(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115127
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】払拭清掃具
(51)【国際特許分類】
A47L 13/256 20060101AFI20240819BHJP
A47L 13/20 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A47L13/256
A47L13/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020620
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】395000500
【氏名又は名称】株式会社ニシムラ
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 健次郎
【テーマコード(参考)】
3B074
【Fターム(参考)】
3B074AA07
3B074AA08
3B074AB01
3B074AB04
3B074EE01
(57)【要約】
【課題】本発明は、払拭部材の装着が容易であるとともに、払拭部材が抜け落ち難い払拭清掃具を提供する。
【解決手段】ハンドル7と、ハンドル7から末広がりに伸び、先端を底辺とした扁平な略三角形形状に形成されるヘッド5と、ヘッド5に着脱自在な払拭部材3と、を備え、ヘッド5は、ハンドル7側に設けられ、弾性係数が大きいベース部51と、ハンドル7の反対側に設けられ、弾性係数が小さいブレード部52とによって一体的に構成され、ブレード部52には、鋭角に形成される底角端部54,54が両端に設けられ、払拭部材3には、底角端部54,54とそれぞれ係止する抜け止め部31が設けられ、払拭部材3は、ブレード部52を被覆してヘッド5に固着される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、
前記ハンドルから末広がりに伸び、先端を底辺とした扁平な略三角形形状に形成されるヘッドと、
前記ヘッドに着脱自在な払拭部材と、を備え、
前記ヘッドは、前記ハンドル側に設けられ、弾性係数が大きいベース部と、前記ハンドルの反対側に設けられ、弾性係数が小さいブレード部とによって一体的に構成され、
前記ブレード部には、鋭角に形成される底角端部が両端に設けられ、
前記払拭部材には、前記底角端部とそれぞれ係止する抜け止め部が設けられ、
前記払拭部材は、前記ブレード部を被覆して前記ヘッドに装着される、払拭清掃具。
【請求項2】
前記ヘッドは、略不等辺三角形形状に形成され、
前記ブレード部は、底辺とした前記ブレード部の先端の形成方向が前記ハンドルの伸張方向に対して所定の傾度で傾斜する、請求項1に記載の払拭清掃具。
【請求項3】
前記ブレード部は、前記底角端部の間における少なくとも一面に突起部が設けられる、請求項1又は2記載の払拭清掃具。
【請求項4】
前記払拭部材は、袋形状で、開口を有し、
前記抜け止め部は、前記開口の一部分を縫付けて形成される第1係止部と、留め具を有して前記開口のその他の一部分を着脱自在に固着する第2係止部とで構成され、
前記第1係止部が前記底角端部の一方の基端側と係止し、前記第2係止部が前記底角端部の他方の基端側と係止する、請求項3に記載の払拭清掃具。
【請求項5】
前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記ベース部の先端の両端と係止し、
前記払拭部材は、前記ブレード部の全体と前記ブレード部側の前記ベース部の一部分とを被覆する、請求項4に記載の払拭清掃具。
【請求項6】
前記払拭部材には、前記ヘッドに装着した際に前記底角端部の少なくともいずれか一方を前記払拭部材の内部から露出させる露出部が設けられる、請求項5に記載の払拭清掃具。
【請求項7】
前記払拭部材は、シート形状で、前記ブレード部の先端に沿って折り返して前記ブレード部の両面を被覆し、
前記抜け止め部は、留め具を有して前記底角端部の基端側に沿って折り返し、前記ブレード部の一面を被覆した前記払拭部材と前記ブレード部の他面を被覆した前記払拭部材とを着脱自在に固着する、請求項3に記載の払拭清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拭き掃除用の清掃具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
以前より、柔軟性を有するゴム部材が先端に設けられたホルダー部に払拭部材を着脱可能に取り付けて窓ガラス面や床面等の拭き掃除を行う清掃具が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の清掃具の払拭部材は、ゴム部材の先端から基端までの略四角形形状のホルダー部全体を被覆する。そして、ホルダー部の基端側に設けられた留め具で払拭部材をホルダー部に固定することにより、払拭部材がホルダー部から抜け落ち難くなるように構成している。このような構成では、払拭部材をホルダー部に着脱する際に、ホルダー部の角が引っかかるため、着脱作業が行い難いという課題があった。
【0005】
本発明は、払拭部材の装着が容易であるとともに、払拭部材が抜け落ち難い払拭清掃具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る払拭清掃具は、ハンドルと、前記ハンドルから末広がりに伸び、先端を底辺とした扁平な略三角形形状に形成されるヘッドと、前記ヘッドに着脱自在な払拭部材と、を備え、前記ヘッドは、前記ハンドル側に設けられ、弾性係数が大きいベース部と、前記ハンドルの反対側に設けられ、弾性係数が小さいブレード部とによって一体的に構成され、前記ブレード部には、鋭角に形成される底角端部が両端に設けられ、前記払拭部材には、前記底角端部とそれぞれ係止する抜け止め部が設けられ、前記払拭部材は、ブレード部を被覆して前記ヘッドに装着される。
【0007】
この構成によれば、本発明に係る払拭清掃具は、ヘッドを略三角形形状に形成することにより、払拭部材の着脱を容易に行うことができるとともに、払拭清掃具を押し当てながら清掃しても、ヘッドから払拭部材が抜け落ち難くすることができる。
【0008】
また、前記ヘッドは、略不等辺三角形形状に形成され、前記ブレード部は、底辺とした前記ブレード部の先端の形成方向が前記ハンドルの伸張方向に対して所定の傾度で傾斜することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、略不等辺三角形形状に形成されたヘッドの先端であるブレード部の先端の形成方向がハンドルの伸張方向に対して所定の傾度で傾斜することにより、ハンドルが当接する面に対して把持し易い方向に傾き、掃除作業を容易に行うことができる。
【0010】
また、前記ブレード部は、前記底角端部同士の間にある少なくとも一面に突起部が設けられることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、ブレード部の一面に設けられた突起部により、ヘッドに装着された際に払拭部材の内側との摩擦抵抗を大きくすることができるため、拭き掃除の際に払拭部材がずれることを低減する。
【0012】
また、前記払拭部材は、袋形状で、開口を有し、前記抜け止め部は、前記開口の一部分を縫付けて形成される第1係止部と、留め具を有して前記開口のその他の一部分を着脱自在に固着する第2係止部とで構成され、前記第1係止部が前記底角端部の一方の基端側と係止し、前記第2係止部が前記底角端部の他方の基端側と係止することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、第1係止部が底角端部の一方を係止することで、払拭部材を抜け落ち難くし、第2係止部が底角端部の他方を留め具で係止することで、払拭部材の装着が容易となる。
【0014】
また、前記第1係止部及び前記第2係止部は、前記ベース部の先端の両端と係止し、前記払拭部材は、前記ブレード部の全体と前記ブレード部側の前記ベース部の一部分とを被覆することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、弾性変化するブレード部の全体と前記ブレード部側の前記ベース部の一部分とを被覆することで、払拭清掃具を押し当てブレード部を弾性変形させても、払拭部材がブレード部に追従して押し当てられた対象に密着することができる。ベース部で払拭部材を係止することにより、払拭部材を装着した際の安定性を向上させることができる。
【0016】
また、前記払拭部材は、前記ヘッドに装着した際に前記底角端部の少なくともいずれか一方を前記払拭部材から露出させる露出部が設けられることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、底角端部の少なくともいずれか一方を払拭部材から露出させることで、拭き掃除の際に底角端部が払拭部材と係止し、払拭部材がヘッドから抜け落ちることを防ぐことができる。
【0018】
前記払拭部材は、シート形状で、前記ブレード部の先端に沿って折り返して前記ブレード部の両面を被覆し、前記抜け止め部は、留め具を有して前記底角端部の基端側に沿って折り返し、前記ブレード部の一面を被覆した前記払拭部材と前記ブレード部の他面を被覆した前記払拭部材とを着脱自在に固着することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、抜け止め部がブレード部の一面を被覆した払拭部材とブレード部の他面を被覆した払拭部材とを着脱自在に固着することで、払拭部材の着脱が容易となるとともに、抜け止め部が底角端部の基端側に沿って折り返されて底角端部を被覆することから、払拭部材が抜け落ち難くなる。
【発明の効果】
【0020】
これにより、本発明に係る払拭清掃具は、払拭部材の着脱が容易であるとともに、払拭部材が抜け落ち難いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る払拭清掃具を示す平面図である。
【
図2】
図1で示した払拭清掃具を示す分解図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る払拭清掃具のヘッドを示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る払拭清掃具の払拭部材を示す斜視図である。
【
図5】
図3で示したヘッドに
図4で示した払拭部材を装着する際の動作を示す模式図である。
【
図6】周知技術のホルダー材に払拭部材を装着する際の動作を示す模式図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る払拭清掃具で清掃した際の動作を示す模式図である。
【
図8】
図7で示した払拭清掃具の先端の断面を示す拡大図である。
【
図9】
図4で示した払拭部材のその他の実施形態を示す斜視図である。
【
図10】本発明のその他の実施形態に係る払拭部材を示す斜視図である。
【
図11】
図3で示したヘッドに
図10で示した払拭部材を装着する際の動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る払拭清掃具1を示す斜視図である。
図2は、
図1で示した払拭清掃具を示す分解図である。
図1及び
図2で示した払拭清掃具1は、ハンドル7、ヘッド5及び払拭部材3を備える。
【0024】
ハンドル7は、棒状形状であって、清掃を行うユーザや清掃する対象に合わせて様々な長さのものを用いることができ、長さ調整が可能な伸縮機構を有するものであってもよい。払拭清掃具1には、例えば、ハンドル7とヘッド5とを繋げる接続部70が設けられる。接続部70は、
図2で示したとおり、ハンドル7の先端に設けられる被挿入部72とヘッド5の基端に設けられる挿入部71とで構成される。中空である被挿入部72に被挿入部72の内径に等しい凸形状の挿入部71が挿入されることにより、ハンドル7はヘッド5に接続させる。なお、接続部70は、一方にねじ山、他方にねじ溝が設けられて螺合するといったその他の接続機構であってもよい。また、ハンドル7は、接続部70を設けずにヘッド5と一体的に成形してもよい。
【0025】
図3は、本発明の実施形態に係る払拭清掃具1のヘッド5を示す斜視図である。ヘッド5は、
図3で示したとおり、基端側のベース部51と先端側のブレード部52とによって一体的に形成される。ヘッド5は、ベース部51の基端を頂角とし、ブレード部52の先端を底辺としてブレード部52の両端を底角とした略三角形形状に形成される。ベース部51は、例えばポリプロピレン等のプラスチックや、ステンレス等の金属といった弾性係数が大きい材質からなる。ベース部51は、ハンドル7の先端と接続した基端から末広がりで扁平に伸びる。
【0026】
ブレード部52は、例えばエラストマー等の樹脂といった弾性係数が小さく、摩擦抵抗が大きい材質からなる。ブレード部52は、ベース部51の末広がりに伸びた先端側に形成される。ブレード部52は、両端に鋭角な底角端部54,54が設けられる。
【0027】
ブレード部52は、例えば底角端部54,54同士の間に位置する一面に複数の突起が突出してなる突起部56が設けられる。突起部56は、
図3で示したとおり、頂点が円弧な円柱形状の複数の突起が一定の間隔を空けて帯状に設けられる。
【0028】
図4は、本発明の実施形態に係る払拭清掃具1の払拭部材3を示す斜視図である。払拭部材3は、使用後洗浄すれば繰り返し使える、例えばパイルやマイクロファイバーなどのクロス生地からなる。払拭部材3は、
図4で示したとおり、一枚のクロス生地を縫い合わせて一辺がブレード部52の先端方向の長さと等しい略矩形の袋形状に形成される。
【0029】
払拭部材3は、ブレード部52の先端を形成する方向に開口し、大きさがブレード部52の先端の長さに等しい開口30が設けられる。なお、ブレード部52の先端(ヘッド5の先端)の長さは、以下において先端長さNと称して説明する。払拭部材3には、開口30の一部分を縫付けて形成される第1係止部32と、留め具を有して開口の30のその他の一部分を着脱自在に固着する第2係止部34とで構成される抜け止め部31が設けられる。第1係止部32は、開口30の一方に設けられ、底角端部54,54のいずれか一方の基端側と係止する。第2係止部34は、開口30の他方に設けられ、底角端部54,54のいずれか他方の基端側と係止する。
【0030】
ブレード部52は、上述したとおり、ハンドル7から伸びるヘッド5の末広がりに沿って一体的に形成される。このため、ブレード部52の基端側の幅は先端長さNより狭く、抜け止め部31は、ブレード部52の基端部に係止する。これにより、払拭部材3は、開口30よりヘッド5に装着されると、一方の底角端部54から他方の底角端部54までのブレード部52を被覆する。
【0031】
次に、ヘッド5に対する払拭部材3の装着について、本発明に係る払拭清掃具1のヘッド5と、従来技術のヘッドであるホルダー材9とを比較しながら説明する。ホルダー材9は、例えば、先端部が略長方形形状でハンドル7と垂直となる略T字形状に形成される。
図5は、
図3で示したヘッド5に
図4で示した払拭部材3を装着する際の動作を示す模式図である。
図6は、周知技術のホルダー材9に払拭部材3を装着する際の動作を示す模式図である。
【0032】
なお、先端長さNと、ホルダー材9の先端の長さとは等しい。また、第2係止部34が有する留め具は、例えば面ファスナであるが、開口30の一部分を着脱自在に固着することができれば、スナップボタンなどでもよく、面ファスナに限定しない。
【0033】
ホルダー材9に払拭部材3を装着する場合、
図6(a)で示したとおり、ホルダー材9両端の一方を第1係止部32側に差し込む。次に、
図6(b)で示したとおり、ホルダー材9両端の他方を第2係止部34側に差し込み、第2係止部34で開口30の一部分を固着することで、払拭部材3がホルダー材9に装着される。
【0034】
しかし、開口30の大きさは、開口30の一部分を縫付けた第1係止部32により先端長さNより小さい。また、ホルダー材9は、先端部が略長方形形状で、対角長さDが先端長さNより長い。このため、ホルダー材9の先端部の先端を払拭部材3の内部に挿入しようとすると、対角長さDの先端にあるホルダー材9の角90が開口部30に引っ掛かり易く、角90が払拭部材3をホルダー材9に装着する際の妨げとなる。
【0035】
それに対して、本発明に係る払拭清掃具1のヘッド5は、略三角形形状である。ヘッド5に払拭部材3を装着する場合、
図5(a)で示したとおり、ヘッド5の底角端部54の一方を第1係止部32側に差し込む。次に、
図5(b)で示したとおり、底角端部54の他方を第2係止部34側に差し込む。
【0036】
ヘッド5は、略三角形形状であるため、開口30に差し込む際に引っ掛かり易い対角となり得る部位がない。また、底角端部54の一方が払拭部材3に差し込まれることから、第1係止部32により先端長さNより小さくなった開口30に挿入し易い。また、ブレード部51は弾性係数が小さい材質からなるため、開口30の大きさに合わせて弾性変形させて差し込むこともできる。
【0037】
たとえ、ホルダー材9の先端部の全てを弾性係数が小さい材質で形成したとしても、開口30には挿入し易くなるものの、弾性変形により拭き掃除の際の押圧力が安定的に伝わらなくなる。また、ホルダー材9の先端部の先端側を弾性係数が小さい材質で形成し、ホルダー材9の先端部の基端側を弾性係数が大きい材質で形成したとしても、略長方形形状である以上、対角長さDが先端長さNより長いため、角90がホルダー材9を払拭部材3に挿入する際の妨げとなる。
【0038】
このことから、本発明に係る払拭清掃具1は、ヘッド5が略三角形形状に形成され、弾性係数が小さい材質でヘッド5の先端部であるブレード部52を形成することにより、払拭部材3の装着を容易に行うことができる。また、払拭清掃具1を押し当てながら清掃しても、払拭部材3に設けられた抜け止め部31が先端長さNより短いヘッド5の基端側と係止することから、払拭部材3がヘッド5から抜け落ち難い。
【0039】
次に、払拭部材3をヘッド5に装着して壁面Wに対して拭き掃除する払拭清掃具1について説明する。なお、壁面Wを例としたが、床面や窓ガラスなどであってもよい。
図7は、本発明の実施形態に係る払拭清掃具1で清掃した際の動作を示す模式図である。
図8は、
図7で示した払拭清掃具の先端の断面を示す拡大図である。
【0040】
ブレード部52の先端の形成方向Bは、ハンドル7の伸張方向Eに対して所定の傾度Qで傾斜する。このため、ブレード部52の先端を壁面Wに当接させると、ハンドル7が傾く。
図7で示した状況の場合、ユーザUが壁面Wに向き、把持している払拭清掃具1を壁面Wに押し当てると、ハンドル7は、ユーザUに対して右側に傾斜する。ユーザUの手Hは、ハンドル7の傾きによって手首を曲げずにハンドル7を容易に把持することができる。
【0041】
また、ヘッド5は、略不等辺三角形形状に形成されることが好ましい。ヘッド5が略不等辺三角形形状に形成されると、拭き掃除の際の押圧力が底角端部54の一方から底角端部54の他方まで均等に伝わるようになる。従って、拭き掃除の際の押圧力が払拭清掃具1に伝わり易くなる。
【0042】
なお、ハンドル7の傾き、即ちハンドル7の伸張方向Eに対するブレード部52の先端の傾度Qは、壁面Wに対してユーザUがハンドル7を容易に把持することができれば、傾度Qの大きさは限定しない。また、ハンドル7は、拭き掃除の際の押圧力が払拭清掃具1に伝わり易くなる方向に傾けばよく、傾き方向は限定しない。
【0043】
また、第1係止部32及び第2係止部34は、ブレード部52(底角端部54,54)の基端側ではなく、ブレード部52の基端側の幅より狭いベース部51の先端の両側と係止することが好ましい。これにより、払拭部材3は、弾性変化するブレード部52の全体と、ブレード部52側のベース部51の一部分とが被覆される。
【0044】
払拭部材3をヘッド5に装着した払拭清掃具1は、
図8で示したとおり、払拭部材3が弾性変化するブレード部52の全体を被覆することで、払拭清掃具1が押し当てられてブレード部52が弾性変形しても、払拭部材3はブレード部52に追従して壁面Wに密着することができる。また、抜け止め部31は、弾性係数が大きいベース部51に係止することで、弾性係数が小さいブレード部52の基端側より払拭部材3を装着した際の安定性が向上する。
【0045】
また、拭き掃除の際に押圧力でブレード部52が弾性変形する際、突起部56は、払拭部材3の内側との摩擦抵抗を大きくし、払拭部材3がヘッド5からずれることを低減する。なお、突起部56は、頂点が円弧な円柱形状ではなく、リブ形状の複数の突起を縞模様に設けてもよい。また、突起部56は、ブレード部52の一面にだけでなく、ブレード部52の他面にも設けてもよく、各面異なる形状や異なる数の突起で構成されてもよい。拭き掃除を行った際、払拭部材3がヘッド5からずれることを摩擦抵抗で防げれば、形状や設置に限定しない。
【0046】
また、払拭部材3は、その他の実施形態において、ヘッド5に装着した際に少なくとも底角端部54,54のいずれかを払拭部材3の内部から外部に露出させる露出部35をさらに設けることができる。
図9は、
図4で示した払拭部材のその他の実施形態を示す斜視図である。
【0047】
払拭部材3は、
図9で示したとおり、露出部35が第1係止部32及び第2係止部34の下方にそれぞれ設けられ、払拭部材3がヘッド5に装着されると、露出部35から底角端部54,54がそれぞれ露出する。底角端部54,54が露出部35から露出することで払拭部材3と係止することから、拭き掃除の際に払拭部材3がヘッド5からずれることをさらに低減することができる。なお、払拭部材3と係止することができれば、露出部35は第1係止部32及び第2係止部34のいずれか一方のみに設けてもよい。
【0048】
次に、本発明のその他の実施形態に係る払拭部材3A及び払拭部材3Aの装着について説明する。
図10は、本発明のその他の実施形態に係る払拭部材3Aを示す斜視図である。
図11は、
図3で示したヘッド5に
図10で示した払拭部材3Aを装着する際の動作を示す模式図である。
【0049】
図10で示した払拭部材3Aは、略長方形のシート形状で、例えばパイルやマイクロファイバーなどのクロス生地からなる。払拭部材3Aは、長手方向が先端長さNに等しい。払拭部材3Aには、長手方向の二角を内側に折り込んで縫い付けられた縫付端部36,36と、縫付端部36,36の対向側にある他の二角である折込端部38,38とが備えられる。
【0050】
縫付端部36,36及び折込端部38,38は、抜け止め部31に相当する。縫付端部36,36及び折込端部38,38は、それぞれ留め具を有する。例えば留め具が面ファスナの場合、ループ面が縫付端部36,36に設けられ、フック面が折込端部38,38に設けられる。なお、留め具は、スナップボタンなどでもよく、縫付端部36,36と折込端部38,38とが着脱自在に固着することができれば、面ファスナに限定しない。
【0051】
払拭部材3Aがヘッド5に装着する場合、
図11(a)で示したとおり、払拭部材3Aの内側で長手方向の中央にある中心線Sに沿ってブレード部52の先端を払拭部材3Aの折込端部38,38側半面に配置する。次に、折返し方向A1に折込端部38,38を底角端部54,54の基端側に沿って折り返す。最後に、ブレード部52の先端に沿って折返し方向A2に払拭部材3Aの残り半面を折り返し、縫付端部36,36と折込端部38,38とをそれぞれ固着させる。払拭部材3Aは、
図11(b)で示したとおり、ヘッド5に装着される。
【0052】
これにより、払拭清掃具1は、縫付端部36,36及び折込端部38,38が有する留め具によって着脱自在に固着され、払拭部材3Aがヘッド5に容易に装着される。また、折込端部38,38が底角端部54,54の基端側に沿って折り返されて底角端部54,54が被覆されることから、払拭部材3Aがヘッド5から抜け落ち難くなる。
【0053】
なお、本発明に係る払拭清掃具1は、弾性係数が小さいブレード部52がヘッド5の先端に設けられているため、払拭部材3を装着せずに、窓ガラスに付着した水滴などの水かきに用いたり、床面の埃などの掃き掃除に用いたりすることもできる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
1 払拭清掃具
3,3A 払拭部材
30 開口
31 抜け止め部
32 第1係止部
34 第2係止部
35 露出部
36 縫付端部
38 折込端部
5 ヘッド
51 ベース部
52 ブレード部
54 底角端部
56 突起部
7 ハンドル
70 接続部
71 挿入部
72 被挿入部
9 ホルダー材
90 角
A1,A2 折返し方向
B 形成方向
D 対角長さ
E 伸張方向
H 手
N 先端長さ
Q 角度
S 中心線
U ユーザ
W 壁面