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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115110
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】浴室ミストシステム
(51)【国際特許分類】
   A61H 33/06 20060101AFI20240819BHJP
   F24D 15/00 20220101ALI20240819BHJP
   F24F 6/12 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A61H33/06 N
F24D15/00 B
F24F6/12
A61H33/06 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020594
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 恵祐
(72)【発明者】
【氏名】弓削 力也
【テーマコード(参考)】
3L055
3L072
4C094
【Fターム(参考)】
3L055AA10
3L055BB01
3L055DA20
3L072AB06
4C094AA01
4C094BB18
4C094DD09
4C094EE03
4C094EE18
4C094FF02
4C094GG03
(57)【要約】
【課題】夏季などの外気温が高い環境下でも、冷水ミストによる身体冷却効果を得ることのできる浴室ミストシステムを提供する。
【解決手段】浴室ミストシステム10は、浴室7内にミスト状の水を噴霧する噴霧装置9と、屋外5に配設された給水源25と噴霧装置9とを接続する給水路23と、給水路23に設けられ、給水路23を流通する水を冷却する冷却装置11と、を備えている。噴霧装置9及び冷却装置11の動作は制御装置13により制御される。制御装置は、例えば水温測定装置により測定された給水路23を流通する水の温度に基づいて、給水路23を流通する水を冷却するか否かを判断して、冷却装置11の動作を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内にミスト状の水を噴霧する噴霧装置と、
屋外に配設された給水源と前記噴霧装置とを接続する給水路と、
前記給水路に設けられ、前記給水路を流通する水を冷却する冷却装置と、を備えていることを特徴とする浴室ミストシステム。
【請求項2】
前記噴霧装置及び前記冷却装置の動作を制御する制御装置と、
前記給水路を流通する水の温度を測定する水温測定装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記噴霧装置を動作させる場合において、前記水温測定装置が測定した水の温度に基づいて、前記給水路を流通する水を前記冷却装置により冷却するか否かを判断して、前記冷却装置の動作を制御する請求項1記載の浴室ミストシステム。
【請求項3】
前記噴霧装置及び前記冷却装置の動作を制御する制御装置と、
外気温を取得する外気温取得装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記噴霧装置を動作させる場合において、前記外気温取得装置が取得した外気温に基づいて、前記給水路を流通する水を前記冷却装置により冷却するか否かを判断して、前記冷却装置の動作を制御する請求項1記載の浴室ミストシステム。
【請求項4】
前記冷却装置は、
熱媒体循環ポンプにより熱媒体が循環する熱媒体循環路であって、前記給水路に接続され、前記熱媒体が前記給水路を流通する水を冷却する熱交換器と、冷却器とが接続された前記熱媒体循環路と、
圧縮機により圧縮された冷媒が循環する冷媒循環路であって、前記圧縮機で圧縮された冷媒が外気に放熱する放熱器と、前記放熱器を通過後の冷媒を減圧させる膨張弁と、前記膨張弁で減圧された冷媒が前記熱媒体を冷却する前記冷却器とが接続された前記冷媒循環路と、
を有するヒートポンプである請求項1乃至3のいずれか1項記載の浴室ミストシステム。
【請求項5】
前記冷却装置は、
湯水循環ポンプにより湯水が循環する湯水循環路であって、前記湯水を貯える貯湯タンクと、加熱器とが接続された前記湯水循環路と、
圧縮機により圧縮された冷媒が循環する冷媒循環路であって、前記圧縮機で圧縮された冷媒が前記湯水を加熱する前記加熱器と、前記加熱器を通過後の冷媒を減圧させる膨張弁と、前記膨張弁で減圧された冷媒が直接的又は熱媒体を介して間接的に前記給水路を流通する水を冷却する冷却器とが接続された前記冷媒循環路と、
を有するヒートポンプ給湯器である請求項1乃至3のいずれか1項記載の浴室ミストシステム。
【請求項6】
前記ヒートポンプ給湯器は、熱媒体循環ポンプにより前記熱媒体が循環する熱媒体循環路であって、前記給水路に接続され、前記熱媒体が前記給水路を流通する水を冷却する熱交換器と、前記冷媒が前記熱媒体を冷却する前記冷却器が接続された前記熱媒体循環路をさらに有している請求項5記載の浴室ミストシステム。
【請求項7】
前記冷却装置は、
熱媒体循環ポンプにより熱媒体が循環する熱媒体循環路であって、前記給水路に接続され、前記熱媒体が前記給水路を流通する水を冷却する熱交換器と、冷却器とが接続された前記熱媒体循環路と、
湯水循環ポンプにより湯水が循環する湯水循環路であって、前記湯水を貯える貯湯タンクと、加熱器とが接続された前記湯水循環路と、
圧縮機により圧縮された冷媒が循環する冷媒循環路であって、前記圧縮機で圧縮された冷媒が前記湯水を加熱する前記加熱器と、前記加熱器を通過後の冷媒を減圧させる第1膨張弁と、前記第1膨張弁で減圧された冷媒が前記熱媒体を冷却する前記冷却器と、前記加熱器を通過後の冷媒を減圧させる第2膨張弁と、前記第2膨張弁で減圧された冷媒が外気から吸熱する吸熱器とが接続された前記冷媒循環路と、
を有するヒートポンプ給湯器であり、
前記冷媒循環路は、前記冷媒循環路を循環する冷媒の経路を、前記圧縮機、前記加熱器、前記第1膨張弁及び前記冷却器の順で冷媒が循環する第1経路と、前記圧縮機、前記加熱器、前記第2膨張弁及び前記吸熱器の順で冷媒が循環する第2経路とに切り替える経路切替手段を有している請求項1乃至3のいずれか1項記載の浴室ミストシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴室ミストシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の浴室ミストシステムの一例が開示されている。この浴室ミストシステムは、浴室内にミスト状の温水を噴霧する噴霧装置を備えている。この浴室ミストシステムでは、浴室内でのカビの発生を抑制する目的で、噴霧装置からミスト状の温水を噴霧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-165831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の浴室ミストシステムを用いて、例えば入浴により体温が上昇した身体を冷やす目的で、水道水からの水をそのまま噴霧する冷水ミスト運転をする場合、特に夏季などの外気温が高い環境下では水道水からの水の温度も高いため、冷水ミストによる身体冷却効果が得られないという課題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、夏季などの外気温が高い環境下でも、冷水ミストによる身体冷却効果を得ることのできる浴室ミストシステムを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の浴室ミストシステムは、浴室内にミスト状の水を噴霧する噴霧装置と、
屋外に配設された給水源と前記噴霧装置とを接続する給水路と、
前記給水路に設けられ、前記給水路を流通する水を冷却する冷却装置と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明の浴室ミストシステムでは、屋外に配設された給水源と噴霧装置とを接続する給水路に設けられた冷却装置によって、給水路を流通する水を冷却することができる。このため、冷却装置によって冷却された水が噴霧装置に供給される。その結果、給水源の水の温度が高い場合でも、冷却装置によって冷却されて冷却能力の高いミスト状の水を噴霧装置から浴室内に噴霧することができる。
【0008】
したがって、本発明の浴室ミストシステムは、夏季などの外気温が高い環境下でも、冷水ミストによる身体冷却効果を得ることができる。
【0009】
本発明の浴室ミストシステムは、噴霧装置及び冷却装置の動作を制御する制御装置と、給水路を流通する水の温度を測定する水温測定装置と、をさらに備えていることが好ましい。制御装置は、噴霧装置を動作させる場合において、水温測定装置が測定した水の温度に基づいて、給水路を流通する水を冷却するか否かを判断して、冷却装置の動作を制御することが好ましい。
【0010】
この場合、給水路を流通する水の温度が高いときに、制御装置の判断によって、給水路を流通する水を冷却装置で冷却することができる。
【0011】
本発明の浴室ミストシステムは、噴霧装置及び冷却装置の動作を制御する制御装置と、外気温を取得する外気温取得装置と、をさらに備えていることが好ましい。制御装置は、噴霧装置を動作させる場合において、外気温取得装置が取得した外気温に基づいて、給水路を流通する水を冷却装置により冷却するか否かを判断して、冷却装置の動作を制御することが好ましい。
【0012】
この場合、外気温が高いときに、制御装置の判断によって、給水路を流通する水を冷却装置で冷却することができる。
【0013】
冷却装置は、熱媒体循環ポンプにより熱媒体が循環する熱媒体循環路と、圧縮機により圧縮された冷媒が循環する冷媒循環路とを有するヒートポンプであることが好ましい。熱媒体循環路には、給水路に接続され、熱媒体が給水路を流通する水を冷却する熱交換器と、冷却器とが接続され得る。冷媒循環路には、圧縮機で圧縮された冷媒が外気に放熱する放熱器と、放熱器を通過後の冷媒を減圧させる膨張弁と、膨張弁で減圧された冷媒が熱媒体を冷却する冷却器とが接続され得る。
【0014】
この場合、冷却器にて熱媒体循環路を循環する熱媒体を冷媒で冷却するとともに、熱交換器にて給水路を流通する水を熱媒体で冷却することができる。そして、熱媒体循環路を介在させることで、冷媒循環路を短くすることができ、冷媒の量を減らすとともに配管の取り回しが良くなる。
【0015】
冷却装置は、湯水循環ポンプにより湯水が循環する湯水循環路と、圧縮機により圧縮された冷媒が循環する冷媒循環路とを有するヒートポンプ給湯器であることが好ましい。湯水循環路には、湯水を貯える貯湯タンクと、加熱器とが接続され得る。冷媒循環路には、圧縮機で圧縮された冷媒が湯水を加熱する加熱器と、加熱器を通過後の冷媒を減圧させる膨張弁と、膨張弁で減圧された冷媒が直接的に又は熱媒体を介して間接的に給水路を流通する水を冷却する冷却器とが接続され得る。
【0016】
この場合、直接的に又は熱媒体を介して間接的に冷却器にて冷媒が給水路を流通する水を冷却すると同時に、加熱器にて冷媒が湯水循環路を循環する湯水を加熱することができる。このため、噴霧装置から浴室内に噴霧されるミスト状の水を冷却すると同時に、貯湯タンクの湯水を加熱することができる。
【0017】
ヒートポンプ給湯器は、熱媒体循環ポンプにより熱媒体が循環する熱媒体循環路をさらに有していることが好ましい。熱媒体循環路には、給水路に接続され、熱媒体が給水路を流通する水を冷却する熱交換器と、冷媒が熱媒体を冷却する冷却器が接続され得る。
【0018】
この場合、冷却器にて冷媒が熱媒体循環路を循環する熱媒体を冷却するとともに、熱交換器にて熱媒体が給水路を流通する水を冷却すると同時に、加熱器にて冷媒が湯水循環路を循環する湯水を加熱することができる。このため、噴霧装置から浴室内に噴霧されるミスト状の水を冷却すると同時に、貯湯タンクの湯水を加熱することができる。
【0019】
冷却装置は、熱媒体循環ポンプにより熱媒体が循環する熱媒体循環路と、湯水循環ポンプにより湯水が循環する湯水循環路と、圧縮機により圧縮された冷媒が循環する冷媒循環路とを有するヒートポンプ給湯器であることが好ましい。熱媒体循環路には、給水路に接続され、熱媒体が給水路を流通する水を冷却する熱交換器と、冷却器とが接続され得る。湯水循環路には、湯水を貯える貯湯タンクと、加熱器とが接続され得る。冷媒循環路には、圧縮機で圧縮された冷媒が湯水を加熱する加熱器と、加熱器を通過後の冷媒を減圧させる第1膨張弁と、第1膨張弁で膨張された冷媒が熱媒体を冷却する冷却器と、加熱器を通過後の冷媒を減圧させる第2膨張弁と、第2膨張弁で減圧された冷媒が外気から吸熱する吸熱器とが接続され得る。そして、冷媒循環路は、冷媒循環路を循環する冷媒の経路を、圧縮機、加熱器、第1膨張弁及び冷却器の順で冷媒が循環する第1経路と、圧縮機、加熱器、第2膨張弁及び吸熱器の順で冷媒が循環する第2経路とに切り替える経路切替手段を有していることが好ましい。
【0020】
この場合、冷媒循環路を循環する冷媒の経路を第1経路とすることにより、冷却器にて冷媒が熱媒体循環路を循環する熱媒体を冷却すると同時に、加熱器にて冷媒が湯水循環路を循環する湯水を加熱することができる。このため、噴霧装置から浴室内に噴霧されるミスト状の水を冷却すると同時に、貯湯タンクの湯水を加熱することができる。
【0021】
また、冷媒循環路を循環する冷媒の経路を第2経路とすることにより、吸熱器にて外気から吸熱した冷媒によって、加熱器にて湯水循環路を循環する湯水を加熱することができる。このため、噴霧装置から噴霧されるミスト状の水を冷却する必要がないときに、貯湯タンクの湯水を何時でも加熱することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の浴室ミストシステムによれば、夏季などの外気温が高い環境下でも、冷水ミストによる身体冷却効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施例1の浴室ミストシステムの模式図である。
図2図2は、実施例1の浴室ミストシステムの制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
図3図3は、実施例1の浴室ミストシステムの制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
図4図4は、実施例1の浴室ミストシステムの制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
図5図5は、実施例1の浴室ミストシステムの制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
図6図6は、実施例2の浴室ミストシステムの模式図である。
図7図7は、実施例3の浴室ミストシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例1~3を図面を参照しつつ説明する。
【0025】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の浴室ミストシステム10は、本発明の浴室ミストシステムの具体的態様の一例である。浴室ミストシステム10の一部は屋内4に配設され、浴室ミストシステム10の残部は屋外5に配設されている。
【0026】
浴室ミストシステム10は、浴室7内にミスト状の水を噴霧する噴霧装置9と、噴霧装置9に供給する水を冷却するヒートポンプ11と、制御装置13とを備えている。噴霧装置9は、浴室7の天井壁15に設置されている。なお、噴霧装置9は、浴室7の側壁17に設置してもよい。ヒートポンプ11は、本発明における「冷却装置」の一例である。
【0027】
制御装置13は、第1制御部13aと、第2制御部13bと、リモコン13cとを有している。第1制御部13aは、後述する浴室空調装置27に設けられて、噴霧装置9の動作を制御する。第2制御部13bは、後述する装置本体29に設けられて、ヒートポンプ11の動作を制御する。第1制御部13a及び第2制御部13bは互いに通信可能に接続されている。また、第1制御部13a及び第2制御部13bには、例えば浴室7に設置されたリモコン13cが通信可能に接続されている。リモコン13cは、ユーザの操作により、第1制御部13a及び第2制御部13bに所定の指令を送信する。
【0028】
噴霧装置9は、ミストノズル群19と、ミスト弁群21と、給水路23とを有している。ミストノズル群19は、第1ミストノズル19a及び第2ミストノズル19bよりなる。ミスト弁群21は、第1ミスト弁21a及び第2ミスト弁21bよりなる。この実施例では、ミストノズル及びミスト弁の数をそれぞれ2個としているが、ミストノズル及びミスト弁の数は適宜設定可能である。
【0029】
第1ミストノズル19a及び第2ミストノズル19bは、浴室7内にミスト状の水を噴霧し得るように天井壁15の開口(図示せず)に臨んで設置されている。第1ミスト弁21a及び第2ミスト弁21bは、開度調整可能な電磁弁よりなる。ミスト弁群21が閉状態から開状態になることで、給水源25から供給される水が給水路23を流通してミストノズル群19に供給されて、ミストノズル群19から浴室7内への冷水ミストの噴霧が行なわれる。第1ミスト弁21a及び第2ミスト弁21bは、第1制御部13aの制御により、それぞれ第1ミストノズル19a及び第2ミストノズル19bに対する水の供給を制御して、第1ミストノズル19a及び第2ミストノズル19bから噴霧される冷水ミストの噴霧量を制御する。
【0030】
給水路23は、給水源25と噴霧装置9とを接続している。給水路23の一部は屋内4に配設され、給水路23の残部は屋外5に配設されている。給水路23の一端は、第1ミストノズル19a及び第2ミストノズル19bに水を供給し得るようにミストノズル群19に接続されている。給水路23の他端は屋外5に配設された給水源25に接続されている。給水源25は、水道水の供給源である。
【0031】
噴霧装置9、第1制御部13a及び給水路23の一部は、天井壁15に設置されたミスト機能付きの浴室空調装置27内に、浴室空調装置27の構成要素の一部として設けられている。浴室空調装置27は、第1制御部13aの制御により、浴室7内を暖房する暖房運転、浴室7内を乾燥させる乾燥運転及び浴室7内に温水ミストを噴霧する温水ミスト運転が公知の技術により実行可能とされている。
【0032】
ヒートポンプ11は、給水路23に設けられ、給水源25から供給されて給水路23を流通する水を冷却する。ヒートポンプ11は、熱媒体循環ポンプ39により熱媒体が循環する熱媒体循環路33と、圧縮機43により圧縮された冷媒が循環する冷媒循環路41とを有している。この実施例では、熱媒体として水を採用している。なお、不凍液等の他の熱媒体を採用してもよい。水が循環する熱媒体循環路33は、耐圧性が不要であるため、樹脂製配管で形成されている。冷媒が循環する冷媒循環路41は、耐圧性を有する銅製配管で形成されている。熱媒体循環路33の一部は屋内4に配設され、熱媒体循環路33の残部は屋外5に配設されている。冷媒循環路41は、屋外5に配設された後述する装置本体29内に配設されている。
【0033】
ヒートポンプ11は、屋外5に配設された装置本体29と、浴室空調装置27内において給水路23に接続された熱交換器31とをさらに有している。熱媒体循環路33は、装置本体29内に配設された後述する熱媒体冷却器49と、熱交換器31とを接続している。熱交換器31では、熱媒体循環路33を流通する熱媒体と給水路23を流通する水との熱交換により、熱媒体が水を冷却する。熱媒体冷却器49は、本発明における「冷却器」の一例である。
【0034】
熱媒体循環路33には、熱交換器31をバイパスするバイパス路35と、バイパスサーボ37とが設けられている。バイパス路35の上流端は熱交換器31の入口側の熱媒体循環路33に接続され、バイパス路35の下流端は熱交換器31の出口側の熱媒体循環路33に接続されている。すなわち、熱交換器31の入口側の熱媒体循環路33と、熱交換器31の出口側の熱媒体循環路33とがバイパス路35により接続されている。
【0035】
バイパスサーボ37は、バイパス路35の上流端と熱交換器31の入口側の熱媒体循環路33との接続部に設けられている。バイパスサーボ37は、第2制御部13bの制御により、熱交換器31側を流れる熱媒体の流量に対するバイパス路35側を流れる熱媒体の流量の比率であるバイパス比を調整する。バイパスサーボ37は、図示しないステッピングモータにより駆動される。すなわち、バイパスサーボ37の開度(バイパスサーボ37に内蔵された弁体の開度)は、ステッピングモータのステップ値により制御される。具体的には、ステッピングモータのステップ値が大きくなるに従って、バイパスサーボ37の開度が大きくなり、バイパス路35側に流れる熱媒体の流量が多くなる。このバイパスサーボ37は、ステップ値が最小のときに全閉状態となり、ステップ値が最大のときに全開状態となる。バイパスサーボ37が全閉状態(バイパス比=0)になれば、熱媒体循環路33を循環する熱媒体の全量が熱交換器31側を流れ、バイパス路35側を熱媒体が流れることがない。バイパスサーボ37が全開状態になれば、バイパス路35側を流れる熱媒体量が最大となり、最大のバイパス比で熱交換器31側及びバイパス路35側の双方に熱媒体が流れる。
【0036】
装置本体29は、熱媒体を熱媒体循環路33に循環させる熱媒体循環ポンプ39と、冷媒循環路41と、圧縮機43と、放熱器45と、膨張弁47と、熱媒体冷却器49とを有している。
【0037】
冷媒循環路41においては、圧縮機43、放熱器45、膨張弁47及び熱媒体冷却器49が、この順で冷媒が循環するように配置されている。放熱器45では、圧縮機43で圧縮された冷媒が外気に放熱する。膨張弁47では、放熱器45を通過後の冷媒が減圧される。熱媒体冷却器49では、膨張弁47で減圧された冷媒と熱媒体循環路33を循環する熱媒体との熱交換により、冷媒が熱媒体を冷却する。
【0038】
浴室ミストシステム10は、給水温度サーミスタ51と、ミスト温度サーミスタ53と、外気温サーミスタ55とをさらに備えている。給水温度サーミスタ51及びミスト温度サーミスタ53は、本発明における「水温測定装置」の一例である。外気温サーミスタ55は、本発明における「外気温取得装置」の一例である。
【0039】
給水温度サーミスタ51及びミスト温度サーミスタ53は、浴室空調装置27内において、給水路23に設けられている。給水温度サーミスタ51及びミスト温度サーミスタ53の検出信号は、第1制御部13a及び第2制御部13bに入力される。
【0040】
給水温度サーミスタ51は、熱交換器31よりも給水源25側の給水路23に設けられている。給水温度サーミスタ51は、給水源25から供給されて給水路23を流通し、熱交換器31に流入する水の温度を測定する。以下の説明において、給水源25から供給されて給水路23を流通し、熱交換器31に流入する前の水の温度を給水温度と称する。
【0041】
ミスト温度サーミスタ53は、熱交換器31よりも噴霧装置9側の給水路23に設けられている。ミスト温度サーミスタ53は、給水路23を流通して熱交換器31を通過後の水であって、噴霧装置9に供給される水の温度を測定する。以下の説明において、熱交換器31と噴霧装置9との間における給水路23の水の温度をミスト温度と称する。
【0042】
外気温サーミスタ55は、装置本体29に設けられて外気温を測定する。外気温サーミスタ55の検出信号は、第1制御部13a及び第2制御部13bに入力される。
【0043】
第1制御部13a及び第2制御部13bは、噴霧装置9を動作させる場合において、給水温度サーミスタ51で測定した給水温度、ミスト温度サーミスタ53で測定したミスト温度や外気温サーミスタ55で測定した外気温に基づいて、給水路23を流通して噴霧装置9に供給される水を冷却する否かを判断して、ヒートポンプ11の動作を制御する。
【0044】
上記構成を有するこの浴室ミストシステム10は、制御装置13の制御により、冷水ミスト運転を実行する。以下、図2図5を参照して、冷水ミスト運転について説明する。
【0045】
冷水ミスト運転を開始しようとする時に、熱交換器31や熱交換器31から噴霧装置9までの給水路23に残留している残留水の温度が高い場合、冷水ミスト運転の開始直後において、温度の高い冷水ミストが浴室7内に噴霧されてしまう。
【0046】
そこで、ユーザがリモコン13cの冷水ミスト運転のスイッチをオンして、冷水ミスト運転開始の指示が制御装置13に入力されると、実際に噴霧装置9から浴室7内に冷水ミストを噴霧する前に残留水の温度が測定される。残留水の温度は、熱交換器31の出口側の給水路23に設けられたミスト温度サーミスタ53により測定され、測定されたミスト温度の検出信号が制御装置13に送られる。
【0047】
そして、図2に示すように、残留水の温度として測定されたミスト温度が所定温度T1よりも高いか否かが判断される(ステップS1)。所定温度T1としては、例えばユーザがリモコン13cに入力した冷水ミストの設定温度とすることができる。
【0048】
以下、ミスト温度が所定温度T1より高い場合の第1パターンと、ミスト温度が所定温度T1以下である場合の第2パターンとについて、順に説明する。
【0049】
<第1パターン>
ステップS1で、残留水の温度として測定されたミスト温度が所定温度T1よりも高い場合は、残留水を冷却する必要があるため、熱媒体循環ポンプ39及び圧縮機43を作動させる(ステップS2)。これにより、ヒートポンプ11において、冷媒循環路41を循環する冷媒が、熱媒体循環路33を循環する熱媒体を冷却する。
【0050】
すなわち、熱媒体循環ポンプ39の作動により、熱媒体循環路33を熱媒体が循環する。圧縮機43の作動により、冷媒循環路41を冷媒が循環する。圧縮機43で圧縮された冷媒は放熱器45にて外気に放熱する。放熱器45を通過後の冷媒は膨張弁47で減圧され、熱媒体冷却器49にて熱媒体を冷却する。これにより、熱媒体循環路33を循環する熱媒体が冷却され、熱交換器31にて、冷却された熱媒体によって残留水が冷却される。
【0051】
こうして熱交換器31にて熱媒体によって残留水が冷却され、ミスト温度が所定温度T1以下になったか否かが判断される(ステップS3)。このステップS3は、ミスト温度が所定温度T1以下になるまで繰り返される。
【0052】
ミスト温度が所定温度T1以下になれば、第1ミスト弁21a及び第2ミスト弁21bが所定の開度で開状態とされる(ステップS4)。これにより、給水源25からの水が給水路23を流通し始め、先ずミスト運転開始前に熱交換器31等に残留し熱交換器31にて熱媒体によって冷却された水がミストノズル群19に供給され、第1ミストノズル19a及び第2ミストノズル19bから浴室7内に冷水ミストが噴霧される。このため、冷水ミスト運転の開始前に熱交換器31等に残留していた水の温度が高い場合であっても、冷水ミスト運転の開始直後から所定温度T1以下の冷水ミストを浴室7内に噴霧することができる。
【0053】
ステップS4で第1ミスト弁21a及び第2ミスト弁21bが開状態とされた後、タイマー1の計時が開始される(ステップS5)。そして、タイマー1の計測時間が所定時間t1を超えたか否かが判断される(ステップS6)。タイマー1の計時を行うのは、給水源25から供給されて給水路23を流通して熱交換器31に流入する水の温度である給水温度が安定するのを待つためである。所定時間t1は、給水路23の長さやミストノズル群19に供給される水の流量によって適宜設定可能であるが、例えば30~60秒程度とすることができる。
【0054】
ステップS6は、タイマー1の計測時間が所定時間t1を超えるまで繰り返され、タイマー1の計測時間が所定時間t1を超えたら、計時を終了してタイマー1がリセットされる(ステップS7)。
【0055】
タイマー1の計時が終了して給水源25から供給される水の給水温度が安定すれば、以下のステップS8~ステップS10により、冷水ミスト運転中において、給水源25から供給される水をそのまま噴霧装置9に供給してもよいか否かが判断される。
【0056】
すなわち、図3に示すように、熱交換器31の入口側の給水路23に設けられた給水温度サーミスタ51で測定した給水温度の検出信号が制御装置13に送られ、制御装置13により、給水温度が所定温度T1以下であるか否かが判断される(ステップS8)。
【0057】
給水温度が所定温度T1以下である場合は、給水源25からの水を熱交換器31にて冷却することなくそのまま噴霧装置9に供給してもよく、熱交換器31による冷却が不要である。この場合、圧縮機43及び熱媒体循環ポンプ39が作動しているか否かが判断される(ステップS9)。圧縮機43及び熱媒体循環ポンプ39のうち少なくとも一方が作動している場合は、作動している方を停止し(ステップS10)、ステップS5に移行する。
【0058】
ステップS9で熱媒体循環ポンプ39及び圧縮機43がともに停止している場合は、ステップS5に移行する
【0059】
ステップS5に移行した後は、給水源25から供給されて給水路23を流通する水は、熱交換器31にて冷却されることなくそのまま噴霧装置9に供給され、冷却ミストとして噴霧される。
【0060】
一方、ステップS8で給水温度が所定温度T1を超えている場合は、給水源25から供給されて給水路23を流通し、噴霧装置9に供給される水を冷却する必要がある。この場合、ステップS11に移行する。
【0061】
図4に示すように、熱媒体循環ポンプ39が停止しているか否かが判断される(ステップS11)。そして、熱媒体循環ポンプ39が作動中である場合は、圧縮機43が停止中であるか否かが判断される(ステップS18)。第1パターンでは、熱媒体循環ポンプ39及び圧縮機43が作動中である。このため、ステップS20に移行する。
【0062】
給水温度が所定温度T1を超えており、かつ、熱媒体循環ポンプ39及び圧縮機43が作動している場合、以下のステップS20~ステップS29により、圧縮機43の作動中におけるバイパスサーボ37によるミスト温度の調整が行われる。これは、バイパスサーボ37の開度制御によって、熱交換器31側を流れる熱媒体の流量を調整して、熱交換器31における熱媒体による冷却能力を調整することによって行われる。
【0063】
図5に示すように、先ずバイパスサーボ37の開度制御によってミスト温度が安定するのを待つため、タイマー2の計時が開始される(ステップS20)。そして、タイマー2の計測時間が所定時間t2を超えたか否かが判断される(ステップS21)。所定時間t2は、例えば5~10秒程度とすることができる。
【0064】
ステップS21はタイマー2の計測時間が所定時間t2を超えるまで繰り返される。タイマー2の計測時間が所定時間t2を超えたら、計時を終了してタイマー2がリセットされる(ステップS22)。
【0065】
タイマー2の計時が終了して給水源25から供給される水の給水温度が安定すれば、ミスト温度サーミスタ53で測定したミスト温度の検出信号が制御装置13に送られ、制御装置13により、ミスト温度が所定温度T1以下であるか否かが判断される(ステップS23)。
【0066】
ミスト温度が所定温度T1以下である場合は、ミスト温度サーミスタ53で測定したミスト温度の検出信号が制御装置13に送られ、制御装置13により、ミスト温度が所定温度T2以下であるか否かが判断される(ステップS24)。所定温度T2としては、例えばユーザがリモコン13cに入力した冷水ミストの設定温度である所定温度T1より2°C低い温度とすることができる。このステップS24は、ミスト温度が所定温度T2以下になるまで繰り返される。
【0067】
ステップS24でミスト温度が所定温度T2以下の場合は、ミスト温度が下がり過ぎており、噴霧装置9に供給される水をこれ以上冷却する必要がない。この場合、バイパスサーボ37の現在ステップ値がバイパスサーボ37の全開状態に相当する最大ステップ値であるか否かが判断される(ステップS25)。
【0068】
ステップS25で、バイパスサーボ37の現在ステップ値がバイパスサーボ37の全開状態に相当する最大ステップ値である場合は、バイパス路35側を流れる熱媒体の流量が最大であり、最大のバイパス比で熱交換器31側及びバイパス路35側の双方に熱媒体が流れている。このため、バイパスサーボ37の開度制御によっては、熱交換器31における冷却能力をこれ以上低くすることができない。この場合、圧縮機43が停止され(ステップS26)、ステップS5に移行し、ヒートポンプ11は、熱媒体循環ポンプ39のみが作動している状態となる。
【0069】
ステップS26で圧縮機43が停止されれば、熱媒体冷却器49において、冷媒によって熱媒体が冷却されることがない。このため、熱交換器31における冷却能力がこれ以上高くなることがなく、ミスト温度の下がり過ぎを抑えることができる。
【0070】
ステップS25で、バイパスサーボ37の現在ステップ値がバイパスサーボ37の全開状態に相当する最大ステップ値ではない場合、バイパスサーボ37の現在ステップ値に対して所定のステップ値を加算し(ステップS27)、ステップS20に移行する。バイパスサーボ37のステップ値が大きくなれば、バイパスサーボ37の開度が大きくなって、バイパス路35側に流れる熱媒体の流量が多くなる。これにより、熱交換器31において、熱媒体による冷却能力が低くなる。
【0071】
ステップS23で、ミスト温度が所定温度T1よりも高い場合は、バイパスサーボ37の開度制御によって熱交換器31における冷却能力を高くする必要がある。この場合、バイパスサーボ37の現在ステップ値がバイパスサーボ37の全閉状態に相当する最小ステップ値であるか否かが判断される(ステップS28)。
【0072】
ステップS28で、バイパスサーボ37の現在ステップ値がバイパスサーボ37の全閉状態に相当する最小ステップ値でない場合は、バイパスサーボ37の現在ステップ値に対して所定のステップ値を減算し(ステップS29)、ステップS20に移行する。バイパスサーボ37のステップ値が小さくなれば、バイパスサーボ37の開度が小さくなって、熱交換器31側に流れる熱媒体の流量が多くなる。これにより、熱交換器31において、熱媒体による冷却能力が高くなる。
【0073】
ステップS28で、バイパスサーボ37の現在ステップ値がバイパスサーボ37の全閉状態に相当する最小ステップ値である場合は、熱媒体循環路33を循環する熱媒体の全量が熱交換器31側を流れているため、バイパスサーボ37の開度制御によっては、熱交換器31における冷却能力をこれ以上高くすることができない。この場合、ステップS20に移行する。
【0074】
ステップS26で圧縮機43が停止されてステップS5に移行すれば、熱媒体冷却器49において冷媒によって冷却されていない熱媒体が熱媒体循環路33を循環するので、熱交換器31において冷媒によって冷却されていない熱媒体が噴霧装置9に供給される水を冷却する。
【0075】
この冷媒によって冷却されていない熱媒体が噴霧装置9に供給される水を冷却する冷水ミスト運転中に、仮に外気温の上昇等により給水温度が所定温度T1よりも高くなれば、ステップS11に移行する(ステップS8)。この場合、圧縮機43は停止中で、熱媒体循環ポンプ39のみが作動中である。このため、ステップS18を経由して後述するステップS15に移行する。
【0076】
そして、このとき仮にミスト温度が下がりすぎて所定温度T2よりも低くなっていれば、ステップS15~ステップS17により、熱媒体循環ポンプ39が停止される。これにより、噴霧装置9に供給される水がヒートポンプ11によって冷却されることがなくなる。
【0077】
こうして、ステップS26で圧縮機43が停止され、冷媒によって冷却されていない熱媒体によって噴霧装置9に供給される水を冷却する冷水ミスト運転によっても、なおミスト温度が下がり過ぎる場合は、熱媒体循環ポンプ39も停止されて、ヒートポンプ11による冷却が停止される。
【0078】
一方、ステップS26で圧縮機43が停止され、熱媒体循環ポンプ39のみが作動しており、冷媒によって冷却されていない熱媒体が噴霧装置9に供給される水を冷却する冷水ミスト運転中に、仮にミスト温度が上昇して所定温度T1よりも高くなれば、ステップS15を経由してステップS20に移行し、圧縮機43を作動させて、ヒートポンプ11による冷却能力を高めることができる。
【0079】
<第2パターン>
ステップS1で、残留水の温度として測定されたミスト温度が所定温度T1以下である場合は、噴霧装置9に供給される水を冷却する必要がない。このため、熱媒体循環ポンプ39及び圧縮機43を作動させることなく、ステップS4に移行する。これにより、給水源25から供給される水が給水路23を流通し始めるとともに、残留水がヒートポンプ11で冷却されることなくそのまま冷水ミストとして噴霧される。このため、この場合も冷水ミスト運転の開始直後から所定温度T1以下の冷水ミストを浴室7内に噴霧することができる。
【0080】
そして第1パターンと同様、ステップS5~ステップS7により、給水源25から供給される水の給水温度が安定するまで待ってから、ステップS8~ステップS10により、冷水ミスト運転中において、給水源25から供給される水をそのまま噴霧装置9に供給してもよいか否かが判断される。
【0081】
すなわち、ステップS8で給水温度が所定温度T1以下であるか否かが判断され、給水温度が所定温度T1以下である場合は、噴霧装置9に供給される水を冷却する必要がないため、ステップS9~ステップS10により、熱媒体循環ポンプ39及び圧縮機43が停止され、ステップS5に移行する。
【0082】
一方、給水温度が所定温度T1を超えている場合は、給水源25から供給されて給水路23を流通し、噴霧装置9に供給される水を冷却する必要がある。この場合、ステップS11に移行する。
【0083】
ステップS11では熱媒体循環ポンプ39が停止しているか否かが判断されるが、第2パターンでは、熱媒体循環ポンプ39及び圧縮機43が停止中である。このため、ステップS12に移行し、熱媒体循環ポンプ39が作動される。これにより、圧縮機43が停止したまま、熱媒体循環ポンプ39のみが作動中となる。そして、熱媒体循環路33を循環する熱媒体の温度が安定するのを待つため、タイマー3の計時が開始される(ステップS12)。続いて、ステップS13~ステップS14により、タイマー3の計測時間が所定時間t3を超えたか否かが判断される。所定時間t3は、例えば40~80秒程度とすることができる。
【0084】
タイマー3の計時が終了して熱媒体循環路33を循環する熱媒体の温度が安定すれば、ミスト温度サーミスタ53で測定したミスト温度の検出信号が制御装置13に送られ、制御装置13により、ミスト温度が所定温度T1以下であるか否かが判断される(ステップS15)。
【0085】
ミスト温度が所定温度T1以下である場合は、ミスト温度サーミスタ53で測定したミスト温度の検出信号が制御装置13に送られ、制御装置13により、ミスト温度が所定温度T2よりも低いか否かが判断される(ステップS16)。このステップS16は、ミスト温度が所定温度T2よりも低くなるまで繰り返される。
【0086】
ステップS16でミスト温度が所定温度T2よりも低い場合は、ミスト温度が下がり過ぎており、ヒートポンプ11によって噴霧装置9に供給される水をヒートポンプ11によってこれ以上冷却する必要がないため、熱媒体循環ポンプ39が停止され(ステップS17)、ステップS5に移行する。
【0087】
一方、ステップS15でミスト温度が所定温度T1を超えている場合は、ヒートポンプ11によってミスト温度を調整して噴霧装置9に供給される水を冷却する必要がある。この場合、圧縮機43を作動させる(ステップS20)。
【0088】
そして、第1パターンと同様、給水温度が所定温度T1を超えており、かつ、熱媒体循環ポンプ39及び圧縮機43が作動している場合において、ステップS20~ステップS29により、圧縮機43の作動中におけるバイパスサーボ37の開度制御によるミスト温度の調整が行われる。
【0089】
こうして給水温度が高い場合であっても、噴霧装置9に供給される水をヒートポンプ11により適切に冷却することができる。
【0090】
ここに、給水源25から供給され給水路23を流通する水の給水温度は外気温に応じて変化し、給水温度と外気温とには相関関係がある。このため、制御装置13の制御により、給水温度サーミスタ51で測定した給水温度の代わりに、外気温サーミスタ55で測定した外気温に基づいて、噴霧装置9に供給される水を冷却する必要があるかないかを判断してもよい。
【0091】
したがって、実施例1の浴室ミストシステム10は、夏季などの外気温が高い環境下でも、冷水ミストによる身体冷却効果を得ることができる。
【0092】
特にこの浴室ミストシステム10では、ヒートポンプ11の圧縮機43及び熱媒体循環路33の熱媒体循環ポンプ39がともに作動して、噴霧装置9に供給される水を熱交換器31にて冷却している際に、ステップS20~ステップS29により、バイパスサーボ37の開度制御により熱交換器31の冷却能力を調整して、ミスト温度が所定温度T1以下になるように調整することができる。そして、ミスト温度が下がり過ぎる場合は、ステップS26で圧縮機43を停止させる。圧縮機43を停止させてもミスト温度が下がり過ぎる場合は、ステップS17で熱媒体循環ポンプ39を停止させて、ヒートポンプ11による冷却を停止させる。こうしてミスト温度が下がり過ぎることを確実性高く抑えることができる。
【0093】
また、噴霧装置9から冷水ミストを噴霧させる前において、熱交換器31等に残留している残留水の温度をミスト温度サーミスタ53で測定したミスト温度が所定温度T1よりも高い場合は、ヒートポンプ11によりその残留水を冷却してから噴霧装置9を作動させることができる。このため、仮に残留水の温度が高い場合でも、ヒートポンプ11により冷却された水によって冷水ミスト運転を開始することができる。
【0094】
冷水ミスト運転中においても、ミスト温度に基づいて圧縮機43を停止させて熱媒体循環ポンプ39のみを作動させることでヒートポンプ11の冷却能力を低下させたり、給水温度に基づいてヒートポンプ11による冷却が必要ないと判断される場合は圧縮機43及び熱媒体循環ポンプ39を停止させたりするので、省エネルギー化を図りつつ、冷水ミストの適切な温度調整を実現できる。
【0095】
ヒートポンプ11において、熱媒体循環路33は屋外5の熱媒体冷却器49と屋内4の熱交換器31とを接続する。このため、熱媒体循環路33は長くなり易い。この点、高い耐圧性が要求されない樹脂製の熱媒体循環路33であるため、配管の取り回しが良く、またコストを抑えることができる。更に、冷媒循環路41の全長が短く、設置のために冷媒循環路41を取り回す必要が無いため、使用する冷媒の量を減らすとともに冷媒循環路41の変形や破損も防ぐことができる。
【0096】
(実施例2)
図6に示すように、実施例2の浴室ミストシステム10Aは、実施例1の浴室ミストシステム10のヒートポンプ11の代わりにヒートポンプ給湯器12Aを採用している。ヒートポンプ給湯器12Aは、本発明における「冷却装置」の一例である。
【0097】
ヒートポンプ給湯器12Aは、給水路23に設けられ、給水源25から供給されて給水路23を流通する水を冷却する。ヒートポンプ給湯器12Aは、熱媒体循環ポンプ39により熱媒体が循環する熱媒体循環路33と、圧縮機43により圧縮された冷媒が循環する冷媒循環路41Aと、湯水循環ポンプ61により湯水が循環する湯水循環路63とを有している。
【0098】
ヒートポンプ給湯器12Aは、屋外5に配設された装置本体29Aを備えている。装置本体29Aは、冷媒循環路41Aと、圧縮機43と、湯水加熱器40と、第1膨張弁42と、熱媒体冷却器49と、第2膨張弁44と、吸熱器46と、熱媒体循環ポンプ39と、湯水循環ポンプ61とを有している。湯水加熱器40は、本発明における「加熱器」の一例である。第1膨張弁42は、本発明における「膨張弁」の一例でもある。
【0099】
冷媒循環路41Aは、冷媒循環路41Aを循環する冷媒の経路を第1経路411と第2経路412とに切り替える第1切替弁48及び第2切替弁50を有している。第1切替弁48及び第2切替弁50は、制御装置13により制御される電磁三方弁よりなる。第1切替弁48及び第2切替弁50は、本発明における「経路切替手段」の一例である。
【0100】
第1経路411においては、圧縮機43、湯水加熱器40、第1切替弁48、第1膨張弁42、熱媒体冷却器49、第2切替弁50及び圧縮機43の順で冷媒が循環する。第2経路412においては、圧縮機43、湯水加熱器40、第1切替弁48、第2膨張弁44、吸熱器46、第2切替弁50及び圧縮機43の順で冷媒が循環する。湯水加熱器40では、圧縮機43で圧縮された冷媒が湯水循環路63を循環する湯水を加熱する。第1膨張弁42及び第2膨張弁44では、湯水加熱器40を通過後の冷媒が減圧される。熱媒体冷却器49では、第1膨張弁42で減圧された冷媒が熱媒体循環路33を循環する熱媒体を冷却する。吸熱器46では、第2膨張弁44で減圧された冷媒が外気から吸熱する。
【0101】
ヒートポンプ給湯器12Aは、貯湯タンク装置60をさらに有している。貯湯タンク装置60は屋外5に配設されている。なお、貯湯タンク装置60は、屋内4に配設してもよい。
【0102】
貯湯タンク装置60は、貯湯タンク65と、湯水混合弁71と、第3制御部13dとを有している。湯水循環路63は、装置本体29A内の湯水加熱器40と、貯湯タンク装置60内の貯湯タンク65とを接続している。
【0103】
貯湯タンク65には、給水管67と、出湯管69とが接続されている。貯湯タンク65には、給水管67から水道水が供給される。出湯管69は浴室7内のシャワー73に接続されている。湯水混合弁71は、給水管67から分岐する分岐管75と出湯管69との合流部に設けられている。湯水混合弁71は、第3制御部13dの制御により、出湯管69からの湯水に対して分岐管75からの水道水を混合することで、シャワー73から噴射される湯水の温度を調整する。
【0104】
その他の構成は実施例1の浴室ミストシステム10と同様である。
【0105】
上記構成を有する実施例2の浴室ミストシステム10Aでは、ヒートポンプ給湯器12Aにおいて、制御装置13の制御により第1切替弁48及び第2切替弁50を切り替えて、冷媒循環路41Aを循環する冷媒の経路を第1経路411とする。これにより、冷媒循環路41Aでは、圧縮機43で圧縮された冷媒が湯水加熱器40にて湯水循環路63を循環する湯水を加熱する。このため、貯湯タンク65内の湯水を加熱することができる。また、湯水加熱器40を通過後、第1膨張弁42で減圧された冷媒が熱媒体冷却器49にて熱媒体を冷却する。このため、実施例1の浴室ミストシステム10と同様、熱交換器31にて給水源25から供給される水を熱媒体で冷却することができる。よって、冷水ミスト運転中に、身体冷却効果の高い冷水ミストを行いつつ、貯湯タンク65の湯水を加熱することができる。
【0106】
また、ヒートポンプ給湯器12Aにおいて、制御装置13の制御により第1切替弁48及び第2切替弁50を切り替えて、冷媒循環路41Aを循環する冷媒の経路を第2経路412とする。これにより、冷媒循環路41Aでは、圧縮機43で圧縮された冷媒が湯水加熱器40にて湯水循環路63を循環する湯水を加熱する。このため、貯湯タンク65内の湯水を加熱することができる。なお、湯水加熱器40を通過後の冷媒は、第2膨張弁44で減圧され、吸熱器46にて外気から吸熱する。これにより、冷水ミスト運転中に噴霧装置9から噴霧される冷水ミストを冷却する必要がないときに、貯湯タンク65の湯水を何時でも加熱することができるとともに、冷水ミスト運転とは関係なく何時でも貯湯タンク65の湯水を加熱することができる。
【0107】
その他の作用効果は、実施例1の浴室ミストシステム10と同様である。
【0108】
(実施例3)
図7に示すように、実施例3の浴室ミストシステム10Bは、実施例1の浴室ミストシステム10のヒートポンプ11の代わりにヒートポンプ給湯器12Bを採用している。ヒートポンプ給湯器12Bは、本発明における「冷却装置」の一例である。
【0109】
ヒートポンプ給湯器12Bは、給水路23に設けられ、給水源25から供給されて給水路23を流通する水を冷却する。ヒートポンプ給湯器12Bは、実施例2のヒートポンプ給湯器12Aと同様、熱媒体循環ポンプ39により熱媒体が循環する熱媒体循環路33と、圧縮機43により圧縮された冷媒が循環する冷媒循環路41Bと、湯水循環ポンプ61により湯水が循環する湯水循環路63とを有している。
【0110】
ヒートポンプ給湯器12Bは、屋外5に配設された装置本体29Bを備えている。装置本体29Bは、冷媒循環路41Bと、圧縮機43と、湯水加熱器40と、膨張弁47と、熱媒体冷却器49と、熱媒体循環ポンプ39と、湯水循環ポンプ61とを有している。
【0111】
冷媒循環路41Bにおいては、圧縮機43、湯水加熱器40、膨張弁47、熱媒体冷却器49が、この順で冷媒が循環するように配置されている。湯水加熱器40では、圧縮機43で圧縮された冷媒が湯水循環路63を循環する湯水を加熱する。膨張弁47では、湯水加熱器40を通過後の冷媒が減圧される。熱媒体冷却器49では、膨張弁47で減圧された冷媒と熱媒体循環路33を循環する熱媒体との熱交換により、冷媒が熱媒体を冷却する。
【0112】
ヒートポンプ給湯器12Bは、実施例2の浴室ミストシステム10Aにおけるヒートポンプ給湯器12Aと同様の貯湯タンク装置60をさらに有している。
【0113】
その他の構成は実施例1の浴室ミストシステム10と同様である。
【0114】
上記構成を有する実施例3の浴室ミストシステム10Bでは、実施例2の浴室ミストシステム10Aにおいて冷媒循環路41Aを循環する冷媒の経路を第1経路411としたときと同様の作用効果を奏する。
【0115】
以上において、本発明を実施例1~3に即して説明したが、本発明は上記実施例1~3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0116】
実施例1~3では、冷却装置としてヒートポンプやヒートポンプ給湯器を採用するが、本発明はこれに限られない。例えば、実施例1の浴室ミストシステム10においてヒートポンプ11の代わりに吸収式冷凍機を用いてもよい。
【0117】
実施例1~3では、熱交換器31、熱媒体循環路33及び熱媒体循環ポンプ39を用いて熱媒体冷却器49にて熱媒体を介して給水路23を流通する水を冷却するが、本発明はこれに限定されない。例えば、熱交換器31、熱媒体循環路33及び熱媒体循環ポンプ39を用いずに給水路23を冷媒循環路の冷却器に接続して、冷却器にて冷媒により給水路23の水を直接冷却してもよい。
【0118】
実施例1~3では、外気温取得装置として外気温サーミスタ55を採用するが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御装置13をインターネットに接続し、インターネットから得られる当日の気温や過去数日間の平均気温に基づいて外気温を取得し、得られた外気温に基づいて給水路23を流通する水を冷却するか否かを判断してもよい。
【0119】
実施例1~3では、浴室空調装置27内に噴霧装置9や熱交換器31等を配設するが、本発明はこれに限定されない。例えば、噴霧装置9や熱交換器31等を備えた冷水ミスト専用の装置を、浴室空調装置27とは別に設けてもよい。
【0120】
実施例1~3におけるヒートポンプやヒートポンプ給湯器を利用して、給水路23を流通する水を加熱することにより、温水ミスト運転を実行してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は例えば、風呂が設置された住宅や施設等に利用可能である。
【符号の説明】
【0122】
5…屋外
7…浴室
9…噴霧装置
10、10A、10B…浴室ミストシステム
11…ヒートポンプ(冷却装置)
12A、12B…ヒートポンプ給湯器(冷却装置)
13…制御装置
23…給水路
25…給水源
31…熱交換器
33…熱媒体循環路
39…熱媒体循環ポンプ
40…湯水加熱器(加熱器)
41、41A、41B…冷媒循環路
42…第1膨張弁(膨張弁)
43…圧縮機
44…第2膨張弁
45…放熱器
46…吸熱器
47…膨張弁
48…第1切替弁(経路切替手段)
49…熱媒体冷却器(冷却器)
50…第2切替弁(経路切替手段)
51…給水温度サーミスタ(水温測定装置)
53…ミスト温度サーミスタ(水温測定装置)
55…外気温サーミスタ(外気温取得装置)
61…湯水循環ポンプ
63…湯水循環路
65…貯湯タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7