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  • 特開-ペット用玩具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011520
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ペット用玩具
(51)【国際特許分類】
   A01K 15/02 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A01K15/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113555
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】510111124
【氏名又は名称】株式会社トーエートレーディング
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(72)【発明者】
【氏名】淵本 英樹
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 正顕
(57)【要約】
【課題】遊び中に興奮したペットによって前腕が噛まれた場合であっても、怪我をしにくいペット用玩具を提供する。
【解決手段】パペット型のペット用玩具10は、動物又はキャラクターなどの頭を模した頭模擬部11aを有し、使用者5の手5aが内側に入れられるパペット本体部11と、パペット本体部11に連続して設けられ、使用者5の前腕5bが内側に入れられる前腕用筒状部12とを備え、パペット本体部11では、使用者5の一部の指を入れるための第1指挿入部31と、使用者5の残りの指を入るための第2指挿入部32とが付け根23で互いに接続され、ペット用玩具10を側方から見た場合に、付け根23から、前腕用筒状部12の入口までの長さが、22cm以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パペット型のペット用玩具であって、
動物又はキャラクターなどの頭を模した頭模擬部を有し、使用者の手が内側に入れられるパペット本体部と、
前記パペット本体部に連続して設けられ、使用者の前腕が内側に入れられる前腕用筒状部とを備え、
前記パペット本体部では、使用者の一部の指を入れるための第1指挿入部と、使用者の残りの指を入るための第2指挿入部とが付け根で互いに接続され、
当該ペット用玩具を側方から見た場合に、前記付け根から、前記前腕用筒状部の入口までの長さが、22cm以上である、ペット用玩具。
【請求項2】
前記前腕用筒状部では、前記パペット本体部側の前側筒状部分における外皮部と内皮部との間に、ペットに噛まれた場合に効果音が生じる音発生シートが設けられ、
前記前腕用筒状部における入口側の後ろ側筒状部分では、当該ペット用玩具を側方から見た場合に、前記音発生シートを設けていない範囲が、後ろ端から前側に向かって少なくとも3cm以上ある、請求項1に記載のペット用玩具。
【請求項3】
前記パペット本体部に対し前記付け根の後ろ側を通るように取り付けられた輪状の部材であって、前記付け根側から前記パペット本体部の先端側に向かって、前記第1指挿入部と前記第2指挿入部と間に設けられた輪状ロープをさらに備えている、請求項1又は2に記載のペット用玩具。
【請求項4】
前記パペット本体部の口部内に、ポケットが設けられている、請求項1又は2に記載のペット用玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パペット型のペット用玩具等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばペットとして犬を飼う場合に、飼い主が犬と一緒に遊びながら、遊びのルールを教えることは、飼い主と犬のコミュニケーションの面だけでなく、しつけの面からも有効である。その際、ペット用玩具を用いて遊ぶことで、ペット用玩具は甘噛みしてよいが、飼い主の手足や衣服は甘噛みしてはいけないといったこと等を犬に教えることができる。
【0003】
ここで、パペット型のペット用玩具が知られている。非特許文献1には、動物を模したパペット型のペット用玩具が記載されている。このペット用玩具は、動物の頭部を模した部分に連続して筒状部が設けられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「ボンビアルコン オンラインショップ」の“アニマルミトン HAPPYZOO”の販売サイト[online],株式会社ボンビアルコン,[令和4年7月14日検索],インターネット<URL:https://bonbi-pets.jp/products/detail/988>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のパペット型のペット用玩具は、筒状部の長さが短く、筒状部に覆われるのは、使用者の手首付近までである。そのため、遊び中にペットが興奮した場合などに、前腕のうち筒状部によって覆われていない箇所を噛まれて怪我をする虞がある。特に小さな子供は、ペットに噛まれた場合に怪我をしやすく、また怪我をした場合にそのことがトラウマとなる虞もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、遊び中に興奮したペットによって前腕が噛まれた場合であっても、怪我をしにくいペット用玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、パペット型のペット用玩具であって、動物又はキャラクターなどの頭を模した頭模擬部を有し、使用者の手が内側に入れられるパペット本体部と、パペット本体部に連続して設けられ、使用者の前腕が内側に入れられる前腕用筒状部とを備え、パペット本体部では、使用者の一部の指を入れるための第1指挿入部と、使用者の残りの指を入るための第2指挿入部とが付け根で互いに接続され、当該ペット用玩具を側方から見た場合に、付け根から、前腕用筒状部の入口までの長さが、22cm以上である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前腕用筒状部では、パペット本体部側の前側筒状部分における外皮部と内皮部との間に、ペットに噛まれた場合に効果音が生じる音発生シートが設けられ、前腕用筒状部における入口側の後ろ側筒状部分では、当該ペット用玩具を側方から見た場合に、音発生シートを設けていない範囲が、後ろ端から前側に向かって少なくとも3cm以上ある。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、パペット本体部に対し付け根の後ろ側を通るように取り付けられた輪状の部材であって、付け根側からパペット本体部の先端側に向かって、第1指挿入部と第2指挿入部と間に設けられた輪状ロープをさらに備えている。
【0010】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、パペット本体部の口部内に、ポケットが設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパペット本体部では、ペット用玩具を側方から見た場合に、第1指挿入部と第2指挿入部が接続された付け根から、前腕用筒状部の入口までの長さが、22cm以上 である。ここで、12歳の子供の平均的な体形の場合、手における親指と人差し指の付け根から肘までの長さが25cmほどである。そのため、ペット用玩具における第1指挿入部と第2指挿入部を手によって開閉できるように、使用者がペット用玩具に手及び前腕を入れた場合に、その使用者が小さな子供であれば、前腕は、前腕用筒状部によって肘付近まで少なくとも覆われる。従って、遊び中に興奮したペットによって前腕が噛まれた場合に、噛まれた箇所が、前腕用筒状部によって覆われていない虞を減らすことができる。本発明によれば、遊び中に興奮したペットによって前腕が噛まれた場合であっても、怪我をしにくいペット用玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係るペット用玩具を前側斜め上方から見た斜視図である。
図2図2は、ペット用玩具に対して小さな子供(使用者)が手及び前腕を入れた状態を側方から見た図である。
図3図3(a)は、図2のA-A位置での断面(口部の断面)を模式的に記載した図であり、図3(b)は、図2のB-B位置での断面(前腕用筒状部の前側筒状部分の断面)を模式的に記載した図であり、図3(c)は、図2のC-C位置での断面(前腕用筒状部の入口側の断面)を模式的に記載した図である。
図4図4は、実施形態の変形例に係るペット用玩具について、口を開けた状態を正面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0014】
本実施形態は、動物(図1等では、ワニ)を模したパペット型のペット用玩具10である。ペット用玩具10は、ワニ以外に、馬、牛、ダックスフント、カモノハシ、サメなど様々な動物、又は、アニメ等のキャラクターを模したものとすることができる。ペット用玩具10は、主に犬用の玩具である。
【0015】
ペット用玩具10は、図1及び図2に示すように、使用者5の手5aが内側に入れられて手5aにより開閉されるパペット本体部11と、パペット本体部11に連続して設けられて使用者5の前腕5bが内側に入れられる前腕用筒状部12と、パペット本体部11に取り付けられて輪状に形成された輪状ロープ13とを備えている。以下では、図2に示すように、ペット用玩具10を側面から見た場合において、パペット本体部11側を「前側(図2では左側)」、前腕用筒状部12側を「後ろ側(図2では右側)」と言う。
【0016】
ペット用玩具10では、使用者5の手5aの入口10aが前腕用筒状部12の後ろ端に設けられ、入口10aから前側に向かって、使用者5の手5a及び前腕5bを入れる挿入穴10bが形成されている。挿入穴10bは、パペット本体部11の途中まで延び、後述する口部22の付け根23で上下に分岐している。
【0017】
ペット用玩具10の各パーツについて具体的に説明する。パペット本体部11は、動物又はキャラクターなどの頭を模した頭模擬部11aを有する。本実施形態では、パペット本体部11の全体が、頭模擬部11aとなっている。パペット本体部11は、前腕用筒状部12側に位置する頭本体21と、頭本体21から前側に延びる口部22とを備えている。なお、符号の記載は省略するが、頭本体21には目及び耳が設けられ、口部22には鼻及び牙が設けられている。図3(a)では牙の記載は省略している。
【0018】
口部22は、使用者5の人差し指から小指の4指5cを内側に入れるための第1指挿入部31と、使用者5の親指5dを内側に入るための第2指挿入部32とを有する。第1指挿入部31と第2指挿入部32とは、口部22の付け根(口角)23で、互いに接続されている。口部22は、使用者5の手5aの動きにより、付け根23を支点に、第1指挿入部31と第2指挿入部32を開閉させることができる。
【0019】
なお、第1指挿入部31は、口部22の上側部分の先端から付け根23まで部分を指し、口部22の上顎に相当する。第2指挿入部32は、口部22の下側部分の先端から付け根23まで部分を指し、口部22の下顎に相当する。第2指挿入部32の先端部には、ペット(犬など)が噛むと、高い音(例えば、鳥の鳴き声のような音)が鳴る笛が埋設されている。
【0020】
図3(a)に示すように、口部22の横断面視において、第1指挿入部31は、第2指挿入部32よりも一回り大きく形成されている。第1指挿入部31と第2指挿入部32では厚みが互いに異なるため、ペットは、異なる噛み心地を楽しむことができる。また、本実施形態では、手や鼻も厚みが互いに異なるため、ペットは、異なる噛み心地を楽しむことができる。
【0021】
第1指挿入部31及び第2指挿入部32は、図3(a)に示す断面視において、布材(例えば起毛素材)により構成された外皮部35と、外皮部35とは同じ又は異なる素材の布材により構成された内皮部36とが互いに接続されて輪状に形成されている。外皮部35は、口部22だけでなく、図1に示すように、頭本体21の外面も構成している。第1指挿入部31では、外皮部35及び内皮部36による輪状部分の内面に沿って、ペット(犬など)に噛まれた場合に効果音(例えば、カシャカシャ音)が生じる音発生シート37が設けられ、音発生シート37の内側に綿材38が詰め込まれている。音発生シート37の材料には、例えば、紙製シート、ビニールシートなどを用いることができる。
【0022】
前腕用筒状部12は、パペット本体部11の後ろ端から、後ろ側に延びる筒状部分である。本実施形態では、前腕用筒状部12が、動物の胴部を模しており、手又は足(符号は省略)が設けられている。前腕用筒状部12は、パペット本体部11の後ろ端に対し、縫製部15により接続されている。縫製部15は、パペット本体部11と前腕用筒状部12の境界部となっている。前腕用筒状部12は、前後方向に亘って、外径及び内径が概ね一定である。また、前腕用筒状部12には、非伸縮性の材料が用いられているため、使用者5の前腕5bに密着しにくく、ペットに甘噛みされても前腕5bに力が伝わりにくい。
【0023】
図3(b)に示すように、前腕用筒状部12の断面は、布材(例えば起毛素材)により輪状に形成された外皮部45と、外皮部45とは同じ又は異なる素材の布材により輪状に形成された内皮部46とを有する。また、前腕用筒状部12では、外皮部45と内皮部46との間に、ペットに噛まれた場合に効果音(例えば、カシャカシャ音)が生じる輪状の音発生シート37が設けられている。
【0024】
輪状ロープ13は、複数の紐材を所定の方法で組み上げたロープである。輪状ロープ13は、パペット本体部11に対し付け根23の後ろ側(内側)を通るように取り付けられている。図2では、輪状ロープ13のうち付け根23の後ろ側を通る部分にハッチングを付けている。また、輪状ロープ13は、舌を模したものとなるように、付け根23側からパペット本体部11の先端側に向かって、第1指挿入部31と第2指挿入部32と間に設けられている。輪状ロープ13は、断面視において縦方向の寸法が横方向の寸法よりも大きくなっている。そのため、ペットは、縦と横で異なる噛み心地を楽しむことができる。
【0025】
[実施形態の効果等]
本実施形態では、ペット用玩具10を側方(真横)から見た場合に、付け根23から、前腕用筒状部12の入口10aまでの長さX1が、22cm以上(好ましくは25cm以上、さらに好ましくは28cm以上)である。本実施形態では、長さX1は30cmである。そのため、ペット用玩具10における第1指挿入部31と第2指挿入部32を手5aによって開閉できるように、使用者5がペット用玩具10に手5a及び前腕5bを入れた場合(この場合、手5aの指5c,5dの先端は付け根23よりも前側に位置する)に、使用者5が小さな子供(例えば12歳までの子供)であれば、図2に示すように、前腕5bは、前腕用筒状部12によって肘付近まで少なくとも覆われる。従って、遊び中に興奮したペットによって前腕5bが噛まれた場合に、噛まれた箇所が、前腕用筒状部12によって覆われていない虞を減らすことができる。本実施形態によれば、小さな子供であっても安全にペットと遊ぶことができるペット用玩具10を提供することができる。なお、本実施形態では、前腕用筒状部12の長さX2が、10cm以上(好ましくは13cm以上、さらに好ましくは18cm以上)である。
【0026】
長さX1は、ペット用玩具10を側方(真横)から見た場合に、図2に示すように、付け根23(図2図4参照)から、前腕用筒状部12の入口10aにおける高さ方向の中心までの長さである。長さX2は、前腕用筒状部12を真上から見た場合の幅方向の中心位置(縫製部16の位置)での長さである。
【0027】
本実施形態の前腕用筒状部12では、パペット本体部11側の前側筒状部分における外皮部45と内皮部46との間に、ペットに噛まれた場合に効果音が生じる音発生シート37が設けられている。そのため、ペットが前腕用筒状部12の前側部分を甘噛みした場合は、カシャカシャ音を楽しむことができる。一方で、前腕用筒状部12における入口10a側の後ろ側筒状部分では、ペット用玩具10を側方(真横)から見た場合に、音発生シート37を設けていない範囲(図2においてハッチングを付した範囲)の長さYが、後ろ端から前側に向かって少なくとも3cm以上(好ましくは5cm以上)ある(図3(c)参照)。そのため、使用者5の前腕5bで前腕用筒状部12によって覆われていない部分の近くにある範囲(ハッチングの範囲)をペットが甘噛みしても、カシャカシャ音はしない。従って、ペットがカシャカシャ音に興奮して使用者5を直接甘噛みすることを抑制することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、範囲の長さYを8cmとしており、前腕用筒状部12では範囲以外の部分に音発生シート37を設けている。また、範囲の長さYは、前腕用筒状部12を真上から見た場合の幅方向の中心位置での長さであり、本実施形態ではこの中心位置に縫製部16(図1参照)が前後方向に亘って設けられている。
【0029】
本実施形態では、使用者5は、図2に示すように、パペット本体部11の内側から輪状ロープ13を掴むことができる。そのため、ペットと輪状ロープ13の引っ張りっこ遊びをしやすく、ペットとコミュニケーションをより楽しむことができる。
【0030】
本実施形態では、パペット本体部11を正面側から見た場合に、口部22の面積が小さくなるように設計されている。そのため、口部22を開けた場合にペットが感じる威圧感を軽減することができる。
【0031】
[実施形態の変形例]
本変形例では、ペット用玩具10の口部22内に、ポケット40が設けられている。図4に示すように、ポケット40は、舌部41の上面の先端側に設けることができる。ポケット40には、口部22の付け根23側から、矢印の向きに物を入れることができるように開口40aが設けられている。本変形例では、ペットが喜ぶ物品(例えば、おやつ)を口部22のポケット40に隠すことができるため、ペットは遊ぶ時に夢中になる。
【0032】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、前腕用筒状部12における外皮部45と内皮部46との間に、範囲Yを設けずに、全長に亘って音発生シート37を設けてもよい。
【0033】
上述の実施形態において、輪状ロープ13について輪状とせずに、輪状ロープ13の両端を口部22の付け根23の左右に接合してもよい。また、輪状ロープ13を省略してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、パペット型のペット用玩具等に適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
5 使用者
5b 前腕
10 ペット用玩具
11 パペット本体部
11a 頭模擬部
12 前腕用筒状部
21 頭本体
22 口部
23 付け根部
31 第1指挿入部
32 第2指挿入部
図1
図2
図3
図4