(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115256
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】ストロークセンサ
(51)【国際特許分類】
G05G 25/00 20060101AFI20240819BHJP
G05G 1/38 20080401ALI20240819BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
G05G25/00 C
G05G1/38
G01B7/30 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020866
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】川口 健一
【テーマコード(参考)】
2F063
3J070
【Fターム(参考)】
2F063AA35
2F063BA30
2F063CA31
2F063GA52
3J070AA32
3J070BA51
3J070BA67
3J070BA81
3J070CB02
3J070CB37
3J070CC71
3J070CD15
3J070DA01
(57)【要約】
【課題】異物による不具合を抑制することができるストロークセンサを提供する。
【解決手段】ストロークセンサ1は、なされた操作によって回転する回転体3と、回転体3に配置され、磁場40を生成する磁石4と、回転体3の回転に伴って変化する磁場40を検出する検出部5と、第1の面20側に回転体3が回転可能に取り付けられ、第1の面20の反対の面である第2の面21側に検出部5が取り付けられた本体2と、を備えて概略構成されている。このストロークセンサ1は、取付位置11では回転体3の回転軸10に沿った本体2に対する回転体3の取り付け、及び取り外しを可能とし、初期位置12及び操作位置13では本体2に対する回転体3の取り外しを妨げると共に回転体3を本体2に保持する保持機構15を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
なされた操作によって回転する回転体と、
前記回転体に配置され、磁場を生成する磁場生成部と、
前記回転体の回転に伴って変化する前記磁場を検出する検出部と、
第1の面側に前記回転体が回転可能に取り付けられ、前記第1の面の反対の面である第2の面側に前記検出部が取り付けられた本体と、
を備えたストロークセンサ。
【請求項2】
前記回転体は、前記本体に取り付けられる際の取付位置、取り付けられた後の初期位置、及び操作がなされた際の操作位置を前記本体に対して有し、
前記取付位置では前記回転体の回転軸に沿った前記本体に対する前記回転体の取り付け、及び取り外しを可能とし、前記初期位置及び前記操作位置では前記本体に対する前記回転体の取り外しを妨げると共に前記回転体を前記本体に保持する保持機構を備えた、
請求項1に記載のストロークセンサ。
【請求項3】
前記回転体は、円柱形状を有する回転体本体と、前記回転体本体の周囲に設けられたフランジと、前記フランジに設けられた複数の切欠部と、を有し、
前記本体は、前記フランジを収容する収容部と、前記回転軸方向に突出し、前記収容部に収容された前記フランジを保持する複数の突出部と、を有し、
前記保持機構は、前記フランジ及び前記複数の突出部により構成され、
前記取付位置は、前記複数の切欠部に前記複数の突出部を合わせた位置であり、
前記初期位置及び前記操作位置は、前記複数の切欠部を前記複数の突出部に嵌め、回転させた位置である、
請求項2に記載のストロークセンサ。
【請求項4】
前記複数の切欠部は、少なくとも1つの切欠部が他の切欠部と形状が異なり、
前記複数の突出部は、前記複数の切欠部に応じて少なくとも1つの突出部が他の突出部と形状が異なった、
請求項3に記載のストロークセンサ。
【請求項5】
前記回転体は、規制突起を有する規制部を有し、
前記本体は、前記規制突起が嵌ることで少なくとも前記初期位置を定める規制開口を有した、
請求項3に記載のストロークセンサ。
【請求項6】
前記回転体は、円柱形状を有する回転体本体と、前記回転体本体の周囲に設けられたフランジと、を有し、
前記本体は、前記回転軸方向に突出し、前記フランジを保持する複数の突出部と、を有し、
前記フランジ及び前記複数の突出部によって構成され、前記回転体を前記本体に対して回転可能に保持する保持機構を備えた、
請求項1に記載のストロークセンサ。
【請求項7】
前記回転体は、レバー操作部と連結される連結部を有し、
前記レバー操作部になされた操作による前記連結部を介した前記回転体の回転に伴う前記磁場の変化に応じて前記検出部から出力された出力信号を前記レバー操作部のストローク量に変換する変換部を備えた、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のストロークセンサ。
【請求項8】
前記変換部及び前記検出部は、基板に配置され、
前記基板は、前記本体の前記第2の面側に配置された、
請求項7に記載のストロークセンサ。
【請求項9】
前記本体は、前記回転体の回転軸が中心を通る回転軸収容部を収容部に有し、
前記回転体は、前記回転軸収容部に収容される軸部を有し、
前記磁場生成部は、前記軸部の先端に取り付けられた、
請求項8に記載のストロークセンサ。
【請求項10】
前記回転体と前記本体の間に配置され、前記回転体に対し、前記レバー操作部の操作方向と逆方向に弾性力を付加する弾性体を有した、
請求項9に記載のストロークセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロークセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、ブレーキペダルの操作ストロークに対応して出力を変化させるブレーキストロークセンサを備えたブレーキペダルユニットが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このブレーキストロークセンサは、検出ロッドの先端がダッシュボードを貫通してブレーキペダルの上下方向の中間位置に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のブレーキペダルユニットは、検出ロッドがブレーキペダルの操作に応じてブレーキストロークセンサの本体内に出入りするので、検出ロッドが出入りする貫通孔から本体内に水などの異物が侵入し、本体内の電子部品の不具合の原因となる可能性がある。
【0006】
従って本発明の目的は、異物による不具合を抑制することができるストロークセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、なされた操作によって回転する回転体と、回転体に配置され、磁場を生成する磁場生成部と、回転体の回転に伴って変化する磁場を検出する検出部と、第1の面側に回転体が回転可能に取り付けられ、第1の面の反対の面である第2の面側に検出部が取り付けられた本体と、を備えたストロークセンサを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、異物による不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサが配置された車両の一例を示す図であり、
図1(b)は、ストロークセンサが配置されたペダル装置の一例を示す図である。
【
図2】
図2(a)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサの一例を示す展開図であり、
図2(b)は、ストロークセンサの一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサの回転体の裏側の一例を示す図であり、
図3(b)は、磁石と検出部の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、第1の実施の形態のストロークセンサの本体の斜視図の一例である。
【
図5】
図5(a)は、第1の実施の形態のストロークセンサの第1の面側の一例を示す図であり、
図5(b)は、本体の第2の面側の一例を示す図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサとレバー操作部との連結の一例について説明するための図である。
【
図7】
図7(a)は、第1の実施の形態に係る磁石が生成する磁場の変化と出力信号の関係の一例を説明するための図であり、
図7(b)は、制御部から出力されるストローク量を示すストローク量信号の一例を示す図である。
【
図8】
図8(a)~
図8(c)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサの取付位置、初期位置及び操作位置におけるコイルバネの一例を示す図である。
【
図9】
図9(a)~
図8(c)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサの取付位置、初期位置及び操作位置における回転体の一例を示す図である。
【
図10】
図10(a)~
図10(c)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサの取付位置、初期位置及び操作位置における規制部の一例を示す図である。
【
図11】
図11(a)は、第2の実施の形態に係るストロークセンサの一例を示す斜視図であり、
図11(b)は、ストロークセンサの一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係るストロークセンサは、なされた操作によって回転する回転体と、回転体に配置され、磁場を生成する磁場生成部と、回転体の回転に伴って変化する磁場を検出する検出部と、第1の面側に回転体が回転可能に取り付けられ、第1の面の反対の面である第2の面側に検出部が取り付けられた本体と、を備えて概略構成されている。
【0011】
このストロークセンサは、回転体が取り付けられた第1の面側とは反対の面となる第2の面側に検出部が配置されているので、同じ面側に回転体と検出部を配置する場合と比べて、回転体側から検出部側に異物が侵入することがなく、異物による不具合を抑制することができる。
【0012】
[第1の実施の形態]
(ストロークセンサ1の概要)
図1(a)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサが配置された車両の一例を示す図であり、
図1(b)は、ストロークセンサが配置されたペダル装置の一例を示す図である。
図2(a)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサの一例を示す展開図であり、
図2(b)は、ストロークセンサの一例を示すブロック図である。
図3(a)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサの回転体の裏側の一例を示す図であり、
図3(b)は、磁石と検出部の一例を説明するための図である。
【0013】
なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率や形状は、実際の比率や形状とは異なる場合がある。また
図2(b)では、主な信号の流れを矢印で示している。さらに数値範囲を示す「A~B」は、A以上B以下の意味で用いるものとする。
【0014】
本実施の形態のストロークセンサ1は、一例として、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、車両9のブレーキ装置90のストローク量を検出するように構成されているがこれに限定されず、アクセル装置91などのレバー操作部のストローク量を検出したり、回転操作部の回転量を検出したりするセンサとして使用可能である。
【0015】
電気自動車(Electric Vehicle)は、駆動装置として少なくともモータを含んで構成されている。この電気自動車は、例えば、電気エネルギーをより多く回収するために、車両に装備されている機械式ブレーキと回生ブレーキとを自動制御して使い分けている。後述する車両制御装置95は、ブレーキ装置90のストローク量に応じて必要とされる減速度を判断し、機械式ブレーキと回生ブレーキのブレーキ力を最適配分して電気エネルギーを効率良く回収するように構成されている。本実施の形態のストロークセンサ1は、電気エネルギーを効率良く回収するためにブレーキ装置90に配置されている。
【0016】
具体的には、ストロークセンサ1は、
図1(b)、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、なされた操作によって回転する回転体3と、回転体3に配置され、磁場40を生成する磁場生成部と、回転体3の回転に伴って変化する磁場40を検出する検出部5と、第1の面20側に回転体3が回転可能に取り付けられ、第1の面20の反対の面である第2の面21側に検出部5が取り付けられた本体2と、を備えて概略構成されている。
【0017】
本実施の形態の磁場生成部は、一例として、ネオジウムなどを用いて形成された磁石4であるがこれに限定されず、電磁石であっても良い。
【0018】
回転体3は、
図1(b)に示すように、本体2に取り付けられる際の後述する取付位置11、取り付けられた後の初期位置12、及び操作がなされた際の操作位置13を本体2に対して有している。なお操作位置13は、例えば、レバー本体901の回転が許容される最大の位置である。従ってレバー本体901は、なされた操作によって初期位置12から操作位置13まで間を移動する。
【0019】
ストロークセンサ1は、後述する取付位置11では回転体3の回転軸10に沿った本体2に対する回転体3の取り付け、及び取り外しを可能とし、初期位置12及び操作位置13では本体2に対する回転体3の取り外しを妨げると共に回転体3を本体2に保持する保持機構15を備えている。
【0020】
この回転体3は、
図2(a)に示すように、規制突起36bを有する規制部36を有している。本体2は、規制突起36bが嵌ることで少なくとも初期位置12を定める規制開口225を有している。
【0021】
具体的には、回転体3は、一例として、
図3(a)に示すように、フランジ31の裏面311から周方向に沿って設けられた支持部36a、及び支持部36aから回転体3の外方向に突出する規制突起36bを有する規制部36を有している。本体2は、一例として、後述する
図10(b)に示すように、収容部22の側面220に設けられ、規制突起36bが嵌ることで少なくとも初期位置12を定める規制開口225を有している。
【0022】
また回転体3は、
図2(a)に示すように、レバー操作部と連結される連結部320を有している。ストロークセンサ1は、レバー操作部になされた操作による連結部320を介した回転体3の回転に伴う磁場40の変化に応じて検出部5から出力された出力信号S
1をレバー操作部のストローク量に変換する変換部としての制御部8を備えて概略構成されている。
【0023】
本実施の形態のレバー操作部は、一例として、
図1(b)に示すように、ブレーキ装置90のレバー操作部903である。
【0024】
さらにストロークセンサ1は、
図2(a)に示すように、回転体3と本体2の間に配置され、回転体3に対し、レバー操作部903の操作方向と逆方向に弾性力を付加する弾性体としてのコイルバネ6を備えている。
【0025】
本体2は、
図2(a)に示すように、回転体3の回転軸10が中心を通る回転軸収容部24を収容部22に有している。回転体3は、回転軸収容部24に収容される軸部35を有している。磁石4は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、軸部35の先端に取り付けられている。
【0026】
回転体3は、
図2(a)及び
図3(a)に示すように、円柱形状を有する回転体本体30と、回転体本体30の周囲に設けられたフランジ31と、フランジ31に設けられた複数の切欠部と、を有している。本体2は、フランジ31を収容する収容部22と、回転軸方向に突出し、収容部22に収容されたフランジ31を保持する複数の突出部と、を有している。保持機構15は、フランジ31及び複数の突出部により構成されている。取付位置11は、複数の切欠部に複数の突出部を合わせた位置である。初期位置12及び操作位置13は、複数の切欠部を複数の突出部に嵌め、回転させた位置である。
【0027】
複数の切欠部は、少なくとも1つの切欠部が他の切欠部と形状が異なっている。複数の突出部は、複数の切欠部に応じて少なくとも1つの突出部が他の突出部と形状が異なっている。
【0028】
なお回転体3は、切欠部をフランジ31に有する構成に限定されず、フランジ31を備えず、回転体本体30に複数の切欠部を有する構成としても良い。またこの複数の切欠部は、少なくとも1つの切欠部が他の切欠部と形状が異なる構成とされても良い。これらの場合、回転体本体30は、一例として、周方向に切欠部と繋がる溝を有し、その溝に突出部が嵌ることにより、回転体3が本体2に対して回転可能に取り付けられると共に保持される。また回転体3は、少なくとも1つの切欠部が他の切欠部と形状が異なることから取付位置11において本体2に取り付け可能となり、誤った組み付けを抑制することができる。
【0029】
本実施の形態の複数の切欠部は、一例として、
図3(a)に示すように、第1の切欠部312~第3の切欠部314であるがこれに限定されない。また本実施の形態の複数の突出部は、一例として、
図2(a)に示すように、第1の突出部222~第3の突出部224であるがこれに限定されない。
【0030】
制御部8及び検出部5は、後述するように、基板7に配置されている。この基板7は、本体2の第2の面21側に配置されている。基板7は、一例として、プリント配線基板である。
【0031】
車両制御装置95は、一例として、車両9を総合的に制御するように構成されている。この車両制御装置95は、一例として、ストロークセンサ1が出力するストローク量信号S2に基づいて機械式ブレーキと回生ブレーキのブレーキ力を最適配分して電気エネルギーを効率良く回収するように構成されている。
【0032】
(本体2の構成)
図4(a)及び
図4(b)は、第1の実施の形態のストロークセンサの本体の斜視図の一例である。
図5(a)は、第1の実施の形態のストロークセンサの第1の面側の一例を示す図であり、
図5(b)は、本体の第2の面側の一例を示す図である。
【0033】
本体2は、一例として、PBT(Poly Butylene Terephthalate)などの樹脂材料を用いて形成されている。本体2は、
図4(a)~
図5(b)に示すように、主に、収容部22と、バネ収容部23と、回転軸収容部24と、取付部25a及び取付部25bと、コネクタ部26と、電子部品収容部27と、を備えている。
【0034】
収容部22は、円筒形状を有している。この収容部22は、側面220の内面221から回転軸10の方向に向かって突出する第1の突出部222~第3の突出部224を有している。
【0035】
第1の突出部222~第3の突出部224は、一例として、四角柱形状を有しているがこれに限定されない。第1の突出部222は、
図4(a)~
図5(a)に示すように、他の突出部としての第2の突出部223及び第3の突出部224と形状が異なっている。具体的には、第1の突出部222は、
図5(a)に示すように、第2の突出部223及び第3の突出部224と比べて幅が広くなっている。第1の突出部222~第3の突出部224は、一例として、120°間隔で設けられているがこれに限定しない。
【0036】
バネ収容部23は、収容部22よりも半径が小さい円筒形状を有している。コイルバネ6は、バネ収容部23と回転軸収容部24との間に収容されている。このバネ収容部23と回転軸収容部24との間には、後述するコイルバネ6の第1の端部60が取り付けられるバネ取付部230が設けられている。
【0037】
回転軸収容部24は、バネ収容部23よりも半径が小さい円筒形状を有している。この回転軸収容部24は、回転体3の軸部35が挿入され、回転体3の回転を案内している。
【0038】
取付部25a及び取付部25bは、
図2(a)に示すように、収容部22を挟んで突出して設けられている。この取付部25a及び取付部25bは、貫通孔250及び貫通孔251が設けられている。この貫通孔250及び貫通孔251には、カラーが挿入され、ボルト250a及びボルト251aが挿入される。ストロークセンサ1は、
図1(b)に示すように、このボルト250a及びボルト251aによってブレーキ装置90のブラケット900に取り付けられている。
【0039】
コネクタ部26は、
図5(b)に示すように、基板7に配置された電子部品と電気的に接続された複数のコネクタピン260が内部に露出するように構成されている。このコネクタ部26は、車両9のハーネス92のコネクタと接続され、基板7の電気部品と車両制御装置95とを電気的に接続している。
【0040】
電子部品収容部27は、内部に基板7を収容している。この電子部品収容部27は、
図1(b)に示すように、ゴムなどのパッキンを介してカバー28が取り付けられ、液体などの異物の内部への侵入を抑制している。
【0041】
(回転体3の構成)
図6(a)及び
図6(b)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサとレバー操作部との連結の一例について説明するための図である。
図6(a)は、初期位置12における連結の一例を示している。
図6(b)は、操作位置13における連結の一例を示している。
【0042】
回転体3は、一例として、PBTなどの樹脂材料を用いて形成されている。この回転体3は、回転体本体30と、フランジ31と、上面部32と、裏面開口33と、バネ取付部34と、軸部35と、規制部36と、を備えている。
【0043】
回転体本体30は、フランジ31の表面310側に設けられ、円筒形状を有している。この回転体本体30は、フランジ31側の一部が本体2の収容部22に収容されている。
【0044】
フランジ31は、円板形状を有し、回転体本体30から径方向に突出している。このフランジ31は、本体2の収容部22に収容され、第1の突出部222~第3の突出部224により、収容部22から抜けないようにされている。
【0045】
またフランジ31には、第1の切欠部312~第3の切欠部314が設けられている。第1の切欠部312は、本体2の第1の突出部222に対応して設けられている。同様に、第2の切欠部313及び第3の切欠部314は、本体2の第2の突出部223及び第3の突出部224に対応して設けられている。第1の切欠部312は、第2の突出部223及び第3の突出部224よりも幅が広くされ、異なる形状とされている。
【0046】
上面部32は、
図2(a)に示すように、回転体本体30から一方向に突出する形状を有し、その先端に円柱形状の連結部320が回転軸10に沿って突出して設けられている。この連結部320は、
図6(a)及び
図6(b)に示すように、レバー本体901に設けられた連結片904の連結溝905に挿入されている。ユーザがレバー操作部903のペダル902を初期位置12から操作位置13に向かって踏み込むと、レバー本体901の回転に伴って連結片904が回転し、連結部320を介して回転体3を回転させる。なお回転体3の回転軸10は、レバー本体901の回転軸と一致している。
【0047】
この連結片904は、レバー本体901の側面から突出し、さらに当該側面に沿うように曲げられた形状を有している。連結溝905は、この曲げられた部分に設けられ、側面から内部方向に切り欠かれた形状を有している。
【0048】
裏面開口33は、
図3(a)に示すように、軸部35が中央に設けられている。また裏面開口33は、軸部35との間に、バネ取付部34が設けられている。このバネ取付部34は、コイルバネ6の第2の端部61が取り付けられる。
【0049】
軸部35は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、円柱形状を有し、その端部には開口350が設けられている。開口350は、磁石4が取り付けられている。
【0050】
規制部36は、
図3(a)に示すように、フランジ31の裏面311から突出し、さらに周方向に伸びる形状を有した支持部36aと、支持部36aからフランジ31の外に突出する規制突起36bと、を有している。支持部36aは、回転軸10に沿った方向に撓む、つまり回転軸10に沿った方向からの回転体3の取り付けの際に撓むように構成されている。また規制突起36bは、回転体3を本体2の収容部22に収容する際に支持部36aが撓み易いように挿入方向に斜面が形成されている。そして本体2は、
図2(a)に示すように、取り付けの際に規制突起36bが接触する収容部22に斜面220aが設けられている。
【0051】
(磁石4の構成)
磁石4は、一例として、
図3(b)に示すように、回転軸10を挟んでN極とS極が対向するように構成されている。
図3(b)では、回転軸10の左側をN極、右側をS極としている。磁石4は、軸部35の開口350に取り付けられているがこれに限定されず、軸部35の先端に磁性部材を混ぜて着磁して形成されても良い。
【0052】
磁石4は、本体2の回転軸収容部24の底部240を介して検出部5に磁場40を作用させるように構成されている。この磁場40は、回転体3の回転に伴って磁束の方向が回転する。
【0053】
(検出部5の構成)
図7(a)は、第1の実施の形態に係る磁石が生成する磁場の変化と出力信号の関係の一例を説明するための図であり、
図7(b)は、制御部から出力されるストローク量を示すストローク量信号の一例を示す図である。
図7(a)は、横軸が回転体の回転角θであり、縦軸が出力信号S
1である。
図7(b)は、横軸がレバー操作部903のストローク量Lであり、縦軸がストローク量信号S
2である。この回転体3の回転角θは、初期位置12を基準として操作位置13までの回転角であるものとする。
【0054】
検出部5は、一例として、磁場40の方向の変化に応じて出力信号S1が変化する磁気抵抗素子を用いて構成された磁気センサである。検出部5は、一例として、4つの磁気抵抗素子によってブリッジ回路が形成されている。
【0055】
磁気抵抗素子を用いたブリッジ回路は、一例として、
図7(a)に示すように、回転角θに応じてサイン波となる出力信号S
1を出力する。サイン波は、0≦θ≦2πでは、π/2を挟んで同じ信号となると共に、3π/2を挟んで同じ信号となる。従って検出部5は、
図7(a)において実線で示すように、線形に近い、π/2~3π/2の間の信号、さらにはより線形性が高いπ近くの信号が出力されるように構成されている。なお出力信号S
1は、
図7(a)に示す信号の逆位相の信号であっても良く、これに限定されない。
【0056】
(コイルバネ6の構成)
コイルバネ6は、一例として、金属材料を用いて形成されている。なお弾性体は、コイルバネ6に限定されず、回転体3が回転した際、初期位置12に回転体3を戻すように弾性力を付加可能なものであればコイルバネ6に限定されない。
【0057】
コイルバネ6は、
図2(a)に示すように、第1の端部60と、第2の端部61と、を有している。この第1の端部60及び第2の端部61は、互いに逆方向に曲げられている。
【0058】
(制御部8の構成)
制御部8は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部8が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0059】
制御部8は、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、検出部5から出力される出力信号S
1を線形に変換したストローク量信号S
2を出力するように構成されている。なおストロークセンサ1は、検出部5が線形の信号を出力するように構成されても良い。
【0060】
ストローク量信号S2は、一例として、出力信号S1に基づいて0~L1までのストローク量を示す信号となっている。なおストローク量L1は、レバー操作部903の最大ストローク量に応じて定められる。
【0061】
ストローク量信号S2は、一例として、「0」が初期位置12に対応している。そしてストローク量信号S2は、一例として、ペダル902の踏み込みに応じて「0」からストローク量L1まで増加する。なお制御部8は、「0」より少し大きい値に定められたしきい値に基づいて車両9のストップランプの点灯を指示する信号を出力するように構成されても良い。制御部8は、ストローク量がこのしきい値以上となると、ストップランプを点灯させる点灯信号を出力し、踏み込みが終了してレバー操作部903が初期位置12に戻る際にしきい値より小さくなると、ストップランプの消灯させる消灯信号を出力する。
【0062】
(回転体3の取り付けと操作位置について)
図8(a)~
図8(c)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサの取付位置、初期位置及び操作位置におけるコイルバネの一例を示す図である。
図9(a)~
図8(c)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサの取付位置、初期位置及び操作位置における回転体の一例を示す図である。
図10(a)~
図10(c)は、第1の実施の形態に係るストロークセンサの取付位置、初期位置及び操作位置における規制部の一例を示す図である。
【0063】
・取付位置11について
回転体3は、
図8(a)、
図9(a)及び
図10(a)に示すように、本体2の第1の突出部222~第3の突出部224に応じて第1の切欠部312~第3の切欠部314の位置が合った際、収容部22に挿入が可能となる。なお第1の突出部222は、他の突出部と形状が異なっている。従って回転体3は、第1の突出部222と第2の切欠部313又は第3の切欠部314と位置を合わせても収容部22に挿入されない。
【0064】
回転体3の規制部36は、挿入時に規制突起36bが収容部22の斜面220aに接触して回転軸10方向に移動して支持部36aが撓み、回転体3が収容部22に収容される。
【0065】
この取付位置11は、
図8(a)に示すように、コイルバネ6が捻れず、弾性力が蓄積されない。従って取付は、第1の突出部222~第3の突出部224と第1の切欠部312~第3の切欠部314の位置を合わせることにより容易に行われる。
【0066】
・初期位置12について
回転体3は、
図8(b)、
図9(b)及び
図10(b)に示すように、時計回りに回転させられると、規制部36が規制開口225に嵌り、初期位置12で停止する。
【0067】
この初期位置12では、
図8(b)に示すように、コイルバネ6の第2の端部61が第1の端部60の方向に移動するので、捻れが生じ、反時計回りに回転体3を回転させる弾性力がコイルバネ6に蓄積される。
【0068】
規制部36の規制突起36bは、回転体3の回転によって規制開口225に到達すると、支持部36aの撓みが解消されて規制開口225内に侵入する。回転体3は、コイルバネ6の弾性力により、反時計回りに回転する。回転体3は、
図10(b)に示すように、回転方向に位置する規制開口225の端部225aと規制突起36bが接触するので、回転が停止する。この初期位置12は、端部225aと規制突起36bとが接触する回転体3の位置として定まる。
【0069】
ストロークセンサ1は、回転体3が本体2に対して初期位置12で停止するので、レバー操作部903への取り付けが容易となる。
【0070】
・操作位置13について
回転体3は、
図8(c)、
図9(c)及び
図10(c)に示すように、レバー操作部903が操作されると、初期位置12から回転する。
【0071】
コイルバネ6は、
図8(c)に示すように、この回転に伴ってさらに第2の端部61が第1の端部60側に移動し、弾性力を蓄積する。
【0072】
規制部36は、
図10(c)に示すように、端部225a側から対向する端部225b側へと移動する。規制開口225は、一例として、レバー操作部903のストローク量が最大値となっても規制突起36bが端部225bと接触しないように広く形成されている。
【0073】
取付位置11では、回転体3は、
図9(a)に示すように、第1の切欠部312~第3の切欠部314の位置と、第1の突出部222~第3の突出部224の位置と、を合わせることにより、本体2への取り付けと取り外しが容易に行える。
【0074】
一方初期位置12及び操作位置13では、回転体3は、
図9(b)及び
図9(c)に示すように、保持機構15、つまりフランジ31が第1の突出部222~第3の突出部224によって回転可能に保持されると共に、本体2からの回転体3の抜けを抑制しているので、本体2からの取り外しを妨げられている。
【0075】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係るストロークセンサ1は、異物による不具合を抑制することができる。具体的には、ストロークセンサ1は、回転体3が取り付けられた第1の面20側とは反対の面となる第2の面21側に検出部5が配置されているので、同じ面側に回転体と検出部を配置する場合と比べて、回転体3側から検出部5側に異物が侵入することがなく、異物による不具合を抑制することができる。
【0076】
ストロークセンサ1は、保持機構15により、取付位置11では回転体3の回転軸10に沿った本体2に対する回転体3の取り付け、及び取り外しを可能とし、初期位置12及び操作位置13では本体2に対する回転体3の取り付け、及び取り外しを妨げることができる。従ってストロークセンサ1は、保持機構を備えない場合と比べて、回転軸が挿入される開口を防水する必要がないために具品点数が少なく、また異物の侵入による検出部5や制御部8などの電子部品の不具合を抑制することができる。
【0077】
ストロークセンサ1は、第1の切欠部312~第3の切欠部314の位置と、第1の突出部222~第3の突出部224の位置と、を合わせることにより、回転体3の本体2への取り付けと取り外しが容易に行えるので、この構成を採用しない場合と比べて、回転軸10に沿った方向から回転体3を本体2に容易に組み付けることができる。
【0078】
ストロークセンサ1は、第1の切欠部312と第1の突出部222とが他の切欠部及び突出部と形状が異なるので、同じ場合と比べて、誤った組み付けを抑制することができる。
【0079】
ストロークセンサ1は、初期位置12において規制開口225の端部225aと規制部36の規制突起36bとが接触して本体2と回転体3とが位置決めされるので、この構成を採用しない場合と比べて、本体2と回転体3との位置決めが容易である。
【0080】
ストロークセンサ1は、不具合を抑制することができるので、ブレーキ装置90のストローク量に応じて必要とされる減速度を判断し、機械式ブレーキと回生ブレーキのブレーキ力を最適配分して電気エネルギーを効率良く回収することができる。
【0081】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、保持機構15の形状が第1の実施の形態と異なっている。
【0082】
図11(a)は、第2の実施の形態に係るストロークセンサの一例を示す斜視図であり、
図11(b)は、ストロークセンサの一例を示す正面図である。なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0083】
本実施の形態の回転体3は、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、円柱形状を有する回転体本体30と、回転体本体30の周囲に設けられたフランジ31と、を有している。この回転体3の軸部35は、本体2の回転軸収容部24に挿入されている。
【0084】
本体2は、回転軸10方向に突出し、フランジ31を保持する複数の突出部としての第1の突出部226~第4の突出部229と、を有している。
【0085】
ストロークセンサ1は、このフランジ31、及び第1の突出部226~第4の突出部229によって構成され、回転体3を本体2に対して回転可能に保持する保持機構15を備えて概略構成されている。
【0086】
第1の突出部226~第4の突出部229は、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、爪形状を有している。回転体3は、回転軸10の方向からフランジ31によって爪を押し広げるように本体2側に押し込むことにより、本体2に容易に組み付けることができる。
【0087】
なお回転体3は、第1の実施の形態と同様に、フランジ31に複数の切欠部を有するように構成されても良い。この場合、回転体3は、第1の突出部226~第4の突出部229に対応した切欠部を有する。また本体2が少なくとも1つが異なる形状を有する突出部を備えている場合、回転体3は、この突出部に応じた切欠部を有する構成であっても良い。この場合、ストロークセンサ1は、本体2と回転体3との取付位置11の位置決めが容易となり、誤った組み付けを抑制することができる。
【0088】
さらに回転体3は、規制突起を有する規制部を備えるように構成されても良い。この場合、本体2は、この規制突起が嵌ることで少なくとも初期位置12を定める規制開口を備える。この場合、ストロークセンサ1は、本体2と回転体3との初期位置12の位置決めが容易となる。
【0089】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態のストロークセンサ1は、回転体3が取り付けられる第1の面20側に検出部5や制御部8が配置されないので、回転軸と本体との隙間が生じず、回転体3に起因する電子部品収容部27への液体などの異物の侵入を抑制することができる。
【0090】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1…ストロークセンサ、2…本体、3…回転体、4…磁石、5…検出部、6…コイルバネ、7…基板、8…制御部、9…車両、10…回転軸、11…取付位置、12…初期位置、13…操作位置、15…保持機構、20…第1の面、21…第2の面、22…収容部、23…バネ収容部、24…回転軸収容部、27…電子部品収容部、28…カバー、30…回転体本体、31…フランジ、35…軸部、36…規制部、36a…支持部、36b…規制突起、40…磁場、60…第1の端部、61…第2の端部、222~224…第1の突出部~第3の突出部、225…規制開口、225a…端部、226~229…第1の突出部~第4の突出部、312~314…第1の切欠部~第3の切欠部