(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115133
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】多機能バッグ
(51)【国際特許分類】
A45F 3/04 20060101AFI20240819BHJP
A45F 4/02 20060101ALI20240819BHJP
A47D 13/02 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A45F3/04
A45F3/04 300
A45F4/02
A47D13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020628
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】592238515
【氏名又は名称】ラッキー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】弁理士法人Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樋口 博之
【テーマコード(参考)】
2E181
【Fターム(参考)】
2E181AA05
2E181BA04
2E181BB02
2E181BC05
2E181BD01
2E181BD02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乳幼児の抱っこを補助する形態の装脱着が容易にできて使い勝手の良いこと。
【解決手段】多機能リュックサックは、荷物を収容するリュック本体部20と、リュック本体部20の上下に接続し使用者の左右の肩に掛けられる左右1対の肩ベルト部とを有し使用者に背負われるリュック部10と、1対の肩ベルト部の接続側でリュック本体部20に縫付けられ、左袖ぐり部61Lを形成している左前身頃部60Lと、左前身頃部60Lとは分離している右前身頃部60Rとを有し、使用者に着用される上衣部50と、左前身頃部60Lに一体に形成され乳幼児を保持する左前乳幼児保持部70Lと、右前身頃部60Rに一体に形成され別の乳幼児を保持する右前乳幼児保持部70Rと、1対の肩ベルト部の接続側でリュック本体部20に設けられ、左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部50を格納する格納部とを具備するものである。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収容するバッグ本体部と、前記バッグ本体部に接続し使用者の肩に掛けられる肩ベルト部とを有するバッグ部と、
前記バッグ本体部の背面側に設けられ、前記使用者の左腕が通される左袖ぐり部を形成している左前身頃部と前記使用者の右腕が通される右袖ぐり部を形成している右前身頃部とを有し前記使用者に着用される上衣部と、
前記上衣部の前記左前身頃部及び/または前記右前身頃部に一体に形成され前記乳幼児を保持する乳幼児保持部と、
前記バッグ本体部の背面側に設けられ、前記乳幼児保持部を有する前記上衣部を格納する格納部と
を具備することを特徴とする多機能バッグ。
【請求項2】
前記乳幼児保持部は、前記前身頃部に対し前記乳幼児を支持する支持部を縫着して前記前身頃部と前記支持部との間に前記乳幼児を収容する収容空間を形成し、また、前記乳幼児の脚が通される開口を設けていることを特徴とする請求項1に記載の多機能バッグ。
【請求項3】
更に、前記前身頃部の下部に配設し、接合及び分離自在な雄部材と雌部材とからなる1対の接続具によって環状に接続自在で前記使用者のウエスト周りに固定されるウエストベルト部を具備することを特徴とする請求項1に記載の多機能バッグ。
【請求項4】
前記格納部は、前記バッグ本体部の背面側に縫着され、係脱自在な1対の係合具によって左右に分割自在な1対の分割片を有することを特徴とする請求項1に記載の多機能バッグ。
【請求項5】
前記格納部は、係脱自在な1対の係合具の係合解除により下方または上方に捲れる開閉部を有することを特徴とする請求項1に記載の多機能バッグ。
【請求項6】
更に、前記使用者の頭部及び前記乳幼児の頭部を覆うフード部を具備することを特徴とする請求項1に記載の多機能バッグ。
【請求項7】
前記上衣部は、前記バッグ本体部と前記上衣部とを接続する接続部によって、前記バッグ本体部との間に遊びを設けて前記バッグ本体部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の多機能バッグ。
【請求項8】
更に、前記肩ベルト部を収容する肩ベルト収容部を具備することを特徴とする請求項1に記載の多機能バッグ。
【請求項9】
前記バッグ部は、前記使用者の両肩に掛けて背負うリュック部であることを特徴とする請求項1に記載の多機能バッグ。
【請求項10】
前記バッグ部は、前記使用者の一方の肩に掛けるショルダーバッグ部であることを特徴とする請求項1に記載の多機能バッグ。
【請求項11】
前記ショルダーバッグ部は、前記乳幼児の臀部を載せる台座部を有することを特徴とする請求項10に記載の多機能バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児を抱っこして保持する乳幼児保持部を備えた多機能リュックサックまたは多機能ショルダーバッグ等の多機能バッグに関するもので、特に、乳幼児の抱っこを補助する形態の装脱着が容易にできる多機能リュックサックまたは多機能ショルダーバッグ等の多機能バッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
保育園・保育所・幼稚園では、日常的に保育士・幼稚園教諭(以下、保育者と称す)が乳幼児を連れて散歩に出かけることも多い。その際、保育者は、ビニール袋等の袋、オムツ、おしり拭き、哺乳瓶、タオル・ケープ・おくるみ、ティッシュ、飲み物、着替え、絆創膏等の救急セット、貴重品、筆記具、おやつ等の荷物を多く持ち歩くうえに、途中で歩き疲れた乳幼児を抱っこやおんぶすることになる。このため、散歩に伴う保育者の負荷、労力は多大なものとなっている。勿論、保育の現場のみならず、育児をする親等にとっても同様である。
【0003】
ここで、途中で歩き疲れた乳幼児を抱っこやおんぶするための補助具として抱っこ紐を散歩時に持ち歩く場合には、通常、保育園・保育所・幼稚園内で使用するものと共有であり、荷物を入れるリュックサック等のバッグとは別の場所で保管されている。このため、外出時に抱っこ紐を探すのに手間や労力を要することがある。また、抱っこ紐をバッグに入れて持ち歩く場合には、その抱っこ紐がバッグの収容容積を占めたり、多くの荷物の中からバッグ内に収容した抱っこ紐を探して取り出す不便さ、取り出しづらさがあったりする。更に、リュックサックを背負いながら抱っこ紐を装着する場合には、リュックサックの肩ベルトに抱っこ紐の肩ベルトを重ねて使用することになる。その際には、市販の抱っこ紐の肩ベルトは厚みがあることもあって、抱っこ紐が肩に掛けづらく、肩に違和感や煩わしさを与えたり、肩に負荷を掛けたりするものとなっていた。また、肩に掛けている肩ベルトがズレてリュックサックが落ちてきてしまっても、乳幼児と手を繋いでいる等で両手がふさがれている状態では、背負い直すことも難しい。特に、抱っこ紐で乳幼児を抱っこしている状態では、乳幼児に当たらないように、リュックサックの肩ベルトが肩から外れるのを防止するためのチェストベルトで肩ベルトを固定するのも難しい。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1では、リュックサックの下部に形成した収納部に抱き具を収容し、必要に応じてリュックサックの収納部から抱き具を取り出し、リュックサックと同時に抱き具も使用できるよう構成した抱き具の機能を具えたリュックサックが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の抱き具の機能を具えたリュックサックは、その下部に、抱き具の収納部を形成し、この抱き具の収納部に、長さの調節を自在に行える腰ベルトを取付け、腰ベルトの前面中央部に幼児の支承体の基端部を取付け、更に、幼児の支承体の先端に取付けた係止用バックルをリュックサックの肩掛けベルトの中間部に取付けた係止用バックルに着脱自在に嵌合できるよう連結手段を用いて構成したものであり、リュックサックとは別体の抱き具をリュックサックに対し着脱自在に取り付けるものである。このため、乳幼児を保持する際には、リュックサックに腰ベルトを取付け、また、その腰ベルトに支承体を取付け、更に、係止用バックルを肩ベルトに装着する必要があり、幼児の抱き具を組み立ててリュックサックに取付ける、連結する手間を多く要するものである。即ち、抱き具の装着に際し、抱き具とリュックサックにそれぞれ設けた多くの連結具を正しく突き合わせて連結する操作に多くの手間を要するものである。
【0007】
したがって、抱き具の着脱、組立てや、抱き具をリュックサックに取付ける煩わしさ、不便さがあり、抱き具を装着準備している間に歩き疲れた乳幼児や急な抱きかかえの要求をした乳幼児をぐずつかせることにもなる。また、抱き具が不要となった場合も、その取り外しに手間を要する。特に、乳幼児との外出時は、乳幼児を歩かせたり、抱いたり、ベビーカーやカートに乗せたりする行動を伴い、その都度、乳幼児から目を離さないで、抱き具をリュックに着脱し、また、抱き降ろしの度に抱き具の連結操作をするとなると、抱き具の着脱の煩わしさに不便さを感じる者も多く、抱き具の使用を躊躇する場合も生じやすくなる。
【0008】
そこで、本発明は、乳幼児の抱っこを補助する形態の装脱着が容易にできて使い勝手の良い多機能リュックサック、多機能ショルダーバッグ等の多機能バッグの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の多機能リュックサックは、荷物を収容するバッグ本体部と、前記バッグ本体部に接続し使用者の肩に掛けられる肩ベルト部とを有するバッグ本体部の背面側に対し、前記使用者の左腕が通される左袖ぐり部を形成した左前身頃部と前記左前身頃部とは分離している前記使用者の右腕が通される右袖ぐり部を形成した右前身頃部とを有し前記使用者に着用される上衣部が設けられ、また、前記上衣部を格納する格納部が設けられ、前記上衣部の前記左前身頃部及び/または前記右前身頃部に乳幼児を保持する左前乳幼児保持部が一体に形成されたものである。
【0010】
上記バッグ部は、2本で1対の肩ベルトを有し、1対の肩ベルトを使用者の左右の肩に掛けることで使用者に背負われることになるリュックサックタイプのものであってもよいし、1本の肩ベルトを有し、使用者の一方の肩からおろすまたは使用者の一方の肩にたすき掛けする(斜め掛けする)ことにより使用者の一方の肩に掛けられるショルダーバッグタイプ(ボディバッグと呼ばれるものも含む)のものであってもよい。
【0011】
上記バッグ本体部は、荷物を収容できる鞄(荷物袋)であれば、その形態は特に問われない。
上記肩ベルト部は、例えば、バッグ本体部を背負うリュックサックタイプのものでは使用者の左右の両肩に掛けられるものであり、使用者の肩及び背中にまわす長さをもって、バッグ本体部の左右両側の一対で上下に環状に接続されているものであり、使用者の一方の肩に掛けたすき掛けするショルダーバッグタイプのものでは、長くても使用者の肩から腰にまわす長さをもって、バッグ本体部に環状に接続されるものである。好ましくは、ベルト長を調節自在に構成されるものである。
【0012】
上記上衣部は、使用者の上半身に着用されるものであり、前記バッグ本体部の背面側に縫い付けられているもので、互いに分離している左前身頃部及び右前身頃部を有するものである。この上衣部は、通常、前記バッグ本体部の背部(背面)側や、側部(側面)側や、上部(上面)側や、底部(底面)側等に部分的に縫付けることによって取付けられ、好ましくは、部分的に遊びを設けて縫着される。そして、この左前身頃部及び/または右前身頃部には、その前面に乳幼児を保持する乳幼児保持部が設けられている。
【0013】
左前身頃部及び右前身頃部の両方に乳幼児保持部を設ける場合には、左前身頃部及び右前身頃部の各端部は着用時に使用者の前中心寄りに位置することになり、左前身頃部において、例えば、略袋状に形成され乳幼児を収容して使用者の前方であって使用者から見て左側に乳幼児を保持する左前乳幼児保持部が設けられ、右前身頃部においても、例えば、略袋状に形成され別の乳幼児を収容して使用者の前方であって使用者から見て右側に保持する乳幼児保持部が設けられるものである。
【0014】
左前身頃部または右前身頃部の何れか一方に乳幼児保持部を設ける場合には、左前身頃部及び右前身頃部は互いに重ねられ着用され、左前身頃部及び右前身頃部の各端部は着用時に使用者の脇寄りに位置することになり、その前面側に位置する方の左前身頃部または右前身頃部に、例えば、略袋状に形成され乳幼児を収容して使用者の前方正面で乳幼児を保持する乳幼児保持部が設けられるものである。即ち、左前身頃部及び右前身頃部は、左前身頃部の上に右前身頃部が重ねられる左前の場合には、右前身頃部が前面となるから、右前身頃部に乳幼児保持部が形成され、右前身頃部の上に左前身頃部が重ねられる右前の場合には、左前身頃部が前面となるから、左前身頃部に乳幼児保持部が形成される。
【0015】
上記格納部は、前記バッグ本体部の背面側に設けられ、前記上衣部を使用しないときにそれを折り畳んで保持できるものであればよく、バンドで固定するものであってもよいし、1対の係脱自在な係合具等によって開閉自在なポケットを形成しそこに収納するものであってもよい。
【0016】
請求項2の発明の多機能バッグの前記乳幼児保持部は、前記前身頃部に対し前記乳幼児を支持する支持部を縫着して前記前身頃部と前記支持部との間に前記乳幼児を収容する収容空間を形成し、また、前記乳幼児の脚が通される開口を設けているものであり、前記乳幼児を収容する開口のある略袋状に形成されているもので、更に前記乳幼児の脚が通される開口を設けているものである。
【0017】
請求項3の発明の多機能バッグは、更に、前記前身頃部の下部に設けられ、接合及び分離自在な雄部材と雌部材とからなる1対の接続具によって環状に接続自在で前記使用者のウエスト周りに固定自在なウエストベルト部を有するものである。
上記ウエストベルト部は、前記前身頃部の下部に形成され、使用者のウエスト周りにまわす長さをもって使用者のウエスト周りに配設されるものであり、長さ方向の両端部側をバックルや面ファスナ等の接合及び分離自在な1対の接続具によって接続することで環状を形成し、使用者のウエスト周りに固定自在とされるものである。
上記1対の接続具としては、例えば、バックル、面ファスナ、ボタンとループ、ホック、フック、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ、楕円リング等が使用される。
【0018】
請求項4の発明の多機能バッグの前記格納部は、係脱自在な1対の係合具によって左右に分割自在な1対の分割片で形成されたものである。
上記1対の分割片は、1対の係合具の係合により1対の分割片が接続されることで、格納部内に収容された上衣部を覆って閉じるものであり、1対の係合具の係合の解除(離脱)により1対の分割片が左右に分離されるものであり、1対の係合具の係合の解除(離脱)により1対の分割片の接続が解かれ左右に分割されることで格納部内に収容された上衣部の展開が可能となる。
上記1対の係合具としては、例えば、線ファスナ、面ファスナ、ボタンとループ、ホック、フック、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ等が使用される。
【0019】
請求項5の発明の多機能バッグの前記格納部は、係脱自在な1対の係合具の係合解除によって上方または下方に捲れる開閉部を有するものである。
上記開閉部は、係脱自在な1対の係合具の係合解除により開放され上方または下方に捲れて、格納部内に収容された上衣部の展開を可能とするものである。
上記1対の係合具としては、例えば、線ファスナ、面ファスナ、ボタンとループ、ホック、フック、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ等が使用される。
【0020】
請求項6の発明の多機能バッグは、更に、前記使用者の頭部及び前記乳幼児の頭部を覆うフード部を具備するものである。
上記フード部は、前記使用者の頭部と前記乳幼児の頭部とを覆う所定面積を有するものであれば、その形状は特に問われず、好ましくは、前記使用者の頭部を覆う部分を前記使用者の頭部に被せる袋状に形成し、前記乳幼児の頭部を覆う部分は、前記使用者の頭部を覆う部分から一体にマント状に形成して前記使用者の両肩及び前記乳幼児の頭部を覆うものである。このフード部は、例えば、前記バッグ本体部の背面側や上衣部の上部に取付けられ、それを使用しないときには前記バッグ本体部の背面側や上衣部の上部に設けた収納部で収納されるのが好ましい。
【0021】
請求項7の発明の多機能バッグの前記上衣部は、前記バッグ本体部と前記上衣部とを接続する接続部によって、前記バッグ本体部との間に遊びを設けて前記バッグ本体部に取り付けられているものであり、前記バッグ本体部との縫着箇所の全てで遊びを設けることまでは要求されず、部分的に、好ましくは、バッグ本体部の下部や側部(側面部)との接続部分で遊びが設けられる。
【0022】
請求項8の発明の多機能バッグは、更に、前記肩ベルト部を収容する肩ベルト収容部を設けたものである。
上記肩ベルト収容部は、前記肩ベルト部を分離自在に構成し、分離した一方または両方を収容する形態としてもよく、例えば、前記バッグ本体部と前記上衣部との間に形成してもよいし、前記バッグ本体部側に形成してもよい。
【0023】
請求項9の発明の多機能バッグの前記バッグ部は、前記使用者の両肩に掛けて背負うリュック部であるものである。
上記リュック部は、前記バッグ本体部及び1対の前記肩ベルト部を有し、1対の前記肩ベルト部を前記使用者の左右の両肩に掛けることで前記バッグ本体部が前記使用者に背負われることになるもので、前記使用者に背負われる背負い鞄に相当するものである。
【0024】
請求項10の発明の多機能バッグの前記バッグ部は、前記使用者の左または右の一方の肩に掛けられるショルダーバッグ部であるものである。
上記ショルダーバッグ部は、前記使用者の一方の肩から下して使用してもよいし、前記使用者の一方の肩にたすき掛けして使用するものであってもよく、所謂ボディバッグのタイプも含まれるものである。
【0025】
請求項11の発明の多機能バッグの前記ショルダーバッグ部は、前記乳幼児を載せ置く台座部を有するものである。
上記台座部は、その上に前記乳幼児の臀部を載せて座らせることで前記乳幼児の臀部を支持するものであり、例えば、バッグ本体部の背面側に形成されるものである。
【発明の効果】
【0026】
請求項1の発明に係る多機能バッグによれば、荷物を収容するバッグ本体部と、前記バッグ本体部に環状に接続し使用者の肩に掛けられる肩ベルト部とを有するバッグ部に対し、前記バッグ本体部の背面側で、前記使用者の左腕が通される左袖ぐり部を形成した左前身頃部と前記左前身頃部とは分離しており前記使用者の右腕が通される右袖ぐり部を形成した右前身頃部とを有する上衣部が縫い付けられ、前記上衣部の前記左前身頃部及び/または右前身頃部には乳幼児を収容する乳幼児保持部が一体に形成されており、更に、前記バッグ本体部の背面側に前記乳幼児保持部を有する前記上衣部を格納する格納部が設けられている。
【0027】
このように乳幼児保持部を有する上衣部がバッグ本体部の背面側に設けられていることで、互いに分離している左前身頃部及び右前身頃部を有する上衣部の左袖ぐり部に使用者の左腕を通し、また、右袖ぐり部に右腕を通して上衣部を着用し、その上衣部に一体に形成された乳幼児保持部で乳幼児を保持することで、使用者の背中側でバッグ本体部が装着され使用者の前側で乳幼児を保持できるものである。
【0028】
特に、乳幼児を保持する乳幼児保持部が左前身頃部及び/または右前身頃部に一体に形成された上衣部を有するものであり、それを着用するだけで乳幼児を受け入れる状態の形態となり装着が分かりやすく、容易、かつ、迅速に乳幼児を抱っこできるものである。
そして、上衣部の左前身頃部に左前乳幼児保持部を有し、右前身頃部に右前乳幼児保持部を有するものであると2人の乳幼児を同時に保持することが可能である。また、このように上衣部の左前身頃部に左前乳幼児保持部を有し、右前身頃部に右前乳幼児保持部を有するものでは、使用者の左右の脇寄りに乳幼児を保持することになるから、足元が見やすいものでもある。
一方、上衣部の互いに重ねられる左前身頃部及び右前身頃部の前方に位置する方に乳幼児保持部を有する場合には、使用者の正面側で乳幼児を保持するものであるから、使用者の重心が安定し、負担が少ないものである。
更に、使用者の前側で乳幼児を保持するものであっても、使用者の後側には、荷物を収容するバッグ本体部が配設することで、使用者が前屈みになり難くバランスを取りやすいものである。
【0029】
また、乳幼児保持部を有する上衣部は、その左袖ぐり部に左腕を通し、また、右袖ぐり部に右腕を通して使用者が着るものであるから、使用者の広範囲の面積で乳幼児の体重や荷物が収容されたバッグ本体部の重さを支持できることになり、負荷を分散できることで、使用者の負担を少なくできる。そして、上衣部の着用状態では、乳幼児の抱き降ろしの急な要求でも、迅速、かつ、容易に乳幼児を抱き降ろしできる。特に、着衣の形態であれば、乳幼児を保持していないときでも、使用者の自然な動きの邪魔にならず、着用状態で違和感を与え難いものである。更に、上衣部は着用するものであるから防寒着としても機能する。
【0030】
加えて、乳幼児保持部を有する上衣部の着用を必要としないときには、上衣部を脱衣して、格納部に格納してコンパクトにすることで、バッグのみの使用時でも邪魔にならずデザイン性も良い。更に、収納、保管も省スペースで済む。そして、乳幼児保持部を有する上衣部とバッグ本体部が縫製されていることで、バッグ本体部や上衣部のどちらか一方を紛失させてしまう恐れもない。
【0031】
このように請求項1の発明の多機能バッグによれば、乳幼児の抱っこを補助する形態の装脱着が容易にでき使い勝手が良いものである。
【0032】
請求項2の発明に係る多機能バッグによれば、前記乳幼児保持部において、前記前身頃部に対し前記乳幼児を支持する支持部を縫着して前記前身頃部と前記支持部との間に前記乳幼児を収容する収容空間を形成し、また、前記乳幼児の脚が通される開口を設けているものであり、乳幼児保持部の開口に乳幼児の脚を通して収容空間に乳幼児を収容するのみで乳幼児が支持部で支持され保持されることになるから、請求項1に記載の効果に加えて、乳幼児の保持を容易にでき、かつ、乳幼児の負担の少ない開脚姿勢で乳幼児を支持できる。
【0033】
請求項3の発明に係る多機能バッグによれば、前記左前身頃部及び前記右前身頃部の下部に設けられ接合及び分離自在な雄部材と雌部材とからなる1対の接続具によって環状に接続自在なウエストベルト部が前記使用者のウエスト周りに固定自在であるから、荷物や乳幼児の荷重を使用者のウエスト周りにも分散させることができる。よって、請求項1に記載の効果に加えて、使用者の負担を軽減できる。
【0034】
請求項4の発明に係る多機能バッグによれば、前記格納部は、係脱自在な1対の係合具によって左右に分割自在な1対の分割片を有することから、1対の係合具の係合を解除して1対の分割片を左右に分割することで中に収納された上衣部を展開できる。よって、請求項1に記載の効果に加えて、格納部に収納された上衣部の引き出しが容易にできる。
【0035】
請求項5の発明の多機能バッグによれば、前記格納部は、係脱自在な1対の係合具の係合解除によって上方または下方に捲れる開閉部を有することから、1対の係合具の係合を解除して開閉部を捲ることで中に収納された上衣部を展開できる。よって、請求項1に記載の効果に加えて、格納部に収納された上衣部の引き出しが容易にできる。
【0036】
請求項6の発明の多機能バッグによれば、更に、前記使用者の頭部及び前記乳幼児の頭部を覆うフード部を具備するから、請求項1に記載の効果に加えて、フード部が雨よけ、日よけ等になり、利便性が向上する。
【0037】
請求項7の発明の多機能バッグによれば、前記上衣部は、前記バッグ本体部と前記上衣部とを接続する接続部によって、前記バッグ本体部との間に遊びを設けて前記バッグ本体部に取り付けられているから、請求項1に記載の効果に加えて、上衣部の着衣を容易とする。
【0038】
請求項8の発明に係る多機能リュックサックによれば、更に、前記肩ベルト部を収容する肩ベルト収容部を設けたものであるから、上衣部の着衣状態で肩ベルト部を使用しないときには、それを肩ベルト収容部に収納することで、請求項1に記載の効果に加えて、見栄えを良くすることができる。
【0039】
請求項9の発明の多機能バッグによれば、前記バッグ部は、前記使用者の両肩に掛けて背負うリュック部である。よって、請求項1に記載の効果に加えて、両肩に荷物の荷重を分散させるものであるから、使用者の肩への負担を軽減できるものである。
【0040】
請求項10の発明の多機能バッグによれば、前記バッグ部は、前記使用者の一方の肩に掛けられるショルダーバッグ部であるから、請求項1に記載の効果に加えて、バッグ本体部に荷物の出し入れをする場合に肩ベルト部を肩から外さなくともバッグ本体部に荷物の出し入れを可能とする。
【0041】
請求項11の発明の多機能バッグによれば、前記ショルダーバッグ部は、前記乳幼児の臀部を載せる台座部を有するものであるから、請求項10に記載の効果に加えて、上衣部を着用しない状態でも乳幼児を台座部に座らせて楽に抱っこすることができる。そして、乳幼児の保持形態を乳幼児保持部または台座部で選択できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックのリュック部の構成を示す正面図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックのリュック部の構成を示す背面図である。
【
図3】
図3(a)は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックのリュック本体部の内部を説明するための説明図である。
図3(b)は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックのリュック本体部の外サイドポケットを説明するための説明図である。
【
図4】
図4(a)は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックのリュック本体部の背面側で肩ベルト部を収容する構成を説明するための説明図である。
図4(b)は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックのリュック本体部の背面側で上衣部を格納部に格納する構成を説明するための説明図である。
【
図5】
図5は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックの展開された上衣部及び乳幼児保持部の構成を説明するための説明図である。
【
図6】
図6は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックのリュック本体部の背面側の構成を説明するための説明図である。
【
図7】
図7は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックの上衣部及び乳幼児保持部の構成を説明するための斜視図である。
【
図8】
図8は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックの上衣部を使用者が着用し、乳幼児を抱っこした状態を説明する正面側説明図である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックの上衣部を使用者が着用し、乳幼児を抱っこした状態を説明する側面側説明図である。
【
図10】
図10は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックの上衣部を折り畳んで格納部の収納する例の説明図である。
【
図11】
図11(a)は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックの格納部の変形例を説明する説明図である。
図11(b)は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックの格納部の別の変形例を説明する説明図である。
【
図12】
図12は本発明の実施の形態1に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックのフード部を説明する説明図である。
【
図13】
図13は本発明の実施の形態2に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックの上衣部及び乳幼児保持部の構成を説明する正面側説明図である。
【
図14】
図14は本発明の実施の形態2に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックのリュック本体部の背面側の構成を説明するための説明図である。
【
図15】
図15は本発明の実施の形態2に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックの上衣部及び乳幼児保持部の構成を説明するための斜視図である。
【
図16】
図16は本発明の実施の形態2に係る多機能バッグとしての多機能リュックサックの上衣部を使用者が着用し、乳幼児を抱っこした状態を説明する正面側説明図である。
【
図17】
図17は本発明の実施の形態3に係る多機能バッグとしての多機能ショルダーバッグのショルダーバッグ部を使用者の片方の肩にかけた状態を示す正面側説明図である。
【
図18】
図18は本発明の実施の形態3に係る多機能バッグとしての多機能ショルダーバッグのショルダーバッグ部を使用者の片方の肩にかけた状態で、ショルダーバッグ部の台座部に乳幼児を載せた状態を説明する正面側説明図である。
【
図19】
図19は本発明の実施の形態3に係る多機能バッグとしての多機能ショルダーバッグの上衣部を着用した状態の使用者を背面側から見た背面側説明図である。
【0043】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、各実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
【0044】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係る多機能バッグについて、
図1乃至
図10を参照して説明する。本実施の形態1は、本発明の多機能バッグとして多機能リュックサック1に適用した場合を例示するものである。
【0045】
まず、本実施の形態1に係る多機能バッグとして多機能リュックサック1の全体の構成について説明する。
本実施の形態1に係る多機能バッグとして多機能リュックサック1は、それを使用する使用者Mの左右の両肩に掛けられる左右1対の肩ベルト部30R,30L及び荷物を収容するバッグ本体部としてのリュック本体部20を備えたバッグ部としてのリュック部10と、リュック部10の背面側に一体に設けられ、互いに分離している左前身頃部60L及び右前身頃部60R、並びに左前身頃部60L及び右前身頃部60Rと一体の後身頃部60Bで形成された上衣部50と、上衣部50の左前身頃部60Lに一体に形成され乳幼児B1を収容する左前乳幼児保持部70Lと、上衣部50の右前身頃部60Rに一体に形成され別の乳幼児B2を収容する右前乳幼児保持部70Rと、リュック部10の背面側に設けられ左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部50を格納する格納部90とを有するものである。
【0046】
即ち、本実施の形態1に係る多機能リュックサック1は、使用者Mの後側(背中)に担がれる背負いバッグであるリュック部10と、使用者Mの前側で乳幼児B1,B2を収容して保持する乳幼児保持部70R,70Lを有し使用者Mの上半身に着用される袖のないチョッキ、ベスト状の上衣部50とを備えたものである。
【0047】
図1及び
図2等に示すように、本実施の形態1のリュック部10は、荷物等を収容する荷物収容部であるリュック本体部20と、リュック本体部20の上下に環状に接続し、使用者Mの左肩及び右肩に掛けられる1対の肩ベルト部30R,30Lを備えている。
なお、
図1乃至
図3においては、上衣部50が格納部90に格納された状態のリュック部10の構成を示すものである。
【0048】
リュック本体部20は、ナイロンやポリエステル製の生地、好ましくは、防水性や撥水性のある生地を縫製することにより一般的なリュックサックと同様に内部に収容空間を有し開閉自在な開口部を上方に設けたものである。
本実施の形態1のリュック本体部20は、正面部21aと、背面部21bと、上面部21cと、底面部21dと、左右のマチ部21eとによって収容空間を画成した袋状に形成されたものであり、正面部21aと、上面部21c及びその左右のマチ部21eとの間で開口を形成しその開口を逆U字状に形成された線ファスナ21Fで開閉自在とすることにより、正面部21aと上面部21c及びその左右のマチ部21eと間の開口から内部の収容空間に荷物の出し入れを自在としているものである。なお、
図1において、正面部21aと、上面部21c及びその左右のマチ部21eとの間を開閉自在とする線ファスナ21Fは2つのスライダを有し、特定方向のスライドに限定されないことで利き腕に関係なく開閉が容易となっている。
【0049】
なお、
図3(a)に示したリュック本体部20の内部には、正面部21a側の内面に線ファスナ22Fで開閉自在な正面側内ポケット22aが形成され、また、背面部21b側の内面に大ポケット22bL及びその手前側の小ポケット22bSの2重の背面側内ポケット22bが形成されている。特に、背面側内ポケット22bの小ポケット22bSや正面側ポケット22aを形成する生地は、メッシュ地で構成されていることによりそれらポケット内に収容された小物等の荷物の視認を容易としている。更に、背面側内ポケット22bの小ポケット22bSでは、メッシュ地により弾性的な保持を可能とし、収容したものが外部に飛び出し難いようになっている。また、大ポケット22bLは、例えば、A4サイズ以上の大きさで、クッション性を有する生地またはクッション性のある芯材を内包した生地で形成されていることにより、その内部に収容する物に対する衝撃を軽減できるようにしている。このため、例えばタブレット等の電子機器や携帯電話等を収納するのに好適である。
更に、左右の一方側のマチ部21e側の内面に、上部が開口しその開口端部に伸縮性を持たせた内サイドポケット22cが形成され、また、反対側のマチ部21e側の内面に、環状の差込部22dが形成されている。こうした内サイドポケット22cや差込部22dでは、例えば、水筒、ペットボトル、折り畳み傘等を上方から差し込んで収納、保持することができる。
なお、
図3(a)においては、リュック本体部20の外面側に形成されている後述の外サイドポケット等は省略してある。
【0050】
よって、
図3(a)に示したリュック本体部20においては、多くの荷物を雑然と収容するものでなく、必要に応じて、荷物を内ポケット22a、22b、22cや差込部22dに収納することで、多くの荷物の中から目的の物を探して取り出す作業が煩雑にならずに済み、リュック本体部20の内部から目的の物を容易に取り出すことができるようになっている。
【0051】
また、
図1に示したリュック本体部20においては、その正面部21aの外面側(正面側)の下部に横方向に延びた線ファスナ23Faの係脱で開閉自在な略矩形状の前ポケット23aが形成されている。即ち、前ポケット23aは、それを構成する布地が線ファスナ23Faの係脱によって上下に分割自在であることにより開閉自在とされているものである。なお、線ファスナ23Faは被覆地23bにより被覆自在で覆い隠すことができるようになっており、デザイン性、安全性、防犯性を良くしている。開閉手段が線ファスナ23Faであれば利き腕に関係なく開閉が容易である。
【0052】
更に、左右の一方側のマチ部21eの外面側には、上方に開口した袋状の外サイド小ポケット23bSを形成し、更にその外サイド小ポケット23bSの外面側には、縦方向に延びた線ファスナ23Fbで開閉自在な縦長の略矩形状の外サイド大ポケット23bLが形成されている。この外サイド大ポケット23bLは、例えば、
図3(b)に示すように、箱ティッシュ等が収容可能なサイズに形成され、それを構成する布地が線ファスナ23Fbの係脱によって左右に分割自在であることにより開閉自在とされている。
図3(b)の外サイド大ポケット23bLにおいては、線ファスナ23Fbを外サイド大ポケット23bLの長さに対して部分的に設けることにより、線ファスナ23Fbを開いた状態にしていても、外サイドポケット23bLの内部に収納したティッシュ、シート、ビニール袋等のパッケージを取り出すことなく、線ファスナ23Fbを開いた開口から箱ティッシュ、ポケットティッシュ、ウェットティッシュ、お尻ふきシート等のティッシュやシート、ビニール袋等のみを容易に取り出すことができるようにしている。即ち、パッケージ入りのティッシュ、シート、ビニール袋等は、そのパッケージごと取り出してティッシュ、シート、ビニール袋等を1枚ずつ取出す作業をしなくても、リュック部10を背負ったまま片手をリュック部10のサイドにまわして、外サイド大ポケット23bLに収納されたパッケージ入りのティッシュ、シート、ビニール袋を1枚ずつ取出すことができ、使い勝手が良いものとなっている。
【0053】
加えて、袋状の外サイド小ポケット23bSを形成し、外サイド大ポケット23bLの左右の両側でマチ部21eに接続している左右の両側面部には、それぞれ、環状にタブ23cが縫着され、そのタブ23cは環状部23c1と自由端部23c2を有し、環状部23c1と自由端部23c2には、1対のホック部23HA,23HBを設けて環状部23c1と自由端部23c2を互いに接合自在としている。これより、タブ23cの環状部23c1に物(傘、鍵、キーホルダー等)を引っ掛けたり、環状部23c1と自由端部23c2の1対のホック部23HA,23HBでビニール袋等を挟んで嵌着したりすることでビニール袋等を保持することが可能である。
【0054】
また、反対側のマチ部21eの外面側にも、上方に開口しその開口端部に伸縮性を持たせた外サイドポケット23dが形成されている。この外サイドポケット23dでも、例えば、水筒、ペットボトル、折り畳み傘等を上方から差し込んで収納、保持することができる。
【0055】
更に、
図2に示すように、外サイドポケット23dが形成されている部分のマチ部21eと背面部21bとの間に部分的にスリット状の開口部24が形成され、その開口部24は縦方向に延びた線ファスナ24Fによって開閉自在となっており、線ファスナ24Fを下げて開いた開口部24からリュック本体部20の内部に荷物を収容することも可能となっている。これより、リュック本体部20を使用者Mが背負った状態でも、背中からリュック部10を降ろすことなく、線ファスナ24Fを下げてリュック本体部20の内部に荷物の出し入れをすることが可能である。即ち、リュック本体部20の側面にリュック本体部20の内部に荷物を出し入れ自在とする開閉自在なスリット状の開口部24を有するから、肩に背負ったリュック本体部20を下ろさなくてもリュック本体部20の内部に荷物を出し入れ自在であり、使い勝手が良いものである。
加えて、リュック本体部20の上部、詳細には、上面部21c及び背面部21bの境界には、フック26が環状に接続されており、フック26を介して多機能リュックサック1を吊り下げたり、フック26を持ち手として把持して多機能リュックサック1持ち運んだりするのに好適となっている。持ち運ぶ際に肩ベルト部30R,30Lでなくフック26を把持すれば肩ベルト部30R,30Lの変形、へたり等も生じ難いものとなる。
【0056】
こうして、
図1乃
図3に示したリュック本体部20を備えた多機能リュックサック1によれば、リュック部10のリュック本体部20の外側にも複数のポケットが形成されており、鍵、携帯電話等の小物や使用頻度が高いビニール袋、ティッシュ、シート等の荷物をそれらポケットに収納しておくことで、リュック部10を背中から降ろすことなく背負ったまま、容易に取り出すことが可能である。また、外側のポケットをゴミ入れとして使用することも可能である。
特に、使用者Mが乳幼児B1,B2を抱えた状態や乳幼児Bから目を離せない状態でも、リュック部10を背中から降ろすことなく背負ったまま、目的の物を収納したり取り出したりすることができるものであるから、乳幼児B1,B2と一緒に外出する使用者Mにとっては、非常に使い勝手が良いものである。
【0057】
更に、リュック本体部20の背面側、即ち、リュック本体部20の背面部21b側の外面側には、その上下に左右で1対の肩ベルト部30R,30Lが接続されている。
図2に示すように、本実施の形態1においては、左右1対の肩ベルト部30R,30Lの各々は、その長さ方向の一端部がリュック本体部20の上部の背面部21b及び上面部21cの境界に接続され、他端部が、リュック本体部20の下部の背面部21b及びマチ部21eの境界に接続されている。
【0058】
そして、本実施の形態1の各肩ベルト部30R,30Lは、長さ方向の一端部をリュック本体部20の上部の背面部21b及び上面部21cの境界に縫着している幅広でクッション性のある肩掛け本体部31と、肩掛け本体部31から連続し使用者Mの肩周りに掛けるベルト長を調節自在とするアジャスタ32aを有する調節ベルト部32と、リュック本体部20の左または右の下部の背面部21b及びマチ部21eの境界に縫着しているタブ33と、調節ベルト部32及びタブ33に取り付けられた連結具である係脱自在な1対のバックル34A,34Bとから構成されている。
【0059】
各肩ベルト部30R,30Lにおいては、肩掛け本体部31の長さ方向の一端部が、リュック本体部20の外面側の上部でその背面部21b及び上面部21cの境界に縫着され、また、その肩掛け本体部31に調節ベルト部32を構成する帯状のベルト布地32bが縫い付けによって取付けられて、そのベルト布地32bは肩掛け本体部31の長さ方向の他端部から延出している。一端部側が肩掛け本体部31に縫着され肩掛け本体部31から連続したベルト布地32bの他端部側には、アジャスタ32aが取付けられ、そのアジャスタ32aには、連結具の1対のバックル34A,34Bのうちの一方のバックル34Bが取り付けられた別のベルト布地32cが取付けられている。即ち、本実施の形態1の調節ベルト部32は、ベルト布地32b,32c及びアジャスタ32aから構成されている。更に、連結具の1対のバックル34A,34Bのうちの一方のバックル34Aは、リュック本体部20の外面側の下部でその背面部21b及びマチ部21eとの境界に縫着されたタブ33に取付けられている。
【0060】
これより、本実施の形態1の各肩ベルト部30R,30Lにおいては、1対のバックル34A,34Bの接合状態では、リュック本体部20及び肩ベルト部30R,30Lで使用者Mの肩周りに掛ける環状が形成される。
即ち、本実施の形態1の各肩ベルト部30R,30Lにおいては、肩掛け本体部31及び調節ベルト部32側とタブ33側とが連結具としてバックル部(バックル受具)34A及びタング部(バックル差込具)34Bからなる1対のバックル34A,34Bを介して連結及び分離自在であり、1対のバックル34A,34Bの接合により肩掛け本体部31及び調節ベルト部32側とタブ33側とが連結されることで、使用者Mの腕、肩が通される環状をリュック本体部20と間に形成する。よって、肩ベルト部30R,30L及びリュック本体部20の間に形成された環状部に使用者Mの腕、肩を通して肩ベルト30R,30Lを使用者Mの肩に掛けることでリュック本体部20を使用者Mの背中に背負うことができる。
【0061】
特に、このように本実施の形態1の各肩ベルト部30R,30Lが連結具として1対のバックル34A,34Bにより分離自在であることで、後述するように、上衣部50の着用時には、
図4(a)及び
図6に示すように、1対のバックル34A,34Bの接合を解除して肩掛け本体部31及び調節ベルト部32側をタブ33側と分離することで、肩掛け本体部31及び調節ベルト部32を、上衣部50とリュック本体部20との間に形成された肩ベルト収容部39に収納自在となる。
【0062】
なお、使用者Mの肩に掛けられる肩掛け本体部31は、例えば、所定の緩衝性等を有する材料で形成されてクッション性を有し、使用者Mの肩回りへの馴染み、フィット性を良くして使用者Mへの肩にかかる負荷を少なくしている。例えば、表裏面の意匠生地の間に可撓性を有し若干の弾性を持つ芯材やクッション材を入れたり、立体編物(ダブルラッシェル)を使用したりすることで、使用者Mの肩周りで部分的に荷重の集中が生じないようにすることができる。肩掛け本体部31の厚みは、例えば、1mm~20mm程度で、幅は、10mm~70mm程度である。好ましくは、厚みが2mm~15mmの範囲内で、幅が30~60mmの範囲内であることで、肩にかけやすくてかつ肩から滑落し難く、肩への負荷が少ない快適なものとなる。
【0063】
なお、
図2等で示した肩ベルト部30R,30Lの肩掛け本体部31においては、その長さ方向の中央側へ向かって内側に湾曲した形状に形成されている。これより使用者Mの肩周りにフィットしやすく、また、肩ベルト部30R,30Lの装着時に肩ベルト部30R,30Lが外側に引っ張られ難くてずれ難いものとなる。更に、肩にかかる重さが分散される。よって、肩への負荷を軽減できるものである。しかし、本発明を実施する場合には、肩掛け本体部31を直線状(ストレート)にすることも可能である。
【0064】
また、本実施の形態1の各肩ベルト部30R,30Lにおいては、上述したように、肩掛け本体部31の幅広の外面に調節ベルト部32を構成する所定長さの薄いベルト布地32bが縫付けられ、肩掛け本体部31のリュック本体部20の上部への縫着側とは反対側の長さ方向の他端部側でベルト布地32bにアジャスタ32aが取り付けられている。そして、そのアジャスタ32aには、タング部(バックル差込具)34Bが取付けられた別の薄いベルト布地32cが取り付けられている。即ち、アジャスタ32aの貫通孔にベルト布地32bを通し環状にして肩掛け本体部31a側に縫付けている一方、タング部34Bを端部に設けたベルト布地32cもアジャスタ32aの別の貫通孔に通すことでアジャスタ32aを介してベルト布地32b及びベルト布地32cが連結されている。このように、各肩ベルト部30R,30Lにおいては、ベルト布地32b,32c及びアジャスタ32aから構成されている調節ベルト部32を有することにより、肩掛け本体部31から下方に延び、タブ33に接続される部分の長さをアジャスタ32aに通したベルト布地32cによって調節できる。これより、使用者Mの肩周りにかけまわす環状の長さ、即ち、使用者Mの肩に掛ける肩周りの長さを調節できるから、使用者Mの体形に合わせてフィットさせることができて、肩周りに掛かる力の分散が可能で肩周りに部分的な負荷を掛け難いものとなっている。
【0065】
更に、本実施の形態1の各肩ベルト部30R,30Lにおいては、
図2に示すように、肩掛け本体部31に設けた薄いベルト布地32bは、肩掛け本体部31の長さ方向に沿ってその外面側で部分的に縫着されているもので、肩掛け本体部31の外面側に配設され4方向にベルト通しを形成したベルト可動用アジャスタ36aを摺動自在とするスライドベルト部を構成している。
そして、本実施の形態1の左右の肩ベルト部30R,30Lには、両者間の間隔を調整保持するチェスト部35が設けられている。このチェスト部35は、左右の各肩掛け本体部31の外側の面に縫付けているベルト布地32bからなるスライドベルト部に取付けた4方向にベルト通しを設けたベルト可動用アジャスタ36aと、そのベルト可動用アジャスタ36aに対し肩掛け本体部31の周囲に巻いて取付けたベルト布地36bと、連結具であるアジャスタ36c付き1対のバックル36A,36Bとから構成され、1対のバックルの一方のバックル部36A(バックル受具)が一方の肩ベルト部30L側に設けたベルト可動用アジャスタ36aに接続したベルト布地36bに取付けられ、他方のアジャスタ36c付きタング部36B(バックル差込具)が他方の肩ベルト部30R側に設けたベルト可動用アジャスタ36aに接続したベルト布地36bに取付けられたものである。
こうして左右の肩ベルト部30R,30Lの肩掛け本体部31に取付けられたチェスト部35は、1対のバックル36A,36Bの接合及びその解除により左右の肩掛け本体部31間を連結自在とする。
【0066】
これより、左右の肩ベルト部30R,30Lを肩に掛けた状態で、チェスト部35のバックル部36A及びタング部36Bを接合すると、左右の肩ベルト部30R,30Lの間隔が固定される。これより、使用者Mの肩から肩ベルト部30R,30Lが外れたりズレたりし難くなり、安定する。特に、胸を圧迫することなくリュック部10を楽に背負うことが可能となる。
【0067】
更に、本実施の形態1のチェスト部35においては、タング部36Bにアジャスタ機能が付設していることで、アジャスタ36c付きタング部36Bに取付けたベルト布地36bのベルト長をアジャスタ36cにより調節自在である。よって、使用者Mの体形に合わせて左右の肩ベルト部肩ベルト部30R,30Lの相互間の間隔(距離)が調整可能であり、使用者Mにとって負担の少ない位置に肩ベルト30R,30Lの間隔を固定できる。即ち、使用者Mの体型、使い勝手等に応じて、荷物の荷重を使用者Mにとって負担の少ない位置に調節できる。荷物の荷重を分散できることにより負荷を少なくできるから、肩の凝りやすい人でも、肩の負担を軽減できる。
【0068】
なお、本実施の形態1では、肩ベルト部30R,30Lのバックル34A,34Bや、チェスト部35のバックル36A,36Bが1対の雌雄のバックル部(バックル受具)及びタング部(バックル差込具)から構成されワンタッチでの接合及びその解除を可能し、押圧による着脱操作が容易である。また、人為的に係合を解かない限り外れることもなくて取付けの信頼性が高く、機械的強度も高い。しかし、本発明を実施する場合には、バックルに限定されず、ボタンとループ、ホック、フック、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ、楕円リング等の連結具を使用することも可能である。なお、アジャスタは、ベルト長を調節できるものであれば、バックル等の連結具から独立したアジャスタでもよいし、連結具と一体となったものでもよく、1対の連結具の両方にアジャスタ機能を設けても良いし、何れか一方のみでもよい。
【0069】
更に、左右の肩ベルト部30R,30Lを連結自在とするチェスト部35は、各肩ベルト部30R,30Lの肩掛け本体部31の長さ方向に沿って表面に設けたベルト布地32bからなるスライドベルト部に対して4方向にベルト通しを設けたベルト可動用アジャスタ36cを取付けていることで、肩掛け本体部31の長さ方向に沿って設けたベルト布地32bからなるスライドベルト部の長さ方向に対し、ベルト可動用アジャスタ36aを介して摺動自在である。即ち、チェスト部35は、肩掛け本体部31の長さ方向に移動自在である。
【0070】
したがって、左右1対の肩ベルト部30R,30Lを使用者Mの肩に掛けて、チェスト部35によって肩ベルト部30R,30Lの相互間を連結した状態でも、チェスト部35の位置を肩ベルト部30R,30Lの肩掛け本体部31の長さ方向に沿って移動させることでも、荷物の荷重を使用者Mにとって負担の少な位置に調節できる。即ち、使用者Mの体型、使い勝手等に応じて、肩ベルト部30R,30Lが肩からズレ難くてフィットするようにチェスト部35の位置及び左右1対の肩ベルト部30R,30Lの間隔を調節できる。よって、肩の凝る人でも肩の負担をより軽減できる。また、チェスト部35の位置を肩掛け本体部31の長さ方向に沿って移動させることで、チェスト部35の1対のバックル36A,36Bの接合位置を使用者Mにとって操作がし易い最適な位置に調節することが可能である。
【0071】
そして、
図6等に示すように、本実施の形態1では、このように1対の肩ベルト部30R,30L及びリュック本体部20を備えたリュック部10に対し、その背面側、即ち、リュック本体部20の背面部21bの外面側で、乳幼児B1,B2を保持する乳幼児保持部70R,70Lを備えた上衣部50が縫い付けられている。
【0072】
図5乃至
図9に示すように、本実施の形態1の上衣部50は、着衣したときに使用者Mの左の前側を覆う左前身頃部60Lと、使用者Mの右の前側を覆う右前身頃部60Rと、使用者Mの後ろの背中を覆う後身頃部60Bと、使用者Mのウエスト周りに配設されるウエストベルト部80とから概略構成されており、左前身頃部60L、右前身頃部60R、後身頃部60B、及びウエストベルト部80は縫製によって一体に形成されているものである。そして、上衣部50を構成する左前身頃部60Lの前面に乳幼児B1を収容する左前乳幼児保持部70Lが形成され、また、右前身頃部60Rの前面に別の乳幼児B2を収容する右前乳幼児保持部70Rが形成されている。
【0073】
本実施の形態1の上衣部50においては、互いに分離している左前身頃部60L及び右前身頃部61Rと、左前身頃部60L及び右前身頃部60Rを繋いでいる後身頃部60Bとで構成されていることにより、右前身頃部60Rと後身頃部60Bとによって使用者Mの右腕が通される右袖ぐり部61Rが形成され、左前身頃部60Lと後身頃部60Bとによって使用者Mの左腕が通される左袖ぐり部61Lが形成されている。これより、右袖ぐり部61Rに使用者Mの右腕を通し、また、左袖ぐり部61Lに使用者Mの左腕を通すことで使用者Mの上半身に上衣部50が着用されることになる。
【0074】
本実施の形態1の上衣部50は、右前身頃部60Rと後身頃部60Bの境界の右肩山部62R、左前身頃部60Lと後身頃部60Bの境界の左肩山部62L、及び後ろ襟部62B(肩幅相当部分)がリュック部10におけるリュック本体部20の背面部21bの外面側の上部に縫着され、また、後身頃部60Bの下部が略矩形状または略台形状の接続部64を介して、リュック本体部20の背面部21bの外面側の下部に縫着されていることで、リュック部10の背面側に縫製によって一体に固着されている。
【0075】
特に、本実施の形態1の上衣部50は、その上部側が、右前身頃部60Rと後身頃部60Bの境界の右肩山部62R、左前身頃部60Lと後身頃部60Bの境界の左肩山部62L、及び後ろ襟部62B(肩幅相当部分)がリュック部10におけるリュック本体部20の背面部21bの外面側の上部に直接縫い付けられている一方で、下部側では、その中央側で、後身頃部60Bとリュック本体部20の背面部21bとの間を接続する接続部64が両者に縫付けられていることにより、後身頃部60Bが接続部64による遊びを設けてリュック本体部20の背面部21bに縫着されている(
図6、
図9参照)。
これより、リュック本体部20に縫着されている上衣部50を使用者Mが着用する際に、リュック本体部20側に重心を持たせて上衣部50を使用者Mが楽に着衣、脱衣できるようにしている。即ち、リュック本体部20に荷物が入って重くなっていても、より迅速に、容易にリュック本体部20に固着されている上衣部50の脱ぎ着を可能とする。
【0076】
なお、本発明を実施する場合には、上衣部50の上部側も接続部64による遊びを持たせてリュック本体部20の背面部21bに縫着するようにしてもよいが、下部のみに遊びを持たせることで、上衣部50を着用してリュック本体部20を背負ったときのリュック本体部20のがたつきを少なくし、安定することによりリュック本体部20の快適な装着を可能とする。
しかし、本発明を実施する場合には、後身頃部60Bが接続部64による遊びを設けることなくリュック本体部20の背面部21bの下部に直接縫い付けてもよい。
【0077】
本実施の形態1において、上衣部50を構成する後身頃部60Bは、例えば、その略全体において撥水性、防水性のあるナイロン等の生地で形成され、その表裏の意匠生地間に、略全体において緩衝材を入れた構成としている。
上衣部50を構成する右前身頃部60R及び左前身頃部60L(以下、両者を特に区別したときは単に「前身頃部60R,60L」と称する場合がある)は、上方の肩側が細幅で下方が太幅に形成されている。これら前身頃部60R,60Lにおいても、例えば、その略全体において撥水性、防水性のあるナイロン等の生地で形成され、その表裏の意匠生地間に、部分的に、例えば、肩側等に、緩衝材を入れた構成としている。
特に、意匠面が撥水性、防水性のあるナイロン等の生地であれば、汚れのふき取りが可能で手入れしやすいものである。
なお、上衣部50の右袖ぐり部61Rに使用者Mの右腕を通し、また、左袖ぐり部61Lに左腕を通して上衣部50を着用した際には、使用者Mの首周りが略V字状となるように使用者Mの首周りに配設する所定の端部は斜めに形成されている。
【0078】
そして、本実施の形態1の上衣部50においては、それを構成する左前身頃部60Lの前面に第1の乳幼児B1を収容して保持する左前乳幼児保持部70Lを有し、また、右前身頃部60Rの前面に別の乳幼児B2を保持する右前乳幼児保持部70Rを有する。
【0079】
各乳幼児保持部70L,70Rは、乳幼児B1,B2の臀部及び背中側を主に支持する保持本体部71と、保持本体部71の上側の幅方向の両側から延出し前身頃部60R,60Lに縫付けて接続した接続側部72とからなる支持部を有し、それら支持部としての保持本体部71及び接続側部72は縫製によって一体に形成され、また、前身頃部60R,60Lとも縫製によって一体に形成されている。
【0080】
保持本体部71は、下方に向かって幅狭に形成され、その下端部が前身頃部60R,60Lの下部に設けたウエストベルト部80と共に前身頃部60R,60Lの下端部に縫い付けられている。また、保持本体部71の幅方向の左右両側から延出している接続側部72は、使用者Mの脇側に配設する方の接続側部72が前身頃部60R,60Lと後身頃部60Bとの境に接続(縫着)され、反対側の接続側部72が、使用者Mの上衣部50の前開き側の前身頃部60R,60Lの端部(前端部)に接続(縫着)されている。
【0081】
本実施の形態1の保持本体部71においても、前身頃部60R,60Lと同様、その略全体において撥水性、防水性のあるナイロン等の生地で形成され、その表裏の意匠生地間に部分的に緩衝材を入れることにより構成されている。例えば、接続側部72よりも下方に位置し乳幼児B1,B2の主に臀部や腰を受けることになる下側保持部71aと、接続側部72よりも上方に位置し乳幼児B1,B2の主に背中上方、首側、頭部側を受けることになる上側保持部71bとには、撥水性、防水性のあるナイロン等の生地からなる意匠生地の間に緩衝材(緩衝性のある芯材等を含む)を入れることによって、所定の柔軟性、可撓性、緩衝性等を持たせている。
【0082】
なお、本実施の形態1の保持本体部71では、中に緩衝材を入れた部分と入れていない部分との境界において表生地及び裏生地間を縫合線71p,71qで縫合していることによって、内包した緩衝材の位置ずれ、偏りを生じ難いものとしている。特に、下側保持部71aと上側保持部71bとの間で緩衝材を入れない中間保持部71cを形成し、上側保持部71bと中間保持部71cとの間で縫合線71pにて表裏生地間が縫合されていることにより、上側保持部71bと中間保持部71cとの間で折曲げが容易であり、乳幼児B1,B2の頭部の重みに応じて上側保持部71bが中間保持部71cの面に対して傾斜し易く(折れ曲がり易く)なっている。これより、乳幼児B1,B2の頭部及び首部に無理が加わらないように乳幼児B1,B2の頭部及び首部の保護を強化できる。また、身長が低い乳幼児B1,B2を保持する場合でも、中間保持部71cの面に対して上側保持部71bを乳幼児B1,B2側とは反対側(外側)に折曲して使用することで、乳幼児B1,B2の頭部及び首部の保護を強化できると共に、乳幼児B1,B2の視界を広げることができる。
【0083】
更に、本実施の形態1の保持本体部71において、接続側部72よりも下方に位置し乳幼児B1,B2の主に臀部、腰を受けることになる下側保持部71aでは、その幅方向の左右両側で略弧状に湾曲した1対の縫合線71rによって表生地及び裏生地の意匠生地間を縫合することにより、中央側と端部との間で折曲げがしやすくなっている。これによって、乳幼児B1,B2を保持しやすい立体的な収容空間が形成されやすくなり、乳幼児B1,B2の臀部が落ち込みやすく、臀部の重心が安定しやすくなる。よって、乳幼児B1,B2の負担が少なく快適な姿勢での保持を可能とし、保持安定性が高くなる。
加えて、1対の縫製線71rによって区切られた左右両側の端部側は、開脚状態で保持される乳幼児B1,B2の太股が接触する部位であることから、中央側よりもクッション性を高めている。これにより、乳幼児B1,B2の太股への当たりを良くし、圧迫を軽減できる。
このようにして、本実施の形態1の保持本体部71においては、乳幼児B1,B2にとって快適な座り心地、姿勢での保持を可能としている。
【0084】
そして、保持本体部71は、中間保持部71cの幅方向の左右両側に延出した接続側部72を介し前身頃部60R,60Lに接続されている。即ち、接続側部72によって前身頃部60R,60Lと保持本体部71が連結され、乳幼児保持部70L,70Rは、略袋状に前身頃部60R,60Lと一体に形成されている。
これより、
図5、
図7乃至
図9等に示したように、保持本体部71の下側の左右側縁部と、接続側部72の下側縁部と、前身頃部60R,60Lとの間に形成された環状の開口に乳幼児B1,B2の脚が通され、保持本体部71と接続側部72と前身頃部60R,60Lとの間に形成された空間内で乳幼児B1,B2が収容されて保持される。即ち、保持本体部71の下側の左右側縁部と、接続側部72の下側縁部と、前身頃部60R,60Lとの間に形成された環状の開口に乳幼児B1,B2の脚が通され、乳幼児B1,B2の前側(正面側)を使用者Mに対向させる対面抱っこの形態で、乳幼児B1,B2が上記空間に収容される。このとき、収容した乳幼児B1,B2の背側に保持本体部71があてがわれ、乳幼児B1,B2の反背側の腹側には前身頃部60R,60Lが配設する。こうして、乳幼児保持部70L,70Rは、保持本体部71で乳幼児B1,B2を支持し、また、接続側部72で乳幼児B1,B2が横に倒れて落下しないように支持することで、乳幼児B1,B2を保持する。特に、保持本体部71の下側の左右側縁部と、接続側部72の下側縁部と、前身頃部60R,60Lとの間に形成された環状の開口に乳幼児B1,B2の脚を通すことで、乳幼児B1,B2にとって快適な開脚姿勢での保持を可能とし、乳幼児B1,B2の落下も規制される。
【0085】
また、本実施の形態1の上衣部50においては、左前乳幼児保持部70Lの保持本体部71の上部の左右の端部のうち上衣部50の前開き側の端部に、連結具である1対のバックル74A,74Bのうちの一方のバックル受具74Aを有する連結ベルト75の一端部が縫い付けられ、上衣部50の右前身頃部60Rの肩側の細幅部分には、他方のバックル差込具74Bを有するベルト布地76が縫い付けられている。同様に、右前乳幼児保持部70Fの保持本体部71の上部の左右の端部のうち上衣部50の前開き側の端部に、連結具である1対のバックル74A,74Bのうちの一方のバックル受具74Aを有する連結ベルト75の一端部が縫い付けられ、上衣部50の左前身頃部60Lの肩側の細幅部分には、他方のバックル差込具74Bを有するベルト布地76が縫い付けられている。
【0086】
よって、左前乳幼児保持部70Lの上部左右のうち上衣部50の前端側(使用者Mから見て右側)に設けた連結ベルト75のバックル受具74Aと、右前身頃部60Rの肩側にベルト布地76を介して設けたバックル差込具74Bとの接合により左前乳幼児保持部70Lの上部の左右のうち上衣部50の前端側の一方を、それより上方の位置で右前身頃部60Rと接続することで、左前乳幼児保持部70Lの乳幼児B1を入れる上方開口が規制されるから、上方開口が大きく開いて乳幼児B1が落下してしまう事態を防止できる。
同様に、右前乳幼児保持部70Rの上部左右のうち上衣部50の前端側(使用者Mから見て左側)に設けた連結ベルト75のバックル受具74Aと、左前身頃部60Lの肩側にベルト布地76を介して設けたバックル差込具74Bとの接合により右前乳幼児保持部70Rの上部の左右のうち上衣部50の前端側の一方を、それより上方の位置で左前身頃部60Lと接続することで、右前乳幼児保持部70Rの乳幼児B2を入れる開口が規制されるから、上方開口が大きく開いて乳幼児B2が落下してしまう事態を防止できる。
【0087】
また、右前身頃部60R及び左前身頃部60Lが接続されるから、右前身頃部60R及び左前身頃部60Lの開きが規制され、使用者Mが動いても上衣部50が乱れ難く、左前乳幼児保持部70Lや右前乳幼児保持部70Rで保持された乳幼児B1,B2の保持位置を安定化させることができる。
【0088】
ここで、本実施の形態1において、連結具である1対のバックル74A,74Bは、回転式バックルにより構成され、1対のバックル74A,74Bのうち、保持本体部71に接続した連結ベルト75に設けたバックル74Aは回転式バックルの連結受具であり、前身頃部60L,60R側に設けたバックル74Bは回転式バックルの連結差込具である。
回転式バックルの連結差込具74Bは、球状の係合凸部が形成されており、ベルト布地76を介して前身頃部60L,60Rの肩側に設けたものである。
回転式バックルの連結受具74Aは、その中央に連結差込具74Bの球状の係合凸部が差し込まれる円形状の係合凹部が形成され、また、その側部に1対のプッシュボタンが形成されている。更に、連結受具74Aは、アジャスタ74aを有し、そのアジャスタ74aに連結ベルト75を通すことにより、連結ベルト75に設けられ、その連結ベルト75は、乳幼児保持部70L,70Rの保持本体部71の上部の前側端部に取付けられている。
【0089】
こうして、本実施の形態1では、1対のバックル74A,74Bは、回転式バックルにより構成されていることにより、その回転式バックルを構成する連結差込具74Bの球状の係合凸部と、連結受具74Aの円形状の係合凹部とを嵌合することにより、連結受具74Aに対して連結差込具74Bが回転自在に接合され、連結受具74Aの側部の1対のプッシュボタンを押すことで接合の解除が可能となっている。
特に、連結差込具74Bの係合凸部が球状で、連結受具74Aの係合凹部が円形状であるから、接合方向が特定されることなく、両者は何処の角度からでも接合することができる。このため、使い勝手が良く、乳幼児B1,B2を安全に保持する装着が迅速にできる。そして、このように連結差込具74Bと連結受具74Aが回転自在に接合されるものでは、使用者Mや乳幼児B1,B2の動き等に応じ前身頃部60R,60Lに対する乳幼児保持部70L,70Rの角度が変化するから、使用者Mや乳幼児B1,B2の動き等を拘束し難いものとなり、使用者Mや乳幼児B1,B2に対し窮屈感を生じさせないものとなる。
【0090】
加えて、アジャスタ74aに連結ベルト75を通していることで左前乳幼児保持部70Lの上部と右前身頃部60Rの肩側との間を掛け渡す連結ベルト75や右前乳幼児保持部70Rの上部と左前身頃部60Lの肩側との間を掛け渡す連結ベルト75の長さが調節自在であり、使用者Mの体型に応じて使用者Mや乳幼児B1,B2にとって窮屈感、締め付け感、圧迫感を生じさせることのない位置で乳幼児B1,B2を保持可能となっている。
【0091】
なお、本実施の形態1では、1対のバックル74A,74Bは、回転式バックルにより構成されワンタッチでの接合及びその解除を可能し、押圧による着脱操作が容易である。また、人為的に係合を解かない限り外れることもなくて取付けの信頼性が高く、機械的強度も高い。しかし、本発明を実施する場合には、バックルに限定されず、ボタンとループ、ホック、フック、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ、楕円リング等の連結具を使用することも可能である。なお、アジャスタは、ベルト長を調節できるものであれば、バックル等の連結具から独立したアジャスタでもよいし、連結具と一体となったものでもよく、1対の連結具の両方にアジャスタ機能を設けても良いし、何れか一方のみでもよい。
【0092】
更に、本実施の形態1においては、上記連結ベルト75とは別途に、右前身頃部60R及び左前身頃部60Lを連結するチェスト部65が設けられている。チェスト部65は、一端部が右前身頃部60Rの右袖ぐり部61R側に縫付けられ他端部に連結具である1対のバックル66A,66Bのうちアジャスタ付きタング部66B(バックル差込具)を設けた連結ベルト67と、一端部が左前身頃部60Lの左袖ぐり部61L側に縫付けられ他端部に連結具である1対のバックル66A,66Bのうちバックル部66A(バックル受具)を設けた連結ベルト68とから構成されており、左前身頃部60Lに取付けられた連結ベルト67のタング部66Bと右前身頃部60Rに取付けられた連結ベルト68のバックル部66Aとの接合により右前身頃部60R及び左前身頃部60Lが接続される。これによっても、右前身頃部60R及び左前身頃部60Lの開きが規制され、使用者Mが動いても上衣部50が乱れ難く、左前乳幼児保持部70Lや右前乳幼児保持部70Rで保持された乳幼児B1,B2の保持位置を安定化させることができる。加えて、連結ベルト67においてはアジャスタを設けていることにより、使用者Mの体型に応じて窮屈感、圧迫感を与え難いベルト長に調節できる。
【0093】
また、本実施の形態1の上衣部50においては、左前身頃部60L、右前身頃部60R、及び後身頃部60Bの下部にウエストベルト部80が縫製により一体に形成されている
本実施の形態1のウエストベルト部80は、左前身頃部60L、右前身頃部60R、及び後身頃部60Bの下端部に縫製された厚みがあり幅広なウエストベルト本体部81と、ウエストベルト本体部81の外側表面に縫製されその長さ方向の両側に延出し、長さ方向の一方の端部で連結具である1対のバックル84A,84Bのうちの一方のバックル部(バックル受具)84Aを設け、反対側の端部で他方のタング部(バックル差込具)84Bを設けた幅広ベルト82とから構成され、幅広ベルト82に設けたアジャスタ84a付きベルト部84Bとアジャスタ84a付きタング部84Bの接続によって環状に接続自在であり、使用者Mのウエスト周りに固定する取付け及び取外しを自在とする。
【0094】
ウエストベルト本体部81は、例えば、その略全体において撥水性、防水性のあるナイロン等の生地で形成され、その表裏の意匠生地間に、両側端部を除く長さにおいて厚み、緩衝性のある芯材を入れた構成とし、所定の柔軟性、可撓性、弾性、緩衝性、剛性等を有する。なお、芯材は、ウエストベルト本体部81の長さ方向の全体に配設させてもよいが、1対のバックル84A,84Bが接続される両側端部の位置では、芯材を配設しないことにより、1対のバックル84A,84Bの接続操作をしやすくでき、装着に手間取らず、使い勝手がよい。
【0095】
ウエストベルト本体部81の両側端部から延出している幅広ベルト82の延出長さは、使用者Mのウエスト周りへの取付けに必要なベルト長が決められるように所定の長さを有し、1対のアジャスタ付きバックル84A,84Bを有することで、そのアジャスタ機能により使用者Mのウエストの周囲の長さに合わせることができる。なお、アジャスタは、ベルト長を調節できるものであれば、連結具から独立したアジャスタでもよいし、連結具と一体となったものでもよい。勿論、バックル84A,84Bの両者にアジャスタ機能を設けても良いし、何れか一方のみでもよい。
【0096】
このように本実施の形態1では、左前身頃部60L、右前身頃部60R、及び後身頃部60Bの下部に環状に接続自在なウエストベルト部80を設けて、ウエストベルト部80の1対のバックル84A,84Bの接合により、ウエストベルト部80を使用者Mのウエスト周りに固定することにより、乳幼児保持部70L,70Rで受ける乳幼児B1,B2の体重を使用者Mのウエスト周りに分散することができる。よって、使用者Mにとっての負荷を軽減でき、乳幼児B1,B2を楽に保持することができる。また、上衣部50の下部側が接続されることにより、乳幼児Bや使用者Mの動きによっても着衣が乱れ難く、乳幼児B1,B2の保持位置も安定させることができ、安定感のある保持を可能とする。更に、幅広ベルト82にアジャスタ84aが設けられ、環状に接続する長さを調節自在であることにより、使用者Mの体格に合わせ使用者Mのウエスト周りを締め付け自在であり、窮屈感を与えずに使用者Mのウエスト周りにフィットさせて乳幼児B1,B2の荷重を分散させることが可能である。
【0097】
なお、本実施の形態1では、ウエストベルト部80を使用者Mのウエスト周りに固定するために環状に接続する連結具が、1対の雌雄のバックル84A,84Bから構成されているため、ワンタッチでの着脱を可能し、その着脱操作が容易であり、人為的に接続を解かない限り外れることもなくて取付けの信頼性が高く、機械的強度も高い。しかし、本発明を実施する場合には、簡単に接続可能であり、安全性の高いものであれば、バックルに限定されず、ボタンとループ、ホック、フック、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ、楕円リング等の連結具も使用可能である。
【0098】
更に、本実施の形態1の多機能リュックサック1においては、
図4及び
図5等に示すように、乳幼児保持部70R,70Lを備えた上衣部50を格納する格納部90を有し、本実施の形態1の格納部90は、左右1対の肩ベルト部30R,30Lが設けられているリュック本体部20の背面部21bの外面側(背面側)に設けられている。
本実施の形態1の格納部90は、縦方向に設けた線ファスナ91Fの開閉によって分割自在な分割部91と、分割部91の上部に配設し分割部91の上端部を覆う被覆部92とを有し、リュック本体部20を構成する背面部21b、線ファスナ91Fを閉じることで互いに接続される分割部91及びその上端部を覆う被覆部92との間で上衣部50を格納する収納空間を形成するものである。
【0099】
分割部91は、その中央で縦方向に設けた線ファスナ91Fの上げ下げによる開閉によって分割自在とされ、左右の分割片91a、91bは、その下端部がリュック本体部20の背面部21bの下部に縫着され、また、側部が背面部21bの側部に縫着されている。よって、線ファスナ91Fで左右の分割片91a、91bを閉じている状態では、上部が開口した袋状となる。
【0100】
本実施の形態1の分割部91は、例えば、表裏の意匠生地の間に緩衝材を入れたり、立体編物(ダブルラッシェル)で形成されたりすることにより、緩衝性を持たせ使用者Mの背中への当たり、フィット性を良くしている。即ち、使用者Mの背中との間の隙間を少なくして、肩や腰への負荷を少なくして、前傾姿勢とならずに自然な姿勢でリュック部10を背負うことができる。
なお、線ファスナ91Fは、分割片91a、91bの端部の内側に設けられ、線ファスナ91Fを閉じたときに線ファスナ91Fが表出することなく背中への当たりを感じさせ難いようにしている。
【0101】
また、リュック本体部20の背面部21bの上部には、下方が開口した袋状となるように被覆部92が縫着されており、被覆部92の下方の開口から分割片91a、91bの上端部を入れ込むことができるようになっている。特に、被覆部92は主にメッシュ地で形成されその下端の縁部は伸縮自在な部材を縫着していることで伸縮自在に構成し、被覆部92の内側に分割片91a、91bの上端部を保持できるようにしている。
【0102】
そして、リュック本体部20を構成する背面部21bと、線ファスナ91Fで閉じられる分割部91とその上端部を覆う被覆部92との間の内部において、背面部21bの下部で分割片91a、91bの下端部の縫着部位よりも上側で上衣部50の後身頃部60Bの下端部が縫着され、また、背面部21bの上部で、被覆部72と共に、上衣部50の後身頃部60B及び左右の前身頃部60L,60Rの上端部が縫着され、背面部21bの外面側であって、格納部90の内部に、上衣部50が縫付けられていることにより、格納部90の内部に上衣部50が折り畳まれて格納自在となっている。
即ち、格納部90を構成する分割部91及び被覆部92の背面部21bへの縫い付け位置より内側で上衣部50が背面部21bに縫付けられており、格納部90の内部に上衣部50が縫い付けられている。
【0103】
よって、格納部90の内部に上衣部50を格納する際には、上衣部50を折り畳み、折り畳んだ上衣部50の上側から左右に分割された状態の分割片91a、91bを被せて、線ファスナ91Fを上げることで閉じて分割片91a、91b一体に接続させることにより、一体に連接続した分割片91a、91bと背面部21bとの間に折り畳んだ上衣部50を閉じ込める。また、一体に接続した分割片91a、91bの上方に被覆部92を被せ被覆部92内に分割片91a、91bの上端部を入れ込む。これにより、折り畳まれた上衣部50の全体を分割部91及び被覆部92で覆い、分割部91及び被覆部92と背面部21bとの間に閉じ込めることにより格納できる。
なお、分割片91a、91bの線ファスナ91F側の端部の上部に例えば1対のホック等を設けてもよい。これにより、その1対のホック等の接合状態では、線ファスナ91Fの上げ下ろしの操作をより少ない力で容易にすることが可能となる。
【0104】
特に、本実施の形態1では、前身頃部60R,60L、後身頃部60B、乳幼児保持部70L,70R、及びウエストベルト部80の縫製により上衣部50が形成され、例えば、
図10に示すように、前身頃部60R,60Lと後身頃部60Bの脇線や乳幼児保持部70L,70Rの接続側部72と前身頃部60R,60Lの縫製線に沿った折畳みが容易であり、また、前身頃部60R,60L及び後身頃部60Bの下部にウエストベルト部80を縫製により形成していることにより、その縫製線に沿ってウエストベルト部80を前身頃部60R,60L及び後身頃部60Bに重ねる折畳みが容易である。
よって、前身頃部60R,60L及び後身頃部60Bの脇線や乳幼児保持部70L,70Rの接続側部72と前身頃部60R,60Lの縫製線に沿って折畳み、更に、ウエストベルト部80をそれらに重ねるように内側(上側)に折り畳むことで容易にコンパクトにでき、その状態で左右に分割された状態の分割片91a、91bを被せて、線ファスナ91Fを上げることで閉じて、更に、上方の被覆部92を被せることで、容易に、かつ、迅速に、格納部90に上衣部50をコンパクトに収まり良く(嵩張らずに)格納することができる。しかし、本発明を実施する場合には、上衣部50の折り畳み方は、上記に限定されるものではない。
【0105】
一方、格納部90の分割部91及び被覆部92と背面部21bとの間に閉じ込められて格納されていた上衣部50を着用する際には、被覆部92内に入り込んでいた分割部91の上端部を抜き出し、分割部91の上部から線ファスナ91Fを下して左右に分割片91a、91bを開くことにより、格納部90に折り畳んで格納されていた上衣部50を展開し、上衣部50の着用が可能となる。
【0106】
特に、本実施の形態1では、格納部90が、係脱自在な1対の係合具としての線ファスナ91Fによって左右に分割自在な1対の分割片91a,91bで形成されたことから、上衣部50を展開している状態では、1対の分割片91a,91bをリュック本体部20の背面側で左右両側に分割されるから、そのままの状態でも外観性が良いものである。更に、リュック本体部20の背面側で左右両側に分割されることで、各分割片91a,91bを上衣部50と背面部21bとの間に収容して隠すことも可能である。
なお、本実施の形態1においては、係脱自在な係合具として線ファスナ91Fを使用したが、本発明を実施する場合には、線ファスナに限定されず、例えば、面ファスナ、ボタンとループ、ホック、フック、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ等を使用することも可能である。
【0107】
ところで、本実施の形態1において、リュック本体部20の背面部21bの外面側に設けられた上衣部50及び格納部90は、上衣部50の上端部及び格納部90を構成する被覆部92の上端部が、1対の肩ベルト部30R,30Lの上端部が縫着されている部分を除いて、背面部21bに対して共に縫い付けられており、1対の肩ベルト部30R,30Lが縫着されている部分を除く部分的な縫付けによって、1対の肩ベルト部30R,30Lが縫着されている部分では、背面部21bと、被覆部92及び上衣部50との間で縫い付けがされていないことで1対のスリット部38が形成されている。そして、上衣部50がリュック本体部20の背面部21bに対しその上部及び下部で部分的に縫着されていることにより上衣部50と背面部21bの間では互いに縫い付けがされていない部分でスリット部38と連通した収容空間が画成されて肩ベルト収容部39が形成されている。
【0108】
これより、本実施の形態1においては、1対の肩ベルト部30R,30Lが必要ないときには、即ち、上衣部50の着用によってリュック本体部20が使用者Mの背中に背負われることになる際には、
図4(a)及び
図6で示したように、肩ベルト部30R,30Lの1対のバックル34A,34Bの接続を解除して、リュック本体部20の下部に縫着したタブ33と分離した肩掛け本体部31及び調節ベルト部32側をスリット部38から収容空間に入れて肩ベルト収容部39で収容することが可能である。
【0109】
こうして、本実施の形態1の多機能リュックサック1では、上衣部50とリュック本体部20の背面部21bとの間でスリット部38及び収容空間の肩ベルト収容部39を形成していることにより、また、1対の肩ベルト部30R,30Lが1対のバックル34A,34Bによって分割自在であることにより1対の肩ベルト部30R,30Lを分割して、上衣部50とリュック本体部20の背面部21bとの間の肩ベルト収容部39の収容空間にスリット部38を介して肩ベルト部30R,30Lの肩掛け本体部31及び調節ベルト部32側を収容自在となっている。よって、1対の肩ベルト部30R,30Lを使用しないときには、肩ベルト部30R,30Lを上衣部50とリュック本体部20の背面部21bとの間の肩ベルト収容部39に収容しておくことで、邪魔にならず、また、見栄えを良くすることができる。
【0110】
即ち、本実施の形態1においては、リュック本体部20に対し上衣部50を部分的な縫着とすることにより、リュック本体部20と上衣部50との間で肩ベルト収容部39を形成し、そこに1対のバックル34A,34Bの係合を解いてタブ33側と分離した肩ベルト部30R,30の肩掛け本体部31及び調節ベルト部32側を収容することで外部から肩ベルト部30R,30の存在を分からなくすることができる。
更に、上衣部50を着用する際には、この肩ベルト収容部39に、線ファスナ91Fの係合が解かれ分離された状態の各分割片91a,91bを収容して各分割片91a,91bの存在を分からなくすることも可能であり、外観性をより向上できる。
そして、このように、リュック本体部20の背面側に対し上衣部50を部分的な縫着とすることにより、リュック本体部20と上衣部50との間で遊びが形成されやすいから、上衣部50の着用を容易とすることができる。
【0111】
ところで、本発明を実施する場合には、1対の肩ベルト部30R,30Lの長さを分割自在とする1対のバックル34A,34Bについて、1対の肩ベルト部30R,30Lのうち一方の肩ベルト部30Rのベルト調節部32にバックル部(バックル受け具)34Aを設け、他方の肩ベルト部30Lのベルト調節部32にバックル部34Aに対応するタング部(バックル差込具)34Bを設けることにより、肩ベルト部30Rのベルト調節部32Bのバックル部34Aと肩ベルト部30Lのベルト調節部32bのタング部34Bを接合することで、1対のバックル34A,34Bによって肩ベルト部30Lの肩掛け本体部31及びベルト調節部32と、肩ベルト部30Rの肩掛け本体部31及びベルト調節部32とを一続きに連結することができる。
【0112】
これにより、肩ベルト部30Lの肩掛け本体部31及びベルト調節部32と、肩ベルト部30Rの肩掛け本体部31及びベルト調節部32と、リュック本体部20とで環状に接続されるから、連結された肩ベルト部30Lの肩掛け本体部31及びベルト調節部32と肩ベルト部30Rの肩掛け本体部31及びベルト調節部32とを肩から下げて、或いは、肩にたすき掛けして、リュック本体部20を持ち運ぶショルダータイプのものとして使用することも可能である。
【0113】
次に、このように構成された本実施の形態1の多機能バッグとしての多機能リュックサック1の使用形態について説明する。
本実施の形態1の多機能リュックサック1は、リュック本体部20及び1対の肩ベルト部30R,30Lを備えたリュック部10を有することにより、各肩ベルト部30R,30Lにおいて1対のバックル34A,34Bを接合してリュック本体部20に対して環状に接続している状態で、その環状部に使用者Mの腕、肩を通して、使用者Mの肩周りに1対の肩ベルト部30R,30Lを掛け、リュック本体部20を背負うことにより、リュック部10を背負うことができる。
【0114】
ここで、本実施の形態1の多機能リュックサック1は、リュック部10の背面側に乳幼児保持部70R,70Lを備えた上衣部50を縫着しているが、同じく、リュック部10の背面側に格納部90を設けていることにより、上衣部50を着用しないときには、上衣部50を格納部90に格納することで、上衣部50が邪魔とならずに、単体で、リュック部10によるリュックサック機能が発揮される。即ち、上衣部50の存在を分からなくすることができ、一般的な、リュックサックと外観上何ら変わらないものである。
【0115】
このように格納部90の内部に上衣部50を格納する際には、上衣部50を折り畳み、折り畳んだ上衣部50の上側から左右に分割された状態の分割片91a、91bを被せて、線ファスナ91Fを上げることで閉じて分割片91a、91bを一体に接続させることにより、一体に連続した分割片91a、91bと背面部21bとの間に折り畳んだ上衣部50を収める。また、一体に接続した分割片91a、91bの上方に被覆部92を被せ被覆部92内に分割片91a、91bの上端部を入れ込む。これにより、折り畳まれコンパクトにまとめられた上衣部50の全体を分割部91及び被覆部92で覆い、分割部91及び被覆部92と背面部21bとの間に収めて格納できる。よって、リュック部10の背面側に乳幼児保持部70R,70Lを備えた上衣部50を縫着していても、リュック部10の背面部21b側で格納部90に上衣部50を格納することで、全体がコンパクトになり、見た目も一般的なリュックと変わらないデザイン性が確保される。
【0116】
特に、本実施の形態1の格納部90は、線ファスナ91Fの開閉によって分割自在な分割片91a、91bで構成し、線ファスナ91Fの上げ下げで分割片91a、91bが左右に開いたり閉じたりするもので、限られた大きさの袋状の開口に上衣部50を挿入して内部に収容するものではなく、上衣部50の格納スペースが分割片91a、91bによって大きく開かれるものである。よって、折り畳んだ上衣部50を袋状の開口に挿入してから背中に違和感を生じさえないように平らに整然とするといった作業をしなくとも、上述したように縫製線に沿ってコンパクトに折り畳まれた上衣部50をその整然とした状態で、格納スペースに収め、その上から分割片91a、91bを被覆して線ファスナ91Fを上げて分割片91a、91bを閉じるものである。よって、上衣部50を必要としないときは、それを折り畳んで整然とした状態で格納スペースに収め、その上から分割片91a、91bを被覆して線ファスナ91Fを上げて分割片91a、91bを閉じるのみで、迅速に、かつ、容易に、背中に違和感を生じさせない平らな状態で格納部90にコンパクトに格納することができる。したがって、本実施の形態1の格納部90は、背中に違和感を生じさせない整然とした上衣部50の格納を容易とするものであり、極めて使い勝手が良いものである。なお、上衣部50の格納部90への格納は、リュック部10を使用者Mの背中から下ろした状態で行われるものである。
【0117】
そして、本実施の形態1の多機能リュックサック1において、上衣部50を格納する格納部90をリュック部10の背面側、即ち、リュック本体部20の背面部21bの外面側に設けていることで、上衣部50を格納した格納部90はクッション性が高まり、リュック部10を背負った使用者Mへのフィット性を良くし、背中に掛かる負荷の分散性を高め使用者Mの負担を軽減することが可能となる。
特に、乳幼児保持部70R,70Lを備えた上衣部50の形態であれば、簡易的な帯状の抱っこ紐と異なり平坦状にできるから、リュック部10を背負った使用者Mの背中への違和感を与え難いもので、快適に装着できる。
更に、外出先で人を寝かせる事態が生じたときでも、上衣部50を格納した格納部90はクッション性が高いことにより、それが快適な枕代わりにもなる。
【0118】
一方で、本実施の形態1の多機能リュックサック1は、リュック本体部20及び1対の肩ベルト部30R,30Lを備えたリュック部10の背面に乳幼児保持部70R,70Lを備えた上衣部50を設けていることにより、乳幼児保持部70R,70Lを備えた上衣部50を着用することにより、リュック部10によるリュックサック機能と共に、乳幼児保持機能も発揮できる。
【0119】
乳幼児保持部70R,70Lを備えた上衣部50を着用する際には、リュック部10を使用者Mの背中から下ろした状態で、リュック部10の背面側に設けた分割片91a、91bを閉じている線ファスナ91Fを下げて分割片91a、91bを分割して左右に開放し、格納部90に格納されていた上衣部50を展開する。
そして、上衣部50の左前身頃部60L及び後身頃部60Bで形成された左袖ぐり部61Lに左腕を通し、また、右前身頃部60R及び後身頃部60Bで形成された右袖ぐり部61Rに右腕を通すことにより、使用者Mの上半身に上衣部50を着用する。
【0120】
この上衣部50は、リュック部10の背面、即ち、リュック本体部20の背面部21bの外面側に縫付けられているものであるので、上衣部50の着用により、リュック部10が使用者Mの背中に背負われることになる。
即ち、リュック部10の1対の肩ベルト部30R,30Lを肩に装着しなくとも、上衣部50の着用によりリュック本体部20が上衣部50を着用した使用者Mに背負われることになる。このとき、上衣部50とュック本体部20が縫着されていることで、上衣部50を着用している状態ではリュック本体部20が肩からずれ落ちてきてしまう煩わしさも生じない。
【0121】
特に、本実施の形態1の上衣部50は、その上部側が、右前身頃部60Rと後身頃部60Bの境界の右肩山部62R、左前身頃部60Lと後身頃部60Bの境界の左肩山部62L、及び後ろ襟部62B(肩幅相当部分)がリュック部10におけるリュック本体部20の背面部21bの外面側の上部に直接縫い付けられている一方で、下部側では、その中央側で、後身頃部60Bとリュック本体部20の背面部21bとの間を接続する接続部64を介して背面部21bに取付けられ、後身頃部60Bが接続部64による遊びを設けてリュック本体部20の背面部21bに縫着されている。
よって、接続部64によってリュック本体部20と上衣部50との間に所定の間隔(遊び)ができるから、リュック本体部20に繋がっている上衣部50の着衣、脱衣をより容易に、迅速にできる。
【0122】
ここで、上衣部50を着用する際には、リュック部10の1対の肩ベルト部30R,30Lが不要になるので、本実施の形態1においては、
図4(a)及び
図6等に示したように、各肩ベルト部30R,30Lの1対のバックル34A,34Bの接合を解いて、リュック本体部20の上部に接続している肩掛け本体部31及び調節ベルト部32側を、リュック本体部20の下部側に取り付けているタブ33側と分離して、肩掛け本体部31及び調節ベルト部32側を、リュック本体部20の上部であって、その背面部21bと被覆部92との間に設けた1対のスリット38から、背面部21bとそこに部分的に縫付けられている上衣部50との間に設けた肩ベルト収容部39に挿入して収めることができる。これにより、1対の肩ベルト部30R,30Lを使用しないときには、肩ベルト収容部39に肩掛け本体部31及び調節ベルト部32を収容して邪魔にならにように、その存在を分からなくして外観性を良くすることができる。
【0123】
そして、使用者Mに上衣部50が着用され、また、リュック本体部20が背負われた状態では、上衣部50に乳幼児保持部70L,70Rが設けられていることにより、乳幼児保持部70L,70Rの保持本体部71及び接続側部72と前身頃部60R,60Lとの間に形成された空間に、乳幼児B1,B2を収容して乳幼児B1,B2を保持することができる。
【0124】
このとき、上衣部50の着衣状態で、左前身頃部60Lと右前身頃部60Rとをチェスト部65の1対の雌雄のバック66A,66Bの連結により接続固定することで、6左前身頃部60L及び右前身頃部60Rの位置が安定して乱れ難く、乳幼児B1,B2の収容の動作を容易とし、また、乳幼児B1,B2の保持の安定化を図ることができる。
【0125】
特に、本実施の形態1の上衣部50においては、互いに分離し前開きとなる左前身頃部60L及び右前身頃部60Rを有し、左前身頃部60Lに左前乳幼児保持部70Lを形成し、また、右前身頃部60Rに右前乳幼児保持部70Rを形成していることで、使用者Mの左前側部側で左前乳幼児保持部70Lにて乳幼児B1を保持すると共に、使用者Mの右前側部側で右前乳幼児保持部70Rにて別の乳幼児B2を保持することができ、一度に2人の乳幼児B1,B2を保持することができる。即ち、使用者Mの前方の左側及び右側で2人の乳幼児B1,B2が並んだ状態で前抱きすることができる。
【0126】
そして、本実施の形態1の上衣部50においては、左前身頃部60Lに設けた左前乳幼児保持部70Lで保持本体部71及び接続側部72と左前身頃部60Lとの間に形成された空間に、乳幼児B1を収容した状態で、左前身頃部60Lの保持本体部71に設けた連結ベルト75のバックル74Aを右前身頃部60Rの右肩側に設けたバックル74Bに接合して保持本体部71の連結ベルト75を右前身頃部60Rの右肩側に固定することで、乳幼児B1を収容した空間の上方開口が制御され、収容された乳幼児B1が落下することのない安定した保持状態が維持される。同様に、右前身頃部60Rに設けた右前乳幼児保持部70Rで保持本体部71及び接続側部72と右前身頃部60Rとの間に形成された空間に、別の乳幼児B2を収容した状態で、右前身頃部60Rの保持本体部71に設けた連結ベルト75のバックル74Aを左前身頃部60Lの左肩側に設けたバックル74Bに接合して保持本体部71の連結ベルト75を左前身頃部60Lの左肩側に固定することで、乳幼児B2を収容した空間の上方開口が制御され、収容された乳幼児B2が落下することのない安定した保持状態が維持される。
【0127】
また、本実施の形態1の上衣部50を着衣した状態で、ウエストベルト部80に設けられた1対の雌雄のバックル84A,84Bを接合して、使用者Mの腰周りにウエストベルト部80を固定することで、乳幼児Bの荷重を腰周りにも分散できるから、使用者Mの負荷を軽減できる。
【0128】
このように本実施の形態1の多機能リュックサック1は、リュック本体部20及び1対の肩ベルト部30R,30Lを備えたリュック部10の背面に乳幼児保持部70R,70Lを備えた上衣部50を設けていることにより、上衣部50を着用し、その前身頃部60L,60Rに設けた乳幼児保持部70L,70Rで保持本体部71及び接続側部72と前身頃部60L,60Rの間に形成された空間に、乳幼児B1,B2を収容し、更に、前身頃部60L,60Rの保持本体部71に設けた連結ベルト75のバックル74Aを前身頃部60L,60Rの肩側に設けたバックル74Bに接合して保持本体部71の連結ベルト75を前身頃部60R,60Lの肩側に固定することで、乳幼児B1,B2を安全に保持することが可能である。
【0129】
更に、本実施の形態1の上衣部50を着衣した状態で、チェスト部65の1対の雌雄のバックル66A,66Bを接合し、また、乳幼児保持部71の連結ベルト75のバックル74A,74Bを接合した状態では、右前身頃部60R及び左前身頃部60Lの開きが規制され、使用者Mが動いても上衣部50が乱れ難く、左前乳幼児保持部70Lや右前乳幼児保持部70Rで保持された乳幼児B1,B2の保持位置を安定化させることができる。
【0130】
こうして、本実施の形1態の多機能リュックサック1は、使用者Mの後側で荷物が入るリュック本体部20を背負いながら、使用者Mの前側で2人の乳幼児B1,B2を保持することができる。
特に、本実施の形態1の多機能リュックサック1は、乳幼児保持部70R,70Lを備えた上衣部50を設けていることにより、上衣部50を着用し、その前身頃部60L,60Rに設けた保持本体部71及び接続側部72と前身頃部60L,60Rの間に形成された空間に、乳幼児B1,B2を収容し、更に、前身頃部60L,60Rの保持本体部71に設けた連結ベルト75のバックル74Aを前身頃部60L,60Rの肩側に設けたバックル74Bに接合して保持本体部71の連結ベルト75を前身頃部60R,60Rの肩側に固定するのみで乳幼児B1,B2を保持することができるものであり、乳幼児B1,B2を保持する形態の装着が分かりやすく、極めて容易で迅速に行うことができるものである。即ち、帯状の抱っこ紐の場合はそれを組む着脱の操作が分かり難いものであるのに対し、上衣部50の形態であれば、左袖ぐり部61Lに左腕を通し、また、右袖ぐり部61Rに右腕を通して着用することが直ぐに理解できるものであり、容易に脱ぎ着できるものである。
【0131】
また、本実施の形態1の格納部90であれば、リュック部10の背面側に設けた分割片91a、91bを閉じている線ファスナ91Fを下げて分割片91a、91bを分割して左右に開放するのみで、格納部90に格納されていた上衣部50を展開して、着用することができるものであり、部材同士の接続、組み立てを要するものでなく、上衣部50を羽織るだけで、抱っこを要求している乳幼児B1,B2をすぐに抱き上げて乳幼児保持部70R,70Lで保持することが可能である。
【0132】
上衣部50を着用した状態では、リュック部10のリュック本体部20は使用者Mに背負われた状態であり、リュック本体部20を背負い上衣部50を着用した状態で乳幼児B1,B2を袋状の乳幼児保持部70R,70Rに出し入れすることが可能であり、乳幼児B1,B2の抱き降ろしの度に、乳幼児保持具の脱着操作、着脱操作をする手間、煩わしさがなく、急な抱っこを要求する乳幼児B1,B2や抱っこを降りる要求をする乳幼児B1,B2に対しても迅速に抱き降ろしの対応をすることができる。特に、保持していた乳幼児B1を下す際でも使用者M自身で、使用者Mの前側の1対のバックル74A,74Bの接合を解除することで袋状の開口が広がるから、別の乳幼児B2は保持した状態で、乳幼児B1を下すことが容易に可能である。また、乳幼児B1,B2を保持していなくとも使用者Mの前側の1対のバックル74A,74Bを接合すれば、乳幼児B1,B2を保持していない上衣部50を着用した状態でも、動きを妨げず違和感のないものである。
【0133】
特に、乳幼児B1,B2を保持しないときでも、上衣部50を着用すればそれが防寒着にもなり、上衣部50が防寒具としても機能する。よって、別途防寒具を持ち歩く手間を省くことも可能であり、防寒具の収納スペースも節約できることになる。
更に、乳幼児B1,B2を保持していないときに上衣部50における袋状の乳幼児保持部70R,70Rに荷物を収容することも可能である。
【0134】
こうして、本実施の形態1の多機能リュックサック1は、荷物を収容するリュック本体部20と、リュック本体部20の上下に接続し使用者Mの左右の肩に掛けられる左右1対の肩ベルト部30R,30Lとを有し使用者Mの背中側に装着されるリュック部10に対し、その背面の肩ベルト部30R,30Lの接続側に、左前身頃部60L及び後身頃部60Bによって左袖ぐり部61Lを形成し、また、右前身頃部60R及び後身頃部60Bによって右袖ぐり部61Rを形成した上衣部50が縫い付けられ、上衣部50の左前身頃部60Lには乳幼児B1を保持する左前乳幼児保持部70Lが設けられ、また、右前身頃部60Rには別の乳幼児B2を収容する右前乳幼児保持部70Rが設けられている。更に、リュック部10の背面の1対の肩ベルト部30R,30Lの接続側には、左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを設けた上衣部50を格納する格納部90が形成されている。
【0135】
したがって、上衣部50の乳幼児保持部70L,70Rに乳幼児B1,B2を保持する際には、リュック部10の背面に縫着され格納部90に折り畳んで格納されていた上衣部50を展開し、互いに分離している右前身頃部60R及び右前身頃部60Rを有する上衣部50の左袖ぐり部61Lに左腕を通し、また、右袖ぐり部61Rに右腕を通して上衣部50を着用することで、前身頃部60R,60Lに設けた袋状を形成した乳幼児保持部70L,70Rに乳幼児B1,B2を保持することができ、迅速、かつ、容易に、乳幼児B1,B2の保持を可能とする。
【0136】
特に、上衣部50を着用した状態では、リュック部10のリュック本体部20は使用者Mに背負われた状態であり、リュック本体部20を背負い上衣部50を着用した状態で乳幼児B1,B2を袋状の乳幼児保持部70R,70Rに出し入れすることが可能であり、乳幼児B1,B2の抱き降ろしの度に、乳幼児保持具の着脱操作をする手間、煩わしさがなく、急な抱っこを要求する乳幼児B1,B2や抱っこを降りる要求をする乳幼児B1,B2に対しても迅速に抱き降ろしの対応をすることができる。更に、袋状の乳幼児保持部70R,70Rを備えた上衣部50の形態であれば、乳幼児B1,B2を保持していない上衣部50を着用した状態でも動きを妨げず違和感のないものである。
更に、左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部50とリュック部10が縫着されていることで、上衣部50を着用している状態ではリュック本体部20が肩からずれ落ちてきてしまう煩わしさも生じない。
【0137】
こうして、本実施の形態1の多機能リュックサック1によれば、乳幼児1,B2を保持する必要が生じた場合には、リュック部10に縫着している上衣部50を格納部90から出して展開し、上衣部50を着用するのみで装着でき、上衣部50に形成した袋状の乳幼児保持部70R,70Rに乳幼児Bを収容し、前身頃部60L,60Rの保持本体部71に設けた連結ベルト75のバックル74Aを前身頃部60L,60Rの肩側に設けたバックル74Bに接合して保持本体部71の連結ベルト75を前身頃部60R,60Rの肩側に固定するのみで、乳幼児B1,B2を安全に保持することができる。また、保持した乳幼児B1,B2を下す際も前身頃部60L,60Rと保持本体部71とを連結している1対のバックル74A,74Bを外す簡単な操作で、乳幼児保持部70R,70Rの上方の開口が大きく広がるから、容易に乳幼児B1,B2を下すことができる。
【0138】
そして、乳幼児B1,B2を保持しないときでも上衣部50であればそれを着用した状態でも、使用者Mの動き、自然な動作を妨げないものであり、上衣部50を装着しておけば、乳幼児B1,B2の急な抱っこの要求に対しても、すぐに乳幼児B1,B2を抱き上げて袋状の乳幼児保持部70R,70Lに収容して保持すること可能である。
更に、上衣部50の着用が必要ないときは、上衣部50を脱いで、それを折り畳んで格納部90に格納すればよい。即ち、上衣部50の着用を必要としないときには、それを脱衣するのみで使用者Mから外すことができ、脱いだ上衣部50はリュック部10の背面に設けた格納部90に格納することで、邪魔にならず外観性も良い。
【0139】
こうして、リュック部10に袋状の乳幼児保持部70R,70Lを形成した上衣部50を縫い付けていることにより、上衣部50であればその着脱が容易なものであり、袋状の乳幼児保持部70R,70Lに乳幼児B1,B2を収容するのみで、乳幼児B1,B2を保持することができ、極めて使い勝手が良いものである。更に、袋状の乳幼児保持部70R,70Lを形成した上衣部50を使用者Mの上半身に着用するものであるから、使用者Mにとって広範囲の面積で乳幼児B1,B2の重さや荷物の重さを受けることになり、負荷を分散できるから、使用者Mにとっての荷重の負担が小さく、楽に荷物や乳幼児B1,B2を運搬できるものである。加えて、1対の雌雄のバックル84A,84Bの接続により使用者Mのウエスト周りに固定するウエストベルト部80を設けていることにより、乳幼児Bの荷重をウエスト周りにも分散できるから、使用者Mの負荷をより軽減できる。
【0140】
このように、本実施の形態1の多機能リュックサック1によれば、左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部50とリュック部10とが縫製されていることで、リュック部10や上衣部50の紛失の恐れもなく、外出時に別々の場所にあるリュックと乳幼児保持具(抱っこ紐等)とを探し出す手間を省くことができ管理が容易となるものである。
【0141】
そして、左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部50をリュック部10の背面に設けた格納部90に格納自在であり、左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部50をリュック部10の背面に設けた格納部90に格納した状態では嵩張りが少なく、リュックと乳幼児保持具(抱っこ紐等)を別々に保管する場合と比較しても、保管スペースが少なくて済む。
【0142】
また、乳幼児B1,B2を保持しないときでも、上衣部50を着用すれば上衣部50が防寒着としても機能する。よって、別途、リュック本体部20に防寒具を収納するスペースも節約できる。更に、乳幼児B1,B2を保持しないときに袋状の乳幼児保持部70L、70Rに荷物を収容することも可能であり、乳幼児保持部70L、70Rが荷物を収容するものとしても機能する。特に、上衣部50は使用者Mの上半身に着衣するものであるから、乳幼児B1,B2を保持しないで上衣部50を着衣しても使用者Mの動き、自然な動作を妨げにくいものでもあり、違和感の少ないものである。
【0143】
更に、左前乳幼児保持部70R及び右前乳幼児保持部70Lを有する上衣部50とリュック部10が縫製されていることで、上衣部50を着用している状態でリュック部10が落ちてきてしまう煩わしさも生じない。更に、リュック部10や上衣部50の紛失の恐れもない。
加えて、上衣部50の左前身頃部60Lに左前乳幼児保持部70Lを有し、右前身頃部60Rに右前乳幼児保持部70Rを有するものであり、2人の乳幼児B1,B2を同時に保持することができる。また、使用者Mの脇寄りに乳幼児B1,B2を保持することになるから、足元が見やすいものとなる。特に、使用者Mの前側で2人の乳幼児B1,B2を保持するものであっても、使用者Mの後側には、荷物を収容するリュック部10が背負われていることで、使用者Mが前屈みになり難くバランスを取りやすいものである。
【0144】
また、左前乳幼児保持部70R及び右前乳幼児保持部70Lを有する上衣部50の着用を必要としなくなったときには、上衣部50を脱ぐのみで使用者Mから容易に外すことができ、脱いだ上衣部50はリュック部10の1対の肩ベルト部30R,30L側に設けた格納部90に格納することで、リュック部10を背負った使用者Mの邪魔にならないものとなる。
更に、上衣部50はリュック部10の1対の肩ベルト部30R,30L側に設けた格納部90に格納するから、リュック部10の荷物の出し入れの妨げにもならず、荷物の収容容積は維持できる。
【0145】
特に、リュック本体部20の内部への荷物の収容とは別に格納部90を設けていることで、左前乳幼児保持部70R及び右前乳幼児保持部70Lを有する上衣部50をリュック本体部20の内部から探し出して取り出す手間を必要とすることなく、迅速に上衣部50を格納部90から取り出して展開し、着用することが可能である。
更に、リュック部10の肩ベルト部30R,30L側に上衣部50を折り畳んで格納するから、それがクッションになり、背中への当たりを良くできる。特に、上衣部50の形態であれば、簡易的な帯状の抱っこ紐と異なり平坦状にできるから、使用者Mの背中への違和感を与え難いもので、快適に装着できる。また、外出先で人を寝かせる事態が生じたときでもそれが枕代わりにもなる。
【0146】
以上、説明してきたように、上記実施の形態1の多機能リュックサック1は、荷物を収容するリュック本体部20と、リュック本体部20の上下に接続し使用者Mの左右の肩に掛けられる左右1対の肩ベルト部30R,30Lとを有し使用者Mに背負われるリュック部10と、1対の肩ベルト部30R,30Lの接続側でリュック本体部20に縫付けられ、使用者Mの左腕が通される左袖ぐり部61Lを形成している左前身頃部60Lと左前身頃部60Lとは分離していて使用者Mの右腕が通される右袖ぐり部61Rを形成している右前身頃部60Rとを有し使用者Mに着用される上衣部50と、上衣部50の左前身頃部60Lに一体に形成され乳幼児B1を保持する左前乳幼児保持部70Lと、上衣部50の右前身頃部60Rに一体に形成され別の乳幼児B2を保持する右前乳幼児保持部70Rと、1対の肩ベルト部30R,30Lの接続側でリュック本体部20に設けられ、左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部10を格納する格納部90とを具備するものである。
【0147】
即ち、上記実施の形態1の多機能バッグとしての多機能リュックサック1は、荷物を収容するバッグ本体部としてのリュック本体部20と、リュック本体部20に接続し使用者Mの両肩に掛けられる1対の肩ベルト部30R,30Lと有するバッグ部としてのリュック部10と、リュック本体部20の背面側に設けられ、使用者Mの左腕が通される左袖ぐり部61Lを形成している左前身頃部60Lと左前身頃部60Lとは分離していて使用者Mの右腕が通される右袖ぐり部61Rを形成している右前身頃部60Rとを有し使用者Mに着用される上衣部50と、上衣部50の左前身頃部60L及び右前身頃部60Rに一体に形成され乳幼児Bを保持する乳幼児保持部70L,70Rと、リュック本体部20の背面側に設けられ、乳幼児保持部70L,70Rを有する上衣部50を格納する格納部90とを具備するものである。
【0148】
こうして、上記実施の形態1の多機能リュックサック1によれば、荷物を収容するリュック本体部20と、リュック本体部20に環状に接続し使用者Mの左右の肩に掛けられる左右1対の肩ベルト部30R,30Lとを有し使用者Mの背中側に装着されるリュック部10のリュック本体部20に対し、1対の肩ベルト部30R,30Lの接続側で、使用者Mの左腕が通される左袖ぐり部61Lを形成した左前身頃部60Lと左前身頃部60Lとは分離していて使用者Mの右腕が通される左袖ぐり部61Lを形成した右前身頃部60Rとを有する上衣部50が縫い付けられ、上衣部50の左前身頃部60Lには乳幼児B1を収容する左前乳幼児保持部70Lが一体に形成され、また、右前身頃部60Rには別の乳幼児B2を収容する右前乳幼児保持部70Rが一体に形成されており、更に、リュック部10のリュック本体部20の1対の肩ベルト部30L,30Rの接続側に左前乳幼児保持部60L及び右前乳幼児保持部60Rを有する上衣部50を格納する格納部90が設けられている。
【0149】
このように左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部50がリュック部10の1対の肩ベルト部30L,30Rの接続側、即ち、リュック本体部20の背面側に縫い付けられていることで、互いに分離している左前身頃部60L及び右前身頃部60Rを有する上衣部50の左袖ぐり部61Lに左腕を通し、また、右袖ぐり部61Rに右腕を通して上衣部50を着用し、その上衣部50に一体に形成された左前乳幼児保持部70Lや右前乳幼児保持部70Rに乳幼児B1,B2を保持することで、使用者Mの後側でリュック本体部20を背負いながら使用者Mの前側で乳幼児B1,B2を保持できるものである。特に、左袖ぐり部61L及び右袖ぐり部61Rを有する上衣部50の形態であれば、着用するものであることが分かりやすく、乳幼児B1,B2の抱っこを補助する形態の装脱着の操作が分かりやすいものである。また、着用形態であれば、抱っこを補助する安定性、安全性も高いものとなる。
【0150】
特に、乳幼児B1,B2を保持する左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rが左前身頃部60L及び右前身頃部60Rに一体に形成された上衣部50を有するものであり、それを着用するだけで乳幼児B1,B2を受け入れる状態の形態となり、容易、かつ、迅速に乳幼児B1,B2を抱っこできるものである。そして、このとき、上衣部50の左前身頃部60Lに左前乳幼児保持部70Lを有し、右前身頃部60Rに右前乳幼児保持部70Rを有するものであり、2人の乳幼児B1,B2を同時に保持することが可能である。なお、上衣部50の左前身頃部60Lに左前乳幼児保持部70Lを有し、右前身頃部60Rに右前乳幼児保持部70Lを有するものでは、使用者Mの左右の脇寄りに乳幼児B1,B2を保持することになるから、足元が見やすいものでもある。更に、使用者Mの前側で2人の乳幼児B1,B2を保持するものであっても、使用者Mの後側には、荷物を収容するリュック本体部20が背負われていることで、使用者Mが前屈みになり難くバランスを取りやすいものである。
【0151】
また、左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部50は、その左袖ぐり部61Lに左腕を通し、また、右袖ぐり部61Rに右腕を通して使用者Mが着るものであるから、使用者Mの広範囲の面積で乳幼児B1,B2の体重や荷物が収容されたリュック本体部20の重さを支持できることになり、負荷を分散できることで、使用者Mの負担を少なくできる。そして、着衣の形態であれば、使用者Mの自然な動きの邪魔にならず、上衣部50の着用状態でも違和感を与え難いから、上衣部50の着用状態では、乳幼児Bの抱き降ろしの急な要求でも、迅速、かつ、容易に乳幼児B1,B2の抱き降ろしできる。更に、上衣部50は着用するものであるから防寒具としても機能する。
加えて、左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部50とリュック本体部20とが縫製されていることで、上衣部50を着用している状態でリュック本体部20が肩からずれ落ちてきてしまう煩わしさも生じない。また、リュック本体部20や上衣部50のどちらか一方を紛失させてしまう恐れもなく、一体に保管されるから、乳幼児の抱っこ、運搬を補助する抱っこ紐等とリュックとが別々に保管されているときのように、探す手間を要さないものである。更に、乳幼児B1,B2の抱っこ、運搬を補助する抱っこ紐等とリュックとを別々に持ち歩く場合と比べ、荷物の収容スペースをとらないものでもある。
【0152】
そして、左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部50の着用を必要としないときには、上衣部50を脱衣して、格納部90に格納してコンパクトにすることで、リュック部10のみを背負っての使用する場合でも邪魔にならずデザイン性も良いものである。更に、収納、保管も省スペースで済む。
【0153】
このように本実施の形態1の多機能バッグとしての多機能リュックサック1によれば、乳幼児B1,B2の抱っこを補助する形態の装脱着や、乳幼児B1,B2の抱き降ろしの対応が容易にでき、使い勝手が非常に良いものである。
【0154】
特に、上記実施の形態1の多機能リュックサック1において、上衣部50は、リュック本体部20と上衣部50とを接続する接続部64によって、リュック本体部20との間に遊びを設けてリュック本体部20に取り付けられているから、荷物が入ってリュック本体部20が重くなっていても、上衣部50の材質、素材を問わず突っ張りが少なくなり、上衣部50の着衣を容易に、迅速にすることが可能である。更に、リュック本体部20を背負っているときでも、上衣部50の材質、素材を問わず突っ張り感、リュック本体部20側への引っ張られ感が少なくなり、快適な装着となる。
このとき、上衣部50の上側ではリュック本体部20に直接縫い付けて、その下側でリュック本体部30に接続部64を介した遊びを設けて取付けることで、即ち、リュック本体部20を上衣部50の上側で支持することで、下側で支持する場合よりもリュック本体部20を背負ったときに安定し、快適な装着となる。
【0155】
そして、上記実施の形態1は、多機能バッグとして多機能リュック1の形態であり、バッグ部が使用者Mの両肩に掛けて背負うリュック部10であることにより、使用者Mの両肩に荷物の荷重を分散させるものであるから、リュック部10単体の使用形態では、使用者Mの肩への負担を軽減できるものである。
【0156】
上記実施の形態1の多機能リュックサック1によれば、更に、左前身頃部60L及び右前身頃部60Rの下部に設けられ接合及び分離自在な雄部材と雌部材とからなる接続具(連結具)としての1対バックル84A,84Bによって環状に接続自在で使用者Mのウエスト周りに固定自在なウエストベルト部80を具備するから、上衣部50の着衣状態では、荷物や乳幼児B1,B2の荷重を使用者Mのウエスト周りにも分散させることができる。よって、使用者Mの負担を軽減できる。
【0157】
上記実施の形態1の多機能リュックサック1は、更に、左右1対の肩ベルト部30R,30Lを収容する肩ベルト収容部39を上衣部50とリュック本体部20の背面部21との間に設けたものであるから、上衣部50の着衣状態で肩ベルト部30R,30Lを使用しないときには、それを肩ベルト収容部39に収納することで、見栄えを良くすることができる。また、肩ベルト部30R、30Lを紛失させないものである。
特に、上記実施の形態1の多機能リュックサック1は、各肩ベルト部30R,30Lが、その長さ方向の一端部が接合及び分離自在な雄部材と雌部材とからなる連結具である1対のバックル34A,34Bによってリュック本体部20に対し接続及び分離自在なものであり、肩ベルト部30R,30Lの一端部をリュック本体部20と分離して、上衣部50とリュック本体部20の背面部21bとの間の肩ベルト収容部39に入れて隠すことができる。よって、より嵩張らずにコンパクトに収納できる。
【0158】
しかし、本発明を実施する場合には、肩ベルト収容部34は、肩ベルト部30R、30Lを一緒に収容するものに限定されず、別々に収容するものであってもよく、また、肩ベルト部30R、30Lがリュック本体部20の上下に一体に接続している状態で収容する形態であってもよいし、肩ベルト部30R、30Lをリュック本体部20に対し分離自在に接続する構成として肩ベルト部30R、30Lの長さ方向の一端部または両端部をリュック本体部20から分離させて収容する形態であってもよい。或いは、収容することなく上衣部50の上に肩ベルト部30R、30Lに重ねて使用してもよい。
【0159】
なお、リュック本体部20から分離した各肩ベルト部30R,30Lの一端部同士が接合具である1対のバックル34A,34Bによって接合自在であると、リュック本体部20から分離した各肩ベルト部30R,30Lの一端部同士を1対のバックル34A,34Bによって接合して左右の肩ベルト部30R,30Lを連結してリュック本体部20に対して環状を形成することで、使用者Mの片方の肩に掛けるまたはたすき掛けするショルダータイプのものに変形できる。即ち、各肩ベルト部30R,30Lは、その長さ方向の一端部が接合及び分離自在な雄部材と雌部材とからなる1対のバックル34A,34B等の接合具によってリュック本体部20に対し接続及び分離自在なものとし、かつ、リュック本体部20から分離した各肩ベルト部30R,30Lの一端部同士が1対のバックル34A,34B等の接合具によって接合自在であると、リュック本体部20から分離した各肩ベルト部30R,30Lを1対のバックル34A,34B等の接合具の接合によって左右の肩ベルト肩ベルト部30R,30L部同士を接続すれば、リュック本体部20に対し環状を形成し、左右の肩ベルト部30R,30Lで片側の肩に掛けるショルダーの形態を形成自在となる。これより、より利便性の高いものとなる。
【0160】
上記実施の形態1の多機能リュックサック1は、乳幼児保持部70R,70Lにおいて前身頃部60R,60Lに対し乳幼児B1,B2を支持する保持本体部71及び接続側部72からなる支持部を縫着して前身頃部60R,60Lと保持本体部71及び接続側部72からなる支持部との間に乳幼児B1,B2を収容する収容空間を形成し、また、乳幼児B1,B2の脚が通される開口を設けているものであり、乳幼児保持部70R,70Lの開口に乳幼児B1,B2の脚を通して収容空間に乳幼児B1,B2を収容するのみで乳幼児B1,B2が保持本体部71及び接続側部72からなる支持部で支持され保持されることになるから、乳幼児B1,B2の保持を容易にでき、かつ、乳幼児B1,B2の負担の少ない開脚姿勢で乳幼児B1,B2を支持できる。
【0161】
上記実施の形態1の多機能リュックサック1は、格納部90が、係脱自在な1対の係合具としての線ファスナ91Fによって左右に分割自在な1対の分割片91a,91bで形成されたことから、上衣部50を展開している状態では、1対の分割片91a,91bをリュック本体部20の背面側で左右両側に分割されることで外観性が良いものである。更に、リュック本体部20の背面側で左右両側に分割されることで、各分割片91a,91bを上衣部50と背面部21bとの間に収容して隠すことも可能である。
また、1対の分割片91a,91bを分割して中に収納された上衣部50を展開できるから、上衣部50の取出しも容易である。更に、上衣部50を必要としないときは、それを折り畳んで整然とした状態で格納スペースに収め、その上から分割片91a、91bを被覆して線ファスナ91Fを上げて分割片91a、91bを閉じるのみで、迅速に、かつ、容易に、背中に違和感を生じさせない平らな状態で格納部90にコンパクトに格納することができるものであり、背中に違和感を生じさせない整然とした上衣部50の格納を容易とするものである。
【0162】
しかし、本発明を実施する場合には、格納部90の形態はコンパクトに折り畳んだ上衣部50を保持できれば上記実施の形態1のものに限定されない。
例えば、格納部90の変形例として、
図11(a)に示すように、リュック本体部20の背面側において、係脱自在な1対の係合具としての線ファスナ91Fを1対で左右の両端部側に設けることによって上衣部50を覆い上方に開口した開閉部91Aを背面部21b側に設け、更にそこに設けた線ファスナ91Fを下げることで開閉部91Aを開いて下方に捲れる(垂れる)ようにしてもよい。1対の線ファスナ91Fを下げて開閉部91Aを開いて下方に捲ることで、中に収納された上衣部50を展開できるものであり、このような形態でも上衣部50の取出しが容易である。また、上衣部50の格納時は、下に捲れていた開閉部91Aを戻して、コンパクトに折り畳んだ上衣部50を覆い、左右端部の線ファスナ91Fを上げることで容易に格納部90内に上衣部50を閉じ込めて格納することができる。
【0163】
更に格納部90の別の変形例として、
図11(b)に示すように、リュック本体部20の背面側において、上衣部50を覆う開閉部91Bを設け、更にそこに係脱自在な1対の係合具としての線ファスナ91Fを逆U字状に湾曲して形成し、逆U字状の線ファスナ91Fの開閉で開閉部91Bを開いて下方に捲れる(垂れる)ようにしてもよい。逆U字状の線ファスナ91Fの係合を解くことで開閉部91Bを開いて下方に捲ることで、中に収納された上衣部50を展開できる。特に、逆U字状の線ファスナ91Fを操作するのみであるから、上衣部50の取出しが容易である。また、上衣部50の格納時は、コンパクトに折り畳んだ上衣部50の上に、下に捲れていた開閉部91Bを戻して覆い、線ファスナ91Fで閉じることで容易に格納部90内に上衣部50を閉じ込めて格納することができる。このとき線ファスナ91Fは2つのスライダを有することで、特定方向のスライドに限定されず、利き腕に関係なく開閉が容易となる。
【0164】
このように係脱自在な1対の係合具としての線ファスナ91Fの係合解除によって下方に捲れる開閉部91A,91Bを有するものでも、線ファスナ91Fの係合解除によって下方に開閉部91A,91Bを捲ることで中に収納された上衣部50を展開できるから、上衣部50の取出しが容易である。更に、開閉部91A,91Bによって格納部90内に収める上衣部50を被覆して閉じ込めるものであるから、上衣部50を必要としないときは、それを折り畳んで整然とした状態で格納スペースに収め、その上から開閉部91A,91Bを被覆して線ファスナ91Fを上げて開閉部91A,91Bを閉じるのみで、迅速に、かつ、容易に、背中に違和感を生じさせない平らな状態で格納部90にコンパクトに格納することができるものであり、背中に違和感を生じさせない整然とした上衣部50の格納を容易とするものである。
【0165】
なお、上記変形例の説明では、線ファスナ91Fの係合解除によって開閉部91A,91Bを下方に捲れるものしたが、本発明を実施する場合には、上方に捲る形態としてもよい。これによっても上記と同様の効果が得られるものである。
そして、本発明を実施する場合には、下方または上方に捲れる開閉部91A,91Bをコンパクトに丸めてまたは畳んで上方側または下方側に保持する収納部やバンドをリュック本体部20等に設けることも可能である。
【0166】
また、上記説明においては、係脱自在な1対の係合具として線ファスナ91Fを使用したが、本発明を実施する場合には、線ファスナに限定されず、例えば、面ファスナ、ボタンとループ、ホック、フック、ナスカン、カラビナ、スプリングホック、Dロック、クイックキャッチ等を使用することも可能である。
【0167】
こうして上記変形例に係る格納部90においても、係脱自在な1対の係合具としての線ファスナ91Fによる係合解除によって上方または下方に捲れる開閉部91A,91Bを有することから、線ファスナ91Fの係合を解除して開閉部91A,91Bを上方または下方に捲ることで中に収納された上衣部50を展開できる。よって、格納部90に収納された上衣部50の引き出しが容易にできる。
【0168】
更に、本発明を実施する場合には、多機能リュックサック1は、使用者Mの頭部及び乳幼児B1,B2の頭部を覆うフード部40を具備してもよい。
例えば、
図12に示すように、使用者Mの頭部を覆う袋状の被覆布地41及び乳幼児B1,B2の頭部を覆うマント状の被覆布地42を一体に形成したフード部40を設けることによって、雨よけ、日よけ等になる。
このフード部40は、袋状の被覆布地41及び前開きのマント状の被覆布地42を一体に形成することで、乳幼児B1及び乳幼児B2の頭部をまとめて覆うことができ、急な雨の場合でも迅速に乳幼児B1及び乳幼児B2の頭部及び使用者Mの頭部を覆うことが可能である。
【0169】
使用者Mの頭部を覆う袋状の被覆布地41及び乳幼児B1,B2の頭部を覆うマント状の被覆布地42は、例えば、撥水性、防水性の生地等を使用することで雨よけに好適になる。マント状の被覆布地42は、使用者Mの肩に被せた際に、その前側で面ファスナ、ホック、ボタンとループ等の1対の係合具による接合することで、端部を接続する。
マント状であれば、被覆布地42による被覆が不要な部分は、それを使用者Mの背後側にかけることで、乳幼児B1,B2の一方のみに被覆布地42を覆うことも可能である。
そして、乳幼児B1,B2の頭部を覆うマント状の被覆布地42が使用者Mの頭部を覆う袋状の被覆布地41と一体に形成されてフード部40を構成していることにより、使用者Mの肩に掛け、乳幼児Bの頭部を覆うものであるから、使用者Mや乳幼児B1,B2にとっての防寒着にもなる。
【0170】
このフード部40は、例えば、リュック本体部20の背面側の被覆部92内に取付けておくことで、必要に応じて、収納ポケットを設けてその内部に取付けておくことで、フード部40が必要となった際には、リュック本体部20を背負い、上衣部50を着衣したままで、リュック本体部20の背面側に手をまわして、被覆部92内に取付けたフード部40を引き出すことで、容易に、かつ、迅速に乳幼児B1及び乳幼児B2の頭部及び使用者Mの頭部を覆うことが可能である。また、フード部40を必要としないときには、被覆部92内に収容しておくことで、邪魔にならず、デザイン性を損なうこともない。
【0171】
しかし、本発明を実施する場合には、フード部40の取付位置は被覆部92内に限定されず、上衣部50側やリュック本体部20側であってもよい。
更に、本発明を実施する場合には、例えば、乳幼児保持部70R,70Lに個々に乳幼児B1,B2の頭部を覆うフード部を取り付けてもよいし、上衣部50やリュック本体部20側に使用者Mの頭部を覆うフード部を乳幼児B1,B2の頭部を覆うフード部とは別途に取付けてもよい。
【0172】
ところで、上記実施の形態1の多機能リュックサック1では、上衣部50が互いに分離した右前身頃部60R及び左前身頃部60Lと、右前身頃部60R及び左前身頃部60L間を繋ぐ後身頃部60Bとを有し、右前身頃部60R及び後身頃部60Bによって使用者Mの右腕が通される環状の右袖ぐり部61Rを形成し、また、左前身頃部60L及び後身頃部60Bによって使用者Mの左腕が通される環状の左袖ぐり部61Lを形成している。
しかし、本発明を実施する場合には、後身頃部60Bを省略し、右前身頃部60R及び左前身頃部60Lをリュック本体部20の背面部21bの肩ベルト部30R,30Lの配設側の外面に直接縫着してもよい。この場合には、リュック本体部20の背面部21bと右前身頃部60Rの間で、環状の右袖ぐり部61Rが形成され、また、リュック本体部20の背面部21bと左前身頃部60Lの間で、環状の左袖ぐり部61Lが形成されることになる。
【0173】
[実施の形態2]
次に実施の形態2に係る多機能バッグとしての多機能リュックサック1Aについて
図13乃至
図16を参照して説明する。
上記実施の形態1に係る多機能リュックサック1Aは、上衣部50の左右の前身頃部60R,60Lの両方に左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを形成し、使用者Mの左前脇寄り側及び右前脇寄り側で二人の乳幼児B1,B2を同時に保持できるものである。
これに対し、本実施の形態2に係る多機能リュックサック1Aは、上衣部50Aの左右の前頃部60R,60Lのうちの一方(ここでは右前身頃部60R)に正面乳幼児保持部70Fを形成し、使用者Mの正面側で乳幼児Bの1人を保持するものである。
本実施の形態2においては、上記実施の形態1と比べ上衣部50Aの構成のみ相違し、その他のリュック部10等は上記実施の形態1のときと同じであるから、ここでは、主に、上記実施の形態1との相違点のみ説明する。
【0174】
図13乃至
図16に示す実施の形態2に係る上衣部50Aにおいても、使用者Mが着衣したときに最も前側に出る右前身頃部60Rと、着衣したときに使用者Mの前側であるが右前身頃部60Rの背後に重なる左前身頃部60Lと、着衣したときに使用者Mの背後に配設する後身頃部60Bと、使用者Mのウエスト周りに配設されるウエストベルト部80とから概略構成されており、左前身頃部60L、右前身頃部60R、後身頃部60B、及びウエストベルト部80は縫製によって一体に形成されているものである。そして、本実施の形態2においては、上衣部50を構成する右前身頃部60Lの前面のみに乳幼児Bを収容する正面乳幼児保持部70Fが形成されている。
【0175】
本実施の形態2の上衣部50Aにおいても、互いに分離している左前身頃部60L及び右前身頃部60Rと、左前身頃部60L及び右前身頃部60Rを繋いでいる後身頃部60Bとで構成されていることにより、右前身頃部60Rと後身頃部60Bとによって使用者Mの右腕が通される右袖ぐり部61Rが形成され、左前身頃部60Lと後身頃部60Bとによって使用者Mの左腕が通される左袖ぐり部61Lが形成されている。これより、右袖ぐり部61Rに使用者Mの右腕を通し、また、左袖ぐり部61Lに使用者Mの左腕を通すことで使用者Mの上半身に上衣部50Aが着用されることになる。
【0176】
本実施の形態2の上衣部50Aにおいても、上記実施の形態1の上衣部50と同様、右前身頃部60Rと後身頃部60Bの境界の右肩山部62R、左前身頃部60Lと後身頃部60Bの境界の左肩山部62L、及び後ろ襟部62B(肩幅相当部分)がリュック部10におけるリュック本体部20の背面部21bの外面側の上部に縫い付けられ、また、後身頃部60Bの下部がリュック本体部20の背面部21bの外面側の下部に接続部64による遊びを設けて縫い付けられていることで、リュック部10の背面側に縫製によって一体に固着されているものである。
【0177】
ここで、本実施の形態2において、上衣部50Aを構成する右前身頃部60R及び左前身頃部60Lは、上方の肩側が細幅で中間側に向かって徐々に幅広となり脇位置で最も幅広で、更に最幅広部分から下方に向かっては徐々に幅狭に形成されているものである。
そして、施の形態2の上衣部50Aにおいては、使用者Mが着衣したときには、互いに分離した右前身頃部60R及び左前身頃部60Lが使用者Mの前側で重ねられるものである。
【0178】
本実施の形態2においては、右前身頃部60R及び左前身頃部60Lを重ねたときに後側となる左前身頃部60Lの脇側とは反対側の端部であって、最幅広部分の位置には、連結具である1対のバックル640A,640Bのうちアジャスタ付きタング部(バックル差込具)640Bを設けたベルト布地650が取付けられ、また、右前身頃部60R及び左前身頃部60Lを重ねたときに前側となる右前身頃部60Rの裏面側で右袖ぐり部61Rの端部には、タング部(バックル差込具)640Bに対応するバックル部640Aがタブ670を介して取付けられている。
【0179】
これより、本実施の形態2において、上衣部50Aの右袖ぐり部61Rに使用者Mの右腕を通し、また、左袖ぐり部61Lに左腕を通して上衣部50Aを着用した際に使用者Mの前側で重ねられた右前身頃部60R及び左前身頃部60Lの所定位置に設けた1対の1対のバックル640A,640Bを接合することで、右前身頃部60Rの端部を左前身頃部60Lの端部に固定して、使用者Mの動きによっても、左前身頃部60が捲れたり、乱れたりして嵩張る煩わしさを解消することができる。また、1対のバックル640A,640Bがアジャスタ付きであり、ベルト布地650によって右前身頃部60Rの端部を左前身頃部60Lの端部を接続する長さを調節できることで、使用者Mの体型に合わせて窮屈感を与えることなく左前身頃部60Lの端部を右前身頃部60Rの端部に固定することが可能となっている。なお、上衣部50Aの右袖ぐり部61Rに使用者Mの右腕を通し、また、左袖ぐり部61Lに左腕を通して上衣部50Aを着用した際には、右前身頃部60R及び左前身頃部60Lの重なりにより使用者Mの首周りが略V字状となるように、使用者Mの首周りに配設する所定の端部は斜めに形成されている。
【0180】
そして、本実施の形態2の上衣部50Aにおいては、使用者Mが着衣したときには、互いに分離した右前身頃部60R及び左前身頃部60Lが使用者Mの前側で重ねられ、右前身頃部60R及び左前身頃部60Lを重ねたときに前側となる右前身頃部60Rの前面には、乳幼児Bを収容して保持する正面乳幼児保持部70Fを有する。
【0181】
正面乳幼児保持部70Fは、乳幼児Bの臀部及び背中側を主に支持する保持本体部71と、保持本体部71の上側の幅方向の両側から延出し右前身頃部60Rに縫付けて接続した接続側部72とを有し、それら保持本体部71及び接続側部72は縫製によって一体に形成され、また、右前身頃部60Rとも縫製によって一体に形成されている。
【0182】
保持本体部71は、下方に向かって幅狭に形成され、その下端部が前身頃部60R,60Lの下部に設けたウエストベルト部80と共に右前身頃部60Rに縫い付けられている。また、保持本体部71の幅方向の左右両側から延出している接続側部72も、右前身頃部60Rに縫い付けられている。即ち、保持本体部71は、中間保持部710cの幅方向の左右両側に延出した接続側部72を介し右前身頃部60Rに接続されており、接続側部72によって右前身頃部60Rと保持本体部71が連結され、正面乳幼児保持部70Fは、略袋状に前身頃部60Rと一体に形成されている。
【0183】
これより、本実施の形態2においても、保持本体部71の下側の左右側縁部と、接続側部72の下側縁部と、前身頃部60Rとの間に形成された環状の開口に乳幼児Bの脚が通され、保持本体部71と接続側部72と右前身頃部60Rとの間に形成された空間内で乳幼児Bが収容されて保持される。即ち、保持本体部71の下側の左右側縁部と、接続側部72の下側縁部と、右前身頃部60Rとの間に形成された環状の開口に乳幼児Bの脚が通され、乳幼児Bの前側(正面側)を使用者Mに対向させる対面抱っこの形態で、乳幼児Bが上記空間に収容される。このとき、収容した乳幼児Bの背側に保持本体部71があてがわれ、乳幼児Bの反背側の腹側には右前身頃部60Rが配設する。
【0184】
こうして、正面乳幼児保持部70Fは、保持本体部71で乳幼児Bを支持し、また、接続側部72で乳幼児Bが横に倒れて落下しないように支持することで、乳幼児Bを保持する。特に、保持本体部71の下側の左右側縁部と、接続側部72の下側縁部と、右前身頃部60Rとの間に形成された環状の開口に乳幼児Bの脚を通すことで、乳幼児Bにとって快適な開脚姿勢での保持を可能とし、また、乳幼児Bの落下が規制される。
【0185】
また、本実施の形態2の上衣部50Aにおいては、正面乳幼児保持部70Fの保持本体部71の上部の左右の各端部に連結具である1対のバックル74A,74Bのうちの一方のバックル受具74Aを有する連結ベルト75の一端部が縫い付けられている、そして、上衣部50Aの右前身頃部60Rの肩側の細幅部分及び上衣部50Aの左前身頃部60Lの肩側の細幅部分には、それぞれ、バックル受具74Aに対応するバックル差込具74Bを有するベルト布地76が縫い付けられている
【0186】
よって、正面乳幼児保持部70Fの上部の左右の一方側(使用者M側から見て右側)に設けた連結ベルト75のバックル受具74Aと右前身頃部60Rの肩側にベルト布地76を介して設けたバックル差込具74Bとの接合により正面乳幼児保持部70Fの上部の左右の一方(使用者M側から見て右側)と右前身頃部60Rの肩側とで接続することで、また、正面乳幼児保持部70Fの上部の左右の他方側(使用者M側から見て左側)に設けた連結ベルト75のバックル受具74Aと左前身頃部60Lの肩側にベルト布地76を介して設けたバックル差込具74Bとの接合により正面乳幼児保持部70Fの上部の左右の他方(使用者M側から見て左側)と左前身頃部60Lの左肩側とで接続することで、正面乳幼児保持部70Fの乳幼児Bを入れる上方開口が規制されるから、上方開口が大きく開いて乳幼児Bが落下してしまう事態を防止できる。
【0187】
加えて、本実施の形態2においてもアジャスタ74aに連結ベルト75を通していることで正面乳幼児保持部70Fの上部の各左右と右前身頃部60Rの肩側との間を接続する連結ベルト75の長さが調節自在であり、使用者Mの体型に応じて使用者Mや乳幼児Bにとって窮屈感、締め付け感、圧迫感を生じさせることのない位置で乳幼児Bを保持可能となっている。
【0188】
更に、本実施の形態1の上衣部50Aにおいては、正面乳幼児保持部70Fの接続側部72と右前身頃部60Rとの縫着位置に、連結具である1対のバックル780A,780Bのうちの一方のアジャスタ780a付きタング部(バックル差込具)780Bを設けたベルト布地770が縫い付けられ、タング部780Bに対応する他方のバックル部(バックル受具)780Aが左前身頃部60Lの左袖ぐり部61下方の脇側端部にタブ790を介して取付けられている。
【0189】
これより、1対のバックル780A,780Bの接合により右前身頃部60Rの端部及び左前身頃部60Lの端部が接続固定されるから、使用者Mが動いても右前身頃部60Rが乱れ難く、左前乳幼児保持部70Lで保持された乳幼児Bの保持位置を安定化させることができる。
【0190】
加えて、アジャスタ780aにベルト布地770を通していることで右前身頃部60Rの端部及び左前身頃部60Lの端部を接続するベルト布地770の長さが調節自在であり、使用者Mの体型に応じて窮屈感、締め付け感、圧迫感を生じさせることのない着衣を可能としている。
【0191】
更に、本実施の形態2の上衣部50Aにおいても、左前身頃部60L、右前身頃部60R、及び後身頃部60Bの下部にウエストベルト部80が縫製により一体に形成されている
本実施の形態2のウエストベルト部80は、左前身頃部60L、右前身頃部60R、及び後身頃部60Bの下端部に縫製された厚みがあり幅広なウエストベルト本体部81と、ウエストベルト本体部81の表面側であって右前身頃部60R側の端部にタブを介して取付けられた連結具である1対のバックル84A,84Bのうちの一方のバックル部(バックル受具)84Aと、ウエストベルト本体部810の裏面側であって右前身頃部60R側の端部に縫い付けられた連結具である1対の面ファスナ880A,880Bのうちの一方の面ファスナ880Aと、ウエストベルト本体部810の表面側であって左前身頃部60Lに縫い付けられた連結具である1対の面ファスナ880A,880Bのうちの他方の面ファスナ880Bと、ウエストベルト本体部81の表面側であって左前身頃部60L側に縫い付けた面ファスナ880Bの後身頃部60B側の端部側に縫付けた幅広ベルト82と、幅広ベルト82に設けられ連結具である1対のバックル84A,84Bのうちの他方のアジャスタ付きタング部(バックル差込具)84Bとから構成され、1対の面ファスナ880A,880Bの接合や、1対のバックル84A,84Bの接合によって環状に接続自在であり、使用者Mのウエスト周りに固定する取付け及び取外しを自在とするものである。
【0192】
本実施の形態2のウエストベルト本体部81の右前身頃部60R側の端部の裏面側には、面ファスナ880Aが設けられ、また、左前身頃部60L側には、ウエストベルト本体部81の長さ方向に沿って面ファスナ880Bが設けられていることにより、左前身頃部60Lの上に右前身頃部60Rが重ねられて着衣した状態で、左前身頃部60L及び右前身頃部60Rの下側でウエストベルト本体部81の長さ方向の両側の端部が重ねられ、1対の面ファスナ880A,880Bで接合されることにより、ウエストベルト部80が使用者Mのウエスト周りに固定されることになる。特に、面ファスナ880A,880Bであればその接合位置の調節によって、環状に接続する長さを調節自在であり、使用者Mのウエスト周りの長さに対応して窮屈感を与えない位置で固定することができる。そして、このように、左前身頃部60L及び右前身頃部60Rの下側でウエストベルト本体部810の長さ方向の両側の重ねられる端部で1対の面ファスナ880A,880Bにより接合できることで、前身頃部60L,60Rの乱れによる嵩張り等を防止して、快適な着用を可能とする。
【0193】
更に、ウエストベルト本体部81の右前身頃部60R側の端部の表面側には、バックル部84Aが取付けられ、また、左前身頃部60L側に、幅広ベルト82を介してタング部84Bが取付けられていることにより、左前身頃部60Lの上に右前身頃部60Rが重ねられて着衣した状態で、左前身頃部60L及び右前身頃部60Rの下側でウエストベルト本体部81の長さ方向の両側の端部が重ねられ、1対のバックル84A,84Bで接合されることでも、ウエストベルト部80が使用者Mのウエスト周りに固定されることになる。
特に、幅広ベルト82は所定の長さを有し、アジャスタ付きタング部84Bに取付けていることで、そのアジャスタ機能により使用者Mのウエストの周囲の長さに合わせることができる。よって、締め付け感の調整が容易にでき、ウエスト周りに負荷の少ない固定を可能とする。
【0194】
こうした正面乳幼児保持部70Fを備えた上衣部50Aを着用する際には、上記実施の形態1のときと同様、リュック部10を使用者Mの背中から下ろした状態で、リュック本体部20の背面側に設けた分割片91a、91bを閉じている線ファスナ91Fを下げて分割片91a、91bを分割して左右に開放し、格納部90に格納されていた上衣部500を展開する。
そして、上衣部50Aの左前身頃部60L及び後身頃部60Bで形成された左袖ぐり部61Lに使用者Mの左腕を通し、また、右前身頃部60R及び後身頃部60Bで形成された右袖ぐり部61Rに使用者Mの右腕を通すことにより、使用者Mの上半身に上衣部50Aを着用する。
【0195】
本実施の形態2の上衣部50Aも、リュック部10の背面、即ち、リュック本体部20の背面部21bの外面側に縫付けられているものであるので、上衣部50Aの着用により、リュック本体部20が使用者Mの背中に背負われることになる。即ち、リュック部10の1対の肩ベルト部30R,30Lを肩に装着しなくとも、上衣部50Aの着用によりリュック本体部20が上衣部50を着用した使用者Mに背負われるることになる。このとき、上衣部50Aとリュック本体部20が縫着されていることで、上衣部50Aを着用している状態ではリュック本体部20が肩からずれ落ちてきてしまう煩わしさも生じない。
なお、上記実施の形態1と同様、1対の肩ベルト部30R,30Lを使用しないときには、肩ベルト収容部39に肩掛け本体部31及び調節ベルト部32を収容して邪魔にならにように、その存在を分からなくして外観性を良くすることができる。
【0196】
そして、使用者Mに上衣部50Aが着用され、また、リュック本体部20が背負われた状態では、上衣部50Aの右前身頃部60Rに正面乳幼児保持部70Rが設けられていることにより、正面乳幼児保持部70Rの保持本体部71及び接続側部72と右前身頃部60Rの間に形成された空間に、乳幼児Bを収容して乳幼児Bを保持することができる。
【0197】
このとき、上衣部50Aの着衣状態で、左前身頃部60Lの上に右前身頃部60Rが重ねられ、左前身頃部60Lの端部と右前身頃部60Rの端部を上方の1対の雌雄のバック640A,640Bの連結により接続固定することで、更に、下方の1対の雌雄のバックル780A,780Bを接続固定することで、左前身頃部60L及び右前身頃部60Rの位置が安定して乱れ難く、乳幼児Bの収容の動作を容易とし、また、乳幼児Bの保持の安定化を図ることができる。
【0198】
更に、本実施の形態2の上衣部50Aにおいては、右前身頃部60Rに設けた正面乳幼児保持部70Fで保持本体部71及び接続側部72と右前身頃部60Rの間に形成された空間に、乳幼児Bを収容した状態で、保持本体部71の上方の左右の両側に接続した連結ベルト75のバックル74Aを右前身頃部60Rの肩側及び左前身頃部60Lの肩側に設けたバックル74Bに接合して保持本体部70の連結ベルト75を右前身頃部60Rの右肩側及び左前身頃部60Lの左肩側に固定することで、乳幼児Bを収容した空間の上方開口が制御され、収容された乳幼児Bが落下することのない安定した保持状態が維持される。
【0199】
また、本実施の形態2の上衣部50Aを着衣した状態で、ウエストベルト部80に設けられた1対の雌雄の面ファスナ880A,880Bや、1対の雌雄のバックル84A,84Bを接合して、使用者Mの腰周りにウエストベルト部80を固定することで、乳幼児Bの荷重を腰周りにも分散できるから、使用者Mの負荷を軽減できる。
【0200】
このように本実施の形態2でも、左前身頃部60L、右前身頃部60R、及び後身頃部60Bの下部に環状に接続自在なウエストベルト部80を設けて、ウエストベルト部80の1対の面ファスナ880A,880Bや、1対のバックル84A,84Bの接合により、ウエストベルト部80を使用者Mのウエスト周りに固定することにより、正面乳幼児保持部70Fで受ける乳幼児Bの体重を使用者Mのウエスト周りに分散することができる。よって、使用者Mにとっての負荷を軽減でき、乳幼児Bを楽に保持することができる。また、上衣部50Aの下部側が環状に接続されることにより、乳幼児Bや使用者Mの動きによっても着衣が乱れ難く、乳幼児Bの保持位置も安定させることができ、安定感のある保持を可能とする。更に、幅広ベルト82にアジャスタが設けられ、また、1対の面ファスナ840A,840Bを設けていることにより、環状に接続する長さを調節自在であるから、使用者Mの体格に合わせ使用者Mのウエスト周りを締め付け自在であり、窮屈感を与えずに使用者Mのウエスト周りにフィットさせて乳幼児Bの荷重を分散させることが可能である。
【0201】
こうして上記実施の形態1の多機能リュックサック10では、上衣部50の正面側で互いに分離している前開きの左前身頃部60L及び右前身頃部60Rは、使用者Mに着用した際に使用者Mの正面中央側に互いの端部が位置し、左前身頃部60L及び右前身頃部60Rの両方に乳幼児保持部70R,70Lを有することにより、使用者Mの前方の左右両側で同時に2人の乳幼児B1,B2を保持できるものであるのに対し、本実施の形態2の多機能リュックサック10Aでは、上衣部50Aの正面側で互いに分離している前開きの左前身頃部60L及び左前身頃部60Rは、使用者Mに着用した際に左前身頃部60Lの端部が、使用者Mの右脇側に位置し、また、右前身頃部60Rの端部が、使用者Mの左脇側に位置し、左前身頃部60Lの上に右前身頃部60Rが被せられる左前の着衣となるものであり、左前身頃部60Lの上に重ねた右前身頃部60Rに正面乳幼児保持部70Fを有して使用者の前方中央で1人の乳幼児Bを保持できるものである。
【0202】
本実施の形態2においても、このように使用者Mに着衣される上衣部50Aに乳幼児保持部70Fを設けていることにより、使用者Mの正面及び背面の広い面積で乳幼児Bの体重を受けるから、負荷が分散されることにより乳幼児Bを楽に保持することができる。更に、使用者Mのウエスト周りに1対の雌雄の面ファスナ880A,880Bの接合や、1対の雌雄のバックル840A,840Bの接合によって固定するウエストベルト部80を設けていることにより、乳幼児Bの荷重を腰周りにも分散できるから、使用者Mの負荷をより軽減できる。
【0203】
そして、本実施の形態2の多機能リュックサック10Aにおいても、乳幼児Bを保持するものが帯状体の着脱で形成されるものでなく、リュック部10の背面側に設けた上衣部50Aを展開して着用するのみで、乳幼児Bを抱き上げ、着用した上衣部50Aに設けている袋状の正面乳幼児保持部70Fに収容することで、迅速に抱っこすることができるから、その装着が極めて簡便で、使い勝手が良いものである。
更に、本実施の形態2の多機能リュックサック10Aも、このように使用者Mに着衣される上衣部50Aを有することにより、それを防寒着として使用することが可能であり、乳幼児保持部70Fを保持しない状態でも、それが袋状であるから、邪魔になり難いものである。
【0204】
以上、説明してきたように、上記実施の形態2の多機能リュックサック1Aは、荷物を収容するリュック本体部20と、リュック本体部20の上下に接続し使用者Mの左右の肩に掛けられる左右1対の肩ベルト部30R,30Lとを有し使用者Mに背負われるリュック部10と、1対の肩ベルト部30R,30Lの接続側でリュック本体部20に縫付けられ、使用者Mの左腕が通される左袖ぐり部61Lを形成している左前身頃部60Lと左前身頃部60Lとは分離していて使用者Mの右腕が通される右袖ぐり部61Rを形成している右前身頃部60Rとを有し左前身頃部60L及び右前身頃部60Rが互いに重ねられて使用者Mに着用される上衣部50Aと、上衣部50Aの互いに重ね合わせられる左前身頃部60及び右前身頃部60Rのうち前面側に位置する左前身頃部60Lまたは右前身頃部60Rに一体に形成され乳幼児Bを保持する正面乳幼児保持部70Fと、1対の肩ベルト部30R,30Lの接続側でリュック本体部20に設けられ、正面乳幼児保持部70Fを有する上衣部50Aを格納する格納部90とを具備するものである。
【0205】
即ち、上記実施の形態2の多機能バッグとしての多機能リュックサック1Aは、荷物を収容するバッグ本体部としてのリュック本体部20と、リュック本体部20に接続し使用者Mの両肩に掛けられる1対の肩ベルト部30R,30Lと有するバッグ部としてのリュック部10と、リュック本体部20の背面側に設けられ、使用者Mの左腕が通される左袖ぐり部61Lを形成している左前身頃部60Lと左前身頃部60Lとは分離していて使用者Mの右腕が通される右袖ぐり部61Rを形成している右前身頃部60Rとを有し使用者Mに着用される上衣部50Aと、上衣部50Aの左前身頃部60Lまたは右前身頃部60Rに一体に形成され乳幼児Bを保持する乳幼児保持部70Fと、リュック本体部20の背面側に設けられ、乳幼児保持部70Fを有する上衣部50Aを格納する格納部90とを具備するものである。
【0206】
こうして、上記実施の形態2の多機能リュックサック1Aにおいても、荷物を収容するリュック本体部20と、リュック本体部20に環状に接続し使用者Mの左右の肩に掛けられる左右1対の肩ベルト部30R,30Lとを有し使用者Mの背面に装着されるリュック部10に対し、1対の肩ベルト部30R,30Lの接続側で、使用者Mの左腕が通される左袖ぐり部61Lを形成した左前身頃部60Lと左前身頃部60Lとは分離しており使用者Mの右腕が通される左袖ぐり部61Lを形成した右前身頃部60Rとを有し左前身頃部60L及び右前身頃部60Rが互いに重ねられて着用される上衣部50Aが縫い付けられ、上衣部50Aの前面に位置する左前身頃部60Lまたは右前身頃部60Rには乳幼児Bを収容する袋状の正面乳幼児保持部70Fが一体に形成されており、更に、リュック部10の1対の肩ベルト部30L,30Rの接続側に正面乳幼児保持部70Fを有する上衣部50Aを格納する格納部90が設けられている。
【0207】
このように正面乳幼児保持部70Fを有する上衣部50Aがリュック部10の1対の肩ベルト部30L,30Rの接続側、即ち、リュック部10の背面側に縫い付けられていることで、互いに分離している左前身頃部60L及び右前身頃部60Rを有する上衣部50Aの左袖ぐり部61Lに左腕を通し、また、右袖ぐり部61Rに右腕を通して上衣部50Aを着用し、その上衣部50Aの左前身頃部60Lまたは右前身頃部60Rに一体に形成された正面乳幼児保持部70Fに乳幼児Bを保持することで、使用者Mの後側でリュック部10を背負いながら使用者Mの前側で乳幼児Bを保持できるものである。このとき、正面乳幼児保持部70Fを有する上衣部50とリュック本体部20が縫製されていることで、上衣部50Aを着用している状態でリュック本体部20が落ちてきてしまう煩わしさも生じない。また、リュック部10や上衣部50のどちらか一方を紛失させてしまう恐れもなく、一体に保管されるから、乳幼児Bの抱っこ、運搬を補助する抱っこ紐等とリュックとが別々に保管されているときのように、探す手間も要さないものである。また、乳幼児Bの抱っこ、運搬を補助する抱っこ紐等とリュックとを別々に持ち歩く場合と比べ、荷物の収容スペースをとらないものでもある。
【0208】
特に、乳幼児Bを保持する正面乳幼児保持部70Fが左前身頃部60Lまたは右前身頃部60Rに一体に形成された上衣部50Aを有するものであり、それを着用するだけで乳幼児Bを受け入れる状態の形態となり、容易、かつ、迅速に乳幼児Bを抱っこできるものである。そして、上衣部50Aの前面に位置する方の左前身頃部60Lまたは右前身頃部60Rに正面乳幼児保持部70Fを有するものでは、使用者Mの正面で乳幼児Bを保持することになるから、使用者Mの重心が安定し、より安定的な保持が可能であり、負荷を軽減できる。更に、使用者Mの前側で乳幼児Bを保持するものであっても、使用者Mの後側には、荷物を収容するリュック本体部20が背負われていることで、使用者Mが前屈みになり難くバランスを取りやすいものである。
【0209】
また、正面乳幼児保持部70Fを有する上衣部50Aは、その左袖ぐり部61Lに左腕を通し、また、右袖ぐり部61Rに右腕を通して使用者Mが着るものであるから、使用者Mの広範囲の面積で乳幼児Bの体重や荷物が収容されたリュック部10の重さを支持できることになり、負荷を分散できることで、使用者Mの負担を少なくできる。そして、着衣の形態であれば、使用者Mの自然な動きの邪魔にならず、上衣部50Aの着用状態でも違和感を与え難いから、上衣部50Aの着用状態では、乳幼児Bの抱き降ろしの急な要求でも、迅速、かつ、容易に乳幼児Bの抱き降ろしできる。更に、上衣部50Aは着用するものであるから防寒具としても機能する。
【0210】
加えて、正面乳幼児保持部70Fを有する上衣部50Aの着用を必要としないときには、上衣部50Aを脱衣して、格納部90に格納してコンパクトにすることで、リュック部10のみを背負って使用する場合でも邪魔にならずデザイン性も良い。更に、収納、保管も省スペースで済む。
【0211】
このように本実施の形態2の多機能リュックサック1Aにおいても、乳幼児Bの抱っこを補助する形態の装脱着や、乳幼児Bの抱き降ろしの対応が容易にでき、使い勝手が非常に良いものである。
【0212】
また、上記実施の形態2の多機能リュックサック1Aにおいても、更に、左前身頃部60L及び右前身頃部60Rの下部に設けられ接合及び分離自在な雄部材と雌部材とからなる接続具(連結具)としての1対バックル84A,84Bや1対の面ファスナ880A,880Bによって環状に接続自在で使用者Mのウエスト周りに固定自在なウエストベルト部80を具備するから、上衣部50Aの着衣状態では、荷物や乳幼児Bの荷重を使用者Mのウエスト周りにも分散させることができる。よって、使用者Mの負担を軽減できる。
【0213】
更に、上記実施の形態2の多機能リュックサック1Aにおいても、正面乳幼児保持部70Fにおいて前身頃部60Rに対し乳幼児Bを支持する保持本体部71及び接続側部720からなる支持部を縫着して前身頃部60Rと保持本体部71及び接続側部72からなる支持部との間に乳幼児Bを収容する収容空間を形成し、また、乳幼児Bの脚が通される開口を設けているものであり、正面乳幼児保持部70Fの開口に乳幼児Bの脚を通して収容空間に乳幼児Bを収容するのみで乳幼児Bが保持本体部71及び接続側部72からなる支持部で支持され保持されることになるから、乳幼児Bの保持を容易にでき、かつ、乳幼児Bの負担の少ない開脚姿勢で乳幼児Bを支持できる。
【0214】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3に係る多機能バッグについて、
図17乃至
図19を参照して説明する。本実施の形態3は、本発明の多機能バッグとして多機能ショルダーバッグ(ボディバッグ)100に適用した場合を例示するものである。
【0215】
本実施の形態3に係る多機能バッグとしての多機能ショルダーバッグ100は、上記実施の形態1,2のリュック部10にかえてバッグ部としてショルダーバッグ部110としに適用したものである。
本実施の形態3においては、上記実施の形態1,2と比べバッグ部の構成のみ相違し、その他の上衣部50、乳幼児保持部等は上記実施の形態1,2のときと同じであるから、ここでは、主に、上記実施の形態1,2との相違点であるショルダーバッグ部110の構成のみ説明する。
【0216】
即ち、本実施の形態3に係る多機能バッグとして多機能ショルダーバッグ100は、それを使用する使用者Mの左肩または右肩に掛けられる肩ベルト部300及び荷物を収容するバッグ本体部としてのショルダーバッグ本体部200を備えたバッグ部としてのショルダーバッグ部110と、ショルダーバッグ部110の背面側に一体に設けられ、互いに分離している左前身頃部及び右前身頃部、並びに左前身頃部及び右前身頃部と一体の後身頃部60Bで形成された上衣部50と、上衣部50に一体に形成され乳幼児Bを収容する左前乳幼児保持部70Lと、上衣部50の右前身頃部60Rに一体に形成され別の乳幼児B2を収容する右前乳幼児保持部70Rと、ショルダーバッグ本体部200の背面側に設けられ左前乳幼児保持部70L及び右前乳幼児保持部70Rを有する上衣部50を格納する格納部(図示せず)とを有するものである。
【0217】
ショルダーバッグ本体部200は、主に正面部210aと背面部210bとによって収容空間を画成した袋状に形成されたものであり、正面部210a側に開口を形成しその開口を左右方向の線ファスナ210Fで開閉自在とすることにより、正面部210a側に設けた開口から内部の収容空間に荷物の出し入れを自在としているものである。また、正面部210aの外面側には、別途外ポケット部230が形成され、同じく線ファスナ230Fによって開閉自在となっている。なお、線ファスナ210F,230Fは2つのスライダを有し、特定方向のスライドに限定されないことで利き腕に関係なく開閉が容易となっている。
【0218】
そして、ショルダーバッグ本体部200の長さ方向の両側の端部(左右方向の端部)には、肩ベルト部300の両側端部が接続されていることにより、ショルダーバッグ本体部200との間で環状を形成する。
即ち、ショルダーバッグ本体部200及び肩ベルト部300が環状に接続されていることにより、使用者Mは、その一方の肩から他方の腰側に斜めにたすき掛けすることが可能である。
【0219】
なお、肩ベルト部300は、上記実施の形態1,2の肩ベルト部30R,30Lと同様、長さ方向の一端部をショルダーバッグ本体部200の一端部に接続し、長さ方向の他端部に連結具である係脱自在な1対のバックルの一方を設けたアジャスタ付きベルト部と、長さ方向の一端部をショルダーバッグ本体部200の他端部に接続し、長さ方向の他端部に連結具である係脱自在な1対のバックルの他方を設けたアジャスタ付きベルト部とによって構成され、両ベルト部がバックルによって接続自在となっており、また、アジャスタによってベルト長が調節自在となっている。
【0220】
そして、本実施の形態3のショルダーバッグ本体部200の背面部210b側には、上記実施の形態1、2と同様に上衣部50及び格納部(図示せず)が設けられ、上衣部50は格納部に格納自在となっている。
ここで、本実施の形態3に係る多機能バッグとして多機能ショルダーバッグ10においては、ショルダーバッグ本体部200の背面部210b側に上衣部50及びそれを格納する格納部を設けているが、それらショルダーバッグ本体部200の背面側は、乳幼児Bを着座させて臀部を支持できる大きさの面積に形成され、乳幼児Bの臀部が載せられて乳幼児の臀部を支持する台座部250を形成している。即ち、上衣部50及びそれを格納する格納部を設けたショルダーバッグ本体部200の背面部210b側で、上衣部50が格納部に格納された状態では、ショルダーバッグ本体部200の背面部側が台座部250となって、その上に乳幼児Bの臀部を載せて支持することができる。
【0221】
こうして、本実施の形態3では、ショルダーバッグ部110を使用者Mの一方の肩に斜め掛けするたすき掛けの状態では、上衣部50及びそれを収容した格納部を設けたショルダーバッグ本体部200の背面側の台座部250で乳幼児Bの臀部を支持し、使用者Mの前側においてショルダーバッグ部110との間で乳幼児Bを抱っこして保持することが可能である。殊に、台座部250を構成する上衣部50が格納部に格納された状態では、それがクッションとなって、乳幼児Bの臀部に負荷を掛け難いものとなる。
【0222】
そして、本実施の形態3では、
図19に示すように、上衣部50の後身頃部60Bの下部側がショルダーバッグ部110におけるショルダーバッグ本体部200の背面部210bの外面側と部分的に縫着されることにより、ショルダーバッグ本体部200の背面側に上衣部50が縫製によって一体に固着されている。なお、上記実施の形態1,2のときと同様、接続部による遊びを設けて上衣部50をショルダーバッグ本体部200の背面側に縫着してもよい。
【0223】
このように、本実施の形態3では、上衣部50の後身頃部60Bの下部側がショルダーバッグ部110におけるショルダーバッグ本体部200の背面部210bの外面側と部分的に縫着されたことにより、上衣部50を格納部から展開して使用者Mが着用した状態では、上衣部50の後身頃部60Bの外面(背面)の下部側、即ち、使用者Mの背後の腰側にショルダーバッグ本体部200が配設する。これより、使用者Mは上衣部50の着用状態で後の腰側に手をまわすことで、ショルダーバッグ本体部200に荷物の出し入れが容易に可能である。
【0224】
なお、本実施の形態3においても、ショルダーバッグ本体部200に対し上衣部50を部分的な縫着とすることにより、ショルダーバッグ本体部200と上衣部50との間で肩ベルト収容部を形成し、そこに1対のバックルの係合が解かれ分離した肩ベルト部300の各ベルト部を収容するようにしてもよい。
【0225】
このように本実施の形態3の多機能バッグとしての多機能ショルダーバッグ100は、荷物を収容するバッグ本体部としてのショルダーバッグ本体部200と、ショルダーバッグ本体部200に接続し使用者Mの一方の肩に掛けられる1肩ベルト部300と有するバッグ部としてのショルダーバッグ部110と、ショルダーバッグ本体部200の背面側に設けられ、使用者Mの左腕が通される左袖ぐり部61Lを形成している左前身頃部と左前身頃部とは分離していて使用者Mの右腕が通される右袖ぐり部61Rを形成している右前身頃部とを有し使用者Mに着用される上衣部50と、上衣部50の左前身頃部及び右前身頃部に一体に形成され乳幼児を保持する乳幼児保持部70L,70Rと、ショルダーバッグ本体部200の背面側に設けられ、乳幼児保持部70L,70Rを有する上衣部50を格納する格納部とを具備するものである。このような本実施の形態3の多機能ショルダーバッグ100において、上記実施の形態1,2の多機能リュックサック1と同様の効果を奏するものである。
【0226】
特に、本実施の形態3では、多機能バッグが多機能ショルダーバッグ100の形態であり、バッグ部は、使用者Mの一方の肩に掛けられるショルダーバッグ部110であるから、ショルダーバッグ本体部110に荷物の出し入れをする場合に肩ベルト部300を肩から外さなくともバッグ本体部110に荷物の出し入れが可能なものである。
【0227】
更に、本実施の形態3の多機能ショルダーバッグ100によれば乳幼児Bの臀部を載せる台座部250を有するものであるから、上衣部50を着用しない状態のショルダーバッグ部110の単独の使用状態でも乳幼児Bを台座部250に載せて楽に抱っこすることができる。
なお、多機能ショルダーバッグ100は、その使用形態が肩に掛けるものに限定されず、ウエスト周りに装着する形態(所謂、ウエストバッグ)も含まれるものである。
【0228】
本発明を実施するに際しては、多機能リュックや多機能ショルダーバッグ等の多機能バッグその他の部分の材質、材料、大きさ、構成等について、上記実施の形態1乃至実施の形態3に限定されるものではない。また、本発明の実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な適正値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
【符号の説明】
【0229】
1 多機能リュックサック(多機能バッグ)
10 リュック部(バッグ部)
20 リュック本体部(バッグ本体部)
30R,30L 肩ベルト部
39 肩ベルト収容部
40 フード部
50,50A 上衣部
60L 左前身頃部
60R 右前身頃部
70R 右前乳幼児保持部
70L 左前乳幼児保持部
70F 正面乳幼児保持部
80 ウエストベルト部
84A,84B バックル(係合具)
90 格納部
91F 線ファスナ(係合具)
91a、91b 分割片
91A,91B 開閉部
100 多機能ショルダーバッグ(多機能バッグ)
110 ショルダーバッグ部(バッグ部)
200 ショルダーバッグ本体部(バッグ本体部)
250 台座部
300 肩ベルト部
880A,880B 面ファスナ(係合具)
B,B1,B2 乳幼児
M 使用者