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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115268
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】歩行型管理機
(51)【国際特許分類】
   A01B 33/08 20060101AFI20240819BHJP
   B62D 51/06 20060101ALI20240819BHJP
   B60K 23/02 20060101ALI20240819BHJP
【FI】
A01B33/08 A
B62D51/06 C
B62D51/06 107D
B62D51/06 110
B60K23/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020878
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】瀬崎 恵一
(72)【発明者】
【氏名】中島 雅大
(72)【発明者】
【氏名】山下 泰直
(72)【発明者】
【氏名】岡部 直宗
(72)【発明者】
【氏名】平田 智也
【テーマコード(参考)】
2B033
3D036
【Fターム(参考)】
2B033AA06
2B033AB01
2B033AB11
2B033AB18
2B033AC04
2B033CA02
2B033CA22
3D036EA01
3D036EB03
3D036EB16
3D036EB36
3D036EC18
(57)【要約】
【課題】耕耘ロータリに動力伝達するクラッチを操作する主クラッチレバーが操縦ハンドルとの共握りによってクラッチ入り状態に操作するデッドマンレバーである歩行型管理機において、主クラッチレバーと操縦ハンドルとを共握りし易いようにし易くする。
【解決手段】操縦ハンドル6のハンドル握り部14は、手のうちの親指41によって握られるように構成されている。主クラッチレバー10のレバー握り部13は、手のうちの四指42によって握られるように構成されている。レバー握り部13のうち、四指42によって握られる四指握り部38は、樹脂製である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体から後方に延ばされ、左右の前後向き杆部、および、前記左右の前後向き杆部の後部を連結する横向き杆部を備える操縦ハンドルと、
耕耘ロータリと、
前記耕耘ロータリに動力伝達するクラッチ入り状態と、前記耕耘ロータリに対する動力伝達を絶つクラッチ切り状態とに切換え可能なクラッチと、
前記機体の左右方向に延びる枢支軸芯を揺動支点にして前記横向き杆部の上方において揺動可能なように前記前後向き杆部に支持され、前記クラッチを切換え操作する主クラッチレバーと、が備えられ、
前記主クラッチレバーは、前記主クラッチレバーのレバー握り部が前記横向き杆部におけるハンドル握り部と共に握り操作されることで前記クラッチ入り状態に操作され、前記レバー握り部と前記ハンドル握り部との共握り操作が解除されることで切り付勢力によって前記クラッチ切り状態に操作されるデッドマンレバーであり、
前記ハンドル握り部は、手のうちの親指によって握られるように構成され、
前記レバー握り部は、手のうちの四指によって握られるように構成され、
前記レバー握り部のうち、前記四指によって握られる四指握り部は、樹脂製である歩行型管理機。
【請求項2】
前記主クラッチレバーに、前記枢支軸芯まわりに揺動可能なように前記前後向き杆部に支持されたベース部が備えられ、
前記四指握り部は、前記ベース部に脱着可能に取付けられている請求項1に記載の歩行型管理機。
【請求項3】
前記ベース部に、前記枢支軸芯まわりに揺動可能なように前記前後向き杆部に支持された第一部分と、前記第一部分の遊端側部分から前記横向き杆部に平行に延ばされ、前記四指握り部が取り付けられる第二部分と、が備えられ、
前記四指握り部は、前記第二部分から前記第一部分に亘っており、かつ、前記第一部分及び前記第二部分に取り付けられている請求項2に記載の歩行型管理機。
【請求項4】
前記四指握り部は、前記ベース部の全体に亘っている請求項2に記載の歩行型作業機。
【請求項5】
前記ベース部は、金属製である請求項2から4の何れか一項に記載の歩行型管理機。
【請求項6】
前記四指握り部に、前記ベース部に向けて突出する突起が備えられ、
前記四指握り部は、前記突起が前記ベース部に貫設された取付穴に嵌め込まれることで前記ベース部に取付けられている請求項2から4の何れか一項に記載の歩行型管理機。
【請求項7】
前記ベース部は、金属製である請求項6に記載の歩行型管理機。
【請求項8】
前記主クラッチレバーに、左側の前記前後向き杆部に支持された左主クラッチレバーと、右側の前記前後向き杆部に支持された右主クラッチレバーと、が備えられ、
前記左主クラッチレバーの機体中央側の端部と前記右主クラッチレバーの機体中央側の端部との間に空間が設けられている請求項1に記載の歩行型管理機。
【請求項9】
前記左主クラッチレバー及び前記右主クラッチレバーのうちの一方の主クラッチレバーを前記クラッチに連係させる連係機構が備えられ、
前記左主クラッチレバーと前記右主クラッチレバーとを連動連結する連結杆が備えられ、
前記連結杆は、前記横向き杆部よりも低い箇所に位置している請求項8に記載の歩行型管理機。
【請求項10】
前記機体の走行速度を変更する変速レバーが備えられ、
前記変速レバーは、平面視において前記空間の前方に位置している請求項8または9に記載の歩行型管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、機体(車体フレーム)と、機体から後方に延ばされた操縦ハンドル(操向ハンドル)と、耕耘ロータリ(耕耘軸、耕耘爪)と、耕耘ロータリに動力伝達するクラッチ入り状態と耕耘ロータリに対する動力伝達を絶つクラッチ切り状態とに切換え可能なクラッチ(メインクラッチ機構)と、機体の左右方向に延びる枢支軸芯を揺動支点にして揺動可能な状態で操縦ハンドルに支持され、クラッチを切換え操作する主クラッチレバーと、が備えられ、主クラッチレバーは、デッドマンクラッチレバーである歩行型管理機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-97491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の歩行型管理機にあっては、耕耘ロータを駆動するには、主クラッチレバーのレバー握り部を操縦ハンドルのレバー握り部と共に握り操作する必要があるので、主クラッチレバーと操縦ハンドルとを共握りし易い歩行型管理機が要望されている。
【0005】
本発明は、主クラッチレバーと操縦ハンドルとを共握りし易いようにし易い歩行型管理機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による歩行型管理機は、
機体と、前記機体から後方に延ばされ、左右の前後向き杆部、および、前記左右の前後向き杆部の後部を連結する横向き杆部を備える操縦ハンドルと、耕耘ロータリと、前記耕耘ロータリに動力伝達するクラッチ入り状態と、前記耕耘ロータリに対する動力伝達を絶つクラッチ切り状態とに切換え可能なクラッチと、前記機体の左右方向に延びる枢支軸芯を揺動支点にして前記横向き杆部の上方において揺動可能なように前記前後向き杆部に支持され、前記クラッチを切換え操作する主クラッチレバーと、が備えられ、前記主クラッチレバーは、前記主クラッチレバーのレバー握り部が前記横向き杆部におけるハンドル握り部と共に握り操作されることで前記クラッチ入り状態に操作され、前記レバー握り部と前記ハンドル握り部との共握り操作が解除されることで切り付勢力によって前記クラッチ切り状態に操作されるデッドマンレバーであり、前記ハンドル握り部は、手のうちの親指によって握られるように構成され、前記レバー握り部は、手のうちの四指によって握られるように構成され、前記レバー握り部のうち、前記四指によって握られる四指握り部は、樹脂製である。
【0007】
本構成によると、四指握り部が金属製などに比して加工し易い樹脂製であるので、レバー握り部とハンドル握り部との共握りをし易くする形状などの状態を有するものに四指握り部を作製し易いのであり、主クラッチレバーと操縦ハンドルとを共握りし易いようにし易い。
【0008】
本発明においては、
前記主クラッチレバーに、前記枢支軸芯まわりに揺動可能なように前記前後向き杆部に支持されたベース部が備えられ、前記四指握り部は、前記ベース部に脱着可能に取付けられていると好適である。
【0009】
本構成によると、適切な素材で成るべ-ス部を採用してベース部によって主クラッチレバーに剛性を備えさせながら、ベース部を交換せずに四指握り部を交換して安価に主クラッチレバーを修理することができる。
【0010】
本発明においては、
前記ベース部に、前記枢支軸芯まわりに揺動可能なように前記前後向き杆部に支持された第一部分と、前記第一部分の遊端側部分から前記横向き杆部に平行に延ばされ、前記四指握り部が取り付けられる第二部分と、が備えられ、前記四指握り部は、前記第二部分から前記第一部分に亘っており、かつ、前記第一部分及び前記第二部分に取り付けられていると好適である。
【0011】
本構成によると、四指握り部のベース部に対する脱着を可能にするものでありながら、四指握り部をベース部の第一部分及び第二部分によってしっかり支持させることができる。
【0012】
本発明においては、
前記四指握り部は、前記ベース部の全体に亘っていると好適である。
【0013】
本構成によると、四指握り部をベースの全体に対するカバーに活用することができる。
【0014】
本発明においては、
前記四指握り部に、前記ベース部に向けて突出する突起が備えられ、前記四指握り部は、前記突起が前記ベース部に貫設された取付穴に嵌め込まれることで前記ベース部に取付けられていると好適である。
【0015】
本構成によると、突起を取付穴に嵌め込むだけの簡単な取り付け操作で四指握り部をベース部に取付けることができ、突起を取付穴から抜き外すだけの簡単な取り外し操作で四指握り部をベース部から取り外すことができるので四指握り部を交換し易い。
【0016】
本発明においては、
前記ベース部が金属製であると好適である。
【0017】
本構成によると、主変速レバーの剛性をベース部によって高めることができる。
【0018】
本発明においては、
前記主クラッチレバーに、左側の前記前後向き杆部に支持された左主クラッチレバーと、右側の前記前後向き杆部に支持された右主クラッチレバーと、が備えられ、前記左主クラッチレバーの機体中央側の端部と前記右主クラッチレバーの機体中央側の端部との間に空間が設けられていると好適である。
【0019】
この種の歩行管理機では、主クラッチレバーの前方には、変速レバーなどの操作部材があるが、本構成によると、操作部材を後方から操作する際、主クラッチレバーが空間によって障害になり難いので、操作部材を後方から操作し易い。
【0020】
本発明においては、
前記左主クラッチレバー及び前記右主クラッチレバーのうちの一方の主クラッチレバーを前記クラッチに連係させる連係機構が備えられ、前記左主クラッチレバーと前記右主クラッチレバーとを連動連結する連結杆が備えられ、前記連結杆は、前記横向き杆部よりも低い箇所に位置していると好適である。
【0021】
本構成によると、左主クラッチレバーおよび右主クラッチレバーを個別にクラッチに連係させる場合に比べ、連係機構および連結杆を備えるだけの簡素な連係構造で左主クラッチレバーおよび右主クラッチレバーをクラッチに連係させることができる。主クラッチレバーの前方に位置する操作部材を後方から操作するのに、連結杆が障害になり難いので、左主クラッチレバーおよび右主クラッチレバーを簡素な連係構造でクラッチに連係させることができながら、操作部材などを後方から操作し易い。
【0022】
本発明においては、
前記機体の走行速度を変更する変速レバーが備えられ、前記変速レバーは、平面視において前記空間の前方に位置していると好適である。
【0023】
本構成によると、変速レバーを後方から操作する際、主クラッチレバーが障害になり難いので変速レバーを後方から操作し易い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】歩行型管理機の側面図である。
図2】歩行型管理機の平面図である。
図3】動力伝達装置のブロック図である。
図4】左主クラッチレバー、右主クラッチレバー、操縦ハンドルおよび変速レバーの後面図である。
図5】レバー握り部とハンドル握り部との共握りの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、歩行型管理機の機体に関し、図1,2に示される矢印Fの方向を「機体前側」、図1,2に示される矢印Bの方向を「機体後側」、図1に示される矢印Uの方向を「機体上側」、図1に示される矢印Dの方向を「機体下側」、図2に示される矢印Lの方向を「機体左側」、図2に示される矢印Rの方向を「機体右側」とする。
【0026】
〔歩行型管理機の全体の構成〕
図1、2に示されるように、歩行型管理機は、左右一対の走行車輪1によって支持される機体2を備えている。機体2の前部にエンジン3を有する原動部4が備えられている。機体2の後部に耕耘装置5が設けられている。機体2の後部に備えられたハンドル支持部6aから操縦ハンドル6が後向きに延ばされている。機体2は、ミッションケース7、ミッションケース7の前部から前向きに延されてエンジン3を支持するエンジンフレーム8などによって構成されている。ミッションケース7の上部から変速レバー9が後向きに延ばされている。変速レバー9は、操縦ハンドル6の上方に位置している。操縦ハンドル6の後部に、主クラッチレバー10、デフロックレバー11、およびエンジン3の回転数調節を行うアクセル操作具19が設けられている。
【0027】
〔耕耘装置〕
図1に示されるように、耕耘装置5は、左右一対の走行車輪1の後隣りに設けられている。耕耘装置5には、耕耘ロータリ15、耕耘ロータリ15用のカバー16、抵抗棒17が備えられている。
【0028】
耕耘ロータリ15は、ミッションケース7の後下部を左右に貫通する状態でミッションケース7に回転駆動可能に支持される駆動軸15a、ミッションケース7の左横外側および右横外側で駆動軸15aに支持される複数本の耕耘爪15bを備えている。耕耘爪15bは、ダウンカット用の取付姿勢と、アッパカット用の取付姿勢とに姿勢変更して駆動軸15aに取付け可能である。駆動軸15aは、図1,3に示される正回転方向aと、図3に示される逆回転方向bとに切り換えて駆動可能である。
【0029】
〔動力伝達装置〕
図3は、エンジン3から耕耘装置5および走行車輪1に動力伝達する動力伝達装置20を示すブロック図である。動力伝達装置20においては、エンジン3の出力が主クラッチ21に入力され、主クラッチ21の出力がミッションケース7に入力されてミッションケース7から耕耘ロータリ15と走行車輪1とに分配して伝達される。図3に示されるように、ミッションケース7には、ロータリ変速部22、作業クラッチ23、走行変速部24、走行クラッチ25および車輪差動機構26が備えられている。
【0030】
主クラッチ21は、クラッチ入り状態に切換えられると、エンジン3からの動力をミッションケース7に入力して走行車輪1および耕耘ロータリ15の駆動を可能にし、クラッチ切り状態に切換えられると、エンジン3からミッションケース7への入力を絶って走行車輪1および耕耘ロータリ15を停止させる。主クラッチ21のクラッチ入り状態とクラッチ切り状態との切換え操作は、主クラッチ21に操作ケーブル(図示せず)などによって連係された主クラッチレバー10によって行われる。
【0031】
ロータリ変速部22では、正転伝動と逆転伝動とに切換え可能に構成され、正転伝動に切り換えられると、主クラッチ21からの動力が正転動力に変換して出力され、逆転伝動に切り換えられると、主クラッチ21からの動力が逆転動力に変換して出力される。正転動力は、耕耘ロータリ15の駆動軸15aを正回転方向a(図1,3参照)に駆動する動力である。逆転動力は、耕耘ロータリ15の駆動軸15aを逆回転方向b(図3参照)に駆動する動力である。ロータリ変速部22の正転伝動と逆転伝動との切り換えの操作は、変速レバー9(図1参照)によって行われる。
【0032】
作業クラッチ23は、クラッチ入り状態に切り換えられると、ロータリ変速部22からの正転動力あるいは逆転動力を駆動軸15aに伝達して耕耘ロータリ15を正回転方向a(図1参照)あるいは逆回転方向b(図3参照)に駆動し、クラッチ切り状態に切り換えられると、ロータリ変速部22から駆動軸15aに対する動力伝達を絶って耕耘ロータリ15を停止させる。作業クラッチ23のクラッチ入り状態とクラッチ切り状態との切換え操作は、作業クラッチ23に操作ケーブル(図示せず)などによって連係されてデフロックレバー11(図1参照)によって行われる。
【0033】
走行変速部24では、主クラッチ21からの動力が入力され、入力された動力を複数段階の前進動力と、1段階の後進動力とに変換して出力する。走行変速部24の変速操作は、変速レバー9(図1参照)によって行われる。変速レバー9によって走行車輪1の駆動速度が変更されて機体2の走行速度が変更される。
【0034】
走行クラッチ25は、クラッチ入り状態に切り換えられると、走行変速部24からの前進動力あるいは後進動力を車輪差動機構26に伝達して走行車輪1の前進駆動、後進駆動を可能にし、クラッチ切り状態に切り換えられると、走行変速部24からの動力の車輪差動機構26への伝達を絶って走行車輪1を停止させる。
【0035】
車輪差動機構26は、差動許容伝動と差動ロック伝動とに切換え可能に構成されている。車輪差動機構26においては、差動許容伝動に切り換え操作されると、走行クラッチ25からの動力が左右一対の走行車輪1に伝達され、この動力伝達は、左右一対の走行車輪1の差動を許容しながら行われる。車輪差動機構26においては、差動ロック伝動に切り換えられると、走行クラッチ25からの動力が左右一対の走行車輪1に伝達され、この動力伝達は、左右一対の走行車輪1の差動を阻止しながら行われる。車輪差動機構26の差動許容伝動と差動ロック伝動との切換え操作は、車輪差動機構26に操作ケーブル(図示せず)などによって連係されたデフロックレバー11(図1参照)によって行われる。
【0036】
〔カバー〕
図1に示されるように、カバー16は、耕耘ロータリ15を上方から覆うように構成されている。具体的は、図1,2に示されるように、カバー16は、駆動軸15aに沿う方向視で円弧形状に形成され、耕耘ロータリ15の外周囲に位置するカバー本体16aと、カバー本体16aの両横側部から下向きに延びる左右の横カバー部16bとを備えている。カバー本体16aは、前部においてミッションケース7に固定されている。左右の横カバー部16bは、カバー本体16aを介してミッションケース7に固定されている。
【0037】
〔主クラッチの操作構造〕
図2に示されるように、操縦ハンドル6は、機体2の前後方向に延びる左右の前後向き杆部6bと、左右の前後向き杆部6bの後部を連結する横向き杆部6cとを備えている。横向き杆部6cは、機体2の左右方向に延びている。操縦ハンドル6は、ループ型ハンドルに構成されている。
【0038】
本実施形態では、図2,4に示されるように、主クラッチレバー10に、左主クラッチレバー10Lと右主クラッチレバー10Rとが備えられている。
【0039】
図1,4に示されるように、左主クラッチレバー10Lおよび右主クラッチレバー10Rのそれぞれは、左主クラッチレバー10L、右主クラッチレバー10Rの基部に設けられた枢支軸12、および、左主クラッチレバー10L、右主クラッチレバー10Rの先端側の部分に形成されたレバー握り部13を備えている。レバー握り部13は、基部に対して機体2の左右方向での内向きに曲げられ、操縦ハンドル6の横向き杆部6cに平行に延びている。左主クラッチレバー10L、右主クラッチレバー10Rは、それぞれの基部からそれぞれのレバー握り部13にかけて屈曲している。
【0040】
図1,4に示されるように、左主クラッチレバー10Lの枢支軸12は、操縦ハンドル6に備えられた左の支持部6dに連結されている。左の支持部6dは、左の前後向き杆部6bに備えられている。枢支軸12は、機体2の左右方向に延びる枢支軸芯Pを備えている。左主クラッチレバー10Lは、レバー握り部13が位置する側の部位が枢支軸芯Pを揺動支点にして横向き杆部6cの上方において揺動可能なように左の前後向き杆部6bに支持されている。
【0041】
図1,4に示されるように、右主クラッチレバー10Rの枢支軸12は、操縦ハンドル6に備えられた右の支持部6dに連結されている。右の支持部6dは、右の前後向き杆部6bに備えられている。枢支軸12は、機体2の左右方向に延びる枢支軸芯Pを備えている。右主クラッチレバー10Rは、レバー握り部13が位置する側の部位が枢支軸芯Pを揺動支点にして横向き杆部6cの上方において前後方向に揺動可能なように右の前後向き杆部6bに支持されている。左主クラッチレバー10Lの枢支軸芯Pと、右主クラッチレバー10Rの枢支軸芯Pとは、同一の軸芯に設定されている。
【0042】
図2に示されるように、左主クラッチレバー10Lの基部と主クラッチ21の操作部(図示せず)とが連係機構30によって連係され、左主クラッチレバー10Lの揺動操作による主クラッチ21のクラッチ入り状態とクラッチ切り状態との切換え操作が可能にされている。本実施形態では、連係機構30は、操作ケーブル31などによって構成されている。図2,4に示されるように、左主クラッチレバー10Lの基部と右主クラッチレバー10Rの基部とが連結杆32によって連動連結され、右主クラッチレバー10Rの揺動操作による主クラッチ21のクラッチ入り状態とクラッチ切り状態との切換え操作が可能にされている。すなわち、右主クラッチレバー10Rが揺動操作されると、右主クラッチレバー10Rの揺動が連結杆32を介して左主クラッチレバー10Lに伝達されて左主クラッチレバー10Lが揺動操作され、左主クラッチレバー10Lによって連係機構30を介して主クラッチ21が切換え操作される。
【0043】
連結杆32は、図4に示されるように、操縦ハンドル6の横向き杆部6cよりも低い箇所を機体2の左右方向に通っている。連結杆32は、アクセル操作具19の操作レバー19aの下方を機体2の左右方向に通っている。
【0044】
図2,4に示されるように、操縦ハンドル6のうちの横向き杆部6cに、左主クラッチレバー10Lのレバー握り部13に対応するハンドル握り部14、右主クラッチレバー10Rのレバー握り部13に対応するハンドル握り部14が備えられている。
【0045】
左主クラッチレバー10Lおよび右主クラッチレバー10Rのそれぞれにおいては、図5に示されるように、左主クラッチレバー10L、右主クラッチレバー10Rが操縦ハンドル6の横向き杆部6cに向けて揺動操作されるとレバー握り部13とハンドル握り部14との共握りが可能になる。レバー握り部13がハンドル握り部14と共に握り操作されると、左主クラッチレバー10L、右主クラッチレバー10Rがクラッチ入り状態[入](図1参照)になる。本実施形態では、図5に示されるように、レバー握り部13がハンドル握り部14と共握りされると、レバー握り部13の裏側に備えられた突起35がハンドル握り部14に当って左主クラッチレバー10L、右主クラッチレバー10Rがクラッチ入り状態[入]に位置決めされる。左主クラッチレバー10Lが操縦ハンドル6と共握りされた場合、左主クラッチレバー10Lの揺動が連係機構30を介して主クラッチ21に伝達されて主クラッチ21がクラッチ入り状態に切換え操作される。右主クラッチレバー10Rが操縦ハンドル6と共握りされた場合、右主クラッチレバー10Rの揺動が連結杆32、左主クラッチレバー10Lおよび連係機構30を介して主クラッチ21に伝達されて主クラッチ21がクラッチ入り状態に切換え操作される。
【0046】
レバー握り部13のハンドル握り部14との共握りが解除されると、主クラッチ21に備えられている切り付勢力によってレバー握り部13がハンドル握り部14から前方に離間操作されて左主クラッチレバー10L、右主クラッチレバー10Rがクラッチ切り状態[切](図1参照)に操作され、主クラッチ21がクラッチ切り状態に切換え操作される。左主クラッチレバー10Lおよび右主クラッチレバー10Rは、デッドマンレバーに構成されている。
【0047】
左主クラッチレバー10Lおよび右主クラッチレバー10Rにおいて、レバー握り部13とハンドル握り部14とが共に握られるとき、図5に示されるように、ハンドル握り部14は、手のうちの親指41によって握られるように構成され、レバー握り部13は、手のうちの親指以外の四指42によって握られるように構成されている。
【0048】
図5に示されるように、ハンドル握り部14のうち、親指41によって握られる親指握り部40は、曲率半径R1で曲がった曲がり形状に形成されている。レバー握り部13のうちの四指42によって握られる四指握り部38は、曲率半径R2で曲がった曲がり形状に形成されている。四指握り部38の曲率半径R2は、親指握り部40の曲率半径R1よりも大きく設定されている。
【0049】
図5に示されるように、レバー握り部13とハンドル握り部14とが共に握られるとき、レバー握り部13のうち、四指握り部38よりも前に位置する前端部分39が前下向きに傾斜した状態になる。
【0050】
図5に示されるように、親指握り部40は、下向きになるように構成されている。四指握り部38は、レバー握り部13とハンドル握り部14とが共に握られるときには上向きになるように構成されている。
【0051】
作業を行う場合、左主クラッチレバー10Lまたは右主クラッチレバー10Rにおいて、レバー握り部13をハンドル握り部14と共に握り操作して主クラッチ21をクラッチ入り状態に維持することで走行車輪1および耕耘ロータリ15を駆動する。
【0052】
圃場に土の硬い部分があると、耕耘ロータリ15が土中に入り難くて地面側に位置し、耕耘ロータリ15が走行車輪1よりも速い回転速度で駆動されるので走行し、機体2がダッシュすることがある。機体2がダッシュしようすると、レバー握り部13を手から離す方向の操作力が作用する。四指握り部38は、曲率半径R2が親指握り部40の曲率半径R1よりも大きい曲がり形状であると共に上向きになっていて、かつ、前端部分39が前下向き傾斜になっていてレバー握り部13が手から外れ易くて左主クラッチレバー10L、右主クラッチレバー10Rがクラッチ切り状態[切]に切り換わり易いので、主クラッチ21がクラッチ切り状態に切り換わって走行車輪1および耕耘ロータリ15が停止されて機体2のダッシュが防止される。
【0053】
図2,4に示されるように、左主クラッチレバー10Lの機体中央側の端部13a、すなわちレバー握り部13が位置する側の端部と、右主クラッチレバー10Rの機体中央側の端部13b、すなわちレバー握り部13が位置する側の端部との間に空間Sが設けられている。左主クラッチレバー10Lと右主クラッチレバー10Rとが空間Sによって機体2の左右方向に離間する。図2に示されるように、平面視において、変速レバー9が空間Sの前方に配置されている。左主クラッチレバー10Lおよび右主クラッチレバー10Rが障害になり難い状態で変速レバー9を操縦ハンドル6の後方から操作することができる。
【0054】
本実施形態では、主クラッチレバー10に左主クラッチレバー10Lと右主クラッチレバー10Rとが備えられている。主クラッチレバー10としては、操縦ハンドル6の左の前後向き杆部6bと右の前後向き杆部6bとに亘って設けられた一つのループ型のクラッチレバーの採用が可能である。以下において、左主クラッチレバー10Lおよび右主クラッチレバー10Rを主クラッチレバー10と称して説明する。
【0055】
主クラッチレバー10では、図5に示されるように、四指握り部38は、樹脂によって作製されている。樹脂としては、天然ゴム、合成ゴムなどの採用が可能である。
【0056】
レバー握り部13のうちの前端部分39は、四指握り部38と一体成形され、樹脂製である。
【0057】
図4,5に示されるように、主クラッチレバー10には、枢支軸芯Pまわりに揺動可能なように前後向き杆部6bに支持されたベース部36が備えられている。本実施形態では、ベース部36は、アルミ合金、鉄などの金属によって作製されている。主クラッチレバー10の剛性がベース部36によって高められている。ベース部36としは、金属製に限らず、プラスッチ等、適切な素材で作製されたものの採用が可能である。
【0058】
四指握り部38は、ベース部36に脱着可能に取付けられている。ベース部36を交換せずに四指握り部38を交換することによって主クラッチレバー10を修理することが可能である。ベース部36に対する四指握り部38の脱着可能な取り付けは、図4,5に示されるように、四指握り部38に、四指握り部38の裏部からベース部36に向けて突出する突起35が備えられている。ベース部36に取付穴37が貫設され、突起35を取付穴37に嵌め込むことによって行われている。本実施形態では、突起35は、四指握り部38に一体成形され、樹脂製である。突起35としては、四指握り部38とは別部材に金属などによって作製され、突起35の基部を四指握り部38に埋設することによって四指握り部38に取付けられたものであってもよい。
【0059】
図4に示されるように、ベース部36には、第一部分36aと第二部分36bとが備えられている。第一部分36aは、枢支軸芯Pまわりに揺動可能なように前後向き杆部6bにおける支持部6dに支持されている。第二部分36bは、第一部分36aの遊端側部分から機体2の横方向に内側に向けて操縦ハンドル6の横向き杆部6cに平行に延ばされている。
【0060】
図4,5に示されるように、四指握り部38は、第二部分36bに取り付けられている。本実施形態では、四指握り部38に、第一部分36aに延びる延長部38aが備えられ、四指握り部38は、第二部分36bから第一部分36aの一部に亘って配置されており、かつ、第一部分36a及び第二部分36bに取付けられている。第一部分36a及び第二部分36bに対する四指握り部38の取付けは、四指握り部38の両端部および中間部に、ベース部36の取付穴37に嵌め込む突起35を設けて行われている。本実施形態では、四指握り部38の三箇所に突起35を設けているが、四指握り部38の一端部と他端部の二箇所だけ、あるいは四箇所以上に突起35を設けてもよい。
【0061】
本実施形態では、四指握り部38を第二部分36bから第一部分36aの一部に亘って配置しているが、これに限らない。たとえば、四指握り部38を第二部分36bのみに配置したものであってもよい。また、四指握り部38をベース部36の第二部分36bから第一部分36aの一部に亘って配置する他、四指握り部38を第二部分36bから第一部分36aの全部に亘って、すなわちベース部36の全体に亘って配置する構成を採用したものであってもよい。
【0062】
四指握り部38がベース部36に取り付けられている状態では、突起35は、ベース部36の裏側部から突出しており、主クラッチレバー10を操縦ハンドル6と共握り操作する際、突起35はハンドル握り部14と当接することでレバー握り部13とハンドル握り部14との間に隙間をもたせている。レバー握り部13とハンドル握り部14との間に隙間をもたせることで操縦者による握り操作時の手の挟み込みを防止することができる。また、突起35は弾性変形可能であるため、操縦ハンドル6と当接する際、その当接音を抑制することができる。さらに、作業を行う場合、主クラッチレバー10の握り操作を維持する必要があるが、作業による振動の操縦者への伝達を突起35の弾性によって制することができる。
【0063】
〔別実施形態〕
(1)上記した実施形態では、主クラッチレバー10にベース部36を備え、ベース部36に樹脂製の四指握り部38を取り付けることにより、主クラッチレバー10は、主クラッチレバー10のうちの四指握り部38が樹脂製であるように構成した例を示したが、これに限らず、ベース部36を備えず、主クラッチレバー10の全体を樹脂製にすることによって主クラッチレバー10のうちの四指握り部38が樹脂製であるように構成したものであってもよい。
【0064】
(2)上記した実施形態では、主クラッチレバー10に左主クラッチレバー10Lと右主クラッチレバー10Rとを備えた例を示したが、操縦ハンドル6の左側の前後向き杆部6bと右側の前後向き杆部6bとに亘って設けられた一つだけのループ型の主クラッチレバー10を備えるものであってもよい。ループ型の主クラッチレバー10の場合、操縦ハンドル6の左右の前後向き杆部6bに枢支軸芯Pまわりに揺動可能に取付けた左右の第一部分と、左右の第一部分の遊端部にわたる第二部分とを有するベース部を備え、樹脂製の四指握り部38を第二部分のみに取付けたもの、あるいは、樹脂製の四指握り部38を第二部分と左右の第一部分とにわたって取付けたものであってもよい。
【0065】
(3)上記した実施形態では、走行車輪1を備え、かつ、走行車輪1および耕耘ロータリ15に動力伝達する主クラッチ21を備えた例を示したが、走行車輪1に替えて耕耘ロータリ15を車軸に設け、耕耘ロータリ15に動力伝達するクラッチを操作する主ラッチレバーがデッドマンレバーに構成されたものであってもよい。
【0066】
(4)上記した実施形態では、左主クラッチレバー10Lおよび右主クラッチレバー10Rのうちの左主クラッチレバー10Lが主クラッチ21に連係機構30によって連係され、左主クラッチレバー10Lと右主クラッチレバー10Rとが連結杆32によって連結された例を示したが、左主クラッチレバー10Lおよび右主クラッチレバー10Rのうちの右主クラッチレバー10Rが主クラッチ21に連係機構によって連係され、左主クラッチレバー10Lと右主クラッチレバー10Rとが連結杆32によって連結されたものであってもよい。
【0067】
(5)上記した実施形態では、左主クラッチレバー10Lと右主クラッチレバー10Rとを連結する連結杆32を設けた例を示したが、連結杆32を設けず、左主クラッチレバー10Lおよび右主クラッチレバー10Rが個々に主クラッチ21に連係されたものであってもよい。
【0068】
(6)上記した実施形態では、変速レバー9が空間Sの前方に位置する例を示したが、これに限らず、変速レバー9以外の操作具が空間Sの前方に位置するものであってもよい。
【0069】
(7)上記した実施形態では、前端部分39が前下向きに傾斜する例を示したが、四指握り部38に対して直角に折れ曲がった状態であるものでもよい。
【0070】
(8)上記した実施形態では、レバー握り部13が板状である例を示したが、これに限らない。たとえば、パイプ状部材をつぶして断面が楕円形、あるいは矩形などに形成されたものであってもよい。また、上記した実施形態では、操縦ハンドル6は、断面形状が円形である例を示したが、これに限らず、断面形状が楕円形など円形以外のものであってもよい。
【0071】
(9)上記した実施形態では、左主クラッチレバー10L、右主クラッチレバー10Rのレバー握り部13は、ベース部36と、樹脂製の四指握り部38によって構成された例を示したが、これに限らない。レバー握り部13は、樹脂製の四指握り部38を有する樹脂部材のみによって構成されるもの、あるいは、ベース部36と、樹脂製の四指握り部38を有する状態でベース部36を囲う樹脂部材を備え、ベース部36が全周にわたって樹脂部材で囲われて芯部材になるものであってもよい。
【0072】
(10)上記した実施形態では、左主クラッチレバー10Lおよび右主クラッチレバー10Rには、ベース部36と、ベース部36の表側に当て付けられた樹脂製の四指握り部38と、である例を示したが、ベース部36の表側に加えて裏側にも樹脂部が備えられていてもよい。
【0073】
(11)上記した実施形態では、左主クラッチレバー10Lの機体中央側の端部13aと、右主クラッチレバー10Rの機体中央側の端部13bとの間に空間Sが設けられている例を示したが、これに限らず、空間Sが設けられていないものでもよい。
【0074】
(12)上記した実施形態では、図4に示すように四指握り部38おける両端部、中間部のそれぞれに突起35を形成している例を示している。この三箇所で四指握り部38をベース部36に取り付けることより、その取付状態を安定させることができる。これに限らず、突起35の形成箇所および個数は種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、機体から後方に延びる操縦ハンドル、耕耘ロータリ、耕耘ロータリに動力伝達するクラッチを備える歩行型管理機に適用できる。
【符号の説明】
【0076】
2 機体
6 操縦ハンドル
6b 前後向き杆部
6c 横向き杆部
9 変速レバー
10 主クラッチレバー
10L 左主クラッチレバー
10R 右主クラッチレバー
13 レバー握り部
13a 端部
13b 端部
14 ハンドル握り部
15 耕耘ロータリ
21 主クラッチ(クラッチ)
30 連係機構
32 連結杆
35 突起
36 ベース部
36a 第一部分
36b 第二部分
37 取付穴
38 四指握り部
41 親指
42 四指
P 枢支軸芯
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5