(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115218
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】測距方法及び測距装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
G01S7/481 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020801
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】小堀 一
(72)【発明者】
【氏名】児矢野 大佑
(72)【発明者】
【氏名】山田 博隆
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA50
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA11
5J084CA19
5J084CA70
5J084DA01
5J084DA09
5J084EA11
(57)【要約】
【課題】測距レンジを確保しつつ、可動ミラーの駆動によって発生する受光エリアの増減に伴う測距精度の悪化を抑制できる測距方法及び測距装置を提供する。
【解決手段】投光部1の光源からの放射光Laを可動ミラー2に入射し、この可動ミラーのX軸とY軸を駆動して測距領域AA内を走査する。測定対象物で反射された反射光Lbを可動ミラーを経由して受光部3で受光し、測距部4で投光タイミングと受光タイミングとの時間差に基づいて測定対象物までの距離を測定する測距方法及び測距装置である。そして、可動ミラーの傾きにより発生する見かけ上の面積の変化に応じて、光源の放射光量を制御する、ことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの放射光が可動ミラーに入射し、この可動ミラーのX軸とY軸を駆動して測距領域内を走査し、測定対象物で反射された反射光を前記可動ミラーを経由して受光し、投光タイミングと受光タイミングとの時間差に基づいて前記測定対象物までの距離を測定する方法であって、
前記可動ミラーの傾きにより発生する見かけ上の面積の変化に応じて、前記光源の放射光量を制御する、ことを特徴とする測距方法。
【請求項2】
前記光源の放射光量の制御は、前記可動ミラーの傾きによる前記測定対象物へ照射される光量の低下を、前記光源の放射光量を増大させて補正するものである、ことを特徴とする請求項1に記載の測距方法。
【請求項3】
前記光源の放射光量は、前記可動ミラーの傾きが大きくなるにしたがって増大させる、ことを特徴とする請求項2に記載の測距方法。
【請求項4】
光源からの放射光を投光する投光部と、
この放射光を反射する可動ミラーと、
投光部と可動ミラーを制御し、測距領域内を放射光で走査する制御部と、
測定対象物による反射光を可動ミラーから受光する受光部と、
投光と受光のタイミングの時間差に基づいて距離を測定する測距部とを備え、
前記制御部は、可動ミラーのX軸とY軸の駆動による見かけ上の面積変化に応じて、投光部からの放射光の光量を補正する、ことを特徴とする測距装置。
【請求項5】
前記制御部による投光部からの放射光の光量の補正は、前記可動ミラーの傾きによる前記測定対象物へ照射される光量の低下を、前記投光部の放射光の光量を増大させて補正するものである、ことを特徴とする請求項4に記載の測距方法。
【請求項6】
前記制御部は、前記可動ミラーの傾きに基づいて前記投光部からの放射光の光量を補正する補正値を記憶したテーブルを有し、前記放射光の光量は、前記テーブルに記憶された補正値に基づいて算出される、ことを特徴とする請求項4に記載の測距装置。
【請求項7】
前記投光部から投光された放射光が前記可動ミラーで反射されて測定領域内に照射されるまでの投光光路と、前記測定対象物で反射された反射光が可動ミラーで反射されて前記受光部で受光されるまでの受光光路が重なる、ことを特徴とする請求項4乃至6いずれか1つの項に記載の測距装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物に向けて放射光を投光し、反射光を受光して、投光タイミングと受光タイミングの時間差に基づいて距離を測定する測距方法及び測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、この種の距離測定装置において、受光レンズの内側の部位と外側の部位を使用して測距レンジを確保する技術が記載されている。
また、特許文献2には、同軸系タイプのビーム光投受光装置にプリズムとスキャンミラーを用いることにより、コンパクト化及び組み立て調整作業を容易化する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-149760号公報
【特許文献2】特開2012-68350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、一枚の受光レンズ内で近距離用の部位と遠距離用の部位を確保する必要があり、ある程度のサイズアップが避けられない。
一方、特許文献2の技術では、同軸構造によるサイズダウンが可能であるが、測距レンジを確保しようとすると、測距の方向によって見かけ上の受光エリアに増減が発生し、測距精度のばらつきが大きくなる、という問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、測距レンジを確保しつつ、可動ミラーの駆動によって発生する受光エリアの増減に伴う測距精度の悪化を抑制できる測距方法及び測距装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る測距方法及び測距装置は、光源からの放射光が可動ミラーに入射し、この可動ミラーのX軸とY軸を駆動して測距領域内を走査し、測定対象物で反射された反射光を前記可動ミラーを経由して受光し、投光タイミングと受光タイミングとの時間差に基づいて前記測定対象物までの距離を測定する方法及び装置であって、前記可動ミラーの傾きにより発生する見かけ上の面積の変化に応じて、前記光源の放射光量を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、可動ミラーの傾きにより発生する見かけ上の面積の変化に応じて光源の放射光量を制御するので、測距レンジを確保しつつ、可動ミラーの駆動によって発生する受光エリアの増減に伴う測距精度の悪化を抑制できる測距方法及び測距装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る測距装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示した測距装置において、光源から受光素子までの光の経路に着目して示す図である。
【
図3】スキャンミラーの角度変化による受光領域の変化について説明するための図である。
【
図4】スキャンミラーの角度変化による受光領域の変化について説明するための図である。
【
図5】スキャンミラーの角度変化による受光領域の変化について説明するための図である。
【
図6】スキャンミラーの角度変化による測距精度のばらつきを示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る測距方法について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る測距装置の概略構成図である。この測距装置は、レーザ投光部1、可動ミラー2、レーザ受光部3、測距部4、制御部5及び電源部6などを備えている。レーザ投光部1は、レーザ光源から放射光(レーザ光)Laを投光するもので、可動ミラー2を駆動することにより、放射光Laで測距領域AA内を走査する。測距領域AA内の測定対象物で反射された反射光Lbは、可動ミラー2を経由してレーザ受光部3で受光される。
【0010】
可動ミラー2には、例えば電磁駆動方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)二次元光スキャナが用いられ、レーザ投光部1の光源からの放射光Laをミラーで反射して測定対象物に照射する。光スキャナは、X軸とY軸の駆動周波数の組み合わせにより制御され、レーザ投光部1から放射されるパルス状の放射光Laを測距領域AA内で二次元走査、より具体的にはリサジュー走査またはラスター走査するようになっている。ここでは、X軸方向は奥行き方向、Y軸方向は上方向である。
【0011】
可動ミラー2としては、例えば、本出願人の特許第2722314号公報に記載の二次元走査型の半導体ガルバノミラーを用いることができる。この二次元ガルバノミラーは、2つの駆動コイル(内側駆動コイルと外側駆動コイル)にそれぞれ流れる各電流(交流電流)と、1対または2対の永久磁石による静磁界とによって2つの可動部(外側可動部及び内側可動部)にローレンツ力が作用し、その結果、内側可動部が二次元方向に揺動する。内側可動部が揺動することによって、ミラー面に入射される投光ビームが測距領域内でリサジュー走査またはラスター走査される。
【0012】
測定対象物で反射された反射光は、同じ経路を通って可動ミラー2に戻り、集光レンズを通ってレーザ受光部3の受光素子で受光される。そして、測距部4でレーザ投光部1から放射される光の投光タイミング(スタートタイミング)、レーザ受光部3で受光した測定対象物からの反射光の受光タイミング(ストップタイミング)、及び受光した光量に基づき所定の演算を行って測定対象物までの距離を算出する。この測距部4による演算結果のデータは、制御部5に入力される。
【0013】
制御部5は、外部とデータやコマンドの授受を行うとともに、メモリのリード/ライト(メモリR/W)を実行する。この制御部5は、レーザ投光部1のレーザ投光タイミング制御を行う。また、可動ミラー2のX軸とY軸を駆動する駆動信号を出力し、ミラー位置信号を受信するようになっている。制御部5には、可動ミラー2の傾きに基づいてレーザ投光部1からの放射光の光量を補正する補正値(投光パワーを増減させるデータ)を記憶したテーブルが設けられており、このテーブルに記憶された補正値に基づき放射光の光量を算出し、可動ミラー2の傾きに合わせて投光パワーを制御する。
【0014】
電源部6は、外部の電源に基づき、各機能部の動作電源を生成して各々に供給するものである。すなわち、電源部6からレーザ投光部1にレーザ電源、レーザ受光部3に受光素子電源、測距部4に測距計測電源、及び制御部5に制御部電源がそれぞれ供給される。
【0015】
図2は、
図1に示した測距装置において、光源から受光素子までの光の経路に着目して示す図である。レーザ投光部1には、例えば半導体レーザでレーザ光を投光ビームとして出射する光源10と、光源10からの投光ビームを平行光に変換するコリメートレンズ11とが含まれている。光源10から出射された投光ビームの光路には、測距領域AA内の物体(測定対象物17)からの反射光(戻り光)の光路を分離する投受光分離部材(プリズム)12が設けられている。レーザ受光部3は、投受光分離部材12で投光ビームと分離された戻り光を集光する集光レンズ14と、集光レンズ14で受光面に集光される戻り光を受光する受光素子15とを備える。また、スキャンミラー(可動ミラー)13は、投受光分離部材12からの投光ビームと戻り光を異なる領域で反射する。このスキャンミラー13の汚れ防止や保護のために、スキャンミラー13の前方で筐体等に取付けるカバーガラス16が設けられている。
【0016】
ここで、光源10、コリメートレンズ11、投受光分離部材12、スキャンミラー13、集光レンズ14及び受光素子15は、
図1の測距装置において、レーザ投光部1の光源、投光光学系、投受光分離部材及び可動ミラー2、レーザ受光部3の受光光学系と受光素子に、それぞれ対応するものである。
【0017】
投受光分離部材12は、光源10から出射されコリメートレンズ11で平行光に変換された投光ビームをスキャンミラー13方向に反射する反射面12aを有し、また、測距領域内の物体17で投光ビームの入射方向に反射されスキャンミラー13で反射された反射光(戻り光)を受光素子15方向に反射する反射面12bを有している。そして、スキャンミラー13へ向かう投光ビームの光路(
図2中、実線で示す)と、測距領域内の物体で反射しスキャンミラー13で反射した戻り光の光路(
図2中、破線で示す)と、を互いに分離する。
【0018】
図3乃至
図5はそれぞれ、ミラーの角度変化による受光領域の変化について説明するための図であり、光学角でX軸方向に約±30°、Y軸方向に約±20°、スキャンミラー13の角度を変化させて走査したときの受光エリアの例を示している(プリズム側からA-B線に沿った受光光線断面内のミラーエリアの割合)。ここでは、X軸方向は奥行き(紙面の手前から奥)方向、Y軸方向は上(紙面の下から上)方向であり、スキャンミラー13が楕円形状の場合に、角度を変化させたときの受光エリアの変化を示している。長方形で囲んだ領域ABが
図2のA-B線に沿った受光光線断面に対応しており、この領域AB内のハッチングを付した領域ACがスキャンミラー13の上部である。スキャンミラー13の下部は、光源10からの放射光(投光ビーム)を走査して測定対象物17に照射するために用いられる。
【0019】
図3はX軸方向に約-30°、スキャンミラー13を傾けたときの受光エリアを示しており、(a)図はY軸方向に約20°、(b)図はY軸方向に約0°、(c)図はY軸方向に約-20°それぞれ傾けている。
また、
図4はX軸方向にスキャンミラー13を傾けないときの受光エリアを示しており、(a)図はY軸方向のみに約20°、(b)図はY軸方向に約0°、(c)図はY軸方向のみに約-20°それぞれ傾けている。すなわち、
図4(b)は、スキャンミラー13が傾いていない状態、「X軸方向に約0°」、「Y軸方向に約0°」の場合の受光エリアの割合を示しており、この状態が受光エリアが約100%で基準となる。
更に、
図5はX軸方向に約30°、スキャンミラー13を傾けたときの受光エリアを示しており、(a)図はY軸方向に約20°、(b)図はY軸方向に約0°、(c)図はY軸方向に約-20°それぞれ傾けている。
【0020】
図3(a)に示すように、スキャンミラー13が「X軸方向に約-30°」、「Y軸方向に約20°」傾いたときの見かけ上の受光エリアは、
図4(b)に示したスキャンミラー13が傾いていない状態に対して約80%である。
図3(b)に示すように、スキャンミラー13が「X軸方向に約-30°」、「Y軸方向に約0°」傾いたときの見かけ上の受光エリアは約95%である。
図3(c)に示すように、スキャンミラー13が「X軸方向に約-30°」、「Y軸方向に約-20°」傾いたときの見かけ上の受光エリアは約105%である。
【0021】
図4(a)に示すように、スキャンミラー13が「X軸方向に約0°」、「Y軸方向に約20°」傾いたときの見かけ上の受光エリアの割合は約85%である。
図4(c)に示すように、スキャンミラー13が「X軸方向に約0°」、「Y軸方向に約-20°」傾いたときの見かけ上の受光エリアの割合は約110%である。
【0022】
図5(a)に示すように、スキャンミラー13が「X軸方向に約30°」、「Y軸方向に約20°」傾いたときの見かけ上の受光エリアの割合は約80%である。
図5(b)に示すように、スキャンミラー13が「X軸方向に約30°」、「Y軸方向に約0°」傾いたときの見かけ上の受光エリアの割合を示しており、この場合は約95%である。
図5(c)に示すように、スキャンミラー13が「X軸方向に約30°」、「Y軸方向に約-20°」傾いたときの見かけ上の受光エリアの割合は約105%である。
【0023】
図3乃至
図5に示したように、スキャンミラー13の上部を受光エリアに用いると、スキャンミラー13が上向きのときには、見かけ上の受光エリアの割合が減少し、この減少に伴って測距精度が悪化する。
【0024】
図6は、スキャンミラー13の角度変化による測距精度のばらつきを示す図である。
図6では、スキャンミラー13の角度と、5m先の低反射率ターゲートにおける測距精度のばらつき[cm]との関係を示している。スキャンミラー13が上向き(Y軸方向に約20°)のときに、スキャンミラー13がX軸方向に約30°、約0°、約-30°にそれぞれ傾いている場合には、一点鎖線(左)、実線(中)及び点線(右)に示すように、ばらつきが大きくなる。
これに対し、スキャンミラー13が正面(中)を向いているとき(Y軸方向に約0°)や、下向き(Y軸方向に約-20°)のときには、比較的ばらつきが小さい。
【0025】
しかし、本発明のように、スキャンミラー13の駆動に合わせて投光パワーを増減させる制御を行うことで、破線で示すように、測距精度のばらつきを抑制できる。具体的には、スキャンミラー13の傾きによる測定対象物17へ照射される光量の低下を、光源10の放射光量を増大させて補正し、光源10の放射光量はスキャンミラー13の傾きが大きくなるにしたがって増大させる。例えば、光源10がレーザダイオードの場合には、レーザダイオードに供給する電流を大きくして光量を増加させる。
【0026】
図7は、本発明の実施形態に係る測距方法について説明するためのフローチャートであり、1フレーム分の測距の手順を示している。センシングが開始されると、基準タイミングからの時刻の読み取りが実行される(ステップS1)。続いて、この基準タイミングからの時刻により、可動ミラー2(スキャンミラー13)の駆動状態が分かるので、可動ミラー2の傾きが計算される(ステップS2)。
【0027】
次に、測距画素の方向と一致しているか否か判断し(ステップS3)、一致していない場合にはレーザ光を放射せずにステップS1に戻る。一方、測距画素の方向と一致している場合には、光源10であるレーザダイオードのレーザパワー調整パラメータを、ステップS2の可動ミラー2の傾き計算結果に応じて補正する(ステップS4)。レーザパワー調整パラメータは、テーブルに補正値として記憶しておくことができる。この光源10の放射光量の制御は、可動ミラー2の傾きによる測定対象物17へ照射される光量の低下を、光源10の放射光量を増大させて補正するものであり、光源10の放射光量は可動ミラー2の傾きが大きくなるにしたがって増大させる。光源10がレーザダイオードの場合には、レーザダイオードに供給する電流を制御することで、放射光量を調整できる。
【0028】
次に、レーザ投光部1の光源10からレーザパルス放射を行い(ステップS5)、可動ミラー2により測距領域AA内をレーザパルスで走査し、測定対象物17で反射された反射光を可動ミラー2を介してレーザ受光部3に入力し、受光素子15で受光パルスを取得する(ステップS6)。続いて、ステップS5のレーザパルス放射のスタートタイミングと、ステップS6の受光パルスを取得したタイミング(ストップタイミング)との時間差から、測距値を算出する。そして、全画素が終了したか否か判断し(ステップS8)、全画素が終了していない場合には次の画素を選択(ステップS9)してステップS1に戻り、同様な測距動作を繰り返す。
一方、ステップS8で全画素が終了したと判断されると終了する。
【0029】
上記のような測距方法によれば、可動ミラーの傾きにより発生する見かけ上の面積の変化に応じて、光源の放射光量を制御するので、測距レンジを確保しつつ、可動ミラーの駆動によって発生する受光エリアの増減に伴う測距精度を安定化し、測定距離の均一化も図れる。
また、投光/受光同軸系タイプの測距装置に、プリズムとスキャンミラーを用いることで、コンパクト化と組立調整作業も容易化できる。
更に、
図6に一点鎖線(左)、実線(中)及び点線(右)で示したようなばらつきが改善され、破線で示すように、ほぼ一定の状態になる。
【0030】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することが可能である。例えば、投光ビームと受光ビームの軸が一致した投光/受光同軸系タイプについて説明したが、この構成に限定されるものではない。
【0031】
同軸系タイプは、投光部から投光された放射光が可動ミラーで反射されて測定領域内に照射されるまでの投光光路と、測定対象物で反射された反射光が可動ミラーで反射されて受光部で受光されるまでの受光光路が重なる構成であり、外乱光が受光器に入る可能性が低く、外乱光による影響を小さくできる。しかしながら、投光ビームと受光ビームの光路が異なっていても良いことはもちろんである。
【0032】
以上の実施形態で説明された回路構成や動作手順等については、本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものに過ぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【符号の説明】
【0033】
1…レーザ投光部、2…可動ミラー、3…レーザ受光部、4…測距部、5…制御部、6…電源部、10…光源、11…コリメートレンズ、12…投受光分離部材、13…スキャンミラー、14…集光レンズ、15…受光素子、16…カバーガラス、17…測定対象物(物体)、La…放射光、Lb…反射光、AA…測距領域、AB,AC…領域