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特開2024-11511接続装置及び接続装置を用いた接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011511
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】接続装置及び接続装置を用いた接続方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/02 20060101AFI20240118BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20240118BHJP
   F16L 1/028 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
F16L41/02
F16L55/00 C
F16L1/028 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113529
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】木村 絋章
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019AA01
3H019AA04
3H019BA05
3H019BB02
(57)【要約】
【課題】流路を構成する流体管と流路構成部材とを簡便に接続可能な接続装置及び接続装置を用いた接続方法を提供する。
【解決手段】流路を構成する流体管2の外周面2aに装着可能な分割構造20,30を有し、流体管2に連通される流路構成部材11に連通可能な筐体10を備える接続装置1であって、筐体10と流路構成部材11との間を密封可能な密封手段12をさらに備え、流路構成部材11は筐体10に対して相対移動可能に接続されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を構成する流体管の外周面に装着可能な分割構造を有し、該流体管に連通される流路構成部材に連通可能な筐体を備える接続装置であって、
前記筐体と前記流路構成部材との間を密封可能な密封手段をさらに備え、前記流路構成部材は前記筐体に対して相対移動可能に接続されていることを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記流路構成部材は、前記筐体を構成する一つの分割部材に形成された開口部に対して相対移動可能に接続されることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記開口部の開口は、前記分割部材の底部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記流路構成部材と前記筐体との間に配置された前記密封手段を押圧する押圧手段をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項5】
前記押圧手段は、押輪と、該押輪及び前記筐体に設けられているフランジを締結する締結部材によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載の接続装置。
【請求項6】
前記流路構成部材は、前記筐体に対する進退調整代を有する進退部と、前記進退部に接続される管体からなることを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項7】
前記流路構成部材は、前記筐体に接続される部分が円筒状に形成されている請求項1ないし6のいずれかに記載の接続装置。
【請求項8】
流路を構成する流体管の外周面に装着可能な分割構造を有する接続装置の筐体に対する管路構成部材の位置を調整する工程と、
調整された位置にて前記筐体と前記管路構成部材との間を密封手段により密封する工程と、
密封された前記筐体内にて前記流体管の一部を不断流状態で当該筐体内に連通させる工程と、を含むことを特徴とする接続装置を用いた接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路を構成する流体管と流路構成部材とを接続するための接続装置、及び接続装置を用いた接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水やガス等が流れる既設の流体管路に、例えば分岐管等の管路構成部材を不断流状態で接続するために用いられる接続装置及びその方法が知られている。
【0003】
例えば既設の流体管路と略同じ高さ位置に配置されている流路構成部材を接続するために用いられる接続装置として、複数に分割可能な上面視T字状の筐体を備える接続装置が知られている。このような接続装置を用いた接続方法については、まず既設の流体管路を構成している流体管と、同流体管路に新たに接続する流路構成部材それぞれに、筐体を分割した分割部材を外嵌させ、連結することで、筐体を密封状に囲繞する。そして、筐体に設けられている開口部に切除装置を密封状に連結し、流体管の一部を切除した後、開口部を密封する。これにより、既設の流体管路における流体の流通を止めることなく、流路構成部材にも流体を流通可能に接続することができる。
【0004】
一方、例えば既設の流体管路と流路構成部材の間に障害物がある場合、若しくは既設の流体管路に対し異なる高さ位置に流路構成部材を配設する必要がある場合等に、上述したような接続装置を用いようとすると、接続装置の向きの調整や、流路構成部材を迂回させる必要があるばかりでなく、施工スペースの問題が生じて施工ができないこともある。そこで、流路を構成する流体管から離間した位置で流路構成部材を簡便に接続するために用いられる接続装置が知られている。
【0005】
例えば、特許文献1に示される接続装置は、筐体が流路を構成する流体管を囲繞可能に上下に分割されており、下方に配置される下分割部材は、側壁の下端部に流路構成部材としての分岐管を接続するための接続部が開口形成されている。このような接続装置を用いた接続方法については、下分割部材の接続部に分岐管を接続した状態で、下分割部材と、上方に配置された上分割部材とを密封状に溶接し、筐体の上端等に設けられている開口部に密封状に連結した切除装置を用いて流体管の一部を切除した後、開口部を密封状に閉塞する。これにより、流体管から離間した位置で分岐管を接続することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実願昭57-113408号(実開昭59-20086号公報)のマイクロフィルム(第6,7頁、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような特許文献1の接続装置においては、流路構成部材を接続可能な位置に接続部を設けることで、流路構成部材の延設を最適化して接続部に接続することができるため、施工を簡便にすることができる。
【0008】
ところで、特許文献1のような接続装置と流路構成部材を接続するためには、予め流路を構成する流体管と流路構成部材との離間寸法を考慮して筐体における接続部の位置を決定する必要がある。しかしながら、既設の流体管路に生じた経年変化等により、筐体の接続位置を変更したり、現状の流体管路と設計図との間で誤差が生じていると、その誤差を埋めるべく流路構成部材を延設したり、誤差に応じて接続部の位置を設計し直したりしなければならず、作業の手間の増加や施工期間が長引くという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、流路を構成する流体管と流路構成部材とを簡便に接続可能な接続装置及び接続装置を用いた接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の接続装置は、
流路を構成する流体管の外周面に装着可能な分割構造を有し、該流体管に連通される流路構成部材に連通可能な筐体を備える接続装置であって、
前記筐体と前記流路構成部材との間を密封可能な密封手段をさらに備え、前記流路構成部材は前記筐体に対して相対移動可能に接続されていることを特徴としている。
この特徴によれば、筐体に対する流路構成部材の位置を調整した後、筐体と流路構成部材との間を密封することにより、流体管と流路構成部材とが離間している場合であっても、これらを簡便に接続することができる。
【0011】
前記流路構成部材は、前記筐体を構成する一つの分割部材に形成された開口部に対して相対移動可能に接続されることを特徴としている。
この特徴によれば、筐体の開口部が一体に形成されるため、筐体と流路構成部材の間を容易に密封できることに加え、流路構成部材が接続される開口部の構造強度を確保しやすい。
【0012】
前記開口部の開口は、前記分割部材の底部に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、流路構成部材が接続される開口部の構造強度をさらに高めることができる。
【0013】
前記流路構成部材と前記筐体との間に配置された前記密封手段を押圧する押圧手段をさらに有していることを特徴としている。
この特徴によれば、筐体と流路構成部材の間が密封されるばかりでなく、筐体に対する管路構成部材の位置を保持することができる。
【0014】
前記押圧手段は、押輪と、該押輪及び前記筐体に設けられているフランジを締結する締結部材によって構成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、密封手段を押圧する力を加減可能となるため、筐体に対する流路構成部材の位置調整を容易にすることができる。
【0015】
前記流路構成部材は、前記筐体に対する進退調整代を有する進退部と、前記進退部に接続される管体からなることを特徴としている。
この特徴によれば、管体の位置に合わせて進退部の位置を調整することができるため、管体の構成を簡素にすることができる。
【0016】
前記流路構成部材は、前記筐体に接続される部分が円筒状に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、平面視において流体管に対して接続される管路構成部材の角度がいずれであっても、管路構成部材の構成を簡素にすることができる。
【0017】
前記課題を解決するために、本発明の接続装置を用いた接続方法は、
流路を構成する流体管の外周面に装着可能な分割構造を有する接続装置の筐体に対する管路構成部材の位置を調整する工程と、
調整された位置にて前記筐体と前記管路構成部材との間を密封手段により密封する工程と、
密封された前記筐体内にて前記流体管の一部を不断流状態で当該筐体内に連通させる工程と、を含むことを特徴としている。
この特徴によれば、筐体に対する流路構成部材の位置を調整した後、筐体と流路構成部材との間を密封することにより、流体管と流路構成部材とが離間している場合であっても、これらを簡便に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1における接続装置を用いて流体管と分岐管とを接続した状態を示す上面図である。
図2図1と同じ状態を一部破断して示す正面図である。
図3図1と同じ状態を一部破断して示す側面図である。
図4】接続装置を用いて流体管と分岐管とを接続する工程の状態を一部破断して示す正面図である。
図5】下分割部材及び接続部材を配置した状態を一部破断して示す正面図である。
図6図5と同じ状態を一部破断して示す側面図である。
図7】下分割部材に上分割部材を連結した状態を一部破断して示す正面図である。
図8図7と同じ状態を一部破断して示す側面図である。
図9】コンクリートを打設した状態を一部破断して示す側面図である。
図10】筐体に作業弁を取り付けた状態を一部破断して示す正面図である。
図11】切除装置を用いて流体管の一部を切除した状態を一部破断して示す正面図である。
図12】筐体に内蓋を取り付けた状態を一部破断して示す正面図である。
図13】筐体に外蓋を取り付けた状態を一部破断して示す正面図である。
図14】実施例2における接続装置を用いて流体管と分岐管とを接続した状態を示す上面図である。
図15図14と同じ状態を一部破断して示す正面図である。
図16図14と同じ状態を一部破断して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る接続装置及び接続装置を用いた接続方法を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0020】
実施例1に係る接続装置及び接続装置を用いた接続方法につき、図1から図13を参照して説明する。図1図3を参照して、接続装置1は、地中等にて埋設された既設の流路を構成する流体管2と、流体管2よりも下方にて水平方向に敷設される管体としての分岐管3を接続し、流体管2を流れる上水を分岐させて分岐管3に流通させるためのものである。なお、流体管内の流体は、本実施例では上水であるが、これに限らず例えば、工業用水、農業用水、下水等の他、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。
【0021】
分岐管3を含む本発明に係る流体管は、ダクタイル鋳鉄管であって、断面視円筒状に形成されている。なお、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらになお、流体管の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。
【0022】
図1図3に示されるように、接続装置1は、流体管2に密封状に外嵌される筐体10と、筐体10の下端部に上下動可能に連結される進退部としての進退部材40及びこの進退部材40に接続される分岐管3を含む流路構成部材11と、から主に構成されている。
【0023】
さらに接続装置1は、筐体10と進退部材40の間を密封する密封手段としてのシールリング12(図2参照)と、シールリング12を筐体10と進退部材40の間に圧着させるための押圧手段13(図2図3参照)と、筐体10と流体管2の間を密封するためのシールリング14,14(図2参照)と、シールリング14を筐体10と流体管2の間に圧着させるために用いられる押輪15,15と、筐体10の上端に開口形成された首部21を密封するための内蓋16(図2参照)と、筐体10のフランジ21a(図2図3参照)に取り付けられる外蓋17を備えている。なお、図2では、進退部材40に接続される分岐管3の図示を省略している。
【0024】
筐体10は、上方に延びる首部21、側方に延びる腕部10A,10B、及び下方に延びる胴部31を備える正面視十字状(図2参照)に形成されている。また、筐体10は、流体管2の外周面2aに外装可能な分割構造であり、上下一対の分割部材20,30から構成されている。
【0025】
流体管2の上方側に配置される上分割部材20は、上方に向かって延び、円筒状に形成されている首部21と、首部21に略直交して側方に延び、流体管2の軸方向から見て半円弧状の曲板状に形成されている半割腕部22,23を備える正面視倒立T字状(図2参照)に形成されている。
【0026】
図1図3に示されるように、流体管2の下方側に配置される下分割部材30は、下方に向かって延び、円筒状に形成されている開口部としての胴部31と、胴部31に略直交して側方に延び、流体管2の軸方向から見て半円弧状の曲板状に形成されている半割腕部32,33を備える正面視T字状(図2参照)に形成されている。
【0027】
図4に示されるように、胴部31の下端部内径側には、内径側に突出する環状凸部31aが形成されている。また、胴部31の下端部外径側には、外径側に突出するフランジ31bが形成されている。
【0028】
図2図3に示されるように、進退部材40は、下方に向かって延び、周壁41aの上端が開放されている有底円筒状に形成されている基部41と、基部41の周壁41aに略直交して延び、円筒状に開口形成されている接続部42を備えている。
【0029】
基部41は、円筒状の周壁41aと、周壁41aの下端を閉塞するリブ付き円板状の底壁41bを有している。また、周壁41aの外径は、下分割部材30の胴部31の内径よりも僅かに小径になっており、胴部31内に挿入可能となっている。
【0030】
接続部42はフランジ42aを有している。また、接続部42の内部は、基部41の周壁41aにて開放されている部分を通じて基部41の内部と連通している。
【0031】
図2を参照して、内蓋16は、円板状に形成されている基部と、その外周面に形成された環状溝内に外嵌されているシールリングから構成されている。
【0032】
図1図3に示されるように、外蓋17は、上端部にリブを有する円状の板材に形成されている。
【0033】
次に、接続装置1を用いて流体管2と分岐管3を接続する一連の工程(方法)について説明する。
【0034】
まず、流体管2と分岐管3を接続するための作業現場を整備する整備工程を行う。図5図6を参照して、整備工程では、地中に埋設された流体管2の周囲と、流体管2よりも下方に後段の行程で埋設される分岐管3(図8参照)の配置箇所及びその周囲を掘削し、穴の底部にコンクリートを打設して基礎Fを形成する。また、流体管2と、設計上の分岐管3との離間寸法を計測する。なお、基礎は、後述するように下分割部材30及び進退部材40を支持可能であれば敷鉄板等であってもよい。また、管路構成部材は、流体管2を備える流路とは別系統の流路の流体管、同別系統の流路から延設された流体管等であってもよく、その構成については適宜変更されてもよい。
【0035】
次いで、実測した流体管2と分岐管3との上下方向の離間寸法に合わせて筐体10に対する進退部材40の位置、すなわち筐体10(図2参照)より進退部材40が下方に延出する寸法を調整する調整工程を行う。図4に示されるように、調整工程では、下分割部材30の胴部31内に進退部材40の基部41を挿入し、基部41の外周面にシールリング12を周方向に亘って配置する。
【0036】
そして、押輪50の分割体を基部41に外装して図示しないボルトナットで連結し、押輪50を構成した後、胴部31のフランジ31bと押輪50にそれぞれ形成されている貫通孔に挿通したT頭ボルトB1にナットN1を螺合させ、フランジ31bと押輪50を軽く締め付ける。
【0037】
これにより、シールリング12は、押輪50によって胴部31の環状凸部31aに押しつけられて胴部31の内周面と基部41の外周面にそれぞれ圧着される。すなわち、本実施例の押圧手段13は、押輪50と、押輪50及び胴部31のフランジ31bを締結する締結部材としてのT頭ボルトB1及びナットN1によって構成されている。
【0038】
また、フランジ31bと押輪50を軽く締め付けた状態では、下分割部材30に対して進退部材40を上下方向、すなわち胴部31の管軸方向に相対移動させることができる。加えて、進退部材40の相対移動時にはシールリング12に摺動することによって摩擦が生じる。
【0039】
これを利用して、フランジ31bと押輪50の締め付けを緩めることで進退部材40の挿入長さの調整作業を容易にすることができ、また締め付けを強めることで挿入長さを調整した位置からの進退部材40の不測の動きを規制することができる。このように、シールリング12を狭圧する力を加減することにより、筐体10に対する進退部材40の位置調整を容易にすることができる。
【0040】
ここで、筐体10に対する進退部材40の進退調整代Sの上端、すなわち筐体10に対し進退部材40を最大限挿入した場合の基部41の上端は、胴部31の上端に連なる腕部10A、10Bの下端よりも下方に配置されるように設定されている。これは、進退調整代Sの範囲内の任意の位置でシールリング12によって密封できるように胴部31と基部41が径方向に十分に重複させるとともに、進退部材40と流体管2との接触を防止するためである。
【0041】
進退調整代Sの範囲内において、接続部42の高さ位置を調整することができるため、エルボ等を用いて進退部材40の位置に合わせるように分岐管3を延設することを省略することができる。これにより、分岐管3の構成を簡素にすることができる。
【0042】
また、胴部31及び基部41は円筒状であるため、基部41が胴部31に挿入されたまま進退部材40を任意の高さ位置において垂直軸回りに360度回動させることができる。これにより、上面視において、流体管2に対して分岐管3が直交方向に延びていない場合であっても、分岐管3の任意の延伸方向に接続部42の延伸方向が沿うように進退部材40を回動させることができる。
【0043】
このように、接続部42の向きを調整することができるため、エルボ等を用いて進退部材40の位置に合わせるように分岐管3を延設することを省略することができる。これにより、分岐管3の構成を簡素にすることができる。
【0044】
なお、胴部及び基部の一方が円筒状であれば曲管部材を回動させることができるため、他方は、密封手段によって隙間を密封可能であればその形状が適宜変更されてもよい。
【0045】
下分割部材30と進退部材40の位置合わせがなされたら、T頭ボルトB1にナットN1によりフランジ31bと押輪50をさらに締め付ける。これにより、シールリング12が胴部31の内周面と基部41の外周面に圧着する力が増すため、下分割部材30と進退部材40との位置を保持することができる。
【0046】
次いで、筐体10に流体管2及び分岐管3を密封状に接続する接続工程を行う。図5に示されるように、接続工程では、まず基礎F上に配置した荷重支持機能及び高さ調整機能を有する複数のジャッキ4,4,…の上に進退部材40の底壁41bを載置し、各ジャッキ4,4,…を伸長させて下分割部材30を流体管2の外周面2aに外装させる。なお、上記したジャッキ4,4,…に限らず、高さ調整機能を有さない支持手段を基礎F上に予め配置し、当該支持手段の上方にて進退部材40の挿入長さを調整するようにしてもよい。
【0047】
図7図8に示されるように、上分割部材20を流体管2に外装させて、下分割部材30と溶接して密封状に連結し、筐体10を構成する。なお、例えば、分割部材20,30の間にシール部材を介在させ、これら分割部材20,30をボルトナットで締結し、密封状に連結してもよく、分割部材20,30の連結方法は適宜変更されてもよい。
【0048】
上分割部材20と下分割部材30が連結されることにより、半割腕部22,32(図2参照)は筐体10における円筒状の腕部10Aが構成され、半割腕部23,33(図2参照)は筐体10における円筒状の腕部10Bが構成されるとともに、各腕部10A,10Bが流体管2に外装された状態となる。
【0049】
各腕部10A,10Bにおいて、周方向に等配されている調整ボルト10C,10C,…を用いて、各腕部10A,10Bの軸心が流体管2の軸心に略一致するように調整する。これにより、腕部10Bの内周面と流体管2の外周面2aの間に略一定幅の環状の隙間を形成することができる。なお、図2等において破断して示す一つの調整ボルト10C以外は、図示の都合上ドットで図示している。
【0050】
そして、流体管2における外周面2aにシールリング14(図2参照)を周方向に亘って配置し、半割状に形成された押輪15の分割体をそれぞれ流体管2に外装して連結し、腕部10Bのフランジと押輪15それぞれの貫通孔に挿通したT頭ボルトB2にナットN2を螺合する。
【0051】
そして、腕部10Bのフランジと押輪15をT頭ボルトB2とナットN2(図2参照)で締結する。これらにより、腕部10Bと流体管2の間に圧入されたシールリング14を周方向に亘って略同一の力で腕部10Bの内周面及び流体管2の外周面2aに圧着させて密封することができる。
【0052】
さらに、周方向に等配されているボルト15A,15A,…(図3参照)を用いて、押輪15の内径側に配置されている図示しない爪部材を流体管2に押しつける。これにより、流体管2が腕部10Bより抜出すことを防止することができる。なお、腕部10A側については、腕部10B側の説明と同様であるため、その説明は省略する。
【0053】
図8に示されるように、分岐管3のフランジ3aと進退部材40のフランジ42aを図示しないボルトナットにより締結する。これにより、流路構成部材11は構成されている。なお、接続部42のフランジ42aと分岐管3のフランジ3aとの間にガスケットを介設して密封することは言うまでもない(図3参照)。
【0054】
次いで、コンクリートを打設する打設工程を行う。図9に示されるように、打設工程では、ドット柄で示すコンクリートCを上分割部材20と下分割部材30の境界部分を完全に覆う位置、より具体的には溶接ビードが完全に隠れるまで打設する。この打設工程において上記したジャッキ4,4,…は筐体10を下方で支持しており、すなわちジャッキ4,4,…はコンクリートCによって埋設されるため、コンクリートCが固まるまでの間、下分割部材30及び進退部材40の位置を保持し続けることができる。
【0055】
次いで、コンクリートCが固まると、筐体10内の流体管2を切除する切除工程を行う。図10に示されるように、切除工程では、まず首部21のフランジ21aと作業弁5の弁箱5aを図示しないボルトナットで締結する。なお、首部21のフランジ21aと弁箱5aとの間にガスケットを介設して密封することは言うまでもない。
【0056】
図11に示されるように、続けて、弁箱5aのフランジと取付フランジ筒6の下方のフランジを図示しないボルトナットで連結し、取付フランジ筒6の上方のフランジと切除装置7を図示しないボルトナットで連結する。なお、弁箱5aのフランジと取付フランジ筒6の下方のフランジとの間、取付フランジ筒6の上方のフランジと切除装置7との間にそれぞれガスケットを介設して密封することは言うまでもない。
【0057】
そして、作業弁5の弁箱5a内から図示しない弁体を後退させて開放状態とし、切除装置7のカッタ8により流体管2の一部を不断流状態で切断する。これにより、筐体10、進退部材40及び分岐管3等の流路構成部材11の内部に管内流体が流入する。なお、分岐管3の図示しない他端部等に開閉弁が閉塞状態で設けられているため、管内流体が当該開閉弁を超えて流出することは防止されている。
【0058】
なお、進退部材40の基部41における内径は、カッタ8の円筒部材8aの外径よりも大径であるため、流体管2を切断するにあたって円筒部材8a及びカッタ8のセンタドリル8bが進退部材40を不測に損傷させることを防止することができる。なお、進退部材40の基部41が本実施例よりも小径に形成されてもよく、より詳しくは、進退部材40の基部41における外径が、カッタ8の円筒部材8aの内径よりも小径であってもよく、この場合でも流体管2の切断時にカッタ8が進退部材40を不測に損傷させることを防止することができる。
【0059】
また、進退部材40の基部41における下端部には、弁43(図1図3参照)が設けられているため、カッタ8により流体管2を切断する際に発生する切り粉を流体とともに外部へ排出することができる。
【0060】
その後、直接の図示は省略するが、カッタ8を流体管2の切片と共に引き上げ、作業弁5の弁体を弁箱5a内に進出させて閉塞状態とする。これにより、上水の漏水を防止して不断流状態を保ったまま切除装置7、取付フランジ筒6を作業弁5より取外すことができる。
【0061】
次いで、首部21を閉塞する閉塞工程を行う。図12に示されるように、閉塞工程では、まず弁箱5aのフランジと挿入装置9の筐体9aを連結する。続けて、作業弁5を開放状態とし、挿入装置9の駆動機構9bを操作して内蓋16を筐体10の首部21内に圧入する。なお、弁箱5aのフランジと筐体9aとの間にガスケットを介設して密封することは言うまでもない。
【0062】
内蓋16の圧入が首部21内に配置されている断面内向きL字状の係合部材24(図2参照)によって規制されると、首部21の周方向に配置されている複数の抑えボルト25(図1参照)により内蓋16を首部21に固定する。なお、図2等において破断して示す一つの抑えボルト25以外は、図示の都合上ドットで図示している。
【0063】
抑えボルト25について詳しくは、首部21の周壁を貫通し、この周壁に形成された貫通部の雌ネジに螺合されている。抑えボルト25は所定方向に回動させることで首部21の内径側に進出するため、内蓋16に当接させることで、内蓋16の抜け止めをなすことができる。なお、抑えボルト25のような抑え手段は、貫通部の雌ネジに螺合される進出部材と、進出部材に従動して内蓋16に当接する当接部材が別体であってもよく、その数や配置を含め、適宜変更されてもよい。
【0064】
図13に示されるように、挿入装置9、作業弁5を筐体10から取り外した後、首部21のフランジ21aと外蓋17をボルトB3とナットN3にて締結する。なお、首部21のフランジ21aと外蓋17との間にガスケットを介設して密封することは言うまでもない。
【0065】
以上説明したように、本実施例の接続装置1は、流体管2と分岐管3が離間している場合であっても、筐体10に対する進退部材40の位置を調整した後、筐体10と進退部材40との間を密封して分岐管3を接続することにより流路構成部材11を構成することにより、流体管2と分岐管3を簡便に接続することができる。
【0066】
また、本実施例の流路構成部材が接続される開口部は、下分割部材30に一体に形成されている胴部31(図8参照)であるため、例えば腕部10A,10Bのように分割部材を連結することで構成される開口部と比較して、筐体10と進退部材40の間を容易に密封できることに加え、構造強度を確保しやすい。
【0067】
また、進退部材40は、コンクリートCによって埋設されることから、作用する流体圧等を受けて筐体10から抜け出すことが防止されている。
【実施例0068】
次に、実施例2に係る接続装置つき、図14図16を参照して説明する。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0069】
図15に示されるように、接続装置101は、下分割部材130の胴部131の下端に断面視円状の開口131bを有する底部131aが形成されており、開口131b内に筐体110に略90度に湾曲されている曲状分岐管103が挿入されて、シールリング112及び押圧手段113を用いて連結される点で、前記実施例1と異なっている。
【0070】
曲状分岐管103は、そのフランジ103aが分岐管3のフランジ3aと図示しないボルトナットにより締結されて、流路構成部材111を構成している。なお、曲状分岐管103のフランジ103aと分岐管3のフランジ3aとの間にガスケットを介設して密封することは言うまでもない(図16参照)。
【0071】
押圧手段113は、押輪150と、押輪150の貫通孔に挿通される締結部材としてのボルトB4と、底部131aの下端面に形成された締結部材としての雌ネジ穴131cから構成されている。
【0072】
このように、筐体110に接続するために分岐管3から曲状分岐管103が延設される場合であっても、筐体110に対する曲状分岐管103の位置を調整した後、筐体110と曲状分岐管103との間を密封して分岐管3を接続することにより、流体管2と分岐管3を簡便に接続することができる。
【0073】
また、下分割部材130の胴部131は、胴部131の周壁に略直交して内径方向に延びる底部131aに開口131bが形成されていることから、前記実施例1の円状の胴部31を有する下分割部材30の構造強度と比較してその構造強度がさらに高められている。
【0074】
また、曲状分岐管103は、その外径が、胴部131の内径よりも短寸であるため、カッタ8の円筒部材8aの内径を曲状分岐管103の外径よりも長くすることができる。これにより、流体管2の切断時に円筒部材8aが曲状分岐管103に接触しにくくすることができる。
【0075】
また、曲状分岐管103は、弁143が設けられているため、カッタ8により流体管2を切断する際に発生する切り粉を流体とともに外部へ排出することができる。
【0076】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0077】
例えば、前記実施例では、管路構成部材は筐体の下端部にて進退可能に設けられている構成として説明したが、これに限られず、筐体の上端部にて進退可能に設けられていてもよく、筐体の側端部にて進退可能に設けられていてもよく、管路構成部材が接続される筐体の部分は適宜変更されてもよい。
【0078】
また、前記実施例では、分岐管は、水平方向に延びる構成として説明したが、これに限られず、垂直方向に延びる構成であってもよく、その延出方向は適宜変更されてもよい。
【0079】
また、前記実施例では、管路構成部材は、上下方向に進退可能に設けられている構成として説明したが、これに限られず、左右方向または前後方向に進退可能に設けられていてもよく、その状態で管路構成部材の進退調整代の部分における軸心回りに回動させてもよく、筐体に対する進退方向は適宜変更されてもよい。
【0080】
また、前記実施例では、管路構成部材は、筐体に挿入されている構成として説明したが、これに限られず、筐体の一部が管路構成部材に挿入されている構成であってもよい。
【0081】
また、管路構成部材は、シールリングを圧着するまでは筐体に対して挿脱自在である構成として説明したが、これに限られず、進退部材の抜け出しや過挿入を防止するために、タイロッドを用いて連結していてもよく、タイロッドを用いて筐体に対する位置を固定してもよい。
【0082】
また、前記実施例では、管路構成部材が接続される開口部は、一体に形成されている下分割部材に形成されている構成として説明したが、これに限られず、複数の分割部材から構成されていてもよい。
【0083】
また、前記実施例では、管路構成部材及び管路構成部材が接続される開口部は、共に円筒状に形成されている構成として説明したが、これに限られず、断面視多角形状の筒状であってもよい。このような構成であれば、管路構成部材が開口部に挿入されることでその回動を規制することができる。
【0084】
また、前記実施例では、管路構成部材と筐体の間が押圧手段によって押圧される密封手段としてのシールリングによって密封される構成として説明したが、これに限られず、密封手段は位置合わせをしたのち密封状に溶接することであってもよく、適宜変更されてもよい。
【0085】
また、前記実施例では、管路構成部材と筐体の間にシールリングが圧着されることで、管路構成部材と筐体の位置が保持される構成として説明したが、これに限られず、別途設けたボルトナットで移動不能に保持してもよく、溶接により連結してもよく、適宜変更することができる。
【0086】
また、前記実施例では、ジャッキには進退部材の底部が載置される構成として説明したが、これに限られず、筐体の腕部が載置されてもよく、管材が載置されてもよく、その数や配置は適宜変更されてもよい。
【0087】
また、前記実施例では、切除装置は、カッタを有するホールソーであるとして説明したが、これに限られず、穿孔機であってもよく、エンドミルであってもよく、適宜変更されてもよい。すなわち、流路を構成する流体管は、切断されることに限定されるものではなく、少なくとも一部が切除された箇所を通じて流体が流通可能となればよい。
【符号の説明】
【0088】
1 接続装置
2 流体管
3 分岐管(流路構成部材の一部)
4 ジャッキ
10 筐体
11 流路構成部材
12 シールリング(密封手段)
13 押圧手段
16 内蓋
17 外蓋
20 上分割部材
30 下分割部材
31 胴部(開口部)
31b フランジ(筐体に設けられているフランジ)
40 進退部材(流路構成部材の一部)
50 押輪
B1 T頭ボルト(締結部材)
N1 ナット(締結部材)
101 接続装置
103 曲状分岐管(流路構成部材の一部)
110 筐体
111 流路構成部材
112 シールリング(密封手段)
113 押圧手段
131 胴部(開口部)
131a 底部
131b 開口
131c 雌ネジ穴(締結部材)
150 押輪
B4 ボルト(締結部材)
C コンクリート
F 基礎
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16