(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115175
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/005 20060101AFI20240819BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G08G1/005
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020717
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早見 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 侑太
(72)【発明者】
【氏名】長橋 良介
(72)【発明者】
【氏名】冨田 崇文
(72)【発明者】
【氏名】重田 朗
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA23
5H181BB04
5H181CC12
5H181CC27
5H181LL06
5H181LL14
(57)【要約】
【課題】移動中のユーザの安全性を向上させること。
【解決手段】情報処理装置は、対象の走行情報を取得する走行情報取得部と、対象の現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、走行情報取得部が走行情報を取得した日時情報を取得する日時情報取得部と、走行情報に基づいて、対象に所定以上の衝撃が加わったか否かを判定する衝撃判定部と、走行情報に基づいて、対象が迂回挙動を行ったか否かを判定する挙動判定部と、複数の対象のうち、所定以上の衝撃が加わったと判定された対象および迂回挙動を行ったと判定された対象の割合の少なくとも一方が、所定の割合以上である地点を走行注意地点として抽出する走行注意地点抽出部と、走行注意地点において、第1条件と第2条件とで、迂回挙動を行った対象の割合に所定値以上の差がある地点の走行注意度を高く設定する走行注意度設定部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の走行情報を取得する走行情報取得部と、
前記対象の現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記走行情報取得部が前記走行情報を取得した日時情報を取得する日時情報取得部と、
前記走行情報に基づいて、前記対象に所定以上の衝撃が加わったか否かを判定する衝撃判定部と、
前記走行情報に基づいて、前記対象が迂回挙動を行ったか否かを判定する挙動判定部と、
複数の前記対象のうち、所定以上の衝撃が加わったと判定された前記対象および迂回挙動を行ったと判定された前記対象の割合の少なくとも一方が、所定の割合以上である地点を走行注意地点として抽出する走行注意地点抽出部と、
前記走行注意地点において、第1条件と第2条件とで、迂回挙動を行った前記対象の割合に所定値以上の差がある地点の走行注意度を高く設定する走行注意度設定部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記走行注意度設定部は、第2条件で所定以上の衝撃が加わった前記対象の割合または第2条件で前記対象に加わった衝撃の大きさの代表値が、第1条件の場合よりも高い地点の前記走行注意度を高く設定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記対象が走行している前記走行注意地点の走行注意度が所定以上である場合に、前記対象の動作を制御するための緊急制御情報を生成する緊急制御部を備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置と通信可能な端末装置とを、含み、
前記端末装置は、
前記対象の走行情報を取得し、取得した前記対象の走行情報を前記情報処理装置に送信し、
前記対象の位置情報を取得し、取得した前記対象の位置情報を前記情報処理装置に送信し、
前記日時情報を取得し、前記日時情報を前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置から前記走行注意度に関する情報を取得する、
情報処理システム。
【請求項5】
対象の走行情報を取得するステップと、
前記対象の現在の位置情報を取得するステップと、
前記走行情報が取得された日時情報を取得するステップと、
前記走行情報に基づいて、前記対象に所定以上の衝撃が加わったか否かを判定するステップと、
前記走行情報に基づいて、前記対象が迂回挙動を行ったか否かを判定するステップと、
複数の前記対象のうち、所定以上の衝撃が加わったと判定された前記対象および迂回挙動を行ったと判定された前記対象の割合の少なくとも一方が、所定の割合以上である地点を走行注意地点として抽出するステップと、
前記走行注意地点において、第1条件と第2条件とで、迂回挙動を行った前記対象の割合に所定値以上の差がある地点の走行注意度を高く設定するステップと、
を含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
走行中の車椅子が走行に注意すべき場所に接近している場合に、走行の注意を促す信号を送信する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、車椅子の着座面にかかる圧力が定められた範囲から逸脱した圧力が検出された地点、例えば段差やくぼみがある地点を、走行に注意すべき場所としている。しかしながら、昼間などの周囲が明るく視認性がよい状況では、段差やくぼみを認識して迂回することが容易であるため、走行に注意すべき場所であっても車椅子の着座面にかかる圧力が適切な範囲を逸脱しない場合があり、走行に注意すべき場所の情報が適切に送信されない虞がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、走行注意地点を適切に抽出し、また走行注意度を設定して移動中のユーザの安全性を向上させることのできる情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、対象の走行情報を取得する走行情報取得部と、前記対象の現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記走行情報取得部が前記走行情報を取得した日時情報を取得する日時情報取得部と、前記走行情報に基づいて、前記対象に所定以上の衝撃が加わったか否かを判定する衝撃判定部と、前記走行情報に基づいて、前記対象が迂回挙動を行ったか否かを判定する挙動判定部と、複数の前記対象のうち、所定以上の衝撃が加わったと判定された前記対象および迂回挙動を行ったと判定された前記対象の割合の少なくとも一方が、所定の割合以上である地点を走行注意地点として抽出する走行注意地点抽出部と、前記走行注意地点において、第1条件と第2条件とで、迂回挙動を行った前記対象の割合に所定値以上の差がある地点の走行注意度を高く設定する走行注意度設定部と、を備える。
【0007】
本発明の情報処理システムは、本発明の情報処理装置と、通信可能な端末装置とを、含み、前記端末装置は、前記対象の走行情報を取得し、取得した前記対象の走行情報を前記情報処理装置に送信し、前記対象の位置情報を取得し、取得した前記対象の位置情報を前記情報処理装置に送信し、前記日時情報を取得し、前記日時情報を前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置から前記走行注意度に関する情報を取得する。
【0008】
本発明の情報処理方法は、対象の走行情報を取得するステップと、前記対象の現在の位置情報を取得するステップと、前記走行情報が取得された日時情報を取得するステップと、前記走行情報に基づいて、前記対象に所定以上の衝撃が加わったか否かを判定するステップと、前記走行情報に基づいて、前記対象が迂回挙動を行ったか否かを判定するステップと、複数の前記対象のうち、所定以上の衝撃が加わったと判定された前記対象および迂回挙動を行ったと判定された前記対象の割合の少なくとも一方が、所定の割合以上である地点を走行注意地点として抽出するステップと、前記走行注意地点において、第1条件と第2条件とで、迂回挙動を行った前記対象の割合に所定値以上の差がある地点の走行注意度を高く設定するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、移動中のユーザの安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るモビリティ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る走行注意度設定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るモビリティ制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係るモビリティ制御情報生成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係るモビリティ制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
[第1実施形態]
(情報処理システム)
図1を用いて、第1実施形態に係る情報処理システムの構成例について説明する。
図1は、第1実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、情報処理システム1は、情報処理装置10と、複数のモビリティ制御装置12と、を含む。情報処理装置10と、モビリティ制御装置12とは、ネットワークNを介して、通信可能に接続されている。ネットワークNは、例えば、インターネット網であるが、これに限定されない。
【0014】
情報処理装置10は、例えば、情報処理システム1の管理室などに設置されるサーバ装置である。モビリティ制御装置12は、所謂、モビリティに搭載される制御装置である。本実施形態において、対象となるモビリティは、電動車椅子、またはシニアカーなどであるが、これに限定されない。モビリティは、例えば、電動キックボード、電動自転車、または自転車であってもよい。以下では、対象となるモビリティは電動車椅子であるものとして説明する。
【0015】
情報処理装置10は、モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子の走行地点における走行注意度を設定する。電動車椅子で移動するユーザは、各走行地点の走行注意度に基づいて走行することで、安全性を確保することができる。
【0016】
(情報処理装置)
図2を用いて、第1実施形態に係る情報処理装置の構成例について説明する。
図2は、第1実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、情報処理装置10は、通信部20と、記憶部22と、制御部24と、を備える。
【0018】
通信部20は、情報処理装置10と、外部装置との間の通信を実行する通信インターフェースである。通信部20は、例えば、情報処理装置10と、モビリティ制御装置12との間の通信を実行する。
【0019】
記憶部22は、各種の情報を記憶している。記憶部22は、制御部24の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部22は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0020】
記憶部22は、例えば、各種の地図情報を記憶している。記憶部22は、例えば、電動車椅子で走行し得る経路の地図情報を記憶している。
【0021】
制御部24は、情報処理装置10の各部を制御する。制御部24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの情報処理装置と、RAMまたはROMなどの記憶装置とを有する。制御部24は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現されてもよい。制御部24は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0022】
制御部24は、走行情報取得部30と、位置情報取得部32と、日時情報取得部34と、衝撃判定部36と、挙動判定部38と、走行注意地点抽出部40と、走行注意度設定部42と、を備える。
【0023】
走行情報取得部30は、通信部20を介して、モビリティ制御装置12からモビリティ制御装置12が搭載されている電動車椅子の走行情報を取得する。走行情報には、少なくとも走行中の電動車椅子に加わった衝撃と、モビリティが行った迂回挙動とに関する情報を含む。電動車椅子に加わった衝撃とは、例えば、電動車椅子で走行中にタイヤが段差などに衝突した場合の衝撃をいう。迂回挙動とは、例えば、直線的な進行方向に対して、外側に膨らむような走行をいい、迂回挙動に関する情報とは、例えば、電動車椅子の操作レバーの操作情報またはハンドルの操作情報、電動車椅子に加わった左右方向の加速度情報、モビリティ制御装置12が撮像した画像をいう。
【0024】
位置情報取得部32は、通信部20を介して、モビリティ制御装置12からモビリティ制御装置12(電動車椅子)の現在の位置情報を取得する。
【0025】
日時情報取得部34は、通信部20を介して、モビリティ制御装置12からモビリティ制御装置12が電動車椅子の走行情報を取得した日時情報を取得する。日時情報は、例えば、時刻、時間帯、日付、曜日、祝日、月、年、および季節などに関する情報を含む。日時情報取得部34は、例えば、通信部20を介して、日時情報を提供する図示しないサーバ装置から日時情報を取得してもよい。日時情報取得部34は、例えば、情報処理装置10が備える図示しないタイマ回路から現在の日時情報を取得してもよい。タイマ回路は、現在の日時を測定可能に構成されている。
【0026】
衝撃判定部36は、走行情報取得部30が取得した走行情報に基づいて、モビリティ制御装置12が搭載されている電動車椅子に所定以上の衝撃が加わったか否かを判定する。所定以上の衝撃とは、例えば、加速度が0.1G以上の衝撃であるがこれに限定されない。
【0027】
挙動判定部38は、走行情報取得部30が取得した走行情報に基づいて、モビリティ制御装置12が搭載されている電動車椅子が迂回挙動を行ったか否かを判定する。挙動判定部38は、例えば、直線に対して右方向から左方向、または左方向から右方向への電動車椅子の移動操作が、比較的短時間(例えば、5秒以内)に行われた情報を取得した場合に、モビリティが迂回挙動を行ったと判定する。移動操作は、例えば、電動車椅子の操作レバーの操作またはハンドルの操作などである。挙動判定部38は、例えば、直線に対して左方向への移動操作情報を取得した後、それよりも大きい右方向へ移動操作情報を取得した場合にモビリティが迂回挙動を行ったと判定してもよい。挙動判定部38は、例えば、直線に対して左右方向への加速度情報を取得した後、それよりも大きい逆方向への加速度情報を取得した場合に、モビリティが迂回挙動を行ったと判定してもよい。挙動判定部38は、例えば、ブレーキ操作後または減速が検出された後に、進行方向を変更したことを示す情報を取得した場合に、モビリティが迂回挙動を行ったと判定してもよい。
【0028】
挙動判定部38は、例えば、モビリティ制御装置12が撮像した画像に基づいて、電動車椅子が迂回挙動を行ったか否かを判定してもよい。挙動判定部38は、例えば、画像から障害物を検知し、撮影方向がその障害物を避ける方向に変化した場合に、電動車椅子は迂回挙動を行ったと判定してもよい。
【0029】
挙動判定部38は、例えば、記憶部22に記憶された地図情報と位置情報取得部32が取得した電動車椅子の位置情報に基づいて、電動車椅子が迂回挙動を行ったか否かを判定してもよい。挙動判定部38は、例えば、記憶部22から地図情報を取得し、地図情報に含まれる道路形状に対し、電動車椅子の位置情報の推移である実際の移動方向が膨らむような軌道であった場合に、電動車椅子は迂回挙動を行ったと判定してもよい。
【0030】
走行注意地点抽出部40は、衝撃判定部36および挙動判定部38の判定結果に基づいて、電動車椅子のユーザが走行する際に注意すべき地点を示す走行注意地点を抽出する。具体的には、走行注意地点抽出部40は、例えば、走行した複数の電動車椅子の総台数のうち、所定以上の衝撃が加わったと判定された電動車椅子の台数および迂回挙動を行ったと判定された電動車椅子の台数の少なくとも一方の割合が、所定の割合以上である地点を走行注意地点として抽出する。言い換えると、走行注意地点とは、その地点を走行した電動車椅子の総台数に占める、所定以上の衝撃が加わったと判定された電動車椅子および迂回挙動を行ったと判定された電動車椅子の少なくとも一方の台数が、所定の割合以上である地点である。
【0031】
走行注意地点抽出部40は、例えば、日時情報に基づいて、時刻、時間帯、日付、曜日、祝日、月、年、および季節ごとの走行注意地点を抽出してもよい。走行注意地点抽出部40は、例えば、モビリティの種類ごとの走行注意地点を抽出してもよい。具体的には、走行注意地点抽出部40は、例えば、電動車椅子、シニアカー、電動キックボード、電動自転車ごとの走行注意地点を抽出してもよい。
【0032】
走行注意地点抽出部40は、例えば、モビリティ制御装置12が撮像した画像に基づいて走行注意地点を抽出してもよい。走行注意地点抽出部40は、例えば、画像から段差、穴、迂回が必要又は迂回が好ましい障害物などを認識した電動車椅子の台数が、その地点を走行した電動車椅子の台数のうち所定の割合以上である場合、その地点を走行注意地点として抽出してもよい。走行注意地点抽出部40は、例えば、モビリティ制御装置12が収音した音声に基づいて走行注意地点を抽出してもよい。走行注意地点抽出部40は、例えば、電動車椅子のユーザが発した音声に「危ない」「うわっ」などの音声が含まれている電動車椅子の台数が、その地点を走行した電動車椅子の台数のうち所定の割合以上である場合、その地点を走行注意地点として抽出してもよい。
【0033】
走行注意度設定部42は、走行注意地点抽出部40が抽出した走行注意地点ごとの走行注意度を設定する。走行注意度設定部42は、電動車椅子のユーザが走行に注意する必要性が高い走行注意地点について、走行注意度を高く設定する。走行注意度設定部42は、例えば、複数の電動車椅子のうち、所定以上の衝撃が加わったと判定された電動車椅子および迂回挙動を行ったと判定された電動車椅子の割合が高い走行注意地点程、走行注意度を高く設定する。走行注意度設定部42は、例えば、走行注意地点ごとの走行注意度を示す走行注意度情報を生成する。走行注意度設定部42は、例えば、生成した走行注意度情報を記憶部22に記憶させる。走行注意度設定部42は、例えば、通信部20を介して、生成した走行注意度情報をモビリティ制御装置12に出力する。
【0034】
走行注意度設定部42は、例えば、走行注意地点において、第1条件と第1条件とは異なる第2条件とで、迂回挙動を行った電動車椅子の割合に所定以上の差がある場合には、その地点の走行注意度を高く設定する。このとき第2条件とは、第1条件と比較して視認性が悪く、段差、穴、迂回が必要又は迂回が好ましい障害物などを視認することができない可能性が高い条件である。例えば、周囲が暗い状況では、段差、穴、迂回が必要又は迂回が好ましい障害物などを視認することができない可能性が高くなる。走行注意度設定部42は、例えば、走行注意地点において、第1条件を満たす場合に走行した電動車椅子のうち迂回挙動を行った電動車椅子の割合と、第2条件を満たす場合に走行した電動車椅子のうち迂回挙動を行った電動車椅子の割合と、に所定以上の差がある場合には、第2条件において、その地点に存在する段差、穴、迂回が必要又は迂回が好ましい障害物などを視認することができず、迂回挙動を行うことができない可能性が高いとして、その地点の走行注意度を高く設定する。例えば、第1条件と、第2条件とは、それぞれ、昼間と、夜間とである。例えば、第1条件と、第2条件とは、閾値以上の照度と、閾値未満の照度とであってもよい。例えば、第1条件と、第2条件とは、それぞれ、異なる時間または時間帯であって、周囲の街灯の点灯時間や商店の営業時間などの条件により、第2条件において第1条件よりも視認性が悪化する時間帯に関する条件であってもよい。例えば、第1条件と、第2条件とは、それぞれ、太陽の位置が逆光とならない時間帯と、太陽の位置が逆光となる時間帯であって、逆光により視認性が悪化する時間帯を第2条件としてもよい。例えば、第1条件と、第2条件とは、それぞれ、積雪が無い条件と、地点ごとに設定される積雪閾値を超える積雪がある条件であって、積雪により視認性が悪化する場合を第2条件としてもよい。第1条件と、第2条件とは、これらに限定されず、電動車椅子のユーザからの視認性に差異がある条件が設定されてよい。
【0035】
走行注意度設定部42は、例えば、地図情報に走行注意地点ごとの走行注意度を重畳させた走行注意度情報を、走行注意度地図として生成し、出力してもよい。走行注意度設定部42は、例えば、走行注意地点の近傍を走行しているモビリティ制御装置12に対し、通信部20を介して走行注意度情報を出力してもよい。走行注意度設定部42は、例えば、走行注意度情報を、通信部20およびネットワークを介して外部機器に向けて出力してもよい。走行注意度設定部42は、例えば、地図情報に時間帯ごとの走行注意度を重畳させた走行注意度情報を出力してもよい。走行注意度設定部42は、例えば、地図情報にモビリティごとの走行注意度を重畳させた走行注意度情報を生成し、出力してもよい。
【0036】
(モビリティ制御装置)
図3を用いて、第1実施形態に係るモビリティ制御装置の構成例について説明する。
図3は、第1実施形態に係るモビリティ制御装置の構成例を示すブロック図である。
【0037】
図3に示すように、モビリティ制御装置12は、入力部50と、出力部52と、センサ部54と、通信部56と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部58と、記憶部60と、制御部62と、を備える。
【0038】
モビリティ制御装置12は、本発明に係る端末装置の一種である。モビリティ制御装置12は、対象となる電動車椅子などのモビリティに搭載され、例えば、モビリティを制御可能に構成されている。モビリティ制御装置12は、例えば、ユーザが所有するスマートフォンなどであってもよい。
【0039】
入力部50は、ユーザが各種の操作を入力する入力装置である。入力部50は、例えば、電動車椅子などの移動を制御する操作レバー、ハンドルなどを含む。入力部50は、例えば、スイッチ、タッチパネル、マイクなどを含んでもよい。
【0040】
出力部52は、各種の情報を出力する出力装置である。出力部52は、例えば、各種の映像を表示する表示部を含む。表示部としては、例えば、液晶ディスプレイおよび有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイが例示される。出力部52は、例えば、各種の音声を出力する音声出力部を含む。音声出力部としては、例えば、スピーカが例示される。
【0041】
センサ部54は、各種の物理量を検出するセンサを含む。センサ部54は、例えば、モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子に生じた加速度を検出する加速度センサを含む。センサ部54は、例えば、モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子の向きを検出する角度センサを含む。センサ部54は、例えば、周囲の照度を検出する照度センサを含む。センサ部54は、例えば、電動車椅子の周囲を撮影する撮像装置を含んでもよい。撮像装置は、可視光カメラであってもよいし、赤外線カメラであってもよい。
【0042】
通信部56は、モビリティ制御装置12と、外部装置との間の通信を実行する通信インターフェースである。通信部56は、例えば、モビリティ制御装置12と、情報処理装置10との間の通信を実行する。
【0043】
GNSS受信部58は、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機等で構成される。GNSS受信部58は、受信したGNSS信号を位置検出部72へ出力する。
【0044】
記憶部60は、各種の情報を記憶している。記憶部60は、制御部62の演算内容、およびプログラム等の情報を記憶する。記憶部60は、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置、HDD等の外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0045】
制御部62は、モビリティ制御装置12の各部を制御する。制御部62は、例えば、CPUやMPUなどの情報処理装置と、RAMまたはROMなどの記憶装置とを有する。制御部62は、例えば、ASICやFPGAなどの集積回路により実現されてもよい。制御部62は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0046】
制御部62は、走行情報取得部70と、位置検出部72と、日時情報取得部74と、走行注意度情報取得部76と、出力制御部78と、モビリティ制御部80と、を備える。
【0047】
走行情報取得部70は、例えば、センサ部54が検出した物理量を走行情報として取得する。走行情報には、例えば、モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子に生じた加速度に関する加速度情報、電動車椅子の向きに関する向き情報が含まれる。
【0048】
位置検出部72は、モビリティ制御装置12(電動車椅子)の現在の位置を検出する。位置検出部72は、GNSS受信部58が受信したGNSS信号に基づいて、モビリティ制御装置12の現在の位置を検出する。
【0049】
日時情報取得部74は、現在の日時に関する日時情報を取得する。日時情報取得部74は、例えば、通信部56を介して、日時情報を提供する図示しないサーバ装置から日時情報を取得する。日時情報取得部74は、例えば、モビリティ制御装置12が備える図示しないタイマ回路から現在の日時情報を取得する。タイマ回路は、現在の日時を測定可能に構成されている。日時情報取得部74は、例えば、GNSS受信部58が受信したGNSS信号から、現在の日時情報を取得する。
【0050】
走行注意度情報取得部76は、通信部56を介して、情報処理装置10から走行注意地点ごとの走行注意度を示す走行注意度情報を取得する。
【0051】
出力制御部78は、出力部52を制御して、各種の情報を出力させる。出力制御部78は、例えば、出力部52を制御して、走行注意度情報取得部76が取得した走行注意度情報を出力させる。
【0052】
モビリティ制御部80は、モビリティ制御装置12が搭載されている電動車椅子の動作を制御する。モビリティ制御部80は、例えば、ユーザが入力部50に入力した入力操作に従って、モビリティ制御装置12が搭載されている電動車椅子の動作を制御する。モビリティ制御部80は、例えば、走行注意度情報取得部76が取得した走行注意度情報に基づいて、モビリティ制御装置12が搭載されている電動車椅子の動作を制御する。
【0053】
(走行注意度設定処理)
図4を用いて、第1実施形態に係る情報処理システム1の走行注意度設定処理について説明する。
図4は、第1実施形態に係る走行注意度設定処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
図4に示す処理は、情報処理装置10が電動車椅子などで走行する際に注意すべき走行注意地点ごとの走行注意度を示す走行注意度情報を出力する処理を示す。
【0055】
走行情報取得部30は、モビリティ制御装置12からモビリティ制御装置12が搭載されている電動車椅子の走行情報を取得する(ステップS10)。そして、ステップS12に進む。
【0056】
位置情報取得部32は、モビリティ制御装置12からモビリティ制御装置12の現在の位置情報を取得する(ステップS12)。そして、ステップS14に進む。
【0057】
日時情報取得部34は、モビリティ制御装置12から、または、日時情報取得部34から、現在の日時情報を取得する(ステップS14)。そして、ステップS16に進む。
【0058】
衝撃判定部36は、走行情報取得部30が取得した走行情報に基づいて、モビリティ制御装置12に加わった衝撃を判定する(ステップS16)。そして、ステップS18に進む。
【0059】
挙動判定部38は、走行情報取得部30が取得した走行情報に基づいて、モビリティ制御装置12が行った迂回挙動を判定する(ステップS18)。そして、ステップS20に進む。
【0060】
走行注意地点抽出部40は、複数の電動車椅子のうち、所定以上の衝撃が加わったと判定された電動車椅子および迂回挙動を行ったと判定された電動車椅子の割合が、所定の割合以上であるか否かを判定する(ステップS20)。所定の割合以上であると判定された場合(ステップS20;Yes)、ステップS22に進む。所定の割合以上で有ると判定されない場合(ステップS20;No)、ステップS32に進む。
【0061】
走行注意地点抽出部40は、複数の電動車椅子のうち、所定以上の衝撃が加わったと判定された電動車椅子および迂回挙動を行ったと判定された電動車椅子の割合が、所定の割合以上であると判定された地点を、走行注意地点として抽出する(ステップS22)。そして、ステップS24に進む。
【0062】
走行注意度設定部42は、抽出された走行注意地点に対して走行注意度の初期値を設定する(ステップS24)。走行注意度の初期値は、通常または標準的な値として設定される。そして、ステップS26に進む。
【0063】
走行注意度設定部42は、抽出された走行注意地点において、第1条件と第1条件とは異なる第2条件とで、迂回挙動を行った電動車椅子の割合に所定以上の差があるか否かを判定する(ステップS26)。所定以上の差があると判定された場合(ステップS26;Yes)、ステップS28に進む。所定以上の差があると判定されない場合(ステップS26;No)、ステップS30に進む。
【0064】
ステップS26でYesと判定された場合、走行注意度設定部42は、第1条件と第1条件とは異なる第2条件とで、迂回挙動を行った電動車椅子の割合に所定以上の差がある走行注意地点の走行注意度を初期値に対して高く設定する(ステップS28)。そして、ステップS30に進む。
【0065】
走行注意度設定部42は、走行注意度情報を出力する(ステップS30)。そして、ステップS32に進む。
【0066】
制御部24は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS32)。制御部24は、例えば、各走行注意地点の走行注意度情報を出力した場合、および走行注意度設定処理を終了する操作を受け付けた場合になどに、処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS32;Yes)、
図4の処理を終了する。処理を終了すると判定されない場合(ステップS32;No)、ステップS10に戻り、処理を繰り返す。
【0067】
(モビリティ制御装置の処理)
図5を用いて、第1実施形態に係るモビリティ制御装置12の処理の流れについて説明する。
図5は、第1実施形態に係るモビリティ制御装置12の処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
走行情報取得部70は、センサ部54からモビリティ制御装置12が搭載されている電動車椅子の走行情報を取得する(ステップS40)。そして、ステップS42に進む。
【0069】
位置検出部72は、GNSS受信部58が受信したGNSS信号に基づいて、モビリティ制御装置12の現在の位置を検出する(ステップS42)。そして、ステップS44に進む。
【0070】
日時情報取得部74は、現在の日時情報を取得する(ステップS44)。そして、ステップS46に進む。
【0071】
制御部62は、通信部56を介して、電動車椅子の走行情報、現在の位置に関する位置情報、日時情報を情報処理装置10に出力する(ステップS46)。そして、ステップS48に進む。
【0072】
走行注意度情報取得部76は、通信部56を介して、情報処理装置10から走行注意度情報を取得する(ステップS48)。そして、ステップS50に進む。
【0073】
出力制御部78は、出力部52を制御して、走行注意度情報取得部76が取得した走行注意度情報を出力させる(ステップS50)。電動車椅子のユーザは、出力部52から出力された走行注意度情報に従うことで、安全に走行することができる。
【0074】
制御部62は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS52)。制御部62は、例えば、電動車椅子の走行が終了した場合に処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS52;Yes)、
図5の処理を終了する。処理を終了すると判定されない場合(ステップS52;No)、ステップS40に進む。
【0075】
上述のとおり、第1実施形態は、電動車椅子が走行する経路上から走行注意地点を抽出し、かつ走行注意地点ごとの走行注意度を示す走行注意度情報を情報処理装置10から取得し、出力部52に出力する。これにより、第1実施形態では、電動車椅子のユーザが走行注意度情報に従って走行することで、安全性を向上させることができる。なお、モビリティ制御装置12は、ステップS48以降の処理を行わない、電動車椅子の走行情報や現在の位置に関する位置情報などを情報処理装置10に向けて提供する形態のみが実装されてもよい。
【0076】
[第2実施形態]
図6を用いて、第2実施形態に係る情報処理装置の構成例について説明する。
図6は、第2実施形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0077】
第2実施形態に係る情報処理装置10Aは、電動車椅子のユーザが走行する地点の走行注意度が所定以上である場合には、例えば、電動車椅子の走行を強制的に止める、電動車椅子の走行速度を低下させる、走行注意地点を回避させるなどの制御を行うことができる。または、情報処理装置10Aは、電動車椅子のユーザが走行する地点の走行注意度が所定以上である場合には、走行注意地点を回避する案内を出力することができる。
【0078】
図6に示すように、情報処理装置10Aは、制御部24Aが緊急制御部44と、案内制御部46とを備える点で、
図2に示す情報処理装置10と異なる。
【0079】
緊急制御部44は、モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子を強制的に停止させるための緊急制御情報を生成する。緊急制御部44は、例えば、モビリティ制御装置12が搭載されている電動車椅子が走行している走行注意地点の走行注意度が所定以上である場合に、緊急制御情報を生成する。緊急制御部44は、通信部20を介して、生成した緊急制御情報を情報処理装置10に出力する。
【0080】
案内制御部46は、モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子が走行注意地点を回避するための経路を示す案内制御情報を生成する。案内制御部46は、例えば、緊急制御部44が緊急制御情報を生成した場合に、案内制御情報を生成する。案内制御部46は、通信部20を介して、生成した案内制御情報を情報処理装置10に出力する。
【0081】
(制御情報生成処理)
図7を用いて、第2実施形態に係るモビリティ制御情報生成処理の流れについて説明する。
図7は、第2実施形態に係るモビリティ制御情報生成処理の流れを示すフローチャートである。
【0082】
図7に示す処理は、情報処理装置10Aが電動車椅子などのモビリティを制御するための制御情報を生成する処理を示す。
【0083】
ステップS60からステップS64の処理は、それぞれ、
図4に示すステップS10からステップS14の処理と同一なので、説明を省略する。
【0084】
緊急制御部44は、モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子が走行している地点は走行注意地点であるか否かを判定する(ステップS66)。具体的には、緊急制御部44は、例えば、ステップS62で取得された位置情報と、記憶部22に記憶された走行注意度情報とに基づいて、モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子が走行している地点は走行注意地点であるか否かを判定する。モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子が走行している地点が走行注意地点であると判定された場合(ステップS66;Yes)、ステップS68に進む。モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子が走行している地点が走行注意地点であると判定されない場合(ステップS66;No)、ステップS78に進む。
【0085】
ステップS66でYesと判定された場合、緊急制御部44は、モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子が走行している走行注意地点の走行注意度は所定以上であるか否かを判定する(ステップS68)。具体的には、緊急制御部44は、例えば、ステップS62およびステップS64で取得された位置情報および日時情報と、記憶部22に記憶された走行注意度情報とに基づいて、モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子が走行している走行注意地点の走行注意度は所定以上であるか否かを判定する。走行注意度は所定以上であると判定された場合(ステップS68;Yes)、ステップS70に進む。走行注意度は所定以上であると判定されない場合(ステップS68;No)、ステップS78に進む。
【0086】
ステップS68でYesと判定された場合、緊急制御部44は、モビリティ制御装置12が搭載された電動車椅子を停止させるための緊急制御情報を生成する(ステップS70)。そして、ステップS72に進む。
【0087】
緊急制御部44は、通信部20を介して、生成した緊急制御情報をモビリティ制御装置12に出力する(ステップS72)。そして、ステップS74に進む。
【0088】
案内制御部46は、所定以上の走行注意地点を回避するための迂回経路を案内するための案内制御情報を生成する(ステップS74)。具体的には、案内制御部46は、例えば、ステップS62で取得された位置情報と、記憶部22に記憶された走行注意度情報とに基づいて、案内制御情報を生成する。そして、ステップS76に進む。
【0089】
案内制御部46は、通信部20を介して、生成した案内制御情報をモビリティ制御装置12に出力する(ステップS76)。そして、ステップS78に進む。
【0090】
制御部24Aは、処理を終了するか否かを判定する(ステップS78)。具体的には、制御部24Aは、例えば、モビリティ制御装置12を搭載した電動車椅子が目的地に到着した場合になどに処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS78;Yes)、
図7の処理を終了する。処理を終了すると判定されない場合(ステップS78;No)、ステップS60に進む。
【0091】
(モビリティ制御処理)
図8を用いて、第2実施形態に係るモビリティ制御処理について説明する。
図8は、第2実施形態に係るモビリティ制御処理を示すフローチャートである。
【0092】
走行情報取得部70は、通信部56を介して、情報処理装置10Aから走行注意度情報を取得する(ステップS90)。そして、ステップS92に進む。
【0093】
出力制御部78は、出力部52を制御して、走行情報取得部70が取得した走行注意度情報を出力させる(ステップS92)。そして、ステップS94に進む。
【0094】
制御部62は、通信部56を介して、情報処理装置10Aから緊急制御情報を取得したか否かを判定する(ステップS94)。緊急制御情報を取得したと判定された場合(ステップS94;Yes)、ステップS96に進む。緊急制御情報を取得したと判定されない場合(ステップS94;No)、ステップS102に進む。
【0095】
ステップS94でYesと判定された場合、モビリティ制御部80は、モビリティ制御装置12が搭載されている電動車椅子を停止させる(ステップS96)。具体的には、モビリティ制御部80は、例えば、モビリティ制御装置12が搭載されている電動車椅子に強制的にブレーキを掛けて、電動車椅子と段差などの衝突を回避する。このとき、出力制御部78が、出力部52を制御し、電動車椅子のユーザに向けて緊急制御を行う旨を報知することが好ましい。そして、ステップS98に進む。
【0096】
制御部62は、通信部56を介して、情報処理装置10Aから案内制御情報を取得する(ステップS98)。そして、ステップS100に進む。
【0097】
出力制御部78は、出力部52を制御して、案内制御情報に従って、所定以上の走行注意地点を迂回するための迂回経路を案内する(ステップS100)。具体的には、出力制御部78は、迂回経路を示す地図情報などを出力してもよいし、迂回経路を音声で出力してもよい。そして、ステップS102に進む。
【0098】
制御部62は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS102)。具体的には、制御部62は、例えば、モビリティ制御装置12を搭載した電動車椅子が目的地に到着した場合などに処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定された場合(ステップS102;Yes)、
図8の処理を終了する。処理を終了すると判定されない場合(ステップS102;No)、ステップS90に進む。
【0099】
上述のとおり、第2実施形態は、電動車椅子が走行している地点が所定以上の走行注意度の走行注意地点である場合には、電動車椅子を強制的に停止させることができる。これにより、電動車椅子で走行するユーザの安全性を向上させることができる。
【0100】
[その他の実施形態]
第1実施形態および第2実施形態では、電動車椅子またはシニアカーなどのモビリティで走行する際の走行注意度を設定するものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。本実施形態では、例えば、歩行者、ランニングなどで走っている人、足を怪我しているユーザまたは高齢者などを対象とした走行注意度を設定するようにしてもよい。例えば夜間などの視認性が悪い状況でこの場合、ユーザと段差の衝突およびユーザの迂回挙動は、ユーザが持つスマートフォンで判定するようにすればよい。より詳しくは、第1実施形態および第2実施形態におけるモビリティ制御装置12を、ユーザが持つ携帯機器とする実施形態となる。このとき、走行情報とはユーザの移動情報であり、走行注意地点および走行注意度とは、移動注意地点および移動注意度である。
【0101】
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0102】
例えば、第2実施形態において、緊急制御部44は、情報処理装置10が備えるものとしたが、モビリティ制御装置12が備える形態であってもよい。このとき緊急制御部44は、通信部56が受信した走行注意度が所定以上であるか否かを判定し、走行注意度が所定以上である場合に、緊急制御情報を生成してモビリティ制御部80に向けて出力する。同様に案内制御部46をモビリティ制御装置12が備えてもよい。また第2実施形態において、緊急制御部44と案内制御部46は、いずれか一方のみが備えられていてもよい。
【0103】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0104】
本開示は、SDGs(Sustainable Development Goals)の「すべての人に健康と福祉を」の実現に貢献し、ヘルスケア製品・サービスによる価値創出に寄与する事項を含む。
【符号の説明】
【0105】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
12 モビリティ制御装置
20,56 通信部
22,60 記憶部
24,62 制御部
30,70 走行情報取得部
32 位置情報取得部
34,74 日時情報取得部
36 衝撃判定部
38 挙動判定部
40 走行注意地点抽出部
42 走行注意度設定部
44 緊急制御部
46 案内制御部
50 入力部
52 出力部
54 センサ部
58 GNSS受信部
72 位置検出部
76 走行注意度情報取得部
78 出力制御部
80 モビリティ制御部