理を示すフローチャート。
【
図5】第1実施形態における波長変換素子の冷却処理を示すフローチャート。
【
図6】第1実施形態における第2発光素子の第1冷却処理を示すフローチャート。
【
図7】第1実施形態における第2発光素子の第2冷却処理を示すフローチャート。
【
図8】第1実施形態における第2発光素子の加温処理を示すフローチャート。
【
図9】第1実施形態の変形における光源装置の構成を示す模式図。
【
図10】第2実施形態における光源装置の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、画像情報に応じた画像光をスクリーン等の被投射面に拡大投射する。プロジェクター1は、
図1に示すように、外装筐体2と、外装筐体2に収容される画像投射ユニット3、光量検出ユニット6及び制御ユニット7と、を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、プロジェクター1を構成する電子部品に電力を供給する電源装置、及び、プロジェクター1の冷却対象を冷却する冷却装置を備える。
【0013】
[画像投射ユニットの構成]
画像投射ユニット3は、制御ユニット7から入力する画像信号に応じた画像光を形成し、形成した画像光を投射する。画像投射ユニット3は、光源装置4、均一化光学系31、色分離光学系32、リレー光学系33、画像形成装置34、光学部品用筐体35及び投射光学装置36を備える。
【0014】
光源装置4は、均一化光学系31に照明光を出射する。光源装置4の構成は、後に詳述する。
均一化光学系31は、光源装置4から出射された照明光を均一化する。均一化された照明光は、色分離光学系32及びリレー光学系33を経て、後述する光変調素子343の変調領域を照明する。均一化光学系31は、2つのレンズアレイ311,312、偏光変換素子313及び重畳レンズ314を備える。
色分離光学系32は、均一化光学系31から入射される光を赤、緑及び青の各色光に分離する。色分離光学系32は、2つのダイクロイックミラー321,322と、ダイクロイックミラー321によって分離された青色光を反射する反射ミラー323と、を備える。
【0015】
リレー光学系33は、他の色光の光路よりも長い赤色光の光路に設けられ、赤色光の損失を抑制する。リレー光学系33は、入射側レンズ331、リレーレンズ333、反射ミラー332,334を備える。本実施形態では、リレー光学系33に赤色光を導くこととした。しかしながら、これに限らず、例えば他の色光より光路が長い色光を青色光とし、リレー光学系33が青色光を画像形成装置34に導く構成としてもよい。
【0016】
画像形成装置34は、光源装置4から出射された光から画像光を形成する。詳述すると、画像形成装置34は、制御ユニット7から入力する画像信号に応じて、入射する赤、緑及び青の各色光を変調し、変調した各色光を合成して、画像光を形成する。画像形成装置34は、入射する色光に応じて設けられる3つのフィールドレンズ341と、3つの入射側偏光板342と、3つの光変調素子343と、3つの視野角補償板344と、3つの出射側偏光板345と、1つの色合成光学系346と、を有する。
【0017】
光変調素子343は、光源装置4から出射された光を画像信号に基づいて変調する。具体的に、光変調素子343は、入射側偏光板342から入射する色光を画像信号に応じて変調し、変調された色光を出射する。3つの光変調素子343は、赤色光用の光変調素子343R、緑色光用の光変調素子343G、及び、青色光用の光変調素子343Bを含む。本実施形態では、光変調素子343は、入射した色光の進行方向に沿って、変調した色光を出射する透過型の液晶パネルによって構成されており、光変調素子343、入射側偏光板342及び出射側偏光板345によって液晶ライトバルブが構成される。
【0018】
色合成光学系346は、光変調素子343B,343G,343Rによって変調された3つの色光を合成して、画像光を形成する。色合成光学系346によって形成された画像光は、投射光学装置36に入射する。本実施形態では、色合成光学系346は、略直方体状のクロスダイクロイックプリズムによって構成されているが、複数のダイクロイックミラーによって構成されていてもよい。
【0019】
光学部品用筐体35は、上記した均一化光学系31、色分離光学系32、リレー光学系33及び画像形成装置34を内部に収容する。なお、画像投射ユニット3には、設計上の光軸Axが設定されており、光学部品用筐体35は、光軸Axにおける所定位置に均一化光学系31、色分離光学系32、リレー光学系33及び画像形成装置34を保持する。光源装置4及び投射光学装置36は、光軸Axにおける所定位置に配置される。
投射光学装置36は、画像形成装置34によって形成された画像光をスクリーン等の被投射面に投射する。投射光学装置36は、例えば、図示しない複数のレンズと、複数のレンズを収容する鏡筒と、を備える組レンズとすることができる。投射光学装置36は、全体が外装筐体2に収容されても良いし、出射側が外装筐体2から一部突出してもよい。
【0020】
[光源装置の構成]
図2は、光源装置4の構成を示す模式図である。
光源装置4は、
図2に示すように、第1光源41、第1色合成素子42、拡散反射素子43、波長変換装置44、第2光源45、第2色合成素子46、受熱部材47、放熱部材48及びファン49を備える。
【0021】
[第1光源の構成]
第1光源41は、青色光を出力する。第1光源41は、少なくとも1つの第1発光素子411と、基板412と、を有する。
第1発光素子411は、青色光BLを出力する。具体的に、第1発光素子411は、例えばピーク波長が440nm又は460nmである青色のレーザー光を励起光として出力する半導体レーザーである。なお、第1発光素子411から出力される青色光BLは、s偏光の青色光とp偏光の青色光とを含む青色光であってもよく、s偏光及びp偏光のうち一方の青色光であってもよい。後者の場合には、第1光源41と第1色合成素子42との間に、一方の直線偏光光の一部を他の直線偏光光に変換する1/2波長板を設けてもよい。
基板412は、第1発光素子411を支持するとともに、第1発光素子411の熱を受熱する。
【0022】
[第1色合成素子の構成]
第1色合成素子42は、第1光源41から出力された青色光BLを分離する。
具体的に、第1色合成素子42は、第1光源41から出力された青色光BLのうち、一部の青色光BL1を拡散反射素子43に向けて反射し、他の青色光BL2を波長変換装置44に向けて透過する。このような第1色合成素子42の機能は、ハーフミラーによって構成できる他、s偏光及びp偏光のうち一方の直線偏光光を反射し、他方の直線偏光光を透過させる偏光分離素子によって構成できる。
【0023】
第1色合成素子42は、拡散反射素子43から入射する青色光BL1と波長変換装置44から入射する波長変換光YLとを合成して出射する。
具体的に、拡散反射素子43から入射する青色光BL1を透過し、波長変換装置44から入射する波長変換光YLを、第1色合成素子42が青色光BL1を透過する方向に反射する。このような第1色合成素子42の機能は、ダイクロイックミラーによって構成できる。
【0024】
[拡散反射素子の構成]
拡散反射素子43は、波長変換装置44から出射される波長変換光YLの拡散角と略同じ拡散角、もしくは、波長変換光YLの拡散角よりも少し小さい拡散角で、第1色合成素子42から入射する青色光BL1を反射して拡散させる。拡散反射素子43にて反射された青色光BL1は、第1色合成素子42を透過する。
なお、第1色合成素子42と拡散反射素子43との間に、第1色合成素子42から入射する青色光BL1を拡散反射素子43に集光し、拡散反射素子43から入射する青色光BL1を平行化するピックアップレンズを配置してもよい。
【0025】
[波長変換装置の構成]
波長変換装置44は、入射する光を、入射する光の波長よりも長い波長を有する光に変換して出射する。本実施形態では、波長変換装置44は、入射する青色光BL2の波長を変換し、変換した波長変換光YLを出射する。波長変換装置44は、波長変換素子441、第1ベース442、第1熱電変換素子443及び第1温度センサー444を有する。
【0026】
波長変換素子441は、第1色合成素子42を透過して入射する青色光BL2の波長を変換する蛍光体を含有する蛍光体層であり、青色光BL2を変換した非偏光の波長変換光YLを拡散して出射する。なお、波長変換光YLは、例えば550nmの緑色光を含む光である。しかしながら、これに限らず、波長変換光YLは、例えば500~700nmの範囲にピーク波長を有し、緑色光及び赤色光を含む光であってもよい。
【0027】
第1ベース442は、第1面4421と、第1面4421とは反対側の第2面4422と、を有する。第1ベース442は、第1面4421にて波長変換素子441を支持する。第1ベース442は、例えば金属によって形成されており、熱伝導性を有する。このため、第1ベース442は、波長変換素子441から伝達される熱を第2面4422から放熱する。
本実施形態では、第1面4421は、波長変換素子441から入射する光を反射する反射面である。しかしながら、これに限らず、波長変換素子441と第1面4421との間に、波長変換素子441から入射する光を反射する反射層を設けてもよい。
【0028】
第1熱電変換素子443は、第2面4422に熱的に接続され、第1ベース442との間で熱を輸送する。具体的に、第1熱電変換素子443は、ペルチェ素子によって構成され、制御ユニット7が供給する電力に応じて、第1ベース442から波長変換素子441の熱を吸熱する。また、第1熱電変換素子443は、極性を反転させることによって、入力する電力に応じて、第1ベース442を介して波長変換素子441を加温可能である。すなわち、第1熱電変換素子443の動作は、制御ユニット7によって制御される。
第1温度センサー444は、波長変換素子441の温度を検出し、検出した温度を制御ユニット7に出力する。第1温度センサー444は、例えば波長変換素子441と接触するように第1ベース442に設けられる。
このような波長変換装置44は、第1熱電変換素子443における第1ベース442とは反対側の面が受熱部材47と接触するように受熱部材47に配置される。
【0029】
[第2光源の構成]
第2光源45は、波長変換装置44と並んで配置され、第2色合成素子46に向けて赤色光を出射する。第2光源45は、少なくとも1つの第2発光素子451と、第2ベース452と、第2熱電変換素子453と、第2温度センサー454と、を備える。
【0030】
第2発光素子451は、赤色光RLを出力する。具体的に、第2発光素子451は、例えばピーク波長が640nmである赤色のレーザー光を出力する半導体レーザーである。なお、第2発光素子451と第2色合成素子46との間に、第2発光素子451から入射する光を拡散させて第2色合成素子46に入射させる透過拡散板を設けてもよい。
【0031】
第2ベース452は、第1面4521と、第1面4521とは反対側の第2面4522と、を有する。第1面4521は第3面に相当し、第2面4522は第4面に相当する。
第2ベース452は、第1面4521にて第2発光素子451を支持する。第2ベース452は、例えば金属によって形成されており、熱伝導性を有する。このため、第2ベース452は、第2発光素子451から伝達される熱を第2面4522から放熱する。
【0032】
第2熱電変換素子453は、第2面4522に熱的に接続され、第2ベース452との間で熱を輸送する。具体的に、第2熱電変換素子453は、ペルチェ素子によって構成され、制御ユニット7が供給する電力に応じて、第2ベース452から第2発光素子451の熱を吸熱する。また、第2熱電変換素子453は、極性を反転させることによって、入力する電力に応じて、第2ベース452を介して第2発光素子451を加温可能である。すなわち、第2熱電変換素子453の動作は、制御ユニット7によって制御される。
第2温度センサー454は、第2発光素子451の温度を検出し、検出した温度を制御ユニット7に出力する。第2温度センサー454は、例えば第2発光素子451と接触するように第2ベース452に設けられる。
このような第2光源45は、第2熱電変換素子453における第2ベース452とは反対側の面が受熱部材47と接触するように受熱部材47に配置される。
【0033】
[第2色合成素子の構成]
第2色合成素子46は、第1色合成素子42を透過した青色光BL1と、第1色合成素子42にて反射された波長変換光YLとに、第2光源45から出射された赤色光RLを合成する。具体的に、第2色合成素子46は、青色光BL1及び波長変換光YLを透過し、青色光BL1及び波長変換光YLが第2色合成素子46を透過する方向に、赤色光RLを反射する。これにより、青色光BL1、波長変換光YL及び赤色光RLが合成される。
このような第2色合成素子46によって合成された青色光BL1、波長変換光YL及び赤色光RLは、光源装置4から出射される白色の照明光WLを構成する。
【0034】
[受熱部材の構成]
受熱部材47は、波長変換装置44及び第2光源45を支持するとともに、波長変換装置44及び第2光源45から受熱する基板である。受熱部材47は、波長変換装置44を支持する第1受熱部材と、第2光源45を支持する第2受熱部材とが一体化された1つの受熱部材ということができる。
受熱部材47は、配置面471及び放熱面472を有する。
配置面471には、波長変換装置44及び第2光源45が配置される。具体的に、配置面471には、第1熱電変換素子443の第2面4432が接触するように、波長変換装置44が配置され、更に、第2熱電変換素子453の第2面4532が接触するように、第2光源45が配置される。
放熱面472は、受熱部材47において配置面471とは反対側の面である。放熱面472には、配置面471における波長変換装置44及び第2光源45の配置位置に対応して、放熱部材48が配置される。
【0035】
このような受熱部材47は、熱拡散効率の高いベイパーチャンバーによって構成されている。しかしながら、これに限らず、受熱部材47は、熱伝導性が良好な金属部材であってもよい。
なお、光源装置4が、第1光源41、第1色合成素子42、拡散反射素子43、波長変換装置44、第2光源45及び第2色合成素子46を収容する筐体を備える場合には、受熱部材47は、筐体を閉塞する閉塞部材として利用できる。この場合、受熱部材47を介して波長変換素子441及び第2発光素子451のそれぞれの熱が伝達される放熱部材48を筐体外に配置できる。
【0036】
[放熱部材及びファンの構成]
放熱部材48は、受熱部材47の放熱面472に配置されている。放熱部材48は、第1熱電変換素子443に対して第1ベース442とは反対側で、かつ、第2熱電変換素子453に対して第2ベース452とは反対側に配置され、受熱部材47を介して第1熱電変換素子443及び第2熱電変換素子453と熱的に接続される。
放熱部材48は、受熱部材47を介して伝達される波長変換装置44及び第2光源45のそれぞれの熱を放熱する。詳述すると、放熱部材48は、第1ベース442、第1熱電変換素子443及び受熱部材47を介して伝達される波長変換素子441の熱と、第2ベース452、第2熱電変換素子453及び受熱部材47を介して伝達される第2発光素子451の熱と、を放熱する。すなわち、放熱部材48は、波長変換装置44の熱を放熱する第1放熱部材と、第2光源45の熱を放熱する第2放熱部材とが一体化された放熱部材ということができる。
このような放熱部材48は、複数のフィン481を有し、受熱部材47から伝達される熱を複数のフィン481から放熱するヒートシンクによって構成されている。
ファン49は、外装筐体2内の気体を吸引して、放熱部材48に気流を流通させる。これにより、放熱部材48による放熱が促進される。
【0037】
[光量検出ユニットの構成]
図1に示す光量検出ユニット6は、光源装置4から出射された光の光量を検出する。光量検出ユニット6は、第1光量センサー61及び第2光量センサー62を有する。
第1光量センサー61は、光源装置4から出射された照明光WLのうち、青色光BL1の光量を検出する。本実施形態では、第1光量センサー61は、反射ミラー323に対して青色光の入射側とは反対側に設けられており、反射ミラー323から漏れ出る青色光の光量を検出する。第1光量センサー61は、検出した青色光の光量を制御ユニット7に出力する。
第2光量センサー62は、光源装置4から出射された照明光WLのうち、赤色光RLの光量を検出する。本実施形態では、第2光量センサー62は、反射ミラー334に対して赤色光の入射側とは反対側に設けられており、反射ミラー334から漏れ出る赤色光の光量を検出する。第2光量センサー62は、検出した赤色光の光量を制御ユニット7に出力する。
【0038】
[制御ユニットの構成]
図3及び
図4は、制御ユニット7が実施する制御処理を示すフローチャートである。
制御ユニット7は、例えば
図3及び
図4に示す制御処理を実行して、プロジェクター1の動作を制御する。制御処理は、本開示の光源制御処理を含む。すなわち、制御ユニット7は、本開示の制御部を構成し、光源装置4及び制御ユニット7は、プロジェクター1が備える光源制御装置LSCを構成する。
【0039】
制御処理では、制御ユニット7は、
図3に示すように、電源オンに伴って、プロジェクター1を起動させる起動処理を実行する(ステップS1)。起動処理において、制御ユニット7は、光源装置4を点灯させる他、例えば波長変換装置44及び第2光源45に気流を流通させるファン49を初期状態にて駆動させる。初期状態でのファン49の出力は、例えばファン49の最大出力の60%とされる。PWM(Pulse Width Modulation)制御によってファン49の出力を規定する場合、制御ユニット7は、ファン49の駆動デューティを60%に設定する。
【0040】
ステップS1の後、制御ユニット7は、第1温度センサー444によって検出された波長変換素子441の温度が、予め設定された第1閾値を超えているか否かを判定する(ステップS2)。
ステップS2の判定処理にて、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えていないと判定されると(ステップS2:No)、制御ユニット7は、処理をステップS4に移行する。
ステップS2の判定処理にて、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えていると判定されると(ステップS2:Yes)、制御ユニット7は、波長変換素子441の冷却処理SAを実行する。
【0041】
図5は、波長変換素子441の冷却処理SAを示すフローチャートである。
波長変換素子441の冷却処理SAでは、ファン49による波長変換素子441の冷却に優先して、第1熱電変換素子443による波長変換素子441の冷却を実行する。
具体的に、冷却処理SAでは、制御ユニット7は、まず、第1熱電変換素子443の吸熱出力を10%増加させる(ステップSA1)。
この後、制御ユニット7は、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えているか否かを判定する(ステップSA2)。
ステップSA2の判定処理にて、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えていないと判定されると(ステップSA2:No)、制御ユニット7は、冷却処理SAを終了する。
ステップSA2の判定処理にて、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えていると判定されると(ステップSA2:Yes)、制御ユニット7は、現在の第1熱電変換素子443の吸熱出力が限界値に達したか否かを判定する(ステップSA3)。
なお、第1熱電変換素子443の吸熱出力の限界値は、第1熱電変換素子443の吸熱出力の最大値であってもよく、供給電力に応じた吸熱出力の上昇率が所定値よりも低下するまでの範囲の最大の出力値でもよい。本実施形態では、第1熱電変換素子443の駆動効率を考慮して、第1熱電変換素子443の吸熱出力の限界値を、吸熱時の最大許容電力の50%の電力を供給した場合の出力値としている。
【0042】
ステップSA3の判定処理にて、第1熱電変換素子443の吸熱出力が限界値に達していないと判定されると(ステップSA3:No)、制御ユニット7は、処理をステップSA1に戻し、再度、ステップSA1を実行する。これにより、第1熱電変換素子443の吸熱出力が更に10%増加する。このように、ステップSA1~SA3は、第1熱電変換素子443による波長変換素子441の冷却制御についての処理であり、制御ユニット7は、ステップSA1~SA3を実行して、第1熱電変換素子443による波長変換素子441に対する吸熱出力を段階的に増加させる。
【0043】
ステップSA3の判定処理にて、第1熱電変換素子443の吸熱出力が限界値に達したと判定されると(ステップSA3:Yes)、制御ユニット7は、ファン49の出力を10%増加させる(ステップSA4)。
ステップSA4の後、制御ユニット7は、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えているか否かを判定する(ステップSA5)。
ステップSA5の判定処理にて、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えていないと判定されると(ステップSA5:Yes)、制御ユニット7は、冷却処理SAを終了する。
ステップSA5の判定処理にて、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えていると判定されると(ステップSA5:No)、制御ユニット7は、現在のファン49の出力が上限値である100%に達しているか否かを判定する(ステップSA6)。なお、上限値は100%でなくてもよい。
【0044】
ステップSA6の判定処理にて、ファン49の出力が上限値に達していないと判定されると(ステップSA6:No)、制御ユニット7は、処理をステップSA4に戻し、再度、ステップSA4を実行する。これにより、ファン49の出力が更に10%増加する。このように、ステップSA4~SA6は、ファン49の出力上昇制御についての処理であり、制御ユニット7は、ステップSA4~SA6を実行して、ファン49の出力を段階的に増加させる。
【0045】
ステップSA6の判定処理にて、ファン49の出力が上限値に達したと判定されると(ステップSA6:Yes)、制御ユニット7は、第1光源41による青色光の出力を低下させるとともに、第2光源45による赤色光の出力を低下させる(ステップSA7)。これにより、波長変換素子441の温度が低下する他、照明光のホワイトバランスが大きく崩れることが抑制される。
ステップSA7の後、制御ユニット7は、第1光量センサー61及び第2光量センサー62の検出結果に基づいて、照明光WLに含まれる赤色光RLの光量に対する、照明光WLに含まれる青色光BL1の光量の比率B/Rが、予め設定された基準範囲に含まれるか否かを判定する(ステップSA8)。例えば、制御ユニット7は、比率B/Rが、基準値B’/R’の95%以上、105%以下の範囲に含まれるか否かを判定する。なお、B/Rは、照明光WLのホワイトバランスを示す。
【0046】
ステップSA8の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれないと判定されると、制御ユニット7は、処理をステップSA7に戻す。このように、ステップSA7,SA8は、比率B/Rが基準範囲に含まれると制御ユニット7によって判定されるまで、繰り返し実行される。これにより、照明光WLのホワイトバランスが基準範囲内に維持される。
ステップSA8の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれると判定されると、制御ユニット7は、冷却処理SAを終了し、処理をステップS3に移行する。
【0047】
ステップS3では、制御ユニット7は、冷却処理SAの後、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えているか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3の判定処理にて、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えていると判定されると(ステップS3:Yes)、制御ユニット7は、処理をステップS6に移行し、後述するシャットダウン処理を実行する。
ステップS3の判定処理にて、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えていないと判定されると(ステップS3:No)、制御ユニット7は、ファン49の駆動状態を維持したまま、第2温度センサー454によって検出された第2発光素子451の温度が、予め設定された第2閾値を超えているか否かを判定する(ステップS4)。
ステップS4の判定処理にて、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えていると判定されると(ステップS4:Yes)、制御ユニット7は、第2発光素子451の第1冷却処理SBを実行する。
【0048】
図6は、第2発光素子451の第1冷却処理SBを示すフローチャートである。
第2発光素子451の第1冷却処理SBでは、ファン49による第2発光素子451の冷却に優先して、第2熱電変換素子453による第2発光素子451の冷却を実行する。
具体的に、第1冷却処理SBでは、制御ユニット7は、まず、第2熱電変換素子453の吸熱出力を10%増加させる(ステップSB1)。
この後、制御ユニット7は、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えているか否かを判定する(ステップSB2)。
ステップSB2の判定処理にて、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えていないと判定されると(ステップSB2:No)、制御ユニット7は、第1冷却処理SBを終了する。
ステップSB2の判定処理にて、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えていると判定されると(ステップSB2:Yes)、制御ユニット7は、現在の第2熱電変換素子453の吸熱出力が限界値に達したか否かを判定する(ステップSB3)。
なお、第2熱電変換素子453の吸熱出力の限界値は、第2熱電変換素子453の吸熱出力の最大値であってもよく、供給電力に応じた吸熱出力の上昇率が所定値よりも低下するまでの範囲の最大の出力値でもよい。本実施形態では、第2熱電変換素子453の駆動効率を考慮して、第2熱電変換素子453の吸熱出力の限界値を、吸熱時の最大許容電力の50%の電力を供給した場合の出力値としている。
【0049】
ステップSB3の判定処理にて、第2熱電変換素子453の吸熱出力が限界値に達していないと判定されると(ステップSB3:No)、制御ユニット7は、処理をステップSB1に戻し、再度、ステップSB1を実行する。これにより、第2熱電変換素子453の吸熱出力が更に10%増加する。このように、ステップSB1~SB3は、第2熱電変換素子453による第2発光素子451の冷却制御についての処理であり、制御ユニット7は、ステップSB1~SB3を実行して、第2熱電変換素子453による第2発光素子451に対する吸熱出力を段階的に増加させる。
【0050】
ステップSB3の判定処理にて、第2熱電変換素子453の吸熱出力が限界値に達したと判定されると(ステップSB3:Yes)、制御ユニット7は、ファン49の出力を10%増加させる(ステップSB4)。
ステップSB4の後、制御ユニット7は、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えているか否かを判定する(ステップSB5)。
ステップSB5の判定処理にて、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えていないと判定されると(ステップSB5:Yes)、制御ユニット7は、第1冷却処理SBを終了する。
ステップSB5の判定処理にて、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えていると判定されると(ステップSB5:No)、制御ユニット7は、現在のファン49の出力が上限値である100%に達しているか否かを判定する(ステップSB6)。なお、上限値は100%でなくてもよい。
【0051】
ステップSB6の判定処理にて、ファン49の出力が上限値に達していないと判定されると(ステップSB6:No)、制御ユニット7は、処理をステップSB4に戻し、再度、ステップSB4を実行する。これにより、ファン49の出力が更に10%増加する。このように、ステップSB4~SB6は、ファン49の出力上昇制御についての処理であり、制御ユニット7は、ステップSB4~SB6を実行して、ファン49の出力を段階的に増加させる。
【0052】
ステップSB6の判定処理にて、ファン49の出力が上限値に達したと判定されると(ステップSB6:Yes)、制御ユニット7は、第2光源45による赤色光の出力を低下させるとともに、第1光源41による青色光の出力を低下させる(ステップSB7)。これにより、第2発光素子451の温度が低下する他、照明光のホワイトバランスが大きく崩れることが抑制される。
ステップSB7の後、制御ユニット7は、ステップSA8と同様に、第1光量センサー61及び第2光量センサー62の検出結果に基づいて、上記比率B/Rが、上記基準範囲に含まれるか否かを判定する(ステップSB8)。
【0053】
ステップSB8の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれないと判定されると、制御ユニット7は、処理をステップSB7に戻す。このように、ステップSB7,SB8は、比率B/Rが基準範囲に含まれると制御ユニット7によって判定されるまで、繰り返し実行される。これにより、照明光WLのホワイトバランスが基準範囲内に維持される。
ステップSB8の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれると判定されると、制御ユニット7は、第1冷却処理SBを終了し、処理をステップS5に移行する。
【0054】
ステップS5では、制御ユニット7は、ファン49の駆動状態を維持したまま、第2温度センサー454によって検出された第2発光素子451の温度が第2閾値を超えているか否かを判定する(ステップS5)。
ステップS5の判定処理にて、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えていないと判定されると(ステップS5:No)、制御ユニット7は、処理をステップS1に戻す。これにより、波長変換素子441及び第2発光素子451の温度調節が再度実行される。
ステップS5の判定処理にて、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えていると判定されると(ステップS3:Yes)、制御ユニット7は、処理をステップS6に移行する。
【0055】
ステップS6では、制御ユニット7は、プロジェクター1のシャットダウン処理を実行する(ステップS6)。例えば、制御ユニット7は、シャットダウンの理由をユーザーに報知するとともに、各熱電変換素子443,453及びファン49の駆動を停止させる。
このようなシャットダウン処理に伴い、制御ユニット7は、光源制御処理を終了する。
【0056】
一方、ステップS4の判定処理にて、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えていないと判定されると(ステップS4:No)、
図4に示すように、制御ユニット7は、比率B/Rが上記基準範囲に含まれるか否かを判定する(ステップS6)。
【0057】
ステップS6の判定処理にて、比率B/Rが上記基準範囲に含まれると判定されると(ステップS6:Yes)、制御ユニット7は、
図3に示すように、処理をステップS2に戻す。
ステップS6の判定処理にて、比率B/Rが上記基準範囲に含まれないと判定されると(ステップS6:No)、制御ユニット7は、比率B/Rが上記基準範囲の上限値を超えているか否かを判定する(ステップS7)。
【0058】
図7は、第2発光素子451の第2冷却処理SCを示すフローチャートである。
ステップS7の判定処理にて、比率B/Rが上記基準範囲の上限値を超えていると判定されると(ステップS7:Yes)、制御ユニット7は、比率B/Rを低下させるために、
図7に示す第2発光素子451の第2冷却処理SCを実行する。すなわち、第2冷却処理SCは、冷却による照明光WLのホワイトバランスの調節処理である。
【0059】
第2発光素子451の第2冷却処理SCでは、ファン49による第2発光素子451の冷却に優先して、第2熱電変換素子453による第2発光素子451の冷却を実行して、比率B/Rを低下させる。
具体的に、第2冷却処理SCでは、制御ユニット7は、まず、第2熱電変換素子453の吸熱出力を2%増加させる(ステップSC1)。
この後、制御ユニット7は、比率B/Rが基準範囲に含まれるか否かを判定する(ステップSC2)。
ステップSC2の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれると判定されると(ステップSC2:Yes)、制御ユニット7は、第2冷却処理SCを終了する。
ステップSC2の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれないと判定されると(ステップSC2:No)、制御ユニット7は、現在の第2熱電変換素子453の吸熱出力が限界値に達したか否かを判定する(ステップSC3)。
【0060】
ステップSC3の判定処理にて、第2熱電変換素子453の吸熱出力が限界値に達していないと判定されると(ステップSC3:No)、制御ユニット7は、処理をステップSC1に戻し、再度、ステップSC1を実行する。これにより、第2熱電変換素子453の吸熱出力が更に2%増加する。このように、制御ユニット7は、ステップSC1~SC3を実行して、第2熱電変換素子453による第2発光素子451に対する吸熱出力を徐々に上昇させる。
【0061】
ステップSC3の判定処理にて、第2熱電変換素子453の吸熱出力が限界値に達したと判定されると(ステップSC3:Yes)、制御ユニット7は、ファン49の出力を10%増加させる(ステップSC4)。
ステップSC4の後、制御ユニット7は、比率B/Rが基準範囲に含まれるか否かを判定する(ステップSC5)。
ステップSC5の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれると判定されると(ステップSC5:Yes)、制御ユニット7は、第2冷却処理SCを終了する。
ステップSC5の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれないと判定されると(ステップSC5:No)、制御ユニット7は、現在のファン49の出力が出力上限値である100%に達しているか否かを判定する(ステップSC6)。なお、出力上限値は100%でなくてもよい。
【0062】
ステップSC6の判定処理にて、ファン49の出力が上限値に達していないと判定されると(ステップSC6:No)、制御ユニット7は、処理をステップSC4に戻し、再度、ステップSC4を実行する。これにより、ファン49の出力が更に10%アップする。このように、制御ユニット7は、ステップSC4~SC6を実行して、ファン49の出力を徐々に上昇させる。
【0063】
ステップSC6の判定処理にて、ファン49の出力が上限値に達したと判定されると(ステップSC6:Yes)、制御ユニット7は、第1発光素子411に対する供給電力を低下させて、第1光源41による青色光の出力を低下させる(ステップSC7)。すなわち、ステップSC7では、第1発光素子411の出力を低下させる。
なお、ステップSC7では、第1発光素子411に対する供給電力の低下に代えて、或いは、加えて、第1発光素子411と熱的に接続された熱電変換素子によって第1発光素子411を加温してもよい。しかしながら、青色光を出射する第1発光素子411の応答性は、赤色光を出射する第2発光素子451の応答性よりも良好でない他、加温によって第1発光素子411の寿命が短くなる場合もある。このため、ステップSC7では、第1発光素子411に対する供給電力を低下させることによって、第1光源41による青色光の出力を低下させることが好ましい。
【0064】
一方、ステップSC7では、第2発光素子451への供給電力を下げることによって赤色光の出力を低下させ、これにより、第2発光素子451の温度を第2閾値以下としつつ、第2発光素子451の出力を低下させてもよい。この場合、第2発光素子451の温度を積極的に下げることができる。
更に、ステップSC7にて、第1発光素子411に対する供給電力の低下と、第1発光素子411の加温とのうち少なくともいずれかと、第2発光素子451に対する供給電力の低下とを組み合わせて実行してもよい。
【0065】
ステップSC7の後、制御ユニット7は、比率B/Rが基準範囲に含まれるか否かを判定する(ステップSC8)。
ステップSC8の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれないと判定されると、制御ユニット7は、処理をステップSC7に戻す。このように、ステップSC7,SC8は、比率B/Rが基準範囲に含まれると制御ユニット7によって判定されるまで、繰り返し実行される。
ステップSC8の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれると判定されると、制御ユニット7は、第2発光素子451の第2冷却処理SCを終了する。
制御ユニット7は、
図4に示すように第2冷却処理SCを実行した後、処理を
図3に示すステップS2に戻す。
【0066】
一方、
図4に示したステップS7の判定処理にて、比率B/Rが上記基準範囲の上限値を超えていないと判定されると(ステップS7:Yes)、制御ユニット7は、比率B/Rを増加させるために、第2発光素子451の加温処理SDを実行する。すなわち、比率B/Rが上記基準範囲の下限値未満であると判定されると、制御ユニット7は、第2発光素子451の加温処理SDを実行する。このため、加温処理SDは、加温による照明光WLのホワイトバランスの調節処理である。
【0067】
図8は、第2発光素子451の加温処理SDを示すフローチャートである。
第2発光素子451の加温処理SDでは、第2熱電変換素子453による第2発光素子451の加温に優先して、ファン49の出力低下による第2発光素子451の加温を実行して、比率B/Rの増加を図る。
具体的に、第2発光素子451の加温処理SDでは、制御ユニット7は、まず、ファン49の出力を10%低下させる(ステップSD1)。
ステップSD1の後、制御ユニット7は、比率B/Rが上記基準範囲に含まれるか否かを判定する(ステップSD2)。
【0068】
ステップSD2の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれると判定されると(ステップSD2:Yes)、制御ユニット7は、加温処理SDを終了し、
図3及び
図4に示すように、処理をステップS2に戻す。
ステップSD2の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれないと判定されると(ステップSD2:No)、制御ユニット7は、現在のファン49の出力が下限値である20%未満であるか否かを判定する(ステップSD3)。なお、下限値は20%でなくてもよい。
【0069】
ステップSD3の判定処理にて、ファン49の出力は下限値未満でないと判定されると(ステップSD3:No)、制御ユニット7は、処理をステップSD1に戻し、再度、ステップSD1を実行する。これにより、ファン49の出力が更に10%低下する。このように、ステップSD1~SD3は、ファン49の出力低下制御についての処理であり、制御ユニット7は、ステップSD1~SD3を実行して、ファン49の出力を段階的に低下させる。
【0070】
ステップSD3の判定処理にて、ファン49の出力が下限値未満であると判定されると(ステップSD3:Yes)、制御ユニット7は、第2熱電変換素子453の加温出力を2%増加させる(ステップSD4)。このとき、制御ユニット7は、冷却処理SA,SBと加温処理SDとでペルチェ素子である第2熱電変換素子453の極性を反転させる。
ステップSD4の後、制御ユニット7は、比率B/Rが基準範囲に含まれるか否かを判定する(ステップSD5)。
【0071】
ステップSD5の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれると判定されると(ステップSD5:Yes)、制御ユニット7は、加温処理SDを終了し、
図3及び
図4に示すように、処理をステップS2に戻す。
ステップSD5の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれないと判定されると(ステップSD5:No)、制御ユニット7は、第2熱電変換素子453の加温出力が限界値に達しているか否かを判定する(ステップSD6)。
なお、第2熱電変換素子453の加温出力の限界値は、第2熱電変換素子453の加温出力の最大値であってもよく、供給電力に応じた加温出力の上昇率が所定値よりも低下するまでの範囲の最大の出力値でもよい。本実施形態では、第2熱電変換素子453の駆動効率を考慮して、第2熱電変換素子453の加温出力の限界値を、加温時の最大許容電力の50%の電力を供給した場合の出力値としている。
【0072】
ステップSD6の判定処理にて、第2熱電変換素子453の加温出力が限界値に達していないと判定されると(ステップSD6:No)、制御ユニット7は、処理をステップSD4に戻し、再度、ステップSD4を実行する。これにより、第2熱電変換素子453の加温出力が更に2%増加する。このように、ステップSD4~SD6は、第2熱電変換素子453による第2発光素子451に対する加温制御についての処理であり、制御ユニット7は、ステップSD4~SD6を実行して、第2熱電変換素子453による第2発光素子451に対する加温出力を徐々に上昇させる。
【0073】
ステップSD6の判定処理にて、第2熱電変換素子453の加温出力が限界値に達したと判定されると(ステップSD6:Yes)、制御ユニット7は、第2発光素子451に対する供給電力を低下させることによって、第2光源45による赤色光の出力を低下させる(ステップSD7)。すなわち、ステップSD7では、第2発光素子451の出力を低下させる。
なお、ステップSD7では、第2発光素子451に対する供給電力の低下に代えて、或いは、加えて、第1発光素子411に対する供給電力を増加して、第1光源41による青色光の出力を増加させてもよい。
また、上記のように、青色光を出力する第1発光素子411の応答性は、赤色光を出力する第2発光素子451の応答性よりも良好でなく、第1発光素子411に対する供給電力に応じた出力変化は、第2発光素子451に対する供給電力に応じた出力変化に比べて小さい。このため、第2発光素子451に対する供給電力の低下と、第2発光素子451の加温とのうち少なくともいずれかと、第1発光素子411に対する供給電力の増加とを組み合わせて実行してもよい。
【0074】
ステップSD7の後、制御ユニット7は、比率B/Rが基準範囲に含まれるか否かを判定する(ステップSD8)。
ステップSD8の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれないと判定されると、制御ユニット7は、処理をステップSD7に戻す。このように、ステップSD7,SD8は、比率B/Rが基準範囲に含まれると制御ユニット7によって判定されるまで、繰り返し実行される。
ステップSD8の判定処理にて、比率B/Rが基準範囲に含まれると判定されると、制御ユニット7は、第2発光素子451の加温処理SDを終了する。
制御ユニット7は、
図4に示すように加温処理SDを実行した後、処理を
図3に示すステップS2に戻す。
【0075】
このように、プロジェクター1の電源がオンされている間、制御ユニット7は、ステップS3にて波長変換素子441の温度が第1閾値を超えていると判定され、或いは、ステップS5にて第2発光素子451の温度が第2閾値を超えていると判定されて、ステップS6にてプロジェクター1がシャットダウンされない限り、上記制御処理のステップS2以降の処理を繰り返し実行する。
これにより、光源装置4から出射される照明光WLのホワイトバランスを維持できる。
【0076】
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を奏する。
プロジェクター1は、光源装置4及び制御ユニット7を有する光源制御装置LSCと、画像形成装置34と、投射光学装置36と、を備える。画像形成装置34は、光源制御装置LSCの光源装置4から出射された光から画像光を形成する。投射光学装置36は、画像形成装置34によって形成された画像光を投射する。
【0077】
光源制御装置LSCは、照明光WLを出力する。光源制御装置LSCは、第1発光素子411、波長変換素子441、第1熱電変換素子443、第2発光素子451、第2熱電変換素子453、放熱部材48及び制御ユニット7を備える。
第1発光素子411は、青色光を出力し、第2発光素子451は、赤色光を出力する。
波長変換素子441は、入射する青色光BL2を波長変換光YLに変換する。
第1熱電変換素子443は、波長変換素子441と熱的に接続される。
第2熱電変換素子453は、第2発光素子451と熱的に接続される。
放熱部材48は、第1熱電変換素子443と熱的に接続される他、第2熱電変換素子453と熱的に接続される。
制御ユニット7は、第1熱電変換素子443及び第2熱電変換素子453のそれぞれの駆動を制御する。制御ユニット7は、制御部に相当する。
【0078】
このような構成によれば、制御ユニット7が第1熱電変換素子443と第2熱電変換素子453とを制御することによって、波長変換素子441の温度及び第2発光素子451の温度を制御できる。これにより、波長変換素子441の波長変換効率を維持できる他、第2発光素子451による赤色光の出力を安定させることができる。従って、光源制御装置LSCから出力される照明光のホワイトバランスを調節でき、ホワイトバランスが良好な照明光に基づいて形成された画像光を投射できる。
【0079】
光源制御装置LSCでは、制御ユニット7は、制御処理において、第1熱電変換素子443による波長変換素子441の冷却を第2熱電変換素子453による第2発光素子451の冷却に優先して行う。
このような構成によれば、波長変換光YLへの変換効率を維持できるので、ホワイトバランスが大きく崩れることを抑制できる。また、波長変換素子441を第2発光素子451に優先して冷却することによって、波長変換素子441の劣化及び破損を抑制できる。
【0080】
光源制御装置LSCは、放熱部材48に気流を流通させるファン49を備える。
制御ユニット7は、ファン49の駆動を制御する。
このような構成によれば、ファン49が放熱部材48に気流を流通させることによって、放熱部材48による放熱効率を高めることができる。従って、波長変換素子441及び第2発光素子451のそれぞれの冷却効率を高めることができる。
【0081】
光源制御装置LSCでは、制御ユニット7は、冷却処理SAにおいて、波長変換素子441の冷却を、ファン49に優先して第1熱電変換素子443によって実行する。
このような構成によれば、波長変換素子441を冷却する際に、ファン49よりも冷却効果が高い第1熱電変換素子443による冷却をファン49による冷却に優先して実行するので、波長変換素子441の冷却を速やかに実施できる。
また、第1熱電変換素子443によって波長変換素子441が十分に冷却される場合には、ファン49の出力を高める必要がない。このような場合には、ファン49の騒音が大きくなることを抑制でき、ひいては、光源制御装置LSCの静音化を図ることができる。
【0082】
光源制御装置LSCでは、第1熱電変換素子443による波長変換素子441の冷却と、ファン49による波長変換素子441の冷却とを実行した後、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えている場合、制御ユニット7は、第1発光素子411及び第2発光素子451のそれぞれの出力を低下させる。第1閾値は、波長変換素子用閾値に相当する。
このような構成によれば、第1発光素子411の出力を低下させることによって、光源制御装置LSCから出力される光の輝度が低下するものの、波長変換素子441に入力する青色光の光量が低下するので、波長変換素子441の温度を下げることができる。
また、第1発光素子411だけでなく、第2発光素子451の出力を低下させることによって、光源制御装置LSCから出力される光のホワイトバランスを維持しやすくすることができる。
【0083】
光源制御装置LSCでは、制御ユニット7は、第2発光素子451の第1冷却処理SB及び第2冷却処理SCにおいて、第2発光素子451の冷却を、ファン49に優先して第2熱電変換素子453によって実行する。
このような構成によれば、第2発光素子451を冷却する際に、ファン49よりも冷却効果が高い第2熱電変換素子453による冷却をファン49による冷却に優先して実行するので、第2発光素子451の冷却を速やかに実施できる。
また、第2熱電変換素子453によって第2発光素子451が十分に冷却される場合には、ファン49の出力を高める必要がない。このような場合には、ファン49の騒音が大きくなることを抑制でき、ひいては、光源制御装置LSCの静音化を図ることができる。
【0084】
光源制御装置LSCでは、第2熱電変換素子453による第2発光素子451の冷却と、ファン49による第2発光素子451の冷却とを実行した後、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えている場合、制御ユニット7は、第1発光素子411及び第2発光素子451のそれぞれの出力を低下させる。第2閾値は、第2発光素子用閾値に相当する。
このような構成によれば、第2発光素子451の出力を低下させることによって、光源制御装置LSCから出力される光の輝度が低下するものの、第2発光素子451の発熱量が低下するので、第2発光素子451の温度を下げることができる。
また、第2発光素子451だけでなく、第1発光素子411の出力を低下させることによって、光源制御装置LSCから出力される光のホワイトバランスを維持しやすくすることができる。
【0085】
光源制御装置LSCでは、制御ユニット7は、照明光WLに含まれる赤色光RLの光量に対する、照明光WLに含まれる青色光BL1の光量の比率B/Rを、第1熱電変換素子443、第2熱電変換素子453及びファン49によって調節する。
このような構成によれば、第1熱電変換素子443及びファン49によって波長変換素子441の温度を調節でき、第2熱電変換素子453及びファン49によって第2発光素子451の温度を調節できるので、光源制御装置LSCから出力される青色光BL1、波長変換光YL及び赤色光RLのそれぞれの光量を調節できる。従って、光源制御装置LSCから出力される照明光WLのホワイトバランスを維持できる。
【0086】
光源制御装置LSCでは、制御ユニット7は、第2冷却処理SCにおいて比率B/Rを低下させる場合には、第2熱電変換素子453及びファン49を用いて第2発光素子451の冷却を実行する。
このような構成によれば、第2熱電変換素子453及びファン49により第2発光素子451を冷却することによって、第2発光素子451による赤色光RLの出力を高めることができる。従って、上記比率B/Rを低下させることができる。
【0087】
光源制御装置LSCでは、第2熱電変換素子453による第2発光素子451の冷却と、ファン49による第2発光素子451の冷却とを実行した後、比率B/Rが上記基準範囲の上限値に達しない場合、制御ユニット7は、第1発光素子411に対する供給電力を低下させることによって、第1発光素子411の青色光の出力を低下させる。すなわち、第2冷却処理SCのステップSC7にて、制御ユニット7は、第1発光素子411の青色光の出力を低下させる。
ここで、第2熱電変換素子453及びファン49による第2発光素子451の冷却を実行しても、上記比率B/Rが上記基準範囲の上限値に達しない場合には、第2発光素子451による赤色光RLの出力が低下していることが想定される。このような場合に、制御ユニット7が、第1発光素子411による青色光BLの出力を低下させることによって、上記比率B/Rを低下させることができる。
【0088】
光源制御装置LSCでは、制御ユニット7は、比率B/Rを上昇させる場合には、第2熱電変換素子453及びファン49を用いて第2発光素子451を加温する。
このような構成によれば、第2発光素子451を加温することによって、第2発光素子451による赤色光RLの出力を低下させることができる。これにより、上記比率B/Rを上昇させることができる。
【0089】
光源制御装置LSCでは、第2熱電変換素子453による第2発光素子451に対する加温と、ファン49による第2発光素子451に対する加温とを実行した後、比率B/Rが上記基準範囲の下限値に達しない場合、制御ユニット7は、第2発光素子451に対する供給電力を低下させることによって、第2発光素子451による赤色光RLの出力を低下させる。
このような構成によれば、上記比率B/Rを上昇させる場合で、第2熱電変換素子453及びファン49による第2発光素子451に対する加温を実行しても、上記比率B/Rが上記基準範囲の下限値に達しない場合には、制御ユニット7が第2発光素子451の出力を低下させることによって、第2発光素子451から出力される赤色光RLの光量を低下させることができる。従って、上記比率B/Rを上昇させることができる。
【0090】
プロジェクター1は、光源装置4、画像形成装置34及び投射光学装置36を備える。
画像形成装置34は、光源装置4から出射された光から画像光を形成する。
投射光学装置36は、画像形成装置34によって形成された画像光を投射する。
【0091】
光源装置4は、第1光源41、第1色合成素子42、波長変換装置44、第2光源45、第2色合成素子46及び放熱部材48を備える。
第1光源41は、青色光BL1,BL2を含む青色光BLを出力し、第2光源45は、赤色光RLを出力する。
波長変換装置44は、入射する青色光BL2を波長変換光YLに変換する。
第1色合成素子42及び第2色合成素子46は、青色光BL1、波長変換光YL及び赤色光RLを合成する。
【0092】
波長変換装置44は、波長変換素子441、第1ベース442及び第1熱電変換素子443を有する。
波長変換素子441は、青色光BL1を波長変換光YLに変換する。
第1ベース442は、熱伝導性を有する他、第1面4421と、第1面4421とは反対側の第2面4422とを有する。第1ベース442は、第1面4421にて波長変換素子441を支持する。
第1熱電変換素子443は、第1ベース442の第2面4422と熱的に接続される。
第2光源45は、発光素子である第2発光素子451、第2ベース452及び第2熱電変換素子453を有する。
第2ベース452は、熱伝導性を有する他、第1面4521と、第1面4521とは反対側の第2面4522とを有する。第1面4521は第3面に相当し、第2面4522は第4面に相当する。第2ベース452は、第1面4521にて第2発光素子451を支持する。
第2熱電変換素子453は、第2ベース452の第2面4522と熱的に接続される。
放熱部材48は、第1放熱部材及び第2放熱部材に相当する。放熱部材48は、第1熱電変換素子443に対して第1ベース442とは反対側に配置されて、第1熱電変換素子443と熱的に接続される。また、放熱部材48は、第2熱電変換素子453に対して第2ベース452とは反対側に配置されて、第2熱電変換素子453と熱的に接続される。
【0093】
このような構成によれば、第1ベース442を介して波長変換素子441と熱的に接続される第1熱電変換素子443によって、波長変換素子441の温度調節を実施できる。これにより、波長変換素子441による青色光BL2の波長変換効率を維持できる。
また、第2ベース452を介して第2発光素子451と熱的に接続される第2熱電変換素子453によって、第2発光素子451の温度調整を実施できる。これにより、第2発光素子451によって赤色光RLを安定して出力できる。
そして、各熱電変換素子443,453によって波長変換素子441の温度調節と第2発光素子451の温度調節とを実施することによって、光源装置4から出射される光のホワイトバランスを調節できる。
従って、ホワイトバランスが良好な照明光WLに基づいて形成された画像光を投射できる。
【0094】
光源装置4は、受熱部材47を備える。
受熱部材47は、第1熱電変換素子443から伝達される熱と、第2熱電変換素子453から伝達される熱とを放熱部材48に輸送する。すなわち、受熱部材47は、第1熱電変換素子443から伝達される熱を放熱部材48に輸送する第1受熱部材としての機能と、第2熱電変換素子453から伝達される熱を放熱部材48に輸送する第2受熱部材としての機能と、を備える。
このような構成によれば、受熱部材47によって、第1熱電変換素子443から波長変換素子441の熱を放熱部材48に効率よく輸送できる他、第2熱電変換素子453から第2発光素子451の熱を放熱部材48に効率よく輸送できる。従って、波長変換素子441及び第2発光素子451のそれぞれの冷却効率を高めることができる。
【0095】
光源装置4では、1つの受熱部材47によって、第1受熱部材及び第2受熱部材は構成されている。
このような構成によれば、波長変換素子441、第1ベース442及び第1熱電変換素子443と、第2発光素子451、第2ベース452及び第2熱電変換素子453とを、1つの受熱部材47に配置できる。これにより、光源装置4の部品点数を削減でき、光源装置4を小型化できる。
また、光源装置4が上記筐体を備える場合には、受熱部材47を筐体に配置することによって、筐体の内部に波長変換装置44及び第2光源45を配置できる他、筐体を密閉できる。
【0096】
光源装置4では、第1放熱部材及び第2放熱部材として機能する受熱部材47は、ベイパーチャンバーによって構成されている。
ここで、ベイパーチャンバーは平面における熱拡散効率が高い。
このため、受熱部材47がベイパーチャンバーによって構成されていることにより、第1熱電変換素子443から伝達された熱を平面内にて拡散して放熱部材48に伝達できる。これにより、放熱部材48への熱輸送効率を高めることができる。同様に、第2熱電変換素子453から伝達された熱を平面内にて拡散して放熱部材48に伝達できる。これにより、放熱部材48への熱輸送効率を高めることができる。
従って、波長変換素子441及び第2発光素子451のそれぞれの冷却効率を高めることができる。
【0097】
光源装置4は、第1放熱部材及び第2放熱部材として機能する放熱部材48に気流を流通させるファン49を備える。
このような構成によれば、ファン49が放熱部材48に気流を流通させることによって、放熱部材48による放熱効率を高めることができる。従って、波長変換素子441及び第2発光素子451のそれぞれの冷却効率を高めることができる。
【0098】
上記した制御処理は、青色光BLを出力する第1発光素子411と、第1発光素子411から入力する青色光BL2の波長を変換した波長変換光YLを出力する波長変換素子441と、青色光BL1及び波長変換光YLと合成される赤色光RLを出力する第2発光素子451と、を備える光源装置4に対して実施される。
制御処理は、波長変換素子441を冷却する冷却処理SAと、第2発光素子451を冷却する第1冷却処理SBと、光源装置4から出力される光に含まれる青色光BL1の光量と赤色光RLの光量との比率B/Rに基づいて、第2発光素子451の温度を調節する第2冷却処理SC及び加温処理SDと、を含む。
冷却処理SAは第1冷却手順に相当し、第1冷却処理SBは第2冷却手順に相当する。第2冷却処理SC及び加温処理SDは、調節手順に相当する。
【0099】
このような構成によれば、冷却処理SAにて波長変換素子441が冷却されるので、波長変換素子441による青色光BL2の波長変換効率を維持できる。また、第1冷却処理SBにて第2発光素子451が冷却されるので、第2発光素子451から赤色光RLを安定して出力できる。
更に、第2冷却処理SC及び加温処理SDにて、上記比率B/Rに基づいて、第2発光素子451の温度が調節されるので、第2発光素子451から出力される赤色光RLの光量を調節でき、ひいては、光源装置4から出力される光のホワイトバランスを調節できる。
【0100】
[第1実施形態の変形]
図9は、放熱部材48の変形である放熱部材50が採用された光源装置4を示す模式図である。
上記したプロジェクター1では、放熱部材48は、波長変換素子441及び第2発光素子451のそれぞれから伝達される熱を複数のフィン481から放熱するヒートシンクであるとした。しかしながら、これに限らず、放熱部材48の構成は、他の構成でもよい。
例えば、放熱部材48及びファン49に代えて、
図9に示す放熱部材50を光源装置4に採用してもよい。
【0101】
放熱部材50は、内部を冷却液体が流通可能な容器であり、いわゆるコールドプレートである。放熱部材50は、図示しないポンプによって供給される冷却液体を内部に導入する導入部501と、内部を流通した冷却液体を排出する排出部502と、内部に設けられた図示しない複数の放熱フィンと、を有する。放熱部材50は、受熱部材47から伝達される熱を、複数の放熱フィンから冷却液体に放熱する。
このような放熱部材50が放熱部材48及びファン49に代えて光源装置4に採用される場合、上記制御処理において、ファン49の出力を増減させるステップSA4,SB4,SC4,SD1では、放熱部材50に流通する冷却液体の流量を増減させればよい。
【0102】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、受熱部材、放熱部材及びファンが、波長変換装置44及び第2光源45のそれぞれに応じて設けられている点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0103】
[プロジェクターの概略構成]
図10は、本実施形態に係るプロジェクターが備える光源装置4Aの構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係る光源装置4に代えて、
図10に示す光源装置4Aを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態に係る光源制御装置LSCは、光源装置4A及び制御ユニット7を備える。
【0104】
[光源装置の構成]
光源装置4Aは、
図10に示すように、受熱部材47、放熱部材48及びファン49に代えて、第1受熱部材51、第1放熱部材52、第1ファン53、第2受熱部材54、第2放熱部材55及び第2ファン56を備える他は、第1実施形態に係る光源装置4と同様の構成及び機能を備える。
【0105】
第1受熱部材51、第1放熱部材52及び第1ファン53は、波長変換装置44に応じて設けられている。
第1受熱部材51は、波長変換装置44を支持するとともに、波長変換装置44から受熱する基板である。第1受熱部材51は、第1配置面511及び第1放熱面512を有する。
第1配置面511には、第1熱電変換素子443の第2面4432が接触するように、第1熱電変換素子443が配置される。
第1放熱面512は、第1受熱部材51において第1配置面511とは反対側の面である。第1放熱面512には、第1放熱部材52が配置される。
このような第1受熱部材51は、受熱部材47と同様に、ベイパーチャンバーによって構成されている。しかしながら、これに限らず、第1受熱部材51は、熱伝導性が良好な金属部材であってもよい。
【0106】
第1放熱部材52は、第1熱電変換素子443に対して第1ベース442とは反対側に配置され、第1受熱部材51を介して第1熱電変換素子443と熱的に接続される。第1放熱部材52は、第1受熱部材51を介して伝達される波長変換装置44の熱を放熱する。詳述すると、第1放熱部材52は、第1ベース442、第1熱電変換素子443及び第1受熱部材51を介して伝達される波長変換素子441の熱を放熱する。このような第1放熱部材52は、複数のフィン521を有し、第1受熱部材51から伝達される熱を複数のフィン521から放熱するヒートシンクによって構成されている。
第1ファン53は、制御ユニット7によって制御され、外装筐体2内の気体を吸引して、第1放熱部材52に気流を流通させる。
なお、上記した第1実施形態の変形に係る放熱部材50と同様の構成を有する放熱部材を、第1放熱部材として第1放熱部材52及び第1ファン53に代えて採用してもよい。
【0107】
第2受熱部材54、第2放熱部材55及び第2ファン56は、第2光源45に応じて設けられており、第1受熱部材51とは分離している。すなわち、本実施形態では、波長変換装置44と第2光源45とは、熱的に接続されずに分離している。
第2受熱部材54は、第2光源45を支持するとともに、第2光源45から受熱する基板である。第2受熱部材54は、第2配置面541及び第2放熱面542を有する。
第2配置面541には、第2熱電変換素子453の第2面4532が接触するように、第2熱電変換素子453が配置される。
第2放熱面542は、第2受熱部材54において第2配置面541とは反対側の面である。第2放熱面542には、第2放熱部材55が配置される。
このような第2受熱部材54は、受熱部材47及び第1受熱部材51と同様に、ベイパーチャンバーによって構成されている。しかしながら、これに限らず、第2受熱部材54は、熱伝導性が良好な金属部材であってもよい。また、第1受熱部材51及び第2受熱部材54のうち少なくとも一方の受熱部材をベイパーチャンバーとし、他方の受熱部材を金属等の熱伝導部材にしてもよい。これにより、部材コストの上昇を抑制できる。
なお、光源装置4が、第1光源41、第1色合成素子42、拡散反射素子43、波長変換装置44、第2光源45及び第2色合成素子46を収容する筐体を備える場合には、第1受熱部材51及び第2受熱部材54のうち少なくとも1つの受熱部材は、筐体を閉塞する閉塞部材として利用できる。この場合、当該少なくとも1つの受熱部材を介して熱が伝達される放熱部材を筐体外に配置できる。
【0108】
第2放熱部材55は、第2熱電変換素子453に対して第2ベース452とは反対側に配置され、第2受熱部材54を介して第2熱電変換素子453と熱的に接続される。第2放熱部材55は、第2受熱部材54を介して伝達される第2光源45の熱を放熱する。詳述すると、第2放熱部材55は、第2ベース452、第2熱電変換素子453及び第2受熱部材54を介して伝達される第2発光素子451の熱を放熱する。このような第2放熱部材55は、複数のフィン551を有し、第2受熱部材54から伝達される熱を複数のフィン551から放熱するヒートシンクによって構成されている。
第2ファン56は、制御ユニット7によって第1ファン53とは独立して制御され、外装筐体2内の気体を吸引して、第2放熱部材55に気流を流通させる。
なお、放熱部材50と同様の構成を有する放熱部材を、第2放熱部材として第2放熱部材55及び第2ファン56に代えて採用してもよい。
【0109】
このような光源装置4を備えるプロジェクターにおいて、制御ユニット7は、第1実施形態に係る制御処理と同様の制御処理を実行する。
本実施形態では、制御ユニット7は、制御処理における波長変換素子441の冷却処理SAのステップSA4にて、第1ファン53の出力を10%増加させる。
また、制御ユニット7は、制御処理における第2発光素子451の第1冷却処理SBのステップSB4、及び、第2冷却処理SCのステップSC4にて、第2ファン56の出力を10%増加させる。制御ユニット7は、第2発光素子451の加温処理SDのステップSD1にて、第2ファン56の出力を10%低下させる。
この他、制御ユニット7は、ファン出力を調節して波長変換素子441の温度及び出力を調節する場合には、第1ファン53の出力を調節し、ファン出力を調節して第2発光素子451の温度及び出力を調節する場合には、第2ファン56の出力を調節する。
【0110】
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の効果を奏する。
【0111】
[実施形態の変形]
本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記各実施形態では、制御ユニット7は、光源装置4だけでなく、プロジェクター1全体の動作を制御するとした。しかしながら、これに限らず、制御ユニット7は、光源装置4の構成のみを制御する制御部であってもよい。
【0112】
上記各実施形態では、制御ユニット7は、波長変換素子441の冷却を第2発光素子451の冷却よりも優先して実施するとした。しかしながら、これに限らず、制御ユニット7は、第2発光素子451の冷却を波長変換素子441の冷却よりも優先して実施してもよい。
【0113】
上記第1実施形態では、光源装置4は、放熱部材48に気流を流通させるファン49を備え、上記第2実施形態では、光源装置4Aは、第1放熱部材52に気流を流通させる第1ファン53と、第2放熱部材55に気流を流通させる第2ファン56と、を備えるとした。しかしながら、これに限らず、光源装置4,4Aは、ファンを備えなくてもよい。また、光源装置4Aは、第1放熱部材52と第2放熱部材55とに気流を流通させる1つのファンを備えていてもよい。
【0114】
上記各実施形態では、冷却処理SAにおいて、制御ユニット7は、ファン49,53に優先して第1熱電変換素子443による波長変換素子441の冷却を実行するとした。しかしながら、これに限らず、冷却処理SAにおいて、制御ユニット7は、第1熱電変換素子443に優先してファン49,53による波長変換素子441の冷却を実行してもよい。
【0115】
上記各実施形態では、冷却処理SAにおいて、第1熱電変換素子443による波長変換素子441の冷却と、ファン49,53による波長変換素子441の冷却とを実行した後、波長変換素子441の温度が第1閾値を超えている場合、制御ユニット7は、第1発光素子411及び第2発光素子451のそれぞれの出力を低下させるとした。しかしながら、これに限らず、第1熱電変換素子443及びファン49,53によって波長変換素子441を冷却しても波長変換素子441の温度が第1閾値を超えている場合には、制御ユニット7は、プロジェクター1をシャットダウンするステップS6を実行してもよい。
【0116】
上記各実施形態では、第1冷却処理SB及び第2冷却処理SCにおいて、制御ユニット7は、ファン49,56に優先して第2熱電変換素子453による第2発光素子451の冷却を実行するとした。しかしながら、これに限らず、冷却処理SB,SCにおいて、制御ユニット7は、第2熱電変換素子453に優先してファン49,56による第2発光素子451の冷却を実行してもよい。
【0117】
上記各実施形態では、第1冷却処理SBにおいて、第2熱電変換素子453による第2発光素子451の冷却と、ファン49,56による第2発光素子451の冷却とを実行した後、第2発光素子451の温度が第2閾値を超えている場合、制御ユニット7は、第1発光素子411及び第2発光素子451のそれぞれの出力を低下させるとした。しかしながら、これに限らず、第2熱電変換素子453及びファン49,56によって第2発光素子451を冷却しても第2発光素子451の温度が第2閾値を超えている場合には、制御ユニット7は、プロジェクター1をシャットダウンするステップS6を実行してもよい。
【0118】
上記各実施形態では、制御ユニット7は、光源装置4から出力される照明光WLに含まれる赤色光RLの光量に対する青色光BL1の光量の比率B/Rを、第1熱電変換素子443、第2熱電変換素子453及びファン49,53,56によって調節するとした。しかしながら、これに限らず、制御ユニット7は、熱電変換素子443,453とファン49,53,56とのうち一方のみによって比率B/Rを調節してもよく、これらに代えて、或いは加えて、各発光素子411,451に供給する電力を調節してもよい。
【0119】
上記第1実施形態では、光源装置4は、波長変換装置44及び第2光源45を支持する1つの受熱部材47と、受熱部材47に設けられる1つの放熱部材48と、放熱部材48に気流を流通させるファン49と、を備えるとした。上記第2実施形態では、光源装置4Aは、波長変換装置44に応じて設けられる第1受熱部材51、第1放熱部材52及び第1ファン53と、第2光源45に応じて設けられる第2受熱部材54、第2放熱部材55及び第2ファン56と、を備えるとした。しかしながら、これに限らず、受熱部材、放熱部材及びファンの数は、上記に限定されない。例えば、波長変換装置44及び第2光源45を支持する1つの受熱部材47に、第1放熱部材52及び第2放熱部材55を配置してもよい。
【0120】
上記各実施形態では、画像形成装置34は、3つの光変調素子343R,343G,343Bを備えるとした。しかしながら、これに限らず、画像形成装置34は、2つ以下、あるいは、4つ以上の光変調素子を備えていてもよい。
上記各実施形態では、画像投射ユニット3は、
図1に示したように平面視略L字形状に光学部品が配置された構成を有するとした。しかしながら、これに限らず、画像投射ユニット3は、例えば平面視略U字形状を有した構成を有していてもよい。
【0121】
上記各実施形態では、光変調素子343は、光入射面と光出射面とが異なる透過型の液晶パネルによって構成されているとした。しかしながら、これに限らず、光変調素子343は、光入射面と光出射面とが同一となる反射型の液晶パネルによって構成されていてもよい。また、入射光束を変調して画像情報に応じた画像を形成可能な光変調素子であれば、マイクロミラーを用いたデバイス、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)等を利用したものなど、液晶以外の光変調素子を光変調素子343として採用してもよい。
【0122】
上記各実施形態では、光源装置4,4A及び光源制御装置LSCをプロジェクターに適用した例を挙げた。しかしながら、これに限らず、本開示の光源装置及び光源制御装置は、例えば照明装置等の電子機器に適用してもよい。
【0123】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
[付記1]
照明光を出力する光源制御装置であって、
青色光を出力する第1発光素子と、
赤色光を出力する第2発光素子と、
入射する前記青色光を波長変換光に変換する波長変換素子と、
前記波長変換素子と熱的に接続される第1熱電変換素子と、
前記第1熱電変換素子と熱的に接続される第1放熱部材と、
前記第2発光素子と熱的に接続される第2熱電変換素子と、
前記第2熱電変換素子と熱的に接続される第2放熱部材と、
前記第1熱電変換素子及び前記第2熱電変換素子のそれぞれの駆動を制御する制御部と、を備える、ことを特徴とする光源制御装置。
【0124】
このような構成によれば、制御部が第1熱電変換素子と第2熱電変換素子とを制御することによって、波長変換素子の温度及び第2発光素子の温度を制御できる。これにより、波長変換素子の波長変換効率を維持できる他、第2発光素子による赤色光の出力を安定させることができる。従って、光源制御装置から出力される照明光のホワイトバランスを調節できる。
【0125】
[付記2]
付記1に記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記第1熱電変換素子による前記波長変換素子の冷却を前記第2熱電変換素子による前記第2発光素子の冷却に優先して行う、ことを特徴とする光源制御装置。
このような構成によれば、波長変換光への変換効率を維持できるので、ホワイトバランスが大きく崩れることを抑制できる。また、波長変換素子を第2発光素子に優先して冷却することによって、波長変換素子の劣化を抑制できる。
【0126】
[付記3]
付記1又は付記2に記載の光源制御装置において、
前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材のそれぞれに気流を流通させるファンを備え、
前記制御部は、前記ファンの駆動を制御する、ことを特徴とする光源制御装置。
このような構成によれば、ファンが各放熱部材に気流を流通させることによって、各放熱部材による放熱効率を高めることができる。従って、波長変換素子及び第2発光素子のそれぞれの冷却効率を高めることができる。
【0127】
[付記4]
付記3に記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記波長変換素子の冷却を、前記ファンに優先して前記第1熱電変換素子によって実行する、ことを特徴とする光源制御装置。
このような構成によれば、波長変換素子を冷却する際に、ファンよりも冷却効果が高い第1熱電変換素子による冷却をファンによる冷却に優先して実行するので、波長変換素子の冷却を速やかに実施できる。
また、第1熱電変換素子によって波長変換素子が十分に冷却される場合には、ファンの出力を高める必要がない。このような場合には、ファンの騒音が大きくなることを抑制でき、ひいては、光源制御装置の静音化を図ることができる。
【0128】
[付記5]
付記3又は付記4に記載の光源制御装置において、
前記第1熱電変換素子による前記波長変換素子の冷却と、前記ファンによる前記波長変換素子の冷却とを実行した後、前記波長変換素子の温度が波長変換素子用閾値を超えている場合、前記制御部は、前記第1発光素子及び前記第2発光素子のそれぞれの出力を低下させる、ことを特徴とする光源制御装置。
このような構成によれば、第1発光素子の出力を低下させることによって、光源制御装置から出力される光の輝度が低下するものの、波長変換素子に入力する青色光の光量が低下するので、波長変換素子の温度を下げることができる。
また、第1発光素子だけでなく、第2発光素子の出力を低下させることによって、光源制御装置から出力される光のホワイトバランスを維持しやすくすることができる。
【0129】
[付記6]
付記3から付記5のいずれか1つに記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記第2発光素子の冷却を、前記ファンに優先して前記第2熱電変換素子によって実行する、ことを特徴とする光源制御装置。
このような構成によれば、第2発光素子を冷却する際に、ファンよりも冷却効果が高い第2熱電変換素子による冷却をファンによる冷却に優先して実行するので、第2発光素子の冷却を速やかに実施できる。
また、第2熱電変換素子によって第2発光素子が十分に冷却される場合には、ファンの出力を高める必要がない。このような場合には、ファンの騒音が大きくなることを抑制でき、ひいては、光源制御装置の静音化を図ることができる。
【0130】
[付記7]
付記6に記載の光源制御装置において、
前記第2熱電変換素子による前記第2発光素子の冷却と、前記ファンによる前記第2発光素子の冷却とを実行した後、前記第2発光素子の温度が第2発光素子用閾値を超えている場合、前記制御部は、前記第1発光素子及び前記第2発光素子のそれぞれの出力を低下させる、ことを特徴とする光源制御装置。
このような構成によれば、第2発光素子の出力を低下させることによって、光源制御装置から出力される光の輝度が低下するものの、第2発光素子の発熱量が低下するので、第2発光素子の温度を下げることができる。
また、第2発光素子だけでなく、第1発光素子の出力を低下させることによって、光源制御装置から出力される光のホワイトバランスを維持しやすくすることができる。
【0131】
[付記8]
付記3から付記7のいずれか1つに記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記照明光に含まれる前記赤色光の光量に対する、前記照明光に含まれる前記青色光の光量の比率を、前記第1熱電変換素子、前記第2熱電変換素子及び前記ファンによって調節する、ことを特徴とする光源制御装置。
このような構成によれば、第1熱電変換素子及びファンによって波長変換素子の温度を調節でき、第2熱電変換素子及びファンによって第2発光素子の温度を調節できるので、光源制御装置から出力される青色光、波長変換光及び赤色光のそれぞれの光量を調節できる。従って、光源制御装置から出力される照明光のホワイトバランスを維持できる。
【0132】
[付記9]
付記8に記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記比率を低下させる場合には、前記第2熱電変換素子及び前記ファンを用いて前記第2発光素子の冷却を実行する、ことを特徴とする光源制御装置。
このような構成によれば、第2熱電変換素子及びファンにより第2発光素子を冷却することによって、第2発光素子による赤色光の出力を高めることができる。従って、上記比率を低下させることができる。
【0133】
[付記10]
付記9に記載の光源制御装置において、
前記第2熱電変換素子による前記第2発光素子の冷却と、前記ファンによる前記第2発光素子の冷却とを実行した後、前記比率が上限値に達しない場合、前記制御部は、前記第1発光素子の前記青色光の出力を低下させる、ことを特徴とする光源制御装置。
ここで、第2熱電変換素子及びファンによる第2発光素子の冷却を実行しても、上記比率が上限値に達しない場合には、第2発光素子による赤色光の出力が低下していることが想定される。このような場合に、制御部が、第1発光素子による青色光の出力を低下させることによって、上記比率を低下させることができる。
【0134】
[付記11]
付記8から付記10のいずれか1つに記載の光源制御装置において、
前記制御部は、前記比率を上昇させる場合には、前記第2熱電変換素子及び前記ファンを用いて前記第2発光素子を加温する、ことを特徴とする光源制御装置。
このような構成によれば、第2発光素子を加温することによって、第2発光素子による赤色光の出力を低下させることができる。これにより、上記比率を上昇させることができる。
【0135】
[付記12]
付記11に記載の光源制御装置において、
前記第2熱電変換素子による前記第2発光素子に対する加温と、前記ファンによる前記第2発光素子に対する加温とを実行した後、前記比率が下限値に達しない場合、前記制御部は、前記第2発光素子による前記赤色光の出力を低下させる、ことを特徴とする光源制御装置。
このような構成によれば、上記比率を上昇させる場合で、第2熱電変換素子及びファンによる第2発光素子に対する加温を実行しても、上記比率が下限値に達しない場合には、制御部が第2発光素子の出力を低下させることによって、第2発光素子から出力される赤色光の光量を低下させることができる。従って、上記比率を上昇させることができる。
【0136】
[付記13]
付記1から付記12のいずれか1つに記載の光源制御装置と、
前記光源制御装置から出射された光から画像光を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、を備える、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、上記光源制御装置と同様の効果を奏することができ、ホワイトバランスが良好な照明光に基づいて形成された画像光を投射できる。
【0137】
[付記14]
青色光を出力する第1光源と、
赤色光を出力する第2光源と、
入射する前記青色光を波長変換光に変換する波長変換装置と、
前記青色光、前記波長変換光及び前記赤色光を合成する色合成素子と、
前記波長変換装置と熱的に接続される第1放熱部材と、
前記第2光源と熱的に接続される第2放熱部材と、を備え、
前記波長変換装置は、
前記青色光を前記波長変換光に変換する波長変換素子と、
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、前記第1面にて前記波長変換素子を支持する熱伝導性の第1ベースと、
前記第2面と熱的に接続される第1熱電変換素子と、を有し、
前記第2光源は、
発光素子と、
第3面と、前記第3面とは反対側の第4面とを有し、前記第3面にて前記発光素子を支持する熱伝導性の第2ベースと、
前記第4面と熱的に接続される第2熱電変換素子と、を有し、
前記第1放熱部材は、前記第1熱電変換素子に対して前記第1ベースとは反対側に配置されて、前記第1熱電変換素子と熱的に接続され、
前記第2放熱部材は、前記第2熱電変換素子に対して前記第2ベースとは反対側に配置されて、前記第2熱電変換素子と熱的に接続される、ことを特徴とする光源装置。
【0138】
このような構成によれば、第1ベースを介して波長変換素子と熱的に接続される第1熱電変換素子によって、波長変換素子の温度調節を実施できる。これにより、波長変換素子による青色光の波長変換効率を維持できる。
また、第2ベースを介して第2発光素子と熱的に接続される第2熱電変換素子によって、第2発光素子の温度調整を実施できる。これにより、第2発光素子によって赤色光を安定して出力できる。
そして、各熱電変換素子によって波長変換素子の温度調節と第2発光素子の温度調節とを実施することによって、光源装置から出射される光のホワイトバランスを調節できる。
【0139】
[付記15]
付記14に記載の光源装置において、
前記第1熱電変換素子から伝達される熱を前記第1放熱部材に輸送する第1受熱部材と、
前記第2熱電変換素子から伝達される熱を前記第2放熱部材に輸送する第2受熱部材と、を備える、ことを特徴とする光源装置。
このような構成によれば、第1受熱部材によって、第1熱電変換素子から波長変換素子の熱を第1放熱部材に効率よく輸送でき、第2受熱部材によって、第2熱電変換素子から第2発光素子の熱を第2放熱部材に効率よく輸送できる。従って、波長変換素子及び第2発光素子のそれぞれの冷却効率を高めることができる。
【0140】
[付記16]
付記15に記載の光源装置において、
前記第1受熱部材及び前記第2受熱部材は、1つの受熱部材によって構成されている、ことを特徴とする光源装置。
このような構成によれば、波長変換素子、第1ベース及び第1熱電変換素子と、第2発光素子、第2ベース及び第2熱電変換素子とを、1つの受熱部材に配置できる。これにより、光源装置の部品点数を削減でき、光源装置を小型化できる。
【0141】
[付記17]
付記15又は付記16に記載の光源装置において、
前記第1受熱部材及び前記第2受熱部材のうち少なくとも一方の受熱部材は、ベイパーチャンバーによって構成されている、ことを特徴とする光源装置。
ここで、ベイパーチャンバーは平面における熱拡散効率が高い。ベイパーチャンバーによって構成された受熱部材は、熱電変換素子から伝達された熱を平面内にて拡散して放熱部材に伝達できる。これにより、放熱部材への熱輸送効率を高めることができる。
このため、各受熱部材がベイパーチャンバーによって構成されていれば、第1熱電変換素子から伝達された熱を平面内にて拡散して第1放熱部材に伝達できる。これにより、第1放熱部材への熱輸送効率を高めることができる。同様に、第2熱電変換素子から伝達された熱を平面内にて拡散して第2放熱部材に伝達できる。これにより、第2放熱部材への熱輸送効率を高めることができる。
従って、波長変換素子及び第2発光素子のそれぞれの冷却効率を高めることができる。
一方、受熱部材をベイパーチャンバー以外の構成、例えば金属等の熱伝導部材とすることにより、部材コストの上昇抑制と冷却効率の向上とを図ることができる。
【0142】
[付記18]
付記14から付記17のいずれか1つに記載の光源装置において、
前記第1放熱部材及び前記第2放熱部材に気流を流通させるファンを備える、ことを特徴とする光源装置。
このような構成によれば、ファンが各放熱部材に気流を流通させることによって、各放熱部材による放熱効率を高めることができる。従って、波長変換素子及び第2発光素子のそれぞれの冷却効率を高めることができる。
【0143】
[付記19]
付記14から付記18のいずれか1つに記載の光源装置と、
前記光源装置から出射された光から画像光を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置によって形成された前記画像光を投射する投射光学装置と、を備える、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、上記光源装置と同様の効果を奏することができ、ホワイトバランスが良好な照明光に基づいて形成された画像光を投射できる。
【0144】
[付記20]
第1発光素子と、前記第1発光素子から入力する青色光の波長を変換した波長変換光を出力する波長変換素子と、前記青色光及び前記波長変換光と合成される赤色光を出力する第2発光素子と、を備える光源装置に対して実施される光源制御方法であって、
前記波長変換素子を冷却する第1冷却手順と、
前記第2発光素子を冷却する第2冷却手順と、
前記光源装置から出力される光に含まれる前記青色光の光量と前記赤色光の光量との比率に基づいて、前記第2発光素子の温度を調節する調節手順と、を含むことを特徴とする光源制御方法。
【0145】
このような構成によれば、第1冷却手順にて波長変換素子が冷却されるので、波長変換素子による青色光の波長変換効率を維持できる。また、第2冷却手順にて第2発光素子が冷却されるので、第2発光素子から赤色光を安定して出力できる。
更に、調節手順にて、上記比率に基づいて、第2発光素子の温度が調節されるので、第2発光素子から出力される赤色光の光量を調節でき、ひいては、光源装置から出力される光のホワイトバランスを調節できる。
【符号の説明】
【0146】
1…プロジェクター、34…画像形成装置、36…投射光学装置、4…光源装置、41…第1光源、411…第1発光素子、412…基板、42…第1色合成素子、43…拡散反射素子、44…波長変換装置、441…波長変換素子、442…第1ベース、4421…第1面、4422…第2面、443…第1熱電変換素子、4432…第2面、444…第1温度センサー、45…第2光源、451…第2発光素子、452…第2ベース、4521…第1面(第3面)、4522…第2面(第4面)、453…第2熱電変換素子、4532…第2面、454…第2温度センサー、46…第2色合成素子、47…受熱部材、471…配置面、472…放熱面、48…放熱部材、481…フィン、49…ファン、50…放熱部材、501…導入部、502…排出部、51…第1受熱部材、52…第1放熱部材、521…フィン、53…第1ファン、54…第2受熱部材、55…第2放熱部材、551…フィン、56…第2ファン、6…光量検出ユニット、61…第1光量センサー、62…第2光量センサー、7…制御ユニット、LSC…光源制御装置。