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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115254
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】制御装置及び制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/04 20060101AFI20240819BHJP
   B60J 7/00 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
B60J3/04
B60J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020864
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 治彦
(72)【発明者】
【氏名】林 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】野村 英貴
(72)【発明者】
【氏名】鬼児島 理香
(57)【要約】
【課題】煩わしさを低減することができる制御装置及び制御システムを提供する。
【解決手段】制御装置1は、検出された検出対象者の状態に応じて制御対象の電子機器の制御を行う制御部10を備えて概略構成されている。制御部10は、車両8が予め定められた条件を満たした状態において、検出対象者の状態が覚醒度の高い状態である場合、複数のシェードのうち、少なくとも検出対象者が着座するシート側のシェードの透過率が高い際にはそのまま継続し、検出対象者の状態が覚醒度の低い状態である場合、複数のシェードのうち、少なくとも検出対象者が着座するシート側のシェードの透過率が高い際には低くするように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出された検出対象者の状態に応じて制御対象の電子機器の制御を行う制御部を備えた制御装置。
【請求項2】
前記電子機器は、車両の複数のウインドウごとに配置され、外部からの光の透過率を変える複数のシェードであり、
前記制御部は、前記車両が予め定められた条件を満たした状態において、前記検出対象者の状態が覚醒度の高い状態である場合、前記複数のシェードのうち、少なくとも前記検出対象者が着座するシート側のシェードの透過率が高い際にはそのまま継続し、前記検出対象者の状態が覚醒度の低い状態である場合、前記複数のシェードのうち、少なくとも前記検出対象者が着座するシート側のシェードの透過率が高い際には低くする、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検出対象者の状態が覚醒度の高い状態である場合、前記電子機器が実行する処理を継続させ、前記検出対象者の状態が覚醒度の低い状態である場合、前記電子機器が実行する処理を中断させる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出対象者の状態が前記覚醒度の低い状態から前記覚醒度の高い状態となると、中断した前記電子機器が実行する処理を再開させる、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検出対象者の眼が予め定められた開度しきい値以上に開いた状態である場合、前記覚醒度の高い状態であると判定し、前記検出対象者の眼が前記開度しきい値より閉じた状態である場合、前記覚醒度の低い状態であると判定する、
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出対象者の生体信号を取得し、取得した前記検出対象者の前記生体信号に基づいて前記覚醒度を判定する、
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
制御対象の電子機器と、
検出対象者の状態を検出する検出装置と、
前記検出装置によって検出された前記検出対象者の状態に応じて前記制御対象の前記電子機器の制御を行う制御部を有する制御装置と、
を備えた制御システム。
【請求項8】
前記電子機器は、車両の複数のウインドウごとに配置され、外部からの光の透過率を変える複数のシェードであり、
前記制御装置の前記制御部は、前記車両が予め定められた条件を満たした状態において、前記検出対象者の状態が覚醒度の高い状態である場合、前記複数のシェードのうち、少なくとも前記検出対象者が着座するシート側のシェードの透過率が高い際にはそのまま継続し、前記検出対象者の状態が覚醒度の低い状態である場合、前記複数のシェードのうち、少なくとも前記検出対象者が着座するシート側のシェードの透過率が高い際には低くする、
請求項7に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、窓ガラスを覆う方向である閉方向と、閉方向とは反対側の開方向とを含む開閉方向に動作するサンシェード部材と、サンシェード部材を駆動して、サンシェード部材を開閉方向に操作する駆動部と、を備えたサンシェード開閉装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
乗員は、運転席にある駆動操作部を操作することによってサンシェード部材を閉方向に駆動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-131681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のサンシェード開閉装置は、乗員が操作をしないとサンシェード部材を閉方向に駆動できないので、煩わしい。
【0006】
従って本発明の目的は、煩わしさを低減することができる制御装置及び制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、検出された検出対象者の状態に応じて制御対象の電子機器の制御を行う制御部を備えた制御装置を提供する。
【0008】
また本発明の他の一態様は、制御対象の電子機器と、検出対象者の状態を検出する検出装置と、検出装置によって検出された検出対象者の状態に応じて制御対象の電子機器の制御を行う制御部を有する制御装置と、を備えた制御システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、煩わしさを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)は、第1の実施の形態に係る制御装置が搭載された車両の一例を示す図であり、図1(b)は、制御装置のブロック図の一例である。
図2図2(a)は、第1の実施の形態に係る制御対象となるシェードにおいて透過率が高い状態の一例を示す図であり、図2(b)は、透過率が低い状態の一例を示す図である。
図3図3(a)は、第1の実施の形態に係る検出装置の配置の一例を示す図であり、図3(b)及び図3(c)は、検出対象者の覚醒度の一例を説明するための図である。
図4図4(a)は、第1の実施の形態に係る上目蓋から下目蓋までの距離と時間の一例を示すグラフであり、図4(b)は、検出対象者の眼が閉じたり開いたりを繰り返した場合の一例を示すグラフである。
図5図5は、変形例に係る制御装置のブロック図の一例である。
図6図6は、第1の実施の形態に係る制御装置の覚醒度の判定の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第1の実施の形態に係る制御装置のスイッチ操作を優先する動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、第1の実施の形態に係る制御装置の覚醒度の判定を優先する動作の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、第2の実施の形態に係る制御システムのブロック図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る制御装置は、検出された検出対象者の状態に応じて制御対象の電子機器の制御を行う制御部を備えて概略構成されている。
【0012】
また他の実施の形態に係る制御システムは、制御対象の電子機器と、検出対象者の状態を検出する検出装置と、検出装置によって検出された検出対象者の状態に応じて制御対象の電子機器の制御を行う制御部を有する制御装置と、を備えて概略構成されている。
【0013】
この制御装置及び制御システムは、検出対象者の状態に応じて制御対象の電子機器を制御するので、この構成を採用しない場合と比べて、制御対象の電子機器を操作する煩わしさを抑制することができる。
【0014】
[第1の実施の形態]
(制御装置1の概要)
図1(a)は、第1の実施の形態に係る制御装置が搭載された車両の一例を示す図であり、図1(b)は、制御装置のブロック図の一例である。図2(a)は、第1の実施の形態に係る制御対象となるシェードにおいて透過率が高い状態の一例を示す図であり、図2(b)は、透過率が低い状態の一例を示す図である。図3(a)は、第1の実施の形態に係る検出装置の配置の一例を示す図であり、図3(b)及び図3(c)は、検出対象者の覚醒度の一例を説明するための図である。
【0015】
なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率や形状は、実際の比率や形状とは異なる場合がある。また図1(b)、後述する図5及び図9では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。
【0016】
本実施の形態の制御装置1は、一例として、図1(a)に示すように、車両8に配置されている。なお制御装置1は、車両8に限定されず、住宅、ビルディングなどの建築物、航空機、列車などに配置された電子機器を制御するように構成されても良い。
【0017】
制御装置1は、図1(b)に示すように、検出された検出対象者の状態に応じて制御対象の電子機器の制御を行う制御部10を備えて概略構成されている。
【0018】
本実施の形態の電子機器は、車両8の複数のウインドウごとに配置され、外部からの光の透過率を変える複数のシェードである。本実施の形態の車両8は、一例として、4ドアであり、シェードが配置される複数のウインドウとして前部右ドア81の前部右ウインドウ810、前部左ドア82の前部左ウインドウ820、後部右ドア83の後部右ウインドウ830、後部左ドア84の後部左ウインドウ840、及びリアウインドウ86を有するがこれに限定されない。
【0019】
また本実施の形態の複数のシェードは、一例として、前部右ウインドウ810に配置された第1のシェード31、前部左ウインドウ820に配置された第2のシェード32、後部右ウインドウ830に配置された第3のシェード33、後部左ウインドウ840に配置された第4のシェード34、及びリアウインドウ86に配置された第5のシェード35であるがこれに限定されない。
【0020】
なおシェードは、車両8に配置された全てのウインドウのうち、少なくとも一部に設けられる。またシェードは、車両8の天井800に設けられたサンルーフに設けられても良い。さらにシェードは、車両8が停車中にのみ透過率が低くなるように構成されてフロントウインドウ85に設けられても良い。
【0021】
制御部10は、車両8が予め定められた条件を満たした状態において、検出対象者の状態が覚醒度の高い状態である場合、複数のシェードのうち、少なくとも検出対象者が着座するシート側のシェードの透過率が高い際にはそのまま継続し、検出対象者の状態が覚醒度の低い状態である場合、複数のシェードのうち、少なくとも検出対象者が着座するシート側のシェードの透過率が高い際には低くするように構成されている。
【0022】
制御装置1は、第1のシェード31~第5のシェード35、第1のシェード31~第5のシェード35の透過率を切り替える第1のスイッチ310~第5のスイッチ350、検出対象者の状態を検出する検出装置4、及び車両8を総合的に制御する車両制御装置80aに車両LAN(Local AreA Network)80bを介して電気的に接続されている。この車両LAN80bは、例えば、有線及び無線によって相互に信号や情報などの交換を可能とするCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)といった車両用ネットワークである。
【0023】
なお制御装置1は、第1のシェード31~第5のシェード35、第1のスイッチ310~第5のスイッチ350、検出装置4及び車両制御装置80aと車両LAN80bを介さずに電気的に接続されても良い。
【0024】
(第1のシェード31~第5のシェード35の構成)
第1のシェード31~第5のシェード35は、一例として、電子シェードとして構成されている。電子シェードとは、ウインドウに貼られたフィルム状のシェードである。この電子シェードは、一例として、電圧の印加によって透過率が高い状態から透過率が低い状態に変化する材料を用いて構成されている。透過率が高い状態とは、一例として、透過率が70%以上である状態である。また透過率が低い状態とは、一例として、透過率が70%未満である状態である。
【0025】
第1のシェード31~第5のシェード35は、車両8に搭載された第1のスイッチ310~第5のスイッチ350によって個別に透過率を切り替えることができるように構成されている。この第1のスイッチ310~第5のスイッチ350は、物理的なスイッチであっても良いし、表示装置に表示され、シェードの透過率を切り替える機能が割り当てられたアイコンであっても良い。
【0026】
第1のスイッチ310は、なされた操作によってスイッチ信号S1aを出力し、第1のシェード31の透過率を高い状態にしたり、低い状態にしたりする。同様に、第2のスイッチ320~第5のスイッチ350は、なされた操作によってスイッチ信号S2a~スイッチ信号S5aを出力し、第2のシェード32~第5のシェード35の透過率を高い状態にしたり、低い状態にしたりする。
【0027】
なお第1のシェード31~第5のシェード35は、電子シェードに限定されず、モータなどの駆動装置により駆動される電動シェードであっても良い。
【0028】
第1のシェード31~第5のシェード35は、制御装置1から出力された駆動信号S~駆動信号Sの入力に基づいて透過率を高い状態から低い状態、低い状態から高い状態へと切り替えるように構成されている。
【0029】
なお変形例として第1のシェード31~第5のシェード35は、駆動信号S~駆動信号Sに基づいて段階的に透過率を変更するように構成されても良い。
【0030】
(検出装置4の構成)
検出装置4は、一例として、図3(a)に示すように、車両8の乗員9の頭部90を撮像する少なくとも1つのカメラを備えて構成されている。なお変形例として検出装置4は、カメラに限定されず、LIDAR(Light Detection and Ranging)などを用いて構成されても良い。検出装置4がLIDARを用いて構成された場合、乗員9の顔の形状を検出して検出情報Sとして制御装置1に出力する。制御装置1は、一例として、検出された顔の形状の変化から眼91の形状の変化を検出し、覚醒度を判定する。
【0031】
運転席87に着座する乗員9、つまり運転者を撮像する場合、検出装置4は、例えば、車両8の天井800、インストルメントパネル801及びコラムカバー802などに配置される。助手席88に着座する乗員9を撮像する場合、検出装置4は、例えば、天井800及びインストルメントパネル801などに配置される。後部座席89に着座する乗員9を撮像する場合、検出装置4は、例えば、天井800、運転席87及び助手席88のヘッドレスト803などに配置される。なお検出装置4は、これらの配置に限定されず、対象の乗員9を撮像可能であればどこに配置されても良い。
【0032】
検出装置4は、撮像した乗員9の画像を検出情報Sとして制御装置1の制御部10に出力する。なお検出装置4は、撮像した画像から乗員9の覚醒度を算出し、その結果を出力するように構成されても良いし、後述する距離Lを出力するように構成されても良い。
【0033】
(車両制御装置80aの構成)
車両制御装置80aは、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。
【0034】
車両制御装置80aは、車両8の駆動装置、シフト装置及びブレーキ装置の状態の情報である車両情報Sを生成して制御装置1に出力するように構成されている。また車両制御装置80aは、一例として、第1のスイッチ310~第5のスイッチ350の操作に基づく第1のシェード31~第5のシェード35の透過率の状態に関する情報を車両情報Sとして制御装置1に出力する。
【0035】
(制御部10の構成)
制御部10は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU、半導体メモリであるRAM及びROMなどから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部10が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部10は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行う。
【0036】
制御部10は、図1(b)に示すように、開度しきい値Th及び時間しきい値Thを備えている。この開度しきい値Th及び時間しきい値Thは、制御部10のRAMやROMに記憶されても良いし、制御部10と電気的に接続された記憶部に記憶されても良い。
【0037】
この制御部10は、図3(b)及び図3(c)に示すように、検出対象者の眼91が予め定められた開度しきい値Th以上に開いた状態である場合、覚醒度の高い状態であると判定し、検出対象者の眼91が開度しきい値Thより閉じた状態である場合、覚醒度の低い状態であると判定する。
【0038】
覚醒度が高い場合、乗員9は、一例として、図3(b)に示すように、眼91が開くので、上目蓋91aから下目蓋91bまでの距離Lが大きくなる。また覚醒度が低い場合、乗員9は、一例として、図3(c)に示すように、眼91が閉じるので、上目蓋91aから下目蓋91bまでの距離Lが小さくなる。なお距離Lは、一例として、上目蓋91aの中央付近から下目蓋91bの中央付近までの距離、つまり上目蓋91aから下目蓋91bまでの距離において最も大きくなる位置で測定しているがこれに限定されない。
【0039】
制御部10は、一例として、検出装置4から取得した検出情報Sに基づく画像を二値化し、検出対象者の上目蓋91aと下目蓋91bの縁を抽出して距離Lを算出する。なお距離Lの算出方法は、これに限定されない。
【0040】
制御部10は、算出した距離Lと開度しきい値Thとを比較して覚醒度を判定する。制御部10は、図3(b)に示すように、距離Lが開度しきい値Th以上である場合、覚醒度が高いと判定する。また制御部10は、図3(c)に示すように、距離Lが開度しきい値Th未満である場合、覚醒度が低いと判定する。
【0041】
制御部10は、車両8の状態に応じて検出対象者の覚醒度が低い場合、検出対象者に近いシェードの透過率を低くするように構成されている。
【0042】
制御部10は、例えば、車両8が停止している場合、車両8が停止してさらにシフト装置がパーキング位置に操作されている場合、車両8の駆動装置が停止している場合、駆動装置が停止してさらにシフト装置がパーキング位置に操作されている場合などの車両8の状態により、覚醒度が低い検出対象者に近いシェードの透過率を低くする。
【0043】
一方、制御部10は、車両8の状態によっては、検出対象者の覚醒度が低くても運転席87側の第1のシェード31、及び助手席88側の第2のシェード32の透過率を低くしない。
【0044】
制御部10は、例えば、車両8が走行している場合、車両8が停止しているがシフト装置がドライブ位置に操作されている場合、車両8の駆動装置が始動している場合などの車両8の状態により、検出対象者の覚醒度が低くても運転席87側の第1のシェード31、及び助手席88側の第2のシェード32の透過率を低くしないように構成されている。
【0045】
この車両8の状態は、車両制御装置80aから出力される車両情報Sによって判定される。車両制御装置80aは、上述の運転席87側の第1のシェード31、及び助手席88側の第2のシェード32の透過率を低くしない条件が満たされている場合、条件が満たされていないことを示す車両情報Sを出力するように構成されても良いし、透過率を低くすることを許可する車両情報Sを出力するように構成されても良いし、許可するか否かを示す車両情報Sを出力するように構成されても良い。
【0046】
本実施の形態では、車両情報Sは、一例として、運転席87側の第1のシェード31、及び助手席88側の第2のシェード32の透過率を低くすることを許可するか否かを示す車両情報Sを出力するものとする。
【0047】
図4(a)は、第1の実施の形態に係る上目蓋から下目蓋までの距離と時間の一例を示すグラフであり、図4(b)は、検出対象者の眼が閉じたり開いたりを繰り返した場合の一例を示すグラフである。図4(a)及び図4(b)では、縦軸が距離Lであり、横軸が時間tである。
【0048】
検出対象者の覚醒度が高い状態から低い状態と移行する際、一例として、図4(a)に示すように、距離Lが大きい状態から小さい状態に移行する。制御部10は、距離Lと開度しきい値Thとを比較し、時間tにおいて距離Lが開度しきい値Th未満となると、距離Lが測定された乗員の近くのシェードの透過率を低くする。
【0049】
なお上目蓋91aから下目蓋91bまでの距離Lは、図4(a)に示すように、短調に変化するとは限らず、また覚醒度が高くても瞬きをするので、距離Lが開度しきい値Th以上となったり、未満となったりを繰り返す。
【0050】
図4(b)では、一例として、検出対象者の眼91が閉じたり開いたりを繰り返しているので、時間tにおいて距離Lが開度しきい値Th未満となり、時間tにおいて距離Lが開度しきい値Th以上となり、時間tにおいて距離Lが開度しきい値Th未満となり、時間tにおいて距離Lが開度しきい値Th以上となり、時間tにおいて距離Lが開度しきい値Th未満となっている。
【0051】
この場合、時間tから時間tの間、時間tから時間tの間、そして時間t以降に、距離Lは、開度しきい値Th未満となり、シェードの透過率を低くする条件を満足する。この通りに透過率を切り替えた場合、透過率が高くなったり、低くなったりを短時間で繰り返して乗員にとって煩わしい。
【0052】
そこで制御部10は、距離Lが短時間で開度しきい値Th以上と未満を繰り返し、透過率が頻繁に変わらないように、時間しきい値Thが設定されている。制御部10は、時間しきい値Th以上、距離Lが開度しきい値Th未満となった場合、シェードの透過率を高い状態から低く制御する。この時間しきい値Thは、一例として、5秒以上であるがこれに限定されない。
【0053】
また覚醒度は、図3(b)及び図3(c)に示すように、眼91の虹彩91cの真円度に基づいて判断されても良い。虹彩91cは、覚醒度が高い場合、真円に近く、覚醒度が低い場合、真円から離れる。
【0054】
・変形例について
制御部10は、検出対象者の生体信号を取得し、取得した検出対象者の生体信号に基づいて覚醒度を判定するように構成されても良い。この変形例の検出装置4は、一例として、検出対象者が装着するスマートウォッチなどのウェアラブルデバイス、乗員を撮像するカメラ、及び生体信号を検出するセンサなどを用いて検出対象者の生体信号を検出するように構成されている。
【0055】
生体信号は、一例として、検出対象者の心拍数、呼吸量、体温などである。制御部10は、このような生体信号に応じたしきい値を有し、検出対象者の覚醒度を判定する。なお制御部10は、これら複数の生体信号を用いて覚醒度を判定しても良い。
【0056】
制御部10は、例えば、生体信号として心拍数を使用する場合、検出装置4により検出される心拍数に基づいて検出対象者の覚醒度を判断する。心拍数は、一例として、予め定められた期間で計測され、その平均値が使用されるがこれに限定されない。覚醒度は、心拍数が低いほど低く、心拍数が高いほど高くなる傾向を有する。なお心拍数に対応する覚醒度の高低を判断するためのしきい値は、例えば、実験やシミュレーションなどによって得られる。
【0057】
制御部10は、例えば、生体信号として呼吸量を使用する場合、検出装置4により検出される呼吸量に基づいて検出対象者の覚醒度を判断する。呼吸量は、一例として、予め定められた期間で計測され、その平均値が使用されるがこれに限定されない。覚醒度は、呼吸量が小さいほど低く、呼吸量が大きいほど高くなる傾向を有する。なお呼吸量に対応する覚醒度の高低を判断するためのしきい値は、例えば、実験やシミュレーションなどによって得られる。
【0058】
制御部10は、例えば、生体信号として体温を使用する場合、検出装置4により検出される体温に基づいて検出対象者の覚醒度を判断する。体温は、一例として、予め定められた期間で計測され、その平均値が使用されるがこれに限定されない。覚醒度は、体温が低いほど低く、体温が高いほど高くなる傾向を有する。なお体温に対応する覚醒度の高低を判断するためのしきい値は、例えば、実験やシミュレーションなどによって得られる。
【0059】
図5は、変形例に係る制御装置のブロック図の一例である。変形例として制御部10は、図5に示すように、検出対象者の状態が覚醒度の高い状態である場合、電子機器5が実行する処理を継続させ、検出対象者の状態が覚醒度の低い状態である場合、電子機器5が実行する処理を中断させるように構成されている。
【0060】
また制御部10は、検出対象者の状態が覚醒度の低い状態から覚醒度の高い状態となると、中断した電子機器5が実行する処理を再開させるように構成されている。
【0061】
例えば、電子機器5が映像再生装置であり、処理として再生処理を行なっていた場合、制御部10は、検出装置4の検出結果に基づいて検出対象者の覚醒度が高い状態から低い状態になると、電子機器5の再生処理を中断させる。そして制御部10は、検出装置4の検出結果に基づいて検出対象者の覚醒度が低い状態から高い状態になると、中断させていた再生処理を中断した再生位置から再生させる。
【0062】
制御部10は、図5に示すように、検出装置4の検出結果に基づいて覚醒度が高い状態から低い状態になった場合、処理を中断させる制御信号Sを電子機器5に出力する。また制御部10は、処理が中断されており、検出装置4の検出結果に基づいて覚醒度が低い状態から高い状態になった場合、中断した処理を再開させる制御信号Sを電子機器5に出力する。
【0063】
なお電子機器5は、映像再生装置に限定されない。また検出装置4は、検出対象者が装着するスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスなどであっても良い。さらに制御装置1、検出装置4及び電子機器5は、車両に搭載されたものに限定されず、航空機や建築物に配置されても良い。
【0064】
(動作)
図6は、第1の実施の形態に係る制御装置の覚醒度の判定の一例を示すフローチャートである。図7は、第1の実施の形態に係る制御装置のスイッチ操作を優先する動作の一例を示すフローチャートである。図8は、第1の実施の形態に係る制御装置の覚醒度の判定を優先する動作の一例を示すフローチャートである。以下では、制御装置1の動作について図6図8のフローチャートに従って説明する。
【0065】
・覚醒度の判定動作について
制御装置1の制御部10は、車両制御装置80aから出力される車両情報Sに基づいて車両8が停車中であるか否かを判定する。制御部10は、車両8が停車中である場合(Step1:Yes)、車両8に乗車する全ての乗員を検出対象者として覚醒度の判定を行う(Step2)。また制御部10は、車両8が走行中である場合(Step2:No)、後部座席89に着座する乗員を検出対象者として覚醒度の判定を行う(Step3)。
【0066】
制御部10は、検出装置4から出力された検出情報Sに基づいて検出対象者となる乗員の上目蓋91aと下目蓋91bの距離Lと開度しきい値Thとを比較する。制御部10は、ステップ4の「Yes」が成立する、つまり距離Lが開度しきい値Th未満であった場合(Step4:Yes)、開度しきい値Th未満となってからの持続時間を計測する。
【0067】
制御部10は、持続時間が時間しきい値Th以上となった場合(Step5:Yes)、覚醒度が低いと判定する(Step6)。
【0068】
なおステップ5において制御部10は、持続時間が時間しきい値Th未満であった場合(Step5:No)、ステップ4に処理を進める。なお変形例としてステップ5において制御部10は、持続時間が時間しきい値Th未満であった場合(Step5:No)、ステップ1に処理を進めても良い。
【0069】
・スイッチ操作を優先する動作について
なお第1のシェード31~第5のシェード35は、初期状態として透過率が高い状態にあるものとする。
【0070】
制御装置1の制御部10は、第1のスイッチ310~第5のスイッチ350から出力されるスイッチ信号S2a~スイッチ信号S5aに基づいてスイッチがオン操作されるか否かを監視する。制御部10は、スイッチがオン操作された場合(Step10:Yes)、操作されたスイッチに対応するシェードの透過率を低くする(Step11)。
【0071】
制御部10は、透過率が低いシェードに関連するスイッチがオフ操作されるか否かを監視する。制御部10は、ステップ12の「Yes」が成り立つ、つまりスイッチがオフ操作された場合(Step12:Yes)、操作されたスイッチに対応するシェードの透過率を高くし(Step13)、ステップ1に処理を進める。
【0072】
ここでステップ10において制御部10は、スイッチがオン操作されない場合(Step10:No)、検出装置4から出力される検出情報Sに基づいて検出対象者となる乗員ごとの覚醒度を判定する。覚醒度の判定は、図6に示すフローチャートに従う。
【0073】
制御部10は、検出対象者の覚醒度が低い場合(Step14:Yes)、ステップ11に処理を進める。
【0074】
またステップ14において制御部10は、検出対象者の覚醒度が高い場合(Step14:No)、ステップ13に処理を進める。
【0075】
・覚醒度の判定を優先する動作について
なお第1のシェード31~第5のシェード35は、初期状態として透過率が高い状態にあるものとする。
【0076】
制御部10は、覚醒度の判定を優先する場合、スイッチ操作を優先する図7のフローチャートとステップ12の処理が異なっている。
【0077】
制御部10は、ステップ12においてスイッチがオフ操作されない場合(Step12:No)、ステップ14に処理を進めて覚醒度を判定する。
【0078】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る制御装置1は、煩わしさを低減することができる。制御装置1は、乗員の覚醒度に応じてシェードの透過率を切り替えるので、スイッチのみによって切り替え可能な場合と比べて、スイッチを操作することなく透過率が切り替わり、煩わしさを抑制することができる。
【0079】
制御装置1は、例えば、乗員が仮眠する場合、覚醒度が低くなったことをトリガとして透過率を低くするので、この構成を採用しない場合と比べて、操作の手間が抑制される。
【0080】
制御装置1は、乗員が無意識状態であっても透過率を低くして乗員の状態に適した環境を整えるので、この構成を採用しない場合と比べて、利便性の高い操作を代行して行うことができ、無駄な操作を抑制することができる。
【0081】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、制御システムとして構成される点で第1の実施の形態と異なっている。
【0082】
図9は、第2の実施の形態に係る制御システムのブロック図の一例である。なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0083】
制御システム6は、図9に示すように、制御対象の電子機器と、検出対象者の状態を検出する検出装置4と、検出装置4によって検出された検出対象者の状態に応じて制御対象の電子機器の制御を行う制御部10を有する制御装置1と、を備えて概略構成されている。
【0084】
この電子機器は、図9に示すように、車両8の複数のウインドウごとに配置され、外部からの光の透過率を変える複数のシェードである。本実施の形態の複数のシェードは、一例として、第1の実施の形態と同様に、第1のシェード31~第5のシェード35であるがこれに限定されない。
【0085】
制御装置1の制御部10は、車両8が予め定められた条件を満たした状態において、検出対象者の状態が覚醒度の高い状態である場合、複数のシェードのうち、少なくとも検出対象者が着座するシート側のシェードの透過率が高い際にはそのまま継続し、検出対象者の状態が覚醒度の低い状態である場合、複数のシェードのうち、少なくとも検出対象者が着座するシート側のシェードの透過率が高い際には低くするように構成されている。
【0086】
検出装置4は、検出対象者の眼91の開度を検出するように構成されている。制御装置1の制御部10は、検出装置4が検出した検出対象者の眼91の開度に基づいて検出対象者の眼91が予め定められた開度しきい値Th以上に開いた状態である場合、覚醒度の高い状態であると判定し、検出対象者の眼91が開度しきい値Thより閉じた状態である場合、覚醒度の低い状態であると判定する。
【0087】
・変形例について
制御システム6の制御装置1の制御部10は、検出対象者の状態が覚醒度の高い状態である場合、電子機器が実行する処理を継続させ、検出対象者の状態が覚醒度の低い状態である場合、電子機器が実行する処理を中断させるように構成されている。
【0088】
また制御装置1の制御部10は、検出対象者の状態が覚醒度の低い状態から覚醒度の高い状態となると、中断した電子機器が実行する処理を再開させるように構成されている。
【0089】
他の変形として制御システム6の検出装置4は、検出対象者の生体信号を検出するように構成されている。制御装置1の制御部10は、検出装置4が検出した検出対象者の生体信号を取得し、取得した検出対象者の生体信号に基づいて覚醒度を判定するように構成されている。
【0090】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態の制御システム6は、検出対象者の状態に応じて制御対象の電子機器を制御するので、この構成を採用しない場合と比べて、制御対象の電子機器を操作する煩わしさを抑制することができる。
【0091】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1…制御装置、4…検出装置、5…電子機器、6…制御システム、8…車両、9…乗員、10…制御部、31~35…第1のシェード~第5のシェード、91…眼、91a…上目蓋、91b…下目蓋、91c…虹彩
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9