(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115112
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】落下防止装置、物品陳列什器および什器システム
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20240819BHJP
A47B 96/02 20060101ALI20240819BHJP
A47B 96/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A47F5/00 F
A47B96/02 B
A47B96/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020598
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】大貫 彬沙
(72)【発明者】
【氏名】大沼 智
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118FA22
3B118FA26
(57)【要約】
【課題】第三者による意図しない持ち出しを防止可能な落下防止装置、物品陳列什器および什器システムを提供する。
【解決手段】載置面60の前方側に配置され、載置面60の前方上方側に落下防止部材13が配設される落下防止状態と、落下防止状態の位置から落下防止部材13が移動した開放状態とに変更可能な落下防止装置10であって、落下防止部材13には、載置面60と他の載置面60A,60A,…とを区別可能な区別機能部材15が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面の前方側に配置され、前記載置面の前方上方側に落下防止部材が配設される落下防止状態と、前記落下防止状態の位置から前記落下防止部材が移動した開放状態とに変更可能な落下防止装置であって、
前記落下防止部材には、前記載置面と他の載置面とを区別可能な区別機能部材が設けられていることを特徴とする落下防止装置。
【請求項2】
前記落下防止状態において、前記落下防止部材の上方には前記載置面上方の載置空間の上部に前後方向に連通する上方空間が残されていることを特徴とする請求項1に記載の落下防止装置。
【請求項3】
前記区別機能部材は、前記落下防止状態において前記落下防止部材の前方側を覆うように配置される面状部を有していることを特徴とする請求項1に記載の落下防止装置。
【請求項4】
前記区別機能部材は、前記落下防止状態において少なくとも前記載置面まで延びていることを特徴とする請求項3に記載の落下防止装置。
【請求項5】
前記区別機能部材は、前記落下防止状態において少なくとも前記落下防止部材の左右端まで延びていることを特徴とする請求項3に記載の落下防止装置。
【請求項6】
前記区別機能部材は、情報表示機能を有することを特徴とする請求項1に記載の落下防止装置。
【請求項7】
前記落下防止部材は、前記載置面の前方にて水平軸回りに回動可能に軸支されていることを特徴とする請求項1に記載の落下防止装置。
【請求項8】
前記落下防止装置は、上方に開放する一対の支持部材を備え、
前記落下防止部材は、前記支持部材に上方から係止できることを特徴とする請求項7に記載の落下防止装置。
【請求項9】
前記落下防止部材は、枠、網、柵などのスケルトン構造部材からなることを特徴とする請求項1に記載の落下防止装置。
【請求項10】
前記区別機能部材は、前記落下防止状態において、前記落下防止部材の上方に水平回動自在に軸支されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の落下防止装置。
【請求項11】
前記区別機能部材は、前記落下防止部材に着脱可能であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の落下防止装置。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれかに記載の落下防止装置が載置面の前方側に配置されていることを特徴とする物品陳列什器。
【請求項13】
請求項12に記載の物品陳列什器を複数備えることを特徴とする什器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適用された載置面の用途を他の載置面の用途と区別可能な落下防止装置、この落下防止装置が設けられた物品陳列什器およびこの物品陳列什器を複数備える什器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストア、オフィス、図書館、倉庫等においては、例えば棚などの載置面に物品が陳列される物品陳列什器が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1に示される物品陳列什器は、左右に離間する一対の支柱と、一対の支柱に支持された上下複数の棚板を備えている。この棚板の上面は、物品を載置可能な載置面となっており、物品を陳列することが可能となっている。
【0004】
また、特許文献1のように複数の載置面を有する物品陳列什器においては、載置面から物品が落下することを防止するために落下防止装置が設けられる場合がある。このような落下防止装置の一例として、棚板の前端部に設けられた貫通孔に係止片を挿通させて落下防止部材を立設可能としたものがある。落下防止部材を立設させることで載置面から物品が落下することを防止し、落下防止部材を棚板から取り外すことで載置面を前方に開放させて物品の出し入れを容易とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-58412号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のような物品陳列什器においては、複数の載置面のいずれかを利用して消費期限に猶予がある物品、展示品の空箱などを保管する場合があり、このような載置面に落下防止装置を設けることで保管されている物品が意図せず落下することを防止することができる。しかしながら、物品の保管に利用されている載置面と、他の載置面との区別がつきにくいことから、保管されている物品が意図せず持ち出されることを防止することが困難であった。
【0007】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、第三者による意図しない持ち出しを防止可能な落下防止装置、物品陳列什器および什器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の落下防止装置は、
載置面の前方側に配置され、前記載置面の前方上方側に落下防止部材が配設される落下防止状態と、前記落下防止状態の位置から前記落下防止部材が移動した開放状態とに変更可能な落下防止装置であって、
前記落下防止部材には、前記載置面と他の載置面とを区別可能な区別機能部材が設けられていることを特徴としている。
この特徴によれば、区別機能部材により、落下防止装置が設けられた載置面の用途を他の載置面の用途と区別可能となるため、第三者による意図しない持ち出しを防止することができる。
【0009】
前記落下防止状態において、前記落下防止部材の上方には前記載置面上方の載置空間の上部に前後方向に連通する上方空間が残されていることを特徴としている。
この特徴によれば、落下防止状態において、落下防止部材よりも上方の上方空間を通じて載置空間を視認することができるため、簡便に保管されている物品の種類や在庫の有無を確認することができる。
【0010】
前記区別機能部材は、前記落下防止状態において前記落下防止部材の前方側を覆うように配置される面状部を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、区別機能部材の視認性を高めて認識させやすくなる。
【0011】
前記区別機能部材は、前記落下防止状態において少なくとも前記載置面まで延びていることを特徴としている。
この特徴によれば、区別機能部材の視認性を高め着目させやすくなり、載置空間に保管されている物品を第三者に認識させにくくすることができる。また、区別機能部材は少なくとも載置面極近傍上方において落下防止機能を有している。
【0012】
前記区別機能部材は、前記落下防止状態において少なくとも前記落下防止部材の左右端まで延びていることを特徴としている。
この特徴によれば、区別機能部材を少なくとも落下防止部材の幅方向の全域に亘る幅サイズとすることにより、区別機能部材の視認性を高め着目させやすくなり、載置空間に保管されている物品を第三者に認識させにくくすることができる。
【0013】
前記区別機能部材は、情報表示機能を有することを特徴としている。
この特徴によれば、第三者に対して載置面の用途をより確実に認識させることができる。
【0014】
前記落下防止部材は、前記載置面の前方にて水平軸回りに回動可能に軸支されていることを特徴としている。
この特徴によれば、開放状態において、下方側から載置空間へのアクセスが容易となる。
【0015】
前記落下防止装置は、上方に開放する一対の支持部材を備え、
前記落下防止部材は、前記支持部材に上方から係止できることを特徴としている。
この特徴によれば、簡素な構造で落下防止状態を保持できるばかりなく、簡便な操作で落下防止状態から開放状態に切り換えることができる。
【0016】
前記落下防止部材は、枠、網、柵などのスケルトン構造部材からなることを特徴としている。
この特徴によれば、落下防止部材は、枠、網、柵などのスケルトン構造部材であるから、区別機能部材を移動させることで明瞭に載置空間を良好に視認することができる。
【0017】
前記区別機能部材は、前記落下防止状態において、前記落下防止部材の上方に水平回動自在に軸支されていることを特徴としている。
この特徴によれば、区別機能部材の下端を把持などして上方側に移動させることで落下防止部材等を視認できるばかりでなく、把持などを解除することで区別機能部材は自重によって落下防止部材前方側の所期位置に移動するため取り扱いが簡便である。
【0018】
また、前記落下防止部材が前記載置面の前方にて水平軸回りに回動可能に軸支されているものにあっては、区別機能部材の自由端である下端を把持して落下防止部材を落下防止状態と開放状態に切り換えることができる。また、落下防止部材と区別機能部材は、落下防止状態では折り畳まれた状態となり、開放状態では展開された状態となる。これらにより、落下防止装置は、高い位置にある載置面に配置されても、落下防止状態と開放状態の切り替えの操作が簡単である。
【0019】
さらに、前記落下防止部材が枠、網、柵などのスケルトン構造部材からなるものにあっては、載置空間を視認できる。
【0020】
前記区別機能部材は、前記落下防止部材に着脱可能であることを特徴としている。
これによれば、区別機能部材によって示される情報を簡便に変更することができる。
【0021】
本発明の物品陳列什器は、
載置面の前方側に前記落下防止装置が配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、区別機能部材により、落下防止装置が設けられた載置面の用途を他の載置面の用途と区別可能となるため、第三者による意図しない持ち出しを防止することが可能な物品陳列什器を提供することができる。
【0022】
前記物品陳列什器は複数の載置面を有していることを特徴としている。
この特徴によれば、同じ物品陳列什器でありながら、落下防止装置が設けられた載置面と、他の載置面の用途を区別可能とすることができる。
【0023】
本発明の什器システムは、
前記物品陳列什器を複数備えることを特徴としている。
この特徴によれば、区別機能部材により、複数の物品陳列什器が並設されていても、各物品陳列什器の載置面の用途をそれぞれ区別可能となるため、第三者による意図しない持ち出しを防止することが可能な什器システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係る実施例1の落下防止装置が設けられた物品陳列什器の斜視図である。
【
図3】落下防止状態における落下防止装置が設けられた棚板の正面図である。
【
図4】落下防止状態における落下防止装置の要部を拡大して示す側断面図である。
【
図5】落下防止装置の要部を拡大して示す側断面図であり、(a)は落下防止部材を持ち上げた状態、(b)は持ち上げた落下防止部材を手前に回動させた状態、(c)は開放状態を示している。
【
図6】本発明に係る実施例2の落下防止装置が設けられた物品陳列什器の要部を拡大した斜視図である。
【
図7】落下防止装置の要部を拡大して示す側断面図であり、(a)は落下防止部材を立設した状態、(b)は落下防止部材を持ち上げた状態、(c)は落下防止部材の下部側の側端部が傾斜面に当接し、支持部の開口部から正面側に離脱した状態、(d)は落下防止部材を下方に移動させて立設状態を解除した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る落下防止装置および落下防止装置が設けられた物品陳列什器を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0026】
本発明の実施例に係る落下防止装置および落下防止装置が設けられた物品陳列什器につき、
図1から
図5を参照して説明する。以下、
図1の左手前側を正面側(前方側)として説明する。
【0027】
図1に示されるように、本実施例の落下防止装置10が設けられた商品陳列什器1は、ベース脚を兼ねる物品載置台2と、物品載置台2の左右の後端部に立設された左右一対の支柱3,3と、両支柱3,3の上端部の対向面同士を連結する連結杆4と、左右の支柱3,3の対向面と連結杆4の下面との間に嵌め込まれた後面板5と、左右の支柱3,3の前面により支持された上下複数段の棚板6,6A,6Aと、最上段の棚板6に設けられた落下防止装置10を備えている。各棚板6の左右両端部は、左右の支柱3,3の前面に列設された複数の係止溝7に係止された左右一対のブラケット8により支持されている。
【0028】
最上段の棚板6は、例えばスーパーマーケット等の店舗において在庫用の物品を保管しておくために使用され、その載置面60上には、正面側の前端部に落下防止装置10が設けられている。また、載置面60の上方の空間が本発明の載置空間S1である。
【0029】
なお、
図1において、落下防止装置10が設けられている最上段の棚板6と区別するために、他の棚板を棚板6Aと表記しているがこれら棚板の構成は略同一である。
【0030】
棚板6は、物品を載置可能な載置面60を有する上面視矩形状の天板部材61と、天板部材61の前端から下方に延びるホルダ部材62と、天板部材61の左右側端から下方に延びる側板部材63を備え、天板部材61とホルダ部材62の間には上方に向かって開放された溝64が形成されている。
【0031】
ホルダ部材62は、断面視逆向きC字状(
図4参照)の左右方向に延びる長尺部材であり、上端と下端にある爪状片にプライスカードなどを係止させて掲示することが可能となっている。また、ホルダ部材62は、両側板部材63それぞれの前端の間に配置されて、天板部材61の前端に固定されている。
【0032】
図2に示されるように、落下防止装置10は、左右に離間して棚板6に固定されている一対の支持部材11,12と、支持部材11,12に架設されているワイヤストッパ13(落下防止部材)と、支持部材11,12間における略中央にて棚板6に固定されているたわみ止め金具14と、ワイヤストッパ13に吊支されている表示プレート15(区別機能部材)から主に構成されている。
【0033】
なお、本実施例では、特に断らない限り、落下防止装置10は、
図1~
図4に示されるように後述する落下防止状態にあるものとして説明する。
【0034】
図2を参照して、支持部材11,12は、金属板を打ち抜き加工したのち、折り曲げ加工するなどして形成されており、左右対称形状である。そのため、左方の支持部材11を例示して説明し、右方の支持部材12については重複する説明を簡略または省略する。
【0035】
なお、各支持部材は、金属製に限られず、樹脂製であってもよい。また、支持部材は、複数の板材を溶接接合して形成されていてもよく、型抜き形成であってもよく、製造方法は適宜変更されてもよい。
【0036】
左方の支持部材11は、正面視矩形状の正面板20と、側面視略L字状の側面板21と、上面視矩形状の底板22(右方の支持部材12参照)と、正面視かぎ状の係止片23を備えている。
【0037】
側面板21は、正面板20と直交しており、側面板21の前端が正面板20の右端と連続している。また、側面板21は、底板22と直交しており、側面板21の下端が底板22の右端と連続している。側面板21の上端は、正面板20の上端よりも上方に位置している。底板22の上端面は、正面板20の下端と側面板21の下端に当接している。
【0038】
また、側面板21は、その前端部の上端より下方に向かって矩形状に凹設されており、正面板20と共に上方に向かって開放された凹部24を構成している。
【0039】
また、側面板21は、その前端部の下端より上方に向かって矩形状に凹設されており、正面板20と底板22と共に上下方向に長い矩形状のスリット25を画成している。
【0040】
係止片23は、底板22と直交しており、係止片23の上端が底板22の前端側の一部と連続している。係止片23は、底板22よりも下方に突出している。
【0041】
図2,
図4に示されるように、右方の支持部材12は、側面板21の前端が正面板20の左端と略直交しており、側面板21の下端が底板22の左端と略直交している。
【0042】
各支持部材11,12は、棚板6の溝64に係止片23が挿入された状態で、底板22の貫通孔と棚板6における天板部材61の貫通孔に上方側から挿通されたビスが、天板部材61の下方側に配置されたナットと螺合されることで固定されている。
【0043】
各支持部材11,12は、溝64に挿通された係止片23により、棚板6に対する位置決めがなされるばかりでなく、ビス固定されて水平方向に回動することが規制されている。そのため、安定してワイヤストッパ13を保持可能となっている。
【0044】
図2に示されるように、ワイヤストッパ13は、縦5本、横4本の金属製の断面円形の線状部材からなる格子状の柵(スケルトン構造部材)である。
【0045】
上下の横線状部材30,31は、これらの間に位置する2本の横線状部材32,32よりも左右寸法が長く、左右端に位置する2本の縦線状部材よりも左右外方に延出している延出部30a,30a,31a,31aを有している。2本の横線状部材32,32の左右寸法は、一対の支持部材11,12間の離間寸法L2よりも短く、それぞれの左右端が左右端に位置する2本の縦線状部材と重なっている。
【0046】
延出部30a,30aは、一対の支持部材11,12の凹部24,24に対して上下方向に出入可能となっている。また、延出部31a,31aは、一対の支持部材11,12のスリット25,25に挿通されて、スリット25,25に沿って上下方向に移動可能かつ、横線状部材31を軸とした水平軸回り可能に軸支されている。
【0047】
図2に示されるように、たわみ止め金具14は、立ち上がり片40を有する側面視クランク状に形成されており、その係止片が棚板6の貫通孔に挿通されて係止されている。
【0048】
図4を参照して、たわみ止め金具14は、その立ち上がり片40がワイヤストッパ13の横線状部材31よりも前方側に当接または当接可能に近接配置されており、横線状部材31を支持しているため、ワイヤストッパ13のガタツキ防止やたわみ防止として機能する。
【0049】
落下防止装置10の落下防止状態においては、ワイヤストッパ13の下方の延出部31a,31aが一対の支持部材11,12のスリット25,25に軸支され、かつ上方の延出部30a,30aが一対の支持部材11,12の凹部24,24に挿通されて係止されている。
【0050】
この落下防止状態において、ワイヤストッパ13は、支持部材11,12に対して前後への移動が規制されている。これにより、落下防止装置10は、載置面60上に載置されている物品が前方側に移動することを規制して落下を防止することができる。なお、開放状態については後述する。
【0051】
また、本実施例のワイヤストッパ13は、載置面60の略前端縁に沿って位置し載置面60との間に隙間がほとんど生じない。このことから、例えばホルダ部材62よりも前方に離れて落下防止部材が配置される構成と比較して、小さな物品が落下することを防止しやすくなっている。加えて、横線状部材31は縦線状部材の略下端に設けられていることから、落下防止状態においてほとんど隙間が生じないほど載置面60の極近傍上方に配置されるため、小さな物品であっても載置面60から落下しにくくなっている。
【0052】
図2~
図4に示されるように、表示プレート15は、樹脂製であり、正面視横長矩形の平面状かつ側面視U字状に形成された透光性の板状である面状部としてのバインダ50と、バインダ50の後方側上端部に固定された、側面視R字状に形成された3つのクリップ51から構成されている。
【0053】
バインダ50は、前後の板状部の下端同士が接続されて構成されており、前後の板状部の間に挿入されたストッカ、保管庫(保管棚)など棚板6の用途を示す用途表示、商品陳列什器1に陳列される商品の分類表示、プライスカード、POP広告(Point of purchase advertising)などを保持可能となっている。
【0054】
図4に示されるように、クリップ51は、樹脂製であって弾性変形可能である。詳しくは、平板状の基部51aはバインダ50の後方の板状部の上端部に固定されており、基部51aの上端から連なり湾曲して下方に直線状に延びる湾曲部51bが形成されている。湾曲部51bの下端には、後方下方側に傾斜して延びる屈折片51cが連なっている。クリップ51の最短開口幅、詳しくは屈折片51cの上端(すなわち湾曲部51bとの屈折部)と基部51aの間の最短開口幅は、ワイヤストッパ13の上方の横線状部材30の直径よりも短寸となっている。
【0055】
表示プレート15は、クリップ51の開口を拡開させて横線状部材30に外挿し、横線状部材30に湾曲部51bを係止させることで横線状部材30に吊支させることができる。表示プレート15が吊支された状態では、クリップ51の開口が狭いため、表示プレート15はワイヤストッパ13からの抜け出しが規制されている。
【0056】
また、表示プレート15は、そのクリップ51がワイヤストッパ13のうち隣り合う縦線状部材の間に配置される。これにより、表示プレート15は、横線状部材30を軸として水平軸回りに回動可能に吊持されるとともに、クリップ51が縦線状部材に当接することで左右方向への移動が規制される。
【0057】
また、表示プレート15は、クリップ51の開口を拡開させて抜け出し方向に移動させることで横線状部材30から取り外すことができる。このように、表示プレート15は、ワイヤストッパ13に対して着脱可能である。そのため、表示プレート15によって示される情報を簡便に変更することができる。
【0058】
図3,
図4に示されるように、ワイヤストッパ13に吊支される表示プレート15は、そのバインダ50が一対の支持部材11,12よりも前方に配置される。このように、面状をなすバインダ50によってワイヤストッパ13は前方が覆われて閉塞されている。
【0059】
落下防止装置10は落下防止状態において、
図4にて一点鎖線で模式的に示すように、載置空間S1の上部に前後方向に連通する上方の上方空間S2を残して、載置面60の前方上方側にワイヤストッパ13と表示プレート15が配設される。この上方空間S2を通じて載置空間S1を視認することができるため、簡便に保管されている物品の種類や在庫の有無を確認することができる。
【0060】
また、本実施例の落下防止装置10は、表示プレートを持たない落下防止装置と比較して、表示プレート15に掲示された用途表示、分類表示、POP広告などの情報に第三者の視線を誘導することができるとともに、視線を遮ることで載置空間S1を視認されにくくすることができる。
【0061】
これにより、落下防止装置10は、表示プレート15により視認されにくく物品が載置されている棚板6の載置面60の用途を、視認されやすく物品が陳列されている物品載置台2や他の棚板6Aの載置面60Aの用途と区別可能となるため、第三者による意図しない持ち出しを防止することができる。加えて、表示プレート15は平滑な面状であることから、他の棚板6Aの載置面60Aと識別しやすくなっている。さらになお、落下防止部材が柵のワイヤストッパ13であってもその前方に平滑で面状の表示プレート15が位置しているため、一層他の棚板6Aの載置面60Aと識別しやすくなっている。
【0062】
また、
図4に示されるように、表示プレート15(のバインダ50)の自由端である下端は、棚板6(のホルダ部材62)の上端前方に当接している。言い換えれば、表示プレート15は載置面60よりもわずかに下方まで延びている一方で、ホルダ部材62の大部分を覆うことが防止されている。
【0063】
これにより、表示プレート15の視認性を高め着目させやすくなるばかりでなく、表示プレート15と載置面60との隙間が閉塞されるため、載置空間S1に保管されている物品を第三者に認識させにくくすることができる。また、ホルダ部材62の視認性も確保されるため、ホルダ部材62にもプライスカードなどの情報を掲示することが可能である。
【0064】
また、本実施例の落下防止装置10は、例えば表示プレートと載置面60の間に隙間が生じている構成と比較して、ワイヤストッパ13の隙間をすり抜けた小型の物品が表示プレート15に当接しやすくなっているため、落下防止の性能が高められている。すなわち、表示プレート15は少なくとも載置面60極近傍上方において落下防止機能を有している。
【0065】
また、
図3に示されるように、表示プレート15の幅サイズ、すなわち左右寸法L1は支持部材11,12間の離間寸法L2よりも長く、ワイヤストッパ13の幅方向の全域に亘る幅サイズよりも大きい。これにより、表示プレート15の視認性を高め着目させやすくなり、載置空間S1に保管されている物品を第三者に認識させにくくすることができる。
【0066】
また、表示プレート15は、バインダ50が支持部材11,12それぞれの正面板20,20を覆っているため、商品陳列什器1の正面側から支持部材11,12を視認されにくくして、美観性を保つことができる。
【0067】
また、表示プレート15は、バインダ50の下端部を把持するなどして、同下端部がワイヤストッパ13に対して下方側から前方側に向かうように横線状部材30の軸回りに回動させることで、柵状であるワイヤストッパ13の隙間越しに明瞭に載置空間S1を良好に視認することができる。
【0068】
また、表示プレート15から手を放すことで、表示プレート15は自重によってその(落下防止状態時の)下端部が前方側から下方側に向かうように横線状部材30の軸回りに回動してワイヤストッパ13前方側の所期位置に移動するため、取り扱いが簡便である。
【0069】
次に、落下防止装置10を落下防止状態から開放状態に切り替える開放操作について
図5を参照して説明する。なお、
図5では、ワイヤストッパ13にドット柄を付している。
【0070】
開放操作を行うにあたっては、まず表示プレート15のバインダ50の下端部を把持して上方に持ち上げ、表示プレート15のクリップ51の屈折片51cをワイヤストッパ13の上方の横線状部材30に当接させる(
図5(a)参照)。この状態からさらに表示プレート15を上方側に持ち上げることでワイヤストッパ13も一緒に持ち上げ、ワイヤストッパ13の両延出部30a,30aを凹部24,24から上方に抜き出す。
【0071】
ワイヤストッパ13の両延出部30a,30aを凹部24,24から抜き出すまでの間、さらには抜き出した後においても、両延出部30a,30aよりも後方に支持部材11,12の側面板21,21の一部が配置されているため、ワイヤストッパ13は横線状部材30が載置面60側に向かって横線状部材31の軸回りに回動することが防止されている。このように、スリット25,25の上端から支持部材11,12の上端までの寸法は、横線状部材30,31間の離間寸法よりも長寸とすることが好ましい。
【0072】
図5(a)の状態から、バインダ50の下端部を正面側に引くことで、横線状部材31を軸としてワイヤストッパ13を水平軸回りに回動させ、
図5(b)に示す状態となる。このとき、上方の横線状部材30は正面板20の上方を通過する。
【0073】
その後、ワイヤストッパ13の延出部31a,31aをスリット25,25に沿って下方に移動させる。これにより、延出部31aが支持部材11,12の底板22,22に当接し、ワイヤストッパ13が棚板6のホルダ部材62の前面に当接し、表示プレート15がワイヤストッパ13に吊支された、
図5(c)に示す状態となる。
【0074】
このようにして、棚板6上への正面側からの物品の出し入れが可能な開放状態となる。開放状態では、表示プレート15を把持せずとも
図5(c)に示す状態が保たれる。
【0075】
本実施例の落下防止装置10は、例えばワイヤストッパ13が落下防止状態から90度程度のみ回動可能である構成と比較して、ワイヤストッパ13の自由端、すなわち横線状部材30から載置面60において実際に物品が載置される箇所までの同載置面60を前後方向に延伸した平面上における離間寸法を短寸とすることができる。これにより物品へのアクセスが容易となる。なお、ワイヤストッパの回動可能な角度は100度以上より好ましくは135度以上であることが好ましい。
【0076】
ところで、開放操作においてワイヤストッパ13が横線状部材31回りに回動することに応じて、ワイヤストッパ13の横線状部材30は、表示プレート15の各クリップ51に対して相対的に水平軸回りに回動する。
【0077】
このことから、落下防止装置10は、表示プレート15を把持し続けたまま、開放操作を行うことができるばかりでなく、開放状態においても表示プレート15の表示面(バインダ50における前方の板状部)を正面側に向け続けることができる。
【0078】
また、落下防止装置10は、落下防止状態において横線状部材30を軸にワイヤストッパ13と折り畳まれた状態にあった表示プレート15が、開放操作が進むにつれて、バインダ50の下端が横線状部材31から離間するように展開されて横線状部材31よりも下方へと移動していき、開放状態ではバインダ50の下端が横線状部材31よりも下方に位置する横線状部材30よりもさらに下方に配置される。
【0079】
また、開放操作と逆の手順で操作することにより、開放状態から落下防止状態に切り替える設置操作を行うことができる。より詳しくは、バインダ50の下端部を把持し持ち上げ、ワイヤストッパ13をその横線状部材30が下方側から前方側そして上方側に移動するように横線状部材31回りに回動させて、凹部24,24内その開口を通じて挿通させることにより落下防止状態に切り替えることができる。
【0080】
また、落下防止装置10は、設置操作が進み表示プレート15が上方に移動するにつれて、バインダ50の下端が横線状部材31に近接するように折り畳まれていき、落下防止状態では、上述したように自重によってバインダ50がワイヤストッパ13の前方側に再配置される。
【0081】
これらのように、落下防止装置10は、開放操作においても、設置操作においても、下方側からバインダ50の下端部を把持して操作することができるため、高い位置にある棚板6に配置された場合であっても開放操作や設置操作が簡単である。
【0082】
以上説明したように、本実施例の落下防止装置10が設けられた商品陳列什器1は、落下防止装置10の落下防止状態において、上方空間S2を通じて簡便に載置空間S1に保管されている物品の種類や在庫の有無を確認することができる。
【0083】
また、表示プレート15は、バインダ50の左右寸法L1が支持部材11,12間の離間寸法L2よりも長いため、支持部材11,12に当接することで、支持部材11,12よりも載置面60側に移動することが規制される。
【0084】
また、本実施例の落下防止装置10は、表示プレート15の上方が横線状部材30に回動可能に支持されているため、開放操作時に表示プレート15は上方を基点に回動し、表示プレート15の自由端である下端は、棚板6やワイヤストッパ13から遠ざかるように前方に移動するから、棚板6に干渉することなく、表示プレート15に傷、割れなどの破損が生じにくくなっている。このように、開放操作時に表示プレート15が棚板6に干渉しないため、上下方向に長い表示プレート15を取り付けることが可能となり、表示面を大きくすることができる。
【0085】
一方、表示プレート15をワイヤストッパ13に固定的に取り付けてもよいものの、この場合には、表示プレート15が支持部材11,12の前面や棚板6の上面や前面に干渉して表示プレート15に傷がつくことがあり、この干渉を回避しようとすると表示プレート15の大きさや形状に制約がある。
【0086】
また、表示プレートは、横線状部材30の軸回りに回動可能とされている構成であれば、ホルダ部材62の下端やホルダ部材62よりも下方にまで延びていても落下防止状態において棚板6の前端に当接した適宜の角度で配置できるため、少なくとも載置面60極近傍上方において落下防止機能を有しつつ、表示プレートの表示面を広くできる。
本実施例2の商品陳列什器101の棚板6に設けられている落下防止装置110は、一対の支持部材111,112と、ワイヤストッパ113(落下防止部材)と、ワイヤストッパ113に吊支されている表示プレート15から主に構成されている。
左右の支持部材111,112は、互いの対向面が内方に開口するとともに、上下両端が閉塞された平断面視内向きコ字状をなしており、左右対称形状である。そのため、左方の支持部材111を例示して説明し、右方の支持部材112については重複する説明を簡略または省略する。
また、左方の支持部材111の正面板120には、区画片127の下方に、下方の誘導路125に連通し、正面側に向かって開放されている開口部128が形成されている。
また、設置操作においては、横線状部材31を把持してワイヤストッパ113を押し上げ、横線状部材31の延出部31a,31aを支持部材111,112の開口部128,128から下部誘導路125,125内に挿入するだけでよい。
このように、表示プレート15を備える構成であれば、他の載置面との区別が可能となる。なお、落下防止部材の支持部材に対する動作方式は、前記実施例1のように回動式であってもよく、本実施例2のようにスライド式であってもよく、適宜変更されてもよい。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
例えば、前記実施例1,2では、落下防止装置は店舗などに設置される商品陳列什器に設けられる構成として説明したが、これに限られず、備品を管理するための什器、本棚などに設けられていてもよく、物品陳列什器の種類は適宜変更されてもよい。
また、前記実施例1,2では、落下防止装置は、適宜選択された最上段の載置面に設けられる構成と説明したが、これに限られず、最下段の載置面に設けられてもよく、最上段の載置面と最下段の棚板にそれぞれ設けられてもよく、配置される載置面の位置や数は適宜変更されてもよい。
さらに、前記実施例1,2では、落下防止装置は、一つの物品陳列什器が有する複数の載置面のうち適宜選択された最上段の載置面に設けられている構成として説明したが、これに限られず、什器システムを構成する複数の物品陳列什器それぞれの載置面に設けられていてもよい。
このような什器システムであれば、例えば2つの物品陳列什器が並び、一方の物品陳列什器の載置面と、他方の物品陳列什器の載置面を区別する場合など、適宜落下防止装置を設けた各物品陳列什器の載置面の用途をそれぞれ区別可能となるため、第三者による意図しない持ち出しを防止することが可能となる。
また、前記実施例1,2では、落下防止装置は商品を保管するために使用される載置面に設けられる構成として説明したが、これに限られず、商品の陳列するために使用される載置面に適用されてもよい。このような構成であれば、区別機能部材はいわゆるプライスレールであってもよい。
さらに、前記実施例1,2では、他の載置面には落下防止装置が設けられていない構成を例に説明したが、これに限られず、他の載置面にも設けられていてもよい。このような構成であっても、物品が保管されている載置面に設けられている機能表示部材には「保管用」、物品を持ち出し可能に陳列している載置面に設けられている機能表示部材には「陳列用」などと表示することで、各載置面の機能を認識させることができる。
また、前記実施例1,2では、落下防止部材は、落下防止状態においても、開放状態においても、支持部材によって支持される構成として説明したが、これに限られず、支持部材から落下防止部材を取り外すことで開放状態とする構成であってもよい。
また、前記実施例1では、落下防止部材は、支持部材に軸支される横線状部材を軸として回動可能である構成として説明したが、これに限られず、支持部材から延びる軸が落下防止部材に設けられた貫通孔などに挿通されていて落下防止部材を軸支する構成であってもよい。
また、前記実施例1,2では、落下防止状態において落下防止部材は、載置面の略前端縁に沿って位置している構成として説明したが、これに限られず、載置面の前端よりも前方または後方に離間配置される構成であってもよい。
また、前記実施例1,2では、載置面は棚板に設けられている構成として説明したが、これに限られず、物品を載置可能であれば網などであってもよく、棚板に限定されるものではない。
また、前記実施例1,2では、落下防止部材は、スケルトン構造部材として、線状部材からなる柵状のワイヤストッパを例に説明したが、これに限られず、隙間などを通じて載置空間を視認可能な枠、網、パンチングメタルなどの部材であってもよく、載置空間を視認可能であればより確実に落下を防止可能な板、幕などの面状部材であってもよい。面状部材であれば、載置空間の視認を可能な程度の透光性を有するガラスや樹脂材であることが好ましい。
また、前記実施例1,2では、区別機能部材は用途表示、分類表示、POP広告などを把持可能なバインダを面状部の例として説明したが、これに限られず、面状部は情報が記載された板材であってもよく、単に載置空間の視認の妨げとなる透光率または不透明の板材であってもよく、画鋲などでPOP広告などを掲示可能な板材であってもよく、適用された載置面の用途を他の載置面の用途と区別可能であればその構成は適宜変更されてもよい。
また、前記実施例1,2では、区別機能部材は面状部が情報表示機能を有している構成として説明したが、これに限られず、面状部を有しておらず、例えば色、印、形などで載置面の区別を判別可能な情報表示機能を満している構成であってもよい。
また、バインダ50の左右寸法L1は支持部材11,12の離間寸法L2よりも長い構成として説明したが、これに限られず、短い構成であってもよく、適宜変更されてもよい。