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  • 特開-雨水管 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115183
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】雨水管
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20240819BHJP
   F15D 1/02 20060101ALI20240819BHJP
   F16L 9/127 20060101ALI20240819BHJP
   E04D 13/04 20060101ALI20240819BHJP
   F16L 11/14 20060101ALN20240819BHJP
【FI】
E03C1/12 D
F15D1/02 Z
F16L9/127
E04D13/04 D
F16L11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020730
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 裕造
(72)【発明者】
【氏名】山内 崇
(72)【発明者】
【氏名】佐脇 真平
(72)【発明者】
【氏名】竹中 優揮
【テーマコード(参考)】
2D061
3H111
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AB02
2D061AC03
2D061AC06
3H111AA03
3H111BA15
3H111CB30
3H111DB05
(57)【要約】
【課題】雨水管のなかを流れる雨水による打ち付け音及び流水音を抑制する。
【解決手段】雨水管10は、管状であり、入口開口部12と、入口開口部12から-Z方向(長手方向)に離間した出口開口部13と、入口開口部12と出口開口部13との間を接続する中間部14とを有する。中間部14は、中心軸41が螺旋状に湾曲した円管形状である。中間部14の内壁は、滑らかな曲面であってもよい。中間部14は、そのなかを流れ落ちる雨水に二重の螺旋状回転を与えてもよい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の雨水管において、
入口開口部と、
前記入口開口部から長手方向に離間した出口開口部と、
前記入口開口部と前記出口開口部との間を接続する中間部と
を備え、
前記中間部は、中心軸が螺旋状に湾曲した円管形状である、
雨水管。
【請求項2】
前記中間部の内壁は、滑らかな曲面である、
請求項1の雨水管。
【請求項3】
前記中間部は、そのなかを流れ落ちる雨水に二重の螺旋状回転を与える、
請求項2の雨水管。
【請求項4】
前記中心軸が描く螺旋の半径は、前記円管形状の内半径よりも大きい、
請求項1乃至3いずれかの雨水管。
【請求項5】
前記中心軸が描く螺旋のピッチ角は、40度以上60度以下である、
請求項1乃至3いずれかの雨水管。
【請求項6】
前記中心軸が描く螺旋は、入口開口部と出口開口部との間で一周している、
請求項1乃至3いずれかの雨水管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、雨水を鉛直方向に流すための雨水管に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、縦管本体内に下水を屈曲して流下させるための屈曲流下路が設けられ、縦管が長い場合にも下水の落下衝撃を抑える下水道用縦管を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-41915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された下水道用縦管は、円柱状の縦管本体の内部がスクリュウ軸によって螺旋状に分割されているので、縦管本体のなかを流れる下水が、縦管本体の内壁付近に集中し、流水音が発生する。
この発明は、例えばこのような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる管状の雨水管は、入口開口部と、前記入口開口部から長手方向に離間した出口開口部と、前記入口開口部と前記出口開口部との間を接続する中間部とを有する。前記中間部は、中心軸が螺旋状に湾曲した円管形状である。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる雨水管によれば、中間部が、螺旋状に湾曲した円管形状なので、雨水管のなかを流れる雨水に螺旋状の回転を与えることができ、出口開口部から排出された雨水による打ち付け音を抑制できるとともに、中間部のなかを流れる雨水による流水音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】雨水管の一例を示す平面図。
図2】前記雨水管を示す正面図。
図3】前記雨水管を示す右側面図。
図4】前記雨水管を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~4を参照して、雨水管10について説明する。
雨水管10は、建物の屋上などにあるドレンに流れ込んだ雨水を排水するため、略鉛直方向(±Z方向)に延びる管状の部材であり、例えば硬質ポリ塩化ビニル製である。
雨水管10は、例えば、入口開口部12と、出口開口部13と、中間部14とを有する。
【0009】
入口開口部12は、例えば、長手方向(±Z方向)に対して略垂直な略円環状であり、上(+Z方向)に配置される直管状の雨水管などに接続される。
出口開口部13は、例えば、長手方向(±Z方向)に対して略垂直な略円環状であり、下(-Z方向)に配置される直管状の雨水管などに接続される。出口開口部13は、入口開口部12から見て、ちょうど真下(-Z方向)に配置されている。これにより、直管状の雨水管の間に雨水管10を挟んでも、雨水管の水平方向(XY平面内)における位置がずれることはない。
【0010】
中間部14は、例えば、円管形状であり、入口開口部12と出口開口部13との間を接続している。
中間部14の中心軸41は、螺旋状に湾曲している。これにより、中間部14のなかを流れる雨水に螺旋状の回転を与え、雨水の打ち付け音を小さくすることができる。
【0011】
中心軸41が描く螺旋は、入口開口部12と出口開口部13との間でちょうど一周している。これにより、上述したとおり、入口開口部12の真下に出口開口部13が配置される。
中心軸41が描く螺旋のピッチ角は、40度以上60度以下である。ピッチ角が大き過ぎると、雨水管10に雨水が滞留して溢れるおそれがある。逆にピッチ角が小さ過ぎると、雨水に与えられる回転が小さくなり、雨水の打ち付け音の抑制効果が得られない。
【0012】
中間部14の内壁と中心軸41との間の距離42は、略一定であり、入口開口部12及び出口開口部13の内半径と略同一である。したがって、入口開口部12の内半径と等しい半径を有する球形の異物が雨水とともに入口開口部12から流入したとしても、中間部14の途中で詰まることなく、出口開口部13から排出される。
【0013】
中心軸41が描く螺旋の半径は、入口開口部12及び出口開口部13の内半径よりも大きい。したがって、入口開口部12を上から覗き込んでも、出口開口部13が見えることはない。これにより、入口開口部12から雨水管10のなかに流れ込んだ雨水は、出口開口部13に到達するまでの間に少なくとも一回は、中間部14の内壁に当たることになる。
【0014】
中間部14の内壁は、滑らかな曲面であって、不連続に折れ曲がった部分(辺)が存在しない。中間部14の内壁に当たった雨水は、そのまま内壁に沿って螺旋状に回転しながら流れ落ちる。不連続に折れ曲がった部分が内壁にあると、流れてきた雨水がそこに当たって、雨水に与えられた回転が損失するとともに、流水音が発生する。中間部14の内壁が滑らかな曲面なので、雨水に与えられた回転が損失することなく、中間部14における流水音を抑制することができる。
【0015】
このように、中間部14の内壁に当たった雨水は、内壁に沿って螺旋状に回転しながら流れ落ちる。中間部14自体が螺旋状に湾曲しているので、中間部14のなかを流れる雨水は、二重の螺旋状に回転することになる。二重の螺旋状回転を与えられた雨水が出口開口部13から排出されることにより、出口開口部13の下に接続された直管状の雨水管のなかでも雨水が螺旋状の回転を続けながら落下し、打ち付け音を効果的に抑制することができる。
したがって、鉛直方向に延びる雨水管すべてを螺旋状の雨水管10にする必要はなく、例えば高さ10mごとに雨水管10を1つ配置し、それ以外の部分は、直管状の雨水管を配置すればよく、設置コストを抑えることができる。
【0016】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例である。本発明は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく様々に修正し、変更し、追加し、又は除去したものを含む。これは、以上の説明から当業者に容易に理解することができる。
【0017】
屋内を通る雨水管は、その流水発生音が居室に伝搬する際、騒音が大きいと問題になる。雨水管の流水は、管内で落下する際、遮るものはなく直接落下するため、流水が管壁面に打ち付け発生音が大きくなる。特に管の途中にエルボが発生する場合、その部分に流水が落下して管に打ち付けるために発生音が非常に大きくなる。
そこで、流水に回転を与え、管壁に沿って流れるようにする。そうすることによって、管壁に打ち付ける流水が減り、打ち付けることによって発生する音が減少する。
管にひねりを与え、平面的に元の管路に戻るようにする。上から落下する流水は、必ずひねりの部分で管壁に沿うように回転が与えられ、管壁に対する打ち付けが緩和される。
雨水管は、屋上にある一つのルーフドレンから1本だけで下階に降りていき、途中で合流はない。
管に沿って回転して流れれば、発生音は大幅に緩和される。
これにより、発生音が小さくなるので、居室に対する遮音の対策が軽減され、対策のコストが減少する。また、大きなスペースを必要としない。これは、集合継手のような特殊な材料ではなく、配管と同じ管でよい。
【符号の説明】
【0018】
10 雨水管、12 入口開口部、13 出口開口部、14 中間部、41 中心軸、42 距離。
図1
図2
図3
図4