(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115266
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】電源管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20240819BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240819BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240819BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240819BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02J7/34 B
H02J7/34 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020876
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】安井 匡史
(72)【発明者】
【氏名】山口 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】庄司 祐子
(72)【発明者】
【氏名】青木 拓也
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC01
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB03
5G064CB08
5G064CB13
5G064DA03
5G066AE03
5G066AE09
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA10
5G503CB16
5G503EA05
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】複数の施設全体の受電電力の最適化を実現できる電源管理システムを提供する。
【解決手段】電源管理システムであって、蓄電装置13は、自身の蓄電残量が目標蓄電残量より大きい場合には放電し且つ自身の蓄電残量が目標蓄電残量より小さい場合には充電するように構成され、電源管理装置20は、複数の施設10から受信した受電電力についての情報を参照して目標蓄電残量を決定する決定処理と、決定処理において決定した目標蓄電残量を複数の施設10に対して送信する送信処理とを、所定のタイミングで繰り返し実行し、決定処理において決定する新たな目標蓄電残量を、複数の施設10での受電電力が大きい傾向にある場合には現在の目標蓄電残量よりも小さい値にし、複数の施設10での受電電力が小さい傾向にある場合には現在の目標蓄電残量よりも大きい値にするように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の施設のそれぞれに設置される蓄電装置と、複数の前記施設との間で情報通信可能な電源管理装置とを備える電源管理システムであって、
複数の前記施設のそれぞれは、電力系統に連系される前記蓄電装置、発電装置及び電力消費装置と、前記電力系統から前記施設に供給される受電電力を計測する電力メーターとを備え、前記電力メーターで計測される前記受電電力についての情報を前記電源管理装置に送信し、前記蓄電装置は、自身の蓄電残量が目標蓄電残量より大きい場合には放電し且つ自身の蓄電残量が前記目標蓄電残量より小さい場合には充電するように構成され、
前記電源管理装置は、複数の前記施設から受信した前記受電電力についての情報を参照して前記目標蓄電残量を決定する決定処理と、前記決定処理において決定した前記目標蓄電残量を複数の前記施設に対して送信する送信処理とを、所定のタイミングで繰り返し実行し、前記決定処理において決定する新たな前記目標蓄電残量を、複数の前記施設での前記受電電力が大きい傾向にある場合には現在の前記目標蓄電残量よりも小さい値にし、複数の前記施設での前記受電電力が小さい傾向にある場合には現在の前記目標蓄電残量よりも大きい値にするように構成される電源管理システム。
【請求項2】
前記電力系統から前記施設に供給される電力を正の受電電力とし、前記施設から前記電力系統に供給される電力を負の受電電力とし、1日を複数の時間帯に区分けし、複数の前記施設のそれぞれによる複数の前記時間帯のそれぞれでの受電電力量を、複数の前記時間帯のそれぞれで合計した電力量を時間帯別合計受電電力量とした場合において、
前記電源管理装置は、前記決定処理を実行する直前の前記時間帯での前記時間帯別合計受電電力量が所定の目標上限値以上である場合には前記受電電力が大きい傾向にあると判定し、前記決定処理を実行する直前の前記時間帯での前記時間帯別合計受電電力量が所定の目標下限値以下である場合には前記受電電力が小さい傾向にあると判定する請求項1に記載の電源管理システム。
【請求項3】
前記電源管理装置は、
前記時間帯別合計受電電力量のうち、正の値のものを正の時間帯別合計受電電力量とし、負の値のものを負の時間帯別合計受電電力量として、
過去の1日の中で現れた前記正の時間帯別合計受電電力量を代表する第1指標値を前記目標上限値とし、
過去の1日の中で現れた前記負の時間帯別合計受電電力量を代表する第2指標値を前記目標下限値とする請求項2に記載の電源管理システム。
【請求項4】
前記第1指標値は過去の1日の中で現れた前記正の時間帯別合計受電電力量の平均値であり、前記第2指標値は過去の1日の中で現れた前記負の時間帯別合計受電電力量の平均値である請求項3に記載の電源管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の施設のそれぞれに設置される蓄電装置と、複数の施設との間で情報通信可能な電源管理装置とを備える電源管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
FIT(固定価格買取)制度の終了や買電価格の上昇に伴い、太陽光発電等の発電装置の発電電力をどのように活用するかが模索されている。一例としては、発電装置を備える住戸や事業所などの施設に蓄電装置を設け、発電装置の発電電力を蓄電装置に充電し、施設内の電力需要が大きい時間帯に自家消費する方法や、電力系統での電力需要が大きい時間帯に蓄電装置から放電することで電力系統でのピークカットに寄与するような方法などがある。
【0003】
他にも、特許文献1(特許第6583805号公報)には、需要家の集合(需要家群)および各需要家の両方にとって適切な電力利用を可能にする充放電計画システムが記載されている。例えば、この充放電計画システムでは、各需要家の受電電力の予測と蓄電池の残容量の予定値などから需要家群全体の全体蓄電池状態の目標値(全体充放電計画)を決定する。そして、全体充放電計画に基づいて、各需要家における蓄電池の蓄電値状態(残容量)の目標値が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシステムで行われる全体充放電計画の策定には、各需要家の受電電力の予測が必要であり、予測が外れた場合には目標値自体が不適当な値になる可能性がある。そして、その不適当な目標値に基づいて蓄電池の充放電が行われることで、実際の受電電力から見て蓄電池が必要以上に充電することや、必要以上に放電することなどが発生し、複数の施設全体の受電電力の最適化が実現できない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の施設全体の受電電力の最適化を実現できる電源管理システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る電源管理システムの特徴構成は、複数の施設のそれぞれに設置される蓄電装置と、複数の前記施設との間で情報通信可能な電源管理装置とを備える電源管理システムであって、
複数の前記施設のそれぞれは、電力系統に連系される前記蓄電装置、発電装置及び電力消費装置と、前記電力系統から前記施設に供給される受電電力を計測する電力メーターとを備え、前記電力メーターで計測される前記受電電力についての情報を前記電源管理装置に送信し、前記蓄電装置は、自身の蓄電残量が目標蓄電残量より大きい場合には放電し且つ自身の蓄電残量が前記目標蓄電残量より小さい場合には充電するように構成され、
前記電源管理装置は、複数の前記施設から受信した前記受電電力についての情報を参照して前記目標蓄電残量を決定する決定処理と、前記決定処理において決定した前記目標蓄電残量を複数の前記施設に対して送信する送信処理とを、所定のタイミングで繰り返し実行し、前記決定処理において決定する新たな前記目標蓄電残量を、複数の前記施設での前記受電電力が大きい傾向にある場合には現在の前記目標蓄電残量よりも小さい値にし、複数の前記施設での前記受電電力が小さい傾向にある場合には現在の前記目標蓄電残量よりも大きい値にするように構成される点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、電源管理装置が目標蓄電残量を大きな値に変更すれば、複数の施設の蓄電装置では充電が行われる可能性が高くなり、電源管理装置が目標蓄電残量を小さな値に変更すれば、複数の施設の蓄電装置では放電が行われる可能性が高くなる。このように、電源管理装置が目標蓄電残量を変更することで、複数の施設の蓄電装置が充電するのか又は放電するのか(即ち、複数の施設の受電電力を大きくさせるのか又は小さくさせるのか)を決定できる。また、電源管理装置は、目標蓄電残量を、不確実性の高い何らかの予測に基づいて決定するのではなく、複数の施設から受信した実際の受電電力についての情報に基づいて決定するため、決定された目標蓄電残量は妥当な値となる。
従って、複数の施設全体の受電電力の最適化を実現できる電源管理システムを提供できる。
【0009】
本発明に係る電源管理システムの別の特徴構成は、前記電力系統から前記施設に供給される電力を正の受電電力とし、前記施設から前記電力系統に供給される電力を負の受電電力とし、1日を複数の時間帯に区分けし、複数の前記施設のそれぞれによる複数の前記時間帯のそれぞれでの受電電力量を、複数の前記時間帯のそれぞれで合計した電力量を時間帯別合計受電電力量とした場合において、
前記電源管理装置は、前記決定処理を実行する直前の前記時間帯での前記時間帯別合計受電電力量が所定の目標上限値以上である場合には前記受電電力が大きい傾向にあると判定し、前記決定処理を実行する直前の前記時間帯での前記時間帯別合計受電電力量が所定の目標下限値以下である場合には前記受電電力が小さい傾向にあると判定する点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、電源管理装置は、決定処理を実行する直前の時間帯での時間帯別合計受電電力量と所定の目標上限値及び目標下限値とを対比することで、施設での現在の受電電力が大きい傾向にあるか又は小さい傾向にあるかを判定できる。そして、電源管理装置は、受電電力が大きい傾向にある場合、即ち、受電電力を小さくすることが好ましい場合には、決定処理において決定する新たな目標蓄電残量を、現在の目標蓄電残量よりも小さい値にする。その結果、複数の施設の蓄電装置での放電が行われる可能性が高まるため、複数の施設全体の受電電力を小さくすることができる。同様に、電源管理装置は、受電電力が小さい傾向にある場合、即ち、受電電力を大きくすることが好ましい場合には、決定処理において決定する新たな目標蓄電残量を、現在の目標蓄電残量よりも大きい値にする。その結果、複数の施設の蓄電装置での充電が行われる可能性が高まるため、複数の施設全体の受電電力を大きくすることができる。
【0011】
本発明に係る電源管理システムの別の特徴構成は、前記電源管理装置は、前記時間帯別合計受電電力量のうち、正の値のものを正の時間帯別合計受電電力量とし、負の値のものを負の時間帯別合計受電電力量として、過去の1日の中で現れた前記正の時間帯別合計受電電力量を代表する第1指標値を前記目標上限値とし、過去の1日の中で現れた前記負の時間帯別合計受電電力量を代表する第2指標値を前記目標下限値とする点にある。
ここで、前記第1指標値は過去の1日の中で現れた前記正の時間帯別合計受電電力量の平均値であり、前記第2指標値は過去の1日の中で現れた前記負の時間帯別合計受電電力量の平均値であってもよい。
【0012】
上記特徴構成によれば、第1指標値は、電力系統から施設に供給される電力が多いか否かを判定するための閾値として見なすことができ、第2指標値は、施設から電力系統に供給される電力が多いか否かを判定するための閾値として見なすことができる。そして、電源管理装置は、それら第1代表値としての目標上限値及び第2代表値としての目標下限値を用いて、受電電力が大きい傾向にあるのか又は小さい傾向にあるのかを判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】時間帯別の受電電力量の推移を示す図である。
【
図3】時間帯別の受電電力量の推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る電源管理システムについて説明する。
図1は電源管理システムの構成を示す図である。図示するように、電源管理システムは、複数の施設10のそれぞれに設置される蓄電装置13と、複数の施設10との間で情報通信回線2を介して情報通信可能な電源管理装置20とを備える。
図1では、4つの施設10A~10Dを描いているが、施設10の数は適宜変更可能である。
【0015】
複数の施設10のそれぞれは、電力系統1に連系される蓄電装置13、発電装置としての太陽電池装置12及び電力消費装置14と、電力系統1から施設10に供給される受電電力を計測する電力メーター11とを備える。また、施設10に設けられるHEMS(Home Energy Management System)15は、施設10に設けられる装置との間で通信線を介して情報通信を行って、各装置からの情報を受信すると共に、各装置への情報の伝達を行うことができる。また、HEMS15は、各装置から受信した情報を、電源管理装置20などに送信することもできる。HEMS15と電力メーター11との間、及び、HEMS15と蓄電装置13との間の通信方式は、例えばECHONETLite(登録商標)などであるが、適宜設定可能である。
【0016】
HEMS15は、電力メーター11で計測される受電電力についての情報を電源管理装置20に送信する。HEMS15は、電源管理装置20から目標蓄電残量について情報を受信する。
【0017】
蓄電装置13は、自身の蓄電残量が目標蓄電残量より大きい場合には放電し且つ自身の蓄電残量が目標蓄電残量より小さい場合には充電するように構成される。
【0018】
電源管理装置20は、取り扱う情報を記憶する記憶部21と、情報の演算処理等を行う処理部22とを備える。そして、電源管理装置20の処理部22は、複数の施設10から受信した受電電力についての情報を参照して目標蓄電残量を決定する決定処理と、決定処理において決定した目標蓄電残量を複数の施設10に対して送信する送信処理とを、所定のタイミングで繰り返し実行する。例えば、決定処理及び送信処理は30分毎などに行われる。
【0019】
電源管理装置20は、決定処理において決定する新たな目標蓄電残量を、複数の施設10での受電電力が大きい傾向にある場合には現在の目標蓄電残量よりも小さい値にし、複数の施設10での受電電力が小さい傾向にある場合には現在の目標蓄電残量よりも大きい値にする。また、電源管理装置20は、決定処理において決定する新たな目標蓄電残量を、複数の施設10での受電電力が大きい傾向に無く且つ小さい傾向に無い場合には現在の目標蓄電残量と同じ値にする。そして、電源管理装置20は、決定処理で目標蓄電残量を決定する度に、決定した目標蓄電残量を各施設10に伝達する。
【0020】
図2は、決定処理の内容を説明する図である。具体的には、
図2には、電源管理装置20に送信される各施設10の時間帯別の受電電力量と、電源管理装置20が受信した各施設10による時間帯別合計受電電力量とを示す。
【0021】
本実施形態では、電力系統1から施設10に供給される電力を正の受電電力とし、施設10から電力系統1に供給される電力を負の受電電力としている。また、1日を複数の時間帯に区分けしている。
図2に示す例では、1日を30分間毎の48個の時間帯に区分けしている。
【0022】
各施設10のHEMS15は、30分間での受電電力量の値を電源管理装置20に送信する。この受電電力量は、その30分間の間に電力系統1から施設10に供給された電力量(即ち、正の受電電力量)と、その30分間の間に施設10から電力系統1に供給された電力量(即ち、負の受電電力量)との和である。つまり、30分間の合計でみて、電力系統1から施設10に供給された電力量の方が多くなった場合には、電源管理装置20に送信される30分間での受電電力量の値は正の値になる。それに対して、30分間の合計でみて、施設10から電力系統1に供給された電力量の方が多くなった場合には、電源管理装置20に送信される30分間での受電電力量の値は負の値になる。尚、各施設10のHEMS15は、30分間での正の受電電力量及び負の受電電力量を各別に電源管理装置20に送信し、電源管理装置20がそれらの和を計算しても良い。
【0023】
電源管理装置20は、各施設10から受信した複数の時間帯別の受電電力量を参照して、複数の施設10のそれぞれによる複数の時間帯のそれぞれでの受電電力量を、複数の時間帯のそれぞれで合計した電力量を時間帯別合計受電電力量として算出する。
図2には、前日の時間帯別合計受電電力量の推移を示す。
【0024】
図2に示すように、前日では、時間帯別合計受電電力量が正の値になっている時間帯(時刻0時~時刻9時、時刻11時30分~時刻13時30分、時刻16時30分~時刻24時)と、時間帯別合計受電電力量が負の値になっている時間帯(時刻9時~時刻11時30分、時刻13時30分~時刻16時30分)とが存在する。ここでは、時間帯別合計受電電力量のうち、正の値のものを正の時間帯別合計受電電力量とし、負の値のものを負の時間帯別合計受電電力量とする。
【0025】
そして、電源管理装置20は、過去の1日の中で現れた正の時間帯別合計受電電力量を代表する第1指標値を目標上限値とし、過去の1日の中で現れた負の時間帯別合計受電電力量を代表する第2指標値を目標下限値とする。例えば、過去の1日の中で現れた正の時間帯別合計受電電力量が複数存在する場合には、第1指標値はそれらの平均値である。また、過去の1日の中で現れた負の時間帯別合計受電電力量が複数存在する場合には、第2指標値はそれらの平均値である。尚、過去の1日の中で現れた正の時間帯別合計受電電力量が一つだけ存在する場合には、第1指標値はその値である。また、過去の1日の中で現れた負の時間帯別合計受電電力量が一つだけ存在する場合には、第2指標値はその値である。
図2において一点鎖線で示すのが、電源管理装置20が算出した目標上限値及び目標下限値である。尚、第1指標値及び第2指標値は、例えば中央値などの他の指標値であってもよい。
【0026】
図3は、当日の時刻7時に行われる決定処理について説明する図である。図示するように、各施設10のHEMS15は、時刻0時~時刻7時までの間の各30分間での受電電力量の値を電源管理装置20に送信している。そして、電源管理装置20は、各施設10から受信した複数の時間帯別の受電電力量を参照して、複数の施設10のそれぞれによる複数の時間帯のそれぞれでの受電電力量を、複数の時間帯のそれぞれで合計した電力量を時間帯別合計受電電力量として算出する。尚、
図3に示す目標上限値及び目標下限値は、
図2に示した前日の時間帯別合計受電電力量に基づいて算出された値である。
【0027】
当日の時刻7時の段階では、電源管理装置20は、決定処理を実行する直前の時間帯(即ち、時刻6時30分~時刻7時)での時間帯別合計受電電力量が所定の目標上限値以上である場合には受電電力が大きい傾向にあると判定し、決定処理を実行する直前の時間帯での時間帯別合計受電電力量が所定の目標下限値以下である場合には受電電力が小さい傾向にあると判定する。
図3に示す例では、時刻6時30分~時刻7時での時間帯別合計受電電力量は目標上限値以上であるため、電源管理装置20は、受電電力が大きい傾向にあると判定する。
【0028】
その結果、電源管理装置20は、決定処理において決定する新たな目標蓄電残量を、現在の目標蓄電残量よりも小さい値にする。例えば、電源管理装置20は、現在の目標蓄電残量よりも所定の減少幅だけ小さい値を新たな目標蓄電残量にする。数値例を挙げると、現在の目標蓄電残量(SOC:state of charge)が50%であり、所定の減少幅が5%の場合、電源管理装置20は、新たな目標蓄電残量を45%に決定する。
【0029】
尚、電源管理装置20は、決定処理を実行する直前の時間帯での時間帯別合計受電電力量が所定の目標下限値以下である場合には受電電力が小さい傾向にある場合、決定処理において決定する新たな目標蓄電残量を、現在の目標蓄電残量よりも大きい値にすればよい。数値例を挙げると、現在の目標蓄電残量(SOC:state of charge)が50%であり、所定の増加幅が5%の場合、電源管理装置20は、新たな目標蓄電残量を55%に決定する。
【0030】
上述したように、電源管理装置20は、送信処理において、新たな目標蓄電残量を各施設10に送信する。そして、各施設10では、HEMS15から蓄電装置13へ新たな目標蓄電残量が伝達される。蓄電装置13は、自身の蓄電残量が目標蓄電残量より大きい場合には放電し且つ自身の蓄電残量が目標蓄電残量より小さい場合には充電する。例えば、蓄電装置13は、自身の蓄電残量が50%であり、新たな目標蓄電残量が45%の場合、自身の蓄電残量(50%)が目標蓄電残量(45%)より大きいため、放電を行う。例えば、蓄電装置13は、所定の放電電力で放電を行う。そして、蓄電装置13は、自身の蓄電残量が目標蓄電残量と等しくなれば、放電を停止する。
【0031】
このように、複数の施設10全体での受電電力量が多い時間帯(即ち、時間帯別合計受電電力量が目標上限値以上になっている時間帯)では、目標蓄電残量は小さくなる。そのため、各施設10では、蓄電装置13の蓄電残量が目標蓄電残量よりも多くなることで、各施設10の蓄電装置13からの放電が行われ易くなる。そして、各施設10から放電が行われることで、複数の施設10全体での受電電力量が減少することが期待される。
【0032】
同様に、複数の施設10全体での受電電力量が少ない時間帯(即ち、時間帯別合計受電電力量が目標下限値以下になっている時間帯)では、目標蓄電残量は大きくなる。そのため、各施設10では、蓄電装置13の蓄電残量が目標蓄電残量よりも少なくなることで、各施設10の蓄電装置13による充電が行われ易くなる。そのため、各施設10から充電が行われることで、複数の施設10全体での受電電力量が増加することが期待される。
【0033】
<別実施形態>
上記実施形態では、電源管理システムの構成について具体例を挙げて説明したが、それらの構成は適宜変更可能である。例えば、発電装置としての太陽電池装置12が施設10に設けられている例を説明したが、例えば燃料電池装置などが発電装置として施設10に設けられていてもよい。
【0034】
上記実施形態において、決定処理を実行する直前の時間帯での時間帯別合計受電電力量として、どの時間帯の時間帯別合計受電電力量を参照するのかは適宜設定可能である。例えば、上記実施形態では、当日の時刻7時の段階で行われる決定処理において、時刻6時30分~時刻7時での時間帯別合計受電電力量を参照して、受電電力が大きい傾向にあるか又は受電電力が小さい傾向にあるかを判定する例を説明したが、他の時間帯での時間帯別合計受電電力量を参照してもよい。例えば、当日の時刻7時の段階で行われる決定処理において、時刻6時00分~時刻6時30分の間での時間帯別合計受電電力量を、決定処理を実行する直前の時間帯での時間帯別合計受電電力量として参照してもよい。
【0035】
上記実施形態では、幾つかの数値を記載して本発明の実施形態の説明を行ったが、それらの数値は例示目的で記載したものであり、適宜変更可能である。
【0036】
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、複数の施設全体の受電電力の最適化を実現できる電源管理システムに利用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 電力系統
2 情報通信回線
10 施設
11 電力メーター
12 太陽電池装置
13 蓄電装置
14 電力消費装置
15 HEMS
20 電源管理装置
21 記憶部
22 処理部