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特開2024-115184移動体・エレベーター連携システム及び移動体・エレベーター連携方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115184
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】移動体・エレベーター連携システム及び移動体・エレベーター連携方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20240819BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B66B1/18 E
B66B3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020732
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
(72)【発明者】
【氏名】西江 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉村 卓馬
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CB31
3F502HB01
3F502HC07
3F502JA05
3F502JA08
3F502JA51
3F502KA05
3F502KA11
(57)【要約】
【課題】ロボットなどの移動体の搬送のために到着する号機とは別の号機の乗り場で移動体が待機した場合の対処を行う。
【解決手段】移動体管理装置と通信を行う移動体連携部と、エレベーター制御装置と通信を行うエレベーター連携部とを備えて、移動体連携部が、移動体のいる特定階にエレベーターの乗りかごを呼び寄せるための呼び指令を受信したとき、エレベーター連携部がエレベーター制御装置に、特定階にエレベーターの乗りかごを移動させ、特定階に到着した乗りかごをドア開として待機させる指示を行う。そして、エレベーターの乗り場において移動体の有無を検知する移動体検知部を備え、ドア開とした特定階の乗り場で移動体がいないことを検知したとき、移動体連携部が、乗り場に移動体が移動できていないことを移動体管理装置に対して通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を制御する移動体管理装置と通信を行う移動体連携部と、エレベーターを制御するエレベーター制御装置と通信を行うエレベーター連携部と、を備えて、前記移動体連携部が、前記移動体のいる特定階に前記エレベーターの乗りかごを呼び寄せるための呼び指令を受信したとき、前記エレベーター連携部が前記エレベーター制御装置に、前記特定階に前記エレベーターの乗りかごを移動させると共に、前記特定階に到着した乗りかごをドア開として待機させる指示を行う移動体・エレベーター連携システムであり、
前記エレベーターの乗り場において前記移動体の有無を検知するセンサ又はカメラの出力に基づいて、前記移動体の乗り場での有無を検知する移動体検知部を備え、
前記移動体連携部での前記呼び指令の受信により、前記エレベーター連携部が前記特定階でドア開とする指令を送った後、前記移動体検知部がドア開とした特定階の乗り場で前記移動体がいないことを検知したとき、前記移動体連携部が、乗り場に前記移動体が移動できていないことを前記移動体管理装置に対して通知する
移動体・エレベーター連携システム。
【請求項2】
前記エレベーター制御装置により制御される乗りかごは複数台用意され、
前記移動体検知部は、前記移動体を乗車させるために停止してドア開になった乗り場で、前記移動体がいないことを検知すると共に、同じ階の別の乗り場で前記移動体がいることを検知し、前記移動体連携部が、ドア開継続指令を前記移動体管理装置から受信した場合に、前記移動体連携部は、前記移動体管理装置に対して、前記移動体がいる乗り場が誤った場所であることを通知する
請求項1に記載の移動体・エレベーター連携システム。
【請求項3】
前記移動体検知部は、前記移動体が誤った乗りかごの乗り場にいると判定した場合、前記移動体連携部は、前記移動体の乗車に応答しているエレベーターの識別子と、前記移動体が待機中の乗り場に到着するエレベーターの識別子を、前記移動体管理装置に通知する
請求項2に記載の移動体・エレベーター連携システム。
【請求項4】
前記移動体検知部は、前記移動体がいずれの乗り場でも検知できない場合、前記移動体連携部は、前記移動体管理装置に前記移動体の移動に不具合があることを通知する
請求項2に記載の移動体・エレベーター連携システム。
【請求項5】
前記移動体検知部が前記移動体管理装置に前記エレベーターの識別子を通知した後、前記エレベーター連携部は、前記エレベーター制御装置に対して、前記移動体の乗車に応答している前記エレベーターのドア開を延長する指示を行う
請求項3に記載の移動体・エレベーター連携システム。
【請求項6】
前記移動体検知部が前記移動体管理装置に前記エレベーターの識別子を通知した後、前記エレベーター連携部は、前記エレベーター制御装置に対して、前記移動体がいる乗り場に対応したエレベーターの乗りかごを該当する階に移動させ、到着後、前記移動体が乗り込むためにドア開として待機させる指示を行う
請求項3に記載の移動体・エレベーター連携システム。
【請求項7】
前記移動体検知部は、前記エレベーターの乗りかごのドアの近傍に設置されたセンサに基づいて、乗り場での前記移動体の有無を検知する
請求項1に記載の移動体・エレベーター連携システム。
【請求項8】
コンピュータが行う移動体連携処理により、移動体を制御する移動体管理装置から、移動体のいる特定階にエレベーターの乗りかごを呼び寄せるための呼び指令を受信したとき、前記コンピュータが行うエレベーター連携処理により、エレベーター制御装置に対して、前記特定階に前記エレベーターの乗りかごを移動させる指示を行うと共に、前記特定階に到着した乗りかごをドア開として待機させる指示を行う移動体・エレベーター連携方法であり、
前記コンピュータは、前記エレベーターの乗り場において前記移動体の有無を検知するセンサ又はカメラの出力に基づいて、前記移動体の乗り場での有無を検知する移動体検知処理を行い、
前記移動体連携処理での前記呼び指令の受信により、前記エレベーター連携処理で前記特定階でドア開とする指令を送った後、前記移動体検知処理でドア開とした特定階の乗り場で前記移動体がいないことを検知したとき、前記移動体連携処理により、乗り場に前記移動体が移動できていないことを前記移動体管理装置に対して通知する
移動体・エレベーター連携方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体・エレベーター連携システム及び移動体・エレベーター連携方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のエレベーターは、乗客の搬送だけでなく、自律移動できる移動体であるロボットの搬送を行うことが要請されている。例えば、ビル内を警備するロボットや清掃するロボットは、ビル内を移動して警備や清掃などの作業を行うため、エレベーターを利用して各階の移動を行うことが好ましい。
エレベーターがロボットの搬送を行う際には、ロボット又はロボットの制御装置から、ロボット・エレベーター連携システムを介してエレベーターの制御装置に、ロボットが存在している階(乗車階)と、ロボットが移動しようとする行先階(目的階)の制御データを送り、エレベーターの制御装置がエレベーターに対してロボットの移動要請を行うようにしている。
すなわち、エレベーター制御装置は、この制御データに基づいて、乗りかごをロボットが存在している階に向かわせ、ロボットが乗りかごに乗車した後に、行先階に搬送する制御を行う。
【0003】
特許文献1には、エレベーターに乗車可能なロボットに、エレベーターの乗り場ドアまでの距離や形状を検出する形状検出部と、形状検出部で検出された乗り場ドアまでの距離と形状に基づいて乗り場ドアであるか否かを判定する判定部を備えて、判定した乗り場ドアの情報に基づいて、ロボットがエレベーターの乗りかごに乗車するための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/066052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、ロボットがエレベーターを利用する際には、ロボット自身が乗り場を探す処理を行いながら、乗り場まで移動し、到着した乗りかごに乗り込むようにしている。ロボットが乗車する際には、ロボット・エレベーター連携システムがエレベーター制御装置に対して、特定の号機の乗りかごを、ロボットの乗車階に移動させる指示を行う。この指示に基づいて、エレベーター制御装置は、該当する号機の乗りかごを指定階に移動し、ドアが開いた特定の号機の乗りかごにロボットを搭乗させる。
【0006】
ところで、大規模なビルでは、乗り場に多数の号機のエレベーターが並んでいることが多く、それぞれの号機の乗り場ドアはほぼ同じ形状になっている。したがって、ロボット側での形状検出だけでは、ロボット乗車のために運転している号機と、ロボットが乗り場ドアの前で待機している号機が、相違する可能性がある。
すなわち、ロボットは、館内の地図情報とカメラやセンサが検出した情報を照合して現在位置を把握しながら移動する。このため、ロボットは、通常は正しい号機の乗り場の前まで移動することができる。しかしながら、ロボットのセンサの誤検知やロボットと何らかの物体との接触などの様々な要因で、ロボットは、一時的に現在位置の判断を誤って、正しい号機の乗り場ドアではなく、別の号機の乗り場ドアの前に移動してしまう可能性がある。
【0007】
このように、ロボットが乗り場ドアの前で待機している号機と、ロボットの乗車のために運転されている号機とが相違した場合には、ロボット側ではエレベーターがいつまでも到着しないという状態になり、また、エレベーター側ではロボットの乗車を待って長時間ドア開で待機する状態が継続してしまう。つまり、エレベーターによりロボットを搬送できない状態が発生する。このような状態の発生は、エレベーターの運用効率とロボットの運用効率の双方を低下させてしまい、好ましくない。
なお、ここではビルなどの建物内で自律移動する装置の一例としてロボットの場合を説明したが、自律移動する装置には様々な形態のものがあり、自律移動する様々な形態の移動体をエレベーターにより搬送する場合にも同様の問題が発生する。
【0008】
本発明は、これらの点に鑑み、ロボットなどの移動体の搬送のために到着する号機とは別の号機の乗り場で、ロボットなどの移動体が待機した場合の対処が可能な、移動体・エレベーター連携システム及び移動体・エレベーター連携方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、本発明の移動体・エレベーター連携システムは、移動体を制御する移動体管理装置と通信を行う移動体連携部と、エレベーターを制御するエレベーター制御装置と通信を行うエレベーター連携部と、を備えて、移動体連携部が、移動体のいる特定階にエレベーターの乗りかごを呼び寄せるための呼び指令を受信したとき、エレベーター連携部がエレベーター制御装置に、特定階にエレベーターの乗りかごを移動させると共に、特定階に到着した乗りかごをドア開として待機させる指示を行う移動体・エレベーター連携システムに適用したものである。
そして、本発明の移動体・エレベーター連携システムは、エレベーターの乗り場において移動体の有無を検知するセンサ又はカメラの出力に基づいて、移動体の乗り場での有無を検知する移動体検知部を備え、移動体連携部での呼び指令の受信により、エレベーター連携部が特定階でドア開とする指令を送った後、移動体検知部がドア開とした特定階の乗り場で移動体がいないことを検知したとき、移動体連携部が、乗り場に移動体が移動できていないことを移動体管理装置に対して通知するようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ロボットなどの移動体が乗り場に正しく移動できていないことの通知を受信した移動体管理装置により、移動体の位置を修正するなどの対処を行うため、移動体を乗せるために到着した乗りかごが、移動体が乗車しない状態で長時間待機する状態の発生を防止でき、エレベーターの利用効率の低下を防ぐことができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態例に係る移動体・エレベーター連携システムの全体の例を示す構成図である。
図2】本発明の一実施の形態例に係る移動体・エレベーター連携システムで乗り場でのロボットを検知する例を示す構成図である。
図3】本発明の一実施の形態例に係る移動体・エレベーター連携システムによる処理(例1)を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施の形態例に係る移動体・エレベーター連携システムによる処理(例2)を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施の形態例に係る移動体・エレベーター連携システムによる各サーバとエレベーター制御装置との通信及び動作の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)による移動体・エレベーター連携システム及び移動体・エレベーター連携方法を、添付図面を参照して説明する。
以下の説明では、自律移動する移動体として、ロボットに適用した例を説明する。自律移動可能なロボットは、ビルや倉庫などの建物内で移動するものである。ビルや倉庫などの建物内で移動するロボットとしては、例えば警備ロボット、清掃ロボット、案内ロボット、荷物搬送ロボットなどがある。
【0013】
[ロボット・エレベーター連携システムの構成]
図1は、本例のロボット・エレベーター連携システムの構成を示す。
本例のロボット・エレベーター連携システムは、ロボット・エレベーター連携サーバ100を備える。ロボット・エレベーター連携サーバ100は、自律移動可能なロボット210を管理するロボット管理サーバ200と通信を行い、ロボット管理サーバ200によるロボット210に対するエレベーターへの乗車指令があるとき、その指令を受信する。また、ロボット・エレベーター連携サーバ100は、エレベーター制御装置300と通信を行い、ロボット管理サーバ200からの指令に基づいて、エレベーターの乗りかごを、指示された乗車階に移動させる。
【0014】
まず、ロボット管理サーバ200の構成について説明する。ロボット管理サーバ200は、ビル内に配置されたロボット210と通信回線12(無線通信回線)を介して通信を行い、ロボット210の移動や作業の制御を行う。図1では、ロボット210は1台だけ示されているが、ロボット管理サーバ200は、複数台のロボット210の移動や作業の制御を行うようにしてもよい。また、ロボット管理サーバ200は、ロボット210の用途や種類ごとに複数用意してもよい。例えば、監視ロボット用の管理サーバと清掃ロボット用の管理サーバとを個別に用意してもよい。さらに、ロボット管理サーバ200は、いずれか1台のロボット210に内蔵させてもよい。
【0015】
次に、エレベーター制御装置300の制御で運転が行われるエレベーターの構成について説明する。
図1に示すように、ここでは、A号機のエレベーター310とB号機のエレベーター320の2台のエレベーターが設置されているものとする。2台のエレベーター310,320は、各階で乗り場が隣接して設置されている。すなわち、図1に示すように、A号機のエレベーター310の乗りかご311の乗り場313と、B号機のエレベーター320の乗りかご321の乗り場323とが、各階のエレベーターホールで隣接して配置されている。但し、2台のエレベーター310,320の乗り場313,323が隣接しているのは一例であり、乗り場313と乗り場323は、離れた場所にあってもよい。また、3台以上のエレベーターが設置された構成でもよい。
【0016】
なお、本例のシステムでは、ロボット210は、原則としてA号機のエレベーター310に乗車するように設定されており、B号機のエレベーター320ではロボット210の搬送は行わないものとする。また、ロボット210がエレベーター310に乗車する際には、A号機のエレベーター310はロボット210のみを搬送する専用運転を行い、乗客とロボットとの混在搬送は行わないものとする。但し、乗客案内用ロボットなどの種類によっては、エレベーター310が乗客とロボット210とを同時に搬送してもよい。
【0017】
A号機のエレベーター310の乗りかご311と、B号機のエレベーター320の乗りかご321には、かごドアの近傍に赤外線センサ312,322が配置されている。この赤外線センサ312,322は、乗りかご311,321が停止してかごドア及び乗り場ドアが開になったときに、それぞれの乗り場313,323に人やロボットがいることを検知する処理を行う。
【0018】
図2は、エレベーター310の乗りかご311に設置された赤外線センサ312による、乗り場313において、人やロボットを検知する例を示す。
図2に示すように、乗りかご311のドア311aの上部のかご内には、赤外線センサ312が配置されている。そして、ドア311aがいずれかの階で開いたとき、その階の乗り場313が検知エリアになり、赤外線センサ312は、乗り場313の検知エリア内に人やロボットがいることを検知する。図2では、乗り場313のエリア内にロボット210がいる状態を示す。
【0019】
なお、赤外線センサ312は、人とロボットとを区別しないで、何らかの物体があることの検知だけを行うようにしてもよいが、検知した物体の大きさや形状などから、人が乗り場にいる状態と、ロボットが乗り場にいる状態とを区別して検知するようにしてもよい。また、このような人とロボットとの区別を精度良く行うために、赤外線センサ以外のセンサやカメラを使用してもよい。あるいはまた、赤外線センサ312とカメラを併用してもよい。さらに、乗りかご311のドア311aの上部に赤外線センサ312,322を配置したのも一例であり、その他の位置にセンサ又はカメラを配置してもよい。
【0020】
図2では、A号機のエレベーター310の赤外線センサ312の構成を示すが、B号機のエレベーター320の赤外線センサ322も同様の構成である。
また、図2に示すドア311aは、乗りかご311に配置されたかごドアと、乗り場313に配置された乗り場ドアの2つがあるが、通常運転時には、かごドアと乗り場ドアは連動して開閉するものであるから、以下の説明では、かごドアと乗り場ドアを総称してドアと述べる。ドア開やドア閉と述べた場合にも、かごドアと乗り場ドアの双方が開又は閉になった状態である。
【0021】
図1の説明に戻ると、このようなA号機のエレベーター310及びB号機のエレベーター320は、エレベーター制御装置300により走行(昇降)とドアの開閉が制御される。人がエレベーター310,320を利用する際には、乗り場に設置されたかご呼びボタンや、乗りかご311,321内に配置された操作盤の停止階ボタン(いずれも不図示)などの操作に基づいて、かご呼びや停止階の登録が行われる。
【0022】
一方、ロボット210がエレベーター310,320を利用する際には、ロボット管理サーバ200は、ロボット210が乗車する指令をロボット・エレベーター連携サーバ100に送る。これにより、ロボット・エレベーター連携サーバ100を介してロボット210のためのかご呼びや停止階の登録が行われる。
【0023】
次に、ロボット・エレベーター連携サーバ100の構成について説明する。
ロボット・エレベーター連携サーバ100は、インターネットなどに接続されたサーバとして機能するコンピュータで構成される。このロボット・エレベーター連携サーバ100のハードウェア構成としては、図1の右上に示すように、CPU(Central Processing Unit)111、メモリ112、インターフェース(I/F)113がデータ転送可能に接続され、CPU111がメモリ112に用意されたプログラムの実行で、以下に説明する各処理部が構成される。インターフェース113は、ロボット管理サーバ200やエレベーター制御装置300との通信処理を実行する。
【0024】
ロボット・エレベーター連携サーバ100が行う処理から見た機能的な構成として、ロボット・エレベーター連携サーバ100は、ロボット連携部101(移動体連携部)、エレベーター連携部102、ロボット検知部103(移動体検知部)とを備える。
ロボット連携部101は、通信回線11を介してロボット管理サーバ200と双方向の通信を行う。この通信回線11を介した双方向の通信により、ロボット連携部101は、ロボット管理サーバ200からロボット210のエレベーター乗車に関する指令を受信すると共に、ロボット210のエレベーター乗車に関連した動作指令をロボット管理サーバ200に送信する。これにより、ロボット連携部101は、ロボット連携処理(移動体連携処理)を行う。
【0025】
エレベーター連携部102は、エレベーター制御装置300と接続されて、双方向に通信を行う。ロボット・エレベーター連携サーバ100とエレベーター制御装置300が同じビル内に設置されている場合には、エレベーター連携部102とエレベーター制御装置300は、直接に接続されている。ロボット・エレベーター連携サーバ100がビルの外部に設置されている場合には、エレベーター連携部102とエレベーター制御装置300は、不図示の通信回線を介して接続される。
【0026】
エレベーター連携部102は、ロボット連携部101を介して、ロボット管理サーバ200からロボット210がエレベーターに乗車するための呼び指令などを受信した場合に、エレベーター制御装置300に対してロボット210を乗車させるための指示を行う。ここでは、エレベーター連携部102は、エレベーター制御装置300にA号機のエレベーター310にロボット210を乗車させる指示を行う。これによりエレベーター連携部102は、エレベーター連携処理を行う。
【0027】
ロボット検知部103は、エレベーター310,320に設置された赤外線センサ312,322からの検出データを、エレベーター制御装置300を介して取得する。そして、ロボット検知部103は、エレベーターが停止してドア開になった際の乗り場313,323でロボット210の有無を判断するロボット検知処理(移動体検知処理)を行う。
但し、このロボット検知処理は、ロボット210の可能性のある物体が乗り場313,323にあるか否かの判断であり、正確にロボットを認識する処理でなくてもよい。
【0028】
ロボット検知部103でロボット210を検知したデータは、ロボット連携部101とエレベーター連携部102に供給される。ロボット連携部101とエレベーター連携部102は、ロボット検知部103でロボットを検知したか否かのデータに基づいて、エレベーター310にロボット210を適正に乗車させるための処理を行う。
【0029】
[ロボット乗車時の処理例(例1)]
図3は、本例のロボット・エレベーター連携サーバ100が、エレベーター310にロボット210を乗車させる連携処理の例(例1)を示すフローチャートである。
【0030】
まず、ロボット・エレベーター連携サーバ100のロボット連携部101は、ロボット管理サーバ200からかご呼び指令を受信する(ステップS11)。このかご呼び指令は、現在ロボット210がいる階の乗り場313に、A号機のエレベーター310の乗りかご311を乗車階に呼び寄せるための指令であり、停止階(乗車階)と目的階(降車階)のデータを含む。
【0031】
ロボット連携部101がかご呼び指令を受信すると、エレベーター連携部102は、エレベーター制御装置300に指令を送り、A号機の乗りかご311を呼び登録された階に移動させる(ステップS12)。なお、エレベーター制御装置300がエレベーター連携部102から指令を受信した時点で、A号機の乗りかご311が乗客を搬送中の場合には、エレベーター制御装置300は、全ての乗客が目的階で降車した後、A号機の乗りかご311を呼び登録された階に移動させる。
【0032】
そして、エレベーター制御装置300は、呼び登録された階に停止した乗りかご311のドアを開とした後、そのドア開の状態で待機させる(ステップS13)。
その後、ロボット・エレベーター連携サーバ100のロボット検知部103は、ドア階で待機した乗りかご311の赤外線センサ312の検出データを取得して、現在乗りかご311が停止した階の乗り場313に、ロボット210がいるか否かを判断する(ステップS14)。なお、ここではロボット210がいるか否かを確実に判断できることが好ましいが、このステップS14の判断には、ロボット210に相当する何らかの物体が、乗り場313にいるか否かの判断も含まれる。
【0033】
ステップS14で、ロボット210がいると判断した場合(ステップS14のYES)、ロボット・エレベーター連携サーバ100のロボット検知部103からの指示に基づいて、エレベーター連携部102は、エレベーター制御装置300にドア開を継続させる(ステップS15)。このドア開の継続により、ロボット210が乗りかご311に乗車するために待機する動作が行われる。
さらに、ロボット連携部101は、ロボット管理サーバ200からドア開継続指令を受信し(ステップS16)、このドア開閉指令を受けて、エレベーター連携部102は、エレベーター制御装置300にドア開を継続させる。
【0034】
このドア開が継続している間に、乗り場313のロボット210が乗りかご311に乗車し、乗車完了後にロボット管理サーバ200からのドア開継続指令が停止すると、ドア閉になって、乗りかご311が目的階に出発する(ステップS17)。
その後、目的階に到着してドア開になってから、ロボット210が降車する。
【0035】
ここまでのステップS11~S17の処理は、ロボット210が正しくエレベーター310に乗車できた場合である。
一方、ステップS14で、ロボット210が乗り場313にいないと判断された場合(ステップS14のNO)、ロボット連携部101は、ロボット管理サーバ200に対して、ロボット210が乗り場に移動できていない旨を通報する(ステップS18)。この通報と同時に、エレベーター制御装置300は、乗りかご311をドア閉として、次の指令があるまで待機する。
【0036】
また、ステップS18での通報を受信したロボット管理サーバ200は、該当するロボット210の現在位置の計測を再度実行し、A号機の乗り場313への移動が正しく行われた場合に、ステップS11での呼び指令の送信から繰り返す。
【0037】
[ロボット乗車時の処理例(例2)]
図4は、本例のロボット・エレベーター連携サーバ100が、エレベーター310にロボット210を乗車させる連携処理の例(例2)を示すフローチャートである。
図4のフローチャートにおいて、ステップS11からステップS17までは、図3のフローチャートで説明したロボット210が正しくエレベーター310に乗車できた場合のステップS11からステップS17までの処理と同じである。
【0038】
そして、ステップS14で、ロボット210が乗り場313にいないと判断した場合(ステップS14のNO)、ロボット・エレベーター連携サーバ100のロボット検知部103は、同じ階の別のエレベーター(ここではB号機)の乗り場323に、ロボット210がいるか否かを判断する(ステップS21)。
この判断は、エレベーター320の乗りかご321の赤外線センサ322の検出データに基づいて行われる。あるいは、エレベーターホールなどに設置された監視カメラの映像を使って判断してもよい。
【0039】
ステップS21で、他の乗り場323にロボット210がいると判断したとき(ステップS21のYES)、ロボット連携部101がロボット管理サーバ200に対して、ロボット210が別の乗り場323に誤っていることを通報する(ステップS18)。
このときの通報時には、ロボット連携部101は、ロボット210が別の乗り場323に誤っていることを伝える通知の中に、本来乗車するエレベーターの号機を示す識別子と、現在いる乗り場のエレベーターの号機を示す識別子を付加するようにしてもよい。例えば、本来乗車するA号機の識別コードと、現在いるB号機の識別コードを通報データに付加する。この識別コードには、乗車階などのより詳細なデータを付加してもよい。
また、ロボット連携部101からの号機を示す識別子の通知と同時に、エレベーター連携部102は、エレベーター制御装置300に対して、本来乗車するA号機のドア開を延長する指示を行ってもよい。
【0040】
ステップS22で乗り場が誤っている通報を受信したロボット管理サーバ200は、ロボット210に対して、別の乗り場への移動を指示する(ステップS23)。ここで、号機を示す識別子が付加されていることで、B号機の乗り場323からA号機の乗り場313への移動を指示することができる。
そして、ステップS22でロボット連携部101が通報した後、ロボット検知部103がステップS14の判断に戻る。
【0041】
また、ステップS21で、他の乗り場323にもロボット210がいないと判断されたときには(ステップS21のNO)、ロボット連携部101は、ロボット管理サーバ200に対して、ロボット210が乗り場に移動できていない旨を通報する(ステップS22)。この通報と同時に、エレベーター制御装置300は、乗りかご311をドア閉として、次の指令があるまで待機する。
【0042】
なお、このステップS22では、いずれの乗り場でもロボット210が検知できていない状況であり、ロボット210の移動動作に不具合が発生している可能性がある。したがって、ステップS22での通報時には、ロボット210の移動に不具合が発生しているデータを付加してもよい。
【0043】
なお、ステップS22で、ロボット210が他号機の乗り場に誤って移動している場合には、乗り場を間違えたロボット210に対して移動させるように指示することが考えられる(ステップS23)。これに対して、ステップS22で通報した際に、ロボット210はそのまま間違えた乗り場323で待機させ、間違えた乗り場323の号機(B号機)のエレベーター320に対して、該当する乗り場323の階に移動させてドア開で待機する指示を行うことによりロボット210をB号機の乗りかご321に乗車させるようにしてもよい(ステップS24)。
【0044】
[各サーバとエレベーター制御装置との連携動作]
図5は、ロボット・エレベーター連携サーバ100とロボット管理サーバ200とエレベーター制御装置300との間での指令などの伝送で連携して動作する例を示すシーケンス図である。
ロボット・エレベーター連携サーバ100は、連携サーバと省略して示す。この図5に示す流れは、ロボット210が乗り場を間違えて移動した場合の動作例である。すなわち、ロボット・エレベーター連携サーバ100が、図4のフローチャートのステップS11,S12,S13,S14,S21,S22の順で処理した場合である。
【0045】
まず、ロボット210のエレベーターの乗車を指示するロボット管理サーバ200は、ロボット・エレベーター連携サーバ100に対して、ロボット210がいる階でかご呼び登録を行う(ステップS1)。
このかご呼び登録を受け付けたロボット・エレベーター連携サーバ100は、エレベーター制御装置300に対して、特定号機(A号機)の乗りかご311を、呼び登録された階床に移動させる指示を行う(ステップS2)。そして、乗りかご311が呼び登録された階床に到着すると、エレベーター制御装置300は、ドア開で待機する(ステップS3)。
【0046】
この待機状態で、乗りかご311の赤外線センサ312の検知データをロボット・エレベーター連携サーバ100のロボット検知部103が取得する(ステップS4)。この取得した検知データから、ロボット検知部103は、A号機のエレベーター310の乗り場313に、ロボット210がいないことを判断する。
さらに、続いて別の号機(B号機)の乗りかご311の赤外線センサ312の検知データをロボット・エレベーター連携サーバ100のロボット検知部103が取得し、ロボット210が乗り場323にいると判断する(ステップS5)。
【0047】
このとき、ロボット・エレベーター連携サーバ100は、ロボット管理サーバ200に対して、ロボット210をB号機の乗り場323からA号機の乗り場313に移動させる指示を行う(ステップS6)。この指示に基づいて、ロボット管理サーバ200がA号機の乗り場313にロボット210を移動させることで、図4のフローチャートのステップS15に示すようにA号機のエレベーター310のドア開が継続し、ロボット210はA号機のエレベーター310に乗車することが可能になる。
【0048】
以上説明したように、本例のロボット・エレベーター連携システムによると、ロボット210がエレベーターに乗車する際に、何らかの誤動作があって、本来乗車する号機(A号機)の乗り場に移動できない場合に、その状態が発生していることが直ちに検知される。
したがって、ロボット管理サーバ200に対して、乗り場が誤っていることの指示ができ、正しい乗り場に移動させて、A号機のエレベーターに乗車させることができる。
本例の処理を行わない場合、A号機のエレベーターはドア開でいつまでも乗車があるまで待機すると共に、ロボット210はロボット搬送用に制御が行われていない通常運転のエレベーターに乗車しようとしてしまい、好ましくない状況が発生してしまう。
【0049】
また、別の号機(B号機)の乗り場で、ロボット210を検知した場合に、待機している乗り場が誤っていることをロボット管理サーバ200に通知することで、ロボット管理サーバ200は、ロボット210に対して移動を適切に指示することができる。
この場合、現在いる乗り場に対応したエレベーターの識別子と、本来の乗り場に対応したエレベーターの識別子を通知することで、どこからどこへの移動であるか判り、適切にロボット210の移動を指示することが可能になる。
【0050】
また、いずれの号機の乗り場でもロボット210が検知できない場合、ロボット210が何らかの不具合で移動できない状態が発生している可能性がある。ここで、本例の場合、ロボット210の移動に不具合があることを通知することで、該当するロボット210の点検などで不具合を解消できるようになる。
【0051】
また、B号機の乗り場323でロボット210を検知し、待機している乗り場が誤っていることをロボット管理サーバ200に通知した際には、A号機のエレベーター310にドア開の延長を指示することで、ロボット210がA号機の乗り場313に移動するまでの間、A号機の乗りかご311をドア開で待機させることができる。これにより、ロボット210は、移動してA号機の乗りかご311に良好に乗車することができる。
【0052】
さらに、B号機の乗り場323でロボット210を検知したとき、ロボットが乗車する号機をB号機に切替えて、B号機のエレベーター320の乗りかご321をドア開で待機させることで、B号機の乗り場323でエレベーターに乗車でき、迅速にロボットをエレベーターで搬送できるようになる。
【0053】
[変形例]
なお、ここまで説明した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上述した実施の形態例で説明した構成や処理は、各種変形や変更が可能である。
【0054】
例えば、ロボット検知部103は、ロボット・エレベーター連携サーバ100内に用意したが、例えばエレベーター制御装置300内でロボット検知処理を行って、ロボット・エレベーター連携サーバ100では、ロボットの検知結果を取得するようにしてもよい。
また、ロボット210の検知処理として、エレベーターのかごドアに設置した赤外線センサの出力から検知を行うようにしたが、赤外線センサ以外のセンサや、かご内カメラ、あるいは乗り場の監視カメラなどのその他のセンサ又はカメラの出力を使って検知してもよい。
【0055】
また、ロボット・エレベーター連携サーバ100は、図1に示す構成では、エレベーター制御装置300やロボット管理サーバ200とは別の装置として構成した。これに対して、エレベーター制御装置300又はロボット管理サーバ200に、ロボット・エレベーター連携サーバ100としての機能を内蔵させてもよい。
【0056】
また、上述した実施の形態例では、自律移動可能なロボット210がエレベーターを利用する場合の処理について説明したが、エレベーターに乗車する物体は、自律移動可能な移動体であれば、どのような形態のものでもよい。
【0057】
また、上述した実施の形態例では、ロボット・エレベーター連携サーバ100は、CPU111を使用したコンピュータとして構成したが、その他の演算処理ユニットを使用してもよい。例えば、ロボット・エレベーター連携サーバ100の処理機能の一部又は全部を、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアによって実現してもよい。
なお、ロボット・エレベーター連携サーバ100としてのコンピュータは、図3又は図4などのフローチャートで説明した処理を実行するプログラムを実装する必要があるが、そのプログラムについては、メモリ112に用意する他に、外部のメモリ、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置いて、ロボット・エレベーター連携サーバ100に転送してもよい。
【0058】
また、図1の構成図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。また、図3及び図4に示すフローチャートについても、処理結果が同じであれば、処理順序を変更したり、複数の処理を同時に実行したりしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
11,12…通信回線、100…ロボット・エレベーター連携サーバ、101…ロボット連携部、102…エレベーター連携部、103…ロボット検知部、111…CPU、112…メモリ、113…インターフェース、200…ロボット管理サーバ、210…ロボット、300…エレベーター制御装置、310…エレベーター(A号機)、311a…ドア、312…赤外線センサ、313…乗り場、320…エレベーター(B号機)、322…赤外線センサ、323…乗り場
図1
図2
図3
図4
図5