(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024115305
(43)【公開日】2024-08-26
(54)【発明の名称】耐火材支持具
(51)【国際特許分類】
E04F 13/04 20060101AFI20240819BHJP
【FI】
E04F13/04 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020927
(22)【出願日】2023-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000157197
【氏名又は名称】丸井産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松島 光秀
(57)【要約】
【課題】耐火材支持具の下地材の剛性や強度を高める。
【解決手段】耐火材支持具は、長孔111aが形成された下地材111に芯材113が取り付けられ長孔111aの内周部と芯材113との間にクランプ挿通間隙が形成された下地金具110とクランプ120とを備え、クランプ120はH型鋼201(構造部材)のフランジ部201a(突片)の上面に当接する当接部122a、および下方側に位置する雌ねじ部123aが形成された挟持部材121と蝶ボルト124とを有し当接部122aと蝶ボルト124との間にフランジ部201aと下地金具110とを挟持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物における構造部材と壁部材との間隙を閉塞するための耐火材を支持する耐火材支持具であって、
上記構造部材における上記壁部材に向けて張り出した突片位置から上記壁部材にかけて配置される下地金具と、
上記下地金具を上記構造部材の突片に固定するクランプとを備え、
上記下地金具は、上記構造部材から上記壁部材に向かう方向の長孔が形成された下地材に、上記長孔に沿って設けられた棒状の芯材が取り付けられるとともに、上記長孔の長手方向の内周部と上記芯材との間に、上記クランプが挿通されるクランプ挿通間隙が形成されて成り、
上記クランプは、上記下地金具のクランプ挿通間隙を介して挿通され、上記突片の一方面側に当接する当接部、および上記突片の他方面側に位置する雌ねじ部が形成された挟持部材と、上記雌ねじ部に螺合するボルトとを有し、上記挟持部材の当接部と上記ボルトとの間に、上記構造部材の突片と下地金具の芯材とを挟持する
ことを特徴とする耐火材支持具。
【請求項2】
請求項1の耐火材支持具であって、
上記下地金具におけるクランプ挿通間隙は、芯材の両側に形成されるとともに、
上記クランプの挟持部材は、各クランプ挿通間隙に挿通される1対の挟持部と、上記1対の挟持部の連結部とを有し、上記連結部に上記雌ねじ部が形成されていることを特徴とする耐火材支持具。
【請求項3】
請求項2の耐火材支持具であって、
上記クランプの1対の挟持部における互いに対向する内面側の少なくとも一方に突出部が設けられ、上記突出部と上記連結部との間に上記下地金具の芯材が挟み込まれることによって、クランプが下地金具に仮止めされ得ることを特徴とする耐火材支持具。
【請求項4】
請求項1の耐火材支持具であって、
上記下地金具の下地材には、上記長孔の周囲の部分を覆う板状の支持腕が取り付けられていることを特徴とする耐火材支持具。
【請求項5】
請求項1の耐火材支持具に用いられ、上記構造部材における上記壁部材に向けて張り出した突片位置から上記壁部材にかけて配置される下地金具であって、
上記構造部材から上記壁部材に向かう方向の長孔が形成された下地材に、上記長孔に沿って設けられた棒状の芯材が取り付けられるとともに、上記長孔の長手方向の内周部と上記芯材との間に、上記クランプが挿通されるクランプ挿通間隙が形成されていることを特徴とする耐火材支持具の下地金具。
【請求項6】
請求項1の耐火材支持具に用いられ、上記下地金具を上記構造部材の突片に固定するクランプであって、
上記下地金具のクランプ挿通間隙を介して挿通され、上記突片の一方面側に当接する当接部、および上記突片の他方面側に位置する雌ねじ部が形成された挟持部材と、上記雌ねじ部に螺合するボルトとを有し、上記挟持部材の当接部と上記ボルトとの間に、上記構造部材の突片と下地金具の芯材とを挟持することを特徴とする耐火材支持具のクランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造物を構成する部材の隙間を閉塞する耐火材を支持する耐火材支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、建築構造物において、梁材として使用するH型鋼と外壁材との隙間を閉塞する耐火材は、H型鋼のフランジ部に取り付けられた耐火材支持具によって支持される。上記耐火材支持具としては、例えば長孔を有する板状の支持腕がメッシュ材などの下地材に取り付けられて成る下地金具と、上記下地金具をH型鋼のフランジ部に取り付ける取付部材とを備えたものが用いられる(例えば、特許文献1参照。)。より詳しくは、上記取付部材は、上記支持腕の長孔を介して上下に繋がった上下挟持部によりH型鋼のフランジ部と下地金具とが挟持されることによって固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなメッシュ材などの下地材は、比較的柔軟な素材であるため、板状の支持腕を取り付けても、剛性や強度を高くすることは容易でない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、耐火材支持具における下地材の剛性や強度を容易に高められるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、
本発明は、
建築構造物における構造部材と壁部材との間隙を閉塞するための耐火材を支持する耐火材支持具であって、
上記構造部材における上記壁部材に向けて張り出した突片位置から上記壁部材にかけて配置される下地金具と、
上記下地金具を上記構造部材の突片に固定するクランプとを備え、
上記下地金具は、上記構造部材から上記壁部材に向かう方向の長孔が形成された下地材に、上記長孔に沿って設けられた棒状の芯材が取り付けられるとともに、上記長孔の長手方向の内周部と上記芯材との間に、上記クランプが挿通されるクランプ挿通間隙が形成されて成り、
上記クランプは、上記下地金具のクランプ挿通間隙を介して挿通され、上記突片の一方面側に当接する当接部、および上記突片の他方面側に位置する雌ねじ部が形成された挟持部材と、上記雌ねじ部に螺合するボルトとを有し、上記挟持部材の当接部と上記ボルトとの間に、上記構造部材の突片と下地金具の芯材とを挟持する
ことを特徴とする。
【0007】
これにより、下地金具の下地材に、芯材が設けられていることによって、下地金具の剛性や強度を容易に高めることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、耐火材支持具における下地材の剛性や強度を容易に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】耐火材支持具の取付状態を示す側面断面図である。
【
図2】耐火材支持具の取付状態を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態として、鉄骨造りの建築構造物において、鉄骨梁と外壁材との間の間隙を覆い、吹き付け施工される耐火材を支持する耐火材支持具の例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
耐火材支持具100は、例えば
図1に示すように、構造部材としての鉄骨梁であるH型鋼201のフランジ部201a(突片)と壁部材202との間の間隙を覆い、H型鋼201の耐火被覆材として吹き付け施工される耐火材203を支持するために用いられる。より詳しくは、例えば
図1、
図2に示すように、H型鋼201におけるフランジ部201aの下面側に下地金具110が配置され、クランプ120により上記フランジ部201aと下地金具110とが挟持されることによって、両者が一体的に固定されるようになっている。
【0012】
上記下地金具110は、例えば
図3、
図4に示すように、メタルラスなどの下地材111に、メタルプレートから成る支持腕112と、異形鉄筋から成る芯材113が溶接されて構成されている。上記下地材111、および支持腕112には、H型鋼201から壁部材202に向かう方向の長孔111a・112aが形成されている。すなわち、上記支持腕112は、下地材111の長孔111aの周囲の部分を覆うように設けられている。芯材113は、上記長孔111a・112aに沿って設けられている。長孔111a・112aの長手方向の内周部と芯材113との間には、クランプ120が挿通されるクランプ挿通間隙が形成されている。
【0013】
上記クランプ120は、例えば
図5、
図6に示すように、挟持部材121に蝶ボルト124(ボルト)が螺合されて成っている。挟持部材121は、例えばメタルプレートが折り曲げられて形成され、コの字形状の1対の挟持部122が、連結部123により連結された形状を有している。蝶ボルト124は、上記連結部123に形成された雌ねじ部123aに螺合されるようになっている。そこで、上記挟持部材121の挟持部122を下地金具110のクランプ挿通間隙に下方から上方に挿通させて、当接部122aをH型鋼201のフランジ部201aの上面に当接させるとともに、連結部123の雌ねじ部123aに螺合させた蝶ボルト124を下地金具110の芯材113の下方側に当接させて、フランジ部201aと下地金具110とを挟持させることにより、下地金具110をH型鋼201に固定し得るようになっている。
【0014】
ここで、必須ではないが、上記クランプ120の挟持部122には、互いに対向する内面側の当接部122a付近に突出部122bが設けられ、その間の距離が下地金具110の芯材113の太さよりもわずかに狭くなるようにされている。そこで、下地金具110をH型鋼201に固定するのに先立って、上記突出部122bの間隔を少し広げて下地材111の芯材113が突出部122bと連結部123との間に挟み込まれるようにすることによって、クランプ120を下地金具110に仮止めすることができる。これによって、下地金具110とクランプ120とを一体的に扱うことができるので、流通性や作業性を向上させることができる。
【0015】
上記のように、下地金具110の下地材111に、H型鋼201から壁部材202に向かう方向に沿った芯材113が設けられていることによって、下地金具110の剛性や強度を容易に高めることができるとともに、クランプ120の蝶ボルト124を芯材113に当接させて挟持することにより、下地金具110をH型鋼201に確実に固定することが容易にできる。また、クランプ120における挟持部122の当接部122aを下地金具110のクランプ挿通間隙に挿通させて、フランジ部201aの上面に当接させ得るようにすることにより、やはり作業性を向上させることが容易にできる。また、上記のように下地材111に長孔111aを形成して、クランプ120を挿通させることにより、クランプ120と下地金具110との相対位置の自由度を高くすることができるので、H型鋼201と壁部材202との種々の距離に柔軟に対応させることが容易にできる。
【符号の説明】
【0016】
100 耐火材支持具
110 下地金具
111 下地材
111a 長孔
112 支持腕
112a 長孔
113 芯材
120 クランプ
121 挟持部材
122 挟持部
122a 当接部
122b 突出部
123 連結部
123a 雌ねじ部
124 蝶ボルト
201 H型鋼
201a フランジ部
202 壁部材
203 耐火材