IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日鉄住金ソリューションズ株式会社の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特開2024-115151荷役管理装置、車載端末装置、制御方法及びプログラム
<>
  • 特開-荷役管理装置、車載端末装置、制御方法及びプログラム 図1
  • 特開-荷役管理装置、車載端末装置、制御方法及びプログラム 図2
  • 特開-荷役管理装置、車載端末装置、制御方法及びプログラム 図3
  • 特開-荷役管理装置、車載端末装置、制御方法及びプログラム 図4
  • 特開-荷役管理装置、車載端末装置、制御方法及びプログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115151
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】荷役管理装置、車載端末装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
B66F9/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020672
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000191076
【氏名又は名称】日鉄ソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 正知
(72)【発明者】
【氏名】花木 靖仁
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333FA01
3F333FD20
3F333FE01
3F333FE08
3F333FE09
(57)【要約】
【課題】より簡易に荷役動作を検出することを目的とする。
【解決手段】荷役車両の後退が行われたことを示す後退情報を取得する取得部と、前記後退情報に基づいて、前記荷役車両による荷役動作が行われたことを検出する検出部と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役車両の後退が行われたことを示す後退情報を取得する取得部と、
前記後退情報に基づいて、前記荷役車両による荷役動作が行われたことを検出する検出部と、
を備える荷役管理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記荷役車両の後退灯が点灯した場合に、前記後退情報を取得する請求項1に記載の荷役管理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記荷役車両に搭載されたセンサが前記後退灯の点灯を検知したことに応じて生成された前記後退情報を取得する請求項2に記載の荷役管理装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記荷役車両の後退灯が点灯し、且つ、前記荷役車両のアクセルが踏み込まれた場合に、前記後退情報を取得する請求項1に記載の荷役管理装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記荷役車両に対する後ろ向きの加速度が検知された場合に、前記後退情報を取得する請求項1に記載の荷役管理装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記荷役車両におけるバックギアへの切替が行われた場合に、前記後退情報を取得する請求項1に記載の荷役管理装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記荷役車両においてバックギアへの切替が行われ、且つ、前記荷役車両のアクセルが踏み込まれた場合に、前記後退情報を取得する請求項1に記載の荷役管理装置。
【請求項8】
前記後退情報は、前記後退が行われた後退期間を示す情報を含み、
前記検出部は、前記後退情報が示す前記後退期間が第1の期間閾値以上である場合に、前記荷役動作が行われたことを検出する請求項1に記載の荷役管理装置。
【請求項9】
前記後退情報は、前記後退が行われた後退期間を示す情報を含み、
前記取得部は、前記荷役車両の前記後退が行われた期間が第1の期間閾値以上の前記後退期間を示す前記後退情報を取得する請求項1に記載の荷役管理装置。
【請求項10】
前記後退情報は、前記後退が行われた後退期間を示す情報を含み、
前記検出部は、前記後退情報が示す前記後退期間が第2の期間閾値未満である場合に、前記荷役動作が行われたことを検出する請求項1に記載の荷役管理装置。
【請求項11】
前記後退情報は、前記後退が行われた後退期間を示す情報を含み、
前記取得部は、第2の期間閾値未満の前記後退期間を示す前記後退情報を取得する請求項1に記載の荷役管理装置。
【請求項12】
荷役車両の後退が行われたことを示す検知結果を取得する取得部と、
前記検知結果が得られた場合に、前記後退が行われたことを示す後退情報を荷役管理装置に送信する送信部と、
を備える車載端末装置。
【請求項13】
前記送信部は、前記後退が行われた後退期間が第1の期間閾値以上である場合に、前記後退期間を含む前記後退情報を送信する請求項12に記載の車載端末装置。
【請求項14】
前記送信部は、前記後退が行われた後退期間が第2の期間閾値未満である場合に、前記後退期間を含む前記後退情報を送信する請求項12に記載の車載端末装置。
【請求項15】
前記検知結果は、前記荷役車両の後退灯の電圧の検知結果である請求項12に記載の車載端末装置。
【請求項16】
荷役管理装置が実行する制御方法であって、
荷役車両の後退が行われたことを示す後退情報を取得する取得ステップと、
前記後退情報に基づいて、前記荷役車両による荷役動作が行われたことを検出する検出ステップと、
を含む制御方法。
【請求項17】
車載端末が実行する制御方法であって、
荷役車両の後退が行われたことを示す検知結果を取得する取得ステップと、
前記検知結果が得られた場合に、前記後退が行われたことを示す後退情報を荷役管理装置に送信する送信ステップと、
を含む制御方法。
【請求項18】
コンピュータに、
荷役車両の後退が行われたことを示す後退情報を取得する取得ステップと、
前記後退情報に基づいて、前記荷役車両による荷役動作が行われたことを検出する検出ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項19】
コンピュータに、
荷役車両の後退が行われたことを示す検知結果を取得する取得ステップと、
前記検知結果が得られた場合に、前記後退が行われたことを示す後退情報を荷役管理装置に送信する送信ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役管理装置、車載端末装置、制御方法及びプログラム
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等の荷役に用いられる車両である荷役車両において、車速や荷重等から当該車両の状態を判定し、当該車両の稼働状況を管理する技術がある。特許文献1には、フォークリフトの荷役動作に関する車両データを、通信回線を利用してサーバに収集するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-201554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等の従来技術では、荷役動作の検出には、荷重センサ、荷役操作検出センサ等のセンサが用いられる。荷役における荷物の積載の検出に荷重センサを用いる場合、フォーク等に荷重センサが取り付けられる。そのため、この場合には、荷重センサの費用の分、コストが増加し、荷重センサの取り付けのための手間が増加し、更に、センサの取付位置によってはセンサの破損の可能性も生じる。また、荷重センサの代わりにカメラで撮像した画像を用いて、荷役動作を検出することも考えられるが、カメラの設置には大掛かりな改造を要し、コスト、手間が増加する。
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、より簡易に荷役動作を検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の荷役管理装置は、荷役車両の後退が行われたことを示す後退情報を取得する取得部と、前記後退情報に基づいて、前記荷役車両による荷役動作が行われたことを検出する検出部と、を備える。
【0006】
また、他の形態は、車載端末装置であって、荷役車両の後退が行われたことを示す検知結果を取得する取得部と、前記検知結果が得られた場合に、前記後退が行われたことを示す後退情報を荷役管理装置に送信する送信部と、を備える。
【0007】
また、他の形態は、荷役管理装置の制御方法であって、荷役管理装置が実行する制御方法であって、荷役車両の後退が行われたことを示す後退情報を取得する取得ステップと、前記後退情報に基づいて、前記荷役車両による荷役動作が行われたことを検出する検出ステップと、を含む。
【0008】
また、他の形態は、車載端末装置が実行する制御方法であって、荷役車両の後退が行われたことを示す検知結果を取得する取得ステップと、前記検知結果が得られた場合に、前記後退が行われたことを示す後退情報を荷役管理装置に送信する送信ステップと、を含む。
【0009】
また、他の形態は、プログラムであって、コンピュータに、荷役車両の後退が行われたことを示す後退情報を取得する取得ステップと、前記後退情報に基づいて、前記荷役車両による荷役動作が行われたことを検出する検出ステップと、を実行させる。
【0010】
また、他の形態は、プログラムであって、コンピュータに、荷役車両の後退が行われたことを示す検知結果を取得する取得ステップと、前記検知結果が得られた場合に、前記後退が行われたことを示す後退情報を荷役管理装置に送信する送信ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より簡易に荷役動作を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】荷役管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】荷役管理システムの各要素の詳細の一例を示す図である。
図3】計測処理の一例を示すフローチャートである。
図4】記録処理の一例を示すフローチャートである。
図5】集計処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)荷役管理システムの構成:
(2)計測処理:
(3)記録処理:
(4)集計処理:
(5)他の実施形態:
【0014】
(1)荷役管理システムの構成:
図1は、荷役管理システム1のシステム構成の一例を示す図である。荷役管理システム1は、荷役管理装置10、車載端末装置20、及び、荷役車両30を備える。荷役管理システム1は、荷役車両30の荷役動作を管理するシステムである。荷役管理システム1は、より詳しくは、荷役動作を検出し、また荷役動作の履歴を記録する。ここで、荷役動作は、荷物の積み込み及び積み下ろしを含む。
【0015】
荷役車両30は、荷物の荷役や搬送に用いられる移動体である。荷役車両30は、例えば工場の敷地内において利用される。本実施形態においては、荷役車両30は、フォークリフトであるものとする。荷役車両30には、車載端末装置20が搭載されている。
【0016】
車載端末装置20は、ネットワーク40を介して荷役管理装置10と通信可能に接続されている。ネットワーク40は、ローカルエリアネットワーク、インターネット等のネットワークである。車載端末装置20は、荷役車両30に組み込まれたコンピュータ等の情報処理装置であってもよい。また、車載端末装置20は、荷役車両30に搭載されるのに替えて、荷役車両30の操作者が携帯可能なタブレット装置、スマートフォン等であってもよい。
【0017】
荷役管理装置10は、荷役車両30に搭載された車載端末装置20から、荷役車両30の荷役動作に係る情報を受信し、受信した情報に基づいて、荷役車両30による荷役動作を管理する。実施形態では、荷役管理装置10は、サーバ装置であるとするが、他の例として、荷役管理装置10は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット装置、スマートフォン等の他の情報処理装置であってもよい。
【0018】
本実施形態では、荷役管理システム1は、車載端末装置20が搭載された1台の荷役車両30を管理対象とするとして説明するが、後述する変形例で説明するようにそれぞれに車載端末装置20が搭載された複数台の荷役車両30を管理対象としてもよい。
【0019】
発明者らは、荷役車両30による荷役動作時には、荷役車両30の後退が伴うことを見出した。このことから、発明者らは、荷役車両30の後退が行われた場合に、荷役動作が行われたとみなすことができることに想到した。このような知見に従い、本実施形態の荷役管理システム1においては、荷役車両30の後退が行われた場合に、荷役動作が行われたと検出するものとする。
【0020】
また、本実施形態の荷役管理システム1においては、荷役車両30の後退灯32が点灯したことを条件に後退が行われたと判断することとする。荷役車両30において、後退のためにバックギアへの切替が行われると、後退灯32が点灯する。そのため、後退灯32の点灯を荷役車両30の後退とみなすことができる。後退灯32の点灯を検知すべく、荷役車両30には、後退灯32の電圧を検出するためのセンサ31が設けられている。
【0021】
車載端末装置20は、センサ31による検出結果に応じた情報を荷役管理装置10に送信し、荷役管理装置10は、荷役車両30において後退が行われた場合に、荷役動作が行われたことを検出する。
【0022】
図2は、荷役管理システム1の荷役管理装置10と車載端末装置20との構成の一例を示す図である。
車載端末装置20は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部210と、通信部220と、デバイスインターフェース230と、を備える。制御部210は、車載端末装置20の全体を制御する。通信部220は、荷役管理装置10等の外部の装置との間での有線又は無線によるネットワーク40を介した通信を行う。デバイスインターフェース230は、センサ31との通信に用いられるインターフェースである。
【0023】
制御部210のCPUが、ROM等に記憶されたプログラムを実行することで、計測部211の機能を実現する。すなわち、この機能が実行するものとして記載する処理は、CPU101が実行する処理である。また、他の例としては、制御部210のCPUは、ROM等に替えて、SDカード等の記録媒体に格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することで、これらの機能や処理を実現してもよい。
【0024】
計測部211は、後退が行われたことを検出し、さらに、後退が行われた期間を計測する。上述のように、後退灯32が点灯している場合に後退が行われたとみなすことができることから、計測部211は、センサ31により検知された電圧信号に基づいて、後退灯32の点灯を検知し、後退灯32の点灯を検知した場合に、後退が行われたことを示す検知結果を取得する。計測部211は、さらに、後退灯32の点灯が連続する期間、すなわち後退が連続する期間を、後退が行われた期間として計測する。以下では、荷役車両30の後退が行われた期間を、後退期間とする。計測部211は、計測した後退期間を示す情報を、荷役管理装置10に送信する。なお、荷役管理装置10は、後退期間の情報を受信した場合、当該情報により、荷役車両30において後退が行われたと判断することができる。すなわち、後退期間を示す情報は、荷役車両30において後退が行われたことを示す情報、すなわち後退情報の一例である。以下、後退期間を示す情報を後退情報と称する。計測部211は、後退が行われたことを示す検知結果を取得する取得部の一例であり、また、検知結果が得られた場合に、後退情報を荷役管理装置10に送信する送信部の一例である。
【0025】
荷役管理装置10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部110と、記録媒体120と、通信部130と、を備える。制御部110は、荷役管理装置10の全体を制御する。記録媒体120は、後退情報が蓄積されるデータベースである後退履歴DB121等の各種データやプログラムを記憶する。通信部130は、車載端末装置20等の外部の装置との間での有線又は無線によるネットワーク40を介した通信を行う。
制御部110のCPUが、記録媒体120やROMに記憶されたプログラムを実行することで、取得部111、検出部112、集計部113の機能を実現する。すなわち、これらの機能が実行するものとして記載する処理は、CPU101が実行する処理である。また、他の例としては、制御部110のCPUは、ROM等に替えて、SDカード等の記録媒体に格納されているプログラムを読み出し、このプログラムを実行することで、これらの機能や処理を実現してもよい。
【0026】
取得部111は、車載端末装置20から後退情報を取得し、記録媒体120の後退履歴DB121に記録する。
検出部112は、後退履歴DB121に基づいて、荷役車両30による荷役動作を検出する。
集計部113は、検出部112による検出結果を集計する。
【0027】
(2)計測処理:
図3を用いて、車載端末装置20が実行する計測処理について説明する。計測処理は、荷役車両30の後退灯32の点灯している期間を計測する処理である。
制御部210は、荷役車両30が起動したことに応じて、計測処理を開始する。他の例として、制御部210は、既定の時刻になったタイミング、処理の開始の指示を受けたタイミング等の他のタイミングで計測処理を開始してもよい。
【0028】
ステップS301において、計測部211は、センサ31から荷役車両30の後退灯32の電圧を検知する。
次に、ステップS302において、計測部211は、直前のステップS301で検知された電圧に基づいて、荷役車両30の後退灯32が点灯しているか否かを判定する。計測部211は、直前のステップS301で検知された電圧が既定の電圧閾値以上である場合、荷役車両30の後退が行われたと判定し、後退が行われたことを示す検知結果を取得し、処理をステップS303に進める。また、計測部211は、直前のステップS301で検知された電圧が既定の電圧閾値未満である場合、荷役車両30の後退灯が消灯し荷役車両30の後退が行われていないと判定し、処理をステップS301に進める。
【0029】
ステップS303において、計測部211は、後退灯32の点灯が継続する期間の計測を開始する。具体的には、計測部211は、処理時点における時刻をRAMに記録する。
次に、ステップS304において、計測部211は、センサ31を介して荷役車両30の後退灯32の電圧を検知する。
次に、ステップS305において、計測部211は、直前のステップS304で検知された電圧に基づいて、荷役車両30の後退灯32が消灯しているか否かを判定する。計測部211は、直前のステップS304で検知された電圧が既定の電圧閾値以上である場合、荷役車両30の後退灯32が点灯していると判定し、処理をステップS304に進める。また、計測部211は、直前のステップS304で検知された電圧が既定の電圧閾値未満である場合、荷役車両30の後退灯32が消灯していると判定し、処理をステップS306に進める。
【0030】
ステップS306において、計測部211は、後退灯32が点灯した期間、すなわち、ステップS303で記録した時刻から、ステップS306の処理時点の時刻までの期間を、後退が行われた後退期間として計測する。
次に、ステップS307において、計測部211は、ステップS306において得られた後退期間を含む後退情報を荷役管理装置10に送信する。本実施形態では、後退情報には、荷役車両30を識別する車両IDと、直前のステップS306で計測された後退期間と、直前のステップS306の処理時点の時刻(すなわち点灯オフ時刻)と、の情報が含まれる。ただし、計測部211は、管理対象の荷役車両30が1台のみの場合には、後退情報に車両IDを含めなくてもよい。その後、計測部211は、処理をステップS301に進める。計測部211は、荷役車両30のエンジンが停止する場合に、計測処理を終了する。また、計測部211は、車載端末装置20の操作部を介して計測処理の終了の指示を受け付けた場合等の他のタイミングで計測処理を終了してもよい。
【0031】
(3)記録処理:
図4を用いて、荷役管理装置10が実行する後退情報の記録処理を説明する。
制御部210は、管理対象の荷役車両30に搭載された車載端末装置20による計測処理の開始時刻以前の時刻に、記録処理を開始する。
【0032】
ステップS401において、取得部111は、車載端末装置20から後退情報を受信したか否かを判定する。取得部111は、車載端末装置20から後退情報を受信したと判定した場合、処理をステップS402に進め、車載端末装置20から後退情報を受信していないと判定した場合、ステップS401の処理を繰り返す。
【0033】
ステップS402において、取得部111は、直前のステップS401で受信したと判定された後退情報が示す後退期間の長さが、既定の第1の期間閾値以上である場合、処理をステップS403に進める。また、取得部111は、直前のステップS401で受信したと判定された後退情報が示す後退期間の長さが、第1の期間閾値未満である場合、処理をステップS401に進める。
【0034】
ステップS403において、取得部111は、直前のステップS401で受信したと判定された後退情報が示す後退期間の長さが、第1の期間閾値よりも長い既定の第2の期間閾値以上である場合、処理をステップS401に進める。また、取得部111は、直前のステップS401で受信したと判定された後退情報が示す後退期間の長さが、第2の期間閾値未満である場合、処理をステップS404に進める。
【0035】
次に、ステップS404において、取得部111は、直前のステップS401で受信したと判定された後退情報を、記録媒体120の後退履歴DB121に追加する。そして、取得部111は、処理をステップS401に進める。
【0036】
このように、本実施形態では、取得部111は、車載端末装置20から受信した後退情報のうち、第1の期間閾値以上、且つ、第2の期間閾値未満の期間を示す後退情報を記録し、第1の期間閾値未満、又は、第2の期間閾値以上の期間を示す後退情報については記録しない。荷役車両30は、誤操作による後退等、荷役動作と関係なく後退を行う場合がある。また、荷役車両30は、荷役動作を行う場合、一定以上の期間、後退を継続する傾向がある。そこで、取得部111は、第1の期間閾値未満の後退期間を示す後退情報については、この後退情報が荷役動作に関係しない情報であるとして、後退履歴DB121に追加しない。この第1の期間閾値は、例えば、実際の荷役動作において荷役車両が行う後退の期間の計測結果に基づいて設定される値であり、例えば、10秒、15秒等の値である。
【0037】
また、例えば、荷台が運転席の前にあり、前方が確認し難い荷役車両30においては、前進するよりも後退する方が安全であり、移動のために、比較的長い距離において後退が行われる場合がある。一方で、荷役動作における後退は、移動のための後退に比べて、その距離は短い。第2の期間閾値は、このような移動のための後退と、荷役動作のための後退を区別するための閾値である。すなわち、取得部111は、第2の期間閾値以上の後退期間を示す後退情報については、移動のための後退、すなわち荷役動作に関係しない後退に係る情報であるとして、後退履歴DB121に追加しない。この第2の期間閾値は、例えば、実際の荷役動作において荷役車両が行う後退の期間の計測結果に基づいて設定される値であり、例えば、30秒、60秒等の値である。
【0038】
これにより、取得部111は、荷役動作に関しない後退情報が、荷役動作の検出に用いられる事態を防ぎ、荷役動作の誤検出を低減できる。また、取得部111は、不要な後退情報を記録媒体120に記録しないため、記録媒体120の容量を節約できる。
【0039】
(4)集計処理:
続いて、図5を用いて、荷役管理装置10が実行する集計処理を説明する。集計処理においては、荷役動作の検出が行われ、さらに、検出された荷役動作の期間などの情報についての集計が行われる。
制御部210は、荷役管理装置10の操作部を介して指定されたタイミングで、集計処理を開始する。ただし、他の例として、制御部210は、既定の時刻になったタイミング等の他のタイミングで図5の処理を開始してもよい。
【0040】
ステップS501において、取得部111は、後退履歴DB121として記録されている後退情報を取得する。
次に、ステップS502において、検出部112は、ステップS501で取得された後退情報それぞれについて、後退情報が示す期間において、荷役車両30による荷役動作が行われたことを検出し、荷役動作期間を記録媒体120に記録する。
次に、ステップS503において、集計部113は、各荷役車両30についてステップS502で得られた荷役動作期間に基づいて、集計処理を行う。ここで、集計処理は、各荷役車両30の稼働時間の推移、実際の荷役動作期間の集計等である。ここで、稼働時間は、荷役車両30の動作時間である。さらに、集計部113は、これらの集計結果から、作業計画の見直しを行ってもよい。ここで、作業計画は、各荷役車両30の荷役に係る作業の開始時間、作業期間、作業経路等が含まれる。
【0041】
以上、本実施形態の構成により、荷役管理システム1は、荷役車両30の後退の検出結果に基づいて、荷役車両30による荷役動作が行われたことを検出する。さらに、荷役管理システム1では、後退灯32の点灯により後退を検出する。このように、荷役管理システム1によれば、荷重センサや、荷役動作を検出するためのカメラ等、さらなる機器を工場など荷役車両30が移動する敷地内に設置することなく、荷役車両30に後退灯32の電圧検知のセンサを設けるだけで、より簡易に荷役車両30による荷役動作が行われたことを検出できる。
また、荷役動作が行われたことをより簡易に検出可能であるため、結果として、荷役動作が行われたことの検出結果を用いた荷役車両30の稼働率、作業時間等の解析についてもより簡易に行うことができる。また、このような解析結果から、荷役車両の台数の見直し、作業計画の見直し等が可能となる。
【0042】
(5)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。
【0043】
第1の変形例を説明する。荷役管理システム1の荷役管理装置10は、荷役車両30による荷役動作を検出すればよく、その期間を検出しなくてもよい。すなわち、この場合、車載端末装置20は、後退の有無のみを検知し、後退が行われたことを示す検知結果が得られた場合に、後退が行われたことを示す後退情報を荷役管理装置10に送信する。荷役管理装置10は、後退情報を受信した場合に、荷役動作が行われたことを検出する。また、他の例としては、車載端末装置20は、荷役車両30が既定の期間内に行った後退の回数を後退情報として取得してもよい。この場合、例えば、車載端末装置20は、既定の期間内における荷役車両30の後退灯32の点灯が行われた回数を検出し、検出した回数を後退情報として荷役管理装置10に送信する。荷役管理装置10は、送信された後退情報を取得し、取得した後退情報に基づいて、既定の期間内に後退情報が示す回数の荷役動作が行われたことを検出してもよい。
【0044】
第2の変形例を説明する。上述の実施形態では、荷役管理装置10は、後退情報が示す後退期間が、第1の期間閾値以上、且つ、第2の期間閾値未満の条件を満たす場合に、当該後退情報を後退履歴DB121に登録する。ただし、荷役管理装置10は、後退情報が示す後退期間が、第1の期間閾値以上、且つ、第2の期間閾値未満の条件を満たさない場合であっても、当該後退情報を後退履歴DB121に登録してもよい。例えば、荷役管理装置10は、後退情報が示す後退期間が、第1の期間閾値以上であれば、第2の期間閾値以上であっても、対応する後退情報を後退履歴DB121に登録してもよい。また、荷役管理装置10は、後退情報が示す後退期間が、第2の期間閾値未満であれば、第1の期間閾値未満であっても、対応する後退情報を後退履歴DB121に登録してもよい。また、荷役管理装置10は、後退情報が示す後退期間に関わらず、対応する後退情報を後退履歴DB121に登録してもよい。
【0045】
第3の変形例を説明する。本変形例は、第2の変形例において説明したように、少なくとも第1の期間閾値未満及び第2の期間閾値以上の少なくとも一方を満たす後退期間を示す後退情報が後退履歴DB121に記録されている場合に対応した変形例である。この場合には、検出部112は、後退履歴DB121から取得した後退情報が示す後退期間が、第1の期間閾値以上の場合に、対応する後退期間において荷役動作が行われたことを検出してもよい。また、検出部112は、後退履歴DB121から取得した後退情報が示す後退期間が、第2の期間閾値未満の場合に、対応する後退期間において荷役動作が行われたことを検出してもよい。また、検出部112は、後退履歴DB121から取得した後退情報が示す後退期間が、第1の期間閾値以上、且つ、第2の期間閾値未満である場合に、対応する後退期間において荷役動作が行われたことを検出してもよい。
【0046】
第4の変形例を説明する。上述の実施形態では、車載端末装置20は、後退期間の長さに関わりなく後退期間の情報を含む後退情報を、荷役管理装置10に送信する。ただし、車載端末装置20は、後退期間が第1の期間閾値以上である場合に、後退期間の情報を含む後退情報を、荷役管理装置10に送信してもよい。例えば、計測部211は、ステップS307で、ステップS306で計測された後退期間が第1の期間閾値以上である場合に、後退期間の情報を含む後退情報を荷役管理装置10に送信し、この後退期間が第1の期間閾値未満である場合には、後退情報を送信しないとしてもよい。
【0047】
また、車載端末装置20は、後退期間が第2の期間閾値未満である場合に、後退期間の情報を含む後退情報を、荷役管理装置10に送信してもよい。例えば、計測部211は、ステップS307で、ステップS306で計測された後退期間が第2の期間閾値未満である場合に、後退期間の情報を含む後退情報を荷役管理装置10に送信し、この後退期間が第2の期間閾値以上である場合には、後退情報を送信しないとしてもよい。
また、車載端末装置20は、後退期間が第1の期間閾値以上であり、且つ、第2の期間閾値未満である場合に、後退期間の情報を含む後退情報を、荷役管理装置10に送信してもよい。例えば、計測部211は、ステップS307で、ステップS306で計測された後退期間が第1の期間閾値以上、且つ、第2の期間閾値未満である場合に、後退期間の情報を含む後退情報を荷役管理装置10に送信し、この後退期間が第1の期間閾値未満、又は、第2の期間閾値以上である場合には、後退情報を送信しないとしてもよい。
【0048】
第5の変形例を説明する。上述の実施形態に係る荷役管理システム1においては、荷役車両30の後退が行われたことを示す後退情報として、後退灯32が点灯したことを示す情報を取得する。ただし、荷役管理装置10は、後退情報として、他の種類の情報を取得してもよい。例えば、荷役管理装置10は、荷役車両30におけるバックギアへの切替(ギアチェンジ)が行われたことを示す情報を、後退情報として取得してもよい。その場合、例えば、車載端末装置20は、バックギアへの切替レバーに備えられたセンサを介して、バックギアへの切替を検出する。そして、車載端末装置20は、バックギアへ切替えられていた期間を計測し、計測した期間と、バックギアへの切替が解除された時刻と、の情報を後退情報として荷役管理装置10に送信する。
なお、後退灯32が点灯したことを示す情報は、情報の受け手が後退灯32の点灯を把握可能な情報であればよく、例えば、テキスト、数値、ビット列、0・1等の2値データ等であってもよい。また、バックギアへの切替が行われたことを示す情報は、情報の受け手が後退灯32の点灯を把握可能な情報であればよく、例えば、テキスト、数値、ビット列、0・1等の2値データ等であってもよい。
【0049】
また、後退灯32が点灯している場合や、バックギアへ切替えられている場合であっても、実際には後退が行われていない可能性がある。そこで、荷役管理システム1の車載端末装置20は、後退灯32が点灯し、かつアクセルの踏み込みが行われた場合に、後退が行われたと判定し、後退灯32が点灯し、かつアクセルの踏み込みが行われた状態が連続する期間を後退期間として計測してもよい。同様に、車載端末装置20は、バックギアへ切替えられ、かつアクセルの踏み込みが行われた場合に、後退が行われたと判定し、バックギアへ切替えられ、かつアクセルの踏み込みが行われた状態が連続する期間を後退期間として計測してもよい。これにより、荷役管理システム1は、より精度よく後退の検出及び後退期間の計測を行うことができる。
【0050】
また、荷役車両30は、加速度センサを備え、車載端末装置20は、加速度センサにおいて後ろ向きの加速度が検知された場合に後退が行われたと判定し、後ろ向きの加速度が連続して検知される期間を後退期間として計測してもよい。なお、この場合、荷役車両30は、後退灯32の電圧を検知するためのセンサ31を備えなくてもよい。
【0051】
また、荷役車両30は、管理者等により遠隔操作装置(不図示)の操作に応じた、後退を含む移動の指示により移動が制御される場合がある。この場合には、車載端末装置20は、後退が指示された場合に、後退が行われたと判定し、後退が指示された連続する期間を後退期間として計測する。なお、この場合、遠隔操作装置と車載端末装置20はネットワーク40を介して通信可能に設けられ、移動の指示は、遠隔操作装置から車載端末装置20へ送信され、車載端末装置20は、移動指示に従い荷役車両30の移動を制御するものとする。また、例えば、荷役車両30への移動の指示が遠隔操作装置に設けられたボタンを介して行われる場合、車載端末装置20は、当該ボタンが押下され続けた期間を後退期間として計測する。
【0052】
第6の変形例を説明する。既定の荷物について、サイズ、重量等の観点から安全性を高めるため等の理由で、後退のみで搬送することがルール付けされている場合がある。そこで、荷役管理装置10は、後退情報が示す後退期間が既定の期間閾値以上である場合、荷役された荷物の種類を、この既定の荷物であると特定してもよい。
【0053】
第7の変形例を説明する。荷役管理装置10に替えて、車載端末装置20が、取得部111及び検出部112の機能を備えてもよい。すなわち、車載端末装置20は、後退が行われたことの検知、後退期間の計測に加えて、後退情報に基づいて、荷役動作が行われたことを検出してもよい。
例えば、荷役車両30において、荷役対象の荷物が高所にある等の場合、荷役動作の際に、荷役車両30の積載部等に備えられたカメラを用いて荷役対象の荷物の確認を行う場合がある。このように、荷役車両30において荷役動作の際に既定のセンサが用いられる場合がある。このような場合、車載端末装置20は、後退情報に基づいて、荷役動作を検出した場合に、このセンサを稼働させることで、不要な場合にセンサを稼働させないようにできる。
また、この場合、車載端末装置20は、後退情報を送信するのに替えて、荷役動作が行われたことの検出結果を荷役管理装置10に送信してもよい。荷役管理装置10は、各荷役車両30について、荷役動作が行われたことの検出結果を記憶し、集計対象とすることができる。
また、他の例としては、車載端末装置20は、センサ31の検知結果を荷役管理装置10に送信し、荷役管理装置10において、後退の検知、後退期間の計測を行うこととしてもよい。
【0054】
第8の変形例を説明する。上述の実施形態では、荷役管理システム1は、1台の荷役車両30について荷役動作を検出する。ただし、荷役管理システム1は、それぞれに車載端末装置20が備えられた複数台の荷役車両30それぞれについて、荷役動作を検出してもよい。その場合、荷役管理システム1は、複数台の荷役車両30それぞれに搭載された車載端末装置20それぞれを介して、荷役動作が行われたことを検出し、検出結果を集計できる。これにより、集計結果から、複数台の荷役車両30それぞれの稼働率、作業時間等の解析が可能となる。
【0055】
さらに、以上のような装置、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置で共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…荷役管理システム、10…荷役管理装置、110…制御部、120…記録媒体、130…通信部、20…車載端末装置、210…制御部、220…通信部、230…デバイスインターフェース
図1
図2
図3
図4
図5