IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 高砂熱学工業株式会社の特許一覧

特開2024-115204空調システム及び空調システムの改修方法
<>
  • 特開-空調システム及び空調システムの改修方法 図1
  • 特開-空調システム及び空調システムの改修方法 図2
  • 特開-空調システム及び空調システムの改修方法 図3
  • 特開-空調システム及び空調システムの改修方法 図4
  • 特開-空調システム及び空調システムの改修方法 図5
  • 特開-空調システム及び空調システムの改修方法 図6
  • 特開-空調システム及び空調システムの改修方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115204
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】空調システム及び空調システムの改修方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240819BHJP
   F24F 3/06 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F24F3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020771
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 正章
(72)【発明者】
【氏名】石井 秀一
(72)【発明者】
【氏名】常田 千夏子
(57)【要約】
【課題】少なくとも外調機と水熱源ヒートポンプとを備え、外調機と水熱源ヒートポンプとを同じ冷温水配管系を用いて冷暖房運転が可能な空調システムを提供する。
【解決手段】空調対象空間の空調を行うための空調システムであって、冷水を生成する冷水生成手段と、空調対象空間に供給するための外気を処理する外調機と、圧縮機による冷媒の圧縮と膨張弁による前記冷媒の膨張とを交互に実行して冷凍サイクルを構成する水熱源ヒートポンプと、を備え、前記冷水生成手段からの冷水を、前記外調機において外気と熱交換した後、熱源水として前記水熱源ヒートポンプの前記圧縮機に供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象空間の空調を行うための空調システムであって、
冷水を生成する冷水生成手段と、
空調対象空間に供給するための外気を処理する外調機と、
圧縮機による冷媒の圧縮と膨張弁による前記冷媒の膨張とを交互に実行して冷凍サイクルを構成する水熱源ヒートポンプと、を備え、
前記冷水生成手段からの冷水を、前記外調機において外気と熱交換した後、熱源水として前記水熱源ヒートポンプの前記圧縮機に供給することを特徴とする、空調システム。
【請求項2】
前記外調機から前記圧縮機に向けて供給される熱源水に、前記冷水生成手段からの冷水を混合するための混合用経路を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記水熱源ヒートポンプの入口側における前記熱源水の温度を測定する第1の温度計、を更に備え、
前記熱源水の温度が水熱源ヒートポンプの受け入れ可能な温度より高い際に、前記混合用経路を介して前記熱源水に前記冷水生成手段からの冷水を混合する、ことを特徴とする、請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記熱源水の温度が前記水熱源ヒートポンプの受け入れ可能な温度よりも低い際に、前記冷水生成手段で生成される前記冷水の温度を、前記冷水生成手段の容量制御により上げることを特徴とする、請求項3に記載の空調システム。
【請求項5】
前記水熱源ヒートポンプの出口側において前記冷水生成手段に向けて還流する前記熱源水の温度を測定する第2温度計と、
制御部と、を更に備え、
前記熱源水の温度が前記冷水生成手段が受け入れ可能な前記熱源水の温度の上限未満となるように、前記冷水生成手段から送出される前記冷水の、前記熱源水に対する混合流量を制御する、ことを特徴とする、請求項3に記載の空調システム。
【請求項6】
各々が少なくとも前記外調機と前記水熱源ヒートポンプとを含む複数のユニットを備え、
前記複数のユニットは、前記冷水を内部に通流し、往路及び環路をなす2本の冷温水用竪管に対して並列で接続される、請求項2に記載の空調システム。
【請求項7】
既存空調システムを、請求項1~6のいずれか一項に記載の空調システムに改修する方法であって、
前記既存空調システムは、
外気を処理する外調機と、
前記外調機に供給するための冷水又は温水のいずれかを生成する冷温水生成手段と、
前記冷水又は前記温水のいずれかを内部に通流し、往路及び環路をなす少なくとも2本の冷温水用竪管と、
圧縮機による冷媒の圧縮と膨張弁による前記冷媒の膨張とを交互に実行して空調対象空間に供給するための給気を処理するファンコイルユニットと、を備え、
前記冷温水用竪管の環路と前記外調機の二次側とを接続する二次側配管及び前記ファンコイルユニットを撤去し、
前記水熱源ヒートポンプを設置し、
前記水熱源ヒートポンプの圧縮機と前記外調機の二次側とを接続し、更に、
前記水熱源ヒートポンプの圧縮機と前記冷温水用竪管の環路とを接続する、空調システムの改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システム及び空調システムの改修方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば商業用、工業用の建物に設置される空調システムとして、中央空調式(セントラル)空調が採用されている。このセントラル空調では、換気のために取り入れる外気を冷やすための外調機を別で設置することがある。このような建物では、一般的に冷房運転時には7℃~15℃の冷水を、暖房運転時には37℃~45℃の温水をそれぞれ製造するが、設備費用の削減のために冷温水の往路/環路を2管式で構成することが多く、日ごとや室(フロア)ごとでの冷暖房の切換えの融通が利かないという課題がある。
【0003】
室ごとに自由に冷暖房ができるように、空調機を安価で施工性に優れた空気熱源式のパッケージエアコンに取り換えて対策を行う場合がある。しかしながら、このように室ごとにパッケージエアコンを設置する場合、その設置台数分の室外機を屋外(ベランダや屋上)設置する必要があるため、空間や重量の観点で制約がある。また、このように室ごとにパッケージエアコンを設置する場合であっても、外気の冷却/加熱時期は外気条件で決まり、部屋の用途等には無関係であるため、外調機まで個別化して設置することは少ない。
【0004】
特許文献1には、このようなパッケージエアコンの設置に際して生じる空間や重量の制約を解消するため、空調対象の建物に、水熱源ヒートポンプを備えるビル用マルチシステム(以下、「水熱源マルチ」という場合がある。)を採用することが開示されている。水熱源マルチは、室外機に代えて圧縮機と冷媒/水熱交換器を有する圧縮機ユニットを建物各階の室内に設置し、この圧縮機ユニットと室内機との間で冷媒の圧縮/膨張を繰り返すことで冷凍サイクルを実現する。冷媒/水熱交換器での冷媒との熱交換に供される熱源水は、例えば建物の屋上等に設置された冷却塔やボイラで冷却/加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-315682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したセントラル空調が設置された既設建物において、空調システムを改修して上記した水熱源マルチを導入しようとする場合、水熱源マルチの圧縮機ユニットでの冷媒との熱交換に供される熱源水温度が問題となる。すなわち、既設建物に水熱源マルチを導入する場合、セントラル空調が備える2本の冷温水の往路/環路からの冷温水を水熱源マルチの圧縮機ユニットに供給することが考えられる。この場合、特に冷房運転時に低温、例えば7℃の冷水を圧縮機ユニットに供給すると、冷水温度が低すぎて水熱源マルチでの冷凍サイクルを適切に回せなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてされたものであり、少なくとも外調機と水熱源ヒートポンプとを備え、外調機と水熱源ヒートポンプとを同じ冷温水配管系を用いて冷暖房運転が可能な空調システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る技術は、空調対象空間の空調を行うための空調システムであって、冷水を生成する冷水生成手段と、空調対象空間に供給するための外気を処理する外調機と、圧縮機による冷媒の圧縮と膨張弁による前記冷媒の膨張とを交互に実行して冷凍サイクルを構成する水熱源ヒートポンプと、を備え、前記冷水生成手段からの冷水を、前記外調機において外気と熱交換した後、熱源水として前記水熱源ヒートポンプの前記圧縮機に供給することを特徴としている。
上記構成によれば、冷水生成手段で生成された低温(例えば7℃)の冷水を、外調機での外気との熱交換に供して昇温(例えば12℃)した後に水熱源ヒートポンプの圧縮機に供給するため、冷水生成手段からの冷水を利用して適切に水熱源ヒートポンプでの冷凍サイクルを実現できる。
【0009】
本開示に係る空調システムは、前記外調機から前記圧縮機に向けて供給される熱源水に、前記冷水生成手段からの冷水を混合するための混合用経路を更に備えていることが望ましい。この場合、前記水熱源ヒートポンプの入口側における前記熱源水の温度を測定する第1温度計、を更に備え、前記熱源水の温度が水熱源ヒートポンプの受け入れ可能な温度より高い際に、前記混合用経路を介して、前記熱源水に前記冷水生成手段からの冷水を混合してもよい。
上記構成によれば、外調機から圧縮機に向けて供給される熱源水温度を水熱源ヒートポンプが受け入れ可能な範囲で低く保つことで、水熱源ヒートポンプの運転効率を高めることができる。
【0010】
前記熱源水の温度が前記水熱源ヒートポンプの受け入れ可能な温度よりも低い際に、前記冷水生成手段で生成される前記冷水の温度を、前記冷水生成手段の容量制御により上げてもよい。
上記構成によれば、外調機の冷房負荷の多少に依らず、水熱源ヒートポンプの冷凍サイクルを適切に回すことができる。
【0011】
前記水熱源ヒートポンプの出口側において前記冷水生成手段に向けて還流する前記熱源水の温度を測定する第2温度計と、制御部と、を更に備え、前記熱源水の温度が前記冷水生成手段が受け入れ可能な前記熱源水の温度の上限未満となるように、前記冷水生成手段から送出される前記冷水の、前記熱源水に対する混合流量を制御してもよい。
上記構成によれば、前記外調機や前記水熱源ヒートポンプの冷房負荷の多少に依らず、冷水生成手段の運転効率を高めることができる。
【0012】
各々が少なくとも前記外調機と前記水熱源ヒートポンプとを含む複数のユニットを備え、前記複数のユニットは、前記冷水を内部に通流し、往路及び環路をなす2本の冷温水用竪管に対して並列で接続されてもよい。
この場合、空調対象の建物に複数のユニットを配置することで、当該建物のフロアごと、室ごとに独立して適切に空調を実施できる。
【0013】
本開示の別な観点に係る技術は、既存空調システムを上記空調システムに改修する方法であって、前記既存空調システムは、外気を処理する外調機と、前記外調機供給するための冷水又は温水のいずれかを生成する冷温水生成手段と、前記冷水又は前記温水のいずれかを内部に通流し、往路及び環路をなす少なくとも2本の冷温水用竪管と、圧縮機による冷媒の圧縮と膨張弁による前記冷媒の膨張とを交互に実行して空調対象空間に供給するための給気を処理するファンコイルユニットと、を備え、前記冷温水用竪管の環路と前記外調機の二次側とを接続する二次側配管及び前記ファンコイルユニットを撤去し、前記水熱源ヒートポンプを設置し、前記水熱源ヒートポンプの圧縮機と前記外調機の二次側とを接続し、更に、前記水熱源ヒートポンプの圧縮機と前記冷温水用竪管の環路とを接続することを特徴としている。
上記方法によれば、既存の例えばセントラル空調を改修して、適切に水熱源マルチ(水熱源ヒートポンプ)を改修対象の既設建物に導入できる。この際、水熱源ヒートポンプの導入にあたり新たな熱源水用の竪管を建物に配設する必要がなく、既設の冷温水用竪管を再利用できるため、改修工事が容易である。
【発明の効果】
【0014】
本開示の技術によれば、少なくとも外調機と水熱源ヒートポンプとを備え、外調機と水熱源ヒートポンプとを同じ冷温水配管系を用いて冷暖房運転が可能な空調システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る空調システムを適用した建物を示す説明図である。
図2】実施形態に係る空調システムの配管系統図を示した説明図である。
図3】実施形態に係る空調システムの冷房運転の主な動作を示すフロー図である。
図4】実施形態に係る空調システムと従来システムの運転効率を比較するグラフである。
図5】実施形態に係る空調システムと従来システムの運転効率を比較するグラフである。
図6】実施形態に係る空調システムと従来システムの運転効率を比較するグラフである。
図7】既設建物に適用された空調システムを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
<空調システムの構成>
図1は、実施の形態に係る空調システムを適用した建物の全体的な構成の一例を示す説明図である。図2は、図1の空調システムにおける配管系統の詳細を示す説明図である。
【0018】
図1に示すように、建物1の内部には複数、一例において建物1のフロア(階数)と同数の空調対象空間Rが形成されている。本開示の技術に係る空調システム2は、これら複数の空調対象空間Rの各々において、独立して冷暖房運転を可能に構成される。なお。建物1に設定される空調対象空間Rの数や配置は任意に決定できる。
【0019】
本実施形態において空調システム2は、冷水生成手段10、外調機20及び水熱源ヒートポンプ30を有する。
【0020】
冷水生成手段10は、冷却塔11と吸収式冷温水機12を備える。図1に示すように、一例において冷却塔11は建物1の屋上に設けられ、吸収式冷温水機12は建物1の居室外、例えば地下室等に設けられる。
【0021】
冷却塔11は、吸収式冷温水機12において冷水を生成するための冷却水を生成し、冷却水用竪管11aを介して、生成した冷却水を吸収式冷温水機12との間で循環させる。冷却水用竪管11aには、冷却水を循環させるためのポンプP1が設けられている。
【0022】
本実施形態(空調システム2の冷房運転)において吸収式冷温水機12は、冷却塔11からの冷却水を用いて低温冷水を生成する冷凍機として機能する。従って、本開示においては吸収式冷温水機12を「冷凍機」と表現する場合がある。吸収式冷温水機12は、冷温水用竪管13を介して建物1の各階(各フロア)に生成した冷水を供給する。冷温水用竪管13は、吸収式冷温水機12からの冷水を各階に供給するための往路管13aと、各階で空調対象空間Rの空調のための熱交換に供された冷水を吸収式冷温水機12に戻すための還路管13bと、を有する。冷温水用竪管13には、冷温水を循環させるためのポンプP2が設けられている。
なお、本実施形態において吸収式冷温水機12から図2に示す配管系統に向けて送出される冷水の温度は、一例において7℃~12℃である。
【0023】
なお、冷水生成手段10の構成は図示の例に限定されず、図2に示す配管系統に循環させるための冷水を生成できれば、冷水生成手段10は任意の構成とすることができる。
【0024】
外調機20は空調対象空間Rの外部、例えば同フロアに設けられた機械室に配置される。外調機20は、外気取り込み口(OAG:Outside
Air Garari)を介して建物1に取り込んだ外気OAを、吸収式冷温水機12からの冷水との熱交換により冷却除湿して処理空気SOAを生成する。生成された処理空気SOAは、ダクトを介して後述する水熱源ヒートポンプ30の室内機ユニット32へと供給される。
【0025】
図2に示すように外調機20は、一例においてフィルタ21、1つ以上の外気用熱交換器22及び送風機23を内部に有する。フィルタ21は、取り込んだ外気OAに含まれる異物を除去する。外気用熱交換器22は、一次側(上流側)が第1接続管41を介して往路管13aに接続され、二次側(下流側)が第2接続管42を介して後述する水熱源ヒートポンプ30の圧縮機ユニット31に接続される。また第2接続管42には、内部を通流する冷水の流量、換言すれば外調機20から送出される冷水の流量を制御可能な二方弁42aが設けられている。
【0026】
従って外調機20では、フィルタ21により取り込んだ外気OAから異物を除去し、外気用熱交換器22により吸収式冷温水機12からの冷水との熱交換により外気OAを冷却除湿して処理空気SOAとした後、送風機23によりダクトを介して空調対象空間Rの上部の天井空間に向けて送出する。
また外調機20では、冷温水用竪管13の往路管13aから第1接続管41を介して外気用熱交換器22に取り込んだ例えば7℃の冷水を、外気OAとの熱交換により所定温度、例えば12℃の熱源水とした後、第2接続管42を介して水熱源ヒートポンプ30の圧縮機ユニット31に向けて送出する。
【0027】
図1に示すように水熱源ヒートポンプ30は圧縮機ユニット31と室内機ユニット32を有する。圧縮機ユニット31と室内機ユニット32は、水熱源ヒートポンプ30内で冷媒を循環させる循環用配管30aを介して接続されている。圧縮機ユニット31は、図示しない圧縮機と熱源水側熱交換器を有する。室内機ユニット32は、図示しない膨張弁と空調用熱交換器を有する。また、循環用配管30aには図示しない四方弁が設けられ、この四方弁の切換え操作により水熱源ヒートポンプ30の冷房運転と暖房運転とを切り替え可能に構成されている。水熱源ヒートポンプ30では、これら圧縮機ユニット31と室内機ユニット32の間を例えばフロン系の冷媒が流通し冷凍サイクルを構成している。
【0028】
圧縮機ユニット31は、一例において空調対象空間Rの外部、例えば同フロアに設けられた機械室に配置される。圧縮機ユニット31は、一次側(上流側)が第2接続管42を介して外調機20に接続され、二次側(下流側)が第3接続管43を介して冷温水用竪管13の還路管13bに接続される。
従って圧縮機ユニット31では、循環用配管30aを通流する冷媒を、熱源水側熱交換器による外調機20から供給される熱源水との熱交換と、圧縮機による圧縮に供する。
【0029】
室内機ユニット32は、一例において空調対象空間Rの上部の天井空間に配置される。上記したように、室内機ユニット32には、ダクトを介して外調機20と、循環用配管30aを介して圧縮機ユニット31と、が接続される。また室内機ユニット32は、空調対象空間Rからの還気RAを取り込み可能に構成される。なお室内機ユニット32は、図1に示したように複数、図示の例では各空調対象空間Rに対応してそれぞれ3台の空調用熱交換器を有しているが、空調対象空間Rに設けられる空調用熱交換器の数や配置は任意に設定できる。
【0030】
図2に示すように、本開示の技術に係る空調システム2の配管系統には、第1接続管41と第2接続管42とを接続する混合用管(混合用経路)50が設けられている。混合用管50は、冷水生成手段10で生成された冷水の少なくとも一部を、外調機20を介さずに第2接続管42へと送るバイパス管(バイパス経路)としての機能を有する。また混合用管50には、内部を通流する冷水の流量、換言すれば第2接続管42を通流する外調機20からの熱源水に混合する吸収式冷温水機12からの冷水の流量を制御可能な二方弁50aが設けられている。
【0031】
従って本開示の技術に係る空調システム2では、第2接続管42を通流する外調機20からの熱源水に対する、吸収式冷温水機12からの冷水の混合を制御することで、圧縮機ユニット31に供給する熱源水の温度及び流量を任意に制御できるように構成されている。
【0032】
また図2に示すように、本開示の技術に係る配管系統には、吸収式冷温水機12の出力側(往路管13a)、外調機20の出力側(第2接続管42)、圧縮機ユニット31の入力側(第2接続管42)及び出力側(第3接続管43)のそれぞれにおいて、通流する冷水(熱源水)の温度を測定するための温度計、及び流量を測定するための流量計を備えた測定手段T1~T4が設けられている。
【0033】
本実施形態に係る空調システム2では、上記した外調機20と水熱源ヒートポンプ30とを含むユニットが、一の冷温水用竪管13に対して並列に複数接続されている。より具体的には、外調機20と水熱源ヒートポンプ30とを含む複数のユニットが、冷温水用竪管13に対して並列に接続されるように、建物1の各フロア(各階)に設けられている。これにより空調システム2では、各フロア(各空調対象空間R)の冷房を、それぞれ独立して行うことができる。
【0034】
以上のように構成された空調システム2には制御部60が設けられている。制御部60は、空調システム2を構成する各種要素(冷水生成手段10、外調機20、水熱源ヒートポンプ30及び各種二方弁等)の動作を制御する。一例において、吸収式冷温水機12、二方弁42a、二方弁50aの動作は、測定手段T1~T4による測定結果(冷水等の温度及び流量)に基づいて制御される。制御部60は空調システム2と一体に構成されていてもよいし、又は空調システム2を遠隔で制御可能に構成されてもよい。
【0035】
一実施形態に係る空調システム2は、以上のように構成される。なお、空調システム2の構成は以上の種々の例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0036】
続いて、図1及び図2に示した空調システム2の冷房運転に際しての配管系統(冷水系統)の動作の詳細について、吸収式冷温水機12で生成される冷水の通流経路に沿って説明する。図3は冷房運転に際しての冷水系統の主な動作を示すフロー図である。
【0037】
空調システム2の冷房運転では、外気取り込み口OAGを介して建物1に取り込まれた外気OAが、外調機20での冷水との熱交換により処理空気SOAとされた後、更に室内機ユニット32での還気RAとの混合、冷媒との熱交換に供され、所定温湿度の給気SAとして空調対象空間Rに供給される。
なお、以下の動作方法において示す各種空気や冷媒の温度、流量は全て例示的なものであり、実際の運用上における温度、流量と必ずしも一致するものではない。
【0038】
空調システム2の冷房運転を開始する際には、先ず、吸収式冷温水機12から冷水系統(図2の配管系統を参照)への冷水の循環を開始する(図3のステップSt1)。具体的には、冷温水用竪管13に設けられたポンプP2の動作を開始し、これにより吸収式冷温水機12で生成された冷水を、往路管13aを介して建物1の各フロアへと供給する。
この時、吸収式冷温水機12から送出される冷水の温度(測定手段T1による測定結果)は、冷却水用竪管11aを介して冷却塔11と吸収式冷温水機12の間で循環する冷却水の温度、流量により制御される。吸収式冷温水機12から送出される冷水の温度は、一例として7℃である。
【0039】
吸収式冷温水機12から送出された冷水は、建物1の各フロアにおいて第1接続管41を介して外調機20に供給される。外調機20では、取り込んだ外気OAと吸収式冷温水機12からの冷水との熱交換が行われ、処理空気SOAが生成される。外調機20では、当該外調機20から送出される冷水(熱源水)の温度(測定手段T2による測定結果)が所定温度、例えば12℃で一定になるように、二方弁42aの開度が制御される(図3のステップSt2)。
【0040】
具体的に、外気OAの温度が高く、送出される熱源水の温度が12℃以上となり得る(外気負荷が大きい)場合には、二方弁42aの開度を大きくして(送出される熱源水の流量を多くして)冷水と外気OAとの熱交換時間を短くし、熱源水の温度が12℃となるように制御する。一方、外気OAの温度が低く、送出される熱源水の温度が12℃未満となり得る(外気負荷が小さい)場合には、二方弁42aの開度を絞って(送出される熱源水の流量を少なくして)冷水と外気OAとの熱交換時間を長くし、熱源水の温度が12℃となるように制御する。
このように、外調機20から送出される冷水の流量は、外調機20に取り込まれる外気OAの条件(外気負荷)により変動する。
【0041】
外調機20から送出された熱源水は、第2接続管42を介して圧縮機ユニット31に供給される。圧縮機ユニット31では、外調機20からの熱源水と室内機ユニット32からの冷媒との熱交換が行われ、空調用熱交換器において処理空気SOAとの熱交換により昇温した冷媒を冷却する。圧縮機ユニット31では、当該圧縮機ユニット31から送出される熱源水の温度(第2温度計としての測定手段T4による測定結果)が、冷水生成手段10の吸収式冷温水機12が受け入れ可能な所定温度の上限未満、例えば20℃未満となるように、吸収式冷温水機12から送出される冷水の流量を制御する(図3のステップSt3)。
【0042】
具体的に、上記したように外調機20から送出される冷水の流量、すなわち第2接続管42を介して圧縮機ユニット31に供給される熱源水の流量は、外気OAの条件(外気負荷)により変動する。このため、例えば上記したように外気負荷が大きく、外調機20から送出される熱源水の流量が多くなった場合、圧縮機ユニット31での冷媒との熱交換による熱源水の昇温幅が小さくなり、圧縮機ユニット31の出口側での熱源水の温度が低くなる。一方、外気負荷が小さく、外調機20から送出される熱源水の流量が少なくなった場合、圧縮機ユニット31での冷媒との熱交換による熱源水の昇温幅が大きくなり、圧縮機ユニット31の出口側での熱源水の温度が高くなる。
【0043】
そこで本開示の技術に係る空調システム2では、外調機20から送出される冷水の流量(測定手段T2又は測定手段T3での測定結果)に基づいて二方弁50aの開度、すなわち第2接続管42を通流する熱源水に対する混合用管50を介しての冷水の混合量を調整し、これにより圧縮機ユニット31に供給される熱源水の流量を保って、圧縮機ユニット31から送出される熱源水の温度を吸収式冷温水機12が受け入れ可能な所定温度の上限未満に制御する。より具体的には、外気負荷が大きく外調機20から送出される熱源水の流量が多い場合には、二方弁50aの開度を絞って冷水の混合量を少なくし、圧縮機ユニット31に供給される熱源水の温度を高くする。一方、外気負荷が小さく外調機20から送出される熱源水の流量が少ない場合には、二方弁50aの開度を大きくして冷水の混合量を多くし、圧縮機ユニット31に供給される熱源水の温度を低くする。この制御により、外調機20での外気負荷に依らず、圧縮機ユニット31に供給される熱源水の流量を保つようにする。
【0044】
なお上記したように、外調機20から送出される熱源水の温度は例えば12℃一定で制御されるが、ステップSt3での制御においてこの熱源水(12℃)に対する冷水(7℃)の混合量が多くなった場合、混合後の熱源水(圧縮機ユニット31に供給される熱源水)の温度が水熱源ヒートポンプ30の受け入れ可能な温度未満、例えば10℃未満となる可能性が考えられる。そして、このように10℃未満の熱源水をそのまま圧縮機ユニット31に供給した場合、水熱源ヒートポンプ30内を循環する冷媒の温度が下がり、これにより冷凍サイクルを適切に回せず、空調対象空間Rの冷房ができなくなるおそれがある。
【0045】
そこで本開示の技術に係る空調システム2では、圧縮機ユニット31に供給される熱源水の温度(第1温度計としての測定手段T3での測定結果)が水熱源ヒートポンプ30の受け入れ可能な所定温度未満、本実施形態では10℃未満とならないように、特に外気負荷が小さく外調機20から送出される熱源水の流量が少ない場合には、混合用管50を介して熱源水に混合されるの冷水温度、より具体的には吸収式冷温水機12から送出される(吸収式冷温水機12で生成される)冷水温度の設定値を変更する(図3のステップSt4)。
【0046】
具体的に、圧縮機ユニット31に供給される熱源水の温度(測定手段T3での測定結果)が水熱源ヒートポンプ30受け入れ可能な温度より低い場合には、吸収式冷温水機12から送出される冷水温度の設定値を、例えば7℃から12℃に変更する。これにより、混合用管50を介して熱源水(12℃)に混合される冷水の温度が高く(12℃)なり、圧縮機ユニット31に供給される熱源水の温度が水熱源ヒートポンプ30受け入れ可能な所定温度未満になることが抑制される。
【0047】
本実施形態によれば、このように水熱源ヒートポンプ30受け入れ可能な温度より低い場合に、吸収式冷温水機12から送出される冷水温度を上げることで、外調機20の冷房負荷の多少に依らず、水熱源ヒートポンプ30での冷凍サイクルを適切に回すことができる。
【0048】
なお、吸収式冷温水機12から送出される冷水の温度は、一例において吸収式冷温水機12の容量制御により実現できる。従って、ステップSt4において冷水温度の設定値が変更されると、制御部60では、これに基づいて吸収式冷温水機12の容量制御を実行し、これにより吸収式冷温水機12で生成される冷水の温度を上げる(図3のステップSt5)。
但し、吸収式冷温水機12から送出される冷水温度の制御方法は必ずしもこれに限定されるものではなく、測定手段T3での測定結果に基づいて冷水温度を調整できればよい。例えば、冷却塔11からの冷却水の温度が変更されてもよいし、または、図示しない混合水生成手段で生成された所定温度(例えば12℃)の混合水を、冷温水用竪管13を通流する冷水に混合可能に構成してもよい。
【0049】
一方、圧縮機ユニット31に供給される熱源水の温度(測定手段T3での測定結果)が水熱源ヒートポンプ30の受け入れ可能な温度より高い場合には、吸収式冷温水機12から送出される冷水温度の設定値を変えることなく、混合用管50を介して熱源水(12℃)に冷水(7℃)を混合してもよい。この場合、圧縮機ユニット31に供給される熱源水の温度は、水熱源ヒートポンプ30の受け入れ可能な温度範囲で、可能な限り低く保つことが望ましい。このように圧縮機ユニット31に供給される熱源水の温度を低く保つことで、水熱源ヒートポンプ30の運転効率を高めることができる。
【0050】
圧縮機ユニット31から送出された熱源水(例えば20℃)は、その後、第3接続管43及び還路管13bを介して吸収式冷温水機12へと還流する。吸収式冷温水機12に戻った熱源水(冷水)は、当該吸収式冷温水機12において冷却塔11からの冷却水との熱交換に供され(図3のステップSt6)、これにより冷却され、再度、冷水として往路管13aを介して冷水系統へと循環される(図3のステップSt1)。
この時、上記したように圧縮機ユニット31から送出された熱源水の温度は吸収式冷温水機12が受け入れ可能な熱源水の温度の上限未満に制御されているため、外調機20や水熱源ヒートポンプ30の冷房負荷の多少に依らず、吸収式冷温水機12(冷水生成手段10)の運転効率を高めることができる。
【0051】
本開示の技術に係る空調システム2の冷房運転は、以上のようにして行われる。
【0052】
以上、本実施形態に係る空調システム2によれば、原則として外調機20からの冷水の全量を熱源水として水熱源ヒートポンプ30の圧縮機ユニット31へと供給する。これにより、外調機20から送出された冷水(熱源水)が含む温熱を適切に圧縮機ユニット31で利用でき、空調システム2全体でのエネルギー効率を大幅に向上できる。
【0053】
また、本実施形態に係る空調システム2では、外調機20から送出され、圧縮機ユニット31へと供給される熱源水に対して、混合用管50からの冷水を混合することで、圧縮機ユニット31で必要とする熱源水の流量を確保する。またこの時、圧縮機ユニット31に供給される熱源水温度を所定温度、例えば10℃以上に制御して水熱源ヒートポンプ30での冷凍サイクルを適切に回すため、吸収式冷温水機12を容量制御して生成される冷水の温度を変更する。
このように、本実施形態に係る空調システム2によれば、建物1の各フロアに圧縮機ユニット31に熱源水を供給ための熱源水ポンプを設けることなく、外調機20と水熱源ヒートポンプ30とを同一の冷温水用竪管13からの冷水のみにより冷房運転を駆動できる。このため、従来のように外調機20の冷水系統と水熱源ヒートポンプ30の熱源水系統とを独立して設置する場合と比較して、設備費用を大幅に削減できる。またこれと共に、吸収式冷温水機12に戻る冷水の還り温度(本実施形態では例えば20℃)を従来と比較して高くできる(従来は圧縮機ユニット31を介さないので12℃)ので、当該冷水(熱源水)を再冷却する吸収式冷温水機12の運転効率を向上できる。従って、空調システム2の全体での運転効率をも向上できる。
【0054】
ここで、上記したように空調システムの運転効率の指標とも捉えられる冷水の還り温度は、外調機の冷水定格水量と水熱源マルチ(水熱源ヒートポンプ30)の熱源水定格水量の比で変化する。
【0055】
図4図6は、それぞれこの定格水量の比を1、3、5とした場合における冷水の還り温度を示すものである。図4図6において、横軸は水熱源ヒートポンプ(水熱源マルチ)の負荷率、第1縦軸は冷水循環量、第2縦軸は冷水還り温度をそれぞれ示している。また、図4図6において、実線は上記した本実施形態にかかる空調システム2での運転結果(実施例)、破線は外調機からの冷水を水熱源マルチには供給しない従来システムでの運転結果(比較例)をそれぞれ示し、更に、太線は冷水還り温度、細線は冷水循環量をそれぞれ示している。また、同一の図面内では、外調機負荷100%、80%、60%、40%、20%のグラフが、実施例と比較例のそれぞれにおいて同一の線種、太さで上から順に示されている。
従って、図4図6に示すグラフにおいては、冷水の循環量が少なく、且つ、冷水の還り温度が高くなるほど、空調システム2の運転効率が高いと言える。
【0056】
図4図6に示すように、定格水量の比を1、3、5のいずれにした場合であっても、原則として実施例の方が比較例よりも冷水の循環量が少なく、冷水の還り温度が高いことが分かる。換言すれば、実施例の方が比較例よりも空調システムの運転効率が高いことが分かる。これは、上記したように、外調機20からの冷水還りの全量を熱源水として水熱源ヒートポンプ30へと供給し、当該熱源水が含む温熱を再利用していることに起因すると考えられる。
このように本開示の技術に係る空調システム2では、従来のように外調機からの冷水を水熱源マルチには供給しない場合、または一部のみを水熱源マルチに供給する場合と比較して、運転効率を向上できる。
【0057】
なお、以上の実施形態で示した空調システム2は、空調対象空間Rを含む建物1を新築する場合であっても好適に効果を奏することができるが、特に既設の建物1に設けられた空調システムを改修する場合に有用である。
以下、既設の建物1に設けられた空調システムの、上記した本実施形態に係る空調システム2への改修方法について説明する。
【0058】
図7に示すように、既設建物100には、一例として冷水生成手段110と、冷水生成手段110からの冷温水を既設建物100の各フロア(各階)に供給するための往き還り2本の冷温水用竪管113と、外気を処理する外調機120と、空調対象空間Rに給気SAを供給するためのファンコイルユニット130と、が設けられている。ファンコイルユニット130は、圧縮機131と室内機132とを備える。冷温水用竪管113と外調機120は、往路をなす第1接続管141と環路をなす第2接続管142により接続されている。
【0059】
既設建物100に設けられた空調システムの改修に際しては、先ず、冷温水用竪管113と外調機120を接続する環路をなす第2接続管142と、ファンコイルユニット130とを少なくとも撤去する。
【0060】
続いて、撤去したファンコイルユニット130に代わり、上記実施形態で示した水熱源ヒートポンプ30を設置する。また、水熱源ヒートポンプ30の圧縮機ユニット31を外調機120の二次側と第2接続管42により接続し、更に、圧縮機ユニット31を冷温水用竪管113の環路管113bと第3接続管43により接続する。
【0061】
最後に、冷温水用竪管113と外調機120を接続する往路をなす既設の第1接続管141と、新たに設置した第2接続管42との間に、混合用管50を接続する。
【0062】
既設建物100の空調システムの改修は、一例において以上のようにして行われる。以上の改修方法によれば、既設建物100に新たな熱源水用の竪管を設置することなく、既存の冷温水用竪管113を利用して水熱源ヒートポンプ30に熱源水を供給できるため、空調システムの改修にかかる費用、及び工程を大幅に削減できる。
【0063】
なお、以上の改修方法では、冷温水用竪管113と外調機120を接続する環路をなす第2接続管142と、ファンコイルユニット130とを撤去したが、この他にも、使用により消耗が見られる構成要素がある場合には、これを撤去して新たな構成要素との交換を行ってもよい。
【0064】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は任意に組み合わせることができる。当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
【0065】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0066】
なお、以下のような構成例も本開示の技術的範囲に属する。
(1)空調対象空間の空調を行うための空調システムであって、冷水を生成する冷水生成手段と、空調対象空間に供給するための外気を処理する外調機と、圧縮機による冷媒の圧縮と膨張弁による前記冷媒の膨張とを交互に実行して冷凍サイクルを構成する水熱源ヒートポンプと、を備え、前記冷水生成手段からの冷水を、前記外調機において外気と熱交換した後、熱源水として前記水熱源ヒートポンプの前記圧縮機に供給することを特徴とする、空調システム。
(2)前記外調機から前記圧縮機に向けて供給される熱源水に、前記冷水生成手段からの冷水を混合するための混合用経路を更に備えることを特徴とする、前記(1)に記載の空調システム。
(3)前記水熱源ヒートポンプの入口側における前記熱源水の温度を測定する第1温度計、を更に備え、前記熱源水の温度が水熱源ヒートポンプの受け入れ可能な温度より高い際に、前記混合用経路を介して前記熱源水に前記冷水生成手段からの冷水を混合する、ことを特徴とする、前記(2)に記載の空調システム。
(4)前記熱源水の温度が前記水熱源ヒートポンプの受け入れ可能な温度よりも低い際に、前記冷水生成手段で生成される前記冷水の温度を、前記冷水生成手段の容量制御により上げることを特徴とする、前記(1)~(3)のいずれかに記載の空調システム。
(5)前記水熱源ヒートポンプの出口側において前記冷水生成手段に向けて還流する前記熱源水の温度を測定する第2温度計と、制御部と、を更に備え、前記熱源水の温度が前記冷水生成手段が受け入れ可能な前記熱源水の温度の上限未満となるように、前記冷水生成手段から送出される前記冷水の、前記熱源水に対する混合流量を制御する、ことを特徴とする、前記(1)~前記(3)のいずれかに記載の空調システム。
(6)各々が少なくとも前記外調機と前記水熱源ヒートポンプとを含む複数のユニットを備え、前記複数のユニットは、前記冷水を内部に通流し、往路及び環路をなす2本の冷温水用竪管に対して並列で接続される、前記(1)~前記(5)のいずれかに記載の空調システム。
【0067】
(7)既存空調システムを、前記(1)~前記(6)のいずれかに記載の空調システムに改修する方法であって、前記既存空調システムは、外気を処理する外調機と、前記外調機供給するための冷水又は温水のいずれかを生成する冷温水生成手段と、前記冷水又は前記温水のいずれかを内部に通流し、往路及び環路をなす少なくとも2本の冷温水用竪管と、圧縮機による冷媒の圧縮と膨張弁による前記冷媒の膨張とを交互に実行して空調対象空間に供給するための給気を処理するファンコイルユニットと、を備え、前記冷温水用竪管の環路と前記外調機の二次側とを接続する二次側配管及び前記ファンコイルユニットを撤去し、前記水熱源ヒートポンプを設置し、
前記水熱源ヒートポンプの圧縮機と前記外調機の二次側とを接続し、更に、前記水熱源ヒートポンプの圧縮機と前記冷温水用竪管の環路とを接続する、空調システムの改修方法。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、複数の空調対象空間を有する建物に導入する空調システムとして、特に既設建物に設けられた空調システムの改修を行う際に有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 建物
2 空調システム
10 冷水生成手段
11 冷却塔
12 吸収式冷温水機
13 冷温水用竪管
20 外調機
30 水熱源ヒートポンプ
31 圧縮機ユニット
32 室内機ユニット
41 第1接続管
42 第2接続管
43 第3接続管
50 混合用管
60 制御部
OA 外気
SOA 処理空気
SA 給気
R 空調対象空間

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7