(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115145
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 19/00 20060101AFI20240819BHJP
F25D 21/14 20060101ALI20240819BHJP
F25D 25/02 20060101ALI20240819BHJP
F25D 11/00 20060101ALN20240819BHJP
【FI】
F25D19/00 522F
F25D21/14 K
F25D25/02 H
F25D11/00 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020660
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嘉戸 修治
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰光
【テーマコード(参考)】
3L045
3L048
【Fターム(参考)】
3L045AA07
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA02
3L045GA01
3L045PA04
3L048AA07
3L048BA05
3L048BB01
3L048CA01
3L048CB03
3L048CC03
3L048DA02
3L048GA03
(57)【要約】
【課題】乾燥を抑制しつつ、冷却ムラを抑制する。
【解決手段】冷却貯蔵庫10は、前面開口11Sを有する断熱箱体である貯蔵庫本体11と、貯蔵庫本体11内に設けられ、被貯蔵物が載置される棚板50と、貯蔵庫本体11内を冷却するための冷却装置16と、冷却装置16の一部を構成し、貯蔵庫本体11の断熱壁部41に設けられる第1冷却パイプ21Aと、冷却装置16の一部を構成し、棚板50に設けられる第2冷却パイプ22と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口を有する断熱箱体である貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体内に設けられ、被貯蔵物が載置される棚板と、
前記貯蔵庫本体内を冷却するための冷却装置と、
前記冷却装置の一部を構成し、前記貯蔵庫本体の断熱壁部に設けられる第1冷却パイプと、
前記冷却装置の一部を構成し、前記棚板に設けられる第2冷却パイプと、を備える冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記第1冷却パイプは、前記貯蔵庫本体の天井壁部に設けられる請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記第1冷却パイプは、前記貯蔵庫本体の底壁部にさらに設けられる請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
前記棚板は、上下方向に並んで複数設けられ、
前記第2冷却パイプは、前記各棚板に設けられる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項5】
前記棚板に取り付けられ、前記第2冷却パイプからの結露水を受け止めるドレンパンを備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項6】
前記ドレンパンの底部は、前記貯蔵庫本体の一側壁部側の一端部、及び前記一側壁部と対向する他側壁部側の他端部が、前記一端部と前記他端部との間の中央部より下方となるように傾斜する請求項5に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項7】
前記一端部と前記他端部には、除霜水の流出口が設けられる請求項6に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項8】
前記棚板、及び前記ドレンパンは、熱伝導性を有する請求項5に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項9】
前記ドレンパンは、前記棚板に着脱可能に取り付けられる請求項5に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項10】
前記ドレンパンは、前記棚板に取り付けるための複数の取付孔を有し、前記複数の取付孔に対して長さの異なる2種類の締結部材が用いられる請求項9に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項11】
前記前面開口を開閉可能に設けられ、前記貯蔵庫本体内を視認可能な扉を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、寿司ネタとなる生鮮魚介類等が収納される冷蔵ショーケースが知られており、その一例が特許文献1に開示されている。このような用途の冷蔵ショーケースでは、調理上の利便性を考慮して、食材(被貯蔵物)が剥き出しの状態で収納されることも多い。このため、一般的な冷却貯蔵庫のように循環用ファン(庫内ファン)を用いて強制的に冷気を循環させると、循環冷気との接触によって食材が乾燥したり、鮮度低下したりする懸念がある。そこで特許文献1に記載の冷蔵ショーケースは、本体の背面壁に冷却パイプを配設して庫内空気を自然対流することで、食材の乾燥を抑制しつつ、冷却する仕組みとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自然対流を利用して冷却する場合、被貯蔵物の配置に応じて冷気の流れが阻害されやすい。これにより冷却ムラが生じやすく、庫内温度を均一に保持するのが難しい実情がある。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、乾燥を抑制しつつ、冷却ムラを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術に関わる冷却貯蔵庫は、前面開口を有する断熱箱体である貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体内に設けられ、被貯蔵物が載置される棚板と、前記貯蔵庫本体内を冷却するための冷却装置と、前記冷却装置の一部を構成し、前記貯蔵庫本体の断熱壁部に設けられる第1冷却パイプと、前記冷却装置の一部を構成し、前記棚板に設けられる第2冷却パイプと、を備える。
【0007】
また、前記第1冷却パイプは、前記貯蔵庫本体の天井壁部に設けられてもよい。
【0008】
また、前記第1冷却パイプは、前記貯蔵庫本体の底壁部にさらに設けられてもよい。
【0009】
また、前記棚板は、上下方向に並んで複数設けられ、前記第2冷却パイプは、前記各棚板に設けられてもよい。
【0010】
また、前記棚板に取り付けられ、前記第2冷却パイプからの結露水を受け止めるドレンパンを備えてもよい。
【0011】
また、前記ドレンパンの底部は、前記貯蔵庫本体の一側壁部側の一端部、及び前記一側壁部と対向する他側壁部側の他端部が、前記一端部と前記他端部との間の中央部より下方となるように傾斜してもよい。
【0012】
また、前記一端部と前記他端部には、除霜水の流出口が設けられてもよい。
【0013】
また、前記棚板、及び前記ドレンパンは、熱伝導性を有してもよい。
【0014】
また、前記ドレンパンは、前記棚板に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0015】
また、前記ドレンパンは、前記棚板に取り付けるための複数の取付孔を有し、前記複数の取付孔に対して長さの異なる2種類の締結部材が用いられてもよい。
【0016】
また、前記前面開口を開閉可能に設けられ、前記貯蔵庫本体内を視認可能な扉を備えてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本技術によれば、乾燥を抑制しつつ、冷却ムラを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図9】棚板、冷却パイプ、ブラケット、ドレンパン、棚受具、及び棚受具ホルダの分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
実施形態1に係る冷蔵ショーケース10(冷却貯蔵庫の一例)について
図1から
図9を参照して説明する。各図に示した符号F,B,L,R,U,Dはそれぞれ、冷蔵ショーケース10の前後方向における前、後、正面から見たときの幅方向(左右方向)における左、右、鉛直方向(上下方向)の上、下を示している。
【0020】
冷蔵ショーケース10は、
図1に示すように、全体として横長の略直方体状をなしており、食材(被貯蔵物の一例)が冷却状態で収納される。冷蔵ショーケース10は、例えば寿司店等の厨房において調理台の近傍に設置され、調理人が食材を取り出して調理台で調理する用途に用いられる。冷蔵ショーケース10は、
図1から
図6に示すように、おおまかには、前面開口11Sを有する貯蔵庫本体11と、前面開口11Sを開閉するための複数(本実施形態では4枚)のスライド扉14と、貯蔵庫本体11の側方(本実施形態では右方)に配置された機械室15と、貯蔵庫本体11内(以下、「貯蔵庫本体11内」を庫内と言うことがある)を冷却するための冷却装置16と、を備える。
【0021】
貯蔵庫本体11は、
図2から
図3、及び
図6に示すように断熱箱体であり、ステンレス鋼等の金属板が箱状に組み立てられた外箱11Aと内箱11Bとの間に、発泡樹脂(発泡ウレタン材等)製の断熱材11Cが充填された構造を有する。貯蔵庫本体11の内部は、食材を収納する冷蔵室となる。貯蔵庫本体11内には、食材を載置するための複数(本実施形態では2つ)の棚板50が、上下方向に離間して設けられている。棚板50によって貯蔵庫本体11内は上下複数段(本実施形態では3段)の貯蔵スペースに区画されている。棚板50は、貯蔵庫本体11の左側壁部43、右側壁部44、及び後壁部45と所定の隙間を空けて配置されており(
図6)、これにより貯蔵庫本体11内の冷気が当該隙間から降下したり、洗浄時には棚板50の洗浄水が当該隙間から落下できるようになっている。
【0022】
貯蔵庫本体11は、天井壁部41と、底壁部42と、左側壁部43と、右側壁部44と、後壁部45と、を有する断熱壁部から構成されている。底壁部42は、
図3に示すように、庫内側の面が前方に向かってなだらかに傾斜している。また底壁部42の前部には、排水口42Sが設けられている。貯蔵庫本体11内や棚板50を洗浄した場合に生じる洗浄水や、後述するドレンパン60の流出口65から落下した除霜水は、底壁部42の傾斜に沿って流下し、排水口42Sから外部に排出されるようになっている。
【0023】
スライド扉14は、
図1に示すように、貯蔵庫本体11の前面開口11Sをスライド開閉するように引き違い式に設けられている。スライド扉14は、左右方向(スライド方向)に摺動する。スライド扉14は、前面開口11Sの開口縁部に設けられ、左右方向に沿って延在するレール13に装着される。スライド扉14は透明性を有し、閉じられた状態でも貯蔵庫本体11内を視認可能となっている。透明なスライド扉14を用いることで、食材の位置を容易に視認できると共に、前面開口11Sの前方に調理台用のスペースを確保しやすくなる。またスライド扉14は、後述するように取り外して洗浄可能であり、その材質は着脱及び洗浄に適することが好ましい。例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂を用いると、破損しにくく軽量、かつ耐薬性を有するスライド扉14を実現できる。
【0024】
レール13は、
図3から
図5に示すように、貯蔵庫本体11の前面開口11Sの開口縁部の上部、及び下部にそれぞれ設けられる上レール13A、及び下レール13Bからなる。上レール13A、及び下レール13Bは例えばステンレス鋼製とされる。上レール13Aは、スライド扉14の上部14Aが挿入される溝部13A1を前後方向に並んで2つ有する。また下レール13Bは、スライド扉14の下部14Bが挿入される溝部13B1を前後方向に並んで2つ有する。溝部13A1、13B1は、1つの凹溝を突出壁13A2、13B2によって仕切ることで2つずつ形成されている。各溝部13A1、13B1には、スライド扉14が2枚ずつ挿入され、スライド扉14をスライド可能に支持している。
【0025】
上レール13Aの溝部13A1の溝深さL13A1は、
図4に示すように、突出壁13A2の突出長とほぼ同一であり、例えば12mmとされる。下レール13Bの溝部13B1の溝深さL13B1は、
図5に示すように、突出壁13B2の突出長とほぼ同一であり、例えば6mmとされる。溝深さL13A1、L13B1、及び突出壁13A2、13B2の突出長は、スライド扉14を上方に持ち上げて、スライド扉14の下部14Bが溝部13B1、及び突出壁13B2より上方に位置すると、スライド扉14の下部14Bを前方に引き出してレール13から取り外せるように設計されている。また着脱時にスライド扉14の下部14Bと突出壁13B2とが当たって損傷する事態を避けるため、突出壁13B2には柔軟性を有する被覆材が設けられることが好ましい。
【0026】
このようにスライド扉14をレール13に対して着脱可能とすることで、スライド扉14を容易に洗浄できるようになる。冷蔵ショーケース10は、既述したように調理台近傍に配置され、食材が剥き出しの状態で収納されることが想定される。また一般的な冷却貯蔵庫に比べてスライド扉14の開閉頻度が大きいことが想定される。このため、スライド扉14に汚れが付着しやすく、取り外して洗浄することで清潔に保つことができる。
【0027】
またスライド扉14は、
図1に示すように、洗浄後の乾燥等の目的で、左側壁部43の外面に設けられた扉ホルダ47に一時保管可能とされる。扉ホルダ47は、取り外したスライド扉14の下部14B、及び一側部14Cを支持するように取り付けられている。扉ホルダ47は、スライド扉14の下部14Bを支持する第1扉ホルダ47A、及びスライド扉14の一側部14Cを支持する第2扉ホルダ47Bからなる。第1扉ホルダ47Aは、左側壁部43の外面(機械室15と反対側の面)の下部において、前後方向に延在しつつ、後方に向かうに従って下方に傾斜するように取り付けられている。また第2扉ホルダ47Bは、左側壁部43の外面の後部において、上下方向に延在しつつ、下方に向かうに従って前方に傾斜するように取り付けられている。このように扉ホルダ47を設けることで、スライド扉14を扉ホルダ47に対して容易かつ安定的に収納できると共に、洗浄時に付着した水の乾燥(水切れ)を促進できる。なお扉ホルダ47は、左側壁部43以外に設けられていても構わず、例えば機械室15の後述するパネル15Aの外面に設けられていてもよい。
【0028】
天井壁部41及び底壁部42には、
図3に示すように、冷却作用を生じる第1冷却パイプ21A、21Bがそれぞれ埋設されている。第1冷却パイプ21A、21Bは、天井壁部41、及び底壁部42を構成する内箱11Bの外面(外箱11A側の面)にテープ状部材で貼り付け固定されている。これにより天井壁部41、及び底壁部42はそれぞれ、貯蔵庫本体11内の天井面側、及び底面側の空気を冷却する冷却壁として機能する。第1冷却パイプ21A、21Bの断面形状は、横長楕円状をなす。これにより円形状に形成する場合と比べて、内箱11Bとの接触面積を増大でき、冷却効果を高められる。第1冷却パイプ21A、21Bはそれぞれ、天井壁部41、及び底壁部42の全体に亘って蛇行状に配索され、その両端部は、右側壁部44を貫通して機械室15内に引き込まれている。
【0029】
棚板50は、
図9に示すように、下方に開口した浅いトレー状をなす。棚板50は、本体部51と、枠部52と、を有する。本体部51は、貯蔵庫本体11の内部空間に倣う平面形状(本実施形態では横長の矩形状)をなし、水平方向に延在し、食材が載置される部分である。枠部52は、本体部51の外周縁部から下方に突出し枠状をなす部分である。枠部52は、前枠52A、後枠52B、左枠52C、及び右枠52Dからなる。前枠52A及び後枠52Bにはそれぞれ、複数(本実施形態では4つ)ずつの挿入孔55が形成されている。挿入孔55には、棚板50にドレンパン60を取り付けるためのネジ70(締結部材の一例)が挿入される。また左枠52C及び右枠52Dにはそれぞれ、複数(本実施形態では2つ)ずつの切欠部56が形成されている。切欠部56は、棚板50を貯蔵庫本体11の棚受具49に上方から引っ掛けて取り付けるための切り欠けである。棚受具49は、
図6及び
図7に示すように、各棚板50に対して左側壁部43及び右側壁部44に2つずつ設けられている。本実施形態では、棚受具49は円柱状をなしており、切欠部56は、円柱状の棚受具49の上部に引っ掛かるように略半円状をなしている。
【0030】
各棚板50の本体部51の下面には、
図8及び
図9に示すように、第2冷却パイプ22がブラケット23によって取り付けられている。これにより棚板50は、棚板50上の食材を直接的に冷却すると共に、棚板50付近の空気を冷却する冷却板として機能する。棚板50は、冷却効果を高めるために、熱伝導性を有する材料、例えば金属材料(ステンレス鋼、アルミニウム等)からなることが好ましい。第2冷却パイプ22は、本体部51の下面全体に亘って蛇行状に配索され、その両端部は、右側壁部44を貫通して機械室15内に引き込まれている。第2冷却パイプ22の断面形状は、横長楕円状をなす。このようにすれば、円形状に形成する場合と比べて、棚板50の本体部51との接触面積を増大でき、冷却効果を高められる。
【0031】
右側壁部44の第1冷却パイプ21A、21B、及び第2冷却パイプ22の貫通孔44Sには、
図7及び
図8に示すように、柔軟性を有するゴム製のグロメット48(補助具)が取り付けられていることが好ましい。これにより、貫通孔44Sを通じて貯蔵庫本体11内の水分や冷気が機械室15内に漏出する事態を抑制できる。また、グロメット48を設けることで、食材を収容したり取り出したりする場合に棚板50に加わる衝撃が、第1冷却パイプ21A、21B及び第2冷却パイプ22の貫通孔44Sの挿通部に伝わりにくくなり、これらの耐久性を向上できる。
【0032】
ブラケット23は、
図8に示すように、第2冷却パイプ22のうち左右方向に延在する部分を下方から覆うように取り付けられる。本実施形態に係る第2冷却パイプ22は、左右方向に延在する部分が複数(本実施形態では6つ)あり、ブラケット23もこれに合わせて6つ取り付けられる。ブラケット23は、例えば棚板50にスポット溶接によって固定される。ただし第2冷却パイプ22は、ブラケット23を用いずに、例えば半田付けによって棚板50に直接固定されていてもよい。
【0033】
第2冷却パイプ22が取り付けられた各棚板50に対して、
図3に示すように、ドレンパン60が下方から取り付けられる。ドレンパン60は、第2冷却パイプ22を下方から覆って第2冷却パイプ22からの結露水を受け止める。ドレンパン60は、
図9に示すように、上方に開口した浅いトレー状をなし、着脱可能に取り付けられる。ドレンパン60は、底部61と、底部61の外周縁部から上方に突出する突出部62と、を有する。
【0034】
ドレンパン60の底部61は、棚板50に倣う平面形状(本実施形態では横長の矩形状)をなし、棚板50よりひと回り小さい平面サイズを有する。底部61には、第2冷却パイプ22からの結露水が滴下する。底部61は、
図2及び
図9に示すように、左右方向についての中央部61Aを頂点とし、中央部61Aから右方向、及び左方向にそれぞれ向かうにつれて緩やかに下降傾斜するように、断面逆V字状に形成されている。換言すると、ドレンパン60の底部61は、左側壁部43側の一端部(一辺部)61B、及び右側壁部44側の他端部(他辺部)61Cが、これらの間の中央部61Aより下方となるように傾斜している。そして、底部61の左右方向についての一端部61B、及び他端部61Cには、除霜水の流出口65が設けられている。流出口65は、平面視矩形状の底部61の四隅に1つずつ、計4つ設けられている。本実施形態では、突出部62は、底部61の各辺部に1つずつ形成されており、流出口65は、隣り合う突出部62間の隙間として形成されている。
【0035】
このようにドレンパン60を形成すれば、ドレンパン60の底部61で受けられた除霜水は、底部61の傾斜に沿って流下し、流出口65から貯蔵庫本体11の底壁部42に落下する。そして、底壁部42の排水口42Sを通って外部に排出されるため、ドレンパン60で受けた除霜水を食材に滴下させずに、適切に排水できるようになる。
【0036】
ドレンパン60は、
図9に示すように、第2冷却パイプ22が取り付けられた棚板50内に、下方から重ね合わされる。ドレンパン60は棚板50よりひと回り小さく、ドレンパン60の突出部62は、棚板50の枠部52の内側に隣接するようになる。ドレンパン60の突出部62には、棚板50の枠部52の挿入孔55と重なる位置に、取付孔63が複数(本実施形態では8つ)形成されている。ネジ70は、重なり合う1組ずつの棚板50の挿入孔55、及びドレンパン60の取付孔63に対して、1つずつ取り付けられ、これによりドレンパン60は棚板50に吊り下げられた状態となる。ネジ70は、長さの異なる2種類のものが用いられ、以下、これらを区別する場合には、ネジ70のうち長いものを長ネジ70A、短いものを短ネジ70Bとする。
【0037】
ドレンパン60は、熱伝導性を有する材料、例えば金属材料(ステンレス鋼、アルミニウム等)からなることが好ましい。これにより第2冷却パイプ22の冷却作用は、棚板50だけでなく、ドレンパン23へも伝達される。その結果、ドレンパン60付近の空気を冷却し、冷気をドレンパン60の下方に降下可能となる。ドレンパン60は、冷却効果を高めるために、熱伝導性を有する材料、例えば金属材料(ステンレス鋼、アルミニウム等)からなることが好ましい。
【0038】
続いて、棚板50、及びドレンパン60の取り付け方法について詳しく説明する。まず、第2冷却パイプ22が固定された状態の棚板50に対して、後壁部45側の挿入孔55にネジ70を挿入する。このとき、4つの当該挿入孔55に対して、長ネジ70A、及び短ネジ70Bを2つずつ挿入する。より詳しくは、長ネジ70Aは、左右方向の両端部側に位置する当該挿入孔55に挿入され、短ネジ70Bは、左右方向の中央部側に位置する当該挿入孔55に挿入される。そして、この状態の棚板50を棚受具49に対して上方から引っ掛ける。
【0039】
次に、棚板50に下方からドレンパン60を重ね合わせ、棚板50に挿入されている2つずつの長ネジ70A、及び短ネジ70Bをドレンパン60の後壁部45側の取付孔63に挿入する。この際、最初に長ネジ70Aを2つの当該取付孔63に挿入する(引っ掛ける)ことで、ドレンパン60の一部を棚板50に保持された状態にできる。そして次に短ネジ70Bを残り2つの当該取付孔63に挿入すると、容易に取り付けられる。すなわち、このような手順で長さの異なる2種類のネジ70を用いることで、ドレンパン60の取付作業を容易にできるようになっている。
【0040】
次に、棚板50の前面開口11S側の挿入孔55、及びドレンパン60の前面開口11S側の取付孔63を重ね合わせ、これらに対して2つずつの長ネジ70A、及び短ネジ70Bを挿入して締結する。これにより、棚板50にドレンパン60が吊り下げられた状態で取り付けられる。そして、ドレンパン60の底部61の左右両端部に対して下方から棚受具ホルダ75をネジ止め固定する。最後に棚受具ホルダ75を棚受具49に引っ掛ける。棚受具ホルダ75を用いることで、仮に棚板50の切欠部56が棚受具49から外れてしまった場合でも、棚板50、及びこれに吊り下げられたドレンパン60が棚受具49から落下する事態を回避できる。
【0041】
ドレンパン60の取り外し方法は、基本的には上記した取り付け方法と逆手順となる。取り外しに際して、後壁部45側の2つずつの長ネジ70A、及び短ネジ70Bは棚板50に取り付けたままでよい。また、棚受具ホルダ75もドレンパン60に取り付けたままでよく、ドレンパン60の取り外し作業も容易にできるようになっている。
【0042】
機械室15は、
図1及び
図2に示すように、貯蔵庫本体11の側方のうち、扉ホルダ14と反対側の側方(本実施形態では右方)に配置されている。機械室15は、右側壁部44とパネル15Aによって囲まれた空間である。パネル15Aは、機械室15の上方、前方、後方、後方、及び右方を覆っている。機械室15には、
図6に示すように、冷却装置16を構成する圧縮機17、凝縮器18、凝縮器ファン19、膨張弁、ディストリビュータ、レシーバタンクの他に、制御装置等が収納されている。制御装置は、冷蔵ショーケース10の運転を制御したり、電源を供給するための回路等を備える。冷却装置16は、圧縮機17、凝縮器18、膨張弁、ディストリビュータ、第1冷却パイプ21A、21B、2つの第2冷却パイプ22、及びレシーバタンクを備えており、これらが配管で繋がれて冷媒が循環されることで、既知の冷凍回路(冷凍サイクル)が形成されている。
【0043】
圧縮機17は、モータを動力源として冷媒ガスを吸引して圧縮し、高温高圧の冷媒ガスを吐出する。凝縮器18は、圧縮機17で圧縮された冷媒ガスを凝縮器ファン19の送風により冷却して液化させる。ディストリビュータは、凝縮器18からの冷媒液を膨張弁により減圧してから、並列接続された4つの冷却パイプ(第1冷却パイプ21A、21B、及び2つの第2冷却パイプ22)に均等分配する。冷却パイプ21A、21B、22は、減圧された冷媒液を気化させることで、気化熱によって冷却作用をもたらす。冷却パイプ21A、21B、22からの冷媒ガスは、負荷変動による冷媒ガスの変動量をレシーバタンクで吸収された後、圧縮機31に帰還される。冷却運転は、圧縮機17、及び凝縮器ファン19が作動されることで行われる。
【0044】
次に、上記した構成の冷蔵ショーケース10の作用効果について説明する。冷蔵ショーケース10は、貯蔵庫本体11の断熱壁部(より詳しくは天井壁部41、及び底壁部42)に設けられる第1冷却パイプ21A、21Bと、棚板50に設けられる第2冷却パイプ22と、を備える。このようにすれば、食材を空気冷却(冷気による間接冷却)、及び直接冷却の両方で冷却できる。より詳しくは、第1冷却パイプ21A、21Bによって貯蔵庫本体11内の空気を冷却できる。また、第2冷却パイプ22によって棚板50を冷却することで、棚板50上の食材を直接的に冷却できると共に、棚板50付近の空気を冷却することで庫内の空気冷却を促進できる。これにより、仮に食材の配置によって第1冷却パイプ21A、21Bによる空気冷却が阻害された場合であっても、第2冷却パイプ22によって冷却ムラを抑制できる。また循環用ファン(庫内ファン)を用いて強制的に冷気を庫内循環させずに冷却できるため、食材の乾燥を抑制できる。
【0045】
冷蔵ショーケース10は、第1冷却パイプ21A、21Bのうち、少なくとも天井壁部41に設けられる第1冷却パイプ21Aを備えることが好ましい。冷気は降下するため、第1冷却パイプ21Aを天井壁部41に設けることで、降下する冷気によって空気冷却を効果的に実現できる。また、第1冷却パイプ21Bを底壁部42にさらに設けることで、冷気が届きにくい底壁部42側も冷却できるようになり、冷却ムラをより抑制しやすくなる。
【0046】
<他の実施形態>
本技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本技術の技術的範囲に含まれる。
【0047】
(1)本技術は、冷蔵ショーケース10以外の一般的な冷却貯蔵庫に対しても適用可能である。スライド扉14でなく、揺動式の扉が備えられていても構わない。
【符号の説明】
【0048】
10:冷蔵ショーケース(冷却貯蔵庫)、11:貯蔵庫本体、11S:前面開口、14:スライド扉、16:冷却装置、21A、21B:第1冷却パイプ、22:第2冷却パイプ、冷却器、41:天井壁部(断熱壁部)、42:底壁部(断熱壁部)、43:左側壁部(一側壁部)、44:右側壁部(他側壁部)、50:棚板、60:ドレンパン、61:底部、61A:中央部、61B:一端部、61C:他端部、63:取付孔、65:流出口、70:ネジ(締結部材)