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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115177
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】画像形成装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240819BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20240819BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G06K7/10 176
G06K17/00 022
B41J29/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020722
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨山 隆志
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS11
2C061CG02
2C061CG15
(57)【要約】
【課題】画像形成の対象となるシートに付された無線タグと通信する無線通信装置において適切なパラメータをより容易に設定すること。
【解決手段】実施形態の画像形成装置は、形成装置、無線タグ通信装置、外部通信インターフェース及びプロセッサを持つ。形成装置は、無線タグを備えたシート上に画像を形成する。無線タグ通信装置は、前記シートに備えられた前記無線タグとの間で無線通信を行う。外部通信インターフェースは、他の装置から通信により画像形成データファイルを取得する。プロセッサは、前記画像形成データファイルが画像形成の指示を含む場合には、前記画像形成データファイルに含まれる情報に基づいて前記形成装置を制御してシート上に画像を形成し、前記画像形成データファイルが無線タグの通信設定の指示を含む場合には、前記画像形成データファイルに含まれる情報に基づいて前記無線タグ通信装置のパラメータを設定する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグを備えたシート上に画像を形成する形成装置と、
前記シートに備えられた前記無線タグとの間で無線通信を行う無線タグ通信装置と、
他の装置から通信により画像形成データファイルを取得する外部通信インターフェースと、
前記画像形成データファイルが画像形成の指示を含む場合には、前記画像形成データファイルに含まれる情報に基づいて前記形成装置を制御してシート上に画像を形成し、前記画像形成データファイルが無線タグの通信設定の指示を含む場合には、前記画像形成データファイルに含まれる情報に基づいて前記無線タグ通信装置のパラメータを設定するプロセッサと、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記外部通信インターフェースを介して、前記シートの種別を示す種別情報を他の情報処理装置に送信することによって、前記他の情報処理装置から前記無線タグの通信設定の指示を含む画像形成データファイルを取得する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記外部通信インターフェースを介して、他の情報処理装置がユーザの操作に応じて送信した前記無線タグの通信設定の指示を含む画像形成データファイルを受信することによって、前記画像形成データファイルを取得する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成データファイルは、無線タグを制御するためのデータである無線タグ制御データを含み、前記通信設定の指示は、前記無線タグ制御データの領域に記録されている、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記通信設定の指示は、前記無線タグ制御データの領域において、前記無線タグにデータを記録することの指示と同様のフォーマットで記録されている、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
無線タグを備えたシート上に画像を形成する形成装置と、前記シートに備えられた前記無線タグとの間で無線通信を行う無線タグ通信装置と、他の装置から通信により画像形成データファイルを取得する外部通信インターフェースと、を備える画像形成装置が、
他の装置から通信により画像形成データファイルを取得し、
前記画像形成データファイルが画像形成の指示を含む場合には、前記画像形成データファイルに含まれる情報に基づいて前記形成装置を制御してシート上に画像を形成し、
前記画像形成データファイルが無線タグの通信設定の指示を含む場合には、前記画像形成データファイルに含まれる情報に基づいて前記無線タグ通信装置のパラメータを設定する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RFID(Radio Frequency IDentification)等の無線通信技術を用いた無線タグが付されたシートに対して画像を形成する画像形成装置がある。このような画像形成装置において無線タグ通信装置を備えることで、画像形成装置で処理の対象となるシートの無線タグに対してデータを書き込んだり読み出したりする技術が提案されている。このような技術では、処理の対象となっていないシートの無線タグに対して誤ってデータの読み書きがなされないように、パラメータを適切に設定する必要がある。例えば、無線タグ検出時に送信される信号の強度や、処理の対象となる無線タグの判定に用いられる閾値が、パラメータとして適切に設定されることが望ましい。しかしながら、このようなパラメータの設定を適切に行うことは容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-213298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、画像形成の対象となるシートに付された無線タグと通信する無線通信装置において適切なパラメータをより容易に設定することを可能とする画像形成装置及び制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、形成装置、無線タグ通信装置、外部通信インターフェース及びプロセッサを持つ。形成装置は、無線タグを備えたシート上に画像を形成する。無線タグ通信装置は、前記シートに備えられた前記無線タグとの間で無線通信を行う。外部通信インターフェースは、他の装置から通信により画像形成データファイルを取得する。プロセッサは、前記画像形成データファイルが画像形成の指示を含む場合には、前記画像形成データファイルに含まれる情報に基づいて前記形成装置を制御してシート上に画像を形成し、前記画像形成データファイルが無線タグの通信設定の指示を含む場合には、前記画像形成データファイルに含まれる情報に基づいて前記無線タグ通信装置のパラメータを設定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の画像形成装置100の全体構成例を示す外観図である。
図2】実施形態の画像形成装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】画像形成装置100の内部構成を示す図である。
図4】画像形成データファイルの具体例を示す図である。
図5】無線タグ制御データの具体例を示す図である。
図6】設定用データファイルにおける無線タグ制御データの具体例を示す図である。
図7】キャリブレーションが実行される際の画像形成装置100の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。
図8】キャリブレーションの処理の流れの具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、実施形態の画像形成装置100の全体構成例を示す外観図である。画像形成装置100は、例えば複合機である。画像形成装置100は、ディスプレイ110、コントロールパネル120、形成装置130、シート収容装置140及び画像読取装置200を備える。なお、画像形成装置100の形成装置130は、トナー像を定着させる電子写真方式の装置であってもよいし、インクジェット式の装置であってもよい、他の態様の装置であってもよい。
【0008】
画像形成装置100は、ネットワーク90を介して他の情報処理装置と通信可能に接続されてもよい。画像形成装置100は、例えば図1に示されるように、ネットワーク90を介してユーザ端末300と通信してもよいし、サーバ400と通信してもよい。ネットワーク90は、無線通信を用いたネットワークであってもよいし、有線通信を用いたネットワークであってもよい。ネットワーク90は、複数のネットワークが組み合わされて構成されてもよい。
【0009】
ユーザ端末300は、パーソナルコンピュータやスマートフォンやタブレット等の情報処理装置である。ユーザ端末300は、ユーザによって操作され、操作に応じて動作する。ユーザ端末300は、ユーザの操作に応じて、例えば画像形成データファイルを画像形成装置100に送信する。画像形成データファイルは、画像形成装置100において画像形成及び無線タグへのデータ書き込みを行うことを画像形成装置100に指示するために予め定められたフォーマットのデータである。画像形成データファイルは、例えばいわゆる印字データファイルとして構成されてもよい。
【0010】
ユーザ端末300は、画像形成データファイルの形式(フォーマット)で構成された設定用データファイルを記憶する。設定用データファイルは、画像形成装置100において、適切な無線タグに対してデータの読み書きがなされるように設定を行う際に使用されるデータである。以下、画像形成装置100において適切な無線タグに対してデータの読み書きがなされるような設定をキャリブレーションという。設定用データファイルは、適切な無線タグに対してデータの読み書きがなされるために用いられるパラメータを含む。設定用データファイルの詳細については後述する。ユーザ端末300は、ユーザが設定処理を行うことを指示する操作を行うと、操作に応じて画像形成装置100に対し設定用データファイルを送信する。
【0011】
サーバ400は、サーバ装置等の情報処理装置である。サーバ400は、上述した設定用データファイルを記憶する。サーバ400は、ネットワーク90を介して所定のアドレスにアクセスしてきた装置に対し、設定用データファイルを送信する。サーバ400は、例えば画像形成装置100から無線タグが付されたシートの種別を示す種別情報とともに設定用データファイルを要求する情報を受信した場合には、種別情報に応じた設定用データファイルを読み出して画像形成装置100に送信してもよい。
【0012】
外部記憶装置500は、磁気記憶装置や半導体記憶装置等の記憶装置である。外部記憶装置500は、他の情報処理装置に対して着脱可能に構成される。外部記憶装置500は、例えば画像形成装置100に対して着脱可能に構成される。外部記憶装置500は、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリを用いて構成されてもよい。外部記憶装置500は、上述した設定用データファイルを記憶する。
【0013】
このように、画像形成装置100は、ユーザ端末300、サーバ400、外部記憶装置500の少なくともいずれか一つの装置から設定用データファイルを取得することができる。次に、画像形成装置100について説明する。
【0014】
画像形成装置100は、トナーやインクを用いてシート上に画像を形成する。シートは、例えば紙やラベル用紙である。シートは、無線タグが付されたシートであってもよい。シートは、その表面に画像形成装置100が画像を形成できる物であればどのような物であってもよい。なお、無線タグが付されたシートとは、シートの表面に無線タグが貼付されていることであってもよいし、シートの内部に無線タグが埋め込まれていることであってもよい。本実施形態における無線タグは、RFID技術を用いた無線タグであり、RFタグとも言われる。
【0015】
ディスプレイ110は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。ディスプレイ110は、画像形成装置100に関する種々の情報を表示する。
【0016】
コントロールパネル120は、複数のボタンを有する。コントロールパネル120は、ユーザの操作を受け付ける。コントロールパネル120は、ユーザによって行われた操作に応じた信号を、画像形成装置100のプロセッサ153に出力する。なお、ディスプレイ110とコントロールパネル120とは一体のタッチパネルとして構成されてもよい。
【0017】
形成装置130は、画像読取装置200によって生成された画像情報または通信路(例えばネットワーク90)を介して受信された画像情報に基づいて、シート上に画像を形成する。形成装置130は、例えば以下のような処理によって画像を形成する。形成装置130は、画像情報に基づいて感光体ドラム上に静電潜像を形成する。形成装置130は、静電潜像に現像剤を付着させることによって可視像を形成する。現像剤の具体例として、トナーを用いたものがある。形成装置130は、可視像をシート上に転写する。形成装置130は、シートに対して加熱および加圧を行うことによって、可視像をシート上に定着させる。なお、画像が形成されるシートは、シート収容装置140に収容されているシートであってもよいし、手差しされたシートであってもよい。画像が形成されたシートは、排紙領域210に排紙される。なお、シートに対する画像形成は上述したトナーを用いたものに限定される必要は無い。例えば、インクジェット方式でシートに対する画像形成が行われてもよい。
【0018】
シート収容装置140は、形成装置130における画像形成に用いられるシートを収容する。一台の画像形成装置100のシート収容装置140において、1つの給紙カセットが設けられてもよいし、複数の給紙カセットが設けられてもよい。本実施形態では、シート収容装置140に4つの給紙カセットが設けられている。
【0019】
画像読取装置200は、読取り対象の画像情報を光の明暗として読取る。画像読取装置200は、読取られた画像情報を記録する。記録された画像情報は、ネットワーク90を介して他の情報処理装置(例えばユーザ端末300)に送信されてもよい。記録された画像情報は、形成装置130によってシート上に画像形成されてもよい。
【0020】
図2は、実施形態の画像形成装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、ディスプレイ110、コントロールパネル120、形成装置130、給紙装置205、補助記憶装置151、メモリ152、プロセッサ153、無線タグ通信装置154、外部通信インターフェース155及び画像読取装置200を備える。これらの各装置はシステムバス160を介してデータ通信可能に接続されている。なお、ディスプレイ110、コントロールパネル120、形成装置130及び画像読取装置200については、上記で説明したため説明を省略する。
【0021】
給紙装置205は、シート収容装置140及び後述する手差しトレイに載置されたシートを形成装置130に給紙する機構である。以下、補助記憶装置151、メモリ152、プロセッサ153、無線タグ通信装置154、外部通信インターフェースについて説明する。
【0022】
補助記憶装置151は、例えばハードディスクまたはSSD(Solid State Drive)であり、各種データを記憶する。補助記憶装置151は、例えば画像形成装置100に備えられる各装置の動作を制御するためのソフトウェアプログラムを記憶してもよい。
【0023】
メモリ152は、画像形成装置100が備える各装置が用いるデータを一時的に記憶する。メモリ152は、例えばRAM(Random Access Memory)である。メモリ152は、画像読取装置200が生成するデジタルデータを記憶してもよい。メモリ152は、形成装置130によって印刷が行われている画像形成データファイルや、無線タグへ書込みされる書込情報を一時的に記憶してもよい。
【0024】
プロセッサ153は、画像形成装置100が備える各装置の動作を制御する。プロセッサ153は、補助記憶装置151に記憶されたソフトウェアプログラムをメモリ152上にロードし、ソフトウェアプログラムを実行することにより処理を実行してもよい。プロセッサ153の具体的な処理について一例を挙げて説明する。
【0025】
プロセッサ153は、外部の情報処理装置(例えばユーザ端末300又はサーバ400)から画像形成データファイルを受信するか、コントロールパネル120に対する操作に応じて外部記憶装置500から画像形成データファイルを読み出すと、読み出された画像形成データファイルに基づいて、無線タグを付されたシートに対する画像形成を制御する。
【0026】
無線タグ通信装置154は無線タグに対して無線通信を行うことでデータ読み出しやデータ書き込みを行う。
【0027】
外部通信インターフェース155は、外部装置(画像形成装置100とは異なる装置)との間でデータ通信を行う。外部通信インターフェース155は、例えば外部記憶装置500等の他の装置を着脱可能な物理インターフェースとして構成されてもよいし、ネットワークを介して外部装置とデータ通信する通信装置として構成されてもよい。外部通信インターフェース155は、例えばUSBのプロトコルに従って構成されてもよい。外部通信インターフェース155は、ネットワーク90を介して他の情報処理装置(例えばユーザ端末300やサーバ400)とデータ通信してもよい。外部通信インターフェース155は、例えばプロセッサ153の制御に応じてデータを送信する。外部通信インターフェース155は、例えばデータを受信すると、受信されたデータをプロセッサ153に送信する。
【0028】
図3は、画像形成装置100の内部構成を示す図である。図3には、新たに手差しトレイ220が示されている。シート収容装置140または手差しトレイ220からシートが搬送路250に取り込まれる。搬送路250は、複数の搬送ローラを備える。搬送ローラは、プロセッサ153の制御に応じて回転し、搬送路に位置するシートを搬送する。シートは搬送路250に沿って搬送され、形成装置130で画像が形成され、排紙ローラ156によって排紙領域210に排紙される。無線タグ通信装置154は、搬送路250に沿って搬送されているシートの無線タグと通信する。
【0029】
図4は、画像形成データファイルの具体例を示す図である。画像形成データファイルは、例えば画像形成データと無線タグ制御データとを含む。画像形成データは、画像形成装置100においてシートに画像形成を実行させるためのデータである。画像形成データは、例えばシートに形成される画像や文字を示すデータと、画像形成における各種パラメータ(解像度や用紙サイズ等の情報)を含む。無線タグ制御データは、無線タグに対して実行される処理を示すデータである。無線タグ制御データの具体例として、無線タグに対して情報を書き込む処理を実行させるためのデータがある。
【0030】
図5は、無線タグ制御データの具体例を示す図である。図5に示される無線タグ制御データは、無線タグに対して情報を書き込む処理を実行させるためのデータである。図5の無線タグ書き込み命令として示される文字列は、無線タグ通信装置154に対して無線タグに対するデータの書き込み処理を実行させることを示す。図5の設定データは、無線タグに対するデータの書き込みの内容を示す。
【0031】
図6は、設定用データファイルにおける無線タグ制御データの具体例を示す図である。設定用データファイルは、画像形成データファイルと同じファイルフォーマットであるため、図4に示されるように画像形成データ及び無線タグ制御データを含む。このように、図6に示される設定用データファイルのフォーマットは、図5に示されるような無線タグに対するデータの書き込み処理を実行させるための画像形成データファイルと同様のフォーマットである。
【0032】
図6に示されるように、設定用データファイルにおける無線タグ制御データは、無線タグ書き込み命令に代えて、キャリブレーション命令の文字列を含む。設定用データファイルにおける無線タグ制御データは、キャリブレーション命令の文字列に続けて、キャリブレーション(設定)に用いられるパラメータを含む。このようなパラメータの具体例として、シートの供給元となる給紙カセットを示す情報、無線タグ通信装置154から無線タグに対して送信される無線信号の送信電力の最小出力及び最大出力、処理の対象となる無線タグの判定に用いられる閾値などがある。
【0033】
図7は、キャリブレーションが実行される際の画像形成装置100の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。プロセッサ153は、画像形成データファイルを取得する(ACT101)。プロセッサ153が画像形成データファイルを取得する際には、例えば以下のような処理によって取得が実現されてもよい。
【0034】
ユーザは、ユーザ端末300を操作することによって、ユーザ端末300からネットワーク90を介して画像形成装置100に対して画像形成データを送信してもよい。この場合、画像形成データファイルは、ユーザ端末300に記憶されていてもよいし、ユーザ端末300が他の情報記憶装置や媒体から画像形成データファイルを取得してもよい。特に、設定用データファイルは、このようにユーザ端末300から画像形成装置100に送信されてもよい。
【0035】
ユーザは、画像形成装置100を操作することによって、サーバ400に接続し、ネットワーク90を介してサーバ400から画像形成装置100に画像形成データをダウンロードしてもよい。この場合、画像形成データファイルは、サーバ400に記憶されていてもよいし、サーバ400が他の情報記憶装置や媒体から画像形成データファイルを取得してもよい。特に、設定用データファイルは、このようにサーバ400から画像形成装置100に送信されてもよい。画像形成装置100を操作してサーバ400に接続する際に用いられるサーバ400のアドレスは、例えば予め画像形成装置100に記憶されていてもよい。画像形成装置100は、例えばサーバ400のアドレスに対し、設定用データファイルを要求する要求情報を送信してもよい。この要求情報には、対象となる無線タグシートの種別を示す種別情報が含まれていてもよい。
【0036】
サーバ400のアドレスは、他の媒体に記録されていてもよい。例えば、無線タグシートの包装紙等に、その無線タグシートの無線タグと通信するための設定用データファイルを記憶するサーバ400のアドレスが記録されていてもよい。アドレスの記録は、例えばURLを示す文字列が印字されることで行われていてもよいし、URLを示す符号化画像(例えば一次元バーコードや二次元バーコード等)が印刷されることで行われていてもよい。符号化画像には、その包装紙に包まれていた無線タグシートの種別を示す種別情報が含まれていてもよい。ユーザは、画像形成装置100のコントロールパネル120を操作してURLを打ち込んでもよい。ユーザは、画像読取装置200を用いて符号化画像を画像形成装置100に入力し、画像形成装置100のプロセッサ153が符号化画像を復号することでアドレスが取得されてもよい。
【0037】
ユーザは、画像形成データファイルを記録している外部記憶装置500を外部通信インターフェース155に接続し、画像形成装置100を操作することによって、外部記憶装置500から画像形成装置100に画像形成データを読み出してもよい。特に、設定用データファイルは、このように外部記憶装置500から画像形成装置100に読み出されてもよい。
【0038】
プロセッサ153は、取得された画像形成データファイルに含まれる無線タグ制御データが、無線タグ書き込み命令を含むか否か判定する(ACT102)。無線タグ制御データが無線タグ書き込み命令を含む場合(ACT102-YES)、プロセッサ153は、無線タグを含むシート(以下「無線タグシート」という。)の給紙を開始する(ACT103)。プロセッサ153は、搬送路250において無線タグシートを搬送し、無線信号を送信することによって無線タグシートの無線タグに情報を書き込む(ACT104)。プロセッサ153は形成装置130を制御することによって、画像形成データファイルに含まれる画像形成データにしたがってシートに画像形成する(ACT105)。
【0039】
無線タグ制御データが無線タグ書き込み命令を含まない場合(ACT102-NO)、プロセッサ153は、取得された画像形成データファイルに含まれる無線タグ制御データが、キャリブレーション命令を含むか否か判定する(ACT106)。無線タグ制御データがキャリブレーション命令を含む場合(ACT106-YES)、プロセッサ153は、無線タグ通信装置154を制御してキャリブレーション処理を実行する(ACT107)。キャリブレーション処理の詳細については図8を用いて後述する。
【0040】
キャリブレーション処理の実行が成功すると(ACT108-YES)、プロセッサ153は、ディスプレイ110においてキャリブレーションが成功したことを表示する(ACT109)。一方、ACT106においてキャリブレーション命令が含まれていない場合や(ACT106-NO)、キャリブレーション処理の実行が成功しなかった場合(ACT108-NO)、プロセッサ153はディスプレイ110においてエラーを表示する(ACT110)。以上で、図7に示されるフローチャートの処理が終了する。
【0041】
図8は、キャリブレーションの処理の流れの具体例を示すフローチャートである。プロセッサ153は、無線タグシートが収容されたカセットに応じた給紙装置205を制御することによって無線タグシートの給紙を開始する(ACT201)。プロセッサ153は、搬送ローラの回転を制御することによって、無線タグシートを無線タグ通信装置154のアンテナ付近まで搬送し停止させる(ACT202)。プロセッサ153は、無線タグ通信装置154を制御し、キャリブレーション命令に含まれるパラメータのうち最大出力を無線タグ通信装置154の出力に設定する(ACT203)。プロセッサ153は、無線タグ通信装置154において無線タグの検出処理を実行させる(ACT204)。無線タグ通信装置154において無線タグの検出が成功した場合には(ACT205-YES)、プロセッサ153は、無線タグ通信装置154の出力を下げ、ACT204の処理に戻って繰り返し実行する。
【0042】
無線タグ通信装置154において無線タグの検出が失敗した場合には(ACT205-NO)、プロセッサ153は、無線タグ通信装置154の出力がキャリブレーション命令に含まれるパラメータのうち最大出力未満であるか判定する(ACT207)。無線タグ通信装置154の出力が最大出力以上である場合(ACT207-NO)、プロセッサ153は、キャリブレーション処理の実行が失敗したことを出力してキャリブレーション処理を終了する(ACT210)。
【0043】
無線タグ通信装置154の出力が最大出力未満である場合(ACT207-YES)、プロセッサ153は、無線タグ検出用の出力として、その時点での出力設定の値に所定のマージンを加算したものを設定する(ACT208)。そして、プロセッサ153は、キャリブレーション処理の実行が成功したことを出力してキャリブレーション処理を終了する(ACT209)。
【0044】
以上のように構成された画像形成装置100では、画像形成の対象となるシートに付された無線タグと通信する無線通信装置において適切なパラメータをより容易に設定することが可能となる。具体的には以下の通りである。
【0045】
画像形成装置100では、無線タグ通信装置154に適切なパラメータを設定する際には、自ら適切なパラメータを個々に設定するのでは無く、他の機器に記録されている設定用データファイルを画像形成装置100で取得することによって行われる。このような設定用データファイルは、例えばユーザ端末300から画像形成装置100に送信してもよいし、画像形成装置100を操作してサーバ400からダウンロード(受信)してもよいし、外部記憶装置500(例えばUSBメモリ)を画像形成装置100に接続して読み出してもよい。他の態様で設定用データファイルが画像形成装置100に入力されてもよい。このように、ユーザは適切なパラメータが含まれる設定用データファイルを容易に取得することが可能となる。
【0046】
画像形成装置100は、設定用データファイルを取得すると、設定用データファイルに含まれている情報に基づいて、自装置の無線タグ通信装置154において適切なパラメータを設定する。例えば、画像形成装置100のプロセッサ153は、設定用データファイルの無線タグ制御データの内容に基づいてパラメータを無線タグ通信装置154に設定する。より具体的には以下の通りである。プロセッサ153は、設定用データファイルの無線タグ制御データにおいてキャリブレーション命令を示す文字列が含まれていると、それに応じてその後に記録されているキャリブレーションのパラメータを読み出して無線タグ通信装置154に設定する。そのため、ユーザはパラメータの設定をより容易に実行することが可能となる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
100…画像形成装置、110…ディスプレイ、120…コントロールパネル、130…形成装置、140…シート収容装置、151…補助記憶装置、152…メモリ、153…プロセッサ、154…無線タグ通信装置、155…外部通信インターフェース、160…システムバス、200…画像読取装置、205…給紙装置、210…排紙領域、220…手差しトレイ、250…搬送路、300…ユーザ端末、400…サーバ、500…外部記憶装置、90…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8