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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115111
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】不正開封防止箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/43 20060101AFI20240819BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B65D5/43
B65D5/42 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020596
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】592239866
【氏名又は名称】永和紙器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】穴穂 元伸
(72)【発明者】
【氏名】松野 政行
(72)【発明者】
【氏名】福崎 利昭
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA06
3E060CE04
3E060CE05
3E060CE07
3E060CE13
3E060CE15
3E060CE16
3E060CE18
3E060CF05
3E060DA13
3E060DA15
(57)【要約】
【課題】不正な開封を防止する場合でも簡単な作業で施蓋することができる不正開封防止箱を提供する。
【解決手段】シート体Pを折曲して箱体10を形成する。箱体10の開口縁11に蓋体20を形成する。蓋体20の開放側端部に差込片21を形成する。差込片21の屈曲部に係合部22を形成する。差込片21に接する側の開口縁11に屈曲自在な押圧体30を形成する。箱体10内部で押圧体30を屈曲する。屈曲された押圧体30で箱体10内の差込片21を押さえ込むように構成する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート体を折曲して形成した箱体の開口縁に揺動自在に設けられた蓋体を有し、該蓋体の開放側端部に屈曲形成された差込片を開口縁の内側に差し込み固定すると共に、差込片の屈曲部に形成された切欠き状の係合部で差込片の抜け止めをする不正開封防止箱において、
差込片に接する側の開口縁から屈曲自在な押圧体を延長形成し、
箱体内部で押圧体を屈曲すると共に、屈曲された押圧体で箱体内の差込片を押さえ込むように構成したことを特徴とする不正開封防止箱。
【請求項2】
前記押圧体は、開口縁から箱体の内側に向けて屈曲される屈曲片と、屈曲片から屈曲片に重合するように屈曲される重合片と、重合片から重合片に重合するように屈曲される補助片とを有し、前記箱体の内部で屈曲された屈曲片と重合片との間に挿入した前記差込片を、屈曲した前記押圧体で抑え込むように構成した請求項1記載の不正開封防止箱。
【請求項3】
前記係合部は、前記差込片の屈曲部両端に形成されると共に前記開口縁の前記蓋体に隣接する両側に形成された一対の閉じ込み片の屈曲部側の側縁に係合するように構成した請求項1記載の不正開封防止箱。
【請求項4】
前記差込片の一部を切り欠いて補助差込片を形成し、前記差込片に接する側の前記開口縁に形成されたスリットに補助差込片を差し込み固定するように構成した請求項1記載の不正開封防止箱。
【請求項5】
前記係合部は、前記補助差込片の両端に形成されると共に、前記補助差込片を挿入するスリットに係合するように構成した請求項4記載の不正開封防止箱。
【請求項6】
前記箱体の側板側面又は前記蓋体に開口用切込線を形成し、該開口用切込線を切り離すと前記箱体又は前記蓋体の一部が開口するように構成した請求項1記載の不正開封防止箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流通過程などで紙箱の不正な開封を防止することができる不正開封防止箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、不正な開封を防止する紙箱として、例えば特許文献1に記載の紙箱が提案されている。
【0003】
特許文献1の紙箱は、不正な開封を防止するために、外側蓋片(2)に形成した第1差込片(3)と、側板(33)に形成した第2差込片(13)とを組み合わせた構成などを採用したものである。そして施蓋時に、第1差込片(3)に第2差込片(13)を折り曲げて差し込むことで開封を困難にする構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4921800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の紙箱は、第1差込片(3)の第1スリット(5)に異なった方向から第2差込片(13)を差し込む作業が必要になる。しかも第1差込片(3)は、予め第1差込片(3)の両端に形成した第1ストッパ片(4)を折り曲げて内側蓋片(11)の第2スリット(15)に差し込んでおく作業も必要である。
【0006】
そのため不正な開封を防止するには、施蓋時に多くの作業が不可欠になっていた。したがって、収納物を箱体に収納する際に、不正な開封を防止するためのこれらの作業が施蓋作業を妨げる不都合があった。
【0007】
しかも、不正な開封を防止する構成が入り組んでいるので、施蓋された箱体を開封する際にも多くの手間を要し、開封するまでに時間を要するものであった。
【0008】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく案出されたもので、不正な開封を防止する場合でも簡単な作業で施蓋することができ、開封も容易な不正開封防止箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、シート体Pを折曲して形成した箱体10の開口縁11に揺動自在に設けられた蓋体20を有し、該蓋体20の開放側端部に屈曲形成された差込片21を開口縁11の内側に差し込み固定すると共に差込片21の屈曲部に形成された切欠き状の係合部22で差込片21の抜け止めをする不正開封防止箱において、
差込片21に接する側の開口縁11から屈曲自在な押圧体30を延長形成し、
箱体10内部で押圧体30を屈曲すると共に、屈曲された押圧体30で箱体10内の差込片21を押さえ込むように構成したものである。
【0010】
第2の手段の前記押圧体30は、開口縁11から箱体10の内側に向けて屈曲される屈曲片31と、屈曲片31から屈曲片31に重合するように屈曲される重合片32と、重合片32から重合片32に重合するように屈曲される補助片33とを有し、前記箱体10の内部で屈曲された屈曲片31と重合片32との間に挿入した前記差込片21を、屈曲した前記押圧体30で抑え込むように構成した。
【0011】
第3の手段の前記係合部22は、前記差込片21の屈曲部両端に形成されると共に前記開口縁11の前記蓋体20に隣接する両側に形成された一対の閉じ込み片13の屈曲部側の側縁に係合するように構成している。
【0012】
第4の手段は、前記差込片21の一部を切り欠いて補助差込片23を形成し、前記差込片21に接する側の前記開口縁11に形成されたスリット14に補助差込片23を差し込み固定するように構成した。
【0013】
第5の手段の前記係合部22は、前記補助差込片23の両端に形成されると共に、前記補助差込片23を挿入するスリット14に係合するように構成したものである。
【0014】
第6の手段は、前記箱体10の側板10A側面又は前記蓋体20に開口用切込線12を形成し、該開口用切込線12を切り離すと前記箱体10又は前記蓋体20の一部が開口するように構成したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、施蓋時に箱体10内部に押圧体30を屈曲するといった簡単な作業で箱体10内の差込片21を押さえ込むことができる。この結果、不正な開封を防止する場合でも簡単な作業で施蓋することが可能になった。
【0016】
しかも、係合部22や補助差込片23により、不正な開封があった場合はこれらの箇所が破損するので、不正な開封の有無を一目で判別できる。
【0017】
更に、箱体10の側面や蓋体20に形成した開口用切込線12、24により、開封手段も簡単で開口位置を任意に選択することができる。
【0018】
このように本発明によると、不正な開封を防止する場合でも簡単な作業で施蓋することができ、開封も容易になるといった当初の目的を達成した。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一実施例を示す施蓋前の斜視図。
図2】本発明の圧着体を屈曲した状態を示す斜視図。
図3】本発明の差込片を差し込む前の状態を示す斜視図。
図4】本発明の差込片を圧着体に差し込んだ状態を示す斜視図。
図5】本発明の差込片を圧着体に差し込む状態を示す要部断面図。
図6】本発明の第一実施例を示す施蓋状態の斜視図。
図7】本発明の第一実施例を示すシート体の展開図。
図8】本発明の第一実施例の変形例を示すシート体の展開図。
図9】本発明の第二実施例を示す施蓋状態の斜視図。
図10】本発明の第二実施例を示すシート体の展開図。
図11】本発明の第三実施例を示す施蓋前の斜視図。
図12】本発明の第三実施例を示す施蓋状態の斜視図。
図13】本発明の第三実施例を示すシート体の展開図。
図14】本発明の第四実施例を示す施蓋状態の斜視図。
図15】本発明の第四実施例を示すシート体の展開図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の基本構成は、箱体10、蓋体20、押圧体30を備えたものである(図1参照)。
【0021】
箱体10の開口縁11に、蓋体20を揺動自在に設けている。この箱体10は、シート体Pを折曲して形成されたもので、図7に示すシート体Pは本発明の第一実施例を示している。すなわち、各4片の側板10Aと底板10Bとを有し、側板10Aの開口縁11から蓋体20と押圧体30と閉じ込み片13とを延長形成したシート体Pである。このシート体Pから立方体の箱体10が形成されるが、箱体10の形状や寸法はもとより、開口縁11の位置も箱体10の上部に限らず、下部や側面が開口する箱体10を構成するシート体Pに変更することも可能である。
【0022】
蓋体20は差込片21を備え、この差込片21の屈曲部に係合部22を形成している(図1参照)。差込片21は、蓋体20の開放側端部に屈曲形成され、開口縁11の内側に差し込み固定する部位である(図4参照)。更に、差込片21の一部を切り欠いて補助差込片23を形成している。そして、この補助差込片23を開口縁11に沿って形成されたスリット14に差し込み固定する。
【0023】
係合部22は、差込片21の屈曲部に形成された部位で、この係合部22に他の部位を係合することで差込片21の不正な開封を防止する。
【0024】
たとえば、係合部22に係合する部位を閉じ込み片13とする場合、係合部22は差込片21の屈曲部両端側にスリット状の係合部22を形成する(図4参照)。この閉じ込み片13は、開口縁11における蓋体20に隣接する側縁から形成された一対の部位である(図3参照)。そして施蓋時において、この閉じ込み片13の屈曲部側の側縁が係合部22に係合する(図4図6参照)。
【0025】
図示例では、閉じ込み片13の屈曲部側の側縁に係合部13Aを形成し、この係合部13Aの隣に押圧部13Bを連設している(図2参照)。そして、差込片21の係合部22に閉じ込み片13の係合部13Aを係合するとき、押圧部13Bが後述する押圧体30の補助片33の屈曲部を押圧するように構成している(図3参照)。この際、補助片33は閉じ込み片13の上に重なるように配置している。
【0026】
この結果、施蓋時において係合部22の内側に閉じ込み片13の係合部13Aが係合する(図6参照)。更に、箱体10の内部では、閉じ込み片13の押圧部13Bが押圧体30内部の重合片32を押圧した状態になる。尚、閉じ込み片13の係合部13Aは、補助片33が閉じ込み片13の上に配置されなくても蓋体20係合部22に係合する構成である(図3参照)。また、これら係合部13Aや押圧部13Bは、いずれか一方を形成しても良く、あるいは両方を形成しない閉じ込み片13を設けることも可能である。
【0027】
また、係合部22の変形例として、差込片21の屈曲部に形成した補助差込片23の両端部に係合部22を形成することも可能である(図8参照)。この場合、補助差込片23を挿入するスリット14を形成した開口縁11の内側に係合部22が係合することになる。このように、係合部22は差込片21の屈曲部のいずれに形成しても良く、また、これらの係合部22を併用することも可能である。
【0028】
押圧体30は、差込片21を差し込む側の開口縁11から屈曲自在に延長されたものである。図示例では、屈曲片31、重合片32、補助片33を有する(図1参照)。
【0029】
屈曲片31は、開口縁11から箱体10の内側に向けて屈曲される部位である(図2参照)。このとき、屈曲片31を形成した開口縁11に前述のスリット14を形成してあり、このスリット14に蓋体20の補助差込片23を差し込むように構成している(図4参照)。
【0030】
重合片32は、この屈曲片31の下端部から屈曲片31に重合するように屈曲された部位である(図2参照)。この重合片32と屈曲片31との間に差込片21を差し込むと、屈曲した押圧体30で差込片21を押さえ込むことができる(図5参照)。
【0031】
更に、補助片33は、重合片32の上端部から重合片32に重合するように屈曲された部位である(図2参照)。この補助片33を閉じ込み片13の上に重なるように配置することで、仮に箱体10内に空間がある場合でも押圧体30を屈曲した状態に保持することができる(図5参照)。
【0032】
また、箱体10内に収納物Qが詰まっている場合は、この補助片33を、重合片32と収納物Qとの間に重ねることで押圧体30による押圧力をより高めることができる(図示せず)。この場合、補助片33と収納物Qとの間に差込片21を差し込むことが可能である。また、重合片32と補助片33との屈曲部分にスリットを形成し、このスリットに差込片21や差込片21の一部を差し込むように構成することも可能である(図示せず)。
【0033】
このように、押圧体30を箱体10内で屈曲し、施蓋時に箱体10の開口縁11内側に差し込んだ差込片21を屈曲した押圧体30で押さえ込むことで、箱体10内の差込片21を外し難くすることができる(図5参照)。この結果、開口縁11の内側に指を入れることはできなくなり、不正に開封しようとすると係合部22や補助差込片23が破損することになる。
【0034】
そのため、施蓋状態の蓋体20を開口するには、開口用切込線12を切り離す作業になる。第一実施例において、開口用切込線12は箱体10の側板10Aに形成している(図7参照)。この開口用切込線12を切り離すと箱体10が開口するように構成している(図6参照)。
【0035】
第一実施例の箱体10や蓋体20、押圧体30の形状や寸法は任意に変更することが可能である。例えば、図9図10に示す第二実施例は、第一実例の箱体10を縦長に形成したものである。いずれの実施例も箱体10の側板10Aに開口用切込線12を形成している(図7図10参照)。これらの開口用切込線12を切り離すと箱体10が開口する(図6図9参照)。尚、第二実施例のその他の構成は、この第一実施例と同様の構成を成している。
【0036】
図11乃至図13は、本発明の第三実施例を示している。この実施例では、蓋体20に開口用切込線24を形成したものである(図11参照)。したがって、開口用切込線24を開封すると同時に蓋体20の一部が開封する構成である(図12参照)。また第三実施例には、第一実施例及び第二実施例の差込片21に形成された補助差込片23は形成されていない(図13参照)。尚、第三実施例のその他の構成は第一実施例と同様である(図7図13参照)。
【0037】
図14乃至図15は、本発明の第四実施例を示している。この第四実施例は、第三実施例の箱体10を縦長に変更したもので、第四実施例のその他の構成は第三実施例と同様である(図13図15参照)。
【0038】
尚、本発明の構成は図示例に限られるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由に行えるものである。
【符号の説明】
【0039】
P シート体
Q 収納物
10 箱体
10A 側板
10B 底板
11 開口縁
12 開口用切込線
13 閉じ込み片
13A 係合部
13B 押圧部
14 スリット
20 蓋体
21 差込片
22 係合部
23 補助差込片
24 開口用切込線
30 押圧体
31 屈曲片
32 重合片
33 補助片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15