(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011532
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】火災感知装置、火災感知方法、および火災感知プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G08G1/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113579
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 礼生
(72)【発明者】
【氏名】谷口 弘師
(72)【発明者】
【氏名】河合 宏
(72)【発明者】
【氏名】可西 哲平
(72)【発明者】
【氏名】藤井 勝
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC02
5H181CC04
5H181EE15
5H181FF21
(57)【要約】
【課題】車両等の移動体が移動する対象エリア内で火災が発生しているかどうかの判定精度を低下させることなく、この対象エリアに割り当てる赤外線カメラの台数を抑制する。
【解決手段】検出部が、対象エリア内で停止した移動体を検出する。調整部が、赤外線カメラの撮像エリアを、検出部によって停止したことが検出された移動体の停止位置に変化させる。第1判定部が、赤外線カメラによって撮像されたフレーム画像を処理し、停止位置で火災が発生しているかどうかを判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象エリア内で停止した移動体を検出する検出部と、
赤外線カメラの撮像エリアを、前記検出部によって停止したことが検出された移動体の停止位置に変化させる調整部と、
前記赤外線カメラによって撮像されたフレーム画像を処理し、前記停止位置で火災が発生しているかどうかを判定する第1判定部と、
を備えた火災感知装置。
【請求項2】
前記赤外線カメラは、アングルが直交する2軸方向に変化させられる雲台に取り付けられ、
前記調整部は、前記雲台に対して、前記赤外線カメラの撮像エリアを、前記検出部によって停止したことが検出された移動体の停止位置に変化させる駆動信号を生成する、
請求項1に記載の火災感知装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記検出部によって停止したことが検出された移動体の停止位置に応じて、前記赤外線カメラの撮像倍率を変化させるズーム信号を生成する、
請求項2に記載の火災感知装置。
【請求項4】
前記移動体は、車両であり、
前記検出部によって停止したことが検出された移動体の停止が渋滞による停止であるかどうか判定する第2判定部を備え、
前記第1判定部は、前記第2判定部が渋滞による停止であると判定した場合、前記停止位置で火災が発生しているかどうかの判定を行わない、
請求項1~3のいずれかに記載の火災感知装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記対象エリアを撮像した可視光カメラのフレーム画像を処理し、前記対象エリア内で停止した移動体を検出する、
請求項1~3のいずれかに記載の火災感知装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記対象エリアを区分した複数の区分エリア毎に、その区分エリアを撮像した可視光カメラのフレーム画像を処理し、前記対象エリア内で停止した移動体を検出する、
請求項1~3のいずれかに記載の火災感知装置。
【請求項7】
前記移動体は、車両であり、
前記対象エリアは、トンネル内である、
請求項1~3のいずれかに記載の火災感知装置。
【請求項8】
対象エリア内で停止した移動体を検出する検出ステップと、
赤外線カメラの撮像エリアを、前記検出ステップで停止したことを検出した移動体の停止位置に変化させる調整ステップと、
前記赤外線カメラによって撮像されたフレーム画像を処理し、前記停止位置で火災が発生しているかどうかを判定する判定ステップと、
をコンピュータが実行する火災感知方法。
【請求項9】
対象エリア内で停止した移動体を検出する検出ステップと、
赤外線カメラの撮像エリアを、前記検出ステップで停止したことを検出した移動体の停止位置に変化させる調整ステップと、
前記赤外線カメラによって撮像されたフレーム画像を処理し、前記停止位置で火災が発生しているかどうかを判定する判定ステップと、
をコンピュータに実行させる火災感知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、不特定多数の移動体(車両、自立走行ロボット等)が移動するエリアにおける火災の発生を感知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が走行するトンネル内で発生した火災を感知する技術として、例えば特許文献1に示されたシステムがあった。この特許文献1では、赤外線カメラで撮像したトンネル内のフレーム画像を処理し、火災の発生を感知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-46886号公報
【特許文献2】特開2017-102634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたシステムでは、トンネル内で発生した火災を感知するには、多くの赤外線カメラを用いなければならない。具体的には、トンネル内を複数の空間に分割し、分割した空間毎に、少なくとも1台の赤外線カメラを割り当てなければならない。赤外線カメラは、割り当てられた空間が撮像エリア(撮像領域)になるように設置される。したがって、特許文献1に記載されたシステムでは、トンネル内における空間の分割数以上の赤外線カメラを必要とする。
【0005】
また、特許文献1にも記載されているように、トンネル内を走行しているトラック、トレーラ等の大型車両によるオクルージョンで、赤外線カメラによって撮像されない場所(死角)がトンネル内に生じる事態を防止するには、赤外線カメラのさらなる追加が必要になる。
【0006】
なお、赤外線カメラによって撮像されない空間がトンネル内に存在する場合、この空間については、赤外線カメラによって撮像されたフレーム画像が得られないので、火災の発生を感知することはできない。
【0007】
赤外線カメラの台数を抑えるために、トンネル内を分割する個々の空間を大きくすると(すなわち、個々の赤外線カメラに割り当てる撮像領域を大きくすると、)、赤外線カメラによって撮像されたフレーム画像が粗い画像(解像度の低い画像)になり、火災が発生しているかどうかの判定精度を低下させる要因になる。
【0008】
この発明の目的は、車両等の移動体が移動する対象エリア内で火災が発生しているかどうかの判定精度を低下させることなく、この対象エリアに割り当てる赤外線カメラの台数を抑制できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の火災感知装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0010】
検出部は、対象エリア内で停止した移動体を検出する。対象エリアは、例えば、移動体である車両が走行する道路である。この場合、対象エリアは、トンネル内であってもよいし、トンネル内でなくてもよい。また、移動体は、自立走行ロボットであってもよい。この場合、対象エリアは、例えば、移動体である自立走行ロボットが、物品を搬送する倉庫内や、工場内である。移動体は、ここで例示した車両、自立走行ロボット以外であってもよい。対象エリアは、移動体に応じて定めればよい。
【0011】
調整部は、赤外線カメラの撮像エリアを、検出部によって停止したことが検出された移動体の停止位置に変化させる。例えば、赤外線カメラは、アングルが直交する2軸方向(例えば、パン方向とチルト方向)に変化させられる雲台に取り付けられている場合、調整部は、雲台に対して、赤外線カメラの撮像エリアを、検出部によって停止したことが検出された移動体の停止位置に変化させる駆動信号を生成する。さらに、調整部は、検出部によって停止したことが検出された移動体の停止位置に応じて、赤外線カメラの撮像倍率を変化させるズーム信号を生成してもよい。
【0012】
第1判定部は、赤外線カメラによって撮像されたフレーム画像を処理し、停止位置で火災が発生しているかどうかを判定する。
【0013】
この構成によれば、赤外線カメラの撮像エリアを、検出した火災が発生している可能性が高い場所に合わせられる。これにより、赤外線カメラの撮像エリアに対応する空間を大きくすることなく、その赤外線カメラで撮像したフレーム画像を処理して火災が発生しているかどうかの判定が行える。したがって、火災が発生しているかどうかの判定精度を低下させることがない。また、赤外線カメラに割り当てる、火災が発生しているかどうかを判定するエリアを広げることができる。言い換えれば、車両、自立走行ロボット等の移動体が移動する対象エリア内において、火災が発生しているかどうかを判定するのに用いるフレーム画像を撮像する赤外線カメラの台数を抑制できる。
【0014】
また、例えば、車両が走行する道路が対象エリア(対象エリアは、トンネル内であってもよいし、トンネル内でなくてもよい。)である場合、検出部によって停止したことが検出された移動体の停止が渋滞による停止であるかどうか判定する第2判定部を備えてもよい。この場合、第1判定部は、第2判定部が渋滞による停止であると判定した場合、停止位置で火災が発生しているかどうかの判定を行わない構成にすることによって、処理負荷(特に、赤外線カメラで撮像したフレーム画像に対する画像処理にかかる処理負荷)を低減できる。
【0015】
また、例えば、検出部は、対象エリア内で停止した移動体の検出を、対象エリアを撮像した可視光カメラのフレーム画像を処理して行ってもよいし、電波レーダ(ミリ波レーダ)やレーザレーダによる移動体の検出結果を基に行ってもよいし、光電センサ等による物体の有無の検出結果を基に行ってもよいし、その他の種類のセンサを用いて行ってもよい。特に、交通状況の監視、または計測のために可視光カメラ、電波レーダ、レーザレーダ等のセンサが設置されている対象エリアであれば、この既存のセンサを利用することで(センサを新たに設置することなく)、対象エリア内で停止した移動体を検出できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、車両等の移動体が移動する対象エリア内で火災が発生しているかどうかの判定精度を低下させることなく、この対象エリアに割り当てる赤外線カメラの台数を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】この例の火災感知システムによって火災の発生を感知する対象エリアを示す概略図である。
【
図3】この例の火災感知装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図4】この例の火災感知装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】変形例1の火災感知装置の主要部の構成を示すブロック図である。
【
図6】変形例1の火災感知装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0019】
<1.適用例>
図1は、この例の火災感知システムを示す概略図である。
図2は、この例の火災感知システムによって火災の発生を感知する対象エリアを示す概略図である。この例の火災感知システム100は、車両110が走行する道路が形成されたトンネル内における火災を感知する。この例では、火災を感知するトンネル内が、この発明で言う対象エリアに相当する。また、この例では、車両110が、この発明で言う移動体に相当する。
【0020】
この例の火災感知システム100は、
図1に示すように、火災感知装置1と、複数の赤外線カメラ2(2-1~2-n)と、複数のカメラ5(5-1~5-m)と、案内板7とを有している。
【0021】
案内板7は、トンネルの入口手前に設置されている。案内板7は、トンネルに進入する車両110のドライバに対して、トンネル内の交通状況等に応じた案内メッセージを表示する。例えば、トンネル内で火災が発生している場合、案内板7で表示される案内メッセージは、例えば、「進入禁止、トンネル内で火災発生中」である。また、トンネル内で渋滞が発生している場合、案内板7で表示される案内メッセージは、例えば、「走行注意、トンネル内渋滞中」である。
【0022】
複数の赤外線カメラ2(2-1~2-m)は、例えば、遠赤外線カメラである。赤外線カメラ2(2-1~2-m)は、それぞれが対応する雲台3(3-1~3-m)に取り付けられている。雲台3は、火災感知装置1から入力されたpan方向、およびtilt方向の駆動信号に応じて、赤外線カメラ2のアングル(撮像方向)を変化させる。すなわち、赤外線カメラ2は、雲台3によって、直交する2軸の方向(pan方向、およびtilt方向)にアングルが変化させられる。また、赤外線カメラ2は、火災感知装置1から入力されたZoom信号に応じて、撮像倍率を変化させる。すなわち、赤外線カメラ2は、所謂PTZカメラとして動作させられる。
【0023】
この例の火災感知システム100では、赤外線カメラ2は、車両110の走行方向に略一定の間隔で設置されている。
図2に示す例では、車両110の走行方向における赤外線カメラ2-1と赤外線カメラ2-2との間隔(距離)と、車両110の走行方向における赤外線カメラ2-2と赤外線カメラ2-3との間隔(距離)と、が略同じである。また、この例では、トンネルの幅方向(車幅方向)における赤外線カメラ2の設置位置が、車両110の走行方向において交互である。
図2に示す例では、赤外線カメラ2-1、および赤外線カメラ2-3は、トンネルの幅方向(車幅方向)における左側の路側帯(または路肩)に設置され、赤外線カメラ2-2は、トンネルの幅方向(車幅方向)における右側の路側帯(または路肩)に設置されている。この例の火災感知システム100では、トンネル内を走行している車両110(特に、トラック、トレーラ等の大型車両)によるオクルージョンによって、いずれの赤外線カメラ2によっても撮像できない領域(所謂、死角)が生じるのを防止するために、複数の赤外線カメラ2を
図2に示すように設置している。
【0024】
なお、複数の赤外線カメラ2は、トンネル内を走行している車両110(特に、トラック、トレーラ等の大型車両)によるオクルージョンによって、いずれの赤外線カメラ2によっても撮像できない領域が生じるのを防止できれば、
図2に示した配置で設置されていなくてもよい。
【0025】
また、いずれの赤外線カメラ2によっても撮像できない領域がオクルージョンによって一時的に生じることもあるが、
図2に示したトンネルの幅方向(車幅方向)における左側の路側帯(または路肩)に設置された赤外線カメラ2(2-1、2-3等)または
図2に示したトンネルの幅方向(車幅方向)における右側の路側帯(または路肩)に設置された赤外線カメラ2(2-2、2-n等)の一方を設けていない構成であってもよい。
【0026】
カメラ5は、可視光画像を撮像するビデオカメラである。カメラ5のフレームレートは、数十フレーム/sec(例えば、10~30フレーム/sec)である。この例の火災感知システム100では、トンネル内の状況が撮像できるように、複数のカメラ5を車両110の走行方向に略一定間隔で設置している。トンネル内を区分した区分領域毎に、カメラ5を割り当てている。また、
図2では、複数のカメラ5を、トンネルの幅方向(車幅方向)の片側(右側の路側帯(または路肩))に設置した例を示している。
【0027】
なお、複数のカメラ5は、トンネル内の状況が撮像できれば、
図2に示した配置で設置されていなくてもよい。すなわち、複数のカメラ5の設置位置は、
図2に示す配置に限るものではない。
【0028】
なお、赤外線カメラ2(雲台3)、およびカメラ5は、例えば、トンネルの天井面に取り付けてもよいし、トンネル内の路側帯(または路肩)に設置された支柱に取り付けてもよいし、これら以外の方法で取り付けてもよい。すなわち、トンネル内における、赤外線カメラ2(雲台3)、およびカメラ5を設置する構造は、どのような構造であってもよい。
【0029】
火災感知装置1は、カメラ5毎に、そのカメラ5によって撮像されたフレーム画像を処理し、トンネル内で停止(停車)した車両110を検出する。火災感知装置1は、トンネル内で停止した車両110を検出すると、その車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2を決定する。火災感知装置1は、トンネル内における車両110の走行方向において、車両110の停止位置に最も近い赤外線カメラ2と、この停止位置に2番目に近い赤外線カメラ2を、車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2に決定する。すなわち、火災感知装置1は、車両110の停止位置を挟んで、車両110の走行方向に連続する2台の赤外線カメラを、車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2に決定する。上記の説明から明らかなように、
図2に示す例では、車両110の停止位置を撮像する2台の赤外線カメラ2は、トンネルの幅方向における設置位置が異なっている。
【0030】
例えば、
図2に示す例では、トンネル内における車両110の走行方向における車両110の停止位置が、赤外線カメラ2-1と赤外線カメラ2-2との間である場合、赤外線カメラ2-1と赤外線カメラ2-2を、この車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2に決定する。また、トンネル内における車両110の走行方向における車両110の停止位置が、赤外線カメラ2-2と赤外線カメラ2-3との間である場合、赤外線カメラ2-2と赤外線カメラ2-3を、この車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2に決定する。
【0031】
火災感知装置1は、車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2の撮像エリアを車両110の停止位置に合わせる。火災感知装置1は、赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2の設置位置と、車両110の停止位置とに基づき、撮像エリアを車両110の停止位置に合わせるアングル(pan方向の角度、およびtilt方向の角度)を求める。また、火災感知装置1は、赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2の設置位置と、車両110の停止位置との距離に基づき、撮像倍率を求める。火災感知装置1は、赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2について求めたpan方向の角度、およびtilt方向の角度に応じた駆動信号(pan信号、およびtilt信号)を雲台3に出力する。また、火災感知装置1は、赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2について求めた撮像倍率に応じたZoom信号を赤外線カメラ2に出力する。
【0032】
火災感知装置1は、アングルを車両110の停止位置に合わせた赤外線カメラ2によって撮像された車両110の停止位置のフレーム画像を処理して、車両110の停止位置を含む、その周辺の温度分布を取得し、火災が発生しているかどうかを判定する。
【0033】
このように、この例の火災感知システム100では、赤外線カメラ2をPTZカメラとして活用するので、対象エリアであるトンネル内で火災が発生しているかどうかの判定精度を低下させることなく、このトンネルに割り当てる赤外線カメラの台数を抑制できる。
【0034】
また、この例では、アングルが異なる2台の赤外線カメラ2で検出した車両110の停止位置を撮像するので、トンネル内を走行している車両110によるオクルージョンで一方の赤外線カメラ2で車両110の停止位置を撮像することができないときでも、他方の赤外線カメラ2で車両110の停止位置を撮像することができる。したがって、火災の発生から、その火災を感知するまでの遅れ時間を抑制できる。
【0035】
<2.構成例>
図3は、この例の火災感知装置の主要部の構成を示す図である。火災感知装置1は、制御ユニット11と、PTZ信号出力部12と、赤外線画像入力部13と、可視光画像入力部14と、出力部15と、通信部16と、を備えている。
【0036】
なお、この例の火災感知装置1は、特に図示していないが、赤外線カメラ2毎(雲台3毎)に設置位置を記憶しているとともに、カメラ5毎に設置位置を記憶している。また、この例の火災感知装置1は、カメラ5毎に、そのカメラ5によって撮像されたフレーム画像上の位置を、実空間の位置に変換するカメラパラメータを記憶している。
【0037】
制御ユニット11は、火災感知装置1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、停止車両検出部11a、PTZ信号生成部11b、および火災判定部11cを有している。制御ユニット11が有する、停止車両検出部11a、PTZ信号生成部11b、および火災判定部11cについては後述する。
【0038】
PTZ信号出力部12は、赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2が取り付けられている雲台3に対して、赤外線カメラ2のアングル(撮像方向)を指示するpan信号、およびtilt信号を出力する。また、PTZ信号出力部12は、赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2に対して撮像倍率を指示するZoom信号を出力する。
【0039】
各雲台3は、自機に対するpan信号、およびtilt信号に応じて、取り付けられている赤外線カメラ2のアングルを変更する。また、各赤外線カメラ2は、自機に対するZoom信号に応じて、撮像倍率を変更する。
【0040】
赤外線画像入力部13は、赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2によって撮像されたフレーム画像が入力される。赤外線カメラ2によって撮像されたフレーム画像は、撮像エリアの温度分布画像である。
【0041】
可視光画像入力部14は、カメラ5毎に、そのカメラ5によって撮像されたフレーム画像が入力される。カメラ5によって撮像されたフレーム画像は、撮像エリアの可視光画像である。
【0042】
出力部15は、案内板7に対して、その案内板7でドライバに対して表示する案内メッセージを出力する。
【0043】
通信部16は、ネットワークを介して管制センタと接続され、この管制センタとの間でデータ通信を行う。例えば、通信部16は、トンネル内で火災が発生しているかどうかを管制センタに通知する。
【0044】
次に、制御ユニット11が有する、停止車両検出部11a、PTZ信号生成部11b、および火災判定部11cについて説明する。
【0045】
停止車両検出部11aは、カメラ5毎に、そのカメラ5によって撮像されたフレーム画像を処理し、停止している車両110を検出する。例えば、停止車両検出部11aは、カメラ5毎に、そのカメラ5によって撮像されたフレーム画像上のほぼ同じ位置に、同一車両110が所定フレーム数(3~10フレーム)連続して撮像されていた場合、停止している車両110(停止車両110)として検出する。また、停止車両検出部11aは、カメラ5毎に、そのカメラ5によって撮像されたフレーム画像を処理し、フレーム画像に撮像されている車両110を追跡し、設定時間(例えば、数秒(1~3秒程度))にわたって、移動速度が設定速度(例えば、数km/h未満(3~5km/h未満))である車両110を、停止している車両110(停止車両110)として検出してもよい。また、停止車両検出部11aは、上記例示した手法以外の手法で、停止している車両110を検出してもよい。
【0046】
停止車両検出部11aは、停止車両110を検出すると、その停止車両110の実空間上の停止位置を算出する。例えば、停止車両検出部11aは、停止車両110が撮像されているフレーム画像上におけるタイヤと路面との接地位置を検出(または推定)する。停止車両検出部11aは、このフレーム画像を撮像したカメラ5について記憶しているカメラパラメータを用いて、検出したフレーム画像上におけるタイヤと路面との接地位置を実空間の位置に変換する。また、停止車両検出部11aは、上記例示した手法以外の手法で、停止車両110の実空間上の停止位置を算出してもよい。
【0047】
この停止車両検出部11aが、この発明で言う検出部に相当する。
【0048】
PTZ信号生成部11bは、停止車両検出部11aが検出した停止車両110の実空間上の停止位置に基づき、この停止位置を撮像する赤外線カメラ2を決定する。PTZ信号生成部11bは、トンネル内における車両110の走行方向において、停止車両110の停止位置に最も近い赤外線カメラ2と、この停止位置に2番目に近い赤外線カメラ2を、停止車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2に決定する。すなわち、火災感知装置1は、停止車両110の停止位置を挟んで、停止車両110の走行方向に連続する2台の赤外線カメラ2を、停止車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2に決定する。
【0049】
なお、この例では、2台の赤外線カメラ2で、停止車両110の停止位置を撮像するが、停止車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2の台数は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。この場合、PTZ信号生成部11bは、停止車両110の停止位置に近い順に、設定台数の赤外線カメラ2を、この停止位置を撮像する赤外線カメラ2に決定すればよい。
【0050】
PTZ信号生成部11bは、停止車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2の撮像エリアを、車両110の停止位置に合わせるpan方向の角度、およびtilt方向の角度を算出する。例えば、PTZ信号生成部11bは、赤外線カメラ2の設置位置と、停止車両110の停止位置と、を結ぶ直線を算出し、赤外線カメラのアングル(撮像方向)を、この直線に合わせるpan方向の角度、およびtilt方向の角度を算出する。
【0051】
また、PTZ信号生成部11bは、赤外線カメラ2の設置位置と、停止車両110の停止位置との距離に基づき、赤外線カメラ2の撮像倍率を算出する。例えば、PTZ信号生成部11bは、赤外線カメラ2の撮像エリアの大きさが、設定されている撮像サイズになるように、赤外線カメラ2の撮像倍率を算出する。
【0052】
PTZ信号生成部11bは、算出したpan方向の角度、およびtilt方向の角度に応じた駆動信号を(pan信号、およびtilt信号)を雲台3に出力する。また、PTZ信号生成部11bは、算出した撮像倍率に応じたZoom信号を赤外線カメラ2に出力する。pan信号、tilt信号、およびZoom信号は、PTZ信号出力部12において出力される。
【0053】
このPTZ信号生成部11bが、この発明で言う調整部に相当する。
【0054】
火災判定部11cは、停止車両110の停止位置を撮像した赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2が撮像したフレーム画像を処理し、この停止位置における温度分布を取得し、火災が発生しているかどうかを判定する。火災判定部11cは、いずれかの赤外線カメラ2が撮像したフレーム画像を処理して取得した温度分布によって火災が発生していると判定すると、停止車両110の停止位置付近で火災が発生していると判定する。言い換えれば、火災判定部11cは、いずれの赤外線カメラ2が撮像したフレーム画像を処理して取得した温度分布によっても火災が発生していないと判定すると、車両110の停止位置で火災が発生していないと判定する。
【0055】
この火災判定部11cが、この発明で言う第1判定部に相当する。
【0056】
火災感知装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる火災感知プログラムを実行したときに、停止車両検出部11a、PTZ信号生成部11b、および火災判定部11cとして動作する。また、メモリは、この発明にかかる火災感知プログラムを展開する領域や、この火災感知プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる火災感知方法を実行するコンピュータである。
【0057】
<3.動作例>
図4は、この例の火災感知装置の動作を示すフローチャートである。この例の火災感知システム100は、トンネル内で火災が感知されていなとき、各カメラ5によって撮像されたトンネル内の動画像が火災感知装置1に入力されている。一方、各赤外線カメラ2は、トンネル内で火災が感知されていなとき、トンネル内の撮像を行っていない。赤外線カメラ2は、火災感知装置1からの撮像指示に応じて、トンネル内の撮像を行う。
【0058】
なお、赤外線カメラ2も、カメラ5と同様に、トンネル内で火災が感知されていなときも、トンネル内を撮像した動画像にかかるフレーム画像を火災感知装置1に出力する構成であってもよい。
【0059】
火災感知装置1は、各カメラ5によって撮像されたトンネル内の動画像にかかるフレーム画像を処理し、トンネル内で停止した停止車両110を検出するまで停止車両検出処理を繰り返す(s1、s2)。停止車両検出部11aが、s1、s2にかかる処理を実行する。停止車両検出部11aは、カメラ5毎に、そのカメラ5によって撮像された動画像にかかるフレーム画像を処理し、停止車両110を検出する。可視光画像入力部14には、接続されているカメラ5毎に、そのカメラ5によって撮像された動画像が入力されている。
【0060】
停止車両検出部11aは、例えば、上記したように、カメラ5毎に、そのカメラ5によって撮像されたフレーム画像上のほぼ同じ位置に、所定フレーム数(3~10フレーム)連続して撮像されていた車両110を停止車両110として検出する。また、停止車両検出部11aは、カメラ5毎に、そのカメラ5によって撮像されたフレーム画像を処理し、設定時間(例えば、数秒(1~3秒程度))にわたって、移動速度が設定速度(例えば、数km/h未満(3~5km/h未満))である車両110を、停止車両110として検出してもよい。
【0061】
停止車両検出部11aは、停止車両110を検出すると、その停止車両110の実空間上の停止位置を算出する(s3)。停止車両検出部11aは、例えば、上記したように、停止車両110が撮像されているフレーム画像上におけるタイヤと路面との接地位置を検出(または推定)する。停止車両検出部11aは、このフレーム画像を撮像したカメラ5について記憶しているカメラパラメータを用いて、検出したフレーム画像上におけるタイヤと路面との接地位置を実空間上の位置に変換する。
【0062】
PTZ信号生成部11bは、停止車両検出部11aが検出した停止車両110の実空間上の停止位置に基づき、この停止位置を撮像する赤外線カメラ2を決定する(s4)。PTZ信号生成部11bは、例えば、上記したように、トンネル内における車両110の走行方向において、停止車両110の停止位置に最も近い赤外線カメラ2と、この停止位置に2番目に近い赤外線カメラ2を、停止車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2に決定する。
【0063】
PTZ信号生成部11bは、停止車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2の撮像エリアを、車両110の停止位置に合わせるpan方向の角度、およびtilt方向の角度を算出する(s5)。PTZ信号生成部11bは、例えば、上記したように、赤外線カメラ2の設置位置と、停止車両110の停止位置と、を結ぶ直線を算出し、赤外線カメラのアングル(撮像方向)を、この直線に合わせるpan方向の角度、およびtilt方向の角度を算出する。
【0064】
また、PTZ信号生成部11bは、赤外線カメラ2の設置位置と、停止車両110の停止位置との距離に基づき、赤外線カメラ2の撮像倍率を算出する(s6)。PTZ信号生成部11bは、例えば、上記したように、赤外線カメラ2の撮像エリアの大きさが、設定されている撮像サイズになるように、赤外線カメラ2の撮像倍率を算出する。
【0065】
PTZ信号生成部11bは、算出したpan方向の角度、およびtilt方向の角度に応じた駆動信号を(pan信号、およびtilt信号)を生成し、雲台3に出力する(s7)。また、PTZ信号生成部11bは、算出した撮像倍率に応じたZoom信号を生成し、赤外線カメラ2に出力する(s8)。pan信号、tilt信号、およびZoom信号は、PTZ信号出力部12において出力される。
【0066】
なお、PTZ信号生成部11bは、pan信号、tilt信号、およびZoom信号を出力した赤外線カメラ2に対して、撮像指示を出力している。赤外線カメラ2は、この撮像指示に応じて、撮像を開始する。
【0067】
火災判定部11cは、s4で決定した停止車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2によって撮像されたフレーム画像を処理し、この停止位置周辺で火災が発生しているかどうかを判定する(s9)。s9では、火災判定部11cは、s4で決定した停止車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2毎に、その赤外線カメラ2によって撮像された停止車両110の停止位置周辺のフレーム画像を処理し、この停止位置周辺の温度分布を取得する。火災判定部11cは、取得した温度分布において、例えば、設定温度を超える領域の大きさが設定範囲を超えていれば、停止車両110の停止位置周辺で火災が発生していると判定する。
【0068】
また、火災判定部11cは、s4で決定した停止車両110の停止位置を撮像する一方の赤外線カメラ2が撮像したフレーム画像を処理し、火災が発生していないと判定しても、他方の赤外線カメラ2が撮像したフレーム画像を処理し、火災が発生していると判定した場合、停止車両110の停止位置周辺で火災が発生していると判定する。すなわち、火災判定部11cは、s4で決定した停止車両110の停止位置を撮像する赤外線カメラ2であって、少なくとも1台の赤外線カメラ2が撮像したフレーム画像を処理して取得した停止車両110の停止位置周辺の温度分布から、火災が発生していると判定した場合、この停止位置周辺で火災が発生している、と判定する。言い換えれば、火災判定部11cは、s4で決定した停止車両110の停止位置を撮像する全ての赤外線カメラ2について、その赤外線カメラ2によって撮像されたフレーム画像を処理して取得した停止車両110の停止位置周辺の温度分布から、火災が発生していないと判定した場合、この停止位置周辺で火災が発生していない、と判定する。
【0069】
火災感知装置1は、s9の火災判定処理で停止車両110の停止位置周辺で火災が発生していないと判定した場合(s10)、s1に戻る。一方、火災感知装置1は、s9の火災判定処理で停止車両110の停止位置周辺で火災が発生していると判定した場合(s10)、案内板7に対して、その案内板7において表示させる案内メッセージを出力する(s11)。また、火災感知装置1は、火災の発生を管制センタに通知し(s12)、s1に戻る。
【0070】
このように、この例の火災感知システム100では、トンネル内で停止した停止車両110を検出すると、その停止車両110の停止位置を赤外線カメラ2で撮像する。火災が発生した場合、火災が発生した車両110、および火災の発生位置に近づく車両110は停止する。したがって、この例の火災感知システム100では、火災が発生している可能性が高い箇所を赤外線カメラ2で撮像し、停止車両110の停止位置周辺で火災が発生しているかどうかを検出できる。
【0071】
また、赤外線カメラ2を、PTZカメラとして使用するので、赤外線カメラ2の台数を減少させても、火災が発生しているかどうかの判定精度を低下させることがない。言い換えれば、火災が発生しているかどうかの判定精度を低下させることなく、赤外線カメラ2の台数を抑制できる。
【0072】
また、この例では、停止車両110の停止位置周辺を撮像する複数の赤外線カメラ2のアングルが異なっているので、いずれかの赤外線カメラ2がオクルージョンによって停止位置を撮像することができない場合であっても、別の赤外線カメラ2によって停止位置を撮像することができる。したがって、火災が発生してから、その火災を感知するのに要する時間の増加も抑えられる。また、この例では、赤外線カメラ2によって撮像されたフレーム画像が、停止車両110の停止位置を撮像したフレーム画像であるか、オクルージョンによって停止車両110の停止位置を撮像していないフレーム画像であるかを判定する必要がない。
【0073】
また、この例では、停止車両110が検出されていないとき、赤外線カメラ2によって撮像したフレーム画像を処理しないので、火災感知装置1の処理負荷を抑えることができる。
【0074】
<4.変形例>
・変形例1
図5は、この変形例1の火災感知装置の主要部の構成を示すブロック図である。この変形例1の火災感知装置1Aも
図1に示した火災感知システムに適用できる。この変形例1の火災感知装置1Aは、制御ユニット11Aが渋滞判定部11dを追加的に備えている点で、上記した例の火災感知装置1と相違する。
【0075】
渋滞判定部11dは、停止車両検出部11aが検出した停止車両110が渋滞により停止したのかどうかを判定する。渋滞判定部11dは、例えば、トンネル内における車両110の平均速度が、トンネル内の制限速度の数十%未満(例えば、10%~40%未満)である状態が渋滞判定時間(例えば、10~20秒)以上継続しているとき、停止車両検出部11aによって検出された停止車両110を、渋滞により停止したと判定する。また、渋滞判定部11dは、例えば、トンネル内における車両110の占有率が設定占有率(例えば、60~80%)以上であり、トンネル内における車両群の速度が、トンネル内の制限速度の数十%未満(例えば、10%~40%未満)である状態が渋滞判定時間(例えば、10~20秒)以上継続しているとき、停止車両検出部11aによって検出された停止車両110を、渋滞により停止したと判定する。
【0076】
この渋滞判定部11dが、この発明で言う第2判定部に相当する。
【0077】
なお、この変形例1の火災感知装置1Aが備える渋滞判定部11d以外の構成については、上記の例と同様の構成であるので、ここでは説明を省略する。
【0078】
図6は、この変形例1の火災感知装置の動作を示すフローチャートである。
図6では、
図4に示した処理と同様の処理については、同じステップ番号を付している。
【0079】
この変形例1の火災感知装置1Aは、停止車両検出部11aが、上記したs1、s2にかかる処理を実行し、停止車両110を検出すると、渋滞判定部11dが、この停止車両110が渋滞により停止したのかどうかを判定する(s21)。停止車両検出部11aが、今回検出された停止車両110が、渋滞により停止したと判定すると、s1に戻る。また、停止車両検出部11aが、今回検出された停止車両110が、渋滞による停止でないと判定すると、上記したs3~s12にかかる処理を実行する。
【0080】
このように、この変形例1の火災感知装置1Aは、停止車両検出部11aによって検出された停止車両110が、火災によるものでなく、渋滞によるものである場合、s3~s12にかかる処理を実行しない。したがって、この変形例1の火災感知装置1Aは、上記の例と同様の効果を奏するとともに、処理負荷を一層抑えられる。
【0081】
・変形例2
上記の例では、停止車両110の検出を、カメラ5によって撮像された動画像にかかるフレーム画像を用いるとしたが、電波レーダ(ミリ波レーダ)、レーザレーダ等のセンサを用いて、停止車両110を検出してもよい。
【0082】
また、上記の例では、車両110が走行する道路が形成されたトンネル内における火災を感知するシステムを例にしたが、トンネル内に限らず、トンネル外の道路であってもよい。また、移動体が車両110である場合を例にして説明したが、移動体は、自立走行ロボットであってもよい。この場合、火災を感知する対象エリアは、例えば、移動体である自立走行ロボットが、物品を搬送する倉庫内や、工場内等の屋内であってもよいし、屋外であってもよい。
【0083】
また、移動体は、ここで例示した車両、自立走行ロボット以外であってもよい。火災を感知する対象エリアは、移動体に応じて定めればよい。
【0084】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。また、上記した全ての例の説明で示したフローチャートにおける各ステップの順番は、あくまでも一例であり、可能な範囲で適宜入れ替えてもよい。
【0085】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
対象エリア内で停止した移動体(110)を検出する検出部(11a)と、
赤外線カメラ(5)の撮像エリアを、前記検出部(11a)によって停止したことが検出された移動体(110)の停止位置に変化させる調整部(11b)と、
前記赤外線カメラ(5)によって撮像されたフレーム画像を処理し、前記停止位置で火災が発生しているかどうかを判定する第1判定部(11c)と、
を備えた火災感知装置(1)。
【符号の説明】
【0086】
1、1A…火災感知装置
2(2-1~2-n)…赤外線カメラ
3(3-1~3-n)…雲台
5(5-1~5-m)…可視光カメラ
11、11A…制御ユニット
11a…停止車両検出部
11b…PTZ信号生成部
11c…火災判定部
11d…渋滞判定部
12…PTZ信号出力部
13…赤外線画像入力部
14…可視光画像入力部
15…出力部
16…通信部
100…火災感知システム
110…車両