(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115199
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ヒートインシュレータ
(51)【国際特許分類】
B60R 16/04 20060101AFI20240819BHJP
F16L 59/02 20060101ALI20240819BHJP
H01M 50/24 20210101ALI20240819BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240819BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20240819BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240819BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240819BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20240819BHJP
【FI】
B60R16/04 Y
F16L59/02
H01M50/24
H01M50/249
H01M50/227
H01M10/625
H01M10/613
H01M10/658
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020761
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中島 慎介
(72)【発明者】
【氏名】平井 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】大南 智士
【テーマコード(参考)】
3H036
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3H036AA09
3H036AB18
3H036AB25
3H036AC03
3H036AD09
5H031KK02
5H040AA02
5H040AA03
5H040AA27
5H040AS04
5H040AT02
5H040LL06
(57)【要約】
【課題】対象物に対する本体部の高さ方向の位置決めを行うことができるヒートインシュレータを提供する。
【解決手段】バッテリインシュレータ11は、車両に搭載されるバッテリを周囲の熱から保護する。バッテリインシュレータ11は、バッテリの側面を囲うように装着されるとともに、上端及び下端に開口部20を形成する4つの側壁21を有した四角筒状をなす本体部13を備える。4つの側壁21のうちの2つである第1壁22及び第2壁23のそれぞれの内面の上部には、バッテリの上部に対して上側から係合する第1係合部32及び第2係合部33がそれぞれ設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される対象物を周囲の熱から保護するヒートインシュレータであって、
前記対象物の側面を囲うように装着されるとともに、上端及び下端に開口部を形成する4つの側壁を有した四角筒状をなす本体部を備え、
4つの前記側壁のうち少なくとも1つの前記側壁の内面における上部には、前記対象物の上部に対して上側から係合する係合部が設けられていることを特徴とするヒートインシュレータ。
【請求項2】
4つの前記側壁のうち少なくとも前記係合部が設けられた前記側壁の外面には、断熱材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のヒートインシュレータ。
【請求項3】
前記係合部が設けられた前記側壁の外面における前記係合部と対応する部分には、前記断熱材が設けられない非断熱材領域が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のヒートインシュレータ。
【請求項4】
前記係合部は、4つの前記側壁のうち対向する2つの前記側壁の内面における上部に1つずつ設けられ、
2つの前記係合部は、対向する2つの前記側壁の幅方向における位置が互いにずれていることを特徴とする請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のヒートインシュレータ。
【請求項5】
4つの前記側壁のうち前記係合部が設けられない残りの対向する2つの前記側壁には、前記本体部を向かい合う2つの角部で折ることによって折り畳んだ際に2つの前記係合部が挿入される挿入部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項4に記載のヒートインシュレータ。
【請求項6】
前記対象物は、バッテリであり、
前記本体部には、前記バッテリのバッテリ液の量を視認するための窓が設けられていることを特徴とする請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載のヒートインシュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両のバッテリなどの対象物を囲うことによって周囲の熱から保護するヒートインシュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のヒートインシュレータとして、例えば特許文献1に示す断熱カバーが知られている。こうした断熱カバーは、直方体状のバッテリの外形に合わせた矩形筒状をなしている。そして、断熱カバーは、設置されたバッテリの上方から当該バッテリに被せることにより、当該バッテリの側面を囲うようにして当該バッテリに装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の断熱カバーは、バッテリが載置されたトレイ形状の架台上に下端を突き当てることによって高さ方向の位置決めを行っている。このため、架台上に断熱カバーの下端を突き当てるスペースが無い場合には、断熱カバーの高さ方向の位置決めを行うことができないという問題がある。
【0005】
なお、こうした問題は、バッテリを囲う断熱カバーに限らず、バッテリ以外の車両に搭載される対象物を囲う断熱カバーにおいても概ね共通したものとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するためのヒートインシュレータの各態様を記載する。
[態様1]車両に搭載される対象物を周囲の熱から保護するヒートインシュレータであって、前記対象物の側面を囲うように装着されるとともに、上端及び下端に開口部を形成する4つの側壁を有した四角筒状をなす本体部を備え、4つの前記側壁のうち少なくとも1つの前記側壁の内面における上部には、前記対象物の上部に対して上側から係合する係合部が設けられていることを特徴とするヒートインシュレータ。
【0007】
上記構成によれば、本体部を下端の開口部から対象物に対して上側から被せるように装着することによって対象物の側面を本体部で囲った際に、係合部が対象物の上部に対して上側から係合する。このため、係合部の対象物の上部に対する上側からの係合により、対象物に対する本体部の高さ方向の位置決めを行うことができる。
【0008】
[態様2]4つの前記側壁のうち少なくとも前記係合部が設けられた前記側壁の外面には、断熱材が設けられていることを特徴とする[態様1]に記載のヒートインシュレータ。
【0009】
上記構成によれば、断熱材により、係合部が設けられた側壁の断熱性を向上することができる。加えて、係合部が設けられた側壁を断熱材によって補強できるので、係合部が設けられた側壁の剛性を確保できる。このため、係合部が設けられた側壁が係合部の重さによって曲がることを抑制できる。
【0010】
[態様3]前記係合部が設けられた前記側壁の外面における前記係合部と対応する部分には、前記断熱材が設けられない非断熱材領域が設けられていることを特徴とする[態様2]に記載のヒートインシュレータ。
【0011】
上記構成によれば、係合部を側壁の内面に両面粘着テープによって押し付けて貼り付ける場合に、側壁の外面の非断熱材領域側から治具を当てることができる。このため、両面粘着テープに十分な面圧を付与できるので、係合部を側壁の内面に両面粘着テープによって良好に貼り付けることができる。
【0012】
[態様4]前記係合部は、4つの前記側壁のうち対向する2つの前記側壁の内面における上部に1つずつ設けられ、2つの前記係合部は、対向する2つの前記側壁の幅方向における位置が互いにずれていることを特徴とする[態様1]~[態様3]のうちいずれか一つに記載のヒートインシュレータ。
【0013】
上記構成によれば、本体部を対象物に装着した際に、2つの係合部によって本体部を安定して支持することができる。
[態様5]4つの前記側壁のうち前記係合部が設けられない残りの対向する2つの前記側壁には、前記本体部を向かい合う2つの角部で折ることによって折り畳んだ際に2つの前記係合部が挿入される挿入部がそれぞれ設けられていることを特徴とする[態様4]に記載のヒートインシュレータ。
【0014】
上記構成によれば、本体部を折り畳んだ際に、各係合部が挿入部に挿入される。このため、本体部を折り畳んだ際に、ヒートインシュレータが嵩張ることを抑制できる。
[態様6]前記対象物は、バッテリであり、前記本体部には、前記バッテリのバッテリ液の量を視認するための窓が設けられていることを特徴とする[態様1]~[態様5]のうちいずれか一項に記載のヒートインシュレータ。
【0015】
上記構成によれば、本体部をバッテリに装着した状態でも、外部から窓を通じてバッテリのバッテリ液の量を視認することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、対象物に対する本体部の高さ方向の位置決めを行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態におけるバッテリインシュレータを示す斜視図である。
【
図2】バッテリインシュレータが装着されるバッテリの斜視図である。
【
図5】第1実施形態において、折り畳む前の状態のバッテリインシュレータを示す平面図である。
【
図6】第1実施形態において、折り畳む途中の状態のバッテリインシュレータを示す平面図である。
【
図7】第1実施形態において、折り畳んだ後の状態のバッテリインシュレータを示す平面図である。
【
図8】第2実施形態におけるバッテリインシュレータを示す斜視図である。
【
図11】第2実施形態のバッテリインシュレータを構成する第1ユニットを示す平面図である。
【
図12】第2実施形態のバッテリインシュレータを構成する第2ユニットを示す平面図である。
【
図13】
図11に示す第1ユニットと
図12に示す第2ユニットとを接合して
図10に示す第2実施形態のバッテリインシュレータを形成するときの状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、ヒートインシュレータを車両のバッテリに装着されるバッテリインシュレータに具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
【0019】
<バッテリインシュレータ11>
図1及び
図3に示すように、ヒートインシュレータの一例としてのバッテリインシュレータ11は、車両に搭載される対象物の一例としてのバッテリ12を例えばエンジンなどから発生する周囲の熱から保護するものである。バッテリインシュレータ11は、バッテリ12の側面を囲うように装着される本体部13を備えている。
【0020】
<バッテリ12>
図2及び
図3に示すように、バッテリ12は、略直方体状をなすとともに、支持部材14上に配置される。支持部材14は、バッテリ12の下面の範囲内に収まる大きさに設定されている。バッテリ12の上部に位置する上壁15は、矩形板状をなしている。バッテリ12において、上壁15の周縁部は、上壁15よりも下方の部分の周縁部よりも外側に突出している。すなわち、バッテリ12において、上下方向から見たときの上壁15の大きさは、上下方向から見たときの上壁15よりも下方の部分の大きさよりも一回り大きい。
【0021】
バッテリ12の上壁15における上面16の中央部には、略矩形板状に隆起した隆起部17が形成されている。隆起部17における長手方向で隣合う2つのコーナー部には、L字状の切欠部18が形成されている。バッテリ12の上壁15の上面16における2つの切欠部18の内側の位置には、それぞれ端子19が上方に向かって突出している。
【0022】
<本体部13>
図1及び
図3に示すように、本体部13は、バッテリ12と対応する矩形(四角)筒状をなしている。すなわち、本体部13は、上端及び下端に矩形状の開口部20を形成する4つの側壁21を有した矩形筒状をなしている。本体部13の開口部20は、略直方体状のバッテリ12の側面を囲うことができる程度の大きさ、すなわちバッテリ12よりも一回り大きい大きさに設定されている。
【0023】
本体部13の上下方向の長さは、バッテリ12の上下方向の長さとほぼ同じになるように設定されている。本体部13を構成する4つの側壁21は、全て矩形板状をなしている。本体部13の4つの側壁21は、それぞれ第1壁22、第2壁23、第3壁24、及び第4壁25とされている。4つの側壁21のうちの第1壁22及び第2壁23は、本体部13の短辺方向において互いに対向している。4つの側壁21のうちの第3壁24及び第4壁25は、本体部13の長辺方向において互いに対向している。
【0024】
図4に示すように、各側壁21は、2枚の不織布26間に断熱性を有した板状の基材27を挟んだ構造になっている。基材27は、例えば軟質のウレタンフォームなどによって構成される。基材27は、各側壁21における上端部28及び下端部29以外の部分である中間部30にのみ配置されている。
【0025】
したがって、各側壁21における中間部30は2枚の不織布26間に基材27を挟んだ3層構造になっている一方、各側壁21における上端部28及び下端部29は2枚の不織布26を積層した2層構造になっている。このため、各側壁21において、上端部28及び下端部29は、中間部30に比べて剛性が低くなっている。
【0026】
図1、
図3及び
図4に示すように、第1壁22の中間部30における上部には、バッテリ12のバッテリ液の量を視認するための窓31が第1壁22の幅方向(本体部13の長辺方向)に延びるように形成されている。
【0027】
第1壁22の内面における上部、すなわち第1壁22の上端部28における内面には、バッテリインシュレータ11をバッテリ12に装着した際にバッテリ12の上壁15の上面16に対して上側から係合する係合部の一例としての第1係合部32が設けられている。第1係合部32は、第1壁22の上端部28における内面に、例えば接着剤や両面粘着テープなどによって貼り付けられる。
【0028】
第2壁23の内面における上部、すなわち第2壁23の上端部28における内面には、バッテリインシュレータ11をバッテリ12に装着した際にバッテリ12の上壁15の上面16に対して上側から係合する係合部の一例としての第2係合部33が設けられている。第2係合部33は、第2壁23の上端部28における内面に、例えば接着剤や両面粘着テープなどによって貼り付けられる。
【0029】
第1係合部32及び第2係合部33は、共に第1壁22及び第2壁23の幅方向(本体部13の長辺方向)に延びる直方体状をなしている。第1係合部32及び第2係合部33は、互いに同一の構成になっているとともに、互いに同じ高さ位置に配置されている。第1係合部32及び第2係合部33は、例えば軟質のウレタンフォームなどによって構成される。
【0030】
第1係合部32及び第2係合部33は、第1壁22及び第2壁23の幅方向(本体部13の長辺方向)の位置が互いにずれている。したがって、第1係合部32及び第2係合部33は、本体部13の短辺方向において対向していない。第1係合部32は、第1壁22における第4壁25寄りの位置に配置されている。第2係合部33は、第2壁23における第3壁24寄りの位置に配置されている。
【0031】
係合部が設けられていない第4壁25の上端部28における略中央部には、第1係合部32を挿入可能にした挿入部の一例としての第1切欠凹部34が形成されている。係合部が設けられていない第3壁24の上端部28における略中央部には、第2係合部33を挿入可能にした挿入部の一例としての第2切欠凹部35が形成されている。
【0032】
そして、
図5~
図7に示すように、本体部13を第2壁23と第3壁24との間の角部Aと、第1壁22と第4壁25との間の角部Bとにおいて折ることによって折り畳んだ際には、第1係合部32が第1切欠凹部34に挿入されるとともに、第2係合部33が第2切欠凹部35に挿入される。
【0033】
つまり、第1係合部32、第1切欠凹部34、第2係合部33、第2切欠凹部35は、本体部13を角部A及び角部Bにおいて折ることによって折り畳んだ際に、第1係合部32が第1切欠凹部34に挿入されるとともに第2係合部33が第2切欠凹部35に挿入されるように配置されている。
【0034】
図1に示すように、本体部13の4つの側壁21の外面には、矩形板状の断熱材36が当該外面の大半を覆うようにそれぞれ設けられている。断熱材36は、各側壁21の外面に対して、例えば接着剤や両面粘着テープなどによって貼り付けられる。断熱材36は、例えば軟質のウレタンフォームなどによって構成される。この場合、第1壁22の窓31の部分、第4壁25の第1切欠凹部34の部分、及び第3壁24の第2切欠凹部35の部分には、断熱材36が設けられない。
【0035】
内面に第1係合部32が設けられた第1壁22の外面における第1係合部32と対応する部分には、断熱材36が設けられない非断熱材領域Hが設けられている。内面に第2係合部33が設けられた第2壁23の外面における第2係合部33と対応する部分には、断熱材36が設けられない非断熱材領域Hが設けられている。
【0036】
<バッテリインシュレータ11の作用>
図1~
図3に示すように、バッテリインシュレータ11を支持部材14上に配置されたバッテリ12に装着する場合には、バッテリインシュレータ11を本体部13の下端の開口部20からバッテリ12に対して上側から被せる。すると、第1係合部32及び第2係合部33がバッテリ12の上壁15の上面16に対して上側からそれぞれ係合する。これにより、バッテリインシュレータ11は、バッテリ12の側面を囲うとともにバッテリ12に対する高さ方向(上下方向)の位置決めがなされた状態でバッテリ12に装着される。
【0037】
したがって、バッテリインシュレータ11は、バッテリ12を支持する支持部材14上にバッテリインシュレータ11を当接させて高さ方向の位置決めを行うスペースが無い場合でも、バッテリ12に対して直接高さ方向の位置決めをした状態で装着できる。
【0038】
なお、バッテリインシュレータ11をバッテリ12に対して装着する際には、断熱材36が周辺部品と干渉する場合がある。こうした場合には、断熱材36における上記周辺部品と干渉する部分を削ることで、断熱材36と上記周辺部品との干渉を容易に解消できる。
【0039】
また、バッテリインシュレータ11は、例えば大量に輸送するときや倉庫などに大量に保管するときには、次のようにして折り畳むことができる。
図5に示す平面視で矩形筒状のバッテリインシュレータ11を折り畳む場合には、まず、本体部13を角部A及び角部Bにおいて内側に折る。すると、バッテリインシュレータ11は、
図6に示すように、平面視で平行四辺形の筒状をなすようになる。さらに、本体部13を角部A及び角部Bにおいて内側に折ると、
図7に示すように、第1係合部32が第1切欠凹部34に挿入されるとともに第2係合部33が第2切欠凹部35に挿入される。
【0040】
このため、本体部13を角部A及び角部Bにおいて内側に限界まで折ることができる。すなわち、バッテリインシュレータ11は、
図7に示すように、略平板状となるまで完全に折り畳むことができる。したがって、完全に折り畳まれた状態のバッテリインシュレータ11は、嵩張らないので、輸送効率や倉庫などでの保管効率が向上する。
【0041】
<第1実施形態の効果>
以上詳述した第1実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1-1)バッテリインシュレータ11は、バッテリ12の側面を囲うように装着されるとともに、上端及び下端に開口部20を形成する4つの側壁21を有した四角筒状をなす本体部13を備える。4つの側壁21のうち対向する2つの側壁21である第1壁22及び第2壁23の内面における上部には、バッテリ12の上壁15の上面16に対して上側から係合する第1係合部32及び第2係合部33が設けられている。
【0042】
上記構成によれば、本体部13を下端の開口部20からバッテリ12に対して上側から被せるように装着することによってバッテリ12の側面を本体部13で囲った際に、第1係合部32及び第2係合部33がバッテリ12の上壁15の上面16に対して上側から係合する。このため、第1係合部32及び第2係合部33のバッテリ12の上壁15の上面16に対する上側からの係合により、バッテリ12に対する本体部13(バッテリインシュレータ11)の高さ方向(上下方向)の位置決めを行うことができる。
【0043】
(1-2)バッテリインシュレータ11において、4つの側壁21の外面には、断熱材36が設けられている。
上記構成によれば、断熱材36により、各側壁21の断熱性を向上することができる。加えて、各側壁21を断熱材36によって補強できるので、各側壁21の特に中間部30よりも剛性の低い上端部28及び下端部29の剛性を確保できる。このため、第1係合部32及び第2係合部33がそれぞれ上端部28の内面に設けられた第1壁22及び第2壁23がそれぞれ第1係合部32及び第2係合部33の重さによって曲がることを抑制できる。
【0044】
(1-3)バッテリインシュレータ11において、第1係合部32及び第2係合部33がそれぞれ内面に設けられた第1壁22及び第2壁23のそれぞれの外面における第1係合部32及び第2係合部33と対応する部分には、断熱材36が設けられない非断熱材領域Hが設けられている。
【0045】
上記構成によれば、第1係合部32及び第2係合部33を第1壁22及び第2壁23の内面にそれぞれ両面粘着テープによって押し付けて貼り付ける場合に、第1壁22及び第2壁23のそれぞれの外面の非断熱材領域H側から治具を当てることができる。このため、両面粘着テープに十分な面圧を付与できるので、第1係合部32及び第2係合部33を第1壁22及び第2壁23の内面にそれぞれ両面粘着テープによって良好に貼り付けることができる。
【0046】
(1-4)バッテリインシュレータ11において、第1係合部32及び第2係合部33は、第1壁22及び第2壁23の幅方向における位置が互いにずれている。
上記構成によれば、本体部13をバッテリ12に装着した際に、第1係合部32及び第2係合部33によって本体部13をバランスよく安定して支持することができる。
【0047】
(1-5)バッテリインシュレータ11において、4つの側壁21のうち対向する2つの側壁21である第4壁25及び第3壁24には、本体部13を向かい合う2つの角部A,Bで折ることによって折り畳んだ際に第1係合部32及び第2係合部33が挿入される第1切欠凹部34及び第2切欠凹部35がそれぞれ設けられている。
【0048】
上記構成によれば、本体部13を折り畳んだ際に、第1係合部32及び第2係合部33が第1切欠凹部34及び第2切欠凹部35にそれぞれ挿入される。このため、本体部13を折り畳んだ際に、バッテリインシュレータ11が嵩張ることを抑制できる。
【0049】
(1-6)バッテリインシュレータ11において、本体部13には、バッテリ12のバッテリ液の量を視認するための窓31が設けられている。
上記構成によれば、本体部13をバッテリ12に装着した状態でも、外部から窓31を通じてバッテリ12のバッテリ液の量を視認することができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、ヒートインシュレータを車両のバッテリを収容するバッテリインシュレータに具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。第2実施形態は、上記第1実施形態におけるバッテリインシュレータ11を
図8に示すバッテリインシュレータ41に変更したものである。したがって、この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なる点のみを説明し、第1実施形態と重複する説明を省略する。また、この第2実施形態では、第1実施形態と同一の部材については同一の符号を付すものとする。
【0051】
<バッテリインシュレータ41>
図8~
図10に示すように、ヒートインシュレータの一例としてのバッテリインシュレータ41は、車両に搭載される対象物の一例としてのバッテリ12を例えばエンジンなどから発生する周囲の熱から保護するものである。バッテリインシュレータ41は、樹脂成形品である。バッテリインシュレータ41は、バッテリ12の側面を囲うように装着される本体部42を備えている。
【0052】
<本体部42>
図8~
図10に示すように、本体部42は、バッテリ12と対応する略矩形(四角)筒状をなしている。すなわち、本体部42は、上端及び下端に矩形状の開口部43を形成する4つの側壁44を有した矩形筒状をなしている。本体部42の開口部43は、略直方体状のバッテリ12の側面を囲うことができる程度の大きさ、すなわちバッテリ12よりも一回り大きい大きさに設定されている。
【0053】
本体部42の上下方向の長さは、バッテリ12の上下方向の長さとほぼ同じになるように設定されている。本体部42を構成する4つの側壁44は、全て略矩形板状をなしている。本体部42の4つの側壁44は、それぞれ第1壁45、第2壁46、第3壁47、及び第4壁48とされている。4つの側壁44のうちの第1壁45及び第2壁46は、本体部42の短辺方向において互いに対向している。4つの側壁44のうちの第3壁47及び第4壁48は、本体部42の長辺方向において互いに対向している。
【0054】
第2壁46は、第1壁45、第3壁47、及び第4壁48よりも高さが若干高くなっている。第1壁45、第3壁47、及び第4壁48は、互いに高さが同じになっている。第3壁47及び第4壁48のそれぞれの第2壁46側の端部の高さは、第2壁46と同じになっている。したがって、第3壁47及び第4壁48のそれぞれの上端部において、第2壁46側の端部と当該端部以外の部分との間には、段差49が形成される。
【0055】
第2壁46の内面における上端部(上部)には、バッテリインシュレータ41をバッテリ12に装着した際にバッテリ12の上壁15の上面16に対して上側から係合する係合部の一例としての第3係合部50が設けられている。第3係合部50は、第2壁46の幅方向(本体部42の長辺方向)のほぼ全体にわたって延びる直方体状をなしている。第3係合部50は、例えば軟質のウレタンフォームなどによって構成される。
【0056】
第2壁46の内面には、略矩形板状の断熱材51が当該内面の大半を覆うように設けられている。断熱材51は、例えば軟質のウレタンフォームなどによって構成されるとともに、第3係合部50と一体に形成されている。第2壁46の内面と直交する方向における断熱材51の厚さは、第2壁46の内面と直交する方向における第3係合部50の長さよりも薄くなっている。第2壁46の内面と直交する方向において、第3係合部50の先端は、段差49よりも第2壁46の内面側に位置している。
【0057】
第1壁45、第3壁47、及び第4壁48の外面には、略矩形板状の断熱材52が当該外面の大半を覆うようにそれぞれ設けられている。断熱材52は、例えば軟質のウレタンフォームなどによって構成されるとともに、断熱材51よりも若干厚さが厚くなっている。断熱材52は、第2壁46の内面と直交する方向における第3係合部50の長さよりも薄くなっている。
【0058】
<バッテリインシュレータ41の製造方法>
図11に示すように、バッテリインシュレータ41を製造する場合には、まず、第1ユニット53を金型(図示略)で成型する。第1ユニット53は、直線状をなすように一体に形成された第1壁45、第3壁47、及び第4壁48の一方の面にそれぞれ対応する形状の3つの断熱材52を一体に形成したものである。
【0059】
続いて、
図12に示すように、第2ユニット54を金型(図示略)で成型する。第2ユニット54は、第2壁46の一方の面に第3係合部50及び断熱材51を一体に形成したものである。続いて、
図11及び
図13に示すように、第1ユニット53を、第1壁45と第3壁47との境界位置K1、及び、第1壁45と第4壁48との境界位置K2で、各断熱材52が外側になるように、直角に折り曲げる。
【0060】
続いて、
図13に示すように、第2ユニット54の第3係合部50及び断熱材51を、第1ユニット53における第3壁47と第4壁48との間に挿入する。その後、第2ユニット54の第2壁46の両端部を、第1ユニット53における第3壁47の境界位置K1側とは反対側の端部及び第4壁48の境界位置K2側とは反対側の端部に、それぞれ例えば溶着などによって接合する。これにより、
図10に示すバッテリインシュレータ41が製造される。
【0061】
<バッテリインシュレータ41の作用>
図8及び
図9に示すように、バッテリインシュレータ41を支持部材14上に配置されたバッテリ12に装着する場合には、バッテリインシュレータ41を本体部42の下端の開口部43からバッテリ12に対して上側から被せる。すると、第3係合部50がバッテリ12の上壁15の上面16に対して上側から係合する。これにより、バッテリインシュレータ41は、バッテリ12の側面を囲うとともにバッテリ12に対する高さ方向(上下方向)の位置決めがなされた状態でバッテリ12に装着される。
【0062】
したがって、バッテリインシュレータ41は、バッテリ12を支持する支持部材14上にバッテリインシュレータ41を当接させて高さ方向の位置決めを行うスペースが無い場合でも、バッテリ12に対して直接高さ方向の位置決めをした状態で装着できる。
【0063】
また、バッテリインシュレータ41をバッテリ12に対して装着する際には、断熱材52が周辺部品と干渉する場合がある。こうした場合には、断熱材52における上記周辺部品と干渉する部分を削ることで、断熱材52と上記周辺部品との干渉を容易に解消できる。
【0064】
<第2実施形態の効果>
以上詳述した第2実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(2-1)バッテリインシュレータ41は、バッテリ12の側面を囲うように装着されるとともに、上端及び下端に開口部43を形成する4つの側壁44を有した四角筒状をなす本体部42を備える。4つの側壁44のうちの1つの側壁44である第2壁46の内面における上部には、バッテリ12の上壁15の上面16に対して上側から係合する1つの第3係合部50が設けられている。
【0065】
上記構成によれば、本体部42を下端の開口部43からバッテリ12に対して上側から被せるように装着することによってバッテリ12の側面を本体部42で囲った際に、第3係合部50がバッテリ12の上壁15の上面16に対して上側から係合する。このため、第3係合部50のバッテリ12の上壁15の上面16に対する上側からの係合により、バッテリ12に対する本体部42(バッテリインシュレータ41)の高さ方向(上下方向)の位置決めを行うことができる。すなわち、バッテリインシュレータ41は、1つの第3係合部50だけでバッテリ12に対する高さ方向(上下方向)の位置決めを行うことができる。
【0066】
(2-2)バッテリインシュレータ41は、4つの側壁44の外面のうちの3つの外面に断熱材52を備えている。
上記構成によれば、バッテリインシュレータ41をバッテリ12に対して装着する際に断熱材52が周辺部品と干渉した場合に、断熱材52における上記周辺部品と干渉する部分を容易に削ることができる。このため、断熱材52と上記周辺部品との干渉を容易に解消できる。
【0067】
(2-3)バッテリインシュレータ41は、樹脂成形品であって第2壁46(44)の内面に第3係合部50及び断熱材51が一体に形成されてなる第2ユニット54と、樹脂成形品であって直線状をなすように一体に形成された第1壁45(44)、第3壁47(44)、及び第4壁48(44)の外面にそれぞれ3つの断熱材52が一体に形成されてなる第1ユニット53とを別々に成型した後、第2ユニット54とU字状に折り曲げた状態の第1ユニット53とを接合することによって製造される。このため、バッテリインシュレータ41は、側壁44の片面側にしか断熱材51,52等を成型することができない金型を用いても、容易に製造することができる。
【0068】
<変更例>
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
・係合部の形状は、直方体状に限らず、適宜変更してもよい。
・係合部は、1つの側壁21,44に複数設けるようにしてもよい。
・第1係合部32及び第2係合部33を側壁21の内面に接着剤によって貼り付ける場合には、非断熱材領域Hは省略してもよい。すなわちこの場合、側壁21の外面における第1係合部32及び第2係合部33とそれぞれ対応する位置に、断熱材36を設けてもよい。
【0070】
・4つの側壁21の外面にそれぞれ設けられる断熱材36のうち少なくとも一つを省略してもよい。
・4つの側壁44の内面または外面にそれぞれ設けられる断熱材51,52のうち少なくとも一つを省略してもよい。
【0071】
・第1係合部32及び第2係合部33は、必ずしも第1壁22及び第2壁23の幅方向における位置が互いにずれている必要はない。
・係合部は、4つの側壁21のうち、三つだけに設けるようにしてもよいし、全てに設けるようにしてもよい。
【0072】
・第1係合部32及び第2係合部33のうちいずれか一方を省略してもよい。
・第1切欠凹部34及び第2切欠凹部35は、省略してもよい。
・各側壁21における基材27は、中間部30だけでなく上端部28及び下端部29にも配置してもよい。この場合、第1係合部32及び第2係合部33は、第1壁22の上端部28の内面及び第2壁23の上端部28の内面に対してそれぞれ接着剤によって貼り付けることが好ましい。
【0073】
・第1切欠凹部34及び第2切欠凹部35は、挿入部として、本体部13を角部A,Bで折ることによって折り畳んだ際に第1係合部32及び第2係合部33がそれぞれ挿入される貫通孔に変更してもよい。
【0074】
・本体部13は、例えばプラスチックダンボールなどによって構成してもよい。
・対象物は、バッテリ12以外の車両に搭載される断熱が必要な部品であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
11,41…ヒートインシュレータの一例としてのバッテリインシュレータ
12…対象物の一例としてのバッテリ
13,42…本体部
14…支持部材
15…上壁
16…上面
17…隆起部
18…切欠部
19…端子
20,43…開口部
21,44…側壁
22,45…第1壁
23,46…第2壁
24,47…第3壁
25,48…第4壁
26…不織布
27…基材
28…上端部
29…下端部
30…中間部
31…窓
32…係合部の一例としての第1係合部
33…係合部の一例としての第2係合部
34…挿入部の一例としての第1切欠凹部
35…挿入部の一例としての第2切欠凹部
36,51,52…断熱材
49…段差
50…係合部の一例としての第3係合部
53…第1ユニット
54…第2ユニット
A,B…角部
H…非断熱材領域
K1,K2…境界位置