(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115142
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】遮蔽扉及び建築構造物
(51)【国際特許分類】
G21F 3/00 20060101AFI20240819BHJP
E06B 5/18 20060101ALI20240819BHJP
G21F 7/005 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G21F3/00 S
E06B5/18
G21F7/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020651
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中 美紀
(72)【発明者】
【氏名】室園 佳孝
(57)【要約】
【課題】無駄なスペースが生じることを抑制できる遮蔽扉及び建築構造物を提供する。
【解決手段】遮蔽扉1は、扉本体2と、扉側レール3と、ヒンジ6とを備えている。扉側レール3は、扉本体2において、閉塞時に第1の部屋101を向く一面に設けられる。ヒンジ6は、その一端部が開口部110の下端部に設けた躯体6に設置され、他端部が扉本体2に設置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物の第1の部屋と第2の部屋を連通する開口部を開閉可能に塞ぐ扉本体と、
前記扉本体において、閉塞時に前記第1の部屋を向く一面に設けられた扉側レールと、
一端部が前記開口部の下端部に設けた躯体に設置され、他端部が前記扉本体に設置されるヒンジと、
を備えた遮蔽扉。
【請求項2】
前記扉側レールは、開放時に前記第1の部屋に設けた第1建屋側レール及び前記第2の部屋に設けた第2建屋側レールに連結される
請求項1に記載の遮蔽扉。
【請求項3】
前記ヒンジの前記他端部は、前記扉本体における前記一面とは反対側の他面に設置される
請求項1に記載の遮蔽扉。
【請求項4】
前記ヒンジの前記他端部は、前記扉本体における下端部又は中間部に設置される
請求項3に記載の遮蔽扉。
【請求項5】
前記扉本体における下端部には、前記躯体又は前記躯体の上端部に形成した建屋側嵌合部と嵌合する扉側嵌合部が形成されている
請求項1に記載の遮蔽扉。
【請求項6】
前記第1の部屋に設置された滑車と、
前記滑車に巻き掛けられ、一端部が前記扉本体に固定されるロープと、
前記ロープの他端部に設けられたカウンタウエイトと、をさらに備えた
請求項1に記載の遮蔽扉。
【請求項7】
第1建屋側レールが設置された第1の部屋と、
前記第1の部屋に隣接し、第2建屋側レールが設置された第2の部屋と、
前記第1の部屋と前記第2の部屋を連通する開口部を開閉可能に塞ぐ遮蔽扉と、を備え、
前記遮蔽扉は、
前記開口部を開閉可能に塞ぐ扉本体と、
前記扉本体において、閉塞時に前記第1の部屋を向く一面に設けられた扉側レールと、
一端部が前記開口部の下端部に設けた躯体に設置され、他端部が前記扉本体に設置されるヒンジと、
を備えた建築構造物。
【請求項8】
前記第1の部屋の天井には、閉塞時の前記扉本体の上端部と対向する張り出し部が設けられ、
前記第2の部屋の天井は、閉塞時の前記扉本体の上端部よりも上方に位置し、
前記第1の部屋の天井の高さは、前記第2の部屋の天井の高さよりも低い
請求項7に記載の建築構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽扉及び、この遮蔽扉を備えた建築構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラントや工場等の高線量下の部屋を備えた建築構造物では、作業員の被爆を低減させるために、揚重機を別の部屋に遠隔で移動させてメンテナンスを行う必要がある。その際、高線量区域の部屋とメンテナンス室の部屋との境界には、遮蔽扉が設置される。従来の遮蔽扉に関する技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。
【0003】
特許文献1には、コンクリ-ト製の開口部にヒンジを介して開閉自在に設けられる遮蔽扉が記載されている。そして、特許文献1には、厚手の一枚の垢鉄板により扉を形成すると共に、該扉の開き側の側面に角度が異なる複数の傾斜面を形成する一方、傾斜面に対応した開口部の側面を傾斜面と平行な斜面に形成する技術が記載されている。
【0004】
なお、近年では、遮蔽扉としては、水平方向にスライドするスライド式の遮蔽扉が適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第1の部屋から第2の部屋に移動体を移動させるためには、第1の部屋と第2の部屋の境界に形成される開口部は、移動体が通過可能な大きさが必要となり、遮蔽扉の大きさも開口部に対応した大きさが必要となっていた。そのため、スライド式の遮蔽扉を適用した場合、開口部の上下又は左右に遮蔽扉を開放した際のスペース、すなわち戸袋を確保する必要があり、建築構造物に無駄なスペースが生じていた。
【0007】
また、移動体を第1の部屋から第2の部屋に移動させるために、移動体が移動するレールを設置する必要がある。そして、特許文献1に記載された技術では、遮蔽扉が開放する際にレールと遮蔽扉が干渉するため、遮蔽扉を開閉するたびにレールを設置及び撤去する作業が必要となり、移動体を移動させるための作業が大変煩雑なものとなっていた。
【0008】
本目的は、上記の問題点を考慮し、無駄なスペースが生じることを抑制できるとともに移動体をスムーズに移動させることができる遮蔽扉及び建築構造物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、目的を達成するため、遮蔽扉は、扉本体と、扉側レールと、ヒンジとを備えている。扉本体は、建築構造物の第1の部屋と第2の部屋を連通する開口部を開閉可能に塞ぐ。扉側レールは、扉本体において、閉塞時に第1の部屋を向く一面に設けられる。ヒンジは、その一端部が開口部の下端部に設けた躯体に設置され、他端部が扉本体に設置される。
【0010】
また、建築構造物は、第1建屋側レールが設置された第1の部屋と、第1の部屋に隣接し、第2建屋側レールが設置された第2の部屋と、第1の部屋と第2の部屋を連通する開口部を開閉可能に塞ぐ遮蔽扉と、を備えている。そして、遮蔽扉としては、上述した遮蔽扉が適用される。
【発明の効果】
【0011】
上記構成の遮蔽扉及び建築構造物によれば、無駄なスペースが生じることを抑制できるとともに移動体をスムーズに移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施の形態例にかかる建築構造物を示す平面図である。
【
図3】第1の実施の形態例にかかる遮蔽扉を示す断面図である。
【
図4】第1の実施の形態例にかかる遮蔽扉を第1の部屋側から見た図である。
【
図5】第1の実施の形態例にかかる建築構造物における遮蔽扉が開放した状態を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態例にかかる建築構造物において揚重機が移動した状態を示す図である。
【
図7】第1の実施の形態例にかかる建築構造物において遮蔽扉が閉じた状態を示す図である。
【
図8】第2の実施の形態例にかかる建築構造物における遮蔽扉を拡大して示す断面図である。
【
図9】第2の実施の形態例にかかる建築構造物における遮蔽扉を第1の部屋側から見た図である。
【
図10】第3の実施の形態例にかかる遮蔽扉を示す断面図である。
【
図11】第3の実施の形態例にかかる遮蔽扉が開放される途中の状態を示す図である。
【
図12】第3の実施の形態例にかかる遮蔽扉が開放した状態を示す図である。
【
図13】第4の実施の形態例にかかる建築構造物における遮蔽扉を拡大して示す断面図である。
【
図14】第4の実施の形態例にかかる建築構造物における遮蔽扉を第1の部屋側から見た図である。
【
図15】第5の実施の形態例にかかる遮蔽扉が開放される途中の状態を示す図である。
【
図16】第5の実施の形態例にかかる遮蔽扉が開放した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、建築構造物及び遮蔽扉の実施の形態例について説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0014】
1.第1の実施の形態例
1-1.建築構造物の構成例
まず、第1の実施の形態例(以下、「本例」という)にかかる建築構造物について、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、建築構造物を示す平面図である。
図2は、
図1に示すA-A線断面図である。
【0015】
図1及び
図2に示す建築構造物100としては、例えば、原子力プラントが適用される。建築構造物100は、第1の部屋101と、第1の部屋101に隣接する第2の部屋102と、遮蔽扉1とを有している。また、建築構造物100は、鉄筋コンクリート構造からなる床108及び天井109を有している。
【0016】
高線量区域を示す第1の部屋101と、メンテナンス室を示す第2の部屋102との境界には、開口部110が形成されている。そして、遮蔽扉1は、開口部110を開閉可能に塞いで配置されている。
【0017】
第1の部屋101には、第1建屋側レール103が設置されている。第1建屋側レール103は、床108から所定の高さの位置に設置されている。そして、第1建屋側レール103は、第1の部屋101から開口部110にかけて延在している。第1建屋側レール103には、移動体の一例を示す揚重機M1が移動可能に設置されている。
【0018】
第2の部屋102には、第2建屋側レール104が設置されている。第2建屋側レール104は、第1建屋側レール103の設置高さに合わせて床108から所定の高さの位置に設置されている。第2建屋側レール104は、開口部110から所定の間隔をあけて配置されている。第2建屋側レール104が開口部110からの間隔は、後述する遮蔽扉1の長さ分の間隔が空いている。これにより、後述する遮蔽扉1が開放された際に、遮蔽扉1と第2建屋側レール104が干渉することを防ぐことができる。そして、第1建屋側レール103及び第2建屋側レール104は、後述する遮蔽扉1に設けた扉側レール3と連結可能に構成されている。
【0019】
第1の部屋101と第2の部屋102を連通する開口部110は、揚重機M1が通過可能な大きさに形成されている。そして、開口部110は、第1建屋側レール103及び第2建屋側レール104の設置高さに合わせて、床108から所定の高さの位置に形成されている。また、開口部110の下端部には、床108から立設する躯体106が配置されている。
【0020】
扉枠を示す躯体106は、床108や天井109と同様に鉄筋コンクリート構造により形成されている。躯体106の上端部には、建屋側嵌合部107が形成されている。建屋側嵌合部107は、躯体106の上端部から突出する段差部である。そして、躯体106には、遮蔽扉1が開閉可能に取り付けられている。
【0021】
1-2.遮蔽扉の構成
次に、
図3から
図4を参照して遮蔽扉1の構成について説明する。
図3は、遮蔽扉1を示す断面図、
図4は、遮蔽扉1を第1の部屋101側から見た図である。
【0022】
図3及び
図4に示すように、遮蔽扉1は、扉本体2と、扉側レール3と、ヒンジ6とを有している。扉本体2は、鉄筋コンクリート製又は鋼鉄製により形成されている。扉本体2は、建築構造物100の開口部110の開口を塞ぐ大きさ及び形状に形成されている。遮蔽扉1の閉塞時では、扉本体2の上端部は、建築構造物100の天井109に接触又は接近している。
【0023】
扉本体2の下端部には、扉側嵌合部5が形成されている。扉側嵌合部5は、扉本体2の下端部に形成された段差部である。そして、遮蔽扉1を閉塞した際、扉側嵌合部5は、躯体106に設けた建屋側嵌合部107と嵌合する。これにより、遮蔽扉1が閉塞した際に、高線量区域である第1の部屋101からメンテナンス室である第2の部屋102に開口部110を介して線量が漏れることを防ぐことができる。
【0024】
遮蔽扉1の閉塞時において、扉本体2における第1の部屋101を向く一面には、扉側レール3が設置されている。遮蔽扉1の閉塞時において、扉側レール3は、扉本体2の一面における下端部から上端部にかけて延在している。そして、遮蔽扉1が開放された際に、扉側レール3は、第1建屋側レール103及び第2建屋側レール104と連結される。このように、本例の遮蔽扉1では、扉本体2に移動体である揚重機M1が移動する扉側レール3が一体に設けられている。
【0025】
また、扉本体2における下端部には、ヒンジ6が設けられている。ヒンジ6は、扉本体2における扉側レール3が設置された一面とは反対側の他面、すなわち第2の部屋102を向く面に形成されている。また、ヒンジ6の一端部は、躯体106における第2の部屋102側の面に接続されている。そして、ヒンジ6の他端部は、扉本体2の他面に接続されている。このように、ヒンジ6を高線量区域である第1の部屋101とは反対側の他面に設けたことで、ヒンジ6が線量に曝されることを防止することができ、可動部品であるヒンジ6が線量によって劣化することを抑制できる。
【0026】
1-3.揚重機の移動動作例
次に、上述した構成を有する遮蔽扉1を備えた建築構造物100における揚重機M1の移動動作例について
図5から
図7を参照して説明する。
図5は、遮蔽扉1が開放した状態を示す図、
図6は、揚重機M1が移動した状態を示す図である。
図7は、遮蔽扉1が閉じた状態を示す図である。
【0027】
以下に示す動作例では、揚重機M1のメンテナンスを行う際に、揚重機M1を高線量区域である第1の部屋101からメンテナンス室である第2の部屋102に移動させる例について説明する。
【0028】
まず、
図5に示すように、遮蔽扉1の扉本体2は、ヒンジ6を中心に略90度回動する。すなわち、扉本体2の上端部が第2の部屋102側に向けて倒れ込む。また、扉本体2が開放されることで、第1の部屋101と第2の部屋102を繋ぐ開口部110が開放される。扉本体2の自重で遮蔽扉1を開放することができるため、扉本体2を開閉させるための駆動機構の小型化を図ることができる。
【0029】
なお、第2の部屋102に設けた第2建屋側レール104は、開口部110から扉本体2の長さ分だけを開けて設置されている。そのため、扉本体2が開放された際に、第2建屋側レール104と扉本体2が干渉することを防ぐことができる。第2の部屋102に設けたスペースは、扉本体2が閉塞した際は、作業スペースとして活用することができる。
【0030】
扉本体2が第2の部屋102側に向けて倒れることで、閉塞時に第1の部屋101を向く扉本体2の一面、すなわち扉側レール3が設けられた一面は、上下方向の上方を向く。そして、扉本体2が開くことで、扉側レール3が延在する向きは、第1の部屋101から第2の部屋102を向く。また、扉本体2の開放動作が完了すると、扉側レール3の一端部は、第1建屋側レール103に連結され、扉側レール3の他端部は、第2建屋側レール104に連結される。これにより、第1建屋側レール103と第2建屋側レール104は、扉側レール3を介して連結される。
【0031】
扉本体2と扉側レール3が一体に設けられているため、扉本体2が開放した際に、扉側レール3を設置することができる。その結果、揚重機M1の移動作業を容易に行うことができ、スムーズに揚重機M1を移動させることができる。さらに、扉本体2が閉塞することで、扉側レール3を容易に撤去することもできる。
【0032】
扉側レール3と、第1建屋側レール103及び第2建屋側レール104の連結作業が完了すると、
図6に示すように、揚重機M1は、第1建屋側レール103、扉側レール3及び第2建屋側レール104に沿って第1の部屋101から第2の部屋102に移動する。揚重機M1が第2の部屋102への移動が完了すると、
図7に示すように、遮蔽扉1の扉本体2を、ヒンジ6を中心に略90度回動させて、扉本体2の一面が上下方向と略平行になるように立設させる。これにより、開口部110は、遮蔽扉1により閉じられる。
【0033】
第1の部屋101と第2の部屋102を連通する開口部110が遮蔽扉1により閉塞されるため、作業者は、第2の部屋102において安全に揚重機M1のメンテナンスを行うことができる。上述したような工程を行うことで、揚重機M1の移動動作が完了する。
【0034】
上述したように、本例の遮蔽扉1及び建築構造物100によれば、扉本体2に扉側レール3を設けたことで、遮蔽扉1が開放した際には、扉本体2を移動体である揚重機M1の支持体として活用することができる。また、扉本体2は、第2の部屋に向けて倒れ込むことで開放されるため、開口部110の上下又は左右に戸袋を設ける必要がない。その結果、本例の遮蔽扉1及び建築構造物100によれば、戸袋により無駄なスペースが生じることを抑制できる。さらに、上述したように、扉本体2が閉塞した際は、第2の部屋102に設けたスペースを作業スペースとして活用することができる。
【0035】
2.第2の実施の形態例
次に、第2の実施の形態例にかかる建築構造物について
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は、第2の実施の形態例にかかる建築構造物における遮蔽扉を拡大して示す断面図である。
図9は、第2の実施の形態例にかかる建築構造物における遮蔽扉を第1の部屋側から見た図である。
【0036】
この第2の実施の形態例にかかる建築構造物100Aが、第1の実施の形態例にかかる建築構造物100と異なる点は、遮蔽扉1の扉枠の開口部110の構成である。そのため、第1の実施の形態例にかかる建築構造物100と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0037】
図8及び
図9に示すように、建築構造物100Aにおける第1の部屋101側の天井109には、張り出し部112が設けられている。張り出し部112は、天井109から上下方向の下方に向けて突出している。そのため、第1の部屋101の天井109の高さは、第2の部屋102の天井109の高さよりも低くなっている。
【0038】
また、遮蔽扉1の開放時に扉本体2が倒れ込む第2の部屋102の天井109の高さは、扉本体2の上端部よりも上方に位置している。そして、遮蔽扉1の閉塞時において、扉本体2の上端部と開口部110との間には、隙間が形成される。これにより、遮蔽扉1が開放する際に、扉本体2が天井109と干渉することを防ぐことができる。
【0039】
また、張り出し部112の下端部は、遮蔽扉1が閉塞した際の扉本体2の上端部よりも上下方向の下方に位置している。そして、遮蔽扉1の閉塞時では、扉本体2の上端部は、張り出し部112における第2の部屋102側の面と対向し、かつ接触する。これにより、扉本体2の上端部と開口部110の間に隙間が空いていても、線量が第1の部屋101から第2の部屋102に漏れ出ることを防ぐことができる。
【0040】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる建築構造物100及び遮蔽扉1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する建築構造物100A及び遮蔽扉1によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる建築構造物100及び遮蔽扉1と同様の作用効果を得ることができる。
【0041】
3.第3の実施の形態例
次に、第3の実施の形態例にかかる建築構造物及び遮蔽扉について
図10から
図12を参照して説明する。
図10は、第3の実施の形態例にかかる遮蔽扉を示す断面図である。
図11は、第3の実施の形態例にかかる遮蔽扉が開放される途中の状態を示す図である。
図12は、第3の実施の形態例にかかる遮蔽扉が開放した状態を示す図である。
【0042】
この第3の実施の形態例にかかる建築構造物100B及び遮蔽扉1Bは、第2の実施の形態例にかかる遮蔽扉1にカウンタウエイトを設けたものである。そのため、ここでは、第1の実施の形態例及び第2の実施の形態例にかかる建築構造物100、100A及び遮蔽扉1と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0043】
図10から
図12に示すように、遮蔽扉1Bは、扉本体2と、扉側レール3と、ヒンジ6とを備えている。また、遮蔽扉1Bは、カウンタウエイト21と、ロープ22と、滑車23をさらに備えている。滑車23は、第1の部屋101の天井109に設置されている。ロープ22は、一端部が扉本体2における第1の部屋101を向く一面に固定されている。また、ロープ22における他端部には、カウンタウエイト21が設けられている。そして、ロープ22は、天井109に設置された滑車23に巻き掛けられている。カウンタウエイト21は、扉本体2と釣り合う重さに設定されている。
【0044】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる建築構造物100及び遮蔽扉1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する建築構造物100B及び遮蔽扉1Bによっても、上述した第1の実施の形態例にかかる建築構造物100及び遮蔽扉1と同様の作用効果を得ることができる。
【0045】
なお、第3の実施の形態例にかかる遮蔽扉1Bによれは、扉本体2にロープ22を介してカウンタウエイト21を連結している。これにより、扉本体2の開閉動作にかかる駆動力を、カウンタウエイト21によって軽減することができる。
【0046】
4.第4の実施の形態例
次に、第4の実施の形態例にかかる建築構造物について
図13及び
図14を参照して説明する。
図13は、第4の実施の形態例にかかる建築構造物における遮蔽扉を拡大して示す断面図である。
図14は、第4の実施の形態例にかかる建築構造物における遮蔽扉を第1の部屋側から見た図である。
【0047】
この第4の実施の形態例にかかる建築構造物100Cが、第1の実施の形態例にかかる建築構造物100と異なる点は、遮蔽扉1のヒンジ6を設ける位置である。そのため、第1の実施の形態例にかかる建築構造物100と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0048】
図13及び
図14に示すように、第4の実施の形態例にかかる建築構造物100Cにおける扉枠の下端部を示す躯体106Cには、建屋側嵌合部が設けられていない。また、遮蔽扉1Cは、扉本体2Cと、扉側レール3と、ヒンジ6Cとを備えている。ヒンジ6Cの一端部は、躯体106Cの上端部に設置されている。そして、ヒンジ6Cの他端部は、扉本体2Cにおける第2の部屋102側を向く面に設置されている。また、ヒンジ6Cの他端部は、扉本体2Cの上下方向の中間部に接続されている。
【0049】
扉本体2Cにおける下端部には、扉側嵌合部5Cが形成されている。扉側嵌合部5Cは、扉本体2Cにおけるヒンジ6Cが接続された箇所から上下方向の下方に向けて突出している。遮蔽扉1を閉塞した際、扉側嵌合部5Cは、躯体106Cにおける第1の部屋101側の面と嵌合する。これにより、ヒンジ6Cを扉本体2Cの中間部に設けても、遮蔽扉1が閉塞した際に、高線量区域である第1の部屋101からメンテナンス室である第2の部屋102に開口部110を介して線量が漏れることを防ぐことができる。
【0050】
また、ヒンジ6Cを第1の部屋101と第2の部屋102の境界である躯体106Cの上端部に設置しても、ヒンジ6Cは、扉本体2C及び扉側嵌合部5Cによって覆われる。その結果、ヒンジ6が線量に曝されることを防止することができ、可動部品であるヒンジ6Cが線量によって劣化することを抑制できる。
【0051】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる建築構造物100及び遮蔽扉1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する建築構造物100C及び遮蔽扉1Cによっても、上述した第1の実施の形態例にかかる建築構造物100及び遮蔽扉1と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
5.第5の実施の形態例
次に、第5の実施の形態例にかかる建築構造物について
図15及び
図16を参照して説明する。
図15は、第5の実施の形態例にかかる建築構造物における遮蔽扉を拡大して示す断面図である。
図16は、第5の実施の形態例にかかる遮蔽扉が開放した状態を示す図である。なお、第1の実施の形態例にかかる建築構造物100と共通する部分には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0053】
図15及び
図16に示すように、第5の実施の形態例にかかる建築構造物100D及び遮蔽扉1Dは、第4の実施の形態例にかかる建築構造物100C及び遮蔽扉1Cにカウンタウエイト21を設けたものである。遮蔽扉1Dは、扉本体2Dと、扉側レール3と、扉本体2Dに設けた扉側嵌合部5Dと、ヒンジ6Dとを備えている。ヒンジ6Dの一端部は、躯体106Dの上端部に設置され、ヒンジ6Dの他端部は、扉本体2Dの中間部に設置されている。
【0054】
また、また、遮蔽扉1Dは、カウンタウエイト21と、ロープ22と、第1の部屋101の天井109に設置された滑車23をさらに備えている。ロープ22の一端部は、扉本体2Dにおける第1の部屋101を向く一面に固定され、ロープ22における他端部は、カウンタウエイト21に接続されている。そして、ロープ22は、天井109に設置された滑車23に巻き掛けられている。
【0055】
その他の構成は、第1の実施の形態例にかかる建築構造物100及び遮蔽扉1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する建築構造物100D及び遮蔽扉1Dによっても、上述した第1の実施の形態例、第3の実施の形態例及び第4の実施の形態例にかかる建築構造物100、100B、100C及び遮蔽扉1、1B、1Cと同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0057】
上述した実施の形態例では、移動体として揚重機を適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、第1の部屋で作業を行う機械であればよく、その他各種の移動体が適用できるものである。
【0058】
また、建築構造物として原子力プラントを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、薬品工場や火力発電所等のその他各種の建築構造物に適用できるものである。そして、第1の部屋が高線量区域とし、第2の部屋がメンテナンス室としたが、第1の部屋と第2の部屋は、これらに限定されるものではない。建築構造物としては、第1の部屋と第2の部屋が、開口部により連通し、その開口部が遮蔽扉によって開閉可能に閉じられる建築構造物であれば、その他各種の建築構造物が適用できるものである。
【0059】
本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、1B、1C、1D…遮蔽扉、 2、2C、2D…扉本体、 3…扉側レール、 5、5C、5D…扉側嵌合部、 6、6C、6D…ヒンジ、 21…カウンタウエイト、 22…ロープ、 23…滑車、 100、100A、100B、100C、100D…建築構造物、 101…第1の部屋、 102…第2の部屋、 103…第1建屋側レール、 104…第2建屋側レール、 106、106C、106D…躯体、 107…建屋側嵌合部、 108…床、 109…天井、 110…開口部、 112…張り出し部、 M1…揚重機(移動体)